JP2011026283A - 分子イメージングのための蛍光標識化合物およびその利用 - Google Patents

分子イメージングのための蛍光標識化合物およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】生体内での物質動態を高精度かつ定量的に画像化し得る蛍光標識化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)を有する化合物と蛍光物質とを連結した蛍光標識化合物。
Figure 2011026283

(式中、R〜Rのいずれか1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよく、他の8つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である。)該蛍光物質としては、フルオレセイン等が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、化合物と蛍光物質とをリンカーを介して結合した蛍光標識化合物およびその製造方法、ならびにこれらの利用を提供する。
近年、生体内情報を得るために種々の研究がなされており、とりわけ、目的の分子の挙動を調べることができる「分子イメージング」技術が注目されている。分子イメージングは、種々の疾患の早期発見や、有効かつ副作用の少ない医薬の短期間での開発に有用であると考えられる。
生体内情報を得るための分子イメージングとしては、陽電子放射断層画像撮影法(PET)がよく知られている。PETは、陽電子が電子と衝突することによって放射されるγ線を用いて断層画像を撮影する技術であり、標識した目的の分子(いわゆる、分子プローブ)を生体に投与し、標識されている放射性核種が別の原子核に崩壊していく際に放出する陽電子と、その近傍に存在する電子との衝突によって放出されるγ線を検出する。これによって、目的の分子の存在部位を定量的に調べることができる。このようなPETは、臨床的な分子イメージング技術として広く利用されている。例えば、[18F]で標識したフルオロデオキシグルコースを用いたPETががん検診に利用されている。
PET用の分子プローブとして種々の放射標識プローブが開発されている。末梢型ペンゾジアゼピン受容体と特異的に結合するリガンドである2−(クロロフェニル)−N−メチル−(1−メチルプロピル)−3−イソキノリンカルボキサミドについても、[11C]標識された放射標識プローブが開発されている(例えば、非特許文献1参照)。この放射標識プローブは、以前から、心筋、脳腫瘍などのイメージングに用いられていたが、近年、アルツハイマーなどの疾患の重症度を検討するための、脳の変性部位に集積するマイクログリアの検出に用いられている(非特許文献2参照)。
また、分子イメージング技術としては、蛍光物質を用いるものも知られている。例えば、マイクログリアを生体内にてイメージングする技術として、GFPを組み込んだトランスジェニックマウスが知られている(非特許文献3参照)。
WO2003/031974(2003(平成15)年4月17日国際公開)
R. Camsonneら、J. Label. Compd. Radiopharm. 11: 985-991 (1984) Bartels AL and Leenders KL、Movement Disorders 22(13):1852-6 (2007) Wake Hら、J. Neurosci. 29(13): 3974-80 (2009) Suzuki Mら、Chem. Eur. J. 3(12): 2039-42 (1997)
PETは、医薬品開発および臨床診断に用いられている、優れた分子イメージング技術である。しかし、PETでは、放射標識プローブの分解産物を追跡している可能性がある。また、検査部位が頭部(特に脳)の場合、化合物の種類によっては血液脳関門を通過する能力が低下し、脳内での役割を調べるに好ましくない。
また、非特許文献3に記載されるようなトランスジェニックマウスの作製は多くの労力が必要である上に、そもそもこの技術は臨床診断に利用し得るものではない。また、現段階では、遺伝子改変技術をヒトに適用することができない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、生体内での物質動態を高精度かつ定量的に画像化し得る、臨床的に利用可能な分子イメージング技術を提供することにある。
蛍光標識化合物を用いる分子イメージング技術について、これまでに種々の研究が行われている。しかし、標識に用いられる蛍光物質のサイズが大きいために目的の化合物の本来の機能を阻害しやすいという欠点を有している。蛍光標識を用いた研究のほとんどが、高分子化合物(例えば、タンパク質または核酸)を標識したものであり、しかもそのほとんどが細胞レベル以下の研究である(例えば、特許文献1参照)。実際に、マイクログリアを検出の標的とした動物レベルでの研究としては、PET用プローブを用いたもの(非特許文献2等)、マイクログリアにGFPが集積するように遺伝子改変されたトランスジェニックマウス(非特許文献3等)が挙げられるに過ぎない。
このように、臨床的に利用可能な分子イメージング技術として、分子のサイズにほとんど影響を与えない放射標識プローブを用いるPET以外は実現されていない。しかも、蛍光標識プローブを用いた、臨床的に利用可能な分子イメージング技術を完成させるための知見は、全く知られていない。
本発明者らは、独自の観点に基づき、創意工夫を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、生体内での分子イメージングを可能にする蛍光標識化合物を提供する。
本発明にかかる蛍光標識化合物は、一般式(1)にて表される構造を備えている化合物と蛍光物質とを連結した蛍光標識化合物であって、
Figure 2011026283
式中、R〜Rのいずれか1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、他の8つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基であることを特徴としており、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよい。
本発明者らはこれまでに、非常に短時間で完了するメチル化反応を開発している(例えば、非特許文献4参照)。また、従来の放射標識プローブと比較して非常に高感度なPET画像を提供し得る放射標識プローブおよびその作製キットを完成させている。本発明者らによって完成された放射標識プローブは、従来の放射標識プローブと異なる位置に放射標識を結合させており、これによって非常に優れた性質が付与されている。
