JP2010530433A - Apoa−1ペプチド模倣体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高コレステロール血症および心血管疾患に関連した障害を治療するためのペプチド模倣体に関する。特に、本発明は、アポリポタンパク質A−I(ApoAI)の活性を模倣するペプチドに関する。

Description

本発明はApoA−1ペプチド模倣体(peptide mimetics)に関する。
本出願において引用されている参考文献は、特許請求されている本発明の先行技術であると自認されるものではない。
高密度リポタンパク質(HDL)に結合したコレステロールの濃度は心血管疾患のリスクと逆相関する(Miller,G.J.およびMiller,N.E.,Lancet 1(1975)16−25)。HDL代謝の障害を有する患者および遺伝的に改変された動物における研究は低HDLとアテローム硬化性血管疾患との関連性を支持している。HDLの有益な作用は、コレステロールが末梢組織から、コレステロールの排除の場となる肝臓へと輸送(逆コレステロール輸送、RCT)されるのを媒介するその役割に関連している。RCTは、コレステロールが合成され又は食物から抽出される場である肝臓から体内の末梢組織へコレステロールを運搬する低密度リポタンパク質(LDL)の作用に抗する。
HDLの主要タンパク質成分であるアポリポタンパク質A−I(ApoA−1)はRCT過程において中心的な役割を果たしている。RCTのメカニズムは、動脈壁内のマクロファージを含む末梢組織から遊離コレステロールを取り出す第1段階を含む。ついで遊離コレステロールはレシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によりエステル化され、低密度リポタンパク質と交換され、肝臓へ輸送され、最終的に胆汁中に分泌される。
ApoA−1の活性はATP結合カセット輸送体A1(ABCA1)とのその相互作用を要する。ABCA1は、RCT経路の初期段階としての、アポリポタンパク質アクセプターへのリン脂質およびコレステロールの排出を媒介する。いくつかの研究はApoA−1 −ABCA1相互作用の重要性を浮き彫りにしている。例えば、ABCA1の欠損はタンジール病の原因となり(Brooks−Wilson,A.ら,Nat.Genet.22(1999)336−344; Bodzioch,M.ら,Nat.Genet.22(1999)347−351)、ABCA1における突然変異は、細胞からのリン脂質およびコレステロールの排出を媒介するApoA−1の能力を損なって、早発性アテローム性動脈硬化症を引き起こす(Brooks−Wilson,A.ら,Nat.Genet.22(1999)336−344; Bodzioch,M.ら,Nat.Genet.22(1999)347−351; Francis,G.A.,J.Clin.Investig.96(1995)78−87; Remaley,A.T.ら,Arterioscler.Throm.Vase.Biol.17(1997)1813−1821)。
HDLの他の有益な効果には、酸化に対するLDLの保護、血小板凝集の軽減、ならびに脂質異常症またはアテローム性動脈硬化症により誘発される内皮機能不全および血管サイトカイン活性化のモジュレーションが含まれる。
Miller,G.J. and Miller,N.E.,Lancet 1(1975)16−25 Brooks−Wilson,A. et al.,Nat.Genet.22(1999)336−344 Bodzioch,M. et al.,Nat.Genet.22(1999)347−351 Francis,G.A.,J.Clin.Investig.96(1995)78−87 Remaley,A.T. et al.,Arterioscler.Throm.Vase.Biol.17(1997)1813−1821
本発明はApoA−1ペプチド模倣体を提供する。HDLにおけるApoA−1の活性を模倣するよう、より詳しくは、ABCA−1依存性経路による脂質結合特性およびコレステロール排出特性に関してそれを模倣するよう、ペプチドを設計した。これらのペプチド模倣体は、イソ酪酸側鎖、ジカルボン酸側鎖または炭化水素置換側鎖を含む非天然アミノ酸への少なくとも1つのアミノ酸の突然変異により、ApoA−1コンセンサスペプチドの配列から誘導される。好ましい実施形態には、本明細書に記載されているアッセイにおいてABCA−1依存性コレステロール排出に関して10〜0.4μMのEC50を示すApoA−1ペプチド模倣体が含まれる。
本発明の幾つかの態様はペプチド模倣体および脂質の組成物である。該ペプチド模倣体は、イソ酪酸側鎖、ジカルボン酸側鎖または炭化水素置換側鎖を含有する非天然アミノ酸への少なくとも1つのアミノ酸の突然変異により、ApoA−1コンセンサスペプチドの配列から誘導される。ペプチド模倣体および脂質の該組成物はHDL型粒子を模倣したものでありうる。
本発明の幾つかの態様は、医薬上許容される担体溶液中にペプチド模倣体および場合によっては1以上の脂質を含む医薬組成物である。そのような組成物は、例えば、アテローム性動脈硬化症病変の急性および慢性治療に適しているはずである。
本発明の幾つかの態様は、ペプチド模倣体の治療的有効量を患者に投与することを含む、患者における逆コレステロール排出(reverse cholesterol efflux)を増加させるための方法である。
本発明の幾つかの態様は、治療的有効量のペプチド模倣体および脂質を患者に投与することを含む、患者における逆コレステロール排出を増加させるための方法である。
「含む」のような非限定的用語は追加的な要素または工程を許容する。場合によっては、追加的な要素または工程の可能性を強調するために、「1以上」のような表現が、非限定的用語を伴って又は伴わないで用いられる。
明示的に示されていない限り、単数形表現は単数に限定されるものではない。例えば、「細胞」は複数の細胞を除外しない。場合によっては、複数の存在の可能性を強調するために、1以上のような表現が用いられる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、非天然アミノ酸を有するApoA−1ペプチド模倣体を含む。該ペプチドは逆コレステロール輸送を促進し、高コレステロール血症の治療において有用でありうる。
各HDL粒子はApoA−1の2〜4コピーを含有する。ApoA−1は、しばしばプロリンであるリンカー部分により隔てられた6〜8個の異なる22アミノ酸反復から主になる243アミノ酸のタンパク質である。ApoA−1の生物活性は、クラスA両親媒性αヘリックスと称される特有の二次構造要素を示すこれらの複数の反復の存在によるものであると考えられている(Segrest,J.P.ら,FEBS Lett.38(1974)247−253)。クラスA両親媒性ヘリックスは親水性/疎水性境界における正荷電アミノ酸残基の存在により特徴づけられ、一方、負荷電残基は親水性相の中心部に塊化している。
ヒトApoA−1のヘリックスの配列に基づく22アミノ酸残基を含有するコンセンサスペプチドは科学文献に開示されている(Anantharamaiah,G.M.ら,Arteriosclerosis 10(1990)95)。ヒトApo AIのヘリックスドメインの各位置における最も優勢な残基を特定することにより、コンセンサスペプチド(Apo AIcons)の配列を設計した。得られたペプチドはクラスA両親媒性ヘリックスの特徴を示している。Apo AIconsのヘリックス円形表示を図1に示す。
しかし、Apo AIconsを、リポソーム濁度を消失させマウスマクロファージ細胞からのインビトロコレステロール排出を促進するその能力に関して試験したところ(該アッセイの実施例を参照されたい)、それはどちらのアッセイにおいても不活性であることが判明した。
所望の特性を有するペプチド模倣体を設計する場合には、ABCA1非依存性メカニズムによりもたらされるコレステロール排出が細胞毒性を引き起こしうることを特に考慮して、ABCA1輸送体によるコレステロール排出に対するペプチド特異性の特有の特徴が好ましい。
本発明のペプチドは、Apo AIcons配列の種々の位置に単一または複数の突然変異を導入することにより設計される。ペプチドは、増強された膜結合アフィニティに関してスクリーニングされる。活性に必須である該ペプチドのクラスA α−ヘリックスコンホメーションの維持または更なる安定化も望ましい。
導入された突然変異は、α−ヘリックス二次構造を安定化することが知られているアミノ酸であるα−アミノイソ酪酸(Aib)を含む非天然アミノ酸に基づくものであった。しかし、Aibの場合、13位における1つのAib残基の置換は、コレステロール排出能の大きな改善を得るのに十分でない可能性があり、これは、突然変異の位置によっては13位および16位にAibを含有する二重突然変異体にも当てはまりうることである。
