JP2011007161A - 火花点火式内燃機関の運転制御方法 - Google Patents

火花点火式内燃機関の運転制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマと点火プラグによる火花放電とを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関にあっては、プラズマの生成状態の如何によって機関運転状態が左右される場合がある。
【解決手段】燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転状態により電界の強度を制御する火花点火式内燃機関の運転制御方法であって、プラズマ生成時に燃焼室内に流れる点火プラグにより電流を検出し、検出した電流に基づいてプラズマの生成状態を判定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転制御方法に関するものである。
従来、車両、特には自動車に搭載される火花点火式内燃機関においては、点火プラグの中心電極と接地電極との間の火花放電により、点火時期毎に燃焼室内の混合気に着火している。このような点火プラグによる着火にあって、例えば燃料を直接気筒内に噴射する型式の内燃機関において、噴射した燃料を点火プラグの火花放電の位置に分布させないと、着火しないことが希に生じる。
このため、このような内燃機関では、点火プラグの火花放電を補うために、例えば特許文献1に記載のもののように、点火プラグの放電領域にプラズマ雰囲気を生成しておき、プラズマ雰囲気中にアーク放電を行うことにより、従来に比べて高い電圧を印加することなく燃焼室内の混合気に確実に着火し、安定した火炎を得ることができるように構成したものが知られている。
特開2007−32349号公報
ところで、内燃機関は、種々のセンサを用いてその運転状態例えば燃焼状態が検出されて、燃料供給量や点火時期などを調整するように制御されるものである。このような燃焼状態の検出において、たとえば燃焼状態が低下すると、トルクが変動するので、回転数センサによりエンジン回転数を検出し、検出したエンジン回転数の変動などに基づいて燃焼状態を推定し、運転状態を制御することが実施されている。このような燃焼状態の変動は、燃料供給量の過不足あるいは点火時期などに起因する。
上述の特許文献1に記載のものにあっては、着火に際してプラズマ雰囲気を必要としているので、プラズマ雰囲気の如何によっては、良好な着火が望めない場合が生じた。しかしながら、プラズマ雰囲気の検出は、例えば発光分光分析など、燃焼室内内部をモニターする必要があり、内燃機関には応用しにくいものである。
そこで本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
すなわち、本発明の火花点火式内燃機関の運転制御方法は、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転状態により電界の強度を制御する火花点火式内燃機関の運転制御方法であって、プラズマ生成時に燃焼室内に流れる電流を点火プラグにより検出し、検出した電流に基づいてプラズマの生成状態を判定することを特徴とする。
このような構成によれば、プラズマにはイオンが含まれていることから、プラズマの発生状態に対応して電流が変化するものとなる。すなわち、プラズマの生成状態が、電流つまりプラズマ電流に反映されるものとなる。したがって、このプラズマ電流を検出することにより、燃焼室に手を加えることなくプラズマの生成状態を把握することが可能になる。
以上の構成において、具体的な運転制御としては、プラズマの生成状態が異常であると判定した場合に、運転状態を安全側に切り替えるものが挙げられる。運転状態を安全側に切り替える制御としては、プラズマの生成状態が意図する状態を下回って異常であると判定した場合に、電界の強度を強くするもの、及びプラズマの生成状態が意図する状態を上回って異常であると判定した場合に、電界の生成を停止するものが好ましい。
上述した、電界を生成させる電界生成手段としては、各種の周波数の電磁波を発生させる電磁波発生装置、燃焼室内に配置される一対の電極に交流電圧を印加する交流電圧発生装置、及び同じく一対の電極に脈流電圧を印加する脈流電圧発生装置などが挙げられる。
