JP2011026252A - 上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】消化管内に侵入する病原菌やウイルスなどに対する場合に限定されていた卵黄抗体による経口受動免疫を、がん細胞増殖に関与する生体成分に対する卵黄抗体を作製し、がんの予防や治療に応用することを目的とする。
【解決手段】成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の卵黄より得た、がん細胞増殖抑制作用を有する、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体が提供される。この卵黄抗体を含む医薬品、塗布剤、口腔洗浄剤、食品、サプリメントなどは、上皮成長因子受容体が関与する疾患、例えば、喉頭がん、胃がん、大腸がんなどの消化器系のがんや皮膚がんなどの予防または治療に使用できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、がん細胞の増殖抑制作用を有する鳥類の卵黄抗体、その製造方法およびその用途に関する。
現在、抗体医薬と呼ばれる医薬品が、がんやリウマチなどの治療薬として注目されている。抗体医薬とは、疾病の原因となる生体成分に特異的に結合する抗体を人工的に作製し、医薬品として加工・利用するものである。抗体医薬品の市場は拡大しており、承認数、売上高ともに年々増加傾向にある。現在、創薬アプローチがこの抗体医薬品にシフトする一方、機能性食品の分野でも「抗体食品」の開発が注目されつつある。
哺乳類の新生児は母親の免疫を胎盤あるいは母乳を通じて獲得し、自己の免疫が成熟するまでの間、初期の感染症から免れている。それに対し、胎盤も母乳もない卵生動物の新生児は、親の免疫抗体が卵黄中に移行し蓄積され、子が発生過程においてその抗体を利用することによって初期の感染症を免れている。鳥類の卵黄中の移行抗体は、卵黄抗体(IgY:immunoglobulin yolk)と呼ばれており、特定の抗原でニワトリに免疫すると、卵黄からその抗原に特異的な抗体を得ることができる。特異的抗体を鶏卵から調製する方法は、従来の方法と比較し、抗体を大量に調製できること、採血が不要なこと、ニワトリは大量飼育が容易であること、卵黄からの精製が比較的簡単であることなどの利点がある。
また、卵黄抗体は臨床検査薬や免疫研究試薬として利用されているだけでなく、ヒトや動物が経口的に摂取することで、消化管内での病原菌の付着感染を阻害する治療薬として応用され、これは「経口受動免疫」と呼ばれている。
受動免疫とは、他の生体や細胞で産生した抗体を他の生物に投与することによって得られる免疫のことで、抗体を直接体内に投与する方法 (血清療法)や抗体を経口的に投与する方法 (経口受動免疫)がある。これらの受動免疫機構を利用すれば様々な感染症を予防することを期待できるが、受動免疫が成立するためには常に一定の特異的抗体を摂取し続けることが必要となるので、消化管疾患の場合には、定期的に抗体を注射する血清療法よりも、食品などと一緒に摂取できる経口受動免疫の方が適しているといえる。
ニワトリは1年間に250〜300個もの卵を産み、卵1個には100mg以上の鶏卵抗体が含まれている。また、我々が日常的に食している卵を由来としているため、安全性面においても問題が少ないと考えられる。従って、大量の抗体を安全に、安価に、かつ大量に確保するためには、鶏卵から抗体を得ることが最も適した方法であり、また、常に一定の特異的抗体を摂取し続けることが可能であると考えられる。実際に卵黄抗体を経口受動免疫に用いた例として、ロタウイルス性下痢症の予防 (特許文献1)、虫歯の予防 (特許文献2)、ピロリ菌の除菌 (特許文献3)などがある。
しかし、卵黄抗体の経口受動免疫による疾患の予防、治療は、上記のような消化管内に侵入する病原菌やウイルスによる疾患を対象とするものに限られていた。即ち、従来の卵黄抗体は、病原菌やウイルスなどの外来性の抗原に対する抗体であり、がん細胞に特有の成分などのヒト由来の生体成分に作用する卵黄抗体を作製することはこれまで提案されていない。
一方、がんの治療に用いる抗体医薬は、主にヒトまたはヒト化モノクローナル抗体からなり、静脈内投与などの非経口で投与される。抗体医薬は、正常細胞にも共通する部位を標的とする従来の抗がん剤とは異なり、がんの増殖などに関係する特定の分子を標的にするため、正常細胞に対する影響を減らし副作用の少ない治療が可能となる。上皮成長因子受容体(EGFR:epidermal growth factor receptor)は細胞の増殖に関与することが知られており、種々の悪性腫瘍において過剰発現がみられるため、これをがん治療の標的とすることが提唱され、EGFRに対するモノクローナル抗体が開発されてきた。例えば、セツキシマブ、パニツマブなどの抗体医薬が、EGFR陽性の転移性大腸がんや、切除不可能な進行・再発の結腸直腸がんの治療薬として知られている。
