JP2011031136A - 光触媒塗装体、および光触媒コーティング液 - Google Patents

光触媒塗装体、および光触媒コーティング液 Download PDF

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Abstract

【課題】基材の劣化を抑制しつつ有害ガス分解性および防カビ・防藻性にも優れ、かつ光触媒層の変色の生じにくい光触媒塗装体および光触媒水性コーティング液を提供すること。
【解決手段】基材と、前記基材上に設けられた光触媒層とを備えた光触媒塗装体であって、前記光触媒層は、光触媒コーティング液を塗布後乾燥することにより得られ、前記光触媒コーティング液は、光触媒性酸化チタン粒子と、硬化性シリコーンエマルジョンと、水溶性の銅化合物と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と水とを備え、かつ、前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒塗装体。
【選択図】なし

Description

本発明は、有害ガス分解性および防カビ・防藻性に優れる光触媒塗装体に関する。
あるいは、建造物、乗物およびそれらを構成する部材、複合材に有害ガス分解性および防カビ・防藻性等の光触媒機能を、コーティング層を形成することにより付与可能な光触媒コーティング液に関する。
酸化チタンなどの光触媒が、近年建築物の建造物、乗物およびそれらを構成する部材、複合材など多くの用途において利用されている。
屋外用途については、基材表面に光触媒を塗装することにより、光エネルギーを利用してNOx、SOx等の有害物質の分解機能、防カビ・防藻性等を付与することが可能となる。
建築物の建造物、乗物およびそれらを構成する部材、複合材などの場合、上記光触媒機能を付与したい基材の表面は、意匠性を持たせるためにエナメル塗装されていたり、エナメル塗装の上にクリア塗装されている場合が多い。
そこに直接光触媒層を形成しようとすると、エナメル塗装面やクリア塗装面は主として有機物で構成されているため、長期的には光触媒層と上記塗装面の界面に存在する光触媒性酸化チタン粒子による影響や紫外線の影響により塗装面が劣化するという問題を生じる。
そのために、従来、エナメル塗装面やクリア塗装面と、光触媒層との間に、無機成分の多いバリア層を形成することが行われている(特開2007−167718号公報)。
しかし、バリア層を形成すると、コストアップになるだけでなく、工数がかかり、手軽に光触媒機能を付与できない。
そこで、エナメル塗装面やクリア塗装面の劣化を抑制しつつ光触媒機能を発揮し、さらに好適には塗布時に異臭や環境汚染がなく、最も好適には基材表面の紫外線による劣化も抑制する、基材に直接塗布して光触媒機能層を形成する、光触媒塗装体、あるいは光触媒コーティング液が必要とされる。
このような基材に直接1コートで光触媒機能を発揮する光触媒コーティング組成物としては、例えば、シラン変性された光触媒性酸化チタン粒子と、コロイダルシリカと、シリコーン重合体エマルジョン粒子を含んでなる水系汚染防止用組成物が知られている(特開2008−31297号公報)。
更に、特開2008−31297号には、「上述した光触媒(a1)は、好適にPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したり、シリカや多孔質リン酸カルシウム等で被覆したり(例えば特開平10−244166号公報参照)して使用することもできる。」と開示されている。
さらに、溶剤系の光触媒コーティング液としては、コーティング液に光触媒性酸化チタン粒子と紫外線吸収剤を配合する技術が知られている。しかし、溶剤系では、折角光触媒がNOx等の有害ガスを分解しても、製造工程でハイドロカーボンやCO2を排出することになるので、トータルの環境に及ぼす影響として好ましくない。また、ここで記載されている有機系紫外線吸収剤の中には、銅と反応すると変色するものも多い。
特開2007−167718号 特開2008−31297号 特開平10−244166号 特開2006−297209号
しかしながら、特開2008−31297号公報に開示されているような光触媒にCu及び/又はこれらの酸化物を添加するのでは、銅が光触媒作用で還元され、防カビ・防藻効果を期待する場合、効果が弱くなる。
そこで、本発明では、上記事情に鑑み、基材の劣化を抑制しつつ有害ガス分解性および防カビ・防藻性にも優れ、かつ光触媒層の変色の生じにくい光触媒塗装体および光触媒水性コーティング液を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の光触媒塗装体は、基材と、前記基材上に設けられた光触媒層とを備えた光触媒塗装体であって、前記光触媒層は、光触媒コーティング液を塗布後乾燥することにより得られ、前記光触媒コーティング液は、光触媒性酸化チタン粒子と、硬化性シリコーンエマルジョンと、水溶性の銅化合物と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と水とを備え、かつ、前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒塗装体である。
また、本発明の光触媒コーティング液は、光触媒性酸化チタン粒子と、硬化性シリコーンエマルジョンと、水溶性の銅化合物と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と、水とを備え、かつ、前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒水性コーティング液である。
光触媒塗装体
