JP2011005408A - フィルタエレメントおよびフィルタ - Google Patents

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俊昭 重岡
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Abstract

【課題】 寿命を長くできるフィルタエレメントおよびフィルタを提供する。
【解決手段】 柱状のセラミック多孔質体2の軸方向に複数のガス穴3を有し、該ガス穴3は、セラミック多孔質体2の軸方向の一方側端面に開口するガス導入穴3aと、セラミック多孔質体2の軸方向の他方側端面に開口するガス導出穴3bとを具備するとともに、ガスが、ガス導入穴3aから、ガス導入穴3aとガス導出穴3b間の隔壁4を通過し、ガス導出穴3bから導出されるフィルタエレメント1であって、セラミック多孔質体2が、Al、Ti、Mg、FeおよびOを含有するチタン酸アルミニウム型の結晶粒子11同士を、Siを含有する非晶質相13で接合してなるとともに、隔壁4におけるSiの含有量が、ガス導入穴3a側よりもガス導出穴3b側が多い。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フィルタエレメントおよびフィルタに関し、例えば、ディーゼルエンジン自動車のパティキュレートトラップ(粒子状物質除去)用ハニカム構造体、工業用ガスフィルタ、脱臭用、温風用などの民生用ハニカム構造体等のフィルタエレメントおよびフィルタに関する。
従来、ディーゼルエンジン自動車のパティキュレートトラップ(粒子状物質除去)用のフィルタエレメントにはSiC材料が使われていた。SiC材料は耐熱性、および強度が高いものの、大気雰囲気での合成ができない、あるいは熱膨張係数が高いため大型のものを作りにくいという問題があった。そこで、ディーゼルエンジン自動車のパティキュレートトラップ用のフィルタエレメントの材料にコージェライト、βユークリプタイト、βスポジューメンのリチウムアルミノケイ酸塩(通称:LAS)、チタン酸アルミニウムなどの低熱膨張セラミックス材料が利用されつつある。
一般に、低熱膨張セラミックス材料とは20〜800℃の熱膨張係数が3.0×10−6/℃以下のセラミックスのことであり、これらの低熱膨張セラミックス材料は熱衝撃に強い材料として古くから知られている。
コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)は、優れた耐熱衝撃性を持つことから、特に自動車の排ガス浄化触媒用のフィルタエレメントとして、多く実用化されている。
しかしながら、コージェライトの耐熱温度は高いものでも1350℃程度であるため、この温度以上で利用することは困難である。一方、チタン酸アルミニウム(AlTiO)は、1860℃の高融点を持ち、コージェライトと比べて耐熱性の高い低熱膨張セラミックス材料である。このため、高い耐熱温度が要求されるディーゼルエンジン自動車のパティキュレートトラップ用に、チタン酸アルミニウム製のフィルタエレメントの開発が行われている。
しかしながら、チタン酸アルミニウムは900〜1200℃の温度で保持すると、アルミナとチタニアに熱分解するという問題があり、利用に制限があった。
そこで、このようなチタン酸アルミニウムに対して、耐熱分解性を高めるために、Al粉末、TiO粉末に、SiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaOなどの添加剤を添加することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
また、チタン酸アルミニウムは強度が低いという問題が有り、利用に制限があった。そこで、このようなチタン酸アルミニウムに対して、強度を高めるためにMgOおよびSiOを添加して成形した後、焼成することによって焼結体強度を向上することが検討されている(特許文献2参照)。
そして、従来、チタン酸アルミニウムを用いたフィルタエレメントとして、特許文献1にも記載されるように、柱状のセラミック多孔質体の軸方向に複数のガス穴を有し、このガス穴は、セラミック多孔質体の軸方向の一方側端面に開口するガス導入穴と、セラミック多孔質体の軸方向の他方側端面に開口するガス導出穴とを具備して構成され、ガスが、ガス導入穴から、ガス導入穴とガス導出穴との間の隔壁を通過し、ガス導出穴から導出されるように構成されている。
特開平8−290963号公報 特開平1−249657号公報
近年、排ガスの規制が厳しくなりつつあるため、ディーゼルエンジン自動車のパティキュレートトラップ用のフィルタエレメントとして、粒子状物質の除去能力を向上することが求められている。このためフィルタエレメントには気孔径が小さいものが求められつつある。
しかしながら、気孔径の小さいセラミック多孔質体をパティキュレートトラップ用のフィルタエレメントに使用すると、ガス導入穴とガス導出穴との間のガスが通過する隔壁におけるガス導入穴側面の気孔に粒子状物質が詰まり、その結果、セラミック多孔質体のガス導入穴が目詰まりを起こし、ガス導入穴が閉塞されやすく、寿命が短いという問題があった。
本発明は、寿命を長くできるフィルタエレメントおよびフィルタを提供することを目的とする。