アスパラギン酸および/またはグルタミン酸に比べて側鎖に余分のカルボン酸を含有するアミノ酸であるγ−カルボキシグルタミン酸(Gla)の導入とAib突然変異が組合された場合に、改善されたコレステロール排出活性が観察されうる。Gla上の二重負電荷は該ペプチド内の局所負電荷密度を有効に増加させる。例えば、二重突然変異Gla/Aib13およびGla15/Aib13はコレステロール排出アッセイにおいて、それぞれ、EC50=44および41μMを示す。該活性はGlaおよびAibの両方の残基に依存している。同じ位置における対応するGla/Ala二重突然変異体は、コレステロール排出アッセイにおいて、それほど強力ではない。例えば、Gla/Ala13およびGla15/Ala13は、それぞれ、EC50=142および234μMを示す。
種々の長さの炭化水素置換側鎖を含有するアミノ酸[Schafmeister,C.ら,J.Am.Chem.Soc.122(2000)5891に既に記載されている、R(またはD)およびS(またはL)立体化学の両方のS7H3、S8H3およびS12H3(図2も参照されたい)]が本発明に含まれる。特に、本発明は、限定的なものではないが(2S)−2−アミノノン−8−エン酸(S7H);(2R)−2−アミノノン−8−エン酸(R7H);(2S)−2−アミノオクタ−7−エン酸(S6H);(2R)−2−アミノオクタ−7−エン酸(R6H);(2S)−2−アミノノナン酸(S7H3)のような好ましいアミノ酸を含み、α−、α−ジ置換アミノ酸、例えば(2R)−2−メチルヘプタ−6−エン酸(R5Me)がApoA−1ペプチド模倣体内に組込まれうる。
該ペプチドの疎水性特性を増強する他の突然変異には、フェニル部分とα炭素との間にアルケニルリンカーを有する、フェニルアラニンの優れた類似体であるスチリル−アラニン(StyrA)、およびフッ素化アミノ酸、例えばヘキサフルオロイシンが含まれる。
Apo AIcons内に単一または複数の炭化水素置換アミノ酸を導入する目的は2つある。第1に、長いアルケニル鎖を付与することにより、そのようなアミノ酸は該ペプチドの疎水性特性を増強する。第2に、ある場合には、該ペプチド配列のi、i+4位またはi、i+7位における2つの炭化水素置換アミノ酸の閉環メタセシスによりヘリックスコンホメーションを安定化すると同時に、活性を維持することが可能である。炭化水素置換アミノ酸のルテニウム触媒閉環メタセシス(RCM)によるペプチドの共有的ヘリックス安定化が報告されている(Blackwell,H.E.およびGrubbs,R.H.,Angew.Chem.Int.Ed.37(1998)3281−3284)。ヘリックス架橋をもたらす、全炭化水素置換置換アミノ酸に基づく架橋も報告されている(Schafmeister,C.ら,J.Am.Chem.Soc.122(2000)5891;Walensky,L.D.ら,Science 305(2004)1466;Bernal,F.ら,J.Am.Chem.Soc.129(2007)2456)。
極性である(例えば、ラクタム架橋)または薬理学的に不安定である(例えば、ジスルフィド)、ペプチドに関して記載されているその他の架橋とは異なり、ペプチドα−ヘリックス構造を安定化するための化学的に強固な全炭化水素置換架橋の利点はその疎水性にある。したがって、それは、脂質膜への結合のための高度な疎水性およびαヘリックス構造の両方を維持することが重要な本発明に特に適している。
炭化水素置換アミノ酸は、Apo AIconsの単一の位置または複数の位置、より詳しくは2つの位置に導入されうる。2つの位置を突然変異させた場合、該炭化水素置換アミノ酸は両方の位置において同一である、あるいは各位置において異なるものであることが可能であった。いくつかの典型的なペプチドを以下に説明する。
炭化水素置換アミノ酸R5HをApo AIconsの2つの異なる位置(K9およびE13)に導入し、炭化水素置換架橋の形成を伴うそれらの2つのR5H基のメタセシスの後、このペプチドのもう1つの形態を設計した。どちらのペプチドもABCA1依存性メカニズムによるコレステロール排出を促進し、リポソーム可溶化アッセイにおいて活性である。第1のペプチドはコレステロール排出アッセイにおいてEC50=46μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=91μMを示した。9および13位(i、i+4)における側鎖を連結する炭化水素置換架橋を伴う第2のペプチドはより強力であり、コレステロール排除アッセイにおいてEC50=10μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=60μMを示した。この場合、該炭化水素置換架橋の形成は活性の増加を招いた。
興味深いことに、同じ位置(K9およびE13)をS5H[すなわち、R5Hと同じ側鎖長を有するがR(D)ではなくその逆のS(L)の立体科学を有する炭化水素置換アミノ酸(図2)]へと突然変異させた場合には、得られたペプチド(9/13 S5H側鎖のメタセシス後、1つは開形態、そして1つは閉形態)は、良好な脂質結合にもかかわらず、コレステロール排除アッセイにおいて非常に低い活性を示した、あるいは活性を全く示さなかった。
これらのデータは、C5炭化水素置換アミノ酸でのK9およびE13位における突然変異の場合、該ペプチドの開形態および閉形態のどちらに関してもL−立体配置(S5H)よりもD立体配置(R5H)のほうが好ましいことを示している。
同じ位置(K9およびE13)をR5me[すなわち、R5Hと同じ側鎖長および同じD立体配置を有するα,α−ジ−置換アミノ酸(図2)]へと突然変異させた場合、予想されることは、αヘリックス構造の安定化および疎水性の増加が、より高い効力に変換されうることである。これは実現しなかった。なぜなら、9/13 R5me側鎖のメタセシスの後の開形態および閉形態はどちらも、良好な脂質結合にもかかわらずコレステロール排出アッセイにおいて非常に低い活性を示した、あるいは活性を全く示さなかったからである。
E13をS7H(図2)へと突然変異させたもう1つのペプチドを、E13をR7H(図2)へと突然変異させたペプチドと比較した。どちらのペプチドもABCA1依存性メカニズムによるコレステロール排出を促進し、リポソーム可溶化アッセイにおいて活性を示した。E13にS7Hアミノ酸を有するペプチドはコレステロール排出アッセイにおいてEC50=2.8μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=11μMを示し、一方、E13にR7Hアミノ酸を有するペプチドはコレステロール排出アッセイにおいてEC50=7.2μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=500μMを示した。
E13をS6Hへと突然変異させたもう1つのペプチドを、E13をR6Hへと突然変異させたペプチドと比較した。どちらのペプチドもABCA1依存性メカニズムによるコレステロール排出を促進し、リポソーム可溶化アッセイにおいて活性を示した。E13にS6Hアミノ酸を有するペプチドはコレステロール排出アッセイにおいてEC50=1.4μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=500μMを示し、一方、E13にR6Hアミノ酸を有するペプチドはコレステロール排出アッセイにおいてEC50=18μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=32μMを示した。
F6およびE13(i、i+7位)をそれぞれR6HおよびS7Hへと突然変異させたペプチドを、炭化水素置換架橋の形成を伴うR6HおよびS7H側鎖のメタセシス後の同じペプチドと比較した。どちらのペプチドもABCA1依存性メカニズムによるコレステロール排出を促進し、リポソーム可溶化アッセイにおいて活性を示した。F6にR6Hアミノ酸を及びE13にS7Hアミノ酸を有するペプチドはコレステロール排除アッセイにおいてEC50=0.4μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=25μMを示した。6位および13位(i、i+7)における側鎖を連結する炭化水素置換架橋を含有する対応ペプチドはコレステロール排出(ABCA1依存性)においてEC50=2.0μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてIC50=43μMを示した。R5H(i、i+4)ペプチドで観察された結果とは異なり、この場合には、炭化水素置換架橋の形成は活性の減少を招く。