本発明の光触媒塗装体は、基材と、前記基材上に設けられた光触媒層とを備えた光触媒塗装体であって、前記光触媒層は、光触媒コーティング液を塗布後乾燥することにより得られ、前記光触媒コーティング液は、光触媒性酸化チタン粒子と、硬化性シリコーンエマルジョンと、水溶性の銅化合物と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と水とを備え、かつ、前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒塗装体である。
このような構成にすることにより、基材の劣化を抑制しつつ有害ガス分解性および防カビ・防藻性にも優れ、かつ光触媒層の変色の生じにくい光触媒塗装体および光触媒水性コーティング液を提供することが可能となる。
その理由は以下のように考えられる。光触媒性酸化チタン粒子は水との親和性があり、かつエマルジョンより粒径を小さくしているために水が表面に拡散し蒸発する際に、表面に移動しやすい。従って、光触媒コーティング液を基材に塗布した後に乾燥するとき、水の蒸発に伴い、上記光触媒性酸化チタン粒子は水とともに表面への移動するが、それとともに、水に溶解している水溶性の銅化合物は表面へ移動する。それにより、塗装体表面は乾燥完了時には上記光触媒性酸化チタン粒子と銅化合物とが高濃度に互いに離間しつつ存在するようになる。ここで、本発明では光触媒性酸化チタン粒子が酸化力が還元力よりも強い光触媒性酸化チタン粒子であるので、銅化合物が適度に離間して存在することで、銅の光還元作用をほとんど生じることなく、光触媒と銅との相互作用により光触媒酸化力を強めることができ、有害ガス分解性および防カビ・防藻性にも優れるようになる。
かつ、上記塗装体では、上記光触媒性酸化チタン粒子が基材側ではなく、表面側に高濃度に存在するので、光触媒と基材との界面での反応を抑制しつつ光触媒性酸化チタン粒子の紫外線吸収により紫外線劣化をも抑制できるようになる。
この紫外線劣化抑制は、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が添加されていることでさらに高まる。しかも、上記光触媒性酸化チタン粒子が表面に高濃度に存在し、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は基材側に多く存在する状態になるので、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物の光触媒分解反応は抑制され、その紫外線吸収効果は長期に亘り発揮され、かつ光触媒の反応をほとんど妨げない。さらに、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は銅化合物と共存させても反応しないのでそれに基づき変色することもない。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒塗装体には、さらに、シリカ粒子が添加されているようにする。
そうすることで膜強度が向上する。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒コーティング液中に含有される硬化性シリコーンエマルジョンは、その硬化物が、前記光触媒層中に85質量%以上、好ましくは90%以上含有されるようにする。
85%以上にすることにより、2μmをこえる厚膜のような、表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることができるとともに、着色剤を添加しない場合に透明な光触媒層が形成可能となる。
さらに、90%以上にすることにより、5μmをこえる厚膜のような、表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることができるとともに、着色剤を添加しない場合に透明な光触媒層が形成可能となる。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層中に含有される光触媒性酸化チタン粒子は、0質量%をこえ5質量%未満であるようにする。
そうすることにより、基材の劣化を抑制できる。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層の膜厚は、2μmをこえ20μm未満、好ましくは5μmをこえ20μm未満であるようにする。
そうすることで、基材への紫外線の影響を低めることができ、紫外線による基材の劣化を有効に抑制できる。
本発明の好ましい形態によれば、前記硬化性シリコーンエマルジョンの平均粒径は、前記光触媒性酸化チタン粒子および前記シリカ粒子の平均粒径よりも大きいようにする。
そうすることで、光触媒性酸化チタン粒子の表面への移動が顕著になる。
従って、光触媒性酸化チタン粒子が表面に移動しやすくなり、2μmをこえる厚膜のような表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることの可能な光触媒塗装体を提供することがより容易となる。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層は透明であるようにする。
そうすることで、基材がエナメル塗装やクリア塗装の場合、その意匠性を有効に活かしつつ2μmをこえる厚膜のような、表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることの可能な光触媒塗装体を提供することがより容易となる。
ここで、「透明」の度合いとしては、波長550nmにおいての光触媒層の直線透過率を70%以上、より好ましくは80%以上確保するとより好ましい。そうすることで下地の色味、意匠を損なうことなく表現することが可能となる。また透明度の高いガラスやプラスチックなどにコーティングしても透明性を損なわずに済む。また、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は銅化合物と共存させても反応しないのでそれに基づき変色することもなく、透明性を長期に亘り維持できる。
