JP2011021055A - インクジェット記録用水分散体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を含む水分散液に、ロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置を用いて、剪断速度1m/秒以上の剪断条件下でカチオン性ポリマーを添加する工程を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法、及び(2)その方法により得られる水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクである。
【選択図】なし
Description
最近では、印刷物に耐候性や耐水性を付与するために、着色剤として顔料を用いるインクが広く用いられている。さらにインクのにじみを抑制したり、顔料の紙への定着性を高めるために、樹脂エマルジョン等を添加することが行われている。
特許文献2には、普通紙印刷における彩度、濃度等の改善を目的として、顔料、アニオン性分散剤、ポリエチレンイミン等のカチオン性水溶性高分子化合物及び水性媒体からなる水性顔料インクが開示されている。
特許文献3には、耐マーカー性、耐擦過性等の改善を目的として、水、顔料、ポリエチレンイミン等のカチオン性ポリマーを含み、特定の表面張力を有するインクジェット記録用インクが開示されている。
特許文献4には、スルホン基等の第1の化学基を有する顔料を、ポリエチレンイミン等のポリマーを含む第2の化学基とを反応させる修飾顔料の製造方法が開示されている。
本発明は、印字濃度及び濾過性に優れたインクジェット記録用水分散体の製造方法、及びその方法により得られる水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を含む水分散液に、ロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置を用いて、剪断速度1m/秒以上の剪断条件下でカチオン性ポリマーを添加する工程を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法、及びその方法により得られる水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクを提供する。
以下、本発明に用いられる各成分、各工程について説明する。
本発明で用いられる着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子は、着色剤と水不溶性アニオン性ポリマーにより粒子が形成されているものである。粒子の形態としては、例えば、水不溶性アニオン性ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性アニオン性ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性アニオン性ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
ここで、「アニオン性」とは、未中和の物質を、純水に分散又は溶解させた場合、pHが7未満となること、又は物質が純水に不溶であり、pHが明確に測定できない場合には、純水に分散させた分散体のゼータ電位が負となることをいう。
本発明において、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子は、保存安定性の観点から、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子中の該ポリマーを架橋剤で架橋処理して、着色剤を含有する架橋水不溶性アニオン性ポリマー粒子の形態で用いることがより好ましい。
本発明に用いられる着色剤としては、特に制限はなく、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等を用いることができるが、耐水性、分散安定性及び耐擦過性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましく、顔料がより好ましい。
顔料及び疎水性染料を水分散体に使用する場合には、界面活性剤、ポリマーを用いて、水分散体中で安定な微粒子にすることが好ましい。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、ポリマーの粒子中に顔料及び/又は疎水性染料を含有させることが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水分散体においては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
色相は特に限定されず、赤色、黄色、青色、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。また、キナクリドン固溶体顔料等の固溶体顔料を用いることができる。
キナクリドン固溶体顔料は、β型、γ型等の無置換キナクリドンと、2,9−ジクロルキナクリドン、3,10−ジクロルキナクリドン、4,11−ジクロルキナクリドン等のジクロロキナクリドンからなる。キナクリドン固溶体顔料としては、無置換キナクリドン(C.I.ピグメント・バイオレット19)と2,9−ジクロルキナクリドン(C.I.ピグメント・レッド202)との組合せからなる固溶体顔料が好ましい。
顔料を自己分散型顔料とするには、例えば、親水性官能基の必要量を、常法のより顔料表面に化学結合させればよい。より具体的には、硝酸、硫酸、ペルオキソ二硫酸、次亜塩素酸、クロム酸等の酸類等により液相酸化する方法やカップリング剤を用いて親水基を結合する方法が好ましい。
親水性官能基の量は特に限定されないが、自己分散型顔料1g当たり100〜3,000μmolが好ましく、親水性官能基がカルボキシ基の場合は、自己分散型顔料1g当たり200〜700μmolが好ましい。
アニオン性自己分散型顔料の市販品としては、CAB−O−JET 200、同300、同352K、同250C、同260M、同270Y、同450C、同465M、同470Y、同480V(キャボット社製)やBONJET CW−1、同CW−2(オリヱント化学工業株式会社製)、Aqua−Black 162(東海カーボン株式会社製)等が挙げられる。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、及びC.I.ソルベント・オレンジからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子(以下、単に「アニオン性ポリマー粒子」ともいう)に用いられる水不溶性アニオン性ポリマー(以下、単に「アニオン性ポリマー」ともいう)としては、水分散体及びその水分散体を含むインクの印字濃度向上の観点から、水不溶性ポリマーである。ここで、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量は好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。アニオン性ポリマーの場合、溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
用いるポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられるが、水分散体の保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
(a)アニオン性モノマーは、アニオン性ポリマー粒子を水分散体中で安定に分散させ、カチオン性ポリマーとのイオン的相互作用を促進するために、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられる。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、アニオン性ポリマー粒子の水分散体中での分散安定性の観点から、カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(b)マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500〜100,000の化合物であり、アニオン性ポリマー粒子の水分散体中での保存安定性の観点から、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
(b)マクロマーの数平均分子量は500〜100,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーとしては、アニオン性ポリマー粒子の水分散体中での分散安定性の観点から、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー及びシリコーン系マクロマーが好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。共重合体の場合、アニオン性ポリマー粒子の水分散体中での分散安定性の観点から、スチレン系モノマーの含有量は50重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。共重合される他のモノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレート又はアクリロニトリル等が挙げられる。スチレン系マクロマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数7〜22のアリールアルキル基、又はヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい炭素数6〜22のアリール基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。その具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。共重合される他のモノマーとしては、スチレン系モノマー又はアクリロニトリル等が挙げられる。
(b)マクロマーはシリコーン系マクロマーであってもよく、シリコーン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
(c)疎水性モノマーは、水分散体及びその水分散体を含むインクの印字濃度の向上の観点から、アニオン性ポリマーのモノマー成分として用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、2−メチルスチレン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
モノマー混合物には、更に、(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。
(d)成分としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート2−エチルヘキシルエーテル、(イソ)プロポキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(a)成分の含有量は、アニオン性ポリマー粒子を水分散体中で安定に分散させ、アニオン性ポリマー粒子とカチオン性ポリマーとのイオン的相互作用を促進する観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
(b)成分の含有量は、アニオン性ポリマー粒子の水分散体中での分散安定性の観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、水分散体及びその水分散体を含むインクの印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜80重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、アニオン性ポリマー粒子の水分散体中での分散安定性、及び水分散体及びその水分散体を含むインクの印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
前記アニオン性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル(各モノマーの合計モル量の1モル)あたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することができる。
本発明で用いられるアニオン性ポリマーは、(a)アニオン性モノマー由来のアニオン性基を中和剤により中和して用いることが好ましい。中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン等の塩基が挙げられる。
アニオン性ポリマーのアニオン性基の中和度は、分散安定性の観点から、10〜300%であることが好ましく、20〜200%がより好ましく、30〜150%が更に好ましい。
アニオン性ポリマーを架橋させる場合は、架橋前のポリマーのアニオン性基の中和度は、分散安定性と架橋効率の観点から、10〜90%であることが好ましく、20〜80%がより好ましく、30〜70%が更に好ましい。
ここで中和度は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
