JP2011031428A - 飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 - Google Patents
飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011031428A JP2011031428A JP2009178058A JP2009178058A JP2011031428A JP 2011031428 A JP2011031428 A JP 2011031428A JP 2009178058 A JP2009178058 A JP 2009178058A JP 2009178058 A JP2009178058 A JP 2009178058A JP 2011031428 A JP2011031428 A JP 2011031428A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- container
- olefin
- mass
- composition
- coating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
- 0 CC1C(C2)=C2*C1 Chemical compound CC1C(C2)=C2*C1 0.000 description 2
- TVZUYFWYMSJHGI-UHFFFAOYSA-N CN(C)CCC1=CCCC1 Chemical compound CN(C)CCC1=CCCC1 TVZUYFWYMSJHGI-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Images
Abstract
【解決手段】(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、石油樹脂(C)5〜30質量%とを含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されている飲料用又は食品用被覆容器。
【選択図】なし
Description
しかし、このようなバイオマスプラスチックは、その代表例であるポリ乳酸のように水蒸気バリア性に乏しい材料が多く、飲料用又は食品用の容器に適用するためには、水蒸気バリア性を向上させることが求められている。例えば、ポリ乳酸を用いて一般的な500mlボトルを作製した場合、ボトル内の水分は月当たり4.5g程度透過、蒸散してしまう。したがって、このようなボトルは、内容物の保存性に劣るため日本国内では計量法の観点から3ヶ月以上利用することができず、飲料用途への展開が困難である。そこで、簡便に水蒸気バリア性を現在の3倍以上に高めて、一般の流通製品と同等以上の水蒸気バリア性を達成することが望まれている。
しかし、特許文献1又は2に記載の容器では、バイオマスプラスチック容器の数十質量%を石油系プラスチックで構成することになり、バイオマスプラスチックを容器材料に選定した趣旨が薄れてしまう。また、非特許文献1に記載のような多層の容器を構成するためには比較的高額な設備を導入する必要がある。
また、ポリ乳酸のように樹脂価格がまだ従来の石油系樹脂よりも高めのものを原料とする場合には、簡便かつ低コストで水蒸気バリア性を向上させる機構および方法が望まれる。中間層に使用されるEVOH樹脂や、メタキシレンジアミンとアジピン酸とからなるMXDナイロンも一般に高額であるが、中間層の割合を低減した場合には耐透湿性の改善効果が低くなってしまう。
本発明の課題は、下記の手段によって解決される。
重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
石油樹脂(C)5〜30質量%と
を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されていることを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器。
[2]前記組成物の120℃における粘度が1000mPa・s以下である、上記[1]に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[3]前記結晶性高級α−オレフィン重合体(A)の融点が50℃以上である、上記[1]又は[2]に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[4]前記プラスチック容器がバイオマスプラスチックを主成分として含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[5]前記バイオマスプラスチックが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート及びポリヒドロキシブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記[4]に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[6]飲料用ボトルである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の飲料用又は食品用被覆容器。
[7](a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
石油樹脂(C)5〜30質量%と
を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物を70℃以上120℃以下で溶融し、0.05〜0.6MPa(ゲージ圧)の吐出圧でプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程を含むことを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
