JP2011033469A - 磁気検出センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】高感度でかつ小形化が可能な利点を生かしつつ幅広い用途で使用可能な磁気検出センサを提供する。
【解決手段】非晶質材料で形成された検出電極11と、導電性材料で形成されて検出電極11に近接して配置された励磁用電極12と、励磁用電極12に対して交流電流Ihを供給する交流電流出力部13と、励磁用電極12に対して交流電流Ihが供給されている状態における検出電極11の両端部間の電位差Vdを検出する検出部14とを備えている。この場合、検出電極11および励磁用電極12を直線的な線状にそれぞれ形成すると共に、互いに平行またはほぼ平行となるように配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、非晶質材料で形成された検出電極を備えた磁気検出センサに関するものである。
この種の磁気検出センサとして、特許第3197414号公報に開示された磁気インピーダンス効果素子を用いた磁気検出センサ(例えば、同公報における実施例4に開示されている磁界センサ)が知られている。この場合、磁気インピーダンス効果素子は、高周波電流を供給している状態において周囲の磁気(磁界)が変化したときにインピーダンスが変化する特性を有する磁性線(例えば、アモルファス磁性線)で構成されている。この種の磁気検出センサでは、磁気インピーダンス効果素子に対して高周波電流を供給し、その状態において磁気インピーダンス効果素子の両端部間の電圧を測定する。この場合、測定している磁気インピーダンス効果素子の両端部間の電圧は、磁気インピーダンス効果素子のインピーダンスの変化、つまり周囲の磁気の変化として捉えることができる。このため、磁気インピーダンス効果素子を用いたこの種の磁気検出センサでは、磁気インピーダンス効果素子の両端部間の電圧の測定値に基づいて磁気の変化を検出することが可能となっている。また、周囲の磁気の変化に伴う磁気インピーダンス効果素子のインピーダンスの変化が顕著に表れるため、この種の磁気検出センサでは、感度の向上および小形が可能となっている。
特許第3197414号公報(第3−4頁、第1−7図)
ところが、上記の磁気インピーダンス効果素子を用いた磁気検出センサには、以下の課題がある。すなわち、この種の磁気検出センサでは、高周波電流を供給している状態における磁気インピーダンス効果素子の両端部間の電圧値を測定することによって磁気検出を行っている。この場合、磁気インピーダンス効果素子としてのアモルファス磁性線は比較的抵抗値が大きく(例えば、直径が30μmのアモルファス磁性線において10〜30Ω/cm)、発熱を抑えるためには供給する高周波電流の電流値を比較的小さな値に抑える必要がある。一方、上記の磁気検出センサを用いて金属探知や金属(導電体)表面の探傷検査を行う際には、高周波電流の供給によって磁気インピーダンス効果素子から比較的強い磁気を発生させて、探知対象体や検査対象体を励磁させる必要がある。しかしながら、磁気インピーダンス効果素子を用いた上記の磁気検出センサでは、高周波電流の電流値が比較的小さな値に抑えられているため、強い磁気の発生が困難となる結果、金属探知や金属表面の探傷検査への使用が制約されるという課題が存在する。このため、高感度でかつ小形化が可能な利点を生かしつつ幅広い用途で使用可能な磁気検出センサが求められている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、高感度でかつ小形化が可能な利点を生かしつつ幅広い用途で使用可能な磁気検出センサを提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の磁気検出センサは、非晶質材料で形成された検出電極を備えた磁気検出センサであって、導電性材料で形成されて前記検出電極に近接して配置された励磁用電極と、当該励磁用電極に対して交流電流を供給する交流電流出力部と、前記励磁用電極に対して前記交流電流が供給されている状態における前記検出電極の両端部間の電位差を検出する検出部とを備えている。
また、請求項2記載の磁気検出センサは、請求項1記載の磁気検出センサにおいて、前記検出電極は、直線的な線状に形成されている。
また、請求項3記載の磁気検出センサは、請求項1または2記載の磁気検出センサにおいて、前記励磁用電極は、直線的な線状に形成されている。
また、請求項4記載の磁気検出センサは、請求項1から3のいずれかに記載の磁気検出センサにおいて、前記検出電極および前記励磁用電極は、互いに平行またはほぼ平行となるように配置されている。
