本発明は上記事実を考慮し、重複する部品をなくした屋根ユニット、ユニット屋根及びユニット屋根の組立方法を得ることが目的である。
請求項1に記載の発明は、屋根ユニットにおいて、ユニット躯体フレームを構成する骨組と、前記骨組の側面から張出し可能に設けられ、当該骨組の側面から張出した状態で屋根葺材を支持する羽根部材と、を有している。
請求項1に記載の発明では、羽根部材を骨組の側面から張出し可能に設け、羽根部材が骨組の側面から張出した状態で屋根葺材を支持する。通常、屋根ユニットが互いに隣接された状態で並設されてユニット屋根が形成されるが、屋根ユニットの側面から、屋根葺材を支持可能な羽根部材を張出させることで、屋根ユニットと屋根ユニットの間に羽根部材を配置し、この羽根部材の上に屋根葺材を配置する。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の屋根ユニットにおいて、前記羽根部材を水平方向に沿って回転可能に支持する支持手段が、前記骨組の側面に設けられている。
請求項2に記載の発明では、羽根部材を水平方向に沿って回転可能に支持する支持手段を骨組の側面に設けており、支持手段を中心に羽根部材を回転させて骨組の側面から張出させるようにしている。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の屋根ユニットにおいて、前記羽根部材が前記骨組の側面から張出す前の状態で当該羽根部材を骨組に係止する係止手段が設けられている。
請求項3に記載の発明では、羽根部材が骨組の側面から張出す前の状態で羽根部材を骨組に係止する係止手段を設けることで、屋根ユニットの輸送時又は建込み時に、羽根部材が邪魔にならないようにすることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1項に記載の屋根ユニットが複数設けられたユニット屋根であって、前記羽根部材が設けられた一方の屋根ユニットと、前記一方の屋根ユニットとの間に隙間を空けて配置され、前記隙間に配置された前記羽根部材の自由端が固定される他方の屋根ユニットと、を有している。
請求項4に記載の発明では、屋根ユニットと屋根ユニットの間に隙間を設け、一方の屋根ユニットの骨組の側面から羽根部材を張出させて当該羽根部材を隙間に配置し、羽根部材の自由端を他方の屋根ユニットに固定する。これによると、屋根ユニットの数量が少なくなるため、積載費が減少し、また、輸送台数が減り輸送費が削減される。また、屋根ユニットの数量が少なくなるため、取付部材の減少により施工が容易になり、施工費が削減される。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のユニット屋根において、前記羽根部材が前記隙間に配置された状態で、当該羽根部材の張り出し方向への移動を規制する規制手段が設けられている。
請求項5に記載の発明では、羽根部材が隙間に配置された状態で、羽根部材の張り出し方向への移動を規制する規制手段を設けることで、羽根部材が他方の屋根ユニットに対していわゆる仮止めされた状態となる。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のユニット屋根において、前記羽根部材が複数設けられ、複数の羽根部材が連結され当該複数の羽根部材を同時に移動させるリンク機構が設けられている。
請求項6に記載の発明では、複数の羽根部材がリンク機構によって連結され、複数の羽根部材を同時に移動させることができるため、複数の羽根部材を個々に移動させる場合と比較して作業性が向上する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のユニット屋根において、前記リンク機構に、当該リンク機構を前記羽根部材の張り出し方向へ移動させる際に把持可能な把持手段が設けられている。
請求項7に記載の発明では、リンク機構に把持手段を設け、当該リンク機構を羽根部材の張り出し方向へ移動させる際に把持可能とすることで、作業性が良くなる。
請求項8に記載の発明は、請求項4〜7の何れか1項に記載のユニット屋根において、前記羽根部材と前記他方の屋根ユニットを接続させる接続手段が設けられている。
請求項8に記載の発明では、羽根部材と他方の屋根ユニットを接続させる接続手段を設けることで、羽根部材の自由端を他方の屋根ユニット側へ移動させると羽根部材が他方の屋根ユニットに接続されるようにすることができる。これによると、作業性が向上する。
