JP2011013979A - データ記憶装置、及びデータ消去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができるデータ記憶装置、及びデータ消去方法を提供する。
【解決手段】上位装置から書込コマンドを受信した場合に、書込対象データを記録媒体の記憶領域に記憶させるとともに、記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けたテーブルであって、初期状態では各ビット情報が消去状態に設定されている管理テーブルのビット情報のうち、書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報を記憶状態に更新する。上位装置から消去コマンドを受信した場合に、ビット情報が記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域を所定のデータで上書きさせるとともに、記憶状態に更新されているビット情報を消去状態に更新する。
【選択図】図1
【解決手段】上位装置から書込コマンドを受信した場合に、書込対象データを記録媒体の記憶領域に記憶させるとともに、記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けたテーブルであって、初期状態では各ビット情報が消去状態に設定されている管理テーブルのビット情報のうち、書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報を記憶状態に更新する。上位装置から消去コマンドを受信した場合に、ビット情報が記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域を所定のデータで上書きさせるとともに、記憶状態に更新されているビット情報を消去状態に更新する。
【選択図】図1
Description
本発明は、データ記憶装置、及びデータ消去方法に関する。
従来から、コンピュータの記憶装置としてHDDなどの磁気ディスク装置が広く用いられている。磁気ディスク装置の記憶容量は年々増大しており、TB(テラバイト)の記憶容量を有するものも存在する。
また近年、磁気ディスク装置の再利用可が進められており、修理や廃棄のおりに個人情報や秘密情報が漏洩しないように、再利用対象の磁気ディスク装置に記憶されているデータを第3者から読み出せない状態にすることが求められている。
このような要求に応える手法として、再利用対象の磁気ディスク装置に記憶されているデータを意味をなさないデータで上書きすることにより消去する方法があるが、磁気ディスク装置の大容量化に伴い、消去作業に膨大な時間がかかってしまうという問題がある。
このため、例えば、データセクタ単位にアクセス履歴を記録する管理テーブルを設け、ホストからのライト指示により管理テーブルにライト履歴を記録し、ホストから消去コマンドが指定されたとき、管理テーブルのライト履歴のみ消去する手法が提案されている。この手法によれば、管理テーブルのライト履歴を消去するだけで、再利用対象の磁気ディスク装置に記憶されているデータを第3者から読み出せない状態にすることができ、消去作業の高速化を図ることができる。
しかしながら、上記の従来技術では、再利用対象の磁気ディスク装置にデータそのものが残ってしまうため、漏洩防止としては不十分である。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができるデータ記憶装置、及びデータ消去方法を提供することを目的とする。
本願の開示するデータ記憶装置は、一つの態様において、記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される記録媒体と、前記グループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けたテーブルであって、各ビット情報が初期状態ではデータが書き込まれていないことを示す消去状態に設定されている管理テーブルを記憶する管理テーブル記憶部と、上位装置から書込対象データの書き込みを指示する書込コマンドを受信した場合に、当該書込対象データを前記記録媒体に転送して記憶領域に記憶させる転送制御部と、前記書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報を、データが記憶されたことを示す記憶状態に更新する主制御部と、を備え、前記転送制御部は、前記上位装置から初期化を指示する消去コマンドを受信した場合に、前記記録媒体に所定のデータを転送してビット情報が前記記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域を上書きさせ、前記主制御部は、前記記憶状態に更新されているビット情報を前記消去状態に更新することを特徴とする。
また、本願の開示するデータ消去方法は、他の態様において、上位装置から書込対象データの書き込みを指示する書込コマンドを受信した場合に、記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される記録媒体に前記書込対象データを転送して記憶領域に記憶させる書込ステップと、前記グループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けたテーブルであって、各ビット情報が初期状態ではデータが書き込まれていないことを示す消去状態に設定されている管理テーブルを記憶する管理テーブル記憶部の前記管理テーブルのビット情報のうち、前記書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報をデータが記憶されたことを示す記憶状態に更新する記憶状態更新ステップと、前記上位装置から初期化を指示する消去コマンドを受信した場合に、前記記録媒体に所定のデータを転送してビット情報が前記記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域を上書きさせる消去ステップと、前記記憶状態に更新されているビット情報を前記消去状態に更新する消去状態更新ステップと、を含んだことを特徴とする。
本願の開示するデータ記憶装置、及びデータ消去方法の一つの態様によれば、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができるという効果を奏する。
以下に、本願に開示するデータ記憶装置、及びデータ消去方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本願に開示するデータ記憶装置、及びデータ消去方法が限定されるものではない。例えば、以下の実施例では、データ記憶装置としてHDD(Hard Disk Drive)装置を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。
