JP2011017574A - 電流検出器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホール素子の出力に対するノイズの影響を抑えることができる電流検出器を提供する。
【解決手段】電流検出器(100)は、被検出電流(If)を導通させる導体(105)の周囲に配置された環状の磁性体コア(102)と、磁性体コア(102)の複数箇所に形成されたギャップ(102d)内にそれぞれ配置された複数のホール素子(106)と、これらホール素子(106)からそれぞれ出力され電圧信号(Vh1),(Vh2)の値を掛け合わせた結果に相当する電圧信号(Vh1・Vh2)を出力する掛算回路(108)とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電流の測定や検出、フィードバック制御等に利用される磁気比例方式の電流検出器に関する。
従来、被検出電流の導通によって生じる磁束をコア(磁心)で収束し、その磁束をホール素子で電圧信号に変換して電流値を検出する非接触型の電流センサに関する先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特に、この公知の電流センサは、コアの一次巻線に正負両方向に被検出電流が導通する際、その正方向と負方向とでは被検出電流の測定範囲(定格値)が大きく異なる点に着目し、被検出電流の導通方向に応じて検出抵抗の値を変化させるものである。このとき検出抵抗は、正方向電流の検出時には二次巻線からの出力を電圧降下させてコンパレータをローレベルに駆動し、基準電圧をアース電圧(0)に維持する。一方、負方向電流の検出時には、検出抵抗はコンパレータをハイレベルに駆動し、基準電圧を電源電圧(+B)に維持することができる。
上記の先行技術によれば、正方向の電流に対して負方向の電流が数分の1程度しか導通しない場合であっても、正方向の電流を検出する場合と負方向の電流を検出する場合とで検出抵抗の値を変えることにより、正負それぞれの測定範囲を別々に設定して、センサ能力を有効に使用することができると考えられる。
特開2000−292456号公報(段落0017〜0019、図1)
しかしながら上述した先行技術は、ホール素子から出力された後の電圧信号を所望の測定範囲に降下させることだけに着目し、それ以前にホール素子の出力電圧に含まれているノイズの影響を何ら考慮していない。すなわち、電流センサにとってホール素子は最も重要な部品であり、検出電流の導通時にホール素子が外部から受けるノイズ(電気ノイズ、磁気ノイズ等)や、ホール素子自身が出力するホワイトノイズは、そのまま電流センサの出力特性に大きな影響を及ぼす。特に、上述した先行技術のように、単一のホール素子のみに依存して電流値の検出を行っている場合、検出結果に対してホール素子の出力するノイズの影響がダイレクトに現れやすいという問題がある。
そこで本発明は、ホール素子の出力に対するノイズの影響を抑えることができる技術の提供を課題としたものである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の解決手段を採用する。
すなわち本発明は、被検出電流の導通時に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置され、複数の箇所にギャップが形成された磁性体コアと、複数あるギャップ内にそれぞれ配置され、被検出電流の導通時に磁性体コアを通じて個々のギャップ内に発生する磁界の強さに応じた電圧信号を出力する複数のホール素子と、複数のホール素子からそれぞれ出力された電圧信号の値を掛け合わせた結果に相当する電圧信号を出力する掛算回路とを備えた電流検出器である。
上記のように本発明の電流検出器では、その検出機能の中核をなすホール素子を磁性体コアの複数箇所のギャップ内に配置するとともに、それぞれの電圧信号の値を掛け合わせた結果を電圧信号とするものである。このため、被検出電流の導通時に電流検出器の外部からノイズが作用したとしても、その影響が全てのホール素子に対して同等に現れることはない。またホール素子自身から出力されるホワイトノイズについても、全てのホール素子が最大レベルのホワイトノイズを同時に出力するということは通常起こりにくい。
