JP2011033281A - 冷媒分流器及びこれを備える冷媒回路 - Google Patents

冷媒分流器及びこれを備える冷媒回路 Download PDF

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Abstract

【課題】2方向にも冷媒が流れる冷媒回路にも適用可能な冷媒分流器及びこれを備える冷媒回路を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、冷媒分流器50及びこれを備えた冷媒回路18であって、本流路54とこの本流路54から分岐する複数の支流路55とからなる流路53を有する分流器本体51と、流路53内を本流路54から支流路55へ向かう第1の方向に冷媒が流れるときにこの流れにより動いて当該本流路54を絞ると共に、流路53内を支流路55から本流路54へ向かう第2の方向に冷媒が流れるときにこの流れにより動いて当該本流路54の前記絞りを開放する絞り用弁体52と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、冷凍装置や空気調和装置の熱交換器等に組込まれている複数の冷媒パスに冷媒を分流させる冷媒分流器及びこれを備える冷媒回路に関する。
従来、空気調和装置等の冷媒回路において、冷媒の流れを複数の冷媒流路に分流させる冷媒分流器として、特許文献1に記載のものが知られている。
図6に示されるように、特許文献1に開示された冷媒分流器100は、1本の本流路管102と、この本流路管102の一方の端部から分岐する複数本の支流路管104,104,…とを備え、本流路管102の内部には、当該本流路管102を絞る(当該本流路管102の流路断面積を小さくする)絞り手段106が設けられている。そして、この冷媒分流器100は、支流路管104が熱交換器側になるように冷媒回路に配置され、当該冷媒分流器100では、本流路管102から支流路管104へ向けて冷媒が流れる。
この冷媒分流器100では、気相と液相とが混合した2相状態となった冷媒Aが本流路管102に流入すると、絞り手段106によって流速が大きくなることにより気相と液相とが均一に混合されて霧状となる。このように均一に混合された霧状の冷媒Bが複数本の支流路管104,104,…に分流されることにより、分流ごとの冷媒の偏りを防止することができ、熱交換器に組み込まれた各冷媒パスへ均等に冷媒を供給することができる。
特開平10−246536号公報
前記の冷媒分流器100は、分流毎の冷媒の偏りを防止するためのものであるため、一方向にのみ冷媒が循環する冷媒回路に設けられることを前提とする。
即ち、絞り手段106が先端を支流路管104側へ傾斜させた舌片状に形成されているため、仮に冷媒が支流路管104から本流路管102へ流れる場合を考えると、流動抵抗が大きくなる。このため、冷媒分流器100は、本流路管102から支流路管104の向きに冷媒を流すことを前提としている。従って、冷媒分流器100は、当該冷媒分流器100内を流れる冷媒の向きが2方向に切り換わる、即ち、本流路管102から支流路管104へ向けた方向と支流路管104から本流路管102へ向けた方向との間で切り換わる冷媒回路には不向きである。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、2方向にも冷媒が流れる冷媒回路にも適用可能な冷媒分流器及びこれを備える冷媒回路を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、本流路とこの本流路から分岐する複数の支流路とからなる流路を有する分流器本体と、前記流路内を本流路から支流路へ向かう第1の方向に冷媒が流れるときにこの流れにより動いて当該本流路を絞ると共に、前記流路内を支流路から本流路へ向かう第2の方向に冷媒が流れるときにこの流れにより動いて当該本流路の前記絞りを開放する絞り用弁体と、を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、当該冷媒分流器において、冷媒が第1の方向に流れるときは、本流路が絞られることにより本流路から各支流路へ均一に冷媒が分流される一方、冷媒が第2の方向に流れるときは、前記本流路の絞りが開放されることにより当該本流路を冷媒が通過する際の抵抗が第1の方向に流れるときに比べて小さくなるため、冷媒が第1の方向に流れるときに比べて流れ易くなる。従って、2方向にも冷媒が流れる冷媒回路にも適用可能となる。