[8]前記の組成物をプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程の後に、前記の組成物が塗布されたプラスチック容器を加熱する工程を含む、上記[7]に記載の飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
また、本発明によれば、前記の水蒸気バリア性に優れた被覆容器を簡便かつ低コストで製造することができ、また、有機溶剤を一切使用しないので環境調和性にも優れる。特に、バイオマスプラスチックを容器材料として用いた場合には、より一層優れた環境調和性を実現することができる。
本発明の被覆容器は、(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、石油樹脂(C)5〜30質量%とを含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されていることを特徴とする。
結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、水蒸気バリア性を向上させるとともに、樹脂組成物を容器に塗布した後の速乾性を向上させ、飲料用又は食品用被覆容器の製造工程でのラインスピードを上げ、生産性を向上させることに貢献する。
本発明に用いられる結晶性高級α−オレフィン重合体(A)は、下記の条件(a1)及び(a2)を満たすことが要求される。
(a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなること。
(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内であること。
主成分であるα−オレフィンの炭素数は、融点とスプレー適性とのバランスの観点から、18〜28が好ましく、20〜26がより好ましい。なお、本発明の効果を阻害しない範囲でそれ以外の炭素数のα−オレフィンを用いることもできる。
炭素数18以上32以下のα−オレフィンとしては、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−ヘプタコセン、1−オクタコセン、1−トリアコンテン、1−ドトリアコンテン等が挙げられ、これらのうち一種又は二種以上を用いることができる。
融点は、45℃以上80℃以下であり、好ましくは50〜75℃、より好ましくは55〜70℃である。融点が45℃未満の場合、常温にて溶解している成分が存在し、プラスチック容器にコーティングした際にベタつく一方、80℃を超える場合は、特にガラス転移点が80℃以下でかつ薄肉の容器を熱変形させやすいため、いずれの場合も被覆材料として好ましくない。
また、ピークの半値幅は、15℃以内であり、好ましくは10℃以内、より好ましくは5℃以内である。15℃を超える場合には、常温にて溶解している成分が存在し、プラスチック容器にコーティングした際にベタつくため、被覆材料として好ましくない。
図1に示される示差走査型熱量計により測定される融解曲線において、融点より高温域の融解曲線が安定した所(直線領域)に沿って低温域へ直線kを延ばし、融点位置でのその直線の位置(Tm,Pl)と融解曲線上での融点での位置(Tm,Ph)の中点の位置(Tm,Pm)を通り、かつ、直線kに平行な直線lを引き、その直線lが融解曲線と交わる温度の高温側と低温側との温度差を半値幅とする。
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した重量平均分子量(Mw)が1,000〜100,000であること。
ここで、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレンの検量線から求めたポリスチレン換算値である。
前記の重量平均分子量(Mw)は、融点降下と粘性上昇の観点から、5,000以上50,000以下であることがより好ましく、5,000以上20,000以下であることが特に好ましい。
オレフィン系エラストマー(B)は、容器に被覆される組成物において容器との密着性を付与するために必須の成分である。密着性が悪い場合には、容器の搬送中や使用中にコートした材料が剥がれることとなり使用に耐えることができない。
本発明に用いられるオレフィン系エラストマー(B)は、重量平均分子量(Mw)が2,000以上10万以下であり、好ましくは3,000以上80,000以下である。ここで、重量平均分子量(Mw)は上記と同様にGPC法により測定したポリスチレン(PS)換算された値である。分子量が2,000未満の場合には弾性的性質が無くなるため、これを含む組成物は容器との密着性が悪くなり、一方、分子量が10万を超える場合には結晶性高級α−オレフィン重合体(A)との混和性が劣るため、これを含む組成物は容器にコートした際に塗りムラが発生し、割れや剥がれが発生するので、いずれの場合も被覆材料として好ましくない。
また、オレフィン系のエラストマーとして、立体規則性を制御したポリプロピレンやポリブテン等も挙げられる。これは、立体規則性を低下させることにより結晶性を低下させ、ゴム的な弾性を発現させたものであり、具体的には、特開2001−172325号公報、特開2002−322213号公報に示される重合体が例示される。
石油樹脂(C)は、容器に被覆される組成物と容器との密着性および硬さを与えるために必須の成分である。硬さが低い場合には、容器の搬送中に容器同士の接触により容器表面に傷が付き、製品として使用できなくなるおそれがある。
本発明で用いられる石油樹脂(C)は特に限定されず、任意のものを用いることができる。例として、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、それらの水素添加物(水添体)などが挙げられ、熱的な安定性の面から水添系の石油樹脂が好ましい。上記の樹脂はいずれも市販されており、商業的に入手可能である。例えば、市販の水添石油樹脂としては、「アイマーブ」(商品名、出光石油化学製)等が挙げられる。これらの石油樹脂は、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
結晶性高級α−オレフィン重合体(A)の含有量は、30質量%未満では水蒸気バリア性や速乾性が劣り、70質量%を超える場合は容器との密着性が劣る。好ましくは40〜70質量%であり、より好ましくは45〜65質量%である。