初めに、以下の各実施例のHDD装置の概要について説明する。
以下の各実施例のHDD装置は、管理テーブルを用いて、データを記憶する磁気記録媒体の記憶領域の状態を所定のグループ単位で管理する。この管理テーブルには、記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報が対応付けられている。
そして、以下の各実施例のHDD装置は、データの書き込みが指示されると、指示されたデータを磁気記録媒体の記憶領域に記憶させるとともに、当該データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報を記憶状態に更新する。
さらに、以下の各実施例のHDD装置は、データの初期化が指示されると、ビット情報が記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域に記憶されたデータを所定のデータで上書きし、所定のデータで上書きされる記憶領域が属するグループのビット情報を消去状態に更新する。
このように、以下の各実施例のHDD装置は、管理テーブルを用いて磁気記録媒体の記憶領域の状態を管理しているため、データの初期化が指示された際に、データが記憶されたことがある記憶領域のみを初期化することができ、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができる。
実施例1では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体のシリンダ番号の上位複数のビット情報を用いる例について説明する。なお実施例1では、シリンダ数、ヘッド数、及びセクタ数の3つのパラメータを用いてハードディスクにアクセスするCHS(Cylinder/Head/Sector)モデルのHDD装置を例にとり説明する。
まず、実施例1のHDD装置の構成について説明する。
図1は、実施例1のHDD装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、HDD装置1は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)等の上位装置2とホストインタフェース3を介して接続されている。そして、HDD装置1は、磁気記録媒体10と、フラッシュメモリ15と、転送制御部20と、バッファメモリ25と、リードチャネル30と、ヘッドIC35と、ヘッド40と、ROM45と、RAM50と、主制御部55と、サーボ制御部60と、VCM65と、SPM70とを備える。
磁気記録媒体10は、金属またはガラス製などの円盤(ディスク)状の基板に磁性膜が形成されており、データを記憶する記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される。
図2は、実施例1の磁気記録媒体10の一例を示す図であり、2枚のディスクの記録面をそれぞれ分離して4面として表現した模式図となっている。実施例1のHDD装置1は、前述したようにCHSモデルであり、図2に示す例では、各記録面に対応したヘッド番号(Head0〜3)、物理シリンダ番号(CylinderM、N、…)、及びディスクの回転によって順次走査されるセクタ番号(図示省略)により、データの記録位置(記憶領域)が特定される。なお、実施例1では、磁気記録媒体10の記憶領域の状態は、複数のシリンダを1グループとするグループ単位で管理される。
図1に戻り、フラッシュメモリ15は、不揮発性のメモリであり、磁気記録媒体10の論理アドレスと物理アドレスとを対応付けた変換テーブルなどを記憶する。なお、フラッシュメモリ15は、パラレル型、シリアル型のいずれであってもよい。そして、フラッシュメモリ15は、管理テーブル記憶部16を含む。
管理テーブル記憶部16は、磁気記録媒体10の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けた管理テーブルを記憶する。なお、この管理テーブルは、装置出荷にあたり各ビット情報が、データが書き込まれていないことを示す消去状態に更新されるため、初期状態では各ビット情報が消去状態に設定されている。また、この管理テーブルは、磁気記録媒体10にデータが記憶される場合に、当該データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報が、データが記憶されたことを示す記憶状態に更新される。
ここで、実施例1の管理テーブルについて具体的に説明する。実施例1の管理テーブルは、磁気記録媒体10の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体10のシリンダ番号の上位複数のビット情報を用いる。図3は、磁気記録媒体10のシリンダ番号のデータ構造の一例を示す図であり、図4は、実施例1の管理テーブルの一例を示す図である。
例えば、磁気記録媒体10の記憶容量を1TB(112Byte)、セクタサイズを512Byteとすると、磁気記録媒体10の論理アドレスの最大値は、16進表記で0x746a5288(1TB/512Byte)となる。また、磁気記録媒体10の最内周のセクタ数を64、最外周のセクタ数を128、記録面を図2に示すように4面とすると、磁気記録媒体10のシリンダ数の最大値は、数式(1)に示す通り、16進表記で0x4d9c37となる。
シリンダ数の最大値=0x746a5288/4/{(64+128)/2}=0x4d9c37 …(1)
シリンダ数の最大値=0x746a5288/4/{(64+128)/2}=0x4d9c37 …(1)
従って、この例では、磁気記録媒体10のシリンダ番号を示すビット数は、図3に示すように、23ビット必要である。そして、図4に示す管理テーブルでは、図3に示すシリンダ番号の下位5ビット(0〜4ビット目)分のシリンダ、即ち、32のシリンダを1グループとし、このグループを示す指標(インデックス)としてシリンダ番号の上位18ビット(5〜22ビット目)の値を用いている。
詳細に説明すると、図4に示す管理テーブルでは、インデックスの上位15ビット(シリンダ番号の8〜22ビット目)の値を行、残りの3ビット(シリンダ番号の5〜7ビット目)の値を列として、インデックスで示されるグループに属する記憶領域の状態を管理する。例えば、図4に示す管理テーブルにおいて、行の値が0x0000で列の値が0のビット情報は、0x000000〜0x00001fのシリンダの状態を管理している。
