JP2010536812A - 睡眠障害の処置 - Google Patents

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Abstract

種々のタイプの不眠症を処置するための、7−クロロ−3−(5−ジメチルアミノメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−5メチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾール[1,5,−a][1,4]ベンゾジアゼピン−6−オンまたはその薬学的に許容される塩の使用。

Description

発明の分野
不眠症は、一般医療における最も多い訴えの一つである。約10%ないし15%の成人が慢性不眠症を有し、さらに25%ないし35%が一過性または短期の不眠症を有する。慢性不眠症は典型的に、3週間を超える症状の発現が認められる。一過性不眠症は、1ないし数日間持続し、1週間未満の不眠症である。短期不眠症は、1ないし3週間の不眠症である(Roth, Int. J. Clin. Pract. 2001; (Suppl.):3−8)。
一般的に、Russell P. Rosenberg “Sleep Maintenance Insomnia: Strengths and Weaknesses of Current Pharmacologic Therapies,” Annals of Clinical Psychiatry, 18[1]:49−56, 2006(参照により本明細書中に包含される)に詳細に記載される通り、不眠症を有する患者はまた、彼らの睡眠困難が最も頻繁に起こる時間に従って分類される。不眠症の3つの認識されている分類は、(1)入眠障害(入眠時の困難性);(2)持続睡眠障害型不眠症(安眠の困難性);および(3)終期不眠症(睡眠に戻ることが不可能であることに加えた早朝覚醒)である。終期不眠症は、しばしば、起床(sleep offset)不眠症とも称される。これらの症状は、慢性不眠症を有する多くの患者でそうであるように、単独または組み合わせて起こり得て、それはいくつかの異なる病因からもたらされ得る。患者はしばしば、同時にいくつかの睡眠に関する訴えを有し、睡眠潜時の増大、睡眠中の覚醒時間の増加および全睡眠時間の減少を含む、あらゆる睡眠障害を経験する。
不眠症の処置に用いられている種々の医薬が存在する。不眠治療薬の初期のタイプは、古典的ベンゾジアゼピンとして公知となっているものである。これらのベンゾジアゼピンは、GABA受容体と関連するベンゾジアゼピン結合部位と相互作用することによりそれらの薬理学的作用を発揮する。GABA受容体はリガンド依存性イオンチャネルであり、機能的受容体は、異なるサブユニットタンパク質の組み合わせで構成される。サブユニットは、アルファ(α)、ベータ(β)およびガンマ(γ)サブユニットの3つの主要クラスに分けられる。ベンゾジアゼピン結合部位を有するGABA受容体は、α、α、αまたはαサブユニットのいずれかをβおよびγサブユニットと組み合わせて形成される(Paul J. Whiting, DDT Vol. 8, No. 10, May 2003)。
ベンゾジアゼピン部位で作用する薬剤の重要なアロステリック調節作用は、早期に認識され、異なる受容体サブタイプでの活性の分布は、激しい薬理学的発見分野であった。ベンゾジアゼピン部位で作用するアゴニストは、精神安定作用、鎮静作用、および催眠作用を示すことが知られている。しかしながら、GABA受容体ベンゾジアゼピン部位で完全アゴニストであると見なされるいくつかの古典的ベンゾジアゼピンは、一般的に、10−40時間の範囲のそれらの比較的長時間の半減期を原因とすると考えられる睡眠を誘導し、かつ維持する作用があると見なされるが、それらは、望ましくない残留作用を生じることが発見された。これらには、認知障害、過剰な鎮静作用、運動失調、エタノール作用の増強ならびに耐性および薬剤依存性の傾向が含まれ得る。古典的ベンゾジアゼピンの特定の問題は、反跳不眠症、薬剤中止により出現する情緒不安および睡眠障害の現れである。さらに、これらの化合物により誘導される睡眠の質は、非生理的である。古典的ベンゾジアゼピンは、典型的に、徐波睡眠(SWS)、レム睡眠(REM)を減少させ、一般的に、睡眠構築(sleep architecture)に悪影響を与える。これらの望ましくない副作用の理由の1つは、上記の古典的ベンゾジアゼピンの比較的長時間の半減期と関係すると見なされた。
これらの問題を克服するために、より短時間の半減期を有する薬剤が探索されている。かかる薬剤の例には、GABA受容体ベンゾジアゼピン部位で完全アゴニストとして作用もするゾルピデムおよびザレプロンのようないわゆる非ベンゾジアゼピンが含まれる。しかしながら、これらの新規薬剤は一般的に、入眠までの時間の減少(すなわち、睡眠潜時の減少)に有効であるが、睡眠維持の改善、ならびに終期不眠症の処置には効果が低いことが見出された。
睡眠維持の困難性は、睡眠ポリグラフ計(PSG)を用いて定量化され得る。PSGによる睡眠維持の困難性を定量するとき、入眠後の覚醒(WASO)および覚醒回数(NAW)は、最も常用されるパラメーターである。NAWは、持続的な睡眠の開始後に生じる少なくとも1分間継続する覚醒の回数のみを表すが、WASOは、睡眠維持のロバストな測定であって、ベッド上で一定の8時間をかけて測定される持続的な睡眠の開始後の覚醒に費やした全時間を表す(少なくとも1回の覚醒後に睡眠を失った全時間を表す)。故に、人々は、夜間に一度だけ(NAW)覚醒するが、覚醒して3時間を費やし得て(WASO)、そのため、後者の測定が、障害のレベルをより厳密に示す。
睡眠維持の困難性は、医学的および精神的障害を有する患者、ならびに原発性不眠症を有する患者において一般的であり、ある人口集団において入眠の問題よりも高頻度で起こる。しかしながら、現在用いられている医薬は、それが睡眠維持の問題に安全かつ効果的に取り組むことに帰着するとき、不十分であることが広く認識される。
従来既知の不眠治療剤が有するさらなる問題は、高齢者(少なくとも65歳)に関係する。不眠症の高齢者人口は、重要かつ対応の不十分な患者人口を示す。睡眠維持および終期不眠症は、より若い患者人口と比較して高齢の人口でより多く見られる(McCall et al. 2005; National Sleep Foundation, Sleep in America Poll 2005)。不眠症のための多くの既存の薬剤の代謝は、年齢によって顕著な変化を示し、故に、高齢の患者用に投薬量の調節が必要とされ得る(McCall et al 2005)。ゾルピデム(Ambien(登録商標))および放出調節型ゾルピデム(zolpidem−MR;mbien CR(登録商標))の場合、高齢者(65歳以上)用に指示される用量は、高齢者で暴露が増大するため、高齢ではない成人(18−64)の半分量である。エスゾピクソン(eszopiclone(Lunesta(登録商標)))の場合、その半減期が高齢ではない成人における6時間から高齢者における9時間へ増加し、排出が延長される。かかる半減期の増加は、高齢者における反復投与後の蓄積および持ち越し効果(carry−over effect)の可能性をもたらす。さらに、年齢によるこれらの代謝変化は漸進的であり、個人間で変化する。故に、年齢による変化に感受性である代謝を受ける薬剤の適当な用量を選択することは、より困難である。
発明の概要
本発明は、それぞれ一時的、短期、慢性、原発性および続発性不眠症と関係し得る持続障害型不眠症および/または終期不眠症の効果的処置方法を提供する。具体的には、本発明は、入眠後の覚醒(WASO)の減少方法、全睡眠時間(TST)の増加方法、特に夜間の後半の全覚醒時間の減少方法、および/または早朝覚醒の減少方法を提供する。また、本発明は、高齢者の日中機能を改善する。これらの利点の1つ以上は、睡眠潜時および/または持続的な睡眠が始まるまでの時間(latency to persistent sleep)を減少することで達成され得て、故に、入眠障害を効果的に処置し得る。従って、本発明は、高齢者における不眠症を含む種々の不眠症を処置するために有効な化合物を提供する。
該化合物は、以下の式(II)で示される7−クロロ−3−(5−ジメチルアミノメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾ[1,5−a][1,4]ベンゾジアゼピン−6−オン、またはその薬学的に許容される塩である。
Figure 2010536812
特に、一局面において、本発明は、例えば、入眠後の覚醒(WASO)を減少させ、全睡眠時間(TST)を増加させ、特に夜間の後半の全覚醒時間を減少させ、そして/または早朝覚醒を減少させることより、それぞれ一時的、短期、慢性、原発性および続発性不眠症と関係し得る持続障害型不眠症および/または終期不眠症、ならびに入眠障害のいずれかの処置のための医薬の製造における、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
