JP2011021536A - 遠心ファン - Google Patents

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Abstract

【課題】略正方形という定められた形状のハウジングを有する小型の遠心ファンにおいて、風量特性を損なうことなく、むしろ風量特性を向上させるとともに、電子部品の実装スペースを十分に確保できる遠心ファンを提供する。
【解決手段】遠心ファンは、インペラの最大径が描く仮想円をQとし、仮想円Qとの接線のうち、ハウジングの排気口を構成する辺と平行な直線をTとし、接線Tと仮想円Qとの接点をPとし、接点Pと排気口を構成する辺との最短距離をaとし、排気口と向かい合う外壁3223を構成する辺と内周壁が形成する曲線との最短距離をbとする。このとき、a<bの関係が成り立つ。
【選択図】図3

Description

本発明は、送風に用いられる遠心ファンに関する。
従来より、送風ファンには、軸流ファンと遠心ファンとの2種類が存在する。一般に、軸流ファンは風量特性が高く、遠心ファンは静圧特性が高い、という特徴がある。
ここで、ノートパソコンのように、電子部品が内部に密集している電子機器の冷却には、風量特性よりも静圧特性が要求される傾向が強い。特に、ノートパソコンの冷却に用いられる小型送風ファンとしては、一般に遠心ファンが選択される。
遠心ファンでは、ハウジングの内部において、モータを構成する有蓋円筒状のハブの外側面に複数の翼を有するインペラ部が設けられ、軸方向に吸気して径方向に排気が行われる。遠心ファンのハウジングは、通常、モータが固定されるベースと、エアの流路となる側壁と、側壁の上端を塞ぐカバーと、を備える。
静圧特性を得るために、風量特性が犠牲にされがちな小型遠心ファンにおいては、いかにして風量を確保するかが重要なテーマとなる。
この点、風量を確保するためには、まずハブの径を小さくすることで吸気量を多くすることが考えられる。ハブの径を小さくすると、これに伴いハブの下方に配置されている回路基板も小さくする必要がある。しかしながら、実装される電子部品の微小化には技術的な限界があるため、ハブの下方に配置された回路基板のスペースだけでは、電子部品を実装する上で限界がある。そこで、この電子部品実装のためのスペースを、いかに確保するかが問題となる。
そこで、例えば特開2007−218234号公報では、軸方向に関してハウジングの両側に吸気口を設ける、いわゆる両面吸気型の遠心ファンにおいて、ベース側の吸気口の一部を塞ぎ、その上に設けられた回路基板に電子部品の一部を配置している例が開示されている。
また、特開2001−241395号公報では、電子部品や回路基板を、有蓋円筒状のロータの下方およびカバー材の側壁の内壁より径方向外方で、且つ、カバー材の側壁の外側面より内方の部分に配置した遠心ファンが開示されている。
特開2007−218234号公報 特開2001−241395号公報
しかしながら、特開2007−218234号公報開示の技術のように、両面吸気型の遠心ファンにおいて、回路基板をハブ下方領域から径方向外方に、はみ出す領域に広げて配置すると、回路基板が風洞内に掛かる場合、風の流路に対する障害となりうる。電子部品を、インペラ部と中心軸方向に対向する回路基板上面に配置した、片面吸気型の小型遠心ファンであれば、小型であるがゆえに、電子部品の軸方向高さが、風の流れに対して抵抗として作用しうる。
また、特開2001−241395号公報のように、小型化が進むと、風洞の割合をできるだけ大きくして、通風のために用いられる空間の送風ファン全体に占める割合を大きくしよう、という設計が指向される。しかし、風洞内を避けて風洞よりも径方向外方のハウジング内に回路基板を配置しようとしても、必要な電子部品を実装するのに、十分な回路基板スペースが確保できない、といったこともある。
特に、略正方形のハウジングを有する遠心ファンにおいて、この問題は顕著であり、電子部品を実装するスペースの確保と、風量特性を維持するための風洞の確保とは、両立が難しい。
本発明の目的は、略正方形という定められた形状のハウジングを有する小型の遠心ファンにおいて、風量特性を損なうことなく、むしろ風量特性を向上させるとともに、電子部品の実装スペースを十分に確保できる遠心ファンを提供することにある。
