JP2011021181A - 熱可塑性樹脂の製造方法、熱可塑性樹脂及び成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂の製造方法、熱可塑性樹脂及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】粉砕時における微粉の発生を低減する熱可塑性樹脂の製造方法及び該熱可塑性樹脂を用いた成形体の提供。
【解決手段】不飽和カルボン酸エステル単量体(a)を用いて重合を行う重合工程を有し、当該重合工程において、単量体全量を100質量部としたとき、下記一般式(1)に示す化合物を0.001質量部以上5質量部以下、添加する熱可塑性樹脂の製造方法。
Figure 2011021181

(式中、Rは3級アルキル基又は下記式(2)で表される基を示す。)
Figure 2011021181

【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂の製造方法、当該製造方法により製造した熱可塑性樹脂及びこれを用いた成形体に関する。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル系樹脂は、高い透明性を有していることから、従来から導光板や液晶ディスプレイ用フィルム等の各種光学材料やレンズ、家庭用品、OA機器、照明機器等の分野で幅広く使用されている。
特に近年において、前記アクリル系樹脂は、導光板や液晶ディスプレイ用フィルム等の光学材料に使用されており、ディスプレイの薄型化に対応し、さらには高温環境下における使用も想定し、より高度な耐熱性や光学特性が要求されるようになってきている。
従来のアクリル系樹脂の製造工程においては、キャスト重合法や塊状重合法によって板状又は塊状の樹脂を得、その後、粉砕機により粉砕し、発生した微粉を取り除くことにより加工しやすい大きさの粉砕物を得ている。
また、上記粉砕物を押出機等でペレット化し、このペレットを各種工程に用いる技術についての提案もなされている(例えば、特許文献1参照。)。
特公平04−45522号公報
しかしながら、前記粉砕工程で発生した微粉を取り除くと、その分、目的とする粉砕物の回収率が低下する。
一方において、粉砕物中に微粉が多く含まれていると、ペレット造粒工程中、フィード箇所で塊となってしまい、作業性が悪化する。よってアクリル樹脂の粉砕において生じる微粉を篩い分けて除去することは必要であり、必然的に前記のように回収率が低下する。
そこで本発明においては、熱可塑性樹脂の粉砕時における微粉の発生量そのものを低減化し、生産効率の向上を図り、さらには後工程における作業性の改善を図ることを目的とする。
本発明者は、上記従来技術の課題の解決を図るために鋭意研究を重ねた結果、重合時に特定の化合物を添加することにより、粉砕工程における微粉の発生量を低減化し、粉砕物の回収率の向上が図られ、かつ後工程における作業性の改善が図られ、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕
不飽和カルボン酸エステル単量体(a)を用いて重合を行う重合工程を有し、
当該重合工程において、単量体全量を100質量部としたとき、下記一般式(1)に示す化合物を0.001質量部以上5質量部以下、添加する熱可塑性樹脂の製造方法。
Figure 2011021181
前記式(1)中、R1は、H又は炭素数4〜10の3級アルキル基を示し、R2は、炭素数4〜8の3級アルキル基又は下記一般式(2)で表される基を示し、R3は、Oを0〜8個、Sを0〜2個含む炭素数1〜72の基又は下記一般式(3)で表される基である。
Figure 2011021181
前記式(2)中、Xは、H又はハロゲンを表す。
Figure 2011021181
前記式(3)中、R4は、炭素数1〜18のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。
〔2〕
前記重合工程において、前記不飽和カルボン酸エステル単量体(a)に芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)を共重合させる前記〔1〕に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
〔3〕
前記重合工程において、前記不飽和カルボン酸エステル単量体(a)に芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)及び不飽和カルボン酸無水物(c)を共重合させる前記〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
〔4〕
前記重合工程において、塊状重合法又はキャスト重合法を使用する前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
〔5〕
前記重合工程を経た後、得られた熱可塑性樹脂を粉砕する工程をさらに有する前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
〔6〕
前記熱可塑性樹脂を粉砕する工程後、微粉を除去した後の、熱可塑性樹脂の回収率が90質量%以上である前記〔5〕に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
〔7〕
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂の製造方法により得られる熱可塑性樹脂。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の熱可塑性樹脂の製造方法により得られる熱可塑性樹脂を成形した成形体。
〔9〕
フィルムである前記〔8〕に記載の成形体。
本発明によれば、熱可塑性樹脂の粉砕時における微粉の発生を低減化でき、生産効率の向上を効果的に図ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について説明するが、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
〔熱可塑性樹脂の製造方法〕
本実施形態の熱可塑性樹脂の製造方法は、後述する不飽和カルボン酸エステル単量体(a)を用いて重合を行う重合工程を有する。
前記重合工程においては、不飽和カルボン酸エステル単量体(a)に、発明の効果を発揮できる範囲で、後述する芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)、さらには後述する不飽和カルボン酸無水物(c)を共重合させてもよい。
また、前記重合工程においては、発明の効果を損なわない範囲で、後述するその他のビニル系単量体(d)を、共重合させてもよい。
