JP2011016737A - 防虫ネットの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】害虫が通過可能な大きさの目合いを有する防虫ネットであっても、害虫侵入を簡便かつ安価に防止できる手段を提供することにある。
【解決手段】油脂類、界面活性剤、若しくは油脂類と界面活性剤の混合物を含む処理剤、または該処理剤の水希釈液を防虫ネットに噴霧または塗布により付着させることを特徴とする、防虫ネットの処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、害虫が通過可能な大きさの目合いの防虫ネットであっても、その侵入を防止できる防虫ネットの処理方法に関する。
温暖な気候を活かした施設園芸地帯においては、温暖な故に病害虫の発生が多く、特に最近はウイルス病を媒介する害虫が大きな問題となっている。例えばタバココナジラミは体長約1.0mm、体幅約0.4mmと非常に小さな害虫で、トマト黄化葉巻病を媒介する。
これまで知られている害虫侵入防止技術としては、1mm目程度の防虫ネット、紫外線除去フィルム、光反射シート、黄色粘着シートによる誘殺などの技術がある。これらの技術は害虫の侵入量を30〜70%程度減少させる効果がある。しかし、侵入防止効果が環境要因の影響を受け、安定性を欠く。また、タバココナジラミのように薬剤抵抗性を獲得している上にウイルスの媒介効率が高い害虫に対しては十分な効果は得られない。そこで、さらに目合いの細かな0.4mm目の防虫ネットが開発され、使用されるようになった。0.4mm目の防虫ネットはタバココナジラミの大きさよりも小さいために通過が困難で安定した侵入防止効果が得られている。しかし、0.4mm目の防虫ネットは従来使用されてきた1mm目程度の防虫ネットと比較し、価格が高価なだけでなく、通気性が極めて悪く、ビニルハウス内の温度が大幅に上昇する。特にタバココナジラミの発生は夏季に多く、この時期に0.4mm目の防虫ネットを使用するとビニルハウス内の温度は40℃を超え、植物に対する悪影響とともに農業者の作業環境の悪化も無視できない。そこで、害虫侵入を防止できるとともに、通気性悪化や温度上昇が少ない防虫ネットが望まれるところである。
一方、従来から用いられてきた1mm 目程度の防虫ネットの効果を向上させる方法として、エトフェンプロックスなどの殺虫剤を染みこませる方法(特許文献1及び2;非特許文献1及び2)や防虫ネットにアクリル系ポリマーとアクリル系オリゴマーなどの粘着物質を付着させる方法が提案されている(特許文献3)。前者は殺虫剤を防虫ネットに染みこませ、防虫ネットに到達した害虫と接触させることによって、殺虫または忌避させる方法である。しかし、タバココナジラミをはじめ薬剤抵抗性を獲得した微小害虫には薬剤の効果が低いため、ほとんど利用されていない。また、後者の粘着物質を付着させる方法については粘着力が強力であることが要求される。しかし、防虫ネットは通常ハウスの側面に設置され、その上からビニルを被せ、防虫ネットと重なる部分のビニルについては昼間は巻き上げ、夜や雨天時は下げて保温や雨水の侵入を防ぐため、頻繁に開閉が行われる。そのため、防虫ネットに強力な粘着物質が付着しているとビニルが防虫ネットに張り付いてしまい、ビニルの開閉が困難になる。また、粘着物質に埃やゴミが付着した場合、急激に粘着力は低下するとともに目詰まりを起こし、通気性も悪化する。さらに、一度付いた埃やゴミは洗っても落ちないため、半年程度で防虫ネットの利用価値はなくなる。以上の理由から1mm 目程度のネットの効果を向上させる技術は実用性に乏しいものばかりである。
特開平8-163950 特開2003-299434 実開平4-117586
殺虫剤含有ネットによるタバココナジラミ防除の可能性、金城衣恵・松井正春、関東東山病害虫研究会報 41号:217-221、1994年 エトフェンプロックス含有ネット資材によるアブラムシ類の防除効果、金城衣恵、九州病害虫研究会報 42巻:163-163、1996年
本発明の課題は、害虫が通過可能な大きさの目合いを有する防虫ネットであっても、害虫侵入を簡便に防止できる手段を提供することにある。
