JP2011021488A - 燃料供給方法及び燃料供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガソリンとアルコールとの混合燃料からガソリンとアルコールとを分離して内燃機関に供給する際に、混合燃料の残量に対してアルコールの残量が少なくなった場合でも、ノッキングさせることなく内燃機関の出力の低下を抑制する。
【解決手段】 割合センサ14とメイン燃料残量センサ15と残量算出部171とで、メインタンク2に収容された混合燃料のエタノール残量を計測する。計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、混合燃料収容タンク2内から分離タンク3内に送られて混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加え、水含有率が増加したアルコール水溶液を内燃機関4に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】 割合センサ14とメイン燃料残量センサ15と残量算出部171とで、メインタンク2に収容された混合燃料のエタノール残量を計測する。計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、混合燃料収容タンク2内から分離タンク3内に送られて混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加え、水含有率が増加したアルコール水溶液を内燃機関4に供給する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ガソリンとアルコールとの混合燃料を使用する内燃機関の燃料供給方法及び燃料供給システムに関する。
近年、CO2排出削減などの環境対策を目的として、ガソリンにアルコール(例えば、エタノール)を添加してなる混合燃料のように、オクタン価が相違する2種類の燃料を混合した混合燃料を使用した運転を行うことが可能な内燃機関が開発されている。
エタノールは、ガソリンと比較するとオクタン価が高く、火花点火燃焼内燃機関に用いた場合の高負荷での運転に適している。特にエタノールは、全負荷において内燃機関の高出力を得ることができる。これに対し、ガソリンは、エタノールと比較するとオクタン価が低いため、低負荷領域や始動時の燃焼を改善するのに適している。
内燃機関を推進力発生源として搭載した車両を考えた場合、運転経路や運転者の運転特性、外気条件などによって運転状態が変化する。そのため、エタノールとガソリンの消費量の割合は一定とはならず、一方の燃料だけが多く消費されてなくなってしまうという問題があった。
このような問題を改善するために、従来から種々の技術が考えられている。2種類の燃料を適切に使用する従来技術として、例えば、特許文献1には、内燃機関の負荷、回転数及び2種類の燃料残量に基づいて、2種類の燃料(エタノールとガソリン)の使用比率を変更する技術が開示されている。
具体的には、内燃機関の負荷と回転数に基づいて、運転状態に適合した燃料(一方の燃料又は両方の燃料)を選択する。そして、適合した燃料が一方の燃料の場合、適合した燃料の残量が予め定められた最小値より多ければ適合した燃料を使用し、適合した燃料の残量が最小値以下であれば他方の燃料を使用して火花点火燃焼とする。また、適合した燃料が両方の種類の燃料の場合、どちらか一方の種類の燃料の残量が最小値以下であれば他方の燃料のみを使用し、両方の燃料の残量が最小値より多ければ残量の多い方の燃料の使用比率(混合比)を大きくする。
この技術では、2種類の燃料を使用する際に、両方の燃料の残量が共に最小値より多い場合には残量がより多いほうの燃料の使用比率を大きくするようにしているため、一方の燃料だけが多く消費されてなくなることを抑制することができる。
しかしながら、2種類の燃料にはそれぞれ適した負荷領域がある。上記特許文献1に記載の従来技術では、一方の燃料の残量が最小値以下になると他方の燃料だけを使用するため、例えば、エタノールが最小値以下になるとガソリンだけを使用することになる。そのため、特に、要求負荷が全負荷(最大の要求負荷)であるときにノッキングを発生しやすくなり、全負荷に対応する本来の出力トルク(エタノールを十分に使用した場合に発生させ得る出力トルク)を内燃機関に発生させることができないという問題があった。
また、両方の燃料の残量が共に最小値より多い場合には、残量がより多い方の燃料の使用比率を高くするようにしているため、2種類の燃料の割合が要求負荷に対して適切な割合となるとは限らない。そのため、一方の燃料だけが多く消費されることを抑制することはできるが、要求負荷が全負荷のときに全負荷に対応する本来の出力トルクを内燃機関に発生させることができるとは限らないという問題があった。
例えば、全開状態での長時間運転等のように、エンジンの運転状況により、分離した含水アルコールの残量が極端に低下する場合がある。その結果、エンジンの要求負荷に適した量の含水アルコールを供給することが困難になり、高負荷領域ではエンジン出力の低下を招く恐れがある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ガソリンとアルコールとの混合燃料からガソリンとアルコールとを分離して内燃機関に供給する際に、混合燃料の残量に対してアルコールの残量が少なくなった場合でも、ノッキングさせることなく内燃機関の出力の低下を抑制することができる燃料供給方法及びシステムを提供することを目的とする。
本発明は、混合燃料収容タンクに収容されたガソリンとアルコールとの混合燃料からガソリンとアルコールを分離し、分離したガソリンとアルコールを少なくとも内燃機関の要求負荷に応じて設定した噴射割合で内燃機関に供給する燃料供給方法であって、前記混合燃料収容タンク内のアルコール残量を計測するアルコール残量計測ステップと、前記アルコール残量計測ステップで計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、前記混合燃料収容タンク内の混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加え、水含有率が増加したアルコール水溶液を前記内燃機関に供給するアルコール供給ステップとを備えることを特徴とする。
本発明の燃料供給方法によれば、混合燃料収容タンク内のアルコール残量を計測し、その計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、前記混合燃料収容タンク内の混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加え、水含有率が増加したアルコール水溶液を前記内燃機関に供給する。これにより、エンジンの運転状況によって、分離した含水アルコールの残量が極端に低下した場合でも、エンジンの要求負荷に適した量の水を含んだアルコールを供給することができ、ノッキングを抑制することができる。また、エンジンに供給するアルコール水溶液におけるアルコールの割合が少なくて済み、アルコールの消費量を節減することができる。
本発明の燃料供給方法において、前記アルコール供給ステップでは、前記混合燃料から分離したアルコール水溶液をアルコールタンク内に溜め、該アルコールタンクからアルコールの供給路を介して前記内燃機関に前記アルコール水溶液を供給するようにし、該アルコール供給路又は前記アルコールタンク内に水を加えることが好ましい。
この燃料供給方法によれば、混合燃料から分離したアルコール水溶液を内燃機関に供給するアルコール供給路、又はアルコール水溶液を溜めるアルコールタンク内に水を加えるので、アルコール水溶液の水含有量を容易且つ的確に増量することができる。
また、本発明は、ガソリンとエタノールとの混合燃料を収容する混合燃料収容タンクと、該混合燃料収容タンクに収容された混合燃料のガソリンとエタノールとを上下に分離させた状態で収容する分離タンクとを備え、該分離タンクからガソリンとエタノールとを各別に内燃機関に供給する燃料供給システムにおいて、前記混合燃料収容タンク内のアルコール残量を計測するアルコール残量計測手段と、前記アルコール残量計測手段で計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、前記分離タンク内で混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加える水供給手段と、該水供給手段により水含有率が増加したアルコール水溶液を前記内燃機関に供給するアルコール供給手段とを備えることを特徴とする。
