JP2010539552A - 産科シミュレーションおよびトレーニング法並びにそのシステム - Google Patents

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Abstract

現在の産科診療において、軍は産科の救急医療のシミュレーション訓練およびチームワークトレーニングの双方に専門家を有するという立場にある。軍には、リソースがあるため、よりよい訓練を行い、可能な限り最も安全な環境を提供する潜在的な能力がある。したがって、本発明の一実施形態は、有関節分娩母体シミュレーターを有する産科シミュレーションシステムを提供する。分娩母体シミュレーターは、実物大の女性の全身模型であり、胸部隆起部品のある挿管可能な気道と、薬剤受入部品を有する前腕および/または胎児の心音部品を有する。また、分娩母体シミュレーターには、頭部下降および子宮頸管の拡張モニターと、少なくとも2箇所に位置設定できる胎盤と、2以上の交換可能な拡張頸部および/または分娩後の外陰縫合用挿入部とが含まれる。
【選択図】 なし

Description

本発明の実施形態は、小規模病院(または医療センター)から大規模医療複合施設までさまざまな環境での産科トレーニングの分野に関する。
子供の誕生ほど感情に訴える重大な出来事はないため、医師は自らの診療パターンに最新かつ厳密な証拠に基づく診療を確実に取り入れ、患者の安全性を向上させている。最近の調査(非特許文献1)によれば、アメリカ合衆国内の妊婦の死亡全体の約40%について、緊急時の産科措置がよければ回避可能だったと推定されている。また、産科は、国防総省全体で法的に要求され支払われる、毎年何十万ドルにものぼる高額診療費の源泉であり、患者や民間人からの軍の医療制度の評価に明らかに不利益を与えている。
Berg CJ, Harper MA, Atkinson SM, Bell EA, Brown HL, Hage ML, Mitra AG, Moise KJ, Callaghan WM, Preventability of pregnancy−related deaths: Results of a state −wide review, Obstet Gynecol 2005, 106(6):1228−1234.
本発明の実施形態によれば、実施技術を提供し、利用可能なリソースと教育技術とを融合させることができ、より多くの医師および医療関係者に対し優れた訓練を提供できるようになっている。
現在の産科診療において、軍は産科の救急医療のシミュレーション訓練およびチームワークトレーニングの双方に専門家を有するという立場にある。
そこで、本発明の実施形態では、有関節型分娩シミュレーターからなる産科シミュレーションシステムを提供する。分娩シミュレーターは、実物大の女性の全身模型であり、胸部隆起(chest rise)部品を備える挿管可能な(intubeable)気道、薬剤受入部品を有する前腕、および/または胎児心音部品を有する。さらに、分娩シミュレーターには、頭部下降(head descent)および子宮頸管の拡張モニターと、少なくとも2箇所に位置設定できる胎盤と、2以上の交換可能な拡張頸部、および/または分娩後の外陰縫合用挿入部が含まれる。
分娩シミュレーターの空洞部は、モーターと、モーターに接続される駆動軸と、駆動軸に接続されるカムとを有する子癇シミュレーション部品を備える。カムは、空洞部内の開口部に係合して動く。カムの中心が開口部中心に対してずらしてある(offset)。具体的には、駆動軸の回転と、それに伴ってカムが動くことにより、分娩シミュレーターの空洞部を横方向に左右に振動させる。
少なくとも1つの処理機構(processor)が備えられ、分娩シミュレーターからの入力信号(input)を受信し、その入力信号に基づきフィードバック信号を生成して分娩シミュレーターに送信する。産科シミュレーションシステムには、さらに、分娩シミュレーターに接続される医療情報(例えば、心拍数、体温等)表示部、処理機構に接続される録画再生システム、および/または分娩シミュレーターに接続されるオーディオシステムが含まれる。また、採点用部品が処理機構に連結される。
本発明の少なくとも1つの実施形態により、シミュレーターと、処理機構と、少なくとも1つの表示部とを有するシミュレーションシステムの組み立てを含む方法が提供される。シミュレーションシステムには、1システム内に複数の医療施設向けのドキュメントが備えられている。シミュレーターの使用と、複数の異なるシミュレーションと、与えられたシミュレーションにおけるパフォーマンス評価のための基準とに関する訓練も備えられている。上記訓練には、シミュレーションシステムによるシミュレーションを行うためのチームトレーニングが含まれる。本シミュレーションには、殿位経膣分娩、臍帯脱出、子癇、新生児蘇生、処置分娩(operative vaginal delivery)、分娩後出血、および/または肩甲難産などが含まれる。
より具体的には、殿位経膣分娩シミュレーションは、分娩用人体模型と、殿位の分娩用胎児とで構成される。医療スタッフには、患者が腹圧を感じいきんでしまうことが告げられる。なお、ここで言う患者とは、分娩用人体模型のことである。本シミュレーションでは、医療スタッフが、分娩用人体模型の頸部検査により、分娩用胎児が殿位にあることを診断できるかどうかを観察する。さらに、医療スタッフが分娩準備を行うことができるかについても観察される。なお、この分娩準備には、分娩用胎児の臀部が仙骨前位で分娩されるまで、分娩用胎児の頭部を押すことが含まれる。本シミュレーションでは、医療スタッフが分娩手技を施せるかどうかを観察する。この分娩手技に対しては、本シミュレーションの中でフィードバックの形で応答がなされる。医療スタッフはデブリーフィング(debrief;体験報告)を行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
臍帯脱出シミュレーションは、分娩用人体模型と、タッチスクリーンモニターを有する可動式カートとで構成される。医療スタッフには、患者が破水したことが告げられる。ここで患者とは分娩用人体模型である。本シミュレーションでは、医療スタッフが、タッチスクリーンモニターで分娩用胎児が仮死状態にあることを認識できるかどうかを観察するとともに、医療スタッフがその胎児仮死に対処できるかどうかについて観察する。医療スタッフが経膣分娩を待つようであれば、分娩用胎児は、分娩用人体模型の腹部内に残される。本シミュレーションでは、医療スタッフが分娩用人体模型を手術室に移送できるかどうかを観察する。医療スタッフはデブリーフィングを行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
子癇シミュレーションは、分娩用人体模型と、少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートとで構成される。この分娩用人体模型は、振動手段(たとえば、子癇シミュレーション部品など)を備え、全身発作をシミュレートできるようになっている。医療スタッフには、患者は頭痛がしており症状が悪化している旨が告げられる。ここで患者とは分娩用人体模型である。さらに、医療スタッフは、患者の血圧が上昇していることも教えられる。シミュレーターにより模擬子癇発作が起こされた際に、医療スタッフが模擬子癇発作と判断して治療介入できるかを観察する。治療介入には、薬剤投与および/または患者の体位回転が含まれる。模擬子癇発作はそのまま継続される。医療スタッフはデブリーフィングを行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
新生児蘇生シミュレーションは、分娩用人体模型と、新生児シミュレーターとで構成される。新生児シミュレーターが呼吸をしておらず、1分間の心拍数が100回未満であることに、医療スタッフが気付くかどうかを観察する。本シミュレーションでは、医療スタッフが吸引を行い、新生児シミュレーターを乾燥させて刺激を与え、濡れたリネン類を除去し、酸素による陽圧換気を行えるかどうか;ならびに新生児シミュレーターが依然として呼吸をせず、1分間の心拍数が60回未満になっていることを認識できるか;が観察される。さらに、医療スタッフが、たとえば、胸骨圧迫、挿管、および/または薬剤投与等の治療介入ができるか否かについても観察される。また、本シミュレーションでは、医療スタッフが、実際の心拍数のために臍帯拍動を計測することができるか;そして、吸引を行い、挿管して少なくともエピネフリンを1用量分投与した後5分が経過すると、新生児シミュレーターが呼吸し心拍数が上昇していることを、医療スタッフが認識できるか;についても観察する。医療スタッフはデブリーフィングを行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
処置分娩シミュレーションは、分娩用人体模型と、少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートと、吸引分娩用胎児とで構成され、吸引分娩や鉗子分娩が可能である。医療スタッフが頸部検査を行い、胎児仮死を認められるかどうかを観察する。また、本シミュレーションでは、医療スタッフが患者に対して処置分娩についてカウンセリングし、その危険性を説明できるか;そして、処置分娩を行えるか;についても観察する。胎児が押されて処置分娩が促される。医療スタッフはデブリーフィングを行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
分娩後出血シミュレーションは、分娩後出血症の子宮挿入部を備える分娩用人体模型と、少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートとで構成される。分娩用人体模型の出血がシミュレートされ;分娩用人体模型の子宮は完全に膨らんでいない状態である。本シミュレーションでは、医療スタッフが診断を下し手技を実行できるかを観察する。手技には、子宮底のマッサージ、頸部および/または膣検査による裂傷の有無の確認、子宮のマニュアル洗浄、および/または薬剤投与が含まれる。子宮底のマッサージが施術された場合、出血シミュレーションが継続される。医療スタッフはデブリーフィングを行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
肩甲難産シミュレーションは、分娩用人体模型と、少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートとで構成される。医療スタッフには、患者の陣痛が始まっておりいきんでしまうことが告げられる。ここで患者とは、分娩用人体模型である。胎児の頭部が娩出されるが、胎児の肩が前方に出ているため胎児が中に引き戻されてしまう。ハーネスをけん引して肩を娩出させない。タイマーを作動させて、頭部娩出から全身が娩出されるまでの間隔を測定する。本シミュレーションでは、医療スタッフが肩甲難産を診断し、手技を行えるかを観察する。この手技に対しては、フィードバックが返ってくる。胎児の後方の腕を娩出できなかった場合には、医療スタッフはザバネリー(Zavanelli)法を行うか、分娩を中断することができる。タイマーが停止させたら、医療スタッフはデブリーフィングを行い、観察結果および所定の採点基準に基づき、医療スタッフを評価する。
以下に示す図面の説明があれば、本システムは、本分野における通常の知識を有する者にとって明らかである。
図1は、シミュレーターと、該シミュレーターに接続され、シミュレーターに関連する情報を表示するための機器とを備える、本願発明に係わる典型的な配置を図示している。 図2は、シミュレーターと連結してシミュレーションを実行する、典型的なモニター配置と関連機器を図示している。 図3は、シミュレーターと連結してシミュレーションを実行する、典型的なモニターと関連機器の配置を図示している。 図4は、医療機関における、本願発明に係わる典型的な配置を図示している。 図5は、周辺機器が設置されたカートを図示している。 図6A〜6Cは、評価システムを示したスクリーンショットである。 図7A〜7Bは、採点シートを図示している。 図8は、デブリーフィング用質問票を図示している。 図9A〜9Cは、子癇シミュレーション部品を図示している。 図10は、殿位経膣分娩シミュレーションのフローチャートである。 図11は、臍帯脱出シミュレーションのフローチャートである。 図12は、子癇シミュレーションのフローチャートである。 図13は、新生児蘇生シミュレーションのフローチャートである。 図14は、処置分娩シミュレーションのフローチャートである。 図15は、分娩後出血シミュレーションのフローチャートである。 図16は、肩甲難産シミュレーションのフローチャートである。
本発明の一実施形態では、産科救急のシミュレーション訓練とTEAMSTEPPトレーニングとを組み合わせている。シミュレーション訓練では、ほぼ無限に存在するさまざまなシナリオにおいて、軍人と医師の双方を訓練し、テストするための基盤が提供される。本シミュレーション訓練により、患者や胎児に危険を及ぼすことなく、医師、看護師および補助職員が、稀ではあるが生命にかかわる緊急事態に備えて訓練することができる。少なくとも一実施形態においては、産科救急をシミュレートする際に、非常に高価な人体模型や専用ソフトウェアは不要である。また、システムは携帯可能で、どんな分娩棟であっても使用できるため、最も訓練する必要のあるスタッフが利用しやすくなっている。本発明の一実施形態には、シミュレーションと、産科救急対応中のスタッフ(医師、看護師、補助職員等)のパフォーマンスを客観的に評価できる評価ツールとを備える包括的なカリキュラムが含まれる。このカリキュラムとともに、特定の訓練サイトに設置可能な可動式の産科シミュレーターが使用される。また、患者ケアに対するチーム全体のアプローチの改善に重点を置けるように、評価ツールは、TEAMSTEPPトレーニングモデルに基づき、緊急対応中のチームワークも評価できるように設計されている。
TEAMSTEPPトレーニングは、航空産業において大きな成功を収めた安全手順から得られる教訓を元にしており、医師、看護師および他の職員に、チームとして共に働くことを教える。こうした理念を実行する基盤により、敵対関係ではなくチームワークを促進するよう文化が変わる。
