JP2010538078A - 線維症を治療するためのピペリジニルアミノ−チエノ[2,3−d]ピリミジン化合物 - Google Patents

線維症を治療するためのピペリジニルアミノ−チエノ[2,3−d]ピリミジン化合物 Download PDF

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Abstract

本発明は、5-HT調節物質、例えば、5-HT2B調節物質の投与により、対象の線維症を治療または予防する方法を提供する。特定の態様において、5-HT調節物質はピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物である。

Description

関連出願
本出願は、2007年9月4日提出の米国特許仮出願第60/969,820号に対する優先権の恩典を主張し、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、一般には、セロトニン(5-ヒドロキシトリプタミン、すなわち5-HT)受容体調節物質、例えば、アンタゴニスト、特に5-HT調節物質であるピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物ならびに線維症の治療および/または予防におけるこれらの化合物の使用の分野に関する。
発明の背景
線維症は、線維性組織の異常な蓄積によって特徴づけられる。線維性組織は損傷された体組織を修復する生理的プロセスの一部として自然に蓄積する。しかし、線維性組織の異常な蓄積は体器官にとって有害でありえ、器官の適当な機能を損なう。例えば、肝臓、肺、および腎臓における線維性組織の異常な蓄積はこれらの器官の適当な機能を損ないうる。
肝線維症は、慢性肝傷害に対する創傷治癒反応の一部として起こる。線維症につながる肝傷害は、寄生虫感染、外傷、および自己免疫疾患によって引き起こされうる。肝線維症を引き起こす寄生虫感染は、細胞外寄生虫(例えば、住血吸虫、肝吸虫、ファスキオラ、オピストルキス、および槍型吸虫)または細胞内寄生虫(例えば、真菌および特定の細菌)のいずれかが原因でありうる。血色素症、ウィルソン病、アルコール中毒、住血吸虫症、胆管閉塞、毒素への曝露、代謝障害、特定の細菌感染、敗血症、低酸素症、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、および特定の薬剤への曝露も肝線維症につながりうる。
肝線維症のもう一つの原因はウイルス感染である。例えば、A、B、およびC型肝炎、デルタ型肝炎とイプシロンウイルス、ならびに肝細胞にとって栄養性の他のウイルスが肝線維症を引き起こしうる。C型肝炎ウイルス(HCV)は肝線維症の主因である。C型肝炎ウイルスは、西欧州の500万人および米国の270〜400万人を含む、世界中で約1億7千万人が感染していると推定される(Vrolijk et al. (2004) Netherlands J. Med. 62:76-82(非特許文献1); Saadeh and Davis (2004) Cleveland Clinic J. of Med. 71:S3-S7(非特許文献2); Foster (2003) Expert Opin. Pharmacother. 4:685-691(非特許文献3))。HCVの有病率はほとんどの先進国では0.5%〜2%で変動するが、エジプトでは20%という高率である(Foster、上記)。いくつかの報告は、HCV感染者の約70〜80%は慢性感染症を発症し、そのうちの約4分の1は20年以内に、半数は50年以内に重度の線維症を発症する危険度が高いことを示している。慢性的に感染している個人の残りの半数は相対的に無症候性のままである(Schuppan et al. (2003) Cell Death and Differentiation 10:S59-S67(非特許文献4); Patel and McHutchison (2003) Chronic Hepatitis C 114:48-62(非特許文献5))。
肝臓の線維症は硬変、肝不全、および死亡さえも引き起こしうるため、肝線維症を治療または予防するための治療法は重要である。さらに、肝線維症を治療するための現行の治療法には、根源的な原因、例えば、毒素または感染因子の除去、コルチコステロイドまたはIL-1受容体アンタゴニストを用いての炎症の抑制、およびガンマインターフェロンまたは抗酸化剤を用いての星状細胞活性化のダウンレギュレーションが含まれるが、これらはそれぞれ欠点がある。
腎線維症は、高血圧を含む様々な状態に反応して、および特定の薬剤の副作用として起こりうる。腎臓の線維症は腎機能を損ない、慢性腎不全、腎臓の老廃物を排出し、尿を濃縮し、電解質を保存する能力の漸進的かつ進行性の損失を引き起こしうる。しかし、この衰弱させる疾患の治療の選択肢は限られている。
したがって、線維症を治療するための新しい方法および組成物がいまだ必要とされている。
Vrolijk et al. (2004) Netherlands J. Med. 62:76-82 Saadeh and Davis (2004) Cleveland Clinic J. of Med. 71:S3-S7 Foster (2003) Expert Opin. Pharmacother. 4:685-691 Schuppan et al. (2003) Cell Death and Differentiation 10:S59-S67 Patel and McHutchison (2003) Chronic Hepatitis C 114:48-62
本発明は、部分的には、5-HT調節物質、例えば、5-HT2B調節物質の投与により、対象の線維症を治療または予防する方法に関する。特定の態様において、5-HT調節物質はピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物である。例えば、本発明の一つの局面は、対象の器官の線維症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に式Iの化合物の治療上有効な量または式Iの化合物の治療上有効な量を含む組成物を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記で表される方法に関する:
Figure 2010538078
式中
R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
Qは
Figure 2010538078
であり;
R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
*は結合点を表す。
一つの態様において、R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す。一つの態様において、R3およびR4は独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す。一つの態様において、Qは
Figure 2010538078
である。一つの態様において、R5は置換アリールであり;R6は水素であり;かつAはHである。一つの態様において、nは0または1である。
一つの態様において、R5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、芳香環、例えば、フェニル、ナフチル、ジフェニルメチル、ビアリールを形成し;これは隣接炭素原子上で置換されて
Figure 2010538078
などの5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい。
一つの態様において、R1はH、-CH3、-CH(CH3)2、またはClである。もう一つの態様において、R2はH、Cl、低級アルキル、例えば、直鎖もしくは分枝C1、C2、C3(例えば、イソブチルまたはtert-ブチル)、C4もしくはC5アルキル、またはアリール、例えば、フェニルもしくはフルオロフェニルである。R1およびR2は、チエノからの結合した炭素と一緒になって、シクロヘキシル環を形成してもよい。Q基は好ましくはN置換アルキルまたはシクロアルキルである。()nで示す連結基は置換または無置換、直鎖または分枝でありえ、かつ一重結合でもよく、あるいは1、2、3、4もしくは5つまたはそれ以上の炭素からできていてもよい。特定の態様において、nは2、3、4または5である。特定の態様において、AはHまたは-CH3である。特定の態様において、AはHである。
一つの態様において、化合物は、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつnはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
一つの態様において、nが1である場合、R2は水素ではなく、かつnが2である場合、両方のR2基が水素であることはない。アミドの例にはアミド、N-メチルアミドおよびジメチルアミド基が含まれ;スルホニル基の例にはトリフルオロメチルスルホニル、スルホニル、およびメチルスルホニル基が含まれる。特定の態様において、薬学的に許容される塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
一つの態様において、化合物はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、Xはハロゲンであり;R3はそれぞれの場合について独立にハロゲン、シアノ、またはトリハロメチルを表し;かつnは1または2である。特定の態様において、薬学的に許容される塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
一つの態様において、化合物は5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
一つの態様において、化合物は3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
一つの態様において、器官は肝臓である。一つの態様において、器官は腎臓である。一つの態様において、器官は肺である。一つの態様において、対象は哺乳動物である。一つの態様において、対象はヒトである。化合物を当業者によって決められた、または本明細書に記載の用量で投与してもよい。一つの態様において、式Iの化合物を約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与する。一つの態様において、前記化合物の投与の様式は、経口、静脈内、舌下、眼、経皮、直腸、局所、筋肉内、動脈内、皮下、頬側、経鼻、または肝臓への直接送達である。
本発明のもう一つの局面は、対象の壊死または炎症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に式Iの化合物の治療上有効な量または式Iの化合物の治療上有効な量を含む組成物を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記で表される方法に関する:
Figure 2010538078
式中
R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
Qは
Figure 2010538078
であり;
R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
*は結合点を表す。
一つの態様において、R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す。一つの態様において、R3およびR4は独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す。一つの態様において、Qは
Figure 2010538078
である。一つの態様において、R5は置換アリールであり;R6は水素であり;かつAはHである。一つの態様において、nは0または1である。
一つの態様において、R5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、芳香環、例えば、フェニル、ナフチル、ジフェニルメチル、ビアリールを形成し;これは隣接炭素原子上で置換されて
Figure 2010538078
などの5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい。
一つの態様において、R1はH、-CH3、-CH(CH3)2、またはClである。もう一つの態様において、R2はH、Cl、低級アルキル、例えば、直鎖もしくは分枝C1、C2、C3(例えば、イソブチルまたはtert-ブチル)、C4もしくはC5アルキル、またはアリール、例えば、フェニルもしくはフルオロフェニルである。R1およびR2は、チエノからの結合した炭素と一緒になって、シクロヘキシル環を形成してもよい。Q基は好ましくはN置換アルキルまたはシクロアルキルである。()nで示す連結基は置換または無置換、直鎖または分枝でありえ、かつ一重結合でもよく、あるいは1、2、3、4もしくは5つまたはそれ以上の炭素からできていてもよい。特定の態様において、nは2、3、4または5である。特定の態様において、AはHまたは-CH3である。特定の態様において、AはHである。
一つの態様において、化合物はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつnはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
一つの態様において、nが1である場合、R2は水素ではなく、かつnが2である場合、両方のR2基が水素であることはない。アミドの例にはアミド、N-メチルアミドおよびジメチルアミド基が含まれ;スルホニル基の例にはトリフルオロメチルスルホニル、スルホニル、およびメチルスルホニル基が含まれる。特定の態様において、薬学的に許容される塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