本発明に係る冷媒分流器においては、前記絞り用弁体が前記本流路から前記支流路に向かって着座可能な弁座が設けられ、前記絞り用弁体は、前記第1の方向に流れる冷媒によって前記本流路内を動いて前記弁座に着座することにより前記本流路を絞ると共に、前記第2の方向に流れる冷媒によって前記本流路内を動いて前記弁座から離れることにより当該本流路の前記絞りを開放するのが好ましい。
かかる構成によれば、本流路に絞り機構等の複雑な機構やこの機構を駆動するための駆動源や電源等を用いることなく、絞り用弁体が冷媒によってその流れる向きに本流路内を動いて弁座に着座し又は弁座から離れるといった簡素な構成により本流路を絞り又はこの絞りを開放することができる。
前記絞り用弁体は、当該絞り用弁体を貫通する絞り流路を有し、この絞り流路は、前記絞り用弁体が着座したときにも塞がれない位置に設けられるのが好ましい。
かかる構成によれば、絞り用弁体が着座した時には絞り流路のみを冷媒が流れ、これにより本流路が絞られる。
また、前記絞り用弁体は、前記第1の方向に流れる冷媒により動いたときに前記弁座に当接し、前記絞り流路の弁座側の端部が開口している先端面と、前記絞り流路の弁座と反対側の端部が開口している後端面と、前記先端面から前記後端面までの間で前記本流路の内壁面との間に隙間を形成する隙間形成面とを有し、着座により前記隙間と前記支流路との間を遮断するのが好ましい。
かかる構成によれば、冷媒が第1の方向に流れるときは、絞り用弁体は、本流路内を動いて先端面を弁座に当接させることにより前記隙間と支流路との間を遮断して本流路を絞る一方、冷媒が第2の方向に流れるときは、絞り用弁体は、本流路を動いて先端面を弁座から離間させて前記隙間と支流路との間の遮断を解除することにより本流路の絞りを開放する。
前記本流路は円形断面であり、前記絞り用弁体は、前記先端面と前記後端面とを繋ぐと共に前記隙間形成面を含む外周面を備え、この外周面は、前記本流路の内径と対応する外径の内壁近接面を有するのが好ましい。
かかる構成によれば、隙間形成面によって絞り用弁体と本流路の内壁面との間に隙間が形成されると共に、内壁近接面が本流路の内壁面と摺接した状態又はこれに近い状態で絞り用弁体が本流路内を移動することで、当該絞り用弁体は、本流路内における径方向の位置を一定に保ちつつ移動することができる。
また、前記絞り用弁体は、前記本流路に挿入される冷媒配管の先端に当接可能な大きさを有するのが好ましい。
このように、絞り用弁体が冷媒配管の先端に当接可能な大きさを有することで、本流路内における当該絞り用弁体の第2の方向への移動が前記冷媒配管の先端との当接により制限される。
また、前記外周面は、周方向において互いに対向する位置に一対の前記隙間形成面を有するのが好ましい。
かかる構成によれば、一対の隙間が本流路の周方向において互いに対向する位置に形成され、これにより第2の方向に冷媒が流れるときに、本流路における絞り用弁体を通過したあとの冷媒の流れの偏りが減少する。
前記絞り用弁体は、当該絞り用弁体を前記絞り流路と同方向に貫通する1又は複数の開放流路を有し、各開放流路は、前記絞り用弁体が着座したときに塞がれ、弁座から離れたときに開放される位置に配置されてもよい。
かかる構成によれば、冷媒の流れにより本流路内を移動する絞り用弁体に当該絞り用弁体を貫通する複数の流路(絞り流路及び開放流路)が設けられるといった簡素な構成により、本流路の開閉が可能となる。即ち、冷媒が第1の方向に流れるときは、絞り用弁体が着座することにより、各開放流路が塞がれ、絞り流路のみを冷媒が流れることにより本流路が絞られる一方、冷媒が第2の方向に流れるときは、絞り用弁体が弁座から離れることにより、絞り流路に加えて各開放流路にも冷媒が流れ、これにより第1の方向に流れるときに比べて冷媒が流れ易くなる。
また、上記課題を解消すべく、本発明は、複数の伝熱管を有する熱交換器と、冷媒を流通可能に前記熱交換器と膨張機構とを接続する冷媒配管と、前記熱交換器と前記冷媒配管との間に配設される前記の冷媒分流器と、を備え、前記冷媒分流器は、前記本流路が前記冷媒配管に接続されると共に前記支流路が前記熱交換器の複数の伝熱管にそれぞれ接続されることを特徴とする。
この冷媒回路において、冷媒が膨張機構から熱交換器へ向って流れるとき、即ち、冷媒が第1の方向へ流れるときは、冷媒分流器において本流路が絞られることにより当該本流路を流れる気相と液相との2相状態の冷媒が均一に混合されて霧状となり、本流路から各支流路へ均一に冷媒が分流される。これにより、熱交換器において各伝熱管を流れる冷媒量が均一となり、伝熱管毎の熱交換のむらに基づく熱交換効率の低下が抑制される。
