JP2011006533A - 導電性重合体フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、製膜性及び表面平滑性が優れる導電性重合体フィルムを提供する。
【解決手段】導電性重合体フィルムが、(a)オレフィン系重合体100質量部に対して、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維0.1〜4質量部及び(c)上記(b)以外の導電性フィラー10〜50質量部を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、製膜性及び表面平滑性が優れる導電性重合体フィルムに関する。
有機溶媒を含む電解液を用いている電気部品として、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池がある。電気二重層キャパシタの電解液は、有機溶媒系電解液と水系電解液とに大別される。一般的に、有機溶媒系電解液が使用される電気二重層キャパシタの出力電圧は高いため、広く用いられている。
電気二重層キャパシタは、長いサイクル寿命、急速な充放電の実現等の利点を有し、マイクロコンピューター、メモリ素子、タイマー等のバックアップ電源として利用されている。実際の電気二重層キャパシタは、以下の構造を有する。厚さ20〜40μmのエッチングされた集電体に外部引き出しリード線が取り付けられ、当該集電体のエッチング面には、活性炭、導電剤、バインダー等が含まれる電極材料からなる分極性電極が形成されている。当該集電体上に分極性電極が形成されたものがセパレータを介在させて巻回されてコンデンサ素子が形成され、当該コンデンサ素子が電解液中に浸漬され、セパレータと分極性電極に電解液が含浸されたものが外装材に挿入され、パッキンにより外装材の開口部が封口される。電気二重層キャパシタの性能は、単位重量当たりの出力と容量当たりの出力が高いほど向上する。一般に、アルミニウム等の金属箔が集電体として使用されているが、金属より比重の小さい導電性樹脂フィルム又は導電性エラストマーフィルムが集電体として使用される電気二重層キャパシタの単位重量当たりの出力は、金属が集電体として使用される電気二重層キャパシタの単位重量当たりの出力より大きくなり得る。
また、有機溶媒系電解液を用いる電気二重層キャパシタと同様に、リチウムイオン電池も電解液に有機溶媒を含有している。リチウムイオン電池は、電気二重層キャパシタと同様の構造であり、集電体として銅やアルミニウムなどの金属箔を用いているため、金属より比重の小さい導電性樹脂フィルム又は導電性エラストマーフィルムを集電体として使用した場合には、金属を集電体としたリチウムイオン電池より、単位重量当たりの出力は大きくなり得る。
従来、ビニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体又はその水素添加物と導電性フィラーを含有する導電性エラストマーフィルムが、水系電解液を用いる電気二重層キャパシタの集電体として検討された(例えば、特許文献1参照)。当該導電性エラストマーフィルムの強度は、有機溶媒系電解液に含まれるジエチルカーボネート等の有機溶媒により大幅に低下する。一方、環状オレフィン樹脂と導電性フィラーを含有する導電性樹脂フィルムが、電気二重層キャパシタの集電体として検討された(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、当該導電性樹脂フィルムの引裂き強度は低いものであった。
国際公開第98/40435号パンフレット 国際公開第99/02585号パンフレット
リチウムイオン電池の集電体としては、導電性樹脂フィルム又は導電性エラストマーフィルムが、単位重量当たりの出力において、金属などと比較してより好適であることが知られている。
近年、体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、製膜性及び表面平滑性が優れる導電性重合体フィルムが、有機溶媒系電解液が使用される電気二重層キャパシタの集電体としても求められているが、このような導電性重合体フィルムはこれまで見出されていなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、体積固有抵抗値が小さく、引裂き強さ等の機械的強度が高く、製膜性及び表面平滑性が優れる導電性重合体フィルムの提供である。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(a)オレフィン系重合体、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維及び(c)上記(b)以外の導電性フィラーを含む導電性重合体フィルムが上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、(a)オレフィン系重合体100質量部に対して、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維0.1〜4質量部及び(c)上記(b)以外の導電性フィラー10〜50質量部を含む導電性重合体フィルムを提供する。好ましい上記(a)オレフィン系重合体はエチレン−オクテン共重合体である。本発明の導電性重合体フィルムは、好ましくは、上記(a)オレフィン系重合体100質量部に対して、25質量部以下の(d)環状オレフィン樹脂を含む。好ましい上記(c)はカーボンブラックである。
