JP2011031428A - 飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 - Google Patents

飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水蒸気バリア性に優れたプラスチック容器を簡便かつ低コストに提供する。
【解決手段】(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、石油樹脂(C)5〜30質量%とを含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されている飲料用又は食品用被覆容器。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品や飲料の包装材に適したプラスチック容器に関する。
飲料用又は食品用の容器における水蒸気バリア性は、飲料用においては飲料液量の確保や飲料組成の維持などの観点から、食品用においては食品の含有水分の適性範囲内の維持などの観点から重要な性質である。
ところで、生物由来の有機資源であるバイオマスを利用したバイオマスプラスチックは、石油等の限りある化石資源を節約でき、二酸化炭素の発生を削減できるなど環境調和性の点で有利であるため近年注目されている。
しかし、このようなバイオマスプラスチックは、その代表例であるポリ乳酸のように水蒸気バリア性に乏しい材料が多く、飲料用又は食品用の容器に適用するためには、水蒸気バリア性を向上させることが求められている。例えば、ポリ乳酸を用いて一般的な500mlボトルを作製した場合、ボトル内の水分は月当たり4.5g程度透過、蒸散してしまう。したがって、このようなボトルは、内容物の保存性に劣るため日本国内では計量法の観点から3ヶ月以上利用することができず、飲料用途への展開が困難である。そこで、簡便に水蒸気バリア性を現在の3倍以上に高めて、一般の流通製品と同等以上の水蒸気バリア性を達成することが望まれている。
水蒸気バリア性を向上させる方法としては、飲料容器の場合、ボトルを多層にする方法や薄膜を形成する方法などが知られており、紙コップをはじめとして飲料容器に撥水性や水蒸気バリア性を付与するためにポリオレフィン系材料を塗布することやラミネートすることは広く知られている。
また、ポリ乳酸などのバイオマスプラスチック製の容器について、水蒸気バリア性を向上させた事例もいくつか知られている。例えば特許文献1及び2には、容器を多層構造とし、その内層や中間層を耐透湿性(水蒸気バリア性)に優れた石油系プラスチックで構成したものが記載されている。また、非特許文献1には、容器を多層構造とし、ガスバリア性に優れた樹脂(エチレンビニールアルコール(EVOH))を中間層に数質量%含有させたものが記載されている。
しかし、特許文献1又は2に記載の容器では、バイオマスプラスチック容器の数十質量%を石油系プラスチックで構成することになり、バイオマスプラスチックを容器材料に選定した趣旨が薄れてしまう。また、非特許文献1に記載のような多層の容器を構成するためには比較的高額な設備を導入する必要がある。
また、ポリ乳酸のように樹脂価格がまだ従来の石油系樹脂よりも高めのものを原料とする場合には、簡便かつ低コストで水蒸気バリア性を向上させる機構および方法が望まれる。中間層に使用されるEVOH樹脂や、メタキシレンジアミンとアジピン酸とからなるMXDナイロンも一般に高額であるが、中間層の割合を低減した場合には耐透湿性の改善効果が低くなってしまう。
一方、水蒸気バリア性を向上させる方法として、容器表面に塗膜を形成する方法も考えられる。しかし、塗料に有機溶剤が含まれる場合には、人体への影響から飲料や食品用の容器にそのような塗料を適用することは困難である。また、環境調和性の観点からも好ましくなく、さらに、極端な場合には塗料中の有機溶剤が、基材となるプラスチックを変性させてしまうおそれもある。
特開2001−225430号公報 特開2006−88541号公報
「ジャパンフードサイエンス」,日本食品出版株式会社刊,2008年3月号,Vol.47
本発明の課題は、水蒸気バリア性に優れたプラスチック容器を提供することにあり、特に、水蒸気バリア性に優れたバイオマスプラスチック容器を提供することにある。また、本発明の課題は、有機溶剤を使用することなく、しかも既存の設備をできるだけそのまま利用して簡便かつ低コストに水蒸気バリア性に優れたプラスチック容器を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の組成物を用いてプラスチック容器の表面を被覆することで、有機溶剤を使用することなく、水蒸気バリア性に優れた飲料用又は食品用被覆容器を簡便かつ低コストに提供できることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
本発明の課題は、下記の手段によって解決される。
[1](a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
石油樹脂(C)5〜30質量%と
を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されていることを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器。