請求項9に記載の発明は、請求項4〜8の何れか1項に記載のユニット屋根において、前記羽根部材の移動に連動して、前記屋根葺材を当該羽根部材の上へ移動させる連動手段が設けられている。
請求項9に記載の発明では、羽根部材の移動に連動して、屋根葺材を羽根部材の上へ移動させる連動手段を設けることで、羽根部材を他方の屋根ユニットに固定させた後、屋根葺材を羽根部材の上に配置する場合と比較して、作業性が向上する。
請求項10に記載の発明は、請求項4〜9の何れか1項に記載のユニット屋根において、前記羽根部材の固定位置を調整する調整手段が前記骨組に設けられている。
請求項10に記載の発明では、羽根部材の固定位置を調整する調整手段を骨組に設けることで、屋根ユニット間の隙間が羽根部材の長さよりも小さい場合に、調整手段によって羽根部材の固定位置を変える。つまり、屋根ユニットの側面に対して傾斜した状態で羽根部材を固定できるようにして、寸法差分を吸収できるようにしている。
請求項11に記載の発明は、請求項4〜10の何れか1項に記載のユニット屋根の組立方法であって、前記一方の屋根を配置する第1屋根ユニット配置工程と、前記第1屋根ユニット配置工程の後、前記一方の屋根ユニットとの間に隙間を空けて前記他方の屋根ユニットを配置する第2屋根ユニット配置工程と、前記第2屋根ユニット配置工程の後、前記一方の屋根ユニットに設けられた前記羽根部材を移動させて前記他方の屋根ユニットに固定させる羽根部材固定工程と、前記羽根部材固定工程の後、前記羽根部材の上に前記屋根葺材を固定する屋根葺材固定工程と、を有している。
請求項11に記載の発明では、一方の屋根ユニットを配置した後、一方の屋根ユニットとの間に隙間を空けて他方の屋根ユニットを配置し、その後に、一方の屋根ユニットに設けられた羽根部材を移動させて他方の屋根ユニットに固定し、羽根部材の上に屋根葺材を固定する。
請求項1に記載の本発明に係る屋根ユニットによれば、屋根ユニットが隣接して配置されないため、部品が重複することはない。
請求項2に記載の本発明に係る屋根ユニットによれば、羽根部材を所定の位置に簡単に移動させることができるため、作業性が良い。
請求項3に記載の本発明に係る屋根ユニットによれば、屋根ユニットの輸送時又は建込み時に羽根部材が邪魔にならないため、作業性が良い。
請求項4に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、複数のユニット屋根を隣接させて並設する場合と比較して、コストダウンを図ることができる。
請求項5に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、羽根部材を他方の屋根ユニットに固定する際に羽根部材が移動することはなく、作業性が良い。
請求項6に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、複数の羽根部材を同時に移動させることができるため、大変便利である。
請求項7に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、把持手段を把持し、当該把持手段を介して複数の羽根部材を移動させるため、作業性が良い。
請求項8に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、羽根部材を他方の屋根ユニットに固定する際に羽根部材が移動することはなく、作業性が良い。
請求項9に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、羽根部材と屋根葺材を同時に移動させることができるため、作業性が良い。
請求項10に記載の本発明に係るユニット屋根によれば、一方の屋根ユニットと他方の屋根ユニットの間で設けられる隙間の幅変更に対応することができる。
請求項11に記載の本発明に係るユニット屋根の組立方法によれば、作業工数が削減され、工期が短縮される。
以下、図1〜図11を用いて、本実施の形態に係るユニット屋根について説明する。このユニット屋根10(図5(A)参照)は、例えば、小規模事業用建物に用いられ、図示はしないが、べた基礎に立設された間柱や壁パネルの上端部間に複数の屋根ユニット12、13が並設された状態で据え付けられる。
そして、これらの屋根ユニット12(一方の屋根ユニット)、屋根ユニット13(他方の屋根ユニット)の上面には、タッピンネジなどによって屋根葺材14、15(図1参照)がそれぞれ留め付けられる(固定される)。
<第1実施形態>