好ましくは、本発明は、医薬の投与後、約4ないし約8時間、より好ましくは約5ないし約8時間、さらにより好ましくは約6ないし約8時間での全睡眠時間を増大するための医薬の製造における、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。この時間の開始および終了は、有効量の医薬の投与、または有効量の医薬の投与が完了すると考えられる一部の量の投与から測定される。
好ましくは、本発明は、医薬の投与後、約4ないし約8時間、より好ましくは約5ないし約8時間、さらにより好ましくは約6ないし約8時間での入眠後の覚醒を減少するための医薬の製造における、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。この時間の開始および終了は、有効量の医薬の投与、または有効量の医薬の投与が完了すると考えられる一部の量の投与から測定される。
好ましくは、処置のために投与される式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約0.5mgないし約5mgである。該処置量は、約1.0mgないし約4.5mg、約1.5mgないし約4mg、約2mgないし約3.5mg、約2.5mgないし約3mg、または上記の全ての量の何れかの範囲内であり得る。例えば、処置量は、約0.5mgまたは約1.5mgないし約5mg、約4.5mg、約4mg、約3.5mg、約3mgまたは約2.5mgである。より好ましくは、該量は、約1mgないし約3mg、さらにより好ましくは約1.5mgないし約2.5mgである。
従って、本発明の処置に特に好ましい医薬組成物は、約0.5mgないし約5mgの式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。より好ましくは、該医薬組成物は、0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mgまたは5mgの式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、単位投与量形態であり得る。
入眠障害、持続障害型不眠症および/または終期不眠症は、例えば、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することによって、入眠後の覚醒(WASO)を減少し、全睡眠時間(TST)を増大し、特に夜間後半の全覚醒時間を減少し、そして/または早朝覚醒を減少することにより処置され得て、約17.5ng・h/mLないし約600ng・h/mL、約25ng・h/mLないし約500ng・h/mL、または約25ng・h/mLないし約400ng・h/mLのAUCを達成する。例えば、該AUCは、約52.5ng・h/mLないし約360ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約300ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約240ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約200ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約150ng・h/mL、約105ng・h/mLないし約120ng・h/mL、または上記の全てのAUC値の範囲内の何れかであり得る。好ましくは、該AUCは約75ng・h/mLないし約240ng・h/mLである。
処置はまた、約2.5ng/mLないし約125ng/mL、約7.5ng/mLないし約75ng/mL、約7.5ng/mLないし約62.5ng/mL、約7.5ng/mLないし約37.5ng/mL、約10ng/mLないし約50ng/mL、約12.5ng/mLないし約45ng/mL、約15ng/mLないし約40ng/mLのCmax、または上記の全てのCmax値の範囲内の何れかを達成するために行われる。好ましくは、該Cmaxは、約15ng/mLないし約45ng/mLである。
本発明において処置されるべき対象は、ヒトである。
本明細書で用いる“成人”とは、少なくとも18歳のヒトである。“高齢ではない”は、18ないし64歳のヒト成人である。“高齢者”は、少なくとも65歳のヒト成人である。
本明細書で用いる“原発性不眠症”は、医薬、精神または環境的原因に起因しない不眠症である。原発性不眠症の診断基準は、参照により本明細書中に包含される、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition (DSM−IV)に見出され得る。
本明細書で用いる“続発性不眠症”は、特定の医薬、精神または環境条件が、睡眠問題の原因と同定され得る不眠症である。
一時的不眠症は、1日ないし数日間持続し、かつ一週間未満の不眠症である。短期不眠症は、1ないし3週間の不眠症である。慢性不眠症は典型的に、3週間を超える症状を伴うと認められる(Roth, Int. J. Clin. Pract. 2001; (Suppl.):3−8)。
睡眠開始障害(sleep onset insomnia)または入眠障害(onset insomnia)は、入眠の困難性により特徴付けられる不眠症である。持続障害型不眠症は、安眠の困難性により特徴付けられる不眠症である。終期(terminal insomnia)または起床不眠症(offset insomnia)は、睡眠に戻ることが不可能であることに加えた早朝覚醒により特徴付けられる不眠症である。
本明細書で用いる、持続的な睡眠が始まるまでの時間(LPS)は、“消灯”から、10分間の中断なしの睡眠が始まるまでの時間と定義する。
持続的な睡眠は、入眠開始後10分間の中断なしの睡眠と定義される。
入眠後の覚醒(WASO)は、をベッド上で一定の8時間をかけて測定される持続的な睡眠の開始後の覚醒に費やした全時間(少なくとも1回の覚醒後に睡眠を失った全時間)と定義する。“sWASO”は、個々に報告される主観的WASOを意味する。
全起床時間(TWT)は、一定時間をかけて測定される覚醒に費やした総時間と定義される。
覚醒回数(NAW)は、覚醒状態への復帰(持続的な睡眠の開始後に少なくとも1分間継続する覚醒の回数)と定義する。“sNAW”は、個々に報告される主観的NAWを意味する。
全睡眠時間(TST)は、一定の8時間をかけて測定される全睡眠時間と定義する。本明細書で示す通り、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与により達成されるTSTの増大は、入眠までの時間の減少に依存しない。“sTST”は、個々に報告される主観的TSTを意味する。
睡眠効率指数は、ベッド上での全時間に対するTSTの比であり、すなわち睡眠に費やした時間の割合である。ベッド上での全時間は、実験目的では一般的に8時間である。
睡眠構築は、睡眠中の睡眠の段階の変化を意味する。典型的に、健常なヒトにおいて、睡眠ステージは、それぞれ約90ないし約120分継続する周期で生じる。かかる4ないし5周期が、典型的に一晩の睡眠中に生じる。夜間の前半中、健常な個体は典型的に、覚醒状態から短時間にステージIの睡眠に入り、その後ステージII、IIIおよびIVを経る。ステージIIおよびIIIを繰り返し、その後、レム睡眠(REM)が初めて観察される。夜間の後半中、ステージIIおよびREM睡眠が交互に起こる。
徐波睡眠(SWS)が、ステージIIIおよびIVの睡眠である。それは、高振幅デルタ脳波(EEG)波長(1.5ないし3Hz)を含むEEGに移行することにより特徴付けられる。
本明細書で用いるAUCは、0時間から無限時間までの時間曲線に対する薬剤血漿濃度下の面積である。Cmaxは、0時間から無限時間までの観察される薬剤の最大血漿濃度である。
図面の簡単な説明
図1は、アフリカツメガエル卵母細胞で発現されるαβγ、αβγ、αβγおよびαβγGABA受容体で、式(II)の化合物によってGABA(EC3−5)により誘発される電流の濃度依存的刺激を示すプロットである。データは平均±SEMを示す。 図2は、アフリカツメガエル卵母細胞で発現されるαβγ、αβγ、αβγおよびαβγGABA受容体で、式(II)の化合物によってGABA(EC3−5)により誘発される電流の濃度依存的刺激を示すプロットである。刺激は、卵母細胞の同じバッチ中で1μMジアゼパムを用いて観察されたものを標準とする。データは平均±SEMを示す。 図3は、アフリカツメガエル卵母細胞で発現されるαβγ、αβγ、αβγおよびαβγGABA受容体で、ゾルピデムによってGABA(EC3−5)により誘発される電流の濃度依存的刺激を示すプロットである。データは平均±SEMを示す。 図4は、アフリカツメガエル卵母細胞で発現されるαβγ、αβγ、αβγおよびαβγGABA受容体で、ゾルピデムによってGABA(EC3−5)により誘発される電流の濃度依存的刺激を示すプロットである。刺激は、卵母細胞の同じバッチ中で1μMジアゼパムを用いて観察されたものを標準とする。データは平均±SEMを示す。