本発明の燃料供給システムによれば、混合燃料収容タンク内のアルコール残量が計測され、その計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、前記混合燃料収容タンク内の混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加えて水含有率が増加したアルコール水溶液が前記内燃機関に供給される。これにより、エンジンの運転状況によって、分離した含水アルコールの残量が極端に低下した場合でも、エンジンの要求負荷に適した量の水を含んだアルコールを供給することができ、ノッキングを抑制することができる。また、エンジンに供給するアルコール水溶液におけるアルコールの割合が少なくて済み、アルコールの消費量を節減することができる。
本発明の燃料供給システムにおいて、前記アルコール供給手段は、前記分離タンク内で混合燃料から分離したアルコール水溶液を溜めるアルコールタンクと、該アルコールタンクから前記内燃機関に前記アルコール水溶液を供給するアルコール供給路とで構成され、前記水供給手段は、前記アルコール供給路の途中で或いは前記アルコールタンク内に、水を加えるように構成されることが好ましい。
この燃料供給システムによれば、混合燃料から分離したアルコール水溶液を内燃機関に供給するアルコール供給路、又はアルコール水溶液を溜めるアルコールタンク内に水が加えられるので、アルコール水溶液の水含有量を容易且つ的確に増量することができる。
本発明のいずれの態様によっても、混合燃料の残量に対してアルコールの残量が少なくなった場合のアルコールの消費量を少なくして混合燃料に対するアルコールの残量の低下を抑制し、要求負荷が全負荷のときのアルコールの噴射量を維持することが可能となり、混合燃料の残量に対してアルコールの残量が少なくなった場合でも、内燃機関の出力トルクの低下を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。また、以下の実施形態では、アルコールとしてエタノールを用いた場合を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の燃料供給方法が適用される内燃機関の燃料供給システム1の構成を概略的に示す図である。図示の燃料供給システム1は、ガソリンとエタノールとの混合燃料を収容するメインタンク2と、メインタンク2に収容された混合燃料のガソリンとエタノールとを上下に分離させた状態で収容する分離タンク3とを備え、分離タンク3からガソリンとエタノールとを各別に内燃機関4に供給する。なお、メインタンク2は、本発明における混合燃料収容タンクに相当する。
内燃機関4は、本実施形態では、図示を省略する複数の気筒(例えば4気筒)を有する火花点火方式の内燃機関であり、その各気筒毎に、ガソリン用の燃料噴射弁5とエタノール用の燃料噴射弁6とを備えている。図1では、1気筒分の燃料噴射弁5,6を代表的に図示している。これらの燃料噴射弁5,6は、本実施形態では、ポート噴射方式による燃料噴射を行う燃料噴射弁である
内燃機関4は、圧縮着火方式や予混合圧縮着火方式などの自己着火方式の内燃機関であってもよく、単気筒の内燃機関であってもよい。また、内燃機関4の各気筒に対する2種類の燃料の燃料噴射方式は、ポート噴射方式に限らず、いずれか一方の種類の燃料の燃料噴射方式が筒内噴射方式であってもよい。
内燃機関4は、圧縮着火方式や予混合圧縮着火方式などの自己着火方式の内燃機関であってもよく、単気筒の内燃機関であってもよい。また、内燃機関4の各気筒に対する2種類の燃料の燃料噴射方式は、ポート噴射方式に限らず、いずれか一方の種類の燃料の燃料噴射方式が筒内噴射方式であってもよい。
メインタンク2には、メインタンク2内の混合燃料に水を混合してなる混合液を攪拌・加圧して分離タンク3に供給する第1のフィードポンプ7が付設されている。この場合、フィードポンプ7の吸入口は、メインタンク2内の混合燃料の液中に連通される一方、フィードポンプ7の吐出口は、混合燃料供給路10を介して分離タンク3の下部に接続されている。また、メインタンク2及び分離タンク3とは別に設けられた水タンク8が、第1の流量制御弁11を介装した第1の水供給路9aを介して、混合燃料供給路10に介装した第1のインジェクタ16に接続されている。
従って、第1のフィードポンプ7は、その吸入口からメインタンク2内の混合燃料を吸入して混合燃料供給路10に送り込むと共に、第1の流量制御弁11が開弁されることで水タンク8内から水供給路9aに引き込まれた水がインジェクタ16で混合燃料に加えられ、その混合燃料と水との混合液が、混合燃料供給路10を介して分離タンク3に供給される。このとき、後述のECU17からの制御信号で流量制御弁11の開度を制御することにより、混合燃料に混合する水の量を調整することが可能となっている。
分離タンク3は、その内部空間の上部側にガソリンを収容すると共に、下部側にエタノールと水との混合液(エタノール水溶液)を収容するタンクである。
本実施形態では、フィードポンプ7により分離タンク3に供給される混合液は、ガソリンとエタノールとの混合燃料に水を混合したものである。この混合液において、エタノールはガソリンよりも親水性が高い。また、ガソリンの比重は、エタノール及び水の比重よりも小さい。このため、分離タンク3に供給される混合液のうち、その供給過程で混じり合うエタノールと水とから成るエタノール水溶液とガソリンが、分離タンク3内で自然に分離し、分離タンク3の内部空間の上部側と下部側とにそれぞれガソリン、エタノール水溶液が溜まることとなる。
この場合、ガソリンとエタノール水溶液とは、エタノール水溶液の上端面を界面として互いに接した状態で分離タンク3内に収容される。これにより、分離タンク3内でガソリンとエタノール水溶液とが分離して収容されることとなる。
このように、ガソリンとエタノール水溶液とを分離させて収容する分離タンク3の内部空間のうち、ガソリンが溜まる上部側の空間は、分離タンク3の上部から導出されたガソリン供給路12を介してガソリン用の燃料噴射弁5に接続されている。これにより、分離タンク3内の加圧されたガソリンが、ガソリン供給路12を介して燃料噴射弁5に供給される。そして、燃料噴射弁5を開弁することにより、燃料噴射弁5から加圧されたガソリンが噴射され、内燃機関4の気筒に供給される。
なお、分離タンク3内のガソリンが過剰になった(これは、後述の界面センサ23からECU17に送られる信号で検知される。)と判断された場合に、分離タンク3からメインタンク2内にガソリンのみを戻すため、分離タンク3の上部からメインタンク2に連通する戻し路12Rと、この戻し路12Rを通常は閉じているが上記のガソリンを戻すときに開くための開閉弁12vが設けられている。
また、分離タンク3の内部空間のうち、エタノール水溶液が溜まる下部側の空間は、分離タンク3の下部から導出された第1のエタノール供給路13aを介して、エタノールタンク18に接続されている。第1のエタノール供給路13aには、第2の流量制御弁19が介装されている。従って、後述のECU17からの信号で第2の流量制御弁19の開度を制御することにより、分離タンク3から第1のエタノール供給路13aを介してエタノールタンク18に送り込むエタノール水溶液の量を調整することが可能となっている。
エタノールタンク18には、その中に溜まっているエタノール水溶液を加圧してエタノール用の燃料噴射弁6に供給する第2のフィードポンプ20が付設されている。この場合、フィードポンプ20の吸入口は、エタノールタンク18内のエタノール水溶液中に連通される一方、フィードポンプ20の吐出口は、第2のインジェクタ21を介装した第2のエタノール供給路13bを介して燃料噴射弁6に接続されている。
また、第2のインジェクタ21には、第1の水供給路9aから分岐した第2の水供給路9bが接続され、第2の水供給路9bには第3の流量制御弁22が介装されている。従って、この流量制御弁22が開いた状態では、水タンク8内の水が第2のインジェクタ21に供給される。
従って、第2のフィードポンプ20は、その吸入口からエタノールタンク18内の加圧されたエタノール水溶液を吸入して第2のエタノール供給路13bに送り込むと共に、第3の流量制御弁22が開弁されることで、水タンク8内から第2の水供給路9bに引き込まれた水が第2のインジェクタ21でエタノール水溶液に加えられ、水が増量されたエタノール水溶液が、燃料噴射弁6に供給される。このとき、後述のECU17からの信号で第3の流量制御弁22の開度を制御することにより、エタノール水溶液に加える水の量を調整することができる。そして、燃料噴射弁6を開弁することにより、エタノール水溶液が燃料噴射弁6から噴射され、内燃機関4の気筒に供給される。