本発明の一側面における遠心ファンは、中心軸を中心とする有蓋略円筒状のハブと、前記ハブの外側に周方向に配列されるインペラと、前記ハブの内側に取り付けられるマグネットと、前記マグネットと径方向に対向する電機子と、前記中心軸を中心に前記電機子に対して前記ハブを回転可能に支持する軸受機構と、前記軸受機構を保持する軸受ハウジングと、前記軸受ハウジングの下端部を支持するベースと、前記インペラを径方向外方から囲む内周壁を有し、排気口を形成する側壁と、前記側壁の中心軸方向上側に位置するとともに、吸気口が設けられたカバーと、前記ベースと、前記側壁と、前記カバーとを備える略正方形のハウジングと、前記ベースの上面に配置される回路基板と、前記回路基板上に形成され、電子部品で構成される制御回路部と、を備え、前記インペラの最大径が描く仮想円をQとし、前記仮想円Qとの接線のうち、前記ハウジングの排気口を構成する辺と平行な直線をTとし、前記接線Tと前記仮想円Qとの接点をPとし、前記接点Pと前記排気口を構成する辺との最短距離をaとし、前記排気口と向かい合う前記側壁を構成する辺と前記内周壁が形成する曲線との最短距離をbとしたとき、a<bの関係が成り立つ。
本発明の遠心ファンによれば、ハウジングのベースにおける風洞部外領域のうち、風洞部外上流領域上または風洞部外中流領域上に、回路基板が位置する。そのため、ハブの下方に位置する回路基板に加えて、ハウジングの風洞部外上にも回路基板を配置できる。したがって、電子部品を実装する自由度が増大する。
なお、本明細書中では、説明の便宜上、中心軸Oに沿ってハウジングのカバー側を上側、ハウジングのベースを下側とする。しかし、実用に際して、中心軸Oは、必ずしも重力方向に一致する必要はない。
図1は、遠心ファン1の外観を示す斜視図である。 図2は、本発明の第一の実施形態に係る、小型の遠心ファン1の内部構成を示す縦断面図である。 図3は、ベース33の平面図である。 図4は、ベース33および回路基板4を示す平面図である。 図5は、ベース33および回路基板4の変形例を示す平面図である。 図6は、本発明の第2の実施形態に係る、ベース33aおよび回路基板4aを示す平面図である。 図7は、一般的な遠心ファン1’のベース33’を示す平面図である。
<<第1の実施形態>>
<全体の構成>
図1および図2に示すように遠心ファン1は、インペラ213と、所定の中心軸Oを中心に回転するモータ部2と、モータ部2を収容するハウジング3と、を備える。このハウジング3は、略正方形のカバー31とベース33を有する略直方体をしており、一側面には開口34が形成される。この開口34は、後述するように、遠心ファン1の排気口となるため、以下、「排気口34」という。ハウジング3の上面(カバー31)にも、カバー開口311が設けられる。カバー開口311は、遠心ファン1の吸気口となる。
<モータの構成>
図2に示すように、モータ部2は、回転体であるロータ部21と、固定体であるステータ部22と、を有する。ロータ部21は、軸受機構23によりステータ部22に対して回転可能に支持される。ロータ部21は、ハブ211と、インペラ213と、を有する。ハブ211は、中心軸Oを中心とする略有蓋円筒状であり、ステータ部22側に(図2中の下方)に向かって開口している。インペラ213は、インペラカップ215の外周面に配列された複数の翼214を有している。インペラカップ215は、中心軸Oを中心とする略円筒状をしている。本発明は小型遠心ファンに関するものであり、ハブ211の直径は20mm以下とするのが好ましい。ハブ211は、インペラカップ215の内部に挿入されて固定される。複数の翼214は、ハブ211の外側にて中心軸Oを中心として環状に配列される。なお、本軸受機構23は、すべり軸受を用いている。
図2に示すように、ハブ211には、多極に着磁された円環状の界磁用磁石212が、ハブ211の開口部側から挿入されて、内側面に固定される。また、ハブ211の蓋部分の中央には、軸受機構23のシャフト231の挿入される挿入孔が形成されている。この挿入孔に、シャフト231の固定端側(すなわち、ロータ部21側)が挿入されて、シャフト231がハブ211に固定される。
