JP2010527181A - マルチチャネル音声通信システムにおいて音響エコーを低減するための方法およびシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本方法は、複数のスピーカ604、及び、第1の場所において生成される音及び該複数のスピーカによって生成される音響エコーを含む複数のマイクロフォンデジタル信号のうちの1つを生成する複数のマイクロフォン606を備えた第1の場所102から第2の場所104に伝送されるマイクロフォンデジタル信号において音響エコーを低減することを対象とする。本方法は、それぞれマイクロフォンとスピーカとの間の1つのエコーパス702に対応する複数の近似インパルス応答を求めることと、それぞれスピーカのうちの1つによって再生されるデジタル信号を多数の近似インパルス応答で畳み込むことに対応する複数の近似音響エコーを求めることとを含み、マイクロフォンデジタル信号のうちの少なくとも1つにおける音響エコーが、対応する近似音響エコーに基づいて低減される。
【選択図】図6
Description
現在、個人および企業が、これらの通信媒体を用いて効率性および生産性を高め、同時にコストおよび複雑性を低減している。
たとえば、音声会議通信システムによれば、ヘッドセットを装着することなく、またはハンドヘルド通信デバイスを使用することなく、第1の場所にいる一人または複数人の個人が、全二重通信線を通じて概ねリアルタイムに、他の場所にいる一人または複数人の個人と同時に会話できるようになる。
最新の音声会議通信システムは、感知可能な歪み、背景雑音および他の望ましくない音声アーティファクト(artifact)を含まない、「モノチャネル」とも呼ばれる単一のチャネルを介して音声信号の明瞭な伝送を提供しようと試みる。
1つの一般的なタイプの望ましくない音声アーティファクトは音響エコーである。
音響エコーは、1つの場所においてマイクロフォンおよびスピーカが結合することに起因して、伝送された音声信号が音声会議通信システムを通じてループするときに生じる可能性がある。
図1は、1つの例示的な2地点間モノチャネル音声会議通信システム100の概略図を示す。
音声会議通信システム100は、近い部屋102および遠い部屋104を含む。
近い部屋102において生成される声のような音がマイクロフォン106によって検出され、遠い部屋104において生成される音がマイクロフォン108によって検出される。
マイクロフォン106および108はそれぞれ、音をx(t)およびy(t)によって表される信号に変換する。
ただし、tは時間を表す。
マイクロフォン106によって生成されるアナログ信号は以下の式によって表される。
y(t)=s(t)+f(x(t))+ν(t)
ただし、
s(t)は、近い部屋102において生成される音を表すアナログ信号であり、
ν(t)は、マイクロフォンまたは通信チャネル110において外乱によって引き起こされる雑音または外来信号を表すアナログ信号であり、たとえば、それはスピーカ116から出力される耳障りなブーンといううなり音を生成する場合があり、
f(x(t))は、音響エコーを表すアナログ信号である。
音響エコーf(x(t))は、近い部屋102における音響的な伝搬遅延、並びに通信チャネル110および112を介するアナログ信号x(t)のラウンドトリップ伝送遅延の両方に起因する。
アナログ信号y(t)によって生成される音は、遠い部屋104内のスピーカ116から出力される。
信号y(t)の振幅における増幅または利得、および音響エコーf(x(t))の大きさによっては、遠い部屋104においてマイクロフォン108に話しかけている人が、信号s(t)によって搬送される音のほかに、音響エコーf(x(t))によって生成される音の結果としてスピーカ116から生じるエコーまたは耳障りな高ピッチのハウリング音を聞く場合がある。
音声会議通信システムの設計者および製造者は、種々の方法で音響エコーを補償しようと試みてきた。
1つの補償技法は、音響エコーを低減するフィルタリングシステムを利用する。
典型的には、フィルタリングシステムは、音声信号受信場所における条件変化に適応する適応フィルタを利用する。
これらのシステムは、第1の場所および第2の場所において、複数のマイクロフォンおよびスピーカを用いる。
しかしながら、それぞれの場所において複数のマイクロフォンおよびスピーカを用いることによって、数百ミリ秒の通信時間だけ隔てて音響エコーが引き起こされ、それが、マルチチャネル音声会議通信システムを開発することへの障害になっている。
たとえば、設計者および製造者は、スピーカを励振する前に、無相関の励振信号に対して非線形関数を利用する方法を開発した。
しかしながら、この非線形性は最終的に、空間的な音声使用感を劣化させる。
音声会議通信システムの設計者、製造者および使用者は、リアルタイムに音声信号から音響エコーを確実に除去することができ、且つ音声信号受信場所における条件変化に迅速的に適応することができるマルチチャネル音声会議通信方法およびシステムが必要であることを認識している。
本発明の1つの方法実施の形態は、第1の場所から第2の場所に伝送される複数のマイクロフォンデジタル信号において音響エコーを低減することを対象とする。
第1の場所は、複数のスピーカおよび複数のマイクロフォンを備え、該複数のマイクロフォンのそれぞれは、第1の場所において生成される音および該複数のスピーカによって生成される音響エコーを含む、複数のマイクロフォンデジタル信号のうちの1つを生成する。
本方法は、近似インパルス応答を求めることを含み、各近似インパルス応答は、複数のマイクロフォンのそれぞれと複数のスピーカのそれぞれとの間の1つのエコーパスに対応する。
本方法は、複数の近似音響エコーを求めることも含み、各近似音響エコーは、複数のスピーカのうちの1つによって再生されるデジタル信号を多数の近似インパルス応答で畳み込むことに対応する。
マイクロフォンデジタル信号のうちの少なくとも1つにおける音響エコーが、対応する近似音響エコーに基づいて低減される。
詳細には、これらの方法は、マルチチャネル音声通信システムを介して第1の場所と第2の場所との間で伝送される複数の音声信号内の音響エコーを低減する。