酸価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。又は、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子の水分散体は、下記の工程(1)及び(2)を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程(1):アニオン性ポリマー、有機溶媒、着色剤、及び水を含有する混合物を分散処理して、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(1)では、まず、アニオン性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。アニオン性ポリマーの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、中和剤、水、着色剤の順に加えることが好ましい。
混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%が更に好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%が更に好ましく、アニオン性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%が更に好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%が更に好ましい。
前記アニオン性ポリマーの量に対する着色剤の量の重量比〔着色剤/アニオン性ポリマー〕は、分散安定性の観点から、50/50〜90/10であることが好ましく、70/30〜85/15であることがより好ましい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
該有機溶媒の水100gに対する溶解量は、20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
工程(1)の分散における温度は、5〜50℃が好ましく、10〜35℃がより好ましく、分散時間は1〜30時間が好ましく、2〜25時間がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置、具体例としては、ウルトラディスパー、デスパミル(浅田鉄工株式会社、商品名)等の高速撹拌混合装置を好ましく用いることができ、後述するロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置も好ましく用いることができる。
本分散の剪断応力を与える手段としては、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー(株式会社イズミフードマシナリ、商品名)に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社、商品名)、ナノマイザー(吉田機械興業株式会社、商品名)、アルティマイザー、スターバースト(スギノマシン株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機等が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子を小粒子径化する観点から、メディア式分散機と高圧ホモジナイザーを併用することが好ましい。
工程(2)では、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去することで、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。得られたポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよく、架橋工程を後に行う場合は、必要により架橋後に再除去すればよい。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下が好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する該ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は前述〔0009〕のとおりである。
本発明のインクジェット記録用水分散体においては、印字濃度向上の観点から、前記アニオン性ポリマー粒子とカチオン性ポリマーを用いる。
ここで、カチオン性ポリマーの「カチオン性」とは、未中和のポリマーを純水に分散又は溶解させた場合、pHが7より大となること、第4級アンモニウム塩等を有するポリマーの場合はその対イオンを水酸化物イオンとして純水に分散又は溶解させた場合、pHが7より大となること、又はポリマー等が純水に不溶であり、pHが明確に測定できない場合には、純水に分散させた分散体のゼータ電位が正となることをいう。
本発明のインクジェット記録用水分散体において、カチオン性ポリマーを用いることで印字濃度が向上する理由は定かではないが、印刷した後の媒体上で、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子とイオン的な相互作用を起こし、媒体、特に紙中に、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子が浸透することなく、着色剤が媒体表面に残存するため、印字濃度が向上するものと考えられる。また、相互作用が強固な場合には、水分散体中で、複数のポリマー粒子が、連鎖状の二次粒子となり、媒体である紙繊維への物理的な抵抗、ひっかかりが多くなり、媒体表面に着色剤を大量に残留させることができるために、印字濃度が優れるものと考えられる。
また、カチオン性ポリマーは、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子と効率的に相互作用を生じさせ、水分散体又はその水分散体を含むインクの印字濃度を向上させる観点から、水溶性であるものが好ましい。ここで、水溶性ポリマーとは、カチオン性ポリマーを105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10gを超えるポリマーをいい、その溶解量は好ましくは20g以上、更に好ましくは100g以上である。
カチオン性ポリマーとしては、水分散体又はその水分散体を含むインクの印字濃度を向上させる観点から、アミノ基を有するポリマーであることが好ましい。
アミノ基を有するカチオン性ポリマーの好適例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミンが挙げられ、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンがより好ましく、ポリエチレンイミンが更に好ましい。
