JP2011033235A - 冷凍サイクル - Google Patents

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Abstract

【課題】冷凍回路内にオリフィスを配置してその前後の差圧を2つの圧力センサを用いて検知するに際し、圧力センサ間の特性差をソフト的に適切にかつ容易に吸収し、実際の差圧を精度良く求めることができるようにして、高精度の冷媒流量や高精度の圧縮機トルクの推定を可能にする冷凍サイクルを提供する。
【解決手段】冷媒回路内にオリフィスを備え、オリフィス前後にそれぞれ圧力センサを設けた冷凍サイクルであって、それぞれの圧力センサの検出圧力−センサ出力の関係を表す出力特性に関し、冷媒流れ停止状態における両圧力センサの出力から、いずれか一方の圧力センサの出力特性に対する他方の圧力センサの出力特性の特性差を求めることを特徴とする冷凍サイクル。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷凍サイクルに関し、とくに、オリフィスとその前後に配置された2つの圧力センサを備え、冷媒流量や圧縮機トルク等の推定をより精度良く行うことができるようにした、車両用空調装置等に用いて好適な冷凍サイクルに関する。
例えば、圧縮機、凝縮器、減圧・膨張機構、蒸発器をこの順に備えた冷凍サイクル、例えば車両用空調装置の冷凍サイクルにおいては、冷媒回路中における冷媒流れ方向前後位置にそれぞれ圧力センサを設け、両圧力センサによる検知圧力の差圧を求めることがある。また、効率よく短区間で明確な差圧を持たせるためには、通常、絞り(オリフィス)を設けることが有効である(例えば、特許文献1〔0004〕段落)。この差圧を精度良く求めることができれば、差圧と相関の高い冷媒流量を精度良く推定することが可能になり、さらには、冷媒流量を使用して圧縮機の駆動用トルクを精度良く推定することが可能になる。圧縮機トルクを高精度でかつリアルタイムに推定できれば、圧縮機の駆動源としての車両エンジンの制御等(例えば、エンジン燃料噴射制御)に反映させることも可能になり、車両の省燃費等に貢献できるようになる。
上記のように、オリフィスの冷媒流れ方向前後位置にそれぞれ圧力センサを設け、両圧力センサによる検知圧力の差圧を求めることにより、予め把握されている差圧と冷媒流量との関係から、そのときの冷媒流量を推定することが可能になるが、この推定を高精度で行うためには、差圧が高精度で求められる必要がある。そして、差圧を高精度で求めるためには、少なくとも、両圧力センサによる圧力検知特性が同じであるか、圧力検知特性の差が明確に把握されている必要がある。個々の圧力センサ自体は、検知圧力−センサ出力の関係に関し、優れた再現性等を有するので、1個の圧力センサである位置の圧力を検知する場合には、それほど問題はない。しかし、複数の圧力センサを設置する場合、圧力センサの製作誤差等により、検知圧力−センサ出力の関係を表す出力特性に関し、個々の圧力センサに微妙なずれが生じることがある。上記のようなオリフィス前後の差圧は、各圧力センサによる検知圧力の絶対値に比べてはるかに小さい値になることもあるので、センサ間に出力特性の微妙な差があると、求められる差圧の精度に対しては比較的大きな誤差となって現れるおそれが高い。求めた差圧に比較的大きな誤差が生じると、高精度の冷媒流量の推定や、圧縮機トルクの推定は望めない。
特開平6−281300号公報
そこで本発明の課題は、冷凍回路内にオリフィスを配置してその前後の差圧を2つの圧力センサを用いて検知するに際し、個々の圧力センサ間の特性差をソフト的に適切にかつ容易に吸収し、実際の差圧を精度良く求めることができるようにして、高精度の冷媒流量や高精度の圧縮機トルクの推定を可能にする冷凍サイクルを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る冷凍サイクルは、冷媒回路内にオリフィスを備え、該オリフィスの冷媒流れ方向前後位置にそれぞれ圧力センサを設けた冷凍サイクルであって、それぞれの圧力センサの検出圧力−センサ出力の関係を表す出力特性に関し、冷媒流れ停止状態における両圧力センサの出力から、いずれか一方の圧力センサの出力特性に対する他方の圧力センサの出力特性の特性差を求めることを特徴とするものからなる。
