JP2010534097A - 物体を空洞から引出すための装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、好ましくは、分娩時および人体の空洞内に収容されている物体の引出し時に、補助のために使用する、空洞から物体を引出す装置に関する。本発明は、二つの端を有するバッグから成り、一端は開放されており、引出される物体を当該端を通過させることができる。第一の実施形態においては、バッグの外表面とその全円周周辺にわたって、少なくとも一つの空気チャンバーを備え、このチャンバーは、内圧によって、引出される物体と接触するようにすることができる。当該チャンバーは、圧力生成手段に接続することができる。第二の実施形態においては、当該バッグは、外側への折り返し部を備え、この折り返し部は、引出される物体を収容している空洞と接触したときに、環状空洞を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空洞内に収容されている物体を引出す装置に関する。当該装置は、アルゼンチン特許出願第P060105329号(2006年12月1日出願したものであるが、本出願の出願日現在において、未公開。)に記載され、特許請求されている引出しの方法を実施することを可能にする。

ここで提案する装置は、好ましくは、分娩を助けるのに使用され、かつ/または、人体の空洞内にある物品を引出すのに使用され、医療従事者の仕事を容易にするものである。

本発明は、当該特許出願第P060105329号の方法のための無数の用途に加えて、胃腸科の分野、たとえば、直腸異物の引出し、食道胃の異物の引出し、胆嚢結石の引出し、に使用できる。また、泌尿器科の分野、たとえば、尿路結石の引出し、医療器具とともに事故で入り込んだ物品の引出し、に使用できる。また、血管手術の分野、たとえば血餅変位および/もしくは血管補綴または重要器官の血管再生、に使用できる。また、耳鼻咽喉科の分野、たとえば、耳または鼻孔に詰め込まれた異物の引出しおよび耳垢の引出し、に使用できる。

本発明の先行技術において、なかでも、新生児学の分野において、現在分娩で使用されている器具および付属品のうち、もっとも普通なのは、いわゆる“かんし”であり、その使用は、新生児に非回復性の傷を与えうる。

前記第P060105329号に開示されている公知の装置は、そこで提案されている方法で使用できるものであり、当該装置は、一つ、二つまたはそれより多くの柔軟バッグまたは容器から成り、それらの各々は、たとえば赤ん坊の引出しのために医療従事者が挿入しなければならない取っ手を有する。

同等の材料と要素で実施された試験によれば、注意すべきことは、分娩における前記装置の使用は、子宮空洞へのバッグの挿入の問題、特に胎児を包囲するさいの問題がある、ということである。同様に、医療従事者が引出し時に正しくない動きをして、分娩中の女性の膣を傷つけることがありうる。

本発明では、これらの問題について十分に調べ、解決した。本発明の装置は、一端が開放されたバッグまたは柔軟性容器から成り、このバッグの外表面には、閉鎖された空気収容要素またはチャンバーが取り付けまたは定められており、後者は、空気注入手段に接続されている。当該手段は、その集成時にバッグの他端を閉じる引張り取っ手を有する。

強調すべきことは、特許出願第P060105329号に記載されている引出し法の実施に使用される装置のいずれにおいても、装置の適時使用は、各分娩の特定条件または使用される技術を考えたうえでの医療従事者が責任を持って決定する、ということである。

この装置の使用により、分娩補助での使用のときに大きな危険を及ぼすかんしまたは他の真空生成装置の使用を不要または少なくすることが期待される。

本発明の装置は、最初両端が開いているバッグから成り、一端が引出し取っ手のところで閉じられ、その外表面上に空気チャンバーが配置され、それから外向きの折り返し部がバッグの開放側に形成される。当該閉鎖チャンバーは、カニューレまたは管に接続され、このカニューレはバッグを通って本発明の引出し装置の引張り取っ手の一部であるねじ形の部品に達する。円板形の部品が、バッグを引張り取っ手に固定することのほか、バッグが装置全体にわたって同じ直径の円形部分を保つようにし、これにより、赤ん坊の頭が膣から出でくるとき、頭の引出しが容易になる。チャンバーに空気を供給するカニューレまたは管が、円錐体を通過してから取っ手の内部を通り、取っ手の端から出て、圧力維持式(presostatic)測定・表示計と空気ポンプに達する。このポンプは、所望の圧力となるまでチャンバーに空気を供給する。圧力が大きくなりすぎた場合、または引出し法の結果に問題が生じそうな場合、空気を排出することができる。バッグの好ましい取り付けは、円板と円錐体との間でなされ、前記ねじ形部品が円板と円錐体の一方を他方に対して固定し、当該部品のねじを切った端が取っ手の内部に作られた適当な穴にねじ込まれる。

