以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.GPSシステム
1−1.概要
図1は、GPSシステムの概要について説明するための図である。
GPS衛星10は、地球の上空の所定の軌道上を周回しており、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。以下では、航法メッセージが重畳された1.57542GHzの電波を「GPS信号」という。
現在、約30個のGPS衛星10が存在しており、GPS信号がどのGPS衛星10から送信されたかを識別するために、各GPS衛星10はC/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンをGPS信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。従って、GPS信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、GPS信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星10は原子時計を搭載しており、GPS信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報(以下、「GPS時刻情報」という)が含まれている。また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星10に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、GPS信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメータも含まれている。そのため、GPS受信機9は、1つのGPS衛星10から送信されたGPS信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメータを使用して内部時刻を正確な時刻に修正することができる。
GPS信号にはGPS衛星10の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。GPS受信機9は、GPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、GPS受信機9の内部時刻にある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、GPS受信機9の3次元の位置を特定するためのx,y,zパラメータに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、GPS受信機9は、一般的には4つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信されたGPS信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行う。
1−2.航法メッセージ
図2(A)〜図2(C)は、航法メッセージの構成について説明するための図である。
図2(A)に示すように、航法メッセージは、全ビット数1500ビットのメインフレームを1単位とするデータとして構成される。メインフレームは、それぞれ300ビットの5つのサブフレーム1〜5に分割されている。1つのサブフレームのデータは、各GPS衛星10から6秒で送信される。従って、1つのメインフレームのデータは、各GPS衛星10から30秒で送信される。
サブフレーム1には、週番号データ(WN)等の衛星補正データが含まれている。週番号データは、現在のGPS時刻情報が含まれる週を表す情報である。GPS時刻情報の起点は、UTC(協定世界時)における1980年1月6日00:00:00であり、この日に始まる週は週番号0となっている。週番号データは、1週間単位で更新される。
サブフレーム2、3には、エフェメリスパラメータ(各GPS衛星10の詳細な軌道情報)が含まれる。また、サブフレーム4、5には、アルマナックパラメータ(全GPS衛星10の概略軌道情報)が含まれている。
さらに、サブフレーム1〜5には、先頭から、30ビットのTLM(T elemetry word)データが格納されたTLM(Telemetry)ワードと30ビットのHOW(hand over word)データが格納されたHOWワードが含まれている。
従って、TLMワードやHOWワードは、GPS装置衛星10から6秒間隔で送信されるのに対し、週番号データ等の衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータは30秒間隔で送信される。
図2(B)に示すように、TLMワードには、プリアンブルデータ、TLMメッセージ、Reservedビット、パリティデータが含まれている。
図2(C)に示すように、HOWワードには、TOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)という時刻情報が含まれている。Zカウントデータは毎週日曜日の0時からの経過時間が秒で表示され、翌週の日曜日の0時に0に戻るようになっている。つまり、Zカウントデータは、週の初めから一週間毎に示される秒単位の情報であって、経過時間が1.5秒単位で表した数となっている。ここで、Zカウントデータは、次のサブフレームデータの先頭ビットが送信される時刻情報を示す。例えば、サブフレーム1のZカウントデータは、サブフレーム2の先頭ビットが送信される時刻情報を示す。また、HOWワードには、サブフレームのIDを示す3ビットのデータ(IDコード)も含まれている。すなわち、図2(A)に示すサブフレーム1〜5のHOWワードには、それぞれ「001」、「010」、「011」、「100」、「101」のIDコードが含まれている。
GPS受信機9は、サブフレーム1に含まれる週番号データとサブフレーム1〜5に含まれるHOWワード(Zカウントデータ)を取得することで、GPS時刻情報を取得することができる。ただし、GPS受信機9は、以前に週番号データを取得し、週番号データを取得した時期からの経過時間を内部でカウントしている場合は、週番号データを取得しなくてもGPS衛星の現在の週番号データを得ることができる。従って、GPS受信機9は、Zカウントデータを取得すれば、現在のGPS時刻情報が概算で分かるようになっている。このため、GPS受信機9は、通常、時刻情報としてZカウントデータのみを取得する。
なお、TLMワード、HOWワード(Zカウントデータ)、衛星補正データ、エフェメリスパラメータ、アルマナックパラメータ等は、本発明における衛星情報の一例である。
GPS受信機9として、例えば、GPS装置付き腕時計(以下、「GPS付き腕時計」という)を考えることができる。
なお、GPS衛星10は本発明における位置情報衛星の一例である。また、GPS信号は、本発明における極超短波帯の周波数以上の無線信号の一例であるとともに、本発明における衛星信号の一例である。そして、GPS付き腕時計は本発明に係る指針表示装置の一例であり、本実施形態のGPS付き腕時計について以下に説明する。
2.GPS付き腕時計
2−1.第1実施形態
[GPS付き腕時計の構造]
図3(A)及び図3(B)は、第1実施形態のGPS付き腕時計の構造について説明するための図である。図3(A)はGPS付き腕時計の概略平面図であり、図3(B)はGPS付き腕時計の概略断面図である。
図3(A)に示すように、第1実施形態のGPS付き腕時計1は、文字板11及び金属製の指針12を備えている。指針12は、時針121、分針122、秒針123等により構成されており、歯車を介してステップモータで駆動される。
GPS付き腕時計1は、リューズ14やボタン15(Aボタン)、ボタン16(Bボタン)を手動操作することにより、少なくとも1つのGPS衛星10からのGPS信号を受信して内部時刻情報の修正を行うモード(測時モード)と複数のGPS衛星10からのGPS信号を受信して測位計算を行い内部時刻情報の時差まで修正するモード(測位モード)に設定できるように構成されている。また、GPS付き腕時計1は、測時モードや測位モードを定期的に(自動的に)実行することもできる。
例えば、ボタン15(Aボタン)が数秒(例えば3秒)以上押されると、GPS付き腕時計1は測時モードによる時刻修正処理を行う。また、例えば、ボタン16(Bボタン)が数秒(例えば3秒)以上押されると、GPS付き腕時計1は測位モードによる時刻修正処理(時差修正処理)を行う。
また、GPS付き腕時計1は、例えば、測時モード又は測位モードの実行中にボタン15(Aボタン)又はボタン16(Bボタン)が押されると指針12により現在の受信状況を表示する。例えば、ボタン15(Aボタン)が押された場合は、秒針123が文字板11の「High」又は「Low」の位置に移動し、それぞれGPS信号の受信レベルが高いか低いかを表示する。また、例えば、ボタン16(Bボタン)が押された場合は、秒針123が文字板11の「≦10」、「≦30」、「≦60」のいずれかの位置に移動し、GPS信号の受信終了までの概略時間(それぞれ、10秒以下、30秒以下、60秒以下)を表示する。
さらに、GPS付き腕時計1は、例えば、ボタン15(Aボタン)が短い時間押されると指針12により直前の測時モードにおける受信結果を表示し、ボタン16(Bボタン)が短い時間押されると指針12により直前の測位モードにおける受信結果を表示する。例えば、受信成功の場合には、秒針123が文字板11の「Y」の位置に移動し、受信失敗の場合には秒針123が文字板11の「N」の位置に移動する。また、GPS付き腕時計1は、測時モードや測位モードの終了時に、秒針123を文字板11の「Y」又は「N」の位置に移動させることにより、受信成功又は受信失敗を自動的に表示することもできる。
なお、以下では、秒針123のように、GPS信号の受信レベルや受信終了までの概略時間等の受信状況を表示する機能を有する指針を「受信状況表示針」ということにする。
図3(B)に示すように、GPS付き腕時計1は、ステンレス鋼(SUS)、チタン等の金属で構成された外装ケース17を備えている。
外装ケース17は、略円筒状に形成され、表面側の開口にはベゼル18を介して表面ガラス19が取り付けられている。また、外装ケース17の裏面側の開口には、リング状に金属で形成された裏蓋26が取り付けられている。
外装ケース17の内部には、ムーブメント13、ソーラーセル22、GPSアンテナ27、電池24等が配置されている。
ムーブメント13は、ステップモータや輪列21を含んで構成されている。ステップモータは、モータコイル20、ステータ、ロータ等で構成されており、輪列21を介して指針12を駆動する。
ムーブメント13の裏蓋側には回路基板25が配置され、回路基板25は、コネクタ32を介してアンテナ基板23及び電池24と接続されている。
回路基板25には、GPSアンテナ27で受信したGPS信号を処理する受信回路を含む受信用IC30、ステップモータの駆動制御等を行う制御用IC40等が取り付けられている。受信用IC30や制御用IC40は、シールド板33に覆われており、電池24から供給される電力で駆動される。
電池24はリチウムイオン電池等の充電可能な二次電池であり、ソーラーセル22が発電した電力を蓄えられるようになっている。すなわち、ソーラーセル22の電極と電池24の電極の間を電気的に接続することにより、ソーラーセルが光発電を行い、電池24が充電される。なお、本実施形態では、電池24として、リチウムイオン電池等の二次電池を用いているが、コンデンサ等の蓄電体やリチウム電池などの一次電池を用いてもよい。また、二次電池を設けた場合の充電方法は、本実施形態のような、光発電方式で充電するものに限らす、充電用コイルを設けて外部の充電器から電磁誘導方式で充電するようにしてもよい。
ソーラーセル22は、受光面(図3(B)では上面)が文字板11の時刻表示面(表面)の反対側の面(裏面)の一部と対向するように配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過した光を受光して光発電を行う。
文字板11は、外部から視認できるため、透過率の低い材料を用いて出来るだけ光を透過させつつ見栄えをよくすることが望ましい。そのため、文字板11は、光を透過させるプラスチックやガラス等の非金属の材料で構成されている。
