JP2011007952A - 投射型表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で、筐体内部の温度を適正に制御することが可能な投射型表示装置を提供する。
【解決手段】温度センサ90は、外気の吸入経路上に配置され、筐体内に取り込まれた外気の温度を検知し、その検知した外気温度に応じたアナログ電圧V1を生成する。温度センサ90は、生成した電圧V1を制御装置50を介さずにファン駆動回路80へ直接的に入力する。ファン駆動回路80は、温度センサ90の出力電圧V1に基づいて排気用ファン70を駆動するための駆動電圧V2を生成し、その生成した駆動電圧V2を排気用ファン70へ出力する。また、ファン駆動回路80は、温度センサ90の出力電圧V1に基づいて吸気用ファン60を駆動するための駆動電圧V3を生成し、その生成した駆動電圧V3を吸気用ファン60へ出力する。
【選択図】図1

Description

この発明は、投射型表示装置に関し、より特定的には、投射型表示装置の筐体の内部を冷却するための冷却装置の制御に関する。
投射型表示装置(以下、プロジェクタとも称す。)においては、光源として使用されるランプや電源回路などが発生する熱による筐体内部の温度上昇を抑えるために、筐体内部に冷却ファンを設け、筐体内部を空冷する構成が広く採用されている。
たとえば特開2003−5289号公報(特許文献1)には、プロジェクタの筐体の吸気口から外気を吸入する吸気ファンと、筐体内で温められた空気を排気口から筐体外に排気する排気ファンとによって筐体内を冷却する冷却装置が開示される。この冷却装置において、吸気ファンおよび排気ファンの回転速度を制御するためのファン制御手段としては、マイクロコンピュータ(以下、マイコンとも称す。)が用いられている。
具体的には、マイコンは、温度センサからの温度をデジタル化するA/D(アナログ/デジタル)変換部と、デジタル化された温度と記憶部より読出した複数の基準温度とを比較し、対応する基準温度を判別するようにプログラミングされた制御部とを含む。判別されたデータは、マイコンから出力されると、D/A変換部でアナログ電圧に変換されて駆動電圧生成部に入力される。駆動電圧生成部は、該アナログ電圧に基づいて吸気ファンおよび排気ファンを駆動するための駆動電圧を生成し、その生成した駆動電圧を吸気ファンおよび排気ファンへ出力する。
また、特開2009−31389号公報(特許文献2)には、コンピュータとして機能する制御部の指示に基づいて、ファン制御部が冷却ファンの回転や停止および回転数制御を行なう構成が開示されている。
特開2003−5289号公報 特開2009−31389号公報
上記の特許文献に記載の冷却装置では、ファン制御手段にマイコンを用いることにより、マイコンのプログラムによって容易に外気温度の判別を行なうことができる。
しかしながら、その一方で、ファン制御手段にマイコンを用いた場合には、安全規格として、マイコンからの指示に従って生成された駆動電圧が、該駆動電圧の制御範囲の下限値となった状態であっても、筐体内部の温度が所定の温度条件を満足させることが求められる。そのためには、プロジェクタの熱設計においては、光源等からの発熱量が相対的に大きくなるような温度環境を想定し、該環境下においても筐体内部の冷却に十分な風量が確保されるように、通常の熱負荷量に対して冷却ファンの駆動能力に余裕を持たせることが行なわれていた。
しかしながら、このように安全規格の観点に立って冷却ファンの駆動能力を高める、すなわち、風量を増大させた場合には、ファンの作動音による騒音の発生が問題となる。また、通常の温度環境においては冷却ファンの消費電力が無駄に増大してしまうという問題が生じていた。
さらにファン制御手段にマイコンを用いた場合には、ファンごとに回転速度を制御するためのプログラムが必要となるため、マイコンの回路構成が複雑化するとともに、回路規模が大きくなるという問題もあった。
それゆえ、この発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡易な構成で、筐体内部の温度を適正に制御することが可能な投射型表示装置を提供することである。