本発明の好ましい形態によれば、光触媒性酸化チタン粒子としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンの粒子や、これら粒子を複数種複合させた粒子や、これらの粒子を部分的にシリカ、アルミナ等で被覆した粒子等が好適に利用可能である。
本発明の好ましい形態によれば、光触媒性酸化チタン粒子は10nm以上100nm未満の平均粒径を有するのが好ましく、より好ましくは10nm以上60nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。
粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。この範囲内であると、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(透明性、塗膜強度等)が効率良く発揮される。
また、本発明の好ましい態様によれば、光触媒性酸化チタン粒子は3nm以上30nm未満の平均結晶子径を有するのが好ましく、より好ましくは5nm以上20nm以下である。なお、この平均粒径は、粉末X線回折法により得られるX線プロファイルの3強線の積分幅からシェラー式により算出される。
本発明の水溶性の銅化合物としては、銅(II)化合物の好ましい例としては、グルコン酸塩、硫酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、キレート等が好適に利用できる。
硬化性シリコーンエマルジョンとは、基材に塗布し乾燥する際に、シリコーンエマルジョン中に存在する官能基により硬化重合反応を生じ、それに伴い硬化膜を生成しうるシリコーンエマルジョンをいう。
ここで、硬化反応には、加水分解・縮合反応、光重合反応等が好適に利用できる。
硬化反応が加水分解・縮合反応の場合には、官能基としてアルコキシド基を有し、加水分解・縮合反応によりシロキサン結合を生成する硬化性シリコーンエマルジョンが好適に利用できる。
硬化性シリコーンエマルジョンには、上記硬化反応を生じる官能基の他に、乳化重合による有機架橋部と、水に分散するための表面部分が存在する。
有機架橋部は、ビニル基とビニル基が重合したエチレン架橋部のようなラジカル重合により生成した架橋部が好適に利用できる。ラジカル重合により生成した架橋部であれば、特に炭化水素基に限定されず、種々の変性基の組合せが好適に利用可能である。
表面部分は、例えば、界面活性剤等の乳化剤が固定され水に分散可能に形成されている。
硬化性シリコーンエマルジョンには、上記硬化反応を生じる官能基、有機架橋部以外に珪素原子に結合する有機基が存在してもよい。ここで、有機基としては、アルキル基、フェニル基、シクロアルキル基等の炭化水素基や、その水素の一部が変性基に置換された有機基が挙げられる。ここで、変性基としては、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、アクリル基、エポキシ基等が好適に利用できる。
次に、エマルジョンの乳化剤として使用される界面活性剤について述べる。界面活性剤としては、従来公知のノニオン系、カチオン系、アニオン系各種界面活性剤、及びラジカル重合可能な官能基を含有する反応性乳化剤が適用可能である。更に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステルなどのノニオン系界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモニウムクロライドなどのカチオン系界面活性剤、アルキル又はアルキルアリル硫酸塩、アルキル又はアルキルアリルスルフォン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸塩などのアニオン系界面活性剤、アミノ酸型、ベタイン型などの両性イオン型界面活性剤、特開平8−27347号公報中に記されている分子中にスルフォン酸塩、ポリオキシエチレン鎖、第4級アンモニウム塩などの基を含有するラジカル重合可能な(メタ)アクリレート、スチレン、マレイン酸エステル化合物などの誘導体を含む各種反応性界面活性剤を示すことができる。
これらの界面活性剤は1種又は2種以上を使用してもよい。界面活性剤は、エマルジョン中の樹脂固形分の0.5〜15重量%使用するのが好ましく、特には1〜10重量%使用するのがよい。
光触媒層中に、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物を配合させる。ヒドロキシフェニルトリアジン化合物の量は光触媒層に0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%含有させることが好ましい。
本発明において用いられるヒドロキシフェニルトリアジン化合物は、ヒドロキシフェニルトリアジンおよび/または下記一般式(化1)に示される基本骨格を有するヒドロキシフェニルトリアジンの誘導体であり、市販のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を好適に利用することができる。
Figure 2011031136
また、本発明の光触媒層において、ヒンダードアミン系の光安定剤を更に含有するものは、上記紫外線吸収剤との相乗効果により、本発明の光触媒層は卓越した耐候性、耐光性を示すため好ましい。
特に、本発明の好ましい形態によれば、紫外線吸収剤としてヒドロキシフェニルトリアジン化合物を、光安定剤としてヒンダードアミン化合物を配合させるとよい。そうすることで、光触媒層による380nm未満の短波長の紫外線の吸収性能が安定する。ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が380nm以下の波長の吸収特性に優れ、かつ化学的に安定であるので好ましい。
