JP2010536885A - V3ループに改変を有するhivenvタンパク質 - Google Patents

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Abstract

本発明は、そのTat結合特性を変化させるためのHIVエンベロープ糖タンパク質のV3ループの修飾に関する。本発明により、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV Envポリペプチドの混合物が提供される。ここでは、ENVポリペプチドはそのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。また、1つの方法には、HIV EnvポリペプチドをHIV Tatポリペプチドと組み合わせる工程が含まれる。ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。また、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV EnvポリペプチドのV3ループの断片を含むポリペプチドの混合物も提供される。

Description

本明細書中で引用される全ての文献はそれらの全体が援用により本明細書中に組み入れられる。
政府による支援
この出願は、助成金番号第5P01 AI48225−03の下、米国NIAID−NIH HIVRADからの支援によってなされた。したがって、米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、特に、ウイルスエンベロープ糖タンパク質とそれらの操作の分野にある。
HIVゲノムの中にコードされる様々なタンパク質には、エンベロープ糖タンパク質(Env)およびトランス活性化転写因子(Tat)が含まれる。
HIV−1とHIV−2のいずれにおいても、Envタンパク質は、長い前駆体タンパク質として最初に発現され、続いてこれが切断されて、膜外糖タンパク質(exterior membrane glycoprotein)と膜貫通糖タンパク質が生じる。便宜上、これらのタンパク質は、以後、標準的なHIV−1の命名によって呼ばれ、すなわち、前駆体は「gp160」であり、膜糖タンパク質は「gp120」であり、そして膜貫通糖タンパク質は「gp41」である。これらの名称は、HIV−1糖タンパク質のおおよその分子量に基づく。
HIVビリオンの表面上に配置されるgp120は、宿主細胞の宿主細胞CD4受容体と相互作用できる。この相互作用は、gp120において構造遷移を誘導し、その「V3」ループの露出を導く。欠失実験は、V3領域の接近性が「V1」ループと「V2」ループにより影響を受けることを示唆していた。非特許文献1を参照のこと。例えば、非特許文献2では、V2ループの欠失がV1ループとV3ループの免疫原性を変化させる可能性があることが報告されている。
その表面露出が原因で、gp120は、過去20年にわたりHIVワクチン研究の主な注目を集め続けている。自然感染の間に生じる抗Env抗体は主要なHIV単離物を中和することが明らかにされている。しかし、このことは、Envをベースとするサブユニットワクチンによって誘発される抗体についてはあてはまらない。したがって、Envをベースとするワクチンの改良が必要である。
Tatタンパク質はHIV遺伝子の発現の調節に重要である。これは転写因子であるが、感染した細胞によって放出されることも明らかにされており、ワクチン抗原として提案されている。
特許文献1には、Envタンパク質とTatタンパク質が相互作用して複合体を形成できることが開示されている。この相互作用には、Envタンパク質中のV3ループの存在が必要であるといわれている。EnvポリペプチドとTatポリペプチドの組み合わせに基づくワクチンはまた、例えば、非特許文献3にも開示されている。
国際公開第2005/090391号パンフレット
Sourialら、Curr HIV Res.(2006)4(2):229−37 Srivastavaら、J Virol 77(2003)(4):2310−20 Ensoliら、Microbes Infect(2005)7:1392−9
Tat結合特性が変化したEnv由来ポリペプチドを提供することが1つの目的である。
本発明は、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV Envポリペプチドの混合物に関する。ここでは、EnvポリペプチドはそのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。1つの実施形態では、HIV TatポリペプチドとHIV Envポリペプチドは1つの複合体を形成する。特定の実施形態においては、HIV TatポリペプチドとHIV Envポリペプチドは、互いに共有結合される。
本発明はまた、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV Envポリペプチドの混合物を調製するためのプロセスに関する。ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。1つの実施形態では、上記プロセスには、(i)HIV Tatポリペプチドを(ii)HIV Envポリペプチドと混合する工程が含まれる。ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。他の実施形態では、上記プロセスには、HIV EnvポリペプチドをHIV Tatポリペプチドと組み合わせる工程が含まれる。ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。特定の実施形態では、上記プロセスには、EnvポリペプチドとTatポリペプチドが複合体を形成したかどうかを決定するさらなる工程が含まれる。
本発明はまた、突然変異体V3ループ配列を有しているHIV Envポリペプチドにも関する。ここでは、突然変異体の配列は、配列番号15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される。
特定の実施形態では、本発明の混合物、プロセス、またはポリペプチドのEnvポリペプチドには、V3ループの外側に1つ以上の突然変異(単数または複数)が含まれる。他の実施形態では、Envポリペプチドは、野生型の膜貫通ドメインと細胞質尾部を欠く。なお他の実施形態では、Envポリペプチドには、V2ループの中に1つ以上の欠失(単数または複数)が含まれる。特定の実施形態では、Envポリペプチドは、配列番号15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を持つV3ループを有する。他の実施形態では、Envポリペプチドは、アミノ酸配列である配列番号29を持つV3ループを有する。
本発明はまた、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV EnvポリペプチドのV3ループの断片を含むポリペプチドの混合物にも関する。ここでは、(ii)のポリペプチドは100アミノ酸以下の長さであり、これにはHIV EnvポリペプチドのV3ループに由来する少なくとも5個の連続するアミノ酸が含まれる。特定の実施形態では、(ii)のポリペプチドは≦30アミノ酸の長さである。他の実施形態では、(ii)のポリペプチドは環状である。さらなる実施形態では、(ii)の断片は、配列番号30〜37からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する。
特定の実施形態では、本発明の混合物、プロセス、またはポリペプチドのTatポリペプチドはアミノ酸配列である配列番号12を有する。
本発明はまた、本発明の混合物を含む薬学的組成物にも関する。特定の実施形態では、本発明の薬学的組成物にはワクチンアジュバントが含まれる。
本発明はまた、患者において免疫応答を惹起させる方法にも関し、上記方法には、患者に本発明の組成物を投与する工程が含まれる。
図1は、Far−Westernアッセイの結果を示す。レーンは以下のとおりである:(1)35、50、75、105、160、および250kDaのマーカー;(2)gp140ΔV2;(3)gp140ΔV2+CD4;(4)gp140dV3−22;(5)gp140dV3−22+CD4;(6)gp120;(7)gp120+CD4;ならびに(8)CD4。
一般論として、本発明は、そのTat結合特性を変化させるための、HIVエンベロープ糖タンパク質のV3ループの改変に関する。
本発明により、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV Envポリペプチドの混合物が提供される。ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。TatポリペプチドとEnvポリペプチドは複合体を形成し得、以下にさらに詳細に記載されるように、共有結合され得る。
本発明によってはまた、ポリペプチド混合物を調製するためのプロセスも提供される。上記方法には、(i)HIV Tatポリペプチドを(ii)HIV Envポリペプチドと混合する工程が含まれ、ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。
本発明によってはまた、HIV EnvポリペプチドをHIV Tatポリペプチドと組み合わせる工程を含む方法も提供される。ここでは、Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有する。上記方法には、EnvポリペプチドとTatポリペプチドが複合体を形成したかどうかを決定するさらなる工程が含まれ得る。このさらなる工程により、Tat結合活性に対する様々なV3突然変異の影響を決定することができる。V3突然変異によって形成された任意の複合体は、野生型Envによって形成された複合体に対して比較することができる。突然変異体は、野生型Env(例えば、より強い結合定数)よりも弱い複合体または強い複合体を形成する場合があり、また、より迅速に、またはよりゆっくりと複合体を形成する場合などもある。本発明によってはまた、野生型EnvよりもTatに対して高い親和性を有しているとしてそのような方法によって同定された、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を持つEnvポリペプチドも提供される。
本発明によってはまた、配列番号15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、および29からなる群より選択されるV3ループ配列を有しているHIV Envポリペプチドも提供される。
本発明によってはまた、(i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV EnvポリペプチドのV3ループの断片を含むポリペプチドの混合物も提供される。(ii)のポリペプチドは、通常は、100以下のアミノ酸の長さであるが、上記断片は、通常は、V3ループに由来する少なくとも5個のアミノ酸(通常は、V3ループ由来の5個の連続するアミノ酸)を有する。2つのポリペプチドは複合体を形成し得、そして共有結合され得る。
Envポリペプチド
いくつかの実施形態では、本発明の混合物には、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有するHIV Envポリペプチドが含まれる。
HIV−1またはHIV−2に由来する様々な形態のEnvポリペプチドが使用され得る。例えば、上記混合物には以下が含まれる:V3突然変異(単数または複数)を持つ全長のgp160 Envポリペプチド、V3突然変異(単数または複数)を持つgp120 Envポリペプチド、V3突然変異(単数または複数)を持つ短縮型gp120もしくはgp160 Envポリペプチド、V3突然変異(単数または複数)とV3の外側に1つ以上の欠失を持つgp160もしくはgp120ポリペプチド、V3突然変異(単数または複数)を持つgp120もしくはgp160ポリペプチドを含む融合タンパク質など。しかし、本発明では、通常は、V3突然変異(単数または複数)を持つ全長のEnv前駆体ではなく、短縮型のタンパク質が使用される。
REFSEQデータベース由来の全長のHIV−1 Env前駆体のアミノ酸配列(GI:9629363)は、以下に示される856マーである(本明細書中では配列番号1;V3ループに下線が付けられている):
この野生型HIV−1前駆体タンパク質は切断されて、表面糖タンパク質gp120(例えば、配列番号1のアミノ酸29〜511;本明細書中では配列番号2)と膜貫通ドメインgp41(例えば、配列番号1のアミノ酸512〜856;本明細書中では配列番号3)が生じる:
gp120領域内の超可変領域は以下のように配置され、配列番号1にしたがってナンバリングされる:V1=131〜157;V2=157〜196;V3=296〜331;V4=385〜418;およびV5=461〜471。したがってgp120の全体のC1−V1−V2−C2−V3−C3−V4−C4−V5−C5の構成の中では、サブドメインは以下のとおりである(配列番号2にしたがってナンバリングされる):1〜102;103〜129;129〜168;169〜267;268〜303;304〜356;357〜390;391〜432;433〜443;および444〜483。これらのサブドメインの座標(coordinates)は、適切な配列アラインメントを行うことによって他のHIV−1 Env配列の中で同定される。これらの特徴について注釈が付けられた、多数の株に由来する予めアラインメントされた配列は、Los Alamos HIV Sequence Compendia http://hiv−web.lanl.govの中でも見ることができる。
例えば、リーダーを取り除いた後のEnv配列(配列番号38)が、SF162株について以下に示される(配列番号7;V3ループに下線が付けられている)。これは、Arg−475の後ろで切断されて成熟タンパク質を生じ、これには、gp120(本明細書中では配列番号50、すなわち、配列番号7のアミノ酸1〜475)が含まれる:
配列番号7にしたがってナンバリングされたSF162株の中の超可変領域は以下のとおりである:V1=98〜128;V2=128〜167;V3=267〜301;V4=354〜381;およびV5=423〜435。
全長のHIV−2 Env前駆体のアミノ酸配列(GI:2144996)は以下に示される852マーである(本明細書中では配列番号4;V3ループに下線が付けられている):
HIV−2 Env前駆体タンパク質は切断されて、表面糖タンパク質(例えば、配列番号4のアミノ酸20〜502;本明細書中では配列番号5)と膜貫通ドメイン(例えば、配列番号4のアミノ酸503〜852;本明細書中では配列番号6)が生じる:
超可変領域などは、配列アラインメントによって、そしてLos Alamos HIV Sequence Compendiaのアラインメントを参照することによって再び同定され得る。
使用され得る他の特異的なEnv配列としては、WO00/39302、WO03/020876、WO2005/007808、WO03/004620、WO00/39304に開示されている配列が挙げられる。
本発明とともに使用されるEnvポリペプチドは、野生型配列と比較して、1つ以上の突然変異を有しているV3ループを有するであろう。そのようなV3突然変異は、以下にさらに詳細に記載される。
本発明とともに使用されるEnvポリペプチドには、さらに、V3ループの外側に突然変異が含まれ得る。例えば、本発明では、典型的には、短縮型のEnvポリペプチドが使用されるであろう。短縮には、全長配列からのさらなるアミノ酸のうちの1つの除去、例えば、C末端および/またはN末端での短縮、内部残基の欠失、V3以外のサブドメインの除去、米国特許第5,792,459号、ならびにこれらのアプローチの組み合わせが含まれるであろう。