前記のカチオン性ポリマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエチレンイミンは、−(CH2CH2NH)n−で表され、エチレンイミン単位が直鎖状、分岐状又は網目状に重合した水溶性高分子化合物である。ポリエチレンイミンは、水分散体中でポリカチオンとして存在し、水分散体のpHが7〜9に調整されると、着色剤を含有するポリマー粒子のアニオン性基と相互作用し、複数のポリマー粒子同士のイオン的相互作用による凝集を促進し、紙表面でのインクの浸透を抑制するため、印字濃度を向上させるものと考えられる。更にポリカチオンであることから、ポリマー粒子表面への吸着性が高く、水分散体中で溶解しているものが少なくなると考えられる。そのため、水分散体の分散安定性が高く、濾過性及び保存安定性にも優れると考えられる。
ポリエチレンイミンの数平均分子量は、300〜100,000が好ましく、400〜70,000がより好ましく、500〜30,000が更に好ましい。数平均分子量が300以上であると印刷紙面上への着色剤の定着性が向上し、印字濃度の向上効果が高くなり、100,000以下であれば、水分散体の分散安定性が優れたものとなる。
ポリエチレンイミンの製法は特に制限されず、公知の重合法により製造することができる。例えば、〔1〕エチレンイミンを二酸化炭素、塩酸、臭化水素酸等を触媒として開環重合させる方法、〔2〕塩化エチレンとエチレンジアミンを重縮合させる方法、〔3〕オキサゾリドン−2を加熱する方法等が挙げられる。
ポリエチレンイミンは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水分散体中のカチオン性ポリマー、特にポリエチレンイミンの含有量は、水分散体の基本物性と印字濃度向上のバランスの観点から、着色剤を含有する前記アニオン性ポリマー粒子に対して、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.1〜1重量%である。
本発明のインクジェット記録用水分散体は、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を含む水分散液に、ロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置を用いて、剪断速度1m/秒以上の剪断条件下でカチオン性ポリマーを添加する工程、及び必要に応じて更に架橋工程を含む方法により、効率的に製造することができる。
剪断速度は、ロータの最大円周長さに回転数を乗じた数値とする。例えば、直径8mmのロータを用いて、20000回転/分で回転させた場合の剪断速度は、以下のように算出される。
(0.008(m)×3.14)×333(回転/秒)=8.37(m/秒)
この工程では、例えば、前記工程(1)及び(2)を有する方法で得られた着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を含む水分散体に、ロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置を用いて、剪断速度1m/秒以上、好ましくは2m/秒以上、より好ましくは4m/秒以上、更に好ましくは8〜40m/秒の剪断条件下でカチオン性ポリマー(溶液又は分散液)を添加する。前記剪断条件下でカチオン性ポリマーを添加することによって、局所的な凝集を起こすことなく、カチオン性ポリマーを水分散体中に均一に分散させることができる。この結果、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子が連鎖状に繋がれた形態のポリマー粒子を含む水分散体を、粗大粒子を発生させることなく得ることができる。得られる着色剤を含有するポリマー粒子の水分散体は、印字濃度及び濾過性に優れたものとなっている。
カチオン性ポリマーを添加する場所は、混合後に前記剪断条件となる場所でも構わないが、水分散体が前記剪断条件で流動している場所であることが濾過性の観点から好ましく、撹拌装置のロータ回転軸の中心から、ロータ半径の2倍の半径の円を底面とする円柱内の領域で、添加することが好ましい。
前記剪断条件とするために用いるロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置は、単独で又は複数を組み合わせて用いることができる。
また、本工程において用いられる、カチオン性ポリマーに対する着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子の重量比〔着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子/カチオン性ポリマー〕は、水分散体の印字濃度を高める観点から、好ましくは40〜5000、より好ましくは80〜2000、更に好ましくは100〜1000、更に好ましくは200〜600、更に好ましくは200〜400である。
ロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置は、ロータとステータを具備し、ロータとステータの間隙及びロータのスリット部で流体に剪断力を与える撹拌装置である。より具体的には、撹拌室内に固定された邪魔板の役目もする円筒状のステータ(固定環)と、このステータの中空部内に収容され、モータによって所定の回転数を与えられるロータ(タービン翼)とから構成されており、ステータ及びロータには複数の流路が放射状に形成されている。
この回転剪断型撹拌装置を用いて、カチオン性ポリマーを添加することによって、印字濃度及び濾過性に優れた水分散体が得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
この回転剪断型撹拌装置を用いて、カチオン性ポリマーを添加する場合は、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子を含む水分散液中に該回転剪断型撹拌装置を設置し、ロータを回転させながら、カチオン性ポリマーの溶液又は分散液をロータの中空部近傍に供給する。すると、カチオン性ポリマーの溶液又は分散液には遠心力が作用し、ロータに形成された放射状の流路から噴出して、ロータとステータとの隙間に浸入し、更にはステータの放射状流路に浸入する。ステータは回転せずに固定されていることから、ロータが回転すると、ロータ及びステータの放射状流路に内に存在する液体には渦流れが発生し、また、ロータとステータの隙間に浸入した液体にはロータの回転速度に応じた剪断力が作用する。このため、これら渦流れや剪断のエネルギーによって、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子を含む水分散液とカチオン性ポリマーの溶液又は分散液は均質化される。