図5は、実施例3で用いた実験デザインを示す。 図6は、実施例3におけるLPSを示すチャートである。 図7は、実施例3におけるTSTを示すチャートである。 図8は、実施例3におけるWASOを示すチャートである。 図9は、実施例3における夜間の前半および後半のWASOを示すチャートである。 図10は、実施例3におけるWASOの減少割合(対プラセボ)を示すチャートである。 図11は、実施例3における夜間の各時間のTWTを示すチャートである。 図12は、実施例3における患者によって報告された睡眠の質を示すチャートである。 図13は、実施例3における患者によって報告された睡眠の質を示すチャートである。
図14は、実施例3による睡眠構築を示すチャートである。 図15は、実施例3による患者によって報告された残留鎮静作用を示すチャートである。 図16は、高齢ではない成人および高齢者の両方における式(II)の化合物(遊離塩基)の例示的薬物動態学的(PK)プロファイルを示すチャートである。非高齢者(○)および高齢男性(□)における式(II)の化合物(遊離塩基)、ならびに非高齢成人(●)および高齢者(■)におけるM1(式(II)の化合物(遊離塩基)の活性代謝物)の平均用量調節血漿濃度である。 図17は、実施例4で用いた実験デザインを示す。 図18は、実施例4における、PSG誘導性TST(夜1、6および7の平均)を示すチャートである。 図19は、実施例4におけるPSG誘導性LPSを示すチャートである。 図20は、実施例4におけるWASO(一晩、すなわち8時間かけた)を示すチャートである。
図21は、実施例4における、夜間の後半(“消灯”後、5−8時間)のWASOを示すチャートである。 図22は、実施例4における経時的TWT時間を示すチャートである。 図23は、実施例4における、睡眠潜時反復検査(MSLT)を用いた、試験した全ての時間点(起床後2、4、6、8および10時間)での平均睡眠潜時を示すチャートである。 図24は、実施例4における、良好/非常に良好な睡眠の質の調整された確率に基づく主観的な睡眠の質を示すチャートである。 図25は、実施例4の実験での一晩の対象によって報告された睡眠の質を示す。 図26は、実施例4における、主観的(対象報告)睡眠潜時(すべて7晩にわたる調整された平均睡眠潜時)を示すチャートである。 図27は、実施例4における、主観的(対象報告)TST(すべて7晩にわたる調整された平均sTST)を示すチャートである。 図28は、実施例4における、主観的(対象報告)WASO(sWASO)(すべて7晩にわたる投与の平均sWASO)を示すチャートである。 図29は、実施例4における、患者−報告された残留作用についての累加調整された確率を示す。
発明の詳細な説明
不眠症の処置における主な課題の1つは、迅速に睡眠を誘導し、個人の継続した睡眠を補助し、そして不快感での目覚めよりも爽快な目覚めを可能にする薬剤を開発することである。さらに、高齢者に関しては、加齢により大きな影響を受けない代謝を有する薬剤を開発することが、さらなる課題である。
本発明は、これらの課題の1つまたは両方に取り組む。特に、本発明は、入眠障害、持続障害型不眠症および/または終期不眠症を処置するための、それを必要とするヒトにおいて、例えば入眠後の覚醒(WASO)を減少させ、全睡眠時間(TST)を増加させ、特に夜間後半の全覚醒時間(TWT)を減少させ、そして/または早朝覚醒を減少することにより処置するための医薬の製造を目的とした、式(II)
Figure 2010536812

の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
有効量の式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、処置を必要とする患者に投与される。
式(II)の化合物は、参照により本明細書中に包含される米国特許第6,391,873号に記載の方法に従い製造され得る。それは、急性および慢性不安障害を処置するために有用であることが開示されている。
米国特許第5,665,718号に開示の通り、このタイプの化合物は、非常に迅速に作用するが、比較的短時間しか持続しない鎮静作用を示すと考えられる。従って、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、不眠治療薬に対して他の成人と異なって反応すると一般的に予期される高齢者ではなおさら、持続障害型不眠症および終期不眠症の処置に有益であると予期され得ない。
にもかかわらず、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、驚くことに、投与量が顕著に少ない、約0.5mgないし約5mg、特に約1.5mgないし約2.5mg量であったときでさえ、高齢者を含むヒトにおける入眠障害のみではなく、持続障害型不眠症および終期不眠症の処置に有効であることが見出された。これらの結果の驚くべき性質は、式(II)の化合物が、睡眠維持の有効性を欠くことが発見された比較的短い半減期を有する常用の不眠治療薬と同様の、約3−4時間の比較的短い半減期を有するという発見によりさらに支持される。種々のタイプの不眠症の処置に対する式(II)の化合物の効果は、投与量が約5mgを越えるとき改善が見られず、そして残留鎮静作用は、高齢ではない成人においてより高用量で見られた。ゾルピデム、トラゾドンおよびザレプロンのような常用の不眠治療剤は、投与量が、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩のすくなくとも2倍量であるときでさえ、持続障害型不眠症および終期不眠症の処置により効果が弱いことが見出された。さらに、常用の不眠治療薬は、高齢者において、過剰に日中の眠気を悪化させる過剰な残留鎮静作用を生じる傾向があり、高齢者は夜間の睡眠を欠くために既に経験している傾向がある。
式(II)の化合物の薬学的に許容される塩は、当業者に公知の標準的技術により製造され得る。適当な薬学的に許容される塩は、無機または有機酸との塩のような酸付加塩である。これらの塩類の例は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などである。
式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、ベンゾジアゼピン部位を介するGABA受容体の正のアロステリック調節によりその鎮静作用を達成する。しかしながら、ベンゾジアゼピン部位に作用する不眠症の処置のための常用薬とは異なり、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、部分アゴニストであり、すなわち、それはGABA受容体のより低い最大増強作用を生じる。故に、部分アゴニストでも、持続障害型不眠症および終期不眠症の処置に用いられ得ることが、予想外に発見された。さらに驚くべきことに、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、他の成人に必要とされる同じ投与量の範囲内で高齢者の不眠症の処置に用いられ得て、日中の眠気を有する高齢者に改善された日中機能を可能とすることが見出された。
GABA(EC3−5)により誘発されるアロステリックな刺激電流に対する能力は、ラットGABA受容体のサブユニット組成物αβγ、αβγ、αβγおよびαβγにおいて、式(II)の化合物、ゾルピデムおよびジアゼパムについて決定された。7−クロロ−3−(5−ジメチルアミノメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−5−メチル−4,5−ジヒドロ−イミダゾール[1,5,−a][1,4]ベンゾジアゼピン−6−オンが、式(II):
Figure 2010536812

の化合物の効果を試験するために用いられた。
同様の方法は、他のGABA受容体サブユニット特異的基質の調査に関して選択された(例えば、Baur et al., 2005; Mol. Pharmacol. 68, 787−792)。
アフリカツメガエル卵母細胞における発現
卵胞を含む卵巣葉(Lobes of the ovary)を、メスアフリカツメガエルから外科的方法で得た。卵胞を、白金ループを用いて選択した。1:1:5のα:β:γ比(3.3−10nM α(x=1,2,3,5);3.3−10nM β;16.7−50nM γ)(Boileau et al., 2002; Neuropharmacology 43, 695−700)のcRNA溶液50nLを、アフリカツメガエルにマイクロインジェクションした。マイクロインジェクション後数時間、卵胞を、コラゲナーゼ/高張ショック法(hypertonic shock procedure)(Sigel, 1987; J. Physiol.(Land) 386, 73−90)により、卵胞層および接着結合組織から遊離させた。卵母細胞を、修飾バース溶液(88mM NaCl、1mM KCl、2.4mM NaHCO、10mM Hepes−NaOH(pH7.5)、0.82mM MgSOx7HO、0.34mM Ca(NOx4HO、0.41mM CaClx2HO、100U ペニシリン/mL、100μgストレプトマイシン/mL、滅菌濾過)中で測定まで(1−4日間)、18℃の一定温度で維持した。