前記重合工程においては、単量体全量を100質量部としたとき、下記一般式(1)に示す化合物を0.001質量部以上5質量部以下添加する。
Figure 2011021181
前記一般式(1)(以下、単に式(1)とも言う。)中、R1は、H又は炭素数4〜10の3級アルキル基を示し、R2は、炭素数4〜8の3級アルキル基又は下記一般式(2)(以下、単に式(2)とも言う。)で表される基を示す。
3は、Oを0〜8個、Sを0〜2個含む炭素数1〜72の基又は下記一般式(3)(以下、単に式(3)とも言う。)で表される基である。
Figure 2011021181
前記式(2)中、Xは、H又はハロゲンを表す。
Figure 2011021181
前記式(3)中、R4は、炭素数1〜18のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。
以下、重合工程に用いる原料について、説明する。
(原料)
<不飽和カルボン酸エステル単量体(a)>
不飽和カルボン酸エステル単量体(a)としては、特に限定されないが、下記一般式(4)(以下、単に式(4)とも言う。)に示す単量体が好ましい。
Figure 2011021181
前記式(4)中、R5は、水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を表し、アルキル基上に水酸基を有していてもよい。
また、R6は炭素数が1〜12の基を表し、炭素上に水酸基を有していてもよい。
これらのうち、R5が水素原子であるアクリル酸エステル単量体又は炭素数が1のメチル基であるメタクリル酸エステル単量体が好ましい。
アクリル酸エステル単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、アクリル酸ベンジル、アクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられる。
メタクリル酸エステル単量体としては、例えば、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられ、特に、メタクリル酸メチルが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)>
前記芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)としては、下記一般式(5)(以下、単に式(5)とも言う。)で表される化合物単量体を使用できる。
Figure 2011021181
前記式(5)中、R7は、水素原子、炭素数が1〜12のアルキル基、炭素数が1〜12のアルコキシ基、炭素数が1〜8のアリール基、炭素数が1〜8のアリール基からなる群より選ばれる一種の基であり、R7は全て同じ基であっても、異なる基であってもよい。また、R7同士で環構造を形成してもよい。
8は、水素原子又は炭素数が1〜6のアルキル基を表し、アルキル基上に水酸基を有していてもよい。また、式中のnは0〜5の整数を表す。
前記式(5)に示す単量体の例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、m−エチルスチレン、о−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンセン(α−メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等が挙げられ、本実施形態において目的とする熱可塑性樹脂に要求される特性に応じて選択できる。
好ましくはスチレン、イソプロペニルベンゼンが挙げられ、より好ましくはスチレンが挙げられる。
芳香族基含有ビニル系単量体(b)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記重合工程において芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)を用いる場合には、上述した(a)成分と(b)成分との合計を100質量部としたとき、(a)成分10質量部以上90質量部以下、(b)成分10質量部以上90質量部以下とすることが好ましい。
<不飽和カルボン酸無水物(c)>
不飽和カルボン酸無水物(c)としては、例えば、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、ジメチル無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。特に無水マレイン酸が好適である。
不飽和カルボン酸無水物(c)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
不飽和カルボン酸無水物(c)を共重合させる場合、各単量体成分の配合割合は、目的とする熱可塑性樹脂に要求される特性に応じて適宜決定するが、好適には、(a)成分が10質量部以上90質量部以下、(b)成分が1質量部以上90質量部以下、(c)成分が1質量部以上50質量部以下で用いられる。
また、前記(b)成分と(c)成分との合計100質量部とした場合に、(b)成分が40質量部以上99質量部以下、(c)成分が1質量部以上60質量部以下であることが好ましく、より好ましくは(b)成分50質量部以上90質量部以下、(c)成分10質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは(b)成分55質量部以上85質量部以下、(c)成分が15質量部以上45質量部以下である。
<その他のビニル系単量体(d)>
上述した重合工程においては、発明の効果を損なわない範囲で、その他のビニル系単量体を用いてもよい。
その他のビニル系単量体(d)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類が挙げられる。
その他のビニル系単量体(d)は、目的とする熱可塑性樹脂の光学特性、耐熱性、加工性のバランスを考慮して、全単量体量100質量部に対して、0.1〜50質量部の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは0.5〜35質量部、さらにより好ましくは1〜30質量部、よりさらに好ましくは1〜25質量部の範囲で用いる。
<一般式(1)に示す化合物>
本実施形態の熱可塑性樹脂の製造方法における重合工程においては、上記一般式(1)に示す化合物を添加する。
上記式(1)に示す化合物を重合系に存在させることにより、最終的に得られる熱可塑性樹脂を粉砕した際における微粉の発生を低減化でき、収率の向上効果が得られる。