ここで、図1〜図5を参照して第1実施形態について説明する。
図5(A)に示されるように、ユニット屋根10は複数の屋根ユニット12、13を備えている。図1及び図2に示されるように、屋根ユニット12、13(図1では屋根ユニット13の図示を省略している)は、いわゆる平行弦トラス構造を成しており、ユニット躯体フレームを構成する骨組として上弦材16、17、下弦材18、19、束材20、34(図3参照)及び斜材21を含んで箱状に形成されている。
なお、上弦材17及び下弦材18は、屋根ユニット12、13の幅方向に沿って配置される部材である。また、束材20、34は説明の便宜上、屋根ユニット12と屋根ユニット13とで符号を変えており、束材20は屋根ユニット12に用いられ、束材34は屋根ユニット13に用いられる。さらに、屋根ユニット12の長手方向に沿って配置される斜材については、後述する羽根部材22の形状が見づらくなるため図示を省略している。
図1及び図5(A)に示されるように、屋根ユニット12、13の長手方向の側面(上弦材16及び下弦材18の外面を含む平面)には、平行弦トラス構造を成す羽根部材22、24が回転可能に設けられており、屋根ユニット12、13の長手方向の側面から張出し可能とされている。この羽根部材22、24は、上弦材26、下弦材28及び斜材30を含んで構成されており、屋根ユニット12、13の幅と略同じ長さを有している。
屋根ユニット12、13の上弦材16及び下弦材18は、リップ付き溝形鋼及び溝形鋼から成っており、リップ付き溝形鋼のリップ及びフランジを囲むようにして溝形鋼が嵌め込まれている(図12には上弦材16が拡大された図が示されており、これを参照)。一方、屋根ユニット12、13の束材20及び斜材21、羽根部材22、24の上弦材26、下弦材28及び斜材30は、リップ付き溝形鋼のみから成っている。
以下、一方の屋根ユニット12と他方の屋根ユニット13を区別するため、羽根部材22が設けられている側を屋根ユニット12、羽根部材22の自由端側が固定される側を屋根ユニット13として説明する。
図2に示されるように、羽根部材22(なお、羽根部材24については後述する)の回転中心側となる、上弦材26及び下弦材28の一端部及び屋根ユニット12の上弦材16及び下弦材18には、クランク形状を成す蝶番(支持手段)32がそれぞれ取付けられている。
具体的には、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28が、屋根ユニット12の上弦材16及び下弦材18と重なった状態で、上弦材26及び下弦材28の一端部のウエブ26A、28A(上弦材16、下弦材18の反対側となる面)には、蝶番32の一端部32Aがそれぞれ取付けられている。このように、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28が、屋根ユニット12の上弦材16及び下弦材18と重なった状態が、屋根ユニット12の長手方向の側面から張出す前の状態であり、以下、「羽根部材22が閉じた状態」という。
そして、蝶番32の中央部32Bが、上弦材26、下弦材28の先端面にそれぞれ面接触し、蝶番32の他端部32Cが、屋根ユニット12の上弦材16、下弦材18のウエブ16A、18Aにそれぞれ取付けられている。蝶番32の中央部32Bと他端部32Cの間には、蝶番32のヒンジ部32Dが設けられており、このヒンジ部32Dを中心に羽根部材22が回転する。
以上のような構成により、羽根部材22は閉じた状態から、図3に示されるように、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28が、屋根ユニット12の長手方向の側面から張出し、屋根ユニット12の上弦材16及び下弦材18に対して直交した状態(以下、「羽根部材22が完全開放された状態」という)となるまで回転する。つまり、蝶番32の他端部32Cと中央部32Bとが直角を成した状態から、蝶番32の中央部32Bと他端部32Cとが面接触して羽根部材22の回転中心側の移動が規制されるまで、羽根部材22は回転する。
なお、ここでは、クランク形状の蝶番32を用いたが、羽根部材22を所定の角度内(ここでは、0〜90°)で回転させることができれば良いため、蝶番32の形状は特に限定されるものではなく、平板状やL字形状の蝶番を用いても良い。