本発明の導電性重合体フィルムの体積固有抵抗値は小さく、引裂き強さ等の機械的強度は高く、製膜性及び表面平滑性は優れている。
本発明の導電性重合体フィルムは、(a)オレフィン系重合体を含有する。当該(a)オレフィン系重合体は特定のオレフィン系重合体に限定されない。当該(a)オレフィン系重合体の具体例は、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンの共重合体等である。好ましい(a)オレフィン系重合体はエチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合体であり、特に好ましい(a)オレフィン系重合体はエチレン−オクテン共重合体である。当該エチレン−オクテン共重合体は、エチレン単位と1−オクテン単位を含む鎖状オレフィン共重合体であり、市販されている。当該エチレン−オクテン共重合体の市販品の具体例は、ダウケミカル社製エンゲージ(登録商標)8003、8100/8107、8137、8150/8157、8180、8200/8207、8400/8407、8842、プライムポリマー(株)製モアテック(登録商標)0218CN、0218CM、0258CN、0438CN等である。
本発明の導電性重合体フィルムは、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維(以下、「金属メッキ化樹脂繊維」ということがある。)を含有する。当該金属メッキ化樹脂繊維を構成する樹脂の具体例は、ポリエステル、アラミド、アクリル、ナイロン、ポリオレフィン、ポリシクロオレフィン等である。当該金属メッキ化樹脂繊維のメッキ成分である金属の具体例は、銅、アルミニウム、ニッケル等である。当該金属メッキ化樹脂繊維の好ましい繊維径は5〜10μmである。当該金属メッキ化樹脂繊維の繊維径が細すぎる場合、金属でメッキされた樹脂繊維の作製は困難である。当該金属メッキ化樹脂繊維の繊維径が太すぎる場合、金属メッキ化樹脂繊維がフィルム表面に現れやすくなり、そのため、導電性重合体フィルムの表面平滑性が低下する。当該金属メッキ化樹脂繊維の好ましい繊維長は1〜10mmであり、更に好ましい繊維長は1〜5mmである。当該金属メッキ化樹脂繊維の好ましいメッキ厚は0.01〜1μmである。当該メッキ厚が薄すぎる場合、樹脂繊維を金属で被覆しにくくなる。一方、当該メッキ厚が厚すぎる場合、メッキ処理時間が長くなる。
当該金属メッキ化樹脂繊維を作製する際のメッキ処理方法は、特に限定されないが、繊維径1〜15μmの樹脂繊維を無電解メッキ処理することが好ましい。当該無電解メッキ処理は、樹脂中にゴム成分を分散させた樹脂繊維を硫酸等の強酸で処理して当該ゴム成分を強酸に溶解させるエッチング工程、エッチングされた樹脂繊維表面にパラジウム、銀、金、白金等の貴金属触媒を付与して、樹脂繊維表面を活性化させる工程、表面が活性化された樹脂繊維を無電解メッキ浴に浸漬して無電解メッキ皮膜を形成するメッキ工程を実施する。
メッキ処理に使用される金属種は、特に限定されず、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金、白金、およびこれらの少なくとも2種からなる合金などが挙げられる。なかでも、銅、銀、ニッケル、およびこれらの少なくとも2種からなる合金が好ましく、銅、ニッケル、およびこれらの合金がより好ましく、銅が特に好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
当該金属メッキ化樹脂繊維は市販されており、その具体例は、銅メッキされたアラミド繊維であるダイワボウテックス(株)製メタックス(登録商標)である。当該金属メッキ化樹脂繊維の配合量は、上記オレフィン系重合体100質量部に対して0.1〜4質量部である。当該金属メッキ化樹脂繊維の含有量が少なすぎる場合、フィルムの引張強度は低いものとなる。当該金属メッキ化樹脂繊維の含有量が多すぎる場合、フィルムの製膜性が低下する。
本発明の導電性重合体フィルムは、(c)上記(b)以外の導電性フィラーを含有する。上記(c)の具体例は、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、粉末または繊維状の金属または金属酸化物等である。
炭素繊維としては、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、好ましいものの具体例は、コンダクティブファーネスブラック、スーパーコンダクティブファーネスブラック、エクストラコンダクティブファーネスブラックなどのファーネスブラック;コンダクティブチャンネルブラック;アセチレンブラック;等である。市販されているカーボンブラックの好ましいものの具体例は、コンチネックスCF(コンチネタルカーボン社製コンダクティブファーネスブラック)、ケッチェンブラックEC(ケッチェンブブラックインターナショナル社製コンダクティブファーネスブラック)、バルカンC(キャボット社製コンダクティブファーネスブラック)、BLACK PEARLS 2000(キャボット社製コンダクティブファーネスブラック)、デンカブラック(電気化学工業(株)社製アセチレンブラック)等である。カーボンブラックのDBP吸油量は300cm3/100g以上、BET表面積は500m2/g以上であることが好ましい。
