JP2011033681A - 光学ユニット、露光ヘッド、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンズアレイの境界における光透過性基板の破損を抑制して、光学ユニットの強度向上を可能とする技術を提供する。
【解決手段】光を透過する光透過性基板と、光透過性基板に配設されて、光透過性基板より厚い第1のレンズアレイと、光透過性基板に第1のレンズアレイと隣り合って配設されて、光透過性基板より厚い第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを光透過性基板の反対側から支持する支持部材と、を備える。
【選択図】図6
【解決手段】光を透過する光透過性基板と、光透過性基板に配設されて、光透過性基板より厚い第1のレンズアレイと、光透過性基板に第1のレンズアレイと隣り合って配設されて、光透過性基板より厚い第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを光透過性基板の反対側から支持する支持部材と、を備える。
【選択図】図6
Description
この発明は、レンズアレイを用いた光学ユニット、該光学ユニットを備えた露光ヘッドおよび画像形成装置に関する。
特許文献1に記載のように、複数のレンズを長手方向にアレイ状に配列したレンズアレイを用いて、光学ユニットを構成することができる。また、この特許文献1では、この光学ユニットによって発光素子からの光を収束させて、被露光面を露光する露光ヘッドが提案されている。この露光ヘッドでは、被露光面に対向して光学ユニットが保持されており、発光素子がこの光学ユニットに向けて光を射出する。そして、発光素子からの光が光学ユニットのレンズを透過して、被露光面に収束される。こうして被露光面に形成された収束光(スポット)により、被露光面が露光される。
ところで、この光学ユニットは、用途に応じた範囲を露光可能であることが求められる。そのため、レンズアレイは、用途に応じた長さを備えている必要がある。例えば、画像形成装置内で感光体に潜像を形成するために光学ユニットを用いる場合には、潜像の幅に応じた範囲を露光するために、レンズアレイは一定以上の長さを備える必要がある。こうした要求がある一方で、長尺なレンズアレイを一体的な構成で実現することは難しい。そこで、特許文献2では、比較的短尺なレンズアレイを長手方向に複数並べた構成が提案されている。
ただし、複数のレンズアレイを並べて用いるにあたっては、長手方向に並ぶこれらのレンズアレイを支持する機構が必要となる。そこで、長手方向に長尺で且つ光を透過する光透過性基板に、これらのレンズアレイを取り付けて支持する機構が考えられる。しかしながら、かかる支持機構には次のような課題があった。
光学ユニットの光学系最終面は外部に露出するため、レンズアレイのレンズを光学系最終面として光学ユニットを構成した場合、レンズアレイの表面が外部に露出することとなる。一方、このレンズアレイ表面はレンズ配列に応じた凹凸形状を有しているため、塵等が付着しやすい。そのため、付着した塵等に光が散乱されて、光学ユニットが所望の光学特性を発揮できない場合があった。そこで、塵等の付着を抑制して防塵性を向上させるという観点から、光学系最終面は平面形状であることが好適となる。具体的には、レンズアレイ取付面に対して光透過性基板の逆側の平面が光学系最終面となるように、光学ユニットを構成すれば良い。こうすることで、外部に露出する光学系最終面への塵等の付着を抑制することができる。
しかしながら、このように光学ユニットを構成するにあたっては、光学ユニットの強度が問題となっていた。つまり、この構成では、レンズアレイ取付面、レンズアレイ取付面の逆側の平面および被露光面がこの順番で並ぶこととなるが、レンズアレイのレンズと被露光面との間隔は、光学特性に大きく影響するために、あまり自由に変更できない。一方、レンズアレイ取付面の逆側の平面と被露光面との間には、これらの接触を避けるためにある程度のクリアランスが必要である。したがって、所望の光学特性を実現しつつも該クリアランスを十分確保するには、光透過性基板を薄く形成することが必要となり、望ましくは、光透過性基板の厚みはレンズアレイの厚みよりも薄い程度が良い。ここで本明細書において、レンズアレイの厚みは、レンズが形成された凸部におけるレンズアレイの厚みとする。
ただし、光透過性基板は複数のレンズアレイを支持しているため、隣り合うレンズアレイの境界では光透過性基板に負荷がかかりやすい構成となっている。このような構成で、光透過性基板がそれ自身より厚みの厚い複数のレンズアレイを支持するとなると、外部からの衝撃等により、レンズアレイの境界において光透過性基板が簡単に破損してしまうおそれがあった。
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、レンズアレイの境界における光透過性基板の破損を抑制して、光学ユニットの強度向上を可能とする技術の提供を目的とする。
この発明にかかる光学ユニットは、上記目的を達成するために、光を透過する光透過性基板と、光透過性基板に配設されて、光透過性基板より厚い第1のレンズアレイと、光透過性基板に第1のレンズアレイと隣り合って配設されて、光透過性基板より厚い第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを光透過性基板の反対側から支持する支持部材と、を備えたことを特徴としている。
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、光を透過する光透過性基板、光透過性基板に配設されて光透過性基板より厚い第1のレンズアレイ、および光透過性基板に第1のレンズアレイと隣り合って配設されて光透過性基板より厚い第2のレンズアレイを有する光学ユニットと、第1の発光素子および第2の発光素子を有する発光素子基板と、を備え、第1の発光素子の光は、第1のレンズに入射した後に光透過性基板から射出して被露光面に収束し、第2の発光素子の光は、第2のレンズに入射した後に光透過性基板から射出して被露光面に収束し、光学ユニットは、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを光透過性基板の反対側から支持する支持部材を有することを特徴としている。
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、光を透過する光透過性基板、光透過性基板に配設されて光透過性基板より厚い第1のレンズアレイ、および光透過性基板に第1のレンズアレイと隣り合って配設されて光透過性基板より厚い第2のレンズアレイを有する光学ユニットと、第1の発光素子および第2の発光素子を有する発光素子基板と、を有する露光ヘッドと、光透過性基板との間にクリアランスを空けて配設された像担持体と、を備え、第1の発光素子の光は、第1のレンズアレイの第1のレンズに入射した後に光透過性基板から射出して像担持体に収束し、第2の発光素子の光は、第2のレンズアレイの第2のレンズに入射した後に光透過性基板から射出して像担持体に収束し、光学ユニットは、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを光透過性基板の反対側から支持する支持部材を有することを特徴としている。