本発明のフィルタエレメントは、柱状のセラミック多孔質体の軸方向に複数のガス穴を有し、該ガス穴が、前記セラミック多孔質体の軸方向の一方側端面に開口した非貫通のガス導入穴と、前記セラミック多孔質体の軸方向の他方側端面に開口した非貫通のガス導出穴とを具備するとともに、ガスが、前記ガス導入穴から、前記ガス導入穴と前記ガス導出穴との間の前記セラミック多孔質体を隔壁として通過し、前記ガス導出穴から導出されるフィルタエレメントであって、前記セラミック多孔質体が、Al、Ti、MgおよびOを含有するチタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子同士を、Siを含有する非晶質材料からなる非晶質相で接合してなるとともに、前記隔壁におけるSiの含有量が、前記ガス導入穴側よりも前記ガス導出穴側に多いことを特徴とする。
従来のフィルタエレメントでは、ガス導入穴とガス導出穴との間の隔壁では、気孔がガス導入穴側とガス導出穴側で殆ど同一であり、ガス中の粒子状物質の除去能力を向上すべく、隔壁における気孔を小さくすると、ガス導入穴側の気孔の入り口側で粒子状物質が詰まり、これ以上気孔内に粒子状物質を捕捉できず、その結果、ガス導入穴が詰まり、寿命が短くなるという問題があったが、本発明では、隔壁におけるSiの含有量が、ガス導入穴側よりもガス導出穴側に多いため、隔壁におけるSiの含有量が少ない部分が気孔径が大きく、Siの含有量が多い部分が気孔径が小さくなるため、気孔径の大きいガス導入穴側から排ガスを導入し、隔壁の気孔を通過させる際に、ガス中の小さい粒子状物質は、隔壁のガス導出穴側の気孔で捕捉され、粒子状物質を隔壁のガス導出穴側の気孔で順次捕捉でき、隔壁の気孔内部に粒子状物質をより多く溜めることができ、これにより、ガス導入穴での目詰まりを抑制することができ、寿命を長くできる。
また、本発明のフィルタエレメントは、前記結晶粒子同士を接合する前記非晶質相の粒子近傍部および該粒子近傍部間の中間部にSi、Al、Ti、MgおよびOを含有するとともに、前記中間部におけるAl量が前記粒子近傍部におけるAl量よりも少ないことを特徴とする。
このようなフィルタエレメントでは、結晶粒子間の非晶質相の粒子近傍部および該粒子近傍部間の中間部にAl、Ti、MgおよびOを含有するとともに、非晶質相の中間部におけるAl量が粒子近傍部におけるAl量よりも少ないため、非晶質相の中間部における溶融温度を高め、耐熱性を向上できる。
すなわち、非晶質相中のAl、TiO、MgO等の量が増加するほど、Siを含有する非晶質相の融点が低下することが知られており、従来の多孔質セラミック部材では、チタン酸アルミニウムに対して、SiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaOなどの添加剤を添加し、1500℃程度の高温で焼成していたため、チタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子同士を、SiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaO等が均一に存在する非晶質相で連結する構造となり、非晶質相にはSiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaO等が均一に存在し、非晶質相の融点が低いものであった。
これに対して、本発明では、例えば、高い温度で仮焼してなるチタン酸アルミニウム型結晶粉末にSiOを添加し、仮焼温度よりも低い温度で焼成することにより、チタン酸アルミニウム型結晶粉末から非晶質相へのAl、Ti、Mg等の拡散が抑制され、結晶粒子間の非晶質材料からなる非晶質相の粒子近傍部、および該粒子近傍間の中間部にAl、Ti、MgおよびOを含有するものの、最も拡散し易いAl量が非晶質相の粒子近傍部よりも中間部の方が少なく、非晶質相の中間部におけるAl、Ti、Mg等の量が少ないため非晶質相の溶融温度が高くなり、セラミック多孔質体の耐熱性を向上できる。
また、本発明のフィルタエレメントは、前記中間部におけるAl量が3.5原子%以下であることを特徴とする。このようなセラミックフィルタでは、非晶質相の中間部におけるAl量が3.5原子%以下と少ないため、非晶質相の中間部における溶融温度を高め、耐熱性を向上できる。
本発明のフィルタは、上記フィルタエレメントを収納容器内に収納してなることを特徴とする。このようなフィルタでは、フィルタエレメントの寿命が長いため、フィルタの寿命を長くできる。
本発明のフィルタエレメントは、隔壁におけるSiの含有量が、ガス導入穴側よりもガス導出穴側に多いため、隔壁におけるSiの含有量が少ない部分が気孔径が大きく、Siの含有量が多い部分が気孔径が小さくなるため、気孔径の大きいガス導入穴側からガスを導入し、隔壁の気孔を通過させる際に、ガス中の小さい粒子状物質は、隔壁のガス導出穴側の気孔で捕捉され、粒子状物質を隔壁のガス導出穴側の気孔から順次捕捉でき、隔壁の気孔内部に粒子状物質をより多く溜めることができ、ガス導入穴での目詰まりを抑制することができ、これによりフィルタの寿命を長くできる。