電磁波発生装置が発生する電磁波としては、マイクロ波、各種無線通信例えばアマチュア無線において使用される周波数を含む高周波、及びマイクロ波より波長の短いレーザなどが挙げられる。なお、レーザの場合は、他の電磁波発生装置とは構成の異なるレーザ発振装置を使用する。
交流電圧発生装置が出力する交流電圧は、上述の高周波と等しい周波数のものである。
脈流電圧発生装置は、周期的に電圧が変化する直流電圧を発生させるものであればよく、その直流電圧の波形は任意であってよい。すなわち、本願における脈流電圧は、0ボルトを含む基準となる電圧から、一定周期で一定電圧まで変化するパルス電圧や、一定周期で順次増減する電圧まで変化する、例えば交流電圧を半波整流したような波形の直流電圧、さらには交流に直流バイアスをかけた直流電圧などを含むものである。この場合において、一定周期は、上述の高周波における周波数に対応するものであってよい。なお、波形は、上述したものに限定されるものではなく、正弦波、鋸歯状波、三角波などであってもよい。
本発明は、以上説明したような構成であり、プラズマにはイオンが含まれていることから、プラズマの発生状態に対応してプラズマ電流が変化するものであるので、プラズマ電流を検出することにより、燃焼室に手を加えることなくプラズマの生成状態を把握することができる。
本発明の実施形態の概略構成を示す構成説明図。 同実施形態の制御手順を示すフローチャート。 同実施形態の具体例の制御手順を示すフローチャート。 本発明の実施形態において使用できる電磁波発生装置の構成を示すブロック図。 本発明の実施形態において使用できる交流電圧発生装置の構成を示すブロック図。 図5におけるHブリッジ回路の一例を示す回路図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に概略的に示したエンジン100は、自動車用の火花点火式4サイクル4気筒のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットルバルブ2が配設され、その下流側にはサージタンク3が設けられている。サージタンク3に連通する一方の端部近傍には、さらに燃料噴射弁5が設けてあり、その燃料噴射弁5を、電子制御装置6により制御するようにしている。燃焼室30を形成するシリンダヘッド31には、吸気弁32及び排気弁33が配設されるとともに、火花を発生するとともにプラズマ生成時に流れる電流であるプラズマ電流、及びイオン電流を検出するための電極となる点火プラグ18が取り付けてある。また排気系20には、排気ガス中の酸素濃度を測定するためのO2 センサ21が、図示しないマフラに至るまでの管路に配設された触媒装置である三元触媒22の上流の位置に取り付けられている。なお、図1にあっては、エンジン100の1気筒の構成を代表して図示している。
電子制御装置6は、中央演算処理装置7と、記憶装置8と、入力インターフェース9と、出力インターフェース11と、A/Dコンバータ10とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されている。入力インターフェース9には、サージタンク3内の圧力すなわち吸気管圧力を検出するための吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号a、エンジン100の回転状態を検出するためのカムポジションセンサ14から出力される気筒判別信号G1とクランク角度基準位置信号G2とエンジン回転数信号b、車速を検出するための車速センサ15から出力される車速信号c、スロットルバルブ2の開閉状態を検出するためのアイドルスイッチ16から出力されるIDL信号d、エンジン100の冷却水温を検出するための水温センサ17から出力される水温信号e、上記したO2 センサ21から出力される電流信号h等が入力される。一方、出力インターフェース11からは、燃料噴射弁5に対して燃料噴射信号fが、また点火プラグ18に対してイグニションパルスgが出力されるようになっている。
この点火プラグ18には、プラズマ電流及びイオン電流を測定するためのバイアス用電源24が接続され、入力インターフェース9とこのバイアス電源24との間には電流測定用回路25が接続されている。点火プラグ18、バイアス用電源24及び電流測定用回路25によりプラズマ・イオン電流検出系40が構成される。バイアス用電源24は、プラズマを生成する時に点火プラグ18に電流測定のための測定用電圧(バイアス電圧)を印加するものである。そして、測定用電圧の印加により、燃焼室30の内壁と点火プラグ18の中心電極との間、及び点火プラグ18の電極間に流れたプラズマ電流及びイオン電流は、電流測定用回路25により測定される。このようなバイアス用電源24と電流測定用回路25とは、当該分野でよく知られている種々のものを適用することができる。