本発明は、放射標識プローブとして非常に優れた性質を付与するための知見に対して、独自の観点に基づいてさらなる改良を加えたことによって初めて実現されたものであり、当業者が容易になし得るものでも容易に想到し得るものでもない。
また、上述したように、当該分野において、臨床的に利用可能な、蛍光標識プローブを用いた分子イメージング技術についての知見がない。よって、当業者はこのような技術を容易に完成することができない。本発明の蛍光標識プローブによって、臨床的に利用可能な分子イメージング技術を実現し得たことは、当業者の予測の範囲を大きく超えている。
本発明にかかる蛍光標識化合物において、末端に蛍光物質が結合した上記炭化水素鎖は、R〜Rのいずれか1つであることが好ましく、R〜Rのいずれか1つであることがより好ましく、Rであることがさらに好ましい。また、上記ヘテロ原子は、OまたはNであることが好ましい。
本発明にかかる蛍光標識化合物において、上記炭化水素鎖の主鎖は、炭素数が3〜20の直鎖であることが好ましく、
Figure 2011026283
からなる群より選択されることがより好ましい(式中、Zは蛍光物質である。)。
本発明にかかる蛍光標識化合物において、上記蛍光物質は、フルオレセイン類、カルボキシナフトフルオレセイン類、ローダミン類、テキサスレッド類、インドシアニン類、蛍光シアニン類、NBDおよびSBDからなる群より選択される化合物またはその誘導体であることが好ましい。
本発明にかかる蛍光標識化合物は、脂溶性であることが好ましい。
本発明にかかる蛍光標識化合物は、生体内におけるマイクログリアおよびマクロファージの検出、網膜疾患の診断、および神経変性疾患の診断に利用可能である。すなわち、本発明は、生体内におけるマイクログリアまたはマクロファージの検出、網膜疾患の診断、あるいは神経変性疾患の診断に用いるための、上記蛍光標識化合物を含有している組成物を提供する。さらに、本発明は、生体内におけるマイクログリアまたはマクロファージの検出方法、網膜疾患の診断法、および神経変性疾患の診断法を提供する。
本発明を用いれば、生体内情報を画像化することができるので、放射性核種を用いることなく臨床診断を行うことができる。特に、表面から観察できる部位(眼底、腸管など)において、標的部位の詳細な像を得ることができ、その結果、各種検査の診断的価値を高めることができる。
本発明の一実施形態にかかる化合物またはフルオレセイン単独を投与した後のCD11b/c陽性細胞における蛍光強度を示す図である。 (a)は、本発明の一実施形態にかかる化合物またはフルオレセイン単独を投与した後のCD11b/c陽性細胞における蛍光強度を示す図であり、(b)は、本発明の一実施形態にかかる化合物を投与した後のCD11b/c陽性細胞またはCD3陽性細胞における蛍光強度を示す図である。
2−(クロロフェニル)−N−メチル−(1−メチルプロピル)−3−イソキノリンカルボキサミド(PK11195)は、末梢型ペンゾジアゼピン受容体と特異的に結合するリガンドである。末梢型ペンゾジアゼピン受容体は、心筋、肺、副腎、唾液腺、血液細胞、グリア細胞などにおいて見られるレセプターであり、主に、ミトコンドリア外膜に存在している。末梢型ペンゾジアゼピン受容体は、虚血、薬物依存、外的要因などによる脳の損傷部位に多く発現していることが報告されているが、まだ詳しくは解明されていない。
Figure 2011026283
PK11195のPET用分子プローブとして開発された[11C]PK11195は、PK11195分子中の窒素原子と結合するメチル基の炭素原子が短寿命放射性核種である11Cに置き換えられており、以前から、生体内のイメージングに用いられている。
Figure 2011026283
本発明は、このような従来技術からは容易に想到し得ない構成を有するものであり、具体的には、臨床的に利用可能な分子イメージング技術に適用可能な蛍光標識プローブを提供するものである。
本発明にかかる蛍光標識化合物は、一般式(1)にて表される構造を備えている化合物と蛍光物質とを連結した蛍光標識化合物であって、
Figure 2011026283
式中、R〜Rのいずれか1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、他の8つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基であることを特徴としており、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよい。
一実施形態において、本発明にかかる蛍光標識化合物は、一般式(2)にて表される構造を備えている化合物と蛍光物質とを連結した蛍光標識化合物であり得る。
Figure 2011026283
上記式中、X〜Xのいずれか2つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基であり、他の1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であることを特徴としており、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよい。
別の実施形態において、本発明にかかる蛍光標識化合物は、一般式(1)にて表される構造を備えている化合物において、式中、R〜Rは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基であり、R〜Rのいずれか1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、他の3つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である化合物であることが好ましく、この場合も該炭化水素鎖の主鎖は主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよい。
1つの局面において、本実施形態にかかる蛍光標識化合物において、一般式(2)中、Xが、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であってもよい。
さらに別の実施形態において、本発明にかかる蛍光標識化合物は、一般式(1)にて表される構造を備えている化合物において、式中、Rは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、R〜RおよびR〜Rは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である化合物であることがより好ましく、この場合もまた、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよい。
1つの局面において、本実施形態にかかる蛍光標識化合物は、一般式(3)にて表される構造を備えている化合物と蛍光物質とを連結した蛍光標識化合物であってもよい。