本発明者は上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、油脂類、界面活性剤、またはその混合物を防虫ネットに噴霧または塗布することによって、害虫が通過可能な大きさの目合いの防虫ネットであっても害虫の侵入を防止でき、しかも、ビニルへの付着や目詰まりのないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) 油脂類、界面活性剤、若しくは油脂類と界面活性剤の混合物を含む処理剤、または該処理剤の水希釈液を防虫ネットに付着させることを特徴とする、防虫ネットの処理方法。
(2) 前記油脂類が、鉱物油、脂肪酸グリセリド、および植物油から成る群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の方法。
(3) 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、および陽イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載の方法。
(4) 前記界面活性剤が、農薬用展着剤または洗剤に含まれるものである、(3)に記載の方法。
(5) 前記防虫ネットの目合いが0.6〜2.0mmである、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 油脂類、界面活性剤、若しくは油脂類と界面活性剤の混合物を含む処理剤、または該処理剤の水希釈液を付着させたことを特徴とする、防虫ネット。
本発明の防虫ネットの処理方法によれば、害虫が通過可能な大きさの目合いを有する防虫ネットであっても、その侵入を有効に防止できる。従って、これまで0.4mmといったような目合いの非常に細かな防虫ネットを使用しないと侵入を防止できなかったタバココナジラミのような微小害虫に対しても、通気性を損なわず、異常高温を抑止できる程度の大きさの目合いの防虫ネットを使用することが可能となり、ビニルハウス内の環境が改善される。また、本発明の処理方法を施した防虫ネットは、微小害虫に対する捕捉効果が高い上に、ビニルに対する粘着力はほとんどないため、ビニルの開閉にはまったく支障が無い。さらに洗浄することで埃等を容易に除去することができるとともに、再度処理を行うことで効果を回復させることができる。
油脂類で処理した防虫ネット(0.8mm目)上に捕捉されたタバココナジラミの写真を示す(右上は健全なタバココナジラミ)。 図2Aは、タバココナジラミの大きさと防虫ネットの目合い(0.4mm目)の大きさの比較を示す。図2Bは、界面活性剤で処理した防虫ネット(0.8mm目)上に捕捉されたタバココナジラミの写真を示す。 防虫ネットのビニルハウスでの使用状況の例を示す(A:ビニルが降りた状態、B:ビニルが巻き上がった状態、ネットはビニルの内側に設置されている)。 油脂類(マシン油、脂肪酸グリセリド)または界面活性剤(農薬用展着剤)で処理した防虫ネットに対するタバココナジラミの通過試験に用いた実験器具(a:プラスチック製の容器、b:円筒形のガラス管、c:防虫ネット、d:中央部に穴をあけたプラスチック製シャーレ、e:器具全体)を示す。 図5Aは、油脂類(マシン油)で処理した防虫ネットに対するタバココナジラミの通過試験に用いた実験器具を示す(外側から防虫ネット、鉄枠、黄色粘着板)。図5Bは、各処理によるタバココナジラミの黄色粘着板への付着状況を示す。 油脂類(マシン油)で処理した防虫ネットに対するタバココナジラミの通過試験結果を示す(数値はネットを通過して黄色粘着板に付着したタバココナジラミの数)。 油脂類(マシン油)で処理した防虫ネットに対するアブラムシ類(A)、アザミウマ類(B)の通過試験結果を示す(数値はネットを通過して黄色粘着板に付着した各害虫の数)。 防虫ネット被覆による温度上昇試験結果を示す。
本発明の防虫ネットの処理方法に用いる処理剤は、防虫ネットの表面に付着または粘着することが可能な程度の粘性を有するものあれば特に限定はされないが、油脂類、界面活性剤、またはその混合物が好適である。
