JP2010539107A - 臓器保存のためのニューレグリンの使用 - Google Patents

臓器保存のためのニューレグリンの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、心臓などの移植用臓器の保存、灌流、又は再灌流のための組成物及び方法を提供する。該組成物は、保存溶液及び有効な量のニューレグリンを含む。該方法は、臓器を有効な量のニューレグリンと接触させることを含む。
【選択図】なし

Description

本出願は、米国特許仮出願番号第60/993,566号(2007年9月12日出願)の優先権の利益を主張し、これらの内容は、その全体が参照により本明細書中に組み込まれている。
(1. 発明の分野)
本発明は、移植用の心臓などの臓器の保存、灌流、又は再灌流のための組成物及び方法に関する。
(2. 発明の背景)
臓器移植の成功は、多くの場合、虚血/再灌流傷害のために制限される。4時間を越えて酸素を奪われた、摘出されたヒトの心臓は、次第に活力を緩め、移植患者において存続しない場合が多い。また、腎臓、肝臓、膵臓、及び肺などの他の臓器も、移植前、それらのホストから取り除かれるときに、組織及び細胞の損傷を受けやすい。この損傷は、低酸素状態、及び通常、生理的濃度の酸素及び栄養分を送達し、かつ臓器の細胞によって産生される毒性化合物を除去する血行の不足に起因する。臓器移植は、臓器をそのホストから切除後、直ちに行った場合に、高い成功頻度を有する。
近年の進歩により、臓器移植、及び冠動脈バイパス手術などの臓器手術の成功率が増加している。第1には、臓器の保存及び臓器の灌流溶液である。第2には、臓器灌流溶液を臓器に送達するための改良方法及び装置である。
現在、短期の心筋の保存は、心停止後、冷却保存によって行われる。しかし、使用する溶液の組成物、保存温度、及び投与プロトコルによって異なる様々な方法が存在する。心臓手術で心筋を保護するために、心臓を停止し、かつ保存する種々の溶液が開発されている。これらの溶液の例を挙げると、クレブス・ヘンゼライト溶液、UW溶液、セント・トーマス第2液、コリンズ溶液、及びスタンフォード溶液である(例えば、米国特許第4,798,824号及び第4,938,961号;Southard及びBelzerの文献、Ann. Rev. Med. 46:235-247(1995);並びにDonnelly及びDjuricの文献、Am. J. Hosp. Pharm. 48:2444-2460(1991)を参照されたい。)。それにもかかわらず、除去時間と移植患者の血流の回復との間の移植臓器の状態の悪化のために、臓器拒絶反応が今なお残っている。
近年、ニューレグリン(以下「NRG」と記載する。)は、心筋細胞の増殖及び/又は分化を引き起こすことが可能であることが見出されている。NRGは、NRG1、NRG2、NRG3、及びNRG4を含む構造的に関連した増殖及び分化因子のファミリー、並びにそれらのアイソフォームを含む。例えば、NRG1の15を越える異なるアイソフォームが同定されており、それらの必須の上皮増殖因子(EGF)様ドメインの配列の相違に基づいて、α及びβ型として公知の2つの大きな群に分けられている。
NRGは、EGF受容体ファミリーに結合する。該EGF受容体ファミリーには、EGFR、ErbB2、ErbB3、及びErbB4が含まれ、これらのそれぞれは、細胞の増殖、分化、及び生存を含む多数の細胞機能において重要な役割を果たす。それらは、プロテインチロシンキナーゼ型受容体であり、細胞外リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質チロシンキナーゼドメインからなる。NRGがErbB3又はErbB4の細胞外ドメインに結合後、それは立体構造変化を起こさせて、ErbB3、ErbB4、及びErbB2間でのヘテロ二量体の形成、又はErbB4自体の間でのホモ二量体の形成を導き、その結果、細胞膜内側の受容体C末端ドメインがリン酸化される。次いで、該リン酸化された細胞内ドメインは、細胞内部で更なるシグナルタンパク質を結合し、対応する下流のAKT又はERKシグナル経路を活性化し、細胞増殖、細胞分化、細胞アポトーシス、細胞遊走、又は細胞接着の刺激又は抑制など、一連の細胞反応を誘導する。これらの受容体のうち、主にErbB2及びErbB4が、心臓で発現される。
NRG1のEGF様ドメインは、サイズが50〜64アミノ酸の範囲であり、これらの受容体に結合して、活性化するのに十分であることが示されている。先の研究から、ニューレグリン-1β(NRG-1β)は、ErbB3及びErbB4に高い親和性で直接結合できることが示された。オーファン受容体、ErbB2は、ErbB3又はErbB4のホモ二量体の形成よりも高い親和性で、ErbB3又はErbB4とヘテロ二量体を形成することができる。神経発生の研究から、交感神経系の形成には、完全なNRG-1β、ErbB2及びErbB3シグナル伝達系が必要であることが示されている。NRG-1β又はErbB2又はErbB4の標的破壊は、心臓の発達不全のために胚性致死に導いた。また、近年の研究は、心血管の発達並びに成体の正常な心機能の維持における、NRG-1β、ErbB2及びErbB4の役割を明らかにした。NRG-1βは、成体心筋細胞においてサルコメア組織を強化することが示されている。組換えNRG-1βEGF様ドメインの短期投与は、心不全の3つの異なる動物モデルにおいて、心筋作用の悪化を有意に改善するか、又はそれから保護する。より重要なことに、NRG-1βは、心不全の動物の生存を有意に引延ばす。
従って、移植用臓器の保存時間を延長し、かつ虚血後、再灌流傷害から臓器を保護することができ、結果、血流の回復後、該臓器が、正常機能を再開できるような組成物への要望が残されている。本発明は、臓器の保存、灌流、又は再灌流のための方法及びニューレグリンを含む組成物を提供する。
(3. 発明の概要)
本発明は、保存溶液及びニューレグリンを含む、心臓などの臓器の保存、灌流、及び/又は再灌流のための組成物を提供する。該保存溶液及びニューレグリンは、以下で詳述する。該組成物は、臓器が循環系から隔離される又は血流を低下させられている(虚血)間、該臓器組織及び細胞を損傷から保護する。ニューレグリンは、虚血/再灌流中の臓器に、保護作用を与え得ることが見出されている。
本発明の組成物は、当業者の判断に従って使用することができる。例えば、該組成物を、臓器の脈管構造に注入して臓器の組織及び細胞を保護することによって、移植用臓器を灌流するためのものにすることができる。あるいは、該組成物を使用して、該臓器を浸す浴槽溶液として機能させることによって、移植用臓器を保存することもできる。好ましくは、該臓器を本組成物で灌流し、かつ本組成物に浸す。更に、本組成物を、虚血後、該臓器に血流を回復する時の再灌流溶液として使用することもできる。
本発明は、本発明の組成物の使用方法を提供する。これらには、移植用臓器を保存する、虚血臓器を損傷から保護する、虚血後の臓器機能障害を軽減する、かつ臓器が循環系から隔離される場合の損傷から保護するための方法が含まれる。
また、本発明は、慢性心不全の治療方法を提供し、該方法は、これを必要とする患者に、該患者に対して有効な量のニューレグリンを6時間投与することを含む。
(4. 図面の簡単な説明)
図1は、心筋細胞が、最大長の半分に緩むのに必要な時間を示す。Con及びMIは、それぞれ偽手術されたラット及び心筋梗塞のラット由来の筋細胞を表す。MI筋細胞の第2の柱は、NRGで処理されており、かつ時間の単位は、ミリ秒(ms)である。Con、MI、NRG処理MIのために測定した細胞は、異なるラットから別々に、68、97及び100個であった。
図2は、様々な条件で6時間保存した後の、異なる心臓組織のAKTリン酸化を示す。最初の3レーンは、セルシオ溶液単独に保存した心臓、4〜6レーンは、ニューレグリン含有セルシオ溶液に保存した心臓、7〜9レーンは、ワートマニンとともにプレインキュベートした後、ニューレグリン含有セルシオ溶液に保存した心臓である。WM及びP-AKTは、それぞれワートマニン及びリン酸化AKTを表す。
図3は、24時間のニューレグリンの連続注入後の、安定慢性心不全患者の平均心拍出量を表す。
図4は、24時間のニューレグリンの連続注入後の、安定慢性心不全患者の平均全身血管抵抗(SVR)を表す。
(5. 発明の詳細な説明)
(5.1 定義)
別途定義がない限り、本明細書中に使用される全ての技術的及び科学的用語は、本明細書が属する分野の技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書で参照した全ての特許、出願、公表出願、及び他の刊行物は、その全体において参照により組み込まれる。この節で示す定義が本明細書で参照により取込まれる特許、出願、公表出願、及び他の刊行物で示される定義と反するか、あるいは矛盾する場合は、この節で示す定義が本明細書で参照により取込まれる定義に優先する。