例えば、いずれか1つのホール素子がノイズの影響を最大に受けていたとしても、その他のホール素子が同じようにノイズの影響を最大に受けることはない。同様に、いずれか1つのホール素子が最大レベルのホワイトノイズを出力していたとしても、その他のホール素子が同時に最大レベルのホワイトノイズを出力していることはほとんどないことから、単一のホール素子を用いた場合と比較して、電圧信号に含まれるノイズの影響を希釈化することができる。また、個々のホール素子からの電圧信号に含まれるノイズの成分は、複数の電圧信号の値を掛け合わせることでその中に占める比率が相対的に低下することから、それだけ最終的な電圧信号(掛算結果としての値)のS/N比を改善(向上)し、電流検出器としての検出感度を高めることができる。
また本発明の電流検出器による有用性は、例えば「複数のホール素子を用いてそれぞれの出力の平均値をとる」という比較技術の存在によっては否定されない。すなわち比較技術では、個々のホール素子の信号が単純に平均値として出力されるため、結果的に出力される電圧信号中にノイズの成分も平均化された状態で残存する。この場合、例えばノイズの影響を全く受けていないホール素子(=ノイズ成分が0)が存在していても、その他にノイズの影響を受けているホール素子が存在していれば、そのノイズ成分が平均値として全てのホール素子に振り分けられることになる。この点、本発明ではノイズの影響を全く(ほとんど)受けていないホール素子があれば、掛け合わせにより他のノイズ成分が電圧信号中に占める割合を大幅に低減(希釈化)することができるため、上記のようにS/N比の向上を図ることができるという利点がある。
さらに本発明では、例えば複数のホール素子として2つを使用した場合、それぞれの電圧信号の値を掛け合わせることで、掛算回路から得られる電圧信号の値が二次となる。すなわち、一般的に単一のホール素子から出力される電圧信号(ホール電圧)の特性は、被検出電流によって発生する磁束(被検出電流の値)に一次比例する直線性を有しているが、2つのホール素子からの電圧信号の値を掛算することで、その値は被検出電流の変化に対して二次関数(指数関数)的に変化する。この場合、一般的な比例関係(直線性)よりも、被検出電流の定格値に対する出力レンジを拡大することができるので、それだけ分解能を高くすることができるし、例えば増幅器(アンプ)を用いて電圧信号を増幅する場合であっても、その増幅率を低く抑えることができる。増幅率が高くなると、それだけ電圧信号に含まれる誤差やノイズの成分も増幅された状態で現れてくるが、本発明では増幅率の低下に寄与できるため、検出結果に含まれる誤差やノイズの影響を低く抑えることができ、より高精度な検出が可能となる。
また本発明の電流検出器において、上記のように「掛算回路による出力レンジの拡大」という点に着目した場合、同じ1つのギャップ内に複数のホール素子を配置する構成であってもよい。すなわち本発明は、被検出電流の導通時に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置され、少なくとも1箇所にギャップが形成された磁性体コアと、ギャップ内に配置され、被検出電流の導通時に磁性体コアを通じてギャップ内に発生する磁界の強さに応じた電圧信号を出力する複数のホール素子と、これら複数のホール素子からそれぞれ出力された電圧信号の値を掛け合わせた結果に相当する電圧信号を出力する掛算回路とを備えた電流検出器としても構成することができる。
上記の構成であっても、例えば複数のホール素子として2つ(3つ以上でもよい)を使用した場合、それぞれの電圧信号の値を掛け合わせることで、掛算回路から得られる電圧信号の値が二次(又はそれ以上の高次)となる。したがって、単一のホール素子を用いた場合と比較して、被検出電流の定格値に対する出力レンジを拡大することができ、それだけ分解能を高くすることができる。また、上記のように例えば増幅器(アンプ)を用いて電圧信号を増幅する場合であっても、その増幅率を低く抑えることができるため、それだけ検出結果に含まれる誤差やノイズの影響を低く抑えることができ、より高精度な検出が可能となる。