炭化水素置換アミノ酸R6HおよびS7Hの位置の逆転、すなわち、S7HがF6位に存在しR6HがE13に存在するペプチドの産生は、2〜3倍低い活性を有するペプチドを与え、このペプチドはABCA1依存性メカニズムによるコレステロール排出アッセイにおいてはEC50=1.2μMを、そしてリポソーム可溶化アッセイにおいてはIC50=44μMを示す。
したがって、突然変異体炭化水素置換アミノ酸の特定の位置、特定の化学的性質および特定のキラリティーを最適化することにより(これらはすべて、同時に最適化される必要がある)、所望の特性を有するApoA−1ペプチド模倣体、すなわち、低いマイクロモル範囲のEC50で細胞からの専らABCA1依存性メカニズムによりコレステロール排除を促進しうる、またはマイクロモル範囲のEC50で脂質可溶化を促進しうるApoA−1ペプチド模倣体を得ることが可能である。さらに、炭化水素置換アミノ酸側鎖のRCMにより得られる全炭化水素置換架橋の該分子内の存在が有益なこともあれば、有益でないこともある。したがって、該架橋の形成も、場合に応じて最適化される必要がある。
該置換に最適に適合する非天然アミノ酸の長さ及び立体科学を更に検討するために、該αヘリックスの疎水性面の周囲の構造−活性関係(SAR)を単点突然変異により調べた。種々の長さ(C5〜C12)および異なる立体化学(LまたはD)の炭化水素置換側鎖アミノ酸を、図3に矢印で示されている位置(これらはApo AIcons配列の2、3、6、9、10、13、14、17、20および21位である)に導入した。
Apo AIcons配列の2、3、6、9、10、13、14、17、20および21位にR6Hが導入される単点突然変異により一連の類似体を合成した。該類似体をインビトロ逆コレステロール輸送アッセイにおいて試験した。13位の突然変異体のみがEC50=18μMのマイクロモル範囲の活性を示した。
Apo AIcons配列の2、6、9、10、13、14、17、20、21位における、より優れたR6H類似体であるR7Hでの単点突然変異により、一連の類似体を合成した。この場合、3つの突然変異体がインビトロRCTアッセイにおいて活性を示した。2位にR7Hを有する突然変異体および20位にR7Hを有する突然変異体の2つの突然変異体は僅かに活性であるに過ぎなかったが、13位にR7Hを有する突然変異体はマイクロモル範囲の良好な効力(EC50=7.2μM)を示した。この突然変異体はR6Hより1桁強力であった。
要約すると、一連のD立体配置の炭化水素置換アミノ酸(R6H、R7H)を単点突然変異体として導入した場合、RCTインビトロの活性に影響を及ぼす3つの鍵位置、すなわち、13、2および20位が特定された。興味深いことに、これらの3つの位置は該αヘリックスの同一面上に存在し、疎水性残基と正荷電残基との間の界面に隣接するヘリックス軸に沿った小さな回廊を占拠する(図3)。
また、6位および13位へのR5Hの導入により、2つの単点突然変異体を得た。該ペプチドをインビトロRCTアッセイにおいて試験したところ、該ペプチドは活性を全く示さないか又は僅かな活性しか示さず(100μMにおいてEC50=6.2%)、このことは、インビトロRCTにおける活性のためには、5より長い炭素鎖を有するアミノ酸が必要であることを示唆している。
また、6炭素鎖のS6Hから12炭素鎖のS12H3までのL−立体配置の炭化水素置換側鎖を使用して、SARを調べた。Apo AIcons配列の2、3、6、9、10、13、14、17、20および21位におけるS6H(図2)での単点突然変異により、一連の類似体を合成した。該ペプチドをインビトロRCTアッセイにおいて試験した。2位における単点突然変異体および20位における単点突然変異体は僅かに活性であるに過ぎなかった。13位におけるS6Hでの突然変異体は、そのR6H類似体より優れたマイクロモル範囲の効力(EC50=1.4μM)を示した。この知見は、13位における置換がApo AIconsからの活性の付与に非常に重要であること、および該L−立体配置が好ましいことを示している。
Apo AIconsの6、9、10、13、14、17位における、より優れたS6HホモログであるS7H(図2)での単点突然変異により、別の一連の類似体を合成した。該ペプチドをインビトロRCTアッセイにおいて試験した。6位にS7Hを含有する突然変異体は100μMにおいてEC50=4.0%を示し、一方、13位にS7Hを含有する突然変異体はより強力であり、EC50=2.0μMを示した。これらのデータは更に、7炭素鎖であるS7Hのような長いアルケニル鎖の、13位への導入が、インビトロRCTアッセイにおいて、活性の増加における大きな影響を及ぼすという知見を証明している。
ついで13位における更なる突然変異を調べた。より優れたS7HホモログであるS8HをApo AIconsの13位に含有するペプチドを合成した。該ペプチドはRCTインビトロアッセイにおいてEC50=0.6μMを示し、このことは、7炭素から8炭素へのアルケニル鎖の伸長が活性の増加をもたらすという見解を支持している。
要約すると、一連のL−立体配置の炭化水素置換アミノ酸(S6H、S7H、S8H)を単点突然変異体としてApo AIcons上に導入した場合、4つの鍵位置、すなわち、13、6、2および20位がRCTインビトロアッセイにおける活性に影響を及ぼすことが特定された。興味深いことに、これらの4つの位置は、D−立体配置の炭化水素置換アミノ酸で行ったSAR研究で判明したとおり、α−ヘリックスの同一表面上に存在し、疎水性残基と正荷電残基との間の界面に隣接するヘリックス軸に沿った小さい回廊を占拠している(図3)。
炭化水素置換非天然アミノ酸の導入に加え、LおよびDの両方の立体配置のアルキル側鎖アミノ酸をも使用して、Apo AIconsのα−ヘリックスの疎水性面の周囲のSARを調べた。S7H3、S8H3、S12H3またはR12H3(図2)をApo AIcons配列の6位または13位のいずれかに導入した場合に、単点突然変異体を得た。S7H3およびS8H3を13位に導入した場合に得られた突然変異体は、それぞれEC50=0.6μMおよびEC50=0.3μMの、RCTインビトロアッセイにおける非常に良好な効力を示した。該データにより示されているとおり、これらの2つの飽和類似体は、対応する不飽和ペプチドより幾分活性であった。より長いアルキル側鎖である(RS)12H3を6位または13位に導入した場合、対応する単点突然変異体はEC50=0.1〜0.4μMまたはEC50=0.2〜0.4μMを示した。
したがって、13位の場合には、8炭素鎖から12炭素鎖への伸長は大きな活性増加をもたらさず、一方、6位の場合には、7炭素アルケニル鎖(S7H3)から12炭素アルキル鎖(RS12H3)へと、相当な活性増加が達成されることが明らかである。
フェニル部分とα炭素との間にアルケニルリンカーを有する、より優れたフェニルアラニン類似体であるスチリル−アラニン(StyrA)で、SARを更に調べた。スチリル−アラニンは更に、該ペプチドの疎水性特性を増強する。(D)−StyrAおよび(L)−StyrAを13位に導入して得られた単一突然変異体は、RCTインビトロアッセイにおいて、それぞれ、EC50=22μMおよびEC50=1μMを示した。このことは、13位への疎水性/芳香族アミノ酸の導入がインビトロRCTアッセイにおける活性増加に非常に有益であること、およびL−立体配置が好ましいことを示唆した。(D)−StyrAおよび(L)−StyrAを6位に導入して得られた単一突然変異体はRCTインビトロアッセイにおいて不活性であった。
Apo AIcons配列のα−ヘリックスコンホメーションを安定化させつつ疎水性特性を増強するために導入した疎水性アミノ酸であるL−ヘキサフルオロ−ロイシン(hF−L−Leu)(図2)はマイクロモル範囲の効力を示した。hF−L−Leuを13位に導入して得られた単点突然変異体はRCTインビトロアッセイにおいてEC50=1.1μMを示した。この知見は、該インビトロアッセイにおけるRCTを増強するためには13位の該疎水性アミノ酸が有益であることを証明している。
種々の長さ(C5〜C12)のD−立体配置およびL−立体配置の両方の炭化水素置換アミノ酸を含有する単点突然変異体で行ったSAR分析を要約すると、3つの主要知見は以下のとおりである:2、6、13および20位における置換は不活性Apo AIcons配列からの効力の獲得をもたらした;13位はそれらの4つのうちで最も重要なものとして特定された;およびL−立体配置が好ましかった。
これらの知見に基づいて、突然変異の組合せを用いてSARを調べること、および同じペプチド配列内に二重または多重突然変異を導入することに決定した。Apo AIconsの2つの位置または複数(5つまで)の位置に炭化水素置換側鎖アミノ酸を導入した。2以上の位置を同時に突然変異させた場合、該炭化水素置換側鎖アミノ酸は、すべての位置において同じである、または各位置において異なることが可能であった。