アンテナ基板23に実装されたGPSアンテナ27は、複数のGPS衛星10からのGPS信号を受信するアンテナであり、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、チップアンテナ、逆Fアンテナ等により実現される。なお、GPS衛星10から送信される1.5GHz帯のマイクロ波は円偏波であるので、GPSアンテナ27は円偏波を受信可能なパッチアンテナにより実現することが望ましい。
GPSアンテナ27は、文字板11の時刻表示面の反対側の面(裏面側)に配置され、表面ガラス19及び文字板11を通過したGPS信号を受信する。例えば、図3(A)に示すように、GPSアンテナ27は、その受信面(図3(B)では上面)が文字板11の時刻表示面の6時と9時の間の位置の裏面と対向するように配置されている。そのため、文字板11及び表面ガラス19は、1.5GHz帯の電波を通す材料、例えばプラスチックで構成されている。また、ベゼル18は、金属部材よりも受信性能の劣化が少ないセラミック等で構成される。
後述するように、GPSアンテナ27の近傍にある金属部材は、GPSアンテナ27の受信感度を劣化させる要因となる。そのため、GPSアンテナ27は、金属製の電極(図示しない)が形成されたソーラーセル22との距離L1が所定値以上になるように配置される。また、外装ケース17やムーブメント13が金属部材で構成されている場合、GPSアンテナ27は、外装ケース17との距離L2及びムーブメント13との距離L3がともに所定値以上になるように配置される。
一方、時針121、分針122、秒針123等の指針12が金属部材で構成されている場合、指針12は内部時刻に応じて文字板11の中心を軸として回転移動するため、GPSアンテナ27を文字板11の裏面と対向するように配置するとGPSアンテナと指針12との距離を常に所定値以上にすることは極めて困難である。そこで、後述するように、本実施形態では、GPS信号の受信中、文字板11のGPSアンテナ27と対向する裏面上の領域の反対側の位置にある表面上の領域(GPSアンテナ27の受信面(図3(B)では上面)と重なる領域)を含む所定領域に少なくとも1つの指針12が配置されている場合には、GPS信号の受信レベルが所定値より低ければ所定領域の外側に指針12を移動させるように制御する。
[GPS付き腕時計の回路構成]
図4は、第1実施形態のGPS付き腕時計の回路構成について説明するための図である。
GPS付き腕時計1は、GPS装置70、時刻表示装置80及び電源供給装置90を含んで構成されている。
[GPS装置の構成]
GPS装置70は、GPSアンテナ27及びSAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ31を含む。GPSアンテナ27は、図3(B)で説明したように、複数のGPS衛星10からのGPS信号を受信するアンテナである。ただし、GPSアンテナ27が受信する信号にはGPS信号以外の不要な信号も含まれるため、SAWフィルタ31は、GPSアンテナ27が受信した信号からGPS信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルタ31は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルタとして構成される。
また、GPS装置70は、受信用IC(受信回路)30を含む。受信回路30は、RF(Radio Frequency:無線周波数)部50とベースバンド部60を含んで構成されている。以下に説明するように、GPS装置70が起動されると、受信回路30は、SAWフィルタ31が抽出した1.5GHz帯のGPS信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。すなわち、受信回路30は、本発明における情報取得部又は時刻情報取得部として機能する。
RF部50は、LNA(Low Noise Amplifier)51、ミキサ52、VCO(Voltage Controlled Oscillator)53、PLL(Phase Locked Loop)回路54、IFアンプ55、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ56、ADC(A/D変換器)57等を含んで構成されている。
SAWフィルタ31が抽出したGPS信号は、LNA51で増幅される。LNA51で増幅されたGPS信号は、ミキサ52でVCO53が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯の信号にダウンコンバートされる。PLL回路54は、VCO53の出力クロック信号を分周したクロック信号と基準クロック信号を位相比較してVCO53の出力クロック信号を基準クロック信号に同期させる。その結果、VCO53は基準クロック信号の周波数精度の安定したクロック信号を出力することができる。なお、中間周波数として、例えば、数MHzを選択することができる。
ミキサ52でミキシングされた信号は、IFアンプ55で増幅される。ここで、ミキサ52でのミキシングにより、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も生成される。そのため、IFアンプ55は、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も増幅する。IFフィルタ56は、中間周波数帯の信号を通過させるとともに、この数GHzの高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルタ56を通過した中間周波数帯の信号はADC(A/D変換器)57でデジタル信号に変換される。
ベースバンド部60は、DSP(Digital Signal Processor)61、CPU(Central Processing Unit)62、SRAM(Static Random Access Memory)63、RTC(リアルタイムクロック)64を含んで構成されている。また、ベースバンド部60には、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)65やフラッシュメモリ66等が接続されている。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。
フラッシュメモリ66には時差情報が記憶されている。時差情報は、時差データ(座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられたUTCに対する補正量等)が定義された情報である。
ベースバンド部60は、測時モード又は測位モードによりGPS装置70が起動されると、RF部50のADC57が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
具体的には、測時モード又は測位モードによりGPS装置70が起動されると、ベースバンド部60は、まず衛星検索工程を開始する。
ベースバンド部60は、衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、発生したローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。
ベースバンド部60は、各ローカルコードとベースバンド信号のミキシング処理により得られる信号の信号レベルがピークになるように各ローカルコードの発生タイミングを調整する。そして、ベースバンド部60は、当該信号レベルが閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星10に同期(すなわち、GPS衛星10を捕捉)したものと判断し、捕捉したGPS衛星10の情報(例えば、捕捉した各GPS衛星10の衛星番号や捕捉したGPS衛星10の数)をSRAM63に記憶する。すなわち、ベースバンド部60は、本発明における衛星捕捉部として機能する。
GPSでは、すべてのGPS衛星10が異なるC/Aコードを用いて同一周波数のGPS信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。従って、受信したGPS信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星10を検索することができる。
そして、ベースバンド部60は、捕捉したGPS衛星10毎に、ベースバンド信号とローカルコードをミキシングした信号のパワー(受信レベル)を計算し、SRAM63に記憶する。
捕捉したGPS衛星10のベースバンド信号とローカルコードをミキシングした信号には航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド部60は、航法メッセージの各サブフレームのTLMワードに含まれるプリアンブルデータを検出し、各サブフレームに含まれる軌道情報(エフェメリスパラメータ等)やGPS時刻情報等の衛星情報を取得し、SRAM63に記憶する。ここで、GPS時刻情報は、週番号データ(WN)及びZカウントデータであるが、以前に週番号データが取得されている場合にはZカウントデータのみであってもよい。
測時モードでは、ベースバンド部60は、少なくとも1つのGPS衛星10のGPS時刻情報を取得すればよい。
一方、測位モードでは、ベースバンド部60は、N個(例えば4個)のGPS衛星10のGPS時刻情報と軌道情報を取得する。そして、ベースバンド部60は、取得したGPS時刻情報と軌道情報に基づいて測位計算を行い、位置情報(より具体的には、受信時にGPS付き腕時計1が位置する場所の緯度および経度)を取得する。具体的には、取得した軌道情報から各GPS衛星10の位置を計算し、さらに、取得したGPS時刻情報と内部情報の時間差から各GPS衛星10との距離を計算する。そして、位置情報を未知数とする各GPS衛星10とGPS付き腕時計1の距離についての連立方程式解くことにより位置情報を取得することができる。そして、ベースバンド部60は、フラッシュメモリ66に記憶されている時差情報を参照し、位置情報により特定されるGPS付き腕時計1の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得する。
なお、ベースバンド部60の動作は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65が出力する基準クロック信号に同期する。RTC64は、GPS信号を処理するためのタイミングを生成するものである。このRTC64は、TCXO65から出力される基準クロック信号でカウントアップされる。
[時刻表示装置の構成]
時刻表示装置80は、制御用IC(制御部)40、駆動回路44、LCD駆動回路45及び水晶振動子43を含んで構成されている。
制御部40は、記憶部41、発振回路42を備え、各種制御を行う。
記憶部41には内部時刻情報が記憶されている。内部時刻情報は、GPS付き腕時計1の内部で計時される時刻の情報である。内部時刻情報は、水晶振動子43および発振回路42によって生成される基準クロック信号によって更新される。従って、受信回路30への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針12の運針を継続することができるようになっている。
制御部40は、手動操作により、又は所定のタイミングで自動的に、測時モード又は測位モードでGPS装置70を起動する。制御部40は、測時モードでGPS装置70を起動した場合、GPS装置70が取得したGPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報にUTCオフセット(現在は+14秒)を加算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。一方、制御部40は、測位モードでGPS装置70を起動した場合、GPS装置70が取得したGPS時刻情報及び時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部41に記憶する。すなわち、測時モードでは内部時刻情報の時差は修正されないが、測位モードでは内部時刻情報の時差まで修正される。