さらに、1つのギャップ内に複数のホール素子を配置する構成であれば、個々のホール素子自身が出力するホワイトノイズについても、全てのホール素子が最大レベルのホワイトノイズを同時に出力しない限り、これらの電圧信号の値を掛け合わせた結果が最大値となることはない。したがって、単一のホール素子を用いた場合と比較しても、電圧信号に含まれるノイズの影響を希釈化することができるという利点を有する。
また上記と同様に、同じ1つのギャップ内でも、ホワイトノイズを全く(ほとんど)出力していないホール素子(ホワイトノイズ成分≒0)があれば、それぞれの電圧信号の掛け合わせにより、他のホール素子自身が出力するホワイトノイズの成分を大幅に低減(希釈化)することができるため、ここでもS/N比の向上を図ることができるという利点がある。
また本発明の電流検出器は、掛算回路からの出力に基づいて磁性体コアに巻かれた二次巻線に帰還電流を導通させ、磁性体コアの周方向でみて被検出電流の導通時に発生する磁界を打ち消す方向への逆磁界を発生させるフィードバック回路をさらに備えることもできる。
上記のように、磁性体コアに二次巻線を設けたフィードバック回路を備える場合、本発明の電流検出器はいわゆるサーボタイプとなる。このようなサーボタイプの電流検出器は、被検出電流の導通時に発生する磁界を二次巻線への通電により発生する逆磁界で打ち消しつつ、複数のホール素子から得られる電圧信号(掛算回路からの出力)に基づいて二次巻線に流れる電流をフィードバック制御する目的に用いられる。例えば、逆磁界によって各ギャップ内の磁界が完全に打ち消されている状態をシステム(例えば電気回路)の定常状態とすれば、実際に制御上で目的とする定常状態にシステムが安定したとき、各ホール素子からの電圧信号は適正値(=0)となる。この場合、電圧信号を適正値に近づける方向に二次巻線の電流をフィードバック制御することで、システムの安定化を図ることができる。
ただし、実際にシステム内部での挙動が目的の定常状態で安定していたとしても、電流検出器の使用環境に応じて外部ノイズの分布は異なることから、複数あるホール素子の全てに対して同等にノイズの影響が現れることは通常起こりにくい(ギャップを複数箇所に配置した場合)。すなわち、サーボタイプの場合、外部ノイズの影響によってホール素子の電圧信号は適正値(=0)からドリフトした値(0以外の値)となるが、全てのホール素子の電圧信号に対してノイズの影響が現れたり、さらに同時にノイズの影響が極大化したりすることは極めて希である。したがって、たとえノイズの影響を受けているホール素子が中に存在していたとしても、全てのホール素子からの電圧信号を掛け合わせた場合、その中には適正値(=0)又はその近傍値(≒0)を保っているものも存在することから、これらの掛け合わせによって、結果的に電圧信号を適正値(=0)又はその近傍値(≒0)に引き戻すことができる。また、複数のホール素子に対して何らかのノイズの影響が現れたとしても、全てのホール素子がその最大値を出力しない限り、掛け合わせによるノイズの影響は原則として低減される。このため本発明では、ほとんどの場合で最終的な電圧信号からノイズの影響を除去又は低減することができるため、電流検出器としての感度を向上することができる。
また上記の利点は、ホール素子自身が出力するホワイトノイズに対しても有効である。すなわち、(1)磁性体コアの複数箇所のギャップを設けてそれぞれにホール素子を複数配置した場合、あるいは(2)磁性体コアの少なくとも1箇所にギャップを設けてそこに複数のホール素子を配置した場合のいずれであっても、複数あるホール素子の全てが最大レベルのホワイトノイズを同時に出力することは通常起こりにくい。通常、ホール素子自身から出力されるホワイトノイズは、その出力レベルがランダムに変化する事象として捉えることができる。このため、全てのホール素子が同時に最大のホワイトノイズを出力するという状況は、極めて希にしか起こり得ない(発生確率が極端に低い)。