JP2011006846A - C形断面ラッピングワイヤおよびそれを用いたケーブルラッピング構造と方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】略Z形断面のラッピングワイヤを使用したケーブルラッピング構造における問題を解消する。
【解決手段】主ケーブル1の外周にらせん状に巻き付けられるラッピングワイヤであって、断面が略C形であり、C形断面の開口側を主ケーブル1の径方向外方に向けラッピングワイヤ2同士を隣接させてらせん状に巻き付けられる第1層と、該第1層上にC形断面の開口側を主ケーブル1の径方向内方に向けラッピングワイヤ3同士を隣接させてらせん状に巻き付けられる第2層とを形成するように巻き付けられ、ラッピングワイヤ2、3が半ピッチずれた状態にて、C形断面の腕部の内側面4a、5aが主ケーブル1の径方向に対して斜めに形成されて主ケーブル1の軸方向に互いに係合し合うように、構成されているC形断面ラッピングワイヤ、およびそれを用いたケーブルラッピング構造と方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、主ケーブルにらせん状に巻き付けられる、断面が略C形のラッピングワイヤ、およびそのC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング構造とケーブルラッピング方法に関する。
多数の金属線を平行に集束した太いケーブル(本願では、主ケーブルと呼ぶ。例えば吊橋ケーブル)に対して、内部への水等の進入を防いで防食対策を施すためには、主ケーブルの外周にラッピングワイヤを隙間なく緊密にらせん状に巻き付けることが有効であることが知られている。しかし、円形断面のラッピングワイヤを用いた構造の場合、主ケーブルが、その軸方向にかかる荷重の変動を受けたり、熱膨張に伴う伸縮を繰り返すことにより、らせん状に巻き付けられているラッピングワイヤ同士の接触部に隙間が生じ、その隙間を通して、あるいはその隙間発生に起因して巻き付けラッピングワイヤの外側に施された厚膜塗装に割れが生じ、その割れ目を通して、雨水等が進入し、防食性能を低下させるおそれがあった。
このような問題に対処するために、略Z形断面のラッピングワイヤを使用する吊橋ケーブルのラッピング構造が提案されている(特許文献1)。このケーブルラッピング構造では、図4に示すように、多数の金属線101を平行に集束した主ケーブル102(吊橋ケーブル)の外周に、左右両側に鈎形の係合部103、104を形成した略Z形断面のラッピングワイヤ105を、係合部103、104における突片の内側を斜めに形成して突片同士を密着させ係合させた状態でらせん状に巻き付けていく。このケーブルラッピング構造により、隣接する略Z形断面の巻き付けラッピングワイヤ105同士が、互いに係合し合うので、橋荷重の変動や熱膨張による伸縮の繰り返しに伴う隙間の発生を防止でき、ラッピングワイヤ105の外面に施された厚膜塗装106に割れ目が生じるのを防ぐことができるようになった。
特許第2986288号公報
上記特許文献1に開示された略Z形断面のラッピングワイヤを使用したケーブルラッピング構造は、防食性能改善の面では優れた効果を発揮できるが、ラッピングワイヤ自体の製造の容易化、低コスト化、ラッピング時等の不具合の発生防止、ラッピングマシンの構造簡素化、小型化、低コスト化の面では、以下のような問題が残されている。
上記のような略Z形断面のラッピングワイヤの断面形状は、通常、ロール圧延によって形成するが、左右両側に鈎形の係合部を有する左右非対称の断面形状であるので、圧延ロールの形状が比較的複雑にならざるを得ない。そのため、ロールの製作費用等を含むラッピングワイヤの製造コストの低減に限界が生じるとともに、ラッピングワイヤの製造自体の容易化にも問題が残ることとなる。また、ラッピングワイヤの表面には、通常、防錆処理として溶融亜鉛めっき等のめっきが施されるが、上記のような突片の突出方向が互いに逆方向となる鈎形の係合部を左右両側に有する略Z形断面形状では、いずれか一方の鈎形係合部にめっき溜まり等の不良が発生しやすくなるおそれがある。
また、略Z形断面のラッピングワイヤは、その断面形状から、1本巻き2本巻きにかかわらず、ワイヤがらせん状に巻き付けられていく際に、隣接して次に巻かれるワイヤが直前に巻かれたワイヤの上に部分的に重なるように巻き付けられていくので、ワイヤが溶融亜鉛めっきされていることもあって、ワイヤ同士の摩擦力が原因で、巻き付け張力が小さいと次々と巻き付けられていくワイヤの締め付けが悪くなり、徐々に巻径が大きくなり易い。その結果、巻かれたワイヤがラッパ状に膨らんで主ケーブルから浮いてしまうことがある。従来は、このような不具合が生じないようにするため、ある一定以上の強い張力で巻き付けていくようにしているが、ワイヤの断面形状的に、不具合の発生の懸念を完全に払拭するのは困難である。