この発明のある局面に従う投射型表示装置は、該投射型表示装置の外装を構成する筐体と、筐体の外部から取り込んだ冷媒を用いて筐体の内部を冷却可能に構成された冷却装置と、筐体の内部に取り込まれた冷媒の温度を検知するための温度センサと、温度センサの出力値を受けるための端子を有し、端子に入力される温度センサの出力値に応じて冷却装置を駆動するための駆動電圧を制御する駆動回路とを備える。
好ましくは、温度センサは、検知した冷媒の温度に応じた電圧を出力するように構成される。駆動回路は、端子に入力される温度センサの出力電圧を冷却装置の駆動電圧に変換するための電圧変換手段を含む。
好ましくは、電圧変換手段は、予め定められた筐体内部の冷却が必要な温度条件および冷却装置の駆動能力に基づいて、温度センサの出力電圧を冷却装置の駆動電圧に変換する。
好ましくは、投射型表示装置は、投射面に画像を投影するための光学エンジンと、光学エンジンの動作を制御する制御装置とをさらに備える。
この発明の別の局面に従う投射型表示装置は、投射面に画像を投影するための光学エンジンと、光学エンジンを収容するための筐体と、筐体の外部から取り込んだ冷媒を用いて筐体の内部を冷却可能に構成された冷却装置と、筐体の内部に取り込まれた冷媒の温度を検知するための温度センサと、温度センサの出力値を受けるための第1の端子を有し、第1の端子に入力される温度センサの出力値に応じて冷却装置を駆動するための駆動電圧を制御する駆動回路と、温度センサの出力値を受けるための第2の端子を有し、第2の端子に入力される温度センサの出力値に応じて光学エンジンの動作を制御する制御装置とを備える。
この発明によれば、ファン駆動回路が温度センサの出力値を直接的に受けて冷却ファンの駆動電圧を制御することから、マイコンを用いた冷却ファンの制御と比較して、簡易かつ高効率な構成で、筐体内部の温度を適正に制御することができる。
この発明の実施の形態による投射型表示装置の全体構成図である。 図1におけるファン駆動回路の構成を示す図である。 温度センサの出力特性を示す図である。 図3のファン駆動回路の詳細な構成を示す回路図である。 図4の電圧変換回路における各ノードの電圧を説明する図である。 電圧可変型レギュレータから出力される駆動電圧と外気温度との関係を示す図である。 プロジェクタの異常時運転を行なうための制御構造を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による投射型表示装置の全体構成図である。
図1を参照して、投射型表示装置(以下、「プロジェクタ」とも記す)100は、光源10と、光変調部20と、投射レンズ30と、電源回路40と、制御装置50と、筐体110とを備える。
光源10および光変調部20は、図示しない投射面(スクリーンなど)に画像を投影するための光学エンジンを構成する。具体的には、光源10は、たとえば超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどからなる。光変調部20は、液晶ライトバルブおよびダイクロイックプリズム(ともに図示せず)を含む。
液晶ライトバルブは、各々に画素電極および配向膜が形成された、一対の透明基板の間に液晶を封入して成る液晶パネル等から構成されている。液晶パネルは、画像信号に応じて駆動され、その駆動状態に応じて光を変調する。液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズムに入射する。ダイクロイックプリズムは、液晶パネルによって変調された光を色合成し、投射レンズ30へと入射させる。
投射レンズ30は、投射光をスクリーンに結像させるためのレンズ群と、これらレンズ群の一部を光軸方向に変位させて投射画像のズーム状態およびフォーカス状態を調整するためのアクチュエータを備えている。ダイクロイックプリズムによって色合成された光は、投射レンズ30によってスクリーン上に拡大投射される。
電源回路40は、光源10、光変調部20および制御装置50と、後述する吸気用ファン60、排気用ファン70およびファン駆動回路80とに電力を供給する。なお、電源回路40は、光源10に電力を供給するためのバラスト電源を含んでおり、制御装置50からの指令に従って光源10に供給する電力を調整可能に構成される。これにより、電源回路40が供給可能な電力範囲内で、光源10が発光する光の量(発光量)を自在に変化させることができる。