しかし、モノクローナル抗体は高い抗原特異性が得られるものの、標的となる抗原分子中のただ1つの抗原決定基を認識する抗体であるため、抗原の結合位置が立体障害などにより隠れている場合、抗体の結合性が低下する可能性がある。それに対し、複数種類の抗体の混合物であるポリクローナル抗体は、同一抗原内の複数の抗原決定因子と二重三重に結合できる点で、効果的に抗原の機能を抑制する場合もある。また、モノクローナル抗体の製造は、抗体産生細胞と骨髄腫細胞株との融合による方法や遺伝子組換え技術によるため、操作が複雑となり得られる製剤は高価なものとなる。
特公平8−13755号公報 特開平5−32561号公報 特開平10−287585号公報
上記のように、これまでは卵黄抗体による経口受動免疫は、消化管内に侵入する病原菌やウイルスなどに対する場合に限定されていた。また、がん治療のための抗体医薬としてはヒトまたはヒト化モノクローナル抗体が血清療法などにより用いられてきたが、高価であることや、病巣への効果的な輸送の面で問題があった。
本発明は、これまで検討されてこなかった、がん細胞増殖に関与する生体成分に対する卵黄抗体を作製し、がんの予防や治療に応用することを目的とする。
本発明者らは、がんの予防や治療に、これまで外来性の抗原に対するものに限られていた卵黄抗体を用いるとの新規な発想を得て、細胞増殖に関与する標的部位として上皮成長因子受容体を選択し、この抗原で免疫されたニワトリ卵黄より得られる抗体が、がん細胞の増殖抑制効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
1.哺乳類の上皮成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の卵黄より得た、がん細胞増殖抑制作用を有する、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体。
2.哺乳類がヒトである上記1に記載の卵黄抗体。
3.鳥類がニワトリである上記1または2記載の卵黄抗体。
4.哺乳類の上皮成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の採卵卵黄より抗体を得ることを含む、がん細胞増殖抑制作用を有する、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体の製造方法。
5.上記1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む卵黄。
6.粉末形態の上記5記載の卵黄。
7.上記1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む、上皮成長因子受容体関連疾患の予防剤または治療剤。
8.上皮成長因子受容体関連疾患が、皮膚または消化管関連疾患である、上記7記載の予防剤または治療剤。
9.上記1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む、消化管関連疾患の経口投与用予防剤または治療剤。
10.上記1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む、塗布剤。
11.上記1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む口腔洗浄剤。
12.上記1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む食品またはサプリメント。
13.哺乳類の上皮成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の卵黄より得た、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体を含む、診断キット。
本発明により、がん細胞増殖抑制効果を有する卵黄抗体、およびこの卵黄抗体を含む卵黄を提供することができる。この卵黄抗体や卵黄を素材として製造した医薬品、塗布剤、口腔洗浄剤、食品、サプリメントなどは、上皮成長因子受容体が関与する疾患、例えば、喉頭がん、胃がん、大腸がんなどの消化器系のがんや皮膚がんの予防または治療に有効であると期待できる。しかも、本発明においては鳥類の卵を利用するので、目的の抗体を簡便な手段で大量に製造でき、また得られる抗体は食用としている卵由来であるため安全なものである。
