JP2010533004A - 哺乳動物IgGと結合する単一ドメイン抗原結合タンパク質 - Google Patents
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Abstract
本出願は、哺乳動物IgGと結合できる抗原結合タンパク質に関する。本出願の抗原結合タンパク質のフレームワーク領域は、例えば、ラクダ科動物において見ることができるような、天然に軽鎖を欠く抗体の領域に対応することが好ましい。本出願はさらに、このような抗原結合タンパク質をコードする核酸、このようなタンパク質を含む免疫吸着物質、哺乳動物IgG抗体の精製のため、及び治療的アフェレーシスのためのこのような免疫吸着物質の使用に関する。
Description
本発明は、生化学の分野、特に、免疫グロブリン精製及び抗体技術に関する。本発明は、哺乳動物IgGと結合できるアミノ酸配列、このようなアミノ酸配列を含む、又は本質的にこの配列からなるタンパク質及びポリペプチド、このようなアミノ酸配列、タンパク質又はポリペプチドをコードする核酸、このようなタンパク質及びポリペプチドを含む免疫吸着物質、並びに哺乳動物IgG抗体の精製のためのこのような免疫吸着物質の使用に関する。
哺乳動物IgG抗体、特に、ヒト及び/又はヒト化IgG抗体の効率的、迅速、且つ節約及び費用効率の高い精製は、当技術分野でかなり研究された問題である。新たな抗体ベースの薬剤の出現で、IgGの精製は、抗体ベースの薬剤の製造において、ますます重大で、費用のかかる段階となり、高度の純度を必要とする。さらに、このような抗体は、結合親和性及びエフェクター機能のような生物活性を保持しなくてはならない。
哺乳動物IgG抗体、特に、ヒトIgG又はヒト化IgG抗体の精製に一般に用いられる精製法は、陰イオン/陽イオン交換、サイズ排除/ゲル濾過、沈殿などの従来の生化学的分離及び精製技術の使用並びに特異的親和性リガンドの使用を含む。一般に用いられるリガンドは、細菌由来のタンパク質、プロテインA及びプロテインGである。或いは、プロテインLを用いることもできるが、プロテインLはλ軽鎖とは結合しないので、κ軽鎖を含む免疫グロブリンにしか用いることができない。
プロテインAは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって発現される細菌表面タンパク質である。プロテインAは、ヒトIgG1、IgG2及びIgG4抗体のFc部分上のCH2ドメインとCH3ドメインとの境界の共通部位(Fcγ)を主に認識する。さらに、プロテインAはまた、マウスVHドメインの12%及びヒトVHドメインの50%(ヒトVH−IIIサブクラス)との結合を示す。これらの後者の相互作用は、低い親和性(例えば、ヒトIgG1の<1nMと比較して、VHの±200nM)を有するが、プロテインAは、Fab及び(sc)Fv断片(Igアイソタイプと無関係に)の精製のために使用できる。プロテインAは、プロテインLと同様に、おそらくは、そのVH−III反応性によって誘導される、ヒトBリンパ球上のスーパー抗原として作用する。したがって、精製IgG抗体が治療的利用に意図される場合には、主な安全上の懸念は、精製プロセスの間でのその支持材料からのプロテインAの意図されない脱離の結果として、精製された治療薬中のプロテインAの存在が考えられることである(プロテインA漏出)。多数の刊行物で、プロテインAは、動物モデル及びヒトにおいて毒性及び分裂促進性と関連付けられている(例えば、Bensingerら、J.Biol.Resp.Modif.3、347、1984年;Messerschmidtら、J.Biol.Resp.Modif.3、325、1984年;Terman及びBertram、Eur.J.Cancer Clin.Oncol.21、1115;1985年並びにVenturaら、Hortobagyl.Cancer Treat Rep.71、411、1987年参照のこと)。
さらに、ヒトVH−IIIドメインへのプロテインAの同時結合が、いくつかのIgG抗体間でアフィニティークロマトグラフィーにおける溶出pHの相違をもたらす主な理由である。このような相違は、様々なモノクローナル抗体(Mab)間で精製手順における一貫性の欠如を引き起こすので望ましいものではない。さらに、強固に結合したIgG Mabは、ヒトVH−IIIとプロテインAの同時結合のために、効率的な回収を得るために低いpH値の溶出剤を必要とすることが多い。
プロテインGは、C及びG群連鎖球菌によって発現される細菌表面タンパク質である。プロテインAと同様に、プロテインGも、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4抗体のFc部分上のCH2ドメインとCH3ドメインとの境界の共通部位(Fcγ)を認識する。プロテインAと比較して、より広い範囲のIgG種を認識できる。さらに、プロテインGは、IgGのCH1ドメインとの結合による、IgG抗体のFab部分との結合を示す。CH1に対する結合親和性(±200nM)は、そのFc部分上のエピトープと比較して、やはり大幅に低い。プロテインGは、プロテインAよりも広い反応性プロフィールを有するが、抗体とプロテインGの結合は、より強力であることが多く、これが溶出及び完全な抗体の回収をより難しくする。
大規模工程適用のための、ヒト免疫グロブリン、特に、IgGのアフィニティー精製に最も一般に用いられるリガンドは、プロテインAである。しかし、プロテインAは、IgG3サブクラスのヒト抗体と結合する能力を欠く。さらに、プロテインA及びGは、IgG抗体のFc部分上のCH2−CH3境界と強力に結合する。実験データは、誘導適合が生じることを示し、これによって溶出に必要とされる厳格な条件を説明することができる。これらの厳格な条件は、結合部位のコンホメーションに影響を及ぼし、それによって、精製されたIgG抗体の免疫機能を変化させる可能性がある(Validated Biosystems、Inc 5800Nによって出版されたPurification tools for monoclonal antibodies、P.Gagnon、1996年)。X線結晶解析での測定結果は、CH2ドメインは、プロテインAとの結合によって、CH3ドメインに向かって縦方向に移動され、これが最終的に、CH2ドメイン間の炭水化物領域の部分回転及び不安定化を引き起こし得ることを示している。ゆがみは、IgGがそのエフェクター機能を発揮するのに必要とされる、その後のタンパク質間相互作用に干渉する。抗原結合能に対する厳格な溶出条件(特に、プロテインGについて)の影響の他に、これらの二次的作用が抗体エフェクター機能に干渉し又はそれを変化させ、タンパク質分解に対する免疫グロブリンの感受性を増大させることがある。精製ステップの間に生じる変性、フォールディングの変化及び化学修飾によって引き起こされるエフェクター機能の喪失は、ヒト又はヒト化抗体が治療目的で使用される予定である場合には非常に望ましくないものである。特に、分子内及び分子間硫黄架橋の減少が、精製及び保存の間に生じる問題であることが多い。
プロテインA及びGのようなヒトIgG結合タンパク質に代わるものとして、ヒトIgG抗体のFcドメインと結合できるいくつかのマウスモノクローナル抗体(Mab)が文献に記載されている。(Nelson PNら、「エピトープマッピングによる抗IgGモノクローナル抗体A57Hの特徴付け(Characterisation of anti−IgG monoclonal antibody A57H by epitope mapping)」Biochem Soc Trans 1997年;25:373)。
いくつかの共通Fcエピトープが同定されており、いくつかの例を以下に列挙する:Mab G7C、JD312は、CH2上に結合エピトープを有する、アミノ酸290−KPREE−294。Mab PNF69C、PNF110A、PNF211Cは、CH2−CH3上に結合エピトープを有する、AA:338−KAKGQPR−344.Mab A57Hは、CH3上に結合エピトープ、AA 380−EWESNGQPE−388を示す。マウスモノクローナル又はその他の非ヒト種由来のモノクローナルの使用と関連する問題として、除去することが困難である、精製された調製物の汚染を引き起こすマトリックスからのMabの放出がある。さらに、モノクローナル抗体及びその機能的断片(Fab、Fab2)は容易に変性され、分子の3D構造並びに重鎖及び軽鎖がアラインされるのを維持するS−S架橋は、特に、カラムと結合しているヒトIgGの放出のために必要とされることが多い厳格な溶出条件下で容易に破壊される。親和性リガンドの脆弱性のために、カラムの能力が急速に低下し、カラムは、溶出後に極めて制限された再利用能しか有さず、連続操作に適さない。
EP−A−434317に記載される(sc)Fv断片の代わりに、WO2006/059904に記載される天然に軽鎖を欠く抗体に由来する抗体断片(VHH)を用いて、ヒトIgG抗体の精製のための免疫吸着物質を作製してもよい。これらのVHH断片を使用する利点は、それらが単一ドメインペプチドであり、これらは高温でも極めて安定であることである。さらに、VHHは小さく、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)などの費用効率の高い宿主生物において容易に産生される。さらに、これらのVHH断片とヒトVH−IIIドメインファミリー間の配列類似性のために、免疫原性(immunogenecity)は、プロテインA及びGのような細菌表面タンパク質と比較して極めて低いと予測される。これらの抗体は、EP−A−656946に、より詳細に記載されている。
しかし、WO2006/059904に記載されるアミノ酸配列は、κ又はλアイソタイプのいずれかのヒト抗体の軽鎖と結合するVHH断片に関し、したがって、IgGアイソタイプのみの抗体の選択的精製を可能にするものではない。
本発明者らは、ヒトIgG抗体を含めた哺乳動物IgG抗体を、このようなIgG抗体のFcドメイン中に存在するエピトープの結合によって選択的に精製するための、免疫吸着物質への組込み及び/又はそれとの付着に有用である新規クラスの抗原結合タンパク質を見出した。
第1の態様では、本発明は、哺乳動物IgGと特異的に結合する抗原結合タンパク質に関する。好ましくは、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4の順で作動可能に連結している、4種のフレームワーク領域であるFR1からFR4と、3種の相補性決定領域であるCDR1からCDR3とを含むアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質であって、a)CDR1が、配列番号1〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列か、又は配列番号1〜49と、1若しくは2個のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号50〜98からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80、85、90、95、98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号99〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80、85、90、95、98%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり、各フレームワーク領域が、配列番号148〜196のいずれか1種のフレームワークアミノ酸配列と少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%のアミノ酸同一性を有する抗原結合タンパク質。
好ましい実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、抗体であり、このような抗体又はその断片は、天然に軽鎖を欠く抗体に由来することがより好ましい。天然に軽鎖を欠く抗体は、例えば、ラクダ科動物(例えば、ラマ)又はサメを免疫化することによって得ることができる(さらに以下を参照のこと)。これらの抗体は、重鎖のみを含み、軽鎖を欠いている。このような単一ドメイン重鎖抗体を使用する利点は、それらが高温でも極めて安定であり、小さく、サッカロミセス・セレビシエなどの宿主生物において容易に産生されることである。したがって、本発明の抗原結合タンパク質は、単一のポリペプチド鎖中に標的分子上のエピトープに対する完全な抗原結合部位を含む免疫グロブリン由来可変ドメインを含むことが好ましい。このような抗原結合タンパク質として、それだけには限らないが、
1)重鎖のみからなり、天然に軽鎖を欠く、ラクダ科動物及びサメから得ることができる抗体、
2)通常、VHHドメインと呼ばれる、1)で定義される抗体の可変ドメイン、
3)1)で定義される抗体又は2)中のドメインの遺伝子操作された形、例えば、ラクダ科動物(又はサメ)VHHドメインのフレームワーク配列がその他の供給源から得られたCDRでグラフトされている「ラクダ科動物化(camelidised)」抗体、
4)例えば、WO04/108749に記載されるような、様々な免疫グロブリン様分子由来のフレームワーク配列が、所与の標的分子に特異的なCDRと組み合わされている、免疫グロブリン様可変ドメインの遺伝子操作された形
を具体的に挙げられる。
1)重鎖のみからなり、天然に軽鎖を欠く、ラクダ科動物及びサメから得ることができる抗体、
2)通常、VHHドメインと呼ばれる、1)で定義される抗体の可変ドメイン、
3)1)で定義される抗体又は2)中のドメインの遺伝子操作された形、例えば、ラクダ科動物(又はサメ)VHHドメインのフレームワーク配列がその他の供給源から得られたCDRでグラフトされている「ラクダ科動物化(camelidised)」抗体、
4)例えば、WO04/108749に記載されるような、様々な免疫グロブリン様分子由来のフレームワーク配列が、所与の標的分子に特異的なCDRと組み合わされている、免疫グロブリン様可変ドメインの遺伝子操作された形
を具体的に挙げられる。
本発明の好ましい抗原結合タンパク質では、完全な抗原結合能を含む可変ドメインの単一ポリペプチド鎖は、当技術分野において、また本明細書において、それぞれ、「フレームワーク領域1」又は「FR1」、「フレームワーク領域2」又は「FR2」、「フレームワーク領域3」又は「FR3」、及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」と呼ばれる4種のフレームワーク領域又は「FR」を含み、これらのフレームワーク領域が、当技術分野では、それぞれ、「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「相補性決定領域2」又は「CDR2」及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」と呼ばれる3種の相補性決定領域又は「CDR」によって割り込まれていると考えられ得るアミノ酸配列及び構造を有することが好ましい。これらのフレームワーク領域及び相補性決定領域は、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4の順で(アミノ末端からカルボキシ末端へ)作動可能に連結していることが好ましい。
