JP2011021950A - 衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型の機器でも受信感度を向上でき、かつ、消費電力の増加も抑えることができる衛星信号受信装置を提供する。
【解決手段】GPS付き腕時計3は、GPSアンテナ27、LNA28、RF部50およびGPS信号処理部60を有する受信部30を備えている。GPS信号処理部60は、受信手段で衛星信号を検索する衛星信号検索手段と、衛星信号検索手段で衛星信号の検索を開始した時は、LNA28を停止状態に制御し、その後、衛星信号の検索結果に基づいてLNA28を作動状態または停止状態に制御する信号増幅制御手段とを備える。衛星検索時はLNA28を停止しているので、電流ピーク値を押さえることができる。衛星信号の検索結果で信号増幅が必要な場合にはLNA28を作動しているので、受信時間を短縮できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えばGPS衛星等の位置情報衛星からの信号に基づいて測位や時刻修正を行う衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法に関するものである。
GPS(Global Positioning System)受信システムとして、内蔵アンテナを有するGPS受信装置に、低ノイズアンプ(LNA)が組み込まれた外部アンテナを接続したものが知られている(特許文献1参照)。
前記外部アンテナは、内蔵アンテナに比べて受信感度を向上できるが、LNAを動作させるために消費電力は増加する。
このため、特許文献1のGPS受信システムでは、内蔵アンテナによる測位状況を判定し、測位環境が良い場合には内蔵アンテナを選択することで、消費電力を低減していた。
特開2004−144676号公報
近年、腕時計や携帯電話機のような小型の携帯機器において、GPS受信装置を組み込み、位置情報や時刻情報を受信可能なものが提案されている。これらの小型の携帯機器に、前記特許文献1のような外部アンテナを接続することは、携帯性を阻害し、消費電力も増加するため、適用が難しいという問題があった。
また、小型の携帯機器は、サイズの制約からできるだけ小型の電池を用いることが好ましい。小型の機器では、ボタン型などの小型の電池が用いられることが多いが、電池サイズは、電池が流すことができる電流値に左右される。電池が流すことができる電流値を超えて使用すると、電池が大きく劣化してしまう。このため、小型の機器においてはピーク電流値(機器の動作で最も電流が流れる時の電流値)を低くすることが必要であり、この点でも前記特許文献1のような外部アンテナを用いることは難しいという問題があった。
以上の制約があるため、腕時計等では内蔵アンテナのみで受信を行っていた。このため、受信環境が悪い場合に受信感度が低下し、GPS信号を受信できないという問題があった。
本発明の目的は、小型の機器でも受信感度を向上でき、かつ、消費電力の増加も抑えることができる衛星信号受信装置および衛星信号受信装置の制御方法を提供することにある。
本発明の衛星信号受信装置は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段と、前記受信手段を制御して受信処理を行う受信制御手段と、を備え、前記受信手段は、電源が供給された作動状態では入力された受信信号を増幅して出力し、かつ、電源が供給されていない停止状態では入力された受信信号をそのまま出力する信号増幅手段を備え、前記受信制御手段は、前記受信手段で前記衛星信号を検索する衛星信号検索手段と、前記衛星信号検索手段で衛星信号の検索を開始した時は、前記信号増幅手段を停止状態に制御し、その後、衛星信号の検索結果に基づいて前記信号増幅手段を作動状態または停止状態に制御する信号増幅制御手段と、を備えることを特徴とする。
ここで、前記信号増幅手段は、アンテナに接続されて受信された衛星信号を増幅するLNA(Low Noise Amplifier:低雑音増幅回路)等で構成される。
本発明によれば、衛星信号検索手段によって位置情報衛星の検索(サーチ)処理を行う。この検索処理の開始時は、前記信号増幅制御手段により信号増幅手段は停止状態に制御される。このため、検索処理時の消費電流の増加を防止できる。
特に、衛星信号の捕捉処理が必要な検索処理は、受信処理において最も消費電流が高くなる。このため、検索処理中にさらに信号増幅手段を作動させると、消費電流もより高くなる。従って、衛星信号受信装置におけるピーク電流が大きくなるため、電池サイズが大型化する。さらに、消費電力も増加するので、電池寿命が短くなる。
一方、本発明では、検索処理時は、信号増幅手段を作動させないため、ピーク電流も低減できて、必要となる電池のサイズも小さくできるので、衛星信号受信装置を小型化することができる。さらに、消費電力を低下でき、電池寿命を延ばすことができる。
そして、信号増幅制御手段は前記衛星信号検索手段による衛星信号の検索結果に基づいて信号増幅手段を作動状態または停止状態に制御しているので、信号増幅が必要な場合のみ信号増幅手段を作動させることができる。
ここで、衛星信号の検索結果とは、例えば、捕捉した衛星信号の信号強度(SNR)や、衛星信号を捕捉するまでの時間(衛星サーチ時間)である。従って、衛星信号の検索結果に基づいて信号増幅手段を制御するとは、信号強度や衛星サーチ時間を所定の閾値と比較し、その比較結果により信号増幅手段を作動したり、停止することを意味する。なお、衛星サーチ時間は、信号強度が弱い(低い)場合に長くなるため、衛星サーチ時間が長いことはそれだけ信号強度が弱いことを意味する。
そして、信号強度が弱い状態でデコードすると、ノイズの影響を受けやすくなって正しい信号にデコードできない可能性が高まる。このため、衛星信号を受信してデコード処理する時間も長くなり、デコード処理時の消費電力も増大する。
これに対し、本発明によれば、信号強度が弱い場合は、前記信号増幅手段を作動させて信号を増幅することで、捕捉した衛星信号のデコード処理時間を短縮することができ、その分、デコード処理時の消費電力も低減できる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記受信手段は、複数の衛星信号を同時に受信可能なマルチチャンネルの受信回路を備え、前記受信制御手段は、受信モードを測位モードに設定可能とされ、前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測位モードに設定されている場合、前記衛星信号検索手段によって少なくとも3個の衛星信号を捕捉した時点で、最も信号強度の小さな衛星信号の信号強度を、予め設定された測位モード用閾値と比較し、前記信号強度が前記測位モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動することが好ましい。
マルチチャンネルの受信回路においては、各チャンネルで衛星信号のサーチ処理が行われる。そして、衛星信号を捕捉したチャンネルでは、サーチ処理を終了し、衛星信号のデコード処理を行う。
ここで、衛星信号受信装置の現在位置を取得する測位モードで受信を行う場合には、少なくとも3個の衛星信号を受信する必要がある。このため、1〜2個の衛星信号のみを捕捉した場合には、その捕捉したチャンネルではサーチ処理を終了し、衛星信号のデコード処理が行われるが、測位計算は開始されない。
この際、信号強度が測位モード用閾値未満の衛星信号が1つでも存在すると、その信号のデコード処理に時間が掛かる。そして、測位計算には、3つの衛星信号を同時に受信しながらデコード処理してデータを取得する必要があるため、1つでもデコード処理に時間が掛かると、他の衛星信号の受信やデコード処理も継続する必要があり、消費電流も増加する。
一方、本発明の信号増幅制御手段は、3個目の衛星信号が捕捉された時点で、最も信号強度の小さな衛星信号を判定し、その衛星信号の信号強度が測位モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動する。このため、信号強度が閾値未満の衛星信号も増幅されるため、増幅しない場合に比べて、衛星信号のデコード処理時間を短くでき、消費電力も低減できる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記受信制御手段は、受信モードを測時モードに設定可能とされ、前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測時モードに設定されている場合、前記衛星信号検索手段によって1個の衛星信号を捕捉した時点で、その捕捉した衛星信号の信号強度を、予め設定された測時モード用閾値と比較し、前記信号強度が前記測時モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動することが好ましい。
衛星信号から時刻情報を取得する測時モードの場合、測位モードと異なり1つの衛星信号のみを受信すれば時刻情報を取得できる。
このため、1つの衛星信号を捕捉した時点でその信号強度を測時モード用閾値と比較し、閾値未満の場合に前記信号増幅手段を作動すればよい。この本発明においても、信号強度が測時モード用閾値未満と低い場合のみ信号増幅手段を作動しているので、消費電流の増加を抑制できる。