本発明の通信システム実施形態は、電子プレゼンテーション、ボイスメール、音声会議通信システム、または第1の場所と第2の場所との間で音声信号を伝送することができる任意の他のタイプの通信システムとすることができる。
第1の場所および第2の場所において、複数のマイクロフォンおよびスピーカが用いられる。
本発明の方法実施形態は、マイクロフォンとスピーカとの間の音響結合毎に制御状態を計算する。
その制御状態は、以下の4つのタイプの通信、(1)第1の場所からのみ音が伝送される;(2)第2の場所からのみ音が伝送される;(3)第1の場所と第2の場所との間で同時に音が伝送される;および(4)第1の場所と第2の場所との間で音が伝送されない、のうちの1つのタイプを特徴付ける。
その後、その方法は、第1の場所に配置されるマイクロフォンによって検出される信号毎に、制御状態に基づいて近似音響エコーを計算する。
その方法は、第2の場所から第1の場所に伝送されるデジタル信号のそれぞれから、対応する計算された近似音響エコーを減算し、それらの信号が第1の場所において出力される前に、これらの信号の利得を調整する。
音響エコーキャンセルの技術分野の熟練者にとっては、本発明の実施形態を十分に説明すると共に特徴付けるのに数式だけで十分であるかもしれないが、以下の論考に含まれる、さらに図式的で問題志向の例、および制御フロー図による手法は、本発明が種々の経歴を有する読者にとって理解しやすいように、本発明の多くの実施形態のうちの1つだけを例示するように意図される。
本発明の種々の実施形態の説明を理解するのを助けるために、最初のサブセクションにおいて、デジタル信号、インパルス応答および畳み込みの概説が提供される。
第2のサブセクションにおいて、本発明の実施形態が提供される。
このセクションは、モノチャネル音声伝送システムにおけるデジタル信号、インパルス応答および畳み込みの概括的な説明を提供するように意図される。
その後、このサブセクションにおいて導入される概念を用いて、次のサブセクションにおいて下記で説明されるマルチチャネル音響エコー実施形態における音声チャネルのそれぞれが説明される。用語「マイクロフォン」は、音を信号に変換する変換器または任意の適切なデバイスを指している。
「スピーカ」は、信号を音に変換することができる任意の適切なデバイスを指している。
デジタルコンピュータを用いてアナログ信号を処理するために、そのアナログ信号は最初に、アナログ信号に含まれる不可欠な情報を最小限に変更したデジタル信号に変換される。
デジタル信号は、電子的に、磁気的に、または光学的に格納することができ、コンピュータプログラム内に符号化される論理演算を用いて処理することができる。
図2Aおよび図2Bでは、横軸202のような横軸は時間を表し、縦軸204のような縦軸は、ボルト単位のアナログ信号振幅を表す。
図2Aは、時間依存性の、絶えず変化するアナログ信号x(t)206のプロットである。
アナログ信号x(t)206は最初に、離散的なサンプリング時刻において、アナログ信号x(t)の振幅を測定することによってサンプリングされる。
アナログ信号に含まれる不可欠な情報が失われるのを防ぐために、サンプリング時刻間の持続時間は一般的に、連続したサンプリング時刻間でアナログ信号がほとんど変化しないほど十分に短くなるように選択される。
図2Bは、図2A内のアナログ信号206をサンプリングすることによって得られるサンプリング済み信号208のプロットである。
サンプリング時間は数十分の1秒であり、サンプリング済み信号208は、サンプリング時刻間で一定の信号振幅を仮定することによって、ステップ関数として近似される。
たとえば、定振幅領域210は、サンプリング時刻0.2秒と0.3秒との間で−1.9ボルトの一定値を表す。
それゆえ、ステップ関数内の各ステップの振幅およびサンプリング時刻を表す整数値を生成するために、各定振幅領域の値に第1の定数を乗算することによって、且つサンプリング時刻に第2の定数を乗算することによって、整数符号化されたデジタル信号が生成される。
整数値化されたサンプリング時刻は「時刻サンプル」と呼ばれ、整数値化された振幅は「デジタル振幅」と呼ばれる。
結果として生成されたデジタル信号は、x[n]によって関数で表すことができる。
ただし、nは独立変数であり、時刻サンプル領域を表す。
図2Cは、図2B内のサンプリング済み信号208から得られるデジタル信号のプロットである。
図2Cでは、横軸212は、時刻サンプル領域であり、縦軸214は、デジタル信号軸である。
グラフ内の各点は、スケールされたサンプリング時刻におけるデジタル信号のスケールされた振幅を表す量子化された値を表す。
たとえば、座標(2,−19)の点x[2]216は、図2Bのステップ210を表す。
表記x[n]は、デジタル信号の「成分」と呼ばれるデジタル信号の単一のインパルスを表すために用いることもできる。
ただし、nは特定の時刻サンプルを表す。
各成分は、単一の時刻サンプルにおける振幅を表す単一の値を除いて全て0のサンプル値を含む信号であり、それは数学的には以下の式によって表される。
x[n]=dδ[n−p]
ただし、
dはインパルスの振幅、すなわち強さを表す整数倍率であり、
pは時刻サンプルであり、
δは以下の式によって定義されるδ関数である。
言い換えると、デルタ関数δ[n−p]内のpは時刻サンプルシフトを表し、n−pは時刻サンプルnに対する時刻サンプルを表す。
ただし、pは「0」であり、dは「1」に等しい。
マイクロフォンのインパルス応答は、非常に持続時間が短い音のインパルスをマイクロフォンに加えて、マイクロフォンによって出力される信号を測定することによって求めることができる。
マイクロフォンのインパルス応答は、以下のようにベクトルによって表すこともできる。
hn[・]はインパルス応答成分であり、
Lはインパルス応答を構成する成分の数である。
インパルス応答h[n]は、スピーカによって生成される音インパルス、および室内で反射され、マイクロフォンによって受信されるインパルスの音を含む。
図3において、インパルスプロット302は、仮想的なマイクロフォン304に入力されるインパルスx[n]を表す。
インパルスx[n]302は、n=0における単一の0でない点306を除いて全て0を含み、それはdδ[n−p]によって表される。