したがって、サーボタイプにおいて全てのホール素子からの電圧信号を掛け合わせた場合、その中には適正値(ホワイトノイズ成分=0)又はその近傍値(≒0)を保っているものも存在することから、これらの掛け合わせによって、結果的に電圧信号を適正値(=0)又はその近傍値(≒0)に引き戻すことができる。また、複数のホール素子が少しずつホワイトノイズを出力したとしても、全てのホール素子がその最大値を出力しない限り、掛け合わせによるノイズの影響は原則として低減される。このため本発明では、ほとんどの場合で最終的な電圧信号からホワイトノイズの影響を除去又は低減することができるため、電流検出器としての感度を向上することができる。
以上のように本発明の電流検出器は、ノイズの影響を抑えて検出精度を向上することができる。また、掛算回路によって被検出電流の定格値に対する電圧信号の出力レンジを拡大することができるため、電流検出の分解能や検出精度の向上を図ることができる。
第1実施形態の電流検出器の構成を概略的に示す斜視図である。 電流検出器の使用時におけるノイズ環境の例として2つのパターンを示す概略図である。 実施例及び比較例それぞれのホワイトノイズの影響をシミュレーション結果として示した図である。 被検出電流と掛算回路の出力値との関係を示す図である。 第2実施形態の電流検出器の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態の電流検出器100の構成を示す概略図である。以下、電流検出器100の構成について説明する。
〔磁性体コア〕
電流検出器100は、例えばフェライト製の磁性体コア102を備えており、この磁性体コア102は全体として略角リング形状をなしている。磁性体コア102の内側(リングの内周)には略矩形状の電流導通部102aが形成されており、この電流導通部102aにはバスバー等の導体105が挿通されるものとなっている。電流検出器100は導体105を通る電流を検出対象とするものであり、磁性体コア102は、導体105に被検出電流(If)が流れる際に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置されている。なお、被検出電流(If)が比較的低い水準(微弱電流)である場合、導体105を磁性体コア102に巻き付けて一次巻線としてもよい。
〔ギャップ〕
上記のように磁性体コア102は略角リング形状をなしており、そのため磁性体コア102にはそれぞれ一対の短辺部102b及び長辺部102cが含まれている。また磁性体コア102には、一対の短辺部102bの途中を部分的に切り欠くことで、複数の箇所(この例では2箇所)にそれぞれギャップ102dが形成されている。なおギャップ102dは、一対の長辺部102cにそれぞれ形成されていてもよい。
〔ホール素子〕
電流検出器100は、複数(この例では2つ)のホール素子106を備えている。個々のホール素子106は、それぞれギャップ102d内に1つずつ挿入した状態で磁性体コア102に取り付けられている。なおホール素子106は、例えば樹脂封止によりパッケージされた電子部品であり、各ホール素子106には、例えば図示しない電源回路を通じて制御電流(Ic)が供給されている。各ホール素子106は、対応するギャップ102dに発生する磁界の強さ(磁束)に応じた電圧信号(Vh:ホール電圧)を出力する。
〔掛算回路〕
また電流検出器100は、例えばアナログ回路で構成された掛算回路108を備えている。この掛算回路108には、各ホール素子106から出力される電圧信号が入力されている。掛算回路108は、2つの電圧信号(Vh1),(Vh2)で表される値を掛け合わせた結果に相当する電圧信号(Vh1・Vh2)を出力する。なお掛算回路108には、例えば公知のアナログ乗算器等を用いることができるので、ここではその詳細についての説明を省略する。
〔フィードバック回路〕
この第1実施形態の電流検出器100はサーボタイプであり、そのためフィードバック回路としての構成要素を備えている。フィードバック回路は、例えば上記の掛算回路108の後段位置に増幅器110を有しており、この増幅器110は掛算回路108から出力される電圧信号(Vh1・Vh2)を所定の増幅率で増幅する。なお増幅率は、電流検出器100の使用条件や被検出電流の大きさに応じて適宜に設定することができる。