電気生理学的実験
電流は、自家製増幅器をxy−レコーダーと併用使用して測定したか、またはMacLab/200(AD装置)を用いてデジタル化し、コンピューターに貯蔵した。アフリカツメガエル卵母細胞を、−80mVで2電極電圧固定法(約0.8MΩの電極抵抗)を用いて電圧固定した。培地は、90mM NaCl、1mM KCl、1mM MgCl、1mM CaCl、10mM Na−Hepes(pH7.4)および0.5%DMSOを含んだ。
GABAは、単独で、または他の薬剤と併用して20−50秒間適用され、4分間の洗浄により、実験的に決定された脱感作から完全回復された。かん流溶液(6mL/分)を、1.35mmの内径を有するガラスキャピラリーを通して適用し、その口は、卵母細胞の表面から約0.4mmに位置した。本発明者らの条件下での溶液変更の速度は、0.5秒未満以内に概算70%であった(Sigel et al., 1990; Neuron 5, 703−711)。かん流システム全体およびアッセイチャンバーを、薬剤適用の間にDMSOで洗浄した。
データ処理
データは、データが平均±SEMで示されることが明確である図を除いて、平均±SDで示す。電流刺激を、以下の式:刺激(%)=((I(GABA+モジュレーター)−I(GABA))/I(GABA))x100%{式中、Iは、電流振幅である}で計算した。示されるとき、刺激は、1μMジアゼパムによる刺激(100%)に対して標準化された。図1−4を得るため、所定のサブユニット組合せで、所定の濃度のモジュレーターで得られた電流刺激の値を平均化した。データ点を、式:刺激=有効性/(1+(効力/モジュレーターの濃度))に合わせた。表に示される値(まとめ)は、個々の曲線に合わせ、その後、有効性および効力を平均化して得た。
結果
式(II)の化合物
GABA(EC3−5)を、電流応答が安定するまでの数回、αβγGABA受容体を発現する卵母細胞に適用した。GABA(EC3−5)は、高濃度のGABAに対する最大応答の3−5%である応答を生じる、GABAの有効濃度を意味する。そのような低濃度のGABAが、正のアロステリックモジュレーターの増強効果をより観察するために選択される。
その後、GABAを、累積濃度応答曲線を作成するために0.3nMないし3,000nMの種々の濃度の式(II)の化合物と組み合わせて適用した。これは、図1および2に示されるGABA応答の濃度依存的増強をもたらした。卵母細胞の各バッチにおいて、1μMジアゼパムによる刺激を、100%に平均化および定義された刺激の範囲で、5つの卵母細胞で決定した。示すとき、卵母細胞の各バッチにおける式(II)の化合物による刺激を、対応するバッチにおけるこの値の割合として示した。
濃度応答曲線を、上記の最適濃度範囲を確立後に、αβγ、αβγ、またはαβγを発現する卵母細胞でも行った。式(II)の化合物は、正のアロステリックモジュレーターの一部として行われた。<100nMの濃度で、式(II)の化合物は、αβγ、αβγ、またはαβγと比較して、αβγGABA受容体に優位性を示した。図1は、1μMジアゼパムによる刺激(100%)に標準化後、上記および図2のαβγ、αβγ、αβγおよびαβγでGABAにより誘発された電流の用量依存的刺激を示す。式(II)の化合物の効果をまとめた個々の曲線の平均データは、以下の非標準化および標準化刺激を示す
Figure 2010536812
ゾルピデム
GABA(EC3−5)を、電流応答が安定するまでに数回、αβγGABA受容体を発現する卵母細胞に適用した。その後、GABAを、1ないし10,000nMの種々の濃度のゾルピデムと組み合わせて適用した。濃度応答曲線を、同じバッチの卵母細胞で2回、独立したバッチの卵母細胞で2回、行った。
卵母細胞の各バッチにおいて、1μMジアゼパムによる刺激を、100%に平均化および定義された刺激の範囲で、5つの卵母細胞で決定した。示すとき、卵母細胞の各バッチにおけるゾルピデムによる刺激を、対応するバッチにおけるこの値の割合として示した。
濃度応答曲線を、αβγ、αβγ、またはαβγを発現する卵母細胞でも行った。予期した通り、ゾルピデムは、αβγ、αβγおよびαβγと比較して、αβγGABA受容体により高い親和性を示した。図3は、1μMジアゼパムによる刺激(100%)に標準化後、上記および図4のαβγ、αβγ、αβγおよびαβγでGABAにより誘発された電流の用量依存的刺激を示す。定性的に同様のデータが、既報であった(Sanna et al. 2002; Eur. J. Pharmacol. 451, 103−110)。ゾルピデムの効果をまとめた個々の曲線の平均データは、以下の非標準化および標準化刺激を示す
Figure 2010536812
ジアゼパム
ジアゼパムによる電流刺激を、以下の通り、各バッチの卵母細胞で決定した。GABA(EC3−5)を、安定した応答が得られるまで適用した。その後、GABAを、1μMジアゼパムと組み合わせて適用した。異なるバッチの卵母細胞における同じサブユニット組合せでの刺激は、それぞれの場合に統計的に異なっていた。αβγでの1μMジアゼパムによる刺激は、2つの異なるバッチの卵母細胞において223±28%(n=5)および178±20%(n=5)に達した。αβγでの刺激は、3つの異なるバッチの卵母細胞において264±61%(n=5)、280±71%(n=5)および318±62%(n=5)に達した。αβγでの刺激は、2つの異なるバッチの卵母細胞において417±85%(n=5)および417±144%(n=5)に達した。αβγでの刺激は、2つの異なるバッチの卵母細胞において237±97%(n=5)および160±4%(n=5)に達した。
ゾルピデムについて得られた結果は、以前の実験においてSanna et al 2002(上記参照)により成された結果と比較され、αβγGABA受容体でのジアゼパムと比較して215%の有効性を示す。故に、ゾルピデムは、高い内因性活性を有する正のアロステリックモジュレーターとして、すなわち完全なアゴニストとして作用する。式(II)の化合物は、より低い内因性活性を示し、すなわち部分アゴニストとして作用する。
式(II)の化合物の低い内因性活性は、GABA受容体によって仲介される応答の増強作用が、高濃度の式(II)の化合物で達成され得る高レベルの受容体占有であっても制限されることを意味する。PET研究は、ゾルピデム(20mg)が、ヒトにおいて約20%の受容体占有を生じ(Abadie et al., European Journal of Pharmacology, 295 (1996), 35−44)、すなわち、臨床用量(10mg)が、用量応答曲線の急な変曲点であることを示す。それにもかかわらず、式(II)の化合物は、入眠および睡眠維持の両方に非常に効果的であるように十分なGABA受容体の増強をもたらす。より高用量での過剰増強作用は制限される。
個々の受容体レベルで生じるより低い刺激は、有利であると考えられる。そのような低い活性のアゴニストによって生じるGABA応答の最大増強が、その内因性活性により制限されるため、GABA応答のさらなる増強は、ある血漿濃度を超えて達成されない。臨床において、GABA受容体介在応答の最大増強におけるそのような制限は、血漿濃度の増大に伴う過剰増強を避ける有利な能力を提供する。
GABA受容体ベンゾジアゼピン部位での部分アゴニスト活性の結果として、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩はまた、概して睡眠構築を保つことにより、より安静な、かつ改善された睡眠の質を提供する。完全アゴニストとして作用する古典的ベンゾジアゼピンは、典型的にSWSを低下させ、一般的に睡眠構築に悪影響を与える。副作用を最小限にしつつ、長時間にわたって改善された睡眠の質を生じるこの能力は、種々のタイプの不眠症の処置のために、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の有利な使用をもたらす。特に、種々のタイプの不眠症は、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の約40%ないし約90%の使用のみで、αサブユニット含有GABA受容体介在応答の最大増強を達成することにより有利に処置され得る。
式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与(例えば、経口投与)後の時間経過によるGABA仲介応答の増強は、モデルを用いて決定され得る。このモデルにおいて、上記のGABA受容体増強についての臨床的に関連する薬剤濃度およびインビトロ濃度−応答データとして、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与後の測定または予測遊離血漿濃度(50%血漿タンパク質結合と仮定)は、投与後の時間経過によるGABA αβγ(α−含有)受容体介在応答の増強%を予測するために用いられ得る。具体的には、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩についてのGABA αβγ受容体仲介応答の増強%は、以下の通りに計算され得る:
