JP2011006903A - 耐震架構 - Google Patents
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Abstract
【課題】引張材からなる1組のブレース部材を引張側のみならず圧縮側においても有効に機能させる。
【解決手段】1組の引張材からなるブレース部材3(3a、3b)の双方に均等なプレテンションN0を導入してそれらの両端部をそれぞれ架構フレームに対して定着するとともに、架構フレームが一方向に変形した際に引張側となる一方のブレース部材3aが降伏する以前に圧縮側となる他方のブレース部材3bに導入されているプレテンションが消失するように該プレテンションを設定する。ブレース部材に導入されたプレテンションが消失した時点で作動しその拘束力低下を補償する他の1組の補助ブレース部材を併設する。
【選択図】図1
【解決手段】1組の引張材からなるブレース部材3(3a、3b)の双方に均等なプレテンションN0を導入してそれらの両端部をそれぞれ架構フレームに対して定着するとともに、架構フレームが一方向に変形した際に引張側となる一方のブレース部材3aが降伏する以前に圧縮側となる他方のブレース部材3bに導入されているプレテンションが消失するように該プレテンションを設定する。ブレース部材に導入されたプレテンションが消失した時点で作動しその拘束力低下を補償する他の1組の補助ブレース部材を併設する。
【選択図】図1
Description
本発明は耐震構造の建物に係わり、特に柱梁による架構にブレースを設置した耐震架構に関する。
周知のように、中低層建物を対象とした耐震性に優れる架構形式として一般的なブレース構造は、柱および梁により構成される架構フレーム(軸組)内に1組のブレース部材を設置するものであって、地震時に架構フレームに作用する水平せん断力により双方のブレース部材に圧縮力と引張力が交互に載荷され、それら双方のブレース部材の圧縮耐力と引張耐力によって両方向の水平せん断力に抵抗することが基本である。しかし、圧縮側のブレース部材が早期に座屈してせん断力を充分に負担できない場合も多く、その場合には主として引張側のブレース部材の引張耐力により水平せん断力に抵抗する設計とすることが一般的である。
また、たとえば非特許文献1に示されるようにワイヤロープ等の高強度線材をブレース部材として用いるワイヤブレースによる架構も公知であるが、その場合、ブレース部材としてのワイヤロープは当然に圧縮耐力を有しないので引張耐力のみで水平せん断力に抵抗することになる。
侯ほか、「ワイヤ拘束部材剛性を考慮した変位制御型ワイヤブレース付骨組の地震応答解析」、日本建築学会大会学術講演梗概集(中国)、2008年9月
上記のように従来一般のブレース架構では1組のブレース部材のうちの引張側のみしか有効に機能しないことが多く、その点では構造的に必ずしも合理的ではない。
勿論、双方のブレース部材を常に有効に機能させるためにはブレース部材の圧縮耐力を増強して座屈強度を高めれば良いのであるが、そのためにはブレース部材の断面を大きくして細長比を充分に小さくするか、あるいは何らかの補剛要素を付加して早期に座屈しないような設計とする必要があり、いずれもコスト的に不利であるばかりでなく、架構剛性が必要以上に大きくなってしまって建物全体の構造的なバランスの点で好ましくない場合もある。
勿論、双方のブレース部材を常に有効に機能させるためにはブレース部材の圧縮耐力を増強して座屈強度を高めれば良いのであるが、そのためにはブレース部材の断面を大きくして細長比を充分に小さくするか、あるいは何らかの補剛要素を付加して早期に座屈しないような設計とする必要があり、いずれもコスト的に不利であるばかりでなく、架構剛性が必要以上に大きくなってしまって建物全体の構造的なバランスの点で好ましくない場合もある。
上記事情に鑑み、本発明は上記のような従来一般のブレース架構の欠点を解消して双方のブレース部材を有効に機能せしめることができ、併せて架構剛性を適正に調整することが可能な有効適切な耐震架構を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は、建物の柱および梁からなる架構フレームに対し、該架構フレームに作用する水平せん断力に対して抵抗して層間変形を拘束する1組の引張材からなるブレース部材を設置してなる耐震架構であって、前記ブレース部材の双方に均等なプレテンションを導入してそれらブレース部材の両端部をそれぞれ前記架構フレームに対して定着するとともに、前記架構フレームが一方向に変形した際に引張側となる一方のブレース部材が降伏する以前に圧縮側となる他方のブレース部材に導入されているプレテンションが消失するように該プレテンションを設定してなることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