一方、図4に示されるように、屋根ユニット12の長手方向の一端面には、羽根部材24が回転可能に設けられている。この羽根部材24の回転中心側となる、上弦材26及び下弦材28の一端面には、L字状を成す蝶番(支持手段)33の一端部33Aがそれぞれ取付けられており、蝶番33の他端部33Bは、屋根ユニット12の長手方向の上弦材16及び下弦材18の端面にそれぞれ取付けられている。
ここでは、蝶番33の中央部がヒンジ部33Cとなっており、当該ヒンジ部33Cを中心に、羽根部材24の上弦材26及び下弦材28が、仮想線で示されるように、屋根ユニット12の上弦材17及び下弦材19と重なった状態(以下、「羽根部材24が閉じた状態」という)から、実線で示されるように、屋根ユニット12の上弦材17及び下弦材19の同一直線状にそれぞれ配置された状態(以下、「羽根部材24が完全開放された状態」という)となるまで羽根部材24は回転する。つまり、蝶番33の一端部33Aが、上弦材16及び下弦材18のウエブ16A、18Aに面接触して羽根部材24の回転中心側の移動が規制されるまで、羽根部材24は回転する。
したがって、屋根ユニット12の長手方向に沿って配置された羽根部材22が90°回転するのに対して、屋根ユニット12の長手方向の一端面に配置された羽根部材22は180°回転する。そして、これにより、屋根ユニット12の長手方向の両端部及びその間に羽根部材22が配置されることとなる。
なお、ここでは、図1に示されるように、羽根部材22は4つ用いられているが、屋根ユニット12の長さによってその数は変わる。また、ここでは蝶番32、33を用いて羽根部材22、24をそれぞれ回転可能としたが、屋根ユニット12の側面に対して、羽根部材22、24を回転させることができれば良いため、これに限るものではない。
例えば、図示はしないが、屋根ユニット12の上弦材16及び下弦材18側(或いは羽根部材22の上弦材26及び下弦材28側)にシャフト又はピンを設け、羽根部材22、24の上弦材26及び下弦材28側(或いは屋根ユニット12の上弦材16及び下弦材18側)に、当該シャフト又はピンを回転可能に支持する軸孔が形成された軸板を設けて、羽根部材22、24が回転可能となるようにしても良い。
以上のように、本実施形態では、屋根ユニット12に対して羽根部材22、24を回転可能に支持したが、屋根ユニット12の輸送時や建込み時においては、図2に示されるように、羽根部材22が閉じた状態となるようにする。
例えば、屋根ユニット12の上弦材及び羽根部材22の上弦材26、屋根ユニット12の下弦材18及び羽根部材22の下弦材28の幅と略同一の幅を有するコ字状の被せ材(係止手段)38を用いて、当該被せ材38を上弦材16及び上弦材26、下弦材18及び下弦材28の上部にそれぞれ嵌め込むようにする。これにより、羽根部材22は閉じた状態のまま保持される。
一方、図3に示されるように、屋根ユニット12には、束材20が設けられているが、羽根部材22、24を所定角度(ここでは90°、180°)回転させた状態で、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28の一端部のウエブ26A、28Aが、束材20のフランジ20Aに面接触可能となるように配置されている。
そして、蝶番32の中央部32Bと他端部32Cが面接触した状態、または、蝶番33の一端部33Aが、上弦材16及び下弦材18のウエブ16A、18Aに面接触した状態では、羽根部材22、24の上弦材26及び下弦材28が、束材20のフランジ20Aにそれぞれ面接触する。
ここで、屋根ユニット13は、屋根ユニット12との間に羽根部材22、24(なお、羽根部材24の図示は省略する)が配置可能な隙間を置いて配置され、屋根ユニット12の束材20と対面する位置には、屋根ユニット13の束材34が配置されている。
このため、羽根部材22、24の回転中心側に位置する上弦材26及び下弦材28の一端部が束材20のフランジ20Aに面接触した状態で、羽根部材22、24の自由端側に位置する上弦材26及び下弦材28の他端部が束材34のフランジ34Aに面接触する。
つまり、羽根部材22、24はその回転中心側及び自由端側が、それぞれ束材20、34に当接して羽根部材22、24は張り出し方向への移動が規制される。この状態で、羽根部材22、24の上弦材26及び下弦材28の自由端部が束材34に留め付けられる(固定される)。
(作用・効果)
次に、本実施形態に係る屋根ユニット12について、その作用・効果を説明する。