また、図4に示す例では、消去状態のビット情報は“1”であり、記憶状態のビット情報は“0”となっている。つまり、図4に示す管理テーブルでは、0x000380〜0x00039f、0x0004a0〜0x03ff3f、及び0x03ff60〜0x4d9cffのシリンダには、データが記憶されていないことが示されている。同様に、図4に示す管理テーブルでは、0x000000〜0x00037f、0x0003a0〜0x00049f、及び0x03ff40〜0x03ff5fのシリンダには、データが記憶されたことがあることが示されている。
なお、図4に示す管理テーブルでは、図3に示すシリンダ番号の下位5ビット分のシリンダを1グループとしたが、グループの単位(サイズ)はこれに限定されるものではない。但し、近年のHDD装置では、磁気記録媒体の記録密度を略一定に保つために、磁気記録媒体の記憶領域をゾーンに分割し、記録速度を変更しており、このゾーンの切り替わりでは、クロックやフィルタなどの回路定数を切り替える必要があるため、グループ化にあたってはゾーン境界をまたがないようにすることが望ましい。なお、図4に示す管理テーブルでは、図3に示すシリンダ番号の下位17ビット分のシリンダを1ゾーンとし、このゾーンを示すゾーン番号としてシリンダ番号の上位6ビットの値を用いている。
また、図4に示す例では、インデックスの上位15ビットの値を管理テーブルの行、残りの3ビットの値を管理テーブルの列としたが、管理テーブルはこれに限定されるものではなく、例えば、インデックスの上位14ビットの値を管理テーブルの行、残りの4ビットの値を管理テーブルの列としてもよい。
図1に戻り、転送制御部20は、上位装置2と磁気記録媒体10との間のデータ転送を制御するものであり、例えば、HDC(ハードディスクコントローラ)などにより実現できる。例えば、転送制御部20は、上位装置2から書込対象データの書き込みを指示する書込コマンドを受信した場合に、当該書込対象データを磁気記録媒体10に転送して記憶領域に記憶させる。
また例えば、転送制御部20は、上位装置2から初期化を指示する消去コマンドを受信した場合に、磁気記録媒体10に所定のデータを転送してビット情報が記録状態(即ち、“0”)に更新されているグループに属する記憶領域を上書きさせる。従って、転送制御部20は、図4に示す例の場合、0x000000〜0x00037f、0x0003a0〜0x00049f、及び0x03ff40〜0x03ff5fのシリンダに所定のデータを上書きさせる。なお、所定のデータは、いずれのデータでもよく、例えば、“00”でもよいし、“ff”でもよいし、“00”と“ff”を繰り返してもよいし、乱数でもよい。
そして、転送制御部20は、I/F制御部21と、バッファ制御部22と、フォーマット制御部23とを含む。
I/F制御部21は、上位装置2とホストインタフェース3を介して接続され、上位装置2との間の通信を制御する。バッファ制御部22は、フラッシュメモリ15及びバッファメモリ25を制御する。バッファメモリ25には、バッファ制御部22により上位装置2と磁気記録媒体10との間で転送されるデータなどが一時的に記憶される。
フォーマット制御部23は、上位装置2と磁気記録媒体10との間で転送されるデータのエラーチェックなどを行う。例えば、フォーマット制御部23は、データ書き込み時には、I/F制御部21を介して上位装置2からデータを受け付け、かかるデータにエラー訂正コード等を追加して、後述のリードチャネル30へ出力する。また例えば、フォーマット制御部23は、データ読み出し時には、リードチャネル30からデータを受け付け、必要に応じてかかるデータのエラー訂正を行い、バッファ制御部22へ出力する。
リードチャネル30は、上位装置2と磁気記録媒体10との間で転送されるデータをAD変換したり、変調および復調したりする。例えば、リードチャネル30は、データの書き込み時には、フォーマット制御部23から入力されたデータをコード変調したりする。また例えば、リードチャネル30は、データの読み出し時には、後述のヘッドIC35から出力されるデータ信号を増幅し、AD変換および復調などの所定の処理を施す。
ヘッドIC35は、図示せぬプリアンプを備えており、データの読み出し時に、後述のヘッド40によって磁気記録媒体10から読み出されたデータの信号を前置増幅する。ヘッド40は、回転する磁気記録媒体10の上を浮上しながら、磁気記録媒体10に書込対象データを書き込んで記憶させたり、磁気記録媒体10に記憶されているデータを読み出したりする。
ROM(Read Only Memory)45は、ファームウェアプログラムなどの所定の制御プログラムや種々の制御用のデータを記憶する。RAM(Random Access Memory)50は、後述の主制御部55のワークメモリとして利用され、ROM45に記憶された制御プログラムや制御用のデータなどが展開される。
主制御部55は、ROM45に記憶された制御プログラムなどに基づいて、HDD装置1の各部を制御するものであり、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)などにより実現できる。具体的には、主制御部55は、上位装置2からI/F制御部21を介して通知される書込コマンド、消去コマンド、及び読出コマンドなどの各種コマンドを解析し、解析したコマンドの内容に応じてHDD装置1の各部を制御し、磁気記録媒体10のデータの読み書きを統括制御する。
また、主制御部55は、バッファ制御部22を介してフラッシュメモリ15を制御できる。例えば、転送制御部20により書込対象データが磁気記録媒体10に転送され記憶領域に記憶される場合には、主制御部55は、管理テーブル記憶部16に記憶された管理テーブルのビット情報のうち、書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報を記憶状態(即ち、“0”)に更新する。
また例えば、転送制御部20により所定のデータが磁気記録媒体10に転送され、ビット情報が記録状態(即ち、“0”)に更新されているグループに属する記憶領域が上書きされる場合には、主制御部55は、管理テーブル記憶部16に記憶された管理テーブルのビット情報のうち、記録状態に更新されているビット情報を消去状態(即ち、“1”)に更新する。従って、主制御部55は、図4に示す例の場合、0x000000〜0x00037f、0x0003a0〜0x00049f、及び0x03ff40〜0x03ff5fのシリンダが属するグループのビット情報を“0”から“1”に更新する。
なお、フラッシュメモリには、データの更新を繰り返すと物理的な劣化が進むという特性があるが、装置出荷後から磁気記録媒体10に記憶されているデータの消去が行われるまでの間に行われる管理テーブルのビット情報の更新は、消去状態から記憶状態への更新1回のみなので、フラッシュメモリの劣化の問題はほぼ生じない。