本発明の光触媒層中の光安定剤の含有量は、光触媒活性の発現を阻害せずに耐候性を向上できる量であれば制限はないが、例えば光触媒層に0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%含有させることが好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(チバジャパン(株)製、製品名:TINUVIN−292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN−123(製品名、チバジャパン(株)製)、TINUVIN−111FDL(製品名、チバジャパン(株)製)、TINUVIN292(製品名、チバジャパン(株)製)、及び1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−イミノピペリジルメタクリレート、4−シアノ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、4−シアノ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートなどの重合性のヒンダードアミン系紫外線吸収剤やそれらの(共)重合物を挙げることができる。
また、ヒンダードフェノール系光安定剤の具体例としては、ビス(3,5−tert−ブチル)−4−ヒドロキシトルエン、TINUVIN−144(製品名、チバジャパン(株)製)等を挙げることができる。
光触媒層には、有機防カビ剤が配合されていてもよい。例として、有機窒素硫黄系化合物、ピリチオン系化合物、有機ヨウ素系化合物、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、ニトリル系化合物、チオカーバメート系化合物、チアゾール系化合物、有機よう素化合物、ジスルフィド系化合物が挙げられ、単独もしくは混合物として用いられる。防カビ剤は一般に藻を防ぐ効果も合わせ持つものが多いことから、防カビ剤を添加することによって、カビと藻の両方を抑制することも期待できる。
本発明の好ましい形態によれば、光触媒コーティング液にはノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤が、エマルジョンの製造過程で添加される乳化剤とは別に添加されてもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、HLB値が10〜20の界面活性剤が好ましい。その種類としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウラート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレエート、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ソルビタンラウラート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンラウラート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、グリセロールステアレート、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルアルキロールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、オキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンオクタデシルアミン、ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンステアレート等が好適に利用できる。
アニオン性界面活性剤としては、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルアンモニウム塩、スルホン酸ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルナトリウム塩、脂肪酸ナトリウムセッケン、脂肪酸カリセッケン、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルサルフェートソーダ塩、アルキルエーテルサルフェートソーダ塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートソーダ塩、アルキルサルフェートTEA塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートTEA塩、2−エチルヘキシルアルキル硫酸エステルナトリウム塩、アシルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルメチルタウリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリカルボン酸、オレオイルザルコシン、アミドエーテルサルフェート、ラウロイルザルコシネート、スルホFAエステルナトリウム塩等が好適に利用可能である。
本発明の好ましい形態によれば、シリカ粒子は、好ましくは10nmを超え200nm以下、より好ましくは20nmを超え100nm以下の平均粒径を有する。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。