当該開放バッグとチャンバーは、好ましくは、非常に柔軟な材料から成り、この材料は厚さ数μmのフィルムタイプの最大引張り抵抗のものであり、低アレルギー性で、微細な潤滑ジェルで被覆されている。

外側空気チャンバーをその周囲に備えた当該開放バッグは、破水が起こってから、医療従事者によって、胎児の頭と子宮頚部との間に挿入される。これの実施のために、医療従事者は、バッグに作られた外向き折り返し部を使用して、平坦へら形器具によって、この折り返し線の内部から、当該バッグが胎児の肩に配置されるまで、押し込むことができる。場合によっては、医療従事者は、超音波検査像に頼ることができ、それによって、当該バッグが所望の位置に達するのを見ることができる。当該折り返し部は、好ましくは、大体、空気チャンバーのもっとも遠い位置に作ることができる。

バッグが胎児の肩に配置されると、チャンバーにはカニューレまたは管によって空気が満たされる。この管は、本発明の装置のバッグおよび引張り取っ手の内部にはいり、当該バッグを通って、前記空気チャンバーに達する。チャンバーが必要圧力まで空気で満たされると、なすべきただ一つのことは、装置の引張り取っ手を引張って、赤ん坊を引出すことであり、したがって簡単な分娩がまったく外傷なしで実現される。

取っ手と反対側のバッグの端は、子宮頚部を通して挿入される。

好ましい実施形態の場合、空気チャンバーは、非常に低圧の空気または他の流体の送入のための調節・補正弁を有し、この弁は、産科専門家(tocogynelogistprofessional)が選択する調節によって、空気排出弁として作用するように調整する。このシステムの一部として、外づけ使用するのが可能なのは、医療従事者を助ける圧力維持式測定・表示計である。

空気チャンバー内の圧力を制御して維持することが重要である。というのは、この圧力の値は、柔軟物品を空洞内部から引出すとき、引出しが難しくなる値まで増大しうるからである。この圧力増大は、体積の増大により、生じうる。前記調節弁は、この発生圧力に対する安全弁として作用し、当該圧力が所定値を越えないようにする。

以下、本発明の目的のより良い理解のために、いくつかの模式図により、本発明の好ましい実施形態を示す。これらは単なる例である。

これらの図において、同じ参照記号は本発明の同じ要素を示す。

図1には、本発明の装置の第一の好ましい実施形態を示す。この装置は、一端(1a)が開いたバッグ1を有し、このバッグの外表面には、空気チャンバーが配置または定められ、また外側への折り返し部3が、開いたバッグ1に備えられる。閉じた当該チャンバー2は、カニューレまたは管4に接続され、管4は、バッグ1を通って、本発明の引出し装置の引張り取っ手8の一部であるねじの形の部品11に達している。この図において、部品11は、円板10と同様に、開放位置にあり、バッグ1の閉鎖端1bがどのように引張り取っ手に取り付けられるかがわかりやすいようになっている。

当該円板10(分娩の性質に応じて、いろいろな形状と直径にできる)は、バッグを引張り取っ手8に固定することを可能にするばかりでなく、当該バッグが所定の円形断面を保つようにするものであり、このような形状により、胎児が膣を出るときに胎児の頭の引出しが容易になる。当該ディスクの直径は変えることができ、本発明の装置から取りはずすこともできる。

チャンバー2に空気を供給するためのカニューレまたは管4は、まず円錐体9を通って取っ手の内部にはいり、取っ手の端から出て、圧力維持式の測定・表示計7と空気ポンプ6に達するようにする。当該ポンプ6から、空気が所定の圧力となるまで、チャンバーに供給される。圧力が大きくなりすぎた場合、または引出し法の結果が不十分となる危険がある場合、空気が排出されるようにすることができる。

バッグ1の好ましい固定は、円板10と円錐体9との間でなされるようにすることができ、ねじ11がこれらの一方を他方に固定するようにし、ねじ11がそのねじの切られた部分の端まで取っ手8の内部に作られた適当な穴にねじ込まれるようにする。