上記式(1)に示す化合物としては、例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−〔5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル〕−4−メチル−6−(t−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(3,5−ジ−tert−ペンチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘプタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等が挙げられる。
特に、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘプタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましく、さらには、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘプタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートがより好ましい。
上記式(1)に示す化合物の添加量は、共重合させる単量体全量を100質量部としたとき、0.001質量部以上5質量部以下とし、好ましくは0.001質量部以上3質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上2質量部以下、さらに好ましくは0.03質量部以上2質量部以下、さらにより好ましくは0.03質量部を超えて2質量部以下とする。
添加量を0.001質量部以上とすることにより、粉砕時における微粉発生を低減化させる効果が十分に得られ、添加量を5質量部以下とすることにより、実用上好ましい重合時間で熱可塑性樹脂が得られ、良好な生産性を確保でき、かつ熱可塑性樹脂に求められる耐熱性も十分に得られる。
上記式(1)に示す化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(重合方法)
上述した不飽和カルボン酸エステル単量体(a)と、必要に応じて芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)、不飽和カルボン酸無水物(c)、その他のビニル系単量体(d)とを適宜混合し、さらに、上述した式(1)に示す化合物を添加し、必要に応じて後述する連鎖移動剤、重合開始剤を添加して重合を行う。
その際、単量体と式(1)で示す化合物を添加する順序は、本願の効果が発揮できる順序であればよく、特に規定はされない。また、式(1)に示す化合物は、本願の効果を十分に得る為には、単量体と同時に添加して重合を開始することが好ましい。
重合方法としては、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の従来公知の方法をいずれも適用できる。
高重合度の共重合体を得るためには、塊状重合やキャスト重合が特に好ましい。
(重合温度、重合時間)
本実施形態の熱可塑性樹脂を構成する(共)重合体の重合工程において、重合温度は、重合が進行する温度であればよいが、高い生産性を実現する観点から、好ましくは50℃以上200℃以下であり、より好ましくは50℃以上180℃以下である。塊状重合法やキャスト重合法を選択する場合は、50℃以上160℃以下であることが好ましく、50℃以上130℃以下であることがより好ましい。
また、重合時間については、選択した重合方法において必要な重合度が得られれば、特に限定されるものではないが、実用上十分な生産性等を確保する観点から、0.5時間以上30時間以下であることが好ましい。溶液重合法を選択する場合は0.5時間以上10時間以下であることが好ましく、より好ましくは0.5時間以上5時間以下である。
塊状重合やキャスト重合を選択する場合、2時間以上30時間以下であることが好ましく、2時間以上25時間以下であることがより好ましい。
(溶存酸素濃度)
本実施形態の熱可塑性樹脂を構成する(共)重合体の重合工程において、重合液中の溶存酸素濃度は低いほど重合度を高くすることができる。具体的には10ppm以下であることが好ましい。
溶存酸素濃度は、例えば、溶存酸素計DOメーターB−505(飯島電子工業株式会社製)を用いて測定できる。
溶存酸素濃度を低下させる方法としては、重合溶液中に不活性ガスをバブリングする方法、重合前に重合溶液を含む容器中を不活性ガスで0.2MPa程度まで加圧した後に放圧する操作を繰り返す方法、重合溶液を含む容器中に不活性ガスを通ずる方法等が挙げられる。
(重合開始剤)
本実施形態の熱可塑性樹脂の重合を行う際には、重合度を調整する目的で、重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤の例を下記に挙げる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニト
リル)、2,2'−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上述したラジカル開始剤は、所定の還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
上述した重合開始剤は、重合に用いる単量体の混合物100質量部に対して、一般的に0〜1質量部の範囲で用いるものとし、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選ぶことができる。
塊状重合法やキャスト重合法を選択する場合には、目的とする熱可塑性樹脂の着色を防止し、耐水性を向上させる観点から、過酸化物系開始剤のラウロイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等が特に好適である。
また、90℃以上の高温下で溶液重合法を行う場合には、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等が好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、例えば、全単量体量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いることが好ましい。
(分子量の制御)
本実施形態における熱可塑性樹脂の重合工程においては、発明の効果を損わない範囲で、分子量の制御を行うことができる。
分子量の制御方法としては、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を添加する方法が挙げられる。これらの添加量を調整することにより分子量を制御できる。
これらの添加剤においては、取扱性や安定性の点からアルキルメルカプタン類が好適である。例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)等が挙げられる。上記分子量を制御するための添加剤は、要求される分子量に応じて適宜添加できるが、一般的には全単量体混合物100質量部に対して0.001質量部〜3質量部の範囲で用いる。