前述のように、本発明は、少なくとも一実施形態において、既存のTEAMSTEPPトレーニングモデルと、特定の医療訓練施設にそれぞれ設置できる産科救急シミュレーターとを組み合わせる。これにより、患者の安全のために、段階ごとに行うべき通常訓練も可能となる。研修医や医師を訓練することにより、肩甲分娩(胎児の肩が恥骨に引っかかってしまい、自然に分娩されないケース)等のような不可避の産科救急事態が発生した場合の患者ケアが向上する。しかも、可動式のシミュレーターにより、医師、看護師、補助職員等による、多段階ケアを伴う実際の分娩ユニットでの緊急演習が可能になる。このシミュレーション訓練は、技術的パフォーマンスとチームワークの向上の双方が客観的に評価・改善される、安全で、危険性のない環境を提供し、実際の緊急事態や不良転帰が発生する前に、システム上の問題を提起できる。
これを達成するため、本発明の一実施形態は、最大の効果が得られる訓練を提供するように実施される。これは、分娩数が多いだけでなく、将来的にスタッフになるべき研修医の多い、大規模な訓練施設での訓練を意味する。これらの医師のパフォーマンスを向上することで、患者のみならず、新卒の研修医が割り当てられる施設自体にとっても、最も即効性のある効果が生じる。技術的パフォーマンスとチームワークの双方に関するデータが、これらの大規模訓練施設から回収される。
本発明の一実施形態には、軍および民間の分娩ユニットをいかに機能させるかという点と、提供するケアに関し、広範囲に及ぶ効果がある。患者の安全性に重点が置かれるのみならず、患者やその新生児に危険性を与えることなく、緊急対応シミュレーション中の技術的パフォーマンスおよびチームワークの客観的な測定を可能にする。しかも、この訓練により、民生部門および患者に対し、軍のヘルスケアシステムが患者の安全性向上のために取り組んでいる具体例が提供される。
図1は、Gaumard Scientific S555 Noelleシミュレーター等のシミュレーター100を図示しており、シミュレーター100は、ラップトップ型の第1コンピュータ140および第2コンピュータ150(図2および3に図示)に接続される。これら2台のコンピュータ140、150は、少なくとも一実施形態において、シミュレーションを実行し、該シミュレーションを行う医療チームが提供する異なる処置に対する応答を実行する。第2コンピュータ150は、少なくとも一実施形態において、表示部152を駆動し、医療機関で一般的にみられる心拍数や血圧等の医療情報を提示し、シミュレーションの段階およびその際の治療に照らして、シミュレーション用患者の状態に関する追加情報も提供する。カメラ190(図2参照)は、特定のシミュレーションを録画して再生を補助し、フィードバックの一環として、シミュレーション中の行動を参加者本人が確認できるようにする。
図1に示すように、本シミュレーションは、医療従事者のチームが、シミュレーション中に協働して、各メンバーの役割に対する理解を深めるとともに、状況に応じてどこで異なる参加者が補助し知識を提供できるかという点をより理解できるように設定されている。図2〜5には、本発明のさまざまな態様が図示されている。
本システムの具体的な一実施形態には、以下の部品が含まれる。識別しやすいように具体的な製造者や製品を挙げたが、当業者であれば、以下の部品は必要に応じて異なる機器と代替可能であることは自明である。
1. 専用の接続用カメラアーム;
2. コンピュータ機器および周辺機器を収納して、保管を容易にするとともに、ほとんどの場合別途(ハードケースやバッグ等に)保管される人体模型とともに使用する本システムの使用感を向上する、ロック可能で可動式のセキュリティーカート120(30W SM/FG5” キャスター);
3. 医療用モニターを保持するフラットパネルマウントダブル122;
4. 汎用キーボードおよびマウス;
5. 30Wのカート用引き出しSIL/M;
6. 少なくとも30GBハードドライブを搭載したカムコーダー(たとえば、JVCカムコーダー、JVC GZMG255US等);
7. JVC Everio CU−VD10 Share Station−DVD−RWドライブ−Hi−Speed USB;
8. HP DJ 460c 17/6PPM 8.5×14または同等のプリンター180;
9. 24パッド聴衆応答システム(CPS)IR SYSTEM(No.1〜24の各セット)(たとえば、eInstruction Corp.社製Classroom Performance System等);
10. IPOD NANO(登録商標)2GB Silver、またはシミュレーション中に音声を再生する保護ケース付きの他のオーディオプレーヤー(MP3プレーヤー);
11. V10 NBスピーカー USB−PC MAC USB VOL CTRL、または他の同等スピーカー;
12. 実物大の女性の有関節型全身模型、隆起した胸部を備える挿管可能な気道、IV輸液(薬剤またはその他の流体の輸液)可能な腕、取り外し可能な腹部カバー、レオポルド手技(leopold maneuver)の実践、複数の胎児心音、自動分娩システム、頭部降下および子宮頸管の拡張の測定、複数の胎盤位置、交換可能な拡張子宮頸部、分娩後の外陰部縫合練習、有関節型新生児1体と胎盤、PEDI(登録商標)Blue Neonatal Simulator with SmartSkin(登録商標)(LEDライトが点灯して青くなり、陽圧換気に対し反応する)、ならびにNOELLE S550.100 with PEDI(登録商標) Blue full term neonate(満期新生児模型;ただし、本発明の実施形態においては、分娩モーターは除去して使用する)を有する分娩後出血・触診モジュール等を有する、妊婦・新生児分娩シミュレーター(たとえば、Gaumard Scientific S555 Noelleシミュレーター等);
13. 胎児の心拍数出力および母体のバイタルを表示する2台の17インチタッチスクリーンモニター;
14. モニターおよびラップトップとの無線通信を制御するためのコンピュータ1台(または、他の処理システム)(図中使用されているデスクトップコンピュータの代わりに、ラップトップコンピュータで代替可能);
15. 第1コンピュータと無線通信可能なラップトップコンピュータ1台(デスクトップコンピュータに代替代替可能);
16. 出血機能を備えた柔らかい子宮(PPH);
17. 有関節型新生児模型;
18. レオポルド手技用の枕(elevating pillow);
19. 有関節型胎児模型(処置分娩胎児)、臍帯(本発明の一実施形態において、臍帯拍動を測定する)、および吸引分娩用の胎盤;
20. 子癇モデル;ならびに
21. 個別キーパッド、ラベル表示付きのキーパッド(たとえば、医師採点者1、医師採点者2、担当看護師等)および画面上の匿名性機能を有するCPS報告聴取/評価システム(IRシステム)。
図6Aおよび6Bは、画面上の匿名性の例を図示している。各採点者(たとえば、医師1、医師2、看護師1、看護師2)は、システム内にスコアを入力する。たとえば、子癇発作シミュレーション用の採点項目は、医療提供者(provider)がその状況を子癇発作と認識できたかどうか(Recognizes situation as an eclamptic seizure)という点である(図6Aにおいて、A=Yes(できた)/B=No(できなかった))。全採点者がスコアを入力し終えたら、総スコアが表示されるが、画面上匿名性が保たれる(図6Bにおいて、採点者5名が「Yes(できた)」と記録し、採点者3名が「No(できなかった)」と記録)。図6Cに図示するように、特定の採点項目について、採点者による入力結果を見るために報告書を作成することができる(たとえば、「Calls for additional help(応援を求める)」等)。
さまざまな理由で本システムが対処できる潜在的問題は数多くある。過去の医療シミュレーションの難点として、訓練シナリオを開発する際のリソース不足、訓練を実行するスタッフの確保、および訓練法の客観的評価の必要性等があった。また、多くの場合、機器自体が購入・維持にあたり大変高価なものであり、保管に場所を取ってしまうため、もし月に1回程度の使用頻度に過ぎないのであれば、許容できるものではなかった。本システムはこうしたすべての問題に対処できる。分娩ユニットは本質的に慌ただしくペースの速い環境であるが、そのスタッフは特に患者の安全性に尽力しなければならない。本システムの装置は、人体模型またはシミュレーター1台あたり10万ドル以上する他のシミュレーション製品と比べると比較的安価なだけでなく、保管しやすいため、小規模な施設であっても、最先端のシミュレータートレーニングプログラムを維持するために、診察室全体または他のスペースを塞ぐ必要がなくなる。しかも、その携帯可能なデザインにより、必要や要望に応じて、小規模施設や海外での人道的任務にも活用できる。
以下に、シミュレーションシステムの背景と概要をまとめる。可動式の産科救急シミュレーターのゴールとしては、患者の安全性の向上、チームワークおよび技術的パフォーマンスの向上、各分娩ユニットに固有のシステム上の問題の特定と修正等が挙げられる。別のゴールとしては、実際の分娩ユニットにてシミュレーションを実行し、標準化されたカリキュラムを提供し、チームワークと技術的習熟度の双方を評価し、無過失のデブリーフィングツールを取り込み、時間経過に対する進歩をモニターでき、しかも安価であるという特徴を実現できる可動式基盤の作製も挙げられる。また、1)医療提供者(本明細書中、医師、研修医、看護師、病院職員、参加者、チームおよび協働する医療従事者ともいわれる)のレベルに応じシミュレーション訓練を提供し、患者環境にとって危険性のない状況で、認識力、技術力およびチームワークスキルを向上でき、2)患者予後や犠牲者数を改善し、あらゆる環境において患者の安全性を向上できるというゴールもある。
Central Simulation Committee(CSC)とTMAカリキュラムの違いとしては、TMAカリキュラムは分娩チームに特化しており、CSC採点が、オンラインで行われ、研修医や個人向けのものである点等がある。さらに、CSC産科シミュレーションの場合、アシスタントが必ずしも得られない点が異なるが、システムは基本的には上記双方で共通し、2施設にて使用できる。
本発明の一実施形態は、シミュレーションの実行を提供する。具体的には、部屋を準備し、最初の参加者に臨床シナリオを説明し、シミュレーション訓練を実行する方法が提供される。さらに、CPSシステムにて、デブリーフィングが行われ、評価がCPSシステムに入力され、採点シートがダウンロードされる。デブリーフィングは対象項目について行われる(たとえば、指示(Command)、小児科学、麻酔、産科スタッフ、産科学/婦人科学、一般診療等)。
本発明の一実施形態のカリキュラムには、殿位経膣分娩、臍帯脱出、子癇、新生児蘇生、処置分娩、分娩後出血、および肩甲難産等が含まれる。シミュレーション例は、本発明の原理と実際的応用を最もよく説明でき、予期される特定の使用に至適化するためにさまざまに改変可能なさまざまな実施形態について、当業者が本発明を理解できるように、選択し記載した。
殿位経膣分娩シミュレーション
以下に、殿位経膣分娩シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
殿位経膣分娩の例となる臨床シナリオとしては、産科トリアージ室に来た36+0週目の26歳のG3P2002が挙げられる。検査において、胎児は逆子であり、いきむまでもなく膣入り口から臀部が見えている。胎児の心拍数は1分間に150回である。胎児体重は、推定で7lbsである。母親によれば、これまでに2回、8lbsの新生児(infant)を経膣分娩にて出産した経験があり、帝王切開は望まないという。別の臨床シナリオにおいては、35+4週目の31歳のG1P0が分娩室にいる。患者によれば、腹圧が強くなっており、破水したと感じた30分ほど前から「褐色の液体」が漏れ始めているという。胎児の心拍数は1分間に140回である。
本発明の一実施形態における参加者に対する基本的な指示には、この臨床シナリオをできる限り実際のものとして扱うこと、必要に応じマスク・手袋・ガウンを使用すること、必要であれば応援を求めること、カメラを無視すること、ならびに、会陰部を切開しないこと、ただし会陰切開を行うことを考えている場合はその旨を述べること等が含まれる。その他の指示としては、シミュレーション中に必要となった薬剤を取りに行くこと、ただし、その部屋の中で実際に投与するべく開封はしないこと、必要に応じ、患者をオペ室に移動してもよく、手術台に移してもよいが、物理的に手術器具類を開封する必要はないこと等が挙げられる。
殿位経膣出産事例に利用されるシミュレーターは、標準分娩用胎児を殿位に設置したNOELLE分娩用模型であるが、他のシミュレーターも利用可能である。分娩室を模して部屋をセットアップする。診察台、ストレッチャー(gurney)、または下半身がカーテンで仕切られた診察用ベッドに、シミュレーターを載せる。産科テーブルには、基本的な器具が備えられている。ビデオ録画を行う場合には、カメラは職員の一人が持ってもよく、三脚やカートに設置したカメラアームで固定してもよい。
殿位経膣出産に使用する機器には、分娩シミュレーター、標準的な産科テーブル(たとえば吸引器、ケリー鉗子、ハサミ等)、ビデオカメラ、パイパー鉗子、分娩モニタリングシステム、およびオーディオプレーヤー(たとえばMP3プレーヤー)等が含まれる。分娩モニタリングシステムのバイタルサインソフトウェアは、シミュレーション中の母体の状態の悪化を示すために使用される。訓練にこれを取り入れることにより、シミュレーション中に医療提供者の耳にこれらの音が届くため、臨床シナリオの現実性が増す。以下にさらに説明するように、ソフトウェアを起動した後、特定の時間間隔でファイルが読み込まれる。殿位経膣出産用の人員としては、胎児と母体模型を管理するスタッフ、手技を補助するアシスタント、および/または進行状況を撮影するスタッフ等が含まれる。臨場感を増すために、職員が患者に付き添う関係者役として加わってもよく、シミュレーションにおいて、ストレスを与え、注意を散漫にさせ、混乱させるために患者家族の役割を演じてもよい。
シミュレーション参加者へのヒントとしては、パイパー鉗子を見える所に出しておかないこと、この分娩では処置の邪魔になるため、枕を腹部に置かないこと、そして、通常胎児を支えるようにこの模型に付属され、本シミュレーションには不要な頸部を除いておくことが挙げられる。その他のヒントとしては、胎児には大量の潤滑剤(たとえば、シリコン潤滑剤、超音波診断用ゲル等)を使用すること、会陰切開術は、患者に必要と感じたときのみに行い、実際に人体模型を切らないこと等が挙げられる。