本実施形態の燃料供給システム1は、上述した構成のほか、メインタンク2内の混合燃料におけるエタノールの含有割合に応じた出力を発生する割合センサ14と、メインタンク2内の混合燃料の残量に応じた出力を発生するメイン燃料残量センサ15と、分離タンク3内の上層と下層の2種燃料(この場合、ガソリンとエタノール水溶液)の境界面を検知する界面センサ23と、エタノールタンク18内のエタノール水溶液中のエタノール濃度を検出するエタノール濃度センサ24とを備えると共に、燃料噴射弁5,6や内燃機関4の点火装置(図示せず)等の動作制御を行う制御装置として、電子制御ユニット(以下、ECUという)17を備えている。
割合センサ14は、メインタンク2内に配置されており、例えば、メインタンク2内の混合燃料中のエタノールの含有割合(濃度)を検出する濃度センサにより構成される。この割合センサ14は、メインタンク2内の混合燃料におけるエタノールの含有割合に応じた出力を発生する。以下、割合センサ14の出力により示される混合燃料中のエタノールの含有割合を「混合燃料エタノール割合」という。この混合燃料エタノール割合は、パーセンテージで表すものとする。
なお、割合センサ14は、混合燃料中のガソリンの含有割合(濃度)を検出する濃度センサにより構成してもよい。この場合、割合センサ14の混合燃料中のガソリンの含有割合をGa_r[%]としたとき、エタノールの含有割合は100−Ga_r[%]となる。割合センサ14は、このようにして混合燃料エタノール割合を求めてもよい。
メイン燃料残量センサ15は、メインタンク2内に配置されており、メインタンク2内に収容されている混合燃料の量(混合燃料残量)を計測する。
なお、割合センサ14とメイン燃料残量センサ15の両センサの機能を1つのセンサで実現するように構成してもよい。
界面センサ23は、分離タンク3内で上層と下層に分離したガソリンとエタノール水溶液との境界面を検知するために、例えば、次のような磁歪式液面変位センサを用いることができる。
磁歪式液面変位センサとは、上下方向に延びるステムと、その上端に設置された制御部と、その下方でステムに沿って上下移動可能に取り付けられたフロートとを備えて構成される検出器であり、フロートは、比重がガソリンとエタノールの中間の値をとる材料で形成され、その内部にマグネットが配置されている。
使用の際には、分離タンク3内の液体にステムと共にフロートを沈めると、フロートは、その比重によりガソリンとエタノール水溶液との境界面に位置する。このとき、制御部からステム内に張られた磁歪線に電流パルスを加えることで磁歪線の円周方向に磁界を発生させ、この磁界とフロート内のマグネットから発する磁界とのベクトルの相違により、フロートの位置で磁歪線に歪が生じ、磁歪信号として検知される。制御部は、フロートで反射される磁歪信号の反射時間を計測することで、フロートの位置、従ってガソリンとエタノール水溶液との境界面を検知し、その位置を示す検知信号を出力することができる。
エタノール濃度センサ24は、エタノールタンク18内に付設され、エタノール水溶液中のエタノールの濃度に応じた出力を発生する。以下、エタノール濃度センサ24の出力が示すエタノールの濃度を「エタノール水溶液濃度」という。
ECU17は、図示しないCPU、RAM、ROMを含む電子回路ユニットであり、割合センサ14、メイン燃料残量センサ15、界面センサ23及びエタノール濃度センサ24の出力が入力されると共に、図示しない各種のセンサから、内燃機関4の回転数(内燃機関4の出力軸の回転速度)などの運転状態を示す検出データが入力される。そして、ECU17は、これらの入力データや、予め記憶保持したマップデータなどを基に、所定の制御処理を実行することで、流量制御弁11,19,22及び開閉弁12vの開閉、内燃機関4の各気筒毎の燃料噴射弁5,6の作動、図示しない点火装置などの動作を制御する。
図2は、図1に示したECU17のより具体的な制御処理機能を示すブロック図である。図2において、ECU17は、燃料供給制御部170、点火時期制御部181、弁制御部182を備えている。
燃料供給制御部170は、内燃機関4の各気筒の燃焼サイクル毎に、燃料噴射弁5によるガソリンの噴射量と燃料噴射弁6によるエタノール水溶液の噴射量とをそれぞれ規定する操作量(制御入力)としてのガソリン用燃料噴射時間及びエタノール用燃料噴射時間を決定する。燃料供給制御部170は、決定したガソリン用燃料噴射時間及びエタノール用燃料噴射時間に応じてそれぞれ燃料噴射弁5,6の動作を制御する。
点火時期制御部181は、内燃機関4の各気筒の燃焼サイクル毎に、内燃機関4の各気筒における点火時期を決定し、決定した点火時期に応じて図示しない点火装置を制御する。
弁制御部182は、上記3つの流量制御弁11,19,22を次のように制御する。
第1の流量制御弁11に対して、分離タンク3内のエタノール水溶液のエタノールの濃度が一定の濃度に保たれるように、エタノール濃度センサ24の出力や割合センサ14の出力に応じて、流量制御弁11の開度を制御する。
第2の流量制御弁19に対して、界面センサ23の出力が、予め設定された界面上限位置を超えた場合に、流量制御弁19を開くように制御する。
第3の流量制御弁22に対して、エタノール濃度センサ24の出力により、エタノールの不足を検知した場合に、流量制御弁22を開くように制御する。
図2のように構成されたECU17において、燃料供給制御部170は、残量算出部171、エタノール領域マップ172、エタノール残量判定部173、エタノール噴射比率(噴射割合)マップ群174、エタノール噴射比率設定部175、エタノール要求噴射量決定部176、ガソリン要求噴射量決定部177、演算部178、及び流量・時間変換部179,180を備えている。
残量算出部171は、メイン燃料残量センサ15から入力される混合燃料残量と、割合センサ14から入力される混合燃料エタノール割合とに基づいて、メインタンク2内の混合燃料に含まれるエタノール残量を算出する。
なお、割合センサ14、メイン燃料残量センサ15及び残量算出部171で実現される機能が、本発明のアルコール計測ステップの機能に相当する。
エタノール領域マップ172は、メインタンク2内の混合燃料残量に対するエタノール残量の大きさの程度を複数の領域に区分して判定するためのマップであり、メインタンク2内の混合燃料残量に対するエタノール残量の程度が設定される。エタノール領域マップ172は、図示しない記憶部(例えば、ECU17内のRAMやROMなど)に記憶される。
以下、実施形態のECU17による燃料供給方法について説明する。
まず、メインタンク2内に混合燃料が収納されている場合、混合燃料のエタノール濃度が、割合センサ14で検出される。
混合燃料を分離タンク3で分離させる際には、メインタンク2内のフィードポンプ7を作動させた状態で第1の流量制御弁11を開くことにより、メインタンク2内の混合燃料と水タンク8内の水を、第1のインジェクタ11を介して分離タンク3内に圧送する。こうして混合燃料に水が添加されることにより、分離タンク3内で混合燃料が相分離し、比重の大きいエタノールと水の混合物は下層に移動すると共に、比重の小さいガソリン成分は上層に存在する。
このとき、分離タンク3内の上層と下層の2種燃料の界面位置が、センサ23が設置された上限位置を超えると、センサ23からの検知信号に応じて、ECU17は、第2の流量制御弁19を開き、下層のエタノール水溶液をエタノールタンク18内に移動させる。
エンジンへの燃料供給に際し、ガソリンは燃料噴射弁5を開くことによって供給され、エタノール水溶液は、第2のフィードポンプ20を作動させた状態で、燃料噴射弁6を開くことによって供給される。
本実施形態によれば、上記ガソリンとエタノール水溶液の噴射は、後述のようにエンジンの要求負荷に応じて、予め定めたマップに基づく噴射割合で行われる。そして、以下で説明する図3に示されたエタノール不足領域に入ると、図7に示すように、要求負荷に応じて、エタノールに含まれる水を増量する。
図7において、縦軸はエタノール水溶液中の水含有率R_wt(%)であり、下限値R_wt1は、通常領域における水含有率の目標値、上限値R_wt2は、エンジン側で定められた水含有率の最大値(許容できる限界値)である。この最大値は、エンジン回転数により変化する。また、w1〜w4は、それぞれ図3のエタノール不足領域c1〜c4における水含有率を表している。
以上の制御を行っても、エタノール残量が0になった場合には、高負荷領域では水をエンジン気筒内に直接導入することにより、ノッキングを抑制することとなる。
なお、本発明は図1の実施形態に限らず、図8のように構成してもよい。
すなわち、図8に示した実施形態では、図1の第2のインジェクタ21を設けず、エタノールタンク18の下部は、第2のエタノール供給路13bを介して燃料噴射弁6に接続されると共に、第2の水供給路9bを介して水タンク8内の水が供給されるようになっている。この実施形態でも、第3の流量制御弁22を開くことで、エタノールタンク18から燃料噴射弁6に供給されるエタノール水溶液の水を増量することができる。