また、通常、ラッピングマシンは、主ケーブルの上にまたがるように設置されるが、巻き付け張力の反力がマシンに作用するのでラッピングマシンには常に主ケーブルを中心とするトルク(モーメント)がかかり、それがマシンを転倒させようとする力になる。実際は転倒防止のために、種々の対策が採られているが、上述の如く巻き付け張力をある程度大きくせざるを得ないので、転倒防止のための反力対策も比較的複雑な構造で大がかりなものとなり、ラッピングマシンが比較的高価なものとなっている。また、ラッピングワイヤの巻き付けのためにラッピングマシンにはモータを搭載するが、巻き付け張力を大きくするためにはモータ容量も大きくならざるを得ず、この面からもラッピングマシンの低コスト化が難しい状況となっている。
さらに、上述の如く、巻き付け張力をある程度大きくせざるを得ず、ラッピングワイヤにはある一定以上の張力をかける必要があるので、ワイヤ巻き付け時の断線防止のためには、ワイヤ断面積をそれほど小さくはできない。したがって、ワイヤ製造に使用する材料量の低減にも限界が生じることとなり、この面からの低コスト化も難しいというのが実情である。
そこで本発明の課題は、上記のような現状における問題点、とくに特許文献1に開示された略Z形断面のラッピングワイヤを使用したケーブルラッピング構造における問題点に着目し、特許文献1に開示された構造に比べ、ラッピングワイヤ自体の製造の容易化、低コスト化、ラッピング時等の不具合の発生防止、ラッピングマシンの構造簡素化、小型化、低コスト化が可能な、C形断面ラッピングワイヤおよびそれを用いたケーブルラッピング構造と方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るC形断面ラッピングワイヤは、多数の金属線を平行に集束した主ケーブルの外周にらせん状に巻き付けられるラッピングワイヤであって、断面が略C形であり、該略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向外方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けられる第1層と、該第1層上に前記略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向内方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けられる第2層とを形成するように巻き付けられ、前記第1層の巻き付けラッピングワイヤと前記第2層の巻き付けラッピングワイヤとが主ケーブルの軸方向に実質的に半ピッチずれた状態にて、一方の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面と他方の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面とが主ケーブルの径方向に対して斜めに形成されて主ケーブルの軸方向に互いに係合し合うように、前記略C形断面形状が形成されていることを特徴とするものからなる。
また、本発明に係るC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング構造は、断面が略C形に形成されたラッピングワイヤを、多数の金属線を平行に集束した主ケーブルの外周に前記略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向外方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けた第1層と、該第1層上に前記ラッピングワイヤの略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向内方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてかつ前記第1層の巻き付けラッピングワイヤに対し主ケーブルの軸方向に実質的に半ピッチずらした状態にてらせん状に巻き付けた第2層とを有し、主ケーブルの径方向に対して斜めに形成された第1層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面と第2層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面とが主ケーブルの軸方向に互いに係合し合うように構成されていることを特徴とするものからなる。
上記C形断面ラッピングワイヤおよびそれを用いたケーブルラッピング構造においては、ラッピングワイヤの表面に防錆等のためにめっきが施されていることが好ましい。めっきとしては、従来から行われている溶融亜鉛めっきを採用できる。
このような本発明に係るC形断面ラッピングワイヤおよびそれを用いたケーブルラッピング構造においては、主ケーブルの外周に、上記第1層を形成するC形断面ラッピングワイヤと、上記第2層を形成するC形断面ラッピングワイヤとが、C形断面の開口側を対向させた形態でらせん状に重ね巻きされ、第1層の巻き付けラッピングワイヤのC形断面の腕部と第2層の巻き付けラッピングワイヤのC形断面の腕部が、それらの内側面同士で互いに係合し合って、第1層における隣接ラッピングワイヤ同士および第2層における隣接ラッピングワイヤ同士が、主ケーブルの軸方向に密接された状態に保たれることになる。換言すれば、第1層の隣接ラッピングワイヤは、第2層のラッピングワイヤによって、第2層の隣接ラッピングワイヤは、第1層のラッピングワイヤによって、それぞれ、密接状態に維持される。そして、この密接状態の維持は、主ケーブルにかかる荷重の変動や、主ケーブルの熱膨張に伴う伸縮とは無関係に達成可能であるから、第1層、第2層ともに、隙間が生じない目標とするラッピング形態に維持されることとなる。