本発明では光触媒層中にシリカ粒子以外の無機酸化物粒子が含まれていてもよい。無機酸化物粒子は、光触媒性酸化チタン粒子と共に層を形成可能な無機酸化物の粒子であれば特に限定されず、あらゆる種類の無機酸化物の粒子が使用可能である。そのような無機酸化物粒子の例としては、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、酸化錫、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、ハフニア等の単一酸化物の粒子;およびチタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の複合酸化物の粒子が挙げられる。
光触媒コーティング液
本発明の光触媒コーティング液は、光触媒性酸化チタン粒子と、硬化性シリコーンエマルジョンと、水溶性の銅化合物と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と、水とを備え、かつ、前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒水性コーティング液である。
このような構成にすることにより、基材の劣化を抑制しつつ有害ガス分解性および防カビ・防藻性にも優れ、かつ光触媒層の変色の生じにくい光触媒塗装体および光触媒水性コーティング液を提供することが可能となる。
その理由は以下のように考えられる。光触媒性酸化チタン粒子は水との親和性があり、かつエマルジョンより粒径を小さくしているために水が表面に拡散し蒸発する際に、表面に移動しやすい。従って、光触媒コーティング液を基材に塗布した後に乾燥するとき、水の蒸発に伴い、上記光触媒性酸化チタン粒子は水とともに表面への移動するが、それとともに、水に溶解している水溶性の銅化合物は表面へ移動する。それにより、塗装体表面は乾燥完了時には上記光触媒性酸化チタン粒子と銅化合物とが高濃度に互いに離間しつつ存在するようになる。ここで、本発明では光触媒性酸化チタン粒子が酸化力が還元力よりも強い光触媒性酸化チタン粒子であるので、銅化合物が適度に離間して存在することで、銅の光還元作用をほとんど生じることなく、光触媒と銅との相互作用により光触媒酸化力を強めることができ、有害ガス分解性および防カビ・防藻性にも優れるようになる。
かつ、上記塗装体では、上記光触媒性酸化チタン粒子が基材側ではなく、表面側に高濃度に存在するので、光触媒と基材との界面での反応を抑制しつつ光触媒性酸化チタン粒子の紫外線吸収により紫外線劣化をも抑制できるようになる。
この紫外線劣化抑制は、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が添加されていることでさらに高まる。しかも、上記光触媒性酸化チタン粒子が表面に高濃度に存在し、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は基材側に多く存在する状態になるので、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物の光触媒分解反応は抑制され、その紫外線吸収効果は長期に亘り発揮され、かつ光触媒の反応をほとんど妨げない。さらに、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は銅化合物と共存させても反応しないのでそれに基づき変色することもない。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒コーティング液には、さらに、シリカ粒子が添加されているようにする。
そうすることで膜強度が向上する。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒コーティング液中に含有される硬化性シリコーンエマルジョンは、その硬化物が、前記光触媒コーティング液の乾燥物に対して85質量%以上、好ましくは90%以上含有されるようにする。
85%以上にすることにより、2μmをこえる厚膜のような、表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることができるとともに、着色剤を添加しない場合に透明な光触媒層が形成可能となる。
さらに、90%以上にすることにより、5μmをこえる厚膜のような、表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることができるとともに、着色剤を添加しない場合に透明な光触媒層が形成可能となる。
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層中に含有される光触媒性酸化チタン粒子は、前記光触媒コーティング液の乾燥物に対して0質量%をこえ5質量%未満であるようにする。
そうすることにより、基材の劣化を抑制できる。
本発明の好ましい形態によれば、前記硬化性シリコーンエマルジョンの平均粒径は、前記光触媒性酸化チタン粒子の平均粒径よりも大きいようにする。
そうすることで、光触媒性酸化チタン粒子の表面に移動が顕著になる。
従って、光触媒性酸化チタン粒子がシリコーンエマルジョンに束縛されずに表面に移動しやすくなり、2μmをこえる厚膜のような、表面に移動行程の長い膜においても、高度な光触媒分解活性を得ることの可能な光触媒コーティング組成物を提供することがより容易となる。
光触媒コーティング液には、上記「光触媒性酸化チタン粒子」、「水溶性の銅化合物」、「硬化性シリコーンエマルジョン」、「ヒドロキシフェニルトリアジン化合物」の他、下記に限定されないが、「シリカ粒子」、「シリカ粒子以外の無機酸化物粒子」、「界面活性剤」「金属または金属化合物」、「光安定剤」、「有機防カビ剤」等を配合させることができる。