[2]前記組成物の120℃における粘度が1000mPa・s以下である、上記[1]に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[3]前記結晶性高級α−オレフィン重合体(A)の融点が50℃以上である、上記[1]又は[2]に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[4]前記プラスチック容器がバイオマスプラスチックを主成分として含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[5]前記バイオマスプラスチックが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート及びポリヒドロキシブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[4]に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[6]飲料用ボトルである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[7](a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
石油樹脂(C)5〜30質量%と
を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物を70℃以上120℃以下で溶融し、0.05〜0.6MPa(ゲージ圧)の吐出圧でプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程を含むことを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
[8]前記の組成物をプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程の後に、前記の組成物が塗布されたプラスチック容器を加熱する工程を含む、上記[7]に記載の飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
本発明の飲料用又は食品用被覆容器は、特定の組成物によってプラスチック容器表面が被覆されており、水蒸気バリア性に優れる。本発明の被覆容器においてプラスチック容器表面に形成された被膜は、容器に密着して剥がれにくく、容器表面を保護して傷がつくのを防止することができ、しかも常温でのベタつきが少ない。また、前記被膜はプラスチック容器表面に被覆した後に短時間で乾燥するため、本発明の被覆容器は生産性にも優れる。
また、本発明によれば、前記の水蒸気バリア性に優れた被覆容器を簡便かつ低コストで製造することができ、また、有機溶剤を一切使用しないので環境調和性にも優れる。特に、バイオマスプラスチックを容器材料として用いた場合には、より一層優れた環境調和性を実現することができる。
図1は、示差走査型熱量計により測定される吸熱ピークを示す融解曲線において、吸熱ピーク時の半値幅の導出方法を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の被覆容器は、(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、石油樹脂(C)5〜30質量%とを含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されていることを特徴とする。
まず、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)について説明する。
結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、水蒸気バリア性を向上させるとともに、樹脂組成物を容器に塗布した後の速乾性を向上させ、飲料用又は食品用被覆容器の製造工程でのラインスピードを上げ、生産性を向上させることに貢献する。
本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、下記の条件(a1)及び(a2)を満たすことが要求される。
(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなること。
(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内であること。
本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなる。ここで、「主成分として含む」とは、50モル%以上含有することを意味する。主成分であるα−オレフィンの炭素数が18未満の場合、得られる重合体は結晶性が低く、これを含む組成物はベタつくため被覆材料として好ましくない。一方、主成分であるα−オレフィンの炭素数が32を超える場合、得られる重合体は、融点が高融点化して、それによりエラストマーとの混和性が悪化したり粘度の増加が起きたりする等、スプレー適正を損ないやすくなるため被覆材料として好ましくない。
主成分であるα−オレフィンの炭素数は、融点とスプレー適性とのバランスの観点から、18〜28が好ましく、20〜26がより好ましい。なお、本発明の効果を阻害しない範囲でそれ以外の炭素数のα−オレフィンを用いることもできる。
炭素数18以上32以下のα−オレフィンとしては、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−ヘプタコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン等が挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。