図2に示すように、シャフト231の自由端側は、含油性の多孔質金属体からなる円筒状のスリーブ232に挿入されている。スリーブ232は、有底円筒状の軸受ハウジング221に挿入されて固定される。シャフト231およびスリーブ232により、軸受機構23が構成される。軸受ハウジング221は、ハウジング3のベース33に取り付けられているので、軸受機構23は、中心軸Oを中心にし、ハブ211をハウジング3に対して回転可能に支持している。
なお、軸受機構23は、シャフト231およびスリーブ232の組合せ以外に、例えば、ボール軸受を利用するもの等であってもよい。また、軸受ハウジング221内の底面における、シャフト231の自由端側の端面に対向する位置には、スラストプレート222が設けられる。スラストプレート222は、低摩擦性の合成樹脂材にて形成され、中心軸O方向に関してシャフト231を支持する。
軸受ハウジング221の周囲には、電機子223が配置され、電機子223の巻線は端子2231に接続される。端子2231は、回路基板4上にて半田により接続される。これにより、微小な電機子223が、回路基板4に容易に電気的に接続される。なお、回路基板4は、可撓性を有するもの(例えば、FPC(Flexible Printed Circuit))であってもよい。
遠心ファン1では、回路基板4から電機子223に供給される電流が制御されることにより、界磁用磁石212と界磁用磁石212の内側(中心軸O側)に配置される電機子223との間で、中心軸Oを中心とするトルク(回転力)が発生する。すなわち、界磁用磁石212および電機子223が、駆動機構を構成する。そして、ハブ211に固定されたインペラ213が、ハブ211とともに所定の回転方向に回転する。
図2に示すように、ハウジング3は、中心軸Oに垂直な方向に広がる板状のベース33を有している。回路基板4は、ベース33の上面であるカバー31側の面に固定される。ベースに設けられた中心軸Oを中心とするベース固定孔331と、回路基板4に設けられた中心軸Oを中心とする回路基板固定孔41とが、それぞれ形成される。軸受ハウジング221の下側の端部は、ベース固定孔331と回路基板固定孔41とに挿入される。
<ハウジングの構成>
図1に示すように、ハウジング3の外形は、中心軸方向Oの上側から見ると、略正方形となっている。ハウジング3は、上面を形成するカバー31と、下面を形成するベース33と、側壁部32と、排気口34と、から構成される。側壁部32は、カバー31とベース33とをつなぎ、翼214の先端、すなわちインペラ213の最大径をつなぐ仮想円Qの外周と径方向に対向している。
カバー31、側壁部32、ベース33は、これらすべてを金属で形成してもよいし、すべてを樹脂で形成してもよいが、種々変更が可能である。例えば、カバー31およびベース33は、鋼板等の金属板で形成され、側壁部32は樹脂にて形成すると好ましい。この場合、カバー31およびベース33を金属板で形成することにより、モータ部2の電機子223の巻線に発生する熱などを、効果的に外部へ放出することができる。また、カバー31およびベース33を形成する金属板をプレス成形することで、樹脂でカバー31およびベース33を形成する場合に比べ、遠心ファン1の軸方向の寸法を抑えることができ、薄型化が可能となる。
図1および図3に示すように、カバー31は吸気口となるカバー開口311を有している。側壁部32は、流路を形成する内周壁321と、ハウジング3の外側面を形成する外壁322と、からなる。ベース33は、ベース固定孔331と、ハブ配置部332と、風洞形成部333と、風洞部外領域334と、からなる。図2に示すように、ベース固定孔331は、軸受ハウジング221を固定する。図3に示す環状領域のハブ配置部332は、中心軸O方向にモータ部2と対向し、回転するハブ211の開口と対向する。風洞形成部333は、風洞35の一部を形成する。
風洞部外領域334は、図4に示すように、中心軸Oを中心として、舌部37付近から排気口34までインペラ214の回転方向Y1に沿って、風洞部外舌部領域3341、風洞部外上流領域3342、風洞部外中流領域3343、風洞部外下流領域3344に分けられる(図4)。風洞部外舌部領域3341は、内周壁321と、ハウジング3の排気口34側の外壁3221と、舌部37側の外壁3222と、で囲われる領域をいう。風洞部外上流領域3342は、内周壁321と、ハウジング3の舌部37側の外壁3222と、排気口34と向かい合う外壁3223と、で囲われる領域をいう。風洞部外中流領域3343は、内周壁321と、ハウジング3の排気口34と向かい合う外壁3223と、舌部37と向かい合う外壁3224と、で囲われる領域をいう。風洞部外下流領域3344は、内周壁321と、ハウジング3の舌部37と向かい合う外壁3224と、排気口34側の外壁3221と、で囲われる領域をいう。風洞部外領域334は、カバー31と側壁部32を合わせて閉塞される。図3に示すように、ハウジング3の四隅の2箇所には、当該遠心ファン1を各種機器に取り付けるためのネジ孔36が二箇所形成されている。