Figure 2011026283
この場合、式中、Xは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよく、XおよびXは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である。
本明細書中にて使用される場合、本発明の蛍光標識化合物は、所定の一般式にて示される構造を有する化合物およびその塩が意図される。塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩)、有機アミン塩(例えば、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンアミンなどの塩)、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など)、有機カルボン酸塩(例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩など)、スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩など)、アミノ酸(例えば、アルギニン、アルパラギン酸、グルタミン酸など)との塩が挙げられる。なお、本発明の蛍光標識化合物は、溶媒和物であってもよく、例えば、水和物またはエタノール和物であり得る。
本明細書中にて使用される場合、C〜Cのアルキル基は、炭素数が1〜6個であるアルキル基が意図され、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、sec−ペンチル、t−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピルなどが挙げられる。好ましい実施形態において、上記アルキル基の炭素数は1〜3個である。
本明細書中において、「炭化水素鎖の主鎖」は「末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖」の蛍光物質以外の部分が意図される。炭化水素鎖の主鎖は直鎖の炭化水素構造であることが好ましく、その炭素数は3〜20個であることが好ましく、4〜12個であることがより好ましく、6〜10個であることがさらに好ましい。なお、「末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖」は、蛍光物質に炭素数が3〜20個の炭化水素構造が結合しているともいえる。なお、炭化水素鎖の主鎖が含んでいるヘテロ原子は、OまたはNであることが好ましい。
本発明に用いられる炭化水素鎖の主鎖は、
Figure 2011026283
からなる群より選択されることが好ましい。このような構造の化合物を、当業者は公知の合成法に従って容易に調製し得る。
また、「炭化水素鎖の主鎖」に結合している蛍光物質としては、フルオレセイン類、カルボキシナフトフルオレセイン類、ローダミン類、テキサスレッド類、インドシアニン類、蛍光シアニン類、NBD、SBDなどの化合物が挙げられるがこれらに限定されない。なお、これらの蛍光物質が、炭化水素鎖の主鎖に結合する様式は、特に限定されない。また、本発明に用いられる蛍光物質は、上記化合物の誘導体であってもよい。本発明に好適な誘導体としては、蛍光物質中の親水基(例えば、−OH、−COH、−SOHなど)にてエステルを形成したものが好ましく、親水基がアセチル基、エチル基、エチニル基などに置換されているものがより好ましい。また、本発明に好適な誘導体としては、蛍光物質中の親水基がアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基など)に置換されているもの、ならびに電子吸引性基に置換されているものも挙げられる。
一実施形態において、「末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖」は、
Figure 2011026283
にて表される構造を有しており、式中、Yが炭化水素鎖の主鎖である。
本発明にかかる蛍光標識化合物は、脂溶性であることが好ましい。細胞を標的として本発明の蛍光標識化合物を用いる場合、脂溶性であることによって化合物の細胞透過性が顕著に増大する。上述したような、蛍光物質の誘導体(例えば、親水基にてエステルを形成したもの、親水基を電子吸引性基に置換したもの)を用いれば、首尾よく脂溶性を付与することができる。後述する実施例にて示すように、脂溶性の蛍光標識化合物は、より選択的にマクロファージを描出することができる。
後述する実施例にて示すように、本発明にかかる蛍光標識化合物は、活性型マイクログリアと結合する。活性型マイクログリアは、網膜疾患(例えば、糖尿病性網膜症、高血圧網膜症、加齢黄斑変性、網膜剥離、網膜欠陥閉塞、網膜色素変性、ブドウ膜炎など)において、疾患の初期病変にて観察される。画像診断によって活性型マイクログリアを検出することは、上記疾患の初期段階での診断を可能にする。
眼科領域における画像診断として、静注したフルオレセインの蛍光眼底造影が用いられている。しかし、フルオレセインの検出では、活性型マイクログリアを見落とす危険性がある。解像度が高い新たな検査法の導入が期待されている。
このように、本発明は、眼科領域にこれまで導入されていなかった分子イメージングを実現し得る。本発明の化合物を用いれば、活性型マイクログリアを体外から高解像度にて容易に検出し得る。マイクログリアを首尾よく検出し得る蛍光標識化合物はこれまで全く知られていない。また、検出に必要な蛍光眼底カメラは開業医のほとんどが所有しているので、本発明の普及は極めて容易である。さらに、本発明を用いれば、眼科領域だけでなく、マイクログリアおよびマクロファージの集積を呈する、消化管の種々の疾患についてその初期病変を容易に検出することができる。
すなわち、本発明は、生体内におけるマイクログリアまたはマクロファージの検出、網膜疾患の診断、あるいは神経変性疾患の診断に用いるための組成物を提供する。本発明にかかる組成物は、本発明にかかる蛍光標識化合物を含有していることを特徴としている。本発明にかかる組成物は、溶液または懸濁液のいずれかの形態にて調製されていても、液体(例えば、緩衝液)に溶解もしくは懸濁するために適切な固体形態として調製されていてもよい。
なお、本発明にかかる組成物は、キットとして提供されてもよい。「組成物」は各種成分が一物質中に含有されている形態であり、「キット」は各種成分の少なくとも1つが別物質中に含有されている形態であるが、本明細書中にて用いられる場合、「有効成分を含有している組成物」は「有効成分を備えているキット」を包含する。キット形態の場合、本発明にかかる蛍光標識化合物を有効成分として備えていればよく、上述した組成物に含まれ得る成分をさらに備えていてもよい。