このように、本発明の一実施形態において、殿位経膣分娩事例の手順には、NOELLEシミュレーターを設置し、分娩モニタリングシステムの電源を入れ、所望のシナリオを読み込み、「Update(更新)」をクリックする工程が含まれる。最初の医療提供者は、この臨床シナリオについて簡単な説明を受け入室する。この医療提供者に対し、担当職員が、患者が腹圧を感じいきんでしまうことを伝える。医療提供者は患者に話しかけ、頸部検査を行い骨盤位と診断する。医療提供者が殿位経膣分娩について話し始めていた場合には、胎児を押し出す前に、患者に殿位経膣分娩についてカウンセリングする機会が与えられる。医療提供者が自発的に患者にカウンセリングしない場合には、胎児を管理している人が、「赤ん坊というものは、お尻から出てくるものなのですか」と尋ね、提供者が患者にカウンセリングする機会を別途与える。
臀部が仙骨前位で娩出されるまで、胎児の頭部が押される。医療提供者は、逆子胎児の分娩に備えることができる。臀部が娩出されると、医療提供者は逆子であることを認識し、分娩手技を開始する。医療提供者が質問すると、分娩手技に対し、フィードバックの形で応答があり、胎児はそのまま娩出される。分娩が完了したら、医療提供者に、本シナリオが終了したことが告げられる。
本発明の一実施形態において、医療提供者が帝王切開を主張すると、胎児が押し出され、分娩をせざるを得ない状況になる。医療提供者は、分娩に備える(たとえば、小児科に応援を求め、パイパーを見つける等の)時間をわずかしか与えられない。本シナリオ終了後に、全参加者が可動式の分娩シミュレーターとともに分娩室に集合する。適当な参加者にクリッカーが手渡される。クリッカーには、医師採点者1、主治医、担当看護師、等のラベルが貼ってある。CPSシステムを開いて、当該シナリオのデブリーフィングを読み込む。基本前提についてチームで見直し、チームワークデブリーフィングが行われる。チームワークデブリーフィング後、シミュレーションに対する緊急処置について、チームで見直す。チームメンバーに学んだことがあるかを尋ね、必要に応じて分娩棟で実施できるようにこの応答を録音する。分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を行う。医療提供者の職務およびパフォーマンス評価は、全採点者(たとえば、シミュレーションを観察していた医師2名、看護師2名等)により実行される。チームワークデブリーフィング、医療提供者の職務およびパフォーマンス評価をエクスポートする。
以下は、殿位経膣分娩について医療提供者を採点する際に、考慮すべき潜在因子である。応援を求められるか、手術室への移動を提案できるか、母体にいきませて臀部から臍位まで娩出させられるか、会陰切開術ができるか、脚を娩出できるか(大腿骨に平行になるように大腿内側を添え木で支え、横方向に一振りする)、反対の脚についても同様に娩出できるか、胎児の胴体部に濡れタオルを当てられるか、骨や鼠径部に指で触れられるか、仙骨前位でそっと下方にけん引できるか、腕を娩出させるため90°〜180°回転させるか、腕を娩出できるか(骨の長軸方向下方に一振りする)、反対の腕についても回転、娩出させられるか等がポイントとなる。殿位経膣分娩採点表の書式例を図7に示す。
パイパー鉗子の使用に関する採点項目として考えられるものは、肩と腕が娩出され、顎を後方にして頭部が骨盤内にある状態になった後で鉗子を使用できるか、タオルで新生児を保持できるか(新生児を水平面より上に保持してはいけない)、左側の刃を先に当てられるか、新生児の体を母親の右側方向に支えられるか、左手で柄を持って左側の刃を患者の右大腿の下で新生児の体の下方に保持(医療提供者の右手で、刃の先端を膣内に誘導)しつつ中腰になれるか、刃の先端を乳児の側頭部から右耳に沿って骨盤内を通らせながら、弧を描くように正中線下方に向けて柄を一振りできるか、そして、右側の刃を同様にして導入できるか(抵抗がある場合、先端をより後方に導入し、頭部の側面に沿ってさまよわせる)等である。パイパー鉗子の使用に関するその他の潜在的な採点項目としては、軸(shanks)を固定できるか(胎児に鉗子をまたがせる)、顎が出口に現れるまで、柄方向に下方にけん引できるか、骨盤の湾曲に合わせてけん引しながら、柄を持ち上げることができるか、頭部屈曲を維持できるか(医療提供者の左手の指で首を支えつつ、鉗子の軸上に体が載っている)、所定の位置にある鉗子で頭部を娩出させつつ、柄でほぼ水平に引っ張れるか等がある。
モリソー・スメリー・ファイト(Mauriceau−Smellie−Veit)手技の実施に関する潜在的な採点項目には、手の平と前腕に体を載せた状態で、人差し指と中指を上顎の上にあてがって頭部を曲げることができるか、肩を掴んで下方に軽くけん引しながら、他方の手の2本の指を首の上でカギ型に曲げることができるか、補助者による恥骨上部の圧迫を行えるか等が含まれる。殿位経膣分娩の実施における医師のスキルと安全性は、その他の採点項目となる。
少なくとも一実施形態において、デブリーフィングで話し合われる指導点と緊急処置としては、緊急的な殿位経膣分娩の危険因子の知識、採点項目に関しまとめたような緊急処置を行う能力、採点項目に関し説明したような手技の復習等がある。デブリーフィング過程で、模型を用いたデモンストレーションを行う。さらに、胎児頭部の絞扼等の潜在的な合併症についても話し合う。実際のシミュレーションは約5〜7分ほどで終わる。デブリーフィングには、チームのパフォーマンスに応じて約10〜15分程度かかる。
臍帯脱出シミュレーション
以下に、臍帯脱出シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
臍帯脱出の例となる臨床シナリオとしては、主に周期的な子宮収縮を訴えて分娩室に来た40+3週目の25歳のG1P0が挙げられる。検査により、患者は、無傷の羊膜を有するC/3/−3VTXであることが分かった。胎児の心拍数出力(FHRT)はしっかりしている。患者の夫が、医療提供者に、妊婦が破水したように感じていることを伝える。代替の臨床シナリオには、治療上の安静のため前夜に来院し約8時間前にモルヒネ硫酸塩を投与された37+0週目の33歳のG2P1001等が含まれる。FHRTはしっかりしているが、現在患者は腹圧がより強くなってきていると感じており、診断を受けたがっている。
臍帯脱出例に使用するシミュレーターは、NOELLE分娩用模型であるが、その他のシミュレーターの使用も可能である。また、可動式カートに接続されたタッチスクリーンモニターも使用可能である。分娩室を模して部屋をセットアップする。シミュレーターは、診察台、ストレッチャーまたは下半身がカーテンで仕切られたベッドの上に載せられている。基本的な機器を備えた産科テーブルも利用できる。付加的な機器としては、ハイリスク分娩のシミュレーション(High Acuity Deliveries;SHAD)用分娩シミュレーター、ストップウォッチ、臍帯脱出する頭位の胎児、会陰に注ぐための水、羊水をシミュレートするパッド、胎児のモニタリングシステム等がある。
具体的には、少なくとも一実施形態において、臍帯脱出シミュレーション用のケースフローには、模型のセットアップと胎児の監視ソフトの起動が含まれる。「Umbilical Cord Prolapse」ファイルを開き、胎児の心拍数出力を更新する。最初の医療提供者(たとえば、看護師または医師)は、入室前に、臨床シナリオについて簡単な説明を受ける。入室した医療提供者に、患者が破水したばかりであることが告げられる。医療提供者は、モニターで胎児仮死を確認し、診察を開始する。胎児用モニターが作動し、顕著な徐脈が示される。
チームは、臍帯脱出に対処できる。チームが経膣分娩を待つようであれば、胎児はシミュレーターの腹部内に保たれる。チームは、患者をオペ室に移送し、手術台に移動させることもできる。手術台に患者を移したところで、本臨床シナリオは終了する。チームは、デブリーフィングのため、可動式の産科シミュレーターとともに分娩室に戻る。
少なくとも一実施形態において、デブリーフィング中、適当な参加者にクリッカーが手渡され、CPSシステムを起動する。当該臨床シナリオ用のデブリーフィングを読み込み、基本前提について、チームで見直す。チームワークデブリーフィング後、シミュレーションに対する緊急処置について、チームで見直す。チームメンバーに学んだことがあるかを尋ね、必要に応じて分娩棟で実施できるようにこの応答を録音する。
分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を開いて全採点者により評価を行う。チームワークデブリーフィング、医療提供者の職務およびパフォーマンス評価をエクスポートする。
以下に、臍帯脱出シミュレーションについて医療提供者を採点する際に考慮すべき潜在因子をまとめる。潜在因子には、臍帯脱出の所見について、患者に対しカウンセリングできるか、小児科に応援を要請できるか、麻酔を要請できるか、(オペ室に患者を搬送するまでの間中)膣内に手を入れ胎児頭部を持ち上げることができるか、手術の応援(scrub technician)を要請できるか、最初の医療提供者が入室してから臍帯脱出の診断までにかかった時間、および臍帯脱出の診断から患者をオペ室に移送するまでにかかった時間などの因子が含まれる。
本発明の実施形態において、デブリーフィングで話し合われる指導点および緊急処置には、臍帯脱出の危険因子を理解し言葉で表現することはできるか、採点項目に関しまとめたような緊急処置を行うことができるか、および緊急チームの応答時間の評価と、本シナリオに対しチーム内でどのようにコミュニケーションを取ったかの評価などが含まれる。実際のシミュレーション自体の所要時間は、わずか5〜7分程度である。デブリーフィングおよび手技を使った追加訓練には、約10〜15分かかる。
少なくとも一実施形態において、膣内で臍帯を触診した場合、診察者は膣外に手を出さずに、臍帯の先進部を持ち上げることを試みる。緊急帝王切開分娩のため、患者をすぐにオペ室に運ぶ。最初の診察者の手は、帝王切開で赤ん坊が生まれるまで膣内に入れたままである。帝王切開実行までに遅れが生じた場合、テルブタリンを投与して子宮収縮を低減させるか、液体500mLで嚢(bladder)を満たして臍帯の先進部を持ち上げる。
子癇シミュレーション
以下に、子癇シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
子癇シミュレーションの例となる臨床シナリオとしては、その朝に産気づき来院した38+4週目の19歳のG1P0が挙げられる。約30分前に硬膜外麻酔を受ける直前の頸部検査結果がC/4/−2であったことを除けば、患者の出産前の経過は順調(uncomplicated)であった。患者は、現在、新たな頭痛の発症を訴えており、担当看護師が診断を求めている。代替の臨床シナリオには、出産前の経過として、タンパク尿が基準値で慢性高血圧を合併している39+0週目の37歳のG6P5005等がある。患者は、その朝陣痛が強くなってきたために来院し、現在10miu/分のオキシトシンを投与されている。患者の頸部を検査したところであり、その結果はC/5/−1であった。看護師は、胎児の心拍数出力の再検討を求めている。
少なくとも一実施形態において、子癇シミュレーションに利用されるシミュレーターは、NOELLE分娩用人体模型であるが、他のシミュレーターも利用可能である。分娩用人体模型には、内部に子癇用改造部が含まれる。この改造部により、起動時に模型が振動し、全身発作のシミュレーションが可能となる。発作は、ボタンが押されている限り続き、ボタンを放すと停止する。
少なくとも一実施形態において、分娩用胎児は、頸部を備える母体の腹部内にセットされる。腹部カバーを元に戻す。したがって、医療提供者が患者をチェックすると、患者の拡張はわずか数センチであることがわかる。子癇発作の間、胎児の心拍数モニターを使用して、各種の徐脈状態(decelerations)が実演される。これを訓練に導入し発作前後の胎児の心拍数(FHR)の変化を生じさせることで、シミュレーション中に研修医が実演される音声を耳にすることになり、本シナリオに臨場感が加わる。これを行うには、ソフトウェアを起動後に、「Eclampsia Initial」ファイルを読み込み;医療提供者が入室する前に、胎児用モニターの「Update」ボタンをクリックする。患者の発作が始まったら、「Eclamptic Seizure」および「Update」ボタンをクリックする。NOELLE分娩用人体模型には、IVバッグに繋がっており患者の腕にテープで固定されたチューブを備えた静注療法(IV)の部品がある。
本発明の実施形態では、医療提供者として、胎児および妊婦模型の管理をする(看護師役を務める)スタッフおよび本手順を録画するスタッフ(または、三脚もしくはカートに設置されたカメラアームが用いられる)等がいる。また、病院職員が、患者に付き添う関係者役として加わって、シミュレーションに臨場感を与え、ストレスを加えたり、動転させたり、混乱状態を作るために家族を演ずることもある。
子癇シミュレーションのケースフローには、模型のセットアップ、胎児の監視ソフトの起動、「Eclampsia Initial」ソフトウェアの読み込み、胎児用モニターの設定、および「Update」ボタンをクリックすること等が含まれる。最初の医療提供者は、臨床シナリオについての概要説明を受けてから、入室する。医療提供者らは、自己紹介してもよく、分娩用人体模型は約24時間にわたり頭痛がしており、症状が悪化しつつあることが告げられる。患者の家族役を務めるスタッフが、研修医に「患者の血圧の測定値が上昇しつづけており、最後の計測値が155/100であった」旨の情報を与える。子癇用ボタンが押され、タイマーが開始される。胎児の監視ソフトの「Eclamptic Seizure」を開いて、「Update」をクリックする。医療提供者は合併症を診断して、症状の評価や、応援の要請等の治療介入を開始する。チームには、薬剤を投与し、患者の体の向きを変え、またはその他所望の治療介入をすべて行うことが認められている。どのような治療介入が行われたかにかかわらず、発作は約4分間続く。発作が収まったとき、医療提供者には、マグネシウム剤の投与を継続するか否かについて話し合うための時間として、約30秒が与えられた後、本シナリオが終わったことが告げられる。