また、上記方法の他の分子量制御方法としては、重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。
上述した各種分子量制御方法は、一種の方法だけを用いてもよいし、二種以上の方法を
併用してもよい。
(分子量)
本実施形態において得られる熱可塑性樹脂を構成する共重合体の分子量については、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.0の範囲であることが好ましく、1.6〜2.7の範囲がより好ましく、1.6〜2.4の範囲がさらに好ましい。
重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、PMMA(ポリメチルメタクリレート)換算によって求められる。
GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)については、本実施形態の熱可塑性樹脂の流動性、耐熱性、延伸安定性等のバランスを良好なものとするためには、好ましくは5万〜30万、より好ましくは5〜25万、さらに好ましくは7〜22万、さらにより好ましくは8〜20万である。
〔熱可塑性樹脂〕
(構成)
本実施形態の熱可塑性樹脂は、上述した不飽和カルボン酸エステル単量体(a)を用いて重合を行った重合体であり、重合工程において、上記式(1)に示す化合物を、目的とする重合体100質量部に対し0.001質量部以上5質量部以下添加して製造したものである。
本実施形態の熱可塑性樹脂は、不飽和カルボン酸エステル単量体(a)に加えて上述した芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)、さらには上述した不飽和カルボン酸無水物(c)を共重合させたものであってもよい。さらにまた、上述したその他のビニル系単量体(d)を共重合させたものであってもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物において、上記一般式(1)に示す化合物は、(共)重合体に溶解した状態又は微分散した状態となっている。
(組み合わせ可能な他の樹脂)
上述した本実施形態の熱可塑性樹脂は、従来公知の樹脂と組み合わせて使用できる。
組み合わせる樹脂としては、特に限定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂がいずれも使用できる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シンジオタクテックポリスチレン系樹脂、ABS系樹脂、アクリル系樹脂、AS系樹脂、BAAS系樹脂、MBS樹脂、AAS樹脂、生分解性樹脂、ポリカーボネート−ABS樹脂のアロイ、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリアルキレンアリレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。
特に、AS樹脂、BAAS樹脂は、流動性を向上させるものとして好適であり、ABS樹脂、MBS樹脂は耐衝撃性を向上させるものとして好適であり、ポリエステル樹脂は耐薬品性を向上させるものとして好適である。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、フェノール系樹脂等は難燃性を向上させる効果が得られる。
また、硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、キシレン樹脂、トリアジン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、ケトン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、スチリルピリジン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(添加剤)
本実施形態の熱可塑性樹脂には、剛性や寸法安定性等の他の特性を付与するため、発明の効果を損なわない範囲で、所定の添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤等の安定剤、可塑剤(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン,ミネラルオイル等)、難燃剤(例えば、有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等のリン系、ハロゲン系、シリカ系、シリコーン系等)、難燃助剤(例えば、酸化アンチモン類、金属酸化物、金属水酸化物等)、硬化剤(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド等のアミン類や、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂類、液状ポリメルカプタン、ポリサルファイド等のポリメルカプタン、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ドデシル無水コハク酸、無水トリメリット酸、無水クロンレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)等の酸無水物等)、硬化促進剤(2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアミノメチル)フェノール、テトラメチルヘキサンジアミン等の三級アミン類、トリフェニルホスファインテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアミンテトラフェニルボレート等のボロン塩、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン等のキノイド化合物等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、導電性付与剤、応力緩和剤、離型剤(アルコール、およびアルコールと脂肪酸のエステル、アルコールとジカルボン酸とのエステル、シリコーンオイル等)、結晶化促進剤、加水分解抑制剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸、及びその金属塩、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド類等)、衝撃付与剤、摺動性改良剤(低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