尚、「光触媒性酸化チタン粒子」、「水溶性の銅化合物」、「硬化性シリコーンエマルジョン」、「ヒドロキシフェニルトリアジン化合物の配合」、に関連する事項、「シリカ粒子」、「シリカ粒子以外の無機酸化物粒子含有」、「金属または金属化合物添加」、「界面活性剤の配合」、「光安定剤の配合」、「防藻剤の配合」については、「光触媒塗装体」の項で述べた全ての内容が好適に利用できる。
本発明の光触媒コーティング液においては、水に可溶又は水と均一分散可能な沸点が100℃以上の被膜形成助剤を配合することができる。この被膜形成助剤は大部分の水分が気化した後も被膜中に残存し、完全硬化するまで被膜に流動性を付与することにより気化時に荒れた被膜の修復を行い、特に被膜に均一性を付与するものである。良好な被膜を得るためには、非反応性の被膜形成助剤は最終的には硬化被膜から消失することが必要であり、エステル交換反応によりケイ素原子と結合する可能性のある水酸基は含まないことが好ましい。そのため、被膜形成助剤は100℃以上、好ましくは100〜250℃、特に100〜200℃の沸点の有機溶剤であることが好ましい。沸点が高すぎると被膜中に残存しやすくなることがある。具体的には、1−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メチル−3−メトキシブタノール等のアルコール類、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等のポリオール類、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート等のエチレングリコール誘導体、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−メチルエチルアセタート、1−エトキシ−2−メチルエチルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のプロピレングリコール誘導体、3−メトキシブチルアセタート等のブチレングリコール誘導体、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、ジブチルフタレート等のエステル類等を例示することができる。特に、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、1−エトキシ−2−メチルエチルアセタート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート等のアルキレングリコール誘導体がレベリング性の点から好ましい。これらの有機溶剤は、メタノールやエタノール等の低沸点アルコール類と比較して水溶性に劣るため、エマルジョンの安定性を損なわず、均一な被膜の形成にのみ寄与する。
上記被膜形成助剤の添加量は、シリコーン樹脂100重量部に対して0〜20重量部、特に1〜15重量部とすることが好ましい。20重量部を超えて添加すると、硬化終了後も被膜中に残存する被膜形成助剤の量が多くなるため、被膜の特性が不十分なものとなることがある。
本発明の光触媒コーティング液の溶媒は、主として水である。それにより塗膜形成時に有機物の揮発、蒸発に伴う異臭、環境汚染を有効に防止できる。
また、光触媒コーティング液の固形分濃度は特に限定されないが、10〜60質量%とするのが塗布し易い点で好ましい。光触媒コーティング液なお、光触媒コーティング液中の構成成分の分析は、コーティング液を限外ろ過によって粒子成分と濾液に分離し、それぞれを赤外分光分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、蛍光X線分光分析などで分析し、スペクトルを解析することによって評価することができる。
なお、上記「光触媒塗装体」「光触媒コーティング液」の項で述べた内容は、任意に組合わせることが可能である。
光触媒塗装体の製造方法
本発明の光触媒塗装体は、上記光触媒コーティング液を、基材上に塗布することにより簡単に製造することができる。光触媒層の塗装方法は、前記液剤を刷毛塗り、ローラー、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコート、流し塗り、スクリーン印刷等、一般に広く行われている方法を利用できる。コーティング液の基材への塗布後は、常温乾燥させればよく、あるいは必要に応じて加熱乾燥してもよい。
基材
本発明に用いる基材は、無機材料、有機材料、複層材料を問わず種々の材料であってよく、その形状も限定されない。材料の観点からみた基材の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものが挙げられる。用途の観点からみた基材の好ましい例としては、建材、建物外装および内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、台、浴室材、キッチンパネル、流し台、レンジ、換気扇、空調、フィルター、便器、浴槽及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等が挙げられる。
特に、本発明の光触媒塗装体は、太陽光に晒され、太陽光に含まれる紫外線により光触媒が光励起され、ガス分解や防カビ等の光酸化作用を生じるとともに、その紫外線により基材の劣化が生じるおそれのある利用形態で用いられるのが、特に好ましい。
そうような用途としては建材、建物外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、交通標識、広告塔、看板、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、道路舗装等が挙げられる。
特に好適には、表面がエナメル塗装或いはクリア塗装されている基材が本発明の効果を充分に享受できるので最も好ましい。
本発明を以下の例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1.