結晶性高級α−オレフィン重合体(A)中、その主原料モノマーである炭素数18以上32以下のα−オレフィンの含有量は、融点とスプレー適性とのバランスの観点から、好ましくは50モル%以上であり、更に好ましくは70〜100モル%であり、特に好ましくは85〜100モル%であり、最も好ましくは100モル%である。
本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、溶融、固化する温度範囲が極めて狭いこと、すなわち、所定の温度でシャープに融解、結晶化が起こることが望まれる。そのためには融点が1つであり、さらに融解ピーク半値幅が狭いことが望ましい。したがって、本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、示差走査型熱量計(DSC)を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である。このような条件を満たすα−オレフィン重合体を含有することで、本発明に用いられる組成物は常温でベタつきが発生しにくい材料となる。ここで、ピークが1つ(単一)であるということは、原則として他のピークやショルダーと見られる吸収が無いことを意味する。
融点は、45℃以上80℃以下であり、好ましくは50〜75℃、より好ましくは55〜70℃である。融点が45℃未満の場合、常温にて溶解している成分が存在し、プラスチック容器にコーティングした際にベタつく一方、80℃を超える場合は、特にガラス転移点が80℃以下でかつ薄肉の容器を熱変形させやすいため、いずれの場合も被覆材料として好ましくない。
また、ピークの半値幅は、15℃以内であり、好ましくは10℃以内、より好ましくは5℃以内である。15℃を超える場合には、常温にて溶解している成分が存在し、プラスチック容器にコーティングした際にベタつくため、被覆材料として好ましくない。
本発明では、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、150℃まで、10℃/分で昇温させ、150℃で3分保持した後、−30℃まで、10℃/分で降温させ、−30℃で3分保持した後、150℃まで10℃/分で昇温させることで、吸熱ピークを示す融解曲線を得る。示差走査型熱量計としては特に限定されないが、例えばパーキンエルマー社製DSC7(商品名)を用いることができる。本発明では、得られた融解曲線におけるピークトップの温度を融点(Tm)とする。
以下に、本発明におけるピークの半値幅の導出方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、示差走査型熱量計により測定される融解曲線において、吸熱ピーク時の半値幅の導出方法を示す図である。
図1に示される示差走査型熱量計により測定される融解曲線において、融点より高温域の融解曲線が安定した所(直線領域)に沿って低温域へ直線kを延ばし、融点位置でのその直線の位置(Tm,Pl)と融解曲線上での融点での位置(Tm,Ph)の中点の位置(Tm,Pm)を通り、かつ、直線kに平行な直線lを引き、その直線lが融解曲線と交わる温度の高温側と低温側との温度差を半値幅とする。
また、本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、上記の条件(a1)及び(a2)に加えて下記の条件(a3)をも満たすことが好ましい。
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した重量平均分子量(Mw)が1,000〜100,000であること。
ここで、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレンの検量線から求めたポリスチレン換算値である。
前記の重量平均分子量(Mw)は、融点降下と粘性上昇の観点から、5,000以上50,000以下であることがより好ましく、5,000以上20,000以下であることが特に好ましい。
本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、国際公開第2003/070790号や国際公開第2003/087218号などの記載を参照して調製することができる。
次に、前記オレフィン系エラストマー(B)について説明する。
オレフィン系エラストマー(B)は、容器に被覆される組成物において容器との密着性を付与するために必須の成分である。密着性が悪い場合には、容器の搬送中や使用中にコートした材料が剥がれることとなり使用に耐えることができない。
本発明に用いられるオレフィン系エラストマー(B)は、重量平均分子量(Mw)が2,000以上10万以下であり、好ましくは3,000以上80,000以下である。ここで、重量平均分子量(Mw)は上記と同様にGPC法により測定したポリスチレン(PS)換算された値である。分子量が2,000未満の場合には弾性的性質が無くなるため、これを含む組成物は容器との密着性が悪くなり、一方、分子量が10万を超える場合には結晶性高級α−オレフィン重合体(A)との混和性が劣るため、これを含む組成物は容器にコートした際に塗りムラが発生し、割れや剥がれが発生するので、いずれの場合も被覆材料として好ましくない。
オレフィン系エラストマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンが共重合してなるエラストマー又はこれらと環状オレフィン、スチレン系モノマー、非共役ジエンとが共重合してなるエラストマーやプラストマーと呼ばれているもの等が挙げられる。一般的には、密度が0.91g/cm3以下のものがプラストマー又はエラストマーと呼ばれるが、ゴム弾性的な性質を持つものであれば密度によって制限されることはなく、化学的架橋されているものでも化学的架橋されていないものでもよい。非共役ジエンとしては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等を挙げることができる。