一つの態様において、化合物はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、Xはハロゲンであり;R3はそれぞれの場合について独立にハロゲン、シアノ、またはトリハロメチルを表し;かつnは1または2である。特定の態様において、薬学的に許容される塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
一つの態様において、化合物は5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
一つの態様において、化合物は3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
一つの態様において、対象は哺乳動物である。一つの態様において、対象はヒトである。化合物を当業者によって決められた、または本明細書に記載の用量で投与してもよい。一つの態様において、式Iの化合物を約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与する。一つの態様において、前記化合物の投与の様式は、経口、静脈内、舌下、眼、経皮、直腸、局所、筋肉内、動脈内、皮下、頬側、経鼻、または肝臓への直接送達である。一つの態様において、壊死はウイルス、細菌、または寄生虫感染に関連している。一つの態様において、壊死は対象の毒素または治療薬質への曝露によって引き起こされる。一つの態様において、炎症はウイルス、細菌、または寄生虫感染に関連している。一つの態様において、炎症は対象の毒素または治療薬への曝露によって引き起こされる。
本発明のもう一つの局面は、対象の活性化肝星状細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、対象に式Iの化合物の有効量または式Iの化合物の治療上有効な量を含む組成物を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記で表される方法に関する:
Figure 2010538078
式中
R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
Qは
Figure 2010538078
であり;
R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
*は結合点を表す。
一つの態様において、R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す。一つの態様において、R3およびR4は独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す。一つの態様において、Qは
Figure 2010538078
である。一つの態様において、R5は置換アリールであり;R6は水素であり;かつAはHである。一つの態様において、nは0または1である。
一つの態様において、R5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、芳香環、例えば、フェニル、ナフチル、ジフェニルメチル、ビアリールを形成し;これは隣接炭素原子上で置換されて
Figure 2010538078
などの5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい。
一つの態様において、R1はH、-CH3、-CH(CH3)2、またはClである。もう一つの態様において、R2はH、Cl、低級アルキル、例えば、直鎖もしくは分枝C1、C2、C3(例えば、イソブチルまたはtert-ブチル)、C4もしくはC5アルキル、またはアリール、例えば、フェニルもしくはフルオロフェニルである。R1およびR2は、チエノからの結合した炭素と一緒になって、シクロヘキシル環を形成してもよい。Q基は好ましくはN置換アルキルまたはシクロアルキルである。()nで示す連結基は置換または無置換、直鎖または分枝でありえ、かつ一重結合でもよく、あるいは1、2、3、4もしくは5つまたはそれ以上の炭素からできていてもよい。特定の態様において、nは2、3、4または5である。特定の態様において、AはHまたは-CH3である。特定の態様において、AはHである。
一つの態様において、化合物はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;
R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつnはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
一つの態様において、nが1である場合、R2は水素ではなく、かつnが2である場合、両方のR2基が水素であることはない。アミドの例にはアミド、N-メチルアミドおよびジメチルアミド基が含まれ;スルホニル基の例にはトリフルオロメチルスルホニル、スルホニル、およびメチルスルホニル基が含まれる。特定の態様において、薬学的に許容される塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
一つの態様において、化合物はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、Xはハロゲンであり;R3はそれぞれの場合について独立にハロゲン、シアノ、またはトリハロメチルを表し;かつnは1または2である。特定の態様において、薬学的に許容される塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
一つの態様において、化合物は5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
一つの態様において、化合物は3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
一つの態様において、対象は哺乳動物である。一つの態様において、対象はヒトである。化合物を当業者によって決められた、または本明細書に記載の用量で投与してもよい。一つの態様において、式Iの化合物を約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与する。一つの態様において、化合物の投与の様式は、経口、静脈内、舌下、眼、経皮、直腸、局所、筋肉内、動脈内、皮下、頬側、経鼻、または肝臓への直接送達である。
本発明のもう一つの局面は、対象の器官の線維症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリル、3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む方法に関する。一つの態様において、器官は肝臓、腎臓、または肺である。一つの態様において、対象はヒトである。一つの態様において、塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
本発明のもう一つの局面は、対象の活性化肝星状細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、対象に5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリル、3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与する段階を含む方法に関する。一つの態様において、対象はヒトである。一つの態様において、塩はマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である。
本発明のもう一つの局面は、肝炎に関連する線維症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に式Iの化合物の治療上有効な量または式Iの化合物の治療上有効な量を含む組成物を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記で表される方法に関する:
Figure 2010538078
式中
R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
Qは
Figure 2010538078
であり;
R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;または
R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
*は結合点を表す。
一つの態様において、R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す。一つの態様において、R3およびR4は独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す。一つの態様において、Qは
Figure 2010538078
である。一つの態様において、R5は置換アリールであり;R6は水素であり;かつAはHである。一つの態様において、nは0または1である。
一つの態様において、化合物はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
Figure 2010538078
を有する;
式中、R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつnはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
一つの態様において、化合物は5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。一つの態様において、化合物は3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。一つの態様において、器官は肝臓である。一つの態様において、肝炎はC型肝炎である。
スピペロン(SP)または化合物A(EP)の投与後の活性化ラット活性化肝星状細胞におけるアポトーシスを測定する検定の結果を示す図である。 スピペロン(SP)または化合物A(EP)の投与後の活性化ラット活性化肝星状細胞におけるアポトーシスを測定する検定の結果を示す図である。 スピペロン(SP)または化合物A(EP)の投与後の活性化ラット活性化肝星状細胞におけるアポトーシスを測定する検定の結果を示す図である。 スピペロン(SP)または化合物A(EP)の投与後の活性化ラット活性化肝星状細胞におけるアポトーシスを測定する検定の結果を示す図である。 スピペロン(SP)または化合物A(EP)の投与後の活性化ヒト星状細胞におけるアポトーシスを測定する検定の結果を示す図である。 スピペロン(SP)または化合物A(EP)の投与後の活性化ヒト星状細胞におけるアポトーシスを測定する検定の結果を示す図である。 化合物Aの投与後のラット活性化肝星状細胞におけるカスパーゼ3/7活性を測定する検定の結果を、未処理細胞または媒体で処理した細胞と比べて示す図である。 モノクロタリン(MCT)によって誘導した肝傷害に対する化合物Aの活性を測定する試験の結果を示す図である。 モノクロタリン(MCT)によって誘導した肺傷害に対する化合物Aの活性を測定する試験の結果を示す図である。 モノクロタリン(MCT)を用いて誘導した肝線維症に対する化合物Aの活性を測定する試験の結果を示す図である。 モノクロタリンを用いて誘導した、傷害および壊死を含む肝および肺の病状に対する化合物Aの活性を測定する試験の結果を示す図である。上図は肺組織の試料であり、一方、下図は肝組織の試料である。
発明の詳細な説明
本発明の特徴および他の詳細をここで添付の図面に関して特に記載し、特許請求の範囲において示す。本明細書に記載の特定の態様は例示のために示しており、本発明の限定としてではないことが理解されるであろう。本発明の主な特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な態様において用いることができる。すべての割合およびパーセンテージは特に記載がない限り重量による。
定義
便宜上、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において用いる特定の用語をここに集めている。
「5-HT受容体調節物質」または「5-HT調節物質」は、5-HT1A、B、C、D、EまたはF;5-HT2A、BまたはC;および5-HT5AまたはBなどの各受容体型のサブタイプを含む、5-HT1、5-HT2、5-HT3、5-HT4、5-HT5、5-HT6または5-HT7受容体において効果を有する化合物を含む。5-HT調節物質はアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストであってもよい。
「治療」は、状態、疾患、傷害などの改善をもたらす、任意の効果、例えば、減少、低減、調節、または除去を含む。
「アルキル」は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル)、分枝鎖アルキル基(例えば、イソプロピル、tert-ブチル、イソブチル、イソアミル)、シクロアルキル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル)、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基を含む、飽和脂肪族基を含む。「アルキル」は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素原子と置き換わっている、酸素、窒素、硫黄またはリン原子を有するアルキル基をさらに含む。特定の態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その骨格に6個以下(例えば、直鎖ではC1-C6、分枝鎖ではC3-C6)、より好ましくは4個以下の炭素原子を有する。同様に、好ましいシクロアルキルは、その環構造に3から8個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造に5または6個の炭素を有する。「C1-C6」は、1から6個の炭素原子を含むアルキル基を含む。