オレフィン系エラストマー(B)の含有量は、15質量%未満では密着性が劣り、45質量%を超える場合は即乾性が劣る。好ましくは15〜40質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。
石油樹脂(C)の含有量は、5質量%未満では密着性や硬さが劣り、30質量%を超える場合は即乾性が劣る。好ましくは5〜25質量%であり、より好ましくは10〜25質量%である。
本発明の容器に被覆される組成物において、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計は、90質量%以上であり、好ましくは95質量%以上である。
(i)結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)を溶融混練する方法。
(ii)少なくとも2種の触媒の存在下で、結晶性高級α−オレフィン重合体(A)及び石油樹脂(C)を重合して製造し、これらとオレフィン系エラストマー(B)とを溶融混練する方法。
(iii)結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)を共通の溶媒に溶解しブレンドする方法。
溶融混練は任意の方法で行うことができ、溶融混練装置としては、例えばミキシングロール、インテンシブミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸押出機などを用いることができる。
当該容器を構成するプラスチックとしては特に限定されず、具体例としては例えば、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・コポリマー(ABS)等が挙げられる。これらの中でも、地球温暖化防止等の観点から、バイオマスプラスチックを主成分として含有するものが好ましく、生分解性のバイオマスプラスチックが特に好ましい。ここで、「バイオマスプラスチック」とは、生物資源(バイオマス)から製造されるプラスチックをいい、バイオマスプラスチックには、バイオマスから作られた原料だけを原料にしたプラスチック(全面的バイオマス原料プラスチック)及びバイオマスから作られた原料と石油原料とからなるプラスチック(部分的バイオマス原料プラスチック)が含まれる。「主成分として含む」とは、50%以上含有することを意味する。「生分解性」とは、微生物などによって分解されうる性質をいう。
本発明の容器は、成形加工によりプラスチック容器を得た後、このプラスチック容器の表面に前記組成物を被覆することで製造することができる。ここで、前記組成物は、水蒸気バリア性向上の観点からはプラスチック容器の内表面及び/又は外表面に被覆されてもよいが、被覆材の密着性、容器の外表面の保護、及びコスト等の観点からプラスチック容器の外表面に被覆されていることが好ましい。
1)示差走査型熱量計を用いた測定(融点、半値幅の測定)
α−オレフィン重合体の融点および半値幅は、示差走査型熱量計(DSC)を用いて融解挙動測定を行った。示差走査型熱量計としては、DSC−7(商品名、パーキンエルマー社製)を用いた。具体的には、試料10mgを窒素雰囲気下で25℃から150℃まで100℃/分で昇温し、150℃にて3分保持した後、−30℃まで、10℃/分で降温し、−30℃にて3分保持した後、150℃まで10℃/分で昇温することで、吸熱ピークを示す融解曲線を得た。得られた融解曲線におけるピークトップの温度を融点(Tm)とした。また、前述のようにして、得られた融解曲線から半値幅(℃)を求めた。半値幅の算出方法は以下の通りである。
図1に示したような示差走査型熱量計により測定される融解曲線において、融点より高温域の融解曲線が安定した所(直線領域)に沿って低温域へ直線kを延ばし、融点位置でのその直線の位置(Tm,Pl)と融解曲線上での融点での位置(Tm,Ph)の中点の位置(Tm,Pm)を通り、かつ、直線kに平行な直線lを引き、その直線lが融解曲線と交わる温度の高温側と低温側との温度差を半値幅とした。
ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)法により、下記の装置及び条件で重量平均分子量(Mw)を測定した。重量平均分子量(Mw)は、標準ポリスチレンの検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いた。
(GPC測定装置)
カラム:TOSO GMHHR−H(S)HT(商品名、東ソー社製)
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器 WATERS 150C(商品名、ウォーターズ社製)
(測定条件)
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度:145℃
流速:1.0ミリリットル/分
試料濃度:2.2mg/ミリリットル
注入量:160マイクロリットル
検量線:Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
JIS K7117−1に準拠し測定した。粘度計にはデジタル粘度計(ブルックスフィールド社製、商品名:LVDV−I+)を用い、温調機にはブルックスフィールド社製、モデル75を用いた。スピンドルにはSC4−18及びSC−34を用いた(いずれも商品名)。測定温度は120℃である。校正に用いた標準物質はJS50及びJS160000である(いずれも商品名、日本グリース社製)。
(結晶性高級α−オレフィン重合体の調製)
<a>重合触媒の調製
窒素気流下、200mlのシュレンク瓶に、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)と、エーテル100mlを入れた後、−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(濃度1.6mol/l)9.0ml(14.8mmol)加え、再び室温に戻して12時間攪拌した。
