JP2011031275A - レーザ加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】予め調整したレーザ光の精度にてボア径によらず安定してボア内周面を微細加工すること。
【解決手段】 レーザ光LBを発振するレーザ発振機10と、シリンダボアCBの中心軸RDを中心としてレーザ光LBを集光する集光レンズ12と、この集光レンズ12を保持する加工トーチ16と、この加工トーチ16を上下動させる加工トーチアクチュエーター18と、中心軸RDにて集光されるレーザ光LBを当該中心軸RDを法線とする平面方向PLに反射させることでシリンダボアの内周面INに当該レーザ光LBを案内するミラー20と、このミラー20を保持するミラーホルダー22と、このミラーホルダー22を上下動及び中心軸RDを回転軸RAとして前記平面方向PLに向けて回転させるミラーアクチュエーター24とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面処理技術及びトライボロジーに関連し、特に、レーザ加工を用いた表面処理技術に関する。
表面処理技術として、めっき、皮膜、窒化、焼き入れ、樹脂コートなどが用いられている。また、摩擦や潤滑に関するトライボロジーは、相互干渉する二面間について摩擦の低減などを目的とした諸技術である。
例えば、エンジン部品では、ピストン、ピストンリング及びシリンダは、高温、高速及び爆発力にさらされ潤滑条件が厳しく、様々な工夫が提案され、実用化されている。
また、エンジン部品を軽量化するため、表面処理されたアルミニウム合金が採用されており、耐摩耗性、耐焼付き性を増強するために金属メッキなどの表面処理で硬質な皮膜を形成している。しかし、硬質化を確保しつつ、摺動抵抗を低減する機能も有した安価で施工容易な皮膜処理はない。
コストや施工性を問題視しなければ、ダイヤモンド状炭素(DLC)皮膜などは、耐摩耗性と摺動抵抗の低減との両方の機能を有するが、膜は薄く剛性が低いため、アルミなど比較的軟らかい金属部品で大きな荷重が作用する部分に適用することが困難であり、何らかの事前処理により母材を強化する必要がある。このため、現状、量産車では、実用化は、吸排気バブルのカムと接するタペットに限られる。
アルミ製ブロックのシリンダなどはメッキや溶射で皮膜を形成後、潤滑油が馴染むように機械加工(例えば、内径のホーニング処理による研磨等)している。しかし、耐摩耗性の高い皮膜に対して、所要のパターンに機械加工することは困難である。
また、限定的な加工や部分的に加工深さを設定することも容易でない。特に、機械加工では、連続した切削痕が油溜まりとなって作用するが、潤滑油が効果的に作用しない場合や、燃焼とともに消失してパーキュレーション増大などを招いている。
特許文献1には、ホーニング加工に代えて、シリンダボア内周面にレーザビームを照射することで多数の微細な窪みを形成し、この窪みをオイル溜まりとし、摺動抵抗を低減させる手法が開示されている(段落0013,図2,図3)。
特許文献2には、シリンダボア内周面のレーザ加工に際して、高精度な微細加工を行うことを目的として、加工用レーザ光の被加工部での照射径を計測用レーザ光により測定することで、集光レンズから被加工部までの相対的距離を測定し、この測定結果に応じて集光レンズの位置をボア内面に対して移動させる手法が開示されている(段落0005,0013,図1,図2)。
特許文献3には、ICのヒューズ等をレーザ光の照射により切断加工する際に、ICの深部での切断についても加工精度を高めることを目的として、レーザ加工の被加工体からの反射光路に膜厚測定器を設け、測定した膜厚に応じてレーザ光の強度を制御する手法(段落0011)が開示されている。この特許文献3では、膜厚の測定に際しては、顕微分光干渉法や、消光法エリプソメトリの利用が開示されている。
