−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の縮退業務支援システム10を含むネットワーク構成図である。図1に示す縮退業務支援システム10(以下、システム10)は、被災地等での正確かつ効率的な縮退業務を低コストで実現するコンピュータシステムである。本実施形態では、縮退業務の一例として被災地での銀行など金融機関の窓口業務を例示する。ただしこうした業務のみならず、自治体や郵便事業での窓口サービス、コンビニエンスストアでの支払い業務など様々な業務に本発明は適用してよい。また、本実施形態では災害時における縮退業務を想定したが、通常時であっても本来の業務処理時に必要な無線通信回線の電波状況が良くない僻地や離島、通信インフラが未整備の諸外国などで各種業務を行う際の支援システムとして本発明を適用可能である。
本実施形態における前記システム10は、一例として、互いにネットワーク30で結ばれた以下のサーバ群から構成されている。すなわち、前記システム10は、前記金融機関における窓口業務を処理する業務サーバ200(サーバ)と、前記業務サーバ200とネットワーク30を介して通信可能に結ばれたバックアップサーバたる防災サーバ100とを備えている。前記窓口業務は、例えば、顧客からの要請に応じて行われる顧客口座における入出金処理が想定できる。前記業務サーバ200は、オンライン端末300(例:金融機関の担当者が操作するテラー端末や顧客が直接操作するATMなど)からの要求に応じて、前記窓口業務などの業務処理を実行するサーバ装置であり、前記防災サーバ100は、前記業務サーバ200での業務処理に際して取り扱われる業務データ(顧客の個人情報など固定的なデータも含んでよい)のバックアップを日次など定期的に受けて管理するサーバ装置である。また、業務データ、オペレーティングシステムおよび業務処理用ソフトウェアが前記業務サーバ200より格納された可搬型記憶媒体を利用し、被災地での縮退業務を実行するのがオフライン端末400となる。
前記業務サーバ200は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置たる記憶部201に格納されたプログラム202を、RAM203などの揮発性メモリに読み出すなどして演算部204により実行する。また、前記業務サーバ200は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力部205、ディスプレイなどの出力部206を必要に応じて備えるとしてもよい。
また前記業務サーバ200は、他装置との間のデータ授受を担うNIC(Network Interface Card)など通信部207を有し、前記銀行の各店舗に備わるオンライン端末300および前記防災サーバ100とネットワーク30を介して通信可能となっている。当該業務サーバ200は、前記窓口業務を処理するための業務処理ソフトを当然備えていて、各店舗のオンライン端末300(例えば、ATMなど)から、例えば、ある顧客に関する所定金額の出金処理要求を受信したならば、この出金処理要求を前記業務処理ソフトに渡す。この業務処理ソフトは、前記出金処理要求が含む顧客の識別情報(店番や口座番号、氏名など)をキーに該当口座の残高情報を記憶部201の業務データ中より特定し、前記所定金額分の残高減算を行い、その処理結果を前記オンライン端末300に返す。オンライン端末300では前記処理結果を受信してディスプレイ等で表示し、前記所定金額分の現金の出金動作(例:所定金額に応じた枚数の紙幣や硬貨をカウントし、払い出し口に排出するATMの機構などに指示)をすることになる。こうした業務処理にて扱う業務データ(例:顧客の預金残高、入出金情報、与信情報、個人情報など)は、前記記憶部201に格納されている。この業務処理ソフトは、窓口業務として要求される機能が揃えられており、縮退業務用の業務処理ソフトウエア6とは異なるものとすることがより好適である。但し、業務処理ソフトウエア6と同様の機能としてもよい。
また、前記業務サーバ200は、コンピュータとして一般的に備わるクロック機能208を備えている。業務サーバ200は、各種処理を実行時にこのクロック機能208から時刻情報を得て、処理対象のデータに付帯させる。
一方、前記防災サーバ100は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性記憶装置たる記憶部101に格納されたプログラム102を、RAM103などの揮発性メモリに読み出すなどして演算部104により実行する。また、前記防災サーバ100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力部105、ディスプレイなどの出力部106を必要に応じて備えるとしてもよい。
また前記防災サーバ100は、他装置との間のデータ授受を担うNIC(Network Interface Card)など通信部107を有し、前記業務サーバ200や銀行の各店舗に備わるオンライン端末300などとネットワーク30を介して通信可能となっている。当該防災サーバ100は、コンピュータとして一般的に備わるクロック機能108を備えている。防災サーバ100は、各種処理を実行時にこのクロック機能108から時刻情報を得て、処理対象のデータに付帯させる。
また前記防災サーバ100は、前記オフライン端末400で起動可能なオペレーティングシステム5と、当該オペレーティングシステム5上で実行される業務処理用のソフトウェア6とを記憶部101に格納している。また前記防災サーバ100は、可搬型記憶媒体たるUSBメモリ50を接続するUSBインターフェイス109も備えている。
一方、前記オフライン端末400は、被災地などオフライン状況での縮退業務に利用されるコンピュータ端末であり、一般的なコンピュータとして備えるべき演算部、RAM、記憶部、入力部、出力部などのハードウェアの他、前記可搬型記憶媒体たるUSBメモリ50を接続するためのUSBインターフェイス409を備えている。また、このオフライン端末400は、前記USBメモリ50が格納しているオペレーティングシステム5を起動するためのBIOSも不揮発性の記憶部に備えている(つまりUSBメモリ経由でのブート可能な端末である)。
続いて、前記防災サーバ100、業務サーバ200が、例えばプログラムに基づき記憶部にて構成・保持する機能部につき説明を行う。前記業務サーバ200は、前記記憶部201の業務データの複製を、バックアップデータとして前記防災サーバ100(バックアップサーバ)へ送信するデータ送信部210を備える。
一方、前記防災サーバ100は、前記業務サーバ200が送信してくるバックアップデータを受信し、これを記憶部101に保存するデータ取得部110を備える。
また、前記防災サーバ100は、前記バックアップデータを構成する各業務データより、該当業務データの処理に関与したオンライン端末300の識別情報を抽出し、前記識別情報が示すオンライン端末300の所属グループ毎に前記各業務データをグループ化し、グループ化業務データを生成するグルーピング部111を備える。
また、前記防災サーバ100は、前記USBインターフェイス109に接続された可搬型記憶媒体たるUSBメモリ50に、1または複数の所属グループの前記グループ化業務データと、前記記憶部101のオペレーティングシステム5および業務処理用のソフトウェア6とを書き込むデータ格納部112を備える。
なお、前記データ送信部210は、当該業務サーバ200とネットワーク30で結ばれているオンライン端末群と通信部207により通信を試みて、通信不可となった不通オンライン端末350を特定し、前記不通オンライン端末350の識別情報を前記防災サーバ100に送信するとしてもよい。前記不通オンライン端末350を特定するにあたり、前記データ送信部210は、例えば、前記記憶部201に予め保持しているオンライン端末リスト(例:オンライン端末300の識別情報とネットワーク上のアドレスがリスト化されているもの)に基づいて、各オンライン端末のアドレス宛に、返信要求を含む所定データを送信し、この所定データの送信後、一定時間が経過しても返信が無いオンライン端末を不通オンライン端末350としその識別情報を前記リストより収集する。前記識別情報は、該当オンライン端末300の配置店舗が所属する地域を示すコード=オンライン端末300の所属グループのコードとなる。
この場合、前記防災サーバ100の前記グルーピング部111は、前記不通オンライン端末350の識別情報を前記業務サーバ200から受信し、前記バックアップデータを構成する各業務データより、前記不通オンライン端末350の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出し、ここで抽出した業務データを前記所属グループ毎にグループ化してグループ化業務データを生成する。
また、前記防災サーバ100は、前記業務サーバ200とネットワーク30で結ばれているオンライン端末群と、ネットワーク30で結ばれているとしてもよい。この場合、前記防災サーバ100のグルーピング部111は、前記オンライン端末群と通信部207により通信を試みて、通信不可となった不通オンライン端末350を特定し、前記バックアップデータを構成する各業務データより、前記不通オンライン端末350の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出し、ここで抽出した業務データを前記所属グループ毎にグループ化してグループ化業務データを生成する。