すなわち、図8に示した実施形態では、図1の第2のインジェクタ21を設けず、エタノールタンク18の下部は、第2のエタノール供給路13bを介して燃料噴射弁6に接続されると共に、第2の水供給路9bを介して水タンク8内の水が供給されるようになっている。この実施形態でも、第3の流量制御弁22を開くことで、エタノールタンク18から燃料噴射弁6に供給されるエタノール水溶液の水を増量することができる。
図3は、エタノール領域マップ172の一例を示す図である。図3に示したエタノール領域マップ172では、エタノール残量を縦軸とし、混合燃料残量を横軸として、混合燃料残量に対するエタノール残量の大きさの程度を予め定められたそれぞれの閾値によって領域a1〜a4,b1,c1〜c4の9つの領域に分けて設定している。
詳細には、この例では、混合燃料残量に対するエタノール残量の比率に応じて、エタノールの残量の大きさの程度が、領域a1〜a4,b1,c1〜c4の9つの領域に区分けされる。この場合、各領域a1〜a4,b1,c1〜c4における混合燃料残量に対するエタノール残量の比率は、領域a1〜a4,b1,c1〜c4の順番で小さくなる。
領域a1は、混合燃料残量に対して最もエタノール残量が多いと判定される領域を示しており、領域a2〜a4、領域b1、領域c1〜c3順に混合燃料に対するエタノール残量が少ないと判定される領域を示し、領域c4は混合燃料残量に対して最もエタノール残量が少ないと判定される領域を示している。従って、混合燃料残量に対するエタノール残量の比率が小さいほど、エタノールの残量が少ないと判定されることとなる。
図3においては、領域a1〜a4を混合燃料残量に対してエタノール残量が多いエタノール過剰領域とし、領域b1を混合燃料残量に対してエタノール残量が適量であるエタノール通常領域とし、領域c1〜c4を混合燃料残量に対してエタノール残量が少ないエタノール不足領域としている。
また、図3において、エタノール通常領域の領域b1と、エタノール不足領域の中で混合燃料残量に対してエタノール残量が最も多い領域を示す領域c1とを区分する閾値Th1が、本発明における多量側残量と少量側残量との間の閾値に相当する。
従って、混合燃料残量に対するエタノール残量がエタノール過剰領域(領域a1〜a4)の範囲内、又はエタノール通常領域(領域b1)の範囲内となるエタノール残量が「多量側残量」であり、混合燃料残量に対するエタノール残量がエタノール不足領域(領域c1〜c4)の範囲内となるエタノール残量が「少量側残量」である。
図2に戻って、エタノール残量判定部173は、残量算出部171によって算出されたエタノール残量、メイン燃料残量センサ15から入力される混合燃料残量、及びエタノール領域マップ172に基づいて、混合燃料残量に対するエタノール残量がエタノール領域マップ172のどの領域の範囲内であるのかを求め、混合燃料残量に対するエタノール残量を判定する。
エタノール噴射比率マップ群174は、内燃機関4の要求負荷とエタノール噴射比率(内燃機関4の各気筒に供給する燃料全体に対するエタノールの供給割合)の関係をエタノール領域マップ172に示した領域a1〜a4,b1,c1〜c4毎に設定したエタノール噴射比率マップが少なくとも1つ登録される。エタノール噴射比率マップ群174は、図示しない記憶部(例えば、ECU17内のRAMやROMなど)に記憶される。
図4〜図6は、エタノール噴射比率マップ群174に登録されるエタノール噴射比率マップの一例を示す図である。図4は、内燃機関4の回転数の検出値(以下、回転数NEという)が低回転状態のときのエタノール噴射比率マップであり、図5は、回転数NEが中回転状態のときのエタノール噴射比率マップを示しており、図6は、回転数が高回転状態のときのエタノール噴射比率マップを示している。すなわち、エタノール噴射比率マップ群174には、回転数NEに応じた3つのエタノール噴射比率マップが登録されている。
ここで、低回転状態とは、回転数NEが予め定められた閾値Th2以下の場合であり、中回転状態とは、回転数NEが閾値Th2より大きく、かつ予め定められた閾値Th3以下の場合であり、高回転状態とは、回転数NEが閾値Th3より大きい場合である。なお、閾値Th2,Th3は「閾値Th2<閾値Th3」の関係が成り立つものとする。
図4〜図6に示したエタノール噴射比率マップでは、要求負荷を示す指標値として、内燃機関4の各気筒の図示平均有効圧力(IMEP)の目標値である目標IMEPを用いている。目標IMEPは、例えば、内燃機関4を推進力発生源として搭載した車両のアクセルの操縦量(踏み込み量)や車速などに応じて設定される。
なお、要求負荷を示す指標値としては、目標IMEPの代わりに、目標正味平均有効圧力、目標トルク等を使用してもよい。
エタノール噴射比率マップは、横軸を要求負荷とし、縦軸をエタノール噴射比率として、図3に示したエタノール領域マップ172の領域a1〜a4,b1,c1〜c4のそれぞれに対応した要求負荷に対するエタノール噴射比率R_alcが設定されている。ここでは、線d1〜d4がエタノール領域マップ172の領域a1〜a4に対応し、線e1がエタノール領域マップ172の領域b1に対応し、線f1〜f4がエタノール領域マップ172の領域c1〜c4に対応している。
すなわち、線d1が、混合燃料残量に対するエタノール残量が最も多い場合の要求負荷に対するエタノール噴射比率R_alcの関係を示し、線d2、線d3、線d4、線e1、線f1、線f2、線f3の順に混合燃料残量に対するエタノール残量が少ない場合の要求負荷に対するエタノール噴射比率R_alcの関係を示しており、線d4が、混合燃料残量に対するエタノール残量が最も少ない場合の要求負荷に対するエタノール噴射比率R_alcの関係を示している。
以下、要求負荷に対するエタノール噴射比率R_alcの関係を「要求負荷噴射比率関係」と称し、線d1〜d4,e1,f1〜f4を、要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,f1〜f4ということがある。
エタノール噴射比率マップの要求負荷噴射比率関係は、基本的には、下記の条件1〜5が成り立つように設定される。
(条件1)要求負荷が高いほど、エタノール噴射比率が大きくなる。
(条件2)要求負荷が全負荷FA(最大の要求負荷)である場合には、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量(図3における領域c1〜c4)である場合におけるエタノール噴射比率R_alcが、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量である場合(詳しくは、エタノール残量が多量側残量の領域a1〜a4,b1のうちの最も少量側残量に近いエタノール通常領域b1に存在する場合)におけるエタノール噴射比率R_alcと同等となる。
(条件3)混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量であって、かつ要求負荷が全負荷FAより低い場合には、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量おけるエタノール噴射比率R_alcよりも低くなる。
(条件4)混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量であって、要求負荷が全負荷FAより低い場合には、負荷要求が一定である場合のエタノール噴射比率R_alcが、混合燃料残量に対するエタノール残量が少ないほど小さくなる。
(条件5)混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量あって、かつ要求負荷が全負荷寄りの高負荷側領域である場合、要求負荷の増加に対するエタノール噴射比率R_alcの増加度合いが、要求負荷が高負荷側領域よりも低い低負荷側領域である場合の増加度合いよりも大きくなる。
(条件1)要求負荷が高いほど、エタノール噴射比率が大きくなる。
(条件2)要求負荷が全負荷FA(最大の要求負荷)である場合には、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量(図3における領域c1〜c4)である場合におけるエタノール噴射比率R_alcが、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量である場合(詳しくは、エタノール残量が多量側残量の領域a1〜a4,b1のうちの最も少量側残量に近いエタノール通常領域b1に存在する場合)におけるエタノール噴射比率R_alcと同等となる。