特開2004-322124号公報 特開2005-161387号公報 特開平6-63779号公報
上記特許文献1記載の手法では、ボア径が異なるシリンダを加工する際には、焦点距離、焦点深度及びレーザ光のモード等の微調整を再度行わなければならない。
特許文献2記載の手法では、レーザ光の照射径が異なる程度のボア径の相違があっても、集光レンズの位置を制御することで焦点深度の適正化が図られている旨が開示されている(段落0020,0026)。しかし、ボア径自体が異なる別のシリンダを加工する際には、焦点距離及び焦点深度等の微調整を再度行わなければならない。
特許文献3記載の手法では、膜厚を測定しつつレーザ加工を行うことができるが、シリンダボア内周の膜厚測定及びレーザ加工については、何ら開示されていない。
[課題1]このように、上記従来例では、ボア径が異なるシリンダを同一条件にて同レベルの精度で加工することが難しい、という不都合があった。
[課題2]さらに、上記従来例では、ボア内周面の膜厚を測定しつつレーザ加工することができない、という不都合があった。
[発明の目的]本発明の目的は、予め調整したレーザ光の精度にてボア径によらず安定してボア内周面を微細加工することにある。
[着眼点]本発明の発明者は、レーザ加工の精度を安定させる基本は焦点距離にあるため、ボア径の異なるシリンダを同一条件でレーザ加工するには、焦点距離を同一とできれば良い、という点に着目した。そして、焦点距離を同一とするための工夫することで、上記課題を解決できるのではないか、との着想に至った。
[課題解決手段1]実施例1に対応する第1群の本発明は、加工用のレーザ光を発振するレーザ発振機と、シリンダボアの中心軸を中心としてレーザ光を集光する集光レンズと、この集光レンズを含む光学系を保持する加工トーチと、この加工トーチを上下動させる加工トーチアクチュエーターと、前記中心軸にて集光されるレーザ光を当該中心軸を法線とする平面方向に反射させることで前記シリンダボアの内周面に当該レーザ光を案内するミラーと、このミラーを保持するミラーホルダーと、このミラーホルダーを上下動及び前記中心軸を回転軸として前記平面方向に向けて回転させるミラーアクチュエーターとを備えた、という構成を採っている。
これにより、上記課題1を解決した。
[課題解決手段2] 実施例2に対応する第2群の本発明は、第1群と同様の構成を備えている。
さらに、課題解決手段2では、前記加工トーチが、前記シリンダボアの前記内周面での発光を反射させるハーフミラーと、このハーフミラーにて反射した発光のうち予め定められた波長域の発光を受光する受光部と、前記シリンダボアの前記内周面の加工位置へ照射したレーザ光の量と前記予め定められた波長域の前記発光の受光とに基づいて、当該加工位置での膜厚を判定する膜厚判定部とを備えた、という構成を採っている。
これにより、上記課題2を解決した。
本発明は、本明細書の記載及び図面を考慮して各請求項記載の用語の意義を解釈し、各請求項に係る発明を認定すると、各請求項に係る発明は、上記背景技術等との関連において次の有利な効果を奏する。
[発明の作用効果1] 課題解決手段1のレーザ加工装置は、ミラーアクチュエーターが、ミラーホルダーを上下動させることでミラーを上下方向にて位置決めし、ミラーが、シリンダボアの中心軸にて集光されるレーザ光を当該中心軸を法線とする平面方向に反射させることで、前記シリンダボアの内周面に当該レーザ光を案内する。
このため、焦点距離を同一としたまま、ミラーの上下動により、ボア径が異なるシリンダボアの内周面を加工することができる。すると、ボア径が異なるシリンダボアを対象とした加工に際して、集光レンズの交換や、焦点距離、焦点深度及びレーザ光のモード等の微調整が不要であり、一定の焦点距離fにて定めたエネルギー密度のレーザ光を使用して加工を安定させることができる。