このようなオレフィン系エラストマーとしては、具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・1−ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン・1−オクテン共重合体エラストマー、エチレン・スチレン共重合体エラストマー、エチレン・ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン・1−ブテン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・1−ブテン−非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン・プロピレン・1−ブテン−非共役ジエン共重合体エラストマー等のオレフィンを主成分とする無定型の弾性共重合体を挙げることができる。これらのなかでも、炭素原子数が2〜8のオレフィンを主な構成単位とする重合体であることが好ましく、さらにエチレン単位及び/又はプロピレン単位を主な構成単位とする共重合体であることが好ましい。
また、オレフィン系のエラストマーとして、立体規則性を制御したポリプロピレンやポリブテン等も挙げられる。これは、立体規則性を低下させることにより結晶性を低下させ、ゴム的な弾性を発現させたものであり、具体的には、特開2001−172325号公報、特開2002−322213号公報に示される重合体が例示される。
本発明に用いられるエラストマー(B)は、一種のみ用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、前記石油樹脂(C)について説明する。
石油樹脂(C)は、容器に被覆される組成物と容器との密着性および硬さを与えるために必須の成分である。硬さが低い場合には、容器の搬送中に容器同士の接触により容器表面に傷が付き、製品として使用できなくなるおそれがある。
本発明で用いられる石油樹脂(C)は特に限定されず、任意のものを用いることができる。例として、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、それらの水素添加物(水添体)などが挙げられ、熱的な安定性の面から水添系の石油樹脂が好ましい。上記の樹脂はいずれも市販されており、商業的に入手可能である。例えば、市販の水添石油樹脂としては、「アイマーブ」(商品名、出光石油化学製)等が挙げられる。これらの石油樹脂は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において容器に被覆される組成物は、結晶性高級α−オレフィン重合体(A)を30〜70質量%、オレフィン系エラストマー(B)を15〜45質量%、石油樹脂(C)を5〜30質量%を含む。当該組成物が3成分をこのような比率で含有することで、プラスチック容器へのスプレー塗布が可能となり、水蒸気バリア性に優れ、かつ密着性、速乾性および硬さに優れたバランスのよい被膜を容器表面に形成することができる。
結晶性高級α−オレフィン重合体(A)の含有量は、30質量%未満では水蒸気バリア性や速乾性が劣り、70質量%を超える場合は容器との密着性が劣る。好ましくは40〜70質量%であり、より好ましくは45〜65質量%である。
オレフィン系エラストマー(B)の含有量は、15質量%未満では密着性が劣り、45質量%を超える場合は即乾性が劣る。好ましくは15〜40質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。
石油樹脂(C)の含有量は、5質量%未満では密着性や硬さが劣り、30質量%を超える場合は即乾性が劣る。好ましくは5〜25質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。
本発明の容器に被覆される組成物において、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計は、90質量%以上であり、好ましくは95質量%以上である。
本発明において容器に被覆される組成物の製造方法には特に制限はなく、当業界で通常用いられる方法、例えば、下記(i)〜(iii)のような方法が挙げられる。
(i)結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)を溶融混練する方法。
(ii)少なくとも2種の触媒の存在下で、結晶性高級α−オレフィン重合体(A)及び石油樹脂(C)を重合して製造し、これらとオレフィン系エラストマー(B)とを溶融混練する方法。
(iii)結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)を共通の溶媒に溶解しブレンドする方法。
溶融混練は任意の方法で行うことができ、溶融混練装置としては、例えばミキシングロール、インテンシブミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸押出機などを用いることができる。