増強%=有効性(GABA αβγ受容体の最大増強%)/[1+(EC50/式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の濃度)]。
式(II)の化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、医薬として、例えば製剤の形態で用いられ得る。該製剤は、典型的に、例えば、錠剤、コート錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョンまたは懸濁液の形態で経口投与される。しかしながら、投与はまた、例えば坐剤形態で直腸内に、または例えば注射液形態で非経腸的に行われ得る。
式(II)の化合物および/またはその薬学的に許容される塩は、製剤などの製造のために、薬学的に不活性な無機または有機担体と共に処理され得る。ラクトース、コーンデンプンもしくはその誘導体、タルク、ステアリン酸もしくはその塩などは、例えば、錠剤、コート錠、糖衣錠および硬ゼラチンカプセル用の担体として用いられ得る。軟ゼラチンカプセル用に適当な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂質、半固体および液体ポリオールなどであるが、担体は、軟ゼラチンカプセルの場合には必要がない。溶液およびシロップの製造のために適当な担体は、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコースなどである。アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などのようなアジュバントは、式(II)の化合物の水溶性酸付加塩の注射水溶液に使用可能であるが、概して必要はない。坐剤に適当な担体は、例えば、天然または硬化油、ワックス、脂質、半液体もしくは液体ポリオールなどである。
製剤はまた、防腐剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香料、浸透圧を変化させるための塩類、緩衝液、コーティング剤または抗酸化剤を含み得る。それらはまた、他の治療的有価物質を含み得る。
式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、好ましくは約0.5mgないし約5mg投与される。より好ましくは、投与量は、約1mgないし約3mgであり、さらにより好ましくは約1.5mgないし約2.5mgである。薬剤は、好ましくは、患者が睡眠を欲する直前に、経口投与形態で1日1回投与される。経口投与量は、薬剤の所望の量が投与される限り、1個以上の錠剤、コート錠、糖衣錠、硬および軟ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョンまたは懸濁液などから構成され得る。また、要すれば、1日用量は、約30分間までの期間にわたって分けて投与され得る。
本発明者らは、図16に示す通り、式(II)の化合物が、非高齢者および高齢者の両方で同様の薬物動態学的(PK)プロファイルを示し、ゾルピデムで見られるよりも高齢者において暴露量の増加が少なく、かつエスゾピクロンで見られるよりも半減期の増大が少ないことを示すことを決定した。結果として、本発明者らは、非高齢成人(18−64歳)に対して有効な、式(II)の化合物と同じか、または同様の用量が、高齢者に対して有効であり得ることを決定した。
本発明は、以下の実施例によりさらに記載される。これらの実施例は、本発明のいくつかの態様を説明することを意図し、それらを限定するものとして解釈されてはならない。
実施例1
式(II)の化合物の効果の、プラセボ対照、無作為化、二重盲検、交差試験を、12名の健常なボランティアを用いるロードノイズモデルを用いて行った。具体的には、該ボランティアを、不眠症の影響を模倣するために交通ノイズを受ける状態にして、薬剤を、夜11時の5分前に、遊離塩基形態の粉末化した式(II)の化合物を含む硬ゼラチンカプセル形態で、1.0mg、1.5mg、2mgおよび2.5mg用量を経口投与した。それから、測定を投与の8、10および12時間後に行った。
試験結果を、表3−5にまとめる。
Figure 2010536812
Figure 2010536812
Figure 2010536812
データが多重比較に対して補正されたとき、用量を投与後8ないし12時間の認知または精神運動検査のいずれかにおいて能力の低下はなかった。投与後の朝に観察された何らかの残留効果は、不整合であった。残留効果は、用量または時間に関係がなかった。
Figure 2010536812
実施例2
式(II)の化合物の効果の、単回用量および反復用量−薬物動態学的安全性および薬理学的研究を、健康なボランティアを用いて行った。遊離塩基形の式(II)の化合物を、1mg、1.5mg、2mgおよび2.5mg用量を、粉末形態の化合物を含む硬ゼラチンカプセルを介して経口投与した。
結果の薬物動態学的分析は、式(II)の化合物の半減期が約3.5時間であることを示した。1日目と比較した反復投与後の14日目における薬物動態学的プロファイルに有意な差異はなかった。食事は、式(II)の化合物の吸収量にほんのわずか、または全く効果が見られなかった。
薬物動態学的データの分析はまた、入眠障害、睡眠持続障害および/または終期不眠症が、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与により処置され、約17.5ng・h/mLないし約600ng・h/mL、約25ng・h/mLないし約500ng・h/mLまたは約25ng・h/mLないし約400ng・h/mLのAUCが達成され得ることを示す。例えば、AUCは、約52.5ng・h/mLないし約360ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約300ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約240ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約200ng・h/mL、約75ng・h/mLないし約150ng・h/mL、約105ng・h/mLないし約120ng・h/mL、または上記の全てのAUC値の何れかの範囲内であり得る。好ましくは、AUCは、約75ng・h/mLないし約240ng・h/mLである。
処置はまた、約2.5ng/mLないし約125ng/mL、約7.5ng/mLないし約75ng/mL、約7.5ng/mLないし約62.5ng/mL、約7.5ng/mLないし約37.5ng/mL、約10ng/mLないし約50ng/mL、約12.5ng/mLないし約45ng/mL、約15ng/mLないし約40ng/mLのCmax、または上記の全てのCmax値のいずれかの範囲を達成するように行われる。好ましくは、Cmaxは、約15ng/mLないし約45ng/mLである。
実施例3
無作為化、多施設、二重盲検、プラセボ−対照交差研究を、成人患者の原発性不眠症の処置における、1.5mgおよび2.5mg用量の式(II)の化合物の効果を評価するために行った。具体的には、該研究の目的の1つは、PSGおよび睡眠の患者報告測定における1.5mgおよび2.5mg用量の効果を評価することであった。また、該研究は、1.5mgおよび2.5mg用量の安全性を評価することを目的とした。
本実施例における研究を、各期間の間の5−12日の洗浄を行う、夜間の2連続で行った。投与を、粉末形態の式(II)の化合物(遊離塩基)を含む硬ゼラチンカプセルの経口投与により、夜に電気を消す30分前に行った。PSGを、各処置期間の夜1および2の“消灯”から8時間記録した。PSGの中央評価を用いた。精神運動機能検査(DSST)を用いる残留効果の検査を、起床(投与後9時間)後、少なくとも30分行った。全体の研究デザインを図5に示す。
該研究を、原発性不眠症(DSM−IV基準)の症例診断で65歳よりも若い67名の対象(21名の男性、46名の女性;平均年齢45.1歳、範囲23−64歳)を用いて行った。これらの対象の典型的な就寝時間は、少なくとも7時間睡眠で午後9時から午前1時の間であった。これらの対象は、7夜のうち少なくとも3夜の睡眠記録において少なくとも45分の睡眠潜時および6.5時間以内のTSTが報告された。
2晩のPSGを用いるスクリーニングにおいて、患者は、15分未満のLPSを示す夜はなく、20分以内のLPSを示した。患者の平均WASOは、少なくとも40分であって、平均TSTは、240−420分であった。
実施例3における研究の最も重要な有効性結果を、表7に示す。
Figure 2010536812