少なくとも一実施形態において、医療提供者には、入室時に与えられた患者病歴以外の情報が与えられない。医療提供者が患者にタンパク尿がみられるか否かについて尋ねた場合には、患者の尿検査結果が尿蛋白+2であったことが告げられる。薬剤の投与量に誤りがあった場合には、デブリーフィングにおいて指摘される。発作後、徐脈が約10分間以上続かない限り、帝王切開は行わない。子癇発作後には、緊急帝王切開は不要である。一般に、子癇発作は約2〜4分で自然に治まる。マグネシウムは静脈ボーラス(IV bolus)で投与すべきではなく、むしろ約15〜20分間掛けて投与すべきである。
本発明の実施形態において、適当な参加スタッフに、クリッカーが手渡され、CPSシステムが起動され、当該シナリオ用のデブリーフィングが読み込まれる。基本前提について、チームで見直し、チームワークデブリーフィングを実行する。チームワークデブリーフィング後に、本シミュレーションの緊急処置について、チームで見直し、チームメンバーには、記録しておき必要に応じて将来的に分娩棟で実施すべき教訓がないかを質問する。分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を開いて、全採点者(たとえば、本シミュレーションを観察した医師最大2名と、看護師2名)により評価を行う。チームワークデブリーフィング、医療提供者の職務およびパフォーマンス評価をエクスポートする。
以下に、子癇シミュレーションについて医療提供者を採点する際に考慮すべき潜在因子をまとめる。潜在因子には、本状況が子癇発作であることが認識できるか、応援(たとえば、看護師や医師など)を要請できるか、麻酔を要請できるか、患者を側臥位にできるか、口内に舌圧子を挿入できるか、患者への酸素投与がセットできるか、患者にパルス酸素濃度計をセットできるか、発作を抑えるため硫酸マグネシウムを投与できるか(たとえば、ボーラス(<15分)として与えられた、適切な投与量である6グラムを15〜20分間にわたって静脈投与)、発作を抑えるためジアゼパムを投与できるか(たとえば、静注(IV push)を前提として、15〜20分間にわたって適切な投与量である5グラムを静脈投与)、高血圧を抑えるためヒドララジンを投与できるか(たとえば、静注により適切な投与量である5〜10mgを投与)、高血圧を抑えるためラベタロールを投与できるか(たとえば、静注により適切な投与量である20〜40mgを投与)、帝王切開による出産を決断できるか等が含まれる。
少なくとも一実施形態において、その他の潜在的な採点項目として、タイムリーな子癇への対応、子癇シミュレーション中平静を保てること、本シミュレーション中の補助者らとの良好なコミュニケーション、子癇シナリオ中の医療提供者の全体的なパフォーマンス、および子癇合併症に対する医療提供者の心構えなどが挙げられる。デブリーフィングで話し合われるポイントとしては、子癇治療用の薬剤に関する知識の有無、子癇前症および子癇の危険因子を理解し言語化できるか、子癇発作が一般に短い(たとえば、2〜4分間)ことや、発作がさらに起きることを防ぐためにその後も硫酸マグネシウムを継続投与することなどを認識しているか、採点項目に関し述べたような緊急処置を実行できるか、薬剤投与量および投与法の見直し、胎児の心拍数出力は、一般に発作の約10分以内に回復することを認識できているか(症状が安定していない患者に対し、急いで帝王切開を行うべきでないことを認識しているか)などがある。実際のシミュレーション自体は、約5〜7分程度で終わり、その後約10〜15分間を、デブリーフィングや、最良の診療や安全性のポイント等の見直しに充てる。
本発明の実施形態では、子癇の初期治療の目的は、母親を安定させ発作を抑えることである。この基礎疾患に対する最終的な治療とは、最終的には胎児の出産である。しかしながら、母親が安定化すれば、胎児の状態も良好になるため、急性事象中は母親が優先される。子癇治療の過程には、補助(たとえば、発作抑制後の出産に必要とされる可能性があるため、看護スタッフ、麻酔専門医、追加の産科医および/または小児科医など)の要請などが含まれる。気道を保護するため、患者を左側に向かせ、可能であれば、パッド付きの舌圧子を患者の口内に入れる。これにより、自身の気道を保護できない状態で万一患者が嘔吐しても誤嚥が防げる。発作を抑制するために、たとえば、硫酸マグネシウムおよびジアゼパムなどの薬剤を投与する。硫酸マグネシウムの投与量としては、たとえば、2〜4グラム、最大でも6グラムを15分間静注する。ジアゼパムの投与量としては、たとえば、5mg、合計で20mgまでを必要に応じ繰り返し静注する。この薬剤は、患者全体の80%以上において、5分以内に発作を抑制または停止させる(Delgado−Escueta,1982)。重篤な高血圧症(つまり>160/110)を治療し脳内出血の危険性を低減するために、一例として、以下の薬剤と投与量が使用され、患者の血圧を急激に低減させる。ヒドララジン5mgを静注投与した後、必要に応じて5〜10mgを20分間投与する。10〜20mgのラベタロールを静脈投与し、その後、必要に応じて10分ごとに投与量を2倍にして80mgまで、累積投与量の合計が220mgとなるまで投与する。子癇が解消した後、患者には、発作予防のために硫酸マグネシウムを投与する(15〜20分間にわたって4〜6グラムを静脈投与した後、2グラム/時間で少なくとも24時間投与を継続)。
疾患の最終的な治療は出産であるが、必ずしも帝王切開を直ちに行わなければならないという意味ではない。頸部の状態が良好で、胎児が頭位にあり、胎児仮死が解消されているのであれば、出産期または出産が近い胎児においては発作が抑えられた後は陣痛誘発が妥当である。患者については合併症の発症の有無がモニタリングされる。モニタリングされる合併症としては、たとえば、出血を伴う播種性血管内凝固障害、急性腎不全、肺水腫、脳内出血、心拍停止、肝破裂および/または一過性の失明などが挙げられる(Lopez−Llera,1992)。子癇発作の場合、通常3〜5分間という深刻な胎児心拍数の減速がみられる。この程度の胎児仮死は、緊急分娩を促すものではない。上述したとおり、胎児心拍数は母親の症状改善に伴って改善されるため、ここで重要なのは母体の安定である。
新生児蘇生シミュレーション
以下に、新生児蘇生シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
新生児蘇生シミュレーションの例となる臨床シナリオとしては、新生児蘇生の補助のため医療提供者が呼ばれる。この新生児は、分娩のために後方にある腕の娩出が必要となる肩甲難産を伴う胎児仮死のため、1分ほど前に吸引分娩により生まれたばかりである。この新生児を出産したのは、GBS+の38週と5/7週目の26歳のG2P1001である。代替の臨床シナリオとして、強いいきみ感を訴えている39+3週目の25歳のG3P2002が挙げられる。医療提供者には、患者のチャートを得る時間はないものの、患者によれば出産前の経過は順調であったという。患者はただちに分娩室に運ばれ、あっという間に出産した。室内のスタッフから、新生児を蘇生する手助けをするのに誰か来て欲しいと要請がある。新生児蘇生シナリオと、分娩シナリオとを組み合わせて行う場合には、他のシミュレーション用の臨床シナリオを併せて使用する。
(上述のように)参加者に対し、基本的な指示が与えられる。新生児蘇生事例に用いるシミュレーターとしては、NOELLE分娩用人体模型と蘇生用新生児が挙げられる。新生児模型としては、他のシミュレーターを用いることも可能であるが、分娩用模型に付属されているものを使用する。なお、蘇生用新生児はPEDIBlueとも呼ばれるが、この新生児は平均的な新生児よりも若干大きい。このシミュレーションに際し、医療提供者には、新生児が中心性および末梢性チアノーゼを示している可能性があること;新生児は自発呼吸していないかもしれないこと;約20秒以内に正常域または高域で換気を行えば、チアノーゼ症状は治まること(したがって、シナリオ実行中に、換気をリセットしなおす必要性があること)などの注意が与えられる。また、医療提供者に対しては、PEDIBlueは気道が非常に前よりにあるため、やや挿管しにくい点;新生児の心拍数は赤色バルブ(red bulb)を備える臍帯残部では制御不可能である点;PEDIBlueについては、呼吸および心肺機能蘇生法により生じる力(これは潜在的な採点項目の一つである)がモニタリングされる点などについても注意喚起される。
新生児蘇生のみのシミュレーションの場合、新生児シミュレーターは、覆いのない状態で分娩室の新生児保温器に置かれる。新生児保温器には、分娩/蘇生で用いられる通常の機器や薬物が備えられている。この点はシミュレーション前にチェックする必要はない。新生児蘇生を別のシミュレーションと組み合わせて行う場合には、頭部を保温器の端に(つまり、適切な位置に)向けるようにしてPEDIBlueシミュレーターを保温器内に置き、タオルで覆っておく。分娩が完了し、医療提供者が新生児を手にしたら、医療提供者は保温器の方に行きタオルを取り除いて、新生児蘇生シミュレーションを開始することになる。
PEDIBlueのセットアップには、コントロールボックスにコンセントをつなぎ、チューブ類を脇に寄せておき、新生児の心拍数を制御するため赤色バルブにアクセスしやすいようにしておくことなどが含まれる。少なくとも一実施形態において、新生児蘇生シミュレーション用のコントロールボックスの設定は、statusが「one」および「test」、conditionが「central」、improvementが「20」、deteriorationが「30」である。シナリオを組み合わせて実行する場合には、他に胎児のモニタリングシステムなどが含まれる。本シミュレーションを利用するメンバーには、新生児蘇生人体模型(すなわちPEDIBlue)を管理するスタッフなどが含まれる。また、病院職員が、患者に付き添う関係者役として加わって、シミュレーションに臨場感を与え、ストレスを加えたり、動転させたり、混乱状態を作るために家族を演ずることもある。
医療提供者に与えられるヒントとしては、PEDIBlueの気道が前よりに位置していることに関する注意喚起、はずれにくくなり新生児の心拍数を圧力バルブにて作成する機能を損なう可能性があるため臍帯をクランプしないこと、新生児が分娩された直後であることをシミュレートするため新生児を超音波ゲルで潤すこと、そして、新生児を清潔にして乾燥させる点についての注意喚起などが挙げられる。その他のヒントとしては、湿ったタオルの上に新生児を置くこと(このことにより新生児を完全に乾燥させることを医療提供者に思い出させる)、PEDIBlue新生児には、小さめの気管内(ET)チューブ(たとえば、2.5mm)を使用すること、人体模型に挿入するためETチューブを潤滑剤で湿らせることなどがある。また、医療提供者は、臍帯での新生児の心拍数を物理的に制御していることについても注意喚起される。新生児を管理する者に対する参考点として、1分間の心拍数が60未満(bpm)の場合、1人が1.5〜2秒間ごとに圧迫;心拍数が60bpmより大きく100bpm未満の場合には、1人が1秒間ごとに圧迫;心拍数が100bpmを超えている場合には、2人が1秒間ごとに圧迫することが挙げられる。
本発明の実施形態において、新生児蘇生シミュレーション用のケースフローには、(上述のように)PEDIBlueシミュレーターをセットアップし、ビデオカメラを設定し、最初の医療提供者に臨床シナリオの概要を説明することなどが含まれる。最初の医療提供者は入室すると(シミュレーションを組み合わせて実行する場合には、分娩シミュレーションを最初に開始させる)、新生児が呼吸をしていない(新生児は無呼吸であり心拍数が100bpm未満である)旨が告げられる。参加者は吸引を行い、新生児を乾燥させて刺激を与え、濡れたリネン類を取り除き、100%酸素による陽圧換気を開始する。約30秒経っても、(治療介入の有無にかかわらず)新生児は無呼吸のままであり、心拍数は60bpm未満であった。心拍数は60bpm未満のままであり、チームには、治療介入(たとえば、胸骨圧迫、挿管、薬剤投与など)が認められる。新生児の呼吸に関し医療提供者が質問すれば、回答(新生児は未だに無呼吸のままである)が得られ、実際の心拍数のために臍帯拍動を確認する。「Condition Button」を3回押して「Central Cyanosis」に戻ることで、チアノーゼを約20秒ごとに継続的にリセットする。新生児の心拍数が上昇する。医療提供者には、新生児が以下の条件で良好に呼吸していることが伝えられる。すなわち、蘇生開始から約5分経過しており、かつチームは新生児に挿管して少なくとも1つの適正な投与量・投与経路(たとえば、ETチューブによる投与量が1:10,000濃度で0.3〜1ml/kg)でエピネフリンを投与している。チームには、シナリオが終了し、デブリーフィングを行う旨が告げられる。
チームには、入室前に与えられた以外の経過情報は与えられない。呼吸に関する質問に対しては回答が得られるが、チームには新生児が無呼吸状態のままであることが告げられる。チームが臍帯カテーテルをセットしようとした場合には、本シミュレーションでは不可能であることが告げられる。
本シナリオ終了後、ラベルされたクリッカーが適当な参加スタッフに手渡され、CPSシステムが起動されて、当該シナリオ用のデブリーフィングが読み込まれる。基本前提についてチームで見直した後、チームワークデブリーフィングを行う。チームワークデブリーフィング後には、本シミュレーションの緊急処置についてチームで見直す。チームメンバーには、記録しておき必要に応じて分娩棟で実施すべき教訓がないかを質問する。分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を開いて、全採点者(たとえば、本シミュレーションを観察した医師2名と、看護師2名)により評価を行う。チームワークデブリーフィングと医療提供者の職務およびパフォーマンス評価とをいずれもエクスポートする。
以下に、新生児蘇生シミュレーションについて医療提供者を採点する際に考慮すべき潜在因子をまとめる。この潜在因子には、ラジアントウォーマーの電源を入れ、首をやや伸ばした状態で新生児を置き、口の吸引後に鼻の吸引を試み、新生児の体と頭部を乾燥させ、呼吸を促すために新生児に刺激を与え、新生児に触れている湿ったリネンを取り除き、呼吸、心拍数および体色を評価することなどが含まれる。その他の潜在的な採点項目としては、酸素源にバッグやマスクを接続できるか、5L/minの100%酸素を選択できるか、酸素補給を行うことができるか、1分時のAPGAR(様子(Appearance)、心拍数(Pulse)、刺激反応(Grimace)、筋緊張(Activity)、呼吸(Respiration))スコアを知らせることができるか、応援を求められるか(たとえば、新生児集中治療(NICU)、US陸軍フィールドマニュアルスタッフ(FMスタッフ)など)、新生児に正しくマスクを装着させ、適切な速度(たとえば、40〜60回/分)と圧力で換気を開始できるかなどが挙げられる。