一方、前記オフライン端末400の演算部404は、前記USBインターフェイス409に接続された前記USBメモリ50より前記オペレーティングシステム5を読み出して前記業務処理用のソフトウェア6を実行し、この業務処理用のソフトウェア6により、当該オフライン端末400が備える入力部405から受信したリクエストに対応した業務処理を実行し、前記USBメモリ50が保持するグループ化業務データ中の業務データのうち前記リクエストが指示した該当業務データについて前記業務処理に応じた更新処理、ないし前記業務処理により生じた新たな業務データの前記グループ化業務データへの追加処理を実行する。
また、前記防災サーバ100は、前記USBインターフェイス109に接続された前記USBメモリ50より、前記オフライン端末400での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを読み出して前記業務サーバ200に送信する、更新データ返送部113を備える。
また、前記業務サーバ200は、前記防災サーバ100より、前記オフライン端末400での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを受信し、当該グループ化業務データが含む各業務データと前記記憶部201に保持している業務データとを照合し、差分が生じている箇所を前記防災サーバ100由来の業務データで更新する、復旧処理部211を備える。
なお、前記業務サーバ200のデータ送信部210は、当該業務サーバ200とネットワーク30で結ばれているオンライン端末群と通信部207により通信を試みて、通信可となった通常動作オンライン端末360を特定(この特定処理については不通オンライン端末350の特定処理例と同様)し、前記記憶部201の各業務データより、前記通常動作オンライン端末360の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出してグループ化業務データを生成し、これを前記通常動作オンライン端末360へ送信するとしてもよい。
この場合、前記業務サーバ200の復旧処理部211は、前記防災サーバ100より、前記オフライン端末400での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを受信し、前記通常動作オンライン端末360より、当該通常動作オンライン端末360での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを取得し、前記オフライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データと、前記通常動作オンライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データとを照合して、同じ業務データを起源とするが互いに差異が生じている業務データ群を特定し、当該業務データ群の情報を出力部206において表示し、前記業務データ群からの操作者による適正業務データの指定を入力部205で受け付けて、前記記憶部201に保持している業務データのうち前記適正業務データの起源となった業務データを、前記適正業務データで更新する。
また、前記業務サーバ200の復旧処理部211は、前記オフライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データと、前記通常動作オンライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データとを照合して、同じ業務データを起源とするが互いに差異が生じている業務データ群を特定した際、当該業務データ群が含む各業務データに付帯した前記時刻情報を読み取り、各業務データ間でその時刻情報を照合し、各時刻情報が所定時間以上離れた時刻を示すものであれば、前記記憶部201に保持している業務データのうち前記業務データ群が含む各業務データの起源となった業務データを、前記業務データ群の該当業務データで更新し、各時刻情報が所定時間以上離れた時刻を示さなければ、前記業務データ群の情報を出力部206において表示し、前記業務データ群からの操作者による適正業務データの指定を入力部205で受け付けて、前記記憶部201に保持している業務データのうち前記適正業務データの起源となった業務データを、前記適正業務データで更新するとしてもよい。
これまで示した前記システム10をなす防災サーバ100における各部110〜113、同じく業務サーバ200における各部210〜211らはハードウェアとして実現してもよいし、各サーバやオフライン端末400におけるメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶部に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、各装置のCPUなど演算部がプログラム実行に合わせて記憶部より該当プログラムをRAMに読み出して、これを実行することとなる。
−−−データ構造例−−−
次に、本実施形態の前記システム10らが利用するデータ類の例について説明する。図2は本実施形態における業務データの構成例1を示す図である。この図で示す業務データは、前記業務サーバ200で通常時に使用されている業務データ(元帳)225を示すものである。ここで例示した業務データ(元帳)225は、前記銀行の顧客について、口座開設店舗の店番、口座番号、預金者名(顧客氏名)、顧客の住所、口座残高、前回取引日といった情報を対応付けたレコードの集合体となっている。各顧客のレコードは、例えば、ATMなどオンライン端末300からの指示を受けた業務処理用ソフトウェア6により、口座残高の値が増減し、当該処理に合わせて取引日が更新されるデータとなる。
また前記業務データ(元帳)225における店番のデータは、例えば、店舗グループのコード、店舗ID、および仮想化フラグから構成される。前記店舗グループのコードは、例えば、該当顧客の口座開設店舗が所属する地域(行政区画のみならず、銀行側で区分したエリアも想定できる)を示すコードであり、図の例では例えば、店番“1155670”のうち上二桁の“11”が該当する。銀行の各店舗に配置されたオンライン端末300は、この店舗グループのコードを自身の所属グループを示す識別情報として記憶している。また、前記店舗IDは、前記銀行の各店舗に固有の識別情報である。また、前記仮想化フラグは、オンライン端末300と業務サーバ200との間で業務処理がなされている通常時は“0”のままであり、被災時など業務サーバ200から防災サーバ100に業務データが送られた際には前記防災サーバ100が受け取ったレコードにおいて“1”に更新するフラグである。この仮想化フラグの利用形態については後述する。
なお、上述の業務データ(元帳)225は、災害発生時に業務サーバ200から防災サーバ100や通常動作オンライン端末360に送信される、ある時点での業務データにあたる。このある時点の業務データは、防災サーバ100においてはバックアップ業務データ125となり、通常動作オンライン端末360では業務データ(オンライン業務用)325となる。こうして前記防災サーバ100のデータ取得部110は、前記業務サーバ200から前記バックアップ業務データ125(バックアップデータ)を得る。
図3は本実施形態における業務データの構成例2を示す図であり、図4は本実施形態における業務データの構成例3を示す図である。次に、前記バックアップ業務データ125に基づいて、防災サーバ100のグルーピング部111で生成される業務データについて説明する。前記防災サーバ100のグルーピング部111は、前記バックアップ業務データ125を構成する各業務データ=各顧客のレコードより、該当業務データの処理に関与したオンライン端末300の識別情報=前記店番を抽出し、前記識別情報たる店番が示すオンライン端末300の所属グループ、つまり前記店舗グループのコード毎に前記各業務データをグループ化し、グループ化業務データを生成する。
この処理にあたり、前記グルーピング部111がまず生成するのが各店舗業務データ126である。前記防災サーバ100のグルーピング部111は、前記バックアップ業務データ125を構成する各業務データ=各顧客のレコードより、該当業務データの処理に関与したオンライン端末300の識別情報=前記店番を抽出し、前記識別情報たる店番毎に前記各業務データをグループ化し、各店舗業務データ126を生成する。図3に示す各店舗業務データ126は、前記店番が同一の前記レコードの集合体を、店番毎に含むものとなっている。
前記各店舗業務データ126に続き、前記グルーピング部111が生成するのが店舗グループ業務データ127である。グルーピング部111は、前記各店舗業務データ126を、店番が示す前記店舗グループのコード毎にグループ化し、前記店舗グループ業務データ127(グループ化業務データ)を生成する。図4に示す店舗グループ業務データ127は、前記店番のうち店舗グループのコードが“22”のレコードを集めたものとなっている。