また、本発明において容器に被覆される組成物には、必要に応じて、任意の無機充填剤、有機充填剤等の充填剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。また、必要に応じて、任意の結晶核剤,耐侯安定剤,紫外線吸収剤,光安定剤,耐熱安定剤,帯電防止剤,離型剤,難燃剤,合成油,ワックス,電気的性質改良剤,スリップ防止剤,アンチブロッキング剤,粘度調整剤,着色防止剤,防曇剤,滑剤,顔料,染料,可塑剤,軟化剤,老化防止剤,塩酸吸収剤,塩素捕捉剤,酸化防止剤等の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。例えば、安定剤としては、フェノール系安定剤、有機フォスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤及び高級脂肪酸の金属塩などを用いることができる。
本発明において容器に被覆される組成物は、スプレー等による塗布性の観点から、120℃における粘度が1000mPa・s以下であることが好ましい。粘度は、例えばデジタル粘度計(ブルックフィールド社製、商品名:LVDV−I)により測定することができる。
本発明において容器に被覆される組成物の厚さは特に限定されないが、水蒸気バリア性付与および経済性の観点から、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは20〜50μmである。
次に、前記組成物によって被覆されるプラスチック容器について説明する。
当該容器を構成するプラスチックとしては特に限定されず、具体例としては例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・コポリマー(ABS)等が挙げられる。これらの中でも、地球温暖化防止等の観点から、バイオマスプラスチックを主成分として含有するものが好ましく、生分解性のバイオマスプラスチックが特に好ましい。ここで、「バイオマスプラスチック」とは、生物資源(バイオマス)から製造されるプラスチックをいい、バイオマスプラスチックには、バイオマスから作られた原料だけを原料にしたプラスチック(全面的バイオマス原料プラスチック)及びバイオマスから作られた原料と石油原料とからなるプラスチック(部分的バイオマス原料プラスチック)が含まれる。「主成分として含む」とは、50%以上含有することを意味する。「生分解性」とは、微生物などによって分解されうる性質をいう。
バイオマスプラスチックは、生物体に由来する材料から得られるものであり、生分解性の樹脂もそうでない樹脂も含まれる。いずれの樹脂も、元来地上にある植物を原料とするため、地上の二酸化炭素の増減に影響を与えないという考え方、つまりカーボンニュートラルの概念を当てはめることができる。すなわち、植物が大気中の二酸化炭素を固定して生成した物質を使ってつくるプラスチックであるため、それを燃焼廃棄しても二酸化炭素の収支はゼロとなるという考え方である。
バイオマスプラスチックとしては、例えば、ポリヒドロキシブチレートに代表される微生物系や、ポリ乳酸やポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル系、でんぷんやセルロースを原料とした天然物系が挙げられる。このなかでも、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート及びポリヒドロキシブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、比較的低価格でボトルなどへの成形性に優れたポリ乳酸がより好ましい。
本発明において前記組成物によって被覆されるプラスチック容器の厚さは特に限定されないが、軽量性、経済性および強度の観点から、好ましくは10〜1000μmであり、より好ましくは100〜400μmである。
本発明の容器の形状は特に限定されないが、特にボトルタイプのものが好ましい。また、本発明の容器の用途は特に限定されないが、食品用および飲料用であることが好ましく、飲料用であることが特に好ましい。
以下に、本発明の容器の製造方法について説明する。
本発明の容器は、成形加工によりプラスチック容器を得た後、このプラスチック容器の表面に前記組成物を被覆することで製造することができる。ここで、前記組成物は、水蒸気バリア性向上の観点からはプラスチック容器の内表面及び/又は外表面に被覆されてもよいが、被覆材の密着性、容器の外表面の保護、及びコスト等の観点からプラスチック容器の外表面に被覆されていることが好ましい。
プラスチック容器の成形方法としては特に限定されず、任意の方法で成形することができ、具体例としては例えば、真空成形、圧空成形および真空・圧空成形等の絞り成形や、ダイレクトブロー法、射出ブロー成形法および延伸ブロー成形法等に代表されるブロー成形、並びに一般的な射出成形法、ガス射出成形、射出プレス成形などが挙げられる。
プラスチック容器の表面に前記組成物を被覆する方法についても特に制限はなく、例えば、前記組成物を溶融状態でプラスチック容器の表面に噴霧して被覆するスプレー法(スプレーコーティング)や、溶融状態の前記組成物中にプラスチック容器を浸漬して被覆する手法などがある。本発明では、前記組成物をプラスチック容器の表面にスプレーコーティングすることが特に好ましい。
本発明の方法は、(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、石油樹脂(C)5〜30質量%とを含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物(すなわち上記説明した組成物)を70℃以上120℃以下で溶融し、0.05〜0.6MPaG(ゲージ圧)の吐出圧で、プラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程を含むことを特徴とする。ここで、前記組成物の温度は、均一な塗布、ボトルの熱変形および省エネルギーの観点から80〜110℃が好ましい。また、スプレーの吐出圧は、均一な塗布およびボトルの圧力変形の観点から0.1〜0.3MPaGが好ましい。スプレーの際には前記組成物を不活性キャリアガスとともに噴霧することが好ましく、そのようなキャリアガスとしては例えば、窒素、空気、アルゴン、炭酸ガス等を用いることができる。
