JP2010525792A - 切断反応を用いて核酸を検出するための組成物および方法 - Google Patents

切断反応を用いて核酸を検出するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、プライマー-プローブ二重鎖を利用して、試料中の標的核酸の存在を示すシグナルを生成するための組成物および方法に関する。

Description

関連出願
本出願は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、1999年10月29日に提出された米国特許出願第09/430,692号(現在は米国特許第6,528,254号)の一部継続出願である、2000年8月30日に提出された米国特許出願第09/650,888号(現在は米国特許第6,548,250号)の一部継続出願である、2000年11月30日に提出された米国特許出願第09/728,574号の分割出願である、2005年4月14日に提出された米国特許出願第11/106,237号の一部継続出願である、2006年11月30日に提出された米国特許出願第11/607,341号に対して35 U.S.C. §120の下で優先権を主張する一部継続出願である。
発明の背景
DNAの複製、組換え、および修復の忠実度は、ゲノムの安定性を維持するために必須であり、これらの過程は、全ての生物に存在する5'→3'エキソヌクレアーゼ酵素に依存する。DNA修復のために、これらの酵素は、損傷を受けた断片の切除および組換えのミスマッチの修正に必要である。複製のために、これらのヌクレアーゼは、ラギング鎖DNA合成の際の岡崎フラグメントの効率的な処理に不可欠である。大腸菌(Escherichia coli)において、この後者の活性は、DNAポリメラーゼI(PolI)によって提供され;PolI 5'→3'エキソヌクレアーゼドメインの不活化変異を有する大腸菌株は、岡崎フラグメントを処理することができないために生存できない。しかし、真核細胞のDNAポリメラーゼは、内因性の5'→3'エキソヌクレアーゼドメインを欠損し、この不可欠な活性は、5' DNAフラップのエンドヌクレアーゼとしても作用する多機能の構造特異的メタロヌクレアーゼFEN-1(5'エキソヌクレアーゼ-1またはフラップエンドヌクレアーゼ-1)によって提供される(Hosfield et al., 1998a, Cell, 95:135(非特許文献1)において概説)。
酵素により標識核酸断片が産生される、核酸を検出および/または測定する方法が、当技術分野において公知である。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)、同第5,719,028号(特許文献2)、同第5,837,450号(特許文献3)、同第5,846,717号(特許文献4)、および同第5,888,780号(特許文献5)は、サーマス・アクアティクス(Thermus aquaticus)から単離されたDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼ)および所望の切断点で配列にハイブリダイズすることができる部分的に相補的なオリゴヌクレオチドと共に5'標識標的DNAをインキュベートすることによって、標的DNA分子を切断する方法を開示している。部分的に相補的なオリゴヌクレオチドは、所望の切断部位とは反対方向に3'伸長を有する二重鎖を含有する基質構造を形成することによって、Taqポリメラーゼを標的DNAに向け、かつオリゴヌクレオチドの非相補的領域は3'アームを提供し、基質分子の非アニール5'領域は5'アームを提供する。部分的に相補的なオリゴヌクレオチドは、所望の切断点で標的配列にハイブリダイズしていない場合またはハイブリダイズしている場合のいずれかで、短いヘアピンを形成することができる3'ヌクレオチド伸長を含む。標識断片の放出が、Taqポリメラーゼによる切断後に検出される。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)、同第5,719,028号(特許文献2)、同第5,837,450号(特許文献3)、同第5,846,717号(特許文献4)、および同第5,888,780号(特許文献5)は、検出可能な合成活性が非常にわずかであるかまたは全くない、かつ野生型の熱安定性ヌクレアーゼ活性を有する変異体の熱安定性DNAポリメラーゼの作製を開示している。変異体ポリメラーゼは、5'-3'合成活性を欠損することから有用であると言われ、このように合成活性は、検出アッセイ法においてDNA切断工程と組み合わせる場合に望ましくない副反応である。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)、米国特許第5,719,028号(特許文献2)、米国特許第5,837,450号(特許文献3)、米国特許第5,846,717号(特許文献4)、および米国特許第5,888,780号(特許文献5)は、野生型のTaqポリメラーゼまたは合成活性を欠損する変異体Taqポリメラーゼが、ヘアピン構造の3'アームに結合するプライマーの存在下で、熱変性の後に冷却することによって形成された5'端標識ヘアピン構造を切断することによって、標識断片を放出できることを開示している。さらに、米国特許第5,843,669号(特許文献1)、米国特許第5,719,028号(特許文献2)、米国特許第5,837,450号(特許文献3)、米国特許第5,846,717号(特許文献4)、および米国特許第5,888,780号(特許文献5)は、合成活性を欠損する変異体Taqポリメラーゼがまた、ヘアピン構造の3'アームに結合するプライマーの非存在下でこのヘアピン構造を切断できることを教示している。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)、米国特許第5,719,028号(特許文献2)、米国特許第5,837,450号(特許文献3)、米国特許第5,846,717号(特許文献4)、および米国特許第5,888,780号(特許文献5)はまた、ヘアピン構造の3'アームに結合するプライマーの存在下で、合成活性を欠損する変異体Taqポリメラーゼによってこのヘアピン構造を切断すると、一つの種の標識切断産物を生じるが、野生型Taqポリメラーゼは、野生型Taq酵素の高レベルの合成活性により、多数の切断産物を産生し、dNTPの存在下でヘアピン構造を二本鎖型に変換することを開示している。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)、米国特許第5,719,028号(特許文献2)、米国特許第5,837,450号(特許文献3)、米国特許第5,846,717号(特許文献4)、および米国特許第5,888,780号(特許文献5)はまた、低減された合成活性を示す変異体Taqポリメラーゼが、5'端標識標的核酸と、標的核酸の5'および3'領域がオリゴヌクレオチドにアニールせず一本鎖のままとなるように標的核酸の一部にハイブリダイズする相補的オリゴヌクレオチドとを含む直線状の核酸基質を切断することによって、一つの標識断片を放出することができるが、野生型Taqポリメラーゼは放出することができないことを開示している。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)、米国特許第5,719,028号(特許文献2)、米国特許第5,837,450号(特許文献3)、米国特許第5,846,717号(特許文献4)、および米国特許第5,888,780号(特許文献5)はまた、天然に存在する二次構造区域で標識核酸基質を切断する方法も開示している。この方法に従って、ビオチン標識DNA基質をPCRによって調製し、野生型TaqポリメラーゼまたはCleavaseBN(低減された合成活性と野生型の5'-3'ヌクレアーゼ活性を有する変異体Taqポリメラーゼ)と共に混合し、95℃で5秒間インキュベートして基質を変性させた後、65℃まで急速に冷却し、相補的塩基間で鎖内水素結合を形成させることによって、DNAにその独自の二次構造をとらせる。反応混合物を65℃でインキュベートし、切断が起こり、ビオチニル化切断産物を検出する。
FEN-1酵素を用いて標的核酸断片を生成する、核酸を検出および/または測定する方法は、当技術分野において公知である。
米国特許第5,843,669号(特許文献1)は、低減された合成活性を示す変異体Taqポリメラーゼの存在下または非存在下で熱安定性のFEN-1ヌクレアーゼを用いて、cleavase断片長多型によって多型を検出する方法を開示している。本方法に従って、二本鎖C型肝炎ウイルス(HCV)DNA断片を、PCR反応において5'端標識プライマー(TMR蛍光色素によって標識)を用いることによって標識する。TMR標識PCR産物を95℃に加熱することによって変性させた後、55℃まで冷却すると、切断構造を生成する。米国特許第5,843,669号(特許文献1)は、切断構造が、二次構造を含有する一本鎖核酸基質の領域を含むことを開示している。切断は、CleavaseBNヌクレアーゼ、古細菌であるメタノコッカス・ジャナスシイ(Methanococcus jannaschii)に由来するFEN-1ヌクレアーゼ、または両酵素の存在下で行われる。標識反応産物をゲル電気泳動の後に蛍光イメージングによって可視化する。米国特許第5,843,669号(特許文献1)は、CleavaseBNヌクレアーゼおよびメタノコッカス・ジャナスシイFEN-1ヌクレアーゼが、互いに容易に識別される切断パターンを産生すること、および両酵素を含有する反応からの切断パターンには、それぞれの個々の酵素による切断によって産生されたパターンの要素が含まれるが、それぞれの個々の酵素によって産生された切断パターンの単なる複合体ではないことを開示している。このことは、一つの酵素によって切断されない(およびその酵素のパターンにおいてバンドとして出現する)断片のいくつかが、同じ反応混合物における第二の酵素によって切断されうることを示している。
Lyamichevらは、標的DNAの領域と部分的に相補的であるオリゴヌクレオチドプローブのオーバーラップ対を標的DNAと混合し、5'フラップ領域を形成し、熱安定性のFEN-1ヌクレアーゼによる標識された下流のプローブの切断によって、標識切断産物が産生される、DNAを検出する方法を開示している。Lyamichevらはまた、切断シグナルを増幅し、アトモルより下のレベルでの標的DNAの定量的検出を可能にするために、温度サイクリングを行わずに下流のオリゴヌクレオチドプローブの多数のコピーを一つの標的配列に関して切断することができる反応条件も開示している(Lyamichev et al., 1999, Nat. Biotechnol., 17:292(非特許文献2))。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、米国特許第4,683,202号(特許文献6)、米国特許第4,683,195号(特許文献7)、および米国特許第4,800,159号(特許文献8)において開示されている。その最も単純な型において、PCRは、反対鎖にハイブリダイズしかつ標的DNAにおける関心対象領域に隣接する二つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、特異的DNA配列を酵素により合成するためのインビトロ法である。鋳型の変性と、プライマーのアニーリングと、DNAポリメラーゼによるアニールしたプライマーの伸長とを含む反応工程の一連の反復によって、その末端がプライマーの5'端によって定義される特異的断片の指数的蓄積が起こる。PCRは、特異的DNA配列の109倍の選択的濃縮を生じさせることができると報告されている。PCR法はまた、Saiki et al., 1985, Science, 230:1350(非特許文献3)においても記述されている。
PCR技術は、核酸配列を増幅するために極めて強力な方法であるが、増幅された材料の検出は、標的DNAが存在するか否かを決定するために、PCR産物のさらなる操作およびその後の取り扱いを必要とする。現在増幅材料の検出に必要なその後の取り扱い工程の数を減少させることが望ましい。標的配列が増幅される間にシグナルを生成するアッセイ系は、増幅工程時にシグナルを生成しないPCR法と比較して、増幅材料の検出に必要な取り扱い工程が少ない。
米国特許第5,210,015号(特許文献9)および米国特許第5,487,972号(特許文献10)は、増幅される核酸、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有するTaqポリメラーゼ、および増幅領域に相補的な領域とさらなる非相補的5'テール領域とを含む5'端、3'端、または5'および3'端標識プローブの存在下で、PCR反応の増幅工程時にシグナルを生成する工程を含む、標識プローブを放出するためのPCRに基づくアッセイ法を開示している。米国特許第5,210,015号(特許文献9)および米国特許第5,487,972号(特許文献10)はさらに、Taqポリメラーゼが、重合化非依存的に、たとえばdNTPの非存在下で上流のプローブによって標識プローブの近傍に配置されると、このPCRに基づくアッセイ法が、ハイブリダイズしたプローブの5'標識端を放出できることを開示している。
米国特許第5,843,669号 米国特許第5,719,028号 米国特許第5,837,450号 米国特許第5,846,717号 米国特許第5,888,780号 米国特許第4,683,202号 米国特許第4,683,195号 米国特許第4,800,159号 米国特許第5,210,015号 米国特許第5,487,972号
Hosfield et al., 1998a, Cell, 95:135 Lyamichev et al., 1999, Nat. Biotechnol., 17:292 Saiki et al., 1985, Science, 230:1350
本発明は、標的核酸配列を有する試料を核酸プローブと共にインキュベートすることによって切断構造を形成する段階、および切断構造をヌクレアーゼによって切断してシグナルを生成する段階を含む、試料中の標的核酸配列の存在を示すシグナルを生成する方法であって、シグナルが生成されれば、試料中に標的核酸配列が存在することが示される方法を提供する。一つの態様において、本発明は、標的とハイブリダイズしない場合に二重鎖を形成するプライマーとプローブの対を利用する。本発明のいくつかの態様において、プローブは切断抵抗性である。切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ切断構造(非侵入性)が形成された場合に限って切断剤によって切断されうるが、オーバーラップ構造(侵入性)が形成された場合には、切断剤によって切断することができない切断構造を形成する。切断に対するプローブの抵抗性は、改変が存在しなければ、オーバーラップ構造の形成時に切断されるであろう一つまたは複数の核酸改変をプローブの一部に含めることによって達成される。
前記方法は、切断構造が形成されることに依存する。一つの態様において、本発明による切断構造は、標的を含有する試料を、上流のオリゴヌクレオチド(たとえば、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/または切断オリゴヌクレオチド)および下流のプローブ(たとえば、第二のオリゴヌクレオチド)と共にインキュベートすることによって形成される。上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブが標的の近接領域にアニールすることによって、切断構造が形成される。好ましい態様において、切断構造は非オーバーラップ切断構造である。切断構造は、ヌクレアーゼの存在下で切断されて、それによって切断された断片を生成する。切断された断片または切断構造の切断が検出されれば、それは試料中の標的核酸の存在および/またはその量を示している。
プライマー-プローブ二重鎖を利用する方法および組成物
一つの局面において、本発明は、試料中の標的核酸の存在を示すシグナルを生成するために、プライマー-プローブ対に依存する。本明細書において用いられるように、「プライマー-プローブ二重鎖」または「プライマープローブ対」は、互いに少なくとも部分的に相補的であり、標的とハイブリダイズしていない場合に二重鎖を形成するようにアニールする第一および第二のオリゴヌクレオチドの複合体を指す。本明細書において用いられるように、「相補的な」核酸配列は、互いに相補的であり、相補的な塩基の間の水素結合の形成によってアニールすることができる。適したアニール条件には、たとえば、核酸配列を95℃で1〜2分間変性させた後に、およそ40〜72℃の間まで冷却することが含まれる。最適な温度は、特異的プローブおよび/またはプライマーによって異なるであろう。