(条件3)混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量であって、かつ要求負荷が全負荷FAより低い場合には、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量おけるエタノール噴射比率R_alcよりも低くなる。
(条件4)混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量であって、要求負荷が全負荷FAより低い場合には、負荷要求が一定である場合のエタノール噴射比率R_alcが、混合燃料残量に対するエタノール残量が少ないほど小さくなる。
(条件5)混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量あって、かつ要求負荷が全負荷寄りの高負荷側領域である場合、要求負荷の増加に対するエタノール噴射比率R_alcの増加度合いが、要求負荷が高負荷側領域よりも低い低負荷側領域である場合の増加度合いよりも大きくなる。
図4〜図6に示した要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,f1〜f4では、予め設定された最大比率R_alc1を上限値として、要求負荷が高いほどエタノール噴射比率R_alcが大きく設定されており、上記(条件1)を満たしている。
なお、図4〜図6では、要求負荷噴射比率関係d1において、要求負荷の全域にわたってエタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1が設定されているように図示されているが、実際には、エタノール噴射比率R_alcは、最低の要求負荷の近傍で、最大比率R_alc1よりも小さい比率から急激に立ち上がるように設定されている。
図4に示した低回転状態のエタノール噴射比率マップでは、いずれの要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,f1〜f4でも、要求負荷が全負荷FAの場合、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1が設定されている。
図5に示した中回転状態のエタノール噴射比率マップでは、
(1)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域a1に対応する要求負荷噴射比率関係d1では、要求負荷が全負荷FAの場合、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1が設定され、
(2)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域b1に対応する要求負荷噴射比率関係e1では、要求負荷が全負荷FAの場合、エタノール噴射比率R_alcとして中回転状態で必要な必要エタノール噴射比率R_alc2(<最大比率R_alc1、詳細は後述する)が設定され、
(3)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域a2〜a4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係d2〜d4では、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1と中回転状態での必要エタノール噴射比率R_alc2との間の値が設定されている。この場合、混合燃料残量に対するエタノール残量が多いほど全負荷FA時のエタノール噴射比率R_alcが大きくなるように設定されている。
(4)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜dfでは、エタノール噴射比率R_alcとして必要エタノール噴射比率R_alc2が設定されている。
(1)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域a1に対応する要求負荷噴射比率関係d1では、要求負荷が全負荷FAの場合、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1が設定され、
(2)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域b1に対応する要求負荷噴射比率関係e1では、要求負荷が全負荷FAの場合、エタノール噴射比率R_alcとして中回転状態で必要な必要エタノール噴射比率R_alc2(<最大比率R_alc1、詳細は後述する)が設定され、
(3)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域a2〜a4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係d2〜d4では、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1と中回転状態での必要エタノール噴射比率R_alc2との間の値が設定されている。この場合、混合燃料残量に対するエタノール残量が多いほど全負荷FA時のエタノール噴射比率R_alcが大きくなるように設定されている。
(4)混合燃料残量に対するエタノール残量が領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜dfでは、エタノール噴射比率R_alcとして必要エタノール噴射比率R_alc2が設定されている。
また、図6に示した高回転状態のエタノール噴射比率マップは、図5に示した中回転状態のエタノール噴射比率マップと同じ傾向のマップである。ただし、このマップでは、必要エタノール噴射比率R_alc2の代わりに、必要エタノール噴射比率R_alc3が用いられている。
ここで、最大比率R_alc1、必要エタノール噴射比率R_alc2,R_alc3は、それぞれ内燃機関4の回転数NEが低回転状態、中回転状態、高回転状態である場合において、要求負荷が全負荷FAであるとき、それぞれの回転状態に対応した所要の最大トルクを、内燃機関4のノッキングを発生させることなく高効率で発生させる(ノッキングを発生させずに、所謂MBTでの運転を行う)上で必要十分な(概ね必要最低限の)エタノール噴射比率(例えば「全負荷最適エタノール噴射比率」と称する)に設定された値である。
従って、低回転状態の全負荷最適エタノール噴射比率は、最大比率R_alc1であり、中回転状態の全負荷最適エタノール噴射比率は、必要エタノール噴射比率R_alc2であり、高回転状態の全負荷最適エタノール噴射比率は、必要エタノール噴射比率R_alc3である。
また、内燃機関4の回転数NEが低いほどノッキングが発生しやすいので、最大比率R_alc1、必要エタノール噴射比率R_alc2,R_alc3は、「最大比率R_alc1>必要エタノール噴射比率R_alc2>必要エタノール噴射比率R_alc3」が成り立つように設定される。
なお、図5及び図6では、エタノール残量過剰領域a1〜a4に対応する要求負荷噴射比率関係d1〜d4のエタノール噴射比率R_alcの最大値を、全負荷最適エタノール噴射比率より大きく設定しているが、この最大値を、回転状態に対応する全負荷最適エタノール噴射比率(図5では必要エタノール噴射比率R_alc2、図6では必要エタノール噴射比率R_alc3)としてもよい。
上述したように、図4に示した低回転状態のエタノール噴射比率マップでは、いずれの要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,f1〜f4でも、要求負荷が全負荷FAの場合、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alc1が設定されている。
また、図5に示した中回転状態のエタノール噴射比率マップでは、要求負荷が全負荷FAの場合に、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量である領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜f4のエタノール噴射比率R_alcは、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量となる領域a1〜a4,b1の範囲内の中で最も混合燃料残量に対するエタノール残量が少ない領域b1の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係e1のエタノール噴射比率R_alcと等しい必要エタノール噴射比率R_alc2に設定されている。