本明細書中において使用される場合、用語「キット」は、特定の材料を内包する容器(例えば、ボトル、プレート、チューブ、ディッシュなど)を備えた包装が意図される。好ましくは各材料を使用するための指示書を備える。本明細書中においてキットの局面において使用される場合、「備えた(備えている)」は、キットを構成する個々の容器のいずれかの中に内包されている状態が意図される。また、本発明にかかるキットは、複数の異なる組成物を1つに梱包した包装であり得る。「指示書」は、紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能ディスクまたはテープ、CD−ROMなどのような電子媒体に付されてもよい。本発明にかかるキットはまた、希釈剤、溶媒、洗浄液またはその他の試薬を内包した容器を備え得る。さらに、本発明にかかるキットは、用途に応じて必要な器具をあわせて備えていてもよい。
さらに、本発明は、マイクログリアまたはマクロファージの検出方法、網膜疾患の診断法、および神経変性疾患の診断法を提供する。本発明にかかる方法は、上述した蛍光標識化合物および組成物を用いる工程を包含することを特徴としている。被験体から分離した生物サンプル中のマイクログリアまたはマクロファージを検出する場合には、上述した蛍光標識化合物および組成物を生物サンプルともにインキュベートする工程を包含すればよく、生体内にてマイクログリアまたはマクロファージを検出する場合には、上述した蛍光標識化合物および組成物を生体に投与する工程を包含すればよい。同様に、網膜疾患または神経変性疾患の診断を、被験体から分離した生物サンプルを用いて行う場合には、上述した蛍光標識化合物および組成物を生物サンプルともにインキュベートする工程を包含すればよく、診断するための情報を生体から直接入手する場合(すなわち、画像診断を行う場合)には、上述した蛍光標識化合物および組成物を生体に投与する工程を包含すればよい。
本発明にかかる蛍光標識化合物および組成物を生体に適用する場合の投与は、種々の経路による注入が好ましいが、これに限定されない。また、投与量も、必要に応じて当業者によって適宜設計され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
本発明について、以下の実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
〔実施例1〕
実施例1では以下に示す方法によりN−sec−ブチル−1−(2−クロロ−5− (2−(2−(2−(フルオレセイン−5−カルボキサミド)エトキシ) エトキシ)エチルカルボニル)フェニル)−N−メチルイソキノリン−3−カルボキサミドを合成した。
Figure 2011026283
2−(ヒドロキシイミノ)プロピオフェノン(21.1g,129mmol)、10%パラジウム炭素(1.18g)を含むエタノール溶液(300mL)を、水素雰囲気下(3atm)にて室温で60時間撹拌した。触媒を、セライ545を用いて濾過し、濃縮した濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(1:1)]で精製して泊黄色結晶(6.30g)を得た。
続いて、この泊黄色結晶(4.83g)と、5−ブロモ−2−クロロベンゼンカルボン酸(7.65g,32.5mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(4.97g,36.8mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(12.9g,67.2mmol)、ジメチルアミノピリジン(7.99g,65.4mmol)とを含む無水ジクロロメタン溶液(200mL)を、アルゴン雰囲気下にて室温下で48時間撹拌した。この反応液を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(10:1)]で精製して目的物(9.31g,2段階26%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 0.96-1.10 (d×2, 3H, CHCH 3, J = 6.6 Hz) , 4.00-4.25 (m×2, 1H, CHCH3) , 4.55-4.70 (dd×2, 1H, J = 5.1, 5.5 Hz) , 5.43-5.48 (d×2, 1H, CHOH, J = 5.1 Hz) , 7.20-7.43 (complex, 7H, aromatic and NH) , 7.60-7.62 (m, 1H, aromatic) , 8.25-8.46 (d×2, 1H, aromatic)。
Figure 2011026283
5−ブロモ−2−クロロ−N−(1−ヒドロキシ−1−フェニルプロパン−2−イル)ベンズアミド(5.97g,16.2mmol)、五酸化二燐(40.3g,284mmol)を含むo−ジクロロベンゼン溶液(70mL)を。160℃で48時間撹拌した。この反応液を氷水(300mL)に加え、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホル)で精製して目的物(4.81g,89%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.73-2.77 (s, 3H, CH3) , 7.38-7.42 (d, 1H, aromatic, J = 8.4 Hz) , 7.43-7.49 (dd, 1H, aromatic, J = 7.5, 7.7 Hz) , 7.53-7.58 (complec, 3H, aromatic) , 7.60-7.62 (s, 1H, aromatic) , 7.63-7.69 (dd, 1H, aromatic, J = 7.5, 7.8 Hz) , 7.79-7.83 (d, 1H, aromatic, J = 8.4 Hz)
Figure 2011026283
1−(5−ブロモ−2−クロロフェニル)−3−メチルイソキノリン(4.64g,13.9mmol)、N−ブロモスクシンイミド(2.56g,14.4mmol)、過酸化ベンゾイル(741mg,3.06mmol)、を含む四塩化炭素溶液(40mL)を、80℃で36時間撹拌した。冷却した後に、この反応液に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)を加え、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して褐色油状物を得た。この油状物をエタノール(60mL)、テトラヒドロフラン(30mL)で溶解した後、硝酸銀(9.89g,58.2mmol)を加えて、70℃で14時間撹拌した。冷却した後、沈殿物を濾過し、濃縮した濾液をエタノール(100mL)に溶解させた。この溶液に硝酸銀(10.0g,58.9mmol)を含む水溶液(10mL)を加え、続いて水酸化ナトリウム(7.20g,180mmol)を含む水溶液(90mL)を加え、室温で14時間撹拌した。冷却した後、沈殿物を濾過し、濃縮した濾液に水(200mL)を加え、3M塩酸でpH2に調整した後、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(10:1)]で精製して目的物(1.76g,3段階35%)を得た。