一方、冷媒が熱交換器から膨張機構へ向って流れるとき、即ち、冷媒が第2の方向へ流れるときは、冷媒分流器において本流路が絞り状態から開放されることによって当該冷媒分流器を冷媒が通過し易くなる。これにより、当該冷媒回路において、冷媒が第1の方向へ流れるときに比べて第2の方向へ流れるときの圧力損失が減少し、運転効率が向上する。
以上より、本発明によれば、2方向にも冷媒が流れる冷媒回路にも適用可能な冷媒分流器及びこれを備える冷媒回路を提供することができる。
本実施形態に係る空気調和装置の配管系統を概略的に示す図である。 (a)は前記空気調和装置の冷媒分流器の分解斜視図であり、(b)は前記冷媒分流器の分流器本体の断面斜視図である。 前記冷媒分流器における暖房時と冷房時との冷媒の流れを示す概念断面図である。 他実施形態に係る冷媒分流器における暖房時と冷房時との冷媒の流れを示す概念断面図である。 他実施形態に係る冷媒分流器の縦断面図である。 従来の冷媒分流器の縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る冷媒回路18は、空気調和装置10に設けられている。この空気調和装置10は、冷房運転と暖房運転とが可能なヒートポンプ式の空気調和装置10である。空気調和装置10は、室外に設置される室外機11と、室内に設置される室内機12とを備えている。室外機11と室内機12とは、第1接続配管13及び第2接続配管14を介して接続されている。
冷媒回路18は、空気調和装置10において、接続配管13,14を含む配管が閉回路状に接続された回路であり、冷媒が循環することにより、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。この冷媒回路18には、主として、室内熱交換器20、圧縮機23、油分離器24、室外熱交換器25、膨張機構である膨張弁26、アキュムレータ27、切換手段である四方切換弁28が設けられている。また、冷媒回路18において、室内熱交換器20と室外熱交換器25とをつなぐ冷媒配管(冷媒通路)15の両端位置に冷媒の流れを分流可能な冷媒分流器50がそれぞれ設けられる。言い換えると、冷媒配管15において、冷房運転時における室内熱交換器20の直上流位置に室内機12側の冷媒分流器50aが配設され、暖房運転時における室外熱交換器25の直上流位置に室外機11側の冷媒分流器50bが配設される。
室内熱交換器20は、冷媒を室内空気と熱交換させるための熱交換器であり、室内機12に設けられている。室内熱交換器20には、内部に冷媒を通し、この冷媒と室内空気との熱交換を行うための複数本の伝熱管(図示省略)が配設されている。室内熱交換器20として、例えば、伝熱管(チューブ)の表面に多数の放熱板(フィン)を備えたクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器等を採用することできる。室内熱交換器20の近傍には、室内空気を室内熱交換器20へ送風するための室内ファン(図示省略)が設けられている。
圧縮機23は、吸入ポート、圧縮機構及び吐出ポートを有し、吸入ポートから吸入した冷媒を圧縮機構で圧縮して、吐出ポートから吐出する。
油分離器24は、圧縮機23から吐出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離するためのものである。分離された冷媒は四方切換弁28へ送られ、潤滑油は圧縮機23に戻される。
室外熱交換器25は、冷媒を室外空気と熱交換させるためのものである。室外熱交換器25は、内部に冷媒を通し、この冷媒と室外空気との熱交換を行うための複数本の伝熱管(図示省略)が配設されている。室外熱交換器25として、例えば、伝熱管の表面に多数の放熱板を備えたクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器等を採用できる。室外熱交換器25の近傍には、室外空気を室外熱交換器25へ送風するための室外ファン(送風手段)31が設けられている。
膨張弁26は、冷媒回路18において室外熱交換器25と室内熱交換器20との間に配設され、流入した冷媒を膨張させて、所定の圧力に減圧させる。
アキュムレータ27は、流入した冷媒を気液分離するものであり、冷媒回路18において圧縮機23の吸入ポートと四方切換弁28との間に配設されている。アキュムレータ27で分離されたガス冷媒は、圧縮機23に吸入される。