この場合、dは「1」に等しく、pは「0」に等しいので、インパルスはδ[n]によって表すことができる。
インパルス302に応答して、マイクロフォン304は、インパルス応答プロット308によって表されるインパルス応答h[n]を出力する。
インパルス応答308は、点310〜312によって表される3つの0でないデジタル信号を除いて全て0を含む。
1つのインパルスへの実際のデジタルインパルス応答は典型的には、図3に示されるように、そのインパルス内に含まれる数よりも多くの数の0でない成分を含む。
インパルス応答308は、3成分ベクトルによって表すことができる。
スピーカ、部屋およびマイクロフォンは「システム」と呼ばれ、関連付けられるインパルス応答は「システムインパルス応答」と呼ぶことができる。
システムのスピーカによって生成されるデジタル信号は、スピーカによって生成される音を表すデジタル信号x[n]をシステムのインパルス応答h[n]で畳み込むことによって求められる。
畳み込み済みのデジタル信号はxc[n]によって表される。
図4A〜図4Dは、システムから出力されるデジタル信号xc[n]を生成するために、仮想的なスピーカによって生成される3成分デジタル信号x[n]をインパルス応答h[n]で畳み込む一実施例をグラフで与える。
図4Aは、仮想的なシステムによって生成される2成分インパルス応答例h[n]402のプロットである。
インパルス応答h[n]は、時間と共に変化しないものと仮定される。
第1の成分は、スケールされたインパルス2δ[0]404によって表される。
システムは、インパルス2δ[n]404に応答して、時刻サンプル「0」において第1の成分406を含むインパルス応答h[n]を出力し、後の時刻サンプル「1」において第2の成分408を出力する。
インパルス2δ[n]404に対するインパルス応答は基本的に、インパルス倍率「2」を乗算した成分を有する、図4Aのインパルス応答である。
第2の成分は、インパルスδ[n−1]410によって表される。
システムは、インパルスδ[n−1]410に応答して、時刻サンプル「1」において第3の成分412を含むインパルス応答を出力し、後の時刻サンプル「2」において第4の成分414を出力する。
インパルスδ[n−1]410に対するインパルス応答は基本的に、「1」倍だけシフトした成分時刻サンプルを有する、図4Aのインパルス応答である。
第2の成分408および第3の成分412は同じ時刻サンプル「1」において生じるので、時刻サンプル「1」における出力である第5の成分416を得るために、成分408および412の振幅は加算される。
第2の成分は、インパルス−2δ[n−2]418によって表される。
システムは、インパルス−2δ[n−2]に応答して、時刻サンプル「2」において第6の成分420を含むインパルス応答を出力し、後の時刻サンプル「3」において第7の成分422を出力する。
インパルス−2δ[n−2]418に対するインパルス応答は基本的に、倍率「−2」を乗算した成分、および「2」倍だけシフトした成分時刻サンプルを有する、図4Aのインパルス応答である。
第5の成分414および第6の成分420は同じ時刻サンプル「2」において生じるので、時刻サンプル「2」における出力である第8の成分424を与えるために、成分414および420の振幅は加算される。
一般的に、N成分入力デジタル信号x[n]をL成分インパルス応答h[n]で畳み込むことによって、N+L−1成分の畳み込み済みデジタル信号xc[n]が与えられる。
たとえば、列ベクトル
負の値を有する時刻サンプルに対応するベクトル
たとえば、図4Dの第1の成分406は、以下の式によって計算される。
第2の成分416、第3の成分424および第4の成分422は以下のように計算される。
畳み込み済み信号成分xc[n]を計算するために、デジタル信号x[n]の成分のうちの先行して得られたL個のデジタル信号成分が用いられ、負の値を有する時刻サンプルに対応するベクトル
畳み込みは以下のように表すこともできる。
プロット502および504において、横軸506のような横軸は時刻サンプル軸であり、縦軸508のような縦軸はデジタル数軸である。
プロット504内の畳み込み済みデジタル信号サンプル510は、図5に示されるように得られ、数学的には以下の式によって表される。
しかしながら、実際には、システムのインパルス応答は多くの場合に、部屋の条件に依存する。
言い換えると、システムのインパルス応答は、部屋の条件が変化するのに応じて、経時的に変化する場合がある。
たとえば、部屋内で音が生成されていないシステムのインパルス応答は、後に部屋内で音が生成される時点の同じシステムのインパルス応答とは異なる。
本発明の種々の実施形態は、第1の場所と第2の場所との間で伝送される複数の音声信号において音響エコーを低減するための、適応的で、リアルタイムの音響エコーキャンセル方法およびシステムを対象とする。
音響エコーキャンセル方法およびシステムの実施形態の概説が最初に説明され、その後、本発明の多くの実施形態のうちの1つが説明される。
本発明の実施形態は、多数のブロック図、制御フロー図、数式およびグラフ表示を参照しながら説明される。
図6は、本発明の一実施形態を表す、混合マルチチャネル音声通信システム600のブロック図を示す。
混合マルチチャネル音声通信システム600は、マルチチャネルエコー制御ユニット(「MECU」)602と、近い部屋102内に配置されるI個のスピーカ604およびJ個のマイクロフォン606とを備える。
ただし、IおよびJはそれぞれ、スピーカの全数およびマイクロフォンの全数を表す自然数である。
遠い部屋104において生成されるデジタル信号x1[n],...,xl[n]がMECU602に伝送され、近い部屋102内に配置されるスピーカ604を通じて同時に再生される。
マイクロフォン606が、近い部屋102内に位置する人々、音声デバイスおよび他の雑音発生源によって生成された音を検出し、且つスピーカ604から生じる音によって生成される残響音またはエコーを検出する。
スピーカ604とマイクロフォン606との間の音響結合が、図7を参照しながら下記で説明される。
マイクロフォン606によって検出された音は、J個のマイクロフォンデジタル信号y1[n],...,yJ[n]の形でMECU602に伝送される。