従って、ボア径が異なるシリンダを同一条件にて同レベルの精度で加工することができる。
[発明の作用効果2] 課題解決手段2のレーザ加工装置は、受光部が、加工位置での発光のうち予め定められた波長域の発光を受光し、膜厚判定部が、前記シリンダボアの前記内周面の加工位置へ照射したレーザ光の量と前記予め定められた波長域の前記発光の受光とに基づいて、当該加工位置での膜厚を判定する。
このため、母材又は表面硬化層の材料に応じた波長域の発光の有無に応じて、表面硬化層を除去するまでのレーザ光の量に基づいて、膜厚を判定することができる。
そして、この膜厚の判定では、膜厚が予め定められた厚みを有するか否かや、剥離していないかなど、表面硬化層の異常の有無を検出することができる。さらに、この異常の有無を、表面硬化層に窪みを形成する加工処理と同時期に平行して検出することができる。
従って、ボア内周面の膜厚を測定しつつレーザ加工することができる。
本発明の一実施形態の構成例を示す正面図である。(実施例1) レーザ光の焦点距離とスポット径との関係例を示す説明図である。(実施例1から2) 図3(A)はボア径の長いシリンダボアへの適用例を示す説明図で、図3(B)はボア径の短いシリンダボアへの適用例を示す説明図である。(実施例1) 複数のシリンダを有するシリンダブロックへの適用例を示す説明図である。(実施例1) 図5(A)から(D)は4ストロークエンジンのシリンダボアを対象とした加工例を示す説明図である。(実施例1) 図5に示す加工例の一部を拡大した拡大図である。(実施例1) 図7(A)及び(B)は図6に示す加工例での窪みの一例を示す説明図である。(実施例1) 2ストロークエンジンのシリンダボアを対象とした加工例を示す説明図である。(実施例1) 実施例2の構成例を示す正面図である。(実施例2) 膜厚判定部の構成例を示すブロック図である。(実施例2) 動作モードの一例を示す説明図である。(実施例2) パルス数と膜厚との関係例を示すグラフ図である。(実施例2)
発明を実施するための最良の形態として、2つの実施例を開示する。実施例1はシリンダボアCBの内周面INに窪み30を形成するレーザ加工装置であり、実施例2はシリンダボアCBの内周面INに窪みを形成しつつ膜厚MBを判定するレーザ加工装置である。実施例1から2までを含めて実施形態という。
本実施形態では、摺動面に硬質な皮膜を有するエンジン部品、特に円筒形の内面で加工が比較的困難なシリンダに対してレーザ加工を行い、微細な油溜まりを形成して摺動抵抗を低減することができる。
<1 レーザ加工装置[焦点距離一定]>
まず、本実施形態の実施例1を開示する。実施例1は、ボア径IDによらず、加工精度を安定させ、加工に要する時間及び費用を低減するために、焦点距離fを一定としつつボア径IDの変化に対応しようとするものである。
実施例1のレーザ加工装置は、その主要な要素として、レーザ発振機10と、集光レンズ12と、加工トーチ16と、加工トーチアクチュエーター18と、ミラー20と、ミラーホルダー22と、ミラーアクチュエーター24とを備えている。
図1に示す例では、さらに、コリメータ26や、光ファイバー32等を備えている。
レーザ発振機10は、加工用のレーザ光LBを発振する。レーザ発振機10は、例えば、YAGレーザやCO2レーザである。図1に示す例では、YAGレーザを採用し、レーザ光LBを光ファイバー32で加工トーチ16に案内している。加工トーチ16内に、光学系14を配置している。この光学系14は、コリメータ26と、集光レンズ12とを有する。集光レンズ12は、シリンダボアCBの中心軸RDを中心としてレーザ光LBを集光する。
