このような懸架システムは、ターボエンジンと航空機の翼との間に接続インターフェースを形成するように設計されている。懸架システムは、搭載されているターボエンジンによって生成される力を航空機構造体に伝達し、また、燃料システム、電気システムおよび水力システムならびに空気システムをエンジンと航空機との間で送るために使用される。
懸架システムは、一次構造体、頻繁に「ボックス」型構造体とも呼ばれる剛直構造体、すなわち下部および上部スパーと交差補強リブによって互いに接続された側部パネルとの組立体によって形成されて力を伝達する剛直構造体を備えている。
懸架システムには、さらに、ターボエンジンと剛直構造体との間に挿入される懸架手段が設けられており、これらの手段は、全体的に、2つのエンジンサスペンションと、ターボエンジンによって生成される推力に耐えるシステムと、を備えている。従来技術において、この耐推力システムは、通常、第1にターボジェットのファンの筐体の尾部部分に接続され、第2にターボジェットの中央部分に固定された尾部取付部に接続される2つの側部接続ロッドを備えている。
同じ方法で、懸架システムは、さらに、剛直構造体と航空機翼との間に挿入される懸架システムを形成する他の一連の取付部を備えており、このシステムは、通常、2つまたは3つの取付部から構成されている。
さらに、パイロンには、システムを分離しそして維持する、その一方でパイロン整形板素子を支持する複数の二次構造体が設けられており、パイロン整形板素子は、通常、これらの二次構造体の上に追加されたパネルの組立体をなしている。当業者には周知のように、これらの二次構造体は、伝達されるエンジンから航空機翼へそれらが力を伝達するようには設計されていないことによって剛直構造体とは区別される。
二次構造体は、尾部パイロン整形板(APF)を備えており、APFは、耐熱性または耐火性障壁の形成、およびエンジン排気と懸架パイロンとの間の空力的連続性の形成を始めとする複数の機能を有している。
尾部パイロン整形板は、通常、整形板の長手方向に沿って互いに間隔をあけた内部交差補強リブによって互いに組み立てられた2つの側部パネルと熱保護デッキとを備えるボックス状をなしている。このボックスは、エンジンを航空機翼の下方に懸架すると、その位置が他のパイロン構造体に接続される位置になることを考慮すると、通常、熱保護デッキの反対側、すなわち上部部分には閉じないことに留意されたい。
熱保護デッキには、このデッキによって画定されるエンジンコアフローを画定するように設計された外部表面が設けられており、一方、エンジンファンフローは、エンジンの環状ファンフローダクト中、および/またはエンジン排気部分におけるそれらの位置に起因して、側部パネルの外部表面によって画定される。
従来技術による解決法において、熱保護デッキは、熱保護デッキと接触するボックス内部交差リブの上に固定して取り付けられており、また、その対向する側端は、やはり交差リブに突き合わせる2つの側部パネルの上に固定して取り付けられている。
この構成の場合、熱保護デッキが極めて熱いコアエンジンフローと接触することになり、それは、熱膨張によって熱保護デッキが著しく変形することを意味する。しかしながら、内部交差リブの中へおよび2つの側部パネルそれぞれの下部端の中への熱保護デッキの対応する埋込部(embedment)によってデッキおよび側部パネルの内部に大きい熱機械応力が生成され、これは、これらのエレメントにとっては明らかに不都合である。
デッキの大きな熱膨張によって大きな熱機械応力が引き起こされるこの現象は、側部パネルがかなり低温のファンフロー中に浸漬され、その結果、熱膨張によって生じる側部パネルの変形が非常に小さいことによって強調されることに留意されたい。それにもかかわらず、側部パネルは、側部パネルが直接的かつ剛直に接続されるデッキの膨張によってもたらされる応力によって生じる著しい変形の影響を受け、そのためにそれらの空力形状が損なわれ、また、より一般的には整形板の全体的な空力品質が低下する。当然、このような空力品質の低下により、生成される有害抗力が大きくなる。
したがって、上述のように熱保護デッキが内部リブなどの特定の整形板エレメントの中に構築されるため、整形板の空力品質は、自由に膨張して応力を解放することができない熱保護デッキの局部変形によっても損なわれることに留意されたい。コアエンジンフローは極めて高速の噴流であるため、デッキ部分に生じる局部変形によって極めて大きい有害抗力が生成される。