また、制御部40は、駆動回路44を介して指針12の駆動を制御する。制御部40は、GPS装置70の起動中、文字板11のGPSアンテナ27と対向する裏面上の領域の反対側の位置にある表面上の領域を含む所定領域に少なくとも1つの指針12が配置されている場合には、GPS信号の受信レベルが所定値より低ければ所定領域の外側に指針12を移動させるように制御する。すなわち、制御部40は、本発明における指針制御部として機能する。
さらに、制御部40は、LCD駆動回路45を介してディスプレイ(図示しない)等の駆動を制御する。例えば、制御部40は、測位モードにおいてディスプレイに現在位置の表示が行われるように制御してもよい。
[電源供給装置の構成]
電源供給装置90は、ソーラーセル22、充電制御回路28、電池24、レギュレータ29を含んで構成されている。
電池24は、レギュレータ29を介して、GPS装置70及び時刻表示装置80等に駆動電力を供給する。
充電制御回路28は、ソーラーセル22と電池24の間に接続され、制御部40からの制御信号に従ってソーラーセル22と電池24を電気的に接続又は切断する。ソーラーセル22と電池24が電気的に接続されると、ソーラーセル22の光発電により発生した電流が充電制御回路28を通じて電池24に供給され、電池24が充電される。
[GPS装置の受信性能]
前記の通り、GPS装置70は、1.5GHz帯の電波であるGPS信号を受信してGPS時刻情報や軌道情報等の衛星情報を取得する。
図5は、GPSアンテナ27の受信感度の特性データを示す図である。図5において、横軸は受信レベルであり、縦軸はGPS時刻情報の平均取得率又は平均取得時間である。
図5の特性データによれば、受信レベルが−130dBm〜−137dBmの範囲では平均取得率はほとんど変わらない。しかし、受信レベルが−137dBm〜−138dBmにかけての範囲から受信レベルの低下に伴い平均取得率も少しずつ低下し、受信レベルが−138dBm以下の範囲では受信レベルの低下に伴い平均取得率が急激に低下する。
また、受信レベルが−130dBm〜−135dBmの範囲では平均取得時間はほとんど変わらない。しかし、受信レベルが−135dBm以下の範囲では受信レベルの低下に伴い平均取得時間が急激に長くなる。
すなわち、周囲に高い建物がない屋外の場所等の電波の強い環境では、受信レベルがわずかに低下してもGPS時刻情報の取得時間や取得率はほとんど変わらないのに対して、室内や建物の陰に隠れた場所等の電波の弱い環境では、受信レベルのわずかな低下によりGPS時刻情報の取得時間や取得率が急激に劣化する。そのため、特に電波の弱い環境では受信感度を劣化させる要因をできるだけ排除することが要求される。受信感度を劣化させる要因の1つに、金属部材による電波のシールド効果が挙げられる。
シールド効果の指標として表皮深さという概念が知られている。表皮深さ(skin depth)とは、ある材質に入射した電磁界が1/eに減衰する距離をいい、表皮深さが小さい材質ほど電波を通しにくい。周波数fの電波に対する、透磁率μ、導電率σの導体の表皮深さdは、以下の式で与えられる。
式(1)によれば、導電率σが高い材質ほど表皮深さdが小さくなるので電波を通しにくい。従って、導電率σが高い金属部材は電波をシールドする効果が高い。また、式(1)によれば、電波の周波数fが大きいほど表皮深さdが小さくなる。すなわち、極超短波帯の周波数以上の電波に対しては、特に表皮深さへの影響が大きい。以上より、GPSアンテナ27の近傍にある金属部材によるシールド効果は、極超短波帯の周波数以上の電波であるGPS信号に対して大きく作用する事になる。そのため、本実施形態では、GPSアンテナ27近傍の金属部材によるシールド効果を低減するために、図3(B)に示したように、GPSアンテナ27は、金属部材で構成されるソーラーセルの電極(図示しない)、ムーブメント13、外装ケース17との各距離L1、L2、L3が所定値以上となるように配置されている。
図6は、金属製指針のシールド効果による受信感度の劣化について説明するための図である。図6において、横軸は受信周波数であり、縦軸は受信レベルである。図6の点線で示されたデータは、図7(A)に示すように、文字板11のGPSアンテナ27と対向する裏面上の領域の反対側の位置にある表面上の領域110(図7(A)において縦線で示される矩形領域)に、時針121、分針122、秒針123等の金属製指針12が配置されていない時の1.57542GHzの電波の受信レベルを示すデータである。一方、図6の実線で示されたデータは、図7(B)に示すように、領域110に時針121等の金属製指針12が配置されている時の1.57542GHzの電波の受信レベルを示すデータである。
図6からわかるように、領域110に金属製指針12が配置されている時は、領域110に金属製指針12が配置されていない時と比べて、GPSアンテナ27の最大受信レベルを示す周波数が数MHz程度ずれ、1.57542GHzの電波の受信レベルが数dBm程度低下する。
図5を参照すると、例えば、GPS信号の受信レベルが−130dBm程度の受信環境であれば、受信レベルが数dBm程度低下してもGPS時刻情報の平均取得時間及び取得率はほとんど変わらない。しかし、例えば、GPS信号の受信レベルが−138dBmしかないような受信環境では、受信レベルが1dBm低下するだけでGPS時刻情報の平均取得時間が10秒程度長くなり、平均取得率も10%程度低下する。そのため、受信レベルが低い環境においては、領域110に金属製指針12が配置されている状態でGPS信号を受信すると消費電力の増加を招くことになる。
さらに、図7(B)に示すように、領域110の近傍に分針122等の金属製指針12が配置されている場合、低仰角からのGPS信号の受信を考慮すると、文字板11に対して斜め方向から進んでくる電波に対してはGPSアンテナ27と金属製指針12が重なるため、金属製指針12が領域110に配置されていることと等価になる。従って、図8に示すように、領域110と領域110を囲む周辺領域112(図8において横線で示されるロの字型の領域)により構成される領域114(図8において格子状の斜線で示される矩形領域)を、GPS信号の受信中の指針配置を制限する領域(以下、「配置制限領域」という)とし、受信レベルが比較的高い時は配置制限領域114における指針配置を許可し、受信レベルが比較的低い時は配置制限領域114における指針配置を禁止する必要がある。
ここで、GPSアンテナ27の文字板11と対向する矩形状の受信面の縦横の長さをそれぞれn、mとすると、領域110は縦横の長さがそれぞれn、mの矩形領域である。また、周辺領域112は、一部が幅w1で形成され、一部が幅w2で形成されている。従って、配置制限領域114は縦横の長さがそれぞれn+2w1(GPSアンテナ27の受信面の縦の辺の長さnに2w1(本発明における第1の所定値)を加算した長さ)、m+2w2(GPSアンテナ27の受信面の横の辺の長さmに2w2(本発明における第2の所定値)を加算した長さ)の矩形領域である。なお、w1、w2は、異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
以下、第1実施形態の時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)の手順について説明する。なお、制御部40は、専用回路により実現してこれらの処理の各種制御を行うようにすることもできるが、記憶部41に記憶された制御プログラムを実行することによりこれらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。すなわち、図9に示すように、制御プログラムにより、制御部40は指針制御手段40−1、受信制御手段40−2及び時刻情報修正手段40−3として機能することにより、時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)が実行されるようにしてもよい。
[時刻修正処理(測時モード)]
図10は、時刻修正処理(測時モード)手順の一例を示すフローチャートである。
GPS付き腕時計1は、測時モードに設定された場合、図10に示す時刻修正処理(測時モード)を実行する。
時刻修正処理(測時モード)が開始されると、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針を配置制限領域114の外側にある受信状況表示開始位置に移動させる(ステップS10)。
次に、制御部40(受信制御手段40−2)がGPS装置70を起動し、GPS装置70によるGPS信号の受信処理が開始される(ステップS12)。
GPS装置70がGPS信号の受信を開始すると、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信が終了するまで受信状況表示針に受信状況を表示させる(ステップS14)。
一方、GPS装置70は、起動後まず、ベースバンド部60においてGPS衛星10を捕捉する処理を行う。
ベースバンド部60がGPS衛星10を捕捉することができないままタイムアウトした場合(ステップS16でNo、かつステップS18でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了し(ステップS44)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信失敗の結果を表示させる(ステップS46)。GPS付き腕時計1が、受信できない環境である場合、例えば、屋内であるような場合には、すべてのGPS衛星10のサーチを行ってもGPS衛星10を捕捉できる可能性が非常に低い。GPS付き腕時計1は、所定時間が経過しても捕捉可能なGPS衛星10を検出できない場合、GPS衛星10のサーチを強制的に終了することにより無駄に電力が消費されることを低減することができる。
一方、タイムアウトする前にGPS衛星10を捕捉することができた場合(ステップS16でYesの場合)、ベースバンド部60は捕捉したGPS衛星10のGPS時刻情報の取得を開始する(ステップS20)。具体的には、ベースバンド部60は、捕捉した各GPS衛星からの航法メッセージをそれぞれ復調してZカウントデータを取得し、取得したZカウントデータをSRAM63に記憶する。
次に、ベースバンド部60は、捕捉したGPS衛星10から送信されたGPS信号の受信レベルを計算する(ステップS22)。ベースバンド部60は、新たなGPS衛星10を捕捉する毎に、計算した受信レベルのデータをSRAM63に記憶し、SRAM63に記憶されたGPS衛星10の捕捉数を更新する。
制御部40(指針制御手段40−1)は、所定のタイミングで、SRAM63から受信レベルデータを読み出して受信レベルが閾値以上か否かを判断する(ステップS24)。制御部40は、この判断結果に基づいて、配置制限領域114にある指針12を配置制限領域114の外側に移動させるか否かを決定する。従って、受信レベルの閾値をどの程度にするかが重要である。
図5の特性データによれば、受信レベルが−135dBm以上の範囲ではGPS時刻情報の平均取得率及び平均取得時間がほとんど変わらない。従って、指針12が配置制限領域114に配置されている状態でGPS信号を受信しても、その受信レベルが−135dBm以上であれば比較的短時間でGPS時刻情報を取得できる可能性が高い。また、図6のデータによれば、配置制限領域114に配置されているすべての指針12を配置制限領域114の外側に移動させることにより、受信レベルが数dBm改善する。図5の特性データによれば、受信レベルが−135dBmより低い時に受信レベルが数dBm改善すると、GPS時刻情報の平均取得率及び平均取得時間が大幅に改善される。そこで、受信レベルの閾値は、例えば、−135dBmに設定される。