)、相溶化剤、核剤、強化剤、流動調整剤、染料(ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等の染料)、増感剤、着色剤(酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料等の無機顔料、アゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料等の有機系顔料、リン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したものなどのメタリック顔料等)、ゴム質重合体、増粘剤、沈降防止剤、タレ防止剤、充填剤(ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、更にはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク、クレイ等)、消泡剤(シリコーン系消泡剤、界面活性剤やポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤等)、カップリング剤、防錆剤、抗菌・防カビ剤、防汚剤、導電性高分子等が挙げられる。
熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工安定剤等の酸化防止剤等が挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、3,3’,3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリン)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミン)フェノール等が挙げられる。特にペンタエリスリトールテラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。特にベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤は、本実施形態において得られる熱可塑性樹脂の良好な成型加工性を確保する観点から、20℃における蒸気圧(P)が1.0×10-4Pa以下であることが好ましく、1.0×10-6Pa以下であることがより好ましく、1.0×10-8Pa以下であることがさらに好ましい。
ここで、良好な成型加工性とは、例えばフィルムとして成型する際、低分子化合物のロールへの付着が少ないこと等を意味する。ロールへ付着すると、さらに表面に再付着するため、外観が劣化したり、光学特性が悪化したりする原因となる。
また、紫外線吸収剤の融点(Tm)は80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、160℃以上であることがさらにより好ましい。
紫外線吸収剤は、23℃〜260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の重量減少率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがさらにより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。
(熱可塑性樹脂の加工、混練方法)
本実施形態の熱可塑性樹脂を加工したり、種々の添加剤や他の樹脂と組み合わせて混練したりする場合、従来公知の方法が適用でき、特に限定されるものではない。
例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、ローラミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練できる。
特に押出機の使用が、生産性が高く好ましい。
混練温度は、ベース樹脂の好ましい加工温度に従えばよく、目安としては140〜300℃の範囲、好ましくは180〜280℃の範囲である。
(熱可塑性樹脂の取り扱い方法)
本実施形態の熱可塑性樹脂の固形物は、そのままの状態で所定の工程に使用してもよいが、良好な取扱性を確保する観点から、所定の粉砕機等を用いて粉砕した粉砕物として用いることが好ましい。
粉砕機により熱可塑性樹脂を粉砕する場合、粉砕物の取扱性や粉砕後の微粉の量を低減化させるために、所定の寸法のメッシュを取り付けて行うことが好ましい。
メッシュ寸法は1mm〜30mmが好ましく、より好ましくは3mm〜30mmであり、さらに好ましくは5mm〜20mmである。
粉砕物中に微粉が多く含まれていると、当該粉砕物を用いて押出成形等の加工処理を行う際、成形加工性が悪化するおそれがあることから、粉砕物からは微粉を除去することが好ましい。
微粉を除去する方法としては、公知の方法を適用できるが、例えば0.1mm〜1mmの目の粗さを持つ篩を通す方法が挙げられる。その際、得られた熱可塑性樹脂が溶解しない溶剤で洗浄しても良い。熱可塑性樹脂が溶解しない溶剤としては、好適には水が用いられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂は、所定の粉砕機により粉砕物とする際、微粉を取り除いた後の回収率が、粉砕前に比較して90質量%以上である。
〔成形体〕
本実施形態の熱可塑性樹脂の成形体は、上述した製造方法により得られる熱可塑性樹脂を、各種成形法を用いて成形したものである。
成形法としては、例えば、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、Tダイ成型、プレス成形、押出成形、発泡成形、流延法によるフィルム成形等、公知の方法がいずれも適用できる。さらには、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も適用できる。
また、本実施形態の製造方法により作製される熱可塑性樹脂を、所定の硬化性樹脂に配合して樹脂組成物とする場合には、樹脂組成物を製造するための各成分を無溶媒で混合して樹脂混合物とし、あるいは必要に応じて均一に混合できる溶媒を用いて混合した後に溶媒を除去して樹脂混合物とし、これらを所定の金型内へ注形し硬化させた後冷却し、型から取り出すことにより、所望の成形体が得られる。
また、所定の型に注型し、熱プレスにより硬化してもよい。
各成分を溶解させるための溶媒は、各種材料を均一に混合でき、かつ使用することによって発明の効果を損なわないものであれば特に限定されるものではない。
例えば、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、メチルセルソルブ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘキサン、n−ペンタン等が挙げられる。