制御装置50は、一例として、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含むマイコンを主体として構成される。制御装置50は、CPUが記憶部に記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、プロジェクタ100の動作を統括制御する。具体的には、制御装置50は、光変調部20および電源回路40の制御を行なうとともに、投影すべき画像のデータを処理する画像処理装置やOSD(On Screen Display)生成部(ともに図示せず)の制御を実行する。なお、OSDとは、機器の情報等をユーザへ通知するためにスクリーン上に文字または記号などを表示させる機能を総称したものである。
本実施の形態に従うプロジェクタ100において、光学エンジン(光源10および光変調部20)、投射レンズ30、電源回路40および制御装置50は、筐体110の内部に収容されている。このうちの光源10、電源回路40および制御装置50は、消費電力に応じた熱を発生するため、プロジェクタ100の運転時には筐体110の内部の温度が上昇する。その一方で、光変調部20を構成する液晶パネルその他の光学部品は、性能上温度条件が厳しく制限されていることから、筐体内部の温度が上昇することによってこれらの光学部品の性能が低下する可能性がある。したがって、プロジェクタ100の運転中においては、筐体110の内部温度が上述した温度条件に基づいて予め定めされた温度範囲を超えないように、筐体内部の冷却を行なう必要がある。
そこで、本実施の形態に従うプロジェクタ100では、筐体110の内部を冷却するための冷却装置として、吸気用ファン60と、排気用ファン70と、ファン駆動回路80と、温度センサ90とをさらに備えている。
筐体110には、外気を筐体内に取り入れるための吸気口120と、筐体内の空気を外部へ放出するための排気口130とが設けられている。なお、図示は省略するが、吸気口120には、外気に含まれる塵等の異物を除去するためのフィルタが設けられている。また、筐体110の内部には、取り込まれた外気を光源10および光変調部20などの発熱部品に導くためのダクトが配設されている。
吸気用ファン60は、吸気口120に対向して配置される。吸気用ファン60が筐体110の外部に対して筐体内を陰圧(負圧)にする態様で回転することにより、図1の矢印122に示されるように外気が筐体内に取り込まれる。取り込まれた空気は、フィルタを通過した後にダクトを流れることにより、光源10および光変調部20などに供給される。
温度センサ90は、外気の吸入経路上に配置され、筐体内に取り込まれた外気の温度を検知する。なお、温度センサ90は、外気の温度を検知することを目的とするため、熱源となる光源10、光変調部および制御装置50からは可能な限り離れた位置に配置することによって、装置自身による温度上昇の影響を可能な限り排除している。
また、温度センサ90としては、一般的に、温度変化に応じたアナログ電圧を出力するICや、アナログ/デジタル変換回路を内蔵し、アナログ電圧をデジタル電圧に変換して出力するIC、あるいは、温度により特性値が変化するサーミスタなどを利用するものがある。本実施の形態では、温度センサ90として、アナログ電圧出力型の温度センサを用いるものとする。具体的には、温度センサ90は、検知した外気温度に応じたアナログ電圧V1を生成してファン駆動回路80へ出力するように構成されている。
筐体110の内部において、空気の流路において光源10の下流側には排気用ファン70が設けられている。排気用ファン70が回転することにより、発熱部品との熱交換によって暖められた空気が排気口130から筐体110の外へ放出される。このようにして、筐体110の内部が冷却される。
なお、本実施の形態では、冷却ファンとして吸気用ファン60および排気用ファン70を設ける構成について例示するが、液晶パネル等の光学部品や電子部品を冷却するためのファンをさらに設ける構成としてもよい。
このような一連の冷却装置の動作において、吸気用ファン60および排気用ファン70は、それぞれ、ファン駆動回路80からの駆動電圧に応じて回転数が制御される。具体的には、ファン駆動回路80は、温度センサ90の出力値に応じて吸気用ファン60および排気用ファン70を駆動するための駆動電圧を制御する。ファン駆動回路80は、温度センサ90の出力電圧V1に基づいて排気用ファン70を駆動するための駆動電圧V2を生成し、その生成した駆動電圧V2を排気用ファン70へ出力する。また、ファン駆動回路80は、温度センサ90の出力電圧V1に基づいて吸気用ファン60を駆動するための駆動電圧V3を生成し、その生成した駆動電圧V3を吸気用ファン60へ出力する。吸気用ファン60および排気用ファン70では、内蔵されるファンモータの回転数が駆動電圧に応じて制御され、熱交換に必要な風量が制御される。