本実施形態では、図1及び図5(A)に示されるように、屋根ユニット12の側面に羽根部材22を回転可能に支持している。このため、屋根ユニット12の輸送時や建込み時においては、図2に示されるように、コ字状の被せ材38を用いて、当該被せ材38を上弦材16及び上弦材26、下弦材18及び下弦材28の上部にそれぞれ嵌め込むことで、屋根ユニット12の輸送時や建込み時に羽根部材22の回転を防止し、羽根部材22が邪魔にならないようにすることができる。したがって、作業性が良い。
一方、羽根部材22を構成する斜材30はここでは2本用いられており、下弦材28から上弦材26へ行くにしたがって斜材30の上端部が互いに近接する方向へ傾斜している。そして、斜材30の上端部同士の間には、隙間が設けられている。この隙間内に、被せ材38を嵌め込むようにする。この被せ材38を隙間に合わせて形成し、被せ材38の両端部が斜材30の上端部に接触するようにする。これにより、被せ材38は上弦材16の延出方向に沿った移動(矢印方向の移動)が規制され、結果的に、屋根ユニット12の長手方向に沿った羽根部材22の移動が規制される。
ところで、屋根ユニット12の上面には、工場内において、予め屋根葺材14(図1参照)が留め付けられているが、羽根部材22の屋根葺材15は、建築地において留め付けされる。このため、羽根部材22の屋根葺材15は屋根ユニット12の屋根葺材14の上面に重ねて配置され、この状態のまま輸送される。
本実施形態では、建築地において、図1及び図5(A)に示されるように、屋根ユニット12を配置(第1屋根ユニット配置工程)した後、この屋根ユニット12との間に隙間を空けて屋根ユニット13を配置する(第2屋根ユニット配置工程)。
そして、屋根ユニット12の羽根部材22を回転させて、当該隙間に配置し、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28の自由端部を屋根ユニット13の束材34にそれぞれ留め付ける(羽根部材固定工程)。
次に、屋根ユニット12の屋根葺材14の上面に配置された屋根葺材15を屋根ユニット12から水平移動させて羽根部材22、24の上面へ配置し、タッピンネジなどによって羽根部材22、24の上面に屋根葺材15を留め付ける(屋根葺材固定工程)。
通常のユニット屋根100では、図5(B)に示されるように、屋根ユニット102と屋根ユニット102を隣接させた状態で並設し、互いに建付けてユニット屋根100を形成するが、この場合、屋根ユニット102の上弦材104、下弦材及び束材と屋根ユニット102の上弦材104、下弦材及び束材などが隣り合った状態で配置されることとなり、これらの部品が重複し、結果的に、部品点数が多くなってしまう。
しかし、本実施形態では、図5(A)に示されるように、屋根ユニット12と屋根ユニット13の間に羽根部材22、24を配置することで、屋根ユニット12と屋根ユニット13とが隣接して配置されることはなく、上弦材16及び下弦材18等の部品が重複することはない。このため、部材費を削減することができる。
また、本実施形態では、屋根ユニット12を少なくとも一つ置きに配置するため、その分屋根ユニット12の数量が削減される。これによると、屋根ユニットの数量が少なくなるため、積載費が減少し、また、輸送台数が減り輸送費が削減される。また、屋根ユニット12の数量が少なくなるため、取付部材の減少により施工が容易になり、施工費が削減される。さらに、作業工数が削減される分、工期が短縮される。
(その他の実施形態)
(1) ところで、図3に示されるように、束材20、34のリップ側は開口となっている。このため、図6に示されるように、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28の自由端側に、束材34のリップ34Bに係止され羽根部材22を移動規制する規制金物(規制手段)40を取付けても良い。
例えば、この規制金物40は平面視で略L字状を成しており、一端部40Aが上弦材26及び下弦材28に取付けられ、他端部40Bは上弦材26及び下弦材28のウエブ26A、28Aの表面から張出し、先端部には爪部42が形成されている。この爪部42の移動軌跡上に束材34のリップ34Bが配置され、束材34のリップ34Bの先端部に爪部42が係止される。
これによると、図7に示されるように、羽根部材22を回転させて、羽根部材22の自由端部が束材34に当接するとき、規制金物40の爪部42が束材34のリップ34Bの先端部に係止される(羽根部材22がいわゆる仮止めされる)。このため、この後、羽根部材22を隣の屋根ユニット13に留め付ける際に、羽根部材22が移動しないので作業性が良い。