なお、測位モードの場合は、例えばGPS衛星信号であれば、航法メッセージのサブフレーム1〜3までのデータ(衛星の軌道情報等)を受信する必要があるのに対し、時刻モードであればZカウントと呼ばれる時刻情報のみを受信すればよいため、測位モードの場合に比べて信号強度が低い場合でも時刻情報を取得することができる可能性が高い。このため、前記測時モード用閾値は、測位モード用閾値と同じ値でもよいが、測位モード用閾値よりも小さな値に設定することもできる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記受信制御手段は、受信モードを測時モードに設定可能とされ、前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測時モードに設定されている場合、前記衛星信号検索手段によって複数個の衛星信号を捕捉した時点で、最も信号強度の大きな衛星信号の信号強度を、予め設定された測時モード用閾値と比較し、前記信号強度が前記測時モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動することが好ましい。
測時モードでは1つの衛星信号を受信すれば処理可能であるが、マルチチャンネルの受信回路を備えている場合、同時に複数の衛星信号を捕捉する場合も考えられる。また、2番目以降に信号強度が高い衛星信号を捕捉する可能性を考慮し、予め設定しておいた個数(例えば3個)の衛星信号を捕捉してから最も信号強度が高い衛星信号を用いて測時の処理を行うことも考えられる。
このように測時モードで複数の衛星信号を捕捉した場合には、それらの中で最も信号強度の大きな衛星信号の信号強度を、予め設定された測時モード用閾値と比較しているので、信号強度が閾値以上の衛星信号を1つでも受信している場合には前記信号増幅手段を作動することがなく、捕捉したすべての衛星信号の信号強度が閾値未満の場合のみ信号増幅手段を作動することになる。このため、測時モードにおける消費電流を低減できる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記信号増幅制御手段は、前記信号増幅手段を作動していない状態で、かつ、受信した衛星信号をデコードしている状態の時に、その衛星信号の信号強度が予め設定された閾値未満になった場合には、前記信号増幅手段を作動し、前記信号増幅手段を作動している状態で、かつ、受信した衛星信号をデコードしている状態の時に、その衛星信号の信号強度が前記閾値以上になった場合には、前記信号増幅手段の作動を停止することが好ましい。
ここで、前記予め設定された閾値は適宜設定できるが、例えば、受信モードが測時モードの場合には前記測時モード用閾値とすればよく、測位モードの場合には前記測位モード用閾値とすればよい。
このような本発明によれば、信号増幅制御手段は、デコード処理中に受信環境などが変化して信号強度が前記閾値未満に低下した場合は、信号増幅手段を作動する。このため、信号強度が閾値未満に低下しても信号増幅手段を作動しない場合に比べて、受信信号レベルを高めることができ、デコード処理時間を短縮できて、消費電流も低減できる。
一方、信号増幅制御手段は、信号増幅手段を作動している状態で、受信環境が良好になる等で信号強度が閾値以上になった場合は、信号増幅手段を停止する。このため、信号強度が閾値以上に向上しても信号増幅手段を作動し続けた場合に比べて、消費電流を低減できる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記受信制御手段は、前記信号増幅制御手段によって前記信号増幅手段を作動している状態で、かつ、受信した衛星信号をデコードしている状態の時に、前記信号増幅手段で増幅した衛星信号の信号強度が予め設定された閾値未満になった場合には、受信動作を終了することが好ましい。
ここで、前記予め設定された閾値は適宜設定できるが、例えば、受信モードが測時モードの場合には前記測時モード用閾値とすればよく、測位モードの場合には前記測位モード用閾値とすればよい。
信号増幅手段で増幅しても衛星信号の信号強度が閾値未満の場合には、捕捉している信号の受信環境が良くないと判断できる。このため、デコード処理時間も長くなり、消費電流も増加してしまう可能性が高く、正しいデータを取得できない可能性もある。
本発明では、このような場合に受信動作を終了しているので、無駄な受信処理やデコード処理を継続する必要が無くなり、消費電流を抑えることができる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記受信制御手段は、受信モードを測時モードまたは測位モードに設定可能とされ、前記信号増幅制御手段は、衛星信号の検索開始から前記衛星信号検索手段によって前記受信モードに応じて予め設定された個数の衛星信号を捕捉するまでの経過時間を、前記受信モードに応じて予め設定された設定時間と比較し、前記経過時間が前記設定時間よりも長い場合に前記信号増幅手段を作動するものでもよい。
仰角が低い位置情報衛星からの信号など、受信環境が悪い場合には、信号強度が弱くなる。このように信号強度が弱い衛星信号は、捕捉するまでの時間も長くなる。すなわち、衛星信号の信号強度を直接確認しなくても、捕捉時間によって間接的に信号強度を把握することができる。
従って、衛星信号の検索開始からの経過時間が予め設定された設定時間よりも長い場合には、信号強度も弱いと考えられるので、信号増幅制御手段により信号増幅手段を作動させて受信信号を増幅することで、デコード時間を短縮できて消費電流を低減できる。
一方、衛星信号の検索開始からの経過時間が予め設定された設定時間よりも短い場合には、信号強度も強いと考えられるので、信号増幅制御手段により信号増幅手段を停止状態にしておくことで、その分の消費電流を低減できる。
なお、前述のとおり、測時モードでは測位モードに比べて信号強度が弱い場合でも時刻情報を取得できる可能性が高い。このため、測時モードの場合の前記設定時間は、測位モードの場合の前記設定時間よりも長く設定することができる。具体的な設定時間は、各モード毎に実験した結果などに基づいて設定すればよい。
本発明の衛星信号受信装置において、前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測時モードに設定されている場合で、かつ、衛星信号の検索結果が前記信号増幅手段を作動する結果である場合は、衛星信号において時刻情報が送信されるタイミングのみ前記信号増幅手段を作動することが好ましい。
本発明によれば、衛星信号の検索結果によって信号増幅手段を作動する場合でも、時刻情報が送信されるタイミングのみ作動しているので、消費電流を低減できる。
例えば、GPS衛星信号の場合、各サブフレームは6秒間隔で送信され、各サブフレームにはTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)というGPS衛星のGPS時刻情報(衛星時刻情報)が格納されている。従って、時刻情報は6秒間隔で送信され、その送信時のみに信号増幅手段を作動させれば、消費電流を低減することができる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測位モードに設定されている場合で、かつ、衛星信号の検索結果が前記信号増幅手段を作動する結果である場合は、衛星信号において測位計算に必要な情報が送信されるタイミングのみ前記信号増幅手段を作動することが好ましい。
本発明によれば、衛星信号の検索結果によって信号増幅手段を作動する場合でも、測位計算に必要な情報が送信されるタイミングのみ作動しているので、消費電流を低減できる。
例えば、GPS衛星信号の場合、サブフレーム1〜5で1フレームが構成され、各サブフレームの送信は6秒掛かるので、1フレームの送信には30秒かかる。ここで、測位計算に必要な情報は、サブフレーム1〜3に含まれており、サブフレーム4,5は受信する必要がない。従って、1フレーム(30秒)の受信中、サブフレーム1〜3が送信される18秒間のみ信号増幅手段を作動させれば、サブフレーム4,5の送信中も信号増幅手段を作動させる場合に比べて消費電流を低減することができる。
本発明の衛星信号受信装置において、前記信号増幅手段は、信号入力側に接続される入力端子と、信号出力側に接続される出力端子と、前記入力端子に接続されたオペアンプと、前記オペアンプへの電源供給を切り替える電源スイッチと、前記オペアンプの出力である増幅出力端子および前記入力端子にオペアンプを経由せずに接続されたスルー出力端子を切り替えて前記出力端子に接続する出力切替スイッチと、外部からの制御信号が入力される制御信号入力端子と、を備え、前記制御信号入力端子に信号増幅手段を作動させる制御信号が入力された場合は、前記電源スイッチは前記オペアンプと電源とを接続する状態とされ、かつ、前記出力切替スイッチは前記増幅出力端子と出力端子とを接続する状態とされ、前記制御信号入力端子に信号増幅手段を停止させる制御信号が入力された場合は、前記電源スイッチは前記オペアンプと電源とを切断する状態とされ、かつ、前記出力切替スイッチは前記スルー出力端子と出力端子とを接続する状態とされることが好ましい。
信号増幅手段としては、LNAを利用できる。ここで、通常のLNAは、オペアンプを内蔵し、常時作動されるものである。
これに対し、本発明の信号増幅手段は、オペアンプ以外に、連動して作動する電源スイッチおよび出力切替スイッチや、オペアンプを経由せずに入力された信号を出力するスルー出力端子等を設けているので、オペアンプの電源をオンした場合には入力信号を増幅して出力でき、オペアンプの電源をオフした場合には入力信号を増幅せずにオペアンプをスルーして出力できる。そして、これらの制御は、制御信号入力端子に制御信号、例えばハイレベル信号またはローレベル信号を入力するだけで、各スイッチが連動して作動するため、簡単に制御することができる。