図2に示すのは、分娩のある段階における図1の装置の好ましい使用時の当該装置の取り付けの模式図である。ここでは、女性“a”の子宮“b”に胎児“c”がいるのが示されている。本発明の装置の一部であるバッグ1は、バッグ1の折り返し部3を利用して、手操作によって、またはバッグと外側折り返し部との間を滑る薄い要素によって、取り付けられ、チャンバー2を胎児の首に近い位置に動かすことができる。

本発明の装置が配置されたらすぐに、チャンバー2に空気を満たすが、このとき、空気ポンプ6を作動させ、圧力維持式測定・表示計7によって圧力を制御する。当該チャンバーが満たされたら、なすべき唯一のことは、取っ手8によって、女性の息みに合わせ、また装置内に吹送された空気の穏やかな排出に合わせて、直線方向に徐々に引張ることである。そうすることにより、胎児の頭極の引出しがなされる。

胎児の引出し時に外部空気チャンバーで実現される最大体積は、引出し時に、空気チャンバー内の流体が空洞の内部部分に保持され、したがって当該大きな圧力が、コンベヤーベルト上にあるかのようにバッグ内に動く胎児をより良く固定できる、ようにしなければならないということによる。

膨張したリングのような形状を有する当該環状チャンバーは、その製造意図に応じて、胎児の頭を正しく配置できるように円錐形とすべきである。

以上の各節で述べた装置の使用の仕方がよく理解されるようにまとめると、実行される各ステップは次のように述べられる。
・バッグ1を、空気チャンバーが胎児の肩に接触するまで、子宮に挿入する。
このとき、分娩中の女性は通常の分娩姿勢になければならない。
・非常に低い圧力の空気その他の流体を、空気ポンプ6によって空気チャンバー3内に送り込む。
このとき、補助している医療従事者は、弁を通して空気を吹送し、これは、必要であれば、超音波検査器を用いて、胎児の頭と母親の子宮との間のスペースと連結部(intertices)への空気チャンバーの配置が実現されるまで行う。圧力維持式測定計の読み取り値は、内圧の制御を確実にするものであり、この内圧は子宮壁内に生成される圧力を越えてはならない。
・分娩の息みに合わせて産科医が引出しを行う。
医者は、バッグの閉じた端を保持する取っ手の同期引っ張りにより、陣痛と息みに合わせて、分娩中の女性と協働しなければならない。胎児は、コンベヤーベルトによって運ばれるように、バッグ内を滑らされる。最初に吹送空気の導入のために使用された弁は、今度は圧力を調節するために作動する。空気の一部を排出し、必要な圧力を維持して、チャンバーまたはプローブにより、医療従事者が行う引き出しによってなされる“事実上の押出し”を助けることができる。

図3と4に示す本発明の装置の第二の好ましい実施形態においては、第一の実施形態の円形空気チャンバーが存在しない。当該空気チャンバーは、バッグの端の外表面が当該バッグ1の外表面と接触するときに、バッグ1の折り返し部3の円形内部空洞“d”内に形成される。この表面の接近は、子宮頚部を通過するとき、膣の内壁によって促進される。当該円形空洞“d”に蓄積される空気は、すべての方向に作用するクランプ(360°回転クランプ)の一部として作用する。

図4は、“コンベヤーベルト”現象を示す。

バッグ1は、本発明の好ましい実施形態のいずれにおいても、空洞壁(または、出産の場合、膣壁)“e”に接触する領域に、一定の固定面を与えるのに必要かつ十分なしわを有している。バッグ1の内面はしわを有しないように設計されている。この面は滑らかで、液体またはジェルで処理されて、事実上の“コンベヤーベルト”の滑り機能を助けるようになっている。

取っ手5を引張ると、しわのある面“d”は、物体を収容している穴または空洞に接触する面に付着または連結され、円形の空洞“d”は、全方位に動ける“空気固定クランプ”として作用して、バッグ1の内表面間で“コンベヤーベルト”上を動くように(矢印“f”の向きに)、引出すべき物体を変位させる。

このいわば“コンベヤーベルト”は、引出される物体を内部に保持して、出口通路内での摩擦に対して保護し、物体の引出しを容易にする。コンベヤーベルトの摩擦は装置の壁間で起こるからである。