グラファイトの具体例は、鱗片状の天然黒鉛、人造黒鉛、グラファイトファイバー等である。
金属の具体例は、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ、バナジウムおよびそれらを2種以上含む任意の合金等である。
金属酸化物の具体例は、上記金属として例示したものの酸化物を例示することができる。具体的には、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウムおよび上記金属を2種以上含む任意の合金の酸化物等である。
上記(c)のなかでも、カーボンブラック、グラファイトが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
上記(c)上記(b)以外の導電性フィラーを単独で、または少なくとも2種を組合せて使用できる。(c)上記(b)以外の導電性フィラーの含有量は、上記(a)オレフィン系重合体100質量部に対して10〜50質量部である。(c)上記(b)以外の導電性フィラーの含有量が少なすぎる場合、フィルムの抵抗値が高すぎてフィルムの導電性が低くなる。一方、(c)上記(b)以外の導電性フィラーの含有量が多すぎる場合、導電性重合体組成物をフィルム化できない。
また、上記(c)のうち、炭素繊維、繊維状の金属、繊維状の金属酸化物などの繊維状のもの(c’)は、カーボンブラックなどの非繊維状のものと併用して用いるのが好ましく、その際の(c’)の配合量は、上記メッキ化樹脂繊維(b)と(c’)との合計量に対して10質量%以下が好ましい。
本発明の導電性重合体フィルムは、(d)環状オレフィン樹脂を含有し得る。(d)環状オレフィン樹脂は、重合体の主鎖または側鎖に脂肪族炭化水素環構造を有する非結晶性の樹脂であり、その具体例としては、特開昭63−264646号公報、特開昭64−1705号公報、特開平1−168724号公報、特開平1−168725号公報などに開示されるノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体およびその水素添加物、特開昭60−168708号公報などに開示されるノルボルネン環を有するモノマーとα−オレフィン類との付加重合体、特開平6−136057号公報、特開平7−258362号公報などに開示されている環状オレフィンや環状ジエンの付加重合体およびその水素添加物などが挙げられる。これらの(d)環状オレフィン樹脂は市販されており、市販品の具体例は、日本ゼオン株式会社製ZEONEX(登録商標)、ZEONOR(ゼオノア:登録商標)、三井化学株式会社製APEL(登録商標)、APO(登録商標)、ポリプラスチック株式会社製TOPAS (登録商標)などである。これらのなかでも、フィルム形成性、耐薬品性などの観点からノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体およびその水素添加物が好ましく、とりわけノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体の水素添加物が好ましい。
ノルボルネン環を有するモノマーとしては、エチレンとシクロペンタジエンの付加体である2環式オレフィンのノルボルネン、さらにシクロペンタジエンが付加した4環式オレフィンであるテトラシクロドデセン、シクロペンタジエンの2量体で3環式ジエンであるトリシクロデカジエン(ジシクロペンタジエンともいう)、その不飽和結合の一部を水素添加により飽和させた3環式オレフィンであるトリシクロデセン、シクロペンタジエンの3量体で5環式ジエンであるペンタシクロペンタデカジエン、その不飽和結合の一部を水素添加により飽和させた5環式オレフィンであるペンタシクロペンタデセン(2,3−ジヒドロジシクロペンタジエンともいう);およびこれらの置換体などが例示される。置換体としては、アルキル基、アルキリデン基または芳香族基などの極性基をもたない基により置換された誘導体または水素添加誘導体またはそれらから脱水素して得られる誘導体(例えば、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−オクチル−2−ノルボルネン、5−オクタデシル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどのノルボルネン誘導体、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−2,3−シクロペンタジエノオクタヒドロナフタレン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアントラセンなどのテトラシクロドデセン誘導体など);ハロゲン、水酸基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基などの極性基により置換された置換体(例えば、5−メトキシ−カルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネンなど);等が挙げられる。