<流路について>
次に図4に基づき、流路について説明する。ハウジング3の側面の一つには、排気口34が形成されている。ハウジング3の内部には、風洞35が形成される。風洞35は、軸方向上側をカバー31によって、下側をベース33によって、径方向をインペラカップ215の外周と側壁部の内周壁321によって、囲われた空間である。また、この風洞35は、中心軸Oを中心とする略渦巻き形状をしており、排気口34に向かうエアの流路となる。さらに、風洞35の幅は、インペラ中心軸Oから内周壁321までの距離が、舌部37側から下流側にかけて漸次増大する。なお、この風洞35は、インペラ中心軸Oから内周壁321までの距離が、舌部37側から下流側にかけて一定でもよい。
図3に示すように、ハブ配置部332の周囲には、リブ3334と風洞形成部333とによって、2つに区分されたベース開口部3331,3333は、それぞれ中心軸Oを中心とする円弧状に形成される。ハブ配置部332の周囲に配置されるベース開口部3331,3333は、カバー31に設けられるカバー開口311(図1参照)とともに、遠心ファン1の吸気口としての役割を果たす。そのため、以下の説明において、ベース33のベース開口部3331,3333を、それぞれ下側吸気口3331,3333と呼び、カバー31のカバー開口部311を上側吸気口311と呼ぶ。なお、ベース開口部は、リブの本数によって、区分される数が変更されることは言うまでもない。
図1に示すように、遠心ファン1では、ハブ211に取り付けられたインペラ213が、中心軸O方向上側から見て時計回り(図4中にて矢印Y1にて示す回転方向)に回転する。インペラ213が回転することにより、下側吸気口3331,3333と、上側吸気口311(図1参照)の双方から、遠心ファン1の近傍のエアがハウジング3内へと取り込まれる。取り込まれたエアは、インペラ213の回転方向におよそ沿うとともに、遠心力により中心軸Oから離れる方向に誘導され、風洞35を経由して、排気口34から排出される。このように、遠心ファン1では、エアが中心軸O方向に吸気され、中心軸Oから離れる径方向に排気されて、送風が行われる。このとき、排気口34では、流路における回転方向の最下流端部の近傍にて、風量が最大となる。ここでいう、流路における回転方向の最下流端部の近傍とは、図4中の右下端近傍をさす。
<制御回路について>
図4に示すように、制御回路部は、回路基板4と、複数の電子部品48(481,482,483)と、端子部49と、を備える。複数の電子部品48は、回路基板4上に実装され、電機子223への通電を制御する。端子部49は、複数の電子部品48を配線パターンでつなぎ、外部電源等に接続する導線を半田付けする。また、複数の電子部品48は、少なくともコンデンサ、ホール素子、抵抗、トランジスタ、IC等の体積の大きな素子を含んでいる。
<回路基板について>
図4に示すように、回路基板4は、回路基板固定孔41と、ハブ対応部42と、風洞対応部43と、風洞部外領域対応部44と、を有する。回路基板固定孔41は、軸受ハウジング221を固定する。ハブ対応部42は、回転するハブ211の開口と対向するベース33のハブ配置部332上と対応する部位である。風洞対応部43は、ハブ対応部42から径方向に延び、風洞部外領域対応部44につながる。風洞部外領域対応部44は、ベース33の風洞部外領域334の風洞部外上流領域3342上に位置する。風洞部外領域対応部44は、内周壁321と、ハウジング3の外壁322と、で囲われる領域に形成される。風洞部外領域対応部44は、さらに周方向に広がる風洞部外領域延設部45を有する。