ミラー20は、図示略のミラーホルダー22に保持されている。このミラー20は、レーザ光LBを90度転換するベンドミラーであり、中心軸RDにて集光されるレーザ光LBを、当該中心軸RDを法線とする平面方向PLに反射させることで、前記シリンダボアCBの内周面INに当該レーザ光LBを案内する。すると、レーザ光LBは、シリンダボアCB1の内周面INの加工位置PP1に集光する。シリンダボアCB1, CB2は、アルミニウム等の母材BMと、表面硬化層SSとを有している。レーザ光LBは、表面硬化層SSを加工し、油溜まりとなる窪み30を形成する。
加工位置PP1, PP2を図中上下方向UDに移動させるために、加工トーチアクチュエーター18は、加工トーチ16及びミラー20を一体として上下動させる。この加工トーチアクチュエーター18による上下動の駆動制御により、シリンダを固定しつつ、シリンダの内周面INについて上下方向UDの加工を自在に行うことができる。
ミラーアクチュエーター24は、加工トーチ16の駆動と分離して、ミラーホルダー22を、前記中心軸RDを回転軸RAとして前記平面方向PLに向けて回転させる。このミラーホルダー22の回転駆動により、シリンダの内周面INについて円周方向CRの加工を自在に行うことができる。
また、ミラーアクチュエーター24は、加工トーチ16の移動とは分離して、ミラーホルダー22を上下動させる。この上下動により焦点距離fを変更せずに、ボア径IDの異なるシリンダの内周面INを加工することができる。具体的には、図1に示すように、ミラー20を実線で示す位置とすると、ボア径ID1であるシリンダボアCB1の内周面INに加工位置PP1を設定することができる。そして、加工トーチ16を移動させずに、ミラーホルダー22を下降させて、一点鎖線で示す位置にミラー20を位置づけると、ボア径ID2であるシリンダボアCB2の内周面INに加工位置PP2を設定することができる。ボア径ID1を基準とすると、ミラーアクチュエーター24がミラー20を下降させる距離は、ボア径ID1とボア径ID2との長さの差と同一の距離である。このように、ボア径IDの差と同一距離分、ミラー20を上下動させると、焦点距離fを変化させずに、ボア径IDの異なるシリンダの内周面INを加工することができる。
図2を参照すると、集光レンズ12の集光により、レーザ光直径Dは、焦点距離fの位置で、集光スポット径Doとなる。
レーザ光LBの波長をλ、円周率πとすると、Do = λf / πD となる。
レーザの特性や光学系14に入射する条件が同じならば、集光スポット径Doはレンズの焦点距離fに正比例して大きくなるため、窪み30の形成などの微細除去加工では、焦点距離fが変化すると、加工特性が大きく変化してしまう。特に、微細除去加工の精度は、レーザ光LBのエネルギー密度に大きく依存する。このため、焦点距離fが変化すると、その都度微調整を行い、最適化する必要がある。そして、シリンダボアCBのボア径ID毎に加工条件を最適化、維持するのは、品質管理上、多くの工数が必要となってしまう。
このように、異なるボア径IDのシリンダボアCBを加工するためには、光学系14の焦点距離f(集光レンズ12)を代えるか、加工トーチ16の位置をシリンダボアCBの直径方向に移動しなければならない。しかし、光学系14のパラメータ(集光レンズ12)を変更すると、微細加工の場合、集光スポット径Doが変化して、加工結果に大きな違いを及ぼしてしまう。
また、加工トーチ16の位置変更はシリンダ側を回転しながら加工する場合は比較的容易であるが、2気筒以上となると、シリンダを回転させる機構は複雑となる。
そこで、本実施例では、図1及び図3に示すように、折り返し用のミラー20を設け、このミラー20の上下方向UDでの位置決めでシリンダボアCBのボア径INの差に対応する。すなわち、図3(A)に示すように、レーザ光LBの光軸をシリンダボアCBの中心軸RDと合致させ、集光レンズ12より焦点位置側でミラー20により90度光軸を曲げて、ボア径ID1であるシリンダボアCB1の内周面INを加工する。