アナターゼ型酸化チタン粒子(平均結晶子径10nm)1.3質量部、3官能性シランで5%表面被覆したシリカ粒子(平均粒径50nm)8.7質量部、メチル基およびフェニル基を含有する硬化性シリコーンエマルジョン90質量部、銅のアミン錯体0.007質量部、銀のアミン錯体0.003質量部、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤1質量部を配合した固形分濃度25質量%の光触媒水性コーティング液を調製し、透明なアクリル基材上に150℃×5分乾燥し、光触媒塗装体を得た。
得られた光触媒塗装体の光触媒層を断面観察したところ、膜厚は約3μmであり、アナターゼ型酸化チタン粒子とシリカ粒子が表面に高濃度に存在する様子が観察された。
また、光触媒塗装体の表面から観察したところ、塗装体を載置していた実験台が透けてみえた。
この光触媒塗装体について、光触媒による有害物質除去性能を、NOx分解性能を調べることにより確認した。ここで、光触媒によるNOx分解機能は、JISR1701−1「光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第1部:窒素酸化物の除去性能」の試験法で行った。その結果、ΔNOxが0.5μmolを上回り、良好な結果を示した。
さらに、この光触媒塗装体について、抗カビ性能を確認した。前処理として1mW/cmのBLB光を24時間照射したのち、下記した抗カビ性試験を行った。 こうして得られた50×50mmの大きさの光触媒塗装体について、以下の通り抗カビ性の評価を行った。試験菌としてポテトデキストロース寒天培地で、25℃で7〜14日前培養したAspergillus niger(NBRC6341)を用い、これを0.005重量%のスルホコハク酸ジオクチルナトリウムを含む生理食塩水中に分散させ胞子懸濁液を作成した。上記方法にて得られた光触媒塗装体に、前記胞子懸濁液を、試験片1枚あたり4〜6×10個/mLになるよう滴下し、抗カビ試験片とした。この試験片に、JIS R1702(2006)に記載のフィルム密着法に準じ、密着フィルムをかぶせ、保湿可能なシャーレ内に設置し、保湿ガラスを載せて試験に用いた。前記試験片をシャーレごとBLB光照射下に設置し、光触媒塗装体面で0.4mW/cmになるようBLB光を24時間照射した。24時間照射後、胞子懸濁液を回収し、ポテトデキストロース寒天培地で培養し、生残菌数を計測した。抗カビ性は、得られた生残菌数の対数値と光触媒未加工の試験体の生残菌数の対数値の差を求めることによって得た。その結果、対数値は1を上回り、良好な結果を示した。
また、茅ヶ崎市において、屋外に1ヶ月暴露したが、外観の変化は生じなかった。
実施例2.