プライマープローブ対は、第一のオリゴヌクレオチドと第二のオリゴヌクレオチドとを含む。第一のオリゴヌクレオチドは、標的の第一鎖における領域にアニールすることによって、伸長反応の合成をプライミングするプライマーである。第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は、第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に対して相補的である。第二のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的であるプローブである。第二のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖にアニールすると、切断構造を形成する。第一および第二のオリゴヌクレオチドはそれぞれ、5'領域および3'領域を有する。一つの態様において、第一のオリゴヌクレオチドの3'領域は、第二のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である。もう一つの態様において、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域は、第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドが標的核酸の第二鎖にアニールすると5'フラップを形成する。第二のオリゴヌクレオチドは、検出可能な部分によって標識されてもよい。いくつかの態様において、第二のオリゴヌクレオチドは、分離された場合に検出可能なシグナルを産生する相互作用シグナル生成部分の対によって標識される。たとえば、相互作用シグナル生成部分の対には、分離された場合、たとえば第二のオリゴヌクレオチドにおける複数の標識の間の領域が切断される場合に、検出可能なシグナルを産生する、消光部分と蛍光部分とが含まれてもよい。一般的に標識は、非オーバーラップ切断構造の形成および切断時に検出可能なシグナルを産生するが、オーバーラップ切断構造の形成時にはシグナルを産生しないように、プローブに機能的に結合される。たとえば、相互作用シグナル生成部分の対を第二のオリゴヌクレオチドの5'フラップに機能的に結合させ、相互作用シグナル生成部分の対の第二のメンバーを第二のオリゴヌクレオチドの+1位に機能的に結合させてもよい。同様に、相互作用シグナル生成部分の対の第一のメンバーを第二のオリゴヌクレオチドの5'領域に機能的に結合させ、相互作用シグナル生成部分の対の第二のメンバーを第二のオリゴヌクレオチドの3'領域に機能的に結合させてもよい。
さらなる態様において、第二のオリゴヌクレオチドにはさらに3'テールが含まれる。
本明細書において用いられるように、「3'テール」は、二本鎖核酸分子の3'端から伸長する一本鎖DNAの領域を指す。本発明による3'テールは、好ましくは約1〜1,000ヌクレオチド、より好ましくは1〜500、1〜100、1〜50、1〜25、2〜25、または5〜25ヌクレオチドの間であり、最も好ましくは約1〜10ヌクレオチドの間である。
3'テールは、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域の下流にあり、これには第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である一つまたは複数のヌクレオチドが含まれる。いくつかの態様において、3'テールは、標的の第二鎖における第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的な領域の下流にある、標的の第二鎖における領域に対して相補的である。
一つの態様において、第二のオリゴヌクレオチドは切断抵抗性プローブである。さらなる態様において、切断抵抗性プローブは、+1または+2位の下流の部分を切断に対して非感受性にする一つまたは複数の改変を含んでもよい。
もう一つの局面において、本発明は、プライマー-プローブ二重鎖と反応緩衝液とが含まれる組成物を対象とする。組成物にはさらに、オリゴヌクレオチドプライマーおよび切断オリゴヌクレオチドの一方または双方が含まれてもよい。オリゴヌクレオチドプライマーおよび切断オリゴヌクレオチドは、標的の第二鎖にアニールする場合に第二のオリゴヌクレオチドの上流に位置する。一つの態様において、オリゴヌクレオチドプライマーは、第二のオリゴヌクレオチドの上流に位置する切断オリゴヌクレオチドの上流に位置する。もう一つの態様において、オリゴヌクレオチドプライマーおよび切断オリゴヌクレオチドの双方は、標的の第二鎖における同じ一般的領域に対して相補的である。
本明細書において用いられるように、「切断オリゴヌクレオチド」とは、プローブ(たとえば、第二のオリゴヌクレオチド)の上流に配置されるように標的にアニールする核酸である。「切断オリゴヌクレオチド」は、プローブと切断構造を形成し、したがってプローブの切断に役立つ。一つの態様において、切断オリゴヌクレオチドは、3'端でブロックされる。ブロックは、核酸ポリメラーゼによる切断オリゴヌクレオチドの伸長を防止する任意の改変でありうる。適した3'ブロックには、標的核酸に対して非相補的である一つまたは複数のヌクレオチドとブロッキング化学基とが含まれる。もう一つの態様において、切断オリゴヌクレオチドは、プローブの上流かつ近傍に配置されるように標的にアニールする。
もう一つの態様において、組成物には、プライマー-プローブ二重鎖、反応緩衝液、およびヌクレアーゼが含まれる。様々なヌクレアーゼが当技術分野において公知であり、本明細書において記述される。本発明のヌクレアーゼには、FENヌクレアーゼおよび他のフラップ特異的ヌクレアーゼが含まれるがこれらに限定されるわけではない。一つの態様において、FENヌクレアーゼはFEN-1である。もう一つの態様において、FENヌクレアーゼは、5'→3'合成活性を実質的に欠損している。好ましい態様において、ヌクレアーゼは熱安定性である。
もう一つの態様において、組成物には、プライマー-プローブ二重鎖、反応緩衝液、ヌクレアーゼ、および核酸ポリメラーゼが含まれる。さらなる態様において、ポリメラーゼは5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損している。好ましい態様において、核酸ポリメラーゼは熱安定性である。
本発明のもう一つの局面において、本発明は、上記の任意の組成物と、そのための包装材料とを含むキットを対象とする。
さらにもう一つの局面において、本発明は、プライマー-プローブ二重鎖を利用して標的核酸を検出するための方法を対象とする。本方法には、核酸の重合化を可能にする条件に反応混合物を供する段階、および標的核酸の存在を示す切断産物を検出する段階が含まれる。
反応混合物は、標的核酸を有する試料に、第一のオリゴヌクレオチド、第二のオリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ、およびヌクレアーゼを接触させることによって形成される。第一のオリゴヌクレオチドは、標的の第一鎖に対して相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドは標的の第二鎖に対して相補的である。第一および第二のオリゴヌクレオチドはまた、互いに相補的であり、標的の非存在下で二重鎖を形成する。
反応混合物は、核酸の重合化を可能にする反応条件に供される。これらの条件において、第一のオリゴヌクレオチドおよび第二のオリゴヌクレオチドが標的核酸にアニールし、第一のオリゴヌクレオチドが核酸ポリメラーゼによって伸長し、かつ第二のオリゴヌクレオチドがヌクレアーゼによって切断される切断構造を形成する。切断構造の切断によって、検出される切断産物および/またはシグナルが産生される。シグナルは、試料中の標的核酸の存在/量を示す。
第一および第二のオリゴヌクレオチドはそれぞれ、5'および3'領域を有する。一つの態様において、第一のオリゴヌクレオチドの3'領域は、第二のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である。もう一つの態様において、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域は第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドが標的の第二鎖にアニールすると5'フラップを形成する。
一般的に、第二のオリゴヌクレオチドには、検出可能な標識が含まれる。検出可能な標識は、一つの標識であってもよく、または相互作用シグナル生成部分の組であってもよい。一つの態様において、相互作用シグナル生成部分の対には、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域に機能的に結合する第一のメンバー、および第二のオリゴヌクレオチドの3'領域に機能的に結合する第二のメンバーが含まれる。適した相互作用シグナル生成部分には、消光部分および蛍光部分が含まれる。一つの態様において、該部分は、非オーバーラップ切断構造の切断時に分離するが、オーバーラップ切断構造の切断時には分離しないように有効に配置される。たとえば、第一のメンバーを5'フラップに機能的に結合させてもよく、一方、第二のオリゴヌクレオチドを第二のオリゴヌクレオチドの+1位に結合させる(IV章Eを参照されたい)。
第二のオリゴヌクレオチドにはさらに、3'テールが含まれてもよい。3'テールは、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域の下流にある。一つの態様において、3'テールには、第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である一つまたは複数のヌクレオチドが含まれる。さらなる態様において、3'テールは、標的核酸の第二鎖における第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的な領域の下流にある、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である。
さらにもう一つの態様において、第二のオリゴヌクレオチドは切断抵抗性プローブである。切断抵抗性プローブは、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域を切断に対して抵抗性にする一つまたは複数の改変を含んでもよい。たとえば、プローブにおける+1位または+2位の下流の部分を切断に対して非感受性にしてもよい。
ヌクレアーゼは、FENヌクレアーゼ、たとえばFEN-1ヌクレアーゼまたは別のフラップ特異的ヌクレアーゼであってもよい。好ましくは、ヌクレアーゼは熱安定性である。いくつかの態様において、FENヌクレアーゼは、5'→3'合成活性を実質的に欠損している。
好ましい態様において、核酸ポリメラーゼは、熱安定性である。もう一つの態様において、ポリメラーゼは5'→3'ヌクレアーゼ活性を実質的に欠損している。
もう一つの局面において、本発明は、プライマー-プローブ二重鎖と切断オリゴヌクレオチドとを利用して標的核酸を検出するための方法を対象とする。該方法は、反応混合物を形成する段階、核酸の重合化を可能にする条件に反応混合物を供する段階、および標的核酸の存在を示す切断産物を検出する段階を必然的に伴う。反応混合物は、標的核酸を含む試料に、第一のオリゴヌクレオチド、第二のオリゴヌクレオチド、切断オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ、およびヌクレアーゼを接触させることによって形成される。第一のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第一鎖における領域に対して、および第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的である。第二のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖における領域に対して、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である。第一および第二のオリゴヌクレオチドは、核酸ハイブリダイゼーション条件において標的の非存在下で二重鎖を形成する。切断オリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的であり、それが第二のオリゴヌクレオチドの上流にあるように、第二鎖にアニールする。
反応混合物を、核酸重合化を可能にする反応条件に供する。これらの条件において、第一のオリゴヌクレオチドおよび第二のオリゴヌクレオチドは標的核酸にアニールし、第一のオリゴヌクレオチドは核酸ポリメラーゼによって伸長され、かつ第二のオリゴヌクレオチドおよび切断オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼによって切断される切断構造を形成するように、標的核酸の第二鎖にアニールする。切断構造が切断されると、検出されて試料中の標的核酸の存在/量を示す切断産物および/またはシグナルが産生される。
一つの態様において、切断オリゴヌクレオチドは、その3'端でブロックされる。さらなる態様において、切断オリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して非相補的である一つまたは複数の3'末端ヌクレオチドによってブロックされる。
もう一つの局面において、本発明は、プライマー-プローブ二重鎖とオリゴヌクレオチドプライマーとを利用して標的核酸を検出するための方法を対象とする。該方法は、反応混合物を形成する段階、核酸の重合化を可能にする条件に反応混合物を供する段階、および標的核酸の存在を示す切断産物を検出する段階を必然的に伴う。反応混合物は、標的核酸を含む試料に、第一のオリゴヌクレオチド、第二のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドプライマー、ポリメラーゼ、およびヌクレアーゼを接触させることによって形成される。第一のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第一鎖における領域に対して、および第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的である。第二のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖における領域に対して、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である。第一および第二のオリゴヌクレオチドは、標的の非存在下で二重鎖を形成する。
オリゴヌクレオチドプライマーは、第二のオリゴヌクレオチドの上流となるように、標的の第二鎖にアニールする。反応混合物を、核酸の重合化を可能にする反応条件に供する。これらの条件下で、第一のオリゴヌクレオチド、第二のオリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドプライマーは、標的核酸にアニールする。第一のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドプライマーは核酸ポリメラーゼによって伸長され、第二のオリゴヌクレオチドはオリゴヌクレオチドプライマーの3'伸長産物と共に切断構造を形成する。切断構造は、ヌクレアーゼによって切断される。切断構造の切断によって、検出されて試料中の標的核酸の存在/量を示す切断産物および/またはシグナルが産生される。
さらにもう一つの局面において、本発明は、プライマー-プローブ二重鎖、オリゴヌクレオチドプライマー、および切断オリゴヌクレオチドを利用して標的核酸を検出するための方法を対象とする。該方法は、反応混合物を形成する段階、核酸の重合化を可能にする条件に反応混合物を供する段階、および標的核酸の存在を示す切断産物を検出する段階を必然的に伴う。反応混合物は、標的核酸を含む試料に、第一のオリゴヌクレオチド、第二のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドプライマー、切断オリゴヌクレオチド、ポリメラーゼ、およびヌクレアーゼを接触させることによって形成される。第一のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第一鎖に対して、および第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的である。第二のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖に対して、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である。第一および第二のオリゴヌクレオチドは、標的の非存在下で二重鎖を形成する。オリゴヌクレオチドプライマーは、第二のオリゴヌクレオチドの上流となるように、標的の第二鎖にアニールする。切断オリゴヌクレオチドは、第二のオリゴヌクレオチドの上流にあり、かつオリゴヌクレオチドプライマーの下流にあるように、標的の第二鎖にアニールする。