例えば、その膜貫通ドメインと細胞質尾部を除去することによってEnv前駆体の可溶性形態が作製されることは公知である。gp120配列とgp41のエクトドメインを含むこのポリペプチドは、「gp140」として公知であり(Zhangら(2001)J.Biol.Chem.276:39577−85)、gp120よりも良好な免疫原であると報告されている(Earlら(2001)J Virol 75:645−53)。したがって前駆体は、そのC末端で(例えば、配列番号1のIle−682の後ろで短縮されるか(配列番号1のアミノ酸Ser−29からIle−682を有しているgp140配列を生じる;本明細書中では配列番号49)、または配列番号38のIle−673の後ろで短縮される(配列番号38のアミノ酸Ser−28からIle−673を有しているgp140配列を生じる;本明細書中では配列番号39)。このように、本発明とともに使用されるEnvポリペプチドにはgp41の一部が含まれるが、その膜貫通ドメインは含まれない場合がある。
Env前駆体のV2ループの中に欠失を作製して「ΔV2」突然変異体を生じさせることもまた公知である。例えば、40マーのV2ループの中の1つ以上のアミノ酸(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38個、またはそれ以上のアミノ酸)が欠失させられ得る。V2ループの中での欠失は、Envポリペプチドの免疫原性を改善することが報告されている(Barnettら(2001)J Virol 75:5526−40;Srivastavaら(2003)J Virol 77:2310−20)。V2ループの中に欠失および/または置換を持つEnvポリペプチドは、Env/Tat複合体を形成させることにおいて有用であることが明らかにされている。特に、Env/Tat複合体は、そのV2ループが突然変異していない限りは、単量体gp120とともには見られない可能性がある。V2ループから欠失させられたアミノ酸は、他のアミノ酸で置換され得、例えば、V2ループの中心部分がGly−Ala−Glyトリペプチドで置き換えられることが公知である。例えば、ΔV2突然変異体は以下の配列を有し得る(配列番号8):
式中:(i)130位の「X」は突然変異体V2ループを示し、例えば、4個から15個のアミノ酸を有する;そして、(ii)231位の「X」は突然変異体V3ループを示す。
SF162をベースとする別の有用なΔV2突然変異体は以下の配列を有し得る(配列番号45):
式中:(i)129位の「X」は突然変異体V2ループを示し、例えば、4個から15個のアミノ酸を有する;そして(ii)231位の「X」は突然変異体V3ループを示す。
本発明とともに使用される特に好ましいEnvポリペプチドは、HIV−1株SF162由来のΔV2突然変異体を持つgp140タンパク質である。その成熟形態においては、シグナル配列の切断と分泌の後に(例えば、WO00/39302の図24を参照のこと)、このポリペプチドは以下のアミノ酸配列(配列番号9)を有する:
本発明においては、野生型SF162 V3ループ(下線が付けられている;配列番号44)は、本明細書中の別の場所に記載されるように、突然変異体V3ループによって置き換えられるであろう。
本発明とともに使用されるEnvポリペプチドは、CD4に結合する天然のEnvの能力を保ち得る。CD4結合に重要であると同定されている残基としては、(配列番号1にしたがってナンバリングされた)Asp−368、Glu−370、Trp−427、Val−430、およびPro−438が挙げられる。
HIVゲノムが絶えず流れている状態(in a state of constant flux)にあり、そしてHIVゲノムに複数の単離物間で比較的高度なばらつきを示すいくつかのドメインが含まれるので、本発明は、公知のHIVポリペプチドの正確な配列を有しているEnvポリペプチドの使用に限定されない。このように、本発明のにしたがって使用されるEnvポリペプチドは、それに突然変異体V3ループが含まれる限りは、以下のうちの1つから選択され得る:
(i)配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、および50から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、および50から選択されるアミノ酸配列に対して配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(iii)配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、および50から選択されるアミノ酸配列と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の置換および/または欠失および/または挿入(V3ループの内部および場合によっては、V3ループの外側)を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(iv)配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、および50から選択されるアミノ酸に由来する少なくともn個の連続するアミノ酸の断片を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド(ここでは、nは7以上である);あるいは、
(v)ペアワイズ・アラインメント・アルゴリズム(pairwise alignment algorithm)を使用して、配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、および50から選択されるアミノ酸配列とアラインメントした場合に、N末端からC末端まで移動するx個のアミノ酸のそれぞれのウィンドウの中に少なくともx・yの同一であるアラインメントされた単量体を有し、ここでは:p>x;p−x+1;のウィンドウが存在し;xは、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、または850から選択され;yは、0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、または0.99から選択され;そしてx・yが整数ではない場合は、これは最も近い整数に丸められる、p個のアミノ酸の配列を含むポリペプチド。
これらのポリペプチドには、配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、および50のホモログ、オルトログ、対立遺伝子変異体、ならびに突然変異体が含まれる。例えば、プロテアーゼに対する耐性を改善するために天然のEnv配列を突然変異させることが公知である。これらのポリペプチドには、Env配列が非Env配列に対して融合させられた融合ポリペプチドも含まれる。例えば、天然のリーダーペプチドを持たないEnv配列を、非Envタンパク質由来の(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子由来の)リーダーペプチドに融合させることが公知である。
カテゴリー(ii)においては、配列同一性の程度は50%を上回り得る(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上)。複数のポリペプチド間での同一性は、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実行されるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって、パラメーターギャップ開放ペナルティー=12とギャップ伸張ペナルティー=1とともにアフィンギャップ(affine gap)検索を使用して決定されることが好ましい。
カテゴリー(iii)においては、個々の置換には1つのアミノ酸が含まれ、個々の欠失には1つのアミノ酸が含まれることが好ましく、そして個々の挿入には1つのアミノ酸が含まれることが好ましい。これらの変化は意図的に生じさせられる場合があり(例えば、部位特異的突然変異誘発によって)、また、自然に生じる場合もある(例えば、ウイルス進化によるか、または自然突然変異による)。カテゴリー(iii)のポリペプチドは、配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、または50と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の1アミノ酸置換を有し得る。これらのポリペプチドは、配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、または50と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の1アミノ酸欠失を有し得る。これらのポリペプチドは、配列番号1、2、4、5、7、8、9、38、39、43、45、49、または50と比較して、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の1アミノ酸挿入を有し得る。置換、挿入、および/または欠失は離れた位置である場合も、また連続している場合もある。置換は保存的、すなわち、関連する側鎖を有している別のアミノ酸での1つのアミノ酸の置き換えであり得る。遺伝子にコードされるアミノ酸は、一般的には4つのファミリーに分類される:(1)酸性(すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸);(2)塩基性(すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン);(3)非極性(すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン);および(4)電荷を持たない極性(すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシン)。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、しばしば一緒に芳香族アミノ酸として分類される。一般的には、これらのファミリーの中での1アミノ酸の置換は生物学的活性に対して重要な影響を及ぼさない。様々な置換が、Envポリペプチドでの使用について記載されている。例えば、全長の形態を留めるポリペプチドを提供するために、またはV3ループ中の「クリッピング(clipping)」部位を除去するために(WO91/15238)、またはグリコシル化部位(特に、N−グリコシル化部位(すなわち、アスパラギン残基))を欠失させるかもしくは置換するために、gp120とgp41との間の切断部位を不活化させる(例えば、Lys→Ser置換による)ことが公知である。
カテゴリー(iv)においては、nの値は7より大きく、例えば、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、またはそれ以上であり得る。上記断片には、配列の少なくとも1つのT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープが含まれ得る。T細胞エピトープとB細胞エピトープは経験的に同定することができるか(例えば、PEPSCAN Geysenら(1984)PNAS USA 81:3998−4002;Carter(1994)Methods Mol Biol 36:207−223)、または類似する方法を使用して)、あるいは、これらは予測することができる(例えば、Jameson−Wolf抗原性指数(Jameson,BAら、1988,CABIOS 4(1):181−186)、マトリックスをベースとするアプローチ(Raddrizzani & Hammer(2000)Brief Bioinform 1(2):179−189)、TEPITOPE(De Lallaら(1999)J.Immunol.163:1725−1729)、ニューラル・ネットワーク(neural networks)(Brusicら(1998)Bioinformatics 14(2):121−130)、OptiMer & EpiMer(Meisterら(1995)Vaccine 13(6):581−591;Robertsら(1996)AIDS Res Hum Retroviruses 12(7):593−610)、ADEPT(Maksyutov & Zagrebelnaya(1993)Comput Appl Biosci 9(3):291−297)、Tsites(Feller & de la Cruz(1991)Nature 349(6311):720−1)、親水性(Hopp(1993)Peptide Research 6:183−190)、抗原性指数(Wellingら(1985)FEBS Lett.188:215−218)、またはDavenportら(1995)Immunogenetics 42:392−297に開示されている方法を使用して)。
カテゴリー(v)においては、好ましいペアワイズ・アラインメント・アルゴリズムは、デフォルトパラメーター(例えば、ギャップ開放ペナルティー=10.0とギャップ伸張ペナルティー=0.5を用い、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用する)を使用する、Needleman−Wunschグローバル・アラインメント・アルゴリズム(Needleman & Wunsch(1970)J.Mol.Biol.48:443−453)である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージのニードルツール(needle tool)(Riceら(2000)Trends Genet 16:276−277)において簡単に実行される。
Envポリペプチドは、HIVビリオン上にオリゴマーの形態で見られ、本発明とともに使用される好ましいEnvポリペプチドもまたオリゴマー(特に、三量体)を形成し得る。例えば、gp140のΔV2突然変異体は、三量体を形成することが示されている(Barnettら(2001)J Virol 75:5526−40)。Env/Tat複合体は、一般的には、単量体gp120が使用される場合には、そのV2ループが突然変異させられていない限りは形成されないが、三量体gp140から形成され、これにはいずれのV2突然変異も必要ない。
本発明とともに使用される好ましいEnvポリペプチドは、突然変異体V3ループに加えて、突然変異体V2ループを有する(例えば、配列番号9のような突然変異体V2)。
突然変異体V3ループ
Envの野生型V3ループは両方の末端にシステイン残基を有しており、これらは、ジスルフィド結合の中で共有結合され得る。上記のように、本発明の混合物中のEnvポリペプチドは、野生型Env配列と比較してV3ループの中に1つ以上の突然変異を有するであろう。
野生型HIV−1 Env配列である配列番号2においては、V3ループはアミノ酸Cys−268からCys−303からなる(配列番号13):
SF162株由来の野生型HIV−1 Env配列(配列番号7)においては、V3ループは、アミノ酸Cys−267からCys−301からなる(配列番号46):
野生型HIV−2 Env配列である配列番号4においては、V3ループは、アミノ酸Cys−296からCys−329からなる(配列番号14):
他のEnv配列中でのV3ループの位置は、上記のような適切な配列アラインメントを行うことによって容易に同定され得、V3ループを示すための注釈が付けられ
た、多数の株に由来する予めアラインメントされた配列はまた、Los Alamos HIV Sequence Compendiaの中にも見ることができる。例えば、異なるサブタイプに由来する5種類の特異的な株の野生型V3ループが、コンセンサス配列とともに以下にアラインメントされる:
V3ループ中の突然変異は、無関係な、1アミノ酸の欠失、1アミノ酸の1アミノ酸での置換、または1つ以上のアミノ酸の挿入であり得る。本発明とともに使用されるEnvポリペプチドは、1つ以上のそのような突然変異(例えば、1つ以上の欠失および/または1つ以上の置換および/または1つ以上の挿入)を有し得る。少なくとも1つの欠失を持つ突然変異体V3ループは、典型的には、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28個、またはそれ以上の欠失(単数または複数)を持つ。2つ以上の欠失が存在する場合は、これらを1つの場所に集める(group)(すなわち、2つ以上の近くにある野生型アミノ酸がいずれも欠失させられ得る)ことが可能であり、そして/または、これらが離れている(すなわち、2つの欠失させられたアミノ酸は少なくとも1つの野生型アミノ酸によって隔てられる)ことが可能である。
EnvのV3ループ中の複数の突然変異がこれまでに報告されており、これらのうちの任意のものが本発明とともに使用され得る。例えば、Suら(2000)AIDS Res Hum Retroviruses.16(1):37−48では、V3ループの中心(centre)に由来する保存されているGly−Pro−Glyモチーフが欠失しているウイルスが報告されている。Kmieciakら(1998)J Immunol.160(11):5676−83は、V3ループの欠失の影響を分析し、そしてΔV3突然変異体は、envタンパク質の保存されているエピトープに対してインビトロでCTL活性の増大を示した。Jagodzinskiら(1996)Virology 226(2):217−27の著者らはV3ループを欠失させ、さらに様々なHIV株の間でV3ループを移植した。Hansenら(1996)Arch Virol 141(2):291−300は、O−グリコシル化を防ぐためにV3ループの中のThr残基とSer残基を突然変異させて、その代わりにAla残基に置換した。同様に、Kangら(2005)Virology 331(1):20−32はV3ループの中のグリコシル化部位を突然変異させた。Chiouら(1992)AIDS Res Hum Retroviruses 8(9):1611−8は、V3ループの中に複数の欠失の1つのシリーズを持つEnvタンパク質を調製した。Pollardら(1992)EMBO J.11(2):585−91は、gp120のV1、V2、およびV3可変領域とともに62個のN末端残基と20個のC末端残基がCD4結合には不要であることを示すために欠失を使用した。Sandersら(2000)J Virol 74(11):5091−100は、V1、V2、および/またはV3ループ中に欠失を持つgp140変異体を特性決定した。Yangら(2004)J Virol.78(8):4029−36は、選択的欠失によってV3ループのステムを短縮し、このステムの段階的な短縮により、HIV Envの免疫原性と機能的活性を回避した。このことは、V3の中の高度に保存されているサブ領域が、抗体応答の中和を誘発するため、HIV指向性(HIV tropism)に影響を与えるため、およびワクチンの免疫原性を高めるための、関連性のある標的である可能性があることを示唆している。参考文献1には、V1、V2、および/またはV3ループの中の部分的な欠失により、Env糖タンパク質に対する交差反応性の細胞性応答および抗体応答を促進する(boosting)ためのアプローチが可能となり得ることが報告されている。
それぞれにいくつかの連続するアミノ酸欠失が含まれている、本発明のEnvポリペプチドにおいて使用される突然変異体V3ループ配列の例が、配列番号15〜22として以下に示される:
野生型のSF162 V3配列と比較して3個の置換を持つ、本発明のEnvポリペプチドにおいて使用されるV3ループのさらなる例が以下に示される(配列番号24):
コンセンサス配列(配列番号29)もまた、野生型V3ループの代わりに使用され得る。
好ましい突然変異体V3ループは、Tatポリペプチドと相互作用する能力を保持する。上記相互作用は、野生型V3配列を用いて見られるよりも弱い/強い、速い/遅いなどであり得る。
V3断片
いくつかの実施形態では、本発明の混合物には、HIV EnvポリペプチドのV3ループの断片を含むポリペプチドが含まれる。このポリペプチドは、通常は、100アミノ酸を超えないであろう(例えば、≦90、≦80、≦70、≦60、≦50、≦40、≦30、≦20アミノ酸)。V3ループ断片には、野生型V3ループに由来する少なくとも5個のアミノ酸(例えば、V3ループに由来する6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個、またはそれ以上のアミノ酸)が含まれるであろう。上記ポリペプチドには、V3ループ断片のC末端および/またはN末端に対するアミノ酸が含まれ得る。
上記ポリペプチドは直鎖および/または分岐鎖であり得る。環状ポリペプチドが使用され得る(例えば、DTIC report ADA322181(1994)http://handle.dtic.mil/100.2/ADA322181には、V3ループから形成された環状の35マーのペプチドが開示されている)。ポリペプチドに2つ以上のシステイン残基が含まれる場合は、これらは、ジスルフィド結合を形成するように連結させられ得る。
本発明とともに使用される8個の特異的なV3由来ポリペプチドが以下に示される:
Tatポリペプチド
本発明の混合物にはHIV Tatポリペプチドが含まれ、HIV−1またはHIV−2に由来するTatポリペプチドの様々な形態が使用され得る。Tatポリペプチドの長さはウイルス株に応じて様々である。REFSEQデータベースによる全長のHIV−1 Tatポリペプチドのアミノ酸配列(GI:9629358)は、以下に示される86マーである(本明細書中では配列番号10):
様々なHIV−1 Tatポリペプチド配列において、Cys−22とCys−37は保存されており、分子内ジスルフィド結合を形成する。RKKRRQRRRの9マー(配列番号51)は核局在化シグナルである。これらの特徴は、適切な配列アラインメントを行うことによって他のHIV−1 Env配列の中で同定され得る。これらの特徴についての注釈が付けられた、予めアラインメントされた多数の株に由来する配列はまた、Los Alamos HIV Sequence Compendiaの中にも見られ得る。
全長のHIV−2 Tatポリペプチドのアミノ酸配列(GI:41056781)は、以下に示される130マーである(本明細書中では配列番号11):
この配列と他のHIV−2 Tat配列のアラインメントは、Los Alamos HIV Sequence Compendiaの中に見ることができる。
使用され得る他の特異的tat配列としては、WO00/39302、WO03/020876、WO2005/007808、WO03/004620、およびWO99/27958に開示されている配列が挙げられる。
本発明とともに使用される特に有用なTatポリペプチドは、HIV−1株BH10に由来する。このポリペプチドは以下のアミノ酸配列を有する(配列番号12;GI:62291022):
HIVゲノムが絶えず流れている状態にあり、そしてHIVゲノムに複数の単離物間で比較的高度なばらつきを示すいくつかのドメインが含まれるので、本発明は、公知のHIVポリペプチドの正確な配列を有しているTatポリペプチドの使用に限定されない。このように、本発明にしたがって使用されるTatポリペプチドは、以下から選択され得る:
(i)配列番号10、11、および12から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)配列番号10、11、および12から選択されるアミノ酸配列に対して配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(iii)配列番号10、11、および12から選択されるアミノ酸配列と比較して、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)置換および/または欠失および/または挿入を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(iv)配列番号10、11、および12から選択されるアミノ酸配列に由来する少なくともn個の連続するアミノ酸の断片を含むアミノ酸配列を含むポリペプチド(ここでは、nは7以上である);あるいは、
(v)ペアワイズ・アラインメント・アルゴリズム(pairwise alignment algorithm)を使用して、配列番号10、11、および12から選択されるアミノ酸配列とアラインメントした場合に、N末端からC末端まで移動するx個のアミノ酸のそれぞれのウィンドウの中に少なくともx・yの同一であるアラインメントされた単量体を有し、ここでは:p>x;p−x+1;のウィンドウが存在し;xが20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、または85から選択され;yが0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、または0.99から選択され;そしてx・yが整数ではない場合は、これは最も近い整数に丸められる、p個のアミノ酸の配列を含むポリペプチド。
これらのポリペプチドには、配列番号10、11、および12のホモログ、オルトログ、対立遺伝子変異体、ならびに突然変異体が含まれる。これらにはまた、Tat配列が非Tat配列に対して融合させられた融合ポリペプチドも含まれる。
カテゴリー(ii)においては、配列同一性の程度は50%を上回り得る(例えば、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上)。複数のポリペプチド間での同一性は、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)で実行されるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって、パラメーターギャップ開放ペナルティー=12とギャップ伸張ペナルティー=1とともにアフィンギャップを使用して決定されることが好ましい。
カテゴリー(iii)においては、個々の置換には1つのアミノ酸が含まれ、個々の欠失には1つのアミノ酸が含まれることが好ましく、そして個々の挿入には1つのアミノ酸が含まれることが好ましい。これらの変化は意図的に生じさせられる場合があり(例えば、部位特異的突然変異誘発によって)、また、自然に生じる場合もある(例えば、ウイルス進化によるか、または自然突然変異による)。カテゴリー(iii)のポリペプチドは、配列番号10、11、または12と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の1アミノ酸置換を有し得る。これらのポリペプチドは、配列番号10、11、または12と比較して、1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の1アミノ酸欠失を有し得る。これらのポリペプチドは、配列番号10、11、または12と比較して、1つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個など)の1アミノ酸挿入を有し得る。置換、挿入、および/または欠失は離れた位置である場合も、また連続している場合もある。上記のように、置換は保存的であり得る。
カテゴリー(iv)においては、nの値は7より大きく、例えば、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、またはそれ以上であり得る。上記断片には、その配列の少なくとも1つのT細胞エピトープおよび/またはB細胞エピトープが含まれ得る。上記のように、そのようなエピトープは経験的に同定され得るか、またはこれらは予測され得る。
カテゴリー(v)においては、好ましいペアワイズ・アラインメント・アルゴリズムは、上記のようなNeedleman−Wunschグローバル・アラインメント・アルゴリズムである。
Env/Tat混合物
本発明の混合物にはEnvポリペプチドとTatポリペプチドが含まれる。この混合物中では、これらは複合体を形成し得、その中で、EnvポリペプチドとTatポリペプチドは非共有結合によって結合され得るか、および/または共有結合され得る。特に有用な複合体は、原則的に、EnvとTatの1:1のモル比を有する。したがって、Envが三量体の形態である場合は、好ましい複合体には3個のTat単量体が含まれる。
混合物中のEnvポリペプチドとTatポリペプチドは、HIVが、例えば、いずれもHIV−1由来であるか、またはいずれもHIV−2由来である場合には、同じタイプに由来し得る。同じHIVタイプが使用される場合は、同じグループ由来の(例えば、HIV−1においては、いずれもグループM、グループN、またはグループO由来である)EnvポリペプチドとTatポリペプチドを混合することもまた有用である。グループMにおいては、同じサブタイプ由来(またはクレード)(例えば、サブタイプA、B、C、D、F、G、H、J、またはK由来)のEnvポリペプチドとTatポリペプチドを混合することが有用である。CRF(組み換え流行株(circulating recombinant form))サブタイプ(例えば、A/B CRFまたはA/E CRF)由来のEnvあるいはTatを使用することも可能である。サブタイプにサブ−サブタイプ(sub−subtype)が含まれる場合は、EnvポリペプチドとTatポリペプチドは同じサブ−サブタイプ由来であり得る。しかし、異なるグループ、サブタイプ、サブ−サブタイプ、および/またはクレード由来のEnvとTatを使用することも除外されない。HIV−1命名法は、Robertsonら(2000)Science 288:55−6にさらに詳細に議論されている。
サブタイプBまたはサブタイプC由来のEnvとTatの使用が好ましい。1つのサブタイプ(または、適用できる場合は、サブ−サブタイプ)中では、同じ株に由来するEnvとTatを使用することが可能であり、また、異なる株に由来するEnvとTatを使用することも可能である。例えば、EnvポリペプチドとTatポリペプチドはいずれも、SF162株(サブタイプB)由来であり得るか、または、本発明では、1つの株(例えば、SF162)由来のEnvと別の株(例えば、BH10)由来のTatが使用され得る。
本発明のEnv/Tat複合体は、(a)CD4、および/または(b)HIV Tatポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体、および/または(c)HIV Envポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体に特異的に結合し得る。したがって、上記複合体は、複合体を形成していないEnvポリペプチドのCD4結合活性、および/または複合体を形成していないTatポリペプチドもしくは複合体を形成していないEnvポリペプチドのmAb結合活性を保持し得る。結合活性(a)と(b)の両方を持つ複合体が特に有用である。2006年3月28日に提出された米国仮特許出願60/786,947に記載されているように、共有結合複合体(covalent complex)においてこれらの2つの活性を保持するにはEnvとTatとの間で適切な程度の架橋が必要である。この架橋の程度は、極めて広い範囲で変化し得、それゆえ、絶対的な精度で制御されることは必要なく、架橋が少なすぎると不安定な複合体につながり、架橋が多すぎると結合活性の喪失につながる。
複合体がCD4に特異的に結合する場合は、この結合活性は、例えば、WO91/13906に記載されているような公知のアッセイを使用して評価され得る。このアッセイは、天然のCD4を使用するためには必要ない。しかし、これは、その外部ドメインに基づくCD4の精製された可溶性形態を使用するためにはより一般的である(例えば、WO91/13906の実施例5を参照のこと)。CD4はまた、アッセイを容易にするために標識される場合もある。CD4は好ましくはヒトCD4である。少なくとも250のSNPがCD4についてこれまでに記載されており、これらのポリペプチドのうちの任意のもの、例えば、REFSEQ CD4(GI:10835167)が使用され得る。複合体を形成していないEnvはCD4に特異的に結合するであろう。そしてこの特異的結合活性は、Env/Tat複合体において保持され得る。しかし、結合活性が排除さなくても、実際の結合親和性は変化し得る。
上記複合体が抗Tatモノクローナル抗体に特異的に結合する場合は、好ましいモノクローナル抗体は8D1.8であり、これは、AIDS Research and Reference Reagent Program,Division of AIDS,NIAID,NIH(http://www.aidsreagent.org/UploadDocs/ds4672_003.pdf)を通じて入手することができる。Tat結合アッセイでのこの抗体の使用は、例えば、Rohrら(2003)J Virol.77:5415−27,Avrahamら(2004)J Immunol 173:6228−33,Liuら(2002)J Virol 76:6689−700の中で、以前に開示されている。
Env/Tat共有結合
Envタンパク質とTatタンパク質は、本発明の複合体の中では互いに共有結合され得る。タンパク質を共有結合させるための様々な方法は当該分野で公知である。例えば、参考文献Wong(1991)Chemistry of protein conjugation and cross−linking.ISBN 0−8493−5886−8およびHermanson(1996)Bioconjugate techniques.ISBN 0−12−342336−8を参照のこと。例えば、共有結合には、ホモ二官能性架橋剤、ヘテロ二官能性架橋剤、またはゼロ長架橋剤(zero−length cross−linker)の使用が関係し得る。これには、タンパク質中のスルフヒドリル基に向けられた試薬、タンパク質中のアミノ基に向けられた試薬、タンパク質中のカルボキシル基に向けられた試薬、チロシン選択性試薬、アルギニン特異的試薬、ヒスチジン特異的試薬、メチオニンアルキル化試薬、トリプトファン特異的試薬、セリン修飾試薬などが関係し得る。
本発明とともに使用される架橋剤の好ましいグループとしては、アルデヒドが挙げられ、そして特に、ホルムアルデヒドおよびジアルデヒドが挙げられる。適切なジアルデヒドとしては、グリオキサール、マロンジアルデジド、スクシニアルデニド(succinialdehyde)、アジポアルデヒド、α−ヒドロキシアジポアルデヒド、グルタルアルデヒド、およびフタルアルデヒドが挙げられる。グルタルアルデヒドとその誘導体が特に好ましく、これには、2−メトキシ−2,4−ジメチルグルタルアルデヒド、3−メトキシ−2,4−ジメチルグルタルアルデヒド、および3−メチルグルタルアルデヒドが含まれる。ピリドキサルリン酸もまた使用され得る。他のアミノ基に向けられたか架橋剤としては、ビス−イミドエステル、ビス−スクシンイミジル誘導体(例えば、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート、または「BS」)、二官能性ハロゲン化アリール、二官能性アシル化剤(ジイソシアネート、ジイソチオシアネート、二官能性ハロゲン化スルホニル、ビス−ニトロフェニルエステル、および二官能性アシルアジドを含む)、ジケトン、p−ベンゾキノン、2−イミドチオラン、エリスリトールビソカルボネート、ムコブロン酸、ムコクロル酸、クロロギ酸エチル、およびマルチジアゾニウム化合物(multidiazonium compounds)が挙げられる。
これらの試薬を使用してタンパク質を架橋するための方法は当該分野で公知である。一般的には、本発明には、Envポリペプチド、Tatポリペプチドおよび架橋剤を、共有結合反応を進行させる条件下で混合する工程が含まれるであろう。しかし、ヘテロ二官能性試薬を使用する手順のようないくつかの2工程の手順では、2つのポリペプチドのうちの1つが、最初に架橋試薬と反応させられて活性化されたポリペプチドが形成されるであろう。その後、活性化されたポリペプチドは第2のポリペプチドと反応させられるであろう。
光反応基を持つヘテロ二官能性リンカーもまた有用である。リンカーが1つの熱反応基と1つの光反応基を有する場合は、第1の工程に熱反応基を介する結合が含まれ得、その後に、複合体を作製するための結合が、例えば、UV線の使用によって開始させられ得る。あるいは、光反応基を最初に使用することもできる。
上記のように、架橋反応は、Envタンパク質とTatタンパク質の重要な結合活性を排除するほどには大きくない程度になるように行われ得る。このように、Envタンパク質とTatタンパク質の濃度、架橋試薬(単数または複数)の濃度、pH、反応温度、および反応時間が、所望される架橋の程度が得られるように制御され得る。Env、Tat、および架橋試薬の特定の組み合わせが試験される場合は、反応の最初のシリーズは、適切な反応条件を評価するために行われ得る。
薬学的組成物
本発明の混合物は、免疫原性組成物において有効成分として使用することができる。これらの組成物は、免疫応答を誘発するために動物に投与され得る。免疫応答には、好ましくは、Envおよび/またはTatに対する体液性応答(例えば、中和抗体応答のような抗体応答)ならびに/あるいは細胞性応答が含まれる。すでにHIVに感染した患者においては、免疫応答により感染の重篤度が低下する(例えば、ウイルス量が減少する)場合があり、そして、さらにはHIV感染のクリアランス(clearance)が生じる場合もある。HIVに感染していない患者においては、免疫応答により、将来のHIV感染のリスクが低下し得、そしてこれはさらには、将来のHIV感染からの防御となり得る。免疫原性組成物の投与により生じるこれらの効果は、他の抗HIVストラテジーの使用(例えば、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、侵入阻害剤、融合阻害剤などを含むがこれらに限定されない抗ウイルス剤の投与)によって増大させられる場合があり、また、免疫原性組成物の投与により生じるこれらの効果には他の抗HIVストラテジーの使用も必要である場合がある。
免疫原性組成物には、免疫学的有効量のポリペプチドが含まれるであろう。「免疫学的有効量」によっては、単回投与または一連の投与の一部のいずれかとしてのその量の個体への投与が、所望される処置または予防に有効であることが意味される。この量は、処置される個体の健常状態および生理的状態(physical condition)、年齢、処置される個体の分類群(例えば、ヒト以外の霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望される防御の程度、ワクチンの処方、医学的状況についての処置を行う医師の判断、ならびに他の関連する要因に応じて変化し得る。この量は、日常的に行われる試行を通じて決定され得る比較的広い範囲に入り得ると予想され、そして1回の投与あたりの複合体の典型的な量は、抗原あたり1μgから10mgの間である。
本発明の免疫原性組成物は薬学的に許容される。これらには通常、上記複合体に加えて複数の成分が含まれる。例えば、これらには、典型的には、1種類以上の薬学的担体(単数または複数)および/または賦形剤(単数または複数)が含まれる。そのような成分についての徹底した議論は、Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy.第20版,ISBN:0683306472で入手することができる。
組成物は一般的には水性形態であろう。
緊張度(tonicity)を制御するためには、生理学的塩(例えば、ナトリウム塩)を含めることが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1mg/mlから20mg/mlの間で存在し得る。存在し得る他の塩としては、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、無水リン酸二ナトリウム(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
組成物は、一般的には、200mOsm/kgから400mOsm/kgの間、好ましくは240mOsm/kg〜360mOsm/kgの間の浸透圧を有するであろう。より好ましくは、290mOsm/kg〜310mOsm/kgの範囲に入るであろう。
組成物には、1種類以上の緩衝液が含まれ得る。典型的な緩衝液としては:リン酸塩緩衝液;Tris緩衝液;ホウ酸塩緩衝液;コハク酸塩緩衝液;ヒスチジン緩衝液;またはクエン酸緩衝液が挙げられる。緩衝液は、典型的には、5mM〜20mMの範囲で含まれるであろう。
組成物のpHは、一般的には、5から8、より典型的には、6から7の間であろう。
組成物は、好ましくは、滅菌組成物である。上記組成物には、好ましくは、非発熱性であり、例えば、1用量あたり<1EU(内毒素単位、測定標準)、好ましくは、1用量あたり<0.1EUが含まれる。上記組成物にはグルテンが含まれないことが好ましい。
本発明の組成物には、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(「Tweens」として知られている)、オクトキシノール(例えば、オクトキシノール−9(Triton X−100)またはt−オクチルフェノキシポリエトキシ−エタノール)などが含まれ得る。
ワクチンは、約0.5mlの投与量(dosage volume)で投与され得る。
ワクチンアジュバント
本発明の組成物には、アジュバントが含まれることが有利であり得、アジュバントは、上記組成物が投与された患者において誘発される免疫応答(体液性免疫および/または細胞性免疫)を増強するように機能し得る。本発明とともに使用され得るアジュバントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
・カルシウム塩およびアルミニウム塩(またはそれらの混合物)を含むミネラル含有組成物、カルシウム塩としては、リン酸カルシウム(例えば、米国特許第6355271号に開示されている「CAP」粒子)が挙げられる。アルミニウム塩としては、水酸化物、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられ、これらの塩は任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶、不定形など)をとり得る。これらの塩の吸着が好ましい。ミネラル含有組成物はまた、金属塩の粒子としても処方され得る(WO00/23105)。アルミニウム塩アジュバントは以下にさらに詳細に記載される。
・以下にさらに詳細に記載されるような水中油型エマルジョン。
・以下のような、免疫賦活オリゴヌクレオチド:CpGモチーフ(グアノシンに対してリン酸結合によって連結させられた非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)、TpGモチーフ(WO01/22972)、二本鎖RNA、パリンドローム配列を含むオリゴヌクレオチド、またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチド。免疫賦活オリゴヌクレオチドには、ホスホロチオエート修飾のようなヌクレオチドの修飾/アナログが含まれ得、そしてこれは二本鎖であっても、また(RNAを除く)一本鎖であってもよい。Kandimallaら(2003)Nucleic Acids Research 31:2393−2400、WO02/26757、およびWO99/62923には、可能なアナログ置換(例えば、2’−デオキシ−7−デアザグアノシンでのグアノシンの置換)が開示されている。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、Krieg(2003)Nature Medicine 9:831−835,McCluskieら(2002)FEMS Immunology and Medical Microbiology 32:179−185、WO98/40100、米国特許第6,207,646号、同第6,239,116号、および同第6,429,199号でさらに議論されている。CpG配列はTLR9に対して、例えば、モチーフGTCGTTまたはTTCGTTに対して向けられている(Kandimallaら(2003)Biochemical Society Transactions 31(part 3):654−658)。CpG配列は、Th1免疫応答(例えば、CpG−A ODN(オリゴデオキシヌクレオチド)の誘導に特異的であり得るか、またはこれは、B細胞応答(例えば、CpG−B ODN)の誘導について、より特異的であり得る。CpG−AとCpG−B ODNは、Blackwellら(2003)J Immunol 170:4061−4068、Krieg(2002)Trends Immunol 23:64−65、WO01/95935の中で議論されている。好ましくは、CpGはCpG−A ODNである。好ましくは、CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識に利用されるように構築される。状況に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列が、「イムノマー(immunomer)」が形成されるようにそれらの3’末端に結合させられ得る。例えば、Kandimallaら(2003)Biochemical Society Transactions 31(part 3):654−658、Kandimallaら(2003)BBRC 306:948−953、Bhagatら(2003)BBRC 300:853−861、およびWO03/035836を参照のこと。有用なCpGアジュバントはCpG7909であり、これはProMune(商標)(Coley Pharmaceutical Group,Inc.)としても知られている。免疫賦活オリゴヌクレオチドには、典型的には、少なくとも20ヌクレオチドが含まれるであろう。これらには、100未満のヌクレオチドが含まれ得る。
3−O−脱アシル化モノホスホリルリピッドA(「3dMPL」、「MPL(商標)」としても知られている)(Myersら(1990)、Cellular and molecular aspects of endotoxin reaction,Vaccine Adjuvants:Preparation Methods and Research Protocolsの145頁〜156頁(Molecular MedicineシリーズのMethodsの第42巻)。ISBN:1−59259−083−7. O’Hagan編,273頁〜282頁,Johnsonら(1999)J Med Chem 42:4640−9、およびBaldrickら(2002)Regulatory Toxicol Pharmacol 35:398−413)。3dMPLは、Salmonella minnesotaのヘプトースのない(heptoseless)突然変異体から調製されており、そしてリピッドAに化学的に類似しているが、酸に不安定なホスホリル基と塩基に不安定なアシル基を欠いている。3dMPLの調製は、最初に、英国特許出願GB−A−2220211(参考文献2)に記載された。3dMPLは、それらのアシル化により異なる(例えば、異なる長さであり得る3個、4個、5個、または6個のアシル鎖を有している)関連する分子の混合物の形態をとり得る.2つのグルコサミン(2−デオキシ−2−アミノ−グルコースとしても知られている)単糖は、それらの2位の炭素で(すなわち、2位と2’位で)N−アシル化されており、3’位でのO−アシル化もまた存在する。