「アルキル」なる用語は、「無置換アルキル」および「置換アルキル」の両方も含み、その後者は炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素と置き換わっている置換基を有するアルキル部分を意味する。そのような置換基には、例えば、アルケニル、アルコキシル、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルオキシ、アルキル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルスルフィニル、アルキルチオ、アルキルチオカルボニル、チオカルボキシレート、アリールチオ、アリールカルボニル、アリールカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、アジド、カルボキシレート、シアノ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シクロアルコキシル、アセトアミド、アルキルアセトアミド、シクロアルキルアセトアミド、アミン、シクロアミン、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、ニトロ、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルフヒドリル、スルホンアミド、トリフルオロメチル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分、あるいは本明細書において開示する任意の他の置換基またはその等価物が含まれうる。シクロアルキルは、例えば、本明細書に記載の置換基および/または当技術分野において公知のそれらの等価物でさらに置換されうる。「アルキルアリール」または「アラルキル」部分は、アリールで置換されたアルキル(例えば、フェニルメチル(ベンジル))である。「アルキル」は天然および非天然アミノ酸の側鎖も含む。
「置換」部分は置換基の型に関して非限定的である。本明細書において用いられる置換基には、本明細書に開示する任意の1つまたは複数の部分、または当技術分野において公知の任意の等価物が含まれる。
「アリール」は、ゼロから4個のヘテロ原子を含んでいてもよい5および6員「非縮合」、すなわち単環の芳香族基、ならびに少なくとも1つの芳香環を有する「縮合」、すなわち多環式の系を含む、芳香族性を有する基を含む。アリール基の例には、ベンゼン、フェニル、ベンゾキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾ[d][1,3]ジオキソール、ナフチル、キノリニル、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリジニル、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが含まれる。さらに、「アリール」なる用語は、多環式アリール基、例えば、三環式、二環式、例えば、ナフタレン、ベンゾキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナプスリジン(napthridine)、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリン、またはインドリジンを含む。環構造にヘテロ原子を有するこれらのアリール基は「アリール複素環」、「複素環」、「ヘテロアリール」または「複素芳香族」と呼ばれることもある。芳香環は環の1つまたは複数の位置で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分、あるいは本明細書において開示する任意の他の置換基またはその等価物などの前述の置換基で置換されうる。アリール基は芳香族ではない脂環式または複素環と縮合または架橋されて、多環式系(例えば、テトラリン、メチレンジオキシフェニル)を形成することもできる。
「アルケニル」は、前述のアルキルと長さおよび可能な置換において類似しているが、少なくとも1つの二重結合を含む、不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルケニル」なる用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル)、分枝鎖アルケニル基、シクロアルケニル(例えば、脂環式)基(例えば、シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルまたはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。「アルケニル」なる用語は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素と置き換わっている、酸素、窒素、硫黄またはリン原子を含むアルケニル基をさらに含む。特定の態様において、直鎖または分枝鎖アルケニル基は、その骨格に6個以下(例えば、直鎖ではC2-C6、分枝鎖ではC3-C6)の炭素原子を有する。同様に、シクロアルケニル基は、その環構造中に3〜8個の炭素原子を有していてもよく、より好ましくは環構造に5または6個の炭素を有する。「C2-C6」なる用語は、2〜6個の炭素原子を含むアルケニル基を含む。
「アルケニル」なる用語は、「無置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方も含み、その後者は炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素と置き換わっている置換基を有するアルケニル部分を意味する。そのような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分が含まれうる。
「アルキニル」は、前述のアルキルと長さおよび可能な置換において類似しているが、少なくとも1つの三重結合を含む、不飽和脂肪族基を含む。例えば、「アルキニル」は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル)、分枝鎖アルキニル基、およびシクロアルキルまたはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。「アルキニル」なる用語は、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素と置き換わっている酸素、窒素、硫黄またはリン原子を有するアルキニル基をさらに含む。特定の態様において、直鎖または分枝鎖アルキニル基は、その骨格に6個以下(例えば、直鎖でC2-C6、分枝鎖でC3-C6)の炭素原子を有する。「C2-C6」なる用語は、2〜6個の炭素原子を含むアルキニル基を含む。
「アルキニル」なる用語は、「無置換アルキニル」および「置換アルキニル」の両方も含み、その後者は炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素上の水素と置き換わっている置換基を有するアルキニル部分を意味する。そのような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分が含まれうる。
炭素の数が特に記載されない限り、「低級アルキル」は、上で定義するとおりであるが、その骨格構造に1〜10個、より好ましくは1から6個の炭素原子を有するアルキル基を含む。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば、炭素原子2〜5個の鎖長を有する。
「アシル」は、アシル基(CH3CO-)またはカルボニル基を含む化合物および部分を含む。「置換アシル」は、水素原子の1つまたは複数が、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分によって置き換えられたアシル基を含む。
「アシルアミノ」は、アシル部分がアミノ基に結合されている部分を含む。例えば、この用語は、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイド基を含む。
「アロイル」は、アリールまたは複素芳香族部分がカルボニル基に結合されている化合物および部分を含む。アロイル基の例には、フェニルカルボキシ、ナフチルカルボキシなどが含まれる。
「アルコキシアルキル」、「アルキルアミノアルキル」および「チオアルコキシアルキル」は、前述のアルキル基を含み、これらのアルキル基は炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素をと置き換わっている酸素、窒素または硫黄、例えば、酸素、窒素または硫黄原子をさらに含む。
「アルコキシ」なる用語は、酸素原子に共有結合された置換および無置換アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基が含まれる。置換アルコキシ基の例には、ハロゲン化アルコキシ基が含まれる。アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、アルキルスルフィニル、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分などの基で置換されうる。ハロゲン置換アルコキシ基の例には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
「ヘテロシクリル」または「複素環基」なる用語は、閉環構造、例えば、3から10、または4から7員環を含み、これらは1つまたは複数のヘテロ原子を含む。ヘテロシクリル基は、飽和または不飽和でありえ、ピロリジン、オキソラン、チオラン、ピペリジン(piperidine)、ピペリジン(piperizine)、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトンなどを含む。複素環は1つまたは複数の位置で、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、または芳香族もしくは複素芳香族部分などの前述の置換基で置換されうる。
「チオカルボニル」または「チオカルボキシ」なる用語は、硫黄原子に二重結合で結合された炭素を含む、化合物および部分を含む。
「エーテル」なる用語は、2つの異なる炭素原子またはヘテロ原子に結合された酸素を含む、化合物または部分を含む。例えば、この用語は、別のアルキル基に共有結合されている酸素原子に共有結合されたアルキル、アルケニル、またはアルキニルを意味する「アルコキシアルキル」を含む。
「エステル」なる用語は、カルボニル基の炭素に結合されている酸素原子に結合された炭素またはヘテロ原子を含む、化合物および部分を含む。「エステル」なる用語は、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニルなどのアルコキシカルボキシ基を含む。アルキル、アルケニル、またはアルキニル基は、上で定義するとおりである。
「チオエーテル」なる用語は、2つの異なる炭素またはヘテロ原子に結合された硫黄原子を含む、化合物および部分を含む。チオエーテルの例には、アルクチオアルキル、アルクチオアルケニル、およびアルクチオアルキニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。「アルクチオアルキル」なる用語は、アルキル基に結合されている硫黄原子に結合された、アルキル、アルケニル、またはアルキニルを有する化合物を含む。同様に、「アルクチオアルケニル」および「アルクチオアルキニル」なる用語は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルが、アルキニル基に共有結合されている硫黄原子に結合されている、化合物または部分を意味する。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」なる用語は、-OHまたは-O-を有する基を含む。
「ハロゲン」なる用語は、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素などを含む。「過ハロゲン化された」なる用語は、一般に全ての水素がハロゲン原子によって置き換えられている部分を意味する。
「ポリシクリル」または「多環式ラジカル」は、複数の炭素が2つの隣接している環に共有されている、複数の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリル)を意味する。非隣接原子を介して連結されている環は、「架橋」環と呼ぶ。この多環のそれぞれの環は、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アラルキルアミノカルボニル、アルケニルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、スルフェート、スルホナト、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキル、アルキルアリール、または芳香族もしくは複素芳香族部分などの前述の置換基で置換されうる。
「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を含む。ヘテロ原子の例には、窒素、酸素、硫黄およびリンが含まれる。
「活性化肝星状細胞」とは、傷害に反応してトランスフォーメーションを起こした肝星状細胞を意味する。活性化肝星状細胞は、典型的には、筋線維芽細胞様で、平滑筋アルファ-アクチンを発現し、コラーゲン産生が増強され、かつ/またはメタロプロテイナーゼ-1の組織阻害物質を発現する。一般に、これらの活性化細胞はアポトーシスに比較的抵抗性で、増殖を起こして、線維形成促進細胞群をどんどん産生する。