図3(B)に示すように、ボア径ID2のシリンダボアCB2を加工する際には、ミラーアクチュエーター24を駆動制御して、ミラー20を上下方向UDにて下降させる。この下降させた距離分、ミラー20とシリンダボアCB2の加工位置PP2との間の距離が近くなる。すると、集光レンズ12から加工位置PP2までの距離を一定としつつ、ミラー20から加工位置PP2までの距離を短くすることができる。
このミラー20の上下動により、焦点距離fを一定としてボア径IDの異なるシリンダボアCBを加工することができる。
図4に、シリンダブロックを加工するレーザ加工装置の一例を示す。レーザ加工装置は、まず、ミラーアクチュエーター24が、前記シリンダボアCBの内径ID(ボア径ID)に応じて前記ミラーホルダー22を上下方向UDにて上下動させることで、予め微調節した焦点距離fを維持したまま、焦点位置を加工位置PPとする。集光レンズ20の焦点距離fを一定とすると、加工結果を安定させることができる。
そして、加工トーチアクチュエーター18は、前記シリンダボアCBの前記内周面INでの上下方向UDについて、加工位置PPに応じて前記加工トーチ16を上下動させる。すなわち、集光レンズ12とミラー20との間の長さを一定距離に保ちつつ、加工トーチ16を上下動させることで、シリンダボアCBの上下方向UDの加工をする。
そして、前記ミラーアクチュエーター24が、前記シリンダボアCBの前記内周面INでの円周方向CRの加工位置PPに応じて、前記ミラーホルダー22を回転させることで、ミラー20を回転させてシリンダボアCBの円周方向CRを加工する。
また、加工用ジグとなるジョイント28を具現化することによって、シリンダボアCBも加工トーチ16も回転させることなく、ミラー20を回転させることで、シリンダボアCBの内周面INを加工することができる。
図5に、4サイクルエンジンのシリンダボアCBを対象とした窪み30の加工パターンの例を示す。上死点及び下死点の近傍を重点的に加工する。ピストンスカートと接触しやすい部分なども施行しても良い。図5に示すシリンダ内の黒点部分は、窪み30としても良いし、窪み30の群によるパターンとしても良い。
図5(A)に示す例では、上死点と下死点の部分については、円周方向CRにて平行する直線上に窪み30(又は窪み30群)を形成し、上死点と下死点との間の上下方向UDにて、90度間隔で、シリンダ内の2カ所又は4カ所に、上下方向UDの直線上に窪み30を形成する。図4(B)に示す例では、上死点及び下死点の円周方向CRでの窪み30の形状を45度の短い直線とし、この短い直線を円周方向CRに並べている。
図5(C)に示す例では、上死点と下死点の部分と、上死点と下死点との間の部分について、同一の窪み30を連続的に形成し、間の部分については、90度間隔でシリンダ内に4カ所のみ形成している。図5(D)に示す例では、上死点部分について多数の窪み30を形成し、下死点部分は中程度の数の窪み30を形成し、間の部分については小数の窪み30を形成している。
図6は、図5(A)の符号31で示す部分の窪み群の拡大図である。窪み群は、多数の窪み30により形成し、円周方向CRの窪み群のオン・オフの間隔をLx, 上下方向UDの間隔をPyで示す。Lxは、レーザ光LBを発振するパルスの制御と、ミラーアクチュエーター24の円周方向CRへの位置決めとにより調整することができる。Pyは、加工トーチアクチュエーター18による加工トーチ16の上下方向UDでの位置決めにより調整する。また、図7に示す窪み深さDzと窪み直径ΦRgは、レーザ光LBのエネルギー密度と照射時間とを制御することで調整し、窪み間隔Pwはレーザ光LBの発振となるパルスの制御とミラー20の円周方向CRでの回転の制御とにより調整する。
本実施例では、ボア径IDが異なっても、焦点距離fを一定とすることができるため、エネルギー密度等の調整が安定しており、パルス間隔などの制御により、窪みの窪み深さDzや窪み直径ΦRgを安定して形成することができる。すなわち、レーザ光LBの照射時間と窪み深さDz等との関係をボア径IDによらず安定させることができる。