図5は本実施形態における取引データの構成例1を示す図である。前記オフライン端末400の演算部404は、前記USBインターフェイス409に接続されたUSBメモリ50より前記オペレーティングシステム5を読み出して前記業務処理用のソフトウェア6を実行し、この業務処理用のソフトウェア6により、当該端末400が備える入力部405から受信したリクエストに対応した業務処理を実行し、前記USBメモリ50が保持する店舗グループ業務データ127(グループ化業務データ)中の業務データのうち前記リクエストが指示した該当業務データについて前記業務処理に応じた更新処理(例:口座残高の増減)、ないし前記業務処理により生じた新たな業務データの前記グループ化業務データへの追加処理(例:該当店舗グループ以外のグループに属する店舗で口座を持っている利用者が出金や入金を希望した場合など)を実行する。前記更新処理に際して、前記店舗グループ業務データ127の該当レコードを書き換えるためのデータ、ないし前記追加処理に際して、前記店舗グループ業務データ127に新規レコードを追加するためのデータ、を取引データと称する。
図5に示す店舗グループ取引データ128は、取引IDをキーとして、店番、取引日時、口座番号、氏名、住所、取引額、取引時の通帳有無、および本人確認方法といったデータを対応付けたレコードの集合体となっている。図における前記取引IDは、縮退業務の処理を行ったオフライン端末400の入力部405で操作者により入力された店番“2278781”(例:オフライン端末400で縮退業務を行った店舗のもの)に、取引毎に業務処理用ソフトウェア6がインクリメントした連番“001”、“002”を付したものである。なお、前記取引IDには、店舗グループのコード“22”と連番さえ含まれていればよいが、この例では店番全体を含む例をあげた。
また、前記店舗グループ取引データ128における前記店番は、例えば、オフライン端末400の入力部405ないし所定のリーダー装置で利用者の通帳やキャッシュカード等から得たもので、該当顧客が口座開設した店舗のものである。よって、店番や口座番号を示す通帳、キャッシュカード等を持参できなかった利用者に関して縮退業務の処理がなされた場合、前記店舗グループ取引データ128における前記店番や口座番号の項目は“null”、通帳有無の項目は“無”となる。こうした利用者については、前記オフライン端末400が、図6に示すような追加情報128aを入力部405で操作者から得て、USBメモリ50に記憶しておく。この追加情報128aは、前記取引IDをキーに、取引日時、利用者の氏名、住所、通帳有無、本人確認方法、および取引時の証跡データ(例:本人確認方法で用いられた健康保険証の撮影画像データ)、といったデータを対応付けたものとなる。
なお、前記防災サーバ100の更新データ返送部113は、USBインターフェイス109に接続された前記USBメモリ50より、前記オフライン端末400での業務処理に際して利用されたグループ化業務データを読み出して前記業務サーバ200に送信するが、この「前記オフライン端末400での業務処理に際して利用されたグループ化業務データ」として、前記店舗グループ取引データ128を想定してもよい。或いは、前記店舗グループ取引データ128による更新(例:口座残高からの取引額分の差し引き)を行った後の、前記USBメモリ50中の店舗グループ業務データ127の該当レコードを、「前記オフライン端末400での業務処理に際して利用されたグループ化業務データ」としてもよい。或いは、こうした更新等がなされたレコードを含む前記店舗グループ業務データ127全てを「前記オフライン端末400での業務処理に際して利用されたグループ化業務データ」としてもよい。
図7は本実施形態における取引データの構成例3を示す図である。前記店舗グループ取引データ128が含むレコードを、前記防災サーバ100が、当該店舗グループ取引データ128が含む前記店番毎にグルーピングしたのが、各店舗取引データ129である。つまり、縮退業務で取り扱われた取引データを前記銀行の店舗毎に集約したものとなる。この各店舗取引データ129のデータ構造は、前記店舗グループ取引データ128と同様である。
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における縮退業務支援方法の実際手順について図に基づき説明する。なお、以下で説明する縮退業務支援方法に対応する各種動作は、前記システム10を構成する防災サーバ100、業務サーバ200、オンライン端末300、およびオフライン端末400らのRAMに読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
図8は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例1を示す図である。以下、縮退業務支援方法の全体フローについて説明する。まず、災害発生時ではなく通常運用がなされている状況下において、前記業務サーバ200から前記防災サーバ100への業務データのバックアップ処理が定期的になされているとする(s100)。この定期的なバックアップ処理は、日次、月次など一定期間毎に、前記業務サーバ200の記憶部201における前記業務データ(元帳)225の複製が、前記ネットワーク30を介して業務サーバ200から防災サーバ100に送信される処理となる。こうしたバックアップ処理については既存のバックアップ技術を採用すればよい。
その後、ある時に災害が発生したとする。一方、前記業務サーバ200(ないし防災サーバ100)はネットワーク30上のオンライン端末300の生死(通信可能か否か)を定期的に問い合わせており、前記災害発生に伴う通信回線ダウン等が生じれば障害の発生を検知することになる(s101)。特に障害発生の事実が検知できなければ、つまりネットワーク30上の各オンライン端末300と問題なく通信可能であった場合、通常通り、オンライン端末300からの要求に応じて業務処理を実行し、業務データ(元帳)225の更新等を実行する(s111)。
他方、いずれかのオンライン端末300に関して障害の発生を検知した場合、前記業務サーバ200は、前記業務データ(オンライン業務用)325を生成し(s102)、これを、障害発生が無かった通常動作オンライン端末360に宛てて送信する。この通常動作オンライン端末360では、前記業務データ(オンライン業務用)325を利用して、オンライン業務を実行し(s103)、業務処理に応じて更新が生じれば前記業務データ(オンライン業務用)325の該当データ更新を行う(s104)。
また、いずれかのオンライン端末300に関して障害の発生を検知した場合、前記業務サーバ200は(ないしは防災サーバ100自身が)、障害発生のあった不通オンライン端末350の情報を防災サーバ100に送る。防災サーバ100では、前記業務サーバ200から事前に得ている前記バックアップ業務データ125から前記各店舗業務データ126を、更に当該各店舗業務データ126から店舗グループ業務データ127を生成し(s105、s106)、前記オペレーティングシステム5および業務処理用ソフトウェア6のデータと共に、前記USBメモリ50に格納する(s107)。なお、図中の前記ステップs107においては、オフライン端末400が読み取りを行うUSBメモリ50、との意味で「オフライン端末用媒体」と記載している。
このUSBメモリ50は、例えば、適宜な運送手段(警備会社の車両等)で被災現地に運ばれる。このUSBメモリ50を被災地で受け取った前記銀行の行員は、自身が個人所有するPCや被災した銀行店舗で元々利用していたPCなどをオフライン端末400として確保し、このオフライン端末400のUSBインターフェイス409に前記USBメモリ50を接続する。前記行員は前記オフライン端末400を起動して、オフライン端末400が提供するBIOS設定画面等で「外部メディアによるブート」と設定する。するとこのオフライン端末400は、前記オペレーティングシステム5を格納している前記USBメモリ50=ブータブルメディアと認識し、前記オペレーティングシステム5を起動させる。また、前記行員はこのオペレーティングシステム5上で前記業務処理用ソフトウェア6を実行させる。この業務処理用ソフトウェア6は例えばATM機能を提供するソフトウェアを想定できる。
被災地で臨時にATMサービスを提供する前記行員のもとには、自身の預金口座から出金等を望む者が来訪する。そこで前記行員は、来訪した顧客からの出金要請等に応じ、前記顧客が提示する通帳等に記載の店番や口座番号、氏名、および住所と希望出金額といった情報を、前記オフライン端末400の入力部405で入力する。前記オフライン端末400で実行中の前記業務処理用ソフトウェア6は、前記入力部405での入力事項を得て、前記USBメモリ50中の店舗グループ業務データ127で該当顧客の業務データを更新するか、或いは暫定のトランザクションデータ(前記店舗グループ取引データ128)を生成してUSBメモリ50に格納する(s108)。
また、USBメモリ50は、災害復旧が図られた時期など適宜なタイミングで、前記オフライン端末400のUSBインターフェイス409から行員らにより抜き去られ、例えば、適宜な運送手段(警備会社の車両等)で防災サーバ100の所在地まで運ばれる。防災サーバ100の管理者等は前記防災サーバ100のUSBインターフェイス109に前記USBメモリ50を接続する。防災サーバ100は、前記店舗グループ取引データ128から各店舗取引データ129を生成し(s109)、これを前記業務サーバ200に送信する(s110)。