一方、GPS衛星10が捕捉数が少ないほどGPS時刻情報を取得できる可能性が低くなる。例えば、2つ以上のGPS衛星10が捕捉されていれば1つのGPS衛星10のGPS時刻情報が取得できなくても他のGPS衛星10のGPS時刻情報の取得を試みることができるが、1つのGPS衛星10しか捕捉されていない場合はGPS時刻情報を取得することができない時に他のGPS衛星10のGPS時刻情報の取得を試みることができない。そこで、ステップS24において、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信レベルが閾値以上であり、かつ、GPS衛星10の捕捉数が所定数M以上であるか否かを判断するようにしてもよい。例えば、受信レベルの閾値及び所定数Mは、それぞれ−135dBm及び2に設定される。
なお、複数のGPS衛星が捕捉されている場合には、制御部40(指針制御手段40−1)は、例えば、複数のGPS信号の受信レベルの中で最も低い受信レベルと閾値を比較するようにしてもよい。また、後続のステップS52において1つ以上のGPS時刻情報の取得が要求されるので、最も高い受信レベルと閾値を比較するようにしてもよい。
受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)の場合(ステップS24でYesの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針以外の指針12をその位置のまま停止させる(ステップS32)。すなわち、指針12が配置制限領域114にあるか否かにかかわらずその位置で停止させる。
受信レベルが閾値より低い(又は、GPS衛星10の捕捉数がMより少ない)場合(ステップS24でNoの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、記憶部41から内部時刻情報を読み出し、現在の指針12の位置を確認する(ステップS26)。そして、制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に指針12があるか否かを判断する(ステップS28)。
制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に指針12がない場合(ステップS28でNoの場合)は受信状況表示針以外の指針12をその位置のまま停止させ(ステップS32)、配置制限領域114に指針12がある場合(ステップS28でYesの場合)は当該指針12を配置制限領域114の外側に移動させて停止する(ステップS30、S32)。
なお、受信状況表示針は、受信中は配置制限領域114の外側で受信状況を表示するので、ステップS26、S28、S30、S32の処理対象となる指針12は、受信状況表示針以外の指針である。
ステップS22〜S32の処理により、GPS信号が弱い環境では配置制限領域114に指針12を配置しないようにして受信感度の劣化を低減させることを優先し、GPS信号が強い環境では指針12による受信感度の劣化がほとんどないので指針駆動による消費電力の増加を抑制することを優先させることができる。
ベースバンド部60は、制御部40(指針制御手段40−1)によるステップS22〜S32の指針移動処理が行われている間もGPS時刻情報の取得処理を継続している。そして、ベースバンド部60がGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)を取得することができないままタイムアウトした場合(ステップS34でNo、かつステップS36でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了し(ステップS44)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信失敗の結果を表示させる(ステップS44)。例えば、すべての指針12を配置制限領域114の外側に配置してもGPS信号の受信レベルが低いために、GPS時刻情報(Zカウントデータ)を正しく復調することができないままタイムアウトすることが考えられる。
一方、タイムアウトする前にGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)を取得することができた場合(ステップS34でYesの場合)、制御部40(時刻情報修正手段40−3)は、SRAM63からGPS時刻情報(Zカウントデータ)を読み出し、GPS時刻情報記憶部41に記憶されている内部時刻情報をGPS時刻情報(Zカウントデータ)により特定される時刻に書き換える(ステップS38)。このようにして内部時刻情報が修正される。
そして、GPS装置70の受信動作が終了し(ステップS40)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信成功の結果を表示させる(ステップS42)。
最後に、制御部40(指針制御手段40−1)は、駆動回路44を制御し、内部時刻を表示する位置に指針12を移動させて計時を再開する(ステップS48)。すなわち、制御部40(指針制御手段40−1)は、内部時刻情報が修正された場合は修正後の内部時刻情報を表示する位置に指針12を移動させ、内部時刻情報が修正されなかった場合は未修正の内部時刻情報を表示する位置に指針12を移動させる。
[時差修正処理(測位モード)]
図11は、時差修正処理(測位モード)手順の一例を示すフローチャートである。なお、図11において、図10の時刻修正処理(測時モード)手順と同じ処理については同じ番号を付しており、その説明を簡略する。
GPS付き腕時計1は、測位モードに設定された場合、図11に示す時差修正処理(測位モード)を実行する。
時刻修正処理(測時モード)が開始されると、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針を配置制限領域114の外側にある受信状況表示開始位置に移動させる(ステップS10)。
次に、制御部40(受信制御手段40−2)がGPS装置70を起動し、GPS装置70によるGPS信号の受信処理が開始される(ステップS12)。
GPS装置70がGPS信号の受信を開始すると、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信が終了するまで受信状況表示針に受信状況を表示させる(ステップS14)。
一方、GPS装置70は、起動後まず、ベースバンド部60においてGPS衛星10を捕捉する処理を行う。
ベースバンド部60がGPS衛星10を捕捉することができないままタイムアウトした場合(ステップS16でNo、かつステップS18でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了し(ステップS44)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信失敗の結果を表示させる(ステップS46)。
一方、タイムアウトする前にGPS衛星10を捕捉することができた場合(ステップS16でYesの場合)、ベースバンド部60は捕捉したGPS衛星10のGPS時刻情報及び軌道情報の取得を開始する(ステップS50)。具体的には、ベースバンド部60は、捕捉した各GPS衛星10からの航法メッセージをそれぞれ復調してZカウントデータ及びエフェメリスパラメータを取得し、取得したZカウントデータ及びエフェメリスパラメータをSRAM63に記憶する。
次に、ベースバンド部60は、捕捉したGPS衛星10から送信されたGPS信号の受信レベルを計算し(ステップS22)、制御部40(指針制御手段40−1)は、所定のタイミングで受信レベルが閾値以上か否かを判断する(ステップS24)。図10の時刻修正処理(測時モード)手順と同様に、ステップS24において、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信レベルが閾値以上であり、かつ、GPS衛星10の捕捉数が所定数M以上であるか否かを判断するようにしてもよい。受信レベルの閾値は、前述したように、例えば、−135dBmに設定される。また、ステップS52においてN個以上のGPS時刻情報及び軌道情報の取得が要求されるので、所定数MはN以上に設定する必要があり、例えばN=4の場合はM=5に設定される。
なお、複数のGPS衛星が捕捉されている場合には、制御部40(指針制御手段40−1)は、例えば、複数のGPS信号の受信レベルの中で最も低い受信レベルと閾値を比較するようにしてもよい。また、ステップS52においてN個(例えば4個)以上のGPS時刻情報及び軌道情報の取得が要求されるので、N番目(例えば4番目)に高い受信レベルと閾値を比較するようにしてもよい。
受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)の場合(ステップS24でYesの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針以外の指針12をその位置のまま停止させる(ステップS32)。
受信レベルが閾値より低い(又は、GPS衛星10の捕捉数がMより少ない)場合(ステップS24でNoの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、記憶部41から内部時刻情報を読み出し、現在の指針12の位置を確認する(ステップS26)。そして、制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に指針12があるか否かを判断する(ステップS28)。
制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に指針12がない場合(ステップS28でNoの場合)は受信状況表示針以外の指針12をその位置のまま停止させ(ステップS32)、配置制限領域114に指針12がある場合(ステップS28でYesの場合)は当該指針12を配置制限領域114の外側に移動させて停止する(ステップS30、S32)。
ステップS22〜S32の処理により、GPS信号が弱い環境では配置制限領域114に指針12を配置しないようにして受信感度の劣化を低減させることを優先し、GPS信号が強い環境では指針12による受信感度の劣化がほとんどないので指針駆動による消費電力の増加を抑制することを優先させることができる。
ベースバンド部60は、制御部40(指針制御手段40−1)によるステップS22〜S32の指針移動処理が行われている間もGPS時刻情報の取得処理を継続している。そして、ベースバンド部60がN個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び軌道情報(エフェメリスパラメータ)を取得することができないままタイムアウトした場合(ステップS52でNo、かつステップS54でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了し(ステップS44)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信失敗の結果を表示させる(ステップS44)。ここで、GPS付き腕時計1の3次元の位置(x,y,z)を特定するためにはx,y,zが3つの未知数となる。そのため、GPS付き腕時計1の3次元の位置(x,y,z)を計算するためには、3個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び軌道情報(エフェメリスパラメータ)が必要である。さらに、測位精度を高めるためにGPS付き腕時計1の内部時刻情報とGPS時刻情報(Zカウントデータ)の時刻誤差も未知数と考えると、4個以上のGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び軌道情報(エフェメリスパラメータ)が必要である。
一方、タイムアウトする前にN個(例えば4個)以上のGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び軌道情報(エフェメリスパラメータ)を取得することができた場合(ステップS52でYesの場合)、ベースバンド部60は、SRAM36からN個(例えば4個)のGPS衛星10のGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び軌道情報(エフェメリスパラメータ)を読み出して測位計算を開始する(ステップS56)。