(a)は本発明のフィルタエレメントを示す斜視図であり、(b)は(a)の一部を拡大して示す断面図である。 (a)は本発明のフィルタエレメントの組織を示す説明図であり、(b)は非晶質相を詳細に示す説明図である。
図1はフィルタエレメント1の一例を示すもので、外周壁で囲まれた円柱状のセラミック多孔質体2の軸方向に四角柱状のガス穴3が複数形成され、その間の隔壁4が多孔質とされている。図1には、四角柱状のガス穴3を基本構造とし、これが複数並んだハニカム構造体を示しているが、本発明のフィルタエレメントは必ずしも四角柱状のガス穴3を基本構造とするものに限定されるものではない。例えばガス穴3の形状は、円形、3角形、6角形、菱形、あるいはこれらが混在する形態とすることも可能である。
本発明のフィルタエレメント1は、多孔質体2の軸方向に複数のガス穴3を有しており、これらのガス穴3は、セラミック多孔質体2の軸方向の一方側端面(図1(b)の左側端面)に開口した非貫通の複数のガス導入穴3aと、セラミック多孔質体2の軸方向の他方側端面(図1(b)の右側端面)に開口した非貫通の複数のガス導出穴3bとを具備するとともに、ガスが、ガス導入穴3aから、ガス導入穴3aとガス導出穴3bとの間の隔壁4を通過し、ガス導出穴3bから導出されるように構成されている。なお、図1(b)に矢印でガスの流れを記載した。
本発明のフィルタエレメントは、Al、Ti、MgおよびOを含有するチタン酸アルミニウム型結晶(擬ブルッカイト型結晶ということがある)の結晶粒子同士を、Siを含有する非晶質材料で接合してなるものである。チタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子の平均粒径は25μm以上であることが望ましい。
Ti、Al、MgおよびOを含有するチタン酸アルミニウム型結晶には、モル比による組成式がAlTiOで表されるチタン酸アルミニウムと、MgTiで表されるチタン酸マグネシウムとが全率固溶したものが知られており、例えば、Al2(1−x)MgTi(1+x)(0.2≦x<0.5)で表されるチタン酸アルミニウムとチタン酸マグネシウムとの固溶体(別名:チタン酸アルミニウムマグネシウム)からなる結晶がある。例えば、Al2(1−x)MgTi(1+x)(0.2≦x<0.5)で表される結晶粒子である。
そして、図2に示すように、チタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子11同士は、Siを含有する非晶質材料からなる非晶質相13で接合されている。非晶質相13の中間部13a、および該中間部13aの両側の粒子近傍部13bには、Si、Al、Ti、MgおよびOを含有する。これらのAl、MgおよびTiは、結晶粒子11から拡散してきたものである。
本発明のフィルタエレメントでは、Al量は非晶質相13の粒子近傍部13bよりも中間部13aの方が少ないことが望ましい。非晶質相13の中間部13aにおけるAl量は3.5原子%以下であることが望ましい。このようなフィルタエレメントでは、非晶質相13の中間部13aにおけるAl量が3.5原子%以下と少ないため、非晶質相13の中間部13aにおける溶融温度を高め、耐熱性を向上できる。
従来、Al、MgおよびTiのうち、Alの拡散が最も早く、かつAlの非晶質相13への拡散量が最も多いことが知られており、このAlの拡散量が3.5原子%以下と少ないため、MgおよびTiの非晶質相13への拡散量も少なくなり、非晶質相13の中間部13aにおける溶融温度を高め、耐熱性を向上できる。
特には、結晶粒子11同士を接合する非晶質相13の中間部13aにSiを33.0原子%以上含有し、かつ、Alが3.5原子%以下、Tiが2.0原子%以下、Mgが0.3原子%以下であることが望ましい。これにより、結晶粒子11からSiを含有する非晶質相13中に拡散する元素を所定量以下に抑えているために非晶質相13の溶融温度が高くなり、耐熱性を高くすることができる。
非晶質相13の中間部13aに存在するAl、Ti、Mgは少ない方が望ましいが、拡散により、Alは1.0原子%以上、Tiは0.3原子%以上、Mgは0.05原子%以上は存在する。本発明では、非晶質相13の中間部13aに存在するSi、Al、Ti、Mgは、特に、Siを35.0〜40.0原子%、Alを1.0〜3.5原子%、Tiを0.3〜2.0原子%、Mgを0.05〜0.3原子%含有することが、耐熱性という点から望ましい。
Siを含有する非晶質相13は主にSiOが主成分であり、その他に焼成時に結晶粒子11から拡散してきたAl、TiO、MgOが副成分として含まれる。このAl、TiO、MgOが増えるにつれて、非晶質相13の融点が低くなって変形し易くなり、耐熱性が低下するが、上記したように、非晶質相13の中間部13aにはAlが3.5原子%以下と少ないため、非晶質相13の耐熱性を高く維持できる。
本発明では、結晶粒子11表面から非晶質相に向けて0.1μmまでが粒子近傍部13bであり、その中間が非晶質相13の中間部13aと定義される。尚、結晶粒子11間の距離、言い換えれば、非晶質相13の厚みは、ばらつきはあるものの、2〜10μm程度である。