また、上述したように、図6に示した高回転状態のエタノール噴射比率マップでは、要求負荷が全負荷FAの場合に、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量である領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜f4のエタノール噴射比率R_alcは、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量となる領域a1〜a4,b1の範囲内の中で最も混合燃料残量に対するエタノール残量が少ない領域b1の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係e1のエタノール噴射比率R_alcと等しい必要エタノール噴射比率R_alc3に設定されている。
すなわち、図4〜図6に示した低回転状態、中回転状態、及び高回転状態のエタノール噴射比率マップでは、要求負荷が全負荷FAの場合に、混合燃料残量に対するエタノール残量側残量である領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜f4のエタノール噴射比率R_alcは、回転状態に対応する全負荷最適エタノール噴射比率と同じ値に設定されているので、上記(条件2)を満たしている。
図4〜図6に示したエタノール噴射比率マップでは、混合燃料残量に対するエタノール残量が領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜f4には、要求負荷が全負荷FAより低い場合、エタノール噴射比率R_alcとして、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量となる領域a1〜a4,b1の範囲内の中で最もエタノール残量が少ない領域b1の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係e1のエタノール噴射比率R_alcよりも低い値で、かつ混合燃料残量に対するエタノール残量が少なくなるほど(この場合、要求負荷噴射比率関係f1、要求負荷噴射比率関係f2、要求負荷噴射比率関係f3、要求負荷噴射比率関係f4の順に)低い値を設定している。よって、上記(条件3)を満たしている。
また、図4〜図6に示したエタノール噴射比率マップでは、混合燃料残量に対するエタノール残量が領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜f4では、要求負荷が一定の値の場合のエタノール噴射比率R_alc1は、例えば、要求負荷が要求負荷F10の場合のエタノール噴射比率R_alcに見られるように、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量である領域c1〜c4の範囲内の中で、混合燃料残量に対するエタノール残量が小さくなる領域c1、領域c2、領域c3、領域c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1、要求負荷噴射比率関係f2、要求負荷噴射比率関係f3、要求負荷噴射比率関係f4の順に、小さくなるように設定されている。よって、上記(条件4)を満たしている。
更に、図4〜図6に示したエタノール噴射比率マップでは、混合燃料残量に対するエタノール残量が領域c1〜c4の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係f1〜f4では、要求負荷が予め定められた閾値F6〜F9と全負荷FAとの間の値(高負荷側領域の範囲内の値)である場合の要求負荷の増加に対するエタノール噴射比率R_alcの増加度合いを、要求負荷が閾値F6〜F9以下の値(低負荷側領域の範囲内の値)である場合の要求負荷の増加に対するエタノール噴射比率R_alcの増加度合いよりも大きくなるように設定されている。よって、上記(条件5)を満たしている。なお、閾値F6〜F9は、F6<F7<F8<F9が成り立つものとする。
すなわち、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量の中で混合燃料残量に対するエタノール残量が少ないほど(この場合は、領域c4、領域c3、領域c2、領域c1の順)、エタノール噴射比率R_alcの増加割合が小さいものとなる低負荷側領域が全負荷FA寄りに近づいて、その領域が拡大する。
換言すれば、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量の中で混合燃料残量に対するエタノール残量が少ないほど、要求負荷が高負荷側領域の範囲内の場合の要求負荷の増加に対するエタノール噴射比率R_alcの増加度合いよりも要求負荷の増加に対するエタノール噴射比率R_alcの増加度合いが小さい低負荷側領域が全負荷FA寄りに拡大する。
更にまた、図4〜図6に示したエタノール噴射比率マップでは、混合燃料残量に対するエタノール残量が最も多い領域a1の範囲内に対応する要求負荷噴射比率関係d1では、要求負荷が全負荷FAより低い場合、エタノール噴射比率R_alcとして最大比率R_alcが設定されると共に、混合燃料残量に対するエタノール残量が少なくなるほど(この場合は、要求負荷噴射比率関係d2、要求負荷噴射比率関係d3、要求負荷噴射比率関係d4、要求負荷噴射比率関係e1の順)エタノール噴射比率R_alcが低い値に設定されている。
図2に戻って、エタノール噴射比率設定部175は、エタノール残量判定部173の判定結果、目標IMEP、回転数NE、及びエタノール噴射比率マップ群174に基づいて、エタノール噴射比率を設定する。なお、エタノール噴射比率設定部175が実現する機能が、本発明の燃料噴射割合設定ステップの機能に相当する。
エタノール要求噴射量決定部176は、エタノール噴射比率設定部175によって設定されたエタノール噴射比率、目標IMEP、回転数NE、及び予め定められたマップ(図示省略)に基づいて、エタノールの要求噴射量を決定する。
演算部178は、エタノール濃度センサ24の出力であるエタノール水溶液濃度に基づいて、エタノール要求噴射量決定部176によって決定されたエタノール要求噴射量をエタノール水溶液要求噴射量に変換する。
流量・時間変換部180は、予め定められたデータテーブル又は所定の演算式に基づいて、演算部178によって変換されたエタノール水溶液要求噴射量をエタノール用燃料噴射時間に変換する。
ガソリン要求噴射量決定部177は、エタノール要求噴射量決定部176によって決定されたエタノール要求噴射量と後述のエタノール要求総量とに基づいて、燃料噴射弁5によるガソリンの要求噴射量を決定する。
流量・時間変換部179は、予め定められたデータテーブル又は所定の演算式に基づいて、ガソリン要求噴射量決定部177によって決定されたガソリン要求噴射量をガソリン用燃料噴射時間に変換する。
次に、ECU17で行われる動作のうち、燃料噴射弁5,6を制御して内燃機関4に供給するガソリンとエタノール水溶液の量を制御する「燃料供給制御処理」と、点火時期を制御する「点火時期制御処理」について説明する。
<燃料供給制御処理>
まず、燃料供給制御部170によって行われる燃料供給制御処理の動作を説明する。
まず、燃料供給制御部170によって行われる燃料供給制御処理の動作を説明する。
残量算出部171は、メイン燃料残量センサ15から入力される混合燃料残量と、割合センサ14から入力される混合燃料エタノール割合とに基づいて、メインタンク2内の混合燃料に含まれるエタノール残量を算出する。具体的には、混合燃料残量に混合燃料エタノール割合を乗算して100で除算してエタノール残量を算出する。残量算出部171は、算出したエタノール残量をエタノール残量判定部173に出力する。
エタノール残量判定部173は、エタノール残量判定部173から入力されるエタノール残量、メイン燃料残量センサ15から入力される混合燃料残量、及びエタノール領域マップ172に基づいて、メインタンク2内の混合燃料残量に対するエタノール残量がエタノール領域マップ172のどの領域の範囲内であるのかを判定する。エタノール残量判定部173は、判定結果を領域情報(図3に示したエタノール領域マップ172の領域a1〜a4、領域b1、領域c1〜c4のいずれかを示す情報)をエタノール噴射比率設定部175と点火時期制御部181に出力する。
エタノール噴射比率設定部175は、領域情報、目標IMEP、回転数NE、及びエタノール噴射比率マップ群174に基づいて、エタノール噴射比率を設定する。具体的には、まず、エタノール噴射比率設定部175は、回転数NEから回転状態を判定し、判定した回転状態に対応するエタノール噴射比率マップをエタノール噴射比率マップ群174から選択する。より具体的には、エタノール噴射比率設定部175は、回転数NEと閾値Th2,Th3とを比較して、回転数NEが閾値Th2以下の場合には低回転状態に対応するエタノール噴射比率マップを選択し、回転数NEが閾値Th2より大きく、かつ予め定められた閾値Th3以下の場合には中回転状態に対応するエタノール噴射比率マップを選択し、回転数NEが閾値T3より大きい場合には高回転状態に対応するエタノール噴射比率マップを選択する。