前述したように、GPS時刻情報(Zカウントデータ)はGPS衛星10が航法メッセージのサブフレームの先頭ビットを送信した時刻を表している。従って、ベースバンド部60は、サブフレームの先頭ビットを受信した時の内部時刻情報とGPS時刻情報(Zカウントデータ)の時間差から、N個(例えば4個)のGPS衛星10とGPS付き腕時計1の距離をそれぞれ計算することができる。また、ベースバンド部60は、軌道情報(エフェメリスパラメータ)を用いてN個(例えば4個)のGPS衛星10の位置をそれぞれ計算することができる。そして、ベースバンド部60は、N個(例えば4個)のGPS衛星10とGPS付き腕時計1の擬似的な距離及びN個(例えば4個)のGPS衛星10の位置に基づいて、GPS付き腕時計1の位置情報を生成することができる。そして、ベースバンド部60は、フラッシュメモリ66に記憶された時差情報を参照して位置情報により特定されるGPS付き腕時計1の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得し、取得した時差データをSRAM63に記憶する。
ベースバンド部60が時差データを取得することができないままタイムアウトした場合(ステップS58でNo、かつステップS60でYesの場合)、GPS装置70の受信動作が強制的に終了し(ステップS44)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信失敗の結果を表示させる(ステップS46)。例えば、測位計算の精度が低いためにGPS付き腕時計1の正確な座標値を特定できないような場合には、正しい時差データを取得することができない可能性がある。そのため、測位計算の精度が基準値をクリアするまで測位計算を終了させないようにしている場合には、測位計算が終了しないために時差データを取得することができないままタイムアウトすることが考えられる。
一方、タイムアウトする前に時差データを取得することができた場合(ステップS58でYesの場合)、制御部40(時刻情報修正手段40−3)は、SRAM63からGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び時差データを読み出し、記憶部41に記憶されている内部時刻情報をGPS時刻情報(Zカウントデータ)及び時差データにより特定される時刻に書き換える(ステップS62)。
そして、GPS装置70の受信動作が終了し(ステップS40)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針に受信成功の結果を表示させる(ステップS42)。
最後に、制御部40(指針制御手段40−1)は、駆動回路44を制御し、内部時刻を表示する位置に指針12を移動させて計時を再開する(ステップS48)。
図12は、図10に示した時刻修正処理(測位モード)又は図11に示した時差修正処理(測位モード)における第1実施形態の具体的な指針駆動制御の手順の一例を示すフローチャートである。図12において、指針駆動制御と無関係な図10又は図11の処理の一部については表記を省略している。また、図13(A)〜図13(F)、図14(A)〜図14(F)及び図15(A)〜図15(F)は、それぞれ図12の手順における指針配置の第1の例、第2の例及び第3の例を時系列に並べた図である。図13(A)、図14(A)及び図15(A)は、測時モード又は測位モードにおける受信開始直前の指針配置を示している。以下、図13(A)〜図13(F)、図14(A)〜図14(F)及び図15(A)〜図15(F)を参照しながら図12の手順について説明する。なお、図12において、図10、図11の手順における各ステップと同じ処理を行うステップには同じ番号を付している。
制御部40(指針制御手段40−1)は、まず、図13(B)、図14(B)又は図15(B)に示すように、秒針123を配置制限領域114の外側の受信状況表示開始位置(例えば、文字板11の12時の位置)に移動させて停止する(ステップS10)。
次に、GPS装置70が起動して受信が開始されると(ステップS12)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信が終了するまでユーザによる受信状況表示操作の有無を判断する(ステップS14−1)。
受信中に受信状況表示操作があった場合(ステップS14−1でYesの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、秒針123を移動させて受信状況を表示する(ステップS14−2)。秒針123により表示される受信状況としては、GPS衛星10の捕捉数、GPS衛星10の受信レベル、GPS信号の受信終了までの概略時間等が挙げられる。例えば、GPS信号の受信中に、ボタン15(Aボタン)が押された時の受信状況表示の種類とボタン16(Bボタン)が押された時の受信状況表示の種類が異なるようにしてもよい。制御部40(指針制御手段40−1)は、GPS信号の受信中にボタン15(Aボタン)が押されると、図13(C)及び図15(C)に示すように、第1の例及び第3の例では秒針123を「Low」の位置まで移動させて受信レベルが低いことを表示し、図14(C)に示すように、第2の例では秒針123を「High」の位置まで移動させて受信レベルが高いことを表示する。また、制御部40(指針制御手段40−1)は、GPS信号の受信中にボタン16(Bボタン)が押されると、図13(C)に示すように、第1の例では秒針123を「≦30」の位置まで移動させて受信終了までの概略時間が30秒以下であることを表示し、図14(C)及び図15(C)に示すように、第2の例及び第3の例では秒針123を「≦60」の位置まで移動させて受信終了までの概略時間が60秒以下であることを表示する。
なお、ステップS14−1、S14−2、S14−3は、図10、図11の手順におけるステップS14に相当する。
制御部40(指針制御手段40−1)は、所定のタイミングで、捕捉したGPS衛星10のGPS信号の受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)か否かを判断し(ステップS24)、受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)の場合(ステップS24でYesの場合)は、時針121と分針122を移動させずにその位置のまま停止させる(ステップS32)。図14(D)に示すように、第2の例では受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)であり、時針121と分針122を図14(C)の位置のまま停止させる。
受信レベルが閾値より低い(又は、GPS衛星10の捕捉数がMより少ない)場合(ステップS24でNoの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、記憶部41から内部時刻情報を読み出して時針121と分針122の位置(例えば、図13(C)又は図15(C)に示す位置)を確認し(ステップS26)、配置制限領域114に時針121、分針122があるか否かを判断する(ステップS28−1、S28−2、S28−3)。
配置制限領域114に時針121と分針122の両方がある場合(ステップS28−1でYes、かつステップS28−2でYesの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS30−1)。図13(C)に示すように、第1の例では時針121の一部と分針122の一部が配置制限領域114にかかっているので、制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に時針121と分針122の両方があると判断する。そして、制御部40(指針制御手段40−1)は、図13(D)に示すように時針121と分針122を配置制限領域114の外側に、例えば最短距離で移動させる。
配置制限領域114に時針121のみがある場合(ステップS28−1でYes、かつステップS28−2でNoの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS30−2)。
配置制限領域114に分針122のみがある場合(ステップS28−1でNo、かつステップS28−3でYesの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、分針122を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS30−3)。
配置制限領域114に時針121と分針122の両方がない場合(ステップS28−1でNo、かつステップS28−3でNoの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122をその位置のままにしておいてもよいし、配置制限領域14の外側の他の位置に移動させてもよい。図15(C)に示すように、第3の例では、制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に時針121時針121と分針122の両方がないと判断する。そして、制御部40(指針制御手段40−1)は、図15(D)に示すように時針121と分針122を図15(C)に示す位置のまま停止させる。
ステップS30−1、S30−2、S30−3の処理において、時針121と分針122が1つのモータにより同時に回転移動する場合には、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122を同時に配置制限領域外に移動させる。また、時針121と分針122が別々のモータにより回転移動する場合には、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122を必要に応じて別々に配置制限領域114の外側に移動させるようにしてもよい。
なお、ステップS28−1、S28−2、S28−3は、図10、図11の手順におけるステップS28に相当し、ステップS30−1、S30−2、S30−3は、図10、図11の手順におけるステップS14に相当する。
時針121、分針122の移動が終了すると、制御部40(指針制御手段40−1)は時針121と分針122を停止させる(ステップS32)。
その後、GPS装置70によるGPS信号の受信が終了すると、制御部40(指針制御手段40−1)は、秒針123を移動させて受信成功又は受信失敗を表示する(ステップS42、S46)。制御部40(指針制御手段40−1)は、図13(E)及び図14(E)に示すように、第1の例及び第2の例では秒針123を「Y」の位置まで移動させて受信成功を表示し、図15(E)に示すように、第3の例では秒針123を「N」の位置まで移動させて受信失敗を表示する。なお、図15(E)では、秒針123の一部が配置制限領域114にかかっているが、秒針123による受信成功又は受信失敗の表示は受信終了後に行われるので受信感度に影響しない。
最後に、図13(F)、図14(F)又は図15(F)に示すように、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121、分針122、秒針123を移動させて内部時刻を表示し、計時を再開する(ステップS44)。なお、第1の例及び第2の例では受信が成功したので図13(F)及び図14(F)で時針121、分針122、秒針123が表示する時刻は修正後の内部時刻であり、第3の例では受信が失敗したので図15(F)で時針121、分針122、秒針123が表示する時刻は未修正の内部時刻である。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、GPS信号の受信レベルが閾値より低い(又は、GPS衛星10の捕捉数が所定数より少ない)場合、すなわち、受信環境が良くない場合は、GPS信号の受信時の時刻により時針121及び分針122の少なくとも一方が配置制限領域114の内側に配置されていれば配置制限領域114の外側に移動させる。従って、第1実施形態によれば、受信環境が良くない場合には、指針12によるGPS信号のシールド効果を低下させて、受信感度の劣化をできるだけ抑制することができる。