四方切換弁28には、第1〜第4の4つのポートが設けられている。四方切換弁28は、第1ポートと第4ポートとを連通すると同時に第2ポートと第3ポートとを連通する第1状態(図1において実線で示す状態)と、第1ポートと第3ポートとを連通すると同時に第2ポートと第4ポートとを連通する第2状態(図1において破線で示す状態)とに切換可能となっている。第1ポートは、油分離器24を介して圧縮機23の吐出ポートに接続され、また第2ポートは、アキュムレータ27を介して圧縮機23の吸入ポートに接続され、また第3ポートは、室外熱交換器25に接続され、また第4ポートは、第1接続配管13を介して室内熱交換器20に接続されている。空気調和装置10が暖房運転を行うときには、四方切換弁28は第1状態に切り換えられ、冷房運転を行うときには、四方切換弁28は第2状態に切り換えられる。
冷媒分流器50は、図2(a)及び図2(b)に示すように、分流器本体51と、絞り用弁体(オリフィス)52とを備える。
分流器本体51は、流路53を有する。また、分流器本体51は、流路53の一方の端部(詳しくは支流路部55の先端部)が開口する先端面56と、流路53の他方の端部(詳しくは本流路部54の後端部)が開口する後端面58と、先端面56と後端面58との外端部同士を繋ぐ円柱面状の周面57と、を有する。先端面56には、複数(本実施形態では4つ)の開口56aが周方向に並んでいる。この先端面56には、当該冷媒分流器50が冷媒回路18に配設されたときに、室外熱交換器25又は室内熱交換器20から延び、各伝熱管の端部を構成する接続管部150(図1参照)が、その内部と開口56aとを連通させるように接続される。また後端面58には1つの開口が設けられ、この開口からは、当該冷媒分流器50が冷媒回路18に配設されたときに、冷媒配管15の先端部が挿入(圧入)される(図3(a)及び図3(b)参照)。
流路53は、分流器本体51をその先端から後端(図2(a)において上端から下端)まで貫通している。本実施形態の流路53は、1本の本流路部(本流路)54と、この本流路部54の先端部から分岐した複数本(本実施形態では4本)の支流路部(支流路)55とからなる。本流路部54は、真っ直ぐに延び、内壁面54aが円形断面となっている。そして、支流路部55の先端部(図2において上端部)が先端面56で開口し、本流路部54の後端部(図2において下端部)が後端面58で開口する。この流路53は、本流路部54と支流路部55との接続部位に絞り用弁体52が着座可能な弁座部(弁座)59を有する。
弁座部59は、流路53の内壁面の一部が径方向内側に向って突出することにより形成されている。具体的に、弁座部59は、流路53の内壁面が全周に亘って径方向内側に向かって突出し、中心部に本流路部54の内部と支流路部55の内部とを連通する連通孔59aが形成されている。
絞り用弁体52は、本流路部54内に配設され、冷媒の流れにより本流路部54を支流路部55側(第1の方向)とその反対側(第2の方向)とに移動可能に構成される。この移動により、絞り用弁体52は、本流路部54を絞り、又はこの絞りを開放する。
絞り用弁体52は、その先端から後端までを貫通する絞り流路52aを有すると共に、絞り流路52aの一方の端部(先端側開口部)が開口する弁体先端面60と、絞り流路52aの他方の端部(後端側開口部)が開口する弁体後端面65と、弁体先端面60と弁体後端面65との外端部同士を繋ぐ弁体外周面61と、を有する。
弁体先端面60は、冷媒が流路53を第1の方向に流れるときに、この冷媒の流れにより、絞り用弁体52が本流路部54内を第1の方向に移動して弁座部59に当接する面である。この弁体先端面60の中央部には、絞り流路52aの一方の端部が開口している。この弁体先端面60が弁座部59に当接することにより絞り用弁体52が弁座部59に着座する。弁体先端面60は、絞り流路52aの先端側開口を残してその周囲を囲むように弁座部59と面接触可能な形状を有する。
弁体外周面61は、本流路部54の内径に対応する外径を有する摺接面部(内壁近接面)62と、弁体先端面60から弁体後端面65までの間で本流路部54の内壁面54aとの間に隙間を形成する隙間形成面部(隙間形成面)63とを有する。本実施形態では、一対の隙間形成面部63,63が絞り流路52aを挟んで対向する位置に設けられている。即ち、本実施形態の弁体外周面61は、摺接面部62と隙間形成面部63とが交互に2つずつ配置されることにより形成されている。
摺接面部62は、弁体外周面61のうち本流路部54の内壁面54aと摺接する若しくはこれに近い状態で近接する部位であり、この内壁面54aに沿った形状を有する。即ち、摺接面部62は、本流路部54の中心軸と直交する断面において、前記中心軸からの距離が一定(本流路部54の内壁面54aの半径若しくは略半径)となる面部である。冷媒分流器50が冷媒配管15に取り付けられ、絞り用弁体52が冷媒の流れにより本流路部54内を第1の方向又は第2の方向に移動するときに、摺接面部62は、本流路部54の内壁面54aと摺接した状態又はこれに近い状態で移動する。