S7Hを2位および13位に有する二重突然変異体(EC50=0.3μM)ならびにS7Hを6位および13位に有する二重突然変異体(EC50=0.3μM)ならびにS7Hを13位および20位に有する二重突然変異体(EC50=0.6μM)または6位の(L)−StyrAと13位のS7Hとの組合せとしての二重突然変異体(EC50=0.2μM)を設計し、それにより、鍵位置における2つの突然変異の組合せがRCTインビトロアッセイにおける効力に対して相加効果をもたらすことが示された。
さらに、2つの他の突然変異体、すなわち、S7Hを13位に含有する突然変異体、および側鎖に追加的カルボン酸を有するアミノ酸であるγ−カルボキシグルタミン酸(Gla)を8位または15位のいずれかに有する突然変異体を設計した。該ペプチド内の局所負電荷密度を増加させるために、Glaを導入した。2つの二重突然変異体Gla/S7H 13およびS7H 13/Gla15は、RCTインビトロアッセイにおいて、それぞれ、EC50=0.9μMおよび0.7μMを示した。該活性はGlaおよびS7H残基の両方に左右される。なぜなら、対応するGla8&15/S7H 13突然変異体(EC50=1.6μM)はそれほど強力ではなく、このことは、2つの突然変異の適切な組合せが効力に対して相加効果をもたらしたことを証明しているからである。
S8Hを6位および13位に導入した場合(EC50=0.4μM)、該ペプチドは、単一突然変異体で観察された場合(EC50=0.6μM)より優れた効力を示した。この効力は、S7Hを含有する二重突然変異体の場合(EC50=0.3μM)に類似しており、このことは、炭素鎖アミノ酸の伸長(>S7H)が二重突然変異体(6位および13位)にとってRCTインビトロ活性に、もはや有益ではないことを証明している。
また、アルキル側鎖アミノ酸の導入により、二重突然変異体も設計した。S7H3を6位および13位に導入した場合、該ペプチドは対応単一突然変異体より有効であり、EC50=0.3μMを有していた。S8H3を含有する二重突然変異体はEC50=0.6μMを示し、このことは、より長い炭素鎖アミノ酸(C8)を有する二重突然変異体ペプチドが、C7アミノ酸を有する二重突然変異体と比べてRCTアッセイにおける活性の増強を示さないことを証明している。
前記と同じペプチド配列内に複数の突然変異を導入して該SARを更に分析したところ、効力の更なる改善は得られなかった(7.7μM〜0.1μMのEC50)。
アミノ酸置換を行うことに加えて、所望の特性(すなわち、ABCA1輸送体によるコレステロール排出)を有するペプチドを得るために他の方法を用いた。例えば、スペーサーを含有しない二量体ペプチド(EC50=41μM)、または1以上のアミノ酸置換を伴うジスルフィド架橋形成による二量体ペプチド(EC50=1.5μM)を形成させるための配列の伸長を行った。
さらに他のアプローチには、例えば、RCTインビトロアッセイにおける活性の減少をを伴うことなくペプチドの化学合成または安定性を改善するための、7位におけるLys残基でのArgの置換、またはそれぞれGluおよびGlnでのAspおよびAsn残基の置換が含まれた。
さらに、ペプチドの薬物動態学的特性、例えば半減期、クリアランス、曝露、排泄プロファイルを改善するための他の試みには、以下のものが含まれる:
(i)PEG部分を含有するペプチドの設計、
(ii)コレステロールを含有するペプチドの設計、
(iii)該配列における同じD−アミノ酸でのL−アミノ酸の置換、および
(iv)リン脂質での製剤化。
表1および2におけるペプチド(それらのうちの幾つかはABCA1依存性コレステロール排出に関して僅か〜0.1μMのEC50を示している)は、従来技術からは導き出し得ない設計による新規ApoA−1模倣体を代表するものである。
Figure 2010530433
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本発明のApoA−1ペプチド模倣体は、高コレステロール血症および心血管疾患に関連した障害の治療に対するものとして提示される。特に、これらのペプチドは、ApoA−1の活性、より詳しくは、ABCA−1依存性経路によるその脂質結合およびコレステロール排出能を模倣したものであり、したがって、アテローム性動脈硬化性病変の急性および慢性治療に適しているはずである。
本発明のApoA−1ペプチド模倣体は、当技術分野で公知のいずれかの技術を用いて合成または製造されうる。該ペプチドは、当技術分野で一般に用いられている方法により、N末端アセチルおよび/またはC末端カルボキシアミドキャッピング基のようなキャップ化末端を有する形態で製造されうる。該ペプチドは医薬上許容される塩として製造されることが可能であり、本明細書においては酢酸塩が例示されている。該ApoA−1ペプチド模倣体は任意の簡便な量での凍結乾燥による安定化形態で保存されうる。該ApoA−1ペプチド模倣体は、患者への投与の前に無菌水または適当な無菌緩衝溶液で再水和させることにより還元(再構成)されうる。該ApoA−1模倣体は、医薬上適当な賦形剤を使用して製剤化されうる。
ある実施形態においては、ApoA−1ペプチド模倣体をペプチド−脂質複合体として製剤化し投与することが好ましいかもしれない。脂質を使用する、本発明のApoA−1ペプチド模倣体の製剤化は、例えば、該模倣体を脂質と共に同時凍結乾燥して、無菌ペプチド模倣体/脂質複合体に還元(再構成)されうる混合物を形成させることにより行われうる。典型的な技術は当業者によく知られている。任意の適当な脂質が使用されうるが、好ましい実施形態は1−パルミトイル−2−リノレオイルホスファチジルコリン(PLPC)である。
脂質でのペプチド模倣体の製剤化は幾つかの利点を有する。なぜなら、HDLクラスのタンパク質(特にプレ−ベータHDL集団)に類似したサイズおよび密度を該複合体が有する場合に特に、該複合体は、増加した循環半減期を有するからである。HDLクラスのリポタンパク質は、サイズ、密度および電気泳動移動度のような特性に基づいて幾つかのサブクラスに分けられうる。幾つかの具体例としては、サイズが増加する順に列挙すると、直径50〜60オングストロームのミセルプレ−ベータHDL、中間的サイズ、すなわち、65kDaの質量(約70オングストローム)を有する円盤状HDL、直径90〜120オングストロームの球状HDL3またはHDL2が挙げられる(J.Kane,1996,V.Fuster,R.RossおよびE.Topol[編]Atherosclerosis and Coronary Artery Disease,p.99;A.TallおよびJ.Breslow,同誌,p.106;Barransら,Biochemica et Biophysica Actal300,p.73−85;ならびにFieldingら,1995,J.Lipid Res 36,p.211−228)。しかし、HDLより小さい又は大きいサイズのペプチド模倣体−脂質複合体も本発明のペプチド模倣体により形成されうる。
該ペプチド模倣体−脂質複合体は、後記の同時凍結乾燥により、長い貯蔵寿命を有する安定な製剤として簡便に製造されうる。該凍結乾燥ペプチド模倣体−脂質複合体は、医薬再製剤化のためのバルク薬物質を製造するために、あるいは患者に投与する前に無菌水または適当な緩衝溶液で再水和させることにより還元(再構成)されうる個々のアリコートまたは投与単位を製造するために使用されうる。
HDLに類似した特性を有するペプチド−(リン)脂質複合体を製造するための簡便な方法は、各成分を同時安定化する溶媒系中で該ペプチド模倣体と脂質とを一緒にすることを含む。該溶媒ペアは、該ペプチド模倣体と該脂質との両方の同時溶解性が保証されるよう注意深く選択されなければならない。1つの典型的な方法においては、該粒子内に取り込ませるペプチド模倣体を水性もしくは有機溶媒または溶媒の混合物(溶媒1)に溶解させることが可能である。該(リン)脂質成分を、溶媒1と混和性である水性もしくは有機溶媒または溶媒の混合物(溶媒2)に溶解させ、それらの2つの溶液を一緒にする。あるいは、もう1つの典型的な方法においては、該(リン)脂質成分を該ペプチド模倣体溶液に直接的に溶解させる。あるいは、該ペプチド模倣体および脂質を共溶媒系(すなわち、該混和性溶媒の混合物)内に取り込ませることが可能である。該ペプチド模倣体の脂質結合特性に応じて、増強された又は更には完全な可溶化(および/または増強された混合)が凍結乾燥前に必要となる可能性があり、それに応じて溶媒が選択されうる、と当業者は認識するであろう。