業務サーバ200では前記防災サーバ100から各店舗取引データ129を受信し、自身の記憶部201で保持していた業務データ(元帳)225と照合し、変更が生じている箇所の更新を実行する(s111)。
以降の処理フロー例では、上記の各処理の詳細について説明する。
−−−処理フロー例2−−−
次に、前記業務データ(元帳)225のバックアップデータに基づいて、前記業務サーバ200から前記防災サーバ100へ前記バックアップ業務データ125を送信する処理について、図10の処理フロー例2につき説明する(なお参考のため、図9に示す業務データの分割管理の概念例1にて、業務データのバックアップ処理等の全体の流れを示した。以下の処理フロー例でも同様)。
この場合、災害等の発生がない通常の状態において、前記業務サーバ200のデータ送信部210は、前記記憶部201の業務データ(元帳)225の複製を、クロック機能208で到来を検知した日次など一定間隔で記憶部201に作成する(s200)。前記データ送信部210は、記憶部201に作成した前記複製を前記日次時点でのバックアップデータとして前記防災サーバ100へ送信する(s201)。
一方、前記防災サーバ100のデータ取得部110は、前記業務サーバ200が送信してくる前記バックアップデータを受信し(s202)、これを記憶部101にてバックアップ業務データ125として保存する(s203)。
−−−処理フロー例3−−−
次に、前記業務サーバ200から通常動作オンライン端末360へ前記業務データ(オンライン業務用)325を送信する処理について説明する。図11は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例3を示す図である。この場合、前記業務サーバ200のデータ送信部210は、当該業務サーバ200とネットワーク30で結ばれているオンライン端末群と通信部207により通信を試みて、通信可となった通常動作オンライン端末360を特定する(s300)。前記不通オンライン端末350を特定するにあたり、前記データ送信部210は、例えば、前記記憶部201に予め保持しているオンライン端末リスト(例:オンライン端末300の識別情報とネットワーク上のアドレスがリスト化されているもの)に基づいて、各オンライン端末のアドレス宛に、返信要求を含む所定データを送信し、この所定データの送信後、一定時間が経過しても返信が無いオンライン端末を不通オンライン端末350としその識別情報を前記リストより収集する。前記識別情報は、該当オンライン端末300の配置店舗が所属する地域を示すコード=オンライン端末300の所属グループのコードとなる。
前記通常動作オンライン端末360を特定した前記データ送信部210は、前記記憶部201の前記業務データ(元帳)225より、前記通常動作オンライン端末360の識別情報と所属グループ(例えば、“22”や“11”)が一致する該当業務データを抽出して業務データ(オンライン業務用)325を生成する(s301)。また、前記データ送信部210は、前記ステップs301で生成した業務データ(オンライン業務用)325を前記通常動作オンライン端末360へ送信する(s302)。
前記業務データ(オンライン業務用)325を受信した前記通常動作オンライン端末360は、業務処理用ソフトウェアに基づく業務処理を実行し、前記業務データ(オンライン業務用)325を前記業務処理結果に応じて更新することとなる。
−−−処理フロー例4−−−
次に、前記各店舗業務データ126や店舗グループ業務データ127の生成処理について説明する。図12は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例4を示す図である。この場合、例えば、前記防災サーバ100からの定期的な指示(ないし災害発生を感知した管理者等から入力部205で入力された指示)を受けた前記業務サーバ200の前記データ送信部210は、当該業務サーバ200とネットワーク30で結ばれているオンライン端末群と通信部207により通信を試みて、通信不可となった不通オンライン端末350を特定する(s400)。
前記業務サーバ200のデータ送信部210は、前記不通オンライン端末350を特定するにあたり、例えば、前記記憶部201に予め保持しているオンライン端末リスト(例:オンライン端末300の識別情報とネットワーク上のアドレスがリスト化されているもの)に基づいて、各オンライン端末のアドレス宛に、返信要求を含む所定データを送信し、この所定データの送信後、一定時間が経過しても返信が無いオンライン端末を不通オンライン端末350としその識別情報を前記リストより収集する。前記識別情報は、該当オンライン端末300の配置店舗が所属する地域を示すコード=オンライン端末300の所属グループのコード(例えば、“22”や“11”など)となる。前記業務サーバ200のデータ送信部210は、前記不通オンライン端末350の識別情報を前記防災サーバ100に送信する(s401)。
この場合 前記防災サーバ100の前記グルーピング部111は、前記不通オンライン端末350の識別情報(例えば、“22”)を前記業務サーバ200から受信し、前記業務サーバ200から事前に得ているバックアップ業務データ125より、前記不通オンライン端末350の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出し、ここで抽出した業務データを前記所属グループ毎にグループ化して各店舗業務データ126を生成する(s402)。このs402において、各店舗業務データ126を生成する場合、店番の仮想化フラグを1にする。このことで、本各店舗業務データ126が、オフライン端末で処理されるべきものであることが示される。
なお、前記防災サーバ100のグルーピング部111は、上述の如く、不通オンライン端末350を特定せずに、前記バックアップ業務データ125より、該当業務データの処理に関与したオンライン端末300の識別情報を抽出し、前記識別情報が示すオンライン端末300の所属グループ毎に前記各業務データをグループ化し、前記各店舗業務データ126を生成するとしてもよい。
また、前記前記防災サーバ100が、前記業務サーバ200とネットワーク30で結ばれているオンライン端末群と、ネットワーク30で結ばれている場合、業務サーバ200に対して不通オンライン端末350の特定指示を送信せず、前記グルーピング部111が、前記オンライン端末群と通信部207により通信を試みて、通信不可となった不通オンライン端末350を特定するとしてもよい。
続いて、前記防災サーバ100のグルーピング部111は、前記各店舗業務データ126の生成に続き、前記店舗グループ業務データ127を生成し(s403)、記憶部101に格納する。この場合、前記グルーピング部111は、前記各店舗業務データ126を、店番が示す前記店舗グループのコード(例えば、“22”など)毎にグループ化し、前記店舗グループ業務データ127を生成する。
−−−処理フロー例5−−−
次に、前記USBメモリ50への前記店舗グループ業務データ127やオペレーティングシステム5および業務処理用ソフトウェア6の格納処理について説明する。図13は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例5を示す図である。この場合、前記防災サーバ100のデータ格納部112は、前記記憶部101から前記店舗グループ業務データ127を1または複数の所属グループ分(例えば、コードが“22”のグループ)だけ読み出し(s500)、同じく記憶部101に保持している前記オペレーティングシステム5および業務処理用ソフトウェア6を読み出して(s501)、これらを前記USBインターフェイス109に接続されたUSBメモリ50に書き込む(s502)。これで、被災地のオフライン端末400に接続されるUSBメモリ50が生成される。
なお、図14に示す業務データの分割管理の概念例2の如く、業務サーバ200、防災サーバ100、通常動作オンライン端末360、オフライン端末400のそれぞれで、各業務データや取引データに対しタイムスタンプを付すとしてもよい。このタイムスタンプは、各装置がコンピュータとして当然に備えるクロック機能から得る時刻情報に基づいている。また、業務サーバ200で前記業務データ(元帳)225の複製を作成開始した時刻をタイムスタンプ“Time1”とし、業務サーバ200ではこのタイムスタンプ“Time1”からの経過時間を以後測定する。業務サーバ200において、ある時点でのタイムスタンプ“Time2’”は“Time1+経過時間”となる。また、業務サーバ200から前記業務データ(元帳)225のバックアップデータを送信する際、前記業務サーバ200は、前記タイムスタンプ“Time1”の情報を合わせて送信する。また、前記時刻“Time1”から所定時間が経過した後のある時点で災害が発生し、前記業務データ(オンライン業務用)325を前記通常動作オンライン端末360に送信する際にも、業務サーバ200は前記タイムスタンプ“Time2’”を前記通常動作オンライン端末360に送信する。
一方、防災サーバ100では、前記タイムスタンプ“Time1”をバックアップ業務データ125と共に受信し、例えば、自身のクロック機能108で前記バックアップ業務データ125の受信開始からの経過時間を測定し、タイムスタンプ“Time2”を得て記憶部に保持していく。また、前記通常動作オンライン端末360でも前記タイムスタンプ“Time2’”を受信して、例えば、自身のクロック機能208で前記業務データ(オンライン業務用)325の受信開始からの経過時間を測定し、タイムスタンプ“TimeOn”を得て記憶部に保持していく。