また、上記ラッピングワイヤの断面形状が略C形断面であり、このC形断面形状は断面において容易に左右対称形状とできるため、前述の特許文献1におけるZ形断面のワイヤに比べ、形状がシンプルであり、製造し易く、かつ、廉価に製造できる。ロール圧延で製造する場合にも、圧延ロールの形状をZ形断面の場合よりもシンプルにできる。また、C形断面においては左右の腕部が同方向に延びることになるので、溶融亜鉛めっき等を施す場合にあっても、断面形状的にめっき溜まり等の不良が発生しにくい。
また、第1層、第2層のそれぞれにおいて、C形断面ラッピングワイヤは、隣接ワイヤ同士が部分的にオーバーラップすることなく、外側面同士が密接した状態で隣接配置されることになるので、特許文献1に記載の構造のように隣接ワイヤ同士が部分的にオーバーラップして巻かれたワイヤがラッパ状に膨らみ主ケーブルから浮いてしまうような状態は発生しない。したがって、本発明では、小さい巻き付け張力であっても、Z形断面ラッピングワイヤにおけるような不具合が発生するおそれは全くない。
また、巻き付け張力が小さくてもよいことから、ラッピングマシンに作用する巻き付け張力の反力も小さくなり、マシンの転倒防止のための反力対策も比較的容易に実施できる。また、その結果として、マシンも小型化できるので、従来のマシンよりも廉価に製作できるようになる。
さらに、ラッピング張力を小さくできるので、ワイヤの断面積を小さくしても断線しにくくなる。したがって、ラッピングワイヤ製造に使用する材料量を従来より減少させることができるので、この面からも、従来のZ形断面ワイヤよりも廉価に製造可能となる。
本発明は、ケーブルラッピング方法についても提供する。すなわち、本発明に係るC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング方法は、断面が略C形に形成されたラッピングワイヤを、多数の金属線を平行に集束した主ケーブルの外周に前記略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向外方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けて第1層を形成するとともに、該第1層上に前記ラッピングワイヤの略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向内方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてかつ前記第1層の巻き付けラッピングワイヤに対し主ケーブルの軸方向に実質的に半ピッチずらした状態にてらせん状に巻き付けて第2層を形成し、主ケーブルの径方向に対して斜めに形成された第1層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面と第2層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面とを主ケーブルの軸方向に互いに係合させ合うことを特徴とする方法からなる。
このC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング方法においては、第1層のラッピングワイヤと第2層のラッピングワイヤを1台のラッピングマシンで主ケーブルに巻き付けていくことができる。すなわち、第1層のラッピングワイヤを巻き付けた直後に第2層のラッピングワイヤを順次巻き付けていくことができる。したがって、少なくとも第1層、第2層を必要とするラッピング形態にあっても、ラッピング時間等がとくに増えることはなく、容易にラッピングを進めていくことが可能である。
このように、本発明に係るC形断面ラッピングワイヤおよびそれを用いたケーブルラッピング構造と方法によれば、特許文献1に開示された略Z形断面のラッピングワイヤを使用したケーブルラッピング構造における問題を実質的にすべて解消でき、ラッピングワイヤ自体の製造の容易化、低コスト化、ラッピング時等の不具合の発生防止、ラッピングマシンの構造簡素化、小型化、低コスト化が可能になる。