完全な抗原結合能を有する可変ドメイン中のアミノ酸残基の総数は、110〜135の域中であり得、115〜129の域中であることが好ましい。しかし、本発明に従う完全な抗原結合能を有する可変ドメインは、ドメインが、本明細書に概説されるさらなる機能的必要条件を満たす、及び/又は、本明細書に記載される目的上適しているので、その長さ及び/又は大きさに関して特に制限されない。完全な抗原結合能を有する可変ドメインのアミノ酸残基は、Riechmann及びMuyldermansによって(1999年、J.Immunol.Methods 231(1−2):25〜38頁、例えば、前記参考文献の図2参照のこと)及びHarmsenらによって(2000年、Molecular Immunology 37:579〜590頁、例えば、前記参考文献の図1参照のこと)ラクダ科動物由来のVHHドメインに適用されるように、Kabatらによって与えられるVHドメインの一般的な番号付けに従って番号付けされている(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services、NIH Bethesda、MD、出版物番号91)。
完全な抗原結合能を有する可変ドメインにおけるこの番号付けによれば、FR1は、位置1〜25のアミノ酸残基を含み、CDR1は、位置26〜35のアミノ酸残基を含み、FR2は、位置36〜49のアミノ酸を含み、CDR2は、位置50〜64のアミノ酸残基を含み、FR3は、位置65〜94のアミノ酸残基を含み、CDR3は、位置95〜102のアミノ酸残基を含み、最後に、FR4が、位置103〜113のアミノ酸残基を含む。
この点において、VHドメイン及びVHHドメインについて当技術分野で周知のとおり、各CDR中のアミノ酸残基の総数は異なる場合があり、Kabat番号付けによって示されるアミノ酸残基の総数と対応しない場合があるということに留意されたい。しかし、当業者ならば、フレームワーク領域の保存されたアミノ酸に基づいて、113個のアミノ酸以外の長さを有する完全な抗原結合能を有する可変ドメインについて、Kabat定義に従って、それぞれのフレームワーク及び相補性決定領域をアラインできるであろう。その例が、本明細書においてIgG−Fc 1〜49のアミノ酸配列中の相補性決定領域の定義に示されている。ラクダ科動物由来のVHHドメイン、及び完全な抗原結合能を有する可変ドメインに類似の形で適用することもできる、VHドメインのアミノ酸残基を番号付けるための代替法は、Chothiaらによって記載される方法(Nature 342、877〜883頁(1989年))、いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」又はIMGT番号付けシステム(Lefrancら、1999年、Nucl.Acids Res.27:209〜212頁)である。
本発明の好ましい抗原結合タンパク質では、完全な抗原結合能を有する可変ドメインのフレームワークアミノ酸配列は、配列番号148〜196のうちいずれか1種のフレームワークアミノ酸配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%のアミノ酸同一性を有することが好ましい。
より好ましくは、完全な抗原結合能を含む可変ドメインの単一ポリペプチド鎖のFR1、FR2、FR3及びFR4の各位置に存在する(Kabatの番号付けに従って)アミノ酸残基は、FR1、FR2、FR3及びFR4について表1〜4に示されるとおりであることが好ましい。したがって、完全な抗原結合能を有する可変ドメインのフレームワークアミノ酸残基は、天然に存在するラクダ科動物VHHドメインのFR1、FR2、FR3及びFR4の各位置に存在し得る(Kabatの番号付けに従って)表1〜4中の限定されない残基から選択されることが好ましい(データは特許WO2006/040153 PCT/EP2005/011018から取り出した)。しかし、完全な抗原結合能を有する可変ドメインのフレームワークアミノ酸残基は、哺乳動物IgGと特異的に結合する抗原結合タンパク質の、配列番号148〜196のうちいずれか1種のアミノ酸配列のFR1、FR2、FR3及びFR4の各位置に存在する(Kabatの番号付けに従って)表1〜4中のアミノ酸残基から選択されることがより好ましい。各位置について、各位置で最も頻繁に出現するアミノ酸残基が、表1〜4中太字で示されている。
したがって、本発明の好ましい実施形態では、表1〜4中に記載される位置に存在するアミノ酸残基に基づいて、本発明の抗原結合タンパク質中の完全な抗原結合能を含む可変ドメインのアミノ酸配列は、以下の構造を有し得る:
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
[式中、FR1は、
a)[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAAS[25](配列番号197)、
b)a)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
c)表1中に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するa)のアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、
FR2は、アミノ酸配列:
d)[36]WFRQAPGKEREFVA[49](配列番号198)、
e)d)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
f)表2に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するd)のアミノ酸配列
からなる群から選択され、
FR3は、アミノ酸配列:
g)[65]GRFTISRDNAKNTVYLQMDSLKPEDTAVYSCAA[94](配列番号199)、
h)g)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
i)表3に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するg)のアミノ酸配列
からなる群から選択され、
FR4は、アミノ酸配列:
j)[103]WGQGTQVTVSS[113](配列番号200)、
k)j)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
l)表4に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するj)のアミノ酸配列
からなる群から選択される]。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
[式中、FR1は、
a)[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAAS[25](配列番号197)、
b)a)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
c)表1中に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するa)のアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、
FR2は、アミノ酸配列:
d)[36]WFRQAPGKEREFVA[49](配列番号198)、
e)d)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
f)表2に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するd)のアミノ酸配列
からなる群から選択され、
FR3は、アミノ酸配列:
g)[65]GRFTISRDNAKNTVYLQMDSLKPEDTAVYSCAA[94](配列番号199)、
h)g)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
i)表3に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するg)のアミノ酸配列
からなる群から選択され、
FR4は、アミノ酸配列:
j)[103]WGQGTQVTVSS[113](配列番号200)、
k)j)中の配列と、少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列、及び/又は
l)表4に定義される1つ又は複数のアミノ酸置換を有するj)のアミノ酸配列
からなる群から選択される]。
別の好ましい実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、表5の行の1つにおいて示されるようなCDR1、CDR2及びCDR3の組合せを含み、フレームワーク領域(FR1〜FR4)は、上記で定義されるフレームワーク領域(FR1〜FR4)のいずれであってもよい。より好ましくは、本発明の抗原結合タンパク質は、表5の行の1つにおいて示されるようなCDR1、CDR2及びCDR3の組合せを含み、抗原結合タンパク質が、表5の対応する行の最後のセル中に提供される配列に対して少なくとも90、95、98、99又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。
本発明の抗原結合タンパク質は、所望の結合親和性(本明細書に定義される)で標的分子と特異的に結合する成分である。本発明の抗原結合タンパク質は、単一特異性抗原結合タンパク質であることが好ましい。単一特異性抗原結合タンパク質、例えば、本発明の免疫吸着(immunoadsorbant)物質を含む組成物は、抗原結合タンパク質の均一な集団を有する組成物を意味すると理解される。したがって、単一特異性抗原結合タンパク質は、単一のエピトープ又はリガンドに対して特異的であるということになる。しかし、免疫吸着(immunoadsorbant)物質は、各々、均一な集団からなる、2以上の種類の単一特異性抗原結合タンパク質を含み得るということが本発明に含まれることは明らかである。しかし、通常、本発明との関連で、免疫吸着(immunoadsorbant)物質は4、6、8、10又は20種を超える様々な単一特異性抗原結合タンパク質を含まない。抗原結合タンパク質は、通常、抗体又はその断片であり、したがって、その場合には、単一特異性抗原結合タンパク質は、モノクローナル抗体又はその断片であり、これは、クローニングされた細胞系(例えば、ハイブリドーマ)から得てもよく、クローニングされたコード配列から発現させてもよい。したがって、本明細書で使用される場合、用語単一特異性抗原結合タンパク質は、ポリクローナル抗体及び抗血清を排除する。
特異的標的分子(抗原決定基、エピトープ、抗原又はタンパク質)と結合でき、それに対して親和性を有し、及び/又はそれに対して特異性を有する本発明の抗原結合タンパク質は、前記標的分子「に対するものである」又は「を対象とする」と言われる場合もある。用語「特異性」とは、特定の抗原結合タンパク質分子が結合できる、様々な種類の抗原又は抗原決定基の数を指す。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/又は結合活性に基づいて決定できる。抗原と抗原結合タンパク質との解離についての平衡定数(KD)によって表される親和性は、抗原決定基と抗原結合タンパク質上の抗原結合部位間の結合強度の尺度である。或いは、親和性はまた、1/KDである親和性定数(KA)として表される場合もある。親和性は、注目する抗原結合タンパク質及び抗原の特定の組合せに応じて、それ自体公知の方法で決定できる。本明細書において、結合活性は、標的分子と、結合作用物質の大きな複合体による複数の結合部位との結合の強度、即ち、多価結合の結合の強度を指すと理解される。結合活性は、抗原決定基と抗原結合分子上のその抗原結合部位との親和性及び抗原結合分子上に存在する結合部位の数の両方と関連している。他方、親和性とは、簡単な一価受容体リガンド系を指す。
通常、本発明の抗原結合タンパク質は、約10−5〜10−12M以下、好ましくは、10−7〜10−12M以下、より好ましくは、10−8〜10−12M以下の解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも10−7M、好ましくは、少なくとも10−8M、より好ましくは、少なくとも10−9M、例えば、少なくとも10−10、10−11、10−12M以上の結合親和性で標的分子と結合する。通常、10−4Mを超える(即ち、100μM未満)任意のKD値が、非特異的結合を示すと考えられる。本発明のポリペプチドは、所望の抗原と、500nM未満、好ましくは、200nM未満、より好ましくは、10nM未満、例えば、500pM未満の親和性で結合することが好ましい。抗原結合タンパク質と抗原又は抗原決定基との特異的結合は、例えば、スキャッチャード解析法及び/又はラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫測定法(EIA)及びサンドイッチ競合アッセイなどの競合結合アッセイ及び当技術分野でそれ自体公知であるそれらの様々な変法をはじめとするそれ自体公知である任意の適した方法で決定できる。好ましい実施形態では、本発明の抗原結合タンパク質は、所望の抗原と上記で定義される親和性で結合するが、この親和性は、穏やかな溶出条件下での抗原結合タンパク質からの抗原の効率的な放出と組み合わせる。
穏やかな溶出条件とは、本明細書において、その下で活性及び/又は完全性(例えば、二次/三次構造)がわずかしか影響を受けない(例えば、10%未満の不活性又は変性)、好ましくは、抗原の活性及び/又は完全性において検出可能な低減がない条件であると理解される。このような穏やかな溶出条件の例として、例えば、本明細書において以下に明記される酸性条件、例えば、0.1M グリシン pH3.0又はpH4.0、0.1M アルギニン pH4.0又はpH5.0が挙げられる。(ほぼ)中性pHの穏やかな溶出条件のその他の例として、例えば、2M NaCl(例えば、20mM Tris pH8.0中)に相当する条件などの高イオン強度又はエチレングリコール若しくはプロピレングリコールなどのカオトロピック剤(例えば、20mMイミダゾール、10mM CaCl2、0.01% Tween80、250mM NaCl、pH7.0中、40〜60%、好ましくは、約50%(v/v))が挙げられる。上記の穏やかな溶出条件下で抗原を放出する本発明の抗原結合タンパク質の例として、a)CDR1が、配列番号1〜9及び16からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号1〜9及び16と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号50〜58及び65からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号50〜58と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号99〜107からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号99〜107及び114と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有する抗原結合タンパク質が挙げられる。抗原結合タンパク質は、配列番号148〜156及び163からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