更に本発明において、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を用いることで、添加工程でのポリマーの溶出がないため、凝集が起こりにくく、回転剪断型撹拌装置によって十分均質化でき、連鎖状に繋がれた粒子は該ポリマー同士の絡み合いや融着により、強固な粒子となるため、印字濃度及び濾過性に優れるものと考えられる。
カチオン性ポリマーの溶液又は分散液を添加する場合は、該撹拌装置のロータ回転軸の中心から、ロータ半径の2倍の半径の円を底面とする円柱内の領域で、カチオン性ポリマーの溶液又は分散液を、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子を含有する水分散液に添加して接触させることが好ましい。前記領域は、ロータ半径の1.8倍の半径の円を底面とする円柱からロータ半径の0.5倍の半径の円を底面とする円柱を除いた領域がより好ましく、ロータ半径の1.7倍の半径の円を底面とする円柱からロータ半径の1.0倍の半径の円を底面とする円柱を除いた領域が更に好ましく、ロータ半径の1.6倍の半径の円を底面とする円柱からロータ半径の1.4倍の半径の円を底面とする円柱を除いた領域が更に好ましい。カチオン性ポリマーの溶液又は分散液を前記領域に添加することにより、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子を含有する水分散液との接触と同時にカチオン性ポリマーが液中に均一に拡散され、粗大粒子が少なく、濾過性の優れたインクジェット記録用水分散体を得ることができる。
前記回転剪断型撹拌装置の市販品例としては、バイオミキサーBM及びMBMシリーズ(株式会社日本精機製作所、商品名)、ホモミキサーとしてTKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー(以上、プライミクス株式会社、商品名)等、マイルダー(株式会社荏原製作所、太平洋機工株式会社、商品名)、ウルトラタラックス(IKAジャパン株式会社、商品名)等が挙げられ、株式会社日本精機製作所製のバイオミキサー(商品名)、プライミクス株式会社製のTKホモミクサー(商品名)、IKAジャパン株式会社製のウルトラタラックス(商品名)等がより好ましく、株式会社日本精機製作所製のバイオミキサーが更に好ましい。
バイオミキサーを用いる場合のロータの回転数は、10000回転/分以上が好ましく、15000回転/分以上がより好ましく、20000回転/分以上が更に好ましい。
架橋工程では、着色剤を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体に架橋剤を添加して、該アニオン性ポリマーを架橋処理することによって、着色剤を含有するアニオン性架橋ポリマー粒子を含む水分散体として得ることができる。アニオン性ポリマーの架橋処理は、前記工程(2)の有機溶媒を除去する前又は後に行ってもよいし、カチオン性ポリマー添加工程の後に行ってもよい。ポリマーを架橋処理することによって、水分散体の保存安定性を向上させることができる。
ここで、架橋剤としては、アニオン性ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有する化合物が好ましく、該官能基を分子中に2以上、好ましくは2〜6有する化合物がより好ましい。
本発明で用いられる架橋剤は、ポリマー、特に水不溶性アニオン性ポリマーの表面を効率よく架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が、好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。また、その分子量は、反応のし易さ及び水分散体の保存安定性の観点から、好ましくは120〜2000、より好ましくは150〜1500、更に好ましい150〜1000である。
架橋剤の好適例としては、次の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(b)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(c)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
これらの中では、(a)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテルがより好ましい。
また、架橋剤の使用量は、該アニオン性ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算で、該ポリマーのアニオン性基0.1〜20mmolと反応する量であることが好ましく、0.5〜15mmolと反応する量であることがより好ましく、1〜10mmolと反応する量であることが更に好ましい。
架橋処理して得られた架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基(特に好ましくはカルボキシ基)を0.5mmol以上含有することが好ましい。かかる架橋ポリマーは、水分散体中で解離して、アニオン同士の電荷反発により、着色剤を含有する架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
ここで、下記式(I)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%、更に好ましくは30〜60モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数]×100 (I)
式(I)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤の重量を反応性基の当量で除した値である。即ち、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
着色剤を含有する(架橋)ポリマー粒子の平均粒径は、分散性、印字濃度の観点から、好ましくは30〜300nm、より好ましくは40〜200nm、更に好ましくは50〜150nmである。なお、平均粒径は、実施例記載の方法により測定される。
本発明により得られた水分散体には、乾燥防止のために、保湿剤、有機溶媒を添加することができ、また、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等を添加して、そのまま水系インクとして用いることもできる。
本発明の水分散体中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