このような本発明に係る冷凍サイクルにおいては、オリフィスの前後に配置された各圧力センサ間の出力特性差が、両圧力センサが実質的に同じ圧力を検知する状態にあると考えられる冷媒流れ停止状態において求められるので、個々の圧力センサの製作誤差等に伴う出力特性差を精度良く求めることが可能になり、実際の検知や制御を行う前に事前に出力特性差を精度良く把握することが可能になって、必要に応じ、圧力センサ間の校正をソフト的に行うことが可能になる。このようなソフト的な校正は、圧力センサ自体に機械的に手を加えることなく精度良く実施可能であるので、極めて容易に行い得る。そして、圧力センサ間の校正を正確に行うことができれば、実際の差圧を精度良く求めることができるようになる。
この校正は、例えば次のような構成によって達成できる。すなわ、上記圧力センサからの出力が入力される圧力演算手段を有し、該圧力演算手段においては、求められた上記特性差に基づいて、いずれか一方の圧力センサの出力特性を基準に他方の圧力センサの出力特性を校正するようにした構成である。これによって、両圧力センサの出力特性をソフト的に揃えることができ、小さい差圧であっても、高精度に求めることが可能になる。つまり、冷媒流れ状態において、上記校正された圧力センサの出力特性を用い、両圧力センサの出力から上記オリフィスの冷媒流れ方向前後位置における差圧を演算すればよい。
また、冷媒流量とオリフィス前後差圧との関係を予め試験等により求めておけば、上記演算された差圧から、予め求められた冷媒流量とオリフィス前後差圧との関係を参照して、そのときの冷媒流量を精度良く算出することが可能になる。
また、冷媒流量と冷凍サイクル内の圧縮機のトルクとの関係を予め試験等により求めておけば、上記算出された冷媒流量から、予め求められた冷媒流量と冷凍サイクル内の圧縮機のトルクとの関係を参照して、そのときの圧縮機トルクを精度良く算出することが可能になる。
このように圧縮機トルクを精度良く推定できれば、上記算出された圧縮機トルクの信号を、圧縮機の駆動源の制御装置に送ることにより、該駆動原の最適な制御を実現することも可能になる。圧縮機の駆動源が車両の原動機(エンジン)である場合には、圧縮機トルクを高精度でかつリアルタイムに推定することにより、それを例えばエンジンの燃料噴射制御に反映させ、車両の省燃費等に貢献することが可能になる。
上記圧力センサの出力特性の校正は、例えば後述の如く、補正項を有する予め設定された演算式を用いて行うことが可能である。あるいは、上記圧力センサの出力特性の校正を、複数の出力特性が予め設定されたマップを用いて行うことも可能である。
上記圧力センサの出力特性の特性差は、冷凍サイクルが停止されてから所定時間経過後に求められることが好ましい。冷凍サイクルが停止されてから所定時間経過すると、安定した冷媒流れ停止状態になるから、出力特性差がより高精度で求められることになる。
このような本発明に係る冷凍サイクルは、とくに車両の原動機の駆動制御等の面から圧縮機駆動トルクの正確な情報が必要とされる車両用空調装置に用いられて好適なものである。また、上記圧力センサの出力特性差を求めること、圧力センサ間の校正をソフト的に行うことができ、スペースを要求することなく安価に行うことができることからも、省スペース化、コストダウンの要求が強い車両用空調装置に用いられて好適なものである。
本発明に係る冷凍サイクルによれば、冷凍回路内にオリフィスを配置してその前後の差圧を2つの圧力センサを用いて検知するに際し、個々の圧力センサ間の出力特性差をソフト的に適切にかつ容易に処理、吸収でき、実際の差圧を的確に精度良く求めることができる。したがって、精度良く求められた差圧に基づいて、冷媒流量を精度良く推定することが可能になり、ひいては圧縮機トルクを精度良く推定することが可能になる。その結果、本発明に係る冷凍サイクルの適用により、制御の高精度化、冷凍サイクル全体としての省スペース化、コストダウンをはかりつつ、最適な形態の車両用空調装置等の実現をはかることができる。