エピトープは、抗原結合タンパク質によって結合される標的分子の部分として定義される。抗原結合タンパク質が抗体である場合には、エピトープは、個々の脊椎動物宿主をこの分子で免疫化する際に免疫学的反応を引き起こす標的分子の部分である。一般に、抗体との結合が起こる標的分子の部位である。エピトープは、標的分子中に天然に存在することが好ましい。場合により、エピトープ(単数又は複数)は、標的分子中に人為的に含められた配列である。場合により、多数の同一又は異なるエピトープが、標的分子中に、その精製及び検出を容易にするよう含まれている。
本明細書において、標的分子は、結合作用物質、好ましくは、本発明の抗原結合タンパク質によって結合されるべき分子として定義される。標的分子は、精製を必要とするタンパク質又は検出若しくは同定されるべきタンパク質であり得る。本発明との関連で好ましい標的分子として、哺乳動物IgGがある。抗原結合タンパク質は、哺乳動物免疫グロブリンのFc(結晶化可能断片)ドメインと結合することが好ましい。抗原結合タンパク質は、哺乳動物IgGのFc(結晶化可能断片)ドメインと結合し、IgD、IgA、IgM又はIgEクラスの哺乳動物免疫グロブリンと結合しないことがより好ましい。本明細書において、第1の種類の標的分子と結合するが第2の種類の標的分子と結合しない抗原結合タンパク質は、第1及び第2の種類の標的分子それぞれに対して、少なくとも100、1000、10,000又は100,000の倍数の解離定数の相違を有すると理解される。抗原結合タンパク質は、哺乳動物免疫グロブリンのFab(抗原結合断片)ドメインと結合しないことが好ましい。抗原結合タンパク質と哺乳動物免疫グロブリンの結合及びその後の免疫グロブリンの溶出は、哺乳動物免疫グロブリンのエフェクター機能に影響を及ぼさないことが好ましい。また、抗原結合タンパク質と哺乳動物免疫グロブリンの結合及びその後の免疫グロブリンの溶出は、哺乳動物免疫グロブリン分子とその所定の抗原との結合を低減、阻害せず、又はその他の形でこれに影響を及ぼさないことも好ましい。
哺乳動物IgG分子のFcドメインと結合する本発明の抗原結合タンパク質は、好ましくは、a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも10−7M、10−8M又は10−9Mの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、b)抗原結合タンパク質が、少なくとも0.5、0.8、1.0g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができること、c)抗原結合タンパク質が、NHS担体1mlあたり20mg抗原結合タンパク質の密度で150cm/hの流速を用いてNHS活性化担体(好ましくは、セファロース4Bファーストフロー)にカップリングされると、少なくとも2、5又は10mgのヒトIgG/担体1mlの動的結合能を有すること、d)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、c)に定義されるように参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH2.0を用いて、少なくとも90、95又は99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、e)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、c)に定義されるように参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH3.0を用いて、少なくとも70、75又は80%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、f)c)に定義されるように参照NHS担体にカップリングされると、抗原結合タンパク質が、20回の定置洗浄サイクル後に少なくとも70、75又は80%の残存動的結合能を保持し、各定置洗浄サイクルにおいて、参照NHS担体とカップリングされる抗原結合タンパク質が、0.05M NaOH及び0.5M NaClと150cm/hの流速で15分間接触すること、並びにg)抗原結合タンパク質が、担体上に、且つ/又は標準カップリング化学反応(例えば、NHS又はCNBr活性化担体)を介して担体上に固定化され得、IgG結合の機能性を依然として保持し(即ち、c)に定義される動的結合能を有する)、抗原結合タンパク質のN及び/又はC末端に遺伝的に組み込まれるさらなるタグ又はリンカーを必要としないことからなる群から選択される1つ又は複数の特性を有する抗原結合タンパク質である。抗原結合タンパク質は、前記特性のうち少なくとも4、5、6つ又はすべてを有することがより好ましい。便宜上、本明細書を通じて、「参照NHS担体」への言及は、上記のc)で定義されるNHS担体1mlあたり20mgの抗原結合タンパク質の密度のNHS活性化担体(好ましくは、セファロース4Bファーストフロー)を指す。
本発明の好ましい抗原結合タンパク質は、ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ又はウシ起源のIgG分子とは結合しない。好ましい抗原結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4分子のうち1種又は複数と結合し、より好ましくは、抗原結合タンパク質は、4種のヒトIgGサブクラスのすべてと結合する。ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ又はウシ起源のIgG分子とは結合しない抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38、43及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38、43及び44と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87、92及び93からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87、92及び93と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136、141及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136、141及び142と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有する抗原結合タンパク質であることが好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号148〜162、164〜172、178〜183、185、190及び191からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明のより好ましい抗原結合タンパク質は、ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ、ウシ又はヤギ(caprine)(ヤギ(goat))起源のIgG分子とは結合しない。抗原結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4分子のうち1種又は複数と結合することが好ましく、抗原結合タンパク質は、4種のヒトIgGサブクラスのすべてと結合することがより好ましい。ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ、ウシ又はヤギ起源のIgG分子とは結合しない抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38及び44と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87及び93からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87及び93と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136及び142と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有する抗原結合タンパク質であることが好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号148〜162、164〜172、178〜183、185及び191からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明のさらにより好ましい抗原結合タンパク質は、ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ、ウシ、ヤギ、ラット、シリアンハムスター、モルモット、イヌ、ネコ又はヒツジを起源とするIgG分子とは結合しない。抗原結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4分子のうち1種又は複数と結合することが好ましく、抗原結合タンパク質は、4種のヒトIgGサブクラスのすべてと結合することがより好ましい。抗原結合タンパク質は、a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも5nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、b)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH2.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、c)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH3.0を用いて、少なくとも80%の収率で抗原結合タンパク質から回収されることからなる群から選択される1つ又は複数の特性を有することがさらに好ましい。より好ましくは、抗原結合タンパク質は、前記特性のうち少なくとも2又は3を有することが好ましい。このような抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号1〜15からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号1〜15と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号50〜64からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号50〜64と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号99〜113からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号99〜113と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有することがさらに好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号148〜162からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明の最も好ましい抗原結合タンパク質は、ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ、ウシ、ヤギ、ラット、シリアンハムスター、モルモット、イヌ、ネコ又はヒツジを起源とするIgG分子とは結合しない。抗原結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4分子のうち1種又は複数と結合することが好ましく、抗原結合タンパク質は、4種のヒトIgGサブクラスのすべてと結合することがより好ましい。抗原結合タンパク質は、a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも5nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、b)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH3.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、c)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH4.0を用いて、少なくとも95%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、d)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1〜0.2Mアルギニン、pH3.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、e)100回の定置洗浄サイクル後に少なくとも90、95又は100%の残存動的結合能を保持し、各定置洗浄サイクルにおいて、参照NHS担体にカップリングされている抗原結合タンパク質が、0.1M NaOHと150cm/hの流速で15分間接触すること、及びf)40回の定置洗浄サイクル後に少なくとも80%の残存動的結合能を保持し、各定置洗浄サイクルにおいて、参照NHS担体にカップリングされている抗原結合タンパク質が、0.2M NaOHと150cm/hの流速で15分間接触することからなる群から選択される1つ又は複数の特性を有することがさらに好ましい。より好ましくは、抗原結合タンパク質は、前記特性のうち少なくとも2、3、4、5又は6を有することが好ましい。このような抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号1〜9からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号1〜9と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号50〜58からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号50〜58と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号99〜107からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号99〜107と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有することがさらに好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号148〜156からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明の別のより好ましい抗原結合タンパク質は、ヒトIgG分子のFcドメインと結合するが、ネズミ、ウシ、ヤギ、ラット、シリアンハムスター、モルモット、イヌ、ネコ又はヒツジを起源とするIgG分子とは結合しない。