式(II)の化合物は、入眠および睡眠維持の両方でロバスト効果を示した。具体的には、図6に示す通り、プラセボと比較して、1.5mg用量は、LPSを17.0分低下させ(p<0.0001)、2.5mg用量は、LPSを20.7分低下させた(p<0.0001)。図7に示す通り、プラセボと比較して、1.5mg用量は、TSTを33.1分増大させ(p<0.0001)、2.5mg用量は、TSTを45.0分増大させた(p<0.0001)。図8に示す通り、プラセボと比較して、1.5mg用量は、WASOを16.7分低下させ(p<0.0001)、そして2.5mg用量は、WASOを25.7分低下させた(p<0.0001)。
重要なことには、図9、図10および表7に示す通り、これらの用量が、プラセボと比較して、夜間の後半(“消灯“後5−8時間)でWASOおよびTWTを低下させた。プラセボと比較して、時間5−8でのTWTは、1.5mg用量で10.8分低下し(p=0.0008)、そして2.5mg用量で16.2分低下した(p<0.0001)。このことは、式(II)の化合物が、終期不眠症を処置し、早朝起床を減少するために用いられ得ることを証明する。実際、図11に示す通り、投与後の各時間中に対象が起床した全時間の減少が観察された。2.5mg用量は、時間7を除いて、各時間の統計学的に有意な減少を生じた。ここで、pは、全体の処置効果について0.0577であった(時間7中での起床時間の減少は、ほぼ統計学的に有意に達した)。
これらの結果は、式(II)の化合物のような薬剤について特に予期されない。それが、GABA受容体ベンゾジアゼピン部位での部分アゴニストに過ぎず、そして、その半減期が、実質的により大量に用いられるときでさえ持続障害型不眠症および終期不眠症の処置に効果がないことが見出されたこの部位で完全アゴニストとして作用するいくつかの不眠治療剤と類似しているため、式(II)の化合物は、これらの他の薬剤よりも効果が弱いと予期され得た。ここで、これはそうではないことが予想外に見出された。
睡眠量の改善に加えて、研究対象はまた、図12および13に示す通り、1.5mgおよび2.5mg用量の両方に対して顕著な睡眠の質の改善が報告された。特に、式(II)の化合物は、自然な睡眠構築(すなわち、薬剤が投与されないとき)と同等の睡眠構築を生じることが見出された。徐波睡眠の減少はなく、REM睡眠へのわずかな作用のみが観察された。これらの結果は、図14により実証される。
正常な睡眠構築の維持は、良好な夜の安息を得る非常に重要な要素である。古典的ベンゾジアゼピンなどの、いくつかの常用される不眠症の薬は、睡眠誘発および維持に有効であるが、それらは正常な睡眠構築を著しく変化させることにより行われ得て、結果として、爽快ではない睡眠および他の副作用をもたらす。
実施例3により行った研究の結果は、プラセボと比較して、式(II)の化合物が、1.5mg用量または2.5mg用量のどちらも患者報告残留鎮静作用を生じないことを示した。このことは、図15により実証される。
式(II)の化合物の投与の客観的残留作用もまた、評価した。用量を投与後9時間、対象から取られたDSSTのスコアは、プラセボを投与された対象から得られたスコアよりもほんのわずかに低かった。
結果はまた、式(II)の化合物が、1.5mgおよび2.5mg用量で安全かつ良好な耐容性であることを示した。重大な副作用はなく、有害事象は低頻度のみであったことが報告された。これらの結果を表8にまとめる。
Figure 2010536812
実施例4
無作為化、二重盲検、プラセボ−対象並行グループデザインを、149名の対象を用いる7晩の投与後の、1.5mgおよび2.5mg用量の式(II)の化合物の催眠作用を評価するために用いた。本研究を、客観的および主観的測定の両方を用いて、米国の20箇所の睡眠研究室で行った。PSGデータを夜1、6および7に集め、結果は、これらの3夜からの平均データに基づいている。式(II)の化合物を、カプセル中粉末として遊離塩基形態で投与した。研究デザインの詳細は、図17に示す。
対象は、原発性不眠症の診断を証明された(DSM−IV基準)少なくとも65歳の男性および女性であった。これらの対象の典型的な就寝時間は、午後9時から午前1時であり、少なくとも7時間ベッドにいる。これらの対象は、5夜またはそれ以上の7日間、少なくとも7時間ベッドにいて6.5時間以下のTSTであると報告された。対象は、夜間の睡眠不足を原因とする日中の眠気、疲労感または無意識の居眠り歴を有する。2夜中PSGを用いるスクリーニングにおいて、平均TSTは240−420分であった。睡眠潜時反復検査(MSLT)における平均潜時は、少なくとも5.5分であって、14分以下であった。
PSGを、TST(夜1、6および7の平均)を得るために用いた。日中機能(8日目)を、精神運動覚醒作業(PVT)、MSLT(MSLT Clinical Guidelines; Sleep, 1(3): 260−276 (1992))、カロリンスカ眠気スケール(KSS);および客観的測定であるレイ聴覚性言語学習テスト(RAVLT)(8日目)(点灯後30±10分に評価)を用いて測定した。睡眠構築、対象報告睡眠変数および睡眠の質のカテゴリー評価ならびにベンゾジアゼピン使用中止アンケート表を含む安全性項目もまた、決定した。
この研究は、PSG誘発TSTの主要項目における式(II)の化合物およびプラセボの両用量間で非常に顕著な改善を示した。プラセボと比較して、平均TSTは、1.5mgで30.9分増大し(9%)、そして2.5mgで56.4分増大した(17%)(それぞれp=0.0001およびp=<0.0001)。
顕著な改善はまた、WASOおよびLPSを含む、重要なPSG誘発副次的項目でも見られた。2.5mg用量はまた、式(II)の化合物が、高い効果で夜間を通して睡眠を維持することを示す、夜間後半のWASOへの顕著な効果を示した。このことは、TWTの時間毎の分析によりさらに確認された。式(II)の化合物での処置は、時間7を除き、夜間の全ての時間のTWTの統計学的に有意な減少を生じた。
以下の表9は、主要および重要な副次的PSG項目(夜1、6および7の平均)の結果を示す。
Figure 2010536812
表10は、非PSG有効性測定を示す。これらの結果は、sTST、sSOL(主観的睡眠潜時)およびsWASOを含む対象報告測定によって支持された。
Figure 2010536812
概して、結果は、PVTまたはRAVLTにおいて、プラセボおよび式(II)の化合物の用量間で顕著な差異を示さなかった。また、全体として、主観的にKSSにおいても顕著な差異は見られなかった。ベンゾジアゼピン使用中止アンケート表でも顕著な差異は見られなかった。
具体的な結果を図18−29に示し、以下に述べる。
図18は、プラセボと比較して、1.5mgおよび2.5mg用量の両方の高齢者における全睡眠時間の増加を示す。図19は、プラセボと比較して、1.5mg用量での34%のLPSの低下、および2.5mg用量での43%のLPSの低下を示す。図20は、プラセボと比較して、1.5mg用量がWASOを15%低下し、2.5mg用量がWASOを36%低下することを示す。図21は、用量が2.5mgであったとき、夜間後半(“消灯”後5−8時間)のWASOの顕著な低下があったことを示す。図22は、2.5mg用量が、全体の処置効果が統計的に有意ではない時間7を除く各時間でTWTを顕著に減少することを示す。1.5mg用量は、時間6までの各時間の全起床時間が顕著に減少した。
日中機能(日中の眠気)を、図23に示す通り、MSLTを用いて測定した。試験した全ての時間点(起床後2、4、6、8および10時間)で平均睡眠潜時は増大し、式(II)の化合物が日中の眠気を減少させることにより日中機能を改善することが実証された。
図24に実証する通り、主観的な睡眠の質は、投与の7夜全てで持続的改善を示した。夜1における対象報告睡眠の質を図25に示し、両用量は、夜1の睡眠の質のカテゴリー評価(p<0.0001)を顕著に改善した。
対象は、夜1、6および7を睡眠検査室で過ごし、夜2−5を自宅で過ごした。彼らは、彼らの睡眠の質を非常に悪い。悪い、良い、または非常に良いと評価するために質問を受けた。図26は、1.5mg用量および2.5mg用量の両方が、対象報告睡眠潜時の顕著な減少を生じたことを示す。図27は、これらの用量がまた、sTSTの顕著な増加を生じたことを示し、そして図28は、これらの用量が、sWASOの顕著な減少を生じたことを示す。
対象はまた、残留鎮静作用についての質問も受けた。図29に示される通り、結果が、プラセボの残留鎮静作用と同等であるため、1.5mg用量または2.5mg用量のどちらの投与も、残留鎮静作用を生じなかった。
結果はまた、式(II)の化合物が、1.5mgおよび2.5mg用量で安全かつ良好な耐容性であったことを示した。治療中に発生した重大な有害事象は、研究中に報告されなかった。報告された有害事象の大部分は、中程度および低頻度であった。最もよく見られる有害事象は、目眩、頭痛および眠気であって、これらの事象が報告された患者の割合は、以下の表に示す。これらの結果は、表11にまとめる。
Figure 2010536812