その他の採点項目としては、最初に心拍数、呼吸音および胸部の動きを評価できたか、最初に約30秒間人工呼吸を行えたか、約6秒間の心拍数の再評価を行えたか、心拍数が60bpm未満になった際に胸骨圧迫を開始できたか、2本の親指または2指による胸骨圧迫を正しく行えたか、胸骨圧迫/換気のリズムは正しいか(たとえば、圧迫2回/秒で、圧迫3回ごとに(「1、2、3、換気、1、2、・・・」のリズムで)人工呼吸を行う)、約30秒間の換気後に約6秒間の心拍数をチェックしたか、処置を始めてから約20秒以内に患者に正しく挿管できたか、換気を続ける前にチューブの設置を確認したか(たとえば、聴診、胸部が上がっていることやETチューブの蒸気を観察すること)、ETチューブが適切に固定されているか、臍静脈カテーテルの設置を思いついたかなどが含まれる。他の潜在的な採点項目としては、エピネフリン投与前に新生児の体重を測定したか、投与前にエピネフリンの投与量と濃度を確認したか、エピネフリンを適切な投与量および濃度でETチューブにより投与できたか(たとえば、ETチューブによる投与量が1:10,000濃度で0.3〜1ml/kg)、60bpm未満の心拍数に基づく胸骨圧迫の終了について正しく告げられたか、応援が到着するまで新生児に対し適切な速度で人工呼吸を続けられたか、5分経過時のAPGARスコアを知らせることができたかなどが挙げられる。
本発明の少なくとも一実施形態において、デブリーフィングで話し合われる指導点および緊急処置には、陽圧換気、胸骨圧迫の適切な実施および胸骨圧迫/換気の適切な割合などの新生児蘇生プログラム(NRP)アルゴリズム、エピネフリン投与量、エピネフリン濃度および投与経路の見直し、危機対処能力(crisis resource management skills)及びTEAMSTEPPsなどが含まれる。図8に、本発明の実施形態に係わるTEAMSTEPPSデブリーフィング用質問票のサンプルを示す。
他の潜在的な緊急処置には、新生児を保温し、適切に置き、乾燥させ、刺激を与えること、より高度な処置(たとえば、胸骨圧迫、挿管、配線(line placement)、薬剤療法など)を行う前に、少なくとも30秒間陽圧換気を実施すること、臍孔における心拍数の確認(少なくとも6秒間)、蘇生中の酸素の使用(たとえば、100%酸素を5L)、心拍数が60bpm未満になり陽圧換気の効果がなかった際に胸骨圧迫を実施することなどが含まれる。さらなる緊急処置として、適切な胸骨圧迫技術であるか、胸骨圧迫/換気の割合は適切か(たとえば、3:1=圧迫90回:30換気/分)、シミュレーション中のいずれかの時点で新生児に挿管を行えたか、臍帯ライン(umbilical line)の設定を考慮したか、心拍数が60bpmより上昇する前に適正な投与量/濃度のエピネフリンを投与したか(たとえば、1:10,000濃度を0.01〜0.03mg/kg投与、ただし1回のET投与あたり0.1mg/kgを上限とする)などが挙げられる。
本発明の実施形態において、医療提供者が到着しNRPを実施する時間でいえば、実際のシミュレーション自体は、約5〜10分で終了する。デブリーフィングには約15分かかり、その後CPS評価の完了までに5〜10分かかる。初期安定化に関するNRPコードには、Aは気道(Airway)(位置が適切でクリアである);Bは呼吸(Breathing)(呼吸のために刺激する);Cは循環(Circulation)(心拍数と体色の評価)、温度(Temperature)(保温と乾燥)が含まれる。
胎児仮死を伴う処置分娩シミュレーション
以下に、処置分娩シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
胎児仮死シミュレーションの処置分娩例となる臨床シナリオとしては、妊娠期間(GA)が38+5週目の26歳のG2P1001患者が挙げられる。患者の出産歴は顕著で、過去に満期の自然経膣分娩(SVD)の経験が1回あり、目立った合併症もなく7lbの男児を出産している。患者の現在の妊娠については、約3週間前にB群連鎖球菌感染と診断されていることを除けば特に合併症はない。患者には、目立った病歴や手術歴はない。患者は陣痛が活発になってきたために来院し、1時間前に行った最終チェックでは、C/C/+1ステーションだった。胎児心拍数出力は安定しているが減速しており、胎児の現在の心音は3分間に80台である。代替の臨床シナリオとしては、GAが41+1週目の41歳のG1P0患者などがある。患者は軽度の子癇前症のため陣痛誘発を行っているが、その他の点では出産前の経過は順調であった。患者は約15分前からいきみ始めている。胎児の心拍数が減速し約3分間に90bpm未満となったため、医療提供者が部屋に呼ばれた。
処置分娩事例で利用されるシミュレーターは、吸引分娩用胎児を備えるNOELLE分娩用人体模型であるが、他のシミュレーターも利用可能である。この胎児を用いれば、何ら変更せずに吸引または鉗子分娩のいずれかを行うことができる。吸引胎児を分娩用人体模型の腹部に設置する(頸部をセットする必要はない)。胎児のモニタリングシステムを活用し、出産中の末期的な徐脈を実演させる。このため、ソフトウェアを起動後に「Operative Vaginal Delivery Terminal Bradycardia」または「Operative Vaginal Delivery Repetitive Decels」ファイルを読み込み、胎児モニターの「Update」ボタンをクリックする。上記2種のモニタリングシナリオの違いは、胎児仮死レベルの差である。末期的な徐脈シナリオの場合、チームにはより迅速な行動が求められるが、他方の反復性の徐脈シナリオの場合、チームには患者に問診するのにより多くの時間が与えられる。職員1名が胎児および妊婦人体模型を管理する。また、病院職員が、患者に付き添う関係者役として加わって、シミュレーションに臨場感を与え、ストレスを加えたり、動転させたり、混乱状態を作るために家族を演ずることもある。
医療提供者は、吸引または鉗子を使用できる。真空装置との密閉度を上げるため、シリコンスプレー潤滑剤を利用する。あるいは、少量の超音波診断器用ゲルを利用する。医療提供者は、実際に会陰切開術を行うことはできないが、会陰切開術のシミュレーションは可能である。
本発明の実施形態では、胎児仮死シミュレーションの処置分娩用のケースフローには、NOELLEシミュレーターのセットアップ、胎児用モニターの起動、当該シナリオの読み込み、「Update」ボタンのクリックなどが含まれる。最初の医療提供者は、本臨床シナリオについて簡単な説明を受ける。この医療提供者が入室して頸部検査を行い、胎児仮死を診断する。医療提供者は、患者に処置分娩の適応/危険性についてカウンセリングする。カウンセリングを行わなかった場合、医療提供者は「危険性はありますか?」と尋ねられる。医療提供者は処置分娩を実行できる。胎児を押して娩出させたら、本シナリオは終了となる。デブリーフィングを行い、本分娩の技術的側面について、参加した各医療提供者が見直す。
医療提供者が小児科に応援を要請した場合、処置室に向かっている旨が告げられる。医療提供者には、入室時に与えられた以上の情報(履歴)は与えられない。シナリオが終了した後、適当な参加スタッフにラベルされたクリッカーが手渡され、CPSシステムを起動して、当該シナリオ用のデブリーフィングが読み込まれる。基本前提についてチームで見直し、チームワークデブリーフィングを実施する。チームワークデブリーフィング後、本シミュレーションの緊急処置について、チームで見直し、チームメンバーには、記録しておき必要に応じて分娩棟で実施すべき教訓がないかを質問する。分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を開いて、全採点者(たとえば、本シミュレーションを観察した医師2名と、看護師2名)により評価を行う。チームワークデブリーフィングと医療提供者の職務およびパフォーマンス評価とをいずれもエクスポートする。
以下に、胎児仮死シミュレーションの処置分娩について、医療提供者を採点する際に考慮すべき潜在因子をまとめる。潜在因子には、患者に(自発的に)吸引分娩に関するカウンセリングを行えたか、手順の適応について説明したか、潜在的な合併症(たとえば、肩甲難産、分娩後出血、第3度/第4度裂傷、子宮内膜炎、頭皮裂傷、頭血腫, 網膜出血および/または新生児黄疸)について話し合ったか、カウンセリング内容を理解できたかを患者に確認したか、何か質問がないかを患者に確認したかなどが含まれる。その他の潜在的な採点項目としては、代替案として帝王切開を提案できたか、小児科に応援を要請できたか、麻酔を要請できたか、骨盤を検査したか、胎児の頭部の位置を規定できたか、胎児の位置を評価できたか、妥当な麻酔剤を確保できたか、胎児の体重を概算できたかなどが挙げられる。
さらなる採点項目としては、嚢を空にしたか、陰唇を広げて真空装置を挿入したか、矢状縫合の中央部に真空カップを設置したか、膣組織が真空カップの下にないことを確実にチェックしたか、吸引を行うよう指示した後、吸引が行われていることを再度チェックしたか、適切な圧力を指示できたか(たとえば、約600mmHg)、カップに対して垂直方向に軸性けん引を行ったかなどが挙げられる。その他の潜在的な採点項目には、頭部が娩出されたらけん引方向を上方に変更したか、カップが外れてしまった場合に再度設置し直した後、真空カップの下に膣組織がないことを再度確認したか、頭部が娩出された後吸引を解除したか、胎児の頭部を娩出する間、会陰をサポートしようとしたか、分娩室での処置分娩を考えずオペ室に向かったかなどが含まれる。
さらに、医師については、タイムリーな胎児仮死への応答、吸引分娩を正しく実行できたか、吸引分娩を安全に実行できたか、吸引分娩手順の準備、総合的なパフォーマンス、本シナリオ中に患者に対し行ったカウンセリング全般などの因子に基づき採点してもよい。
鉗子を使用した場合には、さらに、その使用に基づいて医療提供者を採点する。潜在的な採点項目には、鉗子分娩について(自発的に)患者にカウンセリングしたか、代替案として帝王切開を提案できたか、手順の適応について説明したか、潜在的な合併症(たとえば、肩甲難産、第3度/第4度裂傷、分娩後出血、子宮内膜炎、頭血腫、顔面神経損傷、顔面の鉗子跡/裂傷、頭蓋内出血、頭蓋骨骨折など)について話し合ったかなどが含まれる。その他の潜在的な採点項目としては、カウンセリング内容を理解できたかを患者に確認したか、何か質問がないかを患者に確認したか、小児科および/または麻酔を要請できたか、骨盤を検査したか、鉗子を使用する前に胎児の頭部の位置を規定したか、胎児の位置を評価できたか、妥当な麻酔剤を確保できたか、胎児の体重を概算できたかなどが挙げられる。
医師に対するさらなる採点項目としては、嚢を空にしたか、最初に臀部または母体の左側に刃を挿入したか、右手を補助的に使って過度に力が入らないようにしながら左手で左の鉗子を支えられたか、上部から会陰を横切って弧を描くように左の鉗子を動かせたか、左手を補助的に使って過度に力が入らないようにしながら右手で右の鉗子を支えられたかなどが挙げられる。その他の潜在的な採点項目には、上部から会陰を横切って弧を描くように右の鉗子を動かせたか、刃を固定したか、矢状縫合をチェックして、脚面に垂直になっていることを確認できたか、後泉門をチェックして、脚面から1指分離れていることを確認できたか、頭部が両側の刃から等距離にあるかどうかチェックしたかなどが含まれる。医師に対するその他の潜在的な採点項目としては、各側の穿孔が1指以上にならないことを確認できたか、必要に応じ鉗子を解放させて再調整したか、陣痛に合わせてけん引したか、適切な方法で軸性けん引を行ったか、頭部が娩出されたらけん引の軸を上方に変更できたか、会陰をサポートしようとしたか、鉗子を取り外す際には挿入時の動きと逆になるようにしたか、分娩室での処置分娩を考えずオペ室に向かったかなどがある。医師のパフォーマンスは、安全性、心構え、技術的なパフォーマンス、パフォーマンス全般、患者へのカウンセリングなどの潜在因子についても採点される。
少なくとも一実施形態において、デブリーフィングで話し合われる指導点および緊急処置には、処置分娩の適応および禁忌の理解、(緊急時であっても)患者への簡易的なカウンセリングを実施すること、合併症の危険性を低減するための適切な技術などが含まれる。実際のシミュレーション自体は、約5〜7分ほどで終了する。デブリーフィングには、チームのパフォーマンスに応じて約10〜15分間かかる。
分娩後出血シミュレーション
以下に、分娩後出血シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
分娩後出血シミュレーションの例となる臨床シナリオとしては、急遂分娩した36歳のG3P2002患者が挙げられる。この患者は、陣痛が活発になった状態で来院し、すぐに4000グラムの男児を出産した。胎盤を娩出したばかりであるが、出血が続いている。オキシトシンを静脈内輸液に添加し投与している。患者のチャートはない。代替の臨床シナリオでは、21歳のG1P0患者が、約2時間前に鉗子により出産した。この患者には自然分娩の兆候があったが、胎児仮死のため処置分娩が必要になるまで数時間にわたってピトシン増強を必要とした。患者には縫合済みの第2度の裂傷があったが、過去15分間にパッド全体が濡れるほど出血している。
分娩後出血事例に利用されるシミュレーターは、分娩後出血用子宮が挿入されたNOELLE分娩用人体模型が挙げられるが、他のシミュレーターも利用可能である。この他に必要となるのは、床や後部の台に置かれた分娩盆の中のプラスチック製の胎盤、最初の点滴をシミュレートするために患者の腕に固定されたIVラインを備える静脈内輸液バッグ、体を持ち上げるための枕の上に置かれたNOELLE腹部内に設置された分娩後出血挿入部などである。これにより、腹部触診が可能になり、会陰に嵌め込むことができる。腹部カバーからは発泡パッドが外せるうえ、通常模型に付属している会陰部もスナップを外すことで取り外しできる(訓練者に子宮をよりよく感じてもらえるように)。模擬血液タンクを人体模型の頭部の側に置き、タオルまたはシーツで覆っておく(下流のチューブはクランプを外しておく)。タンクを充填した後、ハンドポンプを接続しバッグに加圧する。子宮には別のハンドポンプがあり、硬度をコントロールできる。本シナリオの開始時は、バッグはタプタプして柔らかい(boggy)状態である。適切な治療介入が行われていれば、本シナリオの終了時にはバッグは硬くなっている。職員1名が出血および母体模型を管理する担当となる。また、病院職員が、患者に付き添う関係者役として加わって、シミュレーションに臨場感を与え、ストレスを加えたり、動転させたり、混乱状態を作るために家族を演ずることもある。