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ 7.22-7.26 (d, 1H, aromatic, J = 8.2 Hz) , 7.27-7.40 (d, 1H, aromatic, J = 8.2 Hz) , 7.40-7.48 (complex, 3H, aromatic) , 7.52-7.58 (dd, 1H, aromatic, J = 8.2, 7.6 Hz) , 7.92-7.98 (d, 1H, aromatic, J = 8.2 Hz) , 8.36-8.38 (s, 1H, aromatic) , 12.7-13.1 (br, 1H, COOH)
Figure 2011026283
アルゴン雰囲気下にて、1−(5−ブロモ−2−クロロフェニルル)イソキノリン−3−カルボン酸(1.24g,3.41mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.43g,10.6mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.43g,7.47mmol)、ジメチルアミノピリジン(1.40g,11.5mmol)を含む無水ジクロロメタン溶液(30mL)を室温下で48時間撹拌した。この反応液を減圧下にて濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(9:1)]で精製して目的物(1.42g,99%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.94-1.01 (t×2 for rotamers, 3H, CH2CH 3, J = 7.3 Hz), 1.25-1.30 (d×2 for rotamers, CHCH 3, J = 4.8 Hz) , 1.56-1.69 (m, 2H, CH 2CH3) , 4.09-4.24 (m, 1H, CHCH3) , 7.44-7.49 (d, 1H, aromatic, J = 9.1 Hz) , 7.60-7.70 (complex, 4H, aromatic) , 7.74-7.80 (dd, 1H, aromatic, J = 7.4, 7.4 Hz) , 7.94-8.01 (br, 1H, NH) , 8.04-8.09 (d, 1H, aromatic, J = 8.4 Hz) , 8.68-8.71 (s, 1H, aromatic).
Figure 2011026283
アルゴン雰囲気下にて、1−(5−ブロモ−2−クロロフェニル)−N−sec−ブチル−N−イソキノリン−3−カルボキシアミド(1.40g,3.36mmol)を含む無水ジメチルホルムアミド溶液(20mL)に、氷浴下にて水素化ナトリウム[235mg(60%),5.88mmol]を加え、1時間撹拌した。この溶液にヨウ化メチル(735mg,5.18mmol)を加え、さらに18時間撹拌させた。この溶液を1M塩酸で中和し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン−酢酸エチル(5:1)]で精製して目的物(1.32g,91%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.75-0.85 and 0.96-1.05 (t×2 for rotamers, 3H, J = 7.4 Hz, CH2CH 3) , 1.19-1.25 (m×2 for rotamers, 3H, CHCH 3) , 1.37-1.70 (m×2 for rotamers, 2H, CH 2CH3) , 2.88-2.90 and 2.96-3.00 (d×2 for rotamers, 3H, NCH3, J = 3.9 Hz) , 3.80-3.90 and 4.75-4.85 (m×2 for rotamers, 1H, CHCH3) , 7.40-7.46 (m, 1H, aromatic) , 7.54-7.66 (complex, 4H, aromatic) , 7.77-7.78 (m, 1H, aromatic) , 7.94-7.99 (d, 1H, aromatic, J = 8.2 Hz) , 8.00-8.09 (m, 1H, aromatic) .
Figure 2011026283
1−(5−ブロモ−2−クロロフェニル)−N−sec−ブチル−N−メチルイソキノリン−3−カルボキシアミド(339mg,0.784mmol)、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(168mg,0.146mmol)、酢酸カリウム(214mg,2.18mmol)を含む無水ジメチルホルムアミド溶液(8.0mL)に無水メタノール(1.0mL)を加え、一気圧の一酸化炭素雰囲気下にて65℃で42時間撹拌した。反応液に水を加え、この溶液を酢酸エチル−ジエチルエーテル(2:1)で抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した濾液をシリカゲル薄層クロマトグラフィー[ヘキサン−酢酸エチル(2:1)]で精製して目的物(321mg,100%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.79 and 0.99 (dt×2 for rotamers, 3H, J = 2.7, 7.3 and 2.4, 7.6 Hz, CH2CH 3) , 1.20-1.24 (m×2 for rotamers, 3H, CHCH 3) , 1.36-1.68 (m×2 for rotamers, 2H, CH 2CH3) , 2.90 and 2.98 (d×2 for rotamers, 3H, NCH3, J = 3.2 and 1.5 Hz), 3.85-3.95 and 4.75-4.86 (m×2 for rotamers, 1H, CHCH3) , 3.90 and 3.92 (s, 3H, COOCH 3 ), 7.54-7.66 (complex, 3H, aromatic) , 7.72-7.77 (m, 1H, aromatic) , 7.97 (br d, 1H, aromatic, J = 8.3 Hz) , 8.04-8.16 (m, 3H, aromatic) .