本明細書中で用いるように、本文で明らかに別の指示がない限り、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「該(the)」とは、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味する。
用語「約」又は「およそ」とは、20%以内、好ましくは、10%以内、より好ましくは、5%以内(又は1%以下)の所与の値又は範囲を意味する。
本明細書中で用いるように、「投与する」又は「投与」とは、体外に存在するような物質(例えば、本明細書中で提供される組成物)を、例えば、ムコサール、内皮、静脈内、筋肉内送達、及び/又は本明細書中に記載される若しくは当該分野で公知の他の物理的送達方法などによって、患者の体内に注入する又はその他の方法で物理的に送達する行為を意味する。疾患又はその症状が治療中である場合、該物質の投与は、典型的には、該疾患又はその症状の発症後に行われる。疾患又はその症状を予防する場合、該物質の投与は、典型的には、該疾患又はその症状の発症前に行われる。
本明細書中で用いるように、本発明で使用する「ニューレグリン」又は「NRG」とは、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又はそれらの組合せと結合して活性化することができるタンパク質又はペプチド、それらに限定はされないが、全てのニューレグリンアイソフォーム、ニューレグリンEGFドメイン単独、ニューレグリンEGF様ドメインを含むポリペプチド、ニューレグリン変異体若しくは誘導体、及び以下に詳述する、上記の受容体を同じく活性化する任意の種類のニューレグリン様遺伝子産物を指す。好ましい実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、ErbB2/ErbB4又はErbB2/ErbB3ヘテロ二量体に結合して活性化する。また、ニューレグリンには、ニューレグリンの活性を模倣するNRG-1、NRG-2、NRG-3、及びNRG-4タンパク質、ペプチド、断片、及び化合物も含まれる。本発明で使用するニューレグリンは、上記のErbB受容体を活性化して、それらの生物学的反応を調節すること、例えば、乳癌細胞の分化及びミルクタンパク質の分泌を刺激すること;神経冠細胞のシュワン細胞への分化を誘導すること;骨格筋細胞においてアセチルコリン受容体の合成を刺激すること;及び/又は心筋細胞の分化、生存、及びDNA合成を改善することができる。ニューレグリンには、それらの生物活性を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換をともなう変異体も含まれる。適当なアミノ酸の保存的置換は、当業者に公知であり、かつ一般に、得られる分子の生物活性を変化させることなく形成することができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域の単一アミノ酸置換は、生物活性を実質的に変化させないことを認識する(例えば、Watsonらの文献、「遺伝子の分子生物学(Molecular Biology of the Gene)」、第4版, 1987, The Bejacmin/Cummings Pub. co., p.224を参照されたい。)。
ニューレグリンタンパク質は、ニューレグリンタンパク質及びペプチドを包含する。ニューレグリン核酸は、ニューレグリン核酸及びニューレグリンオリゴヌクレオチドを包含する。
本明細書中で用いるように、「上皮増殖因子様ドメイン」又は「EGF様ドメイン」とは、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又はそれらの組合せと結合して、それらを活性化し、かつEGF受容体結合ドメインと構造的類似性を有する、ニューレグリン遺伝子によってコードされるポリペプチドモチーフを指し、これは、WO00/64400、Holmesらの文献、Science, 256:1205-1210 (1992);米国特許第5,530,109号及び第5,716,930号;Hijaziらの文献、Int. J. Oncol., 13:1061-1067 (1998);Changらの文献、Nature, 387:509-512 (1997);Carrawayらの文献、Nature, 387:512-516 (1997);Higashiyamaらの文献、J. Biochem., 122:675-680 (1997);及びWO97/09425に開示されており、これらの内容は、全て参照により本明細書に組み込まれている。特定の実施態様において、EGF様ドメインは、ErbB2/ErbB4又はErbB2/ErbB3ヘテロ二量体と結合してそれらを活性化する。特定の実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-1の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-1のアミノ酸残基177-226、177-237、又は177-240に対応するアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-2の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-3の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-4の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含む。特定の実施態様において、EGF様ドメインは、米国特許第5,834,229号に記載される下記のアミノ酸配列を含む。
Figure 2010539107
本明細書中で用いるように、「駆出率」又は「EF」は、鼓動の結果として充満した心室から拍出される血液の割合を意味する。それは次の式:(LV拡張期容積−LV収縮期容積)/LV拡張期容積、で定義することができる。
本明細書中で用いるように、「心不全」とは、心臓が、代謝組織の要求に必要な割合で血液を拍出していない、心機能の異常を意味する。心不全を挙げると、うっ血性心不全、心筋梗塞、頻脈性不整脈、家族性肥大型心筋症、虚血性心疾患、特発性拡張型心筋症、心筋炎などの広範囲にわたる疾患状態がある。該心不全は、限定されないが、虚血性、先天性、リウマチ性、又は突発性の形態を含む多くの因子によって引き起こされる恐れがある。慢性心肥大は、うっ血性心不全及び心停止の前駆型である極めて重い疾患状態である。
本明細書中で用いるように、本文で明らかに別の指示がない限り、「タンパク質」は、「ポリペプチド」又は「ペプチド」と同義である。
本明細書中で用いるように、用語「対象」及び「患者」は、互換的に用いられる。本明細書中で用いるように、対象は、好ましくは、非霊長類(例えば、雌ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)などの哺乳類、最も好ましくは、ヒトである。
本明細書中で用いるように、「活性単位」又は「1U」とは、50%の最大反応を引き起こすことができる、規格品の量を意味する。言い換えると、所与の活性剤の活性単位を測定するために、該EC50を測定しなければならない。例えば、一群の製品のEC50が、0.067 μg/mlである場合、それが1単位となる。更に、1μgのその製品を使用する場合、14.93U(1/0.067)が使用されている。該EC50は、当該分野で公知の任意の方法で測定することができ、その方法には、下記の実施例で発明者が使用する方法が含まれる。この活性単位の測定は、遺伝子操作製品及び臨床使用薬剤の品質管理に重要であり、異なる医薬及び/又は異なるバッチ番号からの製品の統一基準による定量化を可能にする。
特定の実施態様において、ニューレグリンの単位は、キナーゼ受容体活性化酵素結合免疫吸着検定(KIRA-ELISA)によってニューレグリンの活性を測定することで判定される。これは、下記の実施例6及びWO03/099300、及び Sadickらの文献、1996, Analytical Biochemistry, 235:207-14に詳述され、これらの内容は、その全体を参照により本明細書中に組み込まれている。簡潔に、該アッセイは、接着性乳癌株化細胞MCF-7上でニューレグリン誘導性のErbB2活性化及びリン酸化を測定する。膜タンパク質は、トリトンX-100溶解によって可溶化され、該受容体は、HrbB3又はHrbB4と交差反応のないFrbB2特異的抗体(例えば、H4)を塗布したELISAウェルで捕捉する。次いで、リン酸化度を、抗ホスホチロシンELISAによって定量化する。
(5.2 移植用心臓の保存、灌流、又は再灌流のための組成物並びにその使用)
本発明は、心臓などの臓器の保存、灌流、及び/又は再灌流のための組成物を提供する。該組成物は、保存溶液及び有効な量のニューレグリンを含む。ニューレグリンは、心臓などの臓器が、通常の循環から隔離されている、又は不十分な動脈流を受けている間に、酸化的な損傷、虚血、及び再灌流傷害から該臓器を保護できることが見出されている。