このようなプラズマ・イオン電流検出系40に加えて、燃焼室30内にプラズマを生成するために、点火プラグ18の中心電極には、電磁波例えばマイクロ波が供給される。マイクロ波は、マグネトロン50とマグネトロン50を制御する制御回路51とを備えてなる電界生成手段であるマイクロ波発生装置52から出力される。制御回路51には、電子制御装置6から出力されるマイクロ波発生信号が入力される構成である。マイクロ波を点火プラグ18まで伝送する伝送経路53については、よく知られたものを用いることができ、例えばマグネトロン50に電気的に接続される導波管と、その導波管と点火プラグ18の中心電極とを電気的に接続する同軸ケーブル及び同軸分配器とで構成される。制御回路51は、入力されるマイクロ波発生信号に基づいてマグネトロン50の出力、つまりマグネトロン50が出力するマイクロ波の出力時期及び出力電力を制御するものである。マグネトロン50の出力は、エンジン100の運転状態に応じて調整されるものである。
以上の構成において、電子制御装置6には、吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号aとカムポジションセンサ14から出力される回転数信号bとを主な情報とし、エンジン100の運転状態に応じて決まる各種の補正係数で基本噴射時間(基本噴射量)を補正して燃料噴射弁開成時間すなわちインジェクタ最終通電時間Tを決定し、その決定された通電時間により燃料噴射弁5を制御して、エンジン負荷に応じた燃料を吸気系1に噴射させるためのプログラムが内蔵してある。また、このようにエンジン100の燃料噴射を制御する一方、電子制御装置6は、点火プラグ18によりプラズマ生成時に燃焼室内に流れる電流を検出し、検出した電流に基づいてプラズマの生成状態を判定し、プラズマの生成状態が異常であると判定した場合に、運転状態を安全側に切り替えるよう、すなわちエンジン100をフェイルセーフ制御するようにプログラミングしてある。
このエンジン100にあっては、始動後の通常運転状態ではマイクロ波発生装置52が発生するマイクロ波を出力時期に合わせて点火プラグ18の中心電極から燃焼室30内に放射し、それにより生成されるプラズマと点火プラグ18による火花放電とを反応させて、混合気に着火するように構成されている。プラズマを生成する場合、マイクロ波が中心電極に印加されることにより、燃焼室30内には、点火プラグ18による火花放電に対して電界が形成される。したがって、点火プラグ18及びマイクロ波発生装置52は、電界生成手段を構成するものである。
点火に際しては、点火プラグ18に点火コイル(図示しない)により火花放電を発生させ、火花放電と電界とを反応させて、火花放電開始とほぼ同時あるいは火花放電開始直後あるいは火花放電開始直前にマイクロ波により電界を発生させ、火花放電と電界とを反応させてプラズマを生成させることにより、燃焼室30内の混合気を急速に燃焼させる構成である。なお、火花放電開始直後とは、遅くとも火花放電を構成する誘導放電の開始時が好ましい。
具体的には、点火プラグ18による火花放電が電界中でプラズマになり、当該プラズマにて混合気に着火を行うことで火炎伝播燃焼の始まりとなる火炎核が火花放電のみの点火に比べて大きくなるとともに燃焼室30内に大量のラジカルが発生することで燃焼が促進される。
これは、火花放電による電子の流れ及び火花放電によって生じたイオンやラジカルが、電界の影響を受け振動、蛇行することで行路長が長くなり、周囲の水分子や窒素分子と衝突する回数が飛躍的に増加することによるものである。イオンやラジカルの衝突を受けた水分子や窒素分子は、OHラジカルやNラジカルになると共に、イオンやラジカルの衝突を受けた周囲の気体は電離した状態、言換するとプラズマ状態となることで、飛躍的に混合気への着火領域が大きくなり、火炎伝播燃焼の始まりとなる火炎核も大きくなるものである。
この結果、火花放電と電界とが反応し発生したプラズマにより混合気に着火するため、着火領域が拡大し、点火プラグ18のみの二次元的な着火から三次元的な着火になる。したがって、初期燃焼が安定し、上述したラジカルの増加に伴って燃焼が燃焼室30内に急速に伝播し、高い燃焼速度で燃焼が拡大する。