本発明の衛星信号受信装置の制御方法は、位置情報衛星から送信される衛星信号を受信するとともに、受信信号を増幅する信号増幅手段を備えた受信手段と、前記受信手段により前記衛星信号を検索する衛星信号検索手段を備えて受信処理を行う受信制御手段と、を具備した衛星信号受信装置の制御方法であって、前記衛星信号検索手段で衛星信号の検索を開始した時は、前記信号増幅手段を停止しておき、その後は、衛星信号の検索結果に基づいて前記信号増幅手段の作動を制御することを特徴とする。
本発明によれば、衛星信号検索手段によって衛星信号の検索処理を開始した時は、信号増幅手段は停止状態に制御されるため、検索処理時の消費電流の増加を防止できる。
このため、衛星信号受信装置のピーク電流も低減できて、必要となる電池のサイズも小さくできるので、衛星信号受信装置を小型化することができる。さらに、消費電力を低下でき、電池寿命を延ばすことができる。
また、衛星信号の検索結果に基づいて信号増幅手段を作動状態または停止状態に制御しているので、信号増幅が必要な場合のみ信号増幅手段を作動させることができる。このため、衛星信号の検索結果に関係なく信号増幅手段を常時作動させる場合に比べて、消費電力を低減できる。さらに、衛星信号の検索結果で信号増幅手段を作動させているので、信号強度が弱い場合にも受信時間も短縮できる。
第1実施形態のGPS付き腕時計の概略平面図である。 第1実施形態のGPS付き腕時計の概略断面図である。 第1実施形態のGPS付き腕時計の回路構成を示すブロック図である。 航法メッセージの構成を示す図である。 信号増幅手段であるLNAの構成を示す回路図である。 GPS信号処理部の構成を示すブロック図である。 制御部の構成を示すブロック図である。 第1実施形態の受信処理手順を示すフローチャートである。 受信処理中の電流値の変化を示すグラフである。 閾値比較信号設定工程を示すフローチャートである。 測時の受信時間と信号強度との関係を示すグラフである。 測位の受信時間と信号強度との関係を示すグラフである。 第2実施形態の受信処理手順を示すフローチャートである。 第2実施形態の受信処理中の電流値の変化を示すグラフである。 第3実施形態の受信処理手順を示すフローチャートである。 変形例のGPS付き腕時計の回路構成を示すブロック図である。
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
[第1実施形態]
図1及び図2は、第1実施形態の衛星信号受信装置であるGPS付き腕時計3の構造を説明する図である。図1はGPS付き腕時計3の概略平面図であり、図2は図1のGPS付き腕時計3の概略断面図である。
[GPS付き腕時計の構造]
図1に示すように、GPS付き腕時計3は、文字板11及び指針12を備えている。指針12は、秒針、分針、時針等により構成されており、歯車を介してステップモーターで駆動される。
GPS付き腕時計3は、リューズ14やボタン15(Aボタン)、ボタン16(Bボタン)を手動操作することにより、受信モードの設定や、受信処理および受信結果表示処理を行うことができるように構成されている。
例えば、本実施形態では、ボタン16(Bボタン)を押すことで、受信モード(測時モードまたは測位モード)を設定している。すなわち、ボタン16を押す毎に、測時モードおよび測位モードが交互に切り替えられる。この際、測時モードに設定された場合は、秒針が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、測位モードに設定された場合は、秒針が「Fix」の位置(10秒位置)に移動するため、利用者は設定された受信モードを容易に確認できるようにされている。
また、ボタン15(Aボタン)が数秒(例えば3秒)以上押されると、GPS付き腕時計3は受信処理を行う。
さらに、ボタン15(Aボタン)が短い時間押されると、GPS付き腕時計3は文字板11及び指針12により直前の受信モードにおける受信結果を表示する。例えば、測時モードで受信成功の場合には、秒針が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、測位モードで受信成功の場合には、秒針が「Fix」の位置(10秒位置)に移動する。また、受信失敗の場合には秒針が「N」の位置(20秒位置)に移動する。
なお、これらの秒針による指示は受信中も行われる。すなわち、測時モードで受信中は秒針が「Time」の位置(5秒位置)に移動し、測位モードで受信中は秒針が「Fix
」の位置(10秒位置)に移動する。また、GPS衛星が捕捉できない場合は秒針が「N」の位置(20秒位置)に移動する。
図2に示すように、GPS付き腕時計3は、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル18を介して表面ガラス19が取り付けられている。ベゼル18は、衛星信号の受信性能を向上させるためにセラミック等の非金属材料で構成される。外装ケース17の裏面側の開口には裏蓋26が取り付けられている。
外装ケース17の内部には、ムーブメント13、ソーラーセル22、GPSアンテナ27、二次電池24等が配置されている。
ムーブメント13は、ステップモーターや輪列21を含んで構成されている。ステップモーターは、モーターコイル20、ステーター、ローター等で構成されており、輪列21を介して指針12を駆動する。
ムーブメント13の裏蓋側には回路基板25が配置され、回路基板25は、コネクタ32を介してアンテナ基板23及び二次電池24と接続されている。
回路基板25には、GPSアンテナ27で受信した衛星信号を処理する受信回路を含む受信部30、ステップモーターの駆動制御等を行う制御部40等が取り付けられている。受信部30や制御部40は、シールド板33に覆われており、二次電池24から供給される電力で駆動される。
二次電池24はリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池であり、ソーラーセル22が発電した電力を蓄えられるようになっている。すなわち、ソーラーセル22の電極と二次電池24の電極の間を電気的に接続することにより、ソーラーセル22が光発電を行い、二次電池24が充電される。なお、本実施形態では、二次電池24としてリチウムイオン電池等の二次電池を用いているが、二次電池24は蓄電体であればよく、例えば、コンデンサ等であってもよい。
ソーラーセル22は、文字板11の一部と対向するように配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過した光を受光して光発電を行う。
文字板11は、外部から視認できるため、できるだけ光を透過させつつ見栄えをよくすることが望ましい。そのため、文字板11は、光を透過させるプラスチックやガラス等の非金属の材料で構成されている。
アンテナ基板23に実装されたGPSアンテナ27は、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信するアンテナであり、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、チップアンテナ、逆Fアンテナ等により実現される。
本実施形態では、GPS付き腕時計3の装飾性や装着性を向上させるために、GPSアンテナ27は文字板11の裏面に配置される。そのため、文字板11は、1.5GHz帯のマイクロ波を通す材料、例えば導電率及び透磁率の低い材料であるプラスチックやガラス等の非金属で構成されているのが好ましい。
GPSアンテナ27は、上面や側面を含む表面全体からマイクロ波(衛星信号)を受信する。そのため、ソーラーセル22内の金属性部材がマイクロ波をシールドしないように、本実施形態では、文字板11とGPSアンテナ27の間には、ソーラーセル22が配置されていない。
また、GPSアンテナ27とソーラーセル22の距離が近いほどGPSアンテナ27とソーラーセル22内の金属性部材が電気的に結合してロスが発生する。さらに、GPSアンテナ27とソーラーセル22の距離が近いほどGPSアンテナ27の放射パターンがソーラーセル22に遮られてGPSアンテナ27の放射パターンが小さくなってしまう。そのため、受信性能が劣化しないように、本実施形態では、GPSアンテナ27とソーラーセル22との距離が所定値以上になるように配置されている。
また、GPSアンテナ27は、ソーラーセル22以外の金属部材との距離も所定値以上になるように配置されている。例えば、外装ケース17やムーブメント13が金属部材で構成されている場合、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離及びムーブメント13との距離がともに所定値以上になるように配置される。
[GPS付き腕時計の回路構成]
図3は、第1実施形態のGPS付き腕時計3の回路構成を示すブロック図である。
GPS付き腕時計3は、少なくとも1つのGPS衛星(位置情報衛星)からの衛星信号を受信してGPS時刻情報を取得し、そのGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報の修正を行う測時モードと、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信して測位計算を行って現在地を求め、現在地から特定される時差及びGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報の修正を行う測位モードのいずれかに設定される。すなわち、GPS付き腕時計3は、測時モードによる時刻修正処理と、測位モードによる時刻修正処理(時差修正処理)のいずれかの処理を行う。