隙間形成面部63は、弁体先端面60から弁体後端面65まで連続する隙間Sを本流路部54の内壁面54aとの間に形成する部位である。この隙間形成面部63は、弁体外周面61のうち、前記中心軸と直交する断面において、本流路部54の内壁面54aに沿った円の一部を切除した形状を有する。本実施形態の隙間形成面部63は、前記円の一部を径方向と直交する方向に真っ直ぐ切除した形状である。即ち、本実施形態の隙間形成面部63は、平面により構成される。尚、隙間形成面部63は、前記平面に限定される必要はなく、前記中心軸と直交する断面において、径方向内側に湾曲するような面部でもよく、複数箇所で屈曲している面部でもよい。即ち、前記中心軸と直交する断面において、隙間形成面部63と本流路部54の内壁面54aとの間に、冷媒が流通可能な隙間が形成されるような形状であればよい。
この隙間形成面部63は、弁体外周面61において、絞り用弁体52の弁体先端面60が弁座部59に当接したときに隙間Sの先端面側端部が弁座部59によって塞がれる位置に設けられている。このような位置に隙間形成面部63が設けられることにより、絞り用弁体52が弁座部59に着座することによって隙間Sと支流路部55との間が遮断される(図3(a)参照)。
以上のような弁体外周面61では、前記中心軸と直交する断面において、この中心軸を通る直線(直径)と内壁面54aとの交点に対応する位置を含み、周方向に所定の巾を有する摺接面部62が設けられる。これにより、本流路部54内を冷媒の流れにより絞り用弁体52が動く際に、この流れに対して直交する方向の変位がない、又は僅かになる。
また、このような弁体外周面61を有する絞り用弁体52は、絞り用弁体52の後端面58の開口から圧入される冷媒配管15の先端に当接可能な大きさを有する。即ち、絞り用弁体52の径方向の大きさは、冷媒分流器50の取り付けられる冷媒配管15の内径よりも大きい。そのため、冷媒分流器50が冷媒配管15に取り付けられて絞り用弁体52が本流路部54内を支流路部55から冷媒配管15側に移動(第2の方向に移動)したときに、絞り用弁体52の弁体後端面65が冷媒配管15の先端に当接し、これにより絞り用弁体52の第2の方向への移動が規制される(図3(b)参照)。
ここで、空気調和装置10の運転動作について説明する。
空気調和装置10では、暖房運転時には、四方切換弁28は第1状態に切り換えられる。圧縮機23で圧縮された冷媒は、油分離器24で油分が分離された後、四方切換弁28を経由して室内熱交換器20の各伝熱管に流入する。この冷媒は、室内熱交換器20において、室内空気と熱交換されて凝縮し、液冷媒(液相)となる。この熱交換により、室内空気は加熱されて室内に吹き出される。室内空気によって冷却されて凝縮した冷媒は、室内機側の冷媒分流器50を通過して膨張弁26に導入され、当該膨張弁26で膨張される。この膨張された冷媒は、室外機11側の冷媒分流器50によって分流され、室外熱交換器25の各伝熱管にその端部(接続管部150)から導入される。導入された冷媒は、室外熱交換器25で蒸発し、四方切換弁28を経由してアキュムレータ27に流入する。ここで気液分離されたガス冷媒は圧縮機23に吸入される。暖房運転時には、この冷媒循環が継続して行われる。
一方、冷房運転を行うときは、四方切換弁28は第2状態に切り換えられる。この切り換えにより、冷媒配管15では、内部を流れる冷媒の向きが反転する。即ち、暖房運転と冷房運転とでは、冷媒配管15において冷媒の流れる向きが逆向きとなる。具体的に、圧縮機23で圧縮された冷媒は、油分離器24及び四方切換弁28を経由して室外熱交換器25に流入する。この冷媒は、室外熱交換器25において室外空気と熱交換されて凝縮し、液冷媒(液相)となる。この液冷媒は、室外機側の冷媒分流器50を通過して膨張弁26に導入されて減圧される。この減圧された冷媒は、室内機12側の冷媒分流器50によって分流され、室内熱交換器20の各伝熱管にその端部(接続管部150)から導入される。この冷媒は、室内熱交換器20において室内空気と熱交換されて気化する。この熱交換によって室内空気は、冷却されて室内に吹き出される。室内空気によって加熱されて蒸発した冷媒は、四方切換弁28を経由してアキュムレータ27に流入する。アキュムレータ27では、冷媒が気液分離され、ここで気液分離されたガス冷媒は圧縮機23に吸入される。冷房運転時には、この冷媒循環が継続して行われる。