以上のような混合気の着火制御において、その時のプラズマの生成状態を、イオン電流を検出して把握し、不具合を生じる可能性がある場合は、エンジン100をフェイルセーフ制御するものである。
図2において、ステップS1では、上述したように、点火プラグ18によりプラズマ電流を検出する。このプラズマ電流の検出タイミングは点火プラグ18が火花放電し、かつ燃焼が始まるまでの間である。プラズマ電流は、プラズマが存在する場合に発生し、その大きさは、生成されるプラズマの量に比例するものである。燃焼が始まると、その燃焼ガスの中にあるイオンや電子によりイオン電流が流れるものである。この燃焼によるイオン電流は、ピストンが上死点に達して燃焼圧が最大となるタイミング付近において最大となる。
ステップS2では、検出したプラズマ電流が上限値以上か否かを判定する。上限値は適合値であり、異常にプラズマを生成した場合に検出されるプラズマ電流値に対応して設定する。異常な量のプラズマとは、そのプラズマと火花放電とが反応した場合に、例えば点火プラグ18の中心電極や接地電極が部分的に損傷を受けることがある量のプラズマである。
検出したプラズマ電流の電流値がこのような上限値未満であると、ステップS3において、検出したプラズマ電流が下限値以下であるか否かを判定する。下限値は、上限値と同様に、適合値であり、プラズマの生成が異常で、必要とする量に達していない場合に検出されるプラズマ電流値に対応して設定する。下限値は、下限値を示したプラズマ電流が検出されたプラズマと火花放電とが反応した場合に、所望の燃焼速度とならない燃焼となる場合のもので適応されるものである。
ステップS2で検出したプラズマ電流の電流値がこのような上限値以上であると、ステップS4においてプラズマの生成状態が異常であるとの判定を行う。同様にして、ステップS3において、検出したプラズマ電流の電流値が下限値以下である場合においても、ステップS4にて異常の判定を行う。
ステップS5では、検出したプラズマ電流が下限値を上回り、かつ上限値未満である、すなわちエンジンの運転状態において必要不可欠な量、つまり過不足のない意図している規模あるいは状態のプラズマであるので、プラズマの生成状態が正常であることを判定する。
これに対して、ステップS4で異常判定を行った場合は、ステップS6において、エンジン100のフェイルセーフ制御を実行する。フェイルセーフ制御の具体的な内容については、後述する。
このように、プラズマの生成状態をプラズマ電流により検出し、検出結果に応じてエンジン100をフェイルセーフ制御するので、プラズマの生成状態により燃焼の低下や運転状態の変動などを抑制することができる。
次に、図3は、フェイルセーフ制御の具体例である。
同図において、ステップS11においてプラズマの生成状態が上限を超えて異常であるか否かを判定する。すなわち、ステップS4にあっては、プラズマの生成状態異常を、ステップS2とステップS3との結果に基づいて行っている。したがって、ステップS11では、イオン電流が上限値以上であるプラズマの生成状態が上限を超えている異常であるのか、イオン電流が下限値以下であるプラズマの生成状態が下限を下回っている異常であるのかを判定する。
ステップS11において、プラズマの生成状態が上限を超えている異常でない、つまりプラズマの生成状態が下限を下回っている異常と判定した場合は、ステップS12において点火時期を変更する。この場合、点火時期をマイクロ波の出力に適合したものに変更してフェイルセーフ制御を実行するものである。あるいは、点火時期は変更せず、火花放電と反応する電界の強度を強くするべくマイクロ波の出力を高くするフェイルセーフ制御を実行する。
これに対して、プラズマの生成状態が上限を超えている異常であると判定した場合は、点火プラグ18による火花放電と反応する電界の生成を停止するためにマイクロ波の出力を停止する。すなわちマイクロ波発生装置52は、電子制御装置6からの制御信号に基づいて、制御回路51が作動して、マグネトロン50の出力を停止するものである。
したがって、プラズマの生成状態により、エンジン100に不都合な運転状態を抑制することができ、正常な状態でエンジン100を運転することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態においては、検出したプラズマ電流の電流値によりプラズマの生成状態の異常を判定したが、プラズマ電流の周波数、検出期間内の電流値の積分値、検出タイミング、あるいは電流値のピーク位置などにより異常を判定するものであってもよい。これらの判定要素を用いる場合においても、上述の実施形態と同じに、所定の範囲をはずれる場合に異常と判定するものであってよい。