最後に、かなり低温のファンフローは、ボックス内におけるそれらの位置のため、内部交差リブの表面に直接沿っては流れず、また、これらのリブは、それらが接触する熱保護デッキから伝達される熱に敏感であってもよいことに留意されたい。したがって、ボックス形整形板の異なる素子を機械的に支持するためのこれらのリブの機能をそれらに実行させることができるようにするためには、場合によってはそれらを特大化しかつ/または耐熱特性が良好な高価な材料を使用してそれらを製造しなければならない。
したがって本発明の目的は、上記従来技術による実施形態に関する欠点を少なくとも部分的に修正することである。
この目的を達成するために、本発明の対象は、航空機翼とエンジンとの間に挿入されるエンジン懸架システムのための尾部パイロン整形板であって、整形板の長手方向に沿って互いに間隔をあけた内部交差補強リブによって共に組み立てられた2つの側部パネルを備えたボックスを形成し、また、コアエンジンフローを画定する外部表面を備えた熱保護デッキを備え、熱保護デッキが2つの対向する側端を備えている、尾部パイロン整形板である。
本発明によれば、この整形板は、さらに、熱保護デッキを内部交差補強リブからオフセットさせる長手方向の2つの接続壁を備え、これらの長手方向の2つの壁は、それぞれ、熱保護デッキの2つの側端のうちの一方または他方に固定された第1の側端、および内部交差補強リブに剛直に固定された第2の側端を備えている。
本発明の特定の特徴の1つは、本発明の場合、長手方向壁によってこのデッキが内部交差リブからずらされていることであるが、これらの壁は、リブの上にデッキを組み立てるために間接的に(かつ好ましくは単独で)使用される同じ壁であることを理解されたい。すなわち、デッキは、もはやリブの上に直接取り付けられておらず、デッキは、有利には、このデッキによって画定されるコアエンジンフローによって放出される大量の熱によって生じる熱膨張によりデッキがより自由に変形することを可能にする。
デッキが内部リブに対して比較的自由に膨張するこの革新的な構成は、このような膨張の結果としてデッキに加えられる熱機械応力を低減し、その応力は、熱機械応力がデッキに導入される原因になっている主要な機構が、デッキがリブの中に構築されていることにある従来技術の実施形態に見られる応力の値より小さくなる。
この点に関して、従来技術と比較すると応力がより小さいため、デッキが熱膨張による変形が可能であることを考慮すると、このデッキの空力品質を損ねている局部変形がやはり著しく低減される。したがって、その結果整形板の全体的な空力品質が改善され、有害抗力効果が著しく抑制され、延いては航空機の性能/消費比率が改善される。
さらに、好ましくはデッキと側部パネルの間の剛直な直接機械リンクとを排除してこれら構成部材間に長手方向に延在する機械的破断部(break)が生成され、したがってデッキが側部パネルを伴うことなく膨張することが可能となることによって、上述の利点すべてが強調される。
好ましくは、内部リブからずらされたデッキは、これらリブと接触しておらず、デッキを介してこれらリブへ伝達される熱は、まず長手方向壁を通過する。これは、熱が内部リブに到達する前に熱の強度が小さくなり、そのためにこれら内部リブはほとんど加熱されず、したがって有利には、これらのリブを必ずしも特大化する必要なく、耐熱特性が良好な高価な材料以外の材料の使用をとりわけ可能にしていることを意味する。
さらに、デッキの熱膨張がリブおよび側部パネルに対して極めて自由に発生するため、これらリブおよびパネルに引き起こされる変形形状が著しく低減され、尾部パイロン整形板は、尾部構造体のようなパイロンの他の二次構造体の中に統合される。
最後に、長手方向壁が存在していることによってデッキの熱膨張が解放され、この熱膨張の解放がデッキの機械応力を抑制する効果を有していることに留意されたい。この特定の特徴と上述の異なる有利な技術的な効果が相俟って、デッキの厚さを従来技術で使用される厚さ未満にすることを想定でき、その結果、とりわけ質量およびコストが節約される。
好ましくは、整形板の任意の断面における個々の長手方向壁の第1の端部は、その関連する熱保護デッキ側端と共に、協働して、好ましくはY字形の先端を形成する。すなわち、個々の長手方向壁は、その関連するデッキから、内部リブの上に直接追加され、かつ、該内部リブに固定されたその第2の側端に向かって遠ざかる方向に徐々に移動する前に、その第1の側端がその関連するデッキ側端と堅固に接触するようになっている。