得られた溶液から溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン20mlで洗浄した後、減圧乾燥することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩を白色固体として定量的に得た。
攪拌後、溶媒を留去し、エーテル50ml加えた。さらに、そこへ、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、洗浄し、水相を分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去して、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)を得た(収率84%)。
攪拌後の溶液から、溶媒を留去し、残留した固体をヘキサン40mlで洗浄して、リチウム塩のエーテル付加体3.06gを得た。
このリチウム塩のエーテル付加体の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,THF−d8):δ0.04(s,−SiMe3,18H),0.48(s,−Me2Si−,12H),1.10(t,−CH3,6H),2.59(s,−CH2−,4H),3.38(q,−CH2−,4H),6.2〜7.7(m,Ar−H,8H)
得られた溶液の溶媒を留去後、残留した固体を、ジクロロメタンにより再結晶化して、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの黄色微結晶0.9g(1.33mmol)を得た。(収率26%)
この黄色微結晶の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,CDCl3):δ0.0(s,−SiMe3−,18H),1.02,1.12(s,−Me3Si−,12H),2.51(dd,−CH2−,4H),7.1〜7.6(m,Ar−H,8H)
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、炭素数20、22及び24のα−オレフィンの42/36/22質量%混合体を400mL入れ、重合温度110℃まで昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを1μmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレートを4μmol加え、水素を0.2MPaで導入し、120分間重合した。重合反応終了後、反応物をアセトンにて沈殿させた後、加熱、減圧下、乾燥処理することにより、高級α−オレフィン重合体210gを得た。得られた重合体のGPCによる重量平均分子量(Mw)は14,000、融点は58℃であり、半値幅は3.5℃であった。また、前記の測定方法により融点(Tm)を測定したときに観測されたピークは一つであった。
(1)熱可塑性樹脂組成物の調製
製造例1で調製した結晶性高級α−オレフィン重合体、並びに下記のオレフィン系エラストマー、石油樹脂及びパラフィンワックスを用いて、表1に示す組成で熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ調製した。具体的には、ラボプラストミルMR(商品名、(株)東洋精機製作所製)を用いて、溶融温度120℃、回転数150rpm、溶融時間5分の条件で、所定量の結晶性高級α−オレフィン重合体、オレフィン系エラストマー、石油樹脂及びパラフィン系ワックスを溶融混練して熱可塑性樹脂組成物をそれぞれ調製した。
結晶性高級α−オレフィン重合体:製造例1の重合体
オレフィン系エラストマー:リコセンPP1502(商品名、クラリアント社製、エチレン・プロピレン共重合体、Mw=16,000)
石油樹脂:アイマーブP−90(商品名、出光興産社製)
パラフィンワックス:PW140(商品名、日本精鑞社製)
ポリ乳酸(テラマック、商品名、ユニチカ社製)を、射出成型装置(KS100T、商品名、(株)型システム製)を用いてプリフォームを成形し、その後ブロー成形機(LB01、商品名、SIG社製)を用いて、500mlサイズのボトル形状に成型した。射出成型は樹脂温度220℃、射出成形圧70〜80MPaの条件で行った。ブロー成形は、プリフォーム加熱温度100〜110℃、一次ブロー圧1MPa、二次ブロー圧3MPaにて行った。得られたボトルの質量は24gであった。
得られたボトルの外表面に、100℃に溶融した前記樹脂組成物(コート材)をスプレー塗布した。スプレー塗布には、ノズル霧化装置(商品名:マジックカットe−ミスト、扶桑精機社製、スプレーガンHM−1装着品、吐出圧:0.2MPaG)を用いた。なお、500mlサイズのポリ乳酸容器(表面積約300cm2)に対して前記樹脂組成物0.5gの塗布量として、樹脂組成物の塗膜の平均膜厚を約20μmに管理した。
1)スプレー適性
上記の条件でスプレー塗布を行った際に、吐出不良の問題がなくボトルにコート材を塗布できたものを○、コート材が吐出しにくかったものを△、コート材が吐出せず塗布できなかったものを×とした。
室温23℃の環境下においてスプレー直後に手で触った際に、ベタつきのないものを○、わずかにベタつきのあるものを△、ベタつきのあるものを×とした。
スプレー後のボトルを手で潰した際に、コート材が剥がれなかったものを○、剥がれたものを×とした。
スプレー後のボトルに爪を立てた際に、傷が目立たなかったものを○、傷が目立ったものを×とした。
ボトルに水500mlを入れ、23℃、湿度50%の環境下における14日経過後の水の質量減少量を測定した。表1に、コート材を塗布していないボトル(比較例1)を100%としてその相対値(%)を示す。水の質量減少量が少ないほど水蒸気バリア性に優れることを表す。
べた付き性の評価は、樹脂組成物をDSC(パーキンエルマー社製、商品名:Pyris1 DSC7)を用いて、0〜30℃の範囲での融解熱量(J/g)を算出した。融解熱量の算出は、上述の高級α−オレフィン重合体の融点を求める際に得られた融解曲線から行った。この融解熱量は溶融成分量融解熱量が高い程、室温にて溶融している成分が多いことを意味し、ベタつき性が強いことを表す。