請求項1記載の磁気検出センサでは、非晶質材料で形成された検出電極と導電性材料で形成されて検出電極に近接して配置された励磁用電極とを備え、その励磁用電極に対して交流電流を供給している状態における検出電極の両端部間の電位差を検出部が検出する。この場合、非晶質材料で形成されている検出電極の周囲の磁界が変化したときには、その検出電極に交流電流を供給していない状態においても検出電極のインダクタンスが大きく変化し、これによって検出電極の両端部間の電位差が大きく変化する。このため、この磁気検出センサによれば、この電位差に基づいて磁界の変化を正確かつ確実に検出することができる。また、この磁気検出センサによれば、検出電極としてのアモルファス磁性線に交流電流を供給する従来の構成とは異なり、検出電極とは別体であって導電性材料によって形成された励磁用電極に交流電流を供給するため、交流電流の電流値を十分に大きく規定することができる。このため、この磁気検出センサによれば、十分に大きい励磁用の磁界を発生させることができる結果、金属(導電体)の有無や金属(導電体)表面における傷の有無に起因する磁界の変化量や変化率に明確な差異を生じさせることができる。したがって、この磁気検出センサによれば、高感度でかつ小形化が可能な利点を生かしつつ、金属探知や金属表面の探傷検査などの幅広い用途で使用することができる。
また、請求項2記載の磁気検出センサによれば、検出電極を直線的な線状に形成したことにより、検出電極の形状が単純な分、検出電極の製造コストを低減することができる。
また、請求項3記載の磁気検出センサによれば、励磁用電極を直線的な線状に形成したことにより、励磁用電極の形状が単純な分、励磁用電極の製造コストを低減することができる。
また、請求項4記載の磁気検出センサによれば、検出電極および励磁用電極を互いに平行またはほぼ平行となるように配置したことにより、励磁用電極に対する交流電流の供給によって発生する磁界を確実かつ効率的に検出電極に印加することができるため、磁気検出センサの検出精度をさらに高めることができる。
探傷装置100の構成を示す構成図である。 磁気検出センサ1の特性を示す特性図である。 磁気検出センサ1についての実験結果を説明する説明図である。
以下、本発明に係る磁気検出センサの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、磁気検出センサを備えた探傷装置100の構成について説明する。図1に示す探傷装置100は、金属(導電体)表面の傷の有無を検査する(探傷を行う)装置であって、磁気検出センサ1、処理部2および表示部3を備えて構成されている。磁気検出センサ1は、検出電極11、励磁用電極12、交流電流出力部13および検出部14を備えて構成されている。検出電極11は、非晶質材料としてのアモルファス磁性材料(例えば、FeCoSiB系アモルファスや、CoSiB系アモルファス)によって、同図に示すように、直線的な線状(円柱状)に形成されている。また、検出電極11は、一例として、直径が10μm〜150μm程度で、長さが0.5mm〜15mm程度に形成されている。励磁用電極12は、導電性材料としての金属(例えば、銅)によって、同図に示すように、直線的な線状(角柱状または円柱状であって、同図では円柱状の例を図示する)に形成されている。また、励磁用電極12は、その断面積が検出電極11の断面積と同程度、またはそれよりもやや大きく、その長さが検出電極11の長さと同程度(この例では、長さが0.5mm〜15mm程度)に形成されている。この場合、この磁気検出センサ1では、検出電極11と励磁用電極12とが、互いに平行(またはほぼ平行)な状態で近接するように(両者が0.2mm〜1mm程度離間するように)配置されている。
交流電流出力部13は、交流電流Ih(一例として、1MHz〜100MHzの高周波電流)を出力可能に構成されて、図1に示すように、励磁用電極12に対して交流電流Ihを供給する。検出部14は、同図に示すように、検波回路21と増幅回路22とを備えて構成され、励磁用電極12に対して交流電流Ihが供給されている状態における検出電極11の両端部間の電位差Vdを検出する。また、検出部14では、検波回路21が電位差Vdの電圧を検波し、増幅回路22が検波された検波信号を所定の利得で増幅して増幅電圧Vaを出力する。
処理部2は、磁気検出センサ1から出力される増幅電圧Vaに基づいて磁界を特定すると共に、特定した磁界の変化に基づいて検査対象の金属表面における傷の有無を検査する検査処理を実行する。表示部3は、例えば液晶ディプレイで構成されて処理部2によって実行される検査処理の結果などを表示する。
次に、磁気検出センサ1の使用形態の一例として、磁気検出センサ1を備えた探傷装置100を用いて金属表面における傷の有無を検査する際の磁気検出センサ1の動作(磁気の検出原理)について、図面を参照して説明する。
この探傷装置100を用いて金属表面における傷の有無を検査する際には、検査対象の金属表面に磁気検出センサ1を近接させる。次いで、交流電流出力部13から交流電流Ihを出力させて、磁気検出センサ1の励磁用電極12に供給する。この際に、交流電流Ihの供給によって励磁用電極12の周囲に磁界(励磁用の磁界)Heが発生する。また、この磁界Heによって検出電極11における両端部間に電位差(誘導起電力)Vdが生じ、この電位差Vdを検出部14が検出する。この際に、検出部14の検波回路21が電位差Vdの電圧を検波し、増幅回路22が検波された検波信号を所定の利得で増幅して増幅電圧Vaを出力する。