更に、前記防災サーバ100では、例えば災害発生に応じて前記各店舗業務データ126を作成し始める場合、例えば、自身のクロック機能208で前記各店舗業務データ126の作成開始時刻“Time2”からの経過時間を測定し、タイムスタンプ“Time3”を得て記憶部に保持していく。
また、前記防災サーバ100では、前記各店舗業務データ126から店舗グループ業務データ127を作成し始める場合、例えば、自身のクロック機能208で前記店舗グループ業務データ127の作成開始時刻“Time3”からの経過時間を測定し、タイムスタンプ“Time4”を得て記憶部に保持していく。
また、前記防災サーバ100では、前記USBメモリ50に前記各店舗業務データ126やオペレーティングシステム5および業務処理用ソフトウェア6を格納し始める場合、例えば、自身のクロック機能208で前記格納処理の開始時刻“Time4”からの経過時間を測定し、タイムスタンプ“Time5”を得て記憶部に保持していく。前記USBメモリ50がクロック機能を備える場合、前記防災サーバ100はこのタイムスタンプ“Time5”をUSBメモリ50の記憶領域に書き込む。USBメモリ50は、自身のクロック機能で前記“Time5”からの経過時間を測定し記憶領域に保持していく。
また、前記オフライン端末400では、例えば、前記業務処理用ソフトウェア6の起動時に、前記USBメモリ50の記憶領域にアクセスして前記“Time5”からの経過時間の情報を取得する。そして、前記オフライン端末400は、前記“Time5”からの経過時間を自身のクロック機能408で引き続き測定し、タイムスタンプ“TimeOff”を得て記憶部に保持していく。こうして前記各装置らは、業務処理などを実行する場合に、その処理時刻を前記タイムスタンプとして得ることができ、そのタイムスタンプを対応する業務データに付帯させるものとできる。こうしたタイムスタンプを利用した処理については、後述する処理フロー例9で説明する。
なお、前記USBメモリ50がクロック機能を備えていない場合、例えば、前記防災サーバ100が、当該防災サーバ100に接続された印字機構(物体表面への印字が可能なインクジェットプリンタなど)に対し、前記USBメモリ50の所定箇所への前記タイムスタンプ“Time5”の印字指示を送るとしてもよい。この場合、前記印字機構は前記USBメモリ50に対する適宜な印字位置を得るため、USBインターフェイス109の近傍に配置されていて、前記USBメモリ50の表面に前記タイムスタンプ“Time5”が示す時刻情報を印字する。或いは前記印字機構に代えて所定の管理者が手書きでタイムスタンプ“Time5”の記入をUSBメモリ50の表面に行う場合も想定できる。
こうした場合、被災地までの前記USBメモリ50の運搬担当者は、前記タイムスタンプ“Time5”の時刻からの経過時間をストップウォッチその他の時計で測定し、被災地で前記業務処理用ソフトウェア6を起動させて待つ行員に対し、前記タイムスタンプ“Time5”からの経過時間を通知する必要がある。行員は前記運搬担当者から告げられた経過時間を、前記オフライン端末400の入力部405で入力する。このオフライン端末400は、こうして前記“Time5”からの経過時間の情報を取得し、前記“Time5”からの経過時間を自身のクロック機能408で引き続き測定し、タイムスタンプ“TimeOff”を得て記憶部に保持していく。
−−−処理フロー例6−−−
次に、縮退業務の処理に応じた前記USBメモリ50への前記取引データ等の書き込みや、その後回収されたUSBメモリ50からの取引データ取得処理などについて説明する。図15は本実施形態における業務データの更新処理の概念例を示す図であり、図16は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例6を示す図である。
被災地にて前記行員等に起動される前記オフライン端末400においては、USBメモリ50からのブートを優先するBIOS設定がなされているとする(例えば、縮退業務開始に先立って前記行員が行う)。また、前記USBメモリ50が保持している前記オペレーティングシステム5には、当該オペレーティングシステム起動と一緒に自動起動するアプリケーション(いわゆるスタートアッププログラム)として、前記業務処理用ソフトウェア6が予め登録されているものとする。
この場合、前記USBメモリ50が前記USBインターフェイス409に接続された上でオフライン端末400の電源がオンすると、前記オフライン端末400の演算部404は、前記USBメモリ50にアクセスして前記オペレーティングシステム5を起動し(s600)、それにあわせてオペレーティングシステム5が前記業務処理用ソフトウェア6も自動起動させる(s601)。なお、前記USBメモリ50が保持している前記オペレーティングシステム5に、当該オペレーティングシステム起動と一緒に自動起動するアプリケーションとして、前記業務処理用ソフトウェア6が予め登録されていない場合、前記行員が前記オペレーティングシステム上での前記業務処理用ソフトウェア6の起動指示を入力部405で行い、この起動指示を受けたオフライン端末400で実行中のオペレーティングシステム5が前記業務処理用ソフトウェア6の起動を行うことになる。
前記オフライン端末400で起動する前記業務処理用ソフトウェア6が例えばATM機能を提供するソフトウェアであったとする。また、この業務処理用ソフトウェア6は、オフライン端末400の操作者に関して認証を行う為の認証プログラムを含むものとする。この場合、前記業務処理用ソフトウェア6は、前記操作者の認証用に、例えば該当エリアにおいて縮退業務を担当できる行員(例:店舗グループ“22”に属する店舗の行員)のIDや氏名とパスワードなど認証情報を予め保持している。
このため、前記業務サーバ200が、各行員の所属店舗や認証情報を格納している行員情報のデータベース等から行員情報を読み出して、予め前記防災サーバ100に送信し、防災サーバ100ではこれを記憶部101に保持しているものとする。前記防災サーバ100では、前記USBメモリ50に前記店舗グループ業務データ127やオペレーティングシステム5、業務処理用ソフトウェア6を格納する処理にあたり、前記業務サーバ200から予め取得していた前記行員情報中より、前記店舗グループ業務データ127のレコードが示す店舗グループコード(例えば、“22”)を所属店舗の情報として持つ行員の認証情報を検索し、この認証情報も、前記店舗グループ業務データ127やオペレーティングシステム5、業務処理用ソフトウェア6とあわせて前記USBメモリ50に格納する。
このような前記業務処理用ソフトウェア6は、起動にあわせて前記認証プログラムを呼び出して、操作者である前記行員からのIDとパスワードの入力を促すメッセージを前記オフライン端末400の出力部406に表示する(s602)。
前記オフライン端末400は入力部405において、前記行員からのIDとパスワードの入力を受け付けて、これを前記認証プログラムに渡す。認証プログラムでは前記ID、パスワードとUSBメモリ50中の認証情報とを照合する(s603)。前記ID、パスワードの組み合わせと一致する認証情報を検知できた場合(s604:ok)、この認証成功を受けた前記業務処理用ソフトウェア6は、例えば、縮退業務処理の指示受付画面をオフライン端末400の出力部406に表示し、前記行員からの処理要求を受け付ける(s605)。前記ステップs604で一致する認証情報が検知できなかった場合(s604:NG)、前記ステップs602に戻る。
なお、前記防災サーバ100が、前記店舗グループ業務データ127を例えば所定の暗号化鍵(例:公開鍵)で暗号化した上でUSBメモリ50に格納する形態を想定し、前記業務処理用ソフトウェア6が暗号処理プログラムを備えるとすれば好適である。また、前記防災サーバ100と前記業務処理用ソフトウェア6は、データの暗号化に用いる暗号化鍵(例:公開鍵)、復号化に用いる復号化鍵(例:秘密鍵)を予め共通に備えているものとする。この場合、前記認証成功を受けた前記業務処理用ソフトウェア6は、前記ステップs605において、USBメモリ50に格納されている店舗グループ業務データ127(暗号化されているもの)を、秘密鍵などの前記復号化鍵で復号化し、その上で、縮退業務処理の指示受付画面をオフライン端末400の出力部406に表示し、前記行員からの処理要求を受け付ける。この処理要求が、例えば、所定額の出金要求であったとする。
前記業務処理用ソフトウェア6がATMの縮退業務を提供するものであれば、前記行員は、来訪者が提示する通帳やキャッシュカード等から、例えば店番“2278780”や口座番号“9726143”を読み取り、オフライン端末400の入力部405で入力する。なお、来訪者が通帳等を持参しておらず店番や口座番号の情報が不明であるとき、前記行員は、例外処理として追加情報を前記入力部405で入力することになる(この追加情報のフォーマットと入力例は図6に示した通りである)。