また、上述の実施形態においては、プラズマの生成状態が下限を下回っている場合に、点火時期を変更する制御を実行したが、燃焼状態が良好になるような制御であれば、点火時期の制御に限定するものではない。例えば、排気ガスの一部を吸入空気に混合する排気ガス還流制御を実施しているエンジンにあっては、その排気ガス還流量つまりEGRガス量を減量する制御がこのプラズマの生成状態に対して適用できる。同様にして、供給(噴射)する燃料を増量する、あるいは燃料の供給を中止する燃料カットを実行する場合の下限負荷を大きく設定するなどであってよい。
さらに、マイクロ波は、上述のように、点火プラグ18を使用して燃焼室30に放射する以外に、専用のアンテナ、特にはモノポール型アンテナを燃焼室30内に突出するようにして設け、そのアンテナにプラズマ・イオン電流検出系40を接続してプラズマ電流及びイオン電流を検出するように構成するものであってよい。
加えて、上述の実施形態にあって、燃焼状態を検出するためのイオン電流を検出する際のイオン電流の信号雑音比を上げるために、イオン電流を検出する間は、マイクロ波の放射を短時間停止するものであってよい。
さらにまた、上述の実施形態においては、特にマイクロ波の周波数を限定しなかったが、好ましくは、マイクロ波の周波数は、水蒸気の吸収波帯とするものが挙げられる。このような周波数に設定することで、混合気内にもこれらの成分があるので、プラズマの生成効率を高くすることができる。仮に、マイクロ波が漏洩した場合であっても、これらの成分は大気中に多量に含まれるものであるので、マイクロ波が減衰しやすく、漏洩したマイクロ波の拡散を抑えることが可能である。
マイクロ波発生装置としては、上述のようなマグネトロンに代えて、進行波管などであってよく、さらには半導体によるマイクロ波発振回路を備えるものであってもよい。
加えて、アンテナとしては、ホーン型のアンテナや、モノポール型のアンテナであってもよい。
さらには、点火プラグ18の中心電極をアンテナとして機能させて、高周波給電部とする場合、高周波を一定の電圧で中心電極に継続して印加すると、中心電極の温度が過剰に上昇するため、中心電極の耐熱温度に基づいて設定する上限温度を下回るように、高周波の電圧を制御するものである。
一方、電磁波発生装置における電磁波の周波数についてはマイクロ波の周波数帯に限られるものではなく、点火プラグ18の火花放電部分に電界を生成しプラズマを生成させることが可能な周波数であればよい。したがって、電磁波発生装置としては、例えば図4に示すような構成のものが好適である。
図4に示す電磁波発生装置60は、例えば300MHzの電磁波を発振する送信機61と、送信機61の出力端に同軸ケーブル62で接続されるマッチングチューナ(又はアンテナチューナ)63と、マッチングチューナ63の出力端に不平衡ケーブル64で接続されるとともにイグナイタ65にも接続されるミキサ66とを備えている。この例にあっては、点火プラグ18の中心電極18aが電磁波を放射するアンテナとして機能するもので、したがって、ミキサ66は、マッチングチューナ63を介して送信機61が出力する電磁波を点火プラグ18の中心電極18aに印加するとともに、イグナイタ65からの点火信号を中心電極18aに印加する。ミキサ66は、送信機61からの電磁波とイグナイタ65からの点火信号を混合するものである。
この例では、送信機61からの電磁波により、中心電極18aと接地電極18bとの間に電界が生成される。生成された電界と、中心電極18aと接地電極18bとの間に発生する火花放電とが反応してプラズマが生成され、混合気に着火するものである。
また、電磁波発生装置としては、レーザ発振装置が挙げられる。レーザ発振装置は、レーザダイオードと、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)とシリンドリカルレンズを含むレンズアセンブリとを組み合わせたものが使用できる。レーザ発振装置から出力されるレーザは、光ファイバを介して燃焼室に送られる。この場合、光ファイバは、点火プラグのハウジングの中を通過してその先端が中心電極と接地電極との間隙に向けて取り付けられる。レーザは、火花放電に先立って、火花放電が生じる位置に照射されるのが好ましい。