・イミダゾキノリン化合物(例えば、イミキモド(Imiquimod(「R−837」))(米国特許第4,680,338号;同第4,988,815号)、レシキモド(Resiquimod(「R−848」))(WO92/15582))、およびそれらのアナログ;ならびにそれらの塩(例えば、塩酸塩)。免疫賦活イミダゾキノリンについてのさらなる詳細は、Stanley(2002)Clin Exp Dermatol 27:571−577,Wuら(2004)Antiviral Res.64(2):79−83,Vasilakosら(2000)Cell Immunol.204(1):64−74、米国特許第4689338号、同第4929624号、同第5238944号、同第5266575号、同第5268376号、同第5346905号、同第5352784号、同第5389640号、同第5395937号、同第5482936号、同第5494916号、同第5525612号、同第6083505号、同第6440992号、同第6627640号、同第6656938号、同第6660735号、同第6660747号、同第6664260号、同第6664264号、同第6664265号、同第6667312号、同第6670372号、同第6677347号、同第6677348号、同第6677349号、同第6683088号、同第6703402号、同第6743920号、同第6800624号、同第6809203号、同第6888000号、および同第6924293号、ならびに、Jones(2003)Curr Opin Investig Drugs 4:214−218の中に見ることができる。
・WO2004/060308に開示されている化合物のようなチオセミカルバゾン化合物。活性のある化合物を処方する、製造する、およびスクリーニングする方法もまた、WO2004/060308に記載されている。チオセミカルバゾンは、TNF−αのようなサイトカインの産生のためのヒト抹消血単核細胞の刺激に特に有効である。
・WO2004/064759に開示されている化合物のようなトリプタンスリン化合物。活性のある化合物を処方する、製造する、およびスクリーニングする方法もまた、参考文献WO2004/064759に記載されている。チオセミカルバゾン化合物は、TNF−αのようなサイトカインの産生のためのヒト抹消血単核細胞の刺激に特に有効である。
・以下のようなヌクレオシドアナログ:(a)イサトラビン(ANA−245;7−チア−8−オキソグアニン):
およびそのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)米国特許第6,924,271号、同第5,658,731号、およびUS2005/0070556に開示されている化合物;(f)以下の式を有している化合物:
式中:
およびRはそれぞれ独立して、H、ハロ、−NR、−OH、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルコキシ、複素環、置換された複素環、C6−10アリール、置換されたC6−10アリール、C1−6アルキル、または置換されたC1−6アルキルであり;
は存在しないか、H、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C6−10アリール、置換されたC6−10アリール、複素環または置換された複素環であり;
およびRはそれぞれ独立して、H、ハロ、複素環、置換された複素環、−C(O)−R、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキルであるか、または一緒に結合してR4−5中のような5員環を形成し:
結合は、
によって示される結合で得られる
およびXはそれぞれ独立して、N、C、OまたはSであり;
はH、ハロ、−OH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−OH、NR、−(CH−O−R、−O−(C1−6アルキル)、−S(O)または−C(O)−Rであり;
はH、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、複素環、置換された複素環、またはR9aであり、ここでは、R9aは:
結合は、
によって示される結合で得られる
10およびR11はそれぞれ独立して、H、ハロ、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルコキシ、−NR、または−OHであり;
およびRはそれぞれ独立して、H、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、−C(O)R、C6−10アリールであり;
はそれぞれ独立して、H、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、C1−6アルキル、または置換C1−6アルキルであり;
はそれぞれ独立して、H、ハロ、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換されたC1−6アルコキシ、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−NH(置換されたC1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)、−N(置換されたC1−6アルキル)、C6−10アリール、または複素環であり;
はそれぞれ独立して、H、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、C6−10アリール、置換されたC6−10アリール、複素環、または置換された複素環であり;
はそれぞれ独立して、H、C1−6アルキル、置換されたC1−6アルキル、−C(O)R、ホスフェート、ジホスフェート、またはトリホスフェートであり;
nはそれぞれ独立して、0、1、2または3であり;
pはそれぞれ独立して、0、1または2であるか;あるいは
あるいは、(g)(a)〜(f)のいずれかの薬学的に許容される塩、(a)〜(f)のいずれかの互変異性体、または互変異性体の薬学的に許容される塩。
・ロキソリビン(7−アリル−8−オキソグアノシン)(米国特許第5,011,828号)。
・以下を含むWO2004/87153(参考文献3)に開示されている化合物:・アシルピペラジン化合物、インドレジオン化合物、テトラヒドライソキノリン(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンズイミダゾールキノリン(ABIQ)化合物(US6,605,617,WO02/18383)、ヒドラフタルアミド化合物、ベンゾフェノン化合物、イソキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン化合物、ピロール化合物(WO2004/018455)、アントラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラザロピリミジン化合物およびベンザゾール化合物(WO03/082272)。
・以下を含むWO2006/00242に開示されている化合物:3,4−ジ(1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、スタウロスポリンアナログ、誘導体化されたピリダジン、クロメン−4−オン、インドリノン、キナゾリン、およびヌクレオシドアナログ。
・以下のようなアミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体:RC−529(Johnsonら(1999)Bioorg Med Chem Lett 9:2273−227、Evansら(2003)Expert Rev Vaccines 2:219−22)。
・以下のようなホスファゼン:例えば、Andrianovら(1998)Biomaterials 19:109−115およびPayneら(1998)Adv Drug Delivery Review 31:185−196に記載されているポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](「PCPP」)。
・以下のような低分子免疫増強物質(Small molecule immunopotentiator)(SMIP):
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2、N2−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−エチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−ペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−プロペ−2−ニル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
1−(2−メチルプロピル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
1−(2−メチルプロピル)−2−(プロピルチオ)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
2−[[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エタノール
2−[[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エチル酢酸
4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン
N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
N2,N2−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
1−{4−アミノ−2−[メチル(プロピル)アミノ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル}−2−メチルプロパン−2−オール
1−[4−アミノ−2−(プロピルアミノ)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
N4,N4−ジベンジル−1−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン。
・サポニン[Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995 ISBN 0−306−44867−Xの第22章]。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、幹、根、およびさらには花にも見られるステロールグリコシドとトリテルペノイドグリコシドの異種グループである。キラヤサポニン(Quillaia saponaria Molina)の木の皮から単離されたサポニンがアジュバントとして広く研究されている。また、Smilax ornata(サルサパリラ)、Gypsophilla paniculata(ブライズベール)、およびSaponaria officianalis(ソープルート)由来のサポニンもまた市販によって入手することができる。サポニンアジュバント処方物には、QS21のような精製された処方物、ならびに、ISCOMのような脂質処方物が含まれる。QS21はStimulon(商標)として販売されている。サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを使用して精製されている。これらの技術を使用した、特異的な精製された画分が同定されており、これには、QS7、QS17,QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cが含まれる。サポニンがQS21であることが好ましい。QS21の製造法は参考文献4に開示されている。また、サポニン処方物には、コレステロールのようなステロールも含まれる場合がある(WO96/33739)。サポニンとコレステロールとの組み合わせを使用して、免疫賦活複合体(ISCOM)と呼ばれる特有の粒子を形成させることができる[Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995(ISBN 0−306−44867−X)の第23章]。ISCOMには、通常は、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンのようなリン脂質も含まれる。ISCOMには任意の既知のサポニンを使用することができる。ISCOMに、QuilA、QHA、およびQHCのうちの1つ以上が含まれることが好ましい。ISCOMは、WO96/33739、EP−A−0109942、およびWO96/11711の中でさらに記載されている。状況に応じて、ISCOMはさらなる界面活性剤は持たない場合がある(WO00/07621)。サポニンをベースとするアジュバントの開発の概要は、Barrら(1998)Advanced Drug Delivery Reviews 32:247−271、およびSjolanderetら(1998)Advanced Drug Delivery Reviews 32:321−338の中に見ることができる。
・細菌性ADPリボシル化毒素(例えば、E.coli熱不安定性エンテロ毒素「LT」、コレラ毒素「CT」、または百日咳毒素「PT」)、ならびに、LT−K63およびLT−R72として知られている突然変異体毒素のようなそれらの解毒された誘導体(Sjolanderetら(1998)Advanced Drug Delivery Reviews 32:321−338)。解毒されたADPリボシル化毒素の粘膜アジュバント(mucosal adjuvant)としての使用はWO95/1721に記載されており、そして非経口アジュバントとしての使用はWO98/42375に記載されている。
・エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア(Singhら(2001)J Cont Release 70:267−276)またはキトサンおよびその誘導体(WO99/2796)のような生物接着剤およびムコ接着剤。
・生分解性であり、非毒性である材料(例えばポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)から、好ましくは、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)を用いて形成させられ、状況に応じて、負荷電表面(例えば、SDSで)または正荷電表面(例えば、CTABのような陽イオン性界面活性剤で)を有するように処理された、マイクロ粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは直径約200nm〜約30μm、または直径約500nm〜約10μmの粒子)。