ノルボルネン環を有するモノマーと付加共重合されるα−オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1などの狭義のオレフィンに加え、これらの一部をハロゲンなどの極性基で置換したオレフィン性モノマーが挙げられる。
環状オレフィンとしては、シクロブテン、1−メチルシクロペンテン、3−メチルシクロブテン、3,4−ジイソプロペニルシクロブテン、シクロペンテン、3−メチルシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1−メチルシクロオクテン、5−メチルシクロオクテン、シクロオクタテトラエン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィン、ならびに前記のノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合が一つのものが挙げられる。
環状ジエンとしては、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエンなどの単環ジエンや、前記のノルボルネン環を有するモノマーのうち不飽和結合を2個有するものが挙げられる。
これらのモノマーのうち、極性基を有さないモノマーを全モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上の比率で用いると、得られる導電性重合体フィルムのエチレンカーボネートなどの薬品に対する耐性が優れたものとなる。
さらに、上記の開環重合および付加重合いずれの場合も、それぞれの重合系に共重合可能な各種のモノマーを混合して共重合してもよい。共重合可能なモノマーの例としては、前記のノルボルネン環を有するモノマー、α−オレフィン、環状オレフィン、環状ジエンの他に、ブタジエンやイソプレンなどの直鎖または分岐のジエン類を挙げることができる。重合はランダムであっても、ブロック型であっても、交互型であってもよく、また、付加重合で1,2−付加と1,4−付加がある場合どちらが主であってもよいし、ほぼ同じ割合であってもよい。
重合後の重合体に不飽和結合が残る場合、すなわちノルボルネン環を有するモノマーの開環重合体または、環状ジエンの付加重合体などの場合は、残留する不飽和結合により、得られる導電性重合体フィルムの耐薬品性が低下するため、これを改良することを目的として、水素添加することにより不飽和結合の80%以上、好ましくは90%以上を飽和させることが好ましい。水素添加の方法および触媒については公知のものによればよい。
重合体の分子量は、例えば、シクロヘキサンを溶媒としたゲルパーミエーション・クロマトグラフィーで測定されるポリイソプレン換算で数平均分子量(Mn)が好ましくは3,000〜500,000、より好ましくは8,000〜200,000であり、重量平均分子量(Mw)が好ましくは8,000〜1,000,000である。
重合後または水素添加反応後の重合体の溶液から触媒などの残査を公知の方法で除去または低減することが好ましい。溶剤を濾過法にて除去し、さらに加熱または真空加熱して取り除く方法や、沈殿凝集法で金属汚染物を除去した樹脂溶液を直接加熱または真空加熱して、溶剤を除去する方法などにより乾燥してもよい。その溶剤が本発明の導電性重合体フィルムを製造するのに適した溶剤である場合には、溶剤を除去せずに、または一部を除去して用いることもできる。また乾燥せずに溶剤をフィルム製造用溶剤で置換して用いることもできる。
(d)環状オレフィン樹脂のガラス転移温度(以下、Tgということがある)は、モノマーの種類、共重合する場合のコモノマーの割合や、分子量、水素添加率などによって異なるが、導電性重合体フィルム用の樹脂として用いる場合、好ましくは−150〜+300℃、より好ましくは−120〜+200℃、特に好ましくは−100〜+120℃である。この範囲にあるときに、得られる導電性重合体フィルムの柔軟性、強度、耐熱性が高度にバランスして好ましい。なお、本発明においてTgは、示差走査型熱量計(DSC)によって測定された値である。
上記(d)環状オレフィン樹脂の含有量は、上記オレフィン系重合体100質量部に対して25質量部以下である。
本発明の導電性重合体フィルムは、樹脂工業分野で通常使用される各種配合剤を含有し得る。
本発明の導電性重合体フィルムは安定剤を含有し得る。安定剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等である。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。これらの安定剤は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。安定剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、上記オレフィン系重合体100質量部に対して、通常0.001〜10質量部の範囲である。
本発明の導電性重合体フィルムの製造方法は、特定の方法に限定されない。当該製造方法の1実施形態は、(a)オレフィン系重合体100質量部に対して、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維0.1〜4質量部及び(c)上記(b)以外の導電性フィラー10〜50質量部を含む導電性重合体組成物を溶剤に溶解あるいは分散してなる溶液を基材上に塗工し、次いで乾燥する工程を実施する方法である。得られる本発明の導電性重合体フィルムの好ましい厚みは10〜50μmである。