Figure 2011026283
メチル 3−(3−(sec−ブチル(メチル)カルバモイル)イソキノリン−1−イル)−4−クロロベンゾエート(211mg,0.514mmol)、水酸化ナトリウム(120mg,3.00mmol)を含むメタノール溶液(6.0mL)に水(1.0mL)を加え、55℃で12時間撹拌した。反応液を1M塩酸で中和し、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物(231 mg)を得た。
続いて、アルゴン雰囲気下にて、得られた粗成生物(124mg)にtert−ブチル2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(286mg,1.15mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(187mg,0.975mmol)、ジメチルアミノピリジン(227mg,1.87mmol)、無水ジクロロメタン(10mL)を加え、室温で12時間撹拌した。この反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(10:1)]で精製して目的物(182mg,2段階100%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.78 and 0.99 (dt×2 for rotamers, 3 H, CH2CH 3, J = 1.2, 7.3 and 5.4, 7.3 Hz), 1.19-1.25 (m×2 for rotamers, 3 H, CHCH 3), 1.32-1.70 (m×2 for rotamers, 2 H, CH 2CH3), 1.40 (s, 9 H, Ot-Bu), 2.89 and 2.97 (d×2 for rotamers, 3 H, NCH3, J = 2.4 and 3.4 Hz), 3.15-3.25 (m, 2 H, BocNHCH 2 ), 3.45-3.51 (m, 2 H, CH 2 NH), 3.55-3.70 (m, 8 H, NHCH2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH2NH), 3.80-3.89 and 4.75-4.85 (m, 1 H, CHCH3), 5.08 (br s, 1 H, NH), 6.85-7.00 (m, 1 H, NH), 7.55-8.05 (m, 8H, aromatic).
Figure 2011026283
tert−ブチル2−(2−(2−(3−(3−(sec−ブチル(メチル)カルバモイル)イソキノリン−1−イル)−4−クロロベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(196mg,0.313mmol)の無水ジクロロメタン溶液(2.0mL)にトリフルオロ酢酸(0.5mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、アルゴン雰囲気下にて、5−カルボキシフルオレセイン(100mg,0.266mmol)1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(193mg,1.01mmol)、ジメチルアミノピリジン(245mg,2.00mmol)、無水ジメチルホルムアミド(2.0mL)を加え、室温で72時間撹拌した。反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(10:1)]で精製して目的物(55.8mg,2段階25%)を得た。
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ 0.76 and 0.97 (dt×2 for rotamers, 3 H, CH2CH 3, J = 3.9, 7.3 and 4.9, 7.3 Hz), 1.15-1.24 (m×2 for rotamers, 3 H, CHCH 3), 1.36-1.48 and 1.55-1.70 (m×2 for rotamers, 2 H, CH 2CH3), 2.85 and 2.96 (br s and d for rotamers, 3 H, NCH3, J = 2.2 Hz), 3.55 (br, 4 H, CH 2 NH), 3.65 (br, 8 H, NHCH2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH2NH), 3.78-3.87 and 4.65-4.73 (m, 1 H, CHCH3), 6.57 (d, 2 H, aromatic, J = 9.3 Hz), 6.60 (s, 2 H, aromatic), 6.99 (d, 2 H, aromatic, J = 9.3 Hz), 7.24-7.27 (complex, 1 H, aromatic), 7.58-7.70 (complex, 3 H, aromatic), 7.80-7.83 (m, 1 H, aromatic), 7.95-8.09 (complex, 5 H, aromatic), 8.44 (s, 1 H, aromatic); ESI-MS (m/z) 885 [M+H]+
〔実施例2〕
実施例2では以下に示す方法によりN−sec−ブチル−1−(2−クロロ−5−(5−(フルオレセイン−5(6)−カルボキサミド)ペンチルカルバモイル)フェニル)−N−メチルイソキノリン−3−カルボキサミドを合成した。
Figure 2011026283
メチル 3−(3−(sec−ブチル(メチル)カルバモイル)イソキノリン−1−イル)−4−クロロベンゾエート(46.1mg,0.112mmol)、水酸化ナトリウム(20mg,0.500mmol)を含むメタノール溶液(2.0mL)に水(0.20mL)を加え、室温で12時間撹拌した。反応液を1M塩酸で中和し、ジクロロメタンで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物(49.4mg)を得た。
続いて、アルゴン雰囲気下にて、得られた粗成生物(49.4mg)に、tert−ブチル5−アミノペンチルカルバメート(43.0mg,0.213mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(25.8mg,0.135mmol)、ジメチルアミノピリジン(16.1mg,0.132mmol)、無水ジクロロメタン(4.0mL)を加え、室温下で12時間撹拌した。この反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン−酢酸エチル(1:2)]で精製して目的物(58.2mg,2段階89%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.76-0.80 and 0.92-1.02 (m×2 for rotamers, 3 H, CH2CH 3), 1.19-1.25 (m×2 for rotamers, 3 H, CHCH 3), 1.36-1.65 (m×2 for rotamers, 8 H, CH 2CH3 and NHCH2 CH 2 CH 2 CH 2 CH2NH), 1.40 (s, 9 H, Ot-Bu), 2.88 and 2.97 (d×2 for rotamers, 3 H, NCH3, J = 2.4 and 2.7 Hz), 3.05-3.12 (m, 2 H, BocNHCH 2 ), 3.37-3.45 (m, 2 H, CH 2 NH), 3.80-3.89 and 4.74-4.83 (m, 1 H, CHCH3), 4.59 (br s, 1 H, NH), 6.42-6.54 (m, 1 H, NH), 7.44-7.69 (complex, 4 H, aromatic) , 7.71-8.03 (m, 4H, aromatic).