また、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機等の混練機を用いて樹脂組成物を混練製造した後、冷却、粉砕し、さらにトランスファー成形、射出成形、圧縮成形等により成形を行う方法も一例として挙げることができる。
また、成形体の硬化方法は、使用する硬化剤により異なるが、特に限定はされない。
例えば、熱硬化、光硬化、UV硬化、圧力による硬化、湿気による硬化等が挙げられる。各成分を混合させる順序は、本発明の効果が達成できる方法であれば特に規定するものではない。
〔用途〕
本実施形態における熱可塑性樹脂の製造方法により製造される熱可塑性樹脂の成形体は、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途、サニタリー用途や、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等、太陽電池に用いられる透明基盤等に好適に用いることができる。その他にも、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野において、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等にも用いることができる。
また、他の樹脂の改質材としても用いることができる。
さらに、本実施形態における熱可塑性樹脂の製造方法により製造される熱可塑性樹脂よりなる成形体には、反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理等の表面機能化処理を施すことにより各種機能性成形体として利用することができる。
また、本実施形態により得られる熱可塑性樹脂は、高い透明性を有しており、偏光板保護フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムや、防眩フィルム、加飾フィルム等の、各種フィルム用途に適用できる。
以下、本発明の実施例と、比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下に記載の実施例に限定されるものではない。
先ず、後述する実施例及び比較例に適用した、物性の測定方法、評価方法について下記に示す。
〔(1) 回収率の算出〕
粉砕機にかける前のシート状の樹脂の重量を「X」とし、粉砕機で粉砕後に粉砕物を500μmメッシュの篩にかけて微粉を取り除いた粉砕物の重量を「Y」としたときに、下記式により算出した。
回収率=(Y/X)×100(%)
〔実施例1〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート70質量部、スチレン20質量部、無水マレイン酸10質量部、及び下記化合物(A)1質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部、及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いてこれらの外周近辺を柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにしたセルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。
その後、減圧を解いて、常圧に復し、直ちに前記ガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に22時間保ち、その後110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷し、ガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
上記のようにして得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕し、その後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は93.2%であった。
Figure 2011021181
〔実施例2〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート64質量部、メチルアクリレート2質量部、スチレン22質量部、無水マレイン酸12質量部、及び下記化合物(B)0.7質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いてこれらの外周近辺を柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにしたセルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて、常圧に復し、直ちに前記ガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に22時間保ち、その後110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷し、ガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
上記のようにして得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕し、その後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は93.1%であった。
Figure 2011021181
〔実施例3〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート75質量部、スチレン15質量部、無水マレイン酸10質量部、及び下記化合物(C)0.8質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いて、これらの外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにしてセルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて常圧に復し、直ちに前記ガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に20時間保ち、その後110℃に温調した熱風循環オーブンで3時間保った後、室内で静置放冷し、ガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
上記のようにして得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機により粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は94.3%であった。