サーボ制御部60は、主制御部55からの指示に従って、後述のVCM65及びSPM70を駆動する。VCM65は、サーボ制御部60によって駆動されるヘッド駆動機構であり、ヘッド40に接続された図示せぬアームを磁気記録媒体10上で回動させる。SPM70は、サーボ制御部60によって駆動される機構であり、磁気記録媒体10を回転させる。
なお、I/F制御部21、バッファ制御部22、フォーマット制御部23、リードチャネル30、ヘッドIC35、ROM45、RAM50、主制御部55、及びサーボ制御部60は、共有バス75と接続され、共有バス75を介して各部間における種々のデータの受け渡しが行われる。
次に、実施例1のHDD装置の動作について説明する。
図5は、実施例1のHDD装置1で行われる書き込み(Write)処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、転送制御部20は、上位装置2から送られてくる書込コマンドを受信し、主制御部55へ通知する(ステップS100)。詳細には、転送制御部20は、書込コマンドとともに、書込対象データ及び当該書込対象データの書き込み先を示す磁気ディスク10の論理アドレスなどを受信し、書込コマンド及び論理アドレスなどを主制御部55に通知し、書込対象データをバッファメモリ25に記憶させる。
続いて、主制御部55は、フラッシュメモリ15に記憶されている変換テーブルを参照して、磁気ディスク10の論理アドレスを物理アドレスに変換する(ステップS102)。
続いて、主制御部55は、変換した物理アドレスから、書込対象データが書き込まれるシリンダ及びセクタ、並びにデータの書き込みに用いるヘッド40を決定する(ステップS104)。
続いて、主制御部55は、サーボ制御部60を制御して、ステップS104で決定されたヘッド40をVCM65に選択させる(ステップS106)。
続いて、主制御部55は、サーボ制御部60を制御して、ステップS106で選択されたヘッド40をVCM65により移動させ、ステップS104で決定されたシリンダへのシークを開始する(ステップS108)。
続いて、主制御部55は、管理テーブル記憶部16に記憶されている管理テーブルを参照し、書込対象データが書き込まれるシリンダのインデックスから特定されるビット情報が‘1’であるか否かを確認する(ステップS110)。
そして、主制御部55は、ビット情報が‘1’である場合には(ステップS110でYes)、‘0’に更新する(ステップS112)。なお、ビット情報が‘1’でない場合(‘0’である場合)には、ステップS112の処理は行われない(ステップS110でNo)。
続いて、主制御部55は、シークの完了を待機し(ステップS114でNo)、シークが完了すると(ステップS114でYes)、ヘッドIC35を介して、ステップS104で決定されたセクタをサーチする(ステップS116)。
続いて、転送制御部20は、バッファメモリ25に記憶された書込対象データを、リードチャネル30、ヘッドIC35、及びヘッド40を介して磁気記録媒体10に転送して、サーチされたセクタに記憶させる(ステップS118)。
続いて、主制御部55は、書込対象データの書き込みが完了した場合には(ステップS120でYes)、処理を終了し、書込対象データの書き込みが完了していない場合には(ステップS120でNo)、ステップS102に進む。
図6は、実施例1のHDD装置1で行われる消去(Erase)処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、転送制御部20は、上位装置2から送られてくる消去コマンドを受信し、主制御部55へ通知する(ステップS200)。
続いて、主制御部55は、インデックスを示す変数であるIndexの値を0に初期化する(ステップS202)。
続いて、主制御部55は、管理テーブル記憶部16に記憶されている管理テーブルを参照し、Indexが示すインデックスにより特定されるビット情報が‘1’であるか否かを確認する(ステップS204)。ここで、ビット情報が‘1’である場合には(ステップS204でYes)、ステップS224に進む。
続いて、主制御部55は、ビット情報が‘1’でない場合(‘0’である場合)には(ステップS204でNo)、シリンダ番号を示す変数であるCylinderの値をIndex*2mに設定する(ステップS206)。なお、2mは、1グループ分のシリンダ数を示す値であり、実施例1では、mは5となる。
続いて、主制御部55は、ヘッド番号を示す変数であるHeadの値を0に初期化する(ステップS208)。
続いて、主制御部55は、サーボ制御部60を制御して、Headが示すヘッド40をVCM65に選択させる(ステップS210)。
続いて、主制御部55は、サーボ制御部60を制御して、ステップS210で選択されたヘッド40をVCM65により移動させ、Cylinderが示すシリンダへのシークを開始する(ステップS212)。
続いて、転送制御部20は、シークが完了すると、所定のデータをリードチャネル30、ヘッドIC35、及びヘッド40を介して磁気記録媒体10に転送して、シークされたシリンダに記憶させる(ステップS214)。
続いて、主制御部55は、Headの値をインクリメントする(ステップS216)。そして、主制御部55は、インクリメントしたHeadの値がHead_Numよりも小さい場合には(ステップS218でYes)、ステップS210〜ステップS216の処理を繰り返す。なお、Head_Numは、ヘッド数を示す値であり、実施例1では、その値は4となる。
続いて、主制御部55は、Headの値がHead_Num以上になると(ステップS218でNo)、Cylinderの値をインクリメントする(ステップS220)。そして、主制御部55は、インクリメントしたCylinderの値が(Index+1)*2mよりも小さい場合には(ステップS222でYes)、ステップS208〜ステップS220の処理を繰り返す。なお、(Index+1)*2mは、Indexにより特定されるインデックスが示すグループに属するシリンダのシリンダ番号の最大値を示す値である。
続いて、主制御部55は、Cylinderの値が(Index+1)*2m以上になると(ステップS222でNo)、Indexの値をインクリメントする(ステップS224)。そして、主制御部55は、インクリメントしたIndexの値がIndex_Max以下の場合には(ステップS226でYes)、ステップS204〜ステップS224の処理を繰り返す。なお、Index_Maxは、インデックスの最大値を示す値である。
続いて、主制御部55は、Indexの値がIndex_Maxを越えると(ステップS226でNo)、管理テーブル記憶部16に記憶されている管理テーブルの各ビット情報のうち、その値が‘0’であるビット情報の値を‘1’に更新する(ステップS228)。