前記業務処理用ソフトウェア6は、前記オフライン端末400の入力部405で受け付けた前記来訪者の店番“2278780”や口座番号“9726143”の情報を取得し(s606)、前記店番“2278780”の末尾を“1”に変えた“2278781”と、口座番号“9726143”を前記店舗グループ業務データ127に照合し、当該店舗グループ業務データ127中に前記口座番号等の情報が存在する判定する(s607)。前記ステップs607で、前記店舗グループ業務データ127中に該当口座番号等の情報がなく、前記追加情報の入力もなければ(s607:NG)、前記オフライン端末400の業務処理用ソフトウェア6は処理を終了する。
一方、前記ステップs607で、前記店舗グループ業務データ127中に該当口座番号等の情報が見つかるか、前記追加情報の入力があれば(s607:OK)、前記業務処理用ソフトウェア6は、例えば処理継続のメッセージを出力部406に表示し、前記入力部405での前記行員からの出金額の入力を待つ(s608)。行員が前記入力部405で出金額を例えば、“20000”円などと入力すれば、前記オフライン端末400の入力部405はこの出金額“20000”の情報を得て、前記業務処理用ソフトウェア6に渡す。業務処理用ソフトウェア6は、前記出金額“20000”の情報を得て、前記店番“2278781”や口座番号“9726143”の情報などと共に、図5に既に示した店舗グループ取引データ128のレコードを生成し、前記USBメモリ50に保存する(s609)。
その後、被災地での縮退業務を終了する場合、前記USBメモリ50は前記オフライン端末400との接続を解かれ、所定の運搬手段により防災サーバ100の設置所へ搬送されることになる。また前記USBメモリ50は、所定の担当者らにより前記防災サーバ100のUSBインターフェイス109に再び接続される。
この時、前記防災サーバ100の更新データ返送部113は、前記USBインターフェイス109に接続された前記USBメモリ50より、前記店舗グループ取引データ128(或いはオフライン端末400が店舗グループ取引データ128で該当顧客のレコードを更新した前記店舗グループ業務データ127)を読み出して、前記業務サーバ200に送信する(s610)。前記更新データ返送部113は、或いは、前記店舗グループ取引データ128(或いはオフライン端末400が、前記店舗グループ取引データ128で更新した、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)を読み出して、店舗グループ取引データ128を構成する各レコードを「店番」毎にまとめて、前記各店舗取引データ129を生成し、この各店舗取引データ129を前記業務サーバ200に送信するとしてもよい。
−−−処理フロー例7−−−
次に、前記オフライン端末400での処理で生じた業務データの変更を、前記業務サーバ200の業務データ(元帳)225に反映させる処理について説明する。図17は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例7を示す図である。
前記業務サーバ200の復旧処理部211は、前記防災サーバ100より、前記オフライン端末400での業務処理に際して生じた前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129(或いは店舗グループ取引データ128で更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)を受信する(s700)。
また前記復旧処理部211は、前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129(或いは店舗グループ取引データ128で更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)が含むレコードと、前記記憶部201に保持している業務データ(元帳)225のレコードとを同一顧客分について照合し、差分が生じている箇所を特定する(s701)。なお、同一顧客分についてレコードを照合する際、前記復旧処理部211は、例えば、前記店舗グループ取引データ128のレコードが含む店番“2278781”の末尾を0に変えて“2278780”とし、この店番“2278780”と、口座番号“9726143”の組の情報と一致するレコードを前記業務データ(元帳)225のレコードから検索し、該当レコードを特定すればよい。
前記復旧処理部211は、前記業務データ(元帳)225の該当レコード(店番“2278780”と、口座番号“9726143”に対応するもの)で、差分が生じる箇所である「口座残高」について、例えば、前記防災サーバ100由来の前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129中の該当レコードが含む取引額“20000”円を用いて、更新処理をする(s702)。図2の例であれば、前記復旧処理部211は、業務データ(元帳)225において、店番“2278780”と、口座番号“9726143”に対応する顧客“○○イチロウ”氏のレコードより、口座残高“30400”円を読み出し、この口座残高“30400”円に対し前記取引額“20000”円の減算をして、新たな口座残高“10400”円を該当レコードに書き込みする。
或いは、前記防災サーバ100から得たのが、前記店舗グループ取引データ128のレコードが示す取引額“20000”円で口座残高の値が“30400”から“10400”に更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコードであれば、前記復旧処理部211は、前記業務データ(元帳)225の該当レコード(店番“2278780”と、口座番号“9726143”に対応するもの)で、差分が生じている箇所である「口座残高」について、更新済みの前記店舗グループ業務データ127中の該当レコードが含む口座残高“10400”円で上書きして更新処理をする。例えば、前記復旧処理部211は、業務データ(元帳)225において、店番“2278780”と、口座番号“9726143”に対応する顧客“○○イチロウ”氏のレコードより、口座残高“30400”円を読み出し、この口座残高“30400”円に対し前記口座残高“10400”円の上書きをする。
−−−処理フロー例8−−−
次に、前記オフライン端末400や通常動作オンライン端末360での処理で生じた業務データの変更を、前記業務サーバ200の業務データ(元帳)225に反映させる処理について説明する。図18は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例8を示す図である。
この場合、前記業務サーバ200の復旧処理部211は、前記防災サーバ100より、例えば前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129(或いは店舗グループ取引データ128で更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)を受信し、一方で、前記通常動作オンライン端末360より、当該通常動作オンライン端末360での業務処理に際して利用された業務データ(オンライン業務用)325を取得したとする(s800)。なお、前記通常動作オンライン端末360では業務処理を行って変更したレコードに、例えば更新フラグを立てる処理を行い、この更新フラグが立っているレコードのみを「業務処理に際して利用された業務データ(オンライン業務用)325」として業務サーバ200に送信することが想定できる。
そこで前記復旧処理部211は、前記オフライン端末由来の前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129(或いは店舗グループ取引データ128で更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)が含むレコードと、前記通常動作オンライン端末由来の業務データ(オンライン業務用)325が含むレコードとを同一顧客分について照合し、同じ業務データ(つまり同じ顧客)を起源とするが互いに差異が生じているレコード群(=業務データ群)を特定する(s801)。
なお、同一顧客分についてレコードを照合する際、前記復旧処理部211は、例えば、前記店舗グループ取引データ128のレコードが含む店番“2278781”の末尾を0に変えて“2278780”とし(つまり、仮想化フラグを0から1に変更)、この店番“2278780”と、口座番号“9726143”の組の情報と一致するレコードを前記業務データ(オンライン業務用)325のレコードから検索し、該当レコードを特定すればよい。想定できる状況として、例えば、前記店番“2278780”と、口座番号“9726143”の情報が示す顧客“○○イチロウ”氏について、通常動作オンライン端末360からも防災サーバ100からもレコードを得ていた場合=つまり2レコードを含むレコード群が前記ステップs801で特定された場合、通常動作オンライン端末360の所在地と被災地とが遠隔地であれば、移動手段の限られる被災時ということもあり不自然な取引に見える。
そこで前記復旧処理部211は、前記ステップs801で特定したレコード群の情報を出力部206において表示し、前記レコード群からの操作者による適正レコード(適正業務データ)の指定を入力部205で受け付ける(s802)。また前記復旧処理部211は、前記記憶部201に保持している業務データ(元帳)225のうち前記適正レコードの起源となった前記店番“2278780”と、口座番号“9726143”が示す顧客“○○イチロウ”氏のレコードを、前記適正レコードで更新する(s803)。