また、本発明のフィルタエレメントは、結晶粒子11内部にはAl、TiおよびMgがほぼ均一に存在するとともに、結晶粒子11内部にAlを20原子%以上、Mgを2.5原子%以上含有することが望ましい。このような多孔質セラミック部材では、粒子内部にAlを20原子%以上、Mgを2.5原子%以上含有せしめることにより、結晶粒子11中にチタン酸アルミニウムとチタン酸マグネシウムとの固溶体が多く含まれることとなり、チタン酸アルミニウムのみからなる結晶粒子11に比べて耐熱分解性を高めることができる。
本願発明において、結晶粒子11内部にAl、TiおよびMgが均一に存在するとは、結晶粒子の表面から粒子内部に向かって0.1μmの位置と、表面から粒子内部に向かって1〜2μmの位置について測定した場合に、元素量として最も多いAl量が2原子%以下の範囲でばらつく場合も包含する意味である。
結晶粒子11内部には、耐熱性と耐分解性の両立という点から、Alを25.0原子%以下、Mgを5.0原子%以下含有することが望ましい。
また、非晶質相13の中間部13a、結晶粒子11内の元素量は、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)により求めることができる。
また、本発明のフィルタエレメントは、Cu−kα線を用いたX線回折測定結果において、チタン酸アルミニウム型結晶のメインピークの半値幅が0.20°以下であることが望ましい。チタン酸アルミニウム型結晶のメインピークは、組成により2θ=25〜27°、または2θ=32〜34°に現れるが、メインピークの半値幅が0.20°以下であり、チタン酸アルミニウムの結晶化度が高いため、例えば、高い温度で仮焼してなるチタン酸アルミニウム型結晶粉末にSiOを添加し、仮焼温度よりも低い温度で焼成することにより、チタン酸アルミニウム型結晶粉末から非晶質相13へのAl、Ti、Mg等の拡散を抑制でき、非晶質相13の耐熱性を高め、セラミック多孔質体の耐熱性をさらに向上できる。
チタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子11は、平均粒径25μm以上であることが望ましい。このように大きな粒径を有するため、気孔率を大きくでき、平均気孔径を大きくできる。特には結晶粒子11の平均粒径は40μm以上が望ましい。また、平均粒径とともに、気孔率、平均気孔径が大きくなりすぎると、機械的強度が低下して構造セラミック部材に適用できないという観点から、平均粒径は100μm以下であることが望ましい。平均粒径は、インターセプト法により求めることができる。
また、本発明のフィルタエレメントでは、SiをSiO換算で全量中0.5〜5質量%含有することが望ましい。SiをSiO換算で全量中0.5〜5質量%とすることにより、チタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子11同士を、Siを含有する非晶質材料で十分に連結でき、強度を向上できるとともに、Si量が少量であるため、気孔率および平均気孔径の低下を抑制できる。Si量は、強度および所定の気孔率および平均細孔径を得るという観点から、SiO換算で全量中1〜3質量%含有することが望ましい。Si量は、蛍光X線分析法やICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定することができる。
さらに、本発明では、結晶粒子内にFeを含有することが好ましい。Feを含有するチタン酸アルミニウム型の結晶としてはチタン酸鉄があり、前記チタン酸アルミニウムやチタン酸マグネシウムとお互いに全率固溶体を形成する。例えば、組成式がAl2(1−x―y)MgFe2yTi(1+x)(0.2≦x<0.5、0<y<1)で表されるように、チタン酸アルミニウム、チタン酸マグネシウムおよびチタン酸鉄の固溶体からなる結晶がある。本発明では、結晶がチタン酸アルミニウム−チタン酸マグネシウム−チタン酸鉄の3成分が固溶した擬ブルッカイト型の結晶を用いる場合、この結晶は熱化学的に安定した成分であることから、熱による結晶の分解を抑制し、耐熱分解性を向上できる。
そして、本発明のフィルタエレメントでは、ガス導入穴3aとガス導出穴3bとの間の隔壁4におけるSiの含有量が、ガス導入穴3a側よりもガス導出穴3b側が多い。隔壁4のSiの割合は、隔壁4を電子顕微鏡の波長分散型X線マイクロアナライザー分析(EPMA)で求めることができる。隔壁4の両面(ガス導入穴側の面とガス導出穴側の面)でEPMA分析を行い、観測される金属の酸化物の総質量に対するSiの酸化物の質量比率を比較することで、隔壁4の両面のSiの割合を比較することができる。
従来のフィルタエレメントでは、ガス導入穴3aとガス導出穴3bとの間の隔壁4では、気孔径、気孔量がガス導入穴3a側とガス導出穴3b側で殆ど同一であり、ガス中の粒子状物質の除去能力を向上すべく、隔壁4における気孔径を小さくすると、ガス導入穴3a側の気孔の入り口側で粒子状物質が詰まり、これ以上気孔内に粒子状物質を捕捉できず、これによりガス導入穴3aが粒子状物質で詰まり、ガス導入穴3aが閉塞し、寿命が短くなるという問題があったが、本発明では、隔壁4におけるSiの含有量が少ない方が気孔径が大きく、多い方が気孔径が小さくなるため、気孔径の大きいガス導入穴3a側から排ガスを導入し、隔壁4を通過させる際に、ガス中の小さい粒子状物質は、隔壁4のガス導出穴3b側の気孔で捕捉され、粒子状物質を隔壁4のガス導出穴3b側から順次捕捉でき、隔壁4の気孔内部に粒子状物質をより多く溜めることができ、ガス導入穴3aの閉塞を抑制することができ、寿命を長くできる。