上記のようにして得られた粉砕組成物を、テクノベル製Tダイ装着押出機(KZW15TW−25MG−NH型/幅150mmTダイ装着/リップ厚0.5mm)を用いて、押出機のシリンダー内樹脂温度を255℃、Tダイの温度を255℃になる条件に調整し、押出成形をすることにより、透明な厚さ200μmの未延伸フィルムを得た。
得られたフィルムをDSCによりガラス転移温度を測定したところ、Tg=128℃であった。
Figure 2011021181
〔実施例4〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート75質量部、スチレン15質量部、無水マレイン酸10質量部、前記化合物(C)0.8質量部、及び下記化合物(D)0.05質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いて、これらの外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにして、セルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて、常圧に復し、直ちに準備したガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に20時間保ち、その後、110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷してガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
上記のようにして得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は94.0%であった。
Figure 2011021181
〔実施例5〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート66質量部、スチレン22質量部、無水マレイン酸12質量部、前記化合物(C)1質量部、及び下記化合物(E)0.05質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板の外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板を用いて、これらの距離が3.5mmになるようにして、セルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて、常圧に復し、直ちに準備したガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に20時間保ち、その後、110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷してガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は94.4%であった。
Figure 2011021181
〔実施例6〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート70質量部、スチレン20質量部、無水マレイン酸10質量部、上記化合物(A)1質量部、下記化合物(F)0.1質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いて、これらの外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにして、セルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて、常圧に復し、直ちに準備したガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に22時間保ち、その後、110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷してガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は93.7%であった。
Figure 2011021181
〔実施例7〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート70質量部、スチレン20質量部、無水マレイン酸10質量部、上記化合物(A)0.7質量部、下記化合物(G)0.5質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いて、これらの外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにして、セルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。
その後、減圧を解いて、常圧に復し、直ちに準備したガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に22時間保ち、その後、110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室温で静置放冷してガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製 粗粉粉砕機 オリエントミルVM−42D型機で粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて、粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は94.2%であった。
Figure 2011021181
〔実施例8〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート65質量部、スチレン20質量部、無水マレイン酸15質量部、下記化合物(H)1質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.25質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いて、これらの外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにして、セルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて常圧に復し、直ちに準備したガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に22時間保ち、その後、110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷してガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は92.7%であった。