次に、冷媒分流器50の動作を図3(a)及び図3(b)を参照しつつ説明する。前記の冷媒回路18には、室外機11側の冷媒分流器50と室内機12側の冷媒分流器50とが配設されているが、同一運転状態において内部を流れる冷媒の向きが逆になるだけであるため、以下では室外機11側の冷媒分流器50について説明する。
冷媒回路18において、暖房運転を行うときには、冷媒分流器50の流路53内を冷媒が本流路部54から支流路部55へ向けて(第1の方向へ)流れる。絞り用弁体52は、冷媒に押されて本流路部54内を第1の方向へ摺動する。即ち、絞り用弁体52は、弁体外周面61の摺接面部62を本流路部54の内壁面54aに摺接させた状態(又はこれに近い状態)で移動する。
絞り用弁体52は、弁体先端面60が弁座部59に当接することにより、その位置(絞り位置)で停止する。この状態では、絞り用弁体52が隙間Sと支流路部55との間を遮断した状態、即ち、隙間Sの先端面側端部が弁座部59によって塞がれた状態となる。そのため、冷媒が絞り流路52a以外を通って本流路部54から支流路部55へ流れることができず、本流路部54は絞られる(図3(a)参照)。
室内熱交換器20で液化された冷媒は、冷媒配管15を通って室外機11側の冷媒分流器50bに到達したときには、その一部が気化して気相と液相とが混在する状態(気液2相状態)となっている。このように気液2相状態の冷媒は、気相と液相との分布に偏りが生じ易い。
従来の分流器のように分布が偏った冷媒がそのままの状態で各支流路部に分流されると、気相が多く流れる支流路部と液相が多く流れる支流路部とが生じ、室外熱交換器の各伝熱管を流れる冷媒量に差が生じる。このように流れる冷媒量に差が生じると伝熱管毎に熱交換のむらが生じ、室外熱交換器における熱交換効率の低下を招く。
これに対し、本実施形態に係る冷媒分流器50では、前記のように冷媒が第1の方向へ流れるときに絞り用弁体52によって本流路部54が絞られる。そのため、冷媒が絞り用弁体52の絞り流路52aを通過する際に流速が上がり、これにより気相と液相との2相状態の冷媒が均一に混合されて霧状となる。このように霧状になった冷媒を分流することにより各支流路部55へ均一に冷媒を分流することができる。
一方、冷房運転を行うときには、冷媒分流器50の流路53内を冷媒が支流路部55から本流路部54へ向けて(第2の方向へ)流れる。そうすると、この冷媒に押されて絞り用弁体52が本流路部54内を第2の方向へ摺動する。即ち、冷媒が第1の方向に流れるときと反対向きに絞り用弁体52が摺動する。これにより、絞り用弁体52は、弁座部59から離間する。
絞り用弁体52は、後端面58の開口から本流路部54内に圧入された冷媒配管15の先端に当接することにより、その位置(開放位置)で停止する。この状態では、弁座部59により塞がれていた隙間Sの先端面側端部が開放された状態、即ち、絞り用弁体52による隙間Sと支流路部55との間の遮断が開放され、弁座部59の連通孔59aを通過した冷媒が隙間Sを流通可能な状態となる。そのため、冷媒が絞り流路52aに加え隙間Sを通って支流路部55から本流路部54へ向けて流れることができ、本流路部54が前記の絞り状態に比べ(図3(a)参照)開放された状態となる(図3(b)参照)。
このように冷媒が第2の方向に流れるときには、絞り流路52aに加え隙間Sにも冷媒が流れることで、第1の方向に冷媒が流れるときに比べて冷媒の流れることができる流路断面積が大きくなり冷媒が流れ易くなる。即ち、冷媒分流器50において、冷媒が第1の方向に流れるときに比べ第2の方向に流れるときの方が冷媒の流れることのできる流路断面積が大きくなるため圧力損失が低減される。
尚、前記のように、室内機12側の冷媒分流器50では、室外機11側の冷媒分流器50に対して内部を流れる冷媒の向きが逆になるため、冷房運転を行うときに冷媒が流路53を第1の方向に流れて本流路部54が絞られる一方、暖房運転を行うときに冷媒が流路53を第2の方向に流れて前記本流路部54の絞りが開放される。
以上説明したように、本実施形態では、冷媒分流器50において、冷媒が第1の方向に流れるときは、本流路部54が絞られることにより本流路部54から各支流路部55へ均一に冷媒が分流される一方、冷媒が第2の方向に流れるときは、前記本流路部54の絞りが開放されることにより当該本流路部54を冷媒が通過する際の抵抗が第1の方向に流れるときに比べて小さくなるため、冷媒が第1の方向に流れるときに比べて流れ易くなる。
また、本実施形態では、本流路部54に絞り機構等の複雑な機構やこの機構を駆動するための駆動源や電源等を用いることなく、絞り用弁体52が冷媒によってその流れる向きに本流路部54内を動いて弁座部59に着座し又は弁座部59から離れるといった簡素な構成により本流路部54を絞り又はこの絞りから開放することができる。