また、スプレーコーティング後に、前記の組成物が塗布されたプラスチック容器を加熱してもよく、これにより、被覆した前記組成物を再溶融、固化して均一化することができる。加熱方法は特に限定されず、例えば容器に温風をあてる方法や容器を高温槽内に投入する方法などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
まず、高級α−オレフィン重合体およびエラストマーの物性評価方法について説明する。
1)示差走査型熱量計を用いた測定(融点、半値幅の測定)
α−オレフィン重合体の融点および半値幅は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて融解挙動測定を行った。示差走査型熱量計としては、DSC−7(商品名、パーキンエルマー社製)を用いた。具体的には、試料10mgを窒素雰囲気下で25℃から150℃まで100℃/分で昇温し、150℃にて3分保持した後、−30℃まで、10℃/分で降温し、−30℃にて3分保持した後、150℃まで10℃/分で昇温することで、吸熱ピークを示す融解曲線を得た。得られた融解曲線におけるピークトップの温度を融点(Tm)とした。また、前述のようにして、得られた融解曲線から半値幅(℃)を求めた。半値幅の算出方法は以下の通りである。
図1に示したような示差走査型熱量計により測定される融解曲線において、融点より高温域の融解曲線が安定した所(直線領域)に沿って低温域へ直線kを延ばし、融点位置でのその直線の位置(Tm,Pl)と融解曲線上での融点での位置(Tm,Ph)の中点の位置(Tm,Pm)を通り、かつ、直線kに平行な直線lを引き、その直線lが融解曲線と交わる温度の高温側と低温側との温度差を半値幅とした。
2)分子量測定方法
ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の装置及び条件で重量平均分子量(Mw)を測定した。重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレンの検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いた。
(GPC測定装置)
カラム:TOSO GMHHR−H(S)HT(商品名、東ソー社製)
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C(商品名、ウォーターズ社製)
(測定条件)
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度:145℃
流速:1.0ミリリットル/分
試料濃度:2.2mg/ミリリットル
注入量:160マイクロリットル
検量線:Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
3)粘度測定方法
JIS K7117−1に準拠し測定した。粘度計にはデジタル粘度計(ブルックスフィールド社製、商品名:LVDV−I+)を用い、温調機にはブルックスフィールド社製、モデル75を用いた。スピンドルにはSC4−18及びSC−34を用いた(いずれも商品名)。測定温度は120℃である。校正に用いた標準物質はJS50及びJS160000である(いずれも商品名、日本グリース社製)。
製造例1
(結晶性高級α−オレフィン重合体の調製)
<a>重合触媒の調製
窒素気流下、200mlのシュレンク瓶に、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)と、エーテル100mlを入れた後、−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(濃度1.6mol/l)9.0ml(14.8mmol)加え、再び室温に戻して12時間攪拌した。
得られた溶液から溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン20mlで洗浄した後、減圧乾燥することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩を白色固体として定量的に得た。
次に、シュレンク瓶中で、得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩(6.97mmol)をテトラヒドロフラン(THF)50mlに溶解し、室温でヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し、12時間攪拌した。
攪拌後、溶媒を留去し、エーテル50ml加えた。さらに、そこへ、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、洗浄し、水相を分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)を得た(収率84%)。
上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)とエーテル50mlを、窒素気流下、シュレンク瓶に入れ、−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.6モル/リットル)を7.4ml(11.8mmol)を加えた後、室温に戻し、12時間攪拌した。