このように構成された発明(光学ユニット、露光ヘッド、画像形成装置)では、光透過性基板は、それ自身より厚みの厚い第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを支持する。したがって、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界において光透過性基板が破損してしまうおそれがあった。そこで、本発明の光学ユニットは、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを支持する支持部材を備えている。したがって、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界における光透過性基板の破損を抑制して、光学ユニットの強度向上が可能となっている。
また、支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとが配設される第1の方向に直交する第2の方向に、第1のレンズアレイの第1のレンズおよび第2のレンズアレイの第2のレンズから外れて配設されるように光学ユニットを構成しても良い。このように構成することで、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイそれぞれのレンズ(第1のレンズ、第2のレンズ)に入射する光と支持部材との干渉が防止されて、光学ユニットは所望の光学特性を確実に発揮できる。
また、第1のレンズおよび第2のレンズから、支持部材の第2の方向の逆側に外れて配設された第2の支持部材を備え、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界を跨いで、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを光透過性基板の反対側から支持するように光学ユニットを構成しても良い。このように構成した場合、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを、支持部材と第2の支持部材とが第2の方向の両側で支持することとなるため、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイをより強固に支持することができる。したがって、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの境界における光透過性基板の破損をより確実に抑制して、光学ユニットのさらなる強度向上が可能となる。
また、支持部材の他に、光透過性基板の反対側から第1のレンズアレイを支持する第3の支持部材を備えるように構成することができるが、この際、支持部材と第3の支持部材とは、第1の方向に間隔を空けて配設されているように構成しても良い。つまり、支持部材および第3の支持部材を設けた構成において、これらの間に隙間がないと、これらが温度上昇により膨張することで、互いを押し合うような応力が発生する。その結果、第1のレンズアレイやその他の光透過性基板等に不要な力がかかってしまう場合がある。これに対して、支持部材および第3の支持部材の間に隙間を設けておけば、温度上昇に伴なうこれらの膨張にかかわらず、上述のような応力発生が抑えられる。したがって、第1のレンズアレイやその他の光透過性基板等への不要な力の発生を抑制することができる。
また、第1のレンズアレイに対向する第3のレンズアレイを備えるように光学ユニットを構成することができる。つまり、このような光学ユニットでは、第1のレンズアレイと第3のレンズアレイとが協働して、所望の光学特性を実現する。ただし、この所望の光学特性を確実に実現するためには、第1のレンズアレイと第3のレンズアレイとの間隔が重要となる。そこで、第3の支持部材は、第1のレンズアレイを支持する面と逆側の面で第3のレンズアレイを支持するように、光学ユニットを構成しても良い。これにより、第3の支持部材が第1のレンズアレイと第3のレンズアレイとの間隔を規定するスペーサーとして機能するため、第1のレンズアレイと第3のレンズアレイとの間隔を高精度に規定することが可能となる。
また、支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材の厚みは等しくなるように、光学ユニットを構成しても良い。この場合、支持部材は、第1のレンズアレイを支持する面と逆側の面で第3のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイを支持する面と逆側の面で第3のレンズアレイを支持するように、光学ユニットを構成することで、支持部材および第2の支持部材のそれぞれが、第1のレンズアレイと第3のレンズアレイとの間隔を規定するスペーサーとして機能し、第1のレンズアレイと第3のレンズアレイとの間隔を高精度に規定することが可能となる。
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、このヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラム21は、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モーターに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナー27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラーを備えている。この帯電ローラーは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラーは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は複数の発光素子を備えており、各発光素子はヘッドコントローラーHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラー251を有する。そして、現像ローラー251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラー251に印加される現像バイアスによって、現像ローラー251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラー251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナー27が設けられている。この感光体クリーナー27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