すなわち、本実施の形態に従うプロジェクタ100では、温度センサ90の出力電圧V1は、制御装置50を介さず、直接的にファン駆動回路80に入力される。この点において、温度センサの出力値をマイコンからなる制御部が受け、当該制御部がファンの回転を制御する駆動電圧生成部に対して制御指令を出力するように構成された従来のプロジェクタとは異なるものである。
以下に、図2から図6を用いて本実施の形態に従う冷却装置の制御構成について説明する。
図2は、図1におけるファン駆動回路80の構成を示す図である。なお、図2では、代表的に、排気用ファン70を駆動するための駆動回路の一構成例について例示するが、吸気用ファン60に対しても同様の構成からなる駆動回路が設けられる。
図2を参照して、ファン駆動回路80は、温度センサ90の出力電圧V1を受けるための端子82と、電圧変換回路84と、電圧可変型レギュレータ86と、ファン駆動電圧V2を出力するための端子88とを含む。
電圧変換回路84は、端子82に入力された温度センサ90の出力電圧V1の電圧レベルを変換して電圧可変型レギュレータ86の出力電圧調整端子へ出力する。
電圧可変型レギュレータ86は、出力電圧調整端子に与えられる制御電圧に応じて入力電圧を変化させて出力電圧とし、この出力電圧を端子88に出力する。端子88に出力された電圧は、駆動電圧V2として排気用ファン70のファンモータに供給される。
ここで、本実施の形態では、上述したように、外気温度を検知するための温度センサ90は、アナログ電圧出力型の温度センサであり、一例として、外気温度と出力電圧との間に図3のような関係を有しているものとする。
図3は、温度センサ90の出力特性を示す図である。
図3を参照して、温度センサ90は、外気温度が上昇するに従って出力電圧V1が低下する特性を有している。例えば外気温度がTp[℃]のときには温度センサ90の出力電圧V1はVp[V]となり、外気温度がTq(>Tp)[℃]のときには出力電圧V1はVq(<Vp)[V]となる。
なお、図中の外気温度Tp[℃]およびTq[℃]はそれぞれ、排気用ファン70の駆動電圧V2の可変制御が必要とされる温度範囲の下限値および上限値に対応している。当該温度範囲は、筐体内の液晶パネル等の光学部品に課されている温度条件に基づいて予め設定されたものである。
これによれば、外気温度が下限値Tp[℃]を下回っている場合には、筐体内部を冷却する必要性が小さいため、排気用ファン70の能力を制限することができる。また、外気温度が上限値Tq[℃]を超える場合には、光学部品の性能低下や損傷のおそれが生じることから、筐体内部を最大能力で冷却するように排気用ファン70を制御することが求められる。その一方で、Tp[℃]以上かつTq[℃]以下となる温度範囲では、筐体内部の冷却に必要十分な空気の流量が確保されるように、図3の温度センサ90の出力電圧V1に応じて駆動電圧V2を可変制御することで、筐体内部の冷却効率を向上させることができる。
図4は、図3のファン駆動回路80の詳細な構成を示す回路図である。
図4を参照して、電圧変換回路84は、差動増幅器(OPアンプ;演算増幅器)840,842,844と、抵抗R1〜R6とを含む。
差動増幅器840は、電圧増幅率が1の電圧ホロワであり、正入力には電源電圧VDDを抵抗R5およびR6で分圧した電圧(=VDD×R6/(R5+R6))が入力される。したがって、差動増幅器840の出力ノードNBには、VDD×R6/(R5+R6)で与えられる電圧VBが現われる。
差動増幅器842は、抵抗R4と抵抗R3とにより負帰還をかけた逆相増幅器であり、正入力には電圧変換回路84の入力ノードNAの電圧VA(すなわち、温度センサ90の出力電圧V1に相当)を抵抗R1およびR2で分圧した電圧(=V1×R2/(R1+R2))が入力される。一方、負入力には、ノードNBの電圧VB(=VDD×R6/(R5+R6))が入力される。正入力および負入力の間に加わる電圧は、(R4/R3)倍される。このとき、R1=R3,R2=R4となるように抵抗R1〜R4の値を設定することによって、正入力および負入力に同時に加わる成分をキャンセルして出力に現われないようにすることができる。これにより、差動増幅器842の出力ノードNCの電圧VCは、正入力および負入力に加えられる電圧VA,VBを用いて式(1)で与えられる。