上述してきたように、本実施例1によれば、管理テーブルを用いて磁気記録媒体の記憶領域の状態を管理しているため、データの初期化が指示された際に、データが記憶されたことがある記憶領域のみを初期化することができ、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができる。
一般に、再利用対象のHDD装置は、ユーザの期待に沿わないため返品や譲渡されるもの、故障と誤解されたものなどが多いため、記憶領域を全て使用する前のものが多く、本手法が特に有効である。
また、本実施例1によれば、管理テーブルをフラッシュメモリ上に記憶させているため、書き込み処理中に電源等が落ちた場合であっても管理テーブルに矛盾が生じることを防止でき、磁気記録媒体上に管理テーブルを記憶する場合のように、スループットの低下を起こすこともない。
また、本実施例1によれば、インデックス及びグループのサイズに設定するシリンダ番号のビット数に応じて管理テーブルのサイズを設定できるので、用途に合わせ自由度が増すという利点がある。例えば、グループのサイズを大きくすれば、管理テーブルのサイズを小さくでき、また例えば、グループのサイズを小さくすれば、磁気記録媒体の状態を細かく管理することができる。
なお、消去処理を行う前に、管理テーブル中の消去状態を示すビット数から、消去処理の所要時間を計算しユーザに通知するようにしてもよい。
上述の実施例1では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、シリンダ番号の上位複数のビット情報を用いる例について説明した。ところで、近年のHDD装置は記録密度を高度に最適化しており磁気記録媒体の記録面毎にトラック密度が異なるため、シリンダという概念を持たずにヘッド番号順にLBA(Logical Block Addressing)を割り当て、各媒体面のトラック番号とヘッド番号とで物理位置を決定する場合がある。
そこで、実施例2では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体のヘッド番号のビット情報とトラック番号の上位複数のビット情報とを用いる例について説明する。なお、以下では、実施例1との相違点の説明を主に行い、実施例1と同様の機能を有する構成要素については、実施例1と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
まず、実施例2のHDD装置の構成について説明する。
図7は、実施例2のHDD装置101の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すHDD装置101は、磁気記録媒体110、フラッシュメモリ115の管理テーブル記憶部116、及び主制御部155が、実施例1のHDD装置1と相違する。従って、以下では、実施例1と実施例2の主要な相違点である磁気記録媒体110、及び管理テーブル記憶部116について説明する。なお、主制御部155については、HDD装置の構成での説明を省略し、後述のHDD装置の動作で説明する。
磁気記録媒体110は、データを記憶する記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される。なお、実施例2では、磁気記録媒体110の記憶領域の状態は、複数のトラックを1グループとするグループ単位で管理される。
管理テーブル記憶部116は、磁気記録媒体110の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けた管理テーブルを記憶する。
ここで、実施例2の管理テーブルについて具体的に説明する。実施例2の管理テーブルは、磁気記録媒体110の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体110のヘッド番号のビット情報とトラック番号の上位複数のビット情報とを用いる。図8は、磁気記録媒体110のヘッド番号及びトラック番号のデータ構造の一例を示す図であり、図9は、実施例2の管理テーブルの一例を示す図である。
磁気記録媒体110のヘッド番号を示すビット数は、図8に示すように、2ビットであり、トラック番号を示すビット数は、図8に示すように、23ビットである。そして、図9に示す管理テーブルでは、図8に示すトラック番号の下位7ビット(0〜6ビット目)分のトラック、即ち、128のトラックを1グループとし、このグループを示す指標(インデックス)としてヘッド番号の2ビット(0〜1ビット目)、及びトラック番号の上位16ビット(7〜22ビット目)の値を用いている。
詳細に説明すると、図9に示す管理テーブルでは、ヘッド番号の2ビット、及びインデックスの上位13ビット(トラック番号の10〜22ビット目)の値を行、残りの3ビット(トラック番号の7〜9ビット目)の値を列として、インデックスで示されるグループに属する記憶領域の状態を管理する。なお、図9に示す管理テーブルの行の5桁の値のうち、上位1桁の値がヘッド番号の2ビットの値であり、下4桁の値がインデックスの上位13ビットの値となっている。例えば、図9に示す管理テーブルにおいて、行の値が0x00000で列の値が0のビット情報は、ヘッド番号が0のヘッドに対応する記録面の0x000000〜0x00008fのトラックの状態を管理している。
また、図9に示す例では、消去状態のビット情報は“1”であり、記憶状態のビット情報は“0”となっている。つまり、図9に示す管理テーブルでは、ヘッド番号0に対応する記録面の0x001200〜0x00127f、及び0x001680〜0x4fffffのトラック、並びにヘッド番号1〜3に対応する各記録面の全トラックには、データが記憶されていないことが示されている。同様に、図9に示す管理テーブルでは、ヘッド番号0に対応する記録面の0x000000〜0x0011ff、及び0x001280〜0x00168fのトラックには、データが記憶されたことがあることが示されている。
次に、実施例2のHDD装置の動作について説明する。なお、実施例2のHDD装置101で行われる書き込み(Write)処理は、図5に示すフローチャートのシリンダをトラックに置き換えたものと同様であるため、説明を省略する。
図10は、実施例2のHDD装置101で行われる消去(Erase)処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS300〜ステップS304までの処理は、図6に示す消去処理のステップS200〜S204までの処理と同様である。なお、ステップS304において、ビット情報が‘1’である場合には(ステップS304でYes)、ステップS320に進む。