・リポソーム(Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995(ISBN 0−306−44867−X)の第13章と第14章)。アジュバントとしての使用に適しているリポソーム処方物の例は、US5,916,588、同6,090,406、およびEP−A−0626169に記載されている。
・ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル(WO99/52549)。そのような処方物には、さらに、オクトキシノールと組み合わせられたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(WO01/21207)、ならびに、オクトキシノールのような少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせられたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステル界面活性剤(WO01/2115)が含まれる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは以下の群より選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(ラウレス9(laureth9))、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
・以下のようなムラミルペプチド:N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(「thr−MDP」)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、N−アセチルグルコサミニル−N−アセチルムラミル−L−Al−D−イソグル−L−Ala−ジパルミトキシプロピルアミド(「DTP−DPP」または「Theramide(商標)」)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(「MTP−PE」)。
・第2のグラム陰性細菌由来のリポ糖(LPS)調製物と組み合わせられた第1のグラム陰性細菌から調製された外膜タンパク質プロテオソーム調製物。ここでは、外膜タンパク質プロテオソームとLPS調製物は、安定な非共有結合アジュバント複合体を形成する。そのような複合体としては、Neisseria meningitidisの外膜とLPSからなる複合体「IVX−908」が挙げられる。
・メチルイノシン5’−モノホスフェート(「MIMP」)(Signorelli & Hadden(2003)Int Immunopharmacol 3(8):1177−86)。
・以下の式を有している化合物のような、ポリヒドロキシル化ピロリジジン化合物(WO2004/064715):
式中、Rは水素、直鎖または分枝鎖、未置換または置換、飽和または不飽和の、アシル、アルキル(例えばシクロアルキル)、アルケニル、アルキニル、およびアリール基、またはそれらの薬学的に許容される塩もしくは誘導体からなる群より選択される。例として、カスアリン、カスアリン−6−α−D−グルコピラソース、3−エピ−カスアリン、7−エピ−カスアリン、3,7−ジエピ−カスアリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
・γイヌリン(Cooper(1995)Pharm Biotechnol 6:559−80)、またはアルガムリンのようなその誘導体
・式I、II、もしくはIIIの化合物、またはそれらの塩:
(参考文献5の中で定義されている、例えば、以下のもの:「ER 803058」、「ER 803732」、「ER 804053」、ER 804058」、「ER 804059」、「ER 804442」、「ER 804680」、「ER 804764」、ER 803022、または「ER 804057」、例えば、以下のもの:
・OM−174(Meraldiら(2003)Vaccine 21:2485−2491,Pajakら(2003)Vaccine 21:836−84に記載されている)のようなEscherichia coli由来のリピッドAの誘導体。
・以下のような、陽イオン性脂質と(通常は中性の)コリピッド(co−lipid)の処方物:例えば、アミノプロピル−ジメチル−ミリストレイルオキシ−プロパナミニウムブロマイド−ジフィタノイルホスファチジル−エタノールアミン(「Vaxfectin(商標)」)、またはアミノプロピル−ジメチル−ビス−ドデシルオキシ−プロパナミニウムブロマイド−ジオレオイルホスファチジル−エタノールアミン(「GAP−DLRIE:DOPE」)。(±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(シン−9−テトラデセネイルオキシ)−1−プロパナミニウム塩を含む処方物が好ましい(米国特許第6586409)。
・ホスフェートを含む非環式骨格に結合させられた脂質を含む化合物、例えばTLR4アンタゴニストE5564(Wongら(2003)J Clin Pharmacol 43(7):735−42,US2005/0215517):
これらのアジュバントと、他のアジュバント活性がある物質は、参考文献Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995(ISBN 0−306−44867−X)、およびVaccine Adjuvants:Preparation Methods and Research Protocols(Molecular MedicineシリーズのMethodsの第42巻).ISBN:1−59259−083−7.O’Hagan編の中でさらに詳細に議論されている。
組成物には、上記アジュバントのうちの2つ以上が含まれる場合がある。
組成物の中では、抗原とアジュバントは、通常は混合された状態であろう。
水中油型エマルジョンアジュバント
水中油型エマルジョンはアジュバントとして特に有用である。様々なそのようなエマルジョンが公知であり、これらには通常、少なくとも1種類の油と少なくとも1種類の界面活性剤が含まれ、上記油(単数または複数)と上記界面活性剤(単数または複数)は生体分解性(代謝可能)であり、かつ生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、一般的には、5μm未満の直径であり、さらには、1サブミクロン未満の直径を有する場合もあり、これらの小さい大きさは、安定なエマルジョンを提供するためのマイクロフルイダイザーを用いて得られる。220nm未満の大きさの液滴が好ましい。なぜなら、これらは濾過滅菌できるからである。
本発明は、油(例えば、動物性(例えば、魚類)または植物性の供給源に由来する油)とともに使用され得る。植物性油の供給源としては、木の実(nuts)、種子、および穀類が挙げられる。最も一般的に利用されているピーナッツ油、大豆油、ココナッツ油、およびオリーブ油はナッツ油の例を示す。例えば、ホホバ豆(jojoba bean)から得られたホホバ油を使用することができる。種子油としては、サフラワー油、菜種油、ヒマワリ油、ゴマ油などが挙げられる。穀物のグループの中では、トウモロコシ油が最も容易に入手できるが、他の穀物(例えば、コムギ、オーツムギ、ライムギ、コメ、テフ、ライ小麦など)の油もまた使用され得る。グリセロールの6〜10炭素の脂肪酸エステル、および1,2−プロパンジオールは、種子油の中には自然界では存在しないが、木の実および種子の油から出発して適切な材料の加水分解、分離、およびエステル化によって調製され得る。哺乳動物の乳汁由来の脂肪および油は代謝可能であり、したがって、本発明の実施において使用され得る。動物供給源から純粋な油を得るために必要な分離、精製、鹸化、および他の手段のための手順は当該分野で周知である。ほとんどの魚類には、容易に回収することができる代謝可能な油が含まれている。例えば、肝油、サメ肝油、およびクジラの油(例えば、鯨ろう)は、本明細書において使用され得る魚類の油のいくつかの例を示す。多数の分岐鎖の油は、5−炭素イソプレン単位で生化学的に合成され、一般的には、テルペノイドと呼ばれる。サメ肝油には、スクワレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして知られている分岐した不飽和テルペノイドが含まれており、これは本明細書中では特に好ましい。スクワレン、スクワレンの飽和アナログもまた好ましい油である。スクワレンを含む魚類の油とスクワレンは商業的に容易に入手することができ、また、当該分野で公知の方法によって得ることもできる。他の好ましい油はトコフェロール(以下を参照のこと)である。油の混合物を使用することができる。
界面活性剤は、それらのHLB(親水/親油バランス(hydrophile/lipophile balance))によって分類することができる。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも16のHLBを有する。本発明は界面活性剤とともに使用され得る。界面活性剤には以下が含まれるが、これらに限定されない:ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にはTweensと呼ばれる)、特に、ポリソルベート20およびポリソルベート80;DOWFAX(商標)の商標名で販売されている、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、および/またはブチレンオキサイド(BO)のコポリマー、例えば、直鎖のEO/POブロックコポリマー;特定の目的であるオクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)を持つオクトキシノール(これは、エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の繰り返しの数が異なり得る);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);リン脂質(例えば、ホスファチジルコリン(レシチン));ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として知られている)(例えば、トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30));ならびに、ソルビタンエステル(SPANとして一般的に知られている)(例えば、トリオレイン酸ソルビタン(Span 85)およびモノラウリン酸ソルビタン)。エマルジョンの中に含められる好ましい界面活性剤はTween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span 85(トリオレイン酸ソルビタン)、レシチン、およびTriton X−100である。
界面活性剤の混合物(例えば、Tween 80/Span 85混合物、またはTween80/Triton−X100混合物)が使用され得る。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)のようなポリオキシエチレンソルビタンエステルとt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Triton X−100)のようなオクトキシノールの組み合わせもまた適している。別の有用な組み合わせには、ラウレス9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールが含まれる。
界面活性剤の好ましい量(重量%)は以下である:ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween 80)0.01%〜1%、特に、約0.1%;オクチル−もしくはノニルフェノキシポリオキシエタノール(例えば、Triton X−100、またはTritonシリーズの他の界面活性剤)0.001%〜0.1%、特に、0.005%〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ラウレス9)0.1%〜20%、好ましくは、0.1%〜10%、および特に、0.1%〜1%、または約0.5%。
本発明で有用な特異的な水中油型エマルジョンアジュバントとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない:
・スクワレン、Tween 80、およびSpan 85の1サブミクロン未満の水中油エマルジョン。上記エマルジョンの容積組成は、約5%のスクワレン、約0.5%のポリソルベート80、および約0.5%のSpan 85であり得る。重量では、これらの割合は、4.3%のスクワレン、0.5%のポリソルベート80、および0.48%のSpan 85となる。このアジュバントは、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995 of Vaccine Adjuvants:Preparation Methods and Research Protocols(Molecular MedicineシリーズのMethodsの第42巻)の第10章にさらに詳細に記載されているように、「MF59」として知られている(WO90/14837、Podda & Del Giudice(2003)Expert Rev Vaccines 2:197−203、およびPodda(2001)Vaccine 19:2673−2680)。MF59エマルジョンには、クエン酸塩イオン(例えば、10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液)が含まれることが有利である。
・スクワレン、トコフェロール、およびTween 80のエマルジョン。このエマルジョンには、リン酸緩衝化生理食塩水が含まれ得る。これには、Span 85(例えば、1%)および/またはレシチンも含まれる場合がある。これらのエマルジョンには、2から10%のスクワレン、2から10%のトコフェロールと、0.3から3%のTween 80が含まれ、スクワレン:トコフェロールの重量比は、好ましくは、≦1である。なぜなら、これによってより安定なエマルジョンが提供されるからである。1つのこのようなエマルジョンは、Tween 80をPBS中に溶解させて2%の溶液とし、その後、90mlのこの溶液を(5gのDL−α−トコフェロールと5mlのスクワレン)の混合物と混合し、その後、上記混合物をマイクロフルイダイズすることによって作製することができる。得られるエマルジョンは、1ミクロン未満の油滴を呈し得、例えば、100から250nmの間、好ましくは、約180nmの平均直径を持つ。
・スクワレン、トコフェロール、およびTriton界面活性剤(例えば、Triton X−100)のエマルジョン。このエマルジョンにはまた、3d−MPLが含まれる場合がある(下記を参照のこと)。このエマルジョンにはリン酸緩衝液が含まれる場合がある。
・ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)、Triton界面活性剤(例えば、Triton X−100)、およびトコフェロール(例えば、コハク酸α−トコフェロール)を含むエマルジョン。このエマルジョンには、3つの成分が約75:11:10(例えば、750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTriton X−100、および100μg/mlのコハク酸α−トコフェロール)の質量比で含まれ得、これらの濃度には、複数の抗原に由来するこれらの成分が何らかの分配量で(contribution)含まれるはずである。このエマルジョンにはまた、スクワレンが含まれる場合がある。このエマルジョンにはまた、3d−MPLが含まれる場合がある(下記を参照のこと)。水相にはリン酸緩衝液が含まれ得る。