本発明の一実施態様に係るC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング構造および方法を示す斜視図である。 図1のケーブルラッピング構造の部分断面図である。 図1のケーブルラッピング構造における第1層と第2層のC形断面ラッピングワイヤの係合状態を示す拡大部分断面図である。 特許文献1に開示された従来の略Z形断面のラッピングワイヤを使用したケーブルラッピング構造を示す部分断面図である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施態様に係るC形断面ラッピングワイヤ、それを用いたケーブルラッピング構造および方法を示している。図1において、1は、多数の金属線1aを平行に集束した主ケーブルを示しており、主ケーブル1の外周に、本発明に係るC形断面ラッピングワイヤが、主ケーブル1の径方向内側の第1層を形成するC形断面ラッピングワイヤ2、径方向に該第1層の外側の第2層を形成するC形断面ラッピングワイヤ3として、1台のラッピングマシン(図示略)によって、順次らせん状に巻き付けられていく。これらラッピングワイヤ2、3は、実質的に同一のもので、それぞれ、断面が略C形であり、該略C形断面の開口側を対向させて巻き付けられていく。すなわち、略C形断面の開口側を主ケーブル1の径方向外方に向けラッピングワイヤ2同士が隣接されてらせん状に巻き付けられることにより第1層が形成され、該第1層上に、第1層のラッピングワイヤ2に対し半ピッチずれた状態にて、略C形断面の開口側を主ケーブル1の径方向内方に向けラッピングワイヤ3同士が隣接されてらせん状に巻き付けられることにより第2層が形成される。ラッピングワイヤ2、3の表面には、防錆等のために、例えば溶融亜鉛めっきが施されている。
図2、図3に示すように、第1層の巻き付けラッピングワイヤ2と、第2層の巻き付けラッピングワイヤ3とが主ケーブル1の軸方向に実質的に半ピッチずれた状態にて巻き付けられ、巻き付けられた状態では、一方の巻き付けラッピングワイヤ、例えばラッピングワイヤ2の略C形断面の腕部の内側面4aと、他方の巻き付けラッピングワイヤ、例えばラッピングワイヤ3の略C形断面の腕部の内側面5aとが,主ケーブル1の径方向に対して斜めに(傾斜面に)形成されており、両腕部の内側面4a、5aが主ケーブル1の軸方向に互いに係合し合うように、略C形断面形状が形成されている。
第1層、第2層ともに、略C形断面形状の開口部を同じ方向に向けて(第1層では、主ケーブル1の径方向外側に向けて、第2層では、主ケーブル1の径方向内側に向けて)、順次ラッピングワイヤ2、3が巻き付けられていくので、主ケーブル1の外周上で隣接配置されるラッピングワイヤ2、3は、各々、同じ巻き付け姿勢で隣接することになる。そして、隣接ラッピングワイヤ2同士および隣接ラッピングワイヤ3同士にはオーバーラッピング部位はなく、上述の如く、互いに半ピッチずれた状態で巻き付けられるので、隣接ラッピングワイヤ2同士および隣接ラッピングワイヤ3同士は、略C形断面の腕部の外側面4b同士および外側面5b同士で密接した状態で隣接配置されることになる。
そして、第1層のラッピングワイヤ2が巻き付けられた直後に、第2層のラッピングワイヤ3が、ラッピングワイヤ2の略C形断面の腕部の斜面に形成された内側面4aに、ラッピングワイヤ3の略C形断面の腕部の斜面に形成された内側面5aが係合するように巻き付けられていくので、ラッピングワイヤ3は、隣接ラッピングワイヤ2同士を互いに引き寄せ外側面4b同士を密接させるように、重ね巻きされていく。同時に、そのときにラッピングワイヤ2側から受ける反力により、隣接ラッピングワイヤ3同士も互いに引き寄せられ、外側面5b同士が密接される。したがって、略C形断面ラッピングワイヤ2、3を順次所定の形態で重ね巻きしていくだけで、実質的に自動的に、隣接ラッピングワイヤ2同士間および隣接ラッピングワイヤ3同士間に隙間が発生しない状態で、各ラッピングワイヤ2、3がらせん状に巻き付けられていくことになり、理想的なラッピング構造が極めて容易に得られることになる。
このラッピング構造においては、とくに外側の第2層の隣接ラッピングワイヤ3間に隙間が発生しないので、その外側に容易に所望の厚膜塗装(図示略)を施すこともできる。その場合にも、隣接配置されているラッピングワイヤ2およびそれに係合されている隣接配置されたラッピングワイヤ3は、基本的に主ケーブル1にかかる荷重の変動や、熱膨張に起因する主ケーブル1の伸縮の影響を受けないので、ラッピング構造が崩れることはなく所望のラッピング形態がそのまま維持され、したがってその上に施されている厚膜塗装に割れが生じることもない。
また、前述の如く、ラッピングワイヤ2、3は、シンプルな略C形断面形状であるため、特許文献1のZ形断面のワイヤに比べ製造し易く、かつ、廉価に製造できる。ロール圧延による製造における圧延ロールも、シンプルで廉価に製作できる。溶融亜鉛めっき等を施す場合にも、めっき溜まり等の不良が発生しにくい。
また、前述の如く、第1層、第2層ともに、隣接ワイヤ同士が部分的にオーバーラップして巻かれたワイヤがラッパ状に膨らみ主ケーブル1から浮いてしまうような状態の発生は確実に回避される。したがって、巻き付け張力は小さくて済む。その結果、ラッピングマシンに作用する巻き付け張力の反力も小さくなるので、マシン転倒防止のための反力対策も容易に実施できることになる。また、ラッピングマシンも小型化できるので、より廉価に製作できるようになる。
さらに、前述したように、ラッピング張力を小さくできる結果、ワイヤの断面積を小さくすることも可能になり、ラッピングワイヤ製造に使用する材料量を低減してコストダウンをはかることも可能になる。