本発明の一実施態様に係る冷凍サイクルの概略構成図である。 図1の冷凍サイクルにおけるオリフィスおよび圧力センサ部分の一例を示す拡大断面図である。 図1の冷凍サイクルにおける一方の圧力センサの出力特性に対する他方の圧力センサの出力特性のずれの補正の一例を示す特性図である。 図1の冷凍サイクルのP−h線図の例を示す特性図である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る冷凍サイクルの概略構成を示している。図において、1は冷凍サイクル全体を示しており、該冷凍サイクル1は、冷媒を圧縮する圧縮機2と、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器3と、凝縮器3からの冷媒を減圧・膨張させる減圧・膨張機構としての膨張弁4と、膨張弁4からの冷媒を蒸発させる蒸発器5とを有している。本実施態様では、冷凍サイクル1の冷媒回路中における凝縮器3と膨張弁4との間の冷媒通路6に、冷媒の流れを絞るオリフィス7が設けられており、このオリフィス7の冷媒流れ方向前後位置に、それぞれ、冷媒の圧力を検知する第1の圧力センサ8と第2の圧力センサ9が設けられている。この冷媒通路6に設けられるオリフィス7、第1、第2の圧力センサ8、9は、例えば図2に示すように配置される。これらは、一体化ユニットとして構成されていてもよい。
上記の第1の圧力センサ8と第2の圧力センサ9からの検知圧力の出力は、圧力演算手段10に送られる。各圧力センサ8、9は、例えば図3に示すような検知圧力(P)とセンサ出力(V)との関係を表す出力特性を有するが、各圧力センサ8、9の製作誤差等に起因して、検知圧力(P)に対する第1の圧力センサ8の出力V1と第2の圧力センサ9の出力V2とは、微妙にずれることがある。この微妙なずれは、前述したように、両センサによる検知圧力の差圧を求める場合には、比較的大きなずれ量となることがある。圧力演算手段10では、それぞれの圧力センサ8、9の検出圧力−センサ出力の関係を表す出力特性に関し、冷媒流れ停止状態における両圧力センサの出力から、望ましくは冷凍サイクル1が停止されてから所定時間(冷媒の流動が停止した状態で安定するまでに必要な時間)経過後における両圧力センサの出力から、両センサの出力特性の特性差が求められる。そして、求められた特性差に基づいて、いずれか一方の圧力センサの出力特性を基準に他方の圧力センサの出力特性を校正するように補正演算が行われる。図3に示した例では、第2の圧力センサ9の出力V2の特性を第1の圧力センサ8の出力V1の特性に合わせ込む校正が、例えば基準圧力Paに関して、ソフト的に行われている。この校正は、冷媒流れ停止状態における両圧力センサ8、9の出力、つまり両圧力センサ8、9により検知されるべき圧力が基本的に同圧(均等圧)にされた状態下での両圧力センサ8、9の出力に基づいて行われるので、高精度に校正されることになる。これによって、両圧力センサ8、9の出力特性をソフト的に揃えることができ(例えば、零点等の基準点をソフト的に揃えることができ)、揃えられた出力特性を用いての圧力検知を介して、冷媒流れ状態における実際の圧力検知における差圧が小さい場合にあっても、精度良く正確に差圧を求めることが可能になる。
このような圧力センサ9の出力特性の校正は、例えば、次のような上記出力特性差に対応する補正項(H)を有する予め設定された演算式を用いて行うことができる。
Pa=A×V1+B=A×V2+B+H
ここでBは定数である。
あるいは、図示は省略するが、上記圧力センサ9の出力特性の校正を、複数の出力特性が予め設定されたマップを用いて行うことも可能である。
このようにオリフィス7前後位置における差圧が精度良く演算されると、冷媒流量とオリフィス前後差圧との関係を予め試験等により求めその関係を記憶しておくことにより、上記の如く演算された差圧から、冷媒流量推定手段11により、この予め求められた冷媒流量とオリフィス前後差圧との関係を参照して、そのときの冷媒流量を精度良く算出することが可能になる。
さらに、冷媒流量と冷凍サイクル1内の圧縮機2のトルクとの関係を予め試験等により求めその関係を記憶しておくことにより、上記算出された冷媒流量から、圧縮機トルク推定手段12により、この予め求められた冷媒流量と冷凍サイクル1内の圧縮機2のトルクとの関係を参照して、そのときの圧縮機トルクを精度良く算出することが可能になる。