反応混合物を、核酸の重合化を可能にする反応条件に供する。これらの条件において、第一のオリゴヌクレオチドは標的の第一鎖にアニールし、第二のオリゴヌクレオチド、切断オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドプライマーは標的核酸の第二鎖にアニールする。第一のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドプライマーは、核酸ポリメラーゼによって伸長する。第二のオリゴヌクレオチドは、切断オリゴヌクレオチドと共に切断構造を形成する。切断構造はヌクレアーゼによって切断されて、検出され試料中の標的核酸の存在/量を示す切断産物および/またはシグナルを産生する。
一つの態様において、第二のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第二鎖における切断オリゴヌクレオチドに対して相補的な領域に近接する、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である。さらなる態様において、第二のオリゴヌクレオチドは、標的の第二鎖における切断オリゴヌクレオチドに対して相補的な領域からギャップによって離れている、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である。さらにもう一つの態様において、第二のオリゴヌクレオチドは、標的の第二鎖における切断オリゴヌクレオチドに対して相補的な領域からニックによって離れている、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である。
切断抵抗性のプローブを使用する方法および組成物
第一の局面において、本発明は、切断抵抗性プローブを使用する非侵入性の切断構造の形成に依存する、配列における標的核酸の存在を示すシグナルを生成する方法に向けられる。本発明による非侵入性の切断構造は、標的を含有する試料をポリメラーゼ、プライマー、および切断抵抗性プローブと共にインキュベートすることによって、形成される。プライマーは、切断抵抗性プローブの上流の標的にハイブリダイズする。ポリメラーゼは、プライマーを伸長させて標的に相補的である核酸分子を合成する。この合成された鎖は、切断抵抗性プローブと標的核酸とによって形成されたハイブリッドと同じ標的核酸領域においてオーバーラップしない(ハイブリッドを形成する)二本鎖核酸を形成する。このいわゆる非オーバーラップ切断構造は、切断物質(たとえば、FENヌクレアーゼ)の存在下で切断されて、それによって切断断片を生成し、これが切断の結果として切断構造から放出されるおよび/またはそれによって試料中の標的核酸の存在および/または量を示す検出可能シグナルを生成する。
本明細書において用いられるように、本発明による「切断抵抗性プローブ」は、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造が形成されると切断物質による切断に対して感受性があるが、オーバーラップ(侵入性の)切断構造が形成されると切断物質が切断できない切断構造を形成するプローブである。切断に対するこの抵抗性は、オーバーラップ構造によって標的化されるプローブの一部を切断に対して抵抗性にする一つまたは複数の改変を含めることによって、成就される。このように、切断抵抗性プローブは、本発明の切断物質による切断に対して抵抗性である少なくとも一部を有する。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、本発明の切断物質による切断に対してプローブを抵抗性にする+1および/または+2位下流で、一つまたは複数の改変を含む(図13)。これらの改変は、オーバーラップ(侵入性の)切断構造による切断に対して標的化される領域において、プローブを切断に対して抵抗性にする(図13のB)。しかし、切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ(非侵入性の)切断構造による切断に関して標的化される領域において、切断に対して感受性である(図13のA)。適した改変には、核酸のホスフェートをチオホスフェートに置換する工程、および/または2'ヒドロキシルまたは2'水素を2'-O-メトキシに置換する工程が含まれるが、これらに限定されるわけではない。他の適した改変には、2'-デオキシ-2'-フルオロ-β-D-アラビノ核酸(2'F-ANA)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)、およびENA:2'-O,4'-C-エチレン架橋核酸が含まれる。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、標的相補的領域を含み、この標的相補的領域は、切断に対して抵抗性ではなくかつプライマーの伸長が行われる温度より低い融解温度(Tm)を有する標的相補的領域を含む(図13のC)。
もう一つの態様において、切断抵抗性プローブは、肘部(elbow)に対して上流でありかつそれに接触する2個またはそれより多いひと続きのチミジンを有する。なおさらなる態様において、切断抵抗性プローブは、肘部に対して上流でありかつそれに接触する3個またはそれより多いひと続きのチミジンを有する。なおさらなる態様において、切断抵抗性プローブは、肘部に対して上流でありかつそれに接触する4個またはそれより多いひと続きのチミジンを有する。
本明細書において用いられるように、「連続する」とは、各領域(たとえば、肘部および最初のチミジン)が次の領域とヌクレオチド間の直接的接触をしていることを意味する。たとえば、肘部と第一の上流のチミジンの位置-1)は、それらの間にいかなるさらなるヌクレオチドもなく接している。本明細書において用いられるように、「ひと続きのチミジン」は、接触している2個またはそれより多いチミジンを指す。
本明細書において用いられるように、「肘部」は、5'フラップの第一の一本鎖ヌクレオチドと第一の二本鎖ヌクレオチドとの間のリン酸結合(たとえば、標的核酸にハイブリダイズした;+1位)を指す。
もう一つの態様において、ポリメラーゼは熱安定性である。適したポリメラーゼには、ウイルス、レトロウイルス、および細菌の酵素が含まれる。たとえば、ポリメラーゼは、大腸菌DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)(Tth)DNAポリメラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)DNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)DNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクス(Taq)DNAポリメラーゼ、およびパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)DNAポリメラーゼポリメラーゼであってもよい。
もう一つの態様において、切断物質は、FENヌクレアーゼである。FENは熱安定性であってもよい。
下流の切断抵抗性プローブには、検出可能シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分が含まれうる。または、下流の切断抵抗性プローブには、相互作用シグナルを生成する標識部分の対が含まれる。さらなる態様において、相互作用シグナルを生成する標識部分の対は、検出可能シグナルの生成を消光させるように効果的に配置される。標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位によって分離されている。さらなる態様において、相互作用シグナル生成部分の対には、消光部分と蛍光部分とが含まれる。
なおもう一つの態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、非オーバーラップ切断構造が切断されると検出可能シグナルを分離して産生するが、オーバーラップ構造が形成されると検出可能シグナルを分離せず産生しないように、効果的に配置される。たとえば、+1位の上流で非侵入性切断されると、標識が分離して検出可能シグナルが産生されるように、蛍光体をプローブの+1位に機能的に結合させ、消光剤をプローブの5'フラップに機能的に結合させてもよい(図14)。
さらなる態様において、3'末端で一つまたは複数の非相補的ヌクレオチドを有する上流のオリゴヌクレオチドが、さらに反応に含まれる。このように、反応は、異なる二つの上流のオリゴヌクレオチド、すなわち非相補的な3'末端を有する上流のオリゴヌクレオチドとプライマーの混合物を含有する。プライマーと上流のオリゴヌクレオチドはいずれも、標的の同じ一般領域に対して相補的である。上流のオリゴヌクレオチドは、下流の切断抵抗性プローブの切断にとって都合がよい非侵入性の切断構造を形成するが、プライマーは、標的の増幅にとって都合がよい。なおもう一つの態様において、反応には、上流のオリゴヌクレオチドに相補的である領域とは異なる標的の領域に相補的なプライマー、たとえば上流のオリゴヌクレオチドの上流の標的の一部に相補的なフォワードプライマーおよび標的に相補的である核酸分子に対して相補的なリバースプライマーが含まれる。
もう一つの局面において、本発明は、試料中の標的核酸の存在を示すシグナルを生成する方法に向けられる。上流のプライマー、下流の切断抵抗性プローブ、ポリメラーゼ、および切断物質を、試料と混合する。上流のプライマーおよび下流の切断抵抗性プローブの標的とのアニーリング、(ii)上流のプライマーの伸長と、(iii)非オーバーラップ切断構造の切断とを可能にする反応条件に、混合物を供する。ポリメラーゼは、下流の切断抵抗性プローブと共に非オーバーラップ切断構造を形成するプライマー伸長産物を合成する。次に、切断物質は、非オーバーラップ切断構造を切断し、切断構造から標識断片を放出し、それによって検出可能な標識断片を作製する。これらの標識断片を、試料中の標的配列の存在の指標として検出および/または測定する。または、標的の存在は、切断構造が切断されると生成されるシグナル(たとえば、相互作用シグナル生成標識部分の対の分離)を検出および/または測定することによって決定される。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、+1および/または+2位の下流で、プローブを切断に対して抵抗性にする一つまたは複数の改変を含む(図13)。これらの改変は、オーバーラップ(侵入性)切断構造(図13のB)による切断に関して標的化される領域においてプローブを切断に対して抵抗性にする。しかし、切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造(図13のA)による切断に関して標的化される領域における切断に対して感受性がある。適した改変には、核酸のホスフェートをチオホスフェートに、および/または2'ヒドロキシルを2'-O-メトキシに置換することが含まれる。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、標的相補的領域を含み、この標的相補的領域は、切断に対して抵抗性ではなくかつプライマーの伸長が行われる温度より低いTmを有する(図13のC)。
もう一つの態様において、ポリメラーゼは熱安定性である。適したポリメラーゼには、ウイルス、レトロウイルス、および細菌の酵素が含まれる。たとえば、ポリメラーゼは、大腸菌DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィラス(Tth)DNAポリメラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリスDNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクス(Taq)DNAポリメラーゼ、およびパイロコッカス・フリオサス(Pfu)DNAポリメラーゼであってもよい。
もう一つの態様において、切断物質はFENヌクレアーゼである。FENは、熱安定性であってもよい。
下流の切断抵抗性プローブには、検出可能シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分が含まれうる。または、下流の切断抵抗性プローブには、相互作用シグナル生成標識部分の対が含まれる。さらなる態様において、相互作用シグナル生成標識部分の対は、検出可能シグナルの生成を消光させるように効果的に配置される。標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位によって分離されている。さらなる態様において、相互作用シグナル生成部分の対には、消光部分と蛍光部分とが含まれる。
なおもう一つの態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、非オーバーラップ切断構造が切断されると検出可能シグナルを分離して産生するが、オーバーラップ構造が形成されると検出可能シグナルを分離せず、産生しないように効果的に配置される。たとえば、+1位の上流で非侵入性切断されると、標識が分離し、検出可能シグナルが産生されるように、蛍光体をプローブの+1位に機能的に結合させて、消光剤をプローブの5'フラップに機能的に結合させてもよい(図14)。
いくつかの態様において、下流の切断抵抗性プローブには、フラップを形成する5'領域および標的に相補的でありかつ標的にアニールする3'領域が含まれる。
さらなる態様において、3'末端で一つまたは複数の非相補的ヌクレオチドを有する上流のオリゴヌクレオチドが、さらに反応に含まれる。このように、反応は、異なる二つの上流のオリゴヌクレオチド、すなわち非相補的3'末端を有する上流のオリゴヌクレオチドとプライマーの混合物を含有する。プライマーおよび上流のオリゴヌクレオチドはいずれも、標的の同じ一般領域に相補的である。上流のオリゴヌクレオチドは、下流の切断抵抗性プローブの切断に都合がよい非侵入性切断構造を形成し、プライマーは標的の増幅にとって都合がよい。
なおもう一つの局面において、本発明は、上流のプライマーおよび下流の切断抵抗性プローブが提供される、標的核酸を検出するための方法を提供する。上流のプライマーは、標的核酸の第一の領域に少なくとも部分的に相補的であり、下流の切断抵抗性プローブの3'領域は、標的核酸の第二の領域に少なくとも部分的に相補的である。標的の第一および第二の領域は、伸長領域によって分離される。プローブおよびプライマーを、標的核酸と上流のプライマーとの間、標的と下流の切断抵抗性プローブの3'領域との間で二本鎖を形成させる条件下で、標的と混合する。反応は、切断構造を形成するために十分な長さの標的の伸長領域に対して相補的なDNA鎖の重合化によって、ポリメラーゼ活性により上流のプライマーを伸長させる反応条件に供される。反応条件はまた、切断物質による非オーバーラップ切断構造の切断も可能にする。切断構造を切断し、下流の切断抵抗性プローブの検出可能な断片を放出し、これを検出する。または、標的の存在を、切断構造の切断によって生成されたシグナル(たとえば、相互作用シグナル生成標識部分の対の分離)の検出および/または測定によって決定する。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、+1位および/または+2位の下流で、プローブを切断に対して抵抗性にする一つまたは複数の改変を含む(図13)。これらの改変によってプローブは、オーバーラップ(侵入性)切断構造(図13のB)による切断に関して標的化される領域において切断に対して抵抗性となる。しかし、切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造(図13のA)による切断に関して標的化される領域において切断に対して感受性がある。適した改変には、核酸のホスフェートのチオホスフェートへの置換および/または2'ヒドロキシルの2'-O-メトキシへの置換が含まれる。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、標的相補的領域を含み、この標的相補的領域は、切断に対して抵抗性ではなくかつプライマーの伸長が行われる温度より低いTmを有する(図13のC)。
もう一つの態様において、ポリメラーゼは熱安定性である。適したポリメラーゼには、ウイルス、レトロウイルス、および細菌の酵素が含まれる。たとえば、ポリメラーゼは、大腸菌DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィラス(Tth)DNAポリメラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリスDNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクス(Taq)DNAポリメラーゼ、およびパイロコッカス・フリオサス(Pfu)DNAポリメラーゼであってもよい。
もう一つの態様において、切断物質はFENヌクレアーゼである。FENは、熱安定性であってもよい。