逆に、GPS信号の受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数が所定数以上)の場合、すなわち、受信環境が良い場合は、受信感度の劣化がほとんどないので、GPS信号の受信時の時刻により時針121及び分針122の少なくとも一方が配置制限領域114の内側に配置されていても配置制限領域114の外側に移動させない。従って、第1実施形態によれば、受信環境が良い場合には、指針駆動による消費電力の増加を抑制することができる。
また、第1実施形態によれば、受信中に秒針123が受信状況を表示するので、受信状況に応じてユーザが受信を中止するか否か等の選択をより適切に行うことができる。
また、第1実施形態では、GPS信号の受信中に、ボタン15(Aボタン)、ボタン16(Bボタン)を操作することにより、任意のタイミングで受信状況が表示される。そのため、第1実施形態によれば、ユーザが要求する時に受信状況を表示可能な、より使い易いGPS付き腕時計を提供することができる。
また、第1実施形態によれば、回転速度の速い秒針123に受信状況を表示させるので、より迅速に受信状況を表示させることができる。また、受信状況を表示させるための専用の指針が不要であるので、コストの増加を抑制することができる。
さらに、第1実施形態によれば、秒針123が、受信終了後は受信成功表示位置(「Y」の位置)又は受信失敗表示位置(「N」の位置)で停止するので、ユーザは受信が終了したか否か及び時刻修正がされたか否かを容易に判断することができる。
2−2.第2実施形態
受光量が多いほどソーラーセル22の発電量が多くなる。一般的に、室内よりも屋外の受光量の方が多く、屋外でも建物の陰に隠れた場所よりも周囲に建物がない場所の方が受光量が多いと考えられる。つまり、ソーラーセル22の発電量と受信環境の間にはある程度の相関性がある。そこで、第2実施形態では、測時モード又は測位モードの実行中に配置制限領域114にある指針12を移動させるか否かをソーラーセル22の発電量によって制御する。すなわち、第2実施形態では、ソーラーセル22の発電量が比較的高い時は配置制限領域114における指針配置を許可し、ソーラーセル22の発電量が比較的低い時は配置制限領域114における指針配置を禁止する。
第2実施形態のGPS付き腕時計の構造は、図3(B)に示した第1実施形態の構造と同様であるが、第2実施形態では、所定のタイミングでソーラーセル22の発電量を検出するために、図16に示すように、第1実施形態のソーラーセル22と充電制御回路28の間に電流検出回路34が付加される。なお、便宜上、図16では図4に示した第1実施形態の回路構成の一部のみを図示しているが、第2実施形態のGPS付き腕時計は図4のその他の構成を同様に含む。
図16に示すように、例えば、電流検出回路34は、抵抗器34−1、差動増幅器34−2及びスイッチ回路34−3を含んで構成される。スイッチ回路34−3は、制御信号に応じて、ソーラーセル22と充電制御回路28を直接接続するか、又は、ソーラーセル22と充電制御回路28の間に抵抗器34−1を接続する。差動増幅器34−2は、抵抗器34−1の両端に接続されている。
通常は、制御部40は、ソーラーセル22と充電制御回路28が接続されるようにスイッチ回路34−3を制御する。一方、制御部40は、測時モード又は測位モードが開始された後の所定のタイミングでソーラーセル22と充電制御回路28の間に抵抗器34−1が接続されるようにスイッチ回路34−3を制御する。なお、所定のタイミングは、GPS装置70の起動前であってもよいし、起動後であってもよい。
ソーラーセル22と充電制御回路28の間に抵抗器34−1が接続されると、差動増幅器34−2が抵抗器34−1に流れる電流により生じる抵抗器34−1の両端の電圧差を増幅し、制御部40に出力する。
ソーラーセル22の発電量が多いほど抵抗器34−1に流れる電流量が多くなるので、電流検出回路34はソーラーセル22の発電量を検出することができる。制御部40は、検出結果を取得すると、ソーラーセル22と充電制御回路28が接続されるようにスイッチ回路34−3を制御する。すなわち、制御部40及び検出回路34は、本発明におけるソーラー発電量検出部として機能する。
以下、第2実施形態の時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)の手順について説明する。なお、図17に示すように、制御プログラムにより、制御部40は指針制御手段40−1、受信制御手段40−2、時刻情報修正手段40−3及びソーラー発電量検出手段40−4として機能することにより、時刻修正処理(測時モード)及び時差修正処理(測位モード)が実行されるようにしてもよい。
図18及び図19は、それぞれ第2実施形態の時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順の一例を示すフローチャートである。図18に示す時刻修正処理(測時モード)手順は、図10のステップS22及びS24の処理が削除されるとともにステップS70及びS72の処理が追加されている点を除いて、図10に示した第1実施形態の時刻修正処理(測時モード)手順と同じである。また、図19に示す時差修正処理(測位モード)手順は、図11のステップS22及びS24の処理が削除されるとともにステップS70及びS72の処理が追加されている点を除いて、図11に示した第1実施形態の時刻修正処理(測時モード)手順と同じである。そのため、図18及び図19において、それぞれ図10及び図11の手順の各ステップと同じ処理を行うステップには同じ番号を付しており、その説明を省略又は簡略する。
第2実施形態のGPS付き腕時計は、測時モードに設定された場合は図18に示す時刻修正処理(測時モード)を実行し、測位モードに設定された場合は図19に示す時差修正処理(測位モード)を実行する。
時刻修正処理(測時モード)又は時差修正処理(測位モード)が開始されると、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況表示針を受信状況表示開始位置に移動させ(ステップS10)、GPS装置70を起動する(図18又は図19のステップS12)。
GPS装置70がGPS信号の受信を開始すると、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信が終了するまで受信状況表示針に受信状況を表示させる(ステップS14)。
また、制御部40(ソーラー発電量検出手段40−4)は、所定のタイミングでソーラーセル22の発電量を検出する(図18又は図19のステップS70)。具体的には、制御部40は、図16で説明したように検出回路34を制御して検出結果を取得する。
そして、制御部40(ソーラー発電量検出手段40−4)は、ソーラーセル22の発電量が閾値以上か否かを判断する(図18又は図19のステップS72)。制御部40は、この判断結果に基づいて、配置制限領域114にある指針12を配置制限領域114の外側に移動させるか否かを決定する。従って、発電量の閾値をどの程度にするかが重要である。例えば、同じ場所でも天候によって受光量が大きく異なるため、屋外で周囲に建物がない場所での晴天の日の受光量を基準として、閾値を高めに設定しておいてもよい。こうすることにより、非常に良い受信環境でなければ配置制限領域114にある指針を移動させるので、受信感度の劣化の低減を優先させることができる。
制御部40(指針制御手段40−1)は、ソーラーセル22の発電量が閾値以上の場合(図18又は図19のステップS72でYesの場合)は受信状況表示針以外の指針12をその位置のまま停止させ(図18又は図19のステップS32)、受信レベルが閾値より低い場合(図18又は図19のステップS72でNoの場合)は記憶部41から内部時刻情報を読み出して現在の指針12の位置を確認し(図18又は図19のステップS26)、配置制限領域114に指針12があるか否かを判断する(図18又は図19のステップS28)。
制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に指針12がない場合(図18又は図19のステップS28でNoの場合)は受信状況表示針以外の指針12をその位置のまま停止させ(図18又は図19のステップS32)、配置制限領域114に指針12がある場合(図18又は図19のステップS28でYesの場合)は当該指針12を配置制限領域114の外側に移動させて停止する(図18又は図19のステップS30、S32)。
図18及び図19の以降の各ステップの処理は、それぞれ図10及び図11の同じ符号が付されたステップの処理と同様であるので、説明を省略する。
図18又は図19のステップS70、S72、S26〜S32の処理により、GPS信号が弱いと推測される環境では配置制限領域114に指針12を配置しないようにして受信感度の劣化を低減させることを優先し、GPS信号が強いと推測される環境では指針12による受信感度の劣化がほとんどないので指針駆動による消費電力の増加を抑制することを優先させることができる。
なお、図18に示した時刻修正処理(測位モード)又は図19に示した時差修正処理(測位モード)における第2実施形態の具体的な指針駆動制御の手順は、図12に示した第1実施形態の具体的な指針駆動制御の手順と同様であってもよいので、その説明を省略する。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
一般的に、屋外の周囲に建物がない受信環境の良い場所では、室内や屋外の建物の陰に隠れた受信環境が良くない場所よりもソーラーセルの受光量が多くなり、ソーラーセルは受光量が多いほど発電量が多くなる。そこで、第2実施形態では、ソーラーセル22の発電量が閾値より低い場合、すなわち、受信環境が良くないと推測される場合は、GPS信号の受信時の時刻により時針121及び分針122の少なくとも一方が配置制限領域114の内側に配置されていれば配置制限領域114の外側に移動させる。従って、第2実施形態によれば、受信環境が良くないと推測される場合には、指針12によるGPS信号のシールド効果を低下させて、受信感度の劣化をできるだけ抑制することができる。
逆に、ソーラーセル22の発電量が閾値以上の場合、すなわち、受信環境が良いと推測される場合は、受信感度の劣化がほとんどないので、GPS信号の受信時の時刻により時針121及び分針122の少なくとも一方が配置制限領域114の内側に配置されていても配置制限領域114の外側に移動させない。従って、第2実施形態によれば、受信環境が良いと推測される場合には、指針駆動による消費電力の増加を抑制することができる。
2−3.第3実施形態
図20は第3実施形態のGPS付き腕時計の概略平面図である。
第3実施形態のGPS付き腕時計3は、第1実施形態と同様に、文字板11、時針121、分針122、リューズ14、ボタン15(Aボタン)、ボタン16(Bボタン)、GPSアンテナ27等を備え、さらに、センター針222を備えている。
また、第3実施形態では、文字板11の9時位置、6時位置、3時位置の近傍にそれぞれ円形の小秒計120、12時間計200、30分計210が設けられている。そして、小秒計120、12時間計200、30分計210の中には、それぞれ、秒針(小秒針)123、12時間針202、30分針212が配置されている。
12時間計200は、12時間針202により12時間を計測表示する。30分計210は、30分針212により30分間を計測表示する。センター針222は、60秒間を計測表示する。
すなわち、第3実施形態のGPS付き腕時計3は、時針121、分針122及び秒針123による時刻表示機能の他に、12時間針202、30分針212及びセンター針222により経過時間を計測するストップウォッチ機能も備え、一般に「クロノグラフ」と呼ばれる腕時計である。
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、手動操作により、又は定期的に(自動的に)測時モードや測位モードが実行される。
そして、第3実施形態では、GPS信号の受信中は、時針121、分針122、秒針123、12時間針202、30分針212、センター針222がすべて配置制限領域114の外側に配置される。
また、第3実施形態では、GPS信号の受信中は、センター針222を文字板11の「Receiving」の位置に配置してGPS信号の受信中であることを表示する。