〔GPSシステム〕
図3の回路構成を詳述する前に、マイクロ波による通信システムであるGPSシステムの概要について説明する。
GPS衛星は、地球の上空の所定の軌道上を周回しており、1.57542GHzのマイクロ波(Ll波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。ここで、GPS衛星は本発明における位置情報衛星の一例であり、航法メッセージが重畳された1.57542GHzのマイクロ波(以下、「衛星信号」という)は本発明における衛星信号の一例である。
現在、約30個のGPS衛星が存在しており、衛星信号がどのGPS衛星から送信されたかを識別するために、各GPS衛星はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。従って、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星は原子時計を搭載しており、衛星信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報(以下、「GPS時刻情報」という)が含まれている。また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメーターも含まれている。そのため、GPS付き腕時計3に内蔵された衛星信号受信装置(以下、「GPS受信機」という)は、1つのGPS衛星から送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメーターを使用して内部時刻を正確な時刻に修正することができる。
衛星信号にはGPS衛星の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。GPS受信機は、GPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、GPS受信機の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、GPS受信機の3次元の位置を特定するためのx,y,zパラメーターに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、GPS受信機は、一般的には4つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して三次元測位計算を行う。
但し、3個の衛星信号しか受信できない場合には、高度(z)を0m等と設定し、x、yを求める二次元測位を行うことで、GPS受信機の概略の二次元位置(緯度、経度)を特定することができる。本実施形態の位置検出は、時差情報を取得するためであるから、二次元測位によって位置データを取得しても、通常は正しい時差情報を取得できる。
[航法メッセージ]
図4(A)〜図4(C)は、衛星信号に重畳された航法メッセージの構成について説明するための図である。
図4(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星から6秒で送信される。従って、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星から30秒で送信される。
サブフレーム1には、週番号データ等の衛星補正データが含まれている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。GPS時刻情報の起点は、UTC(協定世界時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。週番号データは、1週間単位で更新される。
サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメーター(各GPS衛星の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメーター(全GPS衛星の概略軌道情報)が含まれている。
さらに、サブフレーム1〜5には、先頭から、30ビットのTLM(Telemetry word)データが格納されたTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOW(hand over word
)データが格納されたHOWワードが含まれている。
従って、TLMワードやHOWワードは、GPS衛星から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメーター、アルマナックパラメーターは30秒間隔で送信される。
図4(B)に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図4(C)に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)というGPS時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報である。このZカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の先頭ビットが送信されるGPS時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図4(A)に示すサブフレーム1〜5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」「101」のIDコードが含まれている。
GPS受信機は、サブフレーム1に含まれる週番号データとサブフレーム1〜5に含まれるHOWワード(Zカウントデータ)を取得することで、GPS時刻情報を取得することができる。ただし、GPS受信機は、以前に週番号データを取得し、週番号データを取得した時期からの経過時間を内部でカウントしている場合は、週番号データを取得しなくてもGPS衛星の現在の週番号データを得ることができる。従って、GPS受信機は、Zカウントデータを取得すれば、日付以外の現在時刻が分かるようになっている。このため、GPS受信機は、通常、現在時刻としてZカウントデータのみを取得する。
次に、このようなGPS受信機を内蔵するGPS装置付き腕時計3の回路構成について詳述する。
GPS付き腕時計3は、GPSアンテナ27、信号増幅手段であるLNA28、受信部30、時刻表示装置80及び電源供給装置90を含んで構成されている。
[GPSアンテナ]
GPSアンテナ27は、複数のGPS衛星からの衛星信号を受信するアンテナであり、前述したように、パッチアンテナなどで構成される。このGPSアンテナ27の出力は、LNA28に接続されている。
[LNA]
LNA28は、図5に示すように、入力端子281、出力端子282、オペアンプ283、電源スイッチ284、出力切替スイッチ285、各スイッチ284,285を制御する制御信号入力端子286を備えている。
入力端子281は、LNA28の信号入力側つまりGPSアンテナ27側に接続され、GPSアンテナ27で受信した衛星信号が入力される。
出力端子282は、LNA28の信号出力側つまり受信部30に接続され、後述するように、オペアンプ283で増幅された衛星信号またはオペアンプ283をスルーした衛星信号のいずれかが出力される。
オペアンプ283には、正電源VDDおよび負電源VSSが接続されている。正電源VDDは、電源スイッチ284を介してオペアンプ283に接続されている。
電源スイッチ284は、オペアンプ283に接続されたa端子、または、いずれにも接続されていないb端子のいずれか一方に、前記正電源VDDを選択的に接続するものである。
出力切替スイッチ285は、オペアンプ283の出力である増幅出力端子c、または、オペアンプ283を経由せずに入力端子281から入力された信号を出力するスルー出力端子dのいずれか一方を、前記出力端子282に接続するものである。
そして、LNA28では、制御信号入力端子286にオン信号(例えばハイレベル信号)が入力されると、電源スイッチ284はa端子に接続され、出力切替スイッチ285は増幅出力端子cに接続する。このため、オペアンプ283つまりLNA28は、電源VDDが接続されて作動される。また、入力端子281から入力された衛星信号はオペアンプ283で増幅され、増幅出力端子cおよび出力切替スイッチ285を介して出力端子282から出力される。
一方、制御信号入力端子286にオフ信号(例えばローレベル信号)が入力されると、電源スイッチ284はb端子に接続され、出力切替スイッチ285はスルー出力端子dに接続する。このため、オペアンプ283つまりLNA28は、電源VDDから切り離されて停止状態とされる。また、入力端子281から入力された衛星信号は、オペアンプ283を経由せず、スルー出力端子dおよび出力切替スイッチ285を介して出力端子282から出力される。
[受信部]
受信部30は、主にRF(Radio Frequency:無線周波数)部50と、GPS信号処理部60を含んで構成されている。RF部50とGPS信号処理部60は、1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。なお、本実施形態の受信部30は、8個の衛星信号を同時に捕捉、受信できるように8チャンネルの受信回路を備えている。
[RF部]
RF部50は、高周波信号を中間周波数帯の信号に変換するダウンコンバーターや、その中間周波数帯のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターなどを備えたGPS受信機における一般的なものである。