の耐震架構であって、前記1組のブレース部材に加えて、該ブレース部材に導入されたプレテンションが消失した時点で作動して該ブレース部材による拘束力低下を補償する他の1組の補助ブレース部材を併設してなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明の耐震架構であって、前記1組の補助ブレース部材はそれぞれ前記架構フレームの対角線よりも長い線材が該対角線に沿って配設され、前記架構フレームが変形して圧縮側のブレース部材に導入されているプレテンションが消失した時点で引張側の補助ブレース部材が緊張して拘束力を発現するように構成してなることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の発明の耐震架構であって、前記柱に対して前記梁をピン接合することによって前記架構フレームを構成してなることを特徴とする。
本発明の耐震架構によれば、1組のブレース部材に均等なプレテンションを導入したことにより、ブレース部材として単なる引張材を用いているにも拘わらず、変形の初期段階においては圧縮側のブレース部材のプレテンションが消失するまでは双方のブレース部材が同時に拘束力を発揮し、変形が大きくなって圧縮側のブレース部材のプレテンションが消失した時点以降は通常のように引張側のブレース部材のみが機能するものとなる。
したがってブレース部材の圧縮耐力により拘束力を確保する通常のブレース構造のようにブレース部材の座屈を考慮する必要はないことは言うに及ばず、ブレース部材の引張剛性とそれに導入するプレテンションを適正に設定することにより架構剛性の変形特性を適正に調整することも可能である。
また、本発明の耐震架構では圧縮側のブレース部材のプレテンションが消失するまでは線形弾性状態を保つばかりでなく、その後も引張側のブレース部材が降伏するまでは非線形弾性状態を保つから、従来一般の架構に比べて大変形に至るまで弾性変形状態が維持されるという好ましい変形特性が得られる。
したがってブレース部材の圧縮耐力により拘束力を確保する通常のブレース構造のようにブレース部材の座屈を考慮する必要はないことは言うに及ばず、ブレース部材の引張剛性とそれに導入するプレテンションを適正に設定することにより架構剛性の変形特性を適正に調整することも可能である。
また、本発明の耐震架構では圧縮側のブレース部材のプレテンションが消失するまでは線形弾性状態を保つばかりでなく、その後も引張側のブレース部材が降伏するまでは非線形弾性状態を保つから、従来一般の架構に比べて大変形に至るまで弾性変形状態が維持されるという好ましい変形特性が得られる。
さらに、上記のブレース部材に加えて、そのブレース部材による拘束力低下を補償するための他の1組の補助ブレース部材を併設することにより、ブレース部材のプレテンションが消失した以降も拘束力が低下することなく確保できるし、線形弾性変形の範囲をより拡大することが可能である。
本発明の耐震架構の第1実施形態を図1(a)〜(c)を参照して説明する。
これは(a)に示すように建物の柱1および梁2からなる架構フレームに対し、1組2本のワイヤからなるブレース部材3(3a、3b)を対角線に沿ってX状に設置したものであるが、双方のブレース部材3を予め緊張して双方に均等なプレテンション(初期導入張力)N0を導入し、それらブレース部材3の両端部をそれぞれ架構フレームに対して定着することにより、プレテンションNOの反力を架構フレームに負担させたものとなっている。
この状態では、双方のブレース部材3に導入したプレテンションN0の反力の水平方向成分Hは H=N0cosθ(θはブレース部材3と梁2とのなす角度)となり、その反力がそれぞれ架構フレームに対して逆向きに作用して全体が静的にバランスしたものとなっている。
なお、本実施形態における架構フレームは柱1に対して梁2がピン接合されて構成されており(したがってこれはラーメン架構ではなく、この架構自体の剛性は無視し得るものである)、そのような架構フレームに対してブレース部材3としてのワイヤの両端部を単に連結すれば良い。
これは(a)に示すように建物の柱1および梁2からなる架構フレームに対し、1組2本のワイヤからなるブレース部材3(3a、3b)を対角線に沿ってX状に設置したものであるが、双方のブレース部材3を予め緊張して双方に均等なプレテンション(初期導入張力)N0を導入し、それらブレース部材3の両端部をそれぞれ架構フレームに対して定着することにより、プレテンションNOの反力を架構フレームに負担させたものとなっている。
この状態では、双方のブレース部材3に導入したプレテンションN0の反力の水平方向成分Hは H=N0cosθ(θはブレース部材3と梁2とのなす角度)となり、その反力がそれぞれ架構フレームに対して逆向きに作用して全体が静的にバランスしたものとなっている。