またフィードバック回路は、増幅器110より後段位置に二次巻線104を有している。二次巻線104は、例えば磁性体コア102の一方の長辺部102cに巻かれた状態で形成されている。二次巻線104は、増幅器110からフィードバック電流(Ih)が供給されることで、被検出電流(If)により発生する磁界を打ち消す方向への逆磁界を発生させるものである。なおフィードバック回路には、図示しない負荷抵抗が設けられており、二次巻線104の電流出力(Ih)は、負荷抵抗で電圧出力(Vout)に変換される。
〔ノイズ環境の例〕
図2は、電流検出器100の使用時におけるノイズ環境の例として2つのパターンを示す概略図である。なお図2中、磁性体コア102及びホール素子106以外の構成要素については、その図示を省略している。
〔第1パターン〕
図2中(A):例えば第1パターンとして、磁性体コア102の一方(図中上側)の短辺部102bに沿って、その略平行な方向から外部ノイズNZ1(例えば磁気ノイズ)が飛来するノイズ環境を想定する。この場合、外部ノイズNZ1が磁性体コア102に進入し、一方(図中上側)の短辺部102b及びこれに連なる一方(図中左側)の長辺部102cの内部にそれぞれ磁束が透過していくが、その磁束は短辺部102bで比較的大きく、長辺部102cでは比較的小さい。これは、外部ノイズNZ1の飛来する方向が短辺部102bと略平行であり、その飛来する位置が磁性体コア102のコーナー部分に位置していることによる。
このため第1パターンでは、一方(図中上側)の短辺部102bに形成されたギャップ102d内では外部ノイズNZ1による磁界の影響が強くなり、他方(図中下側)の短辺部102bに形成されたギャップ102dでは外部ノイズNZ1による磁界の影響が弱くなる。また他方の短辺部102bに形成されたギャップ102dは、外部ノイズNZ1の飛来位置から比較的離れているため、それだけ透過する磁束も減衰している。したがって、一方(図中上側)のホール素子106からの電圧信号(Vh1)には外部ノイズNZ1の影響が大きく現れるが、他方(図中下側)のホール素子106からの電圧信号(Vh2)には外部ノイズNZ1の影響があまり現れない。
〔第2パターン〕
図2中(B):次に第2パターンとして、磁性体コア102の他方(図中下側)の短辺部102b及び一方(図中左側)の長辺部102cとが接続されるコーナー部分に対し、斜め方向から別の外部ノイズNZ2が飛来するノイズ環境を想定する。この場合、外部ノイズNZ2が同じく磁性体コア102に進入し、他方(図中下側)の短辺部102b及びこれに連なる一方(図中左側)の長辺部102cの内部にそれぞれ同程度の磁束が透過していく。
ただし第2パターンでは、他方(図中下側)の短辺部102bに形成されたギャップ102dの方が外部ノイズNZ2の飛来位置に近いことから、それだけ外部ノイズNZ2による磁界の影響が強くなる。これに対し、一方(図中上側)の短辺部102bに形成されたギャップ102dは外部ノイズNZ2の飛来位置から遠く離れていることから、その間の磁束漏れ等によって外部ノイズNZ2による磁界の影響は弱くなる。したがって、他方(図中下側)のホール素子106からの電圧信号(Vh2)には外部ノイズNZ2の影響が大きく現れるが、一方(図中上側)のホール素子106からの電圧信号(Vh1)には外部ノイズNZ2の影響があまり現れない。
上記の第1パターン及び第2パターン以外にも、外部ノイズの飛来方向や位置は多様であり、それだけノイズ環境が多種多様であることがわかる。いずれにしても、通常、同じノイズについて、2つあるホール素子106が同時に影響を最大に受けることはほとんどない。このため、上記の掛算回路108にて2つの電圧信号(Vh1),(Vh2)を掛け合わせた場合、純粋な信号成分が乗算によって増幅される結果、各電圧信号に含まれるノイズの成分の割合を相対的に低減することができる。
〔ホワイトノイズによる影響〕