・スクワレン、ポリソルベート80、およびポロキサマー401(「Pluronic(商標)L121」)のエマルジョン。このエマルジョンは、リン酸緩衝化生理食塩水(pH7.4)の中に処方することができる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドについての有用な送達媒体であり、「SAF−1」アジュバント中でスレオニル−MDPと共に使用されている(Allison & Byars(1992)Res Immunol 143:519−25)(0.05%〜1%のThr−MDP、5%のスクワレン、2.5%のPluronic L121、および0.2%のポリソルベート80)。これはまた、Thr−MDPを伴わずに、「AF」アジュバントとして使用することもできる(Hariharanら(1995)Cancer Res 55:3486−9)(5%のスクワレン、1.25%のPluronic L121、および0.2%のポリソルベート80)。マイクロフルイダイズが好ましい。
・0.5%〜50%の油、0.1%〜10%のリン脂質、および0.05%〜5%の非イオン性界面活性剤を有しているエマルジョン。WO95/11700に記載されているように、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。1サブミクロン未満の液滴の大きさが有利である。
・非代謝性の油(例えば、軽油(light mineral oil))と少なくとも1つの界面活性剤(例えば、レシチン、Tween 80、またはSpan 80)の1サブミクロン未満の水中油型エマルジョン。以下のような添加剤が含まれる場合がある:QuilAサポニン、コレステロール、サポニン−親油性結合体(saponin−lipophile conjugate)(例えば、参考文献6に記載されている、グルクロン酸のカルボキシル基を介するデサシルサポニン(desacylsaponin)への脂肪族アミンの付加によって生産された、GPI−0100)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(dimethyidioctadecylammonium bromide)、および/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン。
・サポニン(例えば、QuilAまたはQS21)とステロール(例えば、コレステロール)がヘリックスミセル(helical micelles)として会合しているエマルジョン(WO2005/09718)。
・鉱油、非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性親水性界面活性剤を含むエマルジョン(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)(WO2006/113373)。
・鉱油、非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール、および非イオン性親油性界面活性剤を含むエマルジョン(例えば、エトキシル化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)(WO2006/11337)。
エマルジョンは、送達時に、その場で抗原と混合され得る。したがって、アジュバントと抗原は、使用時に最終的な処方物とするために用意された、パッケージされたワクチンまたは分けられたワクチンの中で別々に維持され得る。抗原は、一般的には、水性の形態であろう。その結果、ワクチンは、最終的に2つの液体の混合によって調製される。混合される2つの液体の容積比は様々であり得る(例えば、5:1から1:5)が、一般的には約1:1である。
アルミニウム塩アジュバント
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして知られているアジュバントを使用することができる。これらの名称は習慣的であり、存在する実際の化合物の正確な記述でもないが、便宜のためにのみ使用される。(例えば、Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995の第9章を参照のこと)。本発明では、アジュバントとして一般的に使用されている、「水酸化物」または「リン酸塩」アジュバントのうちのいずれかうを使用することができる。
「水酸化アルミニウム」として知られているアジュバントは、典型的なアルミニウムのオキシ水酸化物塩であり、これは通常は、少なくとも一部が結晶である。式AlO(OH)によって表すことができるアルミニウムのオキシ水酸化物は、特に、1070cm-1の吸収帯と、3090−3100cm-1の強い肩(strong shoulder)の存在によって、赤外(IR)分光法によって水酸化アルミニウムAl(OH)のような他のアルミニウム化合物と区別することができる[Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995の第9章]。水酸化アルミニウムアジュバントの結晶化の程度は、高さが半分である回折バンドの幅(width of the diffraction band at half height)(WHH)によって反映され、結晶粒子が少なければ少ないほど、結晶の大きさがより小さいことが原因で、より広いスペクトル線の広がりを示す。表面積は、WHHが大きくなるに伴って増大し、より高いWHH値を有するアジュバントが、より大きな抗原吸着能力を有することが明らかにされている。(例えば、透過型電子顕微鏡で見られるような)繊維状形態(fibrous morphology)は、水酸化アルミニウムアジュバントの典型である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは、通常は、約11であり、すなわち、アジュバント自体は、生理学的pHで正の表面電荷を有する。pH7.4では、Al+++1mgあたり1.8〜2.6mgのタンパク質の吸着能力が、水酸化アルミニウムアジュバントについて報告されている。
「リン酸アルミニウム」として知られているアジュバントは、通常は、アルミニウムのヒドロキシリン酸塩であり、これには、多くの場合、少量の硫酸塩(すなわち、アルミニウムヒドロキシホスフェートスルフェート(aluminium hydroxyphosphate sulfate))も含まれる。これらは沈殿によって得ることができ、沈殿の際の反応条件と濃度が、塩の中でのリン酸塩のヒドロキシルでの置換の程度に影響を与える。ヒドロキシリン酸塩は、一般的には、0.3から1.2のPO/Al分子比を有する。ヒドロキシリン酸塩は、ヒドロキシル基の存在によって正確なAlPOと区別することができる。例えば、3164cm−1のIRスペクトルのバンド(例えば、200℃に加熱した場合)は、構造上のヒドロキシルの存在を示す[Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach(Powell & Newman編)Plenum Press 1995の第9章]。
リン酸アルミニウムアジュバントのPO/Al3+モル比は、一般的には、0.3から1.2であり、好ましくは、0.8から1.2であり、より好ましくは、0.95+0.1である。リン酸アルミニウムは、特にヒドロキシリン酸塩については、一般的には不定形であろう。典型的なアジュバントは、0.84から0.92のPO/Al分子比を持つ不定形のアルミニウムのヒドロキシリン酸塩であり、これには、0.6mgのAl3+/mlが含まれる。リン酸アルミニウムは、一般的には粒子状であろう(例えば、透過型電子顕微鏡で見られるようなプレート様の形態)。任意の抗原の吸着後の粒子の典型的な直径は、0.5μm〜20μmの範囲(例えば、約5μm〜10μm)である。pH7.4で、Al+++1mgあたり0.7mg〜1.5mgタンパク質の吸着能力が、リン酸アルミニウムアジュバントについて報告されている。
リン酸アルミニウムの荷電ゼロ点(PZC)は、リン酸塩のヒドロキシルでの置換の程度に反比例し、この置換の程度は、沈殿により塩を調製するために使用される反応条件と反応物の濃度に応じて様々であり得る。PZCはまた、溶液中の遊離のリン酸塩イオンの濃度を変化させることによって(リン酸塩が多い=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝液のような緩衝液を添加することによって(PZCをさらに塩基性にする)変化させられる。本発明にしたがって使用されるリン酸アルミニウムは、一般的には、4.0から7.0、より好ましくは、5.0から6.5、例えば、約5.7のPZCを有するであろう。
本発明の組成物を調製するために使用されるアルミニウム塩の懸濁液には、緩衝液(例えば、リン酸塩またはヒスチジンまたはTris緩衝液)が含まれる場合があるが、これは必ずしも必要ではない。懸濁液は滅菌であり、かつ非発熱性であることが好ましい。懸濁液には、遊離の水性のリン酸塩イオンが含まれ得、例えば、1.0mMから20mMの間、好ましくは5mMから15mM、より好ましくは約10mMの濃度で存在し得る。懸濁液にはまた、塩化ナトリウムも含まれる場合がある。
本発明では、水酸化アルミニウムとリン酸アルミニウムの両方の混合物が使用され得る。この場合は、水酸化物よりもリン酸アルミニウムが多く存在し得、例えば、少なくとも2:1、例えば、>5:1、>6:1、>7:1、>8:1、>9:1などの重量比で存在し得る。
患者に投与される組成物中のAl+++の濃度は、10mg/ml未満、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどが好ましい。好ましい範囲は、0.3mg/mlから1mg/mlである。
本発明のキット
組成物に患者に送達される2つの成分(例えば、Env/Tat混合物とアジュバント)が含まれる場合は、これらは、製造の際に混合される場合があり、また、これらは、送達時にその場で混合される場合もある。したがって、本発明により、混合のために用意された様々な成分が含まれているキットが提供される。このキットにより、アジュバントと複合体を、使用するときまで別々に保つことができる。この構成は、水中油型エマルジョンアジュバントが使用される場合には特に有用である。
複数の成分はキットの中では互いに物理的に分離されており、この分離は様々な方法で行われ得る。例えば、2つの成分は2つの別々の容器(例えば、バイアル)の中に入れられえる。その後、2つのバイアルの内容物が、例えば、1つのバイアルの内容物を取り出して、これを他方のバイアルに添加することによって、あるいは、両方のバイアルの内容物を別々に取り出して、それらを第3の容器の中で混合することによって、混合され得る。
好ましい構成においては、キットの成分のうちの1つは注射器の中に存在し、そして他方の成分はバイアルのような容器の中に存在する。注射器は、混合のために第2の容器の中にその内容物を挿入するために(例えば、針とともに)使用され得、そして混合物は注射器を介して吸引され得る。混合された注射器の内容物は、その後、通常は新しい滅菌針を通じて患者に投与され得る。1つの成分を注射器の中にパッケージすることにより、患者への投与のために別の注射器を使用する必要がなくなる。
別の好ましい構成においては、キットの2つの成分は、一緒に、しかし、同じ注射器(例えば、WO2005/089837、WO00/07647、WO99/17820、EP−A−0520618、WO98/01174、米国特許第6,692,468号、同第5,971,953号、同第4,060,082号に開示されている注射器のような二重チャンバー型注射器(dual−chamber syringe))の中で分けられて保持される。注射器が(例えば、患者への投与の際に)作動させられると、2つのチャンバーの内容物が混合される。この構成では、使用時の別の混合工程は必要がなくなる。
キットの成分は、一般的には水性の形態であろう。いくつかの構成では、1つの成分(通常は、アジュバント成分ではなく抗原成分)は乾燥形態(例えば、凍結乾燥形態)であり、他の成分は水性形態である。2つの成分は、乾燥成分を再度活性化させ、患者への投与のための水性組成物を得るために混合され得る。凍結乾燥された成分は、通常は、注射器ではなくバイアルの中に配置されるであろう。乾燥された成分には、ラクトース、スクロース、またはマンニトールのような安定化剤、ならびにそれらの混合物(例えば、ラクトース/スクロース混合物、スクロース/マンニトール混合物など)が含まれる場合がある。1つの可能な構成では、予め注射器に充填された水性アジュバント成分と、バイアル中の凍結乾燥させられた抗原成分が使用される。
処置方法とワクチンの投与
本発明により、患者において免疫応答を惹起させる方法が提供される。この方法には、本発明の組成物を患者に投与する工程が含まれる。本発明の組成物は、ヒト患者への投与に特に適しているが、抗血清を惹起させるなどの研究目的のために他の哺乳動物に投与することもできる。
本発明によってはまた、医薬品として使用される本発明のキットあるいは組成物も提供される。
本発明によってはまた、患者において免疫応答を惹起させるための医薬品の製造における本発明のEnv/Tat混合物の使用も提供される。
本発明の組成物は様々な方法で投与され得る。最も好ましい免疫化経路は、注射(例えば、筋肉内、皮下、静脈内)によるが、他の利用可能な経路としては、鼻腔内、経口、皮内、経皮(transcutaneous)、経皮(transdermal)、肺などが挙げられるが、これらに限定されない。
処置は、単回投与スケジュールまたは複数回の投与スケジュールによって行われ得る。複数回の投与は、一次免疫スケジールおよび/または追加免疫スケジュールにおいて使用され得る。複数回の投与スケジュールでは、様々な用量が、同じ経路または異なる経路によって、例えば、非経口的感作(parenteral prime)と粘膜からの追加(mucosal boost)、粘膜からの感作と非経口的追加などによって投与され得る。2用量以上(通常は、2用量)の投与が一般的である。複数回の投与は、通常は、少なくとも1週間(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間など)の間隔を明けて投与されるであろう。
一般的記述
用語「含む(comprising)」には、「〜を含む(including)」、さらには「〜からなる(consisting)」が含まれる。例えば「Xを含む」は、Xのみからなるか、またはさらに別のものが含まれ得る(例えば、X+Y)。
用語「実質的に」は「完全に」を除外しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物にはYは全く含まれない場合がある。必要な場合には、用語「実質的に」は本発明の定義から除外され得る。
数値xに関する用語「約」は、x±10%を意味する。
他の場所に具体的に示されない限りは、2つ以上の成分を混合する工程を含むプロセスには、任意の特別な混合順序は必要ない。したがって、複数の成分は任意の順序で混合することができる。3つの成分が存在する場合は、2つの成分が一緒に組み合わせられ得、その後、この混合物が第3の成分と組み合わせられ得るなどである。
動物性の(特に、ウシの)材料が細胞の培養に使用される場合は、これらは、伝達性海綿状脳症(transmissible spongiform encaphalopathies、TSE)が含まれていない、特に、ウシ海綿状脳症(BSE)が含まれていない供給源から得られるべきである。全般的に、動物由来の材料が全体の中に含まれていない中で細胞を培養することが好ましい。