抗原結合タンパク質は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4分子のうち1種又は複数と結合することが好ましく、抗原結合タンパク質は、4種のヒトIgGサブクラスのすべてと結合することがより好ましい。抗原結合タンパク質は、a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも3nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、及びb)抗原結合タンパク質が、少なくとも1.2g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができることからなる群から選択される1つ又は複数の特性を有することがさらに好ましい。より好ましくは、抗原結合タンパク質は、前記特性の両方を有することが好ましい。このような抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号10〜15からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号10〜15と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号59〜64からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号59〜64と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号108〜113からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号108〜113と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有することがさらに好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号157〜162からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明の好ましい別の抗原結合タンパク質は、ヒト、ネズミ及びウシからなる群から選択される少なくとも2つの異なる種に由来するIgG分子のFcドメインと結合する。このような好ましい別の抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号16、26〜30、37、42及び47〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号16、26〜30、37、42及び47〜49と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号65、75〜79、86、91及び96〜98からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号65、75〜79、86、91及び96〜98と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号114、124〜128、135、140及び145〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号114、124〜128、135、140及び145〜147と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有することが好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号163、173〜177、184、189及び194〜196からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明のより好ましい別の抗原結合タンパク質は、ヒト、ネズミ、ウシ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、霊長類(そのうち、少なくともチンパンジー及びアカゲザル)、ロバ及びウマ由来のIgG分子のFcドメインと結合する。このような好ましい別の抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号16、28〜30、37、42及び47〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号16、28〜30、37、42及び47〜49と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号65、77〜79、86、91及び96〜98からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号65、77〜79、86、91及び96〜98と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号114、126〜128、135、140及び145〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号114、126〜128、135、140及び145〜147と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有することが好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号163、175〜177、184、189及び194〜196からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
本発明の最も好ましい別の抗原結合タンパク質は、ヒト、ウシ、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、霊長類(チンパンジー、アカゲザル)、ロバ、ウマ、ヤギ、シリアンハムスター、モルモット由来のIgG分子のFcドメインと結合する「多種抗原結合タンパク質」である。この抗原結合タンパク質は、肉食動物目、偶蹄目及び奇蹄目、霊長類、げっ歯類及びウサギ目(ウサギを含む)内の種のうち少なくともいくつか、好ましくはすべてに由来するIgG分子のFcドメインと結合することがより好ましく、この抗原結合タンパク質は、すべての哺乳動物種に由来するIgG分子のFcドメインと結合することが最も好ましい。抗原結合タンパク質は、a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも20nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、b)抗原結合タンパク質が、少なくとも2.5g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができること、及びc)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1M グリシン、pH3.0又は0.2M アルギニン、pH3.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されることからなる群から選択される1つ又は複数の特性を有することがさらに好ましい。抗原結合タンパク質は、前記特性のうち少なくとも2又は3を好ましくは有することがより好ましい。最も好ましい別の抗原結合タンパク質は、a)CDR1が、配列番号16、28〜30及び48からなる群から選択されるアミノ酸配列又は配列番号16、28〜30及び48と4、3、2若しくは1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号65、77〜79及び97からなる群から選択されるアミノ酸配列又は配列番号65、77〜79及び97と6、5、4、3、2若しくは1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号114、126〜128及び146からなる群から選択されるアミノ酸配列又は配列番号114、126〜128及び146と6、5、4、3、2若しくは1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有することが好ましい。抗原結合タンパク質は、配列番号163、175〜177及び195からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
一実施形態では、本発明は、特定の形の本発明の抗原結合タンパク質:多価抗原結合タンパク質に関する。多価抗原結合タンパク質は、本明細書において上記で定義される少なくとも2種の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列を含む。少なくとも2種の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列は、各々異なっていてもよく、同一、例えば、1種のアミノ酸配列のコピー又は反復であってもよい。少なくとも2種の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列は通常、head−to tail、即ち、最もN末端にある配列のC末端が第2の配列のN末端と融合する状態などで融合する。少なくとも2種の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列は、融合して直接連結していてもよく、リンカー又はスペーサーを介して連結していてもよい。本発明の多価抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質の2種以上のコード配列が、同一リーディングフレーム中に一緒に作動可能に連結している、多価タンパク質をコードするヌクレオチド配列の発現によって産生され得る。当業者ならば、タンパク質をコードする配列を作動可能に融合する方法を承知しているであろう。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に定義される抗原結合タンパク質のアミノ酸配列が、治療タンパク質のアミノ酸配列と融合している融合タンパク質に関する。2種のアミノ酸配列は、遺伝子融合によって一緒になって連結されることが好ましく、これでは、それぞれのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列は、当技術分野においてそれ自体公知の手段によってインフレームで一緒に作動可能に連結される。アミノ酸配列は直接連結していてもよく、場合により、スペーサー又はリンカーアミノ酸配列を介していてもよい。治療タンパク質と融合された、本発明の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列を含む融合タンパク質は、タンパク質の血清半減期を増大するのに有用である。注射される生物治療薬は、投与後、血液循環から迅速に除去され、有効な治療レベルを維持するために高用量又は頻繁な投与を必要とする場合がある。これらの問題を克服するために、生物学的治療用タンパク質又はペプチドを、IgGなどの循環血清タンパク質と結合し、そのバイオアベイラビリティを増強することができる。本発明では、生物学的治療用タンパク質又はペプチドは、生物学的治療用タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列を、本発明の抗原結合タンパク質のものと融合することによって、循環IgGと結合される。これによって融合された生物学的治療用タンパク質又はペプチドのバイオアベイラビリティが増強される。本発明の抗原結合タンパク質と生物学的治療薬との遺伝子融合は、IgGのFcドメインに向けられた結合部分を提供し、血清における生物学的治療薬の半減期の増大をもたらし得る。Harmsenら、(2005年、Vaccine23(41)、4926〜42頁)によって、ブタIgGと結合するVHHとの融合物による、治療の可能性を有するモデルVHHとブタIgGとの結合が、ブタIgGと結合しなかった対照融合物VHHと比較した、モデルVHHのin vivo滞留の増大をもたらしたと実際に報告されている。血清半減期を改善するこの方法は、原則として、例えば、抗原(ワクチン接種のため)、酵素(酵素補充療法のため)、ホルモン、キモカイン(chymokines)、インターロイキン、(ヒト化)モノクローナル抗体などをはじめとする任意の生物学的治療用タンパク質に適用できる。
別の態様では、本発明は、本明細書において上記で定義される抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸に関する。本発明の好ましい核酸は、抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列が、プロモーターと、場合により、例えば、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、分泌のためのシグナル配列などといったその他の調節エレメントと作動可能に連結している核酸構築物である。このような核酸構築物は、例えば、Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、Greene Publishing and Wiley−Interscience、New York(1987年)に、またSambrook及びRussell(2001年)「Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York)に記載される、注目する抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列が適した宿主細胞において発現される組換え技術を用いる本発明の抗原結合タンパク質の産生にとって特に有用である。本明細書において、用語「作動可能に連結している」とは、機能的な関係でのポリヌクレオチド成分の連結を指す。核酸は、別の核酸配列と機能的な関係におかれている場合に「作動可能に連結している」。例えば、プロモーター又はエンハンサーは、コード配列の転写に影響を及ぼす場合にコード配列と作動可能に連結している。作動可能に連結しているとは、連結されているDNA配列が、通常、隣接しており、必要に応じて、2種のタンパク質をコードする領域を接続しており、隣接し、リーディングフレームにあることを意味する。