図8を参照しながら下記でさらに詳細に説明されるMECU602は、J個の処理済みデジタル信号r1[n],...,rJ[n]を得るために、マイクロフォンデジタル信号y1[n],...,yJ[n]を処理する。
それらの処理済みデジタル信号は、音響エコーおよび背景雑音が概ねない信号であり、遠い部屋104に伝送される。
ただし、Nは集合内の要素の数である。
たとえば、デジタル信号x1[n],...,xI[n]は、代わりに、{xi[n]}Iによって表すこともできる。
この結合は、「エコーパス」と呼ばれ、第iのスピーカおよび第jのマイクロフォンの音響結合毎に、時間と共に変化する実数値インパルス応答ベクトル
ただし、i∈{1,...,I}はスピーカのインデックス (index)であり、j∈{1,...,J}はマイクロフォンのインデックスである。
図7は、本発明の一実施形態を表す、図6に示される、スピーカ604とマイクロフォン606との間の音響結合を示す。
図7に示されるように、スピーカおよびマイクロフォンを結合するエコーパスのうちの16個が線によって表されており、これらの16個のエコーパスのうちの4個が対応するインパルス応答ベクトル
たとえば、時刻サンプルnにおいて、第2のスピーカ704と第1のマイクロフォン706との間のエコーパス702に関連付けられるインパルス応答ベクトルは
第iのスピーカを通じて再生され、第jのマイクロフォンによって検出される特定のデジタル信号xi[n]の残響バージョンまたはエコーは、
第jのマイクロフォンによって検出されるデジタル信号{xi[n]}Iに関連付けられる全エコーは以下の式によって与えられる。
ただし、各マイクロフォンデジタル信号は以下の式によって特徴付けられ、
yj[n]=sj[n]+ej[n]
sj[n]は、近い部屋102内に位置する人々、音声デバイスおよび他の雑音発生源によって生成された局所音源信号を表す。
図8は、本発明の一実施形態を表す、図6に示されるMECU602によって実行される音響エコーキャンセルのブロック図を示す。
MECU602は、入力チャネル804〜806およびマイクロフォンチャネル810〜808を推定および追跡ブロック802に接続する矢印によって示されるように、デジタル信号{xi[n]}Iおよびマイクロフォンデジタル信号{yj[n]}Jを受信する推定および追跡ブロック802を含む。
推定および追跡ブロック802は、近似インパルス応答ベクトルを生成して、
しかしながら、時刻サンプルn毎に近似インパルス応答ベクトル
言い換えると、インパルス応答ベクトル毎に、Nc個の時刻サンプルにわたる最大偏差は、以下の式によって制限される。
結果として、本発明の方法は、時刻サンプルn毎に近似インパルス応答ベクトルの集合
ただし、Nd<<NCであり、mは正の整数である。
Nd個の時刻サンプルに伴う時間間隔は「決定期間」と呼ばれ、決定期間の開始時点は「決定エポック」と呼ばれる。
図9において、横軸902は時間軸を表し、構造904〜907はデジタル信号を表しており、エコーパスのためのインパルス応答を近似する。
縦方向の各線分は時刻サンプルに関連付けられるデジタル信号またはインパルス応答を表す。
詳細には、構造904内の縦方向の線分は、n+1個の連続したインパルス応答ベクトル
図8において、決定期間は6時刻サンプルから構成され、それぞれの開始時点は破線908〜910のうちの1つによって特定される。
本発明の方法実施形態によれば、推定および追跡ブロック802は、各決定期間の開始時点において、近似インパルス応答ベクトルの新たな集合
たとえば、決定期間912中に、推定および追跡ブロック802が、決定期間912のための残響デジタル信号
次の決定期間914の開始時点908において、推定および追跡ブロック802は、新たな近似インパルス応答ベクトル
一般的に、決定期間mNdの開始時点において、近似インパルス応答ベクトルの集合
たとえば、適応フィルタ812は、デジタル信号{xi[n]}Iを、近似インパルス応答ベクトル
一般的に、第jの適応フィルタは、近似的な残響デジタル信号
ただし、各ベクトルは以下の式によって与えられる。
推定および追跡ブロック802によって実行される本発明の方法実施形態は、残留エコーを低減することを対象とする。
また、推定および追跡ブロック802は、制御済みデジタル信号
たとえば、マイクロフォンチャネル808〜810内に非線形処理ブロック(「NPB」)820〜822が配置されており、それらは、推定および追跡ブロック802によって実行されるJ個の非線形処理のうちの3つを表す。
NPBは、J個の処理済みデジタル信号{rj[n]}Jを生成するために、対応する制御済みデジタル信号によって搬送される背景雑音および任意の残留エコーを減衰させる。
実際に、本発明の特定の実施形態では、MECU602は、隣の部屋に、同じ建物内の一室に、または近い部屋102から数十、さらには数千マイルも離れて位置する部屋内に配置することができる。
本発明の他の実施形態では、MECU602は、近い部屋102内に配置することができる。
本発明の他の実施形態では、遠い部屋104から近い部屋102に伝送されるデジタル信号{xi[n]}I内の音響エコーをキャンセルするために、第2のMECUを備えることができる。
推定および追跡ブロック802は、近い部屋102と推定および追跡ブロック802との間で伝送される信号のための直流(「DC」)オフセット除去も含む場合がある。
DCオフセットは、電気的な干渉によって引き起こされることが多い低周波の歪みである。
この電気的な干渉は、一定の電圧を生成し、それにより、スピーカから出力される音の中にクリック音およびポップ音を引き起こす可能性がある。
DCオフセット除去は、以下のように、遠い部屋104において生成されるデジタル信号{xi[n]}IのそれぞれにおけるDCオフセットを補正し、
xi[n]=axi[n−1]+.5(1+a)(xi,rec[n]−xi,rec[n−1])
以下のように、近い部屋102において生成されるマイクロフォンデジタル信号{yj[n]}JのそれぞれにおけるDCオフセットを補正する。
yj[n]=ayj[n−1]+.5(1+a)(yj,mic[n]−yj,mic[n−1])
ただし、aは約0.9〜0.9999の範囲の定数である。
図10のステップ1001では、下記で記述される式において用いられるパラメータが初期化される。