下流の切断抵抗性プローブには、検出可能シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分が含まれうる。または、下流の切断抵抗性プローブには、相互作用シグナル生成標識部分の対が含まれる。さらなる態様において、相互作用シグナル生成標識部分の対は、検出可能シグナルの生成を消光させるように効果的に配置される。標識部分は、FENヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位によって分離されている。さらなる態様において、相互作用シグナル生成部分の対には、消光部分と蛍光部分とが含まれる。
なおもう一つの態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、非オーバーラップ切断構造が切断されると検出可能シグナルを分離して産生するが、オーバーラップ構造が切断されると検出可能シグナルを分離せず、産生しないように効果的に配置される。たとえば、+1位の上流の非侵入性の切断の際に、標識が分離して検出可能シグナルが産生されるように、蛍光体をプローブの+1位に機能的に結合させて、消光剤をプローブの5'フラップに機能的に結合させてもよい(図14)。
一つの態様において、ポリメラーゼ活性により、重合化した相補的核酸がその3'端で二重鎖における下流の切断抵抗性プローブに近接するように、切断構造を形成するために十分な長さの伸長領域に対して相補的なヌクレオチドが重合化される。
もう一つの態様において、ポリメラーゼ活性により、伸長領域が完全に二重鎖核酸であるように、切断構造を形成するために十分な長さの伸長領域に対して相補的なヌクレオチドを重合化される。
下流の切断抵抗性プローブの5'領域は、標的にハイブリダイズした場合に5'フラップを形成する。
なおもう一つの局面において、本発明は、本発明の方法を行うための組成物を提供する。本発明は、ポリメラーゼ、切断物質、プライマーおよび下流の切断抵抗性プローブを含む、組成物を提供する。ポリメラーゼであってもよい。
いくつかの態様において、ポリメラーゼは熱安定性である。
さらなる態様において、組成物には、標的核酸が含まれる。切断物質は5'ヌクレアーゼ(たとえば、FEN-1ヌクレアーゼ)となりうる。ヌクレアーゼは熱安定性となりうる。
いくつかの態様において、下流の切断抵抗性プローブは、3'末端ヌクレオチドに結合したブロッキング基を有する。下流の切断抵抗性プローブは、好ましくは標識される。たとえば、下流の切断抵抗性プローブは、シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分を有しうる。または、下流の切断抵抗性プローブは、相互作用シグナル生成標識部分の対(たとえば、消光剤および蛍光体)を有する。標識を、下流の切断抵抗性プローブの5'領域または3'領域に機能的に結合させてもよい。いくつかの態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、FENヌクレアーゼに対して感受性のある部位が標識を分離するように、下流の切断抵抗性プローブに機能的に結合される。
さらなる態様において、3'末端で一つまたは複数の非相補的ヌクレオチドを有する上流のオリゴヌクレオチドが、反応にさらに含まれる。このように、反応は、異なる二つの上流のオリゴヌクレオチド、すなわち非相補的3'末端を有する上流のオリゴヌクレオチドとプライマーの混合物を含有する。プライマーおよび上流のオリゴヌクレオチドはいずれも、標的の同じ一般領域に対して相補的である。上流のオリゴヌクレオチドは、下流の切断抵抗性プローブの切断に都合がよい非侵入性切断構造を形成するが、プライマーは、標的の増幅にとって都合がよい。
もう一つの局面において、本発明は、
3'から5'の順に第一の領域、伸長領域、および第二の領域を有する標的核酸;
標的核酸の第一の領域に少なくとも部分的に相補的であるプライマー;
5'領域が標的核酸に相補的でない5'領域と、標的核酸の第二の領域に少なくとも部分的に相補的である3'領域とを有する、下流の切断抵抗性プローブ;
ポリメラーゼ;ならびに
切断物質
を含む、組成物を提供する。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、+1位および/または+2位の下流で、プローブを切断に対して抵抗性にする一つまたは複数の改変を含む(図13)。これらの改変は、オーバーラップ構造(図13のB)による切断に関して標的化される領域においてプローブを切断に対して抵抗性にする。しかし、切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ切断構造(図13のA)による切断に関して標的化される領域において切断に対して感受性がある。適した改変には、核酸のホスフェートのチオホスフェートとの置換、および2'ヒドロキシルの2'-O-メトキシとの置換が含まれる。
一つの態様において、切断抵抗性プローブは、標的相補的領域を含み、この標的相補的領域は、切断に対して抵抗性ではなくかつプライマーの伸長が行われる温度より低いTmを有する(図13のC)。
最後の二つの局面のいずれかの一つの態様において、切断物質は5'ヌクレアーゼ(たとえば、FEN-1ヌクレアーゼ)である。さらなる態様において、FEN-1ヌクレアーゼおよび/またはポリメラーゼは熱安定性である。
下流の切断抵抗性プローブには、3'末端のヌクレオチド上にブロッキング基が含まれてもよい。好ましくは、切断抵抗性プローブは、検出可能に標識される。たとえば、下流の切断抵抗性プローブには、シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分が含まれてもよい。または、下流の切断抵抗性プローブには、相互作用シグナル生成標識部分の対(たとえば、消光剤および蛍光体)が含まれる。
もう一つの局面において、本発明は、本明細書において先に記述した任意の組成物を含むキットを提供する。
本明細書において用いられるように、「プローブ」という用語は、プローブにおける少なくとも一つの配列と、標的領域における配列との相補性により、標的核酸における配列と二重鎖構造を形成するオリゴヌクレオチドを指す。好ましくは、プローブは標識される。プローブは、好ましくはプライマーにおいて用いられる配列に相補的である配列を含有しない。プローブは、標的核酸に相補的である領域(たとえば、標的核酸結合配列)を含む(たとえば、図4における領域C)。いくつかの態様において、本発明による「プローブ」は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分をさらに含む。本発明による「プローブ」は、標的核酸に結合してヌクレアーゼによって切断されうる切断構造を形成し、切断は切断温度で行われ、かつ標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、好ましくは切断温度またはそれより下で安定である。本発明によるプローブは、標的核酸に結合する前に、本明細書において定義される「ヌクレアーゼ」によって切断されてシグナルを生成することができない。本発明の一つの態様において、プローブは、標的核酸に結合することができないか、または標的核酸に相補的ではない領域を含んでもよい。本発明のもう一つの態様において、プローブは標的核酸に結合した場合に二次構造を有しない。一つの態様において、プローブは、5'領域および3'領域を有する。3'領域は標的に対して相補的であるが、5'領域は標的に対して相補的であっても、または相補的でなくてもよい。
切断抵抗性プローブ
本明細書において用いられるように、本発明による「切断抵抗性プローブ」は、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造を形成すると切断物質によって切断されうるが、オーバーラップ(侵入性)切断構造が形成されると切断物質によって切断されることができない切断構造を形成するプローブである。切断に対するこの抵抗性は、オーバーラップ構造によって標的とされるプローブの一部を切断に対して抵抗性にする一つまたは複数の改変を含めることによって成就される。このように、切断抵抗性プローブは本発明の切断物質による切断に対して抵抗性である少なくとも一部を有する。
一つの態様において、プローブは、+1位の上流(たとえば、非オーバーラップ切断構造によって標的とされる部分)で切断に対して感受性を有し、+1位の下流または+2位の下流(たとえば、オーバーラップ構造によって標的化される部分;図13)での切断に対して抵抗性である。
切断抵抗性の改変は、改変されずかつ標的に対して相補的であるプローブの領域が、ポリメラーゼ伸長反応が行われる温度、たとえば72℃より低い融解温度(Tm)を有する限り、プローブの全相補的部分(たとえば、+1位から3'末端)全体に存在する必要はない(図13のC)。このように、プローブは、プローブの全改変部分(切断抵抗性部分)が標的から置き換えられている場合(たとえば、オーバーラップ構造を形成するために上流のプライマーの伸長によって)、プローブがもはや標的と二重鎖を形成しないように設計される(図15C)。本発明による有用なこの非改変相補的領域は、切断/伸長反応の温度より低い(少なくとも1℃、好ましくは10℃)Tmを有する。「切断温度」は、切断反応において使用される特定のヌクレアーゼにとって可能であり、好ましくは最適となるように最初に選択される。
たとえば、23ヌクレオチドのプローブは、20ヌクレオチドの標的相補的領域(ヌクレオチド+1〜+20位)と3ヌクレオチドの5'フラップ(ヌクレオチド-1〜-3位)とを有してもよい。プローブは、ヌクレオチド+2〜+15位がFENによる切断に対して抵抗性であるように改変されてもよい(図15を参照されたい)。非改変ヌクレオチド16〜20位は、これらのヌクレオチドの標的化にはプローブの相補的部分の中にプライマーが伸長してオリゴヌクレオチド1〜15位を置き換える必要があることから、切断のために標的化されることができない。残っている相補的ヌクレオチド(+16〜+20位)は、切断/伸長条件下(60〜72℃で1×Pfu緩衝液)で、もはや標的と安定な二重鎖を形成せず、プローブが切断しなくとも解離するであろう。
同様に、43ヌクレオチドのプローブは、40ヌクレオチドの標的相補的領域(ヌクレオチド+1〜+40位)と3ヌクレオチドの5'フラップ(ヌクレオチド-1〜-3位)を有してもよい。ヌクレオチド+2〜+32位がFENによる切断に対して抵抗性であるように、プローブを改変してもよい(図15を参照されたい)。非改変ヌクレオチド33〜40位は、これらのヌクレオチドの標的化にはプローブの相補的部分の中にプライマーが伸長してオリゴヌクレオチド1〜32位を置き換える必要があることから、切断のために標的化されることができない。残っている相補的ヌクレオチド(+33〜+40位)は、切断/伸長条件下(60〜72℃で1×Pfu緩衝液)で、もはや標的と安定な二重鎖を形成せず、プローブが切断しなくとも解離するであろう。
相補的な非改変標的相補的領域のTmを決定する方法は、当技術分野において周知であり、本明細書において考察される。同様に、改変される必要がない切断抵抗性プローブの標的相補的領域の大きさを決定するための方法も、当技術分野において公知であり、本明細書において記述される(III.C.プローブを参照されたい)。
プローブの改変領域が切断に対して抵抗性であるか否かを決定する方法は、当技術分野において公知であり、本明細書において記述される。たとえば、プローブの少なくとも一部を切断に対して抵抗性にするように変更されているプローブについて、I.Aの章において記述されたFENエンドヌクレアーゼ活性アッセイ法、または実施例14において記述される切断アッセイ法を行ってもよい。
本明細書において用いられるように、「改変」または「改変された」とは、本発明のヌクレアーゼによる切断に対してプローブの改変部分を抵抗性にする核酸プローブにおける任意の変化を指す。そのような改変には、核酸のホスフェートのチオホスフェートとの置換、および2'ヒドロキシルの2'-O-メトキシとの置換が含まれる。他の適した改変には、2'-デオキシ-2'-フルオロ-β-D-アラビノ核酸(2'F-ANA)ヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)、およびENA:2'-O,4'-C-エチレン-架橋核酸が含まれる。
ロックド核酸は、たとえば参照により本明細書に組み入れられるWO99/14226において記述される立体配座が制限されたヌクレオチド類似体のクラスを表す。ロックドヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドは、その双方が参照により本明細書に組み入れられる、Koshkin, A.A., et al., Tetrahedron (1998), 54: 3607-3630)およびObika, S. et al., Tetrahedron Lett. (1998), 39: 5401-5404において記述されている。ロックドヌクレオチドをオリゴヌクレオチドに導入すると、相補的配列に対する親和性を改善し、融解温度を数℃増加させる(Braasch, D.A. and D.R. Corey, Chem. Biol. (2001), 8:1-7)。本発明は、当技術分野において公知の、たとえばその双方が参照により本明細書に組み入れられる、WO 99/14226およびLatorra D, et al., 2003. Hum. Mutat. 22: 79-85において記述される任意のLNAについて行うことができる。バックグラウンドのノイズの量が有意に低減されるという長所を有するLNA類似体を用いて、より特異的な結合を得ることができ、よりストリンジェントな洗浄条件を使用することができる。LNA含有オリゴヌクレオチドは、たとえばProligo, LLP(Boulder, CO)からの購入によって得ることができる。
本明細書において用いられるように「切断に対して抵抗性」、「抵抗性」、または本明細書において用いられる「切断抵抗性部分」は、それが本明細書において記述される切断反応条件下(たとえば、60〜72℃で1×Pfu緩衝液)で本発明のヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断されることができないように、本明細書において定義されるように改変されたプローブの一部を指す。このように、本発明により有用となるためには、切断に対して抵抗性であるプローブの一部は、改変を有しない同一のプローブの切断産物量の多くて10%、5%、1%、0.5%、0.1%を産生しなければならず、最も好ましくは0%を産生しなければならない。プローブが切断に対して抵抗性であるか否かを決定するための切断アッセイ法は、当技術分野において公知であり、本明細書において記述される(I.A.章ならびに実施例10および14を参照されたい)。
本明細書において記載されているように、切断抵抗性部分は、プローブのハイブリダイズ部分全体(標的相補的部分)を含んでもよい。または、切断抵抗性部分は、プローブのハイブリダイズ部分全体より小さい。たとえば、当業者は、本明細書において記述されるように、上流のプライマーが伸長すると安定な二重鎖を形成するプローブの標的相補的領域のごく一部を改変してもよい。たとえば、標的に相補的である40ヌクレオチドを有する43ヌクレオチドのプローブは、+2位から+32位までの改変を含むのみであってもよい。同様に、標的に相補的である20ヌクレオチドを有する23ヌクレオチドのプローブは、+2位から+15位までの改変を含むのみであってもよい。標的相補的領域の大きさを決定するための方法は、当技術分野において公知であり、本明細書において記述される。
本明細書において用いられるように、「ポリメラーゼ伸長条件」は、核酸ポリメラーゼによるプライマーの3'端の伸長にとって可能であり、かつ好ましくは最適である緩衝液、温度、インキュベーション工程、および時間を指す。そのような反応条件は、当技術分野において公知であり、本明細書において記述される。
本明細書において用いられるように、「二重鎖」は、二つのオリゴヌクレオチド(たとえば、標的核酸とプローブ)を含み、二つのオリゴヌクレオチドの相補的ヌクレオチド塩基の少なくとも一部が水素結合の形成によりハイブリダイズする、複合体を指す。
本明細書において用いられるように、標的に対して相補的でありかつ標的とハイブリダイズするプローブのヌクレオチドは、+1位〜+X位であると定義される。+1位は、下流のプローブのハイブリダイズ領域の5'端ヌクレオチドとして定義され、領域+2は、+1位のすぐ下流であるヌクレオチドとして定義される等である(図13を参照されたい)。5'フラップのヌクレオチドは、-1位〜-X位であると定義される。-1位は、肘部のすぐ上流であるフラップの3'末端ヌクレオチドとして定義される。-2位は、-1位のすぐ上流であるヌクレオチドとして定義される等である(図13を参照されたい)。
二次構造を有するプローブ