(2) なお、ここでは、羽根部材22の自由端側を束材34に仮止めさせることができれば良いためこれに限るものではない。例えば、図8(A)に示すように、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28(なお、下弦材28については図示を省略している)の自由端側のウエブ26A、28Aに円錐状の突起部(接続手段)44を設ける。この突起部44は中空部を備えており、複数の三角状の板バネを並べて円錐形状を形成し、弾性変形可能とする。この突起部44を束材34のフランジ34Aに形成された孔部(接続手段)46へ係合させるようにしても良い。
孔部46を通過するときは、突起部44は縮径され孔部46を通過し、突起部44が孔部46を通過すると、突起部44は復元して孔部46の周辺部に係止される。つまり、屋根ユニット13に対して羽根部材22をいわゆるワンタッチで接続させることができ、作業性が向上する。
また、これ以外にも、図8(B)に示されるように、羽根部材22の上弦材26及び下弦材28の自由端側のウエブ26A、28Aに突起部(接続手段)48を設け、該突起部48を塑性変形させて、束材34のフランジ34Aに形成された孔部46へ係止させるようにしても良い。
(3) 一方、本実施形態では、羽根部材22を屋根ユニット12の側面に対して直交させるように配置したが、図9に示されるように、屋根ユニット12と屋根ユニット13の隙間(羽根部材22のトラススパン)が、基準寸法であるモジュールMよりも狭い(M’)場合にも対応させることができる。
この場合、束材(調整手段)20、34のウエブ20B、34Bに対するフランジ20A、34Aの角度を変えて、フランジ20A、34Aの表面に羽根部材22の上弦材26及び下弦材28がそれぞれ面接触可能となるようにする。束材20、34のフランジ20A、34Aの表面に、羽根部材22の上弦材26、下弦材28がそれぞれ面接触した状態で、上弦材26、下弦材28を束材20、34に留め付ける。
つまり、ここでは、束材20、34の変形によって、羽根部材22の固定位置を変え、羽根部材22の長さを変えずに、当該羽根部材22を屋根ユニット12の側面に対して傾斜させた状態で配置することで、寸法差(t)分を吸収できるようにして、屋根ユニット12と屋根ユニット13の間で設けられる隙間の幅変更に対応することができる。
(4) また、本実施形態では、屋根ユニット12の長手方向の一側面に羽根部材22を設けたが、図10に示されるように、ユニット屋根10の中央に配置される屋根ユニット25では、当該屋根ユニット25の長手方向の両側面に羽根部材22、23を設けても良い。
この場合、羽根部材22の自由端部と羽根部材23の自由端部を連結させる必要があるが、例えば、図11(A)、(B)に示されるように、輸送時に用いる被せ材39を、建込み時において、羽根部材22、23の自由端部に被せ、互いに留め付けるようにしても良い。
この被せ材39には、予めボルト45などの留め付け具が挿通可能な孔部39Aが形成され、羽根部材22、23の上弦材26及び下弦材28(なお、下弦材28については図示を省略している)の自由端部には、被せ材39の孔部39Aと対応する孔部47が形成される。そして、羽根部材22、23の自由端部に被せ材39を留め付け、羽根部材22の自由端部と羽根部材23の自由端部を連結させる。
これにより、この被せ材38を輸送時の係止部材としてだけではなく、連結部材としても兼用することができる。勿論、別途連結金物を用いて羽根部材22の自由端部と羽根部材23の自由端部を互いに連結させるようにしても良い。
これによれば、ユニット屋根10の中央では、屋根ユニット12を二つ置きに配置することができ、一つ置きに配置する場合と比較して、さらに屋根ユニット12が不要となり、その分の積載費、施工費等が削減される。なお、ここでは、羽根部材22の自由端部と羽根部材23の自由端部を連結させるため、羽根部材22、23自体を強化することが望ましく、例えば、羽根部材22、23の自由端部には束材49を設ける。
(5) また、本実施形態では、屋根ユニット12の側面に羽根部材22を設け、当該羽根部材22を水平方向に沿って回転可能に支持するようにしたが、屋根ユニット12の側面から羽根部材22を張出させるようにすることができればよいため、これに限るものではない。
例えば、図示はしないが、屋根ユニット12の幅方向に沿って羽根部材22をスライドさせるようにしても良い。また、羽根部材22のスライド方向先端部に位置する上弦材16に、クランプ金物(連動手段)を取付けて、屋根ユニット12の屋根葺材14の上に配置された屋根葺材15(図1参照)をクランプし、羽根部材22の移動に連動して、当該屋根葺材15をスライドさせるようにしても良い。