さらなる態様では、本発明は、上記で定義される核酸を含む宿主細胞に関する。宿主細胞は、本発明の抗原結合タンパク質を製造するための宿主細胞であることが好ましい。宿主細胞は、例えば、大腸菌(E.coli)などの原核生物の宿主細胞又は例えば、CHO細胞、BHK細胞、ヒト細胞系(HeLa、COS及びPER.C6を含む)、Sf9細胞及びSf+細胞をはじめとする、(培養された)哺乳動物、植物、昆虫、真菌若しくは酵母宿主細胞を含めた、本発明の抗原結合タンパク質を産生できる任意の宿主細胞であり得る。しかし、本発明の抗原結合タンパク質の製造にとって好ましい宿主細胞は、酵母及び糸状菌などの真核微生物の細胞である。例えば、好ましい酵母宿主細胞として、例えば、サッカロミセス・セレビシエ、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)及びクルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)が挙げられる。本発明の抗原結合タンパク質を製造するための好ましい株、構築物及び発酵条件は、van de Laarら(2007年、Biotechnology and Bioengineering、第96巻、第3号:483〜494頁)に記載されている。例えば、抗原結合タンパク質の製造は、10から10,000リットルの間の可動範囲の標準的バイオリアクターにおいて実施できる。溶存酸素は、羽根車速度の自動調整によって制御できる。pHは、リン酸及びアンモニアガス又はアンモニア溶液を用いて制御でき、温度は、例えば、冷却用ジャケット及び加熱用ジャケットによって制御する。オフガスを、エタノール濃度、rO2及びrCO2に関して分析する。バッチ相は、3%〜8%の十分に増殖した接種菌液を添加することによって開始する(例えば、30℃、0.3〜0.4VVM空気、DO2最小30%、pH5.0)。バッチ相においてオフガス中のエタノール濃度が低下している場合には、エタノール発酵を開始してよい。パルス化供給プロフィールに従って供給を適用し、要求される限界内にエタノールレベルを維持できる。供給相は、21℃、0.7〜1.1VVM空気で実施できる。エタノール発酵の間に、DO2が0%に低下し、蓄積されたエタノールをパルス化供給プロフィールによってさらに制御できる。供給相は、エタノール供給が枯渇した時点で停止する。ブロスは、バイオマス回収などのようなさらなる処理まで5〜10℃の間の温度に冷却できる(VVM=バッチの容積あたり、1分あたりの空気の容積)。これに関連して、本明細書において、本発明者らが、本発明の抗原結合タンパク質が特定の最小発現レベルでの酵母における発現によって得ることができるとする場合にはいつでも、このレベルは、本明細書の例1.1に記載される方法を用いて得られることも理解され、それによれば、抗原結合タンパク質(発酵の最後での)の(最大)濃度「g/L」は、1リットルの細胞不含(即ち、例えば、濾過によってバイオマスを除去した後の)ブロスあたりの分泌された抗原結合タンパク質の量(グラム単位)を指す。
少なくとも1.2g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができる本発明の抗原結合タンパク質の例として、a)CDR1が、配列番号10〜16からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号10〜16と4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、b)CDR2が、配列番号59〜65からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号59〜65と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、c)CDR3が、配列番号108〜114からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号108〜114と6、5、4、3、2又は1個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、本明細書において上記で定義される構造を有する抗原結合タンパク質が挙げられる。抗原結合タンパク質は、配列番号157〜163からなる群から選択されるアミノ酸配列を有することがより好ましい。
したがって、さらにもう1つの態様では、本発明は、a)抗原結合タンパク質の発現につながる条件下で、上記で定義される宿主細胞を培養するステップと、場合により、b)少なくとも1種の宿主細胞及び培養培地から抗原結合タンパク質を精製するステップとを含むことが好ましい、本発明の抗原結合タンパク質を製造する方法に関する。適した条件として、適した培地の使用、餌の適した供給源及び/又は適した栄養分の存在、適した温度及び場合により、適した誘導因子又は化合物の存在(例えば、本発明のヌクレオチド配列が誘導プロモーターの制御下にある場合)を挙げることができ、そのすべてが当業者によって選択され得る。このような条件下で、本発明のアミノ酸配列は、構成的に、一時的に発現されるか、又は適宜誘導される場合にのみ発現され得る。次いで、本発明の抗原結合タンパク質は、(分取)クロマトグラフィー及び/又は電気泳動技術、差次的沈殿(differential precipitation)技術、親和性技術(例えば、本発明のアミノ酸配列と融合している、特異的、切断可能アミノ酸配列を用いる)及び/又は分取免疫学的技術(即ち、単離されるべき抗原結合タンパク質に対する抗体を用いる)などのそれ自体公知であるタンパク質単離及び/又は精製技術を用いて宿主細胞/宿主生物から、及び/又は前記宿主細胞又は宿主生物が培養された培地から単離できる。
一態様では、本発明はまた、本明細書に定義される抗原結合タンパク質を含む組成物に関する。その好ましい実施形態として、抗原結合タンパク質を含む免疫吸着物質がある。本明細書において、免疫吸着物質は、担体と担体上に固定化されている抗原結合タンパク質の組合せを意味すると理解される。免疫吸着物質では、抗原結合タンパク質は担体上に固定化されていることが好ましく、抗原結合タンパク質は、共有結合によって担体上に固定化されていることがより好ましい。担体は、抗原結合タンパク質の固定化に使用され得る任意の物質であり得る。適した例として、結合作用物質を捕捉するためのマトリックス物質、結合作用物質が提示されている細胞表面及び共有結合によって結合作用物質と連結され得るポリマーがある。アフィニティークロマトグラフィーの当業者ならば、例えば、多孔質固相担体物質、例えば、アガロース、ポリスチレン、細孔制御ガラス、セルロース、デキストラン、キーゼルグール、セファロース(商標)などの合成ポリマー、多孔質非結晶性シリカなどの適した担体を十分に承知している。担体物質は、粒子、粉末、シート、ビーズ、フィルターなどといった任意の適した形式であり得る。適した担体物質のさらなる詳述は、例えば、EP−A−434317に開示されている。選択された官能基によってリガンドを迅速に、容易に、安全に固定化する方法が利用可能である。カップリング法の正しい選択は、固定化される物質に応じて変わる。例えば、以下のセファロース(商標)の商業的に知られている誘導体によって、その上にタンパク質を都合よく固定化することが可能となる:CNBr活性化セファロース(商標)4Bは、第一アミノ基を含有するリガンドが自発的な反応によって迅速に固定化されるのを可能にする。AH−セファロース(商標)4B及びCH−セファロース(商標)4Bは両方とも、6個の炭素の長さのスペーサーアームを有し、それぞれ、カルボキシル基及びアミノ基を介したカップリングを可能にする。柔軟なスペーサーは、標的分子の柔軟性が限定されている状況又は標的の3次元構造が、最適結合を可能にするために結合作用物質のいくらかの柔軟性を必要とする状況で使用するのに適している。活性化CH−セファロース(商標)4Bは、6炭素スペーサーアーム及びアミノ基による自発的カップリングのための活性エステルを提供する。これらは、適した固定化経路のほんの数例である。場合により、免疫吸着物質をカラムに入れて、容易なクロマトグラフィーによる分離を促進してもよい。
なおさらなる態様では、本発明は、哺乳動物IgG分子を精製する方法に関する。この方法は、a)標的分子、例えば、哺乳動物IgG分子を含む組成物を、本発明の抗原結合タンパク質を含む免疫吸着物質と、好ましくは標的分子と免疫吸着物質の結合を可能にする条件下で接触させるステップと、b)場合により、1又は複数の洗浄ステップを実施するステップと、c)標的分子と免疫吸着物質との親和性を低減する条件下で、結合している標的分子を溶出するステップと、d)場合により、標的分子をさらに処理するステップとを含むことが好ましい。
標的分子を含む組成物は、精製されるべき標的の他に多数のその他のタンパク質を含む水性組成物であることが多い。接触ステップの条件は、結合作用物質と標的分子の結合が生じるようなものであることが好ましい。このステップでは、6.5〜8辺りのpHを有するローディングバッファーが用いられることが好ましい。適したバッファーとは、例えば、PBSバッファー又は類似のバッファー、生理学的イオン強度及びpHである。ロードされる物質は、非特異的結合物質が溶出されるまで洗浄されることが好ましい。これは、通常、ローディングバッファーと同一であってもよい、適したバッファーですすぐことによって実施される。標的分子の脱離又は溶出が、次のステップである。これは、抗体又は断片が、標的分子ともはや結合しないような条件に変更することによって行われることが好ましい。溶出は、pH、塩、温度又は任意のその他の適した尺度に関して条件を変更することによって達成され得る。脱離のための好ましい溶出法は、4、3又は2を下回るpHを有するバッファーで溶出することである。適した溶出バッファーは本明細書において上記に記載されている。
さらに詳しくは、本発明は、a)標的分子と結合する抗原結合タンパク質又はその断片を選択するステップと、b)抗原結合タンパク質又はその断片を、免疫吸着物質(immunonoadsorbent material)と結合するステップと、c)好ましくは、抗原結合タンパク質と標的分子の結合が生じる条件下で、免疫吸着物質に標的分子を含む組成物とともにロードするステップと、d)ロードされた免疫吸着物質を洗浄して非特異的結合物質を除去するステップと、e)溶出条件を適用することによって標的分子を溶出するステップとを含む、免疫親和性によって標的分子を精製する方法に関する。抗原結合タンパク質の断片は、本発明に関連して上記で定義される結合親和性を保持することが好ましい。
なおさらなる態様では、本発明は、哺乳動物IgG分子の検出及び/又は精製のための、本明細書に定義される抗原結合タンパク質の使用に関する。
一態様では、本発明は、治療的アフェレーシスのための方法に関する。治療的アフェレーシスとは、血液から病原性化合物を排除するための体外血液治療である(Bosch、2003年、J.Artif.Organs6(1):1〜8頁)。TAの一例は、様々な抗体媒介性免疫疾患における抗体の吸着に関する。TAにおいて抗体の吸着に一般に用いられるマトリックスとして、プロテインAセファロースがある。このマトリックスは、様々な自己免疫疾患及び抗体媒介性移植拒絶の治療のために用いられる。しかし、ヒトIgGサブクラスの3種の抗体に対する低い親和性のために、プロテインAマトリックスは、IgG3抗体の除去において効率的ではない。哺乳動物又はヒトIgGに特異的である本発明の抗原結合タンパク質はまた、抗体媒介性疾患を患っている患者におけるIgG3を含めたIgGの枯渇のために使用できることが有利である。治療的アフェレーシスのための方法は、体液中の(から)哺乳動物IgGを除去、枯渇及び不活化することのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。体液中の(から)哺乳動物IgGを除去、枯渇及び不活化することは、ex vivoで実施することが好ましい。体液は、血液、血液画分、例えば、血漿若しくは血液血清など、又は別の体液であることが好ましい。本方法では、本明細書において上記で定義される本発明の抗原結合タンパク質又は上記で定義される抗原結合タンパク質を含む免疫吸着物質を、被験体、好ましくは、ヒト被験体の体液と体外接触させる。免疫吸着アフェレーシス物質は、粒子又はビーズの形であり得、それを通って被験体又は患者の体液が体外的に通過する、フローチャンバー又はカラム中に詰めることができることが有利である。IgGが枯渇する処理の前又は後に、体液のための1種又は複数のさらなる処理段階を実施してもよい。体液のいくつかの処理は、連続ユニットにおいて実施でき、ここで、IgGが吸着によって枯渇し、IgGの所望の最終濃度を達成する。IgG枯渇の前及び後の体液のサンプルを、例えば、IgGレベルについて(例えば、本発明の抗原結合タンパク質を用いて)ELISAを用いて試験してもよい。次いで、体液を被験体又はヒト患者に再注入してもよいが、後者のステップは、本方法の好ましい体外実施形態からは明確に排除され得る。好ましい実施形態では、治療的アフェレーシスのための本発明の方法は、抗体媒介性成分を含む、抗体媒介性自己免疫疾患、抗体媒介性移植拒絶又は自己免疫疾患を患う患者又は被験体から得た体液に適用される。このような疾患の例として、重症筋無力症、グッドパスチャー症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)及び拡張型心筋症(DCM)が挙げられる。本発明のアフェレティック(apheretic)法は、例えば、SLE及びDCMのようなサブクラス3の自己抗体が関与している自己免疫疾患にとって特に有用であるが、これはプロテインAを用いてIgG3が効率的に枯渇しないからである(Staudtら、2002年、Circulation 106:2448〜2453頁)。
したがって、一態様では、本発明はまた、被験体、好ましくは、ヒト被験体の体液中の哺乳動物IgGの体外除去又は枯渇のための、哺乳動物IgG分子と結合する本発明の抗原結合タンパク質の使用に関する。
この文書及び特許請求の範囲では、動詞「含むこと(to comprise)」及びその活用は、語句に続く項目が含まれるが、具体的に言及されない項目が排除されないことを意味するよう、限定されない意味で用いられる。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素への言及は、文脈が明確に、1種の、1種のみの要素があることを必要としない限り、2以上の要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1種」を意味する。
本明細書に引用されるすべての特許及び参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
以下の例は、例示目的でのみ提示されるものであって、決して、本発明の範囲を制限しようとするものではない。
(例1)
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインの同定
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインを、哺乳動物IgG抗体及び/又はそのFc断片で免疫化したラマから同定した。個々のVHH断片のスクリーニングは、様々な哺乳動物種由来のIgG並びに/又はそのFc断片及びFab断片、例えば、IgM及びIgAのような非IgG抗体を用いるELISAによって実施し、これから、哺乳動物IgG及び特にヒトIgGのFcドメインと結合するVHH断片のパネルが得られた。表5は、VHH断片の各々に含まれるCDR1、CDR2及びCDR3アミノ酸配列、並びにフレームワーク領域を含むVHH断片の各々のアミノ酸配列も示す。
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインの同定