本明細書において用いられるように、「二次構造」は、三次元立体配座(たとえば、ヘアピン、ステム-ループ構造、内部ループ、バルジループ、分岐構造またはシュードノット、図1および3;多数のステムループ構造、クローバー型構造、または任意の三次元構造)を指す。本明細書において用いられるように、「二次構造」には、三次、四次等の構造が含まれる。そのような三次元構造を含むプローブは、標的核酸に結合し、切断温度でヌクレアーゼによって切断されうる切断構造を形成する。標的核酸に結合しない場合のプローブの三次元構造は、好ましくは、切断温度またはそれより下で安定である。本明細書において用いられる「二次構造」は、塩基の第一の一本鎖配列(本明細書において「相補的核酸配列」と呼ばれる(たとえば、図4のb))の後に、同じ分子(たとえば、図4のb')またはプローブを含む第二の分子のいずれかにおいて第二の相補的配列を含み、一本鎖配列と相補的配列(すなわち、相補的核酸配列)とが水素結合の形成によってアニールし、それ自体の上に折り畳まれて逆平行二重鎖構造を形成する配列を意味しうる。本発明において用いられるオリゴヌクレオチドプローブには、分子ビーコン、安全ピン型(図9)、スコーピオン型(図10)、およびsunrise/amplifluorプローブ(図11)が含まれるがこれらに限定されるわけではない二次構造を含む、オリゴヌクレオチドが含まれ、その詳細および構造を以下におよび対応する図面に記述する。
本明細書において用いられるように、第一および第二の「相補的」核酸配列は、互いに相補的であり、相補的塩基間の水素結合の形成によってアニールすることができる。
二次構造はまた、本明細書において定義される親和性対を含む核酸分子の立体配座を指し、親和性対は、親和性対を含む部分の対の間に存在する誘引力の結果として可逆的に会合する。本明細書において用いられるように、二次構造によって、プローブ上の結合部分の捕獲エレメントに対する結合が防止され、標的核酸に対するプローブの結合時の二次構造の変化およびその後の結合プローブの切断によって、結合部分は捕獲エレメントによって捕獲される。
本発明による「プローブ」は単分子となりうる。本明細書において用いられるように、「単分子」プローブは、標的核酸と結合し、ヌクレアーゼによって切断されうる切断構造を形成する一つの分子を含み、切断は切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合の「単分子」プローブの二次構造は、好ましくは切断温度またはそれより下で安定である。本発明による有用な単分子プローブには、ビーコンプローブ、ヘアピン、ステム-ループ、内部ループ、バルジループ、またはシュードノット構造を含むプローブ、スコーピオン型プローブ、およびsunrise/amplifluorプローブが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
本発明による「プローブ」は、一つより多い分子となりうる(たとえば、二分子または多分子)。二分子または多分子プローブを含む分子の少なくとも一つは、標的核酸に結合し、ヌクレアーゼによって切断されうる切断構造を形成し、切断は切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブ分子の二次構造は、好ましくは切断温度またはそれより下で安定である。多分子プローブを含む分子は、分子間結合(たとえば、水素結合または共有結合)によって互いに会合する。たとえば、異種ループ(図1を参照されたい)、またはクローバー型構造の一つもしくは複数のループが異なる分子を含み、会合してクローバー型構造を形成する分子が分子間結合(たとえば、水素結合または共有結合)によって会合するクローバー型構造は、本発明による用な多分子プローブの例である。
本明細書において用いられるように、「分子」はポリヌクレオチドを指し、これには親和性対の付着したメンバーをさらに含むポリヌクレオチドが含まれる。
「プローブ」またはプローブを含む「分子」は、長さが5〜10,000ヌクレオチドであり、理想的には6〜5000、7〜1000、8〜500、9〜250、10〜100および17〜40ヌクレオチドであるが、異なる長さのプローブまたは異なる長さのプローブを含む分子は有用である。
本発明による「プローブ」は、5〜10,000ヌクレオチド、好ましくは10〜約140ヌクレオチドである標的核酸結合配列を有する。一つの態様において、本発明による「プローブ」は、長さが3〜250ヌクレオチド、好ましくは4〜150ヌクレオチド、より好ましくは5〜110ヌクレオチド、および最も好ましくは6〜50ヌクレオチドである、少なくとも第一および第二の相補的核酸配列または領域を含む。第一および第二の相補的核酸配列は、同じ長さを有してもよく、または異なる長さの配列であってもよい。本発明は、第一および第二の相補的核酸配列がいずれも標的核酸結合部位の上流(5')に位置するプローブを提供する。または、第一および第二の相補的核酸配列は、いずれも標的核酸結合部位の下流(3')に位置しうる。もう一つの態様において、本発明は、第一の相補的核酸配列が標的核酸結合部位の上流(5')であり、第二の相補的核酸配列が標的核酸結合部位の下流(3')であるプローブを提供する。もう一つの態様において、本発明は、第二の相補的核酸配列が標的核酸結合部位の上流(5')であり、第一の相補的核酸配列が標的核酸結合部位の下流(3')であるプローブを提供する。実際の長さは、プローブの二次構造が、プローブが標的核酸に結合していない場合に、標的核酸に結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で好ましくは安定であるように、標的核酸結合配列を参照して選ばれるであろう。標的核酸結合配列の大きさが500ヌクレオチドまで増加すると、相補的核酸配列の長さは15〜125ヌクレオチドまで増加する可能性がある。100ヌクレオチドより大きい標的核酸結合配列に関して、相補的核酸配列の長さはこれ以上増加させる必要はない。プローブが対立遺伝子識別プローブでもある場合、相補的核酸配列の長さは、以下に考察されるようにより制限される。
本明細書において用いられるように、「標的核酸結合配列」は、標的核酸に特異的に結合するプローブの領域を指す。
「ヘアピン構造」または「ステム」は、RNAもしくはDNAの一本鎖における近接する逆方向の相補的配列間の塩基対形成によって形成された二重らせん領域を指す。
「ステム-ループ」構造は、一つの端部で対を形成していない塩基のループをさらに含むヘアピン構造を指す。
本明細書において用いられるように、標的核酸に結合していない場合に「安定な」二次構造を有するプローブは、プローブを構成する塩基対の50%またはそれより多く(たとえば、50%、55%、75%、または100%)が、標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションを可能にする条件下では解離しないが、標的核酸の非存在下では解離する二次構造を指す。
核酸二重鎖の「安定性」は、融解温度または「Tm」によって決定される。指定の条件(たとえば、塩濃度および/または有機溶媒の存在または非存在)下での特定の核酸二重鎖のTmは、二重鎖分子の塩基対の半分(50%)が解離する(すなわち、塩基対において互いにハイブリダイズしない)温度である。
標的核酸に結合しない場合のプローブの二次構造の「安定性」は、融解温度アッセイ法、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイ法、または蛍光消光アッセイ法において定義される(これらの詳細は、「プローブの安定性または二次構造の決定」と題する章で記述される)。
いくつかの態様において、本発明において有用なプローブは、好ましくは、標的に結合していない場合に、切断反応の温度またはそれより下で「安定」である二次構造を有するであろう。このように、プローブ/標的核酸ハイブリッドのヌクレアーゼ切断が本発明により行われる温度は、二次構造のTmより低くなければならない。切断反応の温度またはそれより低い温度での吸光度レベルが、プローブのTmに等しいまたはそれより高い温度での吸光度レベルより低い場合(すなわち、少なくとも5%低い、好ましくは20%低い、および最も好ましくは25%低い等)、プローブの二次構造は、切断反応の(すなわち、切断が行われる)温度またはそれより下である温度で融解温度アッセイ法において「安定」である。
本発明の方法に従って、二次構造の安定性は、FRETアッセイ法、または蛍光消光アッセイ法によって測定することができる(「プローブの二次構造の安定性の決定」と題する第V章で記述される)。本明細書において用いられるように、蛍光消光アッセイ法には、FRETアッセイ法が含まれうる。本発明によるプローブは、たとえば2ヌクレオチドの距離にわたって相互作用することができる相互作用標識の適切な対(たとえば、FRET対(たとえば、以下の「プローブの二次構造の安定性の決定」と題する第V章で記述される)、またはたとえば20ヌクレオチドの距離にわたって相互作用することができる非FRET対(たとえば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL))によって標識される。たとえば、本発明によるプローブは、蛍光体と消光剤によって標識してもよく、蛍光は、異なる温度で標的核酸の非存在下で測定される。Tmは、蛍光レベルが特定のプローブに関して観察される最高レベルの蛍光の50%である温度であり、図12eを参照されたい。プローブの核酸配列が公知である特定のプローブに関するTmは、当技術分野において公知の方法に従って予測することができる。このように、蛍光は、例えば、本発明によるプローブに関するTmまたは予測Tmより、範囲の下限の温度が少なくとも50℃下であり、かつ範囲の上限の温度が少なくとも50℃上である、温度範囲にわたって測定される。
二次構造は、本明細書において、プローブのTmで観察されるFRETのレベルまたは波長と比較して、蛍光のレベルまたは波長が増加または減少すれば(たとえば、少なくとも5%少ない、好ましくは20%少ない、およびより好ましくは25%少ない等)、切断温度またはそれより低い温度でFRETアッセイ法において「安定」であるとして定義される(図12eおよびfを参照されたい)。たとえば、FRETにおける増加または減少は、本発明によるFRETアッセイ法において起こりうる。もう一つの態様において、新しいシフトした波長の増加または新しいシフトした波長の減少が起こる波長のシフトが、本発明によるFRETアッセイ法において起こりうる。
本発明による二次構造の「変化」は、本発明によるプローブが、標的核酸の非存在下で、プローブのTmより下の温度で蛍光の消光が起こる(先に記述したように)ように配置される蛍光体と消光剤とを含む、蛍光消光アッセイ法において測定することができる。本明細書において用いられるように、本発明によるプローブが標的核酸に結合する場合に起こる二次構造の「変化」は、プローブのTmより下の温度で標的核酸に対するプローブの結合後の蛍光レベルが、標的核酸の非存在下において観察された蛍光レベルより大きい(たとえば、少なくとも5%、好ましくは5〜20%、および最も好ましくは25%またはそれより多く)ように、そのようなアッセイ法における蛍光の増加を指す(図12gを参照されたい)。
本発明による二次構造は、蛍光体と消光剤とを含むプローブを、蛍光消光アッセイ法(先に記述されたように)に供することによって検出することができる。図12eを参照して、温度変化と相関する蛍光変化を示すプローブ(たとえば、FRET反応の温度が増加すると蛍光が増加する)は、二次構造を形成することができる可能性がある。
本明細書において用いられるように、本発明により有用である「切断温度」は、二次構造を有するプローブのTmより低い温度(少なくとも1℃、および好ましくは10℃)である。「切断温度」は、最初に、切断反応において使用される特定のヌクレアーゼに関して可能であり、好ましくは最適となるように選択される。
好ましくは、プローブの3'末端は、活性なポリメラーゼが反応において用いられる場合に、プライマー伸長産物へのプローブの取り込みを妨げるるように「ブロック」されるであろう。「ブロッキング」は、非相補的塩基を用いることによって、またはビオチンもしくはリン酸基のような化学部分を最後のヌクレオチドの3'ヒドロキシルに付加することによって、達成することができ、これは、選択された部分に応じて、標識に付着した核酸をその後検出または捕獲するための標識としても作用することによって、二重の目的にかなう可能性がある。ブロッキングはまた、3'-OHを除去することによって、またはジデオキシヌクレオチドのような3'-OHを欠損するヌクレオチドを用いることによって達成することができる。
プローブという用語は、対立遺伝子識別プローブを包含する。本明細書において用いられるように、「対立遺伝子識別」プローブは、完全に相補的な標的核酸に選択的にハイブリダイズし、少なくとも一つのヌクレオチドによって異なる配列を識別する。標的核酸と比較して少なくとも一つのヌクレオチドが異なる核酸配列は、本明細書において以降「標的様核酸配列」と呼ばれ、このように、本発明による対立遺伝子識別プローブに関する標的核酸ではない。対立遺伝子識別プローブは、標的と少なくとも一つのヌクレオチドの差を有する標的様配列とを対立遺伝子識別プローブが識別できる実験最適化により決定された特定の温度または温度範囲内で、標的核酸相補的配列と比較して一つまたは複数のヌクレオチドミスマッチを含有する標的様核酸配列に対して十分にハイブリダイズせず、このように標的様核酸配列のみの存在下で、および標的核酸に対する対立遺伝子識別プローブのハイブリダイゼーションを支持するであろう条件下で、標的様核酸配列に結合した場合に、二次構造の変化を受けない。
一つの態様において、本発明による「対立遺伝子識別プローブ」は、変種ヌクレオチドが対立遺伝子識別部位に位置しない、標的核酸とは少なくとも一つのヌクレオチドによって異なる標的様核酸配列にハイブリダイズするプローブを指す。本発明のこの態様により、「対立遺伝子識別プローブ」は、標的と少なくとも一つのヌクレオチドの差を有する標的様配列とを対立遺伝子識別プローブが識別できる実験最適化により決定された特定の温度または温度範囲内で、対立遺伝子識別部位における少なくとも一つのヌクレオチドが同様に異なる標的様核酸配列に結合できない。一ヌクレオチドの差のみで、標的または標的様核酸配列に結合したプローブの割合に影響を及ぼす。たとえば、本発明は、標的の100%もが、過剰なプローブの存在下でプローブ-標的複合体で存在する(たとえば、プローブによって結合される)完全にマッチしたプローブを提供する。本発明はまた、標的様配列の少なくとも1〜5%および好ましくは5〜10%が、標的配列と完全にマッチしたプローブとを含む複合体を形成するために用いられる同じ条件下でプローブによって結合される、少なくとも一塩基ミスマッチを含むプローブも提供する。
本明細書において用いられるように、「対立遺伝子識別部位」は、標的核酸を含む全ての起こりうる対立遺伝子における対応する領域とは異なる(すなわち、少なくとも一つのヌクレオチド)標的核酸の領域を指す。
本発明による有用な対立遺伝子識別プローブにはまた、標的配列と比較して標的様配列に対してあまり有効に結合しないプローブが含まれる。標的配列または標的様配列に対するプローブ結合の有効性は、標的様配列または標的配列の存在下で、プローブの二次構造のTmより低い(少なくとも1℃、好ましくは10℃、またはそれより上)温度で行われるFRETアッセイ法において測定されうる。標的様配列の存在下または非存在下で蛍光レベルの変化と比較して標的配列の存在下または非存在下での蛍光レベルの変化は、標的または標的様配列に対するプローブの結合の有効性の有効な測定を提供する。
本発明による方法において、標的配列と比較して標的様配列に対してあまり有効に結合しないプローブは、標的核酸と比較した場合、標的様配列にハイブリダイズすると、本明細書において記述されるFRETまたは蛍光消光アッセイ法において蛍光を測定することによって決定される、二次構造のより小さい(たとえば、標的核酸に結合した場合に蛍光の変化の値の好ましくは25〜50%、より好ましくは50〜75%、および最も好ましくは75〜90%)変化を受けるであろう。本発明による方法において、標的配列と比較して標的様配列に対してあまり有効に結合しないプローブは、試料中の標的様核酸配列の存在を示すシグナルを生成するであろう。しかし、シグナルの強度は、より小さい変化に関して本明細書において先に記述したように、標的配列の存在下で生成されたシグナルの強度より変更される(たとえば、標的核酸に結合すると蛍光の変化の値より好ましくは25〜50%、より好ましくは50〜75%、および最も好ましくは75〜90%少ないまたは多い)であろう。
「標的核酸の存在を示すシグナル」または「標的様核酸配列」は、標的核酸または標的様核酸配列の分子1個〜1020個、より好ましくは分子約100個〜分子1017個、および最も好ましくは分子1000個〜分子1014個から生成されたシグナルと等しいシグナルを指す。