本発明の方法に用いる油脂類は、油脂を主成分とするものであればよく、一部に界面活性剤を含む混合物でもよい。例えばマシン油、スピンドルオイル、流動パラフィン等の鉱物油;脂肪酸グリセリド;ナタネ油、大豆油、ヒマワリ油、マツ油、綿実油、ひまし油、オリーブ油、菜種油、あまに油等の植物油などが挙げられる。本発明において特に好ましい油脂類はマシン油または脂肪酸グリセリドである。これらの油脂類は単独で用いてもよいが、組み合わせて用いてもよい。
上記マシン油とは、主としてパラフィン系炭化水素を含有する鉱物油(マシン油)に界面活性剤を配合したマシン油乳剤をいい、水に希釈して乳化液とすることができる。該マシン油乳剤は、通常、80〜98重量%のマシン油と1〜10重量%の界面活性剤とを含有し、さらにキシレン等の炭化水素溶媒などの製剤用補助剤を1〜20重量%程度含有する。上記マシン油乳剤中に含有される界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ジアルキルスルホサクシネート金属塩などが挙げられる。
本発明の方法においては、マシン油として、ダニ類等の防除用として市販されているマシン油を80%〜98%含有するマシン油乳剤がそのまま利用できる。なかでも、特に高度に精製したマシン油を97%含有したマシン油乳剤であるトモノールS(大塚化学(株)製)、サマーマシン97(住友化学(株)製)、アタックオイル(クミアイ化学(株)製)、ハーベストオイル(塩野義製薬(株)製)、スピンドロン乳剤(サンケイ化学(株)製)、98%含有したマシン油乳剤であるラビサンスプレー(日本曹達(株)製)などが好適に使用できる。
また、上記脂肪酸グリセリドは、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリドのいずれであってもよく、これらの二種または三種の混合物であってもよい。また、前記脂肪酸ジグリセリドおよび脂肪酸トリグリセリドにおいて、グリセリドを形成する脂肪酸は、同一であってもよく、異なっていてもよい。前記脂肪酸グリセリドを形成する脂肪酸に特に限定はないが、炭素数8〜22の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が好ましい。炭素数8〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、炭素数8〜22の不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸グリセリドとは、一種のみを用いてもよく、二種以上の混合物として用いてもよい。本発明の方法においては、脂肪酸グリセリドとして、農薬として市販されている脂肪酸グリセリド乳剤であるサンクリスタル(サンケイ化学(株)製)、アーリーセーフ(サンケイ化学(株)製)等が利用できる。
また、本発明の方法に用いる界面活性剤は、農薬製剤で通常使用される非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルソルビタン脂肪酸部分エステル等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物の塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸および燐酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸および燐酸塩、ポリカルボン酸塩およびポリスチレンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;ドデシルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩等のカチオン系界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記界面活性剤は、農薬用展着剤の主成分として含まれているので、市販の農薬用展着剤を利用してもよい。例えば、ミックスパワー(シンジェンタ(株)製)、まくぴか(石原産業(株)製)、サブマージ(シンジェンタ(株)製)、ニーズ(クミア化学工業(株)製)、ネオエステリン(クミアイ化学工業(株)製)、アドミックス(日産化学工業(株)製)、クサリノー(日本農薬(株)製)、ハイテンパワー(北興化学工業(株)製)、クミテン(クミアイ化学工業(株)製)、プラテン80(サンケイ化学(株)製)、ラビデン3S(日本曹達(株)製)、マイリノー(日本農薬(株)製)、新リノー(日本農薬(株)製)、特製リノー(日本農薬(株)製)、S−ハッテン(協友アグリ(株)製)、ダイン(住化武田(株)製)、シンダイン(住化武田(株)製)、トクエース(三共アグロ(株)製)、ダイコート(日本曹達(株)製)、展着剤アイヤー(アグロカネショウ(株)製)、ベタリンA(サンケイ化学(株)製)、パンガードKS-20(大塚化学(株))、アプローチBI(花王(株)製)、スカッシュ(花王(株)製)、スプレースチッカー(日本農薬(株)製)、KKステッカー(アグロカネショウ(株)製)、ステッケル(協友アグリ(株)製)、サンケイチック(サンケイ化学(株)製)、ペタンV(アグロカネショウ(株)製)などが挙げられる。また、より簡便には、市販の台所用洗剤を利用してもよい。
本発明の方法において、上記油脂類、界面活性剤、または油脂類と界面活性剤の混合物(以下、「処理剤」という)は、原液で用いても良いが、水で希釈しても良い。水で希釈する場合、希釈率は、処理剤の種類、処理回数(初回処理か再処理か)によっても異なるが、例えば、油脂類の場合は、2〜1000倍、好ましくは10〜1000倍、さらに好ましくは100〜300倍、界面活性剤の場合は、2〜10000倍、好ましくは10〜10000倍、さらに好ましくは1000〜3000倍である。
上記処理剤またはその水希釈液を用いて防虫ネットを処理するには、当該処理剤またはその水希釈液を当該防虫ネットに付着させることのできる方法であればいかなる方法であってもよく、噴霧、塗布、浸漬などの方法が例示される。例えば、噴霧の場合は、スプレーノズルを有する適当な噴霧器に処理剤を収容して噴霧する。噴霧器としては、簡便なハンドスプレーでもよいが、肩掛け噴霧器、動力噴霧器などを用いてもよい。また、散水や噴霧機能を備えたチューブや配管を用いても良い。また、処理剤を噴射剤とともに充填したエアゾール装置を用いて噴射させてもよい。また、浸漬の場合は、当該処理剤原液またはその水希釈液に防虫ネットを浸漬し、内部まで処理剤成分が十分含浸するまで一定時間放置することにより行なう。
処理剤の防虫ネットへの使用量は、防除対象とする害虫の種類、防虫ネットの目合いや素材、処理剤の希釈率などにより異なり、適宜調整すればよいが、例えば、タバココナジラミの防除を目的として0.8mm目の防虫ネットを使用する場合、上記の処理剤の原液または水希釈液を防虫シート1m2あたり50〜100ml程度が好適である。処理剤の希釈率が大きいと、防虫ネットへの付着量が少なくなるため、繰り返し処理を行ってもよい。例えば、効果を長時間維持するために、水希釈液の場合であれば、散水装置にタイマーを設置して一定時間間隔で散水を繰り返せばよい。また、処理剤が降雨などにより散逸して効果が薄れたときは、上記の処理を再度行うことにより効果を回復させることができる。
本発明の方法によって処理する防虫ネットは、防除対象とする害虫が通過できないような細かな目合いを有する必要はなく、むしろ通気や光量不足、高温といったような植物への悪影響が生じない程度の粗さを有するのが好ましい。害虫が通過し得る大きさの目合いであっても、防虫ネットに接触した害虫が上記の処理剤の付着作用によりネット上に捕捉されることから (図1、2参照)、微小害虫をも効果的にその侵入を阻止できる。
防虫ネットの目合いは、防除対象とする害虫の種類、使用処理剤の種類等により異なるが、本発明は、これまで小さい目合いの防虫ネットしか使用できなかった微小害虫に対し、より大きな目合いの防虫ネットも使用できるようにすることが目的であるため、例えば、0.6〜2.0mm、好ましくは0.8〜1.0mmである。
本発明の方法にて処理を施した防虫ネットは各種害虫の防除に有効であるが、上記の目合いの防虫ネットを通過できる程度の大きさの害虫、例えば、タバココナジラミ、オンシツコナジラミ等のコナジラミ類;ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等のアザミウマ類;モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ネギアブラムシ、ナシアブラムシ等のアブラムシ類;ツマグロヨコバイ、イナヅマヨコバイ、チャノミドリヒメヨコバイ、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ等のウンカ・ヨコバイ類;ナミハダニ、カンザワハダニ、ニセナミハダニ、リンゴハダニ、ミカンハダニ等のハダニ類、チャノホコリダニ、スジブトホコリダニ、シクラメンホコリダニ等のホコリダニ類、トマトサビダニ、ミカンサビダニなどのサビダニ類等の防除に好適である。
上記の処理を施す防虫ネットの素材は、合成繊維であっても天然繊維でもよい。合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリ乳酸等)、ポリアミド繊維(ナイロン−6、ナイロン−66等)、アクリル繊維(ポリアクリロニトリル等)、ポリウレタン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、およびこれらの混合繊維が挙げられる。また、天然繊維としては、例えば、木綿繊維、麻繊維、絹繊維、羊毛繊維、およびこれらの混合繊維が挙げられる。さらに合成繊維と天然繊維との混紡繊維の使用や合成繊維と天然繊維との併用でもよい。
本発明の方法で処理した防虫ネットは、野菜類、果樹類、花卉類等の植物を害虫から保護するため、植物を包囲して用いられる。例えば、ビニルハウスの側窓部、天窓部、換気口等を塞ぐように設置する方法、ビニルハウスの出入口に暖簾状または簾状に設置する方法、植物の周囲を蚊帳状等に設置して囲む方法、畝間についたて状またはカーテン状に設置する方法などによって使用する。本発明の方法で処理した防虫ネットのビニルハウスでの使用態様の例を図3に示す(防虫ネットはビニルの内側に設置されている)。
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
(実施例1)処理剤を付着させた防虫ネットに対するタバココナジラミの通過試験(実験室)
(1) 試験方法
宮崎県西都市のピーマン圃場から採取したタバココナジラミバイオタイプQを室内累代飼育したものを供試した。また、防虫ネットの処理剤としては、油脂類としてラビサンスプレー(日本曹達(株)製)、サンクリスタル(サンケイ化学(株)製)、界面活性剤として農薬用展着剤のミックスパワー(シンジェンタ(株)製)、まくぴか(石原バイオサイエンス(株)製)、サブマージ(シンジェンタ(株)製)、ニーズ(クミア化学工業(株)製)、試薬として用いられるトリトンX-100を下記表1に示す所定濃度に水にて希釈したものを用いた。
0.8mm目の防虫ネット(サンサンネットSL2700;日本ワイドクロス社製)を5cm×5cmに切断したものに、各処理剤の水希釈液をハンドスプレーにより約8ml噴霧した。処理剤を付着させたネットはすみやかに供試した。
直径27mm、深さ28mmの円筒形のガラス管(図4、b)に、供試虫を30〜70頭前後放飼し、ガラス管の上部をあらかじめ処理剤を付着させた防虫ネット(図4、c)で蓋をした。防虫ネットとガラス管の間に隙間ができないように直径55mmのプラスチック製シャーレの中央部に直径40mmの穴をあけたもの(図4、d)を防虫ネットの上にかぶせた。防虫ネットを通過した供試虫を把握するために、これら実験器具全体を直方体(6.5×6.5×10cm)のプラスチック製の容器(図4、a)で覆った(図4、e)。供試虫放飼48時間後に防虫ネットを通過した個体数と通過できなかった個体を調査し、次式により通過率を算出した。
通過率=通過個体数/全個体数
(2) 試験結果
試験結果を下記表1に示す。
Figure 2011016737
各処理剤を付着させた防虫ネットにおけるタバココナジラミの通過率
表1に示されるように、防虫ネットを油脂類または界面活性剤の水希釈液で処理することによってその害虫侵入防止効果が向上することが明らかとなった。これに対し、水道水処理では通過率76%であり、未処理では通過率79%とほとんど違いはみられなかったことから、水による効果はほとんど無いと考えられた。
(実施例2)処理剤を付着させた防虫ネットに対する種々の害虫の通過試験(実験室)
油脂類としてマシン油(ラビサンスプレー:日本曹達製)の原液処理による効果を検討するため、タバココナジラミが多発生したビニルハウスで実験を行った。試験は3区設け、0.8mm目の防虫ネット(サンサンネットSL2700;日本ワイドクロス社製)のみの区、同0.8mm目の防虫ネットに油脂類を噴霧する区、対照として0.4mm目の防虫ネット(サンサンネットSL4200;日本ワイドクロス社製)のみの区の3区で比較した。各試験区のネットを直径44cm、高さ40cmの円筒形の枠(商品名:ボールプランタースタンド、アイリスオオヤマ製)に袋状にして被せ(図5A)、ハウス内に並べた。マシン油の処理は電動噴霧器を用いて行い、処理後、ネット内に黄色粘着板(商品名ホリバー、アリスタライフサイエンス社製)を吊した(図5B)。2週間後に黄色粘着板を回収し、タバココナジラミの誘殺数を調査した。同様の試験をアブラムシ類、アザミウマ類について実施した。ただし、アブラムシ類、アザミウマ類は0.8mmネットのみと0.8mmネットの油脂類処理の2区を比較した。試験は3〜6反復で行った。
タバココナジラミの結果を図6に示した。0.8mmネットのみの場合、ネット内の誘殺数は98.2頭でネット内へ多数の侵入を許した。一方、0.8mmネットに油脂類を処理すると誘殺数は0.5頭に激減し、ネット内への侵入をほぼ完全に抑える効果があった。また、0.8mmネットに油脂類処理した時の誘殺数0.5頭は、0.4mmネットの誘殺数の6.0頭と比較しても少ないくらいで0.8mmネットの油脂類処理は0.4mmネットと同じ効果が期待できると考えられた。
アブラムシ類とアザミウマ類の結果を図7に示した。アブラムシ類の誘殺数は0.8mmネットのみで15.0頭だったのに対し、油脂類処理を行うと0頭とネット内への侵入を完全に防いだ(図7A)。アザミウマ類の誘殺数は0.8mmネットのみで16.3頭に対し、油脂類処理を行うと誘殺数は0頭になり、こちらも侵入を完全に防ぐことができた(図7B)。
(実施例3)防虫ネット被覆が温度上昇に及ぼす影響
直径44cm、高さ40cmの円筒形の枠に、0.4mm目の防虫ネット、0.8mm目の防虫ネット、油脂類(マシン油原液)を噴霧した0.8mm目の防虫ネットを被せ、ガラス室内に静置してネット内の気温を測定した。また、ガラス室内(防虫ネット無被覆)の気温測定も同様に行なった。気温の測定は、3月の晴天の日の午後14時半から15時半まで10分間隔で行い、測定値の平均値を求めた。結果を図8に示す。防虫ネット無被覆の場合に比較し、0.4mm目の防虫ネット使用では7℃も高くなるのに対し、0.8mm目の防虫ネット使用では3℃以上は高くならず温度上昇が顕著に抑制された。しかも油脂類を処理の場合はその温度抑制効果が無処理よりも若干高かった。

Claims (6)

  1. 油脂類、界面活性剤、若しくは油脂類と界面活性剤の混合物を含む処理剤、または該処理剤の水希釈液を防虫ネットに付着させることを特徴とする、防虫ネットの処理方法。
  2. 前記油脂類が、鉱物油、脂肪酸グリセリド、および植物油から成る群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、および陽イオン性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記界面活性剤が、農薬用展着剤または洗剤に含まれるものである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記防虫ネットの目合いが0.6〜2.0mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 油脂類、界面活性剤、若しくは油脂類と界面活性剤の混合物を含む処理剤、または該処理剤の水希釈液を付着させたことを特徴とする、防虫ネット。
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