上皮成長因子受容体EGFRを免疫した2羽のニワトリから採卵した卵黄中のEGFRに対する抗体値の経時的変化を示す図である。 上皮成長因子受容体EGFRに対する卵黄抗体調製物の添加が、ヒト上皮がん由来A431細胞の細胞増殖率に及ぼす影響について調べた図である。 上皮成長因子受容体EGFRに対する卵黄抗体調製物の添加が、ヒト胃がん由来Kato III細胞の細胞増殖率に及ぼす影響について調べた図である。
本発明の卵黄抗体は、哺乳類の上皮成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の採卵卵黄より得たものであり、以下のような方法で作製することができる。
抗原として用いるEGFRは、EGFRが高発現している培養細胞などから精製したものでも、あるいは市販されている試薬としての製品であってもよい。また、EGFRの活性部位のアミノ酸配列を含むペプチドを化学合成して、抗原として使用することもできる。EGFRは、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインから構成されるチロシンキナーゼ型受容体であり、アミノ酸配列は既知である(UniProtKB/Swiss-Prot P00533 (EGFR_HUMAN)参照)。また、抗原として使用できる活性部位とは細胞外リガンド結合ドメインである。
ヒトの疾病予防・治療を目的として抗体を製造する場合には、ヒト由来のEGFRを用いるのが望ましい。
免疫する雌性鳥類としては、ニワトリ、ウズラ、アヒル、ダチョウなど卵を産生する鳥類であれば限定されないが、大量飼育が容易であることなどからニワトリを用いるのが好ましい。
鳥類への免疫は、常法に従い行えばよく、抗原を必要により適宜アジュバントと共に鳥に筋肉注射、皮下注射などの方法で接種する。アジュバントとしてはフロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバントなどが使用できる。抗原やアジュバントの接種量、接種時期、接種回数は、目的の抗体が鳥の体内で産生し、卵黄中に移行して所望の量が蓄積されるように決定すればよい。また、追加免疫により卵黄中の抗体価をさらに高めることもできる。卵黄抗体の抗体価の測定は、ELISAなどの既知の方法により行うことができる。
抗体の生成を確認後、卵を採取して卵黄を得る。卵黄には上皮成長因子受容体に対する抗体が含まれ、用途や目的によっては卵黄をそのまま、または凍結乾燥法やスプレードライ法などにより粉末化したものが使用できる。あるいは、卵黄より目的の抗体を回収して使用する。抗体の精製は常法により行うことができ、例えば、超遠心分離法、有機溶剤脱脂による分離法、リポタンパク質凝集剤(ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナトリウム、ポリアクリル酸樹脂、食品増粘安定剤)を用いる方法、卵黄の希釈や酸処理による方法(硫安沈澱、限外濾過)、エタノールと超臨界炭酸ガス抽出を併用する脱脂法などが挙げられる(参考文献:鶏卵抗体(IgY)とその精製方法、日本農芸化学会誌 Vol.67, No.10, p.1422-1425, 1993)。
このようにして得られた、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体は、以下の試験例で実証されるように、がん細胞増殖抑制作用を有する。がんは、その高い増殖性により様々な部位へと転移し、正常な細胞が有している機能を損なう病気であるといえる。そのがん細胞の増殖性に、上皮成長因子受容体(EGFR)が関わると考えられており、正常な細胞の細胞表面にもEGFRが存在しているが、がん細胞にはEGFRが過剰に発現していることが明らかとなっている。細胞の増殖は、上皮成長因子(EGF)がEGFRに結合することにより、EGFRが細胞膜上で二量体化し、その結果、増殖シグナルが細胞内に伝えられることにより起こる。従って、本発明によるEGFRに対する卵黄抗体を経口摂取または皮膚に塗布することにより、EGFRに特異的に結合する卵黄抗体が、EGFRを過剰に発現しているがん細胞に結合し、そのEGFRの二量体化を防ぐことによって、異常増殖を抑制し、がんの予防や治療に役立てることができる。即ち、本発明の卵黄抗体は、皮膚や消化管関連疾患などの上皮成長因子受容体関連疾患の予防剤または治療剤として有用である。