転写ベルトユニット8は、駆動ローラー82と、図1において駆動ローラー82の左側に配設される従動ローラー83(ブレード対向ローラー)と、これらのローラーに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラー85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラー85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラー85のうち、カラー1次転写ローラー85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラー85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラー85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラー85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラー85Kの下流側で且つ駆動ローラー82の上流側に配設された下流ガイドローラー86を備える。また、この下流ガイドローラー86は、モノクロ1次転写ローラー85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラー85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
駆動ローラー82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラー121のバックアップローラーを兼ねている。駆動ローラー82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラー121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラー82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラー82と2次転写ローラー121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラー79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラー79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラー対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
2次転写ローラー121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラー駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラー131と、この加熱ローラー131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラー131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラー1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラー1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラー131の周面に押し付けることで、加熱ローラー131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
また、この装置では、ブレード対向ローラー83に対向してクリーナー部71が配設されている。クリーナー部71は、クリーナーブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナーブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラー83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
図3は、ラインヘッドの概略を示す部分斜視図である。同図では、ラインヘッド29の厚さ方向TKDの構成を理解しやすくするために、ラインヘッド29の長手方向LGDの端部(図3の左下端部)が断面で示されている。ここで、厚さ方向TKDは、長手方向LGDおよび幅方向LTDに垂直もしくは略垂直な方向であり、後述する発光素子Eが光を射出する側(つまり、ラインヘッド29から感光体ドラム21に向う側)を向いた方向とする。また、以後の実施形態の説明において、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)を「(厚さ方向TKDの)一方側」と称し、厚さ方向TKDの上流側(図3の下側)を「(厚さ方向TKDの)他方側」と称する。また、基板あるいは平板の一方側の面を表面と称し、基板あるいは平板の他方側の面を裏面と称することとする。
ラインヘッド29は、ヘッド基板293、遮光部材297および絞り平板295をこの順番で厚さ方向TKDに配置するとともに、厚さ方向TKDの一方側からこれらの部材を覆い被さるようにして光学ユニットOUを配置した概略構成を備えている。また、ヘッド基板293の裏面には(厳密には、ヘッド基板293に設けられた封止部材294の裏面には)これらの部材を支持するための剛性部材299が設けられている。ラインヘッド29が備える光学ユニットOUは、厚さ方向TKDに並ぶ2枚のレンズアレイLA1、LA2で構成され、これらレンズアレイLA1、LA2それぞれのレンズLS1、LS2(図5)が厚さ方向TKDに並んで1個の結像光学系として機能する。また、この光学ユニットOUは、レンズアレイLA1、LA2を支持するためにスペーサーSP1、SP2および支持ガラスSSを備えているが、これらについては後に詳述する。
こうしてラインヘッド29では、ヘッド基板293、遮光部材297、絞り平板295およびレンズアレイLA1、LA2がこの順番で並んでいる。そして、ヘッド基板293の発光素子Eからの光が、遮光部材297の導光孔2971および絞り平板295の開口絞り2951を通過して、レンズアレイLA1、LA2のレンズLS1、LS2により結像される(図5)。次に、各部材の詳細な構成について、図3、図4および図5を用いつつ説明する。