当該分野で公知の任意のニューレグリンを、本組成物に使用することができる。ニューレグリンを以下に詳述する。該組成物は、臓器を、組織無酸素症、虚血、又は再灌流傷害による損傷から保護するのに有効な量のニューレグリンを含む。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、AKTシグナル経路を活性化するのに十分な量で存在する。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、少なくとも約0.01nM、約0.1nM、約1nM、約10nM、約100nM、約1000nM、約10μM、約100μM、又は約1000μMの濃度である。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約14nMの濃度である。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約0.01〜1000nM、約0.1〜100nM、約0.1〜50nM、約0.5〜25nM、又は約10〜20nMの濃度である。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約14nMの濃度である。
本組成物中の保存溶液は、当該分野で公知の、臓器の灌流、保存、又は再灌流用の任意の保存溶液とし得る。保存溶液の例を挙げると、限定はされないが、セルシオ溶液、クレブス・ヘンゼライト溶液、生理食塩水、ウイスコンシン大学液、セント・トーマス第2液、コリンズ溶液、スタンフォード溶液などがある。
好ましくは、該組成物は、生理的なpH、約7.0〜7.5、より好ましくは、約7.2〜7.4に保たれる。
また、該組成物は、移植中の損傷、又は傷害若しくは手術による急性の虚血から組織を保護するために当該分野で公知の、1つ以上の試薬を含有することができる。そのような試薬を挙げると、限定はされないが、プロテインキナーゼC阻害剤、ブピバカイン、レボブピバカイン、エチドカイン、ロピバカイン、又はテトラカインなど、米国特許出願公報第20070148628号、第20060166182号に詳細に記載されているようなものがある。
本発明は、本発明の組成物の使用方法を提供する。これらは、移植用臓器を保存する、損傷から虚血性臓器を保護する、虚血後の臓器の機能障害を軽減する、かつ循環系から隔離時に損傷から臓器を保護するための方法を含む。
本発明の組成物を、臓器(特に心臓)の移植の全ての段階で使用することができる。該段階に挙げられるのは、限定はされないが、1)ドナーからの臓器を摘出すること;2)該臓器を保存すること;及び3)該臓器を移植患者に再移植することがある。
本発明は、移植用の心臓などの臓器の保存方法を提供し、該方法は、該臓器を有効な量のニューレグリンと接触させることを含む。対象からの除去の前、及び/又は対象からの臓器除去の後、及び/又は対象からの臓器の除去の間に、該組織をニューレグリンと接触させることができる。
本発明の組成物を、当該分野で公知の任意の方法で製造することができる。例えば、下記によって、該組成物を製造することができる。1)ニューレグリン及び異なる成分を、蒸留水に溶解させ、かつ希釈すること;2)pHを、例えば、NaOHを用いて、約7.2〜7.4などの所望の値に調節すること;及び3)例えば、0.2μMのフィルターでの濾過によって、該溶液を無菌化すること。該無菌化溶液は、環境中の汚染物からの隔離を保つ。
(5.2.1 ニューレグリン)
任意のNRG(例えば、NRG-1、NRG-2、NRG-3、及びNRG-4、並びにそれらのアイソフォーム)タンパク質、ペプチド、又は断片を、本発明で使用することができる。
ニューレグリン又はNRGは、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又はそれらの組合せと結合して、それらを活性化することができるタンパク質又はペプチド、例えば、それらに限定されないが、全てのニューレグリンアイソフォーム、ニューレグリンEGFドメイン単独、ニューレグリンEGF様ドメインを含むポリペプチド、ニューレグリン変異体若しくは誘導体、及び以下に詳述する、上記の受容体を同じく活性化する任意の種類のニューレグリン様遺伝子産物を指す。好ましい実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、ErbB2/ErbB4又はErbB2/ErbB3ヘテロ二量体と結合して、それらを活性化する。本発明で使用するニューレグリンは、上記のErbB受容体を活性化して、それらの生物学的反応を調節すること、例えば、乳癌細胞の分化及びミルクタンパク質の分泌を刺激すること;神経冠細胞のシュワン細胞への分化を誘導すること;骨格筋細胞においてアセチルコリン受容体の合成を刺激すること;及び/又は心筋細胞の分化、生存、及びDNA合成を改善することができる。受容体結合活性を測定するためのアッセイは、当該分野で公知である。例えば、ErbB-2及びErbB-4受容体を形質移入された細胞を使用することができる。受容体発現細胞を過剰量の放射標識ニューレグリンとインキュベートした後、該細胞をペレット化し、未結合の放射標識ニューレグリンを含有する溶液を除去後、放射標識ニューレグリンとの競合のために、非標識のニューレグリン溶液を添加する。EC50は、当該分野で公知の方法で測定される。EC50は、結合放射標識リガンドの50%と競合して受容体複合体から分離することができるリガンドの濃度である。EC50値が高いほど、受容体結合親和性は低い。
本発明で使用するニューレグリンは、当該分野で公知の任意のニューレグリン及びそれらのアイソフォームを含み、これを挙げると、限定はされないが、ニューレグリン-1(「NRG-1」)、ニューレグリン-1(「NRG-2」)、ニューレグリン-1(「NRG-3」)、及びニューレグリン-4(「NRG-43」)がある。NRG-1は、例えば、米国特許第5,530,109号、第5,716,930号及び第7,037,888号;Lemkeの文献、Mol. Cell. Neurosci. 1996, 7:247-262;Peles及びYardenの文献、1993, BioEssays 15:815-824, 1993;Pelesらの文献、1992, Cell 69, 205-216;Wenらの文献、1992, Cell 69, 559-572, 1992、Holmesらの文献、1992, Science 256:1205-1210、Fallsらの文献、1993, Cell 72:801-815、Marchionniらの文献、1993, Nature 362:3 12-8に記載され、それらの内容は、その全体を参照により本明細書中に組み込まれている。NRG-2は、例えば、Changらの文献、1997, Nature 387:509-512;Carrawayらの文献、1997, Nature 387:512-516;Higashiyamaらの文献、1997, J Biochem. 122:675-680、Busfieldらの文献、1997, Mol. Cell. Biol. 17:4007-4014及び国際特許公報WO97/09425に記載され、それらの内容は、その全体を参照により本明細書中に組み込まれている。NRG-3は、例えば、Hijaziらの文献、1998, Int. J. Oncol. 13:1061-1067に記載され、その内容は、その全体を参照により本明細書中に組み込まれている。NRG-4は、例えば、Harariらの文献、1999 Oncogene. 18:2681-89に記載され、その内容は、その全体を参照により本明細書中に組み込まれている。
本発明で使用するニューレグリンは、天然のニューレグリンには存在しない、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、及び/又は付加を含むニューレグリン変異体又は誘導体が含まれる。好ましくは、置換、欠失、又は付加されるアミノ酸の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のアミノ酸である。一実施態様において、そのような誘導体は、該ペプチドのアミノ及び/又はカルボキシ末端での1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、又は付加を含む。別の実施態様において、そのような誘導体は、該ペプチド全長内の任意の残基での1つ以上のアミノ酸の欠失、置換、又は付加を含む。