[GPS信号処理部]
GPS信号処理部60は、図示を略すがDSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、SRAM(Static Random Access Memory)、RTC(リアルタイムクロック)等を含んで構成され、RF部50から出力されるデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
GPS信号処理部60は、内蔵するCPUで所定のプログラムを実行することで機能する各手段を備えている。具体的には、図6に示すように、衛星信号検索工程を実行する衛星信号検索手段61と、信号増幅制御工程を実行する信号増幅制御手段62と、受信部30での受信モードを測時モードまたは測位モードに設定する受信モード設定手段63と、受信した衛星信号をデコードして情報を取得する信号デコード手段64とを備えている。
衛星信号検索手段61は、後述する衛星信号検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、衛星信号検索手段61は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星に同期(すなわち、GPS衛星を捕捉)したものと判断する。
ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星を検索することができる。
信号増幅制御手段62は、衛星信号検索手段61の検索結果に基づいて前記LNA28の制御信号入力端子286に制御信号を出力してLNA28の作動を制御する。
具体的には、信号増幅制御手段62は、捕捉した衛星信号の信号強度が予め設定された閾値未満の場合、制御信号入力端子286にオン信号を出力し、LNA28を作動状態に制御する。
一方、信号増幅制御手段62は、捕捉した衛星信号の信号強度が予め設定された閾値以上の場合、制御信号入力端子286にオフ信号を出力し、LNA28を停止状態に制御する。
受信モード設定手段63は、受信モードに応じて、受信部30の動作を制御する。
信号デコード手段64は、捕捉したGPS衛星のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングして航法メッセージを復調し、航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する。
航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報は、本発明における位置情報(測位データ)、時刻情報(時刻データ)の一例である。そして、GPS信号処理部60は、取得した時刻データ、測位データを時刻表示装置80の制御部40に出力する。
以上のような本実施形態では、GPSアンテナ27、LNA28および受信部30において受信処理を行う各種構成により本発明の受信手段が構成されている。
また、GPS信号処理部60の衛星信号検索手段61、信号増幅制御手段62、受信モード設定手段63、信号デコード手段64等によって本発明の受信制御手段が構成されている。
なお、本発明の受信制御手段は、GPS信号処理部60で構成されるものに限らず、制御部40で構成されるものでもよい。例えば、制御部40がGPS信号処理部60から信号レベルなどの情報を取得し、LNA28の制御を行ってもよい。すなわち、受信部30を制御して衛星サーチ処理や、信号増幅制御などを行う衛星信号検索手段、信号増幅制御手段、受信モード設定手段、信号デコード手段等は、GPS信号処理部60で構成してもよいし、制御部40で構成してもよく、さらには制御部40およびGPS信号処理部60の両方を用いて構成してもよい。
[時刻表示装置の構成]
時刻表示装置80は、制御部40と、指針12を備えて構成されている。
制御部40は、図7に示すように、記憶部41、発振回路42、駆動回路43を備え、各種制御を行う。
制御部40は、受信部30を制御する。すなわち、制御部40は、ボタン15が押し続けられて強制受信操作が行われた場合や、予め受信時刻が設定されておりその時刻になった場合に、制御信号を受信部30に送り、受信部30の受信動作を制御する。また、制御部40内の駆動回路43を介して指針12の駆動を制御する。
記憶部41には内部時刻情報が記憶されている。内部時刻情報は、GPS付き腕時計3の内部で計時される時刻の情報である。内部時刻情報は、発振回路42によって生成される基準クロック信号によって更新される。従って、受信部30への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針12の運針を継続することができるようになっている。
制御部40は、測時モードに設定されると、受信部30の動作を制御してGPS時刻情報を取得し、そのGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報に1980年1月6日以降挿入されたうるう秒の累積(現在は15秒)を減算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。さらに、記憶部41に時差データが記憶されている場合には、その時差データも加算して現在地の時刻情報に修正して記憶部41に記憶する。
また、制御部40は、測位モードに設定されると、受信部30の動作を制御してGPS時刻情報と測位データを取得し、そのGPS時刻情報とうるう秒の累積及び現在地から求められる時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。なお、測位データと時差データとの対応関係を表すデータは、記憶部41に予め記憶されている。
[電源供給装置]
電源供給装置90は、ソーラーセル91および二次電池92を含んで構成されている。
ソーラーセル91の光発電により発生した電流は、二次電池92に供給され、二次電池92が充電される。
二次電池92は、LNA28、受信部30及び時刻表示装置80等に駆動電力を供給する。
[受信処理]
次に、第1実施形態のGPS付き腕時計3における受信処理の手順について図8を参照して説明する。
GPS付き腕時計3の制御部40は、定時の受信時刻になった場合、あるいは、Aボタン15が一定時間押されて手動で受信操作が行われた場合には、制御信号をGPS信号処理部60に出力し、GPS信号処理部60は受信処理を行う。すなわち、制御部40からの制御信号によって受信部30が起動され、受信部30はGPS衛星から送信される衛星信号の受信を開始する(ステップ1、以下ステップを「S」と略す)。
次に、GPS信号処理部60の衛星信号検索手段61は、衛星信号検索工程(衛星サーチ工程)を開始する(S2)。衛星サーチ工程において、受信部30は、捕捉可能なGPS衛星を検索する処理を行う。
具体的には、例えば30個のGPS衛星が存在する場合、まず、衛星信号検索手段61は、衛星番号SVを1から30まで順次変更しながら衛星番号SVのC/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生させる。次に、衛星信号検索手段61は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値を計算する。ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードが同じコードであれば相関値は所定のタイミングでピークを持つが、異なるコードであれば相関値はピークをもたず常にほぼゼロとなる。
衛星信号検索手段61は、ベースバンド信号に含まれるC/Aコードとローカルコードの相関値が最大になるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が所定の閥値以上の場合には衛星番号SVのGPS衛星を捕捉したものと判断する。この際、衛星信号の信号強度(SNR)が所定レベル以上のGPS衛星のみを捕捉対象としている。
そして、衛星信号検索手段61は、捕捉した各GPS衛星の情報(例えば衛星番号)を記憶する。
なお、ローカルコードのコード長は1msであり、ローカルコードの発生タイミングを調整しながら約30個のGPS衛星のサーチ処理を行った場合でも、約2秒ですべてのGPS衛星のサーチを完了することができる。
そして、本実施形態では、衛星サーチ工程S2において、約30個のGPS衛星のサーチ処理を所定回数、例えば3回、繰り返して実行している。
また、衛星サーチ工程S2では、信号増幅制御手段62は、LNA28にローレベル信号を出力し、LNA28を停止状態に維持している。
ところで、図9に示すように、衛星サーチ時には、RF部50を動作させるための電流と、GPS信号処理部60において衛星サーチ処理を行うための電流とを流す必要がある。そして、GPS信号処理部60は、前述したように、衛星サーチ処理時には、ローカルコードの発生や相関値の計算などを行う必要がある。このため、GPS信号処理部60における消費電流値も高くなり、この衛星サーチ時の電流値が腕時計3におけるピーク電流となる。
一例を挙げれば、衛星サーチ時のRF部50の電流値は10mAであり、GPS信号処理部60の電流値は15mAである。なお、制御部40には常に1μA程度の電流が流れるが、RF部50やGPS信号処理部60の電流値に比べて小さいため、図9には表示していない。
ここで、LNA28は停止状態にされているので、衛星サーチ時の消費電流にLNA28の作動電流が上乗せされることはない。従って、二次電池92のサイズ等は、前記衛星サーチ時の消費電流を基準に設定すればよい。例えば、前記例では、10mA+15mA+1μm=約25mAがピーク電流値となるため、その電流値を出力できる二次電池92を用いればよい。