図8に、特機や二輪用の2ストロークエンジンに適用した場合のイメージを示す。2ストロークエンジンでは、吸排気のポート周辺にレーザ加工を行うと良い。具体的には、2ストロークエンジンは、吸気管70と、掃気通路72と、掃気孔74(ポート)と、排気管76と、回転数に応じて移動することで排気タイミングを変化させるバルブ78とを備え、掃気孔74とシリンダボアCBとの間に、表面部分の狭い細柱部34を有する。レーザ光LBによる加工は、掃気孔74の周囲で、特に細柱部34を重点的に加工すると良い。
・1 レーザ加工装置[焦点距離一定]の効果
上述のように、ミラーアクチュエーター24が、ミラーホルダー22を上下動させることでミラー20を上下方向UDにて位置決めし、ミラー20が、シリンダボアCBの中心軸RDにて集光されるレーザ光LBを当該中心軸RDを法線とする平面方向PLに反射させることで前記シリンダボアCBの内周面INに当該レーザ光LBを案内するため、焦点距離fを同一としたまま、ミラー20の上下動により、ボア径IDが異なるシリンダボアCBの内周面INを加工することができる。
従って、ボア径IDが異なるシリンダボアCBを加工する際に、集光レンズ12の交換や、焦点距離f、焦点深度及びレーザ光LBのモード等の微調整が不要であり、一定の焦点距離fにて定めたエネルギー強度のレーザ光LBを使用した安定した加工をすることができる。
このように、実施例1では、ボア径IDが異なるシリンダボアCBを同一条件にて同レベルの精度で加工することができる。そして、エンジンのシリンダブロックを固定した状態で、一つの加工工程でボア径IDの異なるシリンダを加工することができる。
<2 レーザ加工装置[膜厚測定]>
次に、実施例2を開示する。実施例2は、レーザ加工時にシリンダボアCBの内周面INの膜厚MBの良否を判定するために、加工位置PPへ照射したレーザ光LBの量と前記予め定められた波長域の前記発光LUの受光とに基づいて、当該加工位置PPでの膜厚MBを判定するものである。
実施例2のレーザ加工装置は、その主要な要素として、ハーフミラー40と、受光部42と、膜厚判定部48とを備えている。
図9に示す例では、レーザ加工装置は、カメラ56と、モニター58とを備えている。さらに、受光部42が、バンドパスフィルタ44と、フォトダイオード46とを備えている。
ハーフミラー40は、加工トーチ16に装備され、前記シリンダボアCBの前記内周面INでの発光LUを反射させ、受光部42へ案内する。ハーフミラー40は、一方、レーザ発振機10からのレーザ光LBは透過させる。
受光部42は、前記ハーフミラー40にて反射した発光LUのうち予め定められた波長域の発光LUを受光する。図9に示す例では、バンドパスフィルタ44が、予め定められた波長域の発光LUを通過させ、フォトダイオード46で当該波長域の発光LUを受光する。
膜厚判定部48は、前記シリンダボアCBの前記内周面INの加工位置PPへ照射したレーザ光LBの量と、前記予め定められた波長域の前記発光LUの受光とに基づいて、当該加工位置PPでの膜厚MBを判定する。「レーザ光LBの量」は、加工位置PPの単位面積に与えたエネルギーの量であり、予め定められたエネルギー密度であれば、レーザ光LBの連続照射時間や、一定時間間隔でのパルスに応じた照射でのパルス数である。予め定められた波長域としては、例えば、母材BMの溶融に応じた母材BMからの発光LUを検出する際には、母材BMの材料に応じた波長域とし、表面硬化層SSからの発光LUを検出する際には、表面硬化層SSの材料に応じた波長域とすると良い。