そして、このように圧縮機トルクを精度良く推定できれば、前述したように、推定された圧縮機トルクの信号を、圧縮機の駆動源(例えば、車両エンジン)の制御装置に送ることにより、該駆動原の最適な制御を実現することも可能になる。とくに、圧縮機の駆動源が車両の原動機(エンジン)である場合には、圧縮機トルクを高精度でかつリアルタイムに推定することにより、それを例えばエンジンの燃料噴射制御に適切に反映させることが可能になり、車両の省燃費等に貢献することが可能になる。
なお、上記オリフィス7を設ける位置、設けるオリフィス7の圧力損失付与特性については、冷凍サイクル1の作動特性の面から最適化をはかることが可能である。冷凍サイクル1の作動特性は、例えば図4(A)、(B)に示すようなP−h線図で表すことが可能である。すなわち、冷媒通路6に設けたオリフィス7により、強制的にオリフィス前後差圧を持たせることができ、第1、第2の圧力センサ8、9で、例えば冷媒流量推定に必要な差圧の検知が可能になる。そして、この差圧と相関の高い冷媒流量を冷媒流量推定手段11により推定することが可能になり、ひいては圧縮機トルク推定手段12により圧縮機トルクを推定することが可能になる。このとき、オリフィス前後差圧の安定した高精度の検知は、高精度の冷媒流量推定、高精度の圧縮機トルク推定につながる。オリフィス前後差圧を安定した状態で高精度に検知するためには、冷媒の相変化がない、あるいは極めて少ない状態で検知が行われることが望ましい。例えば、図4(A)に示すように、同じ液相状態中でオリフィスによる差圧ΔPが発生するように設定することが好ましい。ただし、例えば、図4(B)に示すように、相変化状態にまたがって差圧ΔPが発生しても、多少精度は低下するかもしれないが、十分に高精度の冷媒流量推定、圧縮機トルク推定は可能である。
本発明に係る冷凍サイクルは、オリフィスとその前後に配置した圧力センサを用いてオリフィス前後差圧を求めることが要求されるあらゆる冷凍サイクルに適用可能であり、圧力センサの校正をソフト的に安価に行うことができることから、とくに、コストダウンの要求が強い車両用空調装置に用いて好適なものである。
1 冷凍サイクル
2 圧縮機
3 凝縮器
4 減圧・膨張機構としての膨張弁
5 蒸発器
6 冷媒通路
7 オリフィス
8 第1の圧力センサ
9 第2の圧力センサ
10 圧力演算手段
11 冷媒流量推定手段
12 圧縮機トルク推定手段

Claims (10)

  1. 冷媒回路内にオリフィスを備え、該オリフィスの冷媒流れ方向前後位置にそれぞれ圧力センサを設けた冷凍サイクルであって、それぞれの圧力センサの検出圧力−センサ出力の関係を表す出力特性に関し、冷媒流れ停止状態における両圧力センサの出力から、いずれか一方の圧力センサの出力特性に対する他方の圧力センサの出力特性の特性差を求めることを特徴とする冷凍サイクル。
  2. 前記圧力センサからの出力が入力される圧力演算手段を有し、該圧力演算手段においては、求められた前記特性差に基づいて、いずれか一方の圧力センサの出力特性を基準に他方の圧力センサの出力特性を校正する、請求項1に記載の冷凍サイクル。
  3. 冷媒流れ状態において、前記校正された圧力センサの出力特性を用い、両圧力センサの出力から前記オリフィスの冷媒流れ方向前後位置における差圧を演算する、請求項2に記載の冷凍サイクル。
  4. 前記演算された差圧から、予め求められた冷媒流量とオリフィス前後差圧との関係を参照して、そのときの冷媒流量を算出する、請求項3に記載の冷凍サイクル。
  5. 前記算出された冷媒流量から、予め求められた冷媒流量と冷凍サイクル内の圧縮機のトルクとの関係を参照して、そのときの圧縮機トルクを算出する、請求項4に記載の冷凍サイクル。
  6. 前記算出された圧縮機トルクの信号が、圧縮機の駆動源の制御装置に送られる、請求項5に記載の冷凍サイクル。
  7. 前記圧力センサの出力特性の校正が、補正項を有する予め設定された演算式を用いて行われる、請求項2〜6のいずれかに記載の冷凍サイクル。
  8. 前記圧力センサの出力特性の校正が、複数の出力特性が予め設定されたマップを用いて行われる、請求項2〜6のいずれかに記載の冷凍サイクル。
  9. 前記圧力センサの出力特性の特性差が、冷凍サイクルが停止されてから所定時間経過後に求められる、請求項1〜8のいずれかに記載の冷凍サイクル。
  10. 車両用空調装置に用いられる、請求項1〜9のいずれかに記載の冷凍サイクル。
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