この場合、羽根部材22と屋根葺材15を同時に移動させることができるため、羽根部材22を屋根ユニット13に固定させた後、屋根葺材15を羽根部材22の上に配置する場合と比較して、作業性が向上する。なお、ここでは、屋根葺材14、15の形状を断面波形状としているが、屋根葺材14、15の形状はこれに限るものではない。
<第2実施形態>
次に、図12〜図14を参照して第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と略同一の内容については説明を省略する。
第1実施形態では、羽根部材22を一つ一つ回転させるようにしたが、本実施形態では、リンク機構によって複数の羽根部材22を互いに連結させて、複数の羽根部材22を一度に回転させるようにした点に特徴がある。
具体的には、図12に示されるように、各羽根部材22の上弦材26の自由端側には、把持可能な板状の把持プレート(把持手段)50が取付けられている。各羽根部材22の各上弦材26の下部に位置するフランジ26Aには挿通孔52が形成されており、把持プレート50には挿通孔52と同じピッチで複数のピン54が固定され、これらのピン54がそれぞれ挿通孔52へ挿通されている。
これにより、いわゆるリンク機構が構成され、各ピン54及び挿通孔52を介して、把持プレート50は羽根部材22の回転中心側を支点として回転すると共に、把持プレート50のピン54を中心に挿通孔52を介して羽根部材22の自由端側が回転し、把持プレート50との間で成す角度を変える。
把持プレート50の内側(羽根部材22側)には、コ字状の切欠き部56が形成されている。この切欠き部56は、図13の実線で示されるように、羽根部材22が閉じた状態で、屋根ユニット12の束材20との干渉を回避するためのものである。
また、把持プレート50の外側にもコ字状の切欠き部58が形成されている。この切欠き部58は、図14の実線で示されるように、羽根部材22が完全開放された状態で、屋根ユニット13の束材34との干渉を回避するためのものである。
なお、羽根部材22が完全開放された状態で、羽根部材22が束材34のフランジ34Aと面接触し、これにより、把持プレート50は移動規制されるが、このとき、切欠き部58が束材34のフランジ34Aと接触してもよい。
また、把持プレート50の外側には、把持プレート50の表面から立設する規制片60が設けられている。この規制片60は、図12で示されるように、羽根部材22が完全開放された状態で、屋根ユニット13の上弦材16の内面側に係止可能とされる。つまり、把持プレート50を介して羽根部材22の仮止めが可能となる。
(作用・効果)
次に、本実施形態に係る屋根ユニット12について、その作用・効果を説明する。
実施形態では、リンク機構を利用し、図13及び図14に示されるように、複数の羽根部材22を把持プレート50に連結している。これにより、図13の実線で示されるように、羽根部材22の閉じた状態では、羽根部材22の延出方向と把持プレート50の延出方向が同じになり、羽根部材22と把持プレート50は平行に配置される。
次に、把持プレート50を把持し屋根ユニット13側へ移動させると、把持プレート50は羽根部材22の回転中心側を支点として回転すると共に、把持プレート50のピン54を中心に挿通孔52を介して複数の羽根部材22の自由端側が回転する。
そして、羽根部材22が完全開放された状態では、把持プレート50の規制片60が屋根ユニット13の上弦材16の内面側に係止され移動規制されて、把持プレート50を介して複数の羽根部材22の仮止めされる。
本実施形態では、把持プレート50の移動によって、複数の羽根部材22を同時に移動させることができるため、複数の羽根部材22を個々に移動させる場合と比較して作業性が向上し、大変便利である。
また、把持プレート50の外側に規制片60を設けて、把持プレート50を介して羽根部材22が仮止めできるようにすることで、把持プレート50と羽根部材22を移動規制させる規制部材とを別々に設ける必要が無く、把持手段と規制手段を兼用することができる。このため、把持手段と規制手段を別々に設けた場合と比較して、コストダウンを図ることができる。なお、リンク機構を構成する把持プレート50は羽根部材22を移動させる際に把持することができれば良いため、形状は特にこれに限るものではない。