特定の実施態様において、該アミノ酸置換を、保存的、又は非保存的アミノ酸置換とすることができる。保存的アミノ酸置換は、含まれるアミノ酸残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性の類似性に基づいて行われる。 例えば、非極性(疎水性)アミノ酸を挙げると、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、及びメチオニンがあり;極性中性アミノ酸を挙げると、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、及びグルタミンがあり;正電荷(塩基性)アミノ酸を挙げると、アルギニン、リジン、及びヒスチジンがあり;負電荷(酸性)アミノ酸を挙げると、アスパラギン酸、及びグルタミン酸がある。加えて、グリシン及びプロリンは、鎖配向に影響を及ぼすことができる残基である。非保存的置換は、これらの分類の1つの一員を別の分類に変換することを伴う。
特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、それらの生物活性を実質的に変化させない保存的アミノ酸置換を有するニューレグリン誘導体である。適当なアミノ酸の保存的置換は、当業者に公知であり、かつ一般に、得られる分子の生物活性を変化させることなしに形成することができる。一般に、ポリペプチドの非必須領域の単一アミノ酸置換は、生物活性を実質的に変化させないことを認識する(例えば、Watsonらの文献、「遺伝子の分子生物学(Molecular Biology of the Gene)」、第4版, 1987, The Bejacmin/Cummings Pub. co., p.224を参照されたい。)。
特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンには、非古典的アミノ酸又は化学的アミノ酸類似体とのアミノ酸置換を有するニューレグリン変異体又は誘導体が含まれる。非古典的アミノ酸を挙げると、限定はされないが、通常のアミノ酸のD-異性体、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロアミノ酸、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸などのデザイナーアミノ酸、及びアミノ酸類似体全般がある。
本発明で使用するニューレグリンには、ニューレグリン相同体、すなわち、ニューレグリン又はニューレグリンの相互作用ドメインの1つと、アミノ酸配列の相同性、及び/又は構造的な類似性を示し、その結果、それがErbB2/ErbB4又はErbB2/ErbB3ヘテロ二量体プロテインキナーゼと結合して、それらを活性化することができるポリペプチドが含まれる。典型的に、未変性タンパク質のタンパク質同族体は、未変性タンパク質と少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、85%、86%、87%、88%又は89%、更により好ましくは、少なくとも90%、91%、92%、93%又は94%、及び最も好ましくは、95%、96%、97%、98%又は99%同一のアミノ酸配列を有することができる。
この関係において相同性割合は、配列を整列させ、かつ最大の配列相同性割合を達成するために必要に応じてギャップを導入した後の、ペプチドの対応するアミノ酸残基と同一である(すなわち、配列内の所与の位置のアミノ酸残基が同じ残基である。)か、又は類似している(すなわち、配列内の所与の位置のアミノ酸残基が、上記のように保存的置換である。)、候補配列内のアミノ酸残基の割合を意味する。特定の実施態様において、ニューレグリン相同体は、天然のニューレグリン配列との、配列同一性割合又は配列類似性割合によって特徴付けられる。配列同一性及び類似性割合を含む配列相同性は、当該分野で周知の配列整列技術、好ましくは、この目的のために設計されたコンピュータアルゴリズムを、前記コンピュータアルゴリズムのデフォルトパラメータ、又はそれらを含むソフトウェアパッケージを用いて判定される。
コンピュータアルゴリズム、及びそのようなアルゴリズムを組み込むソフトウェアパッケージの非限定的例には、下記のものが含まれる。BLASTプログラムファミリーは、2つの配列の比較に利用される数値計算用アルゴリズムの好ましい非限定的例を例示する(例えば、Karlin及びAltschulの文献、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268(Karlin及びAltschulの文献、1993, Proc. Natl. Acad. ScL USA 90:5873-5877で変更)、Altschulらの文献、1990, J. Mol. Biol. 215:403-410、(NBLAST及びXBLASTを記載)、Altschulらの文献、1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402(Gapped BLAST及びPSI-Blastを記載)。他の好ましい例は、Myers及びMillerのアルゴリズム(1988 CABIOS 4:11-17)であり、これは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれ、GCG配列整列ソフトウェアパッケージの一部として利用可能である。また、FASTAプログラム(Pearson W.R.及びLipman D.J.の文献、Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 85:2444-2448, 1988)も好ましく、ウィスコンシン配列解析パッケージの一部として利用可能である。別の例には、BESTFIT があり、これは、2つの配列間の最良の単一の類似領域を見つけるために、Smith及びWatermanの「局所的相同性」アルゴリズム(Advances in Applied Mathematics, 2:482-489, 1981)を用い、比較する2つの配列の長さが異なる場合に好ましい;並びにGAPがあり、これは、Neddleman及びWunschのアルゴリズム(J. Mol. Biol. 48:443-354, 1970)に従って「最大類似性」を見つけることによって2つの配列を整列させ、該2つの配列がほぼ同じ長さであり、整列が全長で期待される場合に好ましい。
相同体の例は、動物、植物、酵母、細菌などを含む他の種のオルソログタンパク質であろう。また、相同体は、例えば、未変性タンパク質の突然変異誘発によって選択することができる。例えば、相同体は、タンパク質-タンパク質間の相互作用を検出するアッセイと組み合わせた、部位特異的突然変異によって同定することができる。例えば、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、アフィニティーブロッティング、インビトロ結合アッセイなどの別の方法が、本発明を知る当業者には明らかであろう。
2つの異なる核酸又はポリペプチド配列を比較するために、本開示では、1配列(試験配列)を別の配列(参照配列)と特定の「割合同一である」と記載することができる。これについて、該試験配列の長さが、参照配列の長さの90%未満である場合、該同一性割合は、Myers及びMillerのアルゴリズム(Myers及びMillerの文献、 Bull. Math. Biol., 51:5-37 (1989)、並びにMyers及びMillerの文献、Comput. Appl. Biosci., 4(1): 11-17 (1988))によって判定される。具体的には、該同一性は、ALIGNプログラムで判定される。デフォルトパラメータを用いることができる。
試験配列の長さが、参照配列の長さの少なくとも90%である場合、該同一性割合は、Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5873-77 (1993))によって判定される。該アルゴリズムは、様々なBLASTプログラムに組み込まれている。具体的には、該同一性割合は「BLAST2配列」ツールで判定される。Tatusova及びMaddenの文献、FEMS Microbiol. Lett., 174(2):247-250 (1999)を参照されたい。ペアワイズDNA間比較のために、BLASTN2.1.2プログラムを、デフォルトパラメータ(マッチ:1;ミスマッチ:-2;オープンギャップ:5ペナルティ;エクステンションギャップ:2 ペナルティ;ギャップx_ドロップオフ:50;エクスペクト:10;及びワードサイズ:11、フィルターあり)で用いる。ペアワイズタンパク質間配列比較のために、BLASTP2.1.2プログラムを、デフォルトパラメータ(マトリックス:BLOSUM62;ギャップオープン:11;ギャップエクステンション:1;x_ドロップオフ:15;エクスペクト:10.0;及びワードサイズ:3、フィルターあり)を用いて使用する。