タンパク質または複合体が特定の標的に(例えば、CD4に、またはモノクローナル抗体に)「特異的に結合する」場合は、これは、通常は、対照タンパク質に対するよりも(例えば、CD3に対するよりも、または抗Rev抗体に対するよりも)少なくとも10倍大きい親和性でその標的に結合するであろう。特異的結合と非特異的結合は、標準的な技術によって、例えば、その相互作用に対する対照タンパク質の作用を調べることによって、用量応答性を調べることによってなどで区別することができる。
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーをいう。ポリマーは直鎖である場合も、また分岐鎖である場合もあり、これには、修飾されたアミノ酸が含まれる場合があり、そしてこれは、非アミノ酸成分によって断続的である場合もある。この用語にはまた、自然に、または介入(例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合のような任意の他の操作もしくは修飾)によって修飾されたアミノ酸ポリマーも含まれる。この定義にはまた、例えば、1つ以上のアミノ酸のアナログを含む(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)ポリペプチド、ならびに、当該分野で公知の他の修飾を含むポリペプチドも含まれる。ポリペプチドは、単鎖として存在することができ、また、会合した鎖として存在することもできる。本発明のポリペプチドは、自然にグリコシル化させることができ、また、自然には起こらないように(non−naturally)グリコシル化させることもできる(すなわち、ポリペプチドは、対応する自然界に存在しているポリペプチドにおいて見られるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する)。
本発明とともに使用されるEnvポリペプチドとTatポリペプチドは、多くの方法で、例えば、(完全にまたは一部が)化学合成によって、プロテアーゼを使用するより長いポリペプチドの消化によって、RNAからの翻訳によって、細胞培養物からの精製によって(例えば、組み換え発現によって)、生物自体から(例えば、細菌培養後、または患者から直接)などで調製することができる。<40アミノ酸の長さのペプチドの生産に好ましい方法としては、インビトロでの化学合成(Bodanszky(1993)Principles of Peptide Synthesis(ISBN:0387564314)、Fieldsら(1997)Meth Enzymol 289:Solid−Phase Peptide Synthesis.ISBN:0121821900)が挙げられる。tBocまたはFmoc(Chan & White(2000)Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis.ISBN:0199637245)化学に基づく方法のような固相ペプチド合成が特に好ましい。酵素合成(Kullmann(1987)Enzymatic Peptide Synthesis.ISBN:0849368413)もまた、一部で、または全体で使用され得る。化学合成の代替えとしては、生化学的合成が使用され得、例えば、ポリペプチドが翻訳によって生産され得る。これは、インビトロで行われる場合があり、またインビボで行われる場合もある。生物学的方法は、一般的には、L−アミノ酸をベースとするポリペプチドの生産に限定されるが、(例えば、アミノアシルtRNA分子の)翻訳機構の操作を使用して、D−アミノ酸(または、ヨードチロシン、またはメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなどのような他の非天然のアミノ酸)を導入することができる(Ibba(1996)Biotechnol Genet Eng Rev 13:197−216)。しかし、D−アミノ酸が含まれる場合は、化学合成が使用されることが好ましい。本発明のポリペプチドは、C末端および/またはN末端に共有結合による修飾を有する場合がある。
EnvポリペプチドとTatポリペプチドは様々な形態(例えば、天然の形態、融合体、グリコシル化形態、非グリコシル化形態、脂質化形態、非脂質化形態、リン酸化形態、非リン酸化形態、ミリストイル化形態、非ミリストイル化形態、単量体、多量体、粒子状、変性形態など)をとることができる。Envについては、オリゴマーであるグリコシル化ポリペプチドが好ましい。
EnvポリペプチドとTatポリペプチドは、精製された形態または実質的に精製された形態(すなわち、他のポリペプチドを実質的に含まない(例えば、自然界に存在しているポリペプチドを含まない))、特に、他のHIVまたは宿主細胞ポリペプチドを実質的に含まない実質的に精製された形態で提供されることが好ましい。一般的には、少なくとも約50%の純度(重量%)であり、通常は、少なくとも約90%の純度、すなわち、組成物のうちの約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば、5%以下)が他の発現されたポリペプチドに占められる。
全長のSF162株のEnv配列は以下のアミノ酸配列(配列番号38)を有する:
発現の目的のためには、リーダー(アミノ酸1〜27;配列番号47)は、tpa由来のリーダー配列(配列番号48、MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP)で置き換えることができる。
gp160配列はgp140形態に改変することができる(配列番号39):
これは、切断部位に5個のアミノ酸突然変異を含むようにさらに改変して、オリゴマーgp140を生じさせることができる。この配列(配列番号43)は「gp140mut7」として知られている:
配列番号39のV3ループは、中央の22マーが欠失させられており、可撓性の配列が挿入されている配列番号23で置き換えることができる(配列番号40;627マー):
配列番号40(「gp140dV3−22」)をコードする構築物を293T細胞の中で発現させ、精製することができる。タンパク質は、最初に、GNAレクチンを使用して精製され、その後、セラミックヒドロキシアパタイトカラム(CHAP)を使用して再度精製される。小規模精製と大規模精製が行われる。
V2ループが配列番号42(CSFKVGAGKLINC)によって置き換えられている配列番号40の改変型(「gp140ΔV2dv3−22」)は、同じ方法で調製される。その配列は配列番号41である:
このタンパク質は、上記と同じ様式で精製される。
等価なEnv誘導体はまた、株TV1についても作製される。
(実施例1)
HPLCを使用したgp140dV3−22タンパク質とgp140ΔV2dv3−22タンパク質の両方についての純度、オリゴマー化、およびCD4結合活性の確認の後に、BIACORE(商標)システムを使用してCD4結合活性とtat結合活性の両方をアッセイした。固定化されたCD4、固定化されたtat、または固定化されたtat−cys(なおもenvに結合するtatの突然変異体)(Ensoliら(2005)Microbes Infect 7:1392−9)を使用した結果を以下にまとめる:
このように、Envの三量体変異体は全て、CD4とtatポリペプチドの両方に結合した。単量体gp120は予想したとおりCD4に結合するが、tatに対する結合は観察されなかった。
BIACORE(商標)もまた、(i)CD4、(ii)中和抗体b12(これはgp120のCD4結合部位に結合する)(Zwickら(2003)J Virol 77:5863−76)、および(iii)非中和抗体4.8d(これはgp120上の立体構造エピトープに結合する)に対するSF162由来タンパク質の結合を試験するために使用することができる。解離定数(M−1×10−10)およびRmax値(4.8d & CD4を使用した)は以下のとおりである:
4.8dはCD4誘導性エピトープ抗体である。これは、一度envがCD4結合に起因するその立体構造の変化を受けると、低いレベルでenvだけを認識する。「x 4.8d up−reg」図は、4.8d抗体についての、CD4を伴わないenvについて観察されたシグナルの関数としての、CD4と混合されたenvについて観察されたBIAcoreシグナルを示す。
このように、Envに導入される修飾は、そのCD4結合特性を実質的に変化させることはない。さらに、モノクローナル抗体の結合は全ての変異体について適度なレベルで保たれた。
(実施例2)
SF162由来タンパク質(CD4を伴うもの、またはCD4を伴わないもの)についてのTatの結合もまた、Far−Westernアッセイによって試験される。結果を図1に示す。したがって、速度論の実験環境(kinetic experimental environment)(すなわち、BIAcore)において、および平衡の条件(すなわち、Far Western分析)下のいずれでも、三量体エンベロープとその変異体はtatに結合できる。単量体gp120は、一般的には、V2ループがgp120ΔV2の中と同様に欠失させられていない限りは、いずれの実験においてもtatポリタンパク質に結合する証拠は全く示されていない。
全体として、データは、EnvのΔV2形態とdV3−22形態に対するTatの結合の大きさに有意な差異がないことを示している。しかし、ΔV2三量体タンパク質と比較した場合には、dV3−22三量体Envについての解離速度のほうがより速い(すなわち、半減期がより短い)。
(実施例3)
別のV3ループ置換を設計することができる。配列番号44の配列番号25〜29とのアラインメントは、V3ループの中央部分は外側の隣接している領域よりも可変性が高いことを示唆している。突然変異体ループである配列番号15の中では、中央部分が欠失させられており、隣接領域は完全なまま保たれている。配列番号16および配列番号17の中では、N末端またはC末端隣接領域が欠失させられている。配列番号18〜21の中では、モノクローナル抗体447Dについての接触部位が除去されている。配列番号22の中では、ループが可撓性のGly−Ala−Gly配列で置き換えられている。配列番号23の中では、この可撓性の配列が、配列番号21ループの中にさらに挿入されている。配列番号24の中では、様々なV3ループがSF162の中に代わりに挿入されている。
欠失させられたペプチド配列(配列番号30〜37)を合成し、Tatに結合するそれらの能力を評価した。
(実施例4)
Monini,Paulら(参考文献)においては、生物学的活性のあるTatは、V3ループとの高親和性相互作用によってHIV Envに結合する。これには、Envオリゴマー化またはV2ループの欠失の際に誘導されるV3ループの露出および/または構造遷移が必要である。V1−V2ループの短縮は、初期感染の間に新たに発生するウイルス単離物の重要な特徴である。しかし、これは、中和に対してはるかに感度が高い(参考文献)。これらのデータは、これらの単離物が体液性免疫応答を高めることを遮断することにおけるTatの重要な役割を指摘している。さらに、EnvのV3ループのTatに対する結合は、V1−V2欠失または短縮によって増強される可能性もあるプロセスである、EnvのCCR5共受容体との相互作用と似ている。これは、Tat−Env複合体が、T細胞へのウイルスの侵入と感染(transmission)に、特に、粘膜組織中での感染の初期標的と見られる、CCR5を低く発現しているCD4+T細胞に影響を与え得ることを示している(Haaseのレビュー(Haase review)、Roedererの論文を参照のこと)。
本発明が単に例示のために記載されており、改変が、本発明の範囲および精神に留まりつつも行われ得ることが理解されるであろう。本出願の中で開示される参考文献については、それらの内容はそれらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。

Claims (20)

  1. (i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV Envポリペプチドの混合物であって、ここでは、該Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有している、混合物。
  2. ポリペプチド(i)と(ii)が複合体を形成する、請求項1に記載の混合物。
  3. ポリペプチド(i)と(ii)が互いに共有結合される、請求項2に記載の混合物。
  4. (i)HIV Tatポリペプチドを(ii)HIV Envポリペプチドと混合する工程を含む、請求項1に記載の混合物を調製するためのプロセスであって、該Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有している、プロセス。
  5. HIV EnvポリペプチドをHIV Tatポリペプチドと組み合わせる工程を含み、該Envポリペプチドは、そのV3ループの中に1つ以上の突然変異を有している、プロセス。
  6. 前記EnvポリペプチドとTatポリペプチドが複合体を形成したかどうかを決定するさらなる工程を含む、請求項5に記載のプロセス。
  7. 突然変異体V3ループ配列を有しているHIV Envポリペプチドであって、該突然変異体の配列が、配列番号15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される、HIV Envポリペプチド。
  8. 前記Envポリペプチドに、V3ループの外側の1つ以上の突然変異(単数または複数)が含まれている、請求項1〜7のいずれかに記載の混合物、プロセス、またはポリペプチド。
  9. 前記Envポリペプチドが、野生型膜貫通ドメインと細胞質尾部を欠いている、請求項1〜8のいずれかに記載の混合物、プロセス、またはポリペプチド。
  10. 前記Envポリペプチドに、V2ループの中の1つ以上の欠失(単数または複数)が含まれている、請求項1〜9のいずれかに記載の混合物、プロセス、またはポリペプチド。
  11. 前記Envポリペプチドが、配列番号15〜24からなる群より選択されるアミノ酸配列を持つV3ループを有している、請求項1〜10のいずれかに記載の混合物、プロセス、またはポリペプチド。
  12. 前記Envポリペプチドが、アミノ酸配列である配列番号29を持つV3ループを有している、請求項1〜11のいずれかに記載の混合物、プロセス、またはポリペプチド。
  13. (i)HIV Tatポリペプチドと(ii)HIV EnvポリペプチドのV3ループの断片を含むポリペプチドとの混合物であって、該(ii)のポリペプチドは100アミノ酸以下であり、HIV EnvポリペプチドのV3ループに由来する少なくとも5個の連続するアミノ酸を含む、混合物。
  14. 前記(ii)のポリペプチドが≦30アミノ酸の長さである、請求項13に記載の混合物。
  15. 前記(ii)のポリペプチドが環状である、請求項13または14に記載の混合物。
  16. 前記(ii)の断片が配列番号30〜37からなる群より選択されるアミノ酸配列を有している、請求項13〜15のいずれか1項に記載の混合物。
  17. 前記Tatポリペプチドがアミノ酸配列である配列番号12を有している、請求項1〜16のいずれかに記載の混合物、プロセス、またはポリペプチド。
  18. 請求項1〜3または8〜17のいずれか1項に記載の混合物を含む薬学的組成物。
  19. ワクチンアジュバントが含まれている、請求項18に記載の薬学的組成物。
  20. 請求項18または請求項19に記載の組成物を患者に投与する工程が含まれる、患者において免疫応答を惹起させる方法。
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