図4は、厚さ方向TKDからヘッド基板293を平面視した部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側(図3の上側)からヘッド基板293の裏面293−tを透視した場合に相当する。図5は、ラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。このA−A線断面は、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、一列に並ぶ3個の発光素子グループEG(あるいは、3枚のレンズLS1等)の各幾何重心(あるいは、各レンズ中心)を通る。また、図4、図5に示す方向Dlscは、A−A線に平行な方向である。さらに、図4では、ヘッド基板293に形成された発光素子グループEG、レンズアレイLA1に形成されたレンズLS1およびレンズアレイLA2に形成されたレンズLS2の位置関係を示すために、レンズLS1およびレンズLS2がそれぞれ一点鎖線で併記されている。ちなみに、レンズLS1およびレンズLS2についての図中記載は、これらの位置関係を示すためのものであり、レンズLS1およびレンズLS2がヘッド基板裏面293−t(図5)に形成されていることを示すものではない。また、図5において、光透過性(つまり透明)である部材には、点の集合からなるハッチングが施されている。
ヘッド基板293は光を透過するガラス基板(光透過性基板)で構成されており、ヘッド基板裏面293−tでは、ボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である発光素子Eが複数形成されて、封止部材294により封止されている(図3、図5)。これら複数の発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有しており、光ビームを感光体ドラム21表面へ向けて射出する。また、図4に示すように、ヘッド基板裏面293−tに形成された複数の発光素子Eの配置態様は、グループ構造を有している。つまり、15個の発光素子Eが長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループEGが構成されており、さらに複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに3行千鳥で離散的に配置されている。
より詳しくは、この配置態様は次のように説明することができる。つまり、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子Eが長手方向LGDの互いに異なる位置に配置されており、しかも長手方向LGDにおける位置が隣り合う2つの発光素子E、Eの長手方向LGDへの距離は素子間距離Pelとなっている(言い換えれば、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子EがピッチPelで長手方向LGDに配置されている)。そして、素子間距離Pelよりも長いグループ間距離Pegを空けて複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに沿って離散的に並んで、1行の発光素子グループ行GRa等が構成されている。さらに、3行の発光素子グループ行GRa、GRb、GRcが距離Dtだけ空けて幅方向LTDの異なる位置に離散的に配置されており、しかも、発光素子グループ行GRa、GRb、GRcのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にシフトされている。こうして、3個の発光素子グループEGが、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、方向Dlscに一列に並ぶ。
ここで、素子間距離Pelは、対象となる2個の発光素子Eの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、グループ間距離Pegは、対象となる2個の発光素子グループEGのうち、長手方向LGDの一方側の発光素子グループEGの他方側端部にある発光素子Eの幾何重心と、長手方向LGDの他方側の発光素子グループEGの一方側端部にある発光素子Eの幾何重心との長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dgは、長手方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dtは、幅方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
また、特開2004−082330号公報等に記載の技術を応用して、この実施形態は、各発光素子Eの光量制御に役立てるために、予め各発光素子Eの光量を検出する構成を備えている。具体的には、ヘッド基板裏面293−tの幅方向LTDの両側のそれぞれにおいて、複数の光センサーSCが所定間隔で長手方向LGDに一列に並べられている。こうして、光センサーSCの列が、複数の発光素子グループEGを挟んで幅方向LTDの両側に配置される。そして、各光センサーSCは発光素子Eからの光量を検出した結果をヘッドコントローラーHCに出力し、ヘッドコントローラーHCは受信した光量信号に基づいて以後の発光素子Eの光量を制御する。
このようにヘッド基板293の裏面293−tには、発光素子グループEGおよび光センサーSCが配置されている。一方、ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が配置されている。遮光部材297には厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が複数形成されている。各導光孔2971は厚さ方向TKDからの平面視において円形状を有しており、その内壁には黒色メッキが施されている。この導光孔2971は、発光素子グループEG毎に1個づつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループEGに対して1個の導光孔2971が開口している。こうして、遮光部材297は、導光孔2971を発光素子グループEGに開口させた状態でヘッド基板表面293−hに当接して固定されている。
このような遮光部材297を設ける目的は、いわゆる迷光がレンズLS1、LS2に入射するのを抑制するためである。つまり、各発光素子グループEGには、レンズ対LS1、LS2の対からなる結像光学系がそれぞれ専用に設けられている。このような構成では、光ビームは、それ自身の射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2にのみ入射して結像されることが望ましい。しかしながら、光ビームの一部には、その射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に向わずに迷光となってしまうものもある。そして、このような迷光が、それ自身の射出源でない発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に入射してしまうと、いわゆるゴーストが発生してしまうおそれがある。これに対して、この実施形態では、発光素子グループEGと結像光学系LS1、LS2との間に遮光部材297が設けられている。この遮光部材297には、内壁に黒色メッキが施された導光孔2971が発光素子グループEGに開口して設けられているため、迷光の多くは導光孔2971の内壁で吸収されることとなる。その結果、先ほどのゴーストを抑制して、良好な露光動作の実現が図られる。