表1〜表3は、或る特定の用途において用いられる場合があるこれらのパラメータおよび関連付けられる初期値例を示す。
表1〜表3において示される値は、部屋の構成に依存し、それゆえ、変わることがあることに留意されたい。
また、表1は、定数のそれぞれに関連付けられる値例も含む。
パラメータPは、図10のステップ1004を参照しながら下記で説明されるデジタル信号ベクトル
パラメータNは、周波数領域ベクトル
パラメータβ、η、λ、K1およびK2は、図10〜図14を参照しながら下記で説明される式の項に相対的重要度または重みを割り当てるために用いられる値である。
パラメータGmaxおよびGminは、J個のマイクロフォンのそれぞれに関連付けられる最大利得および最小利得である。
パラメータMは、図10を参照しながら下記で説明されるダブルトーク中に用いられる。
パラメータ
パラメータ
パラメータ
パラメータMi,x 2(0)およびMj,y 2(0)は、デジタル信号xi (m)[n]およびyj (m)[n]に関連付けられる最大二乗エネルギーである。
パラメータG(0)は、図12を参照しながら下記で説明される初期利得適応値である。
ベクトル
ベクトル
ベクトル
ステップ1003においてforループが始まると、時刻サンプルn毎にステップ1004〜1012が繰り返される。
ステップ1004では、推定および追跡ユニット802が遠い部屋104から出力されるI個のデジタル信号{xi (m)[n]}I、および近い部屋102から出力されるJ個のデジタル信号{yj (m)[n]}Jを受信する。
ステップ1005では、デジタル信号ベクトルの集合
ただし、各デジタル信号ベクトルは、デジタル信号xi (m)[n]およびL+P−1個の先行するデジタル信号xi (m)[n]から形成される(L+P)成分デジタル信号ベクトル
またステップ1005では、マイクロフォンデジタル信号ベクトルの集合
ただし、各マイクロフォンデジタル信号ベクトルは、マイクロフォンデジタル信号yj (m)[n]およびP−1個の先行するデジタル信号yj (m)[n]から形成されるP成分マイクロフォンデジタル信号ベクトル
ステップ1006では、集合
ただし、ベクトル要素は以下の式によって与えられる。
FFTおよびIFFTを用いることは、時刻サンプル領域においてデジタル信号を畳み込むことよりも数百倍、さらには数千倍速くなり得る。
デジタル信号処理の分野のための多くの参考文献のうちの1つにすぎないが、多数の異なるFFT方法およびIFFT方法が、A. Oppenhiemer、R. SchaferおよびJ. Buck著「Discrete-Time Signal Processing(第2版)」(Prentice Hall, Inc.,(1999-2000))において記述される。
上記で参照された書籍から、またはこの分野における多くの他の教本、論文および雑誌記事から、さらなる詳細を入手することができる。
ステップ1007では、制御済みデジタル信号ベクトルの集合
ただし、各制御済みデジタル信号ベクトルは以下のように計算される。
「
3つ組(1,2,3)および(3,1,2)の成分毎の乗算は以下のように表される。
4つのタイプの音声信号伝送は、「制御状態」(「CS」)と呼ばれ、以下のように特定される:(1)近端の部屋102からのみ音声信号が出力され、SNEOによって表される;(2)遠端の部屋104からのみ音声信号が出力され、SFEOによって表される;(3)近端の部屋102および遠端の部屋104の両方から同時に音声信号が出力され、「ダブルトーク」呼ばれ、SDTよって表される;(4)近端の部屋102および遠端の部屋104から音声信号が出力されず、SNSによって表される。
ステップ1009では、J個の利得補正された処理済みデジタル信号{rj (m)[n]}Jを計算するために、ルーチン「残留エコー抑圧」が呼び出される。
ステップ1010では、処理済みデジタル信号{rj (m)[n]}Jが遠い部屋104に伝送される。
ステップ1011では、nが(m+1)Nd−1以下であるとき、制御がステップ1012に移り、そうでない場合には、制御はステップ1013に移る。
ステップ1012では、時刻サンプルnが「1」だけインクリメントされ、ステップ1004〜1011が繰り返される。
言い換えると、Nd決定期間中に、近似インパルス応答ベクトル
ステップ1013では、別の決定エポックmが入手可能であるとき、制御がステップ1014に移り、そうでない場合には、ルーチン「{rj[n]}Jを求める」が終了される。
ステップ1014では、決定エポックmが「1」だけインクリメントされる。ステップ1015では、ルーチン「
言い換えると、Nd個の決定エポックを有する新たな決定期間が開始され、近似インパルス応答ベクトルが更新される。
図11Aのステップ1101においてforループが始まると、インデックスi∈{1,...,I}毎にステップ1102〜1114が繰り返される。
ステップ1102では、ベクトル
ステップ1103では、最大二乗エネルギーMi,x 2(m−1)が平均二乗エネルギーEi,x 2(m)未満である場合には、制御がステップ1104に移り、そうでない場合には、制御はステップ1105に移る。
ステップ1104では、最大二乗エネルギーは以下の式によって計算され、
ステップ1105では、平均二乗エネルギーEi,x 2(m)が0.1Mi,x 2(m−1)よりも大きいとき、制御がステップ1106に移り、そうでない場合には、制御はステップ1107に移る。
ステップ1106では、最大二乗エネルギーが以下の式によって計算され、
ステップ1107では、最大二乗エネルギーMi,x 2(m)が、先行する決定期間からのMi,x 2(m−1)の値を割り当てられる。
ステップ1108〜1113では、ブール論理値「真」および「偽」がブール変数T1i、T2iに割り当てられる。
ステップ1108では、長期分散
ステップ1111では、平均二乗エネルギーEi,x 2(m)が0.01Mi,x 2(m)以上であるとき、制御がステップ1112に移り、T2iが「真」に設定され、そうでない場合には、制御はステップ1114に移り、T2iは「偽」に設定される。
ステップ1114では、iがIよりも大きい場合には、制御が図11Bのステップ1116に移り、そうでない場合には、制御はステップ1115に移る。