次に、衛星信号検索手段61は、衛星サーチ工程S2で所定数の衛星を捕捉したか否かを判定する(S3)。ここで、前記所定数の衛星とは、受信モード設定手段63によって受信モードが測時モードに設定されている場合には、少なくとも1つの衛星であり、測位モードに設定されている場合には、少なくとも3つの衛星である。
衛星信号検索手段61は、S3で「No」と判定した場合には、衛星サーチ工程S2を継続する。
一方、S3で「YES」と判定された場合、信号増幅制御手段62は、閾値と比較する衛星信号の信号強度を設定する処理を行う(S4)。
すなわち、信号増幅制御手段62は、図10に示すように、受信モードが測時モードであるのかを判定する(S41)。
S41で「Yes」と判定された場合、複数の衛星信号が捕捉されているかを判断する(S42)。そして、1つの衛星信号しか捕捉されていない場合(S42:No)は、その捕捉した衛星の信号強度を、閾値と比較する信号強度に設定する(S43)。
一方、複数の衛星信号を捕捉している場合(S42:Yes)は、それらの衛星信号の中でも最も大きな信号強度を、閾値と比較する信号強度に設定する(S44)。
また、S41で「No」と判定された場合、つまり測位モードに設定されている場合は、3個以上の衛星信号が捕捉されているため、それらの中で最も小さな信号強度を、閾値と比較する信号強度に設定する(S45)。
以上により、閾値と比較する信号強度が設定されたら、信号増幅制御手段62はS4の処理を終了する。
次に、信号増幅制御手段62は、S4で設定した信号強度(SNR)が、受信モードに応じて設定された閾値以上であるか否かを判定する(S5)。
この際、前記信号強度の閾値は、各受信モードで共通のものとしてもよいし、異なるものとしてもよい。異なるものとする場合には、測位モード時に用いられる測位モード用閾値は、測時モード時に用いられる測時モード用閾値よりも大きな値に設定することが好ましい。すなわち、前述したように、測位モード時のほうが、より多くのデータを受信する必要があり、そのために正確にデコードするためには信号強度も高いほうが好ましいためである。
信号増幅制御手段62は、受信信号の強度が閾値未満の場合(S5:No)のみ、LNA28を作動する(S6)。従って、信号増幅制御手段62は、S4で設定した信号強度が閾値以上であれば、LNA28を作動せず、停止状態のままに維持する。
次に、GPS信号処理部60の信号デコード手段64は、受信した衛星信号のデコード処理を行う(S7)。
このデコード処理時は、図9に示すように、GPS信号処理部60の消費電流値は衛星サーチ時に比べて大幅に低下する。このため、デコード処理中の電流値は、LNA28の作動による電流値が加算されても、衛星サーチ時のピーク電流よりも小さくなる。
一例を挙げれば、衛星信号デコード時のRF部50の電流値は10mAであり、GPS信号処理部60の電流値は5mAであり、LNA28の電流値は2mAである。従って、衛星サーチ時の電流値が約25mAであるのに対し、衛星信号デコード時の電流値は約17mAに低減される。
なお、図9の衛星信号の衛星サーチ時の電流値は、8チャンネルすべてで衛星サーチ処理を行っている場合の値であり、衛星信号デコード時の電流値は衛星サーチ処理を終了し、デコード処理のみを行っている場合の値である。
サーチ処理を終了する動作としては、8チャンネルすべて衛星信号を捕捉して、すべてのチャンネルがデコードに移行する場合と、所定数のチャンネル数の衛星信号を捕捉した場合に他のチャンネルのサーチ処理を停止する場合とがある。
一方で、GPS信号処理部60の相関器の方式によるが、例えば、1〜3つの衛星信号を捕捉して衛星信号デコード処理を行っている間に、他のチャンネルでは衛星サーチ処理を継続することもできる。この場合でも、1つのチャンネルで衛星を捕捉してデコード処理に移行した場合に低下する電流値に比べて、LNA28を作動させた際に増加する電流値が小さいため、衛星サーチ処理とデコード処理とが同時に行われている際に、LNA28を作動させても、その電流値は、8チャンネルすべてで衛星サーチ処理を行っている場合のピーク電流値よりも小さくなる。
信号デコード手段64は、予め設定された時間内(タイムアウト時間内)に所定のデータを取得できたか否かを判断する(S8)。
ここで、データ取得時間を判断する設定時間(タイムアウト時間)は、受信モードに応じて設定される。すなわち、測時モードに比べて測位モードのほうが、信号の受信処理やデコード処理に時間が掛かるため、設定時間も長く設定すればよい。
例えば、タイムアウト時間は、受信を開始してから受信終了までの時間として設定され、測時モードのタイムアウト時間は例えば20〜60秒の範囲で設定され、測位モードのタイムアウト時間は例えば60〜180秒の範囲で設定される。
GPS信号処理部60は、S8で「Yes」と判定された場合は、受信処理を終了する(S9)。
そして、GPS信号処理部60は、測時モードの場合は、受信した時刻データを制御部40に出力し、測位モードの場合は、受信した時刻データおよび測位データを制御部40に出力する。
制御部40は、測時モードの場合は、前記時刻データに基づいて内部時刻を修正し、指針12の指示時刻も修正する。なお、制御部40は、GPS信号で取得できる時刻データ(GPS時刻情報)を、予め取得していた現在地の時差データで修正して、現在地の時刻情報を取得する。そして、制御部40は、この現在地の時刻情報で、計時している内部時刻情報を修正し、この修正した内部時刻情報に基づいて指針12の駆動回路43を制御し、時刻表示を修正する(S10)。
一方、制御部40は、測位モードの場合は、予め記憶されている位置データと時差データとの対応表から時差データを取得する。そして、制御部40は、GPS信号で取得できる時刻データ(GPS時刻情報)を、取得していた前記時差データで修正し、現在地の時刻情報を取得する。そして、制御部40は、この現在地の時刻情報で、計時している内部時刻情報を修正し、この修正した内部時刻情報に基づいて指針12の駆動回路43を制御し、時刻表示を修正する(S10)。
以上により、制御部40およびGPS信号処理部60は、受信処理を終了する。
また、GPS信号処理部60は、S8で「No」と判定された場合は、時刻修正を行うことなく、受信処理を終了する(S11)。
ここで、本実施形態において、デコード時にLNA28をオンした場合の受信時間の変化に関して、図11、12のグラフを参照して説明する。
測時モードでの受信時間と信号強度との関係を実験したところ、図11に示す関係となった。すなわち、信号強度が弱くなると、測時モードでの受信時間が長くなる。特に、信号強度が−134dBm以上の場合は、受信時間はほぼ一定になるが、−134dBm未満になると信号レベルが低下するに従って受信時間が大幅に増加する。例えば、信号強度が−134dBmの場合、受信時間は平均で約15秒であるが、−136dBmと信号強度が低下すると、受信時間は平均で約30秒となる。
そこで、本実施形態では、測時モード用閾値として−134dBmを設定し、S5で信号強度が閾値未満の場合にLNA28をオンさせるように制御した。
ここで、LNA28をオンさせた際に、信号を+2dBm増幅するように設定されている場合、例えば、−136dBmの受信信号は−134dBmとなり、受信時間も約30秒から約15秒に短縮できる。
同様に、測位モードでの受信時間と信号強度との関係は、図12に示す通りであり、測時モードの場合と同じ傾向であった。
そこで、本実施形態では、測位モード用閾値としても−134dBmを設定し、S5で信号強度が閾値未満の場合にLNA28をオンさせるように制御した。
ここで、LNA28をオンさせた際に、信号を+2dBm増幅するように設定されている場合、例えば、−136dBmの受信信号は−134dBmとなり、受信時間も約65秒から約35秒に短縮できる。
そして、本実施形態では、GPS受信機のピーク電流も低減できて消費電力を低下でき、受信時間も短縮できて効率の良い受信が可能となる。このため、限られた電力(電池容量)を有効に使うことができ、電池寿命を延ばすことや、電池を小型化することができる。従って、GPS受信機が組み込まれるGPS付き腕時計3も小型化できる。
さらに、信号増幅制御手段62は、複数の衛星が捕捉された場合に、閾値比較信号設定工程S4において、測時モードであれば最大の信号強度を選択し、測位モードであれば最小の信号強度を選択して、閾値と比較している。このため、LNA28の制御を、受信モードおよび信号強度に応じて適切に制御できる。
また、本実施形態のLNA28は、オペアンプ283以外に、各スイッチ284,285や、スルー出力端子d等を設けることで、電源オフ時にはオペアンプ283をスルーして出力できる。そして、これらの切替制御は、制御信号入力端子286に制御信号を入力するだけで、各スイッチ284,285が連動して作動するため、簡単に制御することができる。
[第1実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、衛星信号検索手段61による衛星サーチ処理の結果、信号強度が閾値未満であればLNA28をオン(作動)させている。このため、信号強度が弱い場合でも、その受信信号を増幅することができる。そして、受信信号を増幅できるため、受信時間も短縮することができ、消費電流値も低減できる。
例えば、デコード処理時に、LNA28をオフ状態にし、デコード時間が61秒であった場合に流れる電流値は、15mA(RF部50=10mA、GPS信号処理部60=5mA)×61秒=915mAである。