さらに、第3実施形態では、GPS信号の受信中に、秒針123、12時間針202、30分針212により現在の受信状況を自動的に表示する。
具体的には、秒針123は、GPS信号の受信中に文字板11の「High」又は「Low」の位置に自動的に移動し、それぞれGPS信号の受信レベルが高いか低いかを表示する。12時間針202は、GPS信号の受信中にGPS衛星10の捕捉数に応じて12時間計200のいずれかの位置に順次移動することにより、GPS衛星10の捕捉数を表示する。例えば、GPS衛星10の捕捉数が1、2、3、・・・、12の時は、12時間針202はそれぞれ12時間計200の1時間、2時間、3時間、・・・、12時間の位置に移動する。30分針212は、GPS信号の受信中にGPS信号の受信終了までの概略時間に応じて30分計210のいずれかの位置に順次移動することにより、GPS信号の受信終了までの概略時間を表示する。例えば、GPS信号の受信終了までの概略時間が60秒、50秒、40秒、30秒、20秒、10秒の時、30分針212は30分計210の30分、5分、10分、15分、20分、25分の位置に移動する。
そして、第3実施形態では、測時モードや測位モードの終了時に、センター針222を文字板11の「Y」又は「N」の位置に移動することにより、それぞれ受信成功又は受信失敗を自動的に表示する。
以上の通り、第3実施形態では、秒針123、12時間針202、30分針212、センター針222が受信状況表示針であり、時針121、分針122は受信状況表示針ではない。
なお、第3実施形態のその他の構造及び回路構成は、図3(B)及び図4に示した第1実施形態の構造及び回路構成と同様であるため、その説明を省略する。また、第3実施形態における時刻修正処理(測時モード)手順及び時差修正処理(測位モード)手順は、図10及び図11に示した第1実施形態における各手順と同じであるため、その説明を省略する。
図21は、図10に示した時刻修正処理(測位モード)又は図11に示した時差修正処理(測位モード)における第3実施形態の具体的な指針駆動制御の手順の一例を示すフローチャートである。図21において、指針駆動制御と無関係な図10又は図11の処理の一部については表記を省略している。また、図22(A)〜図22(F)は図21の手順における指針配置の一例を時系列に並べた図である。図22(A)は、測時モード又は測位モードにおける受信開始直前の指針配置を示している。以下、図22(A)〜図22(F)を参照しながら図21の手順について説明する。なお、図21において、図10、図11の手順における各ステップと同じ処理を行うステップには同じ番号を付している。
制御部40(指針制御手段40−1)は、まず、図22(B)に示すように、秒針123、12時間針202、30分針212、センター針222を配置制限領域114の外側の受信状況表示開始位置(例えば、それぞれ60秒の位置、12時間の位置、30分の位置、「Receiving」の位置)に移動させて停止する(ステップS10)。
次に、GPS装置70が起動して受信が開始されると(ステップS12)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信が終了するまで受信状況の変化に応じて、秒針123、12時間針202、30分針212を移動させて受信状況を表示する(ステップS214−1〜S214−7)。
具体的には、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況1(例えば、GPS衛星10の受信レベル)が変化した場合(ステップS214−1でYesの場合)は秒針123を移動させて受信状況1の表示を更新する(ステップS214−2)。また、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況2(例えば、GPS衛星10の捕捉数)が変化した場合(ステップS214−3でYesの場合)は12時間針202を移動させて受信状況2の表示を更新する(ステップS214−4)。さらに、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況3(例えば、GPS信号の受信終了までの概略時間)が変化した場合(ステップS214−5でYesの場合)は30分針212を移動させて受信状況3の表示を更新する(ステップS214−6)。
例えば、図22(C)では、秒針123、12時間針202、30分針212はそれぞれ「Low」の位置、1時間の位置、5分の位置に配置されているので、受信レベルが低いこと、GPS衛星の捕捉数が1であること、受信終了までの概略時間が50秒以下であることを表示している。
なお、ステップS214−1〜S214−7は、図10、図11の手順におけるステップS14に相当する。
制御部40(指針制御手段40−1)は、所定のタイミングで、捕捉したGPS衛星10のGPS信号の受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)か否かを判断し(ステップS24)、受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)の場合(ステップS24でYesの場合)は、時針121と分針122を移動させずにその位置のまま停止させる(ステップS32)。
受信レベルが閾値より低い(又は、GPS衛星10の捕捉数がMより少ない)場合(ステップS24でNoの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、記憶部41から内部時刻情報を読み出して時針121と分針122の位置(例えば、図22(C)に示す位置)を確認し(ステップS26)、配置制限領域114に時針121、分針122があるか否かを判断する(ステップS228−1、S228−2、S228−3)。
配置制限領域114に時針121と分針122の両方がある場合(ステップS228−1でYes、かつステップS228−2でYesの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS230−1)。図22(C)に示す例では、時針121の一部と分針122の一部が配置制限領域114にかかっているので、制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に時針121と分針122の両方があると判断する。そして、制御部40(指針制御手段40−1)は、図22(D)に示すように時針121と分針122を配置制限領域114の外側に、例えば最短距離で移動させる。
なお、図22(D)では、秒針123、12時間針202、30分針212はそれぞれ「High」の位置、9時間の位置、25分の位置に配置されているので、受信レベルが高いこと、GPS衛星の捕捉数が9であること、受信終了までの概略時間が10秒以下であることを表示している。
配置制限領域114に時針121のみがある場合(ステップS228−1でYes、かつステップS228−2でNoの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS230−2)。
配置制限領域114に分針122のみがある場合(ステップS228−1でNo、かつステップS228−3でYesの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、分針122を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS230−3)。
配置制限領域114に時針121と分針122の両方がない場合(ステップS228−1でNo、かつステップS228−3でNoの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122をその位置のままにしておいてもよいし、配置制限領域14の外側の他の位置に移動させてもよい。
なお、ステップS228−1、S228−2、S228−3は、図10、図11の手順におけるステップS28に相当し、ステップS230−1、S230−2、S230−3は、図10、図11の手順におけるステップS30に相当する。
時針121、分針122の移動が終了すると、制御部40(指針制御手段40−1)は時針121と分針122を停止させる(ステップS32)。
その後、GPS装置70によるGPS信号の受信が終了すると、制御部40(指針制御手段40−1)は、センター針222を移動させて受信成功又は受信失敗を表示する(ステップS42、S46)。例えば、制御部40(指針制御手段40−1)は、図22(E)に示すように、センター針222を「Y」の位置まで移動させて受信成功を表示する。
最後に、図22(F)に示すように、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121、分針122、秒針123を移動させて内部時刻を表示し、計時を再開する(ステップS48)。
なお、第3実施形態において、第2実施形態と同様の回路構成にして図18及び図19にそれぞれ示した時刻修正処理(測位モード)及び時差修正処理(測位モード)を実行するようにしてもよい。その場合、図21のステップS24の処理を図18又は図19のステップS72の処理に置き換えれば、図21の指針駆動制御の手順を適用することができる。
[第3実施形態の効果]
第3実施形態によれば、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
第1実施形態又は第2実施形態では秒針123が複数種類の受信状況を表示するのに対して、第3実施形態では、秒針123、12時間針202、30分針212がそれぞれ異なる種類の受信状況を同時に表示する。従って、第3実施形態によれば、同時に複数種類の受信状況を認識することができるので、ユーザが受信状況に応じて受信処理を中止するか否か等の選択をより適切に行うことができる。
また、第1実施形態又は第2実施形態では手動操作により受信状況表示が更新されるのに対して、第3実施形態では、受信状況が変化する度に自動的に表示が更新される。従って、第3実施形態によれば、ユーザによる操作ミスを防止するとともに、リアルタイムに受信状況を確認することができる。
また、第1実施形態又は第2実施形態では文字板11の一部の領域を使用して受信状況を表示するため粗い単位での表示になっているのに対して、第3実施形態では、12時間計200と30分計210のすべての領域を使用するのでより細かい単位で受信状況を表示することができる。
さらに、第3実施形態によれば、センター針222が、受信中は受信表示位置(「Receiving」の位置)で停止するので、ユーザは受信中であることを容易に判断することができる。
2−4.第4実施形態
図23は第4実施形態のGPS付き腕時計の概略平面図である。
第4実施形態のGPS付き腕時計4は、第1実施形態と同様に、時針121、分針122、秒針123、リューズ14、ボタン15(Aボタン)、ボタン16(Bボタン)、GPSアンテナ27等を備えている。
また、GPS付き腕時計4では、文字板11の9時位置と12時位置の間に扇形の曜日計300が設けられており、文字板11の6時位置に円形の第2時計310が設けられている。曜日計300、第2時計310の中には、それぞれ、曜日針302、24時間針312が配置されている。
曜日計300は、曜日針302により曜日を表示する。また、第2時計310は、24時間針312により第2時刻を表示する。
すなわち、第4実施形態のGPS付き腕時計4は、時針121、分針122及び秒針123による時刻表示機能の他に、曜日針302による曜日表示機能と24時間針312による第2時刻表示機能も備えるワールドタイム対応の腕時計である。
第4実施形態では、第1実施形態と同様に、手動操作により、又は定期的に(自動的に)測時モードや測位モードが実行される。
そして、第4実施形態では、GPS信号の受信中は、時針121、分針122、秒針123、曜日針302、24時間針312がすべて配置制限領域114の外側に配置される。
また、第4実施形態では、GPS信号の受信中は、秒針123を文字板11の「Receiving」の位置に移動してGPS信号の受信中であることを表示する。