次いで、処理部2が、検査処理を実行する。この検査処理では、処理部2は、磁気検出センサ1(検出部14)から出力された増幅電圧Vaに基づいて磁界Heの変化を特定する。一方、検査対象の金属では、励磁用電極12の周囲に発生した磁界Heによって金属表面に渦電流が発生し、この渦電流によって磁界Heが変化する。この場合、金属表面に傷が存在しているときと、傷が存在していないときとでは、渦電流の向きや大きさが異なるため、金属表面における傷の有無によって磁界Heの変化量や変化率に差異が生じることとなる。したがって、処理部2は、特定した磁界Heの変化量や変化率に基づいて検査対象の金属表面における傷の有無を検査する。続いて、処理部2は、表示部3に表示データDdを出力することにより、検査処理の結果を表示部3に表示させる。
ここで、発明者は、非晶質材料で形成されている検出電極11の周囲の磁界Heが変化したときには、その検出電極11に交流電流を供給していない状態においても検出電極11のインダクタンスが大きく変化することを、後述する実験等によって見出している。このため、この磁気検出センサ1では、磁界Heの変化に伴ってインダクタンスが大きく変化し、このインダクタンスの変化が検出電極11の両端部間の電位差Vdの変化として現れる。また、この磁気検出センサ1では、検出電極としてのアモルファス磁性線に交流電流を供給する従来の構成とは異なり、検出電極11とは別体であって導電性材料によって形成された励磁用電極12に交流電流Ihを供給するため、交流電流Ihの電流値を十分に大きく規定することが可能となっている。このため、この磁気検出センサ1では、十分に大きい磁界Heを発生させることができる結果、検査対象の金属表面における傷の有無に起因する磁界Heの変化量や変化率に明確な差異を生じさせることが可能となっている。したがって、この磁気検出センサ1を備えた探傷装置100では、磁気検出センサ1から出力される増幅電圧Vaに基づき、検査対象の金属表面における傷の有無を正確に検出することが可能となっている。
なお、発明者は、磁気検出センサ1の磁気検出能力を検証するため、次のような第1実験を行った。この場合、この第1実験に用いた磁気検出センサ1では、FeCoSiB系アモルファスによって直径が30μmで長さが5mmの直線的な線状に検出電極11を形成すると共に、銅によって幅が200μm、厚みが35μmで長さが5mmの直線的な線状(帯状)に励磁用電極12を形成した。また、この磁気検出センサ1では、検出電極11と励磁用電極12とを互いに平行な状態で0.5mm離間するように配置した。この第1実験では、交流電流出力部13から20MHzの交流電流Ihを出力させて励磁用電極12に供給した。この場合、交流電流Ihの電流値を100mAに規定した。次いで、この状態の磁気検出センサ1に対して外部から磁界Hoを印加して、その大きさを変化させると共に、各強度において検出部14によって検出された電位差Vdを測定した。この結果、図2に示すように、磁界Hoの変化に応じて、電位差Vdが十分大きく変化することが明かである。また、このことから、検出電極11に交流電流を供給していない状態においても検出電極11のインダクタンスが大きく変化することが明らかである。したがって、この磁気検出センサ1が高感度の磁気検出センサとして機能することが理解される。
次に、磁気検出センサ1と従来の磁気検出センサとの比較をするため、次のような第2実験を行った。この第2実験では、実施例として、第1実験に用いた磁気検出センサ1の励磁用電極12に対して20MHzの交流電流Ihを100mAの電流値に規定して供給している状態において、磁気検出センサ1(正確には検出電極11)を金属板(導電体)に対して10mmまで近接させ、そのときに検出部14によって検出された電位差Vd1を測定した。また、交流電流Ihを励磁用電極12に供給している状態の磁気検出センサ1を樹脂板(非導電体)に対して10mmまで近接させ、そのときに検出部14によって検出された電位差Vd2を測定した。また、比較例として、上記した実験用の磁気検出センサ1における検出電極11と同様の検出電極に対して20MHzの交流電流Ihを供給し、その状態の検出電極を上記と同じ条件で金属板および樹脂板に近接させ、そのときに検出部14によってそれぞれ検出された電位差Vdを測定した。この場合、比較例における検出電極11の加熱を防止するため、交流電流Ihの電流値を10mAに規定した。この結果、図3に示すように、比較例では、電位差Vd1と電位差Vd2との間に差が生じなかった。