VC=R4/R3・(VA−VB) (1)
上記式(1)によって、電圧VCの変化の傾きは、電圧VA、すなわち温度センサ90の出力電圧V1の傾きに対して、R4/R3(=R2/R1)倍される。換言すれば、抵抗R1〜R4の抵抗値に応じて電圧VCの傾きを調整することができる。この電圧VCは、差動増幅器844の正入力に印加される。
なお、差動増幅器844は、差動増幅器840と同じく電圧ホロワであることから、出力であるノードNDの電圧VDは、正入力に印加される電圧VCと等しくなる。ノードNDの電圧VDは、抵抗Rcを介して電圧可変型レギュレータ86の出力電圧調整端子866に入力される。
図5は、図4の電圧変換回路84における各ノードの電圧を説明する図である。
図5を参照して、電圧変換回路84の入力ノードNAの電圧VAは、図3に示した温度センサ90の出力電圧V1と一致している。これに対して、差動増幅器840の出力ノードの電圧NBは、一定値Vq[V]に固定されている。この一定値Vq[V]は、外気温度が上限値Tq[℃]のときの温度センサ90の出力電圧Vqと一致している。これは、差動増幅器840の出力電圧NBが温度センサ90の出力電圧Vqに一致するように、抵抗R5およびR6の抵抗値を決めることによって実現されたものである。
そして、電圧VAおよび電圧VBに基づいて生成された差動増幅器842の出力ノードNCの電圧VCは、外気温度に対する傾きが電圧VAの傾きよりも大きく、かつ、外気温度が上限値Tq[℃]以上となるときの電圧値が0[V]にクリップされた波形となっている。ここで、上限値Tq[℃]以上となるときの電圧値がクリップされているのは、上述したように、ノードNBの電圧VBを温度センサ90の出力電圧Vqに等しくなるように設定したことによる。この電圧VCは、差動増幅器844(電圧ホロワ)の出力ノードの電圧VDと一致している。なお、電圧VCの傾きは、上述したように、電圧変換回路85内部の抵抗R1〜R4の抵抗値で決まるため、これらの抵抗値を調整することにより後段の電圧可変型レギュレータ86の出力特性に応じて調整することが可能である。
このようにして、電圧変換回路84の出力電圧(電圧VDに相当)は、外気温度が上限値Tq[℃]以下のときには外気温度に比例して変化するとともに、外気温度が上限値Tq[℃]を超えると0[V]にクリップされる。この出力電圧は、電圧可変型レギュレータ86の出力電圧調整端子866に入力される。
再び図4を参照して、電圧可変型レギュレータ86は、IC化されており、そのICの出力電圧調整用端子へ接続する外付け抵抗によって出力電圧を可変に設定することができる。具体的には、電圧可変型レギュレータ86は、図示しない電源からの電源電圧VDDを受けるための電圧入力端子860と、排気用ファン70の駆動電圧V2である出力電圧を出力するための電圧出力端子862と、接地端子864と、電圧変換回路84からの出力電圧VDを受けるための出力電圧調整端子866とを含む。
さらに、電圧可変型レギュレータ86は、外付け抵抗として、電圧出力端子862と出力電圧調整端子866との間に接続された抵抗Raと、出力電圧調整端子866と接地電圧との間に接続された抵抗Rbと、電圧変換回路84の出力ノードNDと出力電圧調整端子866との間に接続された抵抗Rcとを含む。
電圧可変型レギュレータ86は、電圧入力端子860に電源電圧VDDを受けると、電圧変換回路84からの電圧VDに応じて入力電圧を変化させて電圧出力端子862に電圧V2を出力する。このときの出力電圧V2は、電圧可変型レギュレータ86の基準電圧Vref、抵抗RaおよびRbによって決まり、式(2)のようになる。
V2=Vref×(Ra+Rb)/Rb (2)
ここで、出力電圧調整端子866には、抵抗Rcを介して電圧VDが入力される。電圧VDは、図5に示したように、外気温度に応じて変化する電圧である。したがって、電圧可変型レギュレータ86では、式(3)のように、出力電圧V2がこの電圧VDに応じて変化する。
V2=Vref×(Ra+Rb)/Rb+Ra/Rc×(Vref−VD) (3)