また電流検出器100による検出結果には、ホール素子106自身が出力するホワイトノイズの影響も現れる。ホワイトノイズは、各種の周波数に対してホール素子106自身が出力し得るものであり、その値は基本的に無作為(不規則)パターンとなる。
図3は、第1実施形態において2つのホール素子106自身が無作為なパターンでホワイトノイズを出力したときの影響をシミュレーション結果として示した実施例と、その比較例として単一のホール素子を用いた場合のホワイトノイズの影響を同じくシミュレーション結果として示した図である。なお今回の実施例においては、以下の条件でシミュレーションを行った。
(1)ホワイトノイズ振幅:10mV
(2)ホール素子感度:Vhef=50mV
(3)電流検出器出力レンジ:Vcsf=1000mV
〔実施例〕
図3中(A):今回の実施例において、2つあるホール素子106をそれぞれ「第1ホール素子」、「第2ホール素子」とする。また実施例の表中、左カラムから順に第1ホール素子から出力されるホワイトノイズ、第2ホール素子から出力されるホワイトノイズ、掛算回路108から出力されるホワイトノイズ、そして電流検出器から出力されるホワイトノイズの数値例(mV)をそれぞれ示す。なお実施例は、表中の行ごとにそれぞれ実施例1〜10とする。
〔ホール素子出力〕
上記の条件(1)に基づき、今回の実施例では第1ホール素子及び第2ホール素子からそれぞれ出力されるホワイトノイズを「−10」〜「+10」の振幅範囲内で無作為に発生させた数値(正規乱数)を採用した。各実施例の数値から明らかなように、第1ホール素子だけが最大のホワイトノイズを出力するケースは、実施例3,8,9の3つであった。一方、第2ホール素子だけが最大のホワイトノイズを出力するケースは、いずれの実施例にもなかった。そして、第1ホール素子及び第2ホール素子の両方が同時に最大のホワイトノイズを出力するケースは、今回シミュレートした実施例1〜10の中には見られなかった。なお実施例8では、第1ホール素子のホワイトノイズが「+10(mV)」の最大値となり、第2ホール素子のホワイトノイズが「−9(mV)」と最大値に近くなるというケースが見られたが、それでも最大値のホワイトノイズが出力されるケースは起こっていない。
〔掛算回路出力〕
その結果、掛算回路108から出力されるホワイトノイズは、実施例1〜10のいずれにおいても最大値「±100(mV)」となることはなかった。また、いずれか一方のホワイトノイズが「0(mV)」となる3つの実施例4,6,9では、2つのホワイトノイズを掛け合わせることで、結果的に掛算回路108から出力されるホワイトノイズを「0(mV)」に減衰することができた。
〔電流検出器出力〕
電流検出器の出力(Vcs)は、掛算回路108の出力(Vh1×Vh2)に基づき、例えば以下の式で求めることができる。
Vcs=Vcsf×√(Vh1/Vhef×Vh2/Vhef)
その結果、上記3つの実施例4,6,9においては、最終的に電流検出器100から出力されるホワイトノイズが「0(mV)」となるため、ノイズの影響が全く生じていないことがわかる。その他の実施例については、それぞれ掛算回路108の出力に応じてホワイトノイズが出力されている。
〔実施例の検証〕
上記の実施例1〜10について、最終的に電流検出器100から出力されるホワイトノイズの実効値を求めると、その結果は「98(mV)」となった。また、実施例全体のS/N比は「10.2」である。上記の実施例について、以下に挙げる比較例との比較からその優位性を検証する。なお実施例の条件(1)〜(3)は、以下の比較例でも共通とする。
〔比較例〕
図3中(B):比較例は、上記のように単一のホール素子を用いてサーボタイプの電流検出器を構成した場合のシミュレーション結果である。比較例の表中、左カラムには単一のホール素子から出力されるホワイトノイズの数値例(mV)を示し、右カラムには増幅後に電流検出器から出力されるホワイトノイズの数値例(mV)を示す。また比較例は、表中の行ごとにそれぞれ比較例1〜10とする。
〔ホール素子出力〕