概して、本実施例における研究は、式(II)の化合物が、入眠および睡眠維持の両方にロバスト作用を有することを示した。PSG分析は、式(II)の化合物が、一般的に、睡眠構築を保存することを示した。これらのPSG結果は、sTST、sSOLおよびsWASOを含む対象報告測定により支持された。主観的に、睡眠の質は、全ての夜で改善され、起床後30分(投与後約9時間)に評価され、残留鎮静作用はなかった。
本研究デザインのさらなる要素は、8日目の日中機能を評価することであった。これは、日中の眠気の客観的評価であるMSLTを含む。初期解析は、両用量の式(II)の化合物が、対象が、式(II)の化合物での処置後により意識がはっきししていたことを示す、プラセボと比較した日中のMSLTの統計的に顕著な全体的改善を生じたことを示した。これは、特に、多くの常用の不眠治療剤が、高齢者における日中活動の改善が見られないだけでなく、特にいくつかのより長い半減期を有する薬剤が、既存の日中の眠気を悪化させるため、驚くべきことである。
日中機能は、RAVLTおよびPVTを客観的に用いて、およびKSSを主観的に用いてさらに評価された。初期解析は、全体的に、式(II)の化合物とプラセボに顕著な相違がなかったことを示唆する。
ベンゾジアゼピン使用中止アンケート表中、式(II)の化合物の用量とプラセボの用量に顕著な相違はなかった。
実施例4の結果は、高齢者人口における入眠および睡眠維持への式(II)の化合物の効果を実証し、1.5mgおよび2.5mg用量が、顕著な残留作用を有さず高齢者に催眠効果を有することを示す。
本発明は、その詳細な説明および添付の図面と合わせて記載されているが、以上の記載は説明を意図し、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を制限するものではない。他の局面、利点および改変は、特許請求の範囲内であり得る。

Claims (87)

  1. 式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩の、それを必要とするヒトにおける持続障害型不眠症および/または終期不眠症の処置のための医薬の製造を目的とした、使用。
  2. 式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩の、それを必要とする少なくとも65歳であるヒトにおける不眠症の処置のための医薬の製造を目的とした、使用。
  3. 該医薬が、入眠後の覚醒を減少させ、そして/または入眠後の全睡眠時間を増加させるようなものである、請求項1または2記載の使用。
  4. 式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩の、それを必要とするヒトにおいて(i)医薬の投与後約4ないし約8時間に全睡眠時間を増加させ、および/または(ii)入眠後の覚醒を減少させるための医薬の製造における、使用。
  5. 式(II)の化合物を約0.5mgないし約5mgの量で用いる、請求項1−4のいずれか一項記載の使用。
  6. 式(II)の化合物を約1mgないし約3mgの量で用いる、請求項1−5のいずれか一項記載の使用。
  7. 式(II)の化合物を約1.5mgないし約2.5mgの量で用いる、請求項1−6のいずれか一項記載の使用。
  8. 該医薬が、睡眠潜時および/または持続的な睡眠が始まるまでの時間(latency to persistent sleep)を減少させるようなものである、請求項1−7のいずれか一項記載の使用。
  9. 該医薬の投与後、約5ないし約8時間に全睡眠時間を増大させるための、請求項1−8のいずれか一項記載の使用。
  10. 該医薬の投与後、約6ないし約8時間に全睡眠時間を増大させるための、請求項1−9のいずれか一項記載の使用。
  11. 該医薬の投与後、約4ないし約8時間に入眠後の覚醒を減少させるための、請求項1−10のいずれか一項記載の使用。
  12. 該医薬の投与後、約5ないし約8時間に入眠後の覚醒を減少させるための、請求項1−11のいずれか一項記載の使用。
  13. 該医薬の投与後、約6ないし約8時間に入眠後の覚醒を減少させるための、請求項1−12のいずれか一項記載の使用。
  14. 該医薬が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答を約40%ないし約90%最大増強するようなものである、請求項1−13のいずれか一項記載の使用。
  15. 入眠障害の処置のための医薬の製造において、式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用をさらに含む、請求項1−14のいずれか一項記載の使用。
  16. 該医薬が、約17.5ng・h/mLないし約600ng・h/mLのAUCおよび約2.5ng/mLないし約125ng/mLのCmaxを達成するようなものである、請求項1−15のいずれか一項記載の使用。
  17. 該AUCが、約50ng・h/mLないし約360ng・h/mLである、請求項16記載の使用。
  18. 該AUCが、約75ng・h/mLないし約240ng・h/mLである、請求項16または17記載の使用。
  19. 該Cmaxが、約10ng/mLないし約75ng/mLである、請求項16−18のいずれか一項記載の使用。
  20. 該Cmaxが、約15ng/mLないし約45ng/mLである、請求項16−19のいずれか一項記載の使用。
  21. 該医薬が、睡眠潜時を減少させ、持続的な睡眠が始まるまでの時間を減少させ、入眠後の覚醒を減少させ、そして/または入眠後の全睡眠時間の増加させるようなものである、請求項16−20のいずれか一項記載の使用。
  22. 該ヒトが少なくとも65歳である、請求項1および3−21のいずれか一項記載の使用。
  23. 約1.5mgないし約3mgの式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、単位投与量形態の持続障害型不眠症および/または終期不眠症の処置に適する医薬組成物。
  24. 式(II)
    Figure 2010536812
    の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、持続障害型不眠症および/または終期不眠症の処置のための医薬組成物。
  25. 式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、少なくとも65歳であるヒトにおける不眠症の処置のための医薬組成物。
  26. 式(II)の化合物の量が約0.5mgないし約5mgである、請求項24または25のいずれか一項記載の医薬組成物。
  27. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約3mgである、請求項23−26のいずれか一項記載の医薬組成物。
  28. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約2.5mgである、請求項23−27のいずれか一項記載の医薬組成物。
  29. 入眠後の覚醒を減少させるためでもある、請求項23−28のいずれか一項記載の医薬組成物。
  30. 入眠後の全睡眠時間を増大させるためでもある、請求項23−29のいずれか一項記載の医薬組成物。
  31. 持続障害型不眠症および/または終期不眠症の処置に適する、約0.5mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mgまたは約5mgの式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、単位投与量形態の医薬組成物。
  32. ヒトにおける持続障害型不眠症および/または終期不眠症の処置に用いるための、式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  33. 少なくとも65歳であるヒトにおける不眠症の処置に用いるための、式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩。
  34. 入眠後の覚醒を減少させるためでもある、請求項32または33記載の化合物。
  35. 入眠後の全睡眠時間を増大するためでもある、請求項32−34のいずれか一項記載の化合物。
  36. 持続障害型不眠症の処置に有効な量の式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおける持続障害型不眠症の処置方法。
  37. 式(II)の化合物の量が約0.5mgないし約5mgである、請求項36記載の方法。
  38. 式(II)の化合物の量が約1mgないし約3mgである、請求項36記載の方法。
  39. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約2.5mgである、請求項36記載の方法。