膣由来ではなく頸部から流れる模擬血液が母体腹部に溜まることがないように、人体模型の胴の上部は、上方に傾けられている。タオルまたは吸収性パッドをモーター/子癇用部品付近の腹部上部に置き、モーターやその他の機械的部品に模擬血液が流入することがないようにしておく。医療提供者が子宮の柔らかさを感じやすいように、腹部カバーから発泡材のパッドを取り除く。医療提供者が子宮の触診をしようとした場合には、本シミュレーションではできないが触診結果は正常である旨が告げられる。医療提供者が膣の視診を行って、頸管裂傷の有無を尋ねた場合には、裂傷はない旨が告げられる。少量の模擬血液を会陰下方のパッドの上に注ぐ。
少なくとも一実施形態において、分娩後出血シミュレーション用のケースフロー/アルゴリズムとして、NOELLEシミュレーターのセットアップ、胎児用モニターの起動、「Postpartum Hemorrhage Initial」の読み込み、「Update」のクリックなどが挙げられる。最初の医療提供者は、本臨床シナリオについて簡単な説明を受け、入室する。出血が始まり(バッグは約1Lの模擬血液で満たされている)、タイマーが開始される。子宮はタプタプと柔らかい状態であり、膨らみきった状態ではない。30秒後に「Postpartum Hemorrhage 30 SECONDS」が読み込まれ、「Update」がクリックされて;60秒後に「Postpartum Hemorrhage 60 SECONDS」が読み込まれ、「Update」がクリックされ;120秒後に「Postpartum Hemorrhage 120 SECONDS」が読み込まれ、「Update」がクリックされる。医療提供者は診断と手技を開始する。手技の例としては、子宮底のマッサージ(子宮は柔らかいままであり出血も続く)、頸部/膣の裂傷の有無の検査、子宮のマニュアル洗浄の試み、および薬剤(たとえば、ヘマベート(hemabate)、メサルジン(methergine)、サイトテック(cytotech)など)などがある。医療提供者が子宮底のマッサージを行い、頸部裂傷を診断し、かつ2種の薬剤を適切に(投与量または経路)投与しない限り、子宮は柔らかい状態のままである。薬剤の投与(投与量または経路のいずれか)に誤りがある場合には、子宮は硬くならず、出血が続く。
本シナリオは、以下の場合に終了する:(1)子宮底のマッサージと、頸管裂傷検査と、2種の薬剤の適切な投与とが行われた場合、または(2)血液が流れきった場合(約5〜7分間かかる)。ここで出血用のチューブを締めて、デブリーフィングを行う。
医療提供者は、必要に応じてピトシンの割合を増やすことができるが、このことは本シナリオには何ら影響を与えない(最初にIVバッグに約20ユニットが用意される)。外部的には裂傷は見られない。医療提供者は、後部の台に置かれている胎盤検査をしてもよい。胎盤には損傷がないようである。ケースフローに挙げられた以外の時点でバイタルが求められたら、予め与えられたバイタルを繰り返し、医療提供者に胎児用モニターの方を指し示すか、そのいずれかを行う。医療提供者が出血量を尋ねたら、最初の分娩による出血量は概算で500ccであり、患者の初期ヘマトクリット値は30%である旨が告げられる。可膨張式の子宮に穴を開けることになるため、医療提供者は、子宮に薬剤を直接投与するために腹部に注射することはできない。投薬指示(投与量または経路)はすべて具体的に行われる。医療提供者にはノート類の使用が許可されていない。
本シナリオが終了した後に、適当な参加スタッフに、クリッカーが手渡され、CPSシステムが起動され、当該シナリオ用のデブリーフィングが読み込まれる。基本前提について、チームで見直し、チームワークデブリーフィングを実行する。チームワークデブリーフィング後に、本シミュレーションの緊急処置について、チームで見直す。チームメンバーには、記録しておき必要に応じて分娩棟で実施すべき教訓がないかを質問する。分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を開いて、全採点者(たとえば、本シミュレーションを観察した医師2名と、看護師2名)により評価を行う。チームワークデブリーフィングと医療提供者の職務およびパフォーマンス評価とをいずれもエクスポートする。
以下に、分娩後出血シミュレーションについて、医療提供者を採点する際に考慮すべき潜在因子をまとめる。潜在因子には、分娩後出血と診断できるか、胎盤を検査して損傷がないことを確認できるか、膣および頸部の裂傷の有無を検査できるか、子宮から出血していることを認識できるかなどがある。その他の潜在的な採点項目として、子宮底のマッサージの実施、子宮弛緩に対処する薬剤の投与(たとえば、適切な投与量(約0.2mg)・正しい経路(筋肉注射)でメサルジンを投与;適切な投与量(約0.25mg)・正しい経路(筋肉注射)でヘマベートを投与;適切な投与量(約800〜1000μg)・正しい経路(肛門から)でサイトテック(ミソプロストール;misprostol)を投与)、血液が流れきる前に出血を止められるか、出血を止めるまでにかかった時間の総量などがある。さらに、医療提供者は、分娩後出血をタイムリーに診断できるか、タイムリーに薬剤投与の指示ができるか、パフォーマンス全般および準備に基づき採点される。
少なくとも一実施形態において、デブリーフィングで話し合われる指導点および緊急処置には、分娩後出血の危険因子の知識、薬剤の正しい投与量と経路の知識、採点項目にまとめたような緊急処置を実行する能力、分娩後出血の差異を知っていることなどが含まれる。実際のシミュレーション自体は、約5〜7分ほどで終了する。デブリーフィングには、チームのパフォーマンスに応じて約10〜15分間かかる。
肩甲難産シミュレーション
以下に、肩甲難産シミュレーションのカリキュラム例を説明する。当業者であれば、この開示に基づき、特定の工程段階は例示に過ぎず省略可能なものも含まれるということが理解できる。当業者にとって、本発明の範囲と要旨を逸脱することなく、多くの修正・変更が可能であることは明らかである。
肩甲難産シミュレーションの例となる臨床シナリオとしては、妊娠期間が41+1週目の35歳のG2P1001患者が挙げられる。この患者の出産前の経過は、母体年齢が高いこと(advanced maternal age=AMA)による問題があり、羊水穿刺は正常、1時間グルコラ(glucola)テスト(糖尿病診断検査)は陽性で3時間ブドウ糖負荷試験(GTT)は陰性であった。陣痛が活発になったため来院し、鎮痛のため硬膜外麻酔を受け出産は順調に進行していた。最終チェックでは、C/C/+1ステーションであり、いきみ始めてから約90分間経過し、胎児の心拍数出力はしっかりしていた。代替の臨床シナリオでは、妊娠期間38+4週目の21歳のG3P0020患者が診察を待っている。患者の出産前の経過には母体の肥満(BMI=31)による問題があった。1時間グルコラテストは正常で、約12時間前に自然破水(SROM)した状態で来院したが陣痛が不規則であった。なお、破水したのは透明な液体であった。患者は、オキシトシンを投与され、C/C/+2まで進行し、いきみ感が強くなっているのを感じている。胎児の心拍数出力は安定している。
肩甲難産事例で利用されるシミュレーターとしては、NOELLE分娩用人体模型と、付属の難産ハーネスを有する胎児が挙げられるが、その他のシミュレーターも利用可能である。胎児の頭部が娩出した後、医療提供者は胎児の残りの部分を娩出させようとしている。職員が患者のガウンと腹部カバーの下側に手を置いて胎児/ハーネスを保持している。また、職員は、胎児の体もしくは足を掴み、または胎児の周囲に巻き付けられているハーネスを用いることで胎児を保持する。このハーネスは薄くて強い材料、すなわちナイロン製ストラップやバンジーコードなどからなる。分娩中に後方にある腕は、娩出可能になっている。胎児心拍数モニターを使用して出産中の末期的な徐脈を実演させる。このため、ソフトウェアを起動後に、「Shoulder Dystocia」ファイルを読み込み、胎児用モニターの「Update」ボタンをクリックする。職員1名が胎児および母体人体模型を管理する。また、病院職員が、患者に付き添う関係者役として加わって、シミュレーションに臨場感を与え、ストレスを加えたり、動転させたり、混乱状態を作るために家族を演ずることもある。
たとえば、シリコン潤滑剤やソノグラムゲルなどの大量の潤滑剤を胎児に使用する。胎児が引っかかってしまわないように、頸部を外しておく。医療提供者は、必要性があると感じた場合は会陰切開術のシミュレーションのみを行い、実際に人体模型を切らないように注意される。胎児の心拍数監視シミュレーターを利用する場合には、医療提供者に対し、「赤ん坊が非常に青い」や「なぜ赤ん坊が出てこないのか」などのコメントをする。
少なくとも一実施形態において、肩甲難産シミュレーション用のケースフロー/アルゴリズムには、NOELLEシミュレーターのセットアップ、胎児用モニターの起動、所望のシナリオの読み込み、および「Update」ボタンのクリックなどが含まれる。最初の医療提供者に、本臨床シナリオについて簡単に説明する。医療提供者は入室すると、患者には陣痛があり、いきまずにはいられないと感じている旨が伝えられる。胎児の頭部が娩出されるまで押す。胎児の一方の肩が前方にあるために胎児は戻ってしまう。ハーネスが引っ張られており、両肩ともに娩出されない。タイマーを作動させて、頭部娩出から全身が娩出されるまでの間隔が測定する。医療提供者は肩甲難産と診断して、手技を開始する。肩が娩出されているかどうかを医療提供者が尋ねた場合、当該手技に対するフィードバックがある。医療提供者が後方にある腕を娩出できた場合には、胎児が分娩される。医療提供者が後方にある腕の娩出を試みない場合にはザバネリー手技を実施するまで、または、採点者に対して他に何をすべきかわからない旨を告げるまで、本シミュレーションが続けられる。本シナリオが終了した後(後方にある腕が娩出されるか、ザバネリー手技が行われるか、医療提供者が分娩を断念するいずれかの場合)、タイマーを停止し、デブリーフィングが行われる。
医療提供者には、入室前に与えられた以上の患者病歴は与えられない。医療提供者が胎児を強く引っ張った場合には、職員は胎児をしっかり掴んで離さないでおく。分娩中に胎児の前方の肩が現れたら、職員は胎児を骨盤の方に引き戻すようにする。
本シナリオが終わった後、適当な参加スタッフに、クリッカーが手渡され、CPSシステムが起動され、当該シナリオ用のデブリーフィングが読み込まれる。基本前提について、チームで見直し、チームワークデブリーフィングを実行する。チームワークデブリーフィング後に、本シミュレーションの緊急処置について、チームで見直す。チームメンバーには、記録しておき必要に応じて分娩棟で実施すべき教訓がないかを質問する。分娩チームは解散となり、本シミュレーションシナリオ用の医療提供者の職務およびパフォーマンス評価を開いて、全採点者(たとえば、本シミュレーションを観察した医師2名と、看護師2名)により評価を行う。チームワークデブリーフィングと医療提供者の職務およびパフォーマンス評価とをいずれもエクスポートする。
以下に、肩甲難産シミュレーションについて、医療提供者を採点する際に考慮すべき潜在因子をまとめる。潜在因子には、肩甲難産の診断ができるか、補助を要請できるか(たとえば、看護師、医師および/または小児科医など)、分娩させるため軽くけん引を行えるか、マックロバーツ(McRobert)法の実施、恥骨上部の圧迫などがある。その他の潜在的な採点項目には、斜径法(oblique maneuver)(たとえば、WoodscrewまたはRubinなど)の試み、会陰切開術、後方にある腕の娩出の試み、嚢の排水、鎖骨破砕の試み、恥骨結合切開、ザバネリー法の実施、ガス分析のための臍帯血の回収、頭部娩出から全身が娩出されるまでの実際の時間、などが含まれる。医療提供者は、さらに、タイムリーな手技の実践、手技の実践の正確性、総合的なパフォーマンスおよび準備に基づき採点される。
少なくとも一実施形態において、デブリーフィングで話し合われる指導点および緊急処置としては、肩甲難産を予測できたか、肩甲難産の危険因子を理解し言葉で表現できるか、採点項目にまとめたような緊急処置を実施できたか、実行可能な一連の手技を知っていたかなどが挙げられる。実際のシミュレーション自体は、約5〜7分ほどで終了する。デブリーフィングには、チームのパフォーマンスに応じて約10〜15分間かかる。
このように、本発明の実施形態によれば、有関節分娩母体シミュレーターを含む産科シミュレーションシステムが提供される。分娩母体シミュレーターは、胸部隆起部品のある挿管可能な気道と、薬剤受入部品を有する前腕および/または胎児心音部品とを有する実物大の全身女性模型である。別の実施形態では、分娩母体シミュレーターには四肢(つまり腕および足)がない。さらに、分娩母体シミュレーターには、頭部下降および子宮頸管の拡張モニターと、少なくとも2箇所に位置設定できる胎盤と、2以上の交換可能な拡張頸部および/または分娩後の外陰縫合用挿入部とを有する。
図9Aおよび9Bに図示したように、子癇シミュレーション部品910が、分娩母体シミュレーター930の空洞部920に備えられ、子癇シミュレーション部品910は、モーター940と、モーター940に接続される駆動軸950と、駆動軸950に接続されるカム960とを有する。図9Bに子癇シミュレーション部品910の側面図を、図9Cに子癇シミュレーション部品910の上面図を示す。カム960は、空洞部920内部の開口部970に係合して動く。カム960の中心は、開口部970の中心に対してずらしてある。具体的には、図9Bに図示するように、駆動軸950が回転して、その回転によりカム960が動くことで、空洞部920が動いて分娩母体シミュレーター930全体を振動させる。
少なくとも一の処理機構が備えられ、この処理機構が分娩母体シミュレーターからの入力信号を受信し、この入力信号に基づきフィードバック信号を生成し、分娩母体シミュレーターにフィードバック信号を送信する。産科シミュレーションシステムには、さらに分娩母体シミュレーターに接続される医療情報(たとえば、心拍数、体温など)表示部、処理機構に接続されるビデオ録画再生システムおよび/または分娩母体シミュレーターに接続されるオーディオシステム等が含まれる。