ステップ1115では、iが「1」だけインクリメントされ、ステップ1102〜1114が繰り返される。
ステップ1116では、以下のように、
ステップ1118では、最大二乗エネルギーMi,y 2(m−1)が平均二乗エネルギーEi,y 2(m)未満であるとき、制御がステップ1119に移り、そうでない場合には、制御はステップ1120に移る。
ステップ1119では、最大二乗エネルギーが、以下の式によって計算され、
Mi,y 2(m)=min{Ei,y 2(m),10Mi,y 2(m−1)}
制御がステップ1123に移る。
ステップ1120では、平均二乗エネルギーEi,y 2(m)が0.1Mi,y 2(m−1)よりも大きいときに、制御がステップ1121に移り、そうでない場合には、制御はステップ1121に移る。
ステップ1121では、最大二乗エネルギーが以下の式によって計算され、
Mi,y 2(m)=0.999Mi,y 2(m−1)+0.001Ei,y 2(m)
制御がステップ1123に移る。
ステップ1123〜1128では、ブール論理値「真」および「偽」が、ブール変数T3j、T4jに割り当てられる。
ステップ1123では、平均二乗エネルギー
ステップ1126では、長期分散
ステップ1129では、以下の式に従って、エコーリターンロスエンハンスメント値(「ERLE」)が計算される。
ERLEを用いて、システムが状態SFEOにあるときに音響エコーキャンセルの性能を測定することができ、システムが図13Aのステップ1309において下記で説明されるダブルトークにあるときに近似インパルス応答ベクトルを求めることができる。
ステップ1130では、jがJよりも大きいとき、制御が図11Cのステップ1132に移り、そうでない場合には、制御はステップ1131に移る。
ステップ1131では、jが「1」だけインクリメントされ、ステップ1117〜1130が繰り返される。
ステップ1133においてforループが始まると、i∈{1,...,I}毎にステップ1134〜1143が繰り返される。
ステップ1134〜1141では、図11Aのステップ1108〜1113および図11Bのステップ1123〜1128において求められたブール論理値を用いて、エコーパス毎の制御状態CSijが求められる。
ステップ1134では、T1iおよびT3jが「真」であり、且つT2iおよびT4jが「偽」であるときに、制御がステップ1135に移り、CSijがSNEOを割り当てられ、そうでない場合には、制御はステップ1136に移る。
ステップ1136では、T1iおよびT4jが「真」であり、且つT2iが「偽」である場合には、制御がステップ1137に移り、CSijがSNSを割り当てられ、そうでない場合には、制御はステップ1138に移る。
ステップ1138では、T2iが「真」であり、且つT1i、T3jおよびT4jが「偽」である場合には、制御がステップ1139に移り、CSijがSFEOを割り当てられ、そうでない場合には、制御はステップ1140に移る。
ステップ1140では、T2iおよびT3jが「真」であり、且つT1iおよびT4jが「偽」である場合には、制御がステップ1141に移り、CSijがSDTを割り当てられ、そうでない場合には、制御はステップ1142に移る。
ステップ1142では、iがIよりも大きいとき、制御がステップ1144に移り、そうでない場合には、制御はステップ1143に移る。
ステップ1143では、iが「1」だけインクリメントされ、ステップ1134〜1142が繰り返される。
ステップ1144において、jがJよりも大きいとき、{CSij}IJおよび{ERLEj (m)}Jが返され、そうでない場合には、ステップ1145において、jが「1」だけインクリメントされ、ステップ1133〜1144が繰り返される。
ステップ1201においてforループが始まると、インデックスj毎にステップ1202〜1207が繰り返される。
音声伝送の制御状態を用いて、処理済みデジタル信号{rj (m)[n]}Jのそれぞれにおける利得が補正される。
たとえば、ダブルトーク中に、または近い部屋102においてのみ音声信号が生成されるとき、制御済みデジタル信号
制御済みデジタル信号が得ることができる利得の最大量および最小量はそれぞれ、定数GmaxおよびGminによって表される。
ステップ1202〜1205は、各処理済みデジタル信号{rj (m)[n]}Jのそれぞれにおける利得を調整する。
ステップ1202において、ダブルトークであるとき、または近い部屋102においてのみ音が生成されるとき、制御がステップ1203に移り、そうでない場合には、制御はステップ1204に移る。
ステップ1203では、以下のように、利得が計算される。
G(m)=K2G(m−1)+(1−K2)Gmax
ただし、K2は、G(m−1)に対して、最大利得Gmaxよりも低い相対的重要度を割り当てる重みである。
ステップ1204では、その利得は以下のように計算される。
G(m)=K1G(m−1)+(1−K1)Gmin
ただし、K1は、G(m−1)に対して、最小利得Gminよりも相対的に高い重要度を割り当てる重みである。
ステップ1205において、第jの処理済みデジタル信号は以下の式によって求められる。
ステップ1302においてforループが始まると、i∈{1,...,I}毎にステップ1302〜1313が繰り返される。
ステップ1302においてforループが始まると、j∈{1,...,J}毎にステップ1303〜1311が繰り返される。
ステップ1303では、CSijがSFEOであるとき、制御がステップ1304に移り、そうでない場合には、制御はステップ1305に移る。
ステップ1304では、ルーチン「
ステップ1305において、CSijがSNEOまたはSNSであるとき、制御がステップ1306に移り、そうでない場合には、制御はステップ1307に移る。
ステップ1306では、先行するインパルス応答
ステップ1307、1308および1309を用いて、図13B〜図13Cを参照しながら下記で説明されるように、ダブルトークの存在を誤って解釈するのを防ぐ。
ステップ1307において、「カウント」が「0」に等しくないとき、制御がステップ1307に移り、そうでない場合には、制御はステップ1309に移る。