次に、本発明のフィルタエレメントの製法について説明する。
例えば、Al2(1−x)MgTi(1+x)で表される固溶体を形成するために必要な原料を準備する。尚、この固溶体にFeが固溶する場合もあるが、ここでは、Feが固溶しない場合について説明する。Al2(1−x)MgTi(1+x)で表される固溶体中のxは0.5より小さいことが耐熱性を高める上で好ましい。xが0.5以上では結晶粒子中のAl、Mgが非晶質材料中へ拡散しやすくなるためである。
先ず、例えば、アルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料を所定の組成となるように調合し、混合する。なお、上記組成式の固溶体を形成できるのであれば、金属酸化物、炭酸塩の原料の他に水酸化物、硝酸塩などの原料を用いても良く、またこれらの化合物を用いても良い。
アルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料粉末としては、高純度のものを用いることが望ましく、99.0%以上、特に99.5%以上の純度のものを用いることが望ましい。
次に、上記アルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料の混合原料を造粒する。造粒は、乾式で混合して造粒したり、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合したスラリーを乾燥し、造粒することが望ましい。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させて、造粒してもよいし、スプレードライヤーで乾燥させて造粒しても良く、または他の方法で乾燥させて造粒しても何ら問題ない。造粒粉は、平均粒径50〜300μmの造粒粉を作製する。
この後、造粒粉を酸素含有雰囲気、例えば大気中で仮焼する。仮焼温度は、チタン酸アルミニウム型結晶を十分生成すべく、チタン酸アルミニウム型結晶が生成する温度(1200℃程度)よりも高い1500℃以上で1〜5時間仮焼する。仮焼温度は、特には、1510℃以上が望ましい。一方、仮焼粉末が強固に凝集するのを防ぐという観点から、仮焼温度は1550℃以下であることが望ましい。これにより、Al、Mg、Tiが固溶したチタン酸アルミニウム型の仮焼粉末を作製する。この仮焼により、ほぼ擬ブルッカイト型結晶100%の粉末を作製する。仮焼温度が高いため、仮焼粉末中にAl、TiおよびMgが均一に存在する。
仮焼粉末は、X線回折測定結果において、チタン酸アルミニウム型結晶のメインピークの半値幅が0.20°以下であることが望ましい。このような仮焼粉末を用いることにより、例えば、高い温度で仮焼してなるチタン酸アルミニウム型結晶粉末にSiOを添加し、仮焼温度よりも低い温度で焼成することにより、チタン酸アルミニウム型結晶粉末から非晶質相へのAl、Ti、Mg等の拡散を抑制でき、非晶質相の耐熱性を高め、多孔質セラミック部材の耐熱性をさらに向上できる。尚、仮焼温度よりも焼成温度が低いため、仮焼後の半値幅は、焼成後においても変化しない。
この仮焼粉末を粉砕してメッシュパスを行い、25〜60μmの仮焼粉末を得る。尚、チタン酸アルミニウム型の仮焼粉末は、焼成温度が低いため、焼成によっても殆ど粒成長せず、仮焼粉末とほぼ同一粒径である。
そして、チタン酸アルミニウム型の仮焼粉末に対し、SiO粉末を添加し、混合する。混合方法は、乾式または湿式で行うこともできる。SiO粉末は、平均粒径1〜3μmの粉末を用いる。この範囲の粒径の粉末を用いることにより、SiO粉末を仮焼粉の表面に均一に分散させることができる。
この混合粉末に成形助剤を添加し、押出成形によりダイスを用いてハニカム形状に成形する。得られた成形体を充分に乾燥した後、酸化雰囲気中において、仮焼温度よりも低い温度である1450℃未満で0.5〜5時間焼成することにより、造孔剤を用いることなく、ハニカム形状のフィルタエレメントを形成することができる。焼成温度は、特に、1350〜1440℃であることが望ましい。この焼成工程は、非晶質材料を溶融させ、結晶粒子同士を接合する工程であるとともに、Al、Mg、Si等の元素の相互拡散を一定の範囲で行う工程である。
すなわち、本発明者等は、1350〜1440℃で焼成することにより、例えば平均粒径30μmのチタン酸アルミニウム型の結晶粒子から、Al、Mg、Tiが非晶質相中に拡散しようとするが、1500℃以上と高い温度で仮焼し、仮焼温度よりも低い温度で焼成するため、結晶粒子からAl、Mg、Tiが非晶質相中に拡散し難く、最も拡散し易いAlが、非晶質相の粒子近傍部よりも中間部が少なく、かつ非晶質相の中間部に3.5原子%以下含有した組織にできると考えている。
このようなフィルタエレメントの製法では、焼成温度が、Al、TiおよびMgを含有するチタン酸アルミニウム型結晶の仮焼温度よりも低いため、Siを含有する非晶質材料で結晶粒子を接合できるとともに、1350〜1440℃で焼成することにより、Al、Mg、Ti、Si等の元素の相互拡散を抑制し、耐熱性を向上できる。また、Al、Mg、Ti、Si等の元素の相互拡散を抑制できるため、設計通りの結晶粒子を得ることができ、設計通りの耐熱分解性等を得ることができる。擬ブルッカイト型結晶を熱処理するような焼成であるため、結晶粒子に角はなく、全体的に丸い粒子形状となっている。