これに対し、所定の結晶性高級α−オレフィン重合体とエラストマーと石油樹脂からなるコート材を被覆した実施例1のボトルはいずれも、水蒸気バリア性に優れるとともに、コート材がベタつくこともボトルから剥がれることもなく、傷もつきにくかった。また、その製造の際には、有機溶剤を一切使用せず、コート材の吐出不良などの問題はなく、コート材は被覆後にすぐに乾いて効率よく製造することができた。
Claims (8)
- (a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
石油樹脂(C)5〜30質量%と
を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物によって、プラスチック容器の表面が被覆されていることを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器。 - 前記組成物の120℃における粘度が1000mPa・s以下である、請求項1記載の飲料用又は食品用被覆容器。
- 前記結晶性高級α−オレフィン重合体(A)の融点が50℃以上である、請求項1又は2に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
- 前記プラスチック容器がバイオマスプラスチックを主成分として含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
- 前記バイオマスプラスチックが、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート及びポリヒドロキシブチレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の飲料用又は食品用被覆容器。
- 飲料用ボトルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の飲料用又は食品用被覆容器。
- (a1)炭素数が18以上32以下の範囲の少なくとも1種のα−オレフィンを主成分として含む単量体からなり、かつ、(a2)示差走査型熱量計を用いた融解挙動測定において、融点が45℃以上80℃以下であり、ピーク温度が一つだけ観測され、かつ該ピークの半値幅が15℃以内である結晶性高級α−オレフィン重合体(A)30〜70質量%と、
重量平均分子量が2,000以上10万以下のオレフィン系エラストマー(B)15〜45質量%と、
石油樹脂(C)5〜30質量%と
を含み、かつ、前記の結晶性高級α−オレフィン重合体(A)、オレフィン系エラストマー(B)及び石油樹脂(C)の合計が90質量%以上である組成物を70℃以上120℃以下で溶融し、0.05〜0.6MPa(ゲージ圧)の吐出圧でプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程を含むことを特徴とする飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。 - 前記の組成物をプラスチック容器の表面にスプレーコーティングする工程の後に、前記の組成物が塗布されたプラスチック容器を加熱する工程を含む、請求項7記載の飲料用又は食品用被覆容器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009178058A JP5379595B2 (ja) | 2009-07-30 | 2009-07-30 | 飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009178058A JP5379595B2 (ja) | 2009-07-30 | 2009-07-30 | 飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011031428A true JP2011031428A (ja) | 2011-02-17 |
JP5379595B2 JP5379595B2 (ja) | 2013-12-25 |
Family
ID=43760999
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009178058A Expired - Fee Related JP5379595B2 (ja) | 2009-07-30 | 2009-07-30 | 飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5379595B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015096431A (ja) * | 2013-11-15 | 2015-05-21 | 大日本印刷株式会社 | チューブ容器 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003087218A1 (fr) * | 2002-04-16 | 2003-10-23 | Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. | Composition de resine thermoplastique |
JP2005206649A (ja) * | 2004-01-21 | 2005-08-04 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 粘着剤及び粘着シート |
JP2007119634A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 感温性樹脂組成物及びその成形体 |
JP2009013405A (ja) * | 2007-06-05 | 2009-01-22 | Mitsubishi Plastics Inc | フィルム、該フィルムを用いた成形品、延伸フィルム、熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベル及び該ラベルを装着した容器 |