また、本発明で使用するニューレグリンは、ニューレグリンEGFドメイン単独、ニューレグリンの活性を模倣し、ErbB2、ErbB3、ErbB4又はそれらの組合せと結合してそれらを活性化するニューレグリンEGFドメイン又はニューレグリン様遺伝子産物を含むポリペプチドを含む。本明細書中で用いるように、「上皮増殖因子様ドメイン」又は「EGF様ドメイン」とは、ErbB2、ErbB3、ErbB4、又はそれらの組合せと結合し、それらを活性化し、かつEGF受容体結合ドメインと構造的類似性を有する、ニューレグリン遺伝子によってコードされるポリペプチドモチーフを指す。これは、WO00/64400、Holmesらの文献、Science, 256:1205-1210 (1992);米国特許第5,530,109号及び第5,716,930号;Hijaziらの文献、Int. J. Oncol., 13:1061-1067 (1998);Changらの文献、Nature, 387:509-512 (1997);Carrawayらの文献、Nature, 387:512-516 (1997);Higashiyamaらの文献、J. Biochem., 122:675-680 (1997);及びWO97/09425に開示されており、それらの内容は、全てを参照により本明細書中に組み込まれている。
特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、NRG-1によってコードされるEGF様ドメインを含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-1の受容体結合ドメインのアミノ酸配列を含む。いくつかの実施態様において、EGF様ドメインは、NRG-1のアミノ酸残基177-226、177-237、又は177-240に対応するアミノ酸配列を含む。
好ましい実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、ヒトNRG-1のアミノ酸配177〜237に対応する下記のアミノ酸配列を含む。
Figure 2010539107
該断片をコードするヒト核酸配列は、下記である。
Figure 2010539107
特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、NRG-2によってコードされるEGF様ドメインを含む。特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、NRG-3によってコードされるEGF様ドメインを含む。特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、NRG-4によってコードされるEGF様ドメインを含む。特定の実施態様において、本発明で使用するニューレグリンは、米国特許第5,834,229号に記載される次のアミノ酸配列を含む。
Figure 2010539107
(5.3 慢性心不全の治療方法)
本発明はまた、それを必要とする患者の心不全を治療する方法を提供し、該方法は、該患者に有効な量のニューレグリンを投与することを含む。いくつかの実施態様において、ニューレグリンを、0.2μg/ml/kg/時間で約6時間投与する。使用するニューレグリンの量は、疾病又は病状の性質及び重症度、並びに活性成分が投与される経路によって異なる。また、頻度及び投与量は、投与される特定の療法(例えば、治療薬又は予防薬)、疾患、疾病又は病状の重症度、投与経路、並びに患者の年齢、体重、応答、及び過去の病歴によって、各患者に特有の因子に従っても異なる。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導かれた用量反応曲線から推定することができる。
ニューレグリンの例示的な用量は、対象又は検体の1キログラム重量あたりのニューレグリンのミリグラム又はマイクログラム量(例えば、1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約500ミリグラム、1キログラムあたり約100マイクログラム〜1キログラムあたり約5ミリグラム、又は1キログラムあたり約1マイクログラム〜1キログラムあたり約50マイクログラム)を含有する。本発明で使用するニューレグリンの徐放のために、患者に投与される投与量は、活性ペプチドの重量に基づいて、一般的に、患者の体重の0.001mg/kg〜15mg/kgである。好ましくは、患者に投与される投与量は、患者の体重あたりで0.001mg/kg〜15mg/kg、0.005mg/kg〜10mg/kg、0.01mg/kg〜5mg/kg、0.001mg/kg〜4mg/kg、0.005mg/kg〜3mg/kg、0.01mg/kg〜2mg/kg、0.001mg/kg〜1mg/kg、0.005mg/kg〜0.5mg/kg、0.010mg/kg〜0.2mg/kg、0.005mg/kg〜0.050mg/kgである。
また、ニューレグリンの例示的な用量は、対象又は検体の1体重キログラムあたりのニューレグリンの単位(U)又は単位量の(例えば、1キログラムあたり約1U〜1キログラムあたり約5000U、1キログラムあたり約10Uマイクログラム〜1キログラムあたり約1000、又は1キログラムあたり100U〜1キログラムあたり約500U)を含有する。本発明で使用するニューレグリンの徐放のために、患者に投与される投与量は、活性ペプチドの重量に基づいて、一般的に、患者の体重の10U/kg〜1000U/kgである。好ましくは、患者に投与される投与量は、患者の体重あたりで1U/kg〜10,000U/kg、1U/kg〜5000U/kg、10U/kg〜5000U/kg、10U/kg〜1000U/kg、50U/kg〜2000U/kg、50U/kg〜1000/kg、50U/kg〜500U/kg、100U/kg〜1000U/kg、100U/kg〜500U/kg、100U/kg〜200U/kgである。
一般に、本明細書に記載される病状のための本発明の方法におけるニューレグリンの推奨日用量の範囲は、1日あたり約0.001mg〜約1000mgの範囲にある。具体的には、総日用量の範囲は、0.001mg/日〜15mg/日、0.005mg/日〜10mg/日、0.01mg/日〜5mg/日、0.001mg/日〜4mg/日、0.005mg/日〜3mg/日、0.01mg/日〜2mg/日、0.001mg/日〜1mg/日、0.005mg/日〜0.5mg/日、0.010mg/日〜0.2mg/日の範囲になければならない。患者の管理において、治療はより低い用量で、恐らく約0.1μg〜約1μgで開始し、必要に応じて、患者の全体的な応答によって単一用量又は分割用量のどちらかで、約20μg mg〜約1000μg/日まで増加させることができる。場合によっては、当業者には明らかように、本明細書で開示する範囲外の活性成分の投与量を用いることが必要なことがある。更に、臨床医又は治療担当医師は、個々の患者の応答に伴い、どのように、いつ治療を中断、調節又は終了するできかがわかることに留意されたい。特定の実施態様において、ニューレグリンは、約1U/日〜約10,000U/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約1U/日〜約5000U /日の量で投与される。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約10U/日〜約2000U/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約10U/日〜約1000U/日の量で投与される。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは、約100U/日〜約200U/日の量で投与される。
また、ニューレグリンを「投与計画」又は「治療周期」に従って投与することができる。該治療周期におけるニューレグリンの日用量は、上に詳述する。該治療周期は、2日、5日、7日、10日、2週間、3週間、4週間、5週間、又は6週間にわたり得る。
特定の実施態様において、ニューレグリンは、治療周期の各日のために、毎日投与される。特定の実施態様において、ニューレグリンは、治療周期内の3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、又は12日間継続的に投与される。
特定の実施態様において、治療周期において、ニューレグリンは該周期の第1日目に投与され、該周期は、1日以上のニューレグリン投与のない日で終了する。いくつかの実施態様において、ニューレグリンは治療周期内の3、5、7、又は10日間毎日投与され、続いて、休止期間となる。
(5.3.1 併用療法)
一実施態様において、本発明は、心肥大又は心不全を引き起こす薬剤、例えば、酢酸フルドロコルチゾン又はハーセプチンで治療中の患者において、心不全及び心筋症を予防するのに有用である。そのような心疾患を引き起こす薬剤の前に、NRGを、同時に又は後に投与することができる。
本発明の別の実施態様において、NRGは、NRGとは異なる肥大誘発経路を抑制するように作用する化合物の有効量と組合せて投与される。別の実施態様において、肥大抑制因子及び/又は追加成分など、これらに限定されないが、うっ血性心不全の場合には、心臓栄養阻害剤、例えば、Ct-1(カルジオトロフィン-1)アンタゴニスト、ACE阻害剤、例えば、カプトプリル(Capoten(登録商標))及び/又はヒト成長ホルモン及び/又はIGF-I(インスリン様成長因子I)とともに、又は他の型の心不全若しくは心障害の場合には、別の抗肥大性、心筋栄養性因子、抗不整脈性又は変力性因子とともに、NRGを投与する。