この方法においては、得られる複合体が適当な物理的および化学的特性を有するよう、まず、脂質に対するペプチド模倣体の適当な比率を実験的に決定する。適当な特性には、通常(しかし、常にそうであるわけではない)、サイズにおけるHDL2またはHDL3に対する類似性が含まれうる。脂質とペプチド模倣体とのモル比は、複合体の所望のタイプに応じて、約2〜約200、好ましくは5〜50の範囲となるべきである。そのようなサイズのクラスのペプチド模倣体−脂質複合体の具体例には、ミセルまたは円盤状粒子(通常はHDL3またはHDL2より小さい)、HDL2またはHDL3に類似したサイズの球状粒子、およびHDL2より大きい、より大きな複合体が含まれるが、これらに限定されるものではない[命名規則に関しては、Bakogianniら,Diabetes Complications.2001 Sep−Oct;15(5):265−9を参照されたい]。
脂質とペプチド模倣体との複合体のサイズを評価するために、ゲル濾過クロマトグラフィーが用いられうる。例えば、以下のカラムが使用可能であろう:Pharmacia Superose 6、Pharmacia Superdex 200HR、Phenomenex BioSep SEC S 2000 HPLC。溶離液は、適切には、適当なバッファー中に100mM NaClを含有する。典型的なサンプル体積は、0.5mM mgペプチド模倣体を含有する複合体10〜200マイクロリットルである。カラム流量は、適切には、0.3ml/分でありうる。既知分子量およびストークス径の一連のタンパク質およびヒトHDLを、カラムの校正のための標準として使用する。該タンパク質およびリポタンパク質複合体を波長220または280nmの光の散乱または吸光度によりモニターする。クロマトグラフィー中の標準として使用されうるHDLの一例として、成熟HDL2粒子が挙げられる。プレ−β1 HDLはアポリポタンパク質および少数の分子のリン脂質のミセル複合体である。プレ−β2 HDLはアポリポタンパク質およびリン脂質の分子の円盤状複合体である。取り込まれる脂質(トリグリセリド、コレステロール、リン脂質)が多くなればなるほど、HDLは大きくなり、その形状が修飾される(プレ−β HDL(ミセル複合体)→プレ−β2 HDL(円盤状複合体)→HDL3(球状複合体)→HDL2(球状複合体))。
溶媒を選択し、該ペプチド模倣体および脂質が取り込まれたら、生じた混合物を凍結乾燥する。所望により、凍結乾燥を促進するために、該混合物に追加的な溶媒を加えることが可能である。該凍結乾燥産物は長期間保存可能であり、安定なままである。
該ペプチド模倣体−脂質複合体の溶液または懸濁液を得るために、該凍結乾燥複合体を還元(再構成)することが可能である。この目的には、該凍結乾燥粉末を適当な体積(しばしば、静脈内注射に簡便な約5mgペプチド/ml)まで水溶液で水和させる。典型的な実施形態においては、該凍結乾燥粉末をリン酸緩衝食塩水または生理食塩水で再水和させる。該混合物は、再水和を促すために攪拌を要するかもしれない。還元(再構成)は、典型的には、該複合体の脂質成分の相転移温度(Tm)と同じ又はそれより高い温度で行われる。数分以内に、還元された脂質−ペプチド模倣体複合体の溶液が生じる。該複合体が小さい場合、該溶液は透明でありうる。
使用されうる溶媒には、無極性、極性、非プロトン性およびプロトン性有機溶媒など、例えばエタノール、メタノール、シクロヘキサン、1−ブタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、THF、エーテル、塩化メチレン、ベンゼンおよびクロロホルムが含まれるが、これらに限定されるものではない。単一の溶媒だけでなく溶媒混合物も使用可能である。さらに、使用前に、該有機溶媒は、水を除去するために乾燥されうる。しかし、ある脂質またはペプチド模倣体では、水和溶媒または水が使用されうる。水が適当な溶媒でありうる。あるいは水和溶媒または有機溶媒/水混合物が使用されうる。しかし、水を使用する場合には、それは界面活性剤を含有しないものでなければならない。該溶媒は、好ましくは、最も純粋な品質のものであり、該溶媒は塩を含有せず、粒子を含有しないものであるべきである。しかし、該溶媒は無菌である必要はない。なぜなら、得られる産物は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences,16th and 18th Eds.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1980 and 1990)(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)およびUnited States Pharmacopeia/National Formulary(USP/NF) XVII(その全体を参照により本明細書に組み入れることとする)に記載されているような薬学分野における公知技術により、凍結乾燥の前、途中または後に滅菌されうるからである。
使用されうる脂質には、天然の及び合成された(合成)脂質およびリン脂質、例えば、小さなアルキル鎖リン脂質、卵ホスファチジルコリン、ダイズホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン ジオレオホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルグリセロール ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジン酸 ジパルミトイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(1,3)−D−マンノシル−(1,3)ジグリセリド、アミノフェニルグリコシド、3−コレステリル−6’−(グリコシルチオ)ヘキシルエテール糖脂質ならびにコレステロールおよびその誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
前記の医薬組成物の、それを要する患者への投与は、所望の効果(これは一般に、アテローム性動脈硬化症の1以上の症状の改善および/またはアテローム性動脈硬化症の1以上の症状の発生の可能性の有意な減少であると考えられる)をもたらすのに有効な投与量および期間にて、公知方法を用いて行われうる。本発明の医薬組成物の有効量は、患者に固有の要因、例えば、個体の年齢、性別および体重に応じて変動するであろう。本発明の医薬組成物は、治療剤を投与するための当技術分野で公知のいずれかの投与経路(例えば、経口投与、粘膜内投与、腹腔内注射、血管内注射、皮下注射、経皮投与または筋肉内投与)により投与されうる。本発明のペプチド模倣体が適切に保護される場合、それは、例えば不活性希釈剤または同化可能な可食性担体と共に経口投与されうる。また、該ペプチドおよび他の成分は硬または軟殻ゼラチンカプセル内に封入され、錠剤に圧縮され、あるいは個体の食事に直接添加されうる。経口治療用投与の場合、該活性化合物は賦形剤と共に含まれることが可能であり、経口摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、溶液剤(水剤)、ゲル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエファーなどの形態で使用されうる。そのような組成物および製剤は少なくとも1重量%の活性化合物を含有するべきである。該組成物および製剤の百分率は勿論、様々なものとなることが可能であり、簡便には、該単位の重量の約5〜80%でありうる。そのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、適当な投与量が得られる量である。また、該活性化合物は徐放製剤またはコントロールリリース製剤中に含有されうる。
ペプチド模倣体の濃度は、約0.1または1mg/kg/日〜約50mg/kg/日の範囲、時にはそれより高い投与量を与えるよう選択されうるが、典型的にはそのように選択されるであろう。そのような投与量は、個々の対象または対象の群における治療計画を最適化するために様々に変更されうると理解されるであろう。
Figure 2010530433
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Apo A−Iコンセンサス配列(Apo AIcons)の構造およびヘリックス円形を表示する。 非天然アミノ酸の代表的側鎖を示す。 構造−活性関係(SAR)法のヘリックス円形を表示する。 磁気共鳴撮像(MRI)により測定した、ApoE欠損マウスにおけるアテローム体積に対する代表的ペプチドの効果を示す。
本発明の他の特徴および利点は、種々の実施例を含む本明細書に記載の追加的説明から明らかである。記載されている実施例は、本発明の実施において有用な種々の成分および方法を例示している。該実施例は、特許請求されている本発明を限定するものではない。本開示に基づき、当業者は、本発明の実施に有用な他の成分および方法を特定し使用することが可能である。