攪拌後の溶液から、溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン40mlで洗浄して、リチウム塩のエーテル付加体3.06gを得た。
このリチウム塩のエーテル付加体の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,THF−d8):δ0.04(s,−SiMe3,18H),0.48(s,−Me2Si−,12H),1.10(t,−CH3,6H),2.59(s,−CH2−,4H),3.38(q,−CH2−,4H),6.2〜7.7(m,Ar−H,8H)
窒素気流下、上記で得られたリチウム塩のエーテル付加体3.06gをトルエン50mlに懸濁させ、−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン(20ml)懸濁液を滴下したのち、室温に戻し6時間攪拌した。
得られた溶液の溶媒を留去後、残留した固体を、ジクロロメタンにより再結晶化して、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの黄色微結晶0.9g(1.33mmol)を得た。(収率26%)
この黄色微結晶の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,CDCl3):δ0.0(s,−SiMe3−,18H),1.02,1.12(s,−Me3Si−,12H),2.51(dd,−CH2−,4H),7.1〜7.6(m,Ar−H,8H)
<b>結晶性高級α−オレフィン重合体の調製
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、炭素数20、22及び24のα−オレフィンの42/36/22質量%混合体を400mL入れ、重合温度110℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを4μmol加え、水素を0.2MPaで導入し、120分間重合した。重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、高級α−オレフィン重合体210gを得た。得られた重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は14,000、融点は58℃であり、半値幅は3.5℃であった。また、前記の測定方法により融点(Tm)を測定したときに観測されたピークは一つであった。
実施例1、比較例1〜5
(1)熱可塑性樹脂組成物の調製
製造例1で調製した結晶性高級α−オレフィン重合体、並びに下記のオレフィン系エラストマー、石油樹脂及びパラフィンワックスを用いて、表1に示す組成で熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ調製した。具体的には、ラボプラストミルMR(商品名、(株)東洋精機製作所製)を用いて、溶融温度120℃、回転数150rpm、溶融時間5分の条件で、所定量の結晶性高級α−オレフィン重合体、オレフィン系エラストマー、石油樹脂及びパラフィン系ワックスを溶融混練して熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
結晶性高級α−オレフィン重合体:製造例1の重合体
オレフィン系エラストマー:リコセンPP1502(商品名、クラリアント社製、エチレン・プロピレン共重合体、Mw=16,000)
石油樹脂:アイマーブP−90(商品名、出光興産社製)
パラフィンワックス:PW140(商品名、日本精鑞社製)
(2)プラスチック容器の作製
ポリ乳酸(テラマック、商品名、ユニチカ社製)を、射出成型装置(KS100T、商品名、(株)型システム製)を用いてプリフォームを成形し、その後ブロー成形機(LB01、商品名、SIG社製)を用いて、500mlサイズのボトル形状に成型した。射出成型は樹脂温度220℃、射出成形圧70〜80MPaの条件で行った。ブロー成形は、プリフォーム加熱温度100〜110℃、一次ブロー圧1MPa、二次ブロー圧3MPaにて行った。得られたボトルの質量は24gであった。
(3)飲料用又は食品用被覆容器の作製
得られたボトルの外表面に、100℃に溶融した前記樹脂組成物(コート材)をスプレー塗布した。スプレー塗布には、ノズル霧化装置(商品名:マジックカットe−ミスト、扶桑精機社製、スプレーガンHM−1装着品、吐出圧:0.2MPaG)を用いた。なお、500mlサイズのポリ乳酸容器(表面積約300cm2)に対して前記樹脂組成物0.5gの塗布量として、樹脂組成物の塗膜の平均膜厚を約20μmに管理した。
[評価]
1)スプレー適性
上記の条件でスプレー塗布を行った際に、吐出不良の問題がなくボトルにコート材を塗布できたものを○、コート材が吐出しにくかったものを△、コート材が吐出せず塗布できなかったものを×とした。
2)速乾性
室温23℃の環境下においてスプレー直後に手で触った際に、ベタつきのないものを○、わずかにベタつきのあるものを△、ベタつきのあるものを×とした。
3)密着性
スプレー後のボトルを手で潰した際に、コート材が剥がれなかったものを○、剥がれたものを×とした。
4)硬さ
スプレー後のボトルに爪を立てた際に、傷が目立たなかったものを○、傷が目立ったものを×とした。
5)水蒸気バリア性(14日経時後の質量減少量)