本明細書において用いられるように、「結合部分」は、ヌクレアーゼによってプローブが切断されると放出されて、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として、捕獲エレメントに対して特異的に結合するプローブ(たとえば、図4におけるab)の領域を指し、結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的結合は、本明細書において定義されるように、プローブの二次構造が「変化した」場合に起こるのみである。「特異的に結合する」とは、相補的核酸との水素結合によって、またはたとえば結合部分と結合部分の核酸配列に対して特異的に結合できる結合タンパク質との間の相互作用によって結合することを意味する。「結合部分」は、標的核酸に対するプローブの結合能を妨害しない。結合部分は、プローブがその本来の二次構造立体配座で存在する場合には、捕獲エレメントに結合することができず、かつ標的または鋳型核酸に結合すると、好ましくは切断物質による切断後に捕獲エレメントに結合部分が結合できるように、二次構造が変化する捕獲エレメントに結合することができない。
一つの態様において、切断されて結合部分を形成するプローブの領域は、標的核酸にハイブリダイズすることができない。本明細書において定義されるように(たとえば、図4におけるA)「相補的核酸配列」ではない「結合部分」の領域は、長さが1〜60ヌクレオチド、好ましくは1〜25ヌクレオチド、および最も好ましくは1〜10ヌクレオチドである。結合部分または本明細書において定義される結合部分と本明細書において定義される捕獲エレメントとの間の特異的結合を検出する方法は、当技術分野において周知であり、以下に記述される。
本発明の一つの態様において、プローブは「レポーター」をさらに含む。
本明細書において用いられるように、「レポーター」は、本明細書において以下に定義される「標識」および/または本明細書において以下に定義される「タグ」を指す。
本明細書において用いられるように、「標識」または「シグナルを提供できる標識部分」は、検出可能シグナル(好ましくは定量可能な)を提供するために用いることができ、核酸に機能的に連結することができる任意の原子または分子を指す。標識は、蛍光、放射活性、比色法、重量測定、X-線回折または吸収、磁気、酵素活性、質量分析、結合親和性、ハイブリダイゼーション、高周波、ナノクリスタル等によって検出することができるシグナルを提供してもよい。本発明の方法に従う標識プローブは、5'端、3'端、または内部で標識される。標識は、「直接的」すなわち色素であることができるか、または「間接的」すなわち、ビオチン、ジゴキシン、アルカリホスファターゼ(AP)、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)等であることができる。「間接標識」を検出する場合、捕獲された、放出された、標識された核酸断片を可視化するために、標識抗体または酵素基質のようなさらなる成分を付加することが必要である。本発明の一つの態様において、標識は、本明細書において定義されるように、二次構造が「変化して」いなければ(たとえば、結合部分が近づくことができるように)、検出可能シグナルを提供することができない。
「結合部分」はまた、「タグ」を指す。本明細書において用いられるように、「タグ」は、プローブの5'端に機能的に連結して(たとえば図1におけるR)、タグと捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として捕獲エレメントに特異的に結合する部分を指し、タグと捕獲エレメントとの間の特異的結合は、プローブの二次構造が変化した場合に起こるのみである(たとえば、タグが捕獲エレメントに近づくことができるように)。「タグ」および捕獲エレメントを指す場合の「特異的に結合する」は、たとえば共有結合もしくは水素結合または静電気的誘引によること、またはタンパク質とリガンド間、抗体と抗原間、タンパク質サブユニット間、もしくは核酸結合タンパク質と核酸結合部位間の相互作用によることを意味する。タグは、プローブが標的核酸とアニールする能力を妨害しない。タグには、ビオチン、ストレプトアビジン、アビジン、抗体、抗原、ハプテン、タンパク質、または化学反応部分が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書において定義される「タグ」は、本明細書において定義される「捕獲エレメント」に結合することができる。本発明により、「タグ」および「捕獲エレメント」は、結合対として機能する。たとえば、一つの態様において、タグがビオチンである場合、対応する捕獲エレメントはアビジンである。または、もう一つの態様において、タグが抗体である場合、対応する捕獲エレメントは抗原である。
本発明は、結合部分を含む「プローブ」、本明細書において定義される「タグ」を含む「プローブ」、およびヌクレアーゼによるプローブの切断によって放出されるプローブの領域である結合部分(たとえば、捕獲エレメントに結合する核酸配列)と「タグ」の双方を含むプローブを企図する。
本明細書において用いられるように、「捕獲エレメント」は、たとえば化学クロスリンクまたは共有結合によって固相基質に付着する物質を指し、この物質が、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として、結合部分に特異的に結合し(たとえば、水素結合によって、または核酸結合タンパク質と核酸結合部位間もしくは相補的核酸間の相互作用によって)、結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的結合が、結合部分を含むプローブの二次構造が本明細書において定義されるように「変化した」場合に、起こるのみである。捕獲エレメントには、核酸結合タンパク質またはヌクレオチド配列が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本明細書において用いられるように、「捕獲エレメント」はまた、たとえば化学クロスリンクまたは共有結合によって固相基質に付着する物質を指し、この物質は、タグと捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として、タグに特異的に結合し(たとえば、共有結合、水素結合、もしくは静電気的誘引によって、たとえばタンパク質とリガンド間、抗体と抗原間、タンパク質サブユニット間、核酸結合タンパク質と核酸結合部位間、もしくは相補的核酸間の相互作用によって)、タグと捕獲エレメントとの間の特異的結合が、タグを含むプローブの二次構造が本明細書において定義されるように「変化した」場合に、起こるのみである。捕獲エレメントには、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、抗体、抗原、ハプテン、タンパク質、または化学反応部分が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書において定義される「タグ」は、本明細書において定義される「捕獲エレメント」に結合することができる。本発明により、「タグ」および「捕獲エレメント」は、結合対として機能する。たとえば、一つの態様において、捕獲エレメントがビオチンである場合、対応するタグはアビジンである。または、もう一つの態様において、捕獲エレメントが抗体である場合、対応するタグは抗原である。
本明細書において用いられるように、「固相支持体」は、それに対して分子(たとえば、捕獲エレメント)が非可逆的に結合することができる表面を意味し、膜、セファロースビーズ、磁気ビーズ、組織培養プレート、シリカに基づくマトリクス、膜に基づくマトリクス、スチレン、ラテックス、もしくはシリカに基づく材料、および他のポリマー、たとえば酢酸セルロース、テフロン、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース、ポリエステル、カーボネート、ポルスルホン、金属、ゼオライト、紙、アルミナ、ガラス、ポリプロピル(polypropyle)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、プラスチック、濾紙、デキストラン、ゲルマニウム、シリコン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、酸化シリコン、硝酸シリコン、およびその組み合わせが含まれるがこれらに限定されるわけではない表面を含むビーズを含むが、これらに限定されるわけではない。本明細書において定義される捕獲エレメントを付着させる方法は、当技術分野において周知であり、以下に定義される。さらなる固相支持体も同様に以下で考察される。
本明細書において用いられるように、「親和性対」は、部分間に存在する誘引力の結果として可逆的に会合することができる一対の部分(たとえば、相補的核酸配列、タンパク質-リガンド、抗体-抗原、タンパク質サブユニット、および核酸結合タンパク質-結合部位)を指す。「親和性対」には、結合部分と対応する捕獲エレメントの組み合わせ、およびタグと対応する捕獲エレメントの組み合わせが含まれる。
親和性対が、互いに可逆的に相互作用する相補的核酸領域を含む態様において、標的核酸結合配列の長さ、および親和性対を含む核酸配列は、計画されるハイブリダイゼーションアッセイ条件下でプローブが適当に熱力学に機能するように選ばれる。ハイブリダイゼーションアッセイ法における当業者は、直接関係する条件に、プローブ、標的、および溶質濃度、検出温度、変性剤の存在、および容積排除剤(volume excluder)、および他のハイブリダイゼーション影響因子が含まれることを理解するであろう。標的核酸結合配列の長さは、7〜約10,000ヌクレオチド、好ましくは8〜5000、9〜500、9〜250、および最も好ましくは10〜140ヌクレオチドの範囲となりうる。プローブが対立遺伝子識別プローブでもある場合、以下において考察されるように、長さはより制限される(本文は、結合部分:捕獲エレメントの概念からプローブ:標的の概念へと論理が飛躍した)。
親和性対が互いに可逆的に相互作用するが、標的核酸に対してハイブリダイズできない、または標的核酸に対して相補的ではない相補的核酸領域を含む態様において、親和性対の相補的核酸領域配列は、プローブが標的に結合していない場合のアッセイ条件および検出温度で、プローブの構造が、プローブの結合部分が捕獲エレメントに結合しないような、たとえば相補的核酸配列が会合するような構造であるように、十分な長さであるべきである。用いるアッセイ条件に応じて、長さが3〜25ヌクレオチドの相補的核酸配列は、この機能を行うことができる。中間の範囲の4〜15ヌクレオチド、およびより好ましくは5〜11ヌクレオチドがしばしば適切である。実際の長さは、プローブの二次構造が、標的核酸が結合していない場合に標的核酸に結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で安定であるように、標的核酸結合配列を参照して選ばれるであろう。標的核酸結合配列の大きさが100ヌクレオチドまで増加すると、相補的核酸配列の長さは15〜25ヌクレオチドまで増加する可能性がある。100ヌクレオチドより大きい標的核酸結合配列の場合、相補的核酸配列の長さはこれ以上増加させる必要はない。プローブが同様に対立遺伝子識別プローブである場合、相補的核酸配列の長さは、以下に考察されるようにより制限される。
標的核酸相補的配列と比較して一つまたは複数のヌクレオチドミスマッチを含有する標的様核酸配列に対して十分にハイブリダイズしない対立遺伝子識別プローブは、用いられるアッセイ条件において、プローブにおける二次構造の低減または消失、および標的核酸とのハイブリダイゼーションが、一定の反応条件下で標的核酸相補的配列が完全に相補的な標的配列を発見する場合にのみ効率よく起こるように、設計されなければならない。一定の反応条件には、たとえば対立遺伝子識別プローブが標的と少なくとも一ヌクレオチドの差を有する標的様配列とを識別できる実験的最適化によって決定される特定の温度または温度範囲が、含まれてもよい。
一つの態様において、本発明による「対立遺伝子識別プローブ」は、標的核酸と少なくとも一ヌクレオチドによって異なる標的様核酸配列にハイブリダイズし、変種ヌクレオチドが対立遺伝子識別部位に位置しないプローブを指す。本発明のこの態様により、「対立遺伝子識別プローブ」は、一定の反応条件下で対立遺伝子識別部位における少なくとも一つのヌクレオチドにより同様に異なる標的様核酸配列に効率的に結合することができない。一定の反応条件には、たとえば対立遺伝子識別プローブが標的と少なくとも一ヌクレオチドの差を有する標的様配列とを識別できる実験的最適化によって決定される特定の温度または温度範囲が含まれてもよい。
本発明の一つの態様において、本発明による対立遺伝子識別プローブは、好ましくは6〜50および好ましくは7〜25ヌクレオチドの標的核酸結合配列、および3〜8ヌクレオチドの相補的核酸配列を含む。二次構造およびプローブ標的ハイブリッドのグアノシン-シチジン含有量、塩およびアッセイ温度は全て考慮されるべきであり、たとえばマグネシウム塩は強い安定化効果を有し、このことは短い対立遺伝子識別プローブを設計する場合に検討することが特に重要である。
対立遺伝子識別プローブが、長さ約50ヌクレオチドの標的核酸結合配列を有する場合、識別される一塩基ミスマッチが標的核酸相補的配列の中央部またはその近傍で起こるように、配列を設計すべきである。たとえば、長さ21ヌクレオチドである配列を含むプローブは、好ましくはミスマッチが標的核酸相補的配列の最も中心に位置するヌクレオチド14個の向かい合う一つで起こり、最も好ましくは最も中心に位置するヌクレオチド7個の向かい合う一つで起こるように設計されるべきである。識別されるミスマッチが、標的核酸結合配列/標的様核酸結合配列の中央部またはその近傍で起こるようにプローブを設計することは、対立遺伝子識別プローブの性能を改善すると考えられる。
本明細書において用いられるように、捕獲エレメントによる結合部分の捕獲、または捕獲エレメントによるタグの捕獲を指す場合の「捕獲された」とは、相互作用対の一つのメンバーが固相支持体に付着する、水素結合によって、共有結合によって、またはたとえばタンパク質とリガンド間、抗体と抗原間、タンパク質サブユニット間、核酸結合タンパク質と核酸結合部位間、または相補的核酸間の相互作用によって特異的に結合したことを意味する。安定な捕獲条件下で、結合によって、少なくとも約1×103 M-1、通常少なくとも1×104 M-1、典型的に少なくとも1×105 M-1、好ましくは少なくとも1×106 M-1〜1×107 M-1、またはそれより高い解離定数(KD)で適した条件下でヘテロ二量体の形成が起こる。本明細書において定義される捕獲エレメントと本明細書において定義される結合部分またはタグとの間で結合反応を行う方法は、当技術分野において周知であり、本明細書において以下に記述される。本発明による捕獲エレメントを本明細書において定義される固相支持体に付着させる方法は、当技術分野において周知であり、本明細書において以下に定義される。
本明細書において用いられるように、「野生型」は、天然に存在する供給源から単離した場合にその遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する(すなわち、その遺伝子の配列を有するもしくはコードする、または酵素の配列もしくは活性を保有する)遺伝子または遺伝子産物を指す。
ヌクレアーゼおよび切断構造
本明細書において用いられるように、「ヌクレアーゼ」または「切断物質」は、本発明による切断構造に対して特異的である、すなわち切断構造を切断し、かつ標的核酸にハイブリダイズしないプローブもしくはプライマー、またはプローブもしくはプライマーにハイブリダイズしない標的核酸のいずれかに対して特異的でない、すなわち実質的に切断しない酵素を指す。「ヌクレアーゼ」という用語には、5'エンドヌクレチド分解活性を保有する酵素、たとえばDNAポリメラーゼ、たとえば大腸菌のDNAポリメラーゼI、ならびにサーマス・アクアティクス(Taq)、サーマス・サーモフィラス(Tth)、およびサーマス・フラブス(Tfl)のDNAポリメラーゼが含まれる。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを包含する。「FENヌクレアーゼ」という用語は、5'エキソヌクレアーゼおよび/またはエンドヌクレアーゼ活性を保有する酵素を包含する。「FENヌクレアーゼ」という用語はまた、5'フラップ特異的ヌクレアーゼを包含する。本発明によるヌクレアーゼまたは切断物質には、アーカエグロブス・フルギダス(Archaeglobus fulgidus)、メタノコッカス・ジャナスシイ、パイロコッカス・フリオサス、ヒト、マウス、またはアフリカツメガエル(Xenopus laevis)に由来するFENヌクレアーゼ酵素が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明によるヌクレアーゼには、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)RAD27、およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)RAD2、5'-3'エキソヌクレアーゼドメインに関連するPol I DNAポリメラーゼ(たとえば、大腸菌、サーマス・アクアティクス(Taq)、サーマス・フラブス(Tfl)、バシラス・カルドテナクス(Bacillus caldotenax)(Bca)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae))、ならびにT5 5'-3'エキソヌクレアーゼ、T7遺伝子6エキソヌクレアーゼ、およびT3遺伝子6エキソヌクレアーゼが含まれるがこれらに限定されるわけではないFENのファージ機能的相同体が含まれる。好ましくは、Taq、Tfl、およびBca FENヌクレアーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼドメインのみを用いる。「ヌクレアーゼ」という用語には、RNアーゼHは含まれない。