本発明の別の実施態様において、NRGは、心不全治療のための現行の治療方法と組合せて投与される。現行の治療方法を挙げると、限定はされないが、ACE阻害剤及び他の血管拡張薬、利尿薬、ジギタリス製剤、ベータブロッカー、血液希釈剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、又はカリウムがある。
アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの変換を阻止するACE阻害剤は、血管を拡張させて、血圧を低下させ、かつ心臓の仕事量を低減させる血管拡張薬である。本発明の実施態様での使用に適当な血管拡張薬を挙げると、限定はされないが、以下の薬剤:キナプリル(Accupril(登録商標))、ラミプリル(Altace(登録商標))、カプトプリル(Capoten(登録商標))、ベナゼプリル(Lotensin(登録商標))、ホシノプリル(Monopril(登録商標))、リシノプリル(Prinivil(登録商標)又はZestril(登録商標))、エナラプリル(Vasotec(登録商標))、モエキシプリル(Univasc(登録商標))、トランドラプリル、及びペリンドプリルがある。本発明に有用な更なる血管拡張薬を挙げると、限定はされないが、硝酸イソソルビド(Isordil(登録商標))、ネシリチド(Natrecor(登録商標))、ヒドララジン(Apresoline(登録商標))、硝酸薬、及びミノキシジルがある。
利尿薬は、腎臓に血流からナトリウム及び水の除去をもたらし、心臓の仕事量を低減させる。該利尿薬を挙げると、限定はされないが、以下の薬剤:ヒドロクロロチアジド(HydroDIURIL(登録商標))、クロロチアジド(Diuril(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、ブメタニド(Bumex(登録商標))、スピロノラクトン(Aldactone(登録商標))、トリアムテレン(Dyrenium(登録商標))、メトラゾン(Zaroxolyn(登録商標))、トルセミド、インダパミド、ポリチアジド、アミロライド、及び合剤(Dyazide(登録商標))がある。
ジギタリス製剤は、心臓の収縮力を増加させる。これらを挙げると、限定はされないが、ジゴキシン(Lanoxin(登録商標))及びジギトキシンがある。
β遮断薬は、心臓の速く拍動しようとする傾向を弱める。これらを挙げると、限定はされないが、以下の薬剤:カルベジロール(Coreg(登録商標))、メトプロロール(Lopressor(登録商標)又はToprol XL(登録商標))、アテノロール、ビソプロロール、ラベタロール、プロプラノロール、ソタロール、ピンドロール、ペンブトロール、アセブトロール、チモロール、ナドロール、及びベタキソロールがある。
本発明の実施態様に使用する血液希釈剤を挙げると、限定はされないが、ワルファリン(Coumadin(登録商標))及びヘパリンがある。
また、本発明の実施態様は、アンジオテンシンII受容体遮断薬を使用することもでき、これは、アンジオテンシンIIのレベルを低下させる(ACE阻害剤がするように)よりも、アンジオテンシンIIが心臓及び血管に作用するのを阻止する。本発明での使用に適したアンジオテンシンII受容体遮断薬を挙げると、限定はされないが、イオサルタン(iosartan)(Cozaar(登録商標))、バルサルタン(Diovan(登録商標))、イルベサルタン(Avapro(登録商標))、カンデサルタン、エプロサルタン、テルミサルタン、及びオルメサルタンがある。
一般に、カルシウムチャネル遮断薬を使用して、多くの場合心不全と関連する高血圧症を治療する。本発明での使用に適したカルシウムチャネル遮断薬を挙げると、限定はされないが、アムロジピン(Norvasc(登録商標))がある。
本発明の別の実施態様において、NRGを、高血圧症などの心疾患の治療のための薬物療法の投与と組合せることもできる。例えば、エンドセリン受容体に対する抗体などのエンドセリン受容体アンタゴニスト、及びペプチド又は他のそのような小分子のアンタゴニスト;カルベジロールなどの3-アドレナリン受容体アンタゴニスト;x、-アドレナリン受容体アンタゴニスト;抗酸化剤;複数の活性(例えば、3-遮断薬/a-遮断薬/抗酸化剤)を有する化合物;カルベジロールに見られる複数の機能を提供するカルベジロール様化合物又は化合物の組合せ;成長ホルモンなどとともに、NRGを投与することができる。
ニューレグリンアゴニストは、単独又は他の肥大化抑制因子経路のアゴニスト若しくは公知の肥大化誘導経路に拮抗する分子との組合せで、心不全の影響を予防又は軽減するために、心不全の哺乳動物をインビボ治療のための薬剤として有用である。
心疾患治療用のアゴニストの治療製剤は、所望の純度を有するアゴニストを任意の生理的に許容し得る担体、賦形剤、又は安定化剤(「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」16版、Oslo, A.編集、1980)と混合することによって、凍結乾燥ケーキ又は水溶液の形態で保管するために製造される。許容し得る担体、賦形剤、又は安定化剤は、使用する投与量及び濃度で移植患者に無毒のものであり、それらを挙げると、例えば、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロビン(immunoglobin)などのタンパク質;オリビニルピロリドン(olyvinylpyrrolidone)などの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール又はソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;及び/又はツィーン、プルロニックス(Pluronics)、又はポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤がある。また、好適には、該アンタゴニストを、様々な非タンパク質性のポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリアルキレンの1つと、米国特許第4,640,835号;第4,496,689号;第4,301,144号;第4.670,417号;第4,791,192号又は第4,179,337号に記載される方法で結合する。製剤に使用される担体の量は、重量で約1〜99%、好ましくは、約80〜99%、最適には、90〜99%の間の範囲とすることができる。
インビボでの投与に使用するアゴニストは、無菌でなければならない。これは、凍結乾燥及び再構成の前又は後で、当該分野で公知の方法、例えば、無菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。該アゴニストは、通常、凍結乾燥の形態又は溶液で保管されるであろう。
一般に、治療アゴニスト組成物は、例えば、皮下注射針で貫通可能な栓を有する静注液バッグ又はバイアルなど、無菌の取出し口を有する容器に入れられる。該アゴニストの投与は、緩慢方式だけであり、例えば、以下の経路:静脈内、腹腔内、脳内、筋肉内、眼内、動脈内若しくは病巣内経路による注射又は注入、経口投与又は上記の除法系を使用することの1つである。
上記のように、徐放性製剤の適当な例を挙げると、タンパク質を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスがあり、該マトリックスは、例えば、フィルム又はマイクロカプセルなどの形態の造形品である。徐放性マトリックスの例を挙げると、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerらの文献、(1981) J. Biomed. Mater. Res. 15: 167-277及びLangerの文献(1982) Chem. Tech. 12:98-105に記載のポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリラート、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタマートとの共重合体(Sidmanらの文献、(1983) Biopolymers 22: 547-556)、非分解性のエチレン-酢酸ビニル(Langerらの文献、(1981)上記)、Lupron Depot(商標)(乳酸-グリコール酸共重合体及び酢酸リュープロリドからなる注射可能な微小球)などの分解性乳酸グリコール酸共重合体、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133,988)がある。