本発明の製造方法で得られる水分散体のアニオン性ポリマー粒子に含まれる着色剤の水分散体中での含有量は、印字濃度を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%、特に好ましくは4〜10重量である。
また、カチオン性ポリマーに対する着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子の重量比〔着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子/カチオン性ポリマー〕は、水系インクの印字濃度を高める観点から、好ましくは40〜5000、より好ましくは80〜2000、更に好ましくは100〜1000、更に好ましくは200〜600である。
水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
水の含有量は、好ましくは20〜90重量%,より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
本発明の水分散体の好ましい表面張力(20℃)は、30〜70mN/m、より好ましくは35〜65mN/mである。
本発明の水分散体の20重量%(固形分)の粘度(20℃)は、好ましくは1〜12mPa・s、より好ましくは1〜9mPa・s、より好ましくは2〜6mPa・s、更に好ましくは2〜5mPa・sである。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、本発明の製造方法で得られた水分散体を含有するものであるが、水系インクに通常用いられる湿潤剤、浸透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等を添加することができる。
本発明の水系インク中の各成分の含有量は、下記のとおりである。
本発明の水系インクに用いられるアニオン性有機顔料粒子に含まれる有機顔料の含有量は、水系インクの印字濃度を高める観点から、水系インク中で、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは2〜20重量%、より好ましくは4〜15重量%、更に好ましくは5〜12重量である。
水の含有量は、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。
本発明の水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、23〜50mN/m、より好ましくは23〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mである。
本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出信頼性を維持するために、好ましくは2〜20mPa・sであり、より好ましくは2.5〜16mPa・s、更に好ましくは2.5〜12mPa・sである。
本発明の水系インクを適用するインクジェットの方式は制限されないが、ピエゾ方式のインクジェットプリンターに特に好適である。
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶媒として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
(2)着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定する粒子の濃度を、約5×10-3重量%なるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。
孔径5μmのフィルター(Sartorius Stedim Biotech社製、ミニザルトシリンジフィルター、フィルター径: 26mm、材質:セルロースアセテート)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、フィルター1個が目詰まりするまでの通液量を測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。通液量が多いほど、濾過性は良好である。
(4)印刷方法
インクを、シリコンチューブを介して、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、型番:EM−930C、ピエゾ方式)のブラックヘッド上部のインク注入口に充填した。次いで、フォトショップによりベタ印字の印刷パターン(横181mm×縦257mmの大きさ)を作成し、ベタのDutyを変化させて試し印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ブラック、ファイン、双方向〕を行い、実際の吐出量が0.80±0.01mg/cm2となるようにDutyを調整した。吐出量は、インクが入ったスクリュー管の重量変化を測定した。調整したDutyのベタ画像を用い、市販の普通紙(商品名:XEROX4200、XEROX社製、上質普通紙)に印字を行った。
(5)印字濃度の測定
印字物を25℃湿度50%で24時間放置後、印字面の印字濃度を測定した。印字濃度の測定には分光光度計(株式会社きもと製、品番:Spectro Eye)を用い、測定条件は、観測光源を D65とし、観測視野を2度とし、濃度基準を DIN16536とし、マゼンタの色濃度成分の数値を読み取った。測定回数は、測定する場所を変え、双方向印字の往路において印字された部分から5点、復路において印字された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求めた。印字濃度は、数値が大きいほど良好である。
(1)アニオン性ポリマーの合成
ベンジルメタクリレート142部、メタクリル酸38部、スチレンマクロマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS−6S)(固形分50%)40部を混合し、モノマー混合液を調製した。
反応容器内に、メチルエチルケトン18部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、前記モノマー混合液の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、滴下ロートに、モノマー混合液の残りの90%と前記重合連鎖移動剤0.27部とメチルエチルケトン42部及び重合開始剤(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合したものを入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を撹拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了から75℃で2時間経過後、前記重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液(ポリマーの重量平均分子量:90000)を得た。