−−−処理フロー例9−−−
次に、前記オフライン端末400や通常動作オンライン端末360での処理で生じた業務データの変更を、タイムスタンプを考慮して前記業務サーバ200の業務データ(元帳)225に反映させる処理について説明する。図19は本実施形態の縮退業務支援方法の処理フロー例9を示す図である。
この場合、前記業務サーバ200の復旧処理部211は、前記防災サーバ100より、例えば前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129(或いは店舗グループ取引データ128で更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)を受信し、一方で、前記通常動作オンライン端末360より、当該通常動作オンライン端末360での業務処理に際して利用された業務データ(オンライン業務用)325を取得したとする(s900)。なお、前記通常動作オンライン端末360では業務処理を行って変更したレコードに、例えば更新フラグを立てる処理を行い、この更新フラグが立っているレコードのみを「業務処理に際して利用された業務データ(オンライン業務用)325」として業務サーバ200に送信することが想定できる。
そこで前記復旧処理部211は、前記オフライン端末由来の前記店舗グループ取引データ128ないし各店舗取引データ129(或いは店舗グループ取引データ128で更新された、前記店舗グループ業務データ127中の該当顧客のレコード、ないし更新済みの店舗グループ業務データ127全体)が含むレコードと、前記通常動作オンライン端末由来の業務データ(オンライン業務用)325が含むレコードとを同一顧客分について照合し、同じ業務データ(つまり同じ顧客)を起源とするが互いに差異が生じているレコード群(=業務データ群)を特定する(s901)。
なお、同一顧客分についてレコードを照合する際、前記復旧処理部211は、例えば、前記店舗グループ取引データ128のレコードが含む店番“2278781”の末尾を0に変えて“2278780”とし、この店番“2278780”と、口座番号“9726143”の組の情報と一致するレコードを前記業務データ(オンライン業務用)325のレコードから検索し、該当レコードを特定すればよい。想定できる状況として、例えば、前記店番“2278780”と、口座番号“9726143”の情報が示す顧客“○○イチロウ”氏について、通常動作オンライン端末360からも防災サーバ100からもレコードを得ていた場合=つまり2レコードを含むレコード群が前記ステップs801で特定された場合、通常動作オンライン端末360の所在地と被災地とが遠隔地であれば、移動手段の限られる被災時ということもあり不自然な取引に見える。
そこで前記復旧処理部211は、前記ステップs901で特定したレコード群が含む各レコードに付帯した時刻情報たるタイムスタンプを読み取り、レコード間でそのタイムスタンプを照合する(s902)。このタイムスタンプは、図14における説明で述べたように、前記通常動作オンライン端末360やオフライン端末400で業務処理を行った際に、業務サーバ200での最初のタイムスタンプ“Time1”からの経過時間で定まる時刻情報であり、前記端末らが該当レコードに対応付けて記録したものとなる。
前記復旧処理部211は、前記各レコードのタイムスタンプが所定時間以上離れた時刻を示すものか判定し(s903)、所定時間以上離れたものであれば(s903:OK)、前記記憶部201に保持している業務データ(元帳)225のうち、前記レコード群の各レコードの起源となったレコード=同一顧客に関する業務データを、前記レコード群の各レコードで更新する(s904)。この更新処理は、例えば、前記レコード群のうちタイムスタンプが古いレコードから更新に利用し、最後にタイムスタンプが最新のレコードで更新する形態などが想定できる。
一方、前記ステップs903の判定で、各タイムスタンプが所定時間以上離れた時刻を示さなければ(s903:NG)、前記復旧処理部211は、前記レコード群の情報を出力部206において表示し、前記レコード群からの操作者による適正レコード(適正業務データ)の指定を入力部205で受け付ける(s905)。また前記復旧処理部211は、前記記憶部201に保持している業務データ(元帳)225のうち前記適正レコードの起源となった前記店番“2278780”と、口座番号“9726143”が示す顧客“○○イチロウ”氏のレコードを、前記適正レコードで更新する(s906)。
本実施形態の前記縮退業務支援システム10は、以下の構成としてもよい。すなわち、前記縮退業務支援システムにおける前記サーバのデータ送信部は、当該サーバとネットワークで結ばれているオンライン端末群と通信部により通信を試みて、通信不可となった不通オンライン端末を特定し、前記不通オンライン端末の識別情報を前記バックアップサーバに送信するとしてもよい。
この時、前記バックアップサーバのグルーピング部は、前記不通オンライン端末の識別情報を前記サーバから受信し、前記バックアップデータを構成する各業務データより、前記不通オンライン端末の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出し、ここで抽出した業務データを前記所属グループ毎にグループ化してグループ化業務データを生成する、とすれば好適である。
これによれば、災害発生等により障害が生じたオンライン端末を推定し、当該オンライン端末の配置店舗が属する支店網や所属エリアについて業務データのグループ化を行うことになる。従って、障害が発生した店舗群やエリアについてのみ縮退業務に向けた処理を実行すればよく、ひいては縮退業務を低コストで効率よく実現できることになる。
また、前記縮退業務支援システムにおける前記バックアップサーバは、前記サーバとネットワークで結ばれているオンライン端末群と、ネットワークで結ばれているとしてもよい。この時、前記バックアップサーバのグルーピング部は、前記オンライン端末群と通信部により通信を試みて、通信不可となった不通オンライン端末を特定し、前記バックアップデータを構成する各業務データより、前記不通オンライン端末の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出し、ここで抽出した業務データを前記所属グループ毎にグループ化してグループ化業務データを生成する、とすれば好適である。
これによれば、災害発生等により障害が生じたオンライン端末をバックアップサーバ側で推定し、前記業務データのグループ化を行うことができる。従って、障害が発生した店舗群やエリアについてバックアップサーバ側で縮退業務に向けた処理を実行すればよく、ひいては縮退業務を低コストで効率よく実現できることになる。
また、前記縮退業務支援システムがオフライン端末を備えるとしてもよい。このオフライン端末は、被災地などオフライン状況での縮退業務に利用される端末であり、前記可搬型記憶媒体のインターフェイスと、前記インターフェイスに接続された可搬型記憶媒体より前記オペレーティングシステムを読み出して前記業務処理用のソフトウェアを実行し、この業務処理用のソフトウェアにより、当該端末が備える入力部から受信したリクエストに対応した業務処理を実行し、前記可搬型記憶媒体が保持するグループ化業務データ中の業務データのうち前記リクエストが指示した該当業務データについて前記業務処理に応じた更新処理、ないし前記業務処理により生じた新たな業務データの前記グループ化業務データへの追加処理を実行する演算部と、を備えている。
これによれば、前記オフライン端末で、前記可搬型記憶媒体が保持しているグループ化業務データに基づいて、該当顧客口座に関する入出金処理を前記業務処理用ソフトウェアで実行できることとなる。従って被災地等での縮退業務を手作業等を経ずに正確かつ効率的に実行できる。また移動店舗等を導入・運用する必要も無くなるので、こうした縮退業務を低コストで実現できる。
また、前記縮退業務支援システムにおける前記バックアップサーバは、インターフェイスに接続された前記可搬型記憶媒体より、前記オフライン端末での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを読み出して前記サーバに送信する、更新データ返送部を備えるとしてもよい。
この時、前記サーバは、前記バックアップサーバより、前記オフライン端末での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを受信し、当該グループ化業務データが含む各業務データと前記記憶部に保持している業務データとを照合し、差分が生じている箇所を前記バックアップサーバ由来の業務データで更新する、復旧処理部を備える、とすれば好適である。
これによれば、災害発生から前記サーバが復旧した際、前記オフライン端末で更新が加わっている業務データを、前記サーバが保持している元の業務データに反映し、当該サーバで管理する業務データを最新のものに更新できる。従って、被災地等での正確な縮退業務の結果を、システム復旧後の前記サーバでも利用することができることとなる。