有利には、この好ましい先端形状は、デッキの下方を循環するコアエンジンフローと側部パネルによって画定されるファンフローとの間の有効な分離の維持を可能にしており、側部パネルは、もはやコアエンジンフローの高温に露出されない。
好ましくは、さらに整形板の任意の断面において、長手方向壁すべては、概ね直線をなし、また、熱保護デッキは、概ね、整形板に対して外側に向かって開いている曲線をなしており、この形状は、コアエンジンフローの良好な空力フローが得られるように完全に適合されている。
熱保護デッキは、一体成形品で形成されており、同様に、それらによって生成される空力的攪乱および有害抗力を最小化する。
同様にかつ好ましくは、これらの2つの長手方向壁それぞれは、一体成形品を形成するように形成されている。
この点に関して、これらの2つの長手方向壁それぞれおよびデッキは、整形板の非常に長い長さにわたって、好ましくはその尾部空力角錐すなわち前縁の始端まで延在していることに留意されたい。
また好ましくは、これらの2つの長手方向壁それぞれおよび熱保護デッキは、アルミニウムでできているか、あるいは樹脂と炭素繊維および/またはガラス繊維との混合によって形成された複合材料で形成されており、それにより質量およびコストが節約される。しかしながら、それらはチタンでできていることがさらに好ましい。
好ましくは、これらの2つの長手方向壁それぞれの第2の側端は、好ましくは内部交差リブの側面部分の上に固定して取り付けられる側部パネルから所定距離の位置で、これらの内部補強交差リブの下部部分上に固定して取り付けられている。
より一般的には、また、上述のように、熱保護デッキおよび2つの長手方向壁は、整形板側部パネルとの何らかの剛直な直接機械リンクを有していないが、これは、これらの整形板側部パネルが、実際に内部交差リブを介して、熱保護デッキおよび2つの長手方向壁の上にのみ追加され、かつ、該熱保護デッキおよび2つの長手方向壁に間接的に固定されることを意味する。すなわち、デッキと側部パネルそれぞれとの間に長手方向の機械的破断部が存在している。
この構成の場合、デッキは、事実上、側部パネルに固定されないため、熱膨張に起因するその変形によってデッキに加えられる熱機械応力がさらに小さくなる。
この場合も、従来技術と比較すると拘束がより小さいため、デッキが熱膨張による変形が可能であることを考慮すると、このデッキの空力品質が著しく向上する。
側部パネル中へのデッキの埋込みがないことによって、熱膨張によるデッキの変形に引き続いて生じることになるこれら側部パネルに対する応力および変形が有利に防止されるため、デッキの空力品質がさらに改善される。この点に関して、側部パネルは、かなり低温のファンフロー中に浸漬され、その結果、熱膨張による変形をほとんど受けないことに留意されたい。したがってそれらの全体的な変形レベルが比較的低いレベルに維持され、それが、有害抗力効果の抑制をもたらし、かつ、航空機の性能/消費比率を改善して、極めて満足すべき空力品質を生み出す。
2つの側部パネルそれぞれは、一体成形品が形成されるように作製されることが好ましい。
同様に、これらの2つの側部パネルそれぞれは、アルミニウムでできているか、あるいは樹脂と炭素繊維および/またはガラス繊維との混合によって形成された複合材料でできていることが好ましく、チタンでできていることがさらに好ましい。
本発明の好ましい一実施形態によれば、整形板はまた、これらの側部パネルの2つの空力拡張部分を備えており、これらの空力拡張部分それぞれは、熱保護デッキに向かって延びる一方の側部パネルに結合されており、空力拡張部分それぞれは、その関連する側部パネルの上に剛直に追加された第1の端部と、第2の端部と接触支持する熱保護デッキの側端のうちの一方と協働する第2の端部とを有している。
したがって、空力拡張部分とデッキとの間には剛直リンクは存在しておらず、デッキは、膨張によって自由に変形し続けることができる。当然、側部パネルそれぞれが、側部パネルの末端においてその末端を常に接触支持することになり、また、その末端には直接にかつ剛直に接続されない熱保護デッキ側端のうちの一方と協働するまで、内部交差リブを越えて延びる代替解決法を想定することも可能であったはずである。
これらの2つの空力拡張部分それぞれは、例えばアルミニウムで、または樹脂と炭素繊維および/もしくはガラス繊維との混合で形成された複合材料、さらにはチタンで形成された一体成形品を形成するように形成されることが好ましい。