式(3)を参照して、出力電圧V2は、右辺第1項(=Vref×(Ra+Rb)/Rb)を基準値として、右辺第2項(=Ra/Rc×(Vref−VD))で決まる範囲内で変化する。すなわち、抵抗Ra,Rbは、出力電圧V2の電圧レベルを決定し、抵抗Rcは、外気温度の変化に伴なう出力電圧V2の変動幅を決定する。このようにして外付け抵抗によって制御された出力電圧V2は、駆動電圧として排気用ファン70へ供給される。
図6には、電圧可変型レギュレータ86から出力される駆動電圧V2と外気温度との関係が示される。図6を参照して、駆動電圧V2は、外気温度が下限値Tp[℃]以下のときには、一定電圧VLに維持されている。そして、外気温度が下限値Tp[℃]を超えると、駆動電圧V2は、外気温度の変化に対して一定の傾きで増加する。さらに、外気温度が上限値Tq[℃]に到達すると、駆動電圧V2は、一定電圧VHに固定される。この一定電圧VHは、たとえば排気用ファン70の最大能力に相当する最大駆動電圧に設定されている。
以上に述べたように、本実施の形態に従うプロジェクタにおいては、温度センサ90の出力電圧V1は、制御装置50であるマイコンを介さずに、ファン駆動回路80に直接的に入力される。そして、ファン駆動回路80では、温度センサ90の出力電圧V1が、光学部品の温度条件を考慮して予め設定された外気温度の温度範囲および排気用ファン70の駆動能力に基づいて、排気用ファン70の駆動電圧V2に電圧変換される。
このような構成としたことにより、本実施の形態に従うプロジェクタによれば、マイコンが温度センサの出力値に応じて冷却用ファンの駆動電圧を制御する従来のプロジェクタと比較して、ファン駆動電圧を筐体内部の冷却に必要十分な電圧レベルに制御することができる。その結果、冷却ファンの清音化、省電力化および冷却ファン制御の簡略化が可能となる。
すなわち、従来のプロジェクタでは、安全規格上、マイコンからの指示に従って生成された冷却ファンの駆動電圧が、該駆動電圧の制御範囲の下限値に固定された状態であっても、筐体内部の温度が所定の温度条件を満足させることが求められる。そのためには、光源等からの発熱量が相対的に大きくなるような温度環境を想定し、該環境下においても筐体内部の冷却に十分な風量が確保されるように冷却ファンの駆動能力を上げなければならず、冷却ファンの作動音による騒音の発生が問題となっていた。また、このように冷却ファンの駆動能力を高めることで、通常の温度環境では冷却ファンの消費電力が無駄に増大するという問題が生じていた。
また、筐体内部では冷却部位に対応して複数個のファンが設けられるが、これらのファンをマイコンによって個別に制御しようとすれば、プログラムが複雑化するため回路規模が大きくなる、高価なものとなるといった不具合が生じていた。
これに対して、本実施の形態によるプロジェクタでは、マイコンを介さずにファン駆動回路が直接的に冷却ファンの駆動電圧を制御する構成となっていることから、安全規格において、上述したような駆動電圧が下限値に固定されるような状態を考慮する必要性がない。したがって、無駄に冷却ファンの駆動能力を増大させることなく、筐体内部の温度を適性に制御することが可能となる。これにより、冷却ファンの静音化および省電力化を実現できる。
また、ファン駆動回路が温度センサの出力電圧に応じて直接的に複数のファンの駆動電圧を個別に制御することから、簡易かつ低廉な構成で冷却ファンの制御を行なうことができる。
なお、図6を参照して、外気温度が上限値Tq[℃]を超えた場合には、排気用ファンは、最大駆動電圧VHで駆動するように制御される。しかしながら、排気用ファンの駆動によっても外気温度がさらに上昇してしまい、上限値Tq[℃]よりも高い許容値Tmax[℃]に到達した場合には、制御装置50(図1)は、冷却不能であると判断し、筐体内部の過熱を防止するための異常時運転を行なうようにプロジェクタ100を制御する。
図7は、プロジェクタ100の異常時運転を行なうための制御構造を示すブロック図である。
図7を参照して、制御装置50は、温度センサ90に対してファン駆動回路80と並列に接続されている。これにより、温度センサ90の出力電圧V1は、ファン駆動回路80に入力されるとともに、制御装置50にも入力される。
制御装置50は、この温度センサ90の出力電圧V1を監視しており、外気温度がTmax[℃]を超えたことを検出すると、光源10への供給電力を制限することによって光源10の出力を低下させるように電源回路40を制御する。なお、この電源回路40の制御には、光源10への電力供給を遮断することによって光源10を強制的にオフさせる態様も含まれる。