膜厚判定部48は、母材BMからの発光LUを検出する構成では、当該発光LUの受光により当該レーザ光LBの量にて表面硬化層SSの厚さと同一の窪み深さDzの窪み30を形成したとの判定をすることができる。一方、表面硬化層SSからの発光LUを検出する構成では、当該発光LUの受光がなくなることにより、同様の判定が可能である。
カメラ56は、加工位置PPの発光LUを撮像し、モニター58に表示する。また、モニター58は、膜厚判定部48の判定結果を文字等で表示するようにしても良い。
図10を参照すると、レーザ光LBの量をパルス数とし、波長域を母材BMに応じた波長域とする例では、前記膜厚判定部48は、計数処理50と、受光判定処理52と、膜厚測定処理54とを備えている。計数処理50は、前記加工位置PPへ照射するレーザ光LBのパルス数をカウントする。例えば、レーザ発振機10でのパルス数を受信する。受光判定処理52は、前記波長域の発光LUの受光の有無を判定する。例えば、フォトダイオード46から検出信号を受信した際に受光有りと判定する。膜厚測定処理54は、前記加工位置PPへの照射開始後、前記波長域の前記発光LUの受光をするまでの間の前記レーザ光LBの前記パルス数に基づいて、前記膜厚MBを測定する。
このように、実施例2は、パルスレーザで皮膜層(表面硬化層SS)を状況加工して、油溜まりとなる窪み30を形成する利点の副次的効果として、パルス数と窪み深さDzが密接に関係する特性を利用して、膜厚MB(皮膜層の深さ)を測定することができる。
レーザ加工中、パルスレーザの照射により、母材BMとなる金属材料を構成する特徴的な元素がプラズマ化して発光LUが観察される。フォトダイオード46と特定の波長域を透過するバンドパスフィルタ44を組み合わせた受光部42を設けることで、レーザ加工中に特定波長の発光LUのみを検知することができる。
図11を参照すると、通常加工モードでは、通常の条件でレーザ光LB1を照射し、表面硬化層SSを貫通しないような条件で窪み30を形成している。この条件は、例えば、表面硬化層の膜厚MBであるメッキ厚み60 [μm] に対して、ディンプル加工深さ(窪み深さDz) = 30 [μm] である。この通常の条件でのレーザ光LB1の照射では、表面硬化層SSの溶融により発光LU1が観測される。
一方、検査モードでは、一定間隔でより深く加工する条件でレーザ光LB2を照射し、母材BMまで到達させることで、膜厚MBを検査する。この条件でのレーザ光LB2の照射により、窪み30aの窪み深さDzは膜厚MBを超える。すると、母材MBが溶融し、母材の特性に応じた発光LU2が観測される。
母材BMの種類に応じて、バンドパスフィルタ44で通過させる波長域は、次の通りとする。
アルミニウム系の母材BM: 420 [nm] の発光LU
鉄系の母材BM: 520 [nm] の発光LU
図12に示すように、レーザ光LBのパルスショット数と、メッキ加工深さ(膜厚MB)とには比例関係がある。
アルミニウム合金を材料とする母材BMの場合、所定のパルス数で母材BMに到達すれば、Mgプラズマの発光波長が観察され、OKと判定する。少ないショット数で母材BMまで貫通するとNGと判定する。
タペットの場合は、Fe元素波長の520 [nm] に着目する。
通常加工モードであっても、より少ないパルスショット数でマグネシウム元素発光波長の420 [nm] 近傍の光が観察されれば、所要の膜厚MBより薄いか、または、剥離している可能性が推察でき、警告を発することが可能である。
このような機能を容易に実現できることもレーザ加工でメッキや皮膜層を除去加工するメリットとなる。
・2 レーザ加工装置[膜厚測定]の効果
上述のように、受光部42が、加工位置PPでの発光LUのうち予め定められた波長域の発光LUを受光し、膜厚判定部48が、前記シリンダボアCBの前記内周面INの加工位置PPへ照射したレーザ光LBの量と前記予め定められた波長域の前記発光LUの受光とに基づいて、当該加工位置PPでの膜厚MBを判定するため、母材BM又は表面硬化層SSの材料に応じた波長域の発光LUの有無に応じて、表面硬化層SSを除去するまでのレーザ光LBの量に基づいて、膜厚MBを判定することができる。