本発明の他の目的は、航空機翼とエンジンの間に挿入されるエンジン懸架システムであって、このシステムは、上述したような尾部パイロン整形板を備えている。
本発明の他の目的は、ターボジェットなどのエンジンおよびこのエンジンのための懸架システムを備えたエンジン組立体であり、このシステムは、上で説明したシステムに準拠する。
最後に、本発明の他の目的は、少なくとも1つのこのようなエンジン組立体を備えた航空機である。
本発明の他の利点および特徴は、以下の非制限的な詳細説明によって明らかになるであろう。
添付の図面を参照して説明がなされる。
図1は、この航空機の翼2の下方に固定された航空機エンジン組立体1を示したもので、この組立体は、本発明の好ましい一実施形態による懸架システム4、およびこのシステム4の下方に懸架されたターボジェットなどのエンジン6を備えている。
一般的に、懸架システム4は、一次構造体とも呼ばれている剛直構造体8であってエンジン6のための懸架手段を支える剛直構造体8を備えており、これらの懸架手段は、いくつかのエンジンサスペンション10、12およびエンジン6によって生成される推力に耐えるためのシステム14を備えている。
組立体1がエンジン室(図示せず)によって覆われることになること、および懸架システム4が剛直構造体8の上に追加された他の一連のサスペンション(図示せず)を備えていること、ならびに航空機翼2の下方にこの組立体1を懸架していることに留意されたい。
以下の説明全体を通して、慣例によれば、Xはシステム4の長手方向であり、かつ、事実上、ターボジェット6および以下で説明する尾部パイロン整形板の長手方向であり、このX方向は、このターボジェット6の長手方向軸5に対して平行である。Y方向は、システム4を横断する方向に向けられており、かつ、事実上、ターボジェット6および尾部パイロン整形板を横断する方向であり、一方、Zは、垂直方向すなわち高さであり、これらの3つの方向X、YおよびZは互いに直角である。
さらに、「前方」および「尾部」という用語は、ターボジェット6によって加えられる推力の結果として生じる航空機の移動の方向に対するものとして考慮すべきであり、この方向は、矢印7によって図式的に示されている。
したがって、図1には、2つのエンジンサスペンション10、12、耐推力システム14、懸架システム4の剛直構造体8、および剛直構造体8の上に追加された複数の二次構造体が含まれている。システムを分離、維持し、その一方でパイロン整形板素子をサポートしているこれらの二次構造体については、後述する。
ターボジェット6には環状ファンダクト20を画定している大型ファンケーシング18がターボジェットの前方端に設けられ、かつ、より小型の中央ケーシング22がターボジェットの尾部端に設けられており、このターボジェットのコアを囲んでいることに留意されたい。ケーシング18および22は、明らかに互いに剛直に固定される。
図1から分かるように、システム4のための2つのエンジンサスペンション10、12が存在しており、それらは、それぞれ前方エンジンサスペンションおよび尾部エンジンサスペンションと呼ばれている。
本発明のこの好ましい実施形態では、剛直構造体8は、尾部部分から前方端へ向かって概ねX方向に沿って延在するボックス状をなしている。
そして、ボックス8は、とりわけ複数の交差リブ(図示せず)であってそれぞれがYZ平面に向けられた長方形をなしている点でターボジェット懸架パイロンに一般的に見られる構成と同様の構成を有するパイロンの形態をなしている。
この好ましい実施形態の懸架手段は、第1に角錐とも呼ばれている剛直構造体8の前方端とファン筐体18の上部部分との間に挿入された前方エンジンサスペンション10を備えている。前方エンジンサスペンション10は、当業者に既知の方法で従来通りに構成されている。
第2に、やはり当業者に既知の従来の方法で作製された尾部エンジンサスペンション12が、剛直構造体8と中央筐体22との間に挿入されている。
また、図1を参照すると、パイロン4の二次構造体は、前方空力構造体24、尾部空力構造体26、前方空力構造体および尾部空力構造体についての接続整形板28、および尾部パイロン整形板30を有している。
全体的に、これらの二次構造体は、以下で詳細に説明する尾部パイロン整形板30を除き、従来技術で見られる、当業者に既知の構成部材と同一または同様の従来の構成部材である。