エタノール噴射比率設定部175は、選択したエタノール噴射比率マップの要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,c1〜c4の中から、領域情報が示す領域a1〜a4,b1,c1〜c4に対応する要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,c1〜c4を選択する。エタノール噴射比率設定部175は、選択した要求負荷噴射比率関係d1〜d4,e1,c1〜c4から目標IMEPに対応するエタノール噴射比率R_alcを求め、求めた値をエタノール噴射比率設定値とする。
エタノール噴射比率設定部175は、エタノール噴射比率設定値をエタノール要求噴射量決定部176と点火時期制御部181とに出力する。また、エタノール噴射比率設定部175は、回転数NEによって選択したエタノール噴射比率マップの情報(低回転状態、中回転状態、高回転状態の何れかを示す情報。以下、回転状態情報という)を点火時期制御部181に出力する。
エタノール要求噴射量決定部176は、エタノール噴射比率設定部175から入力されたエタノール要求噴射率設定値、目標IMEP、回転数NE、及び予め定められたマップ(図示省略)に基づいて、エタノールの要求噴射量を決定する。
具体的には、エタノール要求噴射量決定部176は、回転数NE及び目標IMEPから、予め定められたマップ(図示省略)により、目標IMEPを実現するために内燃機関4に供給すべき燃料全体の総発熱量を、要求総発熱量として求める。求めた要求総発熱量をエタノールの低位発熱量で除算して、求めた要求総発熱量を発生するために必要なエタノールの量であるエタノール要求総量を求める。求めたエタノール要求総量にエタノール噴射比率を乗算してエタノール要求噴射量を算出する。そのエタノール要求噴射量をガソリン要求噴射量決定部177と演算部178とに出力する。
ガソリン要求噴射量決定部177は、入力されたエタノール要求噴射量とエタノール要求総量とを用いてガソリン要求噴射量を算出する。ガソリン要求噴射量Ga_injは、エタノール要求噴射量をEt_injとし、エタノール要求総量をInj_allとすると、下記の式(1)によって求めることができる。
Ga_inj = ( Inj_all − Et_inj )×(エタノールの低位発熱量)/ガソリンの低位発熱量 ……式(1)
上式(1)の分子は、エタノール要求総量に相当する要求総発熱量から、エタノール要求噴射量に相当する発熱量を差し引いた残余の発熱量を意味している。したがって、その残余の発熱量を発生するために必要なガソリンの量が、ガソリン要求噴射量として算出される。ガソリン要求噴射量決定部177は、求めたガソリン要求噴射量を流量・時間変換部179に出力する。
上式(1)の分子は、エタノール要求総量に相当する要求総発熱量から、エタノール要求噴射量に相当する発熱量を差し引いた残余の発熱量を意味している。したがって、その残余の発熱量を発生するために必要なガソリンの量が、ガソリン要求噴射量として算出される。ガソリン要求噴射量決定部177は、求めたガソリン要求噴射量を流量・時間変換部179に出力する。
演算部178は、エタノール濃度センサ24から入力されるエタノール水溶液濃度の検出値と、エタノール要求噴射量決定部176から入力されるエタノール要求噴射量とを用いて、エタノール水溶液要求噴射量を算出する。具体的には、演算部178は、エタノール要求噴射量をエタノール水溶液濃度で除算することによって、エタノール水溶液要求噴射量を求める。演算部178は、算出したエタノール水溶液要求噴射量を流量・時間変換部180に出力する。
なお、ガソリン要求噴射量は、次のようにして決定してもよい。すなわち、前記要求総発熱量を発生するために必要なガソリンの量としてのガソリン要求総量を求め(要求総発熱量をガソリンの低位発熱量で除算する)、そのガソリン要求総量に、エタノール噴射比率設定値に対応するガソリンの供給割合(=100−エタノール噴射比率設定値[%])を乗じることによって、ガソリン要求噴射量を決定する。この場合には、ガソリン要求噴射量をエタノール要求噴射量よりも先に決定するようにしてもよい。
以上のようにして、ガソリン要求噴射量とエタノール水溶液要求噴射量とを算出した後、燃料供給制御部170は、流量・時間変換部179,180での処理を実行する。
流量・時間変換部179は、ガソリン要求噴射量決定部177から入力されたガソリン要求噴射量から、予め定められたデータテーブル又は所定の演算式に基づいて、ガソリン用燃料噴射時間を求める。
一方、流量・時間変換部180は、演算部178から入力されたエタノール水溶液要求噴射量から、予め定められたデータテーブル又は所定の演算式に基づいて、エタノール用燃料噴射時間を求める。
燃料供給制御部170は、上記流量・時間変換部179,180が求めたガソリン用燃料噴射時間及びエタノール用燃料噴射時間に応じて、それぞれ燃料噴射弁5,6の動作を制御する。すなわち、燃料噴射弁5の開弁時間をガソリン用燃料噴射時間に制御すると共に、燃料噴射弁6の開弁時間をエタノール用燃料噴射時間に制御する。なお、この場合、各燃料噴射弁5,6の開弁開始タイミングは、内燃機関4の回転数NEや目標IMEPなどの運転状態に応じて決定される。
以上説明した燃料供給制御部170での燃料供給制御処理により、エタノール噴射比率によって規定される供給割合で、エタノール及びガソリンの燃料噴射が各燃料噴射弁5,6から行われることとなる。
<点火時期制御処理>
次に、点火時期制御部181によって行われる点火時期制御処理の動作を説明する。
次に、点火時期制御部181によって行われる点火時期制御処理の動作を説明する。
点火時期制御部181は、まず、回転数NEと目標IMEPとに基づいて基本点火時期を決定する。例えば、回転数NEと、目標IMEPと、基本点火時期との関係を規定するマップを用いて、基本点火時期を決定する。
点火時期制御部181は、エタノール残量判定部173から入力される領域情報に基づいて、決定した基本点火時期を遅角させるか否かを判定する。具体的には、領域情報が混合燃料残量に対するエタノール残量が、図3に示したエタノール領域マップ172の領域a1〜a4,b1(混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量)を示す場合には、基本点火時期を遅角させないと判定し、領域情報が混合燃料残量に対するエタノール残量が、図3に示したエタノール領域マップ172の領域c1〜c4(混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量)を示す場合には、基本点火時期を遅角させると判定する。
基本点火時期を遅角させないと判定した場合には、基本点火時期の値を点火時期として決定する。基本点火時期を遅角させると判定した場合には、エタノール噴射比率設定部175から入力されたエタノール噴射比率設定値と、目標IMEPと回転数NEとがエタノール噴射比率設定値を設定したときと同じ値の場合におけるエタノール通常領域b1のエタノール噴射比率との差に応じて、基本点火時期を遅角する。
具体的には、点火時期制御部181は、エタノール噴射比率設定部175から入力される回転状態情報に基づいて、エタノール噴射比率マップ群174に登録されたエタノール噴射比率マップを選択する。選択したエタノール噴射比率マップのエタノール通常領域b1に対応する要求負荷噴射比率関係e1から目標IMEPに対応するエタノール噴射比率R_alcを求める。求めたエタノール噴射比率R_alcとエタノール噴射比率設定部175から入力されたエタノール噴射比率設定値との差を求める。求めたエタノール噴射比率R_alcと、エタノール噴射比率設定部175から入力されたエタノール噴射比率設定値との差に応じて、基準点火時期を遅角する。
点火時期制御部181は、このように決定した点火時期に応じて内燃機関4の各気筒毎に図示しない点火装置の放電タイミングを制御する。
上述した燃料供給制御部170が実行する「燃料供給制御処理」では、要求負荷が全負荷FAより低い場合には、エタノール残量が少なくなるほどエタノール噴射比率を低く設定して、内燃機関4に供給するエタノール水溶液の量を少なくするように制御した。そのため、ノッキングが発生しやすくなる。このノッキングを抑制するために、点火時期制御部181が実行する「点火時期制御処理」において、エタノール残量が少なくなったためにエタノール水溶液の量を少なくした場合に点火時期を基本点火時期よりも遅角させるようにしている。