上記溶剤は、常温または加温下に上記(a)オレフィン系重合体及び任意に使用される(d)環状オレフィン樹脂を溶解する溶剤であり、特定の溶剤に限定されない。当該溶剤の具体例は、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物;n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ノナン、デカン、デカリン、テトラリン、ドデカン、ガソリン、工業用ガソリンなどの飽和脂肪族および脂環式炭化水素化合物;等である。
必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどの軟化剤、老化防止剤などの配合剤を上記導電性重合体組成物に添加し得る。
上記導電性重合体組成物を製造する方法は、予め(a)オレフィン系重合体、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維、(c)上記(b)以外の導電性フィラー、および必要に応じて加える任意成分を混練する方法であり得るし、各成分を溶剤に溶解または分散させる方法であり得る。
溶剤に添加する成分の濃度が低すぎる場合、十分な厚みの導電性重合体フィルムが得られず、逆に上記濃度が高すぎる場合、導電性重合体組成物の粘度が高くなりすぎ、導電性重合体フィルムの厚みが均一にならない。
導電性重合体フィルムの製造方法を更に詳しく述べる。まず、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維以外の成分を溶解あるいは分散させた塗料を作製し、必要に応じて、塊状物及び未分散物をフィルターなどにより除去する。使用するフィルターの具体例は、糸状の繊維、金属などを網目状に織ったもの、微細な細穴を面状物に穿設加工したもの等である。
さらに、必要に応じて溶液に含まれる気泡を除去するために、脱泡を行う。脱泡方法の具体例は、真空法、超音波法等である。
次いで、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維を塗料に加えて分散させて導電性重合体組成物の溶液を作製する。
調製した溶液は、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、紙、金属、ガラス板、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどの平滑な平面である離型性基材上に、バーコーター、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、ダイ・コートなどを用いて、またはスプレー、ハケ、ロール、スピンコート、デッピングなどにより厚さが均一になるように流延し、塗工する。1回の塗工で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗工し得る。
その後、通常、30〜150℃程度で5〜180分間程度乾燥して溶剤を除去して、フィルムを形成する。フィルムは、通常、基材より剥離するが、しなくとも良い。また、フィルムは、剥離後に再度乾燥又はアニールし得る。
残留溶剤濃度は、上記溶剤の乾燥除去により、5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下にする。乾燥温度が溶剤の沸点以上、または沸点近傍だと、発泡が起こり、導電性重合体フィルムの表面に凹凸が生じ得るので、乾燥温度は溶剤の特性に応じて決める。乾燥温度を溶剤の沸点より5℃以上、好ましくは10℃以上低い温度を目安として決定し、通常、塗工液を30〜150℃の範囲で沸点を考慮して乾燥する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下の実施例における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。導電性重合体フィルムの(1)膜厚、(2)体積固有抵抗値、(3)引張り伸び及び引張り強度、(4)引裂き強さ、(5)表面平滑性及び(6)導電性重合体組成物の製膜性の測定方法はそれぞれ以下のとおりである。
(1)膜厚
フィルムの膜厚をデジタルマイクロゲージを用いて測定した。
(2)体積固有抵抗値
5cm×5cmの試験片の表面抵抗値(Ω)を、抵抗計(日置電機株式会社製ミリオームハイテスタ 3540)を用いて23℃で測定した。
(3)引張伸び及び引張強度
引張伸び及び引張強度をJIS K 7127に従い、試験片タイプ2、幅20mm、200mm/min、23℃の条件で測定した。
(4)引裂き強さ
引裂き強さをJIS K 7128−1に従い、トラウザー引裂法により23℃で測定した。
(5)表面平滑性
フィルム表面を(株)キーエンス社製超深度表面形状測定顕微鏡VK8510で観察し、下記に示す基準で評価した。
A;繊維がフィルム表面に観察されない(表面が平滑である)。
B;繊維がフィルム表面に観察される(表面が平滑でない)。
(6)製膜性
下記製造方法で製膜されたフィルムの外観を観察し、下記に示す基準で目視で評価した。