より正確には、前方空力構造体24は、翼2における下部前方拡張部分にかつ一次構造体8の上方に置かれている。前方空力構造体24は、剛直構造体8の上に固定して取り付けられており、この部分に蝶番で取り付けられたファンカバーの上部部分と翼の前縁との間に空力プロファイルを形成する。そして、この前方空力構造体24は、パイロン整形板を形成するだけではなく、異なるシステム(空気システム、電気システム、水力システム、燃料システム)を配置し、分離し、かつ、送るためにも使用される。さらに、この構造体24の前方部分は剛直構造体8と接触していないため、通常、これらの2つの構成部材間に画定される空間に熱交換器が挿入されている。
「カルマン(karman)」とも呼ばれている接続整形板28は、この構造体24の尾部延長部分にかつ、さらに翼の下方に直接配置されており、剛直構造体8の上方に取り付けられている。そして、接続整形板28は、パイロン装置の一部を含む尾部空力構造体26によってさらに尾部方向に向かって延びている。この構造体26は、好ましくは、剛直構造体8の尾部に配置されており、航空機翼の下方に懸架されている。
最後に、尾部パイロン整形板30すなわち「シールド」は、剛直構造体8および尾部空力構造体26の下方に配置されている。尾部パイロン整形板30は、本質的に、コアエンジンフローによって放散された熱からパイロンおよび翼を保護する耐火障壁とも呼ばれている熱の障壁を形成しており、また、エンジン排気と懸架パイロンとの間の空力的連続性を形成する。
当業者に既知の方法で、上述の整形板30は、デッキが部分的に径方向外側に向かって画定しているエンジンからのコアエンジンフローを画定することになる外部表面が設けられた熱保護デッキ32を備えており、エンジンノズル33からのこのコアエンジンフロー出力は、矢印36によって図式的に示されている。さらに、整形板30は、エンジンの環状ファンダクト40の中および/またはエンジン排気部分におけるそれらの位置のために、矢印38によって図式的に示されているエンジンからのファンフローを画定している外部表面を備える2つの側部パネル44を備えている。
エンジン6が航空機翼の下方に懸架されることになる説明されている好ましい実施形態では、パイロンおよび翼をコアエンジンフロー36から保護している熱保護デッキ32が整形板30の下部部分を形成することに留意されたい。当然、翼の上方に取り付けるようにエンジンが設計された代替事例の場合は、このデッキは、整形板の上部部分を形成することになる。
最後に、図1から分かるように、デッキ32の前方端は、ノズル33の上部尾部端に突き合わせているか、あるいはノズル33のこの尾部端のすぐ近くに位置している。
次に図2から図5を参照すると、尾部パイロン整形板30がより詳細に示されており、尾部パイロン整形板30は、頂部において開口した、すなわちパイロン4の他の構造体、すなわち尾部空力構造体26および剛直構造体8に面しているほぼボックス形をなしている。整形板30は、好ましくは、XZ平面に対応する対称面Pを有しており、この平面Pは、やはり、懸架システム4全体およびエンジン6のための垂直対称面を形成する。
とりわけ図2を参照すると、ボックス形の尾部パイロン整形板30は、2つの側部パネル44を備えており、側部パネルそれぞれは、平面Pの両側のXZ平面にほぼ向けられている。側部パネル44は、X方向に沿って互いに間隔をあけた内部交差補強リブ46によって互いに組み立てられており、これらリブ46それぞれは、YZ平面に沿って向けられており、また、例えば長方形または正方形をなしている。この点に関して、図示されていないが、整形板30は、好ましくは、ボックスの前方閉鎖リブをさらに備えている。
側部パネル44は、当業者に既知の従来の手段によって、内部リブ46それぞれの側面部分に直接固定して取り付けられている。
さらに、整形板30は、ボックスの下側部分において熱保護デッキ32を備えており、好ましくは、上側部分は、図2から明らかに分かるように、懸架システムに追加されるまでは開いた状態を維持している。
さらにこの図を参照すると、整形板30は、互いに固定された2つの異なる部分、すなわち整形板の大部分、例えばX方向に沿った整形板の60%から85%を形成する前方部分50と全体的に角錐またはチップの形状をなす微小尾部部分52に分解されることが分かり、微小尾部部分52の基部は、前方部分50に剛直に接続されており、また、その頂点54は、整形板30の尾部端を形成している。前方部分50は、案内のために、その長さ全体に沿って極めて一様な断面を有している。