上記の条件(1)に基づき、比較例においてもホール素子から出力されるホワイトノイズを「−10」〜「+10」の振幅範囲内で無作為に発生させた数値(正規乱数)を採用した。各比較例の数値から明らかなように、ホール素子が最大のホワイトノイズを出力するケースは、今回シミュレートした比較例3,8,9の3つのケースで見られた。
〔電流検出器出力〕
このため上記3つの比較例3,8,9においては、最終的に電流検出器から出力されるホワイトノイズがそれぞれ最大の「+200(mV)」、「+200(mV)」、「−200(mV)」となった。なお比較例においては、単一のホール素子を用いて電圧信号を増幅しているため、実施例で得られる「掛算回路出力」の数値と比較して、信号出力レベルが全体的に低い。このため比較例では、実施例と同等の信号出力レベルを得るため、増幅率を高く設定している。
上記の比較例1〜10について、最終的に電流検出器から出力されるホワイトノイズの実効値を求めると、その結果は「119(mV)」となり、この値は実施例よりもノイズレベルが大きいことを表している。また、比較例全体のS/N比は「8.4」であり、実施例よりも劣ることがわかる。以上のように実施例では、電流検出器100から出力されるホワイトノイズの実効値が減衰され、結果的にS/N比において比較例からの改善が見られた。
〔出力レンジの改善〕
図4は、被検出電流と掛算回路108の出力値との関係を示す図である。なお図4中に二点差線で示される直線(参照符号C2)は、上で挙げた比較例のように単一のホール素子を用いた場合に得られる出力値の特性を示す。
単一のホール素子だけを用いた場合、その出力値(直線C2)は被検出電流に対して一次比例であるため、被検出電流の定格範囲(Ifa〜Ifb)で得られる出力レンジ(参照符号R2)は直線の傾きだけに依存して決定される。これに対し、第1実施形態では掛算回路108を用いて2つのホール素子106からの電圧信号(Vh1),(Vh2)を掛け合わせていることから、その特性(参照符号C1)は被検出電流に対して二次関数となる。したがって、被検出電流の定格範囲(Ifa〜Ifb)に対して、掛算回路108から得られる出力レンジ(参照符号R1)は二次関数的に大きくなり、単一のホール素子を用いた場合に比較して、より広い範囲で電圧信号を得ることができる。また、全体的に電圧信号の出力レベルを高くすることができるため、それだけ信号の増幅率を低くすることができる。これにより、電圧信号に含まれる誤差やノイズの成分の影響を低く抑え、S/N比の向上に寄与することができる。
なお第1実施形態では電流検出器100をサーボタイプとしているため、各ホール素子106からの電圧信号を二値(「0」又は「1」)で判定してフィードバック回路が増幅器110を駆動している。このため、掛算回路108で各ホール素子106からの電圧信号を掛け合わせたとしても、被検出電流と出力電圧(Vout)との比例関係は依然として維持することができる。
〔第2実施形態〕
次に図5は、第2実施形態の電流検出器200の構成を示す概略図である。なお、ここでは第1実施形態と共通する事項について、図示も含めて共通の符号を付し、その重複した説明を省略するものとする。以下、第2実施形態の電流検出器200について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
〔ギャップ〕
第2実施形態では、磁性体コア102の1箇所にギャップ102dが形成されている。なお、ここでは1つの長辺部102cにギャップ102dが形成された例を挙げているが、短辺部102bにギャップ102dが形成されていてもよい。
〔ホール素子〕
また第2実施形態では、1つのギャップ102d内に複数(この例では2つ)のホール素子106が配置されている。ここでも各ホール素子106は、例えば図示しない電源回路を通じて制御電流(Ic)の供給を受けており、それぞれが同じギャップ102d内で発生する磁界の強さ(磁束)に応じた電圧信号(Vh1),(Vh2)を出力する。
その他の掛算回路108やフィードバック回路の構成は、上述した第1実施形態と同じであり、ここではその説明を省略する。