さらに、この遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側には、絞り平板295が載設されている。この絞り平板295には、厚さ方向TKDに貫通する開口絞り2951が、各発光素子グループEG毎に1個ずつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループEGに対して、1個の開口絞り2951が開口している。この開口絞り2951は、レンズLS1、LS2で構成される結像光学系が所望の結像作用を発揮できるようにすることを目的として設けられている。つまり、開口絞り2951は、レンズLS1に入射する光ビームの量を制限して、最終的に形成されるスポットの大きさ、形状あるいはスポット形成に供する光の量を調整する。
そして、上述のとおり、これらヘッド基板293、遮光部材297および絞り平板295に厚さ方向TKDの一方側から覆い被さるように光学ユニットOUが配設されている。この光学ユニットOUは、遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側でレンズアレイLA1を支持し、さらに、このレンズアレイLA1の厚さ方向TKDの一方側でレンズアレイLA2を支持する。そして、このようにレンズアレイLA1、LA2を支持するための積層構造を、光学ユニットOUは備えている。この光学ユニットOUの積層構造について、図3〜図5に加えて図6、図7を用いて説明する。
図6は、ラインヘッドの部分側面図であり、幅方向LTDからラインヘッド29を平面視した場合に相当する。図7は、光学ユニットの部分分解図であり、厚さ方向TKDに分解された光学ユニットを幅方向LTDから平面視した場合に相当する。これらの図に示すように、光学ユニットOUでは、互いに同一の形状・大きさを有する複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並んでいる。また、このスペーサーSP1の列は、幅方向LTDの両側に設けられている(図3、図5)。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、スペーサーSP1の列が、複数のレンズLS1(が配列されている領域)を幅方向LTDから挟んで2列配置されることとなる(換言すれば、遮光部材297を幅方向LTDから挟んで2列配置されることとなる)。このように、レンズLS1から幅方向LTDに外れてスペーサーSP1を配設することで、レンズLS1に入射する光ビームとスペーサーSP1との干渉が防止されて、光学ユニットOUは所望の光学特性を確実に発揮できる。そして、光学ユニットOUが備えるこれらのスペーサーSP1は、ヘッド基板293の表面293−hに接着剤により固定されている。
これら2列に配置された第1スペーサSP1に対して、レンズアレイLA1が幅方向LTDに架設されており、これにより、レンズアレイLA1が絞り平板295の厚さ方向TKDの一方側で位置決めされる。このレンズアレイLA1は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBの表面に、光硬化性樹脂で形成された複数のレンズLS1をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数のレンズLS1は、対向する発光素子グループEGの配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
そして、図3、図6、図7に示すように、複数のレンズアレイLA1が長手方向LGDに並んで配置されている。つまり、この実施形態では、長手方向LGDに並ぶ複数のレンズアレイLA1をスペーサーSP1で支持することで、1つの長尺レンズアレイL−LA1が構成されている。ちなみに、直方形状を有するスペーサーSP1の長さLsp1は、レンズアレイLA1の幅方向LTDの端辺の長手方向LGDへの長さLla1より短い。そして、1枚のレンズアレイLA1は、長手方向LGDに並ぶ複数のスペーサーSP1で支持される。より具体的には、これらスペーサーSP1のうち、中央スペーサーSP1−bはレンズアレイLA1の長手方向LGDの略中央を支持し、端部スペーサーSP−aは長手方向LGDに隣り合う2枚のレンズアレイLA1、LA1の境界BD1を跨いで、該レンズアレイLA1、LA1を支持する。なお、スペーサーSP1とレンズアレイLA1とは接着剤等により固定されている。
さらに、この長尺レンズアレイL−LA1の厚さ方向TKDの一方側には、このレンズアレイL‐LA1と略同じ長さの長尺レンズアレイL−LA2が配置されている。図8は、長尺レンズアレイL−LA2の構成を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDから平面視した場合に相当する。以後、図3〜図7に加えてこの図8を用いて説明を続ける。この長尺レンズアレイL−LA2は、長手方向LGDに長尺な平板状の支持ガラスSSの裏面(他方平面)に、長手方向LGDに並ぶ複数のレンズアレイLA2を接着剤等により取り付けて構成される。このレンズアレイLA2は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBの表面に、光硬化性樹脂で形成された複数のレンズLS2をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数のレンズLS2は、対向する発光素子グループEGの配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
また、この実施形態では、長尺レンズアレイL‐LA2を支持するために、スペーサーSP2が設けられている。つまり、互いに同一の形状・大きさを有する複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並んでおり、さらに、該スペーサーSP2の列が幅方向LTDの両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、スペーサーSP2の列が、複数のレンズLS2(が配列されている領域)を幅方向LTDから挟んで2列配置される(換言すれば、複数のレンズLS1が配設されている領域を幅方向から挟んで2列配置されている)。このように、レンズLS2から幅方向LTDに外れてスペーサーSP2を配設することで、レンズLS2に入射する光ビームとスペーサーSP2との干渉が防止されて、光学ユニットOUは所望の光学特性を確実に発揮できる。そして、これらスペーサーSP2が、その一方平面で、支持ガラスSSの反対側(つまり、厚さ方向TKDの他方側)からレンズアレイLA2を支持する。