続いて、多孔質体2の両端面のガス穴3の目封止を行う。目封止は、貫通するガス穴3の一方の端部を千鳥に塞ぐもので、ガスが多孔質体2の隔壁4を通るようにするために行う。ガス導入穴3aであれば、ガスが導出される側(図1(b)の右側端面)を封止し、ガス導出穴3bであれば、ガスが導入される側(図1(b)の左側端面)を封止する。これにより、ガスがガス導入穴3aから流入し、隔壁4を通過し、ガス導出穴3bから導出される。
封止する材料としては、例えば多孔質体2の原料と同じ原料粉末を同じ割合で準備し、これに水や有機溶剤、必要に応じて分散剤を加えてスラリー状にしたものを、準備した多孔質体2の端面に例えば印刷することでガス穴3の一部に埋め込み、これを焼き付けることで行うことができる。なお、多孔質体2を作製した後、ガス穴3を封止する場合について説明したが、多孔質体2の成形体に印刷などの方法で封止材料を含有するスラリーを充填した後、同時に焼成しても良い。
次にシリカを含む懸濁液を準備する。この懸濁液は多孔質体2の成形原料として使用したシリカを使用しても、別のシリカ原料を使用してもなんら問題はない。また、シリカ以外にチタン酸アルミニウム型結晶やその他の化合物を含んでも良いが、非晶質相の融点低下を抑制するという点からは、他の化合物を含まないことが望ましい。シリカに水や有機溶剤、必要に応じて分散剤を加えて懸濁液にすることができる。このようにして得られた懸濁液を、一端を封止した多孔質体2のガス導出穴3bのガス出口側(図1(b)の右側端面の開口部)からガス入口側に向けて流し込むことで、隔壁4のガス導出穴3b側に、言い換えればガス導出穴3bを構成する全内周面にシリカを付着させることができる。
次に、シリカを付着させた多孔質体2を、例えば多孔質体2の焼成と同じ条件で焼き付ける。このようにすることで、隔壁4におけるSiの含有量が、ガス導入穴3a側の面よりもガス導出穴3b側の面を多くすることができる。耐熱性の高い非晶質相が、より高温となりやすい隔壁4のガス導出穴側に多く存在するため、多孔質体2の耐熱性を向上できる。なお、図1(b)では、Siの含有量が多い隔壁4のガス導出穴3b側を太い実線で示した。
本発明のフィルタは、収納容器内にフィルタエレメント1を収容して構成される。この収納容器は、フィルタエレメント1のガス導入穴3aの開口部に対応して、ガスが導入されるガス導入開口部を有しており、さらに、ガス導出穴3bの開口部に対応して、ガスが導出されるガス導出開口部を有している。本発明のフィルタは、例えば、ディーゼルエンジン自動車の排ガス管の途中に挿入され、収納容器のガス導入開口部とガス導出開口部を排ガス管に接続し、排ガスが収納容器内のフィルタエレメントを通過するように構成し、使用される。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
先ず、チタン酸アルミニウム型の結晶粉末として、Al2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)(x=0.3、y=0.2)を準備した。用いたアルミナ原料は日本軽金属社製のLS110であり、平均粒径が1.5μm、アルカリ金属の不純物量が0.1質量%、シリコンの不純物量が0.1質量%である。また、用いたチタニア原料はテイカ社製のJA−3であり、平均粒径が0.2μm、アルカリ金属の不純物量が0.3質量%である。また、用いた炭酸マグネシウム原料はトクヤマ社製のTTであり、見掛比重が0.23g/ml、アルカリ金属およびシリコンの不純物が含まれないものである。酸化鉄原料は、JFEケミカル社製のJC−Wであり、平均粒径が1.0μmのものを用いた。
また、シリカ原料として、丸釜釜戸社製のSP−3であり、平均粒径が1.2μmのものを用いた。
上記組成のチタン酸アルミニウム型の結晶粉末となるように、上記のアルミナ原料、チタニア原料、マグネシア原料、酸化鉄原料をミキサで乾式混合し1500℃で仮焼してチタン酸アルミニウム型結晶粉末を合成し、これをボールミルで粉砕して平均粒径50μmのチタン酸アルミニウム型の結晶粉末を得た。Cu−kα線を用いたチタン酸アルミニウム型結晶のメインピークは2θ=32〜34°に生じ、半値幅は、0.19°であった。
この結晶粉末100質量部に対して、2質量部のシリカ粉末、セルローズバインダー15質量部、水を添加して、万能混練機で混合して押出し用の坏土を作製した。
この坏土を大きさが2cm×2cm、貫通孔の形状が四角柱状、隔壁厚みが300μm、ガス穴の数が1平方インチあたりのガス穴(ガス導入穴およびガス導出穴の合計)が200個の成形体を押し出し成形して作製した。この成形体を大気中で1375℃、5時間かけて焼成を行い、多孔質体を得た。
次にこの多孔質体の目封止を行った。目封止に使ったスラリーは、多孔質体を作製したものと同じ組成、粒径のチタン酸アルミニウム型の結晶粉末に、多孔質体の作製に使用したものと同じシリカ粉末を2質量部と、さらに水を添加して作製した。このスラリーを焼成した多孔質体の端面のガス穴に千鳥に塗りこみ目封止を行った。この目封止を大気中1350℃で1時間かけて焼き付けた。