(実施例1)
ApoA−1模倣体ペプチドを設計するための炭化水素置換基の合成
Fmoc−R5H−OH:(2R)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘプタ−6−エン酸の合成
工程1:5−ヨードペンタ−1−エン
アセトン中の5−ブロモ−1−ペンテン(1当量)およびNaI(3当量)の混合物を60℃で2時間加熱した。該混合物を室温に冷却し、水で希釈し、ペンタンで抽出した。ペンタン層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、5−ヨード−1−ペンテン(96%)を得た:1H NMR 5.75(ddt,1,J)17.2,10.4,6.8),5.08(dd,1,J)17.2,1.6),5.02(dd,1,J)10.4,1.6),3.19(t,2,J)7.0),2.17(dt,2,J)6.8,7.0),1.91(tt,2,J)7.0,7.0)。
工程2:(2S,5R)−2−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−5−ペンタ−4−エン−1−イル−2,5−ジヒドロピラジン
ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中の1.6N溶液、1.0当量)を、−70℃で、乾燥テトラヒドロフラン中の(2S)−2−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−2,5−ジヒドロピラジン(1.0当量)の攪拌溶液にシリンジにより加え、攪拌を15分間継続した。ついで、乾燥テトラヒドロフラン中の5−ヨードペンタ−1−エン(1.0当量)の予め冷却された溶液を加え、−70℃で2〜4時間、攪拌を継続した。ついで該反応混合物を一晩室温で加温した。該反応を飽和水性塩化アンモニウムの添加によりクエンチし、該混合物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で蒸発させた。該最終粗混合物を、石油エーテル中の10% EtOAcで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。
工程3:メチル(2R)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘプタ−6−エノアート
UPLC/MSにより加水分解の完了が確認されるまで、水性希塩酸(1N,6.0当量)とTHF(0.25M)との混合物中の(2S,5R)−2−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−5−ペンタ−4−エン−1−イル−2,5−ジヒドロピラジンの溶液を室温で攪拌した。該反応を2N NaOHの添加により中性状態にまでクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で蒸発させて、(2R)−2−アミノヘプタ−6−エノアートとメチルL−バリナートとの混合物を得た。残渣を、更に精製することなく次工程において直接使用した。Fmoc−R5H−Ome(メチル(2R)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘプタ−6−エノアート)を得るために、該基質をDCM中の1.2当量のFmoc−Osuで室温で一晩処理した。該混合物を水で洗浄し該産物をDCM中で抽出することにより、該反応をクエンチした。有機物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で蒸発させた。得られた粗混合物(Fmoc−R6H−OmeおよびFmoc−S−Val−Ome)を、1%〜30% MeOHで溶出するシリカ上のカラムに付し、これは一定の度合で該産物を精製した(約3:1,産物:バリン−Ome)。
工程4:(2R)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘプタ−6−エン酸(Fmoc−R5H−OH)
該メチル(2R)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘプタ−6−エノアート混合物をH2O/ジオキサン(1:1)に0.3Mの最終濃度で溶解し、最終混合物を一晩還流した。最終的な(2R)−2−{[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]アミノ}ヘプタ−6−エン酸をEtOAc中に抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。最終粗製物を、HO中の5%〜80% CHCNで溶出する、KP−C18−HS 65Si(37−70mm 300オングストローム)上のフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の最終的なFmoc−R5H−OHを得た。
(実施例2)
ApoA−1模倣体ペプチドの合成
本発明のApoA−1模倣体ペプチド(表1を参照されたい)を、ペプチド合成装置SYMPHONY(PROTEIN TECNOLOGIES,INC)上のFmoc/tBu化学法を用いる固相により合成した。各ペプチドに関して、Fmoc−リンカーAM−PSに基づく樹脂、1% 架橋体(BIOSEARCH TECHNOLOGIES,Inc.)およびPEG−PSに基づく樹脂[修飾Rinkリンカーp−[(R,S)−α−[9H−フルオレン−9−イルメトキシホルムアミド]−2,4−ジメトキシベンジル]−フェノキシ酢酸(Rink,H.,1987,Tetrahedron Lett.28:3787−3789;Bernatowicz,M.S.ら,1989,Tetrahedron Lett.30:4645−4667)で誘導体化されたもの]を使用した。該アシル化反応は全て、該合成装置上のペプチド構築の終了の後、樹脂非含有アミノ基に対して6倍過剰の活性化アミノ酸を使用して60分間にわたって行った。側鎖保護基は以下のものであった:AspおよびGluにはtert−ブチル;Lysにはtert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、AsnおよびGlnにはトリチル;Argには2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル。DMF中、カップリング試薬としてHBTU/DIEAを使用することにより、Ac−プロリン−OHとしてN末端のプロリンを導入した。活性化物質としてHBTU/DIEAを使用することにより、炭化水素置換非天然アミノ酸(RH,SH,RH,SH,S,R,S,R)を手動でカップリングさせ、必要に応じて、該カップリングを繰返した。該カップリングの後、該合成の残りを、前記のとおりに自動で行った。
あるいは、ペプチド合成装置ABI433A(APPLIED BIOSYSTEMS)上でFmoc/tBu化学法を用いる固相により、ApoA−1模倣体ペプチドを合成した。各ペプチドに関して、Fmoc−リンカーAM−PSに基づく樹脂、1% 架橋体(BIOSEARCH TECHNOLOGIES,Inc.)を使用した。該アシル化反応は、樹脂非含有アミノ基に対して4倍過剰の活性化アミノ酸を使用して60分間にわたって行った。DMF中の等モル量のHBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)および2倍モル過剰のDIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)を使用して、該アミノ酸を活性化させた。DMF中、カップリング試薬としてHBTU/DIEAを使用することにより、Ac−プロリン−OHとしてN末端のプロリンを導入した。
該合成の終了時に、該乾燥ペプチド−樹脂を個々に切断混合物(88% TFA、5% フェノール、2% トリイソプロピルシランおよび5% 水)(Sole,N.A.およびG.Barany,1992,J.Org.Chem.57:5399−5403)で室温で1.5時間処理した。オレフィン性側鎖アミノ酸を含有するペプチドの場合、該切断混合物は95% TFAおよび5% 水から構成されるものであった。各樹脂を濾過し、該ペプチドを沈殿させるために、該溶液を冷メチル−t−ブチルエーテルに加えた。遠心分離後、ペプチドペレットを新鮮な冷メチル−t−ブチルエーテルで洗浄して該有機スカベンジャーを除去した。この過程を2回繰返した。最終ペレットを乾燥させ、HO、20% アセトニトリルに再懸濁させ、凍結乾燥した。