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインを、哺乳動物IgG抗体及び/又はそのFc断片で免疫化したラマから同定した。個々のVHH断片のスクリーニングは、様々な哺乳動物種由来のIgG並びに/又はそのFc断片及びFab断片、例えば、IgM及びIgAのような非IgG抗体を用いるELISAによって実施し、これから、哺乳動物IgG及び特にヒトIgGのFcドメインと結合するVHH断片のパネルが得られた。表5は、VHH断片の各々に含まれるCDR1、CDR2及びCDR3アミノ酸配列、並びにフレームワーク領域を含むVHH断片の各々のアミノ酸配列も示す。
(例1.1)
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインの製造
本発明のIgG結合タンパク質を、van de Laarら、(2007年、Biotechnology and Bioengineering、第96巻、第3号:483〜494年)によって記載されるように、株及び発現構築物を用いて酵母において製造した。IgG結合タンパク質の製造は、10から10,000リットルの間の可動範囲の標準的バイオリアクターで実施した。溶存酸素(Ingold DO2電極、Mettler−Toledo)は、羽根車速度の自動調整によって制御した。pH(Mettler−Toledo Inpro3100ゲル電極又はBroadley James F635ゲル電極)は、リン酸及びアンモニアガス又はアンモニア溶液を用いて制御した。発泡は、泡レベルセンサー(Thermo Russell)によって検出し、5〜10%のStruktol J673の添加によって制御した。温度(PT100電極)は、冷却用ジャケット及び加熱用ジャケットによって制御した。オフガス(Prima 600質量分光光度計、VGガス分析システム)によって、エタノール濃度、rO2及びrCO2を分析した。3%〜8%の十分に増殖した接種菌液を添加することによって、バッチ相を開始した(30℃、0.3〜0.4VVM空気、DO2最小30%、pH5.0)。バッチ相においてオフガス中のエタノール濃度が低下している場合には、エタノール発酵は自動的に開始された。パルス化供給プロフィールに従って供給を適用し、要求される限界内にエタノールレベルを維持した。供給相は、21℃、0.7〜1.1VVM空気で実施した。エタノール発酵の間に、DO2が0%に低下し、蓄積されたエタノールをパルス化供給プロフィールによってさらに制御した。供給相は、エタノール供給が枯渇した時点で停止した。ブロスは、使用済みバイオマス回収の回収を含むさらなる処理まで5〜10℃の間の温度に冷却した。
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインの製造
本発明のIgG結合タンパク質を、van de Laarら、(2007年、Biotechnology and Bioengineering、第96巻、第3号:483〜494年)によって記載されるように、株及び発現構築物を用いて酵母において製造した。IgG結合タンパク質の製造は、10から10,000リットルの間の可動範囲の標準的バイオリアクターで実施した。溶存酸素(Ingold DO2電極、Mettler−Toledo)は、羽根車速度の自動調整によって制御した。pH(Mettler−Toledo Inpro3100ゲル電極又はBroadley James F635ゲル電極)は、リン酸及びアンモニアガス又はアンモニア溶液を用いて制御した。発泡は、泡レベルセンサー(Thermo Russell)によって検出し、5〜10%のStruktol J673の添加によって制御した。温度(PT100電極)は、冷却用ジャケット及び加熱用ジャケットによって制御した。オフガス(Prima 600質量分光光度計、VGガス分析システム)によって、エタノール濃度、rO2及びrCO2を分析した。3%〜8%の十分に増殖した接種菌液を添加することによって、バッチ相を開始した(30℃、0.3〜0.4VVM空気、DO2最小30%、pH5.0)。バッチ相においてオフガス中のエタノール濃度が低下している場合には、エタノール発酵は自動的に開始された。パルス化供給プロフィールに従って供給を適用し、要求される限界内にエタノールレベルを維持した。供給相は、21℃、0.7〜1.1VVM空気で実施した。エタノール発酵の間に、DO2が0%に低下し、蓄積されたエタノールをパルス化供給プロフィールによってさらに制御した。供給相は、エタノール供給が枯渇した時点で停止した。ブロスは、使用済みバイオマス回収の回収を含むさらなる処理まで5〜10℃の間の温度に冷却した。
通常の発酵パラメータとして、20〜31℃の温度、4.7〜5.8のpH、形成された生成物:1000〜1500mg/無細胞ブロス1l、115〜120時間の発酵時間及び細胞乾重(発酵の最後での):95〜115g/kgが含まれる。
(例1.2)
発酵におけるVHH断片と結合するIgG−Fcドメインの発現レベル
例1.1に記載されるエタノールを供給された発酵における、VHH断片と結合するIgG−Fcの発現レベルを、アフィニティークロマトグラフィーカラムに基づく定量HPLCアッセイを用いて調べた。サンプルを、IgGがカップリングされたアフィニティーカラムにロードした。結合していないサンプルを洗い出した後、結合しているIgG−Fc VHH断片を低pHで溶出した。溶出ピークの面積を、ピーク積分によって求めた。このピーク面積に基づいて、サンプル中のVHH断片濃度を標準曲線を用いて算出した。
発酵におけるVHH断片と結合するIgG−Fcドメインの発現レベル
例1.1に記載されるエタノールを供給された発酵における、VHH断片と結合するIgG−Fcの発現レベルを、アフィニティークロマトグラフィーカラムに基づく定量HPLCアッセイを用いて調べた。サンプルを、IgGがカップリングされたアフィニティーカラムにロードした。結合していないサンプルを洗い出した後、結合しているIgG−Fc VHH断片を低pHで溶出した。溶出ピークの面積を、ピーク積分によって求めた。このピーク面積に基づいて、サンプル中のVHH断片濃度を標準曲線を用いて算出した。
VHH断片発現に関して、様々な発酵容積で発酵の最後(EoF)のサンプルを分析した。様々な発酵容積でのVHH断片発現レベルの全体像が、表6に示されている。
*濃度は、EoFでの上清1リットルあたりのVHH断片のgである。
*濃度は、EoFでの上清1リットルあたりのVHH断片のgである。
(例2.1)
ELISA及びBiacore分析
ELISAでの結合分析のために、Nunc Maxisorp結合プレートを、様々な種の抗体抗原でコーティングし、続いて、PBS中、2%(w/v)ゼラチンでブロッキングした。結合しているVHH断片を、ポリクローナルヤギ抗マウス−HRPコンジュゲート(Bio−Rad、172−1011)と組み合わせたマウス抗His mAb又はポリクローナルブタ抗ウサギIgG−HPOコンジュゲート(Dako、P217)と組み合わせたポリクローナルウサギ抗ラマVHH血清のいずれかによって検出した。
ELISA及びBiacore分析
ELISAでの結合分析のために、Nunc Maxisorp結合プレートを、様々な種の抗体抗原でコーティングし、続いて、PBS中、2%(w/v)ゼラチンでブロッキングした。結合しているVHH断片を、ポリクローナルヤギ抗マウス−HRPコンジュゲート(Bio−Rad、172−1011)と組み合わせたマウス抗His mAb又はポリクローナルブタ抗ウサギIgG−HPOコンジュゲート(Dako、P217)と組み合わせたポリクローナルウサギ抗ラマVHH血清のいずれかによって検出した。
表面プラズモン共鳴分析(SPR)を用いる結合分析を、BiaCore3000で実施した。この目的で、抗体抗原は、CM5センサーチップの表面上に固定化し、HBS−EPバッファー(0.01M HEPES、pH7.4;0.15M NaCl;3mM EDTA;0.005%界面活性剤P20)中、抗IgG−Fc VHH断片とともにインキュベートした。5μl/分で1分間結合させ、5μl/分で2.5分間の解離ステップを続けた。結合シグナル(レゾナンスユニット)を、HBS−EPバッファーのみを用いて測定されたバックグラウンドシグナルと比較した。
ELISA及びBiacore測定値間に相違は見られなかった。試験された抗IgG−Fc VHH断片の特異性の全体像は、表7に示されている。比較のために、様々なIgG種に対するプロテインA及びGの相対的な反応性が表8に示されている。
抗IgG−Fc VHH断片36、38〜41、43〜46は、ELISAにおいてヒトIgG−Fcドメインに対して結合を示すが、その他のIgG種に対するさらなる分析は実施しなかった。
抗IgG−Fc VHH断片36、38〜41、43〜46は、ELISAにおいてヒトIgG−Fcドメインに対して結合を示すが、その他のIgG種に対するさらなる分析は実施しなかった。
(例2.2)
VHH断片IgG−Fc−16と結合するIgG−FcドメインのBiacore分析
VHH断片IgG−Fc−16の広い結合反応性を、BiaCore3000での表面プラズモン共鳴分析(SPR)を用いて調べた。この目的で、精製されたVHH断片IgG−Fc−16を、CM5センサーチップの表面上に固定化し、続いて、HBS−EPバッファー中で様々な種に由来する精製されたIgG抗体(50μg/ml)とともにインキュベートした。5μl/分で1分間結合させ、5μl/分で2.5分間の解離ステップを続けた。結合シグナル(レゾナンスユニット)を、HBS−EPバッファーのみを用いて測定されたバックグラウンドシグナルと比較した。結果は、表8に要約されている。比較のために、様々なIgG種に対するプロテインA及びGの相対的な反応性も示されている。
それぞれ、+++、++、+、−:強力な結合、中程度の結合、弱い結合、結合なし
VHH断片IgG−Fc−16と結合するIgG−FcドメインのBiacore分析
VHH断片IgG−Fc−16の広い結合反応性を、BiaCore3000での表面プラズモン共鳴分析(SPR)を用いて調べた。この目的で、精製されたVHH断片IgG−Fc−16を、CM5センサーチップの表面上に固定化し、続いて、HBS−EPバッファー中で様々な種に由来する精製されたIgG抗体(50μg/ml)とともにインキュベートした。5μl/分で1分間結合させ、5μl/分で2.5分間の解離ステップを続けた。結合シグナル(レゾナンスユニット)を、HBS−EPバッファーのみを用いて測定されたバックグラウンドシグナルと比較した。結果は、表8に要約されている。比較のために、様々なIgG種に対するプロテインA及びGの相対的な反応性も示されている。
それぞれ、+++、++、+、−:強力な結合、中程度の結合、弱い結合、結合なし
プロテインAとヒトIgG Fab断片の結合について表8に示される「+」値は、ヒトVH−IIIファミリーに属するVHドメインを含むヒトFab断片にのみ関するということは注記する。ヒトIgG Fab断片に対するプロテインGの観察された結合反応性は、ヒトIgG抗体のCH1ドメイン上に存在するエピトープとの結合によって生じる。しかし、プロテインA及びGの両方について、これらのFab関連エピトープに対する結合強度は、IgG抗体のFcドメイン上に存在するエピトープと比較して低い。表8に示されるように、VHH断片IgG−Fc−16は、IgG Fab断片上に存在する任意のエピトープと同時には結合しない。
(例2.3)
Biacoreでの結合親和性測定値
抗IgG−Fc VHH断片の結合親和性定数を、BiaCore3000での表面プラズモン共鳴分析(SPR)を用いて求めた。この目的で、精製されたVHH断片をCM5センサーチップの表面上に固定化し、続いて、HBS−EPバッファー中、様々な濃度の精製されたIgG抗体とともにインキュベートした。30μl/分で3分間結合させ、30μl/分で15分間の解離ステップを続けた。Biacoreソフトウェアを用い1:1Langmuir結合モデルに従って結合曲線を適合させた。算出された親和性データの全体像が表9に示されている。
Biacoreでの結合親和性測定値
抗IgG−Fc VHH断片の結合親和性定数を、BiaCore3000での表面プラズモン共鳴分析(SPR)を用いて求めた。この目的で、精製されたVHH断片をCM5センサーチップの表面上に固定化し、続いて、HBS−EPバッファー中、様々な濃度の精製されたIgG抗体とともにインキュベートした。30μl/分で3分間結合させ、30μl/分で15分間の解離ステップを続けた。Biacoreソフトウェアを用い1:1Langmuir結合モデルに従って結合曲線を適合させた。算出された親和性データの全体像が表9に示されている。
(例3.1)
クロマトグラフィー試験
WO2006/059904に記載されるとおり、供給業者のプロトコール(GEHC)に従って、精製された抗IgG−Fc VHH断片を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化セファロース4Bファーストフローにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。400μlのカラム容量を用いた。すべてのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer100で実施した。IgGサンプルは、PBS pH7.4中でロードし、例えば、pH2.1となるよう8MのHClを添加したPBS又はpH2又は3の0.1M グリシン−HClを用いて溶出した。タンパク質検出は、OD214及びOD280のシグナルをモニタリングすることによってオンラインで実施した。クロマトグラフィーにおいて試験された抗IgG−Fcセファロース担体の結合分析の全体像が、表10に示されている。
クロマトグラフィー試験
WO2006/059904に記載されるとおり、供給業者のプロトコール(GEHC)に従って、精製された抗IgG−Fc VHH断片を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化セファロース4Bファーストフローにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。400μlのカラム容量を用いた。すべてのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer100で実施した。IgGサンプルは、PBS pH7.4中でロードし、例えば、pH2.1となるよう8MのHClを添加したPBS又はpH2又は3の0.1M グリシン−HClを用いて溶出した。タンパク質検出は、OD214及びOD280のシグナルをモニタリングすることによってオンラインで実施した。クロマトグラフィーにおいて試験された抗IgG−Fcセファロース担体の結合分析の全体像が、表10に示されている。
(例3.1)
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインの動的結合能
NHSセファロース上に固定化されているVHH断片と結合するIgG−Fcドメインの動的結合能(DBC)を試験した。PBS pH7.4中の1.0mg/mlのヒトIgG10mlを、150cm/時間の直線流を用いて400μlカラムにロードした。10カラム容積のPBS pH7.4で洗浄した後、0.1M グリシンバッファーpH3.0でカラムを溶出した。フロースルー及び溶出ピークのOD280シグナルの統合に基づいて、カラムの動的結合能を算出した(表11)。