さらに、制御装置50は、筐体内部の温度異常をユーザに警告するための信号を生成するように、OSD生成部22に対して制御信号を出力する。OSD生成部22は、光変調部20が表示させる画像に対してOSD表示によって温度異常の警告情報を表示させる。なお、この警告は、上述したOSD表示によって行なうものに限定されることなく、異常を報知するための警告音の発生や、筐体に別途設けられている警告用ランプの点灯によって行なうものであってもよい。
なお、本実施の形態では、ファン駆動回路80を電圧変換回路84および電圧可変型レギュレータ86の組合せによって構成したが、これに限定されるものではない。たとえば、電圧可変型レギュレータ86に代えて、フィードバック型のDC/DCコンバータを用いてもよい。さらに、電圧変換回路84についても図4に示すような回路構成に限定されるものではなく、温度センサ90の出力特性およびファン駆動電圧の電圧範囲に応じて適宜変更される。
また、本実施の形態では、プロジェクタ100として液晶プロジェクタを採用したが、これに限定されるものではない。たとえば、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)方式のプロジェクタ等の他の方式のプロジェクタに本発明の技術を採用してもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 光源、20 光変調部、22 OSD生成部、30 投射レンズ、40 電源回路、50 制御装置、60 吸気用ファン、70 排気用ファン、80 ファン駆動回路、82,88 端子、84 電圧変換回路、86 電圧可変型レギュレータ、90 温度センサ、100 プロジェクタ、110 筐体、120 吸気口、130 排気口、840,842,844 差動増幅器、860 電圧入力端子、862 電圧出力端子、864 接地端子、866 出力電圧調整端子、R1〜R5 抵抗。

Claims (5)

  1. 投射型表示装置の外装を構成する筐体と、
    前記筐体の外部から取り込んだ冷媒を用いて前記筐体の内部を冷却可能に構成された冷却装置と、
    前記筐体の内部に取り込まれた冷媒の温度を検知するための温度センサと、
    前記温度センサの出力値を受けるための端子を有し、前記端子に入力される前記温度センサの出力値に応じて前記冷却装置を駆動するための駆動電圧を制御する駆動回路とを備える、投射型表示装置。
  2. 前記温度センサは、検知した冷媒の温度に応じた電圧を出力するように構成され、
    前記駆動回路は、前記端子に入力される前記温度センサの出力電圧を前記冷却装置の駆動電圧に変換するための電圧変換手段を含む、請求項1に記載の投射型表示装置。
  3. 前記電圧変換手段は、予め定められた前記筐体内部の冷却が必要な温度条件および前記冷却装置の駆動能力に基づいて、前記温度センサの出力電圧を前記冷却装置の駆動電圧に変換する、請求項2に記載の投射型表示装置。
  4. 投射面に画像を投影するための光学エンジンと、
    前記光学エンジンの動作を制御する制御装置とをさらに備える、請求項1に記載の投射型表示装置。
  5. 投射面に画像を投影するための光学エンジンと、
    前記光学エンジンを収容するための筐体と、
    前記筐体の外部から取り込んだ冷媒を用いて前記筐体の内部を冷却可能に構成された冷却装置と、
    前記筐体の内部に取り込まれた冷媒の温度を検知するための温度センサと、
    前記温度センサの出力値を受けるための第1の端子を有し、前記第1の端子に入力される前記温度センサの出力値に応じて前記冷却装置を駆動するための駆動電圧を制御する駆動回路と、
    前記温度センサの出力値を受けるための第2の端子を有し、前記第2の端子に入力される前記温度センサの出力値に応じて前記光学エンジンの動作を制御する制御装置とを備える、投射型表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015170508A1 (ja) * 2014-05-07 2015-11-12 ソニー株式会社 画像表示装置及び送風ファンの制御方法

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