次に、図3および図4に基づいて、電子部品48の配置について説明する。ベース33には、回路基板4と重なる位置に、2つの電子部品収納孔部3335,3336が形成されている。電子部品収納孔部3335内には、回路基板4の吸気口対応部461に実装される電子部品481が収納される。さらに、回路基板4のハブ対応部42上において、界磁用磁石212と中心軸O方向に対向する位置には、モータ部2の回転速度を検出するためのホール素子482が設けられている(図2参照)。ホール素子482は、電子部品収納孔部3336内に収納される。このような構成により、遠心ファンの中心軸O方向(高さ方向)の厚みを抑えることができ、薄型化を実現することができる。なお、回路基板4の他の部分に電子部品実装の容量が十分に確保できる場合は、ベース33の電子部品収納孔部3335,3336を設けなくてもよい。また、電子部品48を風洞形成部333上に配置しない構造としてもよい。
加えて、電子部品48は、風洞部外領域対応部44または風洞部外領域延設部45にも、少なくとも一つ配置されている。この電子部品48は、例えば、コンデンサなどの電子部品483である。この電子部品483は、モータ部2の電機子223への通電を制御し、モータ直下のハブ対応部42から延びる配線によって、その他の電子部品48と電気的につながれている。
この電子部品483は、体積の大きな部品である。このような電子部品483をハブ対応部から除くことにより、ハブ対応部42の面積を狭くでき、風洞35をより広く形成することができる。また、体積が大きく高さのある電子部品48をハブ対応部42に配置せずに、風洞部外領域対応部44に置くことにより、モータ部2内の中心軸O方向高さを低くすることができる。その結果、モータの薄型化を実現することができる。
<中心軸Oについて>
図3に示すように、本実施形態に係るハウジング3の外形は、中心軸方向Oの上側から見ると、略正方形となっている。その中心の点を、ハウジング中心点Cとする。インペラの翼が回転して描かれる仮想円Qの接線のうち、ハウジング3の排気口側の外壁3221がなす辺と平行な接線をTとする。そして、接線Tと仮想円Qとの接点をPとする。接線Tとハウジング3の舌部37側の外壁3222がなす辺との交点をIとする。
このとき、接点Pとハウジング3の排気口側の外壁3221がなす辺との最短距離をaとする。ハウジング3の排気口34と向かい合う外壁3223がなす辺と、内周壁321が形成する曲線との最短距離をbとする。このとき、本実施形態では、a<bの関係が成り立つ。このように、距離bが距離aより長いことは、風洞部外領域334の特に風洞部外上流領域3342および風洞部外中流領域3343が広いことを示す。すなわち、電子部品483を実装するスペースが大きく確保できる。
また、中心軸Oは、ハウジング中心点Cと接点Pと交点Iとで囲われ、ハウジング中心点Cを除く領域に存在する。すなわち、本実施形態におけるインペラ213の中心軸Oは、ハウジング中心点Cよりも、ハウジング3の舌部37側の外壁3222寄りに位置し、そして、ハウジング3の排気口側の外壁3221寄りに位置している。これによって、排気口付近の風の出口角を広くとることができ、インペラの径・形状・羽根の枚数等の条件が同一の場合、風量を増大させることができる。ここで、出口角とは、ベース33における排気口を形成する辺が、ハウジング3の内周壁321の舌部37側と交わる点を始点Sとし、ハウジング3の内周壁321の下流側と交わる点を終点Eとしたとき、始点S、中心軸O、終点Eがなす角度dをいう。
ここで、本発明との比較のために、図7にハウジング3’の外形が、中心軸方向O’の上側から見ると、略正方形となっている一般的な遠心ファン1’を示す。ここで、接点P’とハウジング3’の排気口側の外壁がなす辺との最短距離をa’とする。また、ハウジング3’の排気口と向かい合う外壁がなす辺と、内周壁が形成する曲線との最短距離をb’とする。このとき、a’<b’の関係が成り立たない。また、この遠心ファン1’の中心軸O’は、ハウジング中心点C’と接点P’と交点I’とで囲われる領域に存在しない。
このことから、本実施形態における略正方形のハウジング3を有する遠心ファン1は、略正方形のハウジング3’を有する一般的な遠心ファン1’に比べて、a’よりもb’の距離が長い。すなわち、ハウジング3の排気口34と向かい合う外壁3223がなす辺と、内周壁321が形成する曲線との間の風洞部外領域334が、広く形成されている。そのため、回路基板4の風洞部外領域対応部44が、広く設けられる。よって、回路基板4における有蓋略円筒状のハブ211の外周面と、中心軸方向に対向する領域内に実装が困難な電子部品483を、回路基板4の風洞部外領域対応部44上に配置することができる。