続いて、主制御部155は、ビット情報が‘1’でない場合(‘0’である場合)には(ステップS304でNo)、ヘッド番号を示す変数であるHeadの値をIndex/2(n+m)に設定する(ステップS306)。なお、nは、トラック番号のうちインデックスに使用されるビット数であり、mは、トラック番号のうちグループに使用されるビット数である。つまり、n+mは、トラック番号のビット数を示しており、実施例2では、nは16、mは7である。
続いて、主制御部155は、トラック番号を示す変数であるTrkの値をIndex*2mに設定する(ステップS308)。なお、2mは、1グループ分のトラック数を示す値である。
続いて、主制御部155は、サーボ制御部60を制御して、Headが示すヘッド40をVCM65に選択させる(ステップS310)。
続いて、主制御部155は、サーボ制御部60を制御して、ステップS310で選択されたヘッド40をVCM65により移動させ、Trkが示すトラックへのシークを開始する(ステップS312)。
続いて、転送制御部20は、シークが完了すると、所定のデータをリードチャネル30、ヘッドIC35、及びヘッド40を介して磁気記録媒体110に転送して、シークされたトラックに記憶させる(ステップS314)。
続いて、主制御部155は、Trkの値をインクリメントする(ステップS316)。そして、主制御部155は、インクリメントしたTrkの値が(Index+1)*2mよりも小さい場合には(ステップS318でYes)、ステップS310〜ステップS316の処理を繰り返す。なお、(Index+1)*2mは、Indexにより特定されるインデックスが示すグループに属するトラックのトラック番号の最大値を示す値である。
続いて、主制御部155は、Trkの値が(Index+1)*2m以上になると(ステップS318でNo)、Indexの値をインクリメントする(ステップS320)。
以降のステップS322〜ステップS324までの処理は、図6に示す消去処理のステップS226〜S228までの処理と同様である。
本実施例2のように、HDD装置がシリンダという概念を持たない場合であっても、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体のヘッド番号のビット情報とトラック番号の上位複数のビット情報とを用いることにより、磁気記録媒体の記憶領域の状態を管理できる。従って、本実施例2のHDD装置においても、データの初期化が指示された際に、データが記憶されたことがある記憶領域のみを初期化することができ、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができる。
上述の実施例1では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、シリンダ番号の上位複数のビット情報を用いる例について説明した。ところで、近年のHDD装置は記録密度を高度に最適化しており磁気記録媒体の記録面毎にトラック密度が異なるため、複数の記録面にまたがって複数のトラックを略同間隔にグループ化したセル構造を採用してLBAを割り当て、物理位置を決定する場合がある。
そこで、実施例3では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体のセル番号の上位複数のビット情報を用いる例について説明する。なお、以下では、実施例1との相違点の説明を主に行い、実施例1と同様の機能を有する構成要素については、実施例1と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
まず、実施例3のHDD装置の構成について説明する。
図11は、実施例3のHDD装置201の構成の一例を示すブロック図である。図11に示すHDD装置201は、磁気記録媒体210、フラッシュメモリ215の管理テーブル記憶部216、及び主制御部255が、実施例1のHDD装置1と相違する。従って、以下では、実施例1と実施例3の主要な相違点である磁気記録媒体210、及び管理テーブル記憶部216について説明する。なお、主制御部255については、HDD装置の構成での説明を省略し、後述のHDD装置の動作で説明する。
磁気記録媒体210は、データを記憶する記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される。なお、実施例3では、磁気記録媒体210の記憶領域の状態は、複数のセルを1グループとするグループ単位で管理される。なお、セルとは、物理的近傍の複数トラックを複数の記録面にまたがってまとめたグループである。
図12は、実施例3の磁気記録媒体210の一例を示す図であり、4面の記録面をドーナツ状に分割して表現したセル断面の模式図となっている。図12に示す例では、1セルあたりのトラック数が128に設定されており、各セルの終端部(Head3に対応する記録面)には、7トラック分の交代領域が用意されている。なお、交代領域の場所は、各記録面に分散してもよい。また、図12に示す例では、内周のゾーンほど、1トラックあたりのセクタ数を減少させており、最外周のZone0では、1トラックあたりのセクタ数が64に設定され、Zone0よりも内周のZone1では、1トラックあたりのセクタ数が63に設定されている。
管理テーブル記憶部216は、磁気記録媒体210の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けた管理テーブルを記憶する。特に、実施例3の管理テーブルは、磁気記録媒体210の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体210のセル番号の上位複数のビット情報を用いる。
図13は、磁気記録媒体210のセル番号のデータ構造の一例を示す図である。図13に示すように、磁気記録媒体210のセル番号を示すビット数は19ビットである。そして、実施例3の管理テーブルでは、図13に示すセル番号の下位2ビット(0〜1ビット目)分のセル、即ち、4のセルを1グループとし、このグループを示す指標(インデックス)としてセル番号の上位17ビット(2〜18ビット目)の値を用いている。
なお、磁気記録媒体210の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体210のセル番号の全てのビット情報を用いるようにしてもよい。この場合、セルそのものがグループになる。
次に、実施例3のHDD装置の動作について説明する。なお、実施例3のHDD装置201で行われる書き込み(Write)処理は、図5に示すフローチャートのシリンダをセルに置き換えたものと同様であるため、説明を省略する。