さらに、第4実施形態では、GPS信号の受信中に、曜日針302、24時間針312により現在の受信状況を自動的に表示する。
具体的には、曜日針302は、GPS信号の受信中に曜日計300の「High」又は「Low」の位置に自動的に移動し、それぞれGPS信号の受信レベルが高いか低いかを表示する。24時間針312は、GPS信号の受信中にGPS信号の受信終了までの概略時間に応じて第2時計310の0時から12時のいずれかの位置(右半分のいずれかの位置)に順次移動することにより、GPS信号の受信終了までの概略時間を表示する。例えば、GPS信号の受信終了までの概略時間が60秒、45秒、30秒、0秒の時は、24時間針312がそれぞれ第2時計310の0時、3時、6時、9時、12時の位置に移動する。
そして、第4実施形態では、第1実施形態と同様に、測時モードや測位モードの終了時に、秒針123を文字板11の「Y」又は「N」の位置に移動することにより、それぞれ受信成功又は受信失敗を自動的に表示する。
以上の通り、第4実施形態では、秒針123、曜日針302、24時間針312が受信状況表示針であり、時針121、分針122は受信状況表示針ではない。
なお、第4実施形態のその他の構造及び回路構成は、図3(B)及び図4に示した第1実施形態の構造及び回路構成と同様であるため、その説明を省略する。
図24は、図10に示した時刻修正処理(測位モード)又は図11に示した時差修正処理(測位モード)における第4実施形態の具体的な指針駆動制御の手順の一例を示すフローチャートである。図24において、指針駆動制御と無関係な図10又は図11の処理の一部については表記を省略している。また、図25(A)〜図25(F)は図24の手順における指針配置の一例を時系列に並べた図である。図25(A)は、測時モード又は測位モードにおける受信開始直前の指針配置を示している。以下、図25(A)〜図25(F)を参照しながら図24の手順について説明する。なお、図24において、図10、図11の手順における各ステップと同じ処理を行うステップには同じ番号を付している。
制御部40(指針制御手段40−1)は、まず図25(B)に示すように、秒針123、曜日針302、24時間針312を配置制限領域114の外の受信状況表示開始位置(例えば、それぞれ「Receiving」の位置、T(Tuesdayの頭文字)の位置と0時の位置)に移動させて停止する(ステップS10)。
次に、GPS装置70が起動して受信が開始されると(ステップS12)、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況の変化に応じて、曜日針302、24時間針312を移動させて受信状況を表示する(ステップS314−1〜S314−5)。
具体的には、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況1(例えば、GPS衛星10の受信レベル)が変化した場合(ステップS314−1でYesの場合)は曜日針302を移動させて受信状況1の表示を更新する(ステップS314−2)。また、制御部40(指針制御手段40−1)は、受信状況2(例えば、GPS信号の受信終了までの概略時間)が変化した場合(ステップS314−3でYesの場合)は24時間針312を移動させて受信状況3の表示を更新する(ステップS314−4)。
例えば、図25(C)では、曜日針302と24時間針312はそれぞれ「Low」の位置と3時の位置に配置されているので、受信レベルが低いこと及び受信終了までの概略時間が45秒であることを表示している。
なお、ステップS314−1〜S314−5は、図10、図11の手順におけるステップS14に相当する。
制御部40(指針制御手段40−1)は、所定のタイミングで、捕捉したGPS衛星10のGPS信号の受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)か否かを判断し(ステップS24)、受信レベルが閾値以上(かつ、GPS衛星10の捕捉数がM以上)の場合(ステップS24でYesの場合)は、時針121と分針122を移動させずにその位置のまま停止させる(ステップS32)。
受信レベルが閾値より低い(又は、GPS衛星10の捕捉数がMより少ない)場合(ステップS24でNoの場合)、制御部40(指針制御手段40−1)は、記憶部41から内部時刻情報を読み出して時針121と分針122の位置(例えば、図25(C)に示す位置)を確認し(ステップS26)、配置制限領域114に時針121、分針122があるか否かを判断する(ステップS328−1、S328−2、S328−3)。
配置制限領域114に時針121と分針122の両方がある場合(ステップS328−1でYes、かつステップS328−2でYesの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS330−1)。
配置制限領域114に時針121のみがある場合(ステップS328−1でYes、かつステップS328−2でNoの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS330−2)。図25(C)に示す例では、時針121の一部が配置制限領域114にかかっているが分針122は配置制限領域114にかかっていないので、制御部40(指針制御手段40−1)は、配置制限領域114に時針121のみがあると判断する。そして、制御部40(指針制御手段40−1)は、図25(D)に示すように時針121を配置制限領域114の外側に、例えば最短距離で移動させ、分針は図25(C)の位置のまま移動させない。
なお、図25(D)では、曜日針302と24時間針312はそれぞれ「High」の位置と9時の位置に配置されているので、受信レベルが高いこと及び受信終了までの概略時間が15秒であることを表示している。
配置制限領域114に分針122のみがある場合(ステップS328−1でNo、かつステップS328−3でYesの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、分針122を配置制限領域114の外側に移動させる(ステップS330−3)。
配置制限領域114に時針121と分針122の両方がない場合(ステップS328−1でNo、かつステップS328−3でNoの場合)は、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121と分針122をその位置のままにしておいてもよいし、配置制限領域14の外側の他の位置に移動させてもよい。
なお、ステップS328−1、S328−2、S328−3は、図10、図11の手順におけるステップS28に相当し、ステップS330−1、S330−2、S330−3は、図10、図11の手順におけるステップS30に相当する。
時針121、分針122の移動が終了すると、制御部40(指針制御手段40−1)は時針121と分針122を停止させる(ステップS32)。
その後、GPS装置70によるGPS信号の受信が終了すると、制御部40(指針制御手段40−1)は、秒針123を移動させて受信成功又は受信失敗を表示する(ステップS42、S46)。例えば、制御部40(指針制御手段40−1)は、図25(E)に示すように、秒針123を「Y」の位置まで移動させて受信成功を表示する。
最後に、図25(F)に示すように、制御部40(指針制御手段40−1)は、時針121、分針122、秒針123を移動させて内部時刻を表示し、計時を再開する(ステップS44)。なお、制御部40(指針制御手段40−1)は、図25(F)に示すように、24時間針312と曜日針302も移動させてそれぞれ第2時刻及び曜日の計時も再開する。
なお、第4実施形態において、第2実施形態と同様の回路構成にして図18及び図19にそれぞれ示した時刻修正処理(測位モード)及び時差修正処理(測位モード)を実行するようにしてもよい。その場合、図21のステップS24の処理を図18又は図19のステップS72の処理に置き換えれば、図21の指針駆動制御の手順を適用することができる。
[第4実施形態の効果]
第4実施形態によれば、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果に加えて、以下の効果を奏する。
第1実施形態又は第2実施形態では秒針123が複数種類の受信状況を表示するのに対して、第4実施形態では、曜日針302、24時間針312がそれぞれ異なる種類の受信状況を同時に表示する。従って、第4実施形態によれば、同時に複数種類の受信状況を認識することができるので、ユーザが受信状況に応じて受信処理を中止するか否か等の選択をより適切に行うことができる。
また、第1実施形態又は第2実施形態では手動操作により受信状況表示が更新されるのに対して、第4実施形態では、受信状況が変化する度に自動的に表示が更新される。従って、第4実施形態によれば、ユーザによる操作ミスを防止するとともに、リアルタイムに受信状況を確認することができる。
また、第1実施形態又は第2実施形態では文字板11の一部の領域を使用して受信状況を表示するため粗い単位での表示になっているのに対して、第4実施形態では、曜日計300と第2時計310の多くの領域を使用するのでより細かい単位で受信状況を表示することができる。
さらに、第4実施形態によれば、秒針123が、受信中は受信表示位置(「Receiving」の位置)で停止するので、ユーザは受信中であることを容易に判断することができる。
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、第1、第2実施形態では、手動操作のタイミングで最新の受信状況が表示されるように構成されているが、受信状況が変化する毎に自動的に受信状況表示が更新されるように構成してもよい。
また、例えば、第3、第4実施形態では、受信状況が変化する毎に自動的に受信状況表示が更新されるように構成されているが、手動操作のタイミングで最新の受信状況が表示されるように構成してもよい。
また、例えば、第1〜第4実施形態において、リューズ14、ボタン15、ボタン16等を手動操作することにより、受信状況の自動表示機能と手動表示機能のいずれかを選択できるように構成してもよいし、リューズ14、ボタン15、ボタン16等を手動操作することにより受信状況の自動表示機能と手動表示機能の少なくとも一方を停止することができるように構成してもよい。
また、例えば、前述の各実施形態はGPS付き腕時計を例に挙げて説明したが、本発明の指針表示装置はGPS付き腕時計に限らず、他の種類の指針表示装置であってもよい。他の種類の指針表示装置としては、例えば、ブルートゥースやCDMA方式等で携帯電話や基地局等と通信を行う指針表示装置が考えられる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 GPS付き腕時計、3 GPS付き腕時計、4 GPS付き腕時計、9 GPS受信機、10 GPS衛星、11 文字板、12 指針、13 ムーブメント、14 リューズ、15 ボタン、16 ボタン、17 外装ケース、18 ベゼル、19 表面ガラス、20 モータコイル、22 ソーラーセル、24 電池、25 回路基板、26 裏蓋、27 GPSアンテナ、28 充電制御回路、29 レギュレータ、30 受信用IC(受信回路)、31 SAWフィルタ、32 コネクタ、33 シールド板、34 電流検出回路、34−1 抵抗器、34−2 差動増幅器、34−3 スイッチ回路、40 制御用IC(制御部)、41 記憶部、42 発振回路、43 水晶振動子、44 駆動回路、45 LCD駆動回路、50 RF部、51 LNA、52 ミキサ、53 VCO、54 PLL回路、55 IFアンプ、56 IFフィルタ、57 ADC(A/D変換器)、60 ベースバンド部、61 DSP、62 CPU、63 SRAM、64 RTC、65 温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)、66 フラッシュメモリ、70 GPS装置、80 時刻表示装置、90 電源供給装置、114 配置制限領域、120 小秒計、121 時針、122 分針、123 秒針、200 12時間計、202 12時間針、210 30分計、212 30分針、222 センター針、300 曜日計、302 曜日針、310 第2時計、312 24時間針