また、本実施形態では、絞り用弁体52が当該絞り用弁体52を貫通する絞り流路52aを有し、この絞り流路52aが、絞り用弁体52が着座したときにも塞がれない位置に設けられることにより、絞り用弁体52が弁座部59に着座した時には絞り流路52aのみを冷媒が流れ、これにより本流路部54が絞られる。
また、本実施形態では、冷媒が第1の方向に流れるときは、絞り用弁体52は、本流路部54内を動いて弁体先端面60を弁座部59に当接させることにより隙間Sと支流路部55との間を遮断して本流路部54を絞る一方、冷媒が第2の方向に流れるときは、絞り用弁体52は、本流路部54を動いて弁体先端面60を弁座部59から離間させることにより隙間Sと支流路部55との間の遮断を解除して本流路部54の前記絞りを開放する。
また、本実施形態では、弁体外周面61の隙間形成面部63によって隙間Sが形成されると共に、摺接面部62が本流路部54の内壁面54aと摺接した状態又はそれに近い状態で絞り用弁体52が本流路部54内を動くことで、当該絞り用弁体52が本流路部54内における径方向の位置を一定に保ちつつ移動することができる。また、絞り用弁体52が冷媒配管15の先端に当接可能な大きさを有することで、本流路部54内における当該絞り用弁体52の第2の方向への移動が冷媒配管15の先端との当接により制限される。
また、本実施形態では、弁体外周面61が周方向において互いに対向する位置に一対の隙間形成面部を有することで、隙間Sが本流路部54の周方向において対向する位置に形成され、これにより第2の方向に冷媒が流れるときに、本流路部54における絞り用弁体52を通過したあとの冷媒の流れの偏りが減少する。
また、本実施形態では、冷媒回路18において、冷媒が膨張弁26から室外機11側(又は室内機12側)の熱交換器25(又は20)へ向って流れるとき、即ち、冷媒分流器50において冷媒が第1の方向へ流れるときは、本流路部54が絞られることにより当該本流路部54を流れる気相と液相との2相状態の冷媒が均一に混合されて霧状となり、本流路部54から各支流路部55へ均一に冷媒が分流される。これにより、熱交換器25(又は20)において各伝熱管を流れる冷媒量が均一となり、伝熱管毎の熱交換のむらに基づく熱交換効率の低下が抑制される。一方、冷媒が熱交換器25(又は20)から膨張弁26へ向って流れるとき、即ち、冷媒分流器50において冷媒が第2の方向へ流れるときは、本流路部54が開放されることによって当該冷媒分流器50を冷媒が通過し易くなる。これにより、当該冷媒分流器50において、冷媒が第1の方向へ流れるときに比べて第2の方向へ流れるときの圧力損失が減少し、これにより冷媒回路18の運転効率が向上する。
尚、本発明の冷媒分流器50及びこれを備えた冷媒回路18は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
前記実施形態の絞り用弁体52では、弁体外周面61が隙間形成面部63を有し、この隙間形成面部63と本流路部54の内壁面54aとの隙間Sに冷媒が流れることにより、本流路部54が絞り状態から開放された状態となるが、これに限定されない。即ち、外周面61が隙間形成面部63を有していなくてもよい。例えば、図4(a)及び図4(b)に示されるように、絞り用弁体152に絞り流路52aと同方向に貫通する1又は複数の開放流路52bが形成されてもよい。この開放流路52bは、絞り用弁体152の弁体先端面60が弁座部59に当接したときに開放流路52bの先端側開口が弁座部59により塞がれると共に、弁体先端面60が弁座部59から離間したときに前記先端側開口が解放される位置に設けられる。図4(a)及び図4(b)に示す絞り用弁体152では、弁体先端面60側から見て絞り流路52aを中心にして囲む位置に開放流路52bが設けられている。これにより、本流路部54内において、第1の方向に冷媒が流れて絞り用弁体152が第1の方向に移動したときに、弁座部59により絞り流路52aを残して各開放流路52bの先端側開口が塞がれる(絞り状態:図4(a)参照)。一方、冷媒が第2の方向に流れて絞り用弁体152が第2の方向に移動したときには、弁体先端面60が弁座部59から離間することにより開放流路52bにも冷媒が流れ、これにより本流路部54の絞りが開放される(開放状態:図4(b)参照)。尚、絞り用弁体52において、開放流路52bは、隙間形成面部63の代わりに設けられてもよく、隙間形成面部63と共に設けられてもよい。