(2)顔料含有アニオン性ポリマー粒子の水分散体の調製
上記(1)で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー45部をメチルエチルケトン300部に溶かし、その中に中和剤5N水酸化ナトリウム水溶液10.2部と25%アンモニア水12.2部、及びイオン交換水1150部を加え、更にマゼンタ顔料(無置換キナクリドンと2,9−ジクロロキナクリドンからなる固溶体顔料、チバ・ジャパン株式会社製、商品名:クロモフタルジェットマゼンタ2BC)180部を加え、ディスパー翼7000rpmで20℃で1時間混合したのち、ビーズミル型分散機(寿工業株式会社製、ウルトラ・アペックス・ミル、型式UAM-05、メディア粒子:ジルコニアビーズ、粒径:0.05mm)を用いて20℃で40分間混合分散した。得られた分散液をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、高圧ホモジナイザー、商品名、型式M-140K)を用いて、180MPaの圧力でさらに5パス分散処理した。
得られた分散液を、減圧下60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、遠心分離し、液層部分を前記孔径5μmのフィルター(Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過して粗大粒子を除き、顔料を含有するアニオン性ポリマー粒子の水分散体〔固形分濃度:30.0%、平均粒径80nm〕を得た。
調製例1で得られた顔料含有アニオン性ポリマー粒子の水分散体50.0gを100mlトールビーカーに入れ、ステータ外部に内径0.7mmのステンレスチューブを接着したバイオミキサー(株式会社日本精機製作所、型番:BM−2、ジェネレーターシャフト型番:NS−10、ロータ直径8mm、ステータの内周面とロータの外周面との隙間0.14mm)を設置し、5℃の水浴に漬け、回転数20000回転/分にて撹拌しながら、ポリエチレンイミン(数平均分子量約10,000)(和光純薬工業株式会社製)の0.45重量%水溶液6.1gを3.5ml/分の速度で注入した。得られた分散液を前記孔径5μmのフィルター(Sartorius Stedim Biotech社製)で濾過して粗大粒子を除いた。
得られた分散液に、エポキシ系架橋剤(商品名:デナコールEX321、エポキシ当量140、ナガセケムテックス株式会社製)0.31gを加えて、90℃温浴で、撹拌しながら1.5時間保持した。冷却後、前記孔径5μmのフィルターで濾過して粗大粒子を除き、平均粒径115nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
なお、剪断速度は、(0.008(m)×3.14)×333(回転/秒)=8.4(m/秒)であり、カチオン性ポリマーを添加して接触させる位置は(ステンレスチューブの接液面のロータ回転軸の中心からの距離)/(ロータ半径)=6mm/4mm、ロータ回転軸の中心から、ロータ半径の1.5倍の半径の円を底面とする円柱内であった。
実施例1のバイオミキサーの回転数を10000回転/分にした以外は実施例1と同様に操作を行い、平均粒径116nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
実施例3(インクジェット記録用水分散体の製造)
実施例1のポリエチレンイミン(数平均分子量約10,000)(和光純薬工業株式会社製)の0.45重量%水溶液を、0.35重量%水溶液14.2gに変更した以外は実施例1と同様に操作を行い、平均粒径125nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
実施例4(インクジェット記録用水分散体の製造)
実施例1のバイオミキサーに替えて、ホモミキサー(プライミクス株式会社製、型番:TKホモミクサー、回転部はTKロボミックスを使用、回転数:7500rpm、ロータ径:26mm、ステータの内周面とロータの外周面との隙間1.3mm)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、平均粒径105nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
なお、剪断速度は、(0.026(m)×3.14)×125(回転/秒)=10.2(m/秒)であり、カチオン性ポリマーを添加して接触させる位置は(ステンレスチューブの接液面のロータ回転軸の中心からの距離)/(ロータ半径)=18mm/13mm、ロータ回転軸の中心から、ロータ半径の1.38倍の半径の円を底面とする円柱内であった。
実施例1のバイオミキサーの回転数を2000回転/分にした以外は実施例1と同様に操作を行ったが、濾過性が悪く、評価可能な量の色材を得ることはできなかった。
比較例2(インクジェット記録用水分散体の製造)
実施例1のバイオミキサーに替えて、ディスパ(プライミクス株式会社製、型番:TKホモディスパ2.5型、回転数:3000rpm、翼径:28mm)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、平均粒径96nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
なお、剪断速度は、(0.028(m)×3.14)×50(回転/秒)=4.4(m/秒)であり、カチオン性ポリマーを添加して接触させる位置は(ステンレスチューブの接液面の回転翼回転軸の中心からの距離)/(回転翼半径)=20mm/14mm、回転翼回転軸の中心から、回転翼半径の1.43倍の半径の円を底面とする円柱内であった。
比較例3(インクジェット記録用水分散体の製造)
実施例1のバイオミキサーに替えて、ビーズミル型分散機(アイメックス株式会社)製サンドミル(型番:サンドグラインダー6TSG−1/4)、メディア粒子:ジルコニアビーズ、粒径:0.05mm、ビーズ充填率:65%、回転数:1500rpm、翼径:70mm)を用い、架橋反応前の濾過の前処理として遠心分離機(6000G、20分)により不純物を除去する工程を加えた以外は、実施例1と同様に操作を行い、平均粒径85nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