側部パネル44は、好ましくは、一体成形品の状態で、それぞれ整形板30の一方の末端からもう一方の末端まで、すなわち、前方部分50および尾部部分52の両方に沿って延在している。一方、熱保護デッキ32は、好ましくは、一体成形品の状態で、前方部分50のみに沿って延在しており、尾部部分52に沿っては延在していないが、これは、明らかに、本発明の枠組みから逸脱することなく想定することができる。この特別な特徴は、とりわけ、角錐形尾部部分52がエンジンの中心線から遠ざかる方向に徐々に移動し、コアエンジンフローが尾部方向で移動する際に、どのような場合においてもコアエンジンフローの熱強度の一部を損失することになるコアエンジンフローが角錐52の下部閉鎖エレメントの温度に対してそれほど影響を及ぼさないことによって説明される。
また、上記構成要素それぞれが一体成形品でできていることが、これらの部分が、例えばX方向に沿ういくつかの後続する部分のような互いに剛直に固定されるいくつかの異なる部分から製造されることを妨げないことに留意されたい。また、これは、場合によっては一体成形品で作製されるものとして説明されている以下の構成部材についても同様である。
本発明の特別な特徴の1つは、次に図3から図5を参照して詳細に説明するように、デッキ32が、このデッキ32の側端に剛直にかつ直接に追加された2つの長手方向の接続壁58を使用して、内部交差リブ46から下方に向けてシフトしていることにある。
図3は、長手方向壁58それぞれが、例えばリベット締めまたは同様の手段によってデッキ32の側端60のうちの一方に剛直にかつ直接に固定された第1の下部側端62を有していることを示している。
したがって、これら2つの側端60および62間にある2つの剛直な直接機械接続それぞれは、整形板の前方部分50の長さ全体に沿って、ほぼX方向に沿って形成されていることが好ましい。
また、好ましくは、デッキ32の上方で延在しているこれら2つの長手方向壁58それぞれは、一体成形品を形成するように形成され、また、長手方向壁58の下部端62から第2の上部側端64に向けてかって延在しており、その機能は、2つの連続するリブの間で取られた断面図を示す図4からより良く分かるように、整形板の内部リブの上に剛直に追加されることである。
この図4は、熱保護デッキ32が2つの壁58を介して内部リブ46の下部部分66の上に間接的に追加されており、これら2つの壁58がやはりこれらリブの上にデッキ32を取り付ける唯一の手段を形成することを示している。
これを達成するために、これら2つの壁58それぞれの第2の側端64であってデッキ32から一定の距離だけ下方に向けてシフトしている第2の側端64は、内部リブ46の下部部分66にある側部パネル44から離れた位置に剛直にかつ直接に固定される。したがって、デッキ32は、従来技術の場合とは異なり、もはや内部リブに直接取り付けられていないため、有利には、このデッキ32によって画定されるコアエンジンフロー36によって放散される大量の熱の結果としての熱膨張によってより自由に変形することができる。
この点に関して、熱保護デッキ32には図4に参照符号70で示されている外部表面が設けられており、この表面は、熱保護デッキ32が部分的に径方向外側に向けて画定しているコアエンジンフロー36を画定するように設計される一方、側部パネル44の外部表面は、ファンフロー38を画定するように設計されていることに留意されたい。
デッキ32の下方を循環するコアエンジンフロー36と側部パネル44によって画定されるファンフロー38との間の有効な分離を維持するためには、すなわち極めて高い温度のコアエンジンフローがこれら側部パネル44に沿って発生して伝播することを防止するためには、整形板の任意の断面において、長手方向壁58それぞれの第1の端部62が、その関連する側部デッキ端60と共に共同してY字形の先端を形成するように配置することが好ましい。より正確には、図示のように、Y部の先端、すなわち2つの端部60、62間の接触ゾーンで構成されるY部の部分がほぼ下方を向きかつ整形板30から横方向外側を向いて、整形板の下側部分におけるコアエンジンフロー36、つまり熱保護デッキ32に沿う熱保護デッキ32と接触しているコアエンジンフロー36に正確に外接させるに構成されている。