また、本実施形態の略正方形のハウジング3を有する遠心ファン1は、略正方形のハウジング3’を有する一般的な遠心ファン1’に比べて、中心軸Oがハウジング3の排気口側の外壁3221寄りに位置している。ここで、本実施形態の略正方形のハウジング3を有する遠心ファン1と略正方形のハウジング3’を有する一般的な遠心ファン1’において、ハブ211とインペラ213の径とは同じものであると仮定すると、図3と図7に示すように、本実施形態の遠心ファン1におけるインペラ213の最大径をつなぐ仮想円Qの方が、略正方形のハウジング3’を有する一般的な遠心ファン1’における仮想円Q’に比べて、排気口により近い辺に描かれる。ゆえに、出口角についても、略正方形のハウジング3’を有する一般的な遠心ファン1’における出口角d’より本実施形態の遠心ファン1における出口角dの方が大きくなり、風量特性を向上させることができる。なお、前述した、a<bの関係に関して、より好適には2a<bの関係を満たす構成とする。これにより、風洞部外領域334における電子部品実装の自由度確保と、出口角の広角化を図って風量特性を向上させる効果とを、同時に、またより有効に実現できる。
また、本実施形態は、回路基板4の風洞部外領域対応部44が、ハウジング3の舌部37側の外壁3222と、排気口34と向かい合う外壁3223との交差する部位近傍に形成される。したがって、回路基板4の風洞対応部43は、風洞35の上流の一部を塞ぐように設けられる。吸気効率は、風洞35の上流において、極小であることが知られている。このため、遠心ファン1では、流路の妨げになる度合いを低減でき、流路を効率よく形成することができる。
なお、本実施形態の遠心ファン1は、カバー31とともに設けられた側壁32の内周壁321の一部とベース33とで、回路基板4を挟み込む構造となっている。これにより、回路基板4のたわみや変形を効果的に防止でき、簡便に固定することが可能となる。側壁32の内周壁321の回路基板4に当接する部位を、回路基板4の厚みを考慮して切欠くことによって、より安定して固定することができる。
回路基板の配置は、取付穴やリード線引き回し方向を考慮して、図5に示すように、回路基板4の風洞部外領域対応部44が、ベース33の風洞部外中流領域3343上に配置されてもよい。
<<第2の実施形態>>
図6は、本発明の第2の実施形態に係るベース33aおよび回路基板4aを示す平面図である。遠心ファン1aの構造は、第1の実施形態とほぼ同様であり、回路基板4aの形状が異なっている。他の構成要素については、第1の実施形態と同様の符号を付している。
回路基板4aは、第1の実施形態と異なる形状となっている。詳しくは、回路基板4aは、回路基板固定孔41と、環状領域のハブ対応部42と、風洞対応部43と、風洞部外領域対応部44aと、から構成される。風洞部外領域対応部44aは、ベース33aの風洞部外領域334の風洞部外中流領域3343上に位置する。風洞部外領域対応部44aは、内周壁321と、ハウジング3の外壁322と、で囲われる領域に形成される。風洞部外領域対応部44aは、さらに周方向に広がる風洞部外領域延設部45aを有する。風洞部外領域延設部45aは、風洞部外領域対応部44aからハウジング3の排気口34と向かい合う外壁3223と、舌部37と向かい合う外壁3224の交差する部位近傍に向かって拡がる。
第2の実施形態では、回路基板4aの風洞部外領域対応部44aと風洞部外領域延設部45aとが、ベース33aの風洞部外上流領域3342上と風洞部外中流領域3343上とに、またがって配置されている。そのため、第1の実施形態および第2の実施形態と比較して、電子部品483aを実装するスペースが広く設けられている。そのため、電子部品483を実装する自由度が増す。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、所定の中心軸Oを、よりハウジング3の排気口側の外壁3221寄りに、位置させてもよい。そうすると、インペラ213の最大径をつなぐ仮想円Qは、より排気口34に近づいて描かれる。このとき、a<bの関係は、より顕著になり、ベース33の風洞部外上流領域3342と風洞部外中流領域3343のスペースが拡がる。回路基板4の風洞部外領域対応部44も、この広がりに対応して、拡張することが可能となる。