さらに、処理機構には、採点用部品が接続される。以上詳しく記載してきたとおり、CPSデブリーフィング/採点システムは、専用キーパッド(IRシステム)と、ラベル表示付きのキーパッドと、画面上の匿名性機能とを有する。図6Aおよび6Bに画面上の匿名性の例を図示している。各採点者(たとえば、医師1、医師2、看護師1、看護師2)は、システム中にスコアを入力する。たとえば、子癇発作シミュレーション用の採点項目は、医療提供者がその状況を子癇発作と認識できたかどうか(Recognizes situation as an eclamptic seizure)という点である(図6Aにおいて、A=Yes(できた)/B=No(できなかった))。全採点者がスコアを入力し終えたら、総スコアが表示されるが、画面上採点者の匿名性が保たれる(図6Bにおいて、採点者5名が「Yes(できた)」と記録し、採点者3名は「No(できなかった)」と記録)。図6Cに図示するように、特定の採点項目について、採点者による入力結果を見るために報告書を作成することができる(たとえば、「Calls for additional help(応援を求める)」等)。
本発明の少なくとも一の実施形態によれば、シミュレーターと、処理機構と、少なくとも1台の表示部とを有するシミュレーションシステムの組み立てを含む方法が提供される。前記シミュレーションシステムには、1システム内に複数の医療施設向けのドキュメントが備えられる。また、前記シミュレーターの使用と、異なるシミュレーションと、与えられたシミュレーションにおける前記パフォーマンスを評価するための基準とに関する訓練も提供される。前記訓練には、シミュレーションシステムを用いてシミュレーションを実行するためのチーム訓練が含まれる。前記シミュレーションには、殿位経膣分娩、臍帯脱出、子癇、新生児蘇生、処置分娩、分娩後出血および/または肩甲難産が含まれる。
より具体的には、殿位経膣分娩シミュレーションは、分娩用人体模型および殿位の分娩用胎児で構成される。図10に示すように、医療スタッフに、患者が腹圧を感じいきんでしまうことを教える(項目1010)。ここで患者とは、分娩用人体模型である。本シミュレーションでは、分娩用人体模型の頸部検査から、分娩用胎児が逆子であることを医療スタッフが診断できるかどうかを観察する(項目1020)。さらに、医療スタッフが分娩の準備を実行できるかについても観察する(項目1030)。この分娩の準備には、仙骨前位で分娩用胎児の臀部が娩出されはじめるまで分娩用胎児の頭部を押すことなどが含まれる。本シミュレーションでは、医療スタッフが分娩手技を実施できるかを観察する(項目1040)。この分娩手技に対しては、本シミュレーション中にフィードバックの形で応答がある(項目1050)。医療スタッフはデブリーフィングを行い(項目1060)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1070).
臍帯脱出シミュレーションは、分娩用人体模型、およびタッチスクリーンを備えるモニター可動式カートで構成される。図11に示すように、医療スタッフに、患者が破水したことを教える(項目1110)。ここで患者とは、分娩用人体模型である。本シミュレーションでは、タッチスクリーンモニター上で分娩用胎児が仮死状態にあることを医療スタッフが診断できるかどうかを観察し(項目1120)、医療スタッフが胎児仮死に対処できるかどうかを観察する(項目1130)。医療スタッフが経膣分娩を待つようであれば、分娩用胎児を分娩用人体模型の腹部から出さない(項目1140)。本シミュレーションでは、医療スタッフが分娩用人体模型をオペ室に移送できるかどうかを観察する(項目1150)。医療スタッフはデブリーフィングを行い(項目1160)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1170)。
子癇シミュレーションは、分娩用人体模型、および少なくともタッチスクリーンモニター1台を備える可動式カートで構成される。本分娩用人体模型は、全身発作のシミュレーションのための振動手段を有する(たとえば、子癇シミュレーション部品)。図12に示すように、医療スタッフに、患者は頭痛がしており症状は悪化していることを教える(項目1210)。ここで患者とは、分娩用人体模型である。医療スタッフには、さらに、患者の血圧が上昇していることを教える(項目1220)。本シミュレーターによる模擬子癇発作が起こされ(項目1230);医療スタッフが模擬子癇発作と判断し、治療介入できるかを観察する(項目1240)。この治療介入には、薬剤投与および/または患者の体位回転が含まれる。模擬子癇発作はそのまま継続される(項目1250)。医療スタッフはデブリーフィングを行い(項目1260)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1270)。
新生児蘇生シミュレーションは、分娩用人体模型および新生児シミュレーターで構成される。図13に示すように、新生児シミュレーターが呼吸をしておらず、心拍数が1分間あたり100回未満であることに、医療スタッフが気付くかどうか観察する(項目1310)。本シミュレーションでは、医療スタッフが吸引を行い、新生児シミュレーターを乾燥して該シミュレーターに刺激を与え、濡れたリネン類を除去し、酸素による陽圧換気を行えるかどうかを観察し(項目1320)、新生児シミュレーターが無呼吸のままであり、心拍数が1分間あたり60回未満であることに、医療スタッフが気付けるかどうかを観察する(項目1330)。さらに、医療スタッフが、たとえば胸骨圧迫、挿管および/または薬剤の投与などの治療介入を行ったか否かを観察する(項目1340)。また、本シミュレーションでは、医療スタッフが、実際の心拍数のために臍帯拍動を計測することができるかどうかを観察し(項目1350)、吸引・挿管し少なくともエピネフリンを1用量分投与した後5分が経過すると、新生児シミュレーターが呼吸し心拍数が上昇していることに、医療スタッフが気付けるかどうかを観察する(項目1360)。医療スタッフは、デブリーフィングを行い(項目1370)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1380)。
処置分娩シミュレーションは、分娩用人体模型、少なくともタッチスクリーンモニター1台を備える可動式カート、および吸引分娩または鉗子分娩を可能にする吸引分娩用胎児で構成される。図14に示すように、医療スタッフが頸部検査を行って胎児仮死を診断できるかどうかを観察する(項目1410)。また、本シミュレーションでは、医療スタッフが処置分娩の適応と危険性について患者にカウンセリングを行うかどうか(項目1420)、そして、医療スタッフが処置分娩を行うかどうかについても観察する(項目1430)。胎児が押されて処置分娩が促される(項目1440)。医療スタッフは、デブリーフィングを行い(項目1450)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1460)。
分娩後出血シミュレーションは、分娩後出血用子宮が挿入された分娩用人体模型、および少なくともタッチスクリーンモニター1台を備える可動式カートで構成される。図15に示すように、分娩用人体模型の出血をシミュレートし(項目1510);分娩用人体模型の子宮を完全に膨らませずにおく(項目1520)。本シミュレーションでは、医療スタッフが診断を下し、手技を実行できるかを観察する(項目1530)。この手技には、子宮底のマッサージ、頸部および/または膣の裂傷の有無の確認、子宮のマニュアル洗浄および/または薬剤投与などが含まれる。前記手技として子宮底のマッサージが施術された場合、出血シミュレーションを継続する(項目1540)。医療スタッフは、デブリーフィングを行い(項目1550)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1560)。
肩甲難産シミュレーションは、分娩用人体模型、および少なくともタッチスクリーンモニター1台を備える可動式カートで構成される。図16に示すように、医療スタッフに、患者の陣痛が始まっており、いきみ感があることを教える(項目1610)。ここで患者とは、分娩用人体模型である。頭部が娩出されるまで、胎児頭部を押し(項目1620);胎児の肩が前方にある状態で、前記胎児を中へ引き戻す(項目1630)。ハーネスをけん引し、肩を娩出させない(項目1640)。タイマーを作動させて、頭部娩出から全身が娩出されるまでの間隔を測定する(項目1650)。本シミュレーションでは、医療スタッフが肩甲難産と診断し、手技を実行できるかどうかを観察する(項目1660)。手技に対して、フィードバックの形で応答する(項目1670)。胎児の後方の腕を娩出できた場合には、胎児を娩出させる(項目1680)。胎児の後方の腕を娩出できなかった場合には、医療スタッフはZavanelli法を行うか、分娩を中断することができる(項目1690)。タイマーを停止してから(項目1692)、医療スタッフは、デブリーフィングを行い(項目1694)、観察および所定の評価基準に基づき採点される(項目1696)。具体的には、医療スタッフは、以下の項目のうちの少なくとも5つに基づき採点される。その採点項目には、肩甲難産の診断、看護師、医師、小児科医の少なくとも1名に応援を要請すること、分娩させるために軽くけん引する、マックロバーツ法の実施、恥骨上部の圧迫、斜径法の試み、会陰切開術、後方にある腕を娩出させる試み、嚢の排水、鎖骨破砕の試み、恥骨結合切開、ザバネリー法の実施、ガス分析のための臍帯血の回収、頭部娩出から全身が娩出されるまでの実際の時間、タイムリーな手技の実践、手技の実践の正確性、総合的なパフォーマンスおよび準備が含まれる。
ここで使用した用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明を限定する意図はない。明細書内で別段の明示がされない限りは、ここで使用される単数形の「a」「an」および「the」には、複数形も包含されている。「有する(comprises)」および/または「有している(comprising)」等の用語は、本明細書中で使用される場合、規定された特徴、整数、ステップ、操作、要素および/または部品の存在を示すが、1以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品および/またはそれらのグループの存在や追加を排除するものではない。

Claims (34)

  1. 有関節分娩母体シミュレーターと;
    前記分娩母体シミュレーターの空洞部に備えられる子癇シミュレーション部品であって、
    前記子癇シミュレーション部品が、
    モーターと、
    モーターに接続される駆動軸と、
    駆動軸に接続されるカムとを有し、前記カムは前記空洞部内の開口部に係合して動き、前記カムの中心は開口部中心に対してずらしてある前記子癇シミュレーション部品と;
    前記分娩母体シミュレーターからの入力信号を受信し、前記入力信号に基づきフィードバック信号を生成し、前記フィードバック信号を前記分娩母体シミュレーターに送信する少なくとも1台の処理機構と;
    前記分娩母体シミュレーターに接続される医療情報表示部と;
    前記処理機構に接続される採点用部品と;を有する産科シミュレーションシステム。
  2. 前記処理機構に接続されるビデオ録画再生システムをさらに有する請求項1に記載の産科シミュレーションシステム。
  3. 前記分娩母体シミュレーターに接続されるオーディオシステムをさらに有する請求項1に記載の産科シミュレーションシステム。
  4. 前記分娩母体シミュレーターは、少なくとも1体の実物大の全身女性と、胸部隆起部品のある挿管可能な気道と、薬剤受入部品を有する前腕と、胎児心音部品と、頭部下降および子宮頸管の拡張モニターと、少なくとも2箇所に位置設定できる胎盤と、2以上の交換可能な拡張頸部と、分娩後の外陰縫合用挿入部とを有する請求項1に記載の産科シミュレーションシステム。
  5. 有関節分娩母体シミュレーターと;
    前記分娩母体シミュレーターの空洞部に備えられる子癇シミュレーション部品であって、
    前記子癇シミュレーション部品が、
    モーターと、
    モーターに接続される駆動軸と、
    駆動軸に接続されるカムとを有し、前記カムは前記空洞部内の開口部に係合して動き、前記カムの中心は開口部中心に対してずらしてある子癇シミュレーション部品と;を有する産科シミュレーションシステム。
  6. 少なくとも1台の前記分娩母体シミュレーターおよび前記分娩用胎児からの入力信号を受信し、前記入力信号に基づきフィードバック信号を生成し、少なくとも1台の前記分娩母体シミュレーターに前記フィードバック信号を送信する少なくとも1台の処理機構と;
    前記母体モニタリングシステムおよび前記胎児モニタリングシステムに接続される医療情報表示部;と
    前記処理機構に接続される採点用部品とをさらに有する請求項5に記載の産科シミュレーションシステム。
  7. 前記処理機構に接続されるビデオ録画再生システムをさらに有する請求項5または6に記載の産科シミュレーションシステム。
  8. 少なくとも1台の前記分娩母体シミュレーターおよび前記有関節分娩用胎児に接続されるオーディオシステムをさらに有する請求項5または6に記載の産科シミュレーションシステム。
  9. 前記分娩母体シミュレーターは、少なくとも1体の実物大の全身女性と、胸部隆起部品のある挿管可能な気道と、薬剤受入部品を有する前腕と、胎児心音部品と、頭部下降および子宮頸管の拡張モニターと、少なくとも2箇所に位置設定できる胎盤と、2以上の交換可能な拡張頸部と、分娩後の外陰縫合用挿入部とを有する請求項5または6に記載の産科シミュレーションシステム。
  10. シミュレーターと、処理機構と、少なくとも1台の表示部とを有するシミュレーションシステムの組み立てと;
    1システム内に複数の医療施設向けのドキュメントを備えた前記シミュレーションシステムの提供と;
    前記シミュレーターの使用と、各々異なるシミュレーションと、与えられたシミュレーションにおけるパフォーマンスを評価するための基準とに関する訓練の提供とを有する方法。
  11. 前記シミュレーションには、殿位経膣分娩シミュレーションが含まれ、前記殿位経膣分娩シミュレーションは、