なお、本実施形態における架構フレームは柱1に対して梁2がピン接合されて構成されており(したがってこれはラーメン架構ではなく、この架構自体の剛性は無視し得るものである)、そのような架構フレームに対してブレース部材3としてのワイヤの両端部を単に連結すれば良い。
本実施形態の耐震架構における水平力と架構フレームの変形状態を(b)に示す。
上側の梁2に対して一方向(図示では右方向)にせん断力Qが作用した場合、各ブレース部材3の張力は、引張側のブレース部材3aではプレテンション(初期導入張力)N0からΔNだけ増大して N0+ΔN に増大し、逆に圧縮側のブレース部材3bでは N0−Δn に減少する。それにより架構フレームに対する水平反力は、引張側においては H1=(N0+ΔN)cosθ に増大し、圧縮側では H2=(N0−ΔN)cosθ に減少する。
この場合、せん断力Qは Q=H1-H2 であるから、 Q=H1-H2=2ΔNcosθ となる。
上側の梁2に対して一方向(図示では右方向)にせん断力Qが作用した場合、各ブレース部材3の張力は、引張側のブレース部材3aではプレテンション(初期導入張力)N0からΔNだけ増大して N0+ΔN に増大し、逆に圧縮側のブレース部材3bでは N0−Δn に減少する。それにより架構フレームに対する水平反力は、引張側においては H1=(N0+ΔN)cosθ に増大し、圧縮側では H2=(N0−ΔN)cosθ に減少する。
この場合、せん断力Qは Q=H1-H2 であるから、 Q=H1-H2=2ΔNcosθ となる。
上記の場合におけるせん断力Qと架構フレームの変位Dとの関係を(c)に示す(上述したように架構フレーム自体の剛性は無視している)。
せん断力Qが増加するにつれて架構フレームに変位Dが生じ、上記のように引張側のブレース部材3aには引張力が載荷されるとともに圧縮側のブレース部材3bには引張力が除荷される。そして、架構変位がd1となった時点で ΔN=N0 となって圧縮側のブレース部材3bに予め導入されていたプレテンションNOが消失し、それ以降は引張側のブレース部材3aが単独でせん断力を負担するので架構剛性は1/2になる。
さらにせん断力が増加し、引張側のブレース3aが降伏を起こす変位d2に達すると架構の剛性はゼロになる。
せん断力Qが増加するにつれて架構フレームに変位Dが生じ、上記のように引張側のブレース部材3aには引張力が載荷されるとともに圧縮側のブレース部材3bには引張力が除荷される。そして、架構変位がd1となった時点で ΔN=N0 となって圧縮側のブレース部材3bに予め導入されていたプレテンションNOが消失し、それ以降は引張側のブレース部材3aが単独でせん断力を負担するので架構剛性は1/2になる。
さらにせん断力が増加し、引張側のブレース3aが降伏を起こす変位d2に達すると架構の剛性はゼロになる。
このように、本実施形態の耐震架構では1組のブレース部材3(3a、3b)に均等なプレテンションNOを導入したことにより、圧縮側のブレース部材3bのプレテンションが消失するまでは双方のブレース部材3a、3bが同時に拘束力を発揮するものとなる。つまり、ブレース部材3として単なるワイヤ(引張材)を用いているにも拘わらず、変形の初期段階では引張側のブレース部材3aのみならず圧縮側のブレース部材3bも有効に機能し、変形が大きくなって圧縮側のブレース部材3bのプレテンションが消失した時点以降は通常のように引張側のブレース部材3aのみが機能するものとなる。
したがってブレース部材の圧縮耐力により拘束力を確保する通常のブレース構造のようにブレース部材の座屈を考慮する必要はないことは言うに及ばず、ブレース部材3の引張剛性とそれに予め導入するプレテンションN0を適正に設定することにより架構剛性の変形特性を適正に調整することも可能である。
そして、本実施形態の耐震架構では、(c)に示されるように圧縮側のブレース部材3bの張力が消失するまでは線形弾性状態を保つばかりでなく、その後も架構剛性は1/2に低下するものの引張側のブレース部材3aが軸降伏するまでは非線形弾性状態を保つから、従来一般の架構に比べて大変形に至るまで弾性変形状態が維持されるという好ましい変形特性が得られる。
しかも、ブレース部材3に導入されたプレテンションNOの反力の水平方向成分H1,H2は梁2に対してコンプレッションとして導入されることになり、したがって梁2は実質的にプレストレスが導入されたものとなってその力学的性能を改善できる利点もある。
したがってブレース部材の圧縮耐力により拘束力を確保する通常のブレース構造のようにブレース部材の座屈を考慮する必要はないことは言うに及ばず、ブレース部材3の引張剛性とそれに予め導入するプレテンションN0を適正に設定することにより架構剛性の変形特性を適正に調整することも可能である。