また、前記縮退業務支援システムにおける前記サーバのデータ送信部は、当該サーバとネットワークで結ばれているオンライン端末群と通信部により通信を試みて、通信可となった通常動作オンライン端末を特定し、前記記憶部の各業務データより、前記通常動作オンライン端末の識別情報と所属グループが一致する該当業務データを抽出してグループ化業務データを生成し、これを前記通常動作オンライン端末へ送信するとしてもよい。
またこの時、前記サーバの復旧処理部は、前記バックアップサーバより、前記オフライン端末での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを受信し、前記通常動作オンライン端末より、当該通常動作オンライン端末での業務処理に際して利用された前記グループ化業務データを取得し、前記オフライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データと、前記通常動作オンライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データとを照合して、同じ業務データを起源とするが互いに差異が生じている業務データ群を特定し、当該業務データ群の情報を出力部において表示し、前記業務データ群からの操作者による適正業務データの指定を入力部で受け付けて、前記記憶部に保持している業務データのうち前記適正業務データの起源となった業務データを、前記適正業務データで更新する、とすれば好適である。
これによれば、例えば災害の影響を受けなかった店舗等のオンライン端末で更新が加わっている業務データと、被災地等での縮退業務の結果、オフライン端末で更新が加わっている業務データとについて、同一顧客に関して被災後に異なる業務データがごく短時間に別々の場所で生じたとしても、その正当性の指示を管理者等から受けて、前記サーバが復旧時に元の業務データに反映させるデータを特定することができる。
また、前記縮退業務支援システムにおける、前記通常動作オンライン端末および前記オフライン端末は、前記業務データの更新処理ないし追加処理に際し、該当業務データに対しクロック機能から得た時刻情報を付帯させるとすれば好適である。
この場合、前記サーバの復旧処理部は、前記オフライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データと、前記通常動作オンライン端末由来のグループ化業務データが含む業務データとを照合して、同じ業務データを起源とするが互いに差異が生じている業務データ群を特定した際、当該業務データ群が含む各業務データに付帯した前記時刻情報を読み取り、各業務データ間でその時刻情報を照合し、各時刻情報が所定時間以上離れた時刻を示すものであれば、前記記憶部に保持している業務データのうち前記業務データ群が含む各業務データの起源となった業務データを、前記業務データ群の該当業務データで更新し、各時刻情報が所定時間以上離れた時刻を示さなければ、前記業務データ群の情報を出力部において表示し、前記業務データ群からの操作者による適正業務データの指定を入力部で受け付けて、前記記憶部に保持している業務データのうち前記適正業務データの起源となった業務データを、前記適正業務データで更新する、とすれば好適である。
これによれば、例えば災害の影響を受けなかった店舗等のオンライン端末で更新が加わっている業務データと、被災地等での縮退業務の結果、オフライン端末で更新が加わっている業務データとについて、同一顧客に関して被災後に異なる業務データがごく短時間に別々の場所で生じたとしても、その正当性の指示を管理者等から受け、或いは同一顧客に関して被災後に異なる業務データが別々の場所で生じていたとしても所定時間を置いて処理されたものであれば、その正当性を認定することができ、前記サーバが復旧時に元の業務データに反映させるデータを効率よく特定することができる。
また、本実施形態の縮退業務支援方法は、オンライン端末からの要求に応じて業務処理を実行するサーバと、当該サーバとネットワークを介して通信可能に結ばれたバックアップサーバとがそれぞれ以下の処理を実行するものである。すなわち、オンライン端末からの要求に応じて業務処理を実行し、この業務処理に伴って生じる業務データを記憶部に格納するサーバが、前記記憶部の業務データの複製を、バックアップデータとして前記バックアップサーバへ送信する処理を実行する。
また、端末用のオペレーティングシステムと、当該オペレーティングシステム上で実行される業務処理用のソフトウェアとを格納する記憶部と、可搬型記憶媒体を接続するインターフェイスとを備えて、前記サーバとネットワークを介して通信可能に結ばれたバックアップサーバが、前記サーバが送信してくるバックアップデータを受信し、これを記憶部に保存する処理と、前記バックアップデータを構成する各業務データより、該当業務データの処理に関与したオンライン端末の識別情報を抽出し、前記識別情報が示すオンライン端末の所属グループ毎に前記各業務データをグループ化し、グループ化業務データを生成する処理と、前記インターフェイスに接続された可搬型記憶媒体に、1または複数の所属グループの前記グループ化業務データと、前記記憶部のオペレーティングシステムおよび業務処理用のソフトウェアとを書き込む処理とを実行する。
また、本実施形態のバックアップサーバは、オンライン端末からの要求に応じて業務処理を実行するサーバとネットワークを介して通信可能に結ばれたサーバ装置であり、端末用のオペレーティングシステムと、当該オペレーティングシステム上で実行される業務処理用のソフトウェアとを格納する記憶部と、可搬型記憶媒体を接続するインターフェイスと、前記サーバより、当該サーバでの業務処理に伴って生じる業務データの複製をバックアップデータとして受信し、これを記憶部に保存するデータ取得部と、前記バックアップデータを構成する各業務データより、該当業務データの処理に関与したオンライン端末の識別情報を抽出し、前記識別情報が示すオンライン端末の所属グループ毎に前記各業務データをグループ化し、グループ化業務データを生成するグルーピング部と、前記インターフェイスに接続された可搬型記憶媒体に、1または複数の所属グループの前記グループ化業務データと、前記記憶部のオペレーティングシステムおよび業務処理用のソフトウェアとを書き込むデータ格納部と、を備える。
以上、本実施形態によれば、USBメモリなど低コストでブータブルな可搬型記憶媒体を利用し、被災時等においてこれをオフライン端末に接続して業務継続を図ることが可能であり、前記USBメモリが格納していた業務データを用いた電子的で正確な業務処理が可能である。こうした本実施形態を実現するにあたっては、前記USBメモリなどブータブルな可搬型記憶媒体を防災サーバ側で維持しておき、災害時に入手できるコンピュータ端末(業務処理の為の要求仕様は大きくなく、被災地現地で調達できる個人のPCや、閉鎖店舗内のPC等を容易に転用できる)をオフライン端末として調達しさえすればよく、縮退業務支援を行うための手間やコストが従来手法に比較して低減できる。
また、前記可搬型記憶媒体のオペレーティングシステム上で業務処理用ソフトウェアを稼働させる形態であり、オフライン端末として調達したPCにコンピュータウィルス等が混入していても脅威はない。さらに可搬型記憶媒体にて管理するデータは暗号文の状態とするため、可搬型記憶媒体自体が盗難にあうなどデータ流出が生じても情報漏洩のリスクが小さい。
更に、調達するオフライン端末がどういったタイプのものであるかに関わらず、利用する業務処理用ソフトウェアは通常時に利用されているものと同一または同等のものであるので、縮退業務を行う操作者は日常用いている端末=オフライン端末と同等の操作性で緊急時の業務継続が可能である。よって、縮退業務での端末操作訓練を防災訓練業務などから除外し、通常の運用を軽減することもできる。また、日常業務と差異の無い操作を操作者は行えばよいのであるから、操作ミス等が少なく精度良好な縮退業務を見込める。
また、事前に特別なオフライン端末を維持・管理する必要がなく、災害時など有事に極めて条件の少ない要件に合致するごく一般的スペックのコンピュータをオフライン端末として利用することができる。また、縮退業務を行う店舗や地域を増やすとしても、前記可搬型記憶媒体の数を増加させることで対応でき、低コストでの縮退業務支援を実現できるのである。
本実施形態によれば、前記サーバでの業務処理に伴う業務データ(例:金融機関における顧客口座での入出金データ、残高データ等)を、例えば金融機関の支店網における所定エリア毎にグルーピングし、オペレーティングシステムおよび業務処理用ソフトウェアと共に可搬型記憶媒体に格納して被災に備えることができる。被災地では、金融機関の担当者等が現地で入手できるコンピュータ端末=オフライン端末に前記可搬型記憶媒体を接続する。前記オフライン端末は前記可搬型記憶媒体が保持するオペレーティングシステムを起動して、このオペレーティングシステム上で前記業務処理用ソフトウェアを実行する。オフライン端末は、前記可搬型記憶媒体が保持しているグループ化業務データに基づいて、該当顧客口座に関する入出金処理を前記業務処理用ソフトウェアで実行できることとなる。従って本実施形態の縮退業務支援システムによれば、被災地等での縮退業務を正確かつ効率的に実行できる。また移動店舗等を導入・運用する必要も無くなるので、こうした縮退業務を低コストで実現できる。つまり、被災地等での正確かつ効率的な縮退業務を低コストで実現できる。
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。