これは、検出電極11の加熱防止のために交流電流Ihが小さな値に制限され、これによって検出電極11から発生する磁界Heも小さく、この結果、金属板において発生する渦電流に伴う磁界Heの変化が小さいことに起因しているものと考えられる。これに対して、磁気検出センサ1(実施例)では、電位差Vd1と電位差Vd2とが大きく異なった。これは、導電性材料によって検出電極11とは別体に形成された励磁用電極12に十分に大きな値の交流電流Ihを供給することで、十分に大きい磁界Heが発生し、この結果、金属板において発生する渦電流に伴う磁界Heの変化が大きいことに起因しているものと考えられる。このことから、磁気検出センサ1を用いることで、金属探知を十分に高い精度で検査できることが明らかである。また、上記した現象から、磁気検出センサ1では、金属表面における傷の有無によって検出部14によって検出される電位差Vdが大きく異なることが理解される。このため、磁気検出センサ1を用いることで、金属表面の探傷を十分に高い精度で検査できることが明らかである。
このように、この磁気検出センサ1では、非晶質材料で形成された検出電極11に近接して配置された励磁用電極12を備え、その励磁用電極12に対して交流電流Ihを供給している状態における検出電極11の両端部間の電位差Vdを検出部14が検出する。この場合、非晶質材料で形成されている検出電極11の周囲の磁界Heが変化したときには、その検出電極11に交流電流Ihを供給していない状態においても検出電極11のインダクタンスが大きく変化し、これによって検出電極11の両端部間の電位差Vdが大きく変化する。このため、この磁気検出センサ1によれば、電位差Vdに基づいて磁界Heの変化を正確かつ確実に検出することができる。また、この磁気検出センサ1によれば、検出電極としてのアモルファス磁性線に交流電流を供給する従来の構成とは異なり、検出電極11とは別体であって導電性材料によって形成された励磁用電極12に交流電流Ihを供給するため、交流電流Ihの電流値を十分に大きく規定することができる。このため、この磁気検出センサ1によれば、十分に大きい磁界Heを発生させることができる結果、金属(導電体)の有無や金属(導電体)表面における傷の有無に起因する磁界Heの変化量や変化率に明確な差異を生じさせることができる。したがって、この磁気検出センサ1によれば、高感度でかつ小形化が可能な利点を生かしつつ、金属探知や金属表面の探傷検査などの幅広い用途で使用することができる。
また、この磁気検出センサ1によれば、検出電極11を直線的な線状に形成したことにより、検出電極11の形状が単純な分、検出電極11の製造コストを低減することができる。
また、この磁気検出センサ1によれば、励磁用電極12を直線的な線状に形成したことにより、励磁用電極12の形状が単純な分、励磁用電極12の製造コストを低減することができる。
また、この磁気検出センサ1によれば、検出電極11および励磁用電極12を互いに平行(またはほぼ平行)となるように配置したことにより、励磁用電極12に対する交流電流Ihの供給によって発生する磁界Heを確実かつ効率的に検出電極11に印加することができるため、磁気検出センサ1の検出精度をさらに高めることができる。
なお、探傷装置100における探傷用のセンサとして磁気検出センサ1を使用する例について上記したが、金属を探知する金属探知装置においても、磁気検出センサ1を金属探知用のセンサとして好適に使用することができる。また、検出電極11および励磁用電極12が互いに平行となるように配置した例について上記したが、必ずしも平行である必要はなく、例えば、平面視状態で互いに交差するように配置することもできる。また、検出電極11および励磁用電極12を直線的な線状に形成した例について上記したが、検出電極11および励磁用電極12の形状はこれに限定されない。例えば、検出電極11および励磁用電極12のいずれか一方または双方をU字状に形成したり、板状に形成したりする構成を採用することもできる。
1 磁気検出センサ
11 検出電極
12 励磁用電極
13 交流電流出力部
14 検出部
Ih 交流電流
Vd 電位差
He 磁界

Claims (4)

  1. 非晶質材料で形成された検出電極を備えた磁気検出センサであって、
    導電性材料で形成されて前記検出電極に近接して配置された励磁用電極と、当該励磁用電極に対して交流電流を供給する交流電流出力部と、前記励磁用電極に対して前記交流電流が供給されている状態における前記検出電極の両端部間の電位差を検出する検出部とを備えている磁気検出センサ。
  2. 前記検出電極は、直線的な線状に形成されている請求項1記載の磁気検出センサ。
  3. 前記励磁用電極は、直線的な線状に形成されている請求項1または2記載の磁気検出センサ。
  4. 前記検出電極および前記励磁用電極は、互いに平行またはほぼ平行となるように配置されている請求項1から3のいずれかに記載の磁気検出センサ。
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