そして、本実施形態の耐震架構では、(c)に示されるように圧縮側のブレース部材3bの張力が消失するまでは線形弾性状態を保つばかりでなく、その後も架構剛性は1/2に低下するものの引張側のブレース部材3aが軸降伏するまでは非線形弾性状態を保つから、従来一般の架構に比べて大変形に至るまで弾性変形状態が維持されるという好ましい変形特性が得られる。
しかも、ブレース部材3に導入されたプレテンションNOの反力の水平方向成分H1,H2は梁2に対してコンプレッションとして導入されることになり、したがって梁2は実質的にプレストレスが導入されたものとなってその力学的性能を改善できる利点もある。
次に、本発明の第2実施形態を図2(a)〜(c)に示す。
本第2実施形態の耐震架構は、(a)に示す特性のブレースシステムAと、(b)に示す特性のブレースシステムBとを組み合わせてそれらを並列に設置することにより、(c)に示すようなトータルブレースシステムを構成するものである。
ブレースシステムAは図1(a)に示した第1実施形態の耐震架構と全く同様のもの、つまり柱1と梁2とによる架構フレーム内にワイヤからなる1組のブレース部材3(3a、3b)を設置して双方に均等なプレテンションNOを導入したものである。
ブレースシステムBについては図示は省略したが、これは上記のブレースシステムAにおけるブレース部材3に導入されているプレテンションNOが消失した時点でその拘束力低下を補助ブレース部材により補償する構成のものであり、たとえば非特許文献1に示されるようなワイヤブレースを補助ブレース部材として利用するものが好適である。
具体的には、架構フレームの対角線よりも若干長いワイヤを補助ブレース部材として対角線に沿ってX状に配設しておいて、(b)に示すように架構フレームの変形がd1に達した時点、つまりブレースシステムAにおける圧縮側のブレース部材3bに導入されているプレテンションが消失した時点で補助ブレース部材が緊張してその時点から拘束力を発現するようにしておけば良い。その場合、双方の補助ブレース部材が緊張するまでは単に弛ませておくことでも良いが、あるいは非特許文献1に示されるように双方の補助ブレース部材をワイヤ拘束部材により拘束しておいても良い。
本第2実施形態の耐震架構は、(a)に示す特性のブレースシステムAと、(b)に示す特性のブレースシステムBとを組み合わせてそれらを並列に設置することにより、(c)に示すようなトータルブレースシステムを構成するものである。
ブレースシステムAは図1(a)に示した第1実施形態の耐震架構と全く同様のもの、つまり柱1と梁2とによる架構フレーム内にワイヤからなる1組のブレース部材3(3a、3b)を設置して双方に均等なプレテンションNOを導入したものである。
ブレースシステムBについては図示は省略したが、これは上記のブレースシステムAにおけるブレース部材3に導入されているプレテンションNOが消失した時点でその拘束力低下を補助ブレース部材により補償する構成のものであり、たとえば非特許文献1に示されるようなワイヤブレースを補助ブレース部材として利用するものが好適である。
具体的には、架構フレームの対角線よりも若干長いワイヤを補助ブレース部材として対角線に沿ってX状に配設しておいて、(b)に示すように架構フレームの変形がd1に達した時点、つまりブレースシステムAにおける圧縮側のブレース部材3bに導入されているプレテンションが消失した時点で補助ブレース部材が緊張してその時点から拘束力を発現するようにしておけば良い。その場合、双方の補助ブレース部材が緊張するまでは単に弛ませておくことでも良いが、あるいは非特許文献1に示されるように双方の補助ブレース部材をワイヤ拘束部材により拘束しておいても良い。
本第2実施形態では、ブレースシステムAとブレースシステムBとを組み合わせたトータルブレースシステムとすることにより、(c)に示すようにブレースシステムAにおけるブレース部材のプレテンションが消失した以降の剛性低下がブレースシステムBにおける補助ブレース部材により補償され、したがって第1実施形態の耐震架構(つまりブレースシステムAのみ)に比べて線形弾性変形の範囲を拡大することができ、引張側の補助ブレース部材が降伏するまで線形弾性変形を維持することが可能である。
以上で本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで好適な例であって本発明は上記実施形態に限定されるものでは勿論なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であればたとえば以下に列挙するような適宜の応用や設計的変更が可能である。