Figure 2011026283
tert−ブチル5−(3−(3−(sec−ブチル(メチル)カルバモイル)イソキノリン−1−イル)−4−クロロベンズアミドペンチルカルバメート(120mg,0.207mmol)の無水ジクロロメタン溶液(5.0mL)にトリフルオロ酢酸(0.2mL)を加え、室温下で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、アルゴン雰囲気下にて、5(6)−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミド(100mg,0.211mmol)、炭酸カリウム(56.8mg,0.411mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(152mg,0.793mmol)、ジメチルアミノピリジン(102mg,0.836mmol)、無水ジメチルホルムアミド(2.0mL)を加え、室温下で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ベンゼン−アセトン(2:1)]で精製して目的物(96.0mg,2段階55%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.73 and 0.94 (t×2 for rotamers, 3 H, CH2CH 3, J = 7.3 and 7.3 Hz), 1.14-1.19 (m×2 for rotamers, 3 H, CHCH 3), 1.20-1.72 (m×2 for rotamers, 8 H, CH 2CH3 and NHCH2 CH 2 CH 2 CH 2 CH2NH), 2.83 and 2.93 (s and d for rotamers, 3 H, NCH3, J = 2.7 Hz), 3.22-3.49 (complex, 4 H, NHCH 2 ), 3.75-3.94 and 4.66-4.75 (m, 1 H, CHCH3), 6.47-6.60 (complex, 4 H, aromatic), 6.65-6.70 (complex, 2 H, aromatic), 7.17-7.20 (m, 1 H, aromatic), 7.55-7.66 (complex, 3 H, aromatic), 7.75-7.85 (m, 1 H, aromatic), 7.89-8.12 (complex, 5 H, aromatic), 8.39 (s, 1 H, aromatic); ESI-MS (m/z) 839 [M+H]+
〔実施例3〕
実施例3では以下に示す方法によりN−sec−ブチル−1−(2−クロロ−5−(2−(2−(2−(O,O’−ジアセチルフルオレセイン−5−カルボキサミド)エトキシ)エトキシ)エチルカルボニル)フェニル)−N−メチルイソキノリン−3−カルボキサミドを合成した。
Figure 2011026283
tert−ブチル2−(2−(2−(3−(3−(sec−ブチル(メチル)カルバモイル)イソキノリン−1−イル)−4−クロロベンズアミド)エトキシ)エトキシ)エチルカルバメート(119mg,0.190mmol)の無水ジクロロメタン溶液(2.0mL)にトリフルオロ酢酸(0.2mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、アルゴン雰囲気下にて、O,O’−ジアセチル−5−カルボキシフルオレセイン(86.2mg,0.190mmol)1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(193mg,0.982mmol)、ジメチルアミノピリジン(149mg,1.21mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(4.97g,0.498mmol)、無水ジクロロメタン(3.0mL)を加え、室温で63時間撹拌した。反応液をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム−メタノール(20:1)]で精製して目的物(52.6mg,2段階29%)を得た。
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.72, 0.80 and 0.93 - 0.99 (t, t and m for rotamers, 3 H, CH2CH 3, J = 7.3 and 7.1 Hz), 1.17-1.26 (m×2 for rotamers, 3 H, CHCH 3), 1.35-1.45 and 1.52-1.70 (m×2 for rotamers, 2 H, CH 2CH3), 2.32 (s, 6 H, CH 3 COO), 2.86 and 3.00 (d and br s for rotamers, 3 H, NCH3, J = 4.2 Hz), 3.28 - 3.70 (m, 12 H, NHCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 OCH 2 CH 2 NH), 3.72-3.81 and 4.73-4.81 (m, 1 H, NCHCH3), 6.74 - 6.82 (m, 4 H, aromatic), 7.10 - 7.18 (m, 1 H, aromatic), 7.11 (s, 2 H, aromatic), 7.53 -7.61 (complex, 3 H, aromatic), 7.68-7.83 (complex, 2 H, aromatic), 7.89-8.14 (complex, 3 H, aromatic), 8.17 - 8.23 (m, 1 H, aromatic), 8.48 - 8.53 (m, 1 H, aromatic); ESI-MS (m/z) 969 [M+H]+
〔実施例4〕
本発明の化合物が、ラットの活性マクロファージへin vivoにて結合することを確認した。
(方法)
DAラットの腹腔にLPS(400μg/200μl生食/匹)を投与して、炎症反応を活性化させた。実施例2または3の化合物を含む溶液(4mg+100%エタノール100μl+プロピレングリコール400μl)を調製し、60℃に温めながらPBS1500μlを徐々に添加した(計4mg/2ml)。さらに5時間後に、実施例2または3の化合物4mg、またはコントロールとしてのフルオレセインNa(Fluo)2mg(2mg/0.02ml+PBS0.48ml)をそれぞれ尾静脈より投与した。この用量は、ヒトに換算すると50kg体重あたり1バイアル(500mg)に相当する。化合物の投与の1時間後および3時間後に尾静脈から採血した。採血した血液(各500μl)をすぐにヘパリンと混合した。これらの血液に、蒸留水で10倍希釈したpharmlyseを血液量の10倍量加え、穏やかに攪拌し、暗所にて室温(20〜25℃)で15分間反応させた(溶血処理)。続いて、200×gにて5分間遠心分離し、上清を除去した。4%PFAでの固定後に、CD11b/c、CD3で免疫染色ラベルし、FACSにて観察した。