なお、点火時期を基本点火時期よりも遅角させる代わりに、エタノール残量が少なくなった場合に回転数を高く制御する、各気筒の実行圧縮比を低下させるように制御する、EGR比率を高くするように制御する等の制御を行うようにしてもよい。
このように、本実施形態では、割合センサ14が、メインタンク2に収容された混合燃料のエタノールの含有割合を検出し、メイン燃料残量センサ15が、メインタンク2に収容された混合燃料の残量を検出し、残量算出部171が、割合センサ14が検出した混合燃料の含有割合と、メイン燃料残量センサ15が検出した混合燃料残量から、混合燃料残量内のエタノール残量を求める。
エタノール残量判定部173は、残量算出部171によって求められたエタノール残量と、メインタンク2内の混合燃料残量に対するエタノール残量の関係を設定したエタノール領域マップ172とに基づいて、混合燃料残量に対するエタノール残量がどの領域a1〜a4,b1,c1〜c4の範囲内であるのかを判定する。そして、その判定結果と、目標IMEPと、回転数NEと、エタノール噴射比率マップ群174に登録された、エタノール領域マップ172に示した領域a1〜a4,b1,c1〜c4に対応する内燃機関4の要求負荷とエタノール噴射比率R_alcの関係を示したエタノール噴射比率マップとに基づいて、回転数NEと目標IMEPとに応じたエタノール噴射比率を設定する。
エタノール噴射比率マップには、基本的には、上記(条件1)〜(条件5)を満たすように目標IMEPと混合燃料残量に対するエタノール残量に応じたエタノール噴射比率との関係が設定されている。よって、エタノール噴射比率設定部175は、内燃機関4の要求負荷が全負荷FAである場合には、混合燃料残量に対するエタノール残量が閾値Th1よりも少ない少量側残量である場合におけるエタノールの噴射割合が、混合燃料残量に対するエタノール残量が閾値Th1以上の多量側残量である場合におけるエタノール噴射割合と同等になり、かつ、要求負荷が全負荷FAよりも低い負荷領域である場合に、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量である場合におけるエタノールの噴射割合が、混合燃料残量に対するエタノール残量が多量側残量である場合におけるエタノールの噴射割合よりも低くなるように、エタノールの噴射割合を設定する。
これにより、混合燃料残量に対してエタノール残量が少なくなった場合でも、要求負荷が全負荷FAの場合の内燃機関4の出力トルクを、最大トルクもしくはそれに近いトルクに維持することが可能となり、混合燃料残量に対してエタノール残量が少なくなった場合でも、内燃機関の出力トルクの低下を抑制することができる。
また、エタノール噴射比率設定部175は、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量である場合において、要求負荷が全負荷FAよりも低い負荷領域である場合には、要求負荷が一定である場合のエタノールの噴射割合が、混合燃料残量に対するエタノール残量が少ないほど小さくなるように、混合燃料残量に対するエタノール残量に応じてエタノールの噴射割合を設定する。
これにより、混合燃料残量に対するエタノール残量が少なくなるほどエタノールの消費量を少なくして混合燃料に対するエタノール残量の低下を抑制し、要求負荷が全負荷のときのエタノールの噴射量を維持することが可能となり、混合燃料残量に対するエタノール残量が少なくなった場合でも、内燃機関の出力トルクの低下を抑制することができる。
また、エタノール噴射比率設定部175は、混合燃料残量に対するエタノール残量が少量側残量である場合において、要求負荷が全負荷FA寄りの高負荷側領域である場合における、要求負荷の増加に対するエタノールの噴射割合の増加度合いが、要求負荷が高負荷側領域よりも低い低負荷側領域である場合の増加度合いよりも大きくなるように、エタノールの噴射割合を設定する。
これにより、混合燃料残量に対するエタノール残量が閾値Th1より少ない場合のエタノールの消費量を少なくして混合燃料残量に対するエタノール残量の低下を抑制し、要求負荷が全負荷FAに近づくほど必要量に近いエタノール量を内燃機関4に供給することが可能となり、エタノール残量が閾値Th1より少なくなった場合でも、内燃機関4の出力トルクの低下を抑制することができる。
以上の実施形態では、アルコールとしてエタノールを用いた場合を例に挙げて説明したが、エタノール以外のアルコール(例えば、メタノールなど)であってもよい。
また、ガソリンとエタノールを分離する方法は、水による分離に限らず、例えば、膜で分離するようにしてもよい。その場合、排気から凝縮回収した水を用いて、要求回転数や負荷に応じてエタノールに添加するようにしてもよい。
1…燃料供給システム、2…メインタンク、3…分離タンク、4…内燃機関、5,6…燃料噴射弁、7,20…フィードポンプ、8…水タンク、9a,9b…水供給路、10…混合燃料供給路、11,19,22…流量制御弁、12…ガソリン供給路、13…エタノール供給路、14…割合センサ、15…メイン燃料残量センサ、16,21…インジェクタ、17…ECU(制御装置)、18…エタノールタンク、170…燃料供給制御部、171…残量算出部、172…エタノール領域マップ、173…エタノール残量判定部、174…エタノール噴射比率マップ群、175…エタノール噴射比率設定部、181…点火時期制御部、182…弁制御部。
Claims (5)
- 混合燃料収容タンクに収容されたガソリンとアルコールとの混合燃料からガソリンとアルコールを分離し、分離したガソリンとアルコールを少なくとも内燃機関の要求負荷に応じて設定した噴射割合で内燃機関に供給する燃料供給方法であって、
前記混合燃料収容タンク内のアルコール残量を計測するアルコール残量計測ステップと、
前記アルコール残量計測ステップで計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、前記混合燃料収容タンク内の混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加え、水含有率が増加したアルコール水溶液を前記内燃機関に供給するアルコール供給ステップと
を備えることを特徴とする燃料供給方法。 - 請求項1に記載の燃料供給方法において、
前記アルコール供給ステップでは、前記混合燃料から分離したアルコール水溶液をアルコールタンク内に溜め、該アルコールタンクからアルコールの供給路を介して前記内燃機関に前記アルコール水溶液を供給するようにし、該アルコール供給路又は前記アルコールタンク内に水を加えることを特徴とする燃料供給方法。 - ガソリンとエタノールとの混合燃料を収容する混合燃料収容タンクと、該混合燃料収容タンクに収容された混合燃料のガソリンとエタノールとを上下に分離させた状態で収容する分離タンクとを備え、該分離タンクからガソリンとエタノールとを各別に内燃機関に供給する燃料供給システムにおいて、
前記混合燃料収容タンク内のアルコール残量を計測するアルコール残量計測手段と、
前記アルコール残量計測手段で計測されたアルコール残量が所定の値より低下した場合には、前記分離タンク内で混合燃料から分離したアルコール水溶液に水を加える水供給手段と、
該水供給手段により水含有率が増加したアルコール水溶液を前記内燃機関に供給するアルコール供給手段と
を備えることを特徴とする燃料供給システム。 - 請求項3に記載の燃料供給システムにおいて、
前記アルコール供給手段は、前記分離タンク内で混合燃料から分離したアルコール水溶液を溜めるアルコールタンクと、該アルコールタンクから前記内燃機関に前記アルコール水溶液を供給するアルコール供給路とで構成され、
前記水供給手段は、前記アルコール供給路の途中で水を加えるように構成されていることを特徴とする燃料供給システム。 - 請求項3に記載の燃料供給システムにおいて、
前記アルコール供給手段は、前記分離タンク内で混合燃料から分離したアルコール水溶液を溜めるアルコールタンクと、該アルコールタンクから前記内燃機関に前記アルコール水溶液を供給するアルコール供給路とで構成され、
前記水供給手段は、前記アルコールタンク内に水を加えるように構成されていることを特徴とする燃料供給システム。
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JP2009164592A JP2011021488A (ja) | 2009-07-13 | 2009-07-13 | 燃料供給方法及び燃料供給システム |
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