VHH断片と結合するIgG−Fcドメインの動的結合能
NHSセファロース上に固定化されているVHH断片と結合するIgG−Fcドメインの動的結合能(DBC)を試験した。PBS pH7.4中の1.0mg/mlのヒトIgG10mlを、150cm/時間の直線流を用いて400μlカラムにロードした。10カラム容積のPBS pH7.4で洗浄した後、0.1M グリシンバッファーpH3.0でカラムを溶出した。フロースルー及び溶出ピークのOD280シグナルの統合に基づいて、カラムの動的結合能を算出した(表11)。
(例3.2)
クロマトグラフィーにおいてVHH断片IgG−Fc−1と結合するIgG−Fcドメインの溶出プロフィール
WO2006/059904に記載されるとおり、供給業者のプロトコール(GEHC)に従って、精製されたVHH断片IgG−Fc−1を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化セファロース4Bファーストフローにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。400μlのカラム容量を用いた。比較のために、プロテインA HiTrapカラム(1ml)を用いた。すべてのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer100で実施した。IgGサンプル(1mg/ml)は、PBS pH7中でロードし(IgG−Fc−1セファロースに10ml、プロテインA HiTrapに20ml)、以下の種類の第1の溶出バッファーを用いて溶出した:
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.2Mグリシン
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1M酢酸
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1Mクエン酸。
第2の溶出バッファー(再生)としてPBS、pH2を使用した。
クロマトグラフィーにおいてVHH断片IgG−Fc−1と結合するIgG−Fcドメインの溶出プロフィール
WO2006/059904に記載されるとおり、供給業者のプロトコール(GEHC)に従って、精製されたVHH断片IgG−Fc−1を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化セファロース4Bファーストフローにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。400μlのカラム容量を用いた。比較のために、プロテインA HiTrapカラム(1ml)を用いた。すべてのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer100で実施した。IgGサンプル(1mg/ml)は、PBS pH7中でロードし(IgG−Fc−1セファロースに10ml、プロテインA HiTrapに20ml)、以下の種類の第1の溶出バッファーを用いて溶出した:
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.2Mグリシン
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1M酢酸
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1Mクエン酸。
第2の溶出バッファー(再生)としてPBS、pH2を使用した。
サンプルをロードし(直線流:150cm/時間)、結合していないサンプルを洗い出した(直線流:150cm/時間、容積:10cv)後、第1の溶出(直線流:300cm/時間、容積:30cv)を、指定のpHの(表12参照のこと)第1の溶出バッファーのうち1種を用いて実施する。結合バッファーでカラムを再平衡化した後(直線流:300cm/時間、容積30cv)、第2の溶出(再生)を、第2の溶出バッファー(PBS、pH2.0、直線流:300cm/時間、容積20cv)を用いて実施する。
(例3.3)
クロマトグラフィーにおけるVHH断片IgG−Fc−16と結合するIgG−Fcドメインの溶出プロフィール
WO2006/059904に記載されるとおり、供給業者のプロトコール(GEHC)に従って、精製されたVHH断片IgG−Fc−16を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化セファロース4Bファーストフローにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。400μlのカラム容量を用いた。すべてのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer100で実施した。IgGサンプル(1mg/ml)は、PBS pH7中でロードし(VHHセファロースに10ml)、以下の種類の第1の溶出バッファーを用いて溶出した:
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1Mグリシン
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1Mアルギニン
第2の溶出バッファー(再生)としてPBS、pH2を使用した。
クロマトグラフィーにおけるVHH断片IgG−Fc−16と結合するIgG−Fcドメインの溶出プロフィール
WO2006/059904に記載されるとおり、供給業者のプロトコール(GEHC)に従って、精製されたVHH断片IgG−Fc−16を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化セファロース4Bファーストフローにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。400μlのカラム容量を用いた。すべてのクロマトグラフィー実験は、Akta explorer100で実施した。IgGサンプル(1mg/ml)は、PBS pH7中でロードし(VHHセファロースに10ml)、以下の種類の第1の溶出バッファーを用いて溶出した:
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1Mグリシン
− 様々なpH値を含むミリQ中、0.1Mアルギニン
第2の溶出バッファー(再生)としてPBS、pH2を使用した。
サンプルをロードし(直線流:150cm/時間)、結合していないサンプルを洗い出した(直線流:150cm/時間、容積:10cv)後、第1の溶出(直線流:300cm/時間、容積:30cv)を、指定のpHの(表13参照のこと)第1の溶出バッファーのうち1種を用いて実施する。結合バッファーでカラムを再平衡化した後(直線流:300cm/時間、容積30cv)、第2の溶出(再生)を、第2の溶出バッファー(PBS、pH2.0、直線流:300cm/時間、容積20cv)を用いて実施する。
(例3.4)
クロマトグラフィーにおけるVHH断片IgG−Fc−1の腐食安定性
供給業者のプロトコールに従って、精製されたVHH断片IgG−Fc−1を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化アガロースにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。PBS pH7.4中1.0mg/mlヒトIgG10mlを、150cm/時間の直線流を用いて400μlカラムにロードした。10カラム容積のPBS pH7.4で洗浄した後、8M HClでpH2.1に調整したPBSでカラムを溶出した。フロースルー及び溶出ピークのOD280シグナルの統合に基づいて、カラムの動的結合能(DBC)を算出した。次いで、カラムを0.1M又は0.2M NaOHとともに、150cm/時間の直線流で15分間インキュベートし、続いて、10カラム容積のPBS pH7.4で平衡化した。各サイクルの後、動的結合能を上記のとおりに調べた。0.1M及び0.2M NaOHを用いたサイクル後に残存するDBCが図1に示されている。
クロマトグラフィーにおけるVHH断片IgG−Fc−1の腐食安定性
供給業者のプロトコールに従って、精製されたVHH断片IgG−Fc−1を、NHSカップリングバッファーに対して透析し、NHS活性化アガロースにカップリングした。カラムは、HR5/5カラム(GEHC)を用い、カップリングされた抗体マトリックスで作製された。PBS pH7.4中1.0mg/mlヒトIgG10mlを、150cm/時間の直線流を用いて400μlカラムにロードした。10カラム容積のPBS pH7.4で洗浄した後、8M HClでpH2.1に調整したPBSでカラムを溶出した。フロースルー及び溶出ピークのOD280シグナルの統合に基づいて、カラムの動的結合能(DBC)を算出した。次いで、カラムを0.1M又は0.2M NaOHとともに、150cm/時間の直線流で15分間インキュベートし、続いて、10カラム容積のPBS pH7.4で平衡化した。各サイクルの後、動的結合能を上記のとおりに調べた。0.1M及び0.2M NaOHを用いたサイクル後に残存するDBCが図1に示されている。
0.1M NaOHを用いる100を超えるサイクル後にもDBCの喪失は見られなかった。0.2M NaOHとともにインキュベートした場合には、40サイクル後に90%を超える残存するDBCが見られた。
Claims (44)
- FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4の順で作動可能に連結している、4種のフレームワーク領域であるFR1からFR4と、3種の相補性決定領域であるCDR1からCDR3とを含むアミノ酸配列を含む抗原結合タンパク質であって、
a)CDR1が、配列番号1〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列か、又は配列番号1〜49と1若しくは2個のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号50〜98からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号99〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり、
各フレームワーク領域が、配列番号148〜196のいずれか1種のフレームワークアミノ酸配列と少なくとも50%のアミノ酸同一性を有し、抗原結合タンパク質が、哺乳動物IgG分子のFcドメインと特異的に結合する抗原結合タンパク質。 - a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも10−7Mの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、
b)抗原結合タンパク質が、少なくとも0.5g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができること、
c)抗原結合タンパク質が、NHS樹脂1mlあたり20mg抗原結合タンパク質の密度で150cm/hの流速を用いてNHS活性化担体にカップリングされると、少なくとも2mgのヒトIgG/樹脂1mlの動的結合能を有すること、
d)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、c)に定義されるようにNHS樹脂にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH2.0を用いて、少なくとも90%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、
e)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、c)に定義されるようにNHS樹脂にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH3.0を用いて、少なくとも70%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、及び
f)抗原結合タンパク質が、c)に定義されるようにNHS樹脂にカップリングされると、20回の定置洗浄サイクル後に少なくとも70%の残存動的結合能を保持し、各定置洗浄サイクルにおいて、NHS樹脂にカップリングされた抗原結合タンパク質が、0.05M NaOH及び0.5M NaClと150cm/hの流速で15分間接触すること
からなる群から選択される1つ又は複数の特性を有する、請求項1に記載の抗原結合タンパク質。 - 哺乳動物IgGが、ヒトIgG分子である、請求項1又は2に記載の抗原結合タンパク質。
- ヒトIgGが、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4分子である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
- ヒトIgGのFcドメインと結合するが、ネズミ又はウシ起源のIgG分子とは結合しない、請求項1から4までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
- a)CDR1が、配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38、43及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38、43及び44と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87、92及び93からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87、92及び93と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136、141及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136、141及び142と、6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項5に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号148〜162、164〜172、178〜183、185、190及び191からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項6に記載の抗原結合タンパク質。
- さらにヤギ起源のIgG分子と結合しない、請求項5に記載の抗原結合タンパク質。