消化器系のがんや皮膚がんは、上皮の細胞がイニシエーションやプロモーションの過程を経ることにより、変異、異常増殖し、様々な部位へと拡散、転移していくことにより生じる。がん細胞が発生する消化管の上皮の部位は、食品と接触する機会が多い組織であるため、食品成分によってがん細胞の増殖を直接調節できる可能性が高いと考えられる。
そこで、本発明によるEGFRに対する卵黄抗体、またはこの卵黄抗体を含む卵黄を、日常から食品、サプリメントなどとして摂取することで、喉頭がん、胃がん、大腸がんなどの消化器系のがんの発生予防に繋がると期待される。また、精製により卵黄抗体の濃度を高めたものは、がんの治療に応用することができる。
本発明の卵黄抗体を、皮膚や消化管関連疾患などの上皮成長因子受容体関連疾患(例、皮膚がん、喉頭がん、胃がん、大腸がん)の予防剤または治療剤として用いる場合は、錠剤、カプセル剤、その他経口投与に適した形状の製剤とし、経口投与するか、あるいは本発明の卵黄抗体を配合したクリームなどの塗布剤として皮膚に塗るのが好ましい。本発明の卵黄抗体を含有する口腔洗浄剤は、舌がんや喉頭がんの予防のために使用できる。
本発明の卵黄抗体を含む卵黄を、上皮成長因子受容体関連疾患の予防または治療に用いる場合、卵黄をそのままの形で摂取しても、あるいは凍結乾燥法などにより粉末化したものを摂取してもよい。さらに、水、牛乳、ジュース等の飲料、もしくはヨーグルトやゼリー等の固形の食品に加えて、経口摂取することもできる。あるいは、本発明の卵黄抗体を含む卵黄を、必要に応じ賦形剤、酸化防止剤、甘味料、着色料、香料等の食品添加物を加え、粉末、顆粒剤、錠剤、カプセル剤などの各種形態のサプリメントとして経口摂取してもよい。
なお、大腸がんなどの消化管下部における疾患の予防や治療のために、本発明の卵黄抗体または卵黄抗体を含む卵黄を経口摂取する場合、消化酵素による抗体の分解を防ぐため、マイクロカプセル化等を行い、抗体の抗原認識性を失わせない形で消化管下部に輸送する工夫を行うことが望ましい。
また、本発明の卵黄抗体は、上皮成長因子受容体に特異的に結合する抗体を含むため、該受容体の検出に用い、該受容体を過剰に発現している細胞を判定するのに利用することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これにより本発明が限定されることはない。
(上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体の作製)
1)ニワトリへの免疫
約30週齢の雌ニワトリ (白色レグホーン)2羽に、筋肉注射によってヒト上皮成長因子受容体EGFR (シグマ社)を2回免疫させた。2回目の免疫は初回免疫から6週間後に行い、初回はフロイントの完全アジュバント (和光純薬株式会社)、2回目はフロイントの不完全アジュバント (和光純薬株式会社)を用いた。アジュバント0.5mLと抗原溶液 (EGFR 20μg+生理食塩水 0.5mL)を注射筒内で均一な乳濁液とし、2羽のニワトリに注射した。
2)卵黄抗体の調製
初回免疫直後から採卵を開始した。得られた卵から、卵黄抗体を硫安沈澱と限外濾過により調製し、凍結乾燥したものを抗体調製物として用いた。
3)卵黄中の抗体値の測定
EGFRに対する卵黄抗体の抗体値はELISA法によって測定した。まず、EGFRを0.1M炭酸ナトリウム緩衝液で1.0μg/mLの濃度に調製し、ELISA用の96wellのマイクロプレートの各ウェルに100μLずつ加え、乾燥を防ぎながら一晩4℃にて静置した。プレートをウェルあたり300μLのPBSTにて3回洗浄した (以下、洗浄はウェルあたり300μLのPBSTにて行い、洗浄後はプレートの水分をよく取り除いた)。各ウェルへ1%(w/v) BSA in PBSを200μLずつ加え、37℃で1時間振盪し、ブロッキングを行った。その後、プレートをPBSTにて3回洗浄し、1% BSA in PBSTで10mg/mLの抗体調製物溶液を100倍希釈し、各ウェルへ100μLずつ加え、37℃で2時間静置した。プレートを5回洗浄し、HRP標識抗ニワトリIgY抗体 (シグマ社)を1% BSA in PBSTで5000倍希釈した。これを100μL各ウェルに加え、37℃で1時間静置した。プレートを7回洗浄し、TMBを100μL各ウェルに加えた。反応は5〜30分おき、2M H2SO4 (100μL/well)で止め、450 nmの吸光度を測定した。
図1は、初回免疫を採卵0日目、2回目の免疫を42日目とした2羽のニワトリより採卵し、その卵黄中から調製した抗体調製物のEGFRに対する抗体値を、ELISAによって測定した結果を示す。図1より、初回免疫後、2羽のニワトリはともに抗体値が上昇し始め、EGFRに対する抗体が卵黄に蓄積されていることが確認された。初回免疫から20日〜30日にかけて、抗EGFR値は高い値を維持していたが、2回目の免疫 (42日目)以降の55日目から再び抗体値が上昇していることから、定期的に抗原を注射することにより大量の目的抗体を得られることが分かる。