図14は、実施例3のHDD装置201で行われる消去(Erase)処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS400〜ステップS404までの処理は、図6に示す消去処理のステップS200〜S204までの処理と同様である。なお、ステップS404において、ビット情報が‘1’である場合には(ステップS404でYes)、ステップS416に進む。
続いて、主制御部255は、ビット情報が‘1’でない場合(‘0’である場合)には(ステップS404でNo)、セル番号を示す変数であるCellの値をIndex/2mに設定する(ステップS406)。なお、2mは、1グループ分のセル数を示す値である。
続いて、主制御部255は、サーボ制御部60を制御して、Cellが示すセルへのシークを開始する(ステップS408)。
続いて、転送制御部20は、シークが完了すると、所定のデータをリードチャネル30、ヘッドIC35、及びヘッド40を介して磁気記録媒体210に転送して、シークされたセルに記憶させる(ステップS410)。
続いて、主制御部255は、Cellの値をインクリメントする(ステップS412)。そして、主制御部255は、インクリメントしたCellの値が(Index+1)*2mよりも小さい場合には(ステップS414でYes)、ステップS408〜ステップS412の処理を繰り返す。なお、(Index+1)*2mは、Indexにより特定されるインデックスが示すグループに属するセルのセル番号の最大値を示す値である。
続いて、主制御部255は、Cellの値が(Index+1)*2m以上になると(ステップS414でNo)、Indexの値をインクリメントする(ステップS416)。
以降のステップS418〜ステップS420までの処理は、図6に示す消去処理のステップS226〜S228までの処理と同様である。
本実施例3のように、HDD装置がセル構造を採用している場合であっても、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体のセル番号、又はその上位複数のビット情報を用いることにより、磁気記録媒体の記憶領域の状態を管理できる。従って、本実施例3のHDD装置においても、データの初期化が指示された際に、データが記憶されたことがある記憶領域のみを初期化することができ、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができる。
上述の実施例1では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、シリンダ番号の上位複数のビット情報を用いる例について説明したが、実施例4では、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、論理アドレスの上位複数のビット情報を用いる例について説明する。なお、以下では、実施例1との相違点の説明を主に行い、実施例1と同様の機能を有する構成要素については、実施例1と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
まず、実施例4のHDD装置の構成について説明する。
図15は、実施例4のHDD装置301の構成の一例を示すブロック図である。図15に示すHDD装置301は、フラッシュメモリ315の管理テーブル記憶部316、及び主制御部355が、実施例1のHDD装置1と相違する。従って、以下では、実施例1と実施例4の主要な相違点である管理テーブル記憶部316について説明する。なお、主制御部355については、HDD装置の構成での説明を省略し、後述のHDD装置の動作で説明する。
管理テーブル記憶部316は、磁気記録媒体10の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けた管理テーブルを記憶する。
ここで、実施例4の管理テーブルについて具体的に説明する。実施例4の管理テーブルは、磁気記録媒体10の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体10の論理アドレス(LBA)を用いる。図16は、磁気記録媒体10の論理アドレスのデータ構造の一例を示す図であり、図17は、実施例4の管理テーブルの一例を示す図である。
図16に示すように、磁気記録媒体10の論理アドレスを示すビット数は24ビットである。そして、図17に示す管理テーブルでは、図16に示す論理アドレスの下位5ビット(0〜4ビット目)分の論理アドレスで特定される記憶領域を1グループとし、このグループを示す指標(インデックス)として論理アドレスの上位19ビット(5〜23ビット目)の値を用いている。
詳細に説明すると、図17に示す管理テーブルでは、インデックスの上位16ビット(論理アドレスの8〜23ビット目)の値を行、残りの3ビット(論理アドレスの5〜7ビット目)の値を列として、インデックスで示されるグループに属する記憶領域の状態を管理する。
なお、図17に示す管理テーブルでは、記録面毎に管理テーブルを設けているが、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)構成のように、各記録面の使用領域が一致する場合には、管理テーブルを各記録面で共用するようにしてもよい。このようにすると、管理テーブルのサイズをより小さくできる。
次に、実施例4のHDD装置の動作について説明する。なお、実施例4のHDD装置301で行われる書き込み(Write)処理は、図5に示すフローチャートと同様であるため、説明を省略する。
図18は、実施例4のHDD装置301で行われる消去(Erase)処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
ステップS500〜ステップS504までの処理は、図6に示す消去処理のステップS200〜S204までの処理と同様である。なお、ステップS504において、ビット情報が‘1’である場合には(ステップS504でYes)、ステップS510に進む。
続いて、主制御部355は、ビット情報が‘1’でない場合(‘0’である場合)には(ステップS504でNo)、論理アドレスを示す変数であるLBAの値をIndex/2mに設定する(ステップS506)。なお、2mは、1グループ分の論理アドレス数を示す値である。
続いて、転送制御部20は、所定のデータをリードチャネル30、ヘッドIC35、及びヘッド40を介して磁気記録媒体10に転送して、LBAが示すセクタから2m分のセクタに記憶させる(ステップS508)。
続いて、主制御部355は、Indexの値をインクリメントし(ステップS510)、インクリメントしたIndexの値がIndex_Max以下の場合には(ステップS512でYes)、ステップS504〜ステップS510の処理を繰り返す。