本発明による「5'フラップ特異的ヌクレアーゼ」(また、本明細書において「フラップ特異的ヌクレアーゼ」とも呼ばれる)は、5'の一本鎖として突出する一本鎖フラップを除去することができるエンドヌクレアーゼである。本発明の一つの態様において、本発明によるフラップ特異的ヌクレアーゼはまた、偽Y構造を切断することができる。本発明によるフラップ特異的ヌクレアーゼの基質は、標的核酸、および標的核酸に相補的である領域を含む本明細書において定義されるオリゴヌクレオチドプローブを含む。もう一つの態様において、本発明によるフラップ特異的ヌクレアーゼの基質は、標的核酸、標的核酸に相補的である上流のオリゴヌクレオチド、および標的核酸に相補的である領域を含む本発明による下流のプローブを含む。一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。もう一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の近接する領域にハイブリダイズする。
本明細書において用いられるように、「近接する」とは、20ヌクレオチド未満、たとえば15ヌクレオチド、10ヌクレオチド、5ヌクレオチド、または0ヌクレオチドによって分離されていることを指す。
本発明によるフラップ特異的ヌクレアーゼの基質はまた、標的核酸、第二の核酸、標的核酸と特異的にハイブリダイズするその一部、および標的核酸と特異的にハイブリダイズする第三の核酸からのプライマー伸長産物を含む。
本明細書において用いられるように、「切断構造」は、フラップ、ループ、一本鎖バブル、D-ループ、ニック、またはギャップを含む一本鎖領域を有する少なくとも二重鎖の核酸を含むポリヌクレオチド構造(たとえば、図1において図示される)を指す。このように、本発明による切断構造には、5'一本鎖ポリヌクレオチドフラップが構造の二本鎖部分に対するその接合部近傍の位置から伸長し、好ましくはフラップが検出可能な標識によって標識される、分岐核酸のフラップ鎖を含むポリヌクレオチド構造が含まれる。本発明による切断構造のフラップは、好ましくは約1〜10,000ヌクレオチド、より好ましくは約5〜25ヌクレオチド、および最も好ましくは約10〜20ヌクレオチドであり、好ましくは、分岐構造の「肘部」に配置されるリン酸基に位置する位置で切断される、またはフラップ鎖の肘部から近位および/または遠位に位置する1〜10個のリン酸基のいずれかで切断される。本明細書において用いられるように、「肘部」は、5'フラップの最初の一本鎖ヌクレオチドと、最初の二本鎖(たとえば、標的核酸にハイブリダイズした)ヌクレオチドとの間のリン酸結合を指す。一つの態様において、切断構造のフラップは標的核酸にハイブリダイズすることができない。
本明細書において用いられるように、切断構造は、上流のオリゴヌクレオチド(たとえば、プライマー)の一つまたは複数のヌクレオチドが下流のオリゴヌクレオチド(たとえば、プローブ)と同じ標的の領域に対して相補的である場合、「オーバーラップする」または「侵入性」と呼ばれることがある。この態様において、二つのオリゴヌクレオチドは、同じ標的の領域に対する結合に関して競合するであろう。
本明細書において用いられるように、切断構造は、上流のオリゴヌクレオチドと下流のオリゴヌクレオチドが同じ標的の領域に対して相補的でない場合「非オーバーラップ」または「非侵入性」と呼ばれることがある。この態様において、二つのオリゴヌクレオチドが標的核酸にハイブリダイズする場合、二つのオリゴヌクレオチドは、標的に対するそのハイブリダイゼーションにおいて競合しないであろう。
本明細書において用いられるように、「ギャップ」は、上流のオリゴヌクレオチド/プライマーの3'末端の相補的ヌクレオチドと、下流のオリゴヌクレオチドの最も5'側の相補的ヌクレオチドとの間の、少なくとも一つのヌクレオチド(たとえば、0〜2ヌクレオチド、2〜20ヌクレオチド、20〜50ヌクレオチド、または50より多いヌクレオチド)の標的の一部を意味する。
本明細書において用いられるように、「ニック」は、上流のオリゴヌクレオチド/プライマーの3'末端相補的ヌクレオチドと、下流のオリゴヌクレオチドの最も5'側の相補的ヌクレオチドとが直接接している場合に、それらの間に存在する標的の一部を指す。ニックは、オリゴヌクレオチドがオーバーラップせず、それらの間にギャップに満たないものを有する場合に、たとえば0ヌクレオチドを有する、直接接している場合に存在する。
本発明の一つの態様による切断構造は、好ましくは標的核酸を含み、切断構造にはまた、標的核酸に相補的である領域を通して標的核酸と特異的にハイブリダイズする本発明によるオリゴヌクレオチドプローブ、およびハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブから伸長するフラップが含まれてもよい。本発明のもう一つの態様において、切断構造は、標的核酸(たとえば、図4におけるB)、標的配列に相補的である上流のオリゴヌクレオチド(たとえば図4におけるA)、および標的配列に相補的である領域を含む本発明による下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、図4におけるC)を含む。一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。もう一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の近接する領域にハイブリダイズする。
本発明による切断構造は、本発明の下流のオリゴヌクレオチドプローブから伸長するフラップを含むポリヌクレオチド構造であってもよく、フラップは核酸ポリメラーゼの合成活性による上流のオリゴヌクレオチドの伸長、および下流のオリゴヌクレオチドの5'端のその後の部分的置き換えによって形成される。そのような切断構造において、下流のオリゴヌクレオチドは、下流のオリゴヌクレオチドの3'端の伸長を防止するために3'末端でブロックされてもよい。
本発明の一つの態様による切断構造は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分と、標的核酸にアニールする相補的領域と、標的核酸にアニールせず5' フラップを形成する非相補的領域とをさらに含むオリゴヌクレオチドプローブに、標的核酸をハイブリダイズさせることによって形成してもよい。
切断構造はまたは、フラップの上流の鎖(本明細書においてフラップ近接鎖またはプライマー鎖と呼ばれる)が存在しない場合に形成される偽Y構造、およびギャップまたはニックを含有する二本鎖DNA基質であってもよい。本明細書において用いられる「切断構造」には、3'一本鎖フラップのみを有する二本鎖核酸構造が含まれない。本明細書において用いられるように、「切断構造」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含み、このようにRNAまたはDNAとなりうる。
本発明による切断構造は、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチドの3'端(たとえば図4におけるA)が、標的核酸にアニールする本発明の下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば図4におけるC)の1塩基対と同一であり、およびオーバーラップが一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流である、オーバーラップフラップであってもよい。
本発明の一つの態様による切断構造は、
1.a)上流の3'端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、
b)上流のプライマーの多くて10,000ヌクレオチド下流に位置し、少なくとも一つの検出可能な標識を含むオリゴヌクレオチドプローブ、
c)標的配列が少なくとも部分的に上流のプライマーと下流のプローブの双方に対して相補的である、適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件下でインキュベートする工程、ならびに
2.上流のオリゴヌクレオチドプライマーの新たに合成された3'端が、下流のオリゴヌクレオチドプローブの5'端の少なくとも一部(すなわち、少なくとも1〜10ヌクレオチド)に近接するようになるおよび/または少なくとも一部を置き換えるように、ポリメラーゼ、たとえばRTの合成活性によって上流のオリゴヌクレオチドプライマーの3'端を伸長させる工程
によって形成される。本発明の方法に従って、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定の核酸ポリメラーゼによる鎖の置き換えにとって都合がよい。好ましくは、下流のオリゴヌクレオチドは、下流のオリゴヌクレオチドの3'端の伸長を防止するために3'末端でブロックされる。
本発明のもう一つの態様において、本発明による切断構造は、少なくとも一つの検出可能な標識を有しかつ標的核酸にアニールせずに5'フラップを形成する非相補的5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含むオリゴヌクレオチドプローブと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製されうる。
本発明のもう一つの態様において、本発明による切断構造は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有しかつ結合部分と標的核酸にアニールせずに5'フラップを形成する非相補的5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含む、下流のオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに上流のオリゴヌクレオチドプライマーと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製されうる。一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。もう一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の近接する領域にハイブリダイズする。
本発明のもう一つの態様において、切断構造は、
1.a)プロモーター領域の多くて10,000ヌクレオチド下流に位置し、少なくとも一つの検出可能な標識を含むオリゴヌクレオチドプローブ、
b)標的配列がプロモーター領域を含み、下流のプローブに対して少なくとも部分的に相補的である適切な標的核酸、および
c)適した緩衝液を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズさせて、プロモーター領域をRNAポリメラーゼに結合させる条件下でインキュベートする工程、ならびに
2.合成されたRNAの新たに合成された3'端が、下流のオリゴヌクレオチドプローブの5'端の少なくとも一部(すなわち、少なくとも1〜10ヌクレオチド)に近接するようになるおよび/またはそれらを置き換えるように、RNAポリメラーゼの合成活性によってRNAを合成する工程
によって形成される。本発明の方法に従って、緩衝液および伸長温度は、本発明による特定のRNAポリメラーゼによる鎖の置き換えにとって都合がよい。好ましくは、下流のオリゴヌクレオチドは、下流のオリゴヌクレオチドの3'端の伸長を防止するために3'末端でブロックされる。
本発明の好ましい態様において、切断構造は標識される。本発明の一つの態様による標識された切断構造は、
1.a)上流の伸長可能な3'端、たとえばオリゴヌクレオチドプライマー、
b)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、上流のプライマーの多くて10,000ヌクレオチド下流、より好ましくは多くて500ヌクレオチド下流に位置する結合部分をさらに含む標識プローブ、
c)標的配列がプライマーと標識プローブの双方に対して相補的である適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液を、
核酸配列をプライマーにハイブリダイズさせる条件下でインキュベートする工程、
ならびに本発明の一つの態様において、
2.上流のプライマーの新たに合成された3'端が下流のプローブの5'端を部分的に置き換えるように、ポリメラーゼの合成活性によって上流のプライマーの3'端を伸長させる工程
によって形成される。本発明の方法に従って、緩衝液および伸長温度は、本発明の方法に従う特定の核酸ポリメラーゼによる鎖の置き換えにとって都合がよい。好ましくは下流のオリゴヌクレオチドは、下流のオリゴヌクレオチドの3'端の伸長を防止するために3'末端でブロックされる。一つの態様において、上流のプライマーおよび下流のプローブは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。
もう一つの態様において、本発明による切断構造は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有しかつ結合部分と標的核酸にアニールせずに5'フラップを形成する非相補的な標識された5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含む、プローブと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製されうる。もう一つの態様において、本発明による切断構造は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有しかつ結合部分と標的核酸にアニールせずに5'フラップを形成する非相補的な標識5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含む、下流のプローブ、および上流のオリゴヌクレオチドプライマーと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製されうる。一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。もう一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の近接する領域にハイブリダイズする。
本明細書において用いられるように、「シグナルを生成する」、「検出可能シグナルを生成する」、または「検出可能シグナル」は、試料中の標的核酸の存在の指標として、切断構造の切断または切断構造から放出される放出核酸断片を検出および/または測定することを指す。一つの態様において、シグナルの生成はまた、固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される放出核酸断片を検出または測定することを指す。もう一つの態様において、「シグナルを生成する」、「検出可能シグナルを生成する」または「検出可能シグナル」はまた、標識プローブ(たとえば、下流の切断抵抗性プローブ)が切断されると、蛍光シグナル(たとえば、FRETアッセイ法によって)を検出または測定することを指す。
本明細書において用いられるように、「検出可能シグナル」は、当業者に公知の標準的な統計学的方法によって決定した場合に、対照シグナルより上であるシグナルである。最も好ましくは、「検出可能シグナル」は、バックグラウンドより十分に上であり、たとえば、適したバックグラウンドまたは対照シグナルより2倍またはそれより多く上である。たとえば、反応を切断抵抗性プローブと共に行う場合、検出可能シグナル(たとえば、相互作用標識対間の切断)は、陰性対照(たとえば、プローブの切断がない場合、または標識が分離しないように双方の相互作用標識の下流の切断)より2倍またはそれより多く上であるシグナルである。好ましくは、検出可能シグナルは、対照シグナルより2、3、4、5、6、7、8、9、10、20倍またはそれより上である。本発明の検出可能シグナルを測定する方法は、本明細書において記述され、これにはFRETおよび蛍光消光アッセイ法が含まれる。