この膜厚MBの判定では、膜厚MBが予め定められた厚みを有するか否かや、剥離していないかなど、表面硬化層SSの異常の有無を検出でき、特に、表面硬化層SSに窪みを形成する加工処理と同時期に平行して検出することができる。
10 レーザ発振機
12 集光レンズ
14 光学系
16 加工トーチ
18 加工トーチアクチュエーター
20 ミラー
22 ミラーホルダー
24 ミラーアクチュエーター
26 コリメータ
28 ジョイント
30 窪み
32 光ファイバー
34 細柱部
40 ハーフミラー
42 受光部
44 バンドパスフィルタ
46 フォトダイオード
48 膜厚判定部
50 計数処理
52 受光判定処理
54 膜厚測定処理
56 カメラ
58 モニター
70 吸気管
72 掃気通路
74 掃気孔
76 排気管
78 バルブ
LB レーザ光
CB, CB1, CB2 シリンダボア
RD 中心軸
IN 内周面
RA 回転軸
ID, ID1, ID2 ボア径
CR 円周方向
PL 平面方向
PP, PP1, PP2 加工位置
UD 上下方向
MB 膜厚
LU 発光
BM 母材
SS 表面硬化層
f 焦点距離
D レーザ光直径
Do 集光スポット径
Dz 窪み深さ
Pw 窪み間隔
ΦRg 窪み直径

Claims (4)

  1. 加工用のレーザ光を発振するレーザ発振機と、
    シリンダボアの中心軸を中心としてレーザ光を集光する集光レンズと、
    この集光レンズを含む光学系を保持する加工トーチと、
    この加工トーチを上下動させる加工トーチアクチュエーターと、
    前記中心軸にて集光される前記レーザ光を当該中心軸を法線とする平面方向に反射させることで前記シリンダボアの内周面に当該レーザ光を案内するミラーと、
    このミラーを保持するミラーホルダーと、
    このミラーホルダーを上下動及び前記中心軸を回転軸として前記平面方向に向けて回転させるミラーアクチュエーターとを備えた、
    ことを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記ミラーアクチュエーターが、前記シリンダボアの内径に応じて前記ミラーホルダーを上下動させ、
    前記加工トーチアクチュエーターが、前記シリンダボアの前記内周面での上下方向の加工位置に応じて前記加工トーチを上下動させると共に、
    前記ミラーアクチュエーターが、前記シリンダボアの前記内周面での円周方向の加工位置に応じて前記ミラーホルダーを回転させる、
    ことを特徴とする請求項1記載のレーザ加工装置。
  3. 前記加工トーチが、
    前記シリンダボアの前記内周面での発光を反射させるハーフミラーと、
    このハーフミラーにて反射した発光のうち予め定められた波長域の発光を受光する受光部と、
    前記シリンダボアの前記内周面の加工位置へ照射したレーザ光の量と前記予め定められた波長域の前記発光の受光とに基づいて、当該加工位置での膜厚を判定する膜厚判定部と、を備えた、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のレーザ加工装置。
  4. 前記膜厚判定部が、
    前記加工位置へ照射するレーザ光のパルス数をカウントする計数処理と、
    前記波長域の発光の受光の有無を判定する受光判定処理と、
    前記加工位置への照射開始後、前記波長域の前記発光の受光をするまでの間の前記レーザ光の前記パルス数に基づいて、前記膜厚を測定する膜厚測定処理と、を備えた、
    ことを特徴とする請求項3記載のレーザ加工装置。
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