試験例1
(上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体を用いたがん細胞増殖抑制試験)
細胞増殖抑制試験には、ヒト上皮がん由来A431細胞およびヒト胃がん由来Kato III細胞 (両細胞ともに理化学研究所・バイオリソースセンターから購入)を用い、細胞増殖率は各細胞にEGFRに対する卵黄抗体添加後、一定時間培養し、テトラゾリウム塩法により測定した。
具体的には、まず、A431細胞、Kato III細胞の生細胞数をカウントし、細胞数が5.0×104 細胞/mL (Kato III細胞は2.5×105 細胞/mL)になるように、2.5%FBS含有DMEM (Kato III細胞はRPMI1640培地)で希釈した。希釈した細胞を96wellマイクロプレートに100μL/wellずつ播種した。直後、抗原 (EGFR)投与62日目に採卵した鶏卵からの卵黄抗体調製物を10μL/wellずつ播種し、5%CO2 インキュベーター内で培養を行った。5日間培養後、Cell Counting Kit-8 (株式会社同人化学研究所)を10μL/wellずつ播種し、4時間後にマイクロプレートリーダーを用いて450 nmから655 nmを減じた吸光度を測定した。
図2および図3は、EGFRに対する卵黄抗体の添加が、ヒト上皮がん由来A431細胞およびヒト胃がん由来Kato III細胞の細胞増殖率に及ぼす影響をテトラゾリウム塩法によってそれぞれ測定した結果を示す。図2より、A431細胞ではEGFRに対する特異的抗体の添加により、コントール (PBS添加)と比較して増殖が抑制されることが判明し、特に抗体調製物1mg/mLの濃度で約30%の増殖抑制効果が確認された。同様に図3より、ヒト胃がん由来Kato III細胞でも、EGFRに対する卵黄抗体調製物により、コントールと比較して増殖が抑制されることが判明し、特に抗体調製物1mg/mLの濃度で約25%の増殖抑制効果が認められた。EGFR抗原を投与していないニワトリから得た抗体調製物には、明確ながん細胞増殖抑制効果は認められなかった (データ略)ことから、本発明により作製したEGFRに対する卵黄抗体は、ヒトがん細胞を抑えるものとして極めて有効であることが示された。

Claims (13)

  1. 哺乳類の成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の卵黄より得た、がん細胞増殖抑制作用を有する、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体。
  2. 哺乳類がヒトである請求項1記載の卵黄抗体。
  3. 鳥類がニワトリである請求項1または2記載の卵黄抗体。
  4. 哺乳類の上皮成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の採卵卵黄より抗体を得ることを含む、がん細胞増殖抑制作用を有する、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む卵黄。
  6. 粉末形態の請求項5記載の卵黄。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む、上皮成長因子受容体関連疾患の予防剤または治療剤。
  8. 上皮成長因子受容体関連疾患が、皮膚または消化管関連疾患である、請求項7記載の予防剤または治療剤。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む、消化管関連疾患の経口投与用予防剤または治療剤。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む、塗布剤。
  11. 請求項1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む口腔洗浄剤。
  12. 請求項1〜3のいずれかに記載の卵黄抗体を含む食品またはサプリメント。
  13. 哺乳類の上皮成長因子受容体(EGFR)を抗原として雌性鳥類に免疫し、この免疫された鳥類の卵黄より得た、上皮成長因子受容体に対する卵黄抗体を含む、診断キット。
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