また、カバー31およびベース33に形成される吸気口についても、必ずしもカバー31とベース33のどちらにも形成される両面吸気型である必要はなく、カバー31もしくはベース33のいずれか一方のみに形成される片面吸気型であってもよい。
1 遠心ファン
2 モータ部
211 ハブ
3 ハウジング
31 カバー
32 側壁部
321 内周壁
322 外壁
3221 排気口側の外壁
3222 舌部側の外壁
3223 排気口と向かい合う外壁
3224 舌部と向かい合う外壁
33 ベース
331 固定孔
332 ハブ配置部
333 風洞形成部
334 風洞部外領域
3341 風洞部外舌部領域
3342 風洞部外上流領域
3343 風洞部外中流領域
3344 風洞部外下流領域
34 排気口
35 風洞
4 回路基板
41 固定孔
42 ハブ対応部
43 風洞対応部
44 風洞部外領域対応部
45 風洞部外領域延設部
48 電子部品
49 端子部

Claims (5)

  1. 中心軸を中心とする有蓋略円筒状のハブと、
    前記ハブの外側に周方向に配列されるインペラと、
    前記ハブの内側に取り付けられるマグネットと、
    前記マグネットと径方向に対向する電機子と、
    前記中心軸を中心に前記電機子に対して前記ハブを回転可能に支持する軸受機構と、
    前記軸受機構を保持する軸受ハウジングと、
    前記軸受ハウジングの下端部を支持するベースと、
    前記インペラを径方向外方から囲む内周壁を有し、排気口を形成する側壁と、
    前記側壁の中心軸方向上側に位置するとともに、吸気口が設けられたカバーと、
    前記ベースと、前記側壁と、前記カバーとを備える略正方形のハウジングと、
    前記ベースの上面に配置される回路基板と、
    前記回路基板上に形成され、電子部品で構成される制御回路部と、
    を備え、
    前記インペラの最大径が描く仮想円をQとし、
    前記仮想円Qとの接線のうち、前記ハウジングの排気口を構成する辺と平行な直線をTとし、
    前記接線Tと前記仮想円Qとの接点をPとし、
    前記接点Pと前記排気口を構成する辺との最短距離をaとし、
    前記排気口と向かい合う前記側壁を構成する辺と前記内周壁が形成する曲線との最短距離をbとしたとき、
    a<bの関係が成り立つ、
    遠心ファン。
  2. 請求項1に記載の遠心ファンにおいて、
    前記ハウジングの中心点をCとし、
    前記接線Tと前記ハウジングの舌部側の前記側壁がなす辺との交点をIとしたとき、
    前記中心点Cと前記接点Pと前記交点Iとで囲われ、前記中心点Cを除く領域に、前記中心軸Oが存在している、
    遠心ファン。
  3. 請求項1または2に記載の遠心ファンにおいて、
    前記ベースは、前記側壁と前記内周壁に囲まれる風洞部外領域を有し、
    前記風洞部外領域は、前記中心軸Oを中心として、前記舌部付近から前記排気口まで前記インペラの回転方向に沿って、風洞部外舌部領域、風洞部外上流領域、風洞部外中流領域、風洞部外下流領域からなり、
    前記回路基板は、前記中心軸方向において前記ハブの下方に位置するハブ対応部と、前記風洞部外上流領域の上方に位置する風洞部外上流領域対応部と、を備える、
    遠心ファン。
  4. 請求項1または2に記載の遠心ファンにおいて、
    前記ベースは、前記側壁と前記内周壁に囲まれる風洞部外領域を有し、
    前記風洞部外領域は、前記中心軸Oを中心として、前記舌部付近から前記排気口まで前記インペラの回転方向に沿って、風洞部外舌部領域、風洞部外上流領域、風洞部外中流領域、風洞部外下流領域からなり、
    前記回路基板は、前記中心軸方向において前記ハブの下方に位置するハブ対応部と、前記風洞部外中流領域の上方に位置する風洞部外中流領域対応部と、を備える、
    遠心ファン。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の遠心ファンにおいて、
    前記ハブの直径が20mm以下である、
    遠心ファン。
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