なお、剪断速度は、(0.7(m)×3.14)×25(回転/秒)=5.5(m/秒)であり、カチオン性ポリマーを添加して接触させる位置は(ステンレスチューブの接液面の回転翼回転軸の中心からの距離)/(回転翼半径)=45mm/35mm、回転翼回転軸の中心から、回転翼半径の1.29倍の半径の円を底面とする円柱内であった。
実施例1のバイオミキサーに替えて、マグネティック・スターラー(アズワン社製、型番:REXIM RS−6A、回転数:300rpm、テフロン(登録商標)撹拌子:20mm×径8mm)を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、濾過性が悪く、評価可能な量の色材を得ることはできなかった。
なお、剪断速度は、(0.02(m)×3.14)×5(回転/秒)=0.3(m/秒)であり、カチオン性ポリマーを添加して接触させる位置は(ステンレスチューブの接液面の撹拌子回転軸の中心からの距離)/(撹拌子の長さ/2)=12.5mm/10mm、撹拌子回転軸の中心から、撹拌子回転半径の1.25倍の半径の円を底面とする円柱内であった。
比較例5(インクジェット記録用水分散体の製造)
実施例1のバイオミキサーに替えて、次の方法で混合し、架橋反応前の濾過の前処理として遠心分離機(6000G、20分)により不純物を除去する工程を加えた以外は、実施例1と同様に操作を行い、平均粒径88nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
混合方法:比較例4と同様にマグネティック・スターラーで攪拌しながら、調製例1で得られた顔料含有アニオン性ポリマー粒子の水分散体500gに0.45重量%ポリエチレンイミン(数平均分子量約10,000)水溶液61gを加え、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、高圧ホモジナイザー、商品名、型式M-140K)を用いて、150MPaの圧力で5パス分散処理した。
実施例1のバイオミキサーに替えて、次の方法で混合した以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、濾過性が悪く、評価可能な量の色材を得ることはできなかった。
混合方法:調製例1で得られた顔料含有アニオン性ポリマー粒子の水分散体50.0gを100mlスクリュー管に入れ、さらに0.45重量%ポリエチレンイミン(数平均分子量約10,000)(和光純薬工業株式会社製)水溶液6.1gを加えて、フタをして、約1分間手で振って混合した。
比較例7(インクジェット記録用水分散体の製造)
実施例1の0.45重量%ポリエチレンイミン(数平均分子量約10,000)(和光純薬工業株式会社製)水溶液6.1gをイオン交換水6.1gに替えた以外は実施例1と同様に操作を行った。平均粒径83nmの顔料含有ポリマー粒子を含むインクジェット記録用水分散体を得た。
1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製)2.0部、2−ピロリドン(和光純薬株式会社製)2.0部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)0.5部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製)0.5部、グリセリン(花王株式会社製)2.0部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(商品名:ブチルトリグリコール、日本乳化剤株式会社製)10.0部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製)0.3部、及びイオン交換水をマグネチックスターラーで撹拌しながら、混合し、更に室温で15分間撹拌して、混合溶液を得た。ここでイオン交換水の配合量は、混合溶液と実施例1で得られたインクジェット記録用水分散体を加えた全量が100部となるように調整した量である。
次に実施例1で得られたインクジェット記録用水分散体41.7部(顔料分換算10.0部)をマグネチック・スターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を添加し、前記孔径5μmのフィルターで濾過し、水系インクを得た。
実施例5の実施例1で得られたインクジェット記録用水分散体に替えて、表1に示すように実施例2〜4及び比較例1〜7で得られたインクジェット記録用水分散体を用いた以外は、実施例5と同様にして水系インクを得た。
Claims (8)
- 着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を含む水分散液に、ロータ・ステータ構造を有する回転剪断型撹拌装置を用いて、剪断速度1m/秒以上の剪断条件下でカチオン性ポリマーを添加する工程を有する、インクジェット記録用水分散体の製造方法。
- 撹拌装置のロータ回転軸の中心から、ロータ半径の2倍の半径の円を底面とする円柱内の領域で、着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子を含有する水分散液に、カチオン性ポリマーを添加して接触させる、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- カチオン性ポリマーを添加する工程において、カチオン性ポリマーに対する着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子の重量比〔着色剤を含有する水不溶性アニオン性ポリマー粒子/カチオン性ポリマー〕が100〜1000である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- カチオン性ポリマーがアミノ基及び/又はイミノ基を有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- カチオン性ポリマーがポリエチレンイミンである、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- ステータの内周面とロータの外周面との隙間が50μm以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- 水不溶性アニオン性ポリマーが、ベンジル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有するポリマーである、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られるインクジェット記録用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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