JP2011032327A (ja) * | 2009-07-30 | 2011-02-17 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
-
2009
- 2009-07-30 JP JP2009178058A patent/JP5379595B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003087218A1 (fr) * | 2002-04-16 | 2003-10-23 | Idemitsu Petrochemical Co., Ltd. | Composition de resine thermoplastique |
JP2005206649A (ja) * | 2004-01-21 | 2005-08-04 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 粘着剤及び粘着シート |
JP2007119634A (ja) * | 2005-10-28 | 2007-05-17 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 感温性樹脂組成物及びその成形体 |
JP2009013405A (ja) * | 2007-06-05 | 2009-01-22 | Mitsubishi Plastics Inc | フィルム、該フィルムを用いた成形品、延伸フィルム、熱収縮性フィルム、熱収縮性ラベル及び該ラベルを装着した容器 |
JP2011032327A (ja) * | 2009-07-30 | 2011-02-17 | Idemitsu Kosan Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015096431A (ja) * | 2013-11-15 | 2015-05-21 | 大日本印刷株式会社 | チューブ容器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5379595B2 (ja) | 2013-12-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5183455B2 (ja) | フィルム用樹脂組成物およびそれから得られる成形品 | |
CN1313526C (zh) | 乙烯共聚物组合物及其用途 | |
JP5723385B2 (ja) | 優れた引張特性およびダーツ特性を備える光分解性フィルム | |
JP2011042032A (ja) | 積層フィルムおよびその用途 | |
TWI758446B (zh) | 電池用積層體 | |
KR20180051389A (ko) | 실런트용 접착제 및 덮개재용 필름 | |
EA036371B1 (ru) | Способ формования изделия с покрытием | |
JP2019059814A (ja) | 樹脂フィルム | |
JP6268136B2 (ja) | 熱収縮性多層フィルム | |
JP5379595B2 (ja) | 飲料用又は食品用被覆容器およびその製造方法 | |
JP6560342B2 (ja) | ポリ−1−ブテン樹脂組成物およびそれから得られる成形体 | |
CA2970604C (en) | Inherently printable polymeric material and related methods | |
JP4202728B2 (ja) | ポリオレフィン系ストレッチフィルム及びその製造方法 | |
JP2011032327A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP6835069B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形体 | |
JP2008023801A (ja) | 熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、ラベル及び該成形品及び該ラベルを装着した容器 | |
EP3498799B1 (en) | Polyethylene and propylene wax for hot melt adhesive | |
TWI733830B (zh) | 熱塑性樹脂摻合組成物、母料及雙軸延伸聚烯烴類膜成形用組成物 | |
JP5540315B2 (ja) | プラスチックラベル | |
CN102282018A (zh) | 叠层膜 | |
JP2005263997A (ja) | プロピレン系接着用重合体組成物及びその積層体 | |
JP3894822B2 (ja) | 樹脂組成物及び延伸成形体 | |
JP5375454B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物および延伸フィルム | |
JPH05209116A (ja) | ポリエステル包装材料 | |
CN104736341B (zh) | 伸缩包装用膜 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20120612 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120614 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20120612 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130325 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130910 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130927 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |