JP2011015209A - 携帯端末 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の形態(例えば開状態と閉状態)に変化するとともに、アンテナ近傍に金属物が実装されていても、形態変化によるインピーダンス変動を低減することができるようになり、より金属条件に強いアンテナ実装を実現することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】複数の形態に遷移する携帯端末1であって、この携帯端末1がいずれの形態であってもアンテナ17から等距離になる位置に、かつ、この携帯端末1がいずれの形態であってもこのアンテナ17から最も近接する導電体となる位置に、導電素子18が設けられた。
【選択図】 図7
【解決手段】複数の形態に遷移する携帯端末1であって、この携帯端末1がいずれの形態であってもアンテナ17から等距離になる位置に、かつ、この携帯端末1がいずれの形態であってもこのアンテナ17から最も近接する導電体となる位置に、導電素子18が設けられた。
【選択図】 図7
Description
本発明は、複数の形態に変化する携帯端末であってアンテナ近傍に導電素子を設けることにより形態変化によるアンテナのインピーダンス変動が低減された携帯端末に関する。
近年、携帯電話機などの携帯無線装置が広く普及しており、この携帯無線装置には各種タイプのものが提案され開発されている。例えば、上下の筐体が支持部材に設けた2軸のヒンジ部で連結されている携帯無線装置などである。この携帯無線装置は、具体的には、上下の筐体が、下筐体の上端部側において、幅方向に設けた横ヒンジ軸を中心としてBC面方向に開閉可能であるとともに、下筐体の上端部側中央の支持部材において、下筐体に設けた縦ヒンジ軸を回動中心として回動可能となっている。
このような複数の形態に変化する携帯無線装置では、上部筐体内部にある金属製の第1ヒンジ軸の長さが、使用される周波数帯域の波長に対して共振可能な電気長を有することも十分に考えられるので、ヒンジ部側がアンテナに及ぼす影響を無視できないという問題があった。
そこで、2方向開閉方式の筐体を備えたタイプにおいて、ヒンジ部がアンテナに及ぼす影響を効果的に抑えることが可能な携帯無線装置が知られている(特許文献1参照)。この携帯無線装置は、上筐体とヒンジ筐体を第1の軸芯を中心に回動可能に連結する横ヒンジ部は、上筐体1内に設けられる第1金属部と電気的に接続された横ヒンジアンクルと、ヒンジ筐体内に配置され、導電性材料を含んだ横ヒンジプレートと、横ヒンジアンクルと横ヒンジプレートとを電気的に接続し、かつ上筐体と、ヒンジ筐体が第2の軸芯(X)方向に向かい合う面の長辺の略中央から端部の間に配置される導電性材料を含んだ第1のヒンジ軸とで構成され、また、横ヒンジプレートと第1のヒンジ軸を加えた横ヒンジ部の電気的経路長が、略λ/8の定数倍でない所定値で構成されたものである。
上下の筐体が支持部材に設けたヒンジ部で連結されている携帯電話機において、ディスプレイの強度対策やデザインなどの観点から筐体の内側ケースが金属(マグネシウムなど)で形成されていたり内側ケースに金属部材が設けられていたりする場合が増えてきている。一方、下筐体ヒンジ部にアンテナが実装されている場合、アンテナと上筐体内側ケースに設けられた金属部材とが近接していて、開いた状態のときと閉じた状態のときとで金属部材とアンテナとの位置関係(距離など)が変化することにより、アンテナの共振周波数が大きく変動してしまう。開閉時のインピーダンス変動が大きいと、開閉どちらかの状態にアンテナのインピーダンスを合わせた場合、もう一方のアンテナ性能が劣化してしまうという問題があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされてものであり、複数の形態(例えば開状態と閉状態)に変化するとともに、アンテナ近傍に金属物が実装されていても、形態変化によるアンテナのインピーダンス変動を低減することができるようになり、より金属条件に強いアンテナ実装を実現することができる携帯端末を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯端末は、複数の形態に遷移する携帯端末であって、前記携帯端末がいずれの形態であってもアンテナから等距離になる位置に、かつ、前記携帯端末がいずれの形態であってもこのアンテナから最も近接する導電体となる位置に、導電素子が設けられたことを特徴とする。
本発明に係る携帯端末によると、複数の形態(例えば開状態と閉状態)に変化するとともに、アンテナ近傍に金属物が実装されていても、形態変化によるアンテナのインピーダンス変動を低減することができるようになり、より金属条件に強いアンテナ実装を実現することが可能となる。
本発明に係る携帯端末の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る携帯端末として、複数の筐体が一軸回転可能に結合されてなるクラムシェル型の携帯電話機1を例にあげて説明する。図1(A)は、携帯電話機1の開いた状態を示す正面図であり、図1(B)は、携帯電話機1の開いた状態を示す側面図である。また、図2(A)は、携帯電話機1の閉じた状態を示す正面図であり、図2(B)は、携帯電話機1の閉じた状態を示す側面図である。
携帯電話機1は、図1及び図2に示すように、主に、矩形の板状の上筐体10と、この上筐体10とほぼ同形状をした下筐体11とにより構成されていて、これらの上筐体10及び下筐体11は、閉じた状態において相互に一面を覆うように積層されている。上筐体10はヒンジ部12を備えていて、このヒンジ部12を介するようにして下筐体11とヒンジ結合されている。そして携帯電話機1は、上筐体10が下筐体11に対して、ヒンジ部12を軸にして図1のX方向に所定角度だけ回転自在なように形成されている。携帯電話機1は、上筐体10を下筐体11に対して回転させることにより、閉じた状態から開いた状態に、あるいは開いた状態から閉じた状態に変形する。
上筐体10の内面(閉じた状態で下筐体11に対面する側の面)には、データを表示するためのディスプレイ13、音声を受信して出力するためのレシーバ14が設けられている。これらのディスプレイ13やレシーバ14は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、下筐体11により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて携帯電話機1を開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
下筐体11の内面(閉じた状態で上筐体10に対面する側の面)には、ユーザに押下されることによりデータを入力する操作キー15が設けられている。操作キー15は、例えば、カーソルや画面の表示内容を上下左右に移動させるための十字キーや、項目を選択するための選択キーや、数字や文字列を入力するためのテンキー、発信処理を行うための発信キーなどである。また下筐体11の内面には、音声を集音するためのマイクロフォン16が設けられている。これらの操作キー15やマイクロフォン16は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、上筐体10により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて携帯電話機1を開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
図3は、携帯電話機1が開いた状態における上筐体10と下筐体11との結合部にアンテナ17が実装されている様子を示す概略図である。図3に示すように、携帯電話機1は、例えば上筐体10の内側ケース10aがマグネシウム等の金属材料で形成されているか、あるいは上筐体10の内側ケース10aに金属部材10bが設けられている。近年、このような複数の筐体により変形自在に形成された携帯電話機において、ディスプレイの強度対策やデザインなどの観点から、筐体の内側ケースがマグネシウムなどの金属で形成されているものが増えてきている。以下、上筐体10の内側ケース10aに金属部材10bが設けられているものとして説明する。
また、図3に示すように、下筐体11の基板11aにおけるヒンジ部12付近にアンテナ17の給電点17aが設けられているとともに、アンテナ17が下筐体11からヒンジ部12にかけて実装されている。このアンテナ17は例えばセルラアンテナであり、例えばλ/4モノポールタイプのアンテナである。このように、上筐体10の内側ケース10aの金属部材10bが、下筐体11に実装されているアンテナ17の給電点17a及び下筐体11からヒンジ部12にかけて実装されているアンテナ17とオーバーラップするように実装されているとき、携帯電話機1の開いた状態のときと閉じた状態のときとで給電点17a及びアンテナ17と内側ケースの金属部材10bとの距離が変化してしまう。
図4(A)は、携帯電話機1の開いた状態におけるアンテナ17の実装部と金属部材10bとの位置関係の一例を示す概略側面図であり、図4(B)は、携帯電話機1の閉じた状態におけるアンテナ17の実装部と金属部材10bとの位置関係の一例を示す概略側面図である。図4(A)に示すように、上筐体10の内側ケース10aに金属部材10bが形成されているため、携帯電話機1が開いた状態にあるときは、アンテナ17の実装部とこのアンテナ17の実装部に最も近接する金属部材10bまでの距離S1はだいたい上筐体10の厚み分となる。一方で、図4(B)に示すように、携帯電話機1が閉じた状態にあるときは、アンテナ17の実装部とこのアンテナ17の実装部が最も近接する金属部材10bまでの距離S2は上筐体10の厚み分よりも小さくなる。
すなわち、携帯電話機1が開いた状態にあるときのアンテナ17と金属部材10bとの距離S1は、閉じた状態にあるときのアンテナ17と金属部材10bとの距離S2より大きくなる。上筐体10の内側ケース10aに金属部材10bが設けられた場合、下筐体11からヒンジ部12にかけて実装されているアンテナ17と上筐体10の金属部材10bとの距離が、携帯電話機1が開いた状態にあるときと閉じた状態にあるときとで変動し、これによってアンテナ17のインピーダンス特性の変動が大きくなってしまう。
図5は、携帯電話機1の開いた状態におけるアンテナ17のインピーダンス特性と携帯電話機1の閉じた状態におけるアンテナ17のインピーダンス特性とを同一グラフ上に表した図である。インピーダンス特性は、横軸が周波数、縦軸がVSWR(電圧定在波比)で示されている(以下略)。図5に示すように、携帯電話機1の開いた状態においてアンテナ17のVSWR(電圧定在波比)が最小となる周波数(共振周波数)は約2215MHzである。また、携帯電話機1の閉じた状態においてアンテナ17のVSWR(電圧定在波比)が最小となる周波数(共振周波数)は約1810MHzである。よって、携帯電話機1の開閉時のアンテナ17のインピーダンス特性を比較すると、携帯電話機1の開閉による共振周波数の変動(開いた状態と閉じた状態との共振数端数の差)は約405MHzである。
このように、折り畳み式の携帯電話機1において上筐体10の内側ケース10aに金属部材10bが設けられていて、下筐体11においてヒンジ部12の付近にアンテナ17が実装されている場合、アンテナ17と金属部材10bとが近接していて、開いた状態のときと閉じた状態のときとで内側ケース10aとアンテナ17との位置関係(距離など)が変化することによりアンテナ17の共振周波数が変動してしまう。開いた状態のときと閉じた状態のときのアンテナ17のインピーダンス変動が大きいと、開閉どちらかの状態にアンテナ17のインピーダンスを合わせた場合、もう一方のアンテナ性能が劣化してしまうという問題が発生する。
そこで携帯電話機1は、アンテナ17とアンテナ17に最も近接する金属部品(導電体)との距離が一定に保たれるように、下筐体11の内側ケースに上筐体10の内側ケースの金属部材10bの形状とオーバーラップするような形状で、アンテナ17を金属部材10bから遮蔽する位置に、基板11aのGND部と接地しない導電素子18が装荷されている。これにより、携帯電話機1の開閉時におけるアンテナ17の共振周波数の変動を小さくしている。
図6は、携帯電話機1が開いた状態における上筐体10と下筐体11との結合部を示す概略図である。携帯電話機1は、開閉時の共振周波数の変動を小さくするために、図6に示すように、下筐体11の内側ケース11bに、上筐体10の内側ケース10aに設けられている金属部材10bの形状に合わせた形状で導電素子18が装荷されている。なお、導電素子18は基板11aのGND部などとは非接地タイプとなっている。
図7(A)は、携帯電話機1の開いた状態におけるアンテナ17の実装部と金属部材10bと導電素子18との位置関係の一例を示す概略側面図であり、図7(B)は、携帯電話機1の閉じた状態におけるアンテナ17の実装部と金属部材10bと導電素子18との位置関係の一例を示す概略側面図である。図7(A)及び図7(B)に示すように、下筐体11の内側ケース11bに導電素子18が設けられているため、携帯電話機1が開いた状態にあるときも閉じた状態にあるときも、下筐体11からヒンジ部12にかけて実装されているアンテナ17の実装部に最も近接する金属部品(導電体)がこの下筐体11の内側ケース11bに設けられた導電素子18となり、アンテナ17の実装部からこのアンテナ17の実装部に最も近接する金属部品(すなわち導電素子18)までの距離S3は一定となる。
すなわち、携帯電話機1が開いた状態にあるときのアンテナ17とアンテナ17に最も近接する金属部品(すなわち導電素子18)との距離、閉じた状態にあるときのアンテナ17とアンテナ17に最も近接する金属部品(すなわち導電素子18)との距離は、共に距離S3となり、ほぼ等しくなる。よって、下筐体11の内側ケース11bに導電素子18が設けられた場合、アンテナ17に最も近接する金属部品(導電体)が常に導電素子18となって、下筐体11からヒンジ部12にかけて実装されているアンテナ17と上筐体11に設けられた導電素子18との距離が、携帯電話機1が開いた状態にあるときと閉じた状態にあるときとでほとんど変動しないため、アンテナ17のインピーダンス特性の変動が小さく抑えられる。
図8は、下筐体11に導電素子18が装荷された携帯電話機1の開いた状態におけるアンテナ17のインピーダンス特性と下筐体11に導電素子18が装荷された携帯電話機1の閉じた状態におけるアンテナ17のインピーダンス特性とを同一グラフ上に表した図である。
図8に示すように、携帯電話機1の開いた状態においてアンテナ17のVSWR(電圧定在波比)が最小となる周波数(共振周波数)は約1985MHzである。また、携帯電話機1の閉じた状態においてアンテナ17のVSWR(電圧定在波比)が最小となる周波数(共振周波数)は約1775MHzである。よって、携帯電話機1の開閉時のアンテナ17のインピーダンス特性を比較すると、携帯電話機1の開閉による共振周波数の変動は約210MHzである。上述したように、導電素子18が装荷されていない場合には共振周波数の変動は405MHzであったが、導電素子18が装荷された場合には共振周波数の変動は210MHzとなり、導電素子18が装荷されることによりアンテナ17の共振周波数の変動が約50%帯域改善されていることがわかる。
また、携帯電話機1に導電素子18を装荷する際に、例えば下筐体11において収納可能なスペースが少ない場合や製造費用を削減したい場合には、アンテナ17の給電点17a付近のみに導電素子18を装荷しても同様の効果が得られる。この場合には、アンテナ17の給電点17aとアンテナ17の給電点17aに最も近接する金属部品(導電体)との距離が一定に保たれるように、携帯電話機1の閉じた状態でアンテナ17の給電点17aの全体を覆うとともに、下筐体11の内側ケース11bに上筐体10の内側ケース10aに設けられた金属部材10bの形状とオーバーラップするような形状で、アンテナ17を金属部材10bから遮蔽する位置に、基板11aのGND部と接地しない導電素子18が装荷されている。これにより、携帯電話機1の開閉時におけるアンテナ17の共振周波数の変動を小さくしている。
図9は、下筐体11の基板11aに実装されたアンテナ17の給電点17aを覆うように下筐体11の内側ケース11bに導電素子18aが設けられた携帯電話機1の開いた状態における上筐体10と下筐体11との結合部を示す概略図である。図9に示すように、携帯電話機1は、アンテナ17の給電点17a及びアンテナ17の実装部側の下筐体11の内側ケース11bに基板11aGND部などとは非接地の導電素子18aが装荷されている。なお、この導電素子18aは、図6に示す導電素子18よりも小さい面積で形成されているものとする。
図10は、上筐体10のアンテナ17の給電点17aを覆うように下筐体11に導電素子18aが設けられた携帯電話機1の開いた状態におけるアンテナ17のインピーダンス特性と上筐体10のアンテナ17の給電点17aを覆うように下筐体11に導電素子18aが設けられた携帯電話機1の閉じた状態におけるアンテナ17のインピーダンス特性とを同一グラフ上に表した図である。
図10に示すように、携帯電話機1の開いた状態においてアンテナ17のVSWR(電圧定在波比)が最小となる周波数(共振周波数)は約2130MHzである。また、携帯電話機1の閉じた状態においてアンテナ17のVSWR(電圧定在波比)が最小となる周波数(共振周波数)は約1815MHzである。よって、携帯電話機1の開閉時のアンテナ17のインピーダンス特性を比較すると、携帯電話機1の開閉による共振周波数の変動は約315MHzである。上述したように、導電素子18aが装荷されていない場合には共振周波数の変動は405MHzであったが、導電素子18aが装荷された場合には共振周波数の変動は315MHzとなり、導電素子18aが装荷されることによりアンテナ17の共振周波数の変動が約20%帯域改善されていることがわかる。
図11は、下筐体11の内側ケース11bに導電素子18bが設けられた携帯電話機1の開いた状態における上筐体10と下筐体11との結合部を示す概略図である。また、図12は、図11に示すように、下筐体11の内側ケース11bにおいて、アンテナ17を金属部材10bから遮蔽する位置に設けられる導電素子18bの素子幅を、下筐体11の内側ケース11bの幅(例えば39mm)を最大幅として幅方向(図11のY方向)に段階的に狭めていった場合の、下筐体11に設けられる導電素子18bの素子幅と、アンテナ17の共振周波数の変動幅との関係を示す表である。
図12に示すように、導電素子18bを用いなかった場合の共振周波数の変動幅は、上述したように405MHzであり、下筐体11に、下筐体11の内側ケース11bの幅である39mmの導電素子18b(上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率100%)を設けた場合は、上述したように共振周波数の変動幅は210MHzとなる。導電素子18bを設けたことにより、携帯電話機1の開閉時の共振周波数の変動幅が導電素子18bを装荷しない場合の約50%に改善されている。
同様に、下筐体11に12mmの導電素子18b(上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率31%)を設けた場合は、上述したように共振周波数の変動幅は315MHzとなる。導電素子18bを設けたことにより、携帯電話機1の開閉時の共振周波数の変動幅が導電素子18bを装荷しない場合の約20%に改善されている。
同様に、下筐体11に10mmの導電素子18b(上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率26%)を設けた場合は共振周波数の変動幅は345MHz、下筐体11に8mmの導電素子18b(上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率21%)を設けた場合は共振周波数の変動幅は370MHz、下筐体11に6mmの導電素子18b(上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率15%)を設けた場合は共振周波数の変動幅は405MHz、下筐体11に4mmの導電素子18b(上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率10%)を設けた場合は共振周波数の変動幅は405MHzとなる。
図12に示す表より、下筐体11の内側ケース11bに、上筐体10の金属部材10bとのオーバーラップ率が15%以上の導電素子18bが設けられると、携帯電話機1の開閉時の共振周波数の変動幅が導電素子18bを装荷しない場合に比べて改善されることがわかる。
なお、実施形態として、上筐体10の内側ケース10aに設けられている金属部材10bがマグネシウムである場合について説明したが、これに限定されず、その他の任意の金属材質であっても同様である。また、実施形態として、セルラアンテナがλ/4モノポール型の場合について説明したが、これに限定されず、これ以外のアンテナにも本発明の構成が適用できる。
また、実施形態として、上筐体10の内側ケース10aに金属部材10bが設けられている場合について説明したが、これに限定されず、上筐体10の外側ケースに金属部材10bが設けられている場合にも適用できる。図13(A)は、上筐体10の外側ケースに金属部材10bが設けられた携帯電話機1の開いた状態におけるアンテナ17の実装部と金属部材10bとの位置関係の一例を示す概略側面図であり、図13(B)は、上筐体10の外側ケースに金属部材10bが設けられた携帯電話機1の閉じた状態におけるアンテナ17の実装部と金属部材10bとの位置関係の一例を示す概略側面図である。
図13(B)に示すように、上筐体10の外側ケースに金属部材10bが形成されているため、携帯電話機1が閉じた状態にあるときは、アンテナ17の実装部とこのアンテナ17の実装部に最も近接する金属部材10bまでの距離S5はだいたい上筐体10の厚み分となる。一方で、図13(A)に示すように、携帯電話機1が開いた状態にあるときは、アンテナ17の実装部とこのアンテナ17の実装部が最も近接する金属部材10bまでの距離S4は上筐体10の厚み分よりも小さくなる。
すなわち、携帯電話機1が開いた状態にあるときのアンテナ17と金属部材10bとの距離S4は、閉じた状態にあるときのアンテナ17と金属部材10bとの距離S5より小さくなる。この場合でも、下筐体11の内側ケース11bに導電素子18bを設けることにより、アンテナ17に最も近接する金属部品(導電体)が常にこの導電素子18bとなり、アンテナ17とアンテナ17に最も近接する金属部品(すなわち導電素子18b)との距離を一定にほぼ保つことができる。
また、上筐体11の内側ケース11b(または外側ケース)の金属部材10bの形状は、実施形態において説明された形状に限定されず、任意の形状に対して適用することができる。すなわち、金属部材10bの形状に合わせて導電素子18bを装荷することで、金属部材10bがいずれの形状であっても同様の効果が得られる。
また、実施形態として、上筐体10のヒンジ部12の付近にアンテナ17の給電点17aが設けられている場合に付いて説明したが、これに限定されず、アンテナ17の給電点17aがどこに設けられていても、本発明を適用することができる。
また、実施形態として、導電素子18、18a、18bが下筐体11の内側ケース11bに設けられる例について説明したが、これに限定されず、内側ケース11bそのものを金属性を有する素材で形成しても良い。
また、実施形態として、折り畳み式の携帯電話機1を例に挙げて説明したが、これに限定されず、2軸回転式のスイーベル型の携帯電話機など、複数の形態に変化する携帯電話機であって、形態によってアンテナ17とこのアンテナ17に最も近接する金属部品(導電体)との距離が変化する携帯電話機であれば、いずれの携帯電話機であっても本発明の構成が適用できる。
本発明に係る携帯端末(携帯電話機1)によると、複数の形態(例えば開いた状態と閉じた状態)に変化するとともに、アンテナ17の近傍に金属物が実装されていても、形態変化によるアンテナ17のインピーダンス変動を低減することができるようになり、より金属条件に強いアンテナ実装を実現することが可能となる。
近年、折り畳み式の携帯電話機において、ディスプレイの強度対策やデザインなどの観点から上筐体10の内側ケース10aが金属材料で形成されることが増えてきている。しかしながら、下筐体11の内側ケース11bに、上筐体10の内側ケース10aの金属部材10bの形状とオーバーラップするように導電素子18を装荷(非GNDタイプ)することにより、筐体開閉時のアンテナ17の共振周波数の変動幅を導電素子18を装荷しない場合に比べて大幅に改善することが可能となる。さらに、導電素子18は非GNDタイプであるので、給電点17aおよびアンテナ17に近接した位置に装荷しても、アンテナ利得などのアンテナ特性を劣化させることなく、アンテナ17のインピーダンス特性を改善することができる。
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤー、携帯テレビ等、複数の形態に変化するとともにアンテナ17を備えた携帯端末であれば、任意の携帯端末であって良い。
1…携帯電話機,10…上筐体,10a…内側ケース,10b…金属部材,11…下筐体,11a…基板,11b…内側ケース,12…ヒンジ部,13…ディスプレイ,14…レシーバ,15…操作キー,16…マイクロフォン,17…アンテナ,17a…給電点,18、18a、18b…導電素子。
Claims (5)
- 複数の形態に遷移する携帯端末であって、
前記携帯端末がいずれの形態であってもアンテナから等距離になる位置に、かつ、前記携帯端末がいずれの形態であってもこのアンテナから最も近接する導電体となる位置に、導電素子が設けられたことを特徴とする携帯端末。 - 前記携帯端末は、第1の筐体及び第2の筐体がヒンジ結合されることにより形成され、前記第1の筐体及び第2の筐体の位置関係が変わることにより前記第1の形態と第2の形態に遷移するものであり、
前記第1の筐体に金属部材が設けられているとともに、前記第2の筐体に前記アンテナが実装されていて、前記導電素子は、前記第2の筐体において前記アンテナを前記第1の筐体の金属部材から遮蔽する位置に実装されていることを特徴とする請求項1記載の携帯端末。 - 前記導電素子は、前記アンテナ全体を覆う形状に形成されるとともに、前記携帯端末がいずれの形態であっても前記アンテナを前記第1の筐体に設けられた金属部材から遮蔽する位置に設けられたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
- 前記導電素子は、前記アンテナの給電点を覆う形状に形成されるとともに、前記携帯端末がいずれの形態であっても前記アンテナの給電点を前記第1の筐体に設けられた金属部材から遮蔽する位置に設けられたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
- 前記導電素子は、前記アンテナを覆う形状に形成され、前記携帯端末がいずれの形態であっても前記アンテナを前記第1の筐体に設けられた金属部材から遮蔽する位置に、前記第1の筐体に設けられた金属部材とのオーバーラップ率が15%以上となるように設けられたことを特徴とする請求項2記載の携帯端末。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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