- a)CDR1が、配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38及び44からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号1〜15、17〜25、31〜36、38及び44と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87及び93からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号50〜64、66〜74、80〜85、87及び93と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号99〜113、115〜123、129〜134、136及び142と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項8に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号148〜162、164〜172、178〜183、185及び191からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項9に記載の抗原結合タンパク質。
- さらにラット、シリアンハムスター、モルモット、イヌ、ネコ又はヒツジを起源とするIgG分子と結合しない、請求項8に記載の抗原結合タンパク質。
- a)CDR1が、配列番号1〜15からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号1〜15と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号50〜64からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号50〜64と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号99〜113からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号99〜113と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項11に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号148〜162からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項12に記載の抗原結合タンパク質。
- a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも5nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、
b)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH3.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、
c)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1Mグリシン、pH4.0を用いて、少なくとも95%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、
d)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされると、0.1〜0.2Mアルギニン、pH3.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること、
e)100回の定置洗浄サイクル後に少なくとも90、95又は100%の残存動的結合能を保持し、各定置洗浄サイクルにおいて、参照NHS担体にカップリングされている抗原結合タンパク質が、0.1M NaOHと150cm/hの流速で15分間接触すること、及び
f)40回の定置洗浄サイクル後に少なくとも80%の残存動的結合能を保持し、各定置洗浄サイクルにおいて、参照NHS担体にカップリングされている抗原結合タンパク質が、0.2M NaOHと150cm/hの流速で15分間接触すること
からなる群から選択される1つ又は複数の特性を有する、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。 - a)CDR1が、配列番号1〜9からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号1〜9と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号50〜58からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号50〜58と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号99〜107からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号99〜107と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項14に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号148〜156からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項15に記載の抗原結合タンパク質。
- a)ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも3nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、及び
b)少なくとも1.2g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができること
からなる群から選択される1つ又は複数の特性を有する、請求項11に記載の抗原結合タンパク質。 - a)CDR1が、配列番号10〜15からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号10〜15と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号59〜64からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号59〜64と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号108〜113からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号108〜113と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項17に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号157〜162からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項18に記載の抗原結合タンパク質。
- ヒト、ネズミ及びウシからなる群から選択される少なくとも2つの異なる種に由来するIgG分子のFcドメインと結合する、請求項1又は2に記載の抗原結合タンパク質。
- a)CDR1が、配列番号16、26〜30、37、42及び47〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号16、26〜30、37、42及び47〜49と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号65、75〜79、86、91及び96〜98からなる群から選択されるアミノ酸配列、及び配列番号65、75〜79、86、91及び96〜98と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号114、124〜128、135、140及び145〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号114、124〜128、135、140及び145〜147と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項20に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号163、173〜177、184、189及び194〜196からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項21に記載の抗原結合タンパク質。
- ヒト、ネズミ、ウシ、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、サル、ロバ及びウマ由来のIgG分子のFcドメインと結合する、請求項20に記載の抗原結合タンパク質。
- a)CDR1が、配列番号16、28〜30、37、42及び47〜49からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号16、28〜30、37、42及び47〜49と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号65、77〜79、86、91及び96〜98からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号65、77〜79、86、91及び96〜98と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号114、126〜128、135、140及び145〜147からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号114、126〜128、135、140及び145〜147と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項23に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号163、175〜177、184、189及び194〜196からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項21に記載の抗原結合タンパク質。
- すべての哺乳動物種由来のIgG分子のFcドメインと結合する、請求項23に記載の抗原結合タンパク質。
- a)抗原結合タンパク質が、ポリクローナルヒトIgGを用いてBiaCoreにより分析される少なくとも20nMの結合親和性でヒトIgG分子と結合すること、
b)抗原結合タンパク質が、少なくとも2.5g/酵母培養物1Lの発現レベルでの酵母における発現によって得ることができること、及び
c)抗原結合タンパク質と結合しているヒトIgGが、参照NHS担体にカップリングされていると、0.1M グリシン、pH3.0又は0.2M アルギニン、pH3.0を用いて、少なくとも99%の収率で抗原結合タンパク質から回収されること
からなる群から選択される1つ又は複数の特性を有する、請求項26に記載の抗原結合タンパク質。 - a)CDR1が、配列番号16、28〜30及び48からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号16、28〜30及び48と4個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
b)CDR2が、配列番号65、77〜79及び97からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号65、77〜79及び97と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有し、
c)CDR3が、配列番号114、126〜128及び146からなる群から選択されるアミノ酸配列、並びに配列番号114、126〜128及び146と6個以下のアミノ酸残基が異なるアミノ酸配列を有する、
請求項27に記載の抗原結合タンパク質。 - 配列番号163、175〜177及び195からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項28に記載の抗原結合タンパク質。
- 請求項1から29までのいずれか一項に記載の少なくとも2種の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列を含む、多価抗原結合タンパク質。
- 治療タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列をさらに含む融合タンパク質の部分である、請求項1から30までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質。
- 請求項1から31までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
- ヌクレオチド配列が、プロモーターと、場合により、その他の調節エレメントと作動可能に連結している、請求項32に記載の核酸。
- 請求項31又は32に記載の核酸を含む宿主細胞。
- 酵母、好ましくは、サッカロミセス・セレビシエである、請求項34に記載の宿主細胞。
- a)請求項34又は35に記載の宿主細胞を、抗原結合タンパク質の発現につながる条件下で培養するステップと、場合により、
b)宿主細胞及び培養培地のうち少なくとも一方から抗原結合タンパク質を精製するステップと
を含む、請求項1から31までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を製造する方法。 - 請求項1から31までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を含む組成物。
- 請求項1から31までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質を含む免疫吸着物質。
- 抗原結合タンパク質が担体上に固定化され、好ましくは、抗原結合タンパク質が、共有結合によって担体上に固定化されている、請求項38に記載の免疫吸着物質。
- 担体が、セファロースを含む、請求項38又は39に記載の免疫吸着物質。
- 哺乳動物IgG分子の検出及び/又は精製のための、請求項1から31までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質の使用。
- 哺乳動物IgG分子を精製する方法であって、
a)哺乳動物IgG分子を含むサンプルを、請求項38から40までのいずれか一項に記載の免疫吸着物質と、哺乳動物IgG分子と免疫吸着物質の結合を可能にする条件下で接触させるステップと、
b)場合により、洗浄ステップを実施するステップと、
c)結合している哺乳動物IgG分子を、哺乳動物IgG分子と免疫吸着物質との親和性を低下させる条件下で溶出するステップと、
d)場合により、哺乳動物IgG分子をさらに処理するステップと
を含む方法。 - 体液中の哺乳動物IgGを除去、枯渇又は不活化する方法であって、請求項38から40までのいずれか一項に記載の免疫吸着物質を、被験体、好ましくは、ヒト被験体の体液と体外接触させる方法。
- 被験体、好ましくは、ヒト被験体の体液中の哺乳動物IgGの体外除去又は枯渇のための、請求項1から31までのいずれか一項に記載の抗原結合タンパク質の使用。
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