得られた多孔質体の平均粒径を、走査型顕微鏡写真(500倍)についてインターセプト法により求めたところ、55μmであった。また、多孔質体の平均気孔径を水銀圧入法により求めたところ、平均気孔径は10μmであった。多孔質体のガス穴間の隔壁の両面を、波長分散型X線マイクロアナライザー分析(EPMA)で金属の酸化物の全質量に対するSiの酸化物の質量の比率を求めた結果、隔壁のガス導入穴側、ガス導出穴側ともSiOの質量比率が1.9質量%であった。
次に多孔質体の成形に使用したものと同じシリカを水100質量部に対して5質量部混合した懸濁液を準備し、目封止した多孔質体のガス導出穴のガス出口側の開口部から100ml流し込んだ。懸濁液がおおかた流れ終わった後に、懸濁液の残りをガス出口側から排出した。これを乾燥して1375℃で1時間かけて焼き付けた。
得られた多孔質体の平均気孔径を水銀圧入法により求めたところ、平均気孔径は7μmであった。
また、EPMAで金属の酸化物の全質量に対するSiの酸化物の質量の比率を求めた結果、ガス導入穴側のSiOの質量比率が2.2質量%であり、ガス導出穴側のSiOの質量比率が5.1質量%であった。
さらに、チタン酸アルミニウム型の結晶粉末の平均粒径を変化させて、上記と同様にして多孔質体を作製し、水銀圧入法による平均気孔径が5μm、20μmの2種の多孔質体を得た。Siの酸化物の質量の比率を求めた結果、ガス導入穴側、ガス導出穴側とも1.9質量%であった。
多孔質体を作製したものと同じ組成、粒径のチタン酸アルミニウム型の結晶粉末に、多孔質体の作製に使用したものと同じシリカ粉末を2質量部と、さらに水を添加して作製し、このスラリーを焼成した多孔質体の端面のガス穴に千鳥に塗りこみ、大気中1350℃で1時間かけて焼き付け、目封止を行った。
これに、多孔質体の成形に使用したものと同じシリカを水100質量部に対して5質量部混合した懸濁液を準備し、目封止した多孔質体のガス導出穴のガス出口側の開口部から100ml流し込んだ。懸濁液がおおかた流れ終わった後に、懸濁液の残りをガス出口側から排出した。これを乾燥して1375℃で1時間かけて焼き付けた。
得られた多孔質体の平均気孔径を水銀圧入法により求めたところ、シリカを含有する懸濁液を流し込む前に平均気孔径が5μm、20μmであったものは、それぞれ4μm、16μmとなった。
また、Siの酸化物の質量の比率を求めた結果、シリカを含有する懸濁液を流し込む前に平均気孔径が5μmのものは、ガス導入穴側のSiOの質量比率が2.2質量%であり、ガス導出穴側のSiOの質量比率が4.3質量%であり、平均気孔径が20μmのものは、ガス導入穴側のSiOの質量比率が2.2質量%であり、ガス導出穴側のSiOの質量比率が4.7質量%であった。
これにより、シリカを含有する懸濁液をガス導出穴側に導入した場合には、ガス導入穴側よりもガス導出穴側にSi量が多く、これにより、気孔径がガス導入穴側で大きく、ガス導出穴側で小さくなり、ガス中の小さい粒子状物質を、隔壁のガス導出穴側で捕捉でき、粒子状物質を隔壁のガス導出穴側から順次捕捉でき、隔壁の気孔内部に粒子状物質をより多く溜めることができ、ガス導入穴の目詰まりを抑制することができ、フィルタの寿命を長くできることがわかる。
シリカを含有する懸濁液を流し込む前に平均気孔径が10μmであった多孔質体を薄片にしてTEM(透過型電子顕微鏡)で結晶粒子および粒界の組織を観察した。その際にエネルギー分散型X線分光分析(EDS)により、非晶質相の中間部および粒子近傍部について組成分析を行い、Al、Ti、Mg、Fe、Si、Oの含有量を測定した。その結果、非晶質相の中間部ではAlは3.5原子%、Tiは1.0原子%、Mgは0.3原子%、Feは0.1原子%、Siは34.0原子%、Oは61.1原子%であった。
一方、非晶質相の粒子近傍部(粒子表面から0.1μmの位置)では、Alは15原子%、Tiは13原子%、Mgは3.5原子%、Feは4.5原子%、Siは15原子%、Oは49原子%であり、中間部におけるAl量は、粒子近傍部よりも少なかった。
また、結晶粒子の表面から結晶粒子内部に向かって0.1μmの位置と、表面から結晶粒子内部に向かって2.0μmの位置について、組成分析を行った結果、結晶粒子の表面から結晶粒子内部に向かって0.1μmの位置では、Alは22原子%、Tiは18原子%、Mgは3.2原子%、Feは5.2原子%、Siは0.6原子%、Oは51原子%であった。
一方、粒子表面から結晶粒子内部に向かって2.0μmの位置ではAlは21原子%、Tiは19原子%、Mgは3.2原子%、Feは6.2原子%、Siは0.6原子%、Oは50原子%であり、粒子内部にはAl、Ti、Mgがほぼ均一に存在しており、結晶粒子内部には、Alを20原子%以上、Mgを2.5原子%以上含有していた。
各焼結体の耐熱性については、円柱状焼結体の各試料を大気中で熱処理して、円柱状焼結体が20%以上の変形を示す耐熱限界温度を評価した。