上記実施形態におけるブレース部材3の設置パターンは、図1(a)に示したように、また図3(a)に示すように、1組のブレース部材3a、3bを各層の架構フレーム内にX形に設置することが最も一般的であるが、ブレース部材の設置パターンは任意であってたとえば架構フレーム内にいわゆるK形で設置しても良いし、隣接する2つの架構フレームにそれぞれ別方向のブレース部材を1本ずつ設置してそれらで1組を構成することでも良い。さらに図3(b)に示すように2層ごとにX形に設置することも考えられる。
いずれにしても、ブレース部材の設置パターンや設置位置、所要数は、建物の形状や規模、構造的な方向性、要求される耐震性能等の諸条件を考慮して最適に設計すれば良い。
いずれにしても、ブレース部材の設置パターンや設置位置、所要数は、建物の形状や規模、構造的な方向性、要求される耐震性能等の諸条件を考慮して最適に設計すれば良い。
ブレース部材3としてはワイヤを用いることが現実的であるが、所望の引張剛性を有しかつ所望のプレテンションを導入できる引張材であれば良く、その限りにおいてたとえば小断面の鋼棒(ロッド)や帯状の鋼板(フラットバー)も採用可能である。また、ワイヤを用いる場合にはPC鋼線が現実的であるが、ガラス繊維やカーボン繊維、アラミドファイバ等の高強度繊維を素材とする高強度線材も採用可能である。
上記実施形態は柱と梁とをピン接合した架構フレームへの適用例であるので、それらを剛接合する通常のラーメン架構に適用する場合に比べて構造的な挙動が単純かつ明快になり、また接合部の構造が簡略化されるので施工性の点でも有利であるが、本発明はそれに限定されるものでもなく、通常のラーメン架構に対して同様にブレース部材を設置し同様にプレテンションを導入することでも同等の効果が得られる。もちろん、その場合には架構自体の剛性も考慮してブレース部材の引張剛性やそれに導入するプレテンションを適正に設定すれば良い。
本発明の耐震架構に適切なダンパー(減衰要素)を組み合わせることも考えられ、それにより圧縮側のブレース部材の張力が消失して架構剛性が低下することによる耐震性の低下を回避することができる。
すなわち、架構に組み込む減衰要素の減衰係数C、架構の有効質量m、固有角振動数ω、その系の減衰定数hとすると、 h=C/2mω の関係にあり、圧縮側のブレース部材の張力が消失して架構剛性が1/2になると固有角振動数ωは1/√2になるから、結果的に系の減衰定数hは√2倍になり、架構剛性が低下しても耐震性に悪影響が及ぶことはない。
すなわち、架構に組み込む減衰要素の減衰係数C、架構の有効質量m、固有角振動数ω、その系の減衰定数hとすると、 h=C/2mω の関係にあり、圧縮側のブレース部材の張力が消失して架構剛性が1/2になると固有角振動数ωは1/√2になるから、結果的に系の減衰定数hは√2倍になり、架構剛性が低下しても耐震性に悪影響が及ぶことはない。
1 柱
2 梁
3(3a、3b) ブレース部材
NO プレテンション(初期導入張力)
2 梁
3(3a、3b) ブレース部材
NO プレテンション(初期導入張力)
Claims (4)
- 建物の柱および梁からなる架構フレームに対し、該架構フレームに作用する水平せん断力に対して抵抗して層間変形を拘束する1組の引張材からなるブレース部材を設置してなる耐震架構であって、
前記ブレース部材の双方に均等なプレテンションを導入してそれらブレース部材の両端部をそれぞれ前記架構フレームに対して定着するとともに、
前記架構フレームが一方向に変形した際に引張側となる一方のブレース部材が降伏する以前に圧縮側となる他方のブレース部材に導入されているプレテンションが消失するように該プレテンションを設定してなることを特徴とする耐震架構。 - 請求項1記載の耐震架構であって、
前記1組のブレース部材に加えて、該ブレース部材に導入されたプレテンションが消失した時点で作動して該ブレース部材による拘束力低下を補償する他の1組の補助ブレース部材を併設してなることを特徴とする耐震架構。 - 請求項2記載の耐震架構であって、
前記1組の補助ブレース部材はそれぞれ前記架構フレームの対角線よりも長い線材が該対角線に沿って配設され、前記架構フレームが変形して圧縮側の前記ブレース部材に導入されているプレテンションが消失した時点で引張側の前記補助ブレース部材が緊張して拘束力を発現するように構成してなることを特徴とする耐震架構。 - 請求項1,2または3記載の耐震架構であって、
前記柱に対して前記梁をピン接合することによって前記架構フレームを構成してなることを特徴とする耐震架構。
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JP2020105880A (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-09 | 株式会社森林経済工学研究所 | 構造体の補強装置及び構造体の補強方法 |
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