また、該アゴニストを、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)又はマクロエマルジョンで、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合によって製造したマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース、又はゼラチン-マイクロカプセル、及びポリ[メチルメトリアシル酸]マイクロカプセル)に封入することができる。そのような技術は、上記の「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に開示されている。
エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日に渡って分子の放出が可能にするが、特定のヒドロゲルは、より短い期間で分子を放出する。封入した分子が、長期間体内に残存する場合、それらは、37℃で湿気に曝された結果、変性又は凝集し、生物活性の消失及び免疫原性の可能な変化をもたらす可能性がある。関係する機構に左右される安定化のために、例えば、適切な添加剤を使用すること、及び特定のポリマーマトリックス組成物を開発することなど、合理的な戦略を考案することができる。
また、徐放性アゴニスト組成物には、リポソームに封入されたアゴニストも含まれる。アゴニストを含有するリポソームは、当該分野で公知の方法で製造される。該方法は、例えば、DE3,218,121;Epsteinらの文献、(1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 3688-3692;Hwangらの論文、(1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030-4034;EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949;EP142,641;日本特許出願83-118008;米国特許第4,485,045号及び第4,544,545号;並びにEP102,324に開示される。適当な徐放性製剤の具体例は、EP 647,449に記載される。
本発明の別の実施態様において、NRGは、ACE阻害剤(上記)、CT-1阻害剤、ヒト成長ホルモン、及び/又はIGF-Iを含むうっ血性心不全を治療するための他の薬剤と組合わされるか、又は一緒に投与される。それを用いる場合、そのような薬剤の有効な量は、臨床医の裁量による。投与量の管理及び調節は、うっ血性心不全の最良の管理を達成するように当業者に公知の方法で決定され、理想的には、利尿薬又はジギタリスの使用、並びに血圧低下及び腎機能低下などの状態に配慮する。加えて、該投与量は、薬剤の種類及び治療患者の特性などの因子によって決まる。典型的には、使用量は、該薬剤がアゴニストを含まないで投与される場合に使用される投与量と同じ用量である。しかし、薬剤の全体量が、治療中の病状に対して有効な用量であるのであれば、治療中の病状での副作用の存在、患者の種類、並びにアゴニスト及び薬剤の種類などの因子に応じて、より低い用量を用いることができる。
具体的な実施態様で示されるように、広義に記載される本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、多くの変更及び/又は修正が本発明にされ得ることは、当業者には理解されるであろう。従って、本実施態様は、全ての点において、例示的であり、発明を限定するものではないと考えるべきである。
(5.4 キット)
本発明は、移植用の心臓などの臓器を保存する、灌流又は再灌流するためのキットも提供する。そのようなキットは、本発明の組成物を、単独又は心臓移植用の他の材料と組合せて、1つ以上の容器に備える。医師又は患者による使用のために、説明書が任意選択で含まれる。
(6. 実施例)
本発明は、下記の非限定的な実施例を参照し、更に例示される。実施例は、本発明の製造及び使用方法の完全な開示、並びに記載を当業者に提供するために、提示するものであり、かつ発明者が彼らの発明と考えるものの範囲を限定することを意図せず、また、下記の実験が、行われる全て又は唯一の実験であることを示すものではない。用いる数字について、正確を期する努力を払ったが、いくらかの実験誤差及び偏差は、考慮されるべきである。
(6.1 実験方法:)
(6.1.1 ラットの左心室冠動脈結紮及び心エコー検査)
ウィスター雄ラット(Shanghai Animal Center of Chinese Academy of Science)、体重200±20gを、100mg/kg(薬剤/体重)のケタミンの腹腔内注射によって麻酔した。頚部及び胸部を脱毛し、消毒した。中央前頚部を切開して気管を露出させた。18Gのカテーテルオーバーニードル(catheter overneedle)を、第3〜第5気管軟骨間の気管に挿入した。該針を引き抜いた後、プラスチック製のカニューレを気管に1〜2cm押し込み、かつ固定して、ローデントベンチレーター(SAR-830/Pベンチレーター-吸気流速、1ml/100g/呼吸;呼吸数、60呼吸/分)を接続した。左前胸部も別に切開した。該皮膚を鈍的解剖により第4及び第5肋骨を露出させ、次いで、該第4肋骨を湾曲モスキート鉗子で切断した。該ベンチレーター(前述)を、カニューレに接続し作動させ、かつ肺及び心臓の状態を調べるために、心臓を露出させた。該切開口を通して心臓を露出させた後、心膜を引き裂き、左心房及び肺動脈円錐を特定した。それらの間の左心室冠動脈前下行枝を、6/0医療用縫合糸でしっかりと結紮した後、該心臓を胸部に戻した。胸壁を縫合した。該ベンチレーターをブロックして、肺を満たした。胸腔の空気を徐々に引き出した後、胸部の筋肉及び皮膚を縫合した。継続的自発呼吸が再開するまで、ラットから該ベンチレーターを取り外した。
次いで、結紮後14日目に、ラットの心機能を心エコー検査法(Philips Sonos社、7500 S4プローブ)で検査した。駆出率(以後「EF」)値が30〜50パーセントのラットを分離し、グループ分けした(1群あたりラット15匹)。
(6.1.2 B. 結紮ラットのニューレグリンによる治療)
左心室冠状動脈の結紮後15日目に、ラットを計量し、NRG必要量を決定した。溶媒群のラットは、IV注射により0.4ml/100g(量/体重)の溶媒を投与した。該溶媒を、1日に1回5日間注射し、2日間停止し、次いで更に5日間注射した。
下記の配列番号1の配列を有するNRGを使用した。
Figure 2010539107
更に以下で述べるように、NRG群は、グループ分け後5日目に埋め込まれた浸透圧ポンプ(ALZET社浸透圧ポンプ2ML1)を有する。各ポンプは、933.1UのNRG(ここでのラットの体重が約250gである場合)を含有する2mlのNRG溶液(NRG 62.5μg)を含み、かつ注入速度は、約18.7U/kg/時間であった。
7日後、全てのラットの心機能を、心エコー検査法(Philips Sonos社、7500 S4プローブ)で再度検査した。また、翌日、ラットの心機能を更に確認するために、血行動態パラメータ検査及び解剖検査を実施した。
(ラットへの浸透圧ポンプの移植)
下記の工程は、無菌で行う。1mlの滅菌水、及び1mlの滅菌0.9%生理食塩水を、フード内で連続してNRG(993.1U、62.5μg)のバイアルに注入した。該NRG溶液を滅菌注射器に引き抜いた。注射器のブラントチップの針を交換し、注射器内の泡を除去した。ポンプを直立に保ち、該直立したポンプの上部にある小さな開口部を通して、これ以上動かなくなるまで針を挿入した。プランジャーをゆっくりと押し、NRG溶液がポンプからあふれ始めるまで、NRG溶液をポンプに加えた。該針を取り除き、該ポンプを清潔に拭いた。流量調節器の透明キャップをはずし、短いステンレス鋼管を露出させた。次いで、該スチール管を、5cmのPE60管の一端に挿入した。該PE60管のもう一方の端に、注射針を挿入した。注射器のプランジャーを押して、該流量調節器が満たされるまでNRG溶液を加えた。次いで、該流量調節器の長い管を、ポンプに取付けられた白色のフランジまでポンプ内に挿入した。該流量調節器から針を取り除いた後、該ポンプを37℃で一晩、滅菌0.9%生理食塩水に浸した。
該ラットをケタミンで麻酔した(上記のように)。ラットの頚部と肩部の間の領域を脱毛し、消毒した。体を、滅菌した湿った布で覆った。次いで、肩甲骨間の皮膚を注意深く切開し、外頚静脈を確認し、かつ分離した。心臓からの静脈の遠位末端を結紮した。外頚静脈の壁に目バサミで小さな穴をあけ、マイクロ鉗子で広げた。浸透圧ポンプに接続したPE60管を、該穴を通して静脈内に2cm挿入した。次いで、該静脈の心臓から近位末端をPE60管と繋げて、該管を固定した。該PE60管周辺の静脈の遠位末端をしっかりと縛り、更に管を固定した。止血剤を用いて、該切開部から肩甲骨まで皮膚を鈍的に分離してトンネルを形成した。最後に、該皮膚を更に広げて、ラットの背中の肩甲骨中間領域にポケットを形成した。ポンプは、トンネルを通してポケット内へスライドさせ、流量調節器は切開部から遠位を向いていた。次いで、該皮膚の切開部を縫合して閉じた。該ラットを、回復後、動物室に戻し、通常通り飼育した。