A;フィルム外観は平滑であり、ピンホール及び亀裂は観察されない。
B;ピンホール及び亀裂が観察される。
実施例1
表1に示す割合の配合成分を、エチレン−オクテン共重合体、銅メッキされたアラミド繊維及びカーボンブラックの合計質量の5倍量のシクロヘキサンに投入して分散液を得、更に、直径5mmの鋼球を当該配合成分と同じ質量分、得られた分散液に投入し、当該鋼球を投入した分散液をペイントシェイカー(株式会社東洋精機製作所製 試験用分散機)で120分間処理して、一様な塗料を作製した。得られた塗料を厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に400μmギャップのドクターブレードを用いてキャストした。塗料を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを80℃のホットプレート上に30分間放置した後、100℃で1時間乾燥して導電性重合体フィルムを得た。当該フィルムから所定の試験片を切り出し、各試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜4、比較例1〜4
配合成分の配合割合を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同一の操作を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011006533
1)ダウケミカル社製エンゲージ(登録商標)8137
2)ダイワボウテックス社製 メタックス(登録商標)繊維径8μm
3)カネカ社製 アクリル繊維 カネカロン(登録商標)
4)ダイワボウテックス社製 メタックス(登録商標)繊維径20μm
5)ケッチェンブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラック(登録商標)EC−600JD(DBP吸油量495cm3/100g、BET表面積1270m2/g)
6)日本ゼオン(株)社製ZEONOR(登録商標)1430R
本発明の導電性重合体フィルムである実施例1〜4のフィルムの体積固有抵抗値は小さく、引張伸び、引張強さ及び引裂き強さは高く、製膜性及び表面平滑性は優れていた。
金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維を含有していない比較例1のフィルムの引張強さは低かった。
金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維の含有量が多すぎる比較例2の導電性重合体組成物の製膜性は低く、多数のピンホール及び亀裂が当該組成物を製膜して得たフィルムの表面に観察され、当該フィルムの実用性がなかったので、当該フィルムの物性を測定しなかった。
金属でメッキされていない樹脂繊維を含有する比較例3のフィルムの体積固有抵抗値は高く、表面平滑性は低かった。
金属でメッキされてはいるが、繊維径が太すぎる樹脂繊維を含有する比較例4のフィルムの表面平滑性は低かった。
本発明の導電性重合体フィルムは、小さい体積固有抵抗値を有する。そのため、本発明の導電性重合体フィルムの代表的な用途の一例は、有機電解液を用いた電気二重層キャパシター用集電体およびリチウムイオン電池用集電体である。なお、最小構成単位である基本セルだけでなく、基本セルを複数直列に接続して出力電圧を上げた電気二重層キャパシターおよびリチウムイオン電池、並列に接続して出力電流を上げた電気二重層キャパシターおよびリチウムイオン電池、これらを組み合わせた電源も電気二重層キャパシターおよびリチウムイオン電池に含める場合がある。本発明の導電性重合体フィルムを集電体として用いた電気二重層キャパシターおよびリチウムイオン電池は、金属集電体を用いたものと比べて軽量化が図れるため、重量あたりの出力を大きくすることが出来る利点を有し、自動車、鉄道車両などに好適に用いられる。

Claims (4)

  1. (a)オレフィン系重合体100質量部に対して、(b)金属でメッキされた繊維径1〜15μmの樹脂繊維0.1〜4質量部及び(c)上記(b)以外の導電性フィラー10〜50質量部を含む導電性重合体フィルム。
  2. 上記(a)オレフィン系重合体がエチレン−オクテン共重合体である、請求項1に記載された導電性重合体フィルム。
  3. 上記(a)オレフィン系重合体100質量部に対して、25質量部以下の(d)環状オレフィン樹脂を含む、請求項1又は2に記載された導電性重合体フィルム。
  4. 上記(c)がカーボンブラックである、請求項1〜3のいずれか1項に記載された導電性重合体フィルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017226906A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 学校法人関東学院 金属皮膜付シクロオレフィン糸の製造方法
JP2017226907A (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 学校法人関東学院 金属皮膜付シクロオレフィン糸の製造方法

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