    患者が分娩用人体模型からなり、前記患者は腹圧を感じいきんでしまうことを医療スタッフに説明し;
    前記医療スタッフが、前記分娩用人体模型の頸部検査から、分娩用胎児が殿位であることを診断できるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが、前記分娩用胎児の臀部が仙骨前位で娩出されはじめるまで、前記分娩用胎児の頭部を押すことを含む分娩準備を行えるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが、分娩手技を行えるかどうかを観察し;
    前記シミュレーション中に、フィードバックの形で前記分娩手技に応答し;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  12. 前記組み立ては、前記分娩用人体模型および前記殿位の分娩用胎児の組み立てを含む請求項10または11に記載の方法。
  13. 前記シミュレーションには、臍帯脱出シミュレーションが含まれ、前記臍帯脱出シミュレーションは、
    患者が分娩用人体模型からなり、前記患者が破水したことを医療スタッフに説明し;
    医療スタッフが、タッチスクリーンモニターで分娩用胎児が仮死状態にあることを認識できるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが前記胎児仮死に対処できるかどうかについて観察し;
    前記医療スタッフが経膣分娩を待つようであれば、前記分娩用胎児を前記分娩用人体模型の腹部内に保たせ;
    前記医療スタッフが、前記分娩用人体模型を手術室に移送できるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  14. 前記組み立ては、前記分娩用人体模型、および前記タッチスクリーンモニターを有する可動式カートの組み立てを含む請求項10または13に記載の方法。
  15. 前記シミュレーションには、子癇シミュレーションが含まれ、前記子癇シミュレーションは、
    患者が分娩用人体模型からなり、前記患者が頭痛を感じており悪化していることを医療スタッフに説明し;
    前記医療スタッフに、前記患者の血圧が上昇していることを説明し;
    前記シミュレーターにより模擬子癇発作が起こされ;
    前記医療スタッフが、前記模擬子癇発作と判断し、薬剤投与および前記患者の体位回転の少なくとも一つを含む治療介入ができるかを観察し;
    前記模擬子癇発作をそのまま継続させ;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  16. 前記組み立ては、前記分娩用人体模型、および少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートの組み立てを含み、前記分娩用人体模型は、全身発作をシミュレートするために振動させる手段を有する請求項10または15に記載の方法。
  17. 前記シミュレーションには、新生児蘇生シミュレーションが含まれ、前記新生児蘇生シミュレーションは、
    新生児シミュレーターが呼吸をしておらず、1分間の心拍数が100回未満であることに、医療スタッフが気付くかどうかを観察し、
    前記医療スタッフが、吸引を行い、新生児シミュレーターを乾燥させて刺激を与え、濡れたリネン類を除去し、酸素による陽圧換気を行えるかどうかを観察し;
    新生児シミュレーターが依然として呼吸をせず、1分間の心拍数が60回未満になっていることに、前記医療スタッフが気付くかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが、胸骨圧迫、挿管、および薬剤投与の少なくとも一つを含む治療介入ができるかを観察し;
    前記医療スタッフが、実際の心拍数のために臍帯拍動を計測することができるかを観察し;
    吸引を行い、挿管して少なくともエピネフリンを1用量分投与した後5分が経過すると、前記新生児シミュレーターが呼吸し前記心拍数が上昇していることに、前記医療スタッフが気付くかを観察し;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  18. 前記組み立ては、分娩用人体模型および前記新生児シミュレーターの組み立てを含む請求項10または17に記載の方法。
  19. 前記シミュレーションには、処置分娩シミュレーションが含まれ、前記処置分娩シミュレーションは、
    医療スタッフが頸部検査を行い、胎児仮死に気付くことができるかを観察し;
    前記医療スタッフが、患者に対して処置分娩についてカウンセリングし、その危険性を説明できるかを観察し;
    前記医療スタッフが、処置分娩を行えるかを観察し;
    前記胎児が押されて処置分娩が促され;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  20. 前記組み立てには、分娩用人体模型、少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カート、および吸引分娩用胎児の組み立てが含まれ、
    前記吸引分娩用胎児により、吸引分娩および鉗子分娩の1つが可能となる請求項10または19に記載の方法。
  21. 前記シミュレーションには、分娩後出血シミュレーションが含まれ、前記分娩後出血シミュレーションは、
    前記シミュレーターの分娩用人体模型の出血をシミュレートし;
    前記分娩用人体模型の子宮は完全に膨らませずにおき;
    医療スタッフが診断を下し、子宮底のマッサージ、頸部および膣検査の少なくとも1つによる裂傷の有無の確認、子宮のマニュアル洗浄、および薬剤投与の少なくとも1つの施術を行うことができるかを観察し;
    子宮底のマッサージが施術された場合、出血シミュレーションを継続し;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  22. 前記組み立ては、分娩後出血症の子宮挿入部を備える前記分娩用人体模型、および少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートの組み立てを含む請求項10または21に記載の方法。
  23. 前記シミュレーションには、肩甲難産シミュレーションが含まれ、前記肩甲難産シミュレーションは、
    患者が分娩用人体模型からなり、患者の陣痛が始まっておりいきんでしまうことを、医療スタッフに告げ;
    胎児の頭部が娩出されるまで押し;
    前記胎児の肩が前方にある状態で、前記胎児を再び引き戻し;
    ハーネスをけん引して、前記肩を娩出させないようにし;
    タイマーを作動して、頭部娩出から全身が娩出されるまでの間隔を測定し;
    前記医療スタッフが肩甲難産と診断し、手技を行えるかを観察し;
    前記手技に対して、フィードバックの形で応答し;
    前記胎児の後方の腕を娩出できた場合には、前記胎児を娩出させ;
    前記医療スタッフが、前記胎児の前記後方の腕を娩出できなかった場合には、前記医療スタッフにZavanelli法を行わせるか、分娩を中断することができ;
    前記タイマーを停止し;
    前記医療スタッフに対してデブリーフィングを行い;
    観察および所定の評価基準に基づき、前記医療スタッフを評価することを含む請求項10に記載の方法。
  24. 前記組み立ては、前記分娩用人体模型、および少なくとも1台のタッチスクリーンモニターを有する可動式カートの組み立てを含む請求項10または23に記載の方法。
  25. 前記訓練は、前記シミュレーションシステムを用いてシミュレーションを実行するためのチーム訓練を含む請求項10〜24のいずれかに記載の方法。
  26. 分娩用人体模型と、分娩用胎児と、処理機構と、少なくとも1台の表示部とを有するシミュレーションシステムを組み立て;
    医療スタッフにシミュレーション前の臨床シナリオを提供し;
    前記シミュレーションシステムの起動を含む医療処置のシミュレーションを開始し;
    前記医療スタッフの行動を観察し;
    前記行動に対して、前記シミュレーションシステムからのフィードバック信号として応答し;
    前記フィードバックに対する前記医療スタッフからの応答を観察し;
    前記医療処置のシミュレーションを終了し;
    前記医療スタッフについて、デブリーフィングを行い、前記行動、前記応答および所定の評価基準に基づき評価することを含む医療処置のシミュレーション方法。
  27. 前記医療処置のシミュレーションは、殿位経膣分娩を含み、
    前記医療スタッフへのシミュレーション前の臨床シナリオの提供は、前記医療スタッフに対し、患者が前記分娩用人体模型からなり、腹圧を感じいきんでしまうことを説明することを含み、
    前記医療スタッフの行動の観察は:
    前記医療スタッフが、前記分娩用人体模型の頸部検査から、分娩用胎児が逆子であることを診断できるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが、前記分娩用胎児の臀部が仙骨前位で娩出されはじめるまで、前記分娩用胎児の頭部を押すことを含む分娩準備を行えるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが、分娩手技を行えるかどうかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  28. 前記医療処置のシミュレーションは、臍帯脱出を含み、
    前記医療スタッフへのシミュレーション前の臨床シナリオの提供は、前記医療スタッフに対し、患者が前記分娩用人体模型からなり、前記患者が破水したことを説明することを含み、
    前記医療スタッフの行動の観察は:
    前記医療スタッフが、前記表示部で分娩用胎児が仮死状態にあることを認識できるかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが前記胎児仮死に対処できるかどうかについて観察し;
    前記分娩用胎児が前記分娩用人体模型の腹部に留まっている場合に、前記医療スタッフが、前記分娩用人体模型を手術室に移送できるかどうかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  29. 前記医療処置のシミュレーションは、子癇シミュレーションを含み、
    前記医療スタッフへのシミュレーション前の臨床シナリオの提供は、前記医療スタッフに対し、患者が前記分娩用人体模型からなり、前記患者が頭痛を感じており悪化しており、前記患者の血圧が上昇していることを説明することを含み、
    前記医療スタッフの行動の観察は、前記医療スタッフが、前記模擬子癇発作と判断し、薬剤投与および前記患者の体位回転の少なくとも一つを含む治療介入ができるかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  30. 前記医療処置のシミュレーションは、新生児蘇生を含み、前記医療スタッフの行動の観察は:
    前記シミュレーションシステムの新生児シミュレーターが呼吸をしておらず、1分間の心拍数が100回未満であることに、前記医療スタッフが気付くかどうかを観察し、
    前記医療スタッフが、吸引を行い、前記新生児シミュレーターを乾燥させて刺激を与え、濡れたリネン類を除去し、酸素による陽圧換気を行えるかどうかを観察し;
    新生児シミュレーターが依然として呼吸をせず、前記1分間の心拍数が60回未満になっていることに、前記医療スタッフが気付くかどうかを観察し;
    前記医療スタッフが、胸骨圧迫、挿管、および薬剤投与の少なくとも一つを含む治療介入ができるかを観察し;
    前記医療スタッフが、実際の心拍数のために臍帯拍動を計測することができるかを観察し;
    前記吸引を行い、挿管して少なくともエピネフリンを1用量分投与した後5分が経過すると、前記新生児シミュレーターが呼吸し前記心拍数が上昇していることに、前記医療スタッフが気付くかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  31. 前記医療処置のシミュレーションは、処置分娩を含み、前記医療スタッフの行動の観察は:
    前記医療スタッフが頸部検査を行い、胎児仮死に気付くことができるかを観察し;
    前記医療スタッフが、患者に対して処置分娩についてカウンセリングし、その危険性を説明できるかを観察し;
    前記医療スタッフが、処置分娩を行えるかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  32. 前記医療処置のシミュレーションは、分娩後出血シミュレーションを含み、前記医療スタッフの行動の観察は、医療スタッフが診断を下し、子宮底のマッサージ、頸部および膣検査の少なくとも1つによる裂傷の有無の確認、子宮のマニュアル洗浄、および薬剤投与の少なくとも1つの施術を行うことができるかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  33. 前記医療処置のシミュレーションは、肩甲難産シミュレーションを含み、前記医療スタッフへのシミュレーション前の臨床シナリオの提供には、前記医療スタッフに対し、患者が前記分娩用人体模型からなり、患者の陣痛が始まっておりいきんでしまうことを説明することを含み、
    前記医療スタッフの行動の観察は、前記医療スタッフが肩甲難産と診断し、手技を行えるかを観察することを含む請求項26に記載の方法。
  34. 前記医療スタッフの評価は、肩甲難産の認識、看護師、医師および小児科医のすくなくとも1名へのサポートの依頼、分娩を試みるための軽いけん引の実施、マックロバーツ(McRobert)法の実施、恥骨上部の圧迫、斜径法(oblique maneuver)の試み、会陰切開術、後方にある腕の娩出の試み、嚢の排水、鎖骨破砕の試み、恥骨結合切開、ザバネリー法の実施、ガス分析のための臍帯血の回収、頭部娩出から全身が娩出されるまでの実際の時間、タイムリーな手技の実践、手技の実践の正確性、総合的なパフォーマンスおよび準備のうち少なくとも5つの項目に基づく評価を含む請求項26または請求項33に記載の方法。
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