光ファイバから射出されるレーザは、前述の間隙に集中して、間隙近傍に電界を集中させる。したがって、レーザの指向性により電界を所期の位置に生成することができ、プラズマを混合気の着火に最も好適な位置に生成することができる。
以上に説明した電磁波発生装置に代えて、交流電圧発生装置を使用するものであってもよい。図5に示す交流電圧発生装置70は、車両用のバッテリ71の電圧例えば約12V(ボルト)を昇圧回路であるDC−DCコンバータ72にて300〜500Vに昇圧し、その後、図6に例示するHブリッジ回路73にて周波数が約1MHz〜500MHz、好ましくは100MHzの交流に変化させ、さらに昇圧トランス74により約4kVp‐p〜8kVp‐pに昇圧する構成である。
このような交流電圧発生装置70において、例えば点火プラグ18の中心電極18aと接地電極18bとを、電界を生成するための一対の電極とする場合、上述の電磁波発生装置60と同様に、交流電圧の出力端部となる昇圧トランス74とイグナイタと点火プラグ18との間にはミキサが配置される。そして、中心電極18aと接地電極18bとの間に高圧の交流電圧を印加することで、放電域である点火プラグ18の間隙に上記周波数帯であって極性が交互に入れ替わる電界が生成される。したがって、生成された電界と火花放電とが反応してプラズマが点火プラグ18周辺に生成され、混合気を着火するものである。なお、この一対の電極を中心電極18aと接地電極18bとで構成するものの場合に、接地電極18bに代えて、シリンダヘッド、シリンダブロックあるいはピストンで代用するものであってもよい。
一対の電極は、上述した点火プラグ18の中心電極18aと接地電極18bとを使用する以外に、点火プラグ18を挟む位置に電極を配置する構成でもよい。すなわち、所定の距離離して、対向して一対の電極を配置する。この場合に、点火プラグ18がその電極間に位置するように、一対の電極は配置する。この場合においても、電極の一方を、接地電極、シリンダヘッド、シリンダブロックあるいはピストンで代用するものであってもよい。
なお、このような交流電圧発生装置に代えて、脈流発生装置を使用するものであってもよい。つまり、一対の電極間に交流を印加する代わりに、パルス電圧などの脈流電圧を印加することにより、一対の電極間に電界を生成するものである。脈流発生装置は、交流電圧発生装置と同様に、バッテリから供給される直流をDC?DCコンバータで昇圧し、高圧の直流を所定周期で断続することにより脈流とし、その脈流を昇圧トランスにより昇圧して一対の電極に印加する構成である。脈流発生装置の場合、Hブリッジ回路に代えて周期的にオン・オフするスイッチング回路を用いる。このような脈流発生回路を使用することによっても、一対の電極間に電界を生成することができ、上述の実施形態同様の効果を得ることができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の活用例として、ガソリンや液化天然ガスを燃料として点火プラグによる火花放電を着火に必要とする火花点火式内燃機関に活用することができる。
6…電子制御装置
7…中央演算処理装置
8…記憶装置
9…入力インターフェース
11…出力インターフェースと、
50…マグネトロン
51…制御回路
52…高圧交流発生装置
18…点火プラグ
40…イオン電流検出系
30…燃焼室

Claims (4)

  1. 燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関の運転状態により電界の強度を制御する火花点火式内燃機関の運転制御方法であって、
    プラズマ生成時に燃焼室内に流れる電流を点火プラグにより検出し、
    検出した電流に基づいてプラズマの生成状態を判定する火花点火式内燃機関の運転制御方法。
  2. プラズマの生成状態が異常であると判定した場合に、運転状態を安全側に切り替える請求項1記載の火花点火式内燃機関の運転制御方法。
  3. プラズマの生成状態が意図する状態を下回って異常であると判定した場合に、電界の強度を強くする請求項2記載の火花点火式内燃機関の運転制御方法。
  4. プラズマの生成状態が意図する状態を上回って異常であると判定した場合に、電界の生成を停止する請求項2記載の火花点火式内燃機関の運転制御方法。
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