REPROSIL−PUR 300 C4カラム(250×20mm,10μm)(DR.MAISCH GmbH)またはRCM DELTA−PAK C4カートリッジ(40×200mm,15μm)またはRCM DELTA−PAK C18カートリッジ(40×200mm,15μm)またはACE C18(250×21mm,10μm,300オングストローム)(CPS Analitica,Milan,Italy)を備えた分取WATERS PREP LC 4000 SystemまたはGX−281 Gilson Trilution LCを使用し、溶離液(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAをそれぞれ30または80mL/分の流量で使用する逆相HPLCにより、該粗ペプチドを精製した。
REPROSIL−PUR 300 C4もしくはC18カラム(150×4.6mm,5μm,300オングストローム)(DR.MAISCH GmbH)またはACE C4もしくはC18カラム(150×4.6mm,3μm,300オングストローム)(CPS analitica)上、流量1mL/分、45℃で、あるいはAcuity UPLC BEH(登録商標)C18カラム(100×2.1mm,1.7μm,130オングストローム)(Waters)上、流速0.4mL/分、45℃で、分析用HPLCを行った。精製されたペプチドを、Micromass LCZプラットフォームおよび/またはSQD Watersおよび/またはMALDI−Tofマススペクトロメトリー(Mass Spectrometry)上のエレクトロスプレー質量分析により特徴づけた。
記載されているとおりに(Schafmeister CE.ら,J.Am.Chem.Soc.2000,122,5891−5892)、閉環メタセシスを行った。ただし、この場合、使用した触媒はGrubbs(グラブス)II触媒であった。触媒であるルテニウム,[1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)をMATERIA,Inc.(Pasadena,California)から購入した。
使い捨てフリット化反応容器における固体支持体に尚も結合している20mgの該ペプチドのRCMに用いた一般的方法は以下のとおりであった。
a)反応容器内に直接的にアルゴンを通気しながら、脱気された200μLの1,2−ジクロロエタンで該樹脂−ペプチドを膨潤させた。この時点で、Grubbs II触媒を、10mMの最終濃度となるよう、該反応混合物に直接加えた。該反応を室温で2時間進行させた。
b)該触媒を濾去した。該樹脂を1,2ジクロロエタンで洗浄し、工程aに従い該触媒を再び加えた。その遅いメタセシス反応を完了させるために、その2時間のメタセシス反応を1回繰返した。ついで該樹脂結合ペプチドを洗浄し、乾燥させ、試験切断を行うために標準的なFmoc切断プロトコールに従い切断して、該RCMが完了したかどうかを確認した。
該乾燥ペプチド−樹脂を個々に20mLの切断混合物(95% TFAおよび5% 水)で室温で1.5時間処理した。各樹脂を濾過し、原液TFAで1回洗浄した。該ペプチド溶液をメチル−t−ブチルエーテルで沈殿させた。遠心分離後、ペプチドペレットを新鮮な冷メチル−t−ブチルエーテルで洗浄して該有機スカベンジャーを除去した。この過程を3回繰返した。最終ペレットを乾燥させ、HO、20% アセトニトリルに再懸濁させ、凍結乾燥した。該メタセシス化ペプチドの全ては未メタセシス化出発物質の前に溶出した。
REPROSIL−PUR 300 C4カラム(該企業はそれを、C18などのようなその他の全てのものと同様に、下付き文字を伴わないC4と呼んでいる)カラム(250×20mm,10μm)(DR.MAISCH GmbH)またはRCM DELTA−PAK C4カートリッジ(40×200mm,15μm)またはRCM DELTA−PAK C18カートリッジ(40×200mm,15μm)またはACE C18(250×21mm,10μm,300オングストローム)(CPS analitica)を備えた分取WATERS PREP LC 4000 SystemまたはGX−281 Gilson Trilution LCを使用し、溶離液(A)水中の0.1% TFAおよび(B)アセトニトリル中の0.1% TFAをそれぞれ30または80mL/分の流量で使用する逆相HPLCにより、粗ペプチド(未メタセシス化体およびメタセシス化体の両方)を精製した。
REPROSIL−PUR 300 C4もしくはC18カラム(150×4.6mm,5μm,300オングストローム)(DR.MAISCH GmbH)またはACE C4もしくはC18カラム(150×4.6mm,3μm,300オングストローム)(CPS Analitica)上、流量1mL/分、45℃で、あるいはAcuity UPLC BEH(登録商標)C18カラム(100×2.1mm,1.7μm,130オングストローム)(Waters)上、流速0.4mL/分、45℃で、分析用HPLCを行った。精製されたペプチドを、Micromass LCZプラットフォームおよび/またはSQD Watersおよび/またはMALDI−Tofマススペクトロメトリー(Mass Spectrometry)上のエレクトロスプレー質量分析により特徴づけた。
前記のとおりに、ApoA−1コンセンサスペプチド(配列番号1)を80%の合成収率で合成した。WATERS RCM DELTA−PAK C4カートリッジを30−30(5分間)−30−50(20分間)%のB(B=CHCN中の0.1% TFA)の勾配で使用することにより、RP−HPLCにより該最終ペプチドを精製して、20%の収率を得た。所望の産物をLC−MS分析により特徴づけた:MW 2711.18,実測値(MH+):2712.68。残りのペプチドも、前記のとおりに、ApoA−1コンセンサスペプチドのように又はRCMにより合成した。
もう1つの典型的なペプチドは配列番号11であり、これは、2工程のメタセシスおよび切断後の樹脂の適切な最終的洗浄を行う前記のとおりのRCMにより合成した。得られた合成収率は60%であった。REPROSIL−PUR 300 C4カラムを32−48%(25分間)のB(B=CHCN中の0.1% TFA)の勾配で使用することにより、RP−HPLCにより該最終ペプチドを精製して、23%の収率を得た。所望の産物をLC−MS分析により特徴づけた:2692.24,実測値(MH+):2693.65。
もう1つの典型的なペプチドは、2つの炭化水素置換側鎖アミノ酸を有する配列番号43であり、73%の合成収率で、前記のとおりに合成された。WATERS RCM DELTA−PAK C4カートリッジを40−55%(25分間)のB(B=CHCN中の0.1% TFA)の勾配で使用することにより、RP−HPLCにより該最終ペプチドを精製して、22%の収率を得た。所望の産物をLC−MS分析により特徴づけた:MW 2741,34;実測値(MH+):2742。
(実施例3)
インビトロ機能アッセイ−コレステロール排出
本発明のペプチドを、両親媒性特性、およびリン脂質を可溶化しコレステロール排出を促すそれらの能力に基づいて設計した。ApoA−1ペプチド模倣体の効力の最も直接的な機能尺度は、細胞からのコレステロールの排出を改善するその能力である。RAWおよびJ774細胞系は、当技術分野においてこの目的に頻繁に使用される信頼しうるマウスマクロファージ細胞系である。これらの細胞系においては、特異的ABCA1刺激排出が、より非特異的なメカニズム(例えば、ABCG1およびSRB1によるもの)から区別されうるよう、十分に特徴づけられたABCA1コレステロール輸送体タンパク質の発現がcAMPとのインキュベーションによりアップレギュレーションされうる。以下のアッセイにおいては、RAW、J774または比較しうるマクロファージ細胞系が使用されうる。RAW細胞系が好ましく、以下の説明において用いられている。
本アッセイにおいては、RAW細胞を、5μCi/mlのH−コレステロールおよびDMEM完全培地(INVITROGENの10% FBSおよびGIBCOの1% ペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミンを含有する)内で1.5×10細胞/200μl/ウェル/48ウェルプレートにてプレーティングする。5% COを含有する湿った37℃の雰囲気中の24時間のインキュベーションの後、消費された培地を除去し、該細胞を無血清DMEM(FBSの代わりに0.1% 脂肪酸非含有ウシ血清アルブミンが使用される)で1回洗浄し、新鮮な無血清培地(200μl)を各ウェルに加える。細胞コレステロールプールを平衡化するための無血清培地内での一晩のインキュベーションの後、消費された培地を除去し、CPT−cAMP(150μM)を伴って/伴わずに新鮮な無血清培地を加える。被験ペプチドの8点連続滴定体をこの時点で加える(cAMPを含有しない単純な培地内での二重滴定ならびにcAMPを含有する培地内での二重滴定)。