続いて、転送制御部20は、Indexの値がIndex_Maxを越えると(ステップS512でNo)、所定のデータをリードチャネル30、ヘッドIC35、及びヘッド40を介して磁気記録媒体10に転送して、交代されたセクタ(交代領域)に記憶させる(ステップS514)。
続いて、主制御部355は、管理テーブル記憶部316に記憶されている管理テーブルの各ビット情報のうち、その値が‘0’であるビット情報の値を‘1’に更新する(ステップS516)。
本実施例4のように、磁気記録媒体の記憶領域の状態が管理されるグループを示す指標として、磁気記録媒体の論理アドレスの上位複数のビット情報を用いることにより、磁気記録媒体の記憶領域の状態を管理できる。従って、本実施例4のHDD装置においても、データの初期化が指示された際に、データが記憶されたことがある記憶領域のみを初期化することができ、データの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができる。
なお、実施例4では、管理テーブルをHDD装置に保持させたが、上位装置に保持させるようにしてもよい。このようにすると、上位装置側で磁気記録媒体の記憶領域の状態を管理できるので、既存のHDD装置に対してもデータの漏洩防止とともに、消去作業の高速化を図ることができる。
また、上位装置にHDD装置が組み込まれ、組み込まれたHDD装置に初期データが記憶された後(例えば、上位装置であるPCにOSがプリインストールされた後)に、管理テーブルの各ビット情報を消去状態に更新するようにしてもよい。このようにすると、機密保護の必要のないOSやシステムデータについては消去処理を省略し、個人情報が含まれうるユーザデータが記憶された領域に絞り込んで初期化を行うことができ、更に消去作業を高速化することができる。
1、101、201、301 HDD装置
2 上位装置
3 ホストインタフェース
10、110、210 磁気記録媒体
15、115、215、315 フラッシュメモリ
16、116、216、316 管理テーブル記憶部
20 転送制御部
21 I/F制御部
22 バッファ制御部
23 フォーマット制御部
25 バッファメモリ
30 リードチャネル
35 ヘッドIC
40 ヘッド
45 ROM
50 RAM
55、155、255、355 主制御部
60 サーボ制御部
65 VCM
70 SPM
75 共有バス
2 上位装置
3 ホストインタフェース
10、110、210 磁気記録媒体
15、115、215、315 フラッシュメモリ
16、116、216、316 管理テーブル記憶部
20 転送制御部
21 I/F制御部
22 バッファ制御部
23 フォーマット制御部
25 バッファメモリ
30 リードチャネル
35 ヘッドIC
40 ヘッド
45 ROM
50 RAM
55、155、255、355 主制御部
60 サーボ制御部
65 VCM
70 SPM
75 共有バス
Claims (6)
- 記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される記録媒体と、
前記グループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けたテーブルであって、各ビット情報が初期状態ではデータが書き込まれていないことを示す消去状態に設定されている管理テーブルを記憶する管理テーブル記憶部と、
上位装置から書込対象データの書き込みを指示する書込コマンドを受信した場合に、当該書込対象データを前記記録媒体に転送して記憶領域に記憶させる転送制御部と、
前記書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報を、データが記憶されたことを示す記憶状態に更新する主制御部と、を備え、
前記転送制御部は、前記上位装置から初期化を指示する消去コマンドを受信した場合に、前記記録媒体に所定のデータを転送してビット情報が前記記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域を上書きさせ、
前記主制御部は、前記記憶状態に更新されているビット情報を前記消去状態に更新することを特徴とするデータ記憶装置。 - 前記管理テーブル記憶部は、フラッシュメモリであり、
前記消去状態のビット情報は1であり、前記記憶状態のビット情報は0であることを特徴とする請求項1に記載のデータ記憶装置。 - 前記記録媒体は、ディスク状の磁気記録媒体であり、
前記管理テーブルでは、前記グループを示す指標として、前記磁気記録媒体のシリンダ番号の上位複数のビット情報を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ記憶装置。 - 前記記録媒体は、ディスク状の磁気記録媒体であり、
前記管理テーブルでは、前記グループを示す指標として、前記磁気記録媒体のヘッド番号のビット情報とトラック番号の上位複数のビット情報とを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ記憶装置。 - 前記記録媒体は、ディスク状の磁気記録媒体であり、
前記管理テーブルでは、前記グループを示す指標として、前記磁気記録媒体の物理的近傍の複数トラックをまとめたグループであるセルの番号、又はその上位複数のビット情報を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ記憶装置。 - 上位装置から書込対象データの書き込みを指示する書込コマンドを受信した場合に、記憶領域の状態が所定のグループ単位で管理される記録媒体に前記書込対象データを転送して記憶領域に記憶させる書込ステップと、
前記グループを示す指標毎に、当該グループに属する記憶領域の状態を示すビット情報を対応付けたテーブルであって、各ビット情報が初期状態ではデータが書き込まれていないことを示す消去状態に設定されている管理テーブルを記憶する管理テーブル記憶部の前記管理テーブルのビット情報のうち、前記書込対象データが記憶される記憶領域が属するグループのビット情報をデータが記憶されたことを示す記憶状態に更新する記憶状態更新ステップと、
前記上位装置から初期化を指示する消去コマンドを受信した場合に、前記記録媒体に所定のデータを転送してビット情報が前記記憶状態に更新されているグループに属する記憶領域を上書きさせる消去ステップと、
前記記憶状態に更新されているビット情報を前記消去状態に更新する消去状態更新ステップと、
を含んだことを特徴とするデータ消去方法。
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A02 | Decision of refusal |
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