各焼結体の耐熱分解性については、さらに円板状焼結体の各試料を大気雰囲気の中で1100℃の温度で300時間、耐熱分解試験して耐熱分解性を評価した。このようにして準備した耐熱分解試験前後の試料をX線回折法によりピーク強度を測定して、回折角2θが25〜27°または32〜34°のいずれかに存在するチタン酸アルミニウム型結晶のメインピーク強度(IAMT)と、TiO相の回折角2θが36.1°のピーク強度(I)からピーク強度比のA=IAMT/(IAMT+I)をそれぞれ算出した。さらに耐熱分解試験前および耐熱分解試験後のピーク強度比をそれぞれA、Aとして、(1−A/A)の値を計算した。
次に、Al1.2Mg0.2Fe0.4Ti1.2からなるチタン酸アルミニウム型の結晶粉末とTiO粉末との量比を変えて混合し、(1−IAMT/I)の値を求めて作成した検量線と(1−A/A)の値を照らし合わせて熱分解率を求めた。
また熱膨張係数についてはJIS R1618に準拠して、昇温速度20℃/分の条件で円柱状焼結体の試料の20℃〜800℃の熱膨張係数を測定した。
その結果、耐熱限界温度は1600℃、熱分解率は1%、熱膨張係数は2.0×10−6/℃と良好な特性を示した。
Al0.8Mg0.3Fe0.6Ti1.3からなるチタン酸アルミニウム型の結晶粉末となるように、スラリーを作製し、造粒粉を作製した。
この造粒粉を、大気中において、1520℃で仮焼し、Al、Ti、MgおよびFeを含有するチタン酸アルミニウム型の結晶粉末を合成した。Cu−kα線を用いたチタン酸アルミニウム型結晶のメインピークは2θ=32〜34°に生じ、半値幅は、0.15°であった。
この結晶粉末100質量部に対して、シリカ粉末を3質量部添加して、万能混練機により混合し、原料粉末を得た。そして、上記実施例1と同様にして、成形し、大気中において1350℃で4時間焼成して多孔質体を作製し、多孔質体の目封止を行った。
得られた多孔質体の平均粒径を、走査型顕微鏡写真(500倍)についてインターセプト法により求めたところ、58μmであった。また、多孔質体の平均気孔径を水銀圧入法により求めたところ、平均気孔径は12μmであった。実施例1と同様にして、EPMAで金属の酸化物の全質量に対するSiの酸化物の質量の比率を求めた結果、ガス導入穴側、ガス導出穴側ともSiOの質量比率が2.9質量%であった。
この後、実施例1と同様にして、ガス導出穴のガス出口側からシリカを含有する懸濁液を流し込み、1400℃で1時間焼き付けた。得られた多孔質体の平均気孔径を水銀圧入法により求めたところ、平均気孔径は10μmであった。EPMAで金属の酸化物の全質量に対するSiの酸化物の質量の比率を求めた結果、ガス導入穴側のSiOの質量比率が3.1質量%であり、ガス導出穴側のSiOの質量比率が6.0質量%であった。
また、非晶質相の中間部と粒子近傍部、結晶粒子の表面から結晶粒子内部に向かって0.1μmの位置と、表面から結晶粒子内部に向かって2.0μmの位置について、最も拡散し易いAl、またはAlとMgの含有量を測定した。その結果、非晶質相の中間部ではAlは2.2原子%、粒子近傍部ではAlは10原子%、中間部におけるAl量は、粒子近傍部よりも少なかった。
また、結晶粒子の表面から内部へ0.1μmの位置ではAlは21原子%、Mgは4.5原子%であり、結晶粒子の表面から内部へ2.0μmの位置ではAlは22原子%、Mgは4.3原子%であり、粒子内部にはAl、Mgがほぼ均一に存在しており、結晶粒子内部には、Alを20原子%以上、Mgを2.5原子%以上含有していた。
また、耐熱限界温度は1580℃、熱分解率は1%、熱膨張係数は2.2×10−6/℃と良好な特性を示した。
1・・・フィルタエレメント
2・・・多孔質体
3・・・ガス穴
3a・・・ガス導入穴
3b・・・ガス導出穴
4・・・隔壁
11・・・結晶粒子
13・・・非晶質相
13a・・・中間部
13b・・・粒子近傍部

Claims (4)

  1. 柱状のセラミック多孔質体の軸方向に複数のガス穴を有し、該ガス穴が、前記セラミック多孔質体の軸方向の一方側端面に開口した非貫通のガス導入穴と、前記セラミック多孔質体の軸方向の他方側端面に開口した非貫通のガス導出穴とを具備するとともに、ガスが、前記ガス導入穴から、前記ガス導入穴と前記ガス導出穴との間の前記セラミック多孔質体を隔壁として通過し、前記ガス導出穴から導出されるフィルタエレメントであって、前記セラミック多孔質体が、Al、Ti、MgおよびOを含有するチタン酸アルミニウム型結晶からなる結晶粒子同士を、Siを含有する非晶質材料からなる非晶質相で接合してなるとともに、前記隔壁におけるSiの含有量が、前記ガス導入穴側よりも前記ガス導出穴側に多いことを特徴とするフィルタエレメント。
  2. 前記結晶粒子同士を接合する前記非晶質相の粒子近傍部および該粒子近傍部間の中間部にSi、Al、Ti、MgおよびOを含有するとともに、前記中間部におけるAl量が前記粒子近傍部におけるAl量よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載のフィルタエレメント。
  3. 前記中間部におけるAl量が3.5原子%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルタエレメント。
  4. 請求項1乃至3のうちいずれかに記載のフィルタエレメントを収納容器内に収納してなることを特徴とするフィルタ。
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