ちなみに、直方形状を有するスペーサーSP2の長さLsp2は、レンズアレイLA2の幅方向LTDの端辺の長手方向LGDへの長さLla2より短い。そして、1枚のレンズアレイLA2は、長手方向LGDに並ぶ複数のスペーサーSP2で支持される。より具体的には、これらスペーサーSP2のうち、中央スペーサーSP2−bはレンズアレイLA2の長手方向LGDの略中央を支持し、端部スペーサーSP2−aは長手方向LGDに隣り合う2枚のレンズアレイLA2、LA2の境界BD2を跨いで、該レンズアレイLA2、LA2を支持する。なお、スペーサーSP2とレンズアレイLA2とは接着剤等により固定されている。また、スペーサーSP2の他方平面は長尺レンズアレイL−LA1の一方平面(表面)に接着剤等により取り付けられている。
そして、このように構成された光学ユニットOUが、被露光面である感光体ドラム21表面に対向する。この際、支持ガラスSSの一方平面(表面)が光学系最終面として、感光体ドラム21表面に近接する。ただし、画像形成装置へのラインヘッド29の取り付け作業中等に、支持ガラスSSが感光体ドラム21表面と接触して破損することを防止するために、支持ガラスSSと感光体ドラム21表面との間にはクリアランスCL21が設けられている(図5)。そして、このクリアランスCL21を十分に確保するために、支持ガラスSSは薄く形成されており、より詳しくは、図7に示すようにレンズアレイLA2の厚みTla2よりも支持ガラスSSの厚みTssは薄い。ここで、上述したとおり、レンズアレイLA2の厚みTla2は、レンズLS2が形成された凸部でのレンズアレイLA2の厚みとなる。したがって、図7の拡大図に示すように、レンズアレイLA2の厚みTla2は、樹脂レンズLS2の厚みTlsとガラス基板SBの厚みTsbとの和となる。ここで、他の部材の厚みについても併せて説明すると、スペーサーSP2の厚みTsp2は、レンズアレイLA2の厚みTla2よりも厚い。また、レンズアレイLA1の厚みTla1はレンズアレイLA2の厚みTla2と略同じである。さらに、スペーサーSP1の厚みTspの厚みは、支持ガラスSS、レンズアレイLA2、スペーサーSP2およびレンズアレイLA1のいずれの厚みよりも厚い厚みTsp1を有する。まとめると、これらの大小関係は、Tss<Tla2≒Tla1<Tsp2<Tsp1となる。
光学ユニットOUのこのような積層構造により、第1レンズアレイLA1のレンズLS1と第2レンズアレイLA2のレンズLS2が厚さ方向TKDに並んで、1つの結像光学系を構成する。この結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有している。したがって、発光素子Eから射出された光ビームは、レンズLS1、LS2を透過した後に支持ガラスSSの表面SS−hから射出されて、スポットとして感光体ドラム21表面に収束される。そして、特開2008−036937号公報の図11等に記載のように、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じて各発光素子Eの発光を制御することで、主走査方向MDに伸びるライン潜像を形成することができる。
以上のように、この実施形態の光学ユニットOUは、支持ガラスSSは複数のレンズアレイLA2を支持しているため、隣り合うレンズアレイLA2の境界BD2では、支持ガラスSSに負荷がかかりやすい構成と成っている。このような構成にも拘らず、支持ガラスSSの厚みTssは、レンズアレイLA2の厚みTla2の厚みより薄く、換言すれば、支持ガラスSSは、それ自身の厚みTssより厚い厚みTla2を有する複数のレンズアレイLA2を支持している。そのため、外部からの衝撃等により、レンズアレイLA2の境界BD2において支持ガラスSSが簡単に破損するおそれがあった。これに対して、本実施形態では、隣り合うレンズアレイLA2、LA2の境界BD2を跨いで、レンズアレイLA2、LA2を支持するスペーサーSP2-aを備えている。したがって、レンズアレイLA2、LA2の境界BD2における支持ガラスSSの破損を抑制して、光学ユニットOUの強度向上が可能となっている。
また、上記実施形態の光学ユニットOUは、境界BD2を跨いでレンズアレイLA2、LA2を支持するスペーサーSP2-aを幅方向LTDの両側に設けている。このようにレンズアレイLA2、LA2を幅方向LTDの両側で支持することとで、レンズアレイLA2、LA2をより強固に支持することができる。したがって、レンズアレイLA2、LA2の境界BD2における支持ガラスSSの破損をより確実に抑制して、光学ユニットOUのさらなる強度向上が可能となる。
また、上記実施形態の光学ユニットOUは、境界BD2を跨いでレンズアレイLA2、LA2を支持するスペーサーSP2−aの他に、レンズアレイLA2を支持するスペーサーSP-bを備えている。したがって、レンズアレイLA2の撓み等を確実に抑制して、レンズアレイLA2を強固に支持することが可能となっている、しかも、スペーサーSP2−aとスペーサーSP2‐bとは、長手方向LGDに隙間CL2を空けているため、次のような効果が奏される。つまり、これらの間に隙間CL2がなくてスペーサーSP−a、SP−bとが接触していると、スペーサーSP−a、SP−bとが温度上昇により膨張することにより、互いを押し合うような応力が発生する。その結果、スペーサーSP−a、SP−bに支持されるレンズアレイLA2やその他の支持ガラスSS等に不要な力がかかってしまう場合がある。これに対して、スペーサーSP−a、SP−bの間に隙間CL2を設けておけば、温度上昇に伴なうこれらの膨張にかかわらず、上述のような応力発生が抑えられる。したがって、レンズアレイLA2やその他の支持ガラスSS等への不要な力の発生を抑制することができる。
また、上記実施形態の光学ユニットOUでは、レンズアレイLA2に対向してレンズアレイLA1が設けられており、2枚のレンズアレイLA1、LA2が協働して所望の光学特性実現する。ただし、この所望の光学特性を確実に実現するためには、2枚のレンズアレイLA1、LA2の間隔が重要となる。これに対して、上記実施形態では、スペーサーSP2は、その一方平面でレンズアレイLA2を支持するとともに、その他方平面(一方平面と逆側の面)でレンズアレイLA1を支持している。これにより、スペーサーSP2がレンズアレイLA1、LA2の間隔を規定する機能を果たすため、レンズアレイLA1、LA2の間隔を高精度に規定することが可能となる。
また、上記実施形態では、複数のスペーサーSP2の厚みを互いに等しく構成した上で、これらのスペーサーSP2の一方平面、他方平面でレンズアレイLA1、LA2を支持している。つまり、複数のスペーサーSP2のそれぞれが、レンズアレイLA1、LA2の間隔を規定する機能を果たし、レンズアレイLA1、LA2の間隔を高精度に規定することが可能となっている。