ステップ1308では、「カウント」が「1」だけデクリメントされ、制御がステップ1306に移る。
ステップ1309では、集合
ステップ1310では、「カウント」が値Mを割り当てられる。
値Mは10、12、15、18または任意の他の適切な値とすることができる。
ステップ1310では、jがJよりも大きいとき、制御がステップ1312に移り、そうでない場合には、制御はステップ1311に移る。
ステップ1311では、iが「1」だけインクリメントされ、ステップ1302〜1310が繰り返される。
ステップ1312では、iがIよりも大きい場合には、近似インパルス応答ベクトルの集合
各データ構造は、最も高い信号対雑音比を有する、K個の最新の近似インパルス応答を含む。
決定エポックmの下付き文字は、インパルス応答ベクトルがデータ構造に追加された順序に対応する。
たとえば、ステップ1309のデータ構造では、インパルス応答ベクトル
ダブルトーク中に信号対雑音比は急激に劣化するので、ダブルトーク中に近似インパルス応答ベクトルは更新されないことに留意されたい。
雑音が増加すると、近似インパルス応答ベクトルが歪む。
この歪みを回避するために、近似インパルス応答ベクトル
本発明の種々の実施形態において、近似インパルス応答ベクトルは、任意の数の異なる判定基準に基づいて選択することができる。
たとえば、本発明の一実施形態では、ステップ1309において、いずれのインパルス応答ベクトルが最も大きな対応する
本発明の別の実施形態では、ステップ1309において、いずれの近似インパルス応答ベクトルがデータ構造内で最も長く存在しているかに基づいて、対応するデータ構造から近似インパルス応答ベクトルを選択することができ、その近似インパルス応答ベクトルは
図13B〜図13Cは、本発明の一実施形態を表す、4つのタイプの制御状態のための増幅エネルギー対時間の2つのプロットを示す。
図13B〜図13Cにおいて、縦軸1314のような縦軸は、近い部屋102と遠い部屋104との間で伝送される信号に関連付けられる増幅エネルギーを表し、横軸1315のような横軸は時刻を表し、破線1316のような水平な破線は、ダブルトークしきい値エネルギーEthに対応する。
曲線1318および1320は、近い部屋102と遠い部屋104との間で伝送される信号に関連付けられる増幅エネルギーを表す。
ダブルトークしきい値エネルギーEthより低い増幅エネルギーは、SFEO、SNEOまたはSNS制御状態に対応する。
ピーク1322はダブルトークから生じる増幅エネルギーに対応し、それはダブルトークしきい値Ethよりも大きい。
しかしながら、ピーク1324は、近い部屋102または遠い部屋104において生成されるエコーパス雑音に対応する。
ダブルトークが実際には発生していない場合であっても、増幅エネルギーがダブルトークしきい値エネルギーEthを超えているので、この雑音が発生した当初には、ダブルトークが発生したかのように見える。
短い持続時間の雑音をダブルトークと誤って解釈するのを防ぐために、時刻1326において、ステップ1306、1307および1305を参照しながら説明された変数「カウント」でカウントダウンが始まり、ダブルトークがM回繰り返されたことが確認されるまで、ステップ1308においてデータ構造
言い換えると、本発明の方法は、M回の決定期間にわたってダブルトークが生じなかったかのように動作し続ける。
図13Bの時刻1328において示されるように、M回繰り返した後に増幅エネルギーが減少している場合には、ダブルトークのための近似インパルス応答ベクトルを不適切に選択するのが回避されている。
言い換えると、図13Cの時刻1330における曲線1320において示されるように、M回繰り返した後に、増幅エネルギーが増加している場合には、ステップ1309において、ダブルトークのための近似インパルス応答ベクトルが選択される。
図14Aは、本発明の一実施形態を表す、図14のステップ1304において呼び出されるルーチン「
ステップ1401では、周波数領域依存ベクトルを得るために、シャドーインパルス応答ベクトル
ステップ1403では、シャドーエラーベクトルを得るために、周波数領域シャドーエラーベクトルにIFFTが適用される。
ステップ1405では、以下の再帰式に従って、発展信頼領域ベクトルが求められる。
信頼領域ベクトル
また、信頼領域ベクトル
ステップ1408では、ステップ1404において求められたシャドーミスマッチベクトル
ステップ1410では、ERLEj (m)がしきい値Cよりも大きいとき、制御がステップ1411に移る。
しきい値Cは、10、12、15または近似インパルス応答ベクトル
ステップ1411では、図13Aのステップ1309を参照しながら上記で説明されたインパルス応答データ構造
ただし、決定エポックmKは、最も長い時間にわたってデータ構造内に存在している近似インパルス応答ベクトルに対応し、決定エポックm1は、直前にデータ構造に追加された近似インパルス応答ベクトルに対応する。
本発明の一実施形態では、データ構造からインパルス応答ベクトル
ステップ1409において計算された、直前に計算された近似インパルス応答ベクトルの追加に対応すると共に、ステップ1410においてERLEがしきい値条件を満たすようにするために、たとえば、関連するERLE値が最も小さな近似インパルス応答ベクトルが、そのデータ構造から除去される。
シャドーインパルス応答ベクトル
その信頼領域は、探索空間U内にある、超円領域、超楕円領域、超立方領域、または任意の他の超次元領域のような多くの異なる超次元形状を有することができる。
図14Bは、本発明の一実施形態を表す、探索空間U1422内に位置する超楕円領域1420の2次元表示を提供する。
図14Bにおいて、領域1420および1422は2次元において表されるが、実際には、これらの領域は、実際
超楕円領域1420の形状は、ステップ1405において計算される信頼領域ベクトル
言い換えると、図14Bに示されるように、点によって表される予め求められた6つのシャドーインパルス応答ベクトルが、ベクトル
後続の超楕円体規定ベクトル
図15を参照しながら下記で説明されるように、シャドー更新ステップサイズμij,mは超楕円体規定ベクトル
図14Bに示されるように、ベクトル1424によって示されるように、シャドーミスマッチベクトル