一方、LNA28をオン状態にし、デコード時間が31秒であった場合の電流値は、17mA(RF部50=10mA、GPS信号処理部60=5mA、LNA28=2mA)×31秒=527mAである。従って、受信信号の信号強度が弱い場合(例えば−134dBm未満の場合)には、LNA28をオンすることで処理時間を大幅に短縮でき、そのため、消費電流値も大幅に低減できる。
また、信号強度が強い場合(例えば、−134dBm以上の場合)には、LNA28をオンして増幅しても処理時間は殆ど変化しない。このため、LNA28をオンした場合のほうが、消費電流値も増えてしまう可能性が高い。
本実施形態では、信号強度が強く、閾値以上であればLNA28をオフ状態に維持しているので、信号強度が強い場合も、デコード処理時にLNA28の作動によって電流値が増加することを防止できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態のGPS付き腕時計3の構成は、前記第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
[第2実施形態の受信モード]
第2実施形態のGPS付き腕時計3は、衛星信号のデコード時にLNA28を作動させる場合、各受信モードにおいて処理に必要なデータが送信されるタイミングに合わせてLNA28をオンする点が前記第1実施形態と相違する。
すなわち、図13に示すように、S1〜S5までの処理は前記第1実施形態と同じである。
そして、S5において、信号強度が閾値未満の場合、前記第1実施形態ではLNA28をオンしてから衛星信号のデコード処理を行っていたが、第2実施形態では、デコード処理を先に開始している(S7)。このデコード処理はデータ取得完了時またはタイムオーバーで受信終了するまで継続される。
そして、信号増幅制御手段62は、この衛星信号のデコード処理の開始後、各受信モードにおいて必要なデータが送信される期間(タイミング)になったか否かを判断し(S21)、信号送信期間の開始タイミングになった場合(S21:Yes)に、LNA28をオンしている(S22)。一方、S21で「No」と判定された場合、信号増幅制御手段62は、LNA28をオンせずに、信号送信期間の開始タイミングの判定を継続する(S21)。
信号送信期間の開始タイミングは、測時モードの場合には時刻情報(Zカウント)の送信開始タイミングであり、測位モードの場合にはサブフレーム1〜3の送信開始タイミングである。
このため、図14に示すように、衛星信号のデコードが開始されても、データの送信期間になるまではLNA28はオフ状態とされ、送信期間になるとオン状態に制御される。
次に、信号増幅制御手段62は、信号送信期間の終了タイミングになったか否かを判断する(S23)。そして、信号増幅制御手段62は、信号送信期間の終了タイミングになった場合(S23:Yes)に、LNA28をオフする(S24)。一方、S23で「No」と判定された場合、信号増幅制御手段62は、LNA28をオン状態に維持したまま、信号送信期間の終了タイミングの判定を継続する(S23)。
信号送信期間の終了タイミングは、測時モードの場合には時刻情報(Zカウント)の送信終了タイミングであり、測位モードの場合にはサブフレーム1〜3の送信終了タイミングである。
なお、通常、信号送信期間が終了し、必要な情報が取得できれば、デコード処理も終了するので、図14に示すように、LNA28がオフされるタイミングでデコード処理も終了し、測位計算などの次の処理が行われる。
一方、S5で信号強度が閾値以上であれば、LNA28はオフ状態に維持され、信号デコード手段64によるデコード処理が行われる(S7)。
そして、信号デコード手段64は、所定のデータ(測時モードでは時刻データ、測位モードでは時刻データおよび測位データ)を取得できたか否かを判断する(S25)。
ここで、所定のデータを取得できた場合、制御部40は、前記第1実施形態と同様に、受信部30による受信を終了し(S9)、時刻修正(測時モードの場合)や、時刻及び時差修正(測位モードの場合)を行う(S10)。
また、信号デコード手段64は、S25で「No」と判定された場合は、タイムオーバー(例えば、測時モード:20秒経過、測位モード:60秒経過)になったか否かを判断する(S26)。ここで、タイムオーバーになっていない場合には、再度、S5の処理から繰り返し実行する。一方、タイムオーバーである場合は、制御部40は受信処理を終了する(S11)。
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて次の効果が得られる。
すなわち、信号強度が閾値未満である場合、測時処理や測位処理に必要な信号が送信されている期間のみLNA28をオンしているので、第1実施形態のように、デコード処理期間の間、LNA28をオンし続ける場合に比べて、消費電流を低減できる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態のGPS付き腕時計3の構成も、前記第1,2実施形態と同一であるため、説明を省略する。
[第3実施形態の受信モード]
第3実施形態のGPS付き腕時計3は、デコード期間中も受信信号強度を検出し続け、その信号強度に応じてLNA28の動作を制御し続ける点が前記第1実施形態と相違する。
すなわち、図15に示すように、S1〜S5までの処理は前記第1実施形態と同じである。
そして、信号増幅制御手段62は、S5において、捕捉した衛星信号の信号強度を閾値と比較し、信号強度が閾値未満の場合はLNA28をオンに制御し(S31)、閾値以上の場合はLNA28をオフに制御する(S32)。
次に、信号デコード手段64は、衛星信号のデコード処理を行う(S33)。このデコード処理はデータ取得完了時またはタイムオーバーで受信終了するまで継続される。
そして、信号デコード手段64は、第2実施形態と同様に、所定のデータ(測時モードでは時刻データ、測位モードでは時刻データおよび測位データ)を取得できたか否かを判断する(S25)。
ここで、所定のデータを取得できた場合、制御部40は、前記第1,2実施形態と同様に、受信部30による受信を終了し(S9)、時刻修正(測時モードの場合)や、時刻及び時差修正(測位モードの場合)を行う(S10)。
また、信号デコード手段64は、S25で「No」と判定された場合は、第2実施形態と同様に、タイムオーバーになったか否かを判断する(S26)。ここで、タイムオーバーになっていない場合には、再度、S4の処理から繰り返し実行する。一方、タイムオーバーになった場合は、制御部40は受信処理を終了する(S11)。
S4からの処理が繰り返されることで、信号増幅制御手段62は、デコード処理中に受信されている信号強度を逐次閾値と比較し(S5)、その比較結果に応じて、LNA28の作動を制御する(S31,S32)。
このような第3実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて次の効果が得られる。
すなわち、デコード期間中も信号強度を閾値と比較しているので、デコード期間中に信号強度が変化した場合も、その変化後の信号強度に応じてLNA28を適切に制御することができる。このため、例えば、GPS付き腕時計3を装着している利用者が、衛星信号の捕捉後に移動して捕捉していた信号の強度が閾値以上から閾値未満に低下した場合も、その信号強度の低下に伴ってLNA28をオンすることができる。従って、デコード開始後に信号強度が変化した場合も、LNA28による信号増幅が必要な場合には確実にLNA28を作動できる。このため、受信信号の信号強度が変化しても、必要な場合のみLNA28を作動できて消費電力を低減でき、かつ、情報を取得するまでの時間も短縮できる。
さらに、デコード期間中に、S5で閾値を比較する前に、S4で閾値比較信号設定工程を行っているので、例えば、測時モードにおいて、デコード期間中に最小の信号強度の衛星が変化した場合でも、新たに信号強度が最小となった衛星の信号強度を閾値と比較できるので、LNA28を常に適切に制御できる。
なお、本発明は前記各実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、前記各実施形態において、LNA28は、GPSアンテナ27とRF部50との間に配置されていたが、図16に示すように、RF部50の内部に配置してもよい。
すなわち、LNA28は、GPSアンテナ27の直近に配置することが信号増幅の特性上有利であるが、基板面積を小さくする場合や、コストを低減するためにLNA28をRF部50の内部に配置してもよい。
前記各実施形態では、S4において、図10に示すように、測時モード時は捕捉した信号の中で最大の信号強度を閾値と比較し、測位モード時は最小の信号強度を閾値と比較するように設定していたが、例えば、複数の信号強度の平均値を閾値と比較するようにしてもよい。この場合、各信号強度の偏差が所定範囲内の場合に限るなどの条件を付加してもよい。
また、前記各実施形態では、データ取得できない場合はタイムオーバーになった時点で受信を終了していたが、LNA28をオンして信号を増幅しても、所定の閾値未満の場合は、その時点で受信動作を終了してもよい。
例えば、ビル内や地下街など、元々GPS衛星信号を受信できない環境にある場合、信号増幅手段で増幅してもデータを取得することはできない。そして、増幅後の衛星信号の信号強度が閾値未満の場合には、捕捉している信号の受信環境が良くないと判断できる。従って、このような場合に受信動作を終了すれば、無駄な受信処理やデコード処理を継続する必要が無くなり、消費電流を抑えることができる。