本発明に係るC形断面ラッピングワイヤとケーブルラッピング構造、方法は、主ケーブルへのラッピングが要求されるあらゆる分野に適用可能であり、とくに吊橋ケーブルのラッピングに最適なものである。
1 主ケーブル
1a 金属線
2 第1層を形成するC形断面ラッピングワイヤ
3 第2層を形成するC形断面ラッピングワイヤ
4a、5a C形断面の腕部の内側面
4b、5b C形断面の腕部の外側面

Claims (6)

  1. 多数の金属線を平行に集束した主ケーブルの外周にらせん状に巻き付けられるラッピングワイヤであって、断面が略C形であり、該略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向外方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けられる第1層と、該第1層上に前記略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向内方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けられる第2層とを形成するように巻き付けられ、前記第1層の巻き付けラッピングワイヤと前記第2層の巻き付けラッピングワイヤとが主ケーブルの軸方向に実質的に半ピッチずれた状態にて、一方の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面と他方の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面とが主ケーブルの径方向に対して斜めに形成されて主ケーブルの軸方向に互いに係合し合うように、前記略C形断面形状が形成されていることを特徴とするC形断面ラッピングワイヤ。
  2. 表面にめっきが施されている、請求項1に記載のC形断面ラッピングワイヤ。
  3. 断面が略C形に形成されたラッピングワイヤを、多数の金属線を平行に集束した主ケーブルの外周に前記略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向外方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けた第1層と、該第1層上に前記ラッピングワイヤの略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向内方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてかつ前記第1層の巻き付けラッピングワイヤに対し主ケーブルの軸方向に実質的に半ピッチずらした状態にてらせん状に巻き付けた第2層とを有し、主ケーブルの径方向に対して斜めに形成された第1層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面と第2層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面とが主ケーブルの軸方向に互いに係合し合うように構成されていることを特徴とする、C形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング構造。
  4. 前記ラッピングワイヤの表面にめっきが施されている、請求項3に記載のC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング構造。
  5. 断面が略C形に形成されたラッピングワイヤを、多数の金属線を平行に集束した主ケーブルの外周に前記略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向外方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてらせん状に巻き付けて第1層を形成するとともに、該第1層上に前記ラッピングワイヤの略C形断面の開口側を主ケーブルの径方向内方に向けラッピングワイヤ同士を隣接させてかつ前記第1層の巻き付けラッピングワイヤに対し主ケーブルの軸方向に実質的に半ピッチずらした状態にてらせん状に巻き付けて第2層を形成し、主ケーブルの径方向に対して斜めに形成された第1層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面と第2層の巻き付けラッピングワイヤの前記略C形断面の腕部の内側面とを主ケーブルの軸方向に互いに係合させ合うことを特徴とする、C形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング方法。
  6. 第1層のラッピングワイヤと第2層のラッピングワイヤを1台のラッピングマシンで主ケーブルに巻き付けていく、請求項5に記載のC形断面ラッピングワイヤを用いたケーブルラッピング方法。
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