結果として、シャドーインパルス応答ベクトル
ステップ1501では、周波数領域ベクトル
ステップ1502では、図11において計算される最大エネルギーを用いて、以下の値が求められる。
ステップ1503においてforループが始まると、周波数領域のインデックスk毎にステップ1504〜1506が繰り返される。
ステップ1504では、プレコンディショニングベクトル
ステップ1505では、kがN−1未満であるとき、制御がステップ1506に移り、そうでない場合には、制御はステップ1507に移る。
ステップ1506では、インデックスkが値「1」だけインクリメントされる。
ステップ1507では、ベクトル
ステップ1601では、パラメータ
ステップ1603では、μij,mが値
ステップ1604では、μij,mが値「0.2」を割り当てられる。
ステップ1701では、パラメータγ_scaleij (m)が以下のように計算される。
ステップ1703では、パラメータcij,mが以下のように再帰的に計算される。
cij,m=max{=cij,m−1−4000,400}
ステップ1704では、パラメータcij,mが以下のように再帰的に計算される。
cij,m=max{=cij,m−1+1,40000}
ステップ1705では、以下の式に従って、γij,mが値を割り当てられる。
ステップ1706では、γ_scaleij (m)が「1」より大きいとき、制御がステップ1707に移る。
ステップ1707では、γij,mが以下の値を割り当てられる。
たとえば、本発明の他の実施形態では、音響エコーキャンセルは、マイクロフォンデジタル信号の一部にのみ適用される場合がある。
詳細には、本発明の音響エコーキャンセル方法は、全てのマイクロフォンデジタル信号に適用するのではなく、振幅が或る所定のしきい値よりも高いマイクロフォンデジタル信号にのみ適用することができる。
しかしながら、本発明を実施するのに、具体的な細部が不要であることは当業者には明らかになるであろう。
本発明の特定の実施形態のこれまでの説明は、例示および説明の目的のために提示された。
それらの実施形態は、本発明を包括的に述べることも、本発明を開示されるのと全く同じ形態に限定することも意図していない。
上記の教示に鑑みて、多くの変更および変形が可能であることは明らかである。
それらの実施形態は、本発明の原理およびその実用的な用途を最もよく説明し、それにより、当業者が、意図される特定の用途に合わせるように種々の変更を加えて、本発明および種々の実施形態を最大限に利用できるようにするために、図示および説明される。
本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定されることが意図されている。
102・・・近い部屋,
104・・・遠い部屋,
106,108・・・マイクロフォン,
110,112・・・通信チャネル,
114・・・スピーカ、
600・・・混合マルチチャネル音声通信システム,
602・・・マルチチャネルエコー制御ユニット(MECU),
604・・・スピーカ,
606・・・マイクロフォン,
Claims (10)
- 第1の場所(102)から第2の場所(104)に伝送される複数のマイクロフォンデジタル信号において音響エコーを低減する方法であって、
前記第1の場所に配置される複数のスピーカ(604)、および、それぞれ前記第1の場所において生成される音および該複数のスピーカによって生成される音響エコーを含む前記複数のマイクロフォンデジタル信号のうちの1つを生成する複数のマイクロフォン(606)を設けることと、
前記複数のマイクロフォンのそれぞれと前記複数のスピーカのそれぞれとの間の1つのエコーパス(702)に対応する近似インパルス応答を求めることと、
それぞれ前記複数のスピーカのうちの1つによって再生されるデジタル信号を多数の前記近似インパルス応答で畳み込むことに対応する複数の近似音響エコーを求めることと、
前記対応する近似音響エコーに基づいて、前記マイクロフォンデジタル信号のうちの少なくとも1つにおいて前記音響エコーを低減することと
を含む音響エコーを低減する方法。 - 前記近似インパルス応答を求めることは、
前記第1の場所においてのみ音声信号が生成されるタイプと、
前記第2の場所においてのみ音声信号が生成されるタイプと、
前記第1の場所および前記第2の場所において同時に音声信号が生成されるタイプと、
前記第1の場所または前記第2の場所のいずれにおいても音声信号が生成されないタイプのうちの1つとして、各前記エコーパスに関連付けられる音声伝送のタイプを特定することと
をさらに含む請求項1に記載の方法。 - 前記各マイクロフォンデジタル信号のそれぞれにおいて前記音響エコーを低減することは、以下のように、制御済みデジタル信号を求めることであって、
j∈{1,K J}はマイクロフォンのインデックス(index)であり、
i∈{1,K I}はスピーカのインデックスであり、
TrNdは決定期間長Ndの打切り演算子であり、
IFFTは逆高速フーリエ変換であり、
「
制御済みデジタル信号を求めること
をさらに含む請求項1に記載の方法。 - 前記近似インパルス応答ベクトル
前記第1の場所と前記第2の場所との間で信号が伝送されないとき、または前記第1の場所から前記第2の場所に信号が伝送されるときに、
前記第1の場所と前記第2の場所との間で信号が同時に伝送されるときに、最も高い信号対雑音比を有するK個の最新の近似インパルス応答
前記第2の場所から前記第1の場所にのみ信号が伝送されるときに、
γij,mはインパルス応答ステップサイズである、利用することと
をさらに含む、請求項4に記載の方法。 - 前記シャドーミスマッチベクトルを計算することは、
ただし、
mは決定期間に関連付けられる整数であり、
Lはベクトル成分の数であり、
IFFTは逆フーリエ変換演算子であり、
TrLはサイズLの打切り演算子であり、
λは安定化定数であり、
Mi,x 2(m)は前記デジタル信号に関連付けられる最大エネルギーであり、
Mj,y 2(m)は前記マイクロフォンデジタル信号に関連付けられる最大エネルギーである
利用することをさらに含む請求項8に記載の方法。
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