本発明の化合物のいくつかの構造が不斉炭素原子を含むことに留意されるであろう。したがって、そのような不斉から生じる異性体(例えば、すべての鏡像異性体およびジアステレオマー)は、特に記載がない限り、本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。そのような異性体は、古典的な分離技術および立体化学的に制御された合成によって実質的に純粋な形で得ることができる。さらに、本出願において論じるこれらの構造ならびに他の化合物および部分は、そのすべての互変異性体も含む。アルケンは、適当な場合には、EまたはZ幾何異性のいずれかを含みうる。
「組み合わせ療法」(または「同時療法」)は、本発明の5-HT調節物質および少なくとも第二の物質の、これらの治療薬の共働から有益な効果を提供することが意図される、特定の治療法の一部としての投与を含む。組み合わせの有益な効果には、治療薬の組み合わせによってもたらされる薬動力学的または薬力学的共働が含まれるが、それらに限定されるわけではない。これらの治療薬の組み合わせでの投与は、典型的には、決められた期間(通常は選択した組み合わせに応じて、数分間、数時間、数日間または数週間)で実施する。「組み合わせ療法」は、偶発的かつ任意に本発明の組み合わせとなる、別々の単剤療法の一部としてのこれらの治療薬の複数の投与を含むことが意図されることもあるが、一般には意図されない。「組み合わせ療法」は、これらの治療薬の逐次様式、すなわち、各治療薬を異なる時に投与する様式での投与、ならびにこれらの治療薬、または治療薬の少なくとも2つの実質的に同時の様式での投与を含むことが意図される。実質的に同時の投与は、例えば、対象に固定された比の各治療薬を有する1つのカプセル、または各治療薬について1カプセルの複数で投与することにより達成することができる。各治療薬の逐次または実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、および粘膜組織からの直接吸収を含むが、それらに限定されるわけではない、任意の適当な経路によって行うことができる。治療薬は同じ経路または異なる経路によって投与することができる。例えば、選択した組み合わせの第一の治療薬を静脈内注射によって投与しうる一方で、組み合わせの他の治療薬を経口投与してもよい。または、例えば、すべての治療薬を経口投与してもよく、またはすべての治療薬を静脈内注射によって投与してもよい。治療薬を投与する順は厳密に重大であるわけではない。「組み合わせ療法」は、他の生物活性成分および非薬物療法(例えば、手術または放射線治療)とのさらなる組み合わせにおける、前述の治療薬の投与を含むこともできる。組み合わせ療法が非薬物治療をさらに含む場合、治療薬と非薬物治療との組み合わせの共働から有益な効果が得られる限り、非薬物治療は任意の適当な時点で行いうる。例えば、適当な場合において、非薬物治療を治療薬の投与から一時的に、おそらくは数日間または数週間取り除く場合にも、有益な効果は得られる。
一つの態様において、組み合わせ療法は本明細書に記載のピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物および抗炎症物質を含む。一つの態様において、抗炎症物質はアスピリン、サルサレート、ジフルニサル、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、ピロキシカム、ナプロキセン、ジクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、エトドラク、ケトロラク、オキサプロジン、またはセレコキシブである。
一つの態様において、組み合わせ療法は本明細書に記載のピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物およびプロテアーゼ阻害剤を含む。一つの態様において、プロテアーゼ阻害剤はテレプレビル(teleprevir)またはBILLN 2061である。一つの態様において、組み合わせ療法はリバビリンをさらに含む。一つの態様において、組み合わせ療法はインターフェロンをさらに含む。一つの態様において、インターフェロンはペグ化インターフェロンである。
一つの態様において、組み合わせ療法は本明細書に記載のピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物およびポリメラーゼ阻害剤を含む。一つの態様において、ポリメラーゼ阻害剤はNM 283である。
一つの態様において、組み合わせ療法は本明細書に記載のピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物およびインターフェロンを含む。一つの態様において、インターフェロンはインターフェロン-αである。一つの態様において、インターフェロンはペグ化されている。一つの態様において、インターフェロンは商品名PEGINTRON(商標)として販売されているペグ化インターフェロン-α-2bである。一つの態様において、インターフェロンは商品名PEGASYS(登録商標)として販売されているペグ化インターフェロン-α-2aである。一つの態様において、組み合わせ療法はリバビリン、すなわち1-(β-D-リボフラノシル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-カルボキサミドなる名称を有する化合物をさらに含む。
一つの態様において、組み合わせ療法は本明細書に記載のピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物およびリバビリンを含む。
一つの態様において、組み合わせ療法は本明細書に記載のピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物およびヘリカーゼ阻害剤、リボザイム、アンチセンス療法、およびT細胞に基づく治療からなる群より選択される第二の物質を含む。
一つの態様において、組み合わせ療法を用いてC型肝炎などの肝炎を治療する。
本明細書において用いられる「アニオン基」とは、生理的pHで負に荷電している基を意味する。好ましいアニオン基にはカルボキシレート、スルフェート、スルホネート、スルフィネート、スルファメート、テトラゾリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、もしくはホスホロチオエートまたはその機能的等価物が含まれる。アニオン基の「機能的等価物」は、生物学的等価体、例えば、カルボキシレート基の生物学的等価体を含むことが意図される。生物学的等価体は、伝統的な生物学的等価体および非伝統的生物学的等価体の両方を含む。伝統的および非伝統的生物学的等価体は当技術分野において公知である(例えば、Silverman, R. B. The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc.: San Diego, Calif., 1992, pp.19-23参照)。特に好ましいアニオン基はカルボキシレートである。
「複素環基」なる用語は、環内の原子の1つまたは複数が炭素以外の元素、例えば、窒素、または酸素または硫黄である、閉環構造を含むことが意図される。複素環基は飽和または不飽和でありえ、かつピロールおよびフランなどの複素環基は芳香族の特性を有しうる。これらには、キノリンおよびイソキノリンなどの縮合環構造が含まれる。複素環基の他の例には、ピリジンおよびプリンが含まれる。複素環基は1つまたは複数の成分原子で、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、低級アルキルアミノ、低級アルキルカルボキシル、ニトロ、ヒドロキシル、-CF3、-CNなどにより置換されていてもよい。
式IIIのものなどの、本明細書に記載の化合物は高度に選択的でありうる。例えば、5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリル(「化合物A」)は高度に選択的かつ強力な(Ki=1.8nM)5-HT2B受容体アンタゴニストで、5-HT1A(Ki=100nM)受容体を除くすべての他の5-HT受容体サブタイプと比べて受容体親和性の差は500倍を超える。この化合物はGPCR、イオンチャネルおよび受容体チロシンキナーゼを含む試験した51を越える受容体に対して親和性はほとんどなく(Ki>1μM);ドーパミンD4.4受容体に対しては活性で(Ki=5.4nM)、ドーパミンD3受容体に対しては中等度の活性を示す(Ki約310nM)。しかし、ドーパミンD3およびD4受容体の阻害は錐体外路副作用に関連していない。化合物Aは弱いドーパミンD2受容体アンタゴニスト(IC50=0.67μM)と思われ、いかなるドーパミンD1およびD5受容体活性も示さなかった(Ki>5μM)。化合物Aはσ1およびσ2受容体への中等度の結合を示した(それぞれKi=100nMおよび110nM)。しかし、機能検定において、この化合物はσ受容体に対して非常に弱いアゴニスト活性を示した(EC50約10μM)。
前述のとおり、線維症は肝臓、腎臓、肺、および心臓を含む、多くの体器官で発症する。これらの器官の線維症は、様々な障害または状態によって引き起こされるか、またはそれらに関連していることがある。例えば、肝線維症は寄生虫感染、外傷、自己免疫疾患、アルコール中毒、ウイルス感染、低酸素症、敗血症、細菌感染、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎によって、および特定の薬剤、例えば、アセトアミノフェン服用の副作用として引き起こされうる。したがって、本発明の一つの局面は、そのような疾患または状態に関連する肝線維症を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている患者に投与することによる方法に関する。特に、本発明の一つの局面は、A、B、またはC型肝炎に関連する肝線維症を治療または予防する方法に関する。もう一つの局面において、本発明は、壊死、炎症、または異常なアポトーシスに関連する肝傷害を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている対象に投与する段階を含む方法に関する。
腎線維症は、急性腎疾患、慢性腎疾患、腎不全、高血圧、および特定の薬剤服用の副作用を含む、様々な障害に関連している。したがって、本発明の一つの局面は、そのような障害に関連する腎線維症を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている患者に投与することによる方法に関する。腎線維症は、一部の患者において腎臓移植にも関連している。したがって、本発明の一つの局面は、腎臓移植に関連する腎線維症を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている患者に投与することによる方法に関する。
肺線維症は、肺における線維組織の異常な蓄積によって特徴づけられる。肺線維症は、様々な障害または状態によって引き起こされるか、またはそれらに関連していることがある。例えば、肺線維症は特定の自己免疫疾患、喫煙、特定の空中汚染物質への曝露、特定の薬剤の服用、および治療用放射線の特定の形への曝露に関連している。したがって、本発明の一つの局面は、そのような障害または状態に関連する肺線維症を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている患者に投与することによる方法に関する。一つの態様において、肺線維症は喫煙、例えば、タバコ喫煙に関連している。
心線維症は、高血圧に関連していることがある。したがって、本発明の一つの局面は、高血圧に関連する心線維症を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている患者に投与することによる方法に関する。一つの態様において、心線維症は心筋線維症または心内膜線維症である。一つの態様において、本発明の一つの局面は、高血圧を治療または予防する方法であって、本明細書に記載の化合物の治療上有効な量を、治療を必要としている患者に投与することによる方法に関する。一つの態様において、高血圧は門脈高血圧または肺高血圧である。
本発明の化合物は、そのような治療を必要としている患者(動物およびヒト)に、最適な薬学的有効性を提供するであろう用量で投与してもよい。任意の特定の適用において用いるために必要とされる用量は、選択した特定の患者または組成物によってのみならず、投与経路、治療中の状態の性質、患者の年齢および状態、現行の薬物療法または次いで患者が従う特定の食事、ならびに当業者であれば理解するであろう他の因子によっても、患者ごとに変動することになり、適当な用量は最終的には主治医の自由裁量である。例えば、化合物は約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与してもよい。
任意の治療において用いるために必要とされる本発明の化合物の量は、選択した特定の患者または組成物によってのみならず、投与経路、治療中の状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によっても変動することになり、最終的には主治医の自由裁量となることが理解されるであろう。
本発明の組成物および組み合わせ療法は、本明細書に記載の安定化剤、担体および/またはカプセル化製剤を含む、様々な薬学的賦形剤との組み合わせで投与してもよい。
本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒質に溶解または分散した、本発明のペプチドの有効量を含む。
「薬学的または薬理学的に許容される」は、適宜、動物、またはヒトに投与した場合に、副作用、アレルギー反応、または他の有害反応を生じることのない、分子実体および組成物を含む。「薬学的に許容される担体」は、任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質のためのそのような媒質および物質の使用は当技術分野において周知である。任意の通常の媒質および物質が活性成分と不適合である場合を除き、治療組成物におけるその使用が企図される。補助的活性成分も組成物中に組み込むことができる。
ヒトへの投与のために、製剤はFDA Office of Biologics標準によって求められる無菌性、発熱原性、一般の安全性および純度標準に合致すべきである。
本発明の組成物および組み合わせ療法は、非経口投与用に製剤してもよく、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、病変内、または腹腔内経路による注射用に製剤してもよい。本発明の組成物または活性成分もしくは要素を含む水性組成物の調製は、本開示に照らせば、当業者には公知であろう。典型的には、そのような組成物は、液体の液剤または懸濁剤のいずれかとしての注射剤として調製することができ;注射前に液体添加後に液剤または懸濁剤を調製するために用いるのに適した固体剤形を調製することもでき;かつ製剤を乳化することもできる。
注射による使用に適した薬学的剤形には、無菌水性液剤または分散剤;ゴマ油、落花生油または水性プロピレングリコールを含む製剤;および無菌注射用液剤または懸濁剤の即時調製用の無菌散剤が含まれる。すべての場合に、剤形は無菌でなければならず、容易にシリンジ操作ができる程度に流動性でなければならない。これは製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の混入に対して保護されていなければならない。
遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適当に混合した水中で調製することができる。分散剤を、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびその混合物中、ならびに油中で調製することもできる。保存および使用の通常の条件下で、これらの製剤は微生物の成長を防止するための保存剤を含む。
本発明の治療用または薬理学的化合物は一般に、薬学的に許容される媒質に溶解または分散した、組み合わせ療法の構成要素の有効量を含むことになる。薬学的に許容される媒質または担体には任意およびすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的活性物質のためのそのような媒質および物質の使用は当技術分野において周知である。補助的活性成分も本発明の治療組成物中に組み込むことができる。
薬学的または薬理学的組成物の調製は、本開示に照らせば、当業者には公知であろう。典型的には、そのような組成物は、液体の液剤もしくは懸濁剤のいずれかとしての注射剤;注射前の液体中の液剤もしくは懸濁剤のために適した固体剤形;経口投与用の錠剤もしくは他の固体;徐放性カプセル剤;または、クリーム、ローション、洗口剤、吸入剤などを含む、現在用いられている任意の他の剤形として調製してもよい。
無菌注射用液剤は、必要な量の活性化合物を適当な溶媒中に、必要に応じて前述の様々な他の成分と共に組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製する。一般に、分散剤は様々な滅菌活性成分を、基本の分散媒および前述のものからの必要な他の成分を含む無菌媒体中に組み込むことにより調製する。無菌注射用液剤を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製法は真空乾燥および凍結乾燥技術で、これらは活性成分と任意の追加の望まれる成分の、あらかじめ無菌ろ過した溶液から粉末を生じる。
筋肉内注射用のより、または高度に濃縮された液剤の調製も企図される。これに関して、溶媒としてのDMSOを使用すると、非常に急速な浸透が得られて、高濃度の活性化合物または物質を小さい領域に送達するため、DMSOの使用が好ましい。
術野における特定の領域を洗浄するための、外科医、内科医または医療従事者による食塩水系洗浄液などの無菌製剤の使用も特に有用でありうる。本発明の治療製剤を洗口剤の形で、または抗真菌試薬と共に再構成してもよい。吸入剤も構想される。本発明の治療製剤は、クリームおよびローションなどの局所投与に適した剤形で調製してもよい。
そのような液剤中の使用に適した保存剤には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、チメロサルなどが含まれる。適当な緩衝剤には、pHを約pH6からpH8の間、好ましくは約pH7からpH7.5の間に維持するのに十分な量の、ホウ酸、炭酸水素ナトリウムおよびカリウム、ホウ酸ナトリウムおよびカリウム、炭酸ナトリウムおよびカリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが含まれる。適当な等張剤は、眼用液剤に相当する塩化ナトリウムが0.9プラスまたはマイナス0.2%であるような、デキストラン40、デキストラン70、デキストロース、グリセリン、塩化カリウム、プロピレングリコール、塩化ナトリウムなどである。適当な抗酸化剤および安定剤には、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、チオ尿素などが含まれる。適当な湿潤および清澄剤には、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー282およびチロキサポールが含まれる。適当な増粘剤には、デキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、グリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ラノリン、メチルセルロース、ワセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースなどが含まれる。
製剤後、治療薬を投与製剤に適合した様式、および薬理学的に有効な量で投与することになる。製剤は、前述の注射用液剤の型などの、様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセル剤なども用いることができる。
この文脈において、投与する活性成分の量および組成物の体積は治療する宿主動物に依存する。投与に必要な活性化合物の正確な量は、医師の判断に依存し、各個体に特有である。
活性化合物を分散させるために必要な組成物の最少量を典型的に用いる。投与に適した方法も変動するが、最初に化合物を投与し、結果をモニターし、次いでさらなる間隔でさらに制御した用量で投与することにより類型化することになる。例えば、非経口投与のために、適当に緩衝化し、必要があれば、等張の水性溶液を調製し、静脈内、筋肉内、皮下または腹腔内投与のために用いることになる。1用量を1mlの等張NaCl溶液に溶解し、1000mlの皮下投与液に加えるか、または提唱される注入部位に注射することができる(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580参照)。
特定の態様において、活性化合物を経口投与してもよい。これは一般に消化酵素によるタンパク質分解に対して抵抗性であるか、または抵抗性にされている物質のために企図される。そのような化合物は、化学的に設計または修飾された物質;右旋性ペプチド;ならびにペプチダーゼおよびリパーゼ分解を避けるための徐放性カプセル剤中のペプチドおよびリポソーム製剤を含むことが企図される。
薬学的に許容される塩には酸付加塩が含まれ、これらは、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、もしくは鉄の水酸化物などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基由来でありうる。
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、その適当な混合物、および植物油を含む、溶媒または分散媒でもありうる。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には要求される粒径の維持により、および界面活性剤の使用により維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサルなどによってもたらすことができる。多くの場合に、等張剤、例えば、糖類または塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の長期吸収は、組成物中の吸収を遅延させる物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらすことができる。
無菌注射用液剤は、必要な量の活性化合物を適当な溶媒中に、必要に応じて前述の様々な他の成分と共に組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製する。一般に、分散剤は様々な滅菌活性成分を、基本の分散媒および前述のものからの必要な他の成分を含む無菌媒体中に組み込むことにより調製する。無菌注射用液剤を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製法は真空乾燥および凍結乾燥技術で、これらは活性成分と任意の追加の望まれる成分の、あらかじめ無菌ろ過した溶液から粉末を生じる。
直接注射用のより、または高度に濃縮された液剤の調製も企図され、ここで溶媒としてのDMSOの使用が構想されて、非常に急速な浸透が得られ、高濃度の活性物質を小さい領域に送達する。
製剤後、液剤を投与製剤に適合した様式、および治療上有効な量で投与することになる。製剤は、前述の注射用液剤の型などの、様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセル剤なども用いることができる。
例えば、水性液剤での非経口投与のために、液剤は必要があれば適当に緩衝化し、液体希釈剤をまず十分な食塩水またはグルコースで等張にするべきである。これらの特定の水性液剤は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与のために特に適している。これに関連して、用いうる無菌水性媒質は、本開示に照らせば、当業者には公知であろう。
静脈内または筋肉内注射などの、非経口投与用に製剤した化合物に加えて、他の薬学的に許容される剤形には、例えば、経口投与用の錠剤または他の固体;リポソーム製剤;徐放性カプセル剤;およびクリームを含む、現在用いられている任意の他の剤形が含まれる。
他の投与様式に適した追加の製剤には坐剤が含まれる。坐剤のために、伝統的結合剤および担体には、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドが含まれ;そのような坐剤は0.5%から10%、好ましくは1%〜2%の範囲の活性成分を含む混合物から形成してもよい。
経口製剤には、例えば、薬学的等級のマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの、通常用いられる賦形剤が含まれる。これらの組成物は液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、持続放出製剤または散剤の形を取る。本発明の化合物、例えば、式IIIの化合物の経口製剤は、望ましくは1日1回または1日2回の投与用に製剤しうる。
特定の規定の態様において、経口薬学的組成物は不活性希釈剤もしくは同化性食用担体を含むか、またはこれらをゼラチン硬もしくは軟カプセルに封入してもよく、またはこれらを圧縮して錠剤としてもよく、またはこれらを食物と共に直接取り込んでもよい。経口による治療投与のために、活性化合物を賦形剤と共に組み込み、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、カシェ剤などの剤形で用いてもよい。そのような組成物および製剤は少なくとも0.1%の活性化合物を含むべきである。組成物および製剤のパーセンテージは、当然のことながら、変動してもよく、単位の重量の約2から約75%の間が都合よく、または好ましくは25〜60%の間でありうる。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、適当な用量が得られるような量である。
錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤などは下記も含みうる:トラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプン、またはゼラチンなどの結合剤;リン酸2カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;およびショ糖、乳糖もしくはサッカリンなどの甘味料を加えてもよく、またはペパーミント、冬緑油、もしくはサクランボ香料などの着香剤。単位剤形がカプセル剤である場合、これは前述の型の材料に加えて、液体担体を含んでいてもよい。様々な他の材料が、コーティングとして、またはそれ以外に用量単位の物理的形状を改変するために含まれていてもよい。例えば、錠剤、丸剤、またはカプセル剤をセラック、糖または両方でコーティングしてもよい。エリキシル剤のシロップは活性化合物、甘味料としてのショ糖、保存剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素およびサクランボまたはオレンジ香料などの着香剤を含んでいてもよい。
本発明の薬学的組成物を薬学的製剤の形、例えば、固体、半固体または液体の形で用いてもよく、これは活性成分としての本発明の化合物の1つまたは複数を、外部、腸内または非経口適用に適した有機または無機担体または賦形剤との混合物で含む。活性成分は、錠剤、ペレット、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁剤、および使用に適した任意の他の剤形のための、通常の非毒性で薬学的に許容される担体と配合してもよい。用いることができる担体は水、グルコース、乳糖、アカシアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、3ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素および固体、半固体、または液体の形の製剤を製造する際に用いるのに適した他の担体であり、加えて、補助剤、安定剤、増粘剤および着色剤ならびに香料も用いうる。目的の活性化合物は、疾患のプロセスまたは状態に対して所望の効果を生ずるのに十分な量で、薬学的組成物中に含まれる。
錠剤などの固体組成物を調製するために、主となる活性成分を薬学的担体、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸2カルシウムまたはゴムなどの通常の錠剤化成分、および他の薬学的希釈剤、例えば、水と混合して、本発明の化合物、またはその非毒性の薬学的に許容される塩の均質混合物を含む固体の製剤前組成物を生成する。これらの製剤前組成物を均質という場合、組成物を錠剤、丸剤およびカプセル剤などの等しく有効な単位剤形に容易に細分しうるように、活性成分が組成物全体に均質に分散していることを意味する。この固体の製剤前組成物を次いで、0.1から約500mgの本発明の活性成分を含む、前述の型の単位剤形に細分する。新規組成物の錠剤または丸剤をコーティングまたはそれ以外に配合して、長期作用の利点をもたらす剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部剤形成分および外部剤形成分を含むことができ、後者は前者を覆う形である。この2つの成分は腸溶層で分離することもでき、この層は胃での分解に抵抗する役割をし、内部成分を完全なまま十二指腸へと通過させる、または放出を遅らせる。そのような腸溶層またはコーティングのために様々な材料を用いることができ、そのような材料はいくつかのポリマーの酸およびポリマーの酸とセラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの材料との混合物を含む。
経口または注射による投与のために、本発明の組成物を組み込みうる液体剤形には、水性液剤、適当に着香したシロップ、水性または油性懸濁剤、および綿実油、ゴマ油、やし油もしくは落花生油などの許容される油、または静脈内使用に適した可溶化もしくは乳化剤との乳剤、ならびにエリキシル剤および類似の薬学的媒体が含まれる。水性懸濁剤のための適当な分散または懸濁化剤には、トラガカント、アカシア、アルギネート、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどの合成および天然ゴムが含まれる。
吸入または通気のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはその混合物中の液剤および懸濁剤、ならびに散剤が含まれる。液体または固体組成物は、前述の適当な薬学的に許容される賦形剤を含んでいてもよい。好ましくは、局所または全身効果のために、組成物を経口または鼻呼吸器経路により投与する。好ましくは無菌の薬学的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスを用いて噴霧してもよい。噴霧液剤を噴霧装置から直接吸い込んでもよく、または噴霧装置を顔マスク、テントまたは間欠的陽圧呼吸機に接続してもよい。液剤、懸濁剤または散剤組成物を、適当な様式で製剤を送達する装置から、好ましくは経口または経鼻投与してもよい。
前述の臨床状態および疾患を治療するために、本発明の化合物を、通常の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤および媒体を含む単位剤形で、経口、局所、非経口、吸入噴霧または直腸投与してもよい。本明細書において用いられる非経口なる用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。前述の投与の様式に加えて、本明細書に記載の治療薬を、対象の肝組織の一部を摘出する段階、肝組織を治療薬で治療する段階、および肝組織を患者に戻して移植する段階を含む方法によって投与してもよい。
ピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物を一般式I、II、およびIIIに関して上で一般に記載してきた。特定の態様において、ピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物は下記の1つである:
Figure 2010538078
Figure 2010538078
ピペリジニルアミノ-チエノ[2,3-d]ピリミジン化合物の調製法を以下に例示する。追加の方法は米国特許第2005/0222176号において見いだすことができ、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。
一般スキーム1
Figure 2010538078
調製1:
Figure 2010538078
ホルムアミド(4mL)中のアミノエステル誘導体2(1mmol)およびギ酸アンモニウム(1.5mmol)を12時間加熱還流した。反応の完了をTLCでモニターした。反応混合物を室温まで冷却し、次いで氷(50g)に加えて、クリーム状の沈澱を生じた。沈澱をろ取し、アセトン/水から再結晶して、3を収率70〜90%で得た。
調製2:
Figure 2010538078
チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オール誘導体3(3.7mmol)、塩化チオニル(5.5mL)および無水DMF(0.5mL)の混合物を4時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却し、過剰の塩化チオニルを減圧蒸留により除去した。得られた残渣に200gの氷を加え、ジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。生成物をシリカクロマトグラフィ(100%DCM)で精製して、4-クロロ-チエノ[2,3-d]-ピリミジン4を収率80〜95%で得た。
調製3:
Figure 2010538078
40mLのDCMまたはDCE(1,2-ジクロロエタン)中の4-N-Boc-アミノピペリジン誘導体5(10mmol)および芳香族アルデヒド6(10mmol)の混合物に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(15mmol)と、続いて酢酸(20mmol)をN2雰囲気下に加えた。得られた混濁混合物を室温で16時間撹拌し、NaHCO3水溶液で反応停止した。生成物をEtOAcで抽出し、乾燥(Na2SO4)し、溶媒を蒸発させて、生成物8を収率90〜95%で得た。
調製4:
Figure 2010538078
N2雰囲気下、30mLのCH3CN中の4-N-Boc-アミノピペリジン5(10mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(30mmol)の混合物に、中間体7(10mmol)を室温で加えた。得られた混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物をNaHCO3水溶液で反応停止し、生成物をEtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を減圧下で蒸発させて、生成物8を収率80〜94%で得た。
調製5:
Figure 2010538078
粗製4-N-Boc-アミノベンジルピペリジン誘導体8のN-Boc保護を、25%TFA-DCMにより室温で2時間またはEt2O中の2M HCl溶液により室温で16〜20時間のいずれかで処理して除去した。いずれの場合にも、溶媒を蒸発させ、続いて無水Et2Oを加えた。得られた沈殿をろ過し、無水Et2Oで数回洗浄し、減圧下で乾燥して、4-アミノ-1-ベンジルピペリジン誘導体9の対応する塩を得た。遊離塩基を単離するか、または次のカップリング段階の間にインサイチューで生成した。
調製6:
Figure 2010538078
N2雰囲気下、アセトニトリル(5mL)中の4-アミノ-ピペリジン9(1mmol)の溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4mmol)と、続いてクロロ-チエノピリミジン4(1mmol)を加えた。得られた溶液を24〜48時間加熱還流した(TCLでモニターした)。溶媒を蒸発させ、得られた固体をEtOAc(20mL)に溶解し、NaHCO3水溶液(10mL)および食塩水(10mL)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮し、シリカクロマトグラフィ(DCM中1%MeOH)で精製して、10を収率55〜60%で得た。
調製7:
Figure 2010538078
無水DCM(1mL)中の10(1mmol)の溶液に、エーテル中2M HCl(10mL)を0℃で加え、同じ温度で1時間撹拌した。沈澱した生成物をろ過し、無水Et2Oで洗浄し、減圧下で乾燥して、純粋な化合物1aを収率90〜94%で得た。
調製8:
Figure 2010538078
無水EtOH/DCM(2mL)中の10(1mmol)の溶液に、EtOH(5mL)中のマレイン酸(1mmol)を室温で加え、1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(5mL)で希釈し、0℃で6〜8時間冷却した。沈澱した生成物をろ過し、無水Et2Oで洗浄し、減圧下で乾燥して、純粋な化合物1bを収率70〜94%で得た。
一般スキーム2
Figure 2010538078
調製9:
Figure 2010538078
アセトニトリル(5mL)中の1-Boc-4-アミノ-ピペリジン11(2mmol)の溶液に、N,N-ジソプロピルエチルアミン(4mmol)を加え、N2雰囲気下、室温で5分間撹拌した。クロロ-チエノピリミジン4を混合物に加え、内容物を16時間加熱還流した(TLCでモニターした)。溶媒を蒸発させ、残渣にEtOAc(2OmL)および水(10mL)を加えた。有機層を乾燥(MgSO4)し、濃縮して、粗生成物を得た。これをシリカクロマトグラフィ(DCM中1%MeOH)で精製して、純粋な化合物12を収率55〜70%で得た。
調製10:
Figure 2010538078
12のBoc保護を、25%TFA-DCMにより室温で2時間またはEt2O中の2M HCl溶液により室温で16〜20時間のいずれかで処理して除去した。いずれの場合にも、溶媒を蒸発させ、続いて無水Et2Oを加えた。得られた沈殿をろ過し、無水Et2Oで数回洗浄し、減圧下で乾燥して、塩13を収率95〜97%で得た。対応する遊離塩基を単離するか、または次のカップリング段階の間にインサイチューで生成した。
調製11:
Figure 2010538078
N2雰囲気下、40mLのDCMまたはDCE(1,2-ジクロロエタン)中の13(10mmol)およびアルデヒド6(10mmol)の混合物に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(15mmol)と、続いて酢酸(20mmol)を室温で加えた。得られた混濁混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物にNaHCO3水溶液を加えて反応停止し、生成物をEtOAcで抽出した。EtOAc抽出物を乾燥(MgSO4)し、溶媒を蒸発させて、粗生成物を得た。シリカゲルまたは再結晶により精製して、純粋な生成物10を収率90〜95%で得た。
調製12:
Figure 2010538078
N2雰囲気下、室温で、30mLのCH3CN中の13(10mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(30mmol)の混合物に、中間体7(10mmol)を加えた。得られた混合物を16時間加熱還流した。反応混合物をNaHCO3水溶液で反応停止し、生成物をEtOAcで抽出した。有機抽出物を乾燥(Na2SO4)し、溶媒を蒸発させて、生成物10を収率80〜94%で得た。
実施例1
化合物5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリル(以下、「化合物A」)を、齧歯類およびヒト活性化肝筋線維芽細胞のアポトーシスの促進における活性について評価した。化合物Aの活性を未処理の細胞、ジメチルスルホキシドで処理した細胞、およびスピペロンで処理した細胞に対して比較した。スピペロンは非選択的5-HT2Bアンタゴニストである。アポトーシスの形態学的評価のためのアクリジンオレンジ検定において、化合物Aはラット活性化肝筋線維芽細胞のアポトーシスの比率上昇を用量依存的に促進する(1μM用量で40%の細胞がアポトーシス)。アクリジンオレンジ検定の結果を図1〜4に示す。
実施例2
化合物Aをヒト活性化肝筋線維芽細胞で試験した。試験したヒト細胞は、原発性肝臓癌の患者において隣接する腫瘍組織の除去中に切除した正常ヒト肝臓から単離した初代活性化肝星状細胞であった。次いで、細胞をプラスティック上、完全培地中で培養し、少なくとも4回継代して、肝臓の主な線維形成細胞である純粋な活性化肝星状細胞を生じた。これらの細胞の培養物は、100μMおよび1μM用量の化合物Aと一晩インキュベートした後に、それぞれ60%および20%のアポトーシスを示した。
実施例3
化合物Aをカスパーゼ3/7活性の誘導における活性について評価した。カスパーゼ3はアポトーシスの調節に関与しており、本検定におけるカスパーゼ3活性の上昇はアポトーシスのレベルの上昇に相関する。
一般法:検定を以下のプロトコルに基づいて実施した:
1. rHSCを96穴フォーマット上、適当な密度で継代し、終夜、接着させる。
2. 細胞を、関連する対照を含めて、阻害剤で適当な時間、処理する。
3. 緩衝液および基質の両方を室温に戻す。
4. 使用直前に、基質を2.5mLの緩衝液に再懸濁し、十分に混合する。
5. 細胞をインキュベーターから取り出し、プレートを室温まで冷却する。
6. Caspase-Glo(登録商標)試薬を1:1の比(すなわち、100μLの培地に100μL)で加え、300rpmで30秒間振盪する。
7. 細胞をCaspase-Glo(登録商標)試薬と共に室温で遮光して2時間インキュベートする。
8. すべての培地を白色のルシフェラーゼプレートに移し、MicroBeta光度計を用いて発光を測定する。
9. カスパーゼ活性を未処理の対照に対する変化の倍数で表す。
Caspase-Glo(登録商標)3/7試薬はPromega(CA、USA)から市販されている。Caspase-Glo(登録商標)試薬は、カスパーゼ酵素3および7で選択的に切断されるDEVD-カスパーゼ基質を含む。次いで、得られる分子は熱安定ルシフェラーゼ酵素の基質として作用し、光シグナルを生ずる。
結果:図7に示す本検定の結果は、化合物Aがカスパーゼ活性を時間依存的な様式で高めたことを示している。
実施例4
化合物Aを肺および肝傷害、ならびにモノクロタリン(MCT)により誘導した肝線維症を患っている動物の肝線維症に対する効果について検定した。
一般法:本検定において、動物をMCT/媒体、MCTおよびリン酸緩衝化食塩水(PBS)、またはMCTおよび化合物Aで処理した。処理後、動物を屠殺し、気管から肺組織を灌流し、10%中性緩衝化ホルマリンで固定した。肺および肝組織を摘出し、切断し、ヘマトキシリン-エオシンで染色した。組織評価のために41枚の肝スライドおよび41枚の肺スライドを得た。すべてのスライドを実験条件の知識なしに盲検的に評点した。肺および肝スライドを下記の基準に従って評価した。各パラメーターを主観的に評価し、0は識別可能な傷害がない場合で、5は最も重度の傷害を示す、0〜5で評点した。肝および肺の傷害両方の最終スコアを、それぞれ個別の組織についてすべてのパラメーターを平均することにより算出した。評点完了後、実験群を明らかにし、統計およびグラフ分析のために、個々の動物を適当な群に配置した。
肺の評点基準およびパラメーター
1. 肺胞浮腫
2. うっ血
3. 肺胞内出血
4. 肺胞マクロファージ浸潤
5. 赤血球貪食の程度
6. ヘモシデリン沈着の程度
7. 肺胞中隔の肥厚
8. II型肺細胞過形成
9. 全身動脈の肥厚
10. 内膜の肥厚
11. 中膜の肥厚
12. 外膜の肥厚
13. 血管周囲浮腫の程度
14. 血管周囲炎症細胞(リンパおよび血漿細胞)
15. BALT上昇
16. 内皮の反応性および隆起。
肝臓の評点基準およびパラメーター
1. 被膜のフィブリン
2. 小葉間線維症
3. ゾーン1、2、3の壊死
4. 中心静脈、門脈の壊死
5. 類洞の間隙(肝細胞の脱落)
6. ディッセ腔
7. 胆管
8. 胆細管
9. クッパー細胞
10. 肝細胞の付加表面(hepatocyte appositional surface)
11. 細胞および核のサイズ変動
12. 細胞質変動
結果:
肺傷害の記載
各スライド上に3つの肺切片があった。肺切片は左肺葉から得た。最も重度の肺傷害は下記のとおりに特徴づけられた:中等度から顕著な数の肺胞マクロファージが実質にびまん性に浸潤していた。これらの肺胞マクロファージが細胞質内に赤血球およびヘモシデリンを含むことはあまりなかった。赤血球貪食は希少から軽度の特徴であった。時折、泡状マクロファージの凝集物が肺胞中に見られた。毛細血管および大血管の中等度から顕著な拡張によって特徴づけられる中等度のうっ血および散発性の肺胞内出血が見られた。顕著な同時のうっ血、出血、赤血球貪食およびヘモシデリン沈着の斑状の分布が見られた。より重度の傷害は、ヒアリン膜形成を示した。主に顕著な浮腫、出血および線維症に関連する傷害で、中等度のII型肺細胞過形成が散発的に起こった。肺動脈は中等度から顕著に肥厚していた。肥厚は主に中膜で見られたが、内膜および外膜も中等度に肥厚していた。血管周囲のリンパ球、好中球、好酸球および肥満細胞からなる軽度から中等度の炎症性成分が認められた。血管周囲浮腫の程度は軽度から顕著であった。血管内皮細胞は隆起し、核が時折血管腔内に突出していた。細気管支および気管支で、リンパ球、形質細胞、好中球、好酸球および肥満細胞を含む細気管支周囲の炎症が増大することはあまりなかった。これらの管腔は時折、剥離した上皮細胞、マクロファージ、ならびに極わずかなフィブリンおよび浮腫で充満していた。リンパ管は時折拡張し、隆起していた。
肝傷害の記載
各スライド上に2つの肝切片があった。切片は左肝葉から得た。肝切片の主な所見は様々な程度のゾーン1(門脈周囲)の壊死の存在で、これは軽度から顕著の範囲であった。これらの所見は毒性物質の全身投与を示し、毒性物質はまずゾーン1に分布し、この代謝的に活性な領域の壊死をきたす。重症度に依存して、壊死はゾーン2および3にも波及していた。広範囲の壊死を示す肝では、類洞の拡張およびうっ血を伴う肝細胞の脱落も見られた。50mg/kgおよび100mg/kgの化合物Aを投与した実験群で、中等度の数の、小さい凝縮した核を有する類洞細胞が明白であった。これらの細胞はアポトーシス性の星状細胞でありうる。好中球、リンパ球またはマクロファージの存在は観察されなかった。モノクロタリン+媒体群で門脈周囲の線維症の証拠が見られ、これは凝固性壊死の損傷領域を修復する試みを表している。この群のいくつかの切片は他よりも高い程度の門脈周囲の線維症を有し、肝細胞再生および異型性の徴候も示した。肝傷害の重症度は肺傷害の重症度とほぼ相関するようであった。
傷害重症度の統計分析
一要因ANOVA分析により、3つの実験群におけるモノクロタリン(MCT)投与(媒体+MCT、50mg/kg化合物A+MCT、100mg/kg化合物A+MCT)により、媒体+PBS対照に比べて、肝傷害重症度スコアの有意な上昇が明らかとなった(p値<0.05)。この分析の結果を図8に示す。
MCT処理は、有意に高い肺傷害スコアを生じ、重症度が高いことを示した(p<0.001)。図9に示すとおり、投与した薬物、化合物Aによって、肺傷害スコアの用量依存的な低下が見られた。化合物Aの50mg/kgの用量は媒体+MCT群よりも低い傷害スコアを生じた(p=0.09)。しかし、化合物Aの用量を100mg/kgに増やすと、肺傷害スコアは重症度が低下し、有意差が観察された(p<0.01)。媒体+PBS(正常な動物と同様)処理群の肺と100mg/kg化合物A+MCT投与群とが同様であり、肺傷害の低減における治療として有効であることが示された。
肝線維症分析:
門脈路周囲に様々な程度の筋線維芽細胞増殖およびコラーゲン沈着と、時折、ゾーン2から3への架橋が見られた。胆管増殖は時として線維症の領域と関連していた。門脈周囲線維症の程度を各群内の別のパラメーターとして評価し、結果は下記のとおりである:
・モノクロタリン+媒体で処理した10の肝のうちの8つ(80%)は軽度、中等度または顕著な線維症を示した。
・モノクロタリン+50mg/kg化合物Aで処理した8つの肝のうちの4つ(50%)は最小から軽度の線維症を示した。
・モノクロタリン+100mg/kg化合物Aで処理した13の肝のうちの1つ(7%)は無視できる程度〜非常にわずかな(1つの小さい三主徴)線維症を示した。
・媒体+PBSで処理した9つの肝のうちの1つ(11%)は極わずかな線維症を示した。
モノクロタリンにより誘導される線維症の化合物Aによる減弱を図10に示す。様々な処理群からの肺および肝組織の例を図11に示す。図11の上図は肺組織を示し、下図は肝組織を示す。図11のAは、媒体およびMCTで処理した対象からの組織試料で、肺出血および浮腫と、門脈周囲の壊死、肝細胞の脱落および被膜のフィブリン蓄積を示している。図11のBは、MCTおよび50mg/kgの化合物Aで処理した対象からの組織試料で、MCTにより誘導される肺傷害の改善と、中等度の動脈肥大および軽度の肺浮腫を示している。図11のBの門脈周囲壊死はAに比べてわずかに軽減されたようである。図11のCは、MCTおよび100mg/kgの化合物Aで処理した対象からの組織試料で、MCTにより誘導される肺傷害のさらなる改善と、Bに比べて動脈肥大の軽減を示していると思われる。薬物の用量を上げることで、門脈周囲の壊死のさらなる軽減が得られるであろう。図11のDは、媒体およびPBSで処理した対象からの組織試料で、動脈肥大、肺浮腫または出血の証拠はほとんどまたは全くなく、門脈周囲の壊死の証拠もほとんどまたは全くないようである。
等価物
当業者であれば、日常的実験だけを用いて、本明細書に記載の特定の方法に対する多くの等価物を理解する、または確認しうるであろう。そのような等価物は本発明の範囲内であると考えられ、添付の特許請求の範囲の対象として含まれる。特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対して様々な置換、変更、および改変を行ってもよい。他の局面、利点、および改変は本発明の範囲内である。本出願の全体を通じて引用されるすべての参照文献、発行された特許、および公開された特許出願の内容は、参照により本明細書に組み入れられる。これらの特許、出願および他の文書の適当な構成要素、プロセス、および方法を本発明およびその態様のために選択してもよい。

Claims (58)

  1. 対象の器官の線維症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に式Iの化合物の治療上有効な量を投与する段階を含み、ここで式Iがその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む
    Figure 2010538078
    で表される方法;
    式中
    R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
    R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    Qは
    Figure 2010538078
    であり;
    R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
    R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
    R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
    R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
    Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
    nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
    *は結合点を表す。
  2. R1およびR2が独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す、請求項1記載の方法。
  3. R3およびR4が独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す、請求項1または2記載の方法。
  4. Qが
    Figure 2010538078
    である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
  5. R5が置換アリールであり;R6が水素であり;かつAがHである、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
  6. nが0または1である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
  7. 前記化合物がその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
    Figure 2010538078
    を有する、請求項1記載の方法;
    式中
    R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;
    R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつ
    nはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
  8. 化合物が5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
  9. 化合物が3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
  10. 器官が肝臓である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. 器官が腎臓である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  12. 器官が肺である、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  13. 対象が哺乳動物である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  14. 対象がヒトである、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
  15. 式Iの化合物を約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与する、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
  16. 前記化合物の投与の様式が、経口、静脈内、舌下、眼、経皮、直腸、局所、筋肉内、動脈内、皮下、頬側、経鼻、または肝臓への直接送達である、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
  17. 対象の壊死または炎症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に式Iの化合物の治療上有効な量を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む
    Figure 2010538078
    で表される方法;
    式中
    R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
    R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    Qは
    Figure 2010538078
    であり;
    R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
    R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
    R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
    R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
    Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
    nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
    *は結合点を表す。
  18. R1およびR2が独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す、請求項17記載の方法。
  19. R3およびR4が独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す、請求項17または18記載の方法。
  20. Qが
    Figure 2010538078
    である、請求項17〜19のいずれか一項記載の方法。
  21. R5が置換アリールであり;R6が水素であり;かつAがHである、請求項17〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. nが0または1である、請求項17〜21のいずれか一項記載の方法。
  23. 前記化合物がその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
    Figure 2010538078
    を有する、請求項17記載の方法;
    式中
    R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;
    R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつ
    nはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
  24. 化合物が5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項17記載の方法。
  25. 化合物が3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項17記載の方法。
  26. 対象が哺乳動物である、請求項17〜25のいずれか一項記載の方法。
  27. 対象がヒトである、請求項17〜25のいずれか一項記載の方法。
  28. 式Iの化合物を約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与する、請求項17〜27のいずれか一項記載の方法。
  29. 前記化合物の投与の様式が、経口、静脈内、舌下、眼、経皮、直腸、局所、筋肉内、動脈内、皮下、頬側、経鼻、または肝臓への直接送達である、請求項17〜28のいずれか一項記載の方法。
  30. 対象の活性化肝星状細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、対象に式Iの化合物の有効量を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む
    Figure 2010538078
    で表される方法;
    式中
    R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
    R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    Qは
    Figure 2010538078
    であり;
    R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
    R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
    R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
    R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
    Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
    nは0、1、2、3、4または5であり;
    *は結合点を表す。
  31. R1およびR2が独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す、請求項30記載の方法。
  32. R3およびR4が独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す、請求項30または31記載の方法。
  33. Qが
    Figure 2010538078
    である、請求項30〜32のいずれか一項記載の方法。
  34. R5が置換アリールであり;R6が水素であり;かつAがHである、請求項30〜33のいずれか一項記載の方法。
  35. nが0または1である、請求項30〜34のいずれか一項記載の方法。
  36. 前記化合物がその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
    Figure 2010538078
    を有する、請求項30〜35のいずれか一項記載の方法;
    式中
    R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;
    R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつ
    nはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
  37. 化合物が5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項30記載の方法。
  38. 化合物が3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項30記載の方法。
  39. 対象が哺乳動物である、請求項30〜38のいずれか一項記載の方法。
  40. 対象がヒトである、請求項30〜38のいずれか一項記載の方法。
  41. 式Iの化合物を約20mgから約1000mgの範囲の用量で投与する、請求項30〜40のいずれか一項記載の方法。
  42. 前記化合物の投与の様式が、経口、静脈内、舌下、眼、経皮、直腸、局所、筋肉内、動脈内、皮下、頬側、経鼻、または肝臓への直接送達である、請求項30〜41のいずれか一項記載の方法。
  43. 対象の器官の線維症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリル、3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
  44. 前記器官が肝臓、腎臓、または肺である、請求項43記載の方法。
  45. 対象の活性化肝星状細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、対象に5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリル、3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリル、またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与する段階を含む方法。
  46. 前記対象がヒトである、請求項43〜45のいずれか一項記載の方法。
  47. 前記塩がマレイン酸塩、塩酸塩、またはフマル酸塩である、請求項45〜46のいずれか一項記載の方法。
  48. 肝炎に関連する線維症を治療または予防する方法であって、それを必要としている対象に式Iの化合物の治療上有効な量を投与する段階を含み、ここで式Iはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む
    Figure 2010538078
    で表される方法;
    式中
    R1およびR2は独立に水素、低級アルキル、C1-C6シクロアルキルもしくはシクロヘテロアルキル、ハロゲン、ハロ置換アルキル、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R1およびR2はそれらの結合した炭素原子と一緒になって、置換または無置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルを形成し;ここでC4-C7シクロヘテロアルキルはO、NまたはSの少なくとも1つを含み、かつ置換C4-C7シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキルはハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換または無置換C1-C6シクロアルキルまたはシクロヘテロアルキル、置換または無置換アリールまたはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、および-R9-ハロアルコキシから選択される少なくとも1つの置換基を含み;
    R3はH、ハロゲン、-CN、-NH2、低級アルキル、R7、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    R4はH、R7、または置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリールであり;
    Qは
    Figure 2010538078
    であり;
    R5およびR6は独立に水素、ハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシを表すか;あるいは
    R5、R6、およびAはそれらの結合した炭素と一緒になって、置換もしくは無置換不飽和5もしくは6員炭素環または置換もしくは無置換飽和5、6、もしくは7員炭素環を形成し、ここで炭素環は縮合ビアリール環またはO、N、SおよびPからなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含むヘテロ炭素環であってもよく;かつ置換環はハロゲン、-COOH、-CN、-NH2、-NO2、-OH、低級アルキル、置換低級アルキル、置換もしくは無置換アリールもしくはヘテロアリール、R7、-COOR7、-CONHR7、-CON(R7)2、-OR7、-NHR7、-N(R7)2、-R9-アルコキシ、-R9-ハロアルキル、または-R9-ハロアルコキシの少なくとも1つを含むか;あるいはR5、R6、およびAは、それらの結合した炭素と一緒になって、隣接炭素原子上で置換されて5または6員不飽和または飽和環と二環式環を形成してもよい、芳香環を形成し;
    R7はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキルまたはC3-C6シクロアルキルまたはC3-C6シクロヘテロアルキルを表し;
    R8は水素、ハロゲン、CN、または置換もしくは無置換低級アルキルであり;
    R9はそれぞれの場合について独立に置換または無置換C1-C6アルキレンまたはC3-C6シクロアルキレンまたはC3-C6シクロヘテロアルキレンを表し;
    Aは水素またはC1-C6アルキルであり;
    nは0、1、2、3、4または5であり;かつ
    *は結合点を表す。
  49. R1およびR2が独立に水素、低級アルキル、またはハロゲンを表す、請求項48記載の方法。
  50. R3およびR4が独立に水素または無置換C1-C6アルキルを表す、請求項48または49記載の方法。
  51. Qが
    Figure 2010538078
    である、請求項48〜50のいずれか一項記載の方法。
  52. R5が置換アリールであり;R6が水素であり;かつAがHである、請求項48〜51のいずれか一項記載の方法。
  53. nが0または1である、請求項48〜52のいずれか一項記載の方法。
  54. 前記化合物がその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および/またはエステルを含む下記の式:
    Figure 2010538078
    を有する、請求項48記載の方法;
    式中
    R1はそれぞれの場合について独立にハロゲン、低級アルキル、シアノ、またはトリハロメチルを表し;
    R2はそれぞれの場合について独立に水素、ハロゲン、シアノ、トリハロメチル、低級アルコキシ、カルボキシレート、アミド、またはスルホニル基を表し;かつ
    nはそれぞれの場合について独立に1または2を表す。
  55. 化合物が5-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-2-フルオロベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項48記載の方法。
  56. 化合物が3-((4-(6-クロロチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)ベンゾニトリルまたはその薬学的に許容される塩である、請求項48記載の方法。
  57. 器官が肝臓である、請求項48〜56のいずれか一項記載の方法。
  58. 肝炎がC型肝炎である、請求項48〜57のいずれか一項記載の方法。
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