第2実施形態の場合、外部ノイズの影響については、同じギャップ102d内に2つのホール素子106が配置されているため、これらに対して略近似した結果が現れやすい。ただしホール素子106自身が出力するホワイトノイズについては、上記の実施例で検証したように、2つのホール素子106が同時に最大のホワイトノイズを出力しない限り、その影響を最小限に抑えることができるという利点がある。
また第2実施形態についても、図4に示されるように掛算回路108の適用によって出力レンジを拡大することができることから、第1実施形態と同様に、単一のホール素子を用いた場合に比較して、より広い範囲で電圧信号を得ることができる。また、全体的に電圧信号の出力レベルを高くすることができるため、それだけ信号の増幅率を低くすることができる。これにより、電圧信号に含まれる誤差やノイズの成分の影響を低く抑え、S/N比の向上に寄与することができる。
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。各実施形態では、電流検出器100,200をサーボタイプとしているが、特にこのタイプに限られることなく、二次巻線がないオープンタイプの電流検出器として本発明を実施してもよい。
第1,第2実施形態において、使用するホール素子106の個数(第1実施形態についてはギャップ102dの数)は2つだけでなく、3つ以上としてもよい。この場合、掛算回路108は、3つ以上のホール素子106から出力される電圧信号を掛け合わせるものとする。また第2実施形態において、磁性体コア102の複数箇所にギャップ102dが形成されており、それぞれに複数(2つ又は3つ以上)のホール素子106が配置されている態様であってもよい。
また、磁性体コア102の形状は各実施形態で挙げた四角リング形状だけでなく、その他の多角形リング形状であってもよいし、円形状や楕円形状であってもよい。また磁性体コア102は、フェライト以外の磁性材料(珪素鋼板、鉄−ニッケル合金等)を用いて制作してもよく、磁性体コア102にはトロイダル構造や積層構造を採用することができる。なお、磁性体コア102の具体的な形状や大きさ、厚み等の仕様は、実際に対象とする被検出電流の特性に合わせて適宜に変更することができる。
その他、図示とともに挙げた電流検出器100やその一部の構造はあくまで好ましい一例であり、基本的な構造に各種の要素を付加し、あるいは一部を置換しても本発明を好適に実施可能であることはいうまでもない。
100,200 電流検出器
102 磁性体コア
102a 電流導通部
102b 短辺部
102c 長辺部
102d ギャップ
104 二次巻線
106 ホール素子
108 掛算回路

Claims (3)

  1. 被検出電流の導通時に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置され、複数の箇所にギャップが形成された磁性体コアと、
    複数ある前記ギャップ内にそれぞれ配置され、被検出電流の導通時に前記磁性体コアを通じて個々の前記ギャップ内に発生する磁界の強さに応じた電圧信号を出力する複数のホール素子と、
    複数の前記ホール素子からそれぞれ出力された電圧信号の値を掛け合わせた結果に相当する電圧信号を出力する掛算回路と
    を備えた電流検出器。
  2. 被検出電流の導通時に発生する磁界の周回方向に沿って環状に配置され、少なくとも1箇所にギャップが形成された磁性体コアと、
    前記ギャップ内に配置され、被検出電流の導通時に前記磁性体コアを通じて前記ギャップ内に発生する磁界の強さに応じた電圧信号を出力する複数のホール素子と、
    複数の前記ホール素子からそれぞれ出力された電圧信号の値を掛け合わせた結果に相当する電圧信号を出力する掛算回路と
    を備えた電流検出器。
  3. 請求項1又は2に記載の電流検出器において、
    前記掛算回路からの出力に基づいて前記磁性体コアに巻かれた二次巻線に帰還電流を導通させ、前記磁性体コアの周方向でみて被検出電流の導通時に発生する磁界を打ち消す方向への逆磁界を発生させるフィードバック回路をさらに備えた電流検出器。
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