アナターゼ型酸化チタン粒子(平均結晶子径10nm)1.3質量部、3官能性シランで5%表面被覆したシリカ粒子(平均粒径50nm)8.7質量部、メチル基およびフェニル基を含有する硬化性シリコーンエマルジョン90質量部、銅のアミン錯体0.01質量部、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤1質量部を配合した固形分濃度25質量%の光触媒水性コーティング液を調製し、透明なアクリル基材上に150℃×5分乾燥し、光触媒塗装体を得た。
得られた光触媒塗装体の光触媒層を断面観察したところ、膜厚は約3μmであり、アナターゼ型酸化チタン粒子とシリカ粒子が表面に高濃度に存在する様子が観察された。
また、光触媒塗装体の表面から観察したところ、塗装体を載置していた実験台が透けてみえた。
この光触媒塗装体について、光触媒分解活性を、NOx分解性能を調べることにより確認した。ここで、光触媒によるNOx分解機能は、JISR1701−1「光触媒材料の空気浄化性能試験方法−第1部:窒素酸化物の除去性能」の試験法で行った。その結果、ΔNOxが0.5μmolを上回り、良好な結果を示した。
さらに、この光触媒塗装体について、抗カビ性能を確認した。前処理として1mW/cmのBLB光を24時間照射したのち、下記した抗カビ性試験を行った。 こうして得られた50×50mmの大きさの光触媒塗装体について、以下の通り抗カビ性の評価を行った。試験菌としてポテトデキストロース寒天培地で、25℃で7〜14日前培養したAspergillus niger(NBRC6341)を用い、これを0.005重量%のスルホコハク酸ジオクチルナトリウムを含む生理食塩水中に分散させ胞子懸濁液を作成した。上記方法にて得られた光触媒塗装体に、前記胞子懸濁液を、試験片1枚あたり4〜6×10個/mLになるよう滴下し、抗カビ試験片とした。この試験片に、JIS R1702(2006)に記載のフィルム密着法に準じ、密着フィルムをかぶせ、保湿可能なシャーレ内に設置し、保湿ガラスを載せて試験に用いた。前記試験片をシャーレごとBLB光照射下に設置し、光触媒塗装体面で0.4mW/cmになるようBLB光を24時間照射した。24時間照射後、胞子懸濁液を回収し、ポテトデキストロース寒天培地で培養し、生残菌数を計測した。抗カビ性は、得られた生残菌数の対数値と光触媒未加工の試験体の生残菌数の対数値の差を求めることによって得た。その結果、対数値は1を上回り、良好な結果を示した。
また、茅ヶ崎市において、屋外に1ヶ月暴露したが、外観の変化は生じなかった。

Claims (12)

  1. 基材と、前記基材上に設けられた光触媒層とを備えた光触媒塗装体であって、
    前記光触媒層は、光触媒コーティング液を塗布後乾燥することにより得られ、
    前記光触媒コーティング液は、光触媒性酸化チタン粒子と、硬化性シリコーンエマルジョンと、水溶性の銅化合物と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と水とを備え、かつ、
    前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒塗装体。
  2. 前記光触媒塗装体には、さらに、シリカ粒子が添加されていることを特徴とする請求項1に記載の光触媒塗装体。
  3. 前記光触媒コーティング液中に含有される硬化性シリコーンエマルジョンの硬化物は、前記光触媒層中に85質量%以上含有されることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の光触媒塗装体。
  4. 前記光触媒層中に含有される光触媒性酸化チタン粒子は、0質量%をこえ5質量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒塗装体。
  5. 前記光触媒層の膜厚は、2μmをこえ20μm未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒塗装体
  6. 前記硬化性シリコーンエマルジョンの平均粒径は、前記光触媒性酸化チタン粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光触媒塗装体。
  7. 前記光触媒層は透明であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒塗装体。
  8. 光触媒性酸化チタン粒子と、
    硬化性シリコーンエマルジョンと、
    水溶性の銅化合物と、
    ヒドロキシフェニルトリアジン化合物と
    水とを備え、
    かつ、前記光触媒性酸化チタン粒子は、還元力よりも酸化力が強い光触媒性酸化チタン粒子であることを特徴とする光触媒水性コーティング液。
  9. さらに、シリカ粒子が添加されていることを特徴とする請求項8に記載の光触媒コーティング液。
  10. 前記光触媒コーティング液中に含有される硬化性シリコーンエマルジョンの硬化物は、前記光触媒層中に85質量%以上含有されることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載の光触媒コーティング液。
  11. 前記光触媒層中に含有される光触媒性酸化チタン粒子は、0質量%をこえ5質量%未満であることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の光触媒コーティング液。
  12. 前記硬化性シリコーンエマルジョンの平均粒径は、前記光触媒性酸化チタン粒子の平均粒径よりも大きいことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の光触媒コーティング液。
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