  40. 入眠障害の処置にも有効な量の式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、かかる処置を必要とするヒトに投与することを含む、入眠障害の処置のためでもある、請求項36記載の方法。
  41. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、睡眠潜時および/または持続的な睡眠が始まるまでの時間を減少するようなものである、請求項36記載の方法。
  42. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答の約40%ないし約90%の最大増強を達成するようなものである、請求項36記載の方法。
  43. 該ヒトが少なくとも65歳である、請求項36記載の方法。
  44. 入眠後の覚醒を減少するのに有効な量の式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおける入眠後の覚醒を減少させるための方法。
  45. 式(II)の化合物の量が約0.5mgないし約5mgである、請求項44記載の方法。
  46. 式(II)の化合物の量が約1mgないし約3mgである、請求項44記載の方法。
  47. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約2.5mgである、請求項44記載の方法。
  48. 入眠障害の処置にも有効な量の式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、かかる処置を必要とするヒトに投与することを含む、入眠障害の処置のためでもある、請求項44記載の方法。
  49. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、睡眠潜時および/または持続的な睡眠が始まるまでの時間を減少させるためのようなものである、請求項44記載の方法。
  50. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答の約40%ないし約90%の最大増強を達成するようなものである、請求項44記載の方法。
  51. 該ヒトが少なくとも65歳である、請求項44記載の方法。
  52. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、投与後約4ないし約8時間で入眠後の覚醒を減少させるためのようなものである、請求項44記載の方法。
  53. 投与後約5ないし約8時間である、請求項52記載の方法。
  54. 投与後約6ないし約8時間である、請求項52記載の方法。
  55. 終期不眠症の処置に有効な量の式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおける終期不眠症の処置方法。
  56. 式(II)の化合物の量が約0.5mgないし約5mgである、請求項55記載の方法。
  57. 式(II)の化合物の量が約1mgないし約3mgである、請求項55記載の方法。
  58. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約2.5mgである、請求項55記載の方法。
  59. 入眠障害および/または持続障害型不眠症の処置にも有効な量の式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩を、かかる処置を必要とするヒトに投与することを含む、入眠障害および/または持続障害型不眠症の処置のためでもある、請求項55記載の方法。
  60. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、睡眠潜時、持続的な睡眠が始まるまでの時間および/または入眠後の覚醒を減少するようなものである、請求項55記載の方法。
  61. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答の約40%ないし約90%の最大増強を達成するようなものである、請求項55記載の方法。
  62. 該ヒトが少なくとも65歳である、請求項55記載の方法。
  63. 式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩の、投与後約4ないし約8時間で全睡眠時間を増加させるのに有効な量をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおいて全睡眠時間を増大する方法。
  64. 式(II)の化合物の量が約0.5mgないし約5mgである、請求項63記載の方法。
  65. 式(II)の化合物の量が約1mgないし約3mgである、請求項63記載の方法。
  66. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約2.5mgである、請求項63記載の方法。
  67. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の入眠障害の処置にも有効な量を、かかる処置を必要とするヒトに投与することを含む、入眠障害を処置するためでもある、請求項63記載の方法。
  68. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、睡眠潜時、持続的な睡眠が始まるまでの時間および/または入眠後の覚醒を減少するようなものである、請求項63記載の方法。
  69. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答の約40%ないし約90%の最大増強を達成するためのようなものである、請求項63記載の方法。
  70. 該ヒトが少なくとも65歳である、請求項63記載の方法。
  71. 該時間が投与後約5ないし約8時間である、請求項63記載の方法。
  72. 該時間が投与後約6ないし約8時間である、請求項63記載の方法。
  73. 約17.5ng・h/mLないし約600ng・h/mLのAUC、ならびに約2.5ng/mLないし約125ng/mLのCmaxを達成するために、式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩をヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおける持続障害型不眠症および/または終期不眠症の処置方法。
  74. AUCが約50ng・h/mLないし約360ng・h/mLである、請求項73記載の方法。
  75. AUCが約75ng・h/mLないし約240ng・h/mLである、請求項73記載の方法。
  76. maxが約10ng/mLないし約75ng/mLである、請求項73記載の方法。
  77. maxが約15ng/mLないし約45ng/mLである、請求項73記載の方法。
  78. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の入眠障害の処置にも有用な量を、かかる処置を必要とするヒトに投与することを含む、入眠障害の処置のためでもある、請求項73記載の方法。
  79. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、睡眠潜時、持続的な睡眠が始まるまでの時間および/または入眠後の覚醒を減少するためのようなものである、請求項73記載の方法。
  80. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答の約40%ないし約90%の最大増強を達成するようなものである、請求項73記載の方法。
  81. 該ヒトが少なくとも65歳である、請求項73記載の方法。
  82. 式(II)
    Figure 2010536812

    の化合物またはその薬学的に許容される塩の不眠症の処置に有用な量を、少なくとも65歳であるヒトに投与することを含む、それを必要とするヒトにおける不眠症の処置方法。
  83. 式(II)の化合物の量が約0.5mgないし約5mgである、請求項82記載の方法。
  84. 式(II)の化合物の量が約1mgないし約3mgである、請求項82記載の方法。
  85. 式(II)の化合物の量が約1.5mgないし約2.5mgである、請求項82記載の方法。
  86. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、睡眠潜時、持続的な睡眠が始まるまでの時間および/または入眠後の覚醒を減少するようなものである、請求項82記載の方法。
  87. 式(II)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投与が、α−サブユニットを含むGABA受容体により仲介される応答の約40%ないし約90%の最大増強を達成するようなものである、請求項82記載の方法。
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