(結果)
図1は、実施例2の化合物またはフルオレセイン単独を投与した後のCD11b/c陽性細胞についてのFACSの結果を示す。図中、1はフルオレセイン単独投与の1時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示し、2はフルオレセイン単独投与の3時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示し、3は実施例2の化合物の投与1時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示す。
投与1時間後における実施例2の化合物の取り込み量(蛍光強度)は、フルオレセインの単独投与による取り込み量よりも多かった。ただし、実施例2の化合物の投与1時間後の取り込み量を、フルオレセインの単独投与3時間後の取り込み量と比較した場合は、両者の差異が小さかった。
図2(a)は、実施例3の化合物またはフルオレセイン単独を投与した後のCD11b/c陽性細胞についてのFACSの結果を示す。図中、1はフルオレセイン単独投与の1時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示し、2はフルオレセイン単独投与の3時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示し、3は実施例3の化合物の投与1時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示し、4は実施例3の化合物の投与3時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示す。
図1と比較して、実施例3の化合物が、実施例2の化合物またはフルオレセイン単独よりも多く、血中のCD11b/c陽性細胞に多く取り込まれていることがわかった。また、実施例3の化合物の投与1時間後から3時間後にかけて化合物の取り込み量が減少していくことがわかったが、3時間後の段階であってもその取り込み量はフルオレセイン単独の取り込み量よりも明らかに多かった。
図2(b)は、実施例3の化合物を投与した後のCD11b/c陽性細胞およびCD3陽性細胞についてのFACSの結果を示す。図中、1は実施例3の化合物の投与1時間後に得た血液における、CD3陽性細胞の蛍光強度を示し、2は実施例3の化合物の投与3時間後に得た血液における、CD3陽性細胞の蛍光強度を示す。また、3は実施例3の化合物の投与1時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示し、4は実施例3の化合物の投与3時間後に得た血液における、CD11b/c陽性細胞の蛍光強度を示す。
実施例3の化合物の取り込みは、CD3陽性細胞よりもCD11b/c陽性細胞において多く観察された。
以上のことより、本発明の化合物が、CD11b/c陽性細胞へ選択に取り込まれること、その取り込みはフルオレセイン単独よりも効率がよいこと、その取り込み効率は水溶性の化合物(実施例2)よりも脂溶性の化合物(実施例3)の方が高いことがわかった。
本発明は、疾患の診断、判定および治療に有用であり、医薬分野に大いに貢献する。

Claims (13)

  1. 一般式(1)にて表される構造を備えている化合物と蛍光物質とを連結した蛍光標識化合物であって、
    Figure 2011026283
    式中、R〜Rのいずれか1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよく、他の8つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である、蛍光標識化合物。
  2. 一般式(1)にて表される構造を備えている上記化合物において、式中、R〜Rは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基であり、R〜Rのいずれか1つは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよく、他の3つは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である、請求項1に記載の蛍光標識化合物。
  3. 一般式(1)にて表される構造を備えている上記化合物において、式中、Rは、末端に蛍光物質が結合した炭化水素鎖であり、該炭化水素鎖の主鎖はヘテロ原子を含んでいてもよく、R〜RおよびR〜Rは同一または異なって、HまたはC〜Cのアルキル基である、請求項1に記載の蛍光標識化合物。
  4. 上記炭化水素鎖は、炭素数が3〜12の直鎖である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光標識化合物。
  5. 上記炭化水素鎖が、
    Figure 2011026283
    からなる群より選択され、式中、Zは蛍光物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光標識化合物。
  6. 上記蛍光物質が、フルオレセイン類、カルボキシナフトフルオレセイン類、ローダミン類、テキサスレッド類、インドシアニン類、蛍光シアニン類、NBDおよびSBDからなる群より選択される化合物またはその誘導体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光標識化合物。
  7. 脂溶性である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光標識化合物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光標識化合物を含有している、マイクログリアまたはマクロファージを検出するための組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光標識化合物を含有している、網膜疾患を診断するための組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の蛍光標識化合物を含有している、神経変性疾患を診断するための組成物。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光標識化合物を用いる工程を包含する、網膜疾患を診断する方法。
  12. 被験体から分離した生物サンプルを上記蛍光標識化合物ともにインキュベートすることを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 上記蛍光標識化合物を生体に投与することを含む、請求項11に記載の方法。
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