この点に関して、さらに、整形板の任意の断面において、長手方向壁58それぞれは、ほぼ傾斜した直線の形をなしており、長手方向壁58の第2の側端64に向けて移動すると、整形板の中心からの距離は、短くなる一方、これら壁58の下方に配置されている熱保護デッキ32は、ほぼ整形板30から外側に向かって開く曲線を形成する線の形態をなしており、依然としてこの整形板の下側部分におけるコアエンジンフロー36に外接させることを目的としていることが分かる。
したがって、この特定の幾何構造体において、デッキ32全体がシフトしてリブ46と接触せず、したがってこれらリブの下側部分66とデッキ32との間に自由空間が形成されるように構成することは容易である。
最後に、上述の平面Pに対して対称に配置された2つの壁に壁の2つの側端30が剛直にかつ直接に固定されたデッキ32は、尾部方向にさらに向かう断面図に対応しかつデッキ32がより大きい直径の曲率(diameter curvature)を有している図5から理解されるように、尾部方向に向かって徐々に平らになる曲率を有してもよいことに留意されたい。
熱保護デッキ32および2つの長手方向接続壁58が側部パネル44との何らかの直接剛直機械リンクを有していないこと、また、これら熱保護デッキ32および2つの長手方向接続壁58が好ましくはこれらパネルの下部端より下方に配置されていることを考慮すると、整形板30には、好ましくは、側部パネル44それぞれの下部端と下部端と関連する下部端のY部先端との間に空力接続を形成する追加手段であって下部端から所定の距離をあけて下部端を向き、互いに重ね合わされている側端60、62によって形成された追加手段が設けられている。
これは、側部パネル72の2つの空力拡張部分であって平面Pについて対称に配置されかつ熱保護デッキ32の方向、より正確には、熱保護デッキおよび関連する長手方向壁58によって共同して形成されたY部の方向に延在している2つの側部パネル44の一方とそれぞれ結合した2つの空力拡張部分を形成することによって達成される。
好ましくは、空力拡張部分72それぞれには、その関連する側部パネル44の上に剛直にかつ直接に固定された第1の端部すなわち上部端74とその関連するデッキ側端60と協働する第2の端部すなわち下部端76とが設けられており、空力拡張部分72は、この下部端76に対してのみ接触支持されている。好ましくは、拡張部分72それぞれの2つの端部に形成された2つのリンク、すなわち剛直リンクおよび単純な軸受リンクは、整形板の前方部分50全体にわたって連続的に延在している。この点に関して、この場合も、拡張部分72それぞれは、好ましくは前方部分50に沿ってのみ一体成形品で延在しており、尾部部分52に沿っては延在していないが、これは、明らかに、本発明の枠組みから逸脱することなく想定することができる。一般に、空力拡張部分72、接続壁58および熱保護デッキ32は、X方向に沿って同じ長さにわたって延在していることが好ましいことに留意されたい。
整形板の任意の断面において、拡張部分72それぞれは、ほぼL字状なしており、拡張部分の基部は、デッキの端部60、62および関連する壁によって形成されたY部の先端を支持する下部端76で構成されている。したがって、この下部端76は、デッキと直接接触することなく、むしろ接続壁58と接触して、デッキ32と接触支持するように構成されることが好ましい。したがって、デッキ32の自由な熱膨張を許容するために必要な単純な軸受リンクは、整形板の前方部分50全体に沿って延在している表面接触の形態にある。
さらに、ほぼZ方向に沿って向けられているL部の長枝部の末端は、拡張部分72の上部端74を形成している。上部端74は、場合によっては、図4に示されているように、おそらくは内部リブ46を越えてわずかに下方に向けて延在する側部パネル44の下部端に剛直に固定されており、取り付けは、好ましくは従来のリベットタイプの手段または同様の手段によってなされる。
最後に、上で詳細に説明した整形板30の特定の設計のため、整形板のすべての構成部材をアルミニウムから、または樹脂と炭素繊維および/もしくはガラス繊維との混合によって形成された複合材料から形成されてもよく、有利には、その質量およびその製造コストが低減される。
当業者は、非限定的な例を用いて上述した本発明に様々な修正を加えることができることは明らかである。この点に関して、とりわけ、エンジン組立体1は、航空機翼の下方に懸架するのに適した構成で示されているが、この組立体1の構成は、この翼の上方に取り付けることができるよう、異なる構成にすることも可能であることに留意されたい。