“空気固定クランプ”は、装置の配置時に形成される天然空気チャンバー(折り返し部に隣接して形成される円形内部空洞“d”)によって形成される。また、この“空気固定クランプ”は出口通路の拡大をも容易にする。

当事者の選択により、二つの好ましい実施形態のうち一つを使用することができる。すなわち、外部圧力生成手段に接続された外部空気チャンバー2付き;外部空気チャンバー2なしで、外部圧力生成手段付き;最後に、外部空気チャンバー2なしで、外部圧力生成手段なし。

本発明の装置は、その二つの好ましい実施形態において、胎児の誕生時に使用することができ、胎児を、子供と母親のどちらにもまったく危険を及ぼすことなく、円形空気チャンバーで支えることができる。特に、この装置は、分娩中の女性に強力な助けを与えることができ、長い体外押出し時に、産科医は、当事者を傷つけうる硬質の機械的器具を使用することなく、胎児の引出しを助けることができる。

さらにまた、本発明の新しいシステムは、必要な技術的十分さをもって、産業の多くの分野で使用することができる。すなわち、大径の管、たとえばガス管、油導管もしくはポリマー導管(poly ducts)、または中径または小径の管、たとえば水、ガス、電話および給電ネットワーク、で使用することができる。

明らかに、本発明を実用に供する場合、特許請求の範囲に明確に述べる本発明の原理から逸脱することなく、製造部品と形状にいくつかの変更を加えることができる。

以上、本発明の特徴と範囲および本発明の実施のやり方について、述べ、説明した。特許請求の範囲においては、本発明の特許請求を行い、排他的所有権を主張する。

本発明の物体の引出しのための装置の第一の好ましい実施形態の斜視図である。 本発明の装置の第一の実施形態の赤ん坊の引出しに対する好ましい使用を示す図である。 本発明の物体の引出しのための装置の第二の好ましい実施形態の斜視図である。 本発明の装置の第二の実施形態の赤ん坊の引出しに対する好ましい使用を示す図である。

1 バッグ
1a 開放端
1b 閉鎖端
2 空気チャンバー
3 折り返し部
4 カニューレまたは管
6 空気ポンプ
7 測定・表示計
8 取っ手
9 円錐体
10 円板
11 ねじの形の部品
a 女性
b 子宮
c 胎児
d 円形内部空洞
e 空洞壁
f 矢印

Claims (11)

1. 一端が開放されていて、当該端から、引出される物体を引き込むことができるバッグを有する、空洞に収容されている物体を引出す装置。
2. バッグの外表面上およびバッグの全周に沿って、少なくとも一つの空気チャンバーを有し、当該チャンバーを、これが内圧を受けるときに、引出される物体と接触させることができ、また当該チャンバーが圧力生成手段に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
3. 当該バッグに外向きの折り返し部が定められ、当該バッグが、引出される物体を収容している空洞と接触するときに、当該折り返し部が環状空洞を形成することを特徴とする請求項1に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
4. 当該折り返し部の内部によって形成される環状空洞が圧力生成手段に接続されることを特徴とする請求項3に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
5. 当該バッグの閉鎖端に、手でつかむ取っ手が存在し、当該装置を引出すための運動を容易にすることを特徴とする請求項1に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
6. 当該取っ手が、ねじを切った軸を受けることのできるねじを切った穴を有する取っ手から成り、当該軸の端に、円筒体が存在し、当該軸上に、協働する円形突起が定められ、当該突起が、当該取っ手そのものとねじを切ったロッドの遠端円板との間に配置された実質的円錐体上に形成される円形溝を有することを特徴とする請求項1に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
7. 当該チャンバーが当該バッグの周囲線を包囲するとき円形になることを特徴とする請求項2に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
8. 当該チャンバーが、当該バッグと引出し取っ手を通過して圧力生成手段に接続するカニューレに接続されることを特徴とする請求項2に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
9. 当該空洞が、当該バッグと引出し取っ手を通過して圧力生成手段に接続するカニューレに接続されることを特徴とする請求項3に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
10. 当該バッグが、引出される物体を収容する空洞の壁に接触する領域に、当該バッグが大きなしわを有し、当該空洞の内壁に対する固定を実現するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。
11. 微細な潤滑ジェルが当該バッグの外表面に塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の空洞に収容されている物体を引出す装置。

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