(6.1.3 左心室からの心筋細胞の単離及びその収縮速度の試験)
ラットをケタミンで麻酔する。心臓を迅速に摘出し、洗浄し、かつ上行大動脈をカニューレで処置する。60cmH2Oの灌流圧で、該心臓の連続的な逆行性灌流を開始する。まず、名目上Ca2+を含まない改変クレブス液で、心臓を灌流した。該クレブス液の組成は以下:110mMのNaCl、2.6mMのKCl、1.2mMのKH2PO4、1.2mMのMgSO4、2.1mMのNaHCO3、11mMのグルコース及び4mMのヘペスである。この媒体は、再循環されず、O2で継続的にガス処理される。およそ3分後、3.3%のコラゲナーゼ(Boehringer Mannheim社)及びトリプシン(sigma社)を追加した改変クレブス緩衝液で、該心臓が十分に脱色され、かつ柔らかくなるまで、該心臓を灌流する。該心臓をカニューレから取り外し、不要な心房及び血管、並びに心室を小片に切り崩す。心室の組織を穏かに撹拌することによって、該筋細胞を新鮮なコラゲナーゼ含有クレブス液中に分散させ、その後、管中の200μmのナイロンメッシュを通して徐々に力をかける。得られる筋細胞を、25μmのカルシウムを含有する改変クレブス液に再懸濁させる。カルシウム溶液(100mM原液)を、10分間隔で、100μMのカルシウムになるまで添加することで、筋細胞にカルシウム寛容性を与える。30分後、上清を捨て、30〜50mlのタイロード緩衝液(137mMのNaCl、3.7mMのKCl、0.5mMのMgCl、11mMのグルコース、4mMのヘペス及び1.2mMのCaCl2、pH7.4)を細胞に添加する。実験開始前に、細胞を37℃で60分間保持し、単離の5時間以内に用いる。
筋細胞を含有するタイロード緩衝液のアリコットを、加熱基盤を備えた灌流チャンバに設置する。筋細胞を37℃まで温められたチャンバに付着させ、次いで、該細胞を37℃のタイロード緩衝液で灌流する。白金電極を用いて、筋細胞を0.5Hzで電場刺激する。ペーシング前に明瞭な条線を有し、静止状態の細胞だけを収縮性試験に使用する。基礎収縮力を測定するために、40×の対物レンズ及び可変フレームレート(60〜240Hz)電荷結合素子カメラを使用することで、筋細胞を撮影し、該画像をデジタル化し、240Hzのサンプリング速度でコンピューター画面に表示させた。[フレーム取り込み器、ミオペーサー、取得、及び細胞収縮性の分析ソフトウェアは、IonOptix(ミルトン、Ma)から入手可能である。]輪郭検出法を用いて、筋細胞の収縮性、並びに収縮及び弛緩速度を連続的に記録する。
(6.2 実施例2:心臓の弛緩に対するニューレグリンの効果)
正常なラットを3群に分けた(1群あたりラット15匹)。1群を対照として偽手術した。別の2群のラットについて、心筋梗塞性ラット(MIラット)を形成する方法で述べたように、左心室冠動脈を結紮した。MIラットを更に2群にグループ分けした(1群あたりラット15匹)。1群のラットを溶媒で処理し、他の群のラットを浸透圧ポンプによって、ニューレグリンで処理した。該処理の後、心臓を全てのラットから取り出し、心筋細胞を単離した。心筋細胞の収縮性指数を測定した。図1に示すように、溶媒で処理したMIラットの筋細胞と比較して、ニューレグリンで処理したMIラットの筋細胞は、より速く弛緩する。これは、ニューレグリンが、該心臓の弛緩に対して有益な効果を有し得ることを示している。
(6.3 実施例3:移植用心臓の保存におけるニューレグリンの効果)
正常なラットから心臓を回収し、3群に分けた(各群7つの心臓)。心機能を心エコー検査法で試験するとともに、該心臓をクレブス液で灌流した。次いで、1群をセルシオ溶液に2℃で6時間保存し、第2群を14nMのNRGを含有するセルシオ溶液に2℃で6時間保存し、第3群を0.1μMのワートマニンで15分間処理した後、14nMのNRGを含有するセルシオ溶液に2℃で更に6時間保存した。保存後、心臓をクレブス液で再度灌流し、かつ心エコー検査法でこれらの心機能を測定した。AKT リン酸化を検出するために、ウエスタンブロット用に、いくつかの心臓組織を回収し、かつホモジナイズした。
心機能の結果を表1に示した。
Figure 2010539107
該表の値は、ラットから心臓を回収した直後に測定した心指数のパーセンテージとして表した。
表1に示されるように、ニューレグリンを含むセルシオ溶液に保存した心臓は、セルシオ溶液単独に保存した心臓よりも、非常に高い心拍出量(15.14倍)及び冠血流量(22.94倍)を有する。これは、ニューレグリンが、移植前の心臓の保存を改善できることを示している。ニューレグリンをセルシオ溶液に添加して、移植前に、良好な心臓の心機能を保つことができることが示唆される。
また、表1は、ワートマニンとのプレインキュベーション後、ニューレグリンの心臓への効果が、完全に遮断されることを示している。図2は、ワートマニンとのプレインキュベーションで、心臓組織におけるAKTリン酸化が、ほぼ完全に阻害されたことを示している。ワートマニンが、心臓におけるAKTシグナル経路を遮断することによって、ニューレグリンの心臓への効果を抑制したことを示したものであり、これは、単離された心臓に対するニューレグリンの効果が、その下流のAKTシグナル伝達に起因していなければならないことを示した。
(6.4 実施例4:安定慢性心不全の治療へのニューレグリンの使用)
ニューレグリンを0.2μg/kg/時間(薬剤重量/体重/時間)で6時間、連続的に静脈内注入して、6人の安定慢性心不全の患者を処置した。基本的な右心カテーテル法を行い、かつ24時間の血行動態を測定するために、スワン・ガンツカテーテルを原位置に残した。その結果を図3及び図4に示した。
図3に示すように、注入後2時間で、患者の平均心拍出量は、3.7±1.0(基準)から4.8±0.8L/分へと29.7%増加した。更に、図4は、全身血管抵抗(SVR)が、1679.3±336.3から1199.5±127.6ダイン-秒-cm-5へと29%低下したことを示す。該結果は、NRGは、心拍出量を急激に改善し、安定慢性心不全の患者のSVRを低下することを示した。
本発明の範囲は、実施例の記述に限定されない。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本発明の修正及び変更がなされることは、当業者には理解されるであろう。従って、本発明の範囲は、例として提示されている具体的実施例によってではなく、添付の特許請求の範囲によって、規定されるべきことが理解されるであろう。

Claims (17)

  1. 保存溶液及び有効な量のニューレグリンを含む、移植用臓器の灌流、保存、又は再灌流のための組成物。
  2. 前記保存溶液が、セルシオ溶液、クレブス・ヘンゼライト溶液、生理食塩水、ウイスコンシン大学液、セント・トーマス第2液、コリンズ溶液、及びスタンフォード溶液からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
  3. 前記保存溶液が、セルシオ溶液である、請求項1記載の組成物。
  4. 前記保存溶液が、クレブス・ヘンゼライト溶液である、請求項1記載の組成物。
  5. ニューレグリンが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項1記載の組成物。
  6. ニューレグリンが、約10〜20nMの濃度である、請求項1記載の組成物。
  7. ニューレグリンが、約14nMの濃度である、請求項1記載の組成物。
  8. 移植用臓器の保存方法であって、該臓器を有効な量のニューレグリンと接触させることを含む、前記方法。
  9. 前記臓器が、心臓である、請求項8記載の方法。
  10. 請求項1記載の組成物において、ニューレグリンが、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項8記載の方法。
  11. ニューレグリンが、AKTシグナル経路を活性化するのに十分な量で投与される、請求項8記載の方法。
  12. 対象の心臓の弛緩速度を増加させる方法であって、有効な量のニューレグリンを対象に投与することを含む、前記方法。
  13. 前記対象が、ヒトである、請求項12記載の方法。
  14. 対象の慢性心不全の治療方法であって、有効な量のニューレグリンを、それを必要とする対象に、6時間投与することを含む、前記方法。
  15. 前記対象が、ヒトである、請求項14記載の方法。
  16. ニューレグリンが、対象の心拍出量を改善する、請求項14記載の方法。
  17. ニューレグリンが、対象の全身血管抵抗を低下させる、請求項14記載の方法。
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