また、本流路部54の開閉を行うために、冷媒の流れに伴って第1及び第2の方向へ移動する絞り用弁体52が用いられる必要もなく、図5に示されるように、冷媒の流れる向きにより姿勢を変更する絞り用開閉弁252が設けられてもよい。この絞り用開閉弁252は、中央部に絞り孔52cが設けられた板状の開閉弁である。この絞り用開閉弁252は、冷媒が第1の方向に流れるときに、本流路部54の一部を塞ぐ閉姿勢(図5における実線の姿勢:絞り位置)となり、第2の方向に流れるときに、本流路部54を前記絞りから開放する開姿勢(図5における破線の姿勢:開放位置)となるように構成され、本流路部54と支流路部55との間に配設される。
また、前記実施形態では、絞り用弁体52の第2の方向への移動が本流路部54内に圧入された冷媒配管15の先端によって制限されているが、これに限定されない。例えば、絞り用弁体52の第2の方向への移動を制限するために、本流路部54の内壁面54aにおける前記冷媒配管15の先端に対応する位置(絞り用弁体52の第2の方向への移動を止めたい位置)を径方向内側に突出させることにより移動制限部を設けてもよい。
10 空気調和装置
15 冷媒配管
18 冷媒回路
20 室内熱交換器
25 室外熱交換器
26 膨張弁(膨張機構)
50 冷媒分流器
51 分流器本体
52 絞り用弁体
52a 絞り流路
53 流路
54 本流路部(本流路)
54a 内壁面
55 支流路部(支流路)
56 先端面
59 弁座部(弁座)
60 弁体先端面
61 弁体外周面
62 摺接面部(内壁近接面)
63 隙間形成面部(隙間形成面)
65 弁体後端面
S 隙間

Claims (9)

  1. 本流路とこの本流路から分岐する複数の支流路とからなる流路を有する分流器本体と、
    前記流路内を本流路から支流路へ向かう第1の方向に冷媒が流れるときにこの流れにより動いて当該本流路を絞ると共に、前記流路内を支流路から本流路へ向かう第2の方向に冷媒が流れるときにこの流れにより動いて当該本流路の前記絞りを開放する絞り用弁体と、を備えることを特徴とする冷媒分流器。
  2. 前記絞り用弁体が前記本流路から前記支流路に向かって着座可能な弁座が設けられ、
    前記絞り用弁体は、前記第1の方向に流れる冷媒によって前記本流路内を動いて前記弁座に着座することにより前記本流路を絞ると共に、前記第2の方向に流れる冷媒によって前記本流路内を動いて前記弁座から離れることにより当該本流路の前記絞りを開放することを特徴とする請求項1に記載の冷媒分流器。
  3. 前記絞り用弁体は、当該絞り用弁体を貫通する絞り流路を有し、
    この絞り流路は、前記絞り用弁体が着座したときにも塞がれない位置に設けられることを特徴とする請求項2に記載の冷媒分流器。
  4. 前記絞り用弁体は、前記第1の方向に流れる冷媒により動いたときに前記弁座に当接し、前記絞り流路の弁座側の端部が開口している先端面と、前記絞り流路の弁座と反対側の端部が開口している後端面と、前記先端面から前記後端面までの間で前記本流路の内壁面との間に隙間を形成する隙間形成面とを有し、着座により前記隙間と前記支流路との間を遮断することを特徴とする請求項2又は3に記載の冷媒分流器。
  5. 前記本流路は円形断面であり、
    前記絞り用弁体は、前記先端面と前記後端面とを繋ぐと共に前記隙間形成面を含む外周面を備え、
    この外周面は、前記本流路の内径と対応する外径の内壁近接面を有することを特徴とする請求項4に記載の冷媒分流器。
  6. 前記絞り用弁体は、前記本流路に挿入される冷媒配管の先端に当接可能な大きさを有することを特徴とする請求項5に記載の冷媒分流器。
  7. 前記外周面は、周方向において互いに対向する位置に一対の前記隙間形成面を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の冷媒分流器。
  8. 前記絞り用弁体は、当該絞り用弁体を前記絞り流路と同方向に貫通する1又は複数の開放流路を有し、
    各開放流路は、前記絞り用弁体が着座したときに塞がれ、弁座から離れたときに開放される位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の冷媒分流器。
  9. 複数の伝熱管を有する熱交換器と、冷媒を流通可能に前記熱交換器と膨張機構とを接続する冷媒配管と、前記熱交換器と前記冷媒配管との間に配設される請求項1乃至8の何れか1項に記載の冷媒分流器と、を備え、
    前記冷媒分流器は、前記本流路が前記冷媒配管に接続されると共に前記支流路が前記熱交換器の複数の伝熱管にそれぞれ接続されることを特徴とする冷媒回路。
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