ボトルに水500mlを入れ、23℃、湿度50%の環境下における14日経過後の水の質量減少量を測定した。表1に、コート材を塗布していないボトル(比較例1)を100%としてその相対値(%)を示す。水の質量減少量が少ないほど水蒸気バリア性に優れることを表す。
6)ベタつき性(常温溶融成分量)
べた付き性の評価は、樹脂組成物をDSC(パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC7)を用いて、0〜30℃の範囲での融解熱量(J/g)を算出した。融解熱量の算出は、上述の高級α−オレフィン重合体の融点を求める際に得られた融解曲線から行った。この融解熱量は溶融成分量融解熱量が高い程、室温にて溶融している成分が多いことを意味し、ベタつき性が強いことを表す。
Figure 2011031428
表1の結果から明らかなように、コート材を被覆しなかった比較例1のボトルは水蒸気バリア性に乏しかった。高級α−オレフィン重合体のみをコート材として被覆した比較例2のボトル及びエラストマーを含有しないコート材を被覆した比較例4のボトルは、コート材が剥がれ落ち、密着性に劣るものであった。また、比較例4のボトルは、その製造の際にはコート材がノズルから吐出しにくく、生産性にやや劣った。石油樹脂を含有しないコート材を被覆した比較例3のボトルは傷がつきやすく硬さに劣るものであり、その製造の際にはコート材がノズルから吐出しにくく生産性にやや劣った。エラストマーとパラフィンワックスからなるコート材を被覆した比較例5のボトルはベタつき性に劣るものであった。
これに対し、所定の結晶性高級α−オレフィン重合体とエラストマーと石油樹脂からなるコート材を被覆した実施例1のボトルはいずれも、水蒸気バリア性に優れるとともに、コート材がベタつくこともボトルから剥がれることもなく、傷もつきにくかった。また、その製造の際には、有機溶剤を一切使用せず、コート材の吐出不良などの問題はなく、コート材は被覆後にすぐに乾いて効率よく製造することができた。
したがって、本発明のプラスチック容器は水蒸気バリア性に優れ、飲料用の場合には飲料液量を確保したり飲料組成を維持したりすることができ、食品用の場合には食品の含有水分を適性範囲内に維持することができ、内容物の保存性に優れる。しかも、本発明のプラスチック容器は、有機溶剤を使用することなく製造することができるため、容器内に保存された飲料又は食品を飲食する人体に対して安全であり、環境調和性にも優れる。特に、容器の基材としてバイオマスプラスチックを用いた場合には、より一層優れた環境調和性を実現することができる。
本発明のプラスチック容器は、水蒸気バリア性に優れるため内容物の保存性に優れ、食品や飲料の包装材として好適である。

Claims (8)

  1. (a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
    重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
    石油樹脂(C)5〜30質量%と
    を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されていることを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器。
  2. 前記組成物の120℃における粘度が1000mPa・s以下である、請求項1記載の飲料用又は食品用被覆容器。
  3. 前記結晶性高級α−オレフィン重合体(A)の融点が50℃以上である、請求項1又は2に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
  4. 前記プラスチック容器がバイオマスプラスチックを主成分として含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
  5. 前記バイオマスプラスチックが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート及びポリヒドロキシブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の飲料用又は食品用被覆容器。
  6. 飲料用ボトルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
  7. (a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
    重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
    石油樹脂(C)5〜30質量%と
    を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物を70℃以上120℃以下で溶融し、0.05〜0.6MPa(ゲージ圧)の吐出圧でプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程を含むことを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
  8. 前記の組成物をプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程の後に、前記の組成物が塗布されたプラスチック容器を加熱する工程を含む、請求項7記載の飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
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