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当する。また、支持ガラスSSが本発明の「光透過性基板」に相当し、長手方向LGDに隣り合う2枚のレンズアレイLA2、LA2が本発明の「第1のレンズアレイ」「第2のレンズアレイ」に相当し、スペーサーSP2−aが本発明の「支持部材」に相当する。また、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDが本発明の「第2の方向」に相当する。また、幅方向LTDの両側に配置された2個のスペーサーSP2−a、SP2−aが本発明の「支持部材」「第2の支持部材」に相当する。また、スペーサーSP2−bが本発明の「第3の支持部材」に相当する。また、レンズアレイLA1が本発明の「第3のレンズアレイ」に相当する。また、ヘッド基板293が本発明の「発光素子基板」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「像担持体」に相当する。
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当する。また、支持ガラスSSが本発明の「光透過性基板」に相当し、長手方向LGDに隣り合う2枚のレンズアレイLA2、LA2が本発明の「第1のレンズアレイ」「第2のレンズアレイ」に相当し、スペーサーSP2−aが本発明の「支持部材」に相当する。また、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDが本発明の「第2の方向」に相当する。また、幅方向LTDの両側に配置された2個のスペーサーSP2−a、SP2−aが本発明の「支持部材」「第2の支持部材」に相当する。また、スペーサーSP2−bが本発明の「第3の支持部材」に相当する。また、レンズアレイLA1が本発明の「第3のレンズアレイ」に相当する。また、ヘッド基板293が本発明の「発光素子基板」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「像担持体」に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、ガラス製の支持ガラスSSによりレンズアレイLA2を支持しているが、レンズアレイLA2を支持する部材の基材はガラスに限られない。
また、上記実施形態では、レンズアレイLA2の中央部を支持するスペーサーSP2−bが設けられているが、これを排して、スペーサーSP−aでレンズアレイLA2の端部のみを支持するように構成しても良い。
なお、このように、スペーサーSP2−bを排した構成においては、レンズアレイLA2の一端を支持するスペーサーSP2−aと他端を支持するスペーサーSP2−aとの間には隙間を設けておくとよい。なぜなら、これらの間に隙間がなくてスペーサーSP−a、SP−aとが接触していると、スペーサーSP−a、SP−aとが温度上昇により膨張することにより、互いを押し合うような応力が発生する。その結果、スペーサーSP−a、SP−aに支持されるレンズアレイLA2やその他の支持ガラスSS等に不要な力がかかってしまう場合がある。これに対して、スペーサーSP−a、SP−aの間に隙間を設けておけば、温度上昇に伴なうこれらの膨張にかかわらず、上述のような応力発生が抑えられる。したがって、レンズアレイLA2やその他の支持ガラスSS等への不要な力の発生を抑制することができる。
また、逆に、複数のスペーサーSP−bにより、1枚のレンズアレイLA2を支持するように構成することもできる。
また、光学ユニットOUを構成する各部材の寸法関係についても、種々の変更が可能であり、図7に示した以外の寸法関係を備えるように、光学ユニットを構成することもでき、具体的には、スペーサーSP1よりもスペーサーSP2の方を厚くなるように構成することもできる。
また、上記実施形態では、複数のレンズアレイLA1は、同一の形状および大きさを備えていたが、これらについても種々の変更が可能である。さらに、複数のレンズアレイLA2についても同様の変更が可能である。
また、上記実施形態では、複数のスペーサーSP1は、同一の形状および大きさを備えていたが、これらについても種々の変更が可能である。さらに、複数のスペーサーSP2についても同様の変更が可能である。
また、上記実施形態では、長手方向LGDに隣り合うレンズアレイLA1、LA1の境界BD1を跨いでこれらを支持するスペーサーSP1−aが設けられていた。しかしながら、これらレンズアレイLA1、LA1の境界BD1を跨いで支持するスペーサーSP1−aを設けることは必須ではない。
また、厚さ方向TKDに設けられる長尺レンズアレイの枚数についても上述した2枚に限られず、種々の変更が可能である。
また、上記実施形態の結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有していたが、結像光学系の倍率はこれに限られず、正であっても良く、1以上の絶対値を有していても良い。
また、上記実施形態では、各レンズアレイLA1、LA2において3行千鳥でレンズが並んでいたが、レンズの配置態様はこれに限られない。
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2は、ガラス製の光透過性基板SBに樹脂製のレンズLS1、LS2を形成したものであった。しかしながら、レンズアレイLA1、LA2を1つの材料で一体的に構成することもできる。
また、上記実施形態では、複数の発光素子グループEGは3行千鳥で配置されていたが、複数の発光素子グループEGの配置態様はこれに限られない。
また、上記実施形態では、15個の発光素子Eから発光素子グループEGが構成されている。しかしながら、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数はこれに限られない。
また、上記実施形態では、発光素子グループEG内において、複数の発光素子Eが2行千鳥で配置されていたが、発光素子グループEG内での複数の発光素子Eの配置態様はこれに限られない。
また、上記実施形態では、発光素子Eとしてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子Eとして用いても良く、あるいは有機EL素子以外のLED(Light Emitting Diode)等を発光素子Eとして用いても良い。
また、光センサーSCの配設態様も上記以外に種々の変更が可能であり、また、光センサーSCを備えないように構成しても良い。
次に本発明の実施例を示すが、本発明はもとより下記の実施例によって制限を受けるものではなく、前後記の趣旨に適合しうる範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