種々の条件中の24時間のインキュベーションの後、該培地を各ウェルから集め、50μlのアリコートを計数する。ついで500μlのHEPES/Triton細胞溶解バッファーを各ウェルに加えることにより、該細胞を細胞溶解した。凍結および解凍により、1回、該細胞溶解を促進させる。解凍後、該ライセートを十分に混合し、50μlのアリコートを計数する。
該培地における総計数を該培地およびライセートにおける総計数の和で割り算することにより、各培地条件(±cAMP)における各ペプチドの排出率を計算する。単純な培地で見出された排出率を、cAMP刺激排出で見出された排出率から引き算して、ABCA1刺激の報告値を得る。PRISMソフトウェアを使用して、EC50値を決定する(表2)。
(実施例4)
インビトロ機能アッセイ−脂質可溶化
前記のとおり、他方の重要なパラメーターはリン脂質可溶化であった。本発明のペプチドの可溶化能を決定するために、濁度法を用いる。まず、該ペプチドの3倍連続滴定体をポリプロピレンv形96ウェルプレート内で調製する。200μlの最終ウェル体積中、500μMの出発濃度を得るために、100μlアリコートにおける光学的に透明な底のアッセイプレートへの添加を可能にする出発濃度から、リン酸緩衝食塩水(PBS,pH7.5)またはDMSO中で8点連続滴定を行う。ついでPBSを各ウェルに加えて、総体積を100μlにする。誤った結果を回避するために、該ウェル内の気泡を分散させなければならない。つぎに、PBS中の0.5mg/mlのジミリストイルホスファチジルコリンの濁っているが均一なエマルションから、100μlを該アッセイプレート内の各ウェルに加え、該プレートをNEPHELOSTAR(BMG LABTECH INSTRUMENTS)内に挿入し、直ちに及び15分ごとに2時間にわたって読取りを行う。
リン脂質を含有するがペプチドを含有しないウェルの読取り値を平均することにより、真の0点値を計算する。各ペプチド濃度に関して、対応する30および120分の読取り値から該0点値を引き算し、その0点値で割り算することにより、濁度の減少率を計算する。最終的に、PRISMソフトウェアを使用して、両方の時点に関するEC50値を決定する(表2)。
(実施例5)
赤血球(RBC)溶解アッセイ
効力の増加および毒性の減少は共に薬物発見において重要である。本発明のペプチドは、リン脂質、ABCA1コレステロール排出ポンプおよび細胞膜と相互作用しうる両親媒性ペプチドであるため、赤血球(RBC)溶解および哺乳類細胞毒性の測定は、該ペプチドの治療ウィンドウを決定するのに有用である。
RBC溶解アッセイは既に記載されている(Kurtz,M.B.ら,(1994);Wang,J.ら,PNAS 104(18),7612−7616(2007))。基本的には、EDTAを含有するバキュテーナー(vacutainer)チューブ内にヒト献血者からヒト赤血球を集める。2mlの新鮮に採取された全血を6mlの無菌塩類液に加え、穏やかに混合し、ついで2000rpm、5℃で5分間遠心分離する。上清を捨て、ヒト赤血球を6mlの無菌塩類液に再懸濁させ、2000rpm、5℃で5分間、再び遠心分離する。この操作を2回繰返す。0.3mlの該洗浄赤血球を9.7mlの無菌塩類液に加えることにより、該洗浄赤血球の3% 懸濁液を調製する。3.2% MeSOを含有する100μlの無菌塩類液中の160〜2.5(または150〜2.3)μMの範囲の最終濃度の試験ペプチドを96ウェルMICROTEST U底プレート(BECTON DICKINSON,BD−353227)内で調製する。該プレート内の各ウェルへの5μlの3% 洗浄ヒト赤血球懸濁液の添加により、RBC溶解を開始させる。該プレートを室温で一晩インキュベートし、ついで2000rpmで5分間遠心分離し、直ちに読取る。赤血球の溶血は、該ウェルの底にRBCペレットを伴わない又は粗(rough)RBCペレットを伴う上清の完全または部分的な清澄化(細胞溶解)により示される。溶血の非存在は、該ウェルの底に平滑(smooth)RBCペレットを伴う透明上清により判断される。最小細胞溶解濃度(MLC)は、赤血球の完全または部分的な細胞溶解を可視的に引き起こす、試験ペプチドの最低濃度と定義される。陽性対照としてアンホテリシンBを使用し(MLC=2〜4μg/ml)、陰性対照としてクロラムフェニコールを使用する(MLC=>64μg/ml)(表3)。
(実施例6)
哺乳類細胞毒性アッセイ
いくつかの変更を伴う以外は既に記載されているとおりに(Wang,J.ら,(2003))該アッセイを行う。簡潔に説明すると、RAW細胞を集め、フェノールレッドを伴わないMEM(GIBCO 51200−38)で3回洗浄し、同じ培地に再懸濁させる。該細胞(4×10個)を96ウェルプレート(CORNING 3904)の各ウェル内に播く。ペプチドの系列希釈物を160〜2.5μMの最終濃度で加える。該プレートを、5% COを含有する湿った37℃の雰囲気中でインキュベートする。24時間後、20μlのONE SOLUTION REAGENT(PROMEGA,G3582)を各ウェル内に加え、ついで該プレートを37℃で1時間インキュベートし、490nmで読取る。Prismソフトウェアを使用して、細胞毒性(IC50)を計算する(表3)。
Figure 2010530433
Figure 2010530433
Figure 2010530433
Figure 2010530433
(実施例7)
アポリポタンパク質E欠損マウスにおけるアテロームの減少に対するApoA−1模倣体ペプチドの効果
これらの模倣体ペプチドの開発の最終目標はヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症病変の急性および慢性治療であった。HDL粒子内の主要タンパク質成分アポリポタンパク質A−Iの活性突然変異体である組換えアポリポタンパク質A−Milanoは、急性冠状動脈症候群を有する患者における5週間の治療の後にヒト冠状動脈病変の退縮を誘導することが示されている(Nissenら,2003)。また、組換えアポリポタンパク質A−IMilanoは、誘発性進行大動脈病変を有するNew Zealand Whiteウサギにおいて、脂質に富むアテローム性動脈硬化プラークを減少させること(Paroliniら,2008;Ibanezら,2008)、ならびに大動脈アテローム性動脈硬化症の進行を防ぎ、アポE欠損マウスにおいて重度の高コレステロール血症にもかかわらずプラークの脂質およびマクロファージ含量を減少させること(Shahら,1998)が示されている。通常のげっ歯類用食餌が与えられているApoE欠損マウスにApoA−1模倣体ペプチド(Cons[S6,13])を20mg/kg体重の用量で12週間にわたって1日1回皮下投与したところ、5週間の治療の後、ビヒクルで処理されたアポE欠損マウスにおける変化と比較して磁気共鳴撮像による評価でアテローム体積の有意な減少が見出された(図11)。16週間にわたって1日1回腹腔内投与された類似構造を有する化合物は、アテローム形成性食餌が与えられたC57BL/6Jマウスにおける病変形成の抑制において有効でなかったため(Anantharamaiahら,2007)、該結果は、この(Cons[S6,13])ペプチドが新規であり、アテローム体積の強力な減少誘導因子であることを示した。
他の実施形態は以下の特許請求の範囲の範囲内である。いくつかの実施形態が示され記載されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の修飾が施されうる。

Claims (7)

  1. 非天然アミノ酸への少なくとも1つのアミノ酸の突然変異によりApoA−1コンセンサスペプチドの配列から誘導されたApoA−1ペプチド模倣体。
  2. 該非天然アミノ酸がイソ酪酸側鎖、ジカルボン酸側鎖、炭化水素側鎖またはアルキル側鎖を有する、請求項1記載の模倣体。
  3. 該ペプチド模倣体がABCA1依存性コレステロール排出に関して10〜0.4μMのEC50を示す、請求項1記載の模倣体。
  4. Figure 2010530433
    Figure 2010530433
    Figure 2010530433
    よりなる群から選ばれる、請求項1記載のペプチド。
  5. 配列番号2〜72よりなる群から選ばれる、請求項1記載のペプチド模倣体。
  6. 請求項1記載のペプチドを含んでなる医薬組成物。
  7. 請求項1記載のペプチドの治療的有効量を患者に投与する工程を含んでなる、患者における逆コレステロール排出(reverse cholesterol efflux)を増加させるための方法。
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