前記各実施形態では、信号強度を閾値と比較してLNA28のオン、オフを制御していたが、衛星信号の衛星信号の検索開始から前記衛星信号検索手段によって前記受信モードに応じて予め設定された個数の衛星信号を捕捉するまでの経過時間(衛星捕捉時間)を、予め設定された設定時間と比較してLNA28を制御してもよい。
衛星捕捉時間は、一般に、衛星信号の信号強度に比例して変化するため、衛星信号の強度を直接確認しなくても、捕捉時間によって間接的に信号強度を把握することができるため、この捕捉時間でLNA28を制御することができる。
また、上述の実施形態は、位置情報衛星の例としてGPS衛星について説明したが、本発明の位置情報衛星としては、GPS衛星だけではなく、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他の全地球的航法衛星システム(GNSS)や、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星でも良い。
本発明の衛星信号受信装置は、指針を有するアナログ時計に限らず、指針およびディスプレイを有するコンビネーション時計や、ディスプレイのみを有するデジタル時計に適用してもよい。さらに、本発明は、腕時計に限らず、懐中時計などの各種時計や、携帯電話機、デジタルカメラや各種携帯情報端末等に適用してもよい。
3…GPS付き腕時計、12…指針、13…ムーブメント、27…GPSアンテナ、28…LNA、30…受信部、40…制御部、50…RF部、60…GPS信号処理部、61…衛星信号検索手段、62…信号増幅制御手段、63…受信モード設定手段、64…信号デコード手段、80…時刻表示装置、90…電源供給装置、281…入力端子、282…出力端子、283…オペアンプ、284…電源スイッチ、285…出力切替スイッチ、286…制御信号入力端子。

Claims (11)

  1. 位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段を制御して受信処理を行う受信制御手段と、を備え、
    前記受信手段は、電源が供給された作動状態では入力された受信信号を増幅して出力し、かつ、電源が供給されていない停止状態では入力された受信信号をそのまま出力する信号増幅手段を備え、
    前記受信制御手段は、
    前記受信手段で前記衛星信号を検索する衛星信号検索手段と、
    前記衛星信号検索手段で衛星信号の検索を開始した時は、前記信号増幅手段を停止状態に制御し、その後、衛星信号の検索結果に基づいて前記信号増幅手段を作動状態または停止状態に制御する信号増幅制御手段と、
    を備えることを特徴とする衛星信号受信装置。
  2. 請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
    前記受信手段は、複数の衛星信号を同時に受信可能なマルチチャンネルの受信回路を備え、
    前記受信制御手段は、受信モードを測位モードに設定可能とされ、
    前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測位モードに設定されている場合、前記衛星信号検索手段によって少なくとも3個の衛星信号を捕捉した時点で、最も信号強度の小さな衛星信号の信号強度を、予め設定された測位モード用閾値と比較し、前記信号強度が前記測位モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の衛星信号受信装置において、
    前記受信制御手段は、受信モードを測時モードに設定可能とされ、
    前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測時モードに設定されている場合、前記衛星信号検索手段によって1個の衛星信号を捕捉した時点で、その捕捉した衛星信号の信号強度を、予め設定された測時モード用閾値と比較し、前記信号強度が前記測時モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の衛星信号受信装置において、
    前記受信制御手段は、受信モードを測時モードに設定可能とされ、
    前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測時モードに設定されている場合、前記衛星信号検索手段によって複数個の衛星信号を捕捉した時点で、最も信号強度の大きな衛星信号の信号強度を、予め設定された測時モード用閾値と比較し、前記信号強度が前記測時モード用閾値よりも小さい場合に前記信号増幅手段を作動する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
    前記信号増幅制御手段は、
    前記信号増幅手段を作動していない状態で、かつ、受信した衛星信号をデコードしている状態の時に、その衛星信号の信号強度が前記閾値未満になった場合には、前記信号増幅手段を作動し、
    前記信号増幅手段を作動している状態で、かつ、受信した衛星信号をデコードしている状態の時に、その衛星信号の信号強度が予め設定された閾値以上になった場合には、前記信号増幅手段の作動を停止する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
    前記受信制御手段は、
    前記信号増幅制御手段によって前記信号増幅手段を作動している状態で、かつ、受信した衛星信号をデコードしている状態の時に、前記信号増幅手段で増幅した衛星信号の信号強度が予め設定された閾値未満になった場合には、受信動作を終了する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  7. 請求項1に記載の衛星信号受信装置において、
    前記受信制御手段は、受信モードを測時モードまたは測位モードに設定可能とされ、
    前記信号増幅制御手段は、衛星信号の検索開始から前記衛星信号検索手段によって前記受信モードに応じて予め設定された個数の衛星信号を捕捉するまでの経過時間を、前記受信モードに応じて予め設定された設定時間と比較し、前記経過時間が前記設定時間よりも長い場合に前記信号増幅手段を作動する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
    前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測時モードに設定されている場合で、かつ、衛星信号の検索結果が前記信号増幅手段を作動する結果である場合は、衛星信号において時刻情報が送信されるタイミングのみ前記信号増幅手段を作動する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  9. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
    前記信号増幅制御手段は、前記受信モードが測位モードに設定されている場合で、かつ、衛星信号の検索結果が前記信号増幅手段を作動する結果である場合は、衛星信号において測位計算に必要な情報が送信されるタイミングのみ前記信号増幅手段を作動する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の衛星信号受信装置において、
    前記信号増幅手段は、
    信号入力側に接続される入力端子と、
    信号出力側に接続される出力端子と、
    前記入力端子に接続されたオペアンプと、
    前記オペアンプへの電源供給を切り替える電源スイッチと、
    前記オペアンプの出力である増幅出力端子および前記入力端子にオペアンプを経由せずに接続されたスルー出力端子を切り替えて前記出力端子に接続する出力切替スイッチと、
    外部からの制御信号が入力される制御信号入力端子と、を備え、
    前記制御信号入力端子に信号増幅手段を作動させる制御信号が入力された場合は、
    前記電源スイッチは前記オペアンプと電源とを接続する状態とされ、かつ、前記出力切替スイッチは前記増幅出力端子と出力端子とを接続する状態とされ、
    前記制御信号入力端子に信号増幅手段を停止させる制御信号が入力された場合は、
    前記電源スイッチは前記オペアンプと電源とを切断する状態とされ、かつ、前記出力切替スイッチは前記スルー出力端子と出力端子とを接続する状態とされる
    ことを特徴とする衛星信号受信装置。
  11. 位置情報衛星から送信される衛星信号を受信するとともに、受信信号を増幅する信号増幅手段を備えた受信手段と、
    前記受信手段により前記衛星信号を検索する衛星信号検索手段を備えて受信処理を行う受信制御手段と、を具備した衛星信号受信装置の制御方法であって、
    前記衛星信号検索手段で衛星信号の検索を開始した時は、前記信号増幅手段を停止しておき、その後は、衛星信号の検索結果に基づいて前記信号増幅手段の作動を制御する
    ことを特徴とする衛星信号受信装置の制御方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013050343A (ja) * 2011-08-30 2013-03-14 Seiko Epson Corp 衛星信号受信装置、衛星信号受信方法、および、電子機器
JP2016050788A (ja) * 2014-08-29 2016-04-11 カシオ計算機株式会社 電波受信装置及び電子時計

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