この実施例では、本発明を適用可能な光学ユニットの光学設計値を具体的に示す。図9は、実施例の結像光学系のレンズデータを表として示す図である。図10は、S4面の面形状を示すデータをまとめた図である。図11は、S7面の面形状を示すデータをまとめた図である。図12は、主走査方向断面における結像光学系の光線図を示した図である。図13は、副走査方向断面における結像光学系の光線図を示した図である。図14は、図12および図13の光線図を求める際に用いた光学系諸元を表として示す図である。この図14に示すように、物体側画素グループ主方向全幅(図12の幅Wm)を0.885[mm]、物体側画素グループ副方向全幅(図13のWs)を0.150[mm]、物体側開口数を0.218として、図12および図13の光線図は求められた。
上記実施形態とこの実施例との対応関係を説明すると、面S1はヘッド基板裏面293−tに相当し、この面S1に光源(発光素子)が位置する。面S2はヘッド基板表面293−hに相当する。面S3は開口絞り2951に相当する。面S4は樹脂レンズLS1の入射面に相当し、面S5は基板SBの入射面(裏面)に相当し、面S6は基板SBの射出面(表面)に相当する。面S7は樹脂レンズLS2の入射面に相当し、面S8は基板SBの入射面(裏面)に相当する。面S9は支持ガラスSSの入射面(裏面)に相当し、面S10は支持ガラスSSの射出面(表面)に相当する。そして、面S11は像面である。
そして、図9に示すように、支持ガラスSSの厚みは0.4[mm](=面間隔d9)である。これに対して、レンズLS2の厚みは0.36[mm](=面間隔d7)であり、ガラス基板SBの厚みは0.5[mm](=面間隔d8)であり、これはレンズアレイLA2の厚みが0.86[mm](=d7+d8)であることに相当する。つまり、この実施例では、支持ガラスSSは、それ自身の厚みTss=0.4[mm]よりも厚い厚みTla2=0.86[mm]を有するレンズアレイLA2を支持することとなる。したがって、このように設計された光学ユニットOUに対しては、本発明を適用して、支持ガラスSSの破損を抑制することが好適である。
SS…ガラス平板(光透過性基板)、 LA1、LA2…レンズアレイ、 LS1、LS2…レンズ、 BD1、BD2…境界、 SP1、SP2…スペーサー、 OU…光学ユニット、 LGD…長手方向(第1の方向)、 LTD…幅方向(第2の方向)、 TKD…厚さ方向、 293…ヘッド基板(発光素子基板)、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 21…感光体ドラム(像担持体)
Claims (8)
- 光を透過する光透過性基板と、
前記光透過性基板に配設されて、前記光透過性基板より厚い第1のレンズアレイと、
前記光透過性基板に前記第1のレンズアレイと隣り合って配設されて、前記光透過性基板より厚い第2のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの境界を跨いで、前記第1のレンズアレイおよび前記第2のレンズアレイを前記光透過性基板の反対側から支持する支持部材と、
を備えたことを特徴とする光学ユニット。 - 前記支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとが配設される第1の方向に直交する第2の方向に、前記第1のレンズアレイの第1のレンズおよび前記第2のレンズアレイの第2のレンズから外れて配設される請求項1に記載の光学ユニット。
- 前記第1のレンズおよび前記第2のレンズから、前記支持部材の前記第2の方向の逆側に外れて配設された第2の支持部材を備え、
前記第2の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの境界を跨いで、前記第1のレンズアレイおよび前記第2のレンズアレイを前記光透過性基板の反対側から支持する請求項2に記載の光学ユニット。 - 前記支持部材の他に、前記光透過性基板の反対側から前記第1のレンズアレイを支持する第3の支持部材を備え、
前記支持部材と前記第3の支持部材とは、前記第1の方向に間隔を空けて配設されている請求項3に記載の光学ユニット。 - 前記第1のレンズアレイに対向する第3のレンズアレイを備え、
前記第3の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持する面と逆側の面で前記第3のレンズアレイを支持する請求項4に記載の光学ユニット。 - 前記支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材の厚みは等しく、
前記支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持する面と逆側の面で前記第3のレンズアレイを支持し、
前記第2の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持する面と逆側の面で前記第3のレンズアレイを支持する請求項5に記載の光学ユニット。 - 光を透過する光透過性基板、前記光透過性基板に配設されて前記光透過性基板より厚い第1のレンズアレイ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズアレイと隣り合って配設されて前記光透過性基板より厚い第2のレンズアレイを有する光学ユニットと、
第1の発光素子および第2の発光素子を有する発光素子基板と、
を備え、
前記第1の発光素子の光は、前記第1のレンズに入射した後に前記光透過性基板から射出して被露光面に収束し、
前記第2の発光素子の光は、前記第2のレンズに入射した後に前記光透過性基板から射出して被露光面に収束し、
前記光学ユニットは、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの境界を跨いで前記第1のレンズアレイおよび前記第2のレンズアレイを前記光透過性基板の反対側から支持する支持部材を有することを特徴とする露光ヘッド。 - 光を透過する光透過性基板、前記光透過性基板に配設されて前記光透過性基板より厚い第1のレンズアレイ、および前記光透過性基板に前記第1のレンズアレイと隣り合って配設されて前記光透過性基板より厚い第2のレンズアレイを有する光学ユニットと、第1の発光素子および第2の発光素子を有する発光素子基板と、を有する露光ヘッドと、
前記光透過性基板との間にクリアランスを空けて配設された像担持体と、
を備え、
前記第1の発光素子の光は、前記第1のレンズアレイの第1のレンズに入射した後に前記光透過性基板から射出して前記像担持体に収束し、
前記第2の発光素子の光は、前記第2のレンズアレイの第2のレンズに入射した後に前記光透過性基板から射出して前記像担持体に収束し、
前記光学ユニットは、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとの境界を跨いで前記第1のレンズアレイおよび前記第2のレンズアレイを前記光透過性基板の反対側から支持する支持部材を有することを特徴とする画像形成装置。
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