Figure 2011021181
〔実施例9〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート70質量部、スチレン16質量部、無水マレイン酸14質量部、及び上記化合物(B)0.07質量部及び上記化合物(D)0.03質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.04質量部及びn−オクチルメルカプタン0.5質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いてこれらの外周近辺を柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにしたセルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて常圧に復し、直ちに前記ガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に22時間保ち、その後110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷し、ガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
上記のようにして得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕し、その後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。
粉砕組成物の回収率は92.1%であった。
〔比較例1〕
攪拌装置の付いた容器を用いて、メチルメタクリレート70質量部、スチレン20質量部、無水マレイン酸10質量部及び上記化合物(A)0.0005質量部を混合し、これにラウロイルパーオキサイド0.05質量部及びn−オクチルメルカプタン0.3質量部を加えて溶解し、モノマー配合液を作製した。
一方、大きさが250×300mm、厚さが6mmの2枚のガラス板を用いて、これらの外周近辺を、柔軟性のある塩化ビニル製ガスケットで貼りまわし、2枚のガラス板の距離が3.5mmになるようにして、セルを組み立てて準備した。
上述したモノマー配合液を50torrの減圧下で攪拌しながら、2分間の脱揮操作を行った。その後、減圧を解いて常圧に復し、直ちに準備したガラスセルに注入して満たした。
次に、60〜65℃に温調した温水槽中に20時間保ち、その後、110℃に温調した熱風循環オーブン中で3時間保った後、室内で静置放冷してガラス板を除去し、シート状樹脂を得た。
得られたシート状樹脂を、10mmメッシュの網を取り付けたセイシン企業(株)製粗粉砕機オリエントミルVM−42D型機で粉砕した後、粉砕物を500μmの篩にかけて、微粉を取り除いて粉砕組成物を得た。粉砕組成物の回収率は89.9%であった。
比較例1においては、化合物(A)の添加量が少なすぎたため、微粉発生を十分に低減化できず、粉砕組成物の回収率が上記実施例に比して劣っていた。
Figure 2011021181
本発明は、家庭用品、OA機器、AV機器、電池電装用、照明機器、自動車部品用途、ハウジング用途や、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いられる導光板、拡散板、偏光板保護フィルム、1/4波長板、1/2波長板、視野角制御フィルム、液晶光学補償フィルム等の位相差フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基盤、レンズ、タッチパネル等、また、太陽電池に用いられる透明基盤、光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野における、導波路、レンズ、光ファイバー、光ファイバーの被覆材料、LEDのレンズ、レンズカバー等の材料となる熱可塑性樹脂の製造技術として産業上の利用可能性がある。

Claims (9)

  1. 不飽和カルボン酸エステル単量体(a)を用いて重合を行う重合工程を有し、
    当該重合工程において、単量体全量を100質量部としたとき、下記一般式(1)に示す化合物を0.001質量部以上5質量部以下、添加する熱可塑性樹脂の製造方法。
    Figure 2011021181
    (前記一般式(1)中、R1は、H又は炭素数4〜10の3級アルキル基を示し、R2は、炭素数4〜8の3級アルキル基又は下記一般式(2)で表される基を示し、R3は、Oを0〜8個、Sを0〜2個含む炭素数1〜72の基又は下記一般式(3)で表される基である。)
    Figure 2011021181
    (一般式(2)中、Xは、H又はハロゲンを表す。)
    Figure 2011021181
    (一般式(3)中、R4は、炭素数1〜18のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
  2. 前記重合工程において、前記不飽和カルボン酸エステル単量体(a)に芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)を共重合させる請求項1に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  3. 前記重合工程において、前記不飽和カルボン酸エステル単量体(a)に芳香族基含有ビニル化合物単量体(b)及び不飽和カルボン酸無水物(c)を共重合させる請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  4. 前記重合工程において、塊状重合法又はキャスト重合法を使用する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  5. 前記重合工程を経た後、得られた熱可塑性樹脂を粉砕する工程をさらに有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂を粉砕する工程後、微粉を除去した後の、熱可塑性樹脂の回収率が90質量%以上である請求項5に記載の熱可塑性樹脂の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂の製造方法により得られる熱可塑性樹脂。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂の製造方法により得られる熱可塑性樹脂を成形した成形体。
  9. フィルムである請求項8に記載の成形体。
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