本明細書において用いられるように、「試料」は、関心対象の核酸(標的核酸)を含有するかもしくは含有すると思われる、またはそれ自体が関心対象の標的核酸を含有するかもしくは含有すると思われる標的核酸である任意の物質を指す。このように、「試料」という用語には、核酸(ゲノムDNA、cDNA、RNA)、細胞、生物、組織、液体、またはたとえば血漿、血清、脊髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便、皮膚の、呼吸器の、腸管のおよび尿性器の外分泌物、唾液、血球、腫瘍、臓器、組織、インビトロ細胞培養構成成分が含まれるがこれらに限定されるわけではない物質、天然単離体(飲料水、海水、土壌材料などの)、微生物標本、および核酸トレーサー分子によって「印がつけられている」物体または標本の試料が含まれる。
本明細書において用いられるように、「標的核酸」または「鋳型核酸配列」は、複製、増幅、および/または検出される核酸の領域を指す。一つの態様において、「標的核酸」または「鋳型核酸配列」は、増幅のために用いられる二つのプライマー配列間に存在する。「標的核酸」は、二本鎖DNAまたはRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖の一方または両方を含有してもよい。
いくつかの態様において、「標的核酸」は、3'から5'の順に、第一のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的な第一の領域、伸長領域、および第二のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的な第二の領域を含む。標的核酸は、一本鎖もしくは二本鎖のDNAまたはRNAを含んでもよい。
本明細書において用いられるように、標的核酸を指す場合の「第一の領域」は、上流のオリゴヌクレオチド(たとえば、プライマー)をハイブリダイズさせるために十分な長さのヌクレオチドを意味し、「第一の領域」は、本明細書において定義されるように、上流のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である。「第一の領域」は、長さが約6ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチドの範囲であり、好ましい範囲は約8〜30ヌクレオチドであり、および最適には10〜25ヌクレオチドの範囲である。
本明細書において用いられるように、「伸長領域」は、核酸重合化活性によってオリゴヌクレオチド(たとえば、上流のオリゴヌクレオチド)を伸長させるために十分な長さのヌクレオチドを指す。「伸長領域」は、長さが約1ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチドの範囲であり、好ましい範囲は約1〜100ヌクレオチド、より好ましい範囲は3〜50ヌクレオチド、および最適には長さ5〜10ヌクレオチドである。「伸長領域」は、切断物質によってフラップ(下流のオリゴヌクレオチドの5'部分である)を切断させるために、プライマーの3'端が下流のオリゴヌクレオチドに十分に近くなるように(すなわち、第二の領域にハイブリダイズする)、上流のプライマーが、伸長領域に対して相補的な核酸の重合化により伸長していなければ、本発明による切断物質が、下流のオリゴヌクレオチド(たとえば、プローブ)を切断しないために十分である長さの領域である。
本明細書において用いられるように、標的核酸を指す場合の「第二の領域」は、下流のオリゴヌクレオチド(たとえば、プローブ)をハイブリダイズさせるために十分である長さのヌクレオチドを意味し、「第二の領域」は、本明細書において定義される下流のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に相補的である。「第二の領域」は、長さが約6ヌクレオチド〜約1000ヌクレオチドの範囲であり、好ましい範囲は約8〜30ヌクレオチド、および最適には10〜25ヌクレオチドの範囲である。
本明細書において用いられるように、「核酸ポリメラーゼ」は、ヌクレオシド三リン酸の重合化を触媒する酵素を指す。一般的に、酵素は標的配列にアニールしたプライマーの3'端で合成を開始し、鋳型に沿って5'方向に進行し、5'-3'ヌクレアーゼ活性を保有する場合、合成が終了するまで、介在するアニールしたプローブを加水分解し、標識および非標識プローブ断片の双方を放出する。公知のDNAポリメラーゼには、たとえば大腸菌DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、サーマス・サーモフィラス(Tth)DNAポリメラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリスDNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクス(Taq)DNAポリメラーゼ、およびパイロコッカス・フリオサス(Pfu)DNAポリメラーゼが含まれる。「核酸ポリメラーゼ」という用語はまた、RNAポリメラーゼも包含する。核酸鋳型がRNAである場合、「核酸ポリメラーゼ」は、逆転写酵素のようなRNA依存的重合化活性を指す。
公知の逆転写酵素には、たとえば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス関連ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症ウイルス(MAV)RTが含まれる。
本明細書において用いられるように、「RNAポリメラーゼ」という用語は、RNA分子の重合化を触媒する酵素を指す。RNAポリメラーゼは、DNA依存型と共にRNA依存型RNAポリメラーゼを包含する。本発明において用いるために適したRNAポリメラーゼには、バクテリオファージT7、T3、およびSP6 RNAポリメラーゼ、大腸菌RNAポリメラーゼホロ酵素、大腸菌RNAポリメラーゼコア酵素、およびヒトRNAポリメラーゼI、II、III、ヒトミトコンドリアRNAポリメラーゼ、および(HCV)からのNS5B RNAポリメラーゼが含まれる。
本明細書において用いられるように、「5'-3'エキソヌクレアーゼ活性」または「5'→3'エキソヌクレアーゼ活性」は、それによってモノヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドがポリヌクレオチドの5'端から連続的に除去される(すなわち、大腸菌DNAポリメラーゼIはこの活性を有するが、クレノウ(Klenow et al., 1970, Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 65:168)断片は有しない(Klenow et al., 1971, Eur. J. Biochem., 22:371))、またはポリヌクレオチドが、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性に固有に存在する可能性があるエンドヌクレオチド分解活性によって5'端から除去される、鋳型特異的核酸ポリメラーゼの活性、たとえばいくつかのDNAポリメラーゼに従来関連する5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を指す。
本明細書において用いられるように、「5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損する」または「5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損する」は、野生型酵素の活性の10%、5%、1%、0.5%、または0.1%未満を有することを意味する。「5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損する」、または「5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損する」という句は、検出不可能な5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有する、または野生型酵素の5'-3'エキソヌクレアーゼ活性の約1%、0.5%、または0.1%未満を有することを意味する。
構造特異的エンドヌクレオチド分解活性を検出するために、下流のフラップオリゴヌクレオチドが5'端で放射標識されているフラップ構造からなるDNA鋳型を使用する。反応は、dNTP(上流のプライマーを伸長させるため)の存在下でDNAポリメラーゼによって行われる。放射活性切断産物をゲル電気泳動によって可視化する(Lyamichev et al., 1993, Science 260: 778)。
または、DNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性は、ニックも有する均一に標識された二本鎖DNAを用いてアッセイされる。dNTPの非存在下および存在下でのDNAポリメラーゼによる放射活性(TCA可溶性cpm)の放出を測定する。5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有する非プルーフリーディングDNAポリメラーゼは、dNTPの存在下で起こる同時の重合化(dNTPの存在下で放出されるcpmの増加)によって10倍またはそれより多く刺激される。3'-5'エキソ活性を有するプルーフリーディングDNAポリメラーゼは、dNTPの存在下で起こる同時の重合化(dNTPの存在下で放出されるcpmの減少)によって完全に阻害される(米国特許第5,352,778号)。
本発明により有用であるヌクレアーゼには、5'エンドヌクレオチド分解活性を保有する任意の酵素、たとえばDNAポリメラーゼ、たとえば大腸菌のDNAポリメラーゼI、ならびにサーマス・アクアティクス(Taq)、サーマス・サーモフィラス(Tth)、およびサーマス・フラブス(Tfl)からのDNAポリメラーゼが含まれる。本発明による有用なヌクレアーゼにはまた、サーマス種に由来する酵素(Taq、Tfl、Tth、Tca(カルドフィルス)Tbr(ブロキアヌス(brockianus)))、バシラス種に由来する酵素(Bst、Bca、Magenta(完全長のポリメラーゼ、N-切断型ではない))、サーモトガ(Thermotoga)種に由来する酵素(Tma(マリチマ(maritima))、Tne(ネオポリタナ(neopolitana)))、および大腸菌DNAポリメラーゼIが含まれる真正細菌DNAポリメラーゼIが含まれるがこれらに限定されるわけではない5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが含まれる。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを包含する。本発明による有用なさらなる核酸ポリメラーゼは、以下の「核酸ポリメラーゼ」と題する章に含まれる。
本明細書において用いられるように、「切断する」は、切断構造を異なる(すなわち、ホスホジエステル結合によって他の断片または核酸に物理的に連結していない)断片またはヌクレオチドに、および切断構造から放出される断片に酵素的に分離することを指す。たとえば、標識された切断構造を切断することは、本発明による、および以下に定義される標識切断構造を、標的核酸と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドに由来する断片が含まれる異なる断片に分離することを指すか、または異なる断片の一つは、標的核酸に由来する、および/または標的核酸と特異的に結合するオリゴヌクレオチドに由来する標識核酸断片であり、これを標識断片上に存在する標識部分を検出するためにふさわしい、当技術分野において周知のおよび本明細書に記述される方法によって、検出および/または測定することができる。
本明細書において用いられるように、「エンドヌクレアーゼ」は、核酸分子内の結合、好ましくはホスホジエステル結合を切断する酵素を指す。本発明によるエンドヌクレアーゼは、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAに関して特異的となりうる。
本明細書において用いられるように、「エキソヌクレアーゼ」は、ポリヌクレオチドの端部から、ヌクレオチド間の結合、好ましくはホスホジエステル結合を一度に一つずつ切断する酵素を指す。本発明によるエキソヌクレアーゼは、DNAまたはRNA分子の5'または3'端に対して特異的となりえて、本明細書において5'エキソヌクレアーゼまたは3'エキソヌクレアーゼと呼ばれる。
本明細書において用いられるように、「切断手段」は、本発明による切断構造に対して特異的である、すなわち切断構造を切断する物質、好ましくは酵素を指す。
本明細書において用いられるように、「フラップ」は、二本鎖核酸分子から伸長する一本鎖DNAの領域を指す。本明細書において用いられるように、「5'フラップ」は、二本鎖核酸分子より伸長する一本鎖DNAの5'端を指す。本発明によるフラップは、好ましくは約1〜10,000ヌクレオチドの間、より好ましくは約5〜25ヌクレオチド、および最も好ましくは約10〜20ヌクレオチドである。
好ましい態様において、結合部分はタグである。
もう一つの好ましい態様において、結合部分は、捕獲エレメントに結合する核酸配列である。
本発明はまた、以下の工程を含む、標的核酸を検出または測定する方法を提供する:
標的核酸を含有する試料を、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分をさらに含むプローブと共にインキュベートすることによって切断構造を形成する工程、
切断が切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造が切断温度またはそれより下で安定である、核酸断片を放出するようにヌクレアーゼによって切断構造を切断する工程、ならびに
試料中の標的配列の存在の指標として、固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される断片の量を検出および/または測定する工程。
本明細書において用いられるように、「標的核酸を検出する」または「標的核酸を測定する」とは、試料中の特定の標的核酸の存在を決定するか、または試料中の標的核酸の存在の指標として試料中の特定の標的核酸の量を決定する工程を指す。測定または検出されうる標的核酸の量は、好ましくは約1分子〜1020分子、より好ましくは約100分子〜1017分子、および最も好ましくは約1000分子〜1014分子である。本発明の一つの態様により、検出された核酸は、本発明による切断構造の上流のプライマー(たとえば、図4におけるA)の3'伸長によって標的核酸から置き換えられる、本発明による切断構造の下流のプローブ(たとえば、図4におけるC)の標識された5'端に由来する。本発明により、標識は、本発明による切断構造を含む下流のプローブ(たとえば、図4におけるC)の5'端に付着する。または、標識を下流のプローブの3'端に付着させて、消光剤を下流のプローブの5'フラップに付着させてもよい。本発明により、標識を、本発明による切断構造を含む下流のプローブ(たとえば、図4におけるC)の3'端に付着させてもよい。
本発明により、下流のプローブ(たとえば、図4におけるC)を内部で標識してもよい。好ましい態様において、本発明による切断構造は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有しかつ標的核酸にアニールせずに5'フラップを形成する非相補的な標識5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含むプローブと共に、標的核酸をインキュベートすることによって、調製されうる。本発明のこの態様により、検出された核酸は、プローブの標識5' フラップ領域に由来する。好ましくは、標的核酸の量と、切断されて検出された核酸によって生成されたシグナルとの間に直接の相関が存在する。
もう一つの態様において、プローブは、オリゴヌクレオチドプローブのアンフォールディング(たとえば、プローブの二次構造における変化による)または加水分解の際に標識を分離させるように配置される相互作用標識対(たとえば、FRETまたは非FRET対)によって標識される。本明細書において用いられるように、「固相支持体上の捕獲エレメントによって捕獲された断片の量を検出する」、「固相支持体上の捕獲エレメントによって捕獲された断片の量を測定する」、「固相支持体上の捕獲エレメントによって捕獲された断片の量を検出する」、または「固相支持体上の捕獲エレメントによって捕獲された断片の量を測定する」は、試料中の標識もしくは非標識断片の存在を決定する工程、または試料中の標識もしくは非標識断片の量を決定する工程を指す。当技術分野において周知であり、本明細書において記述される方法を用いて、固相支持体上の捕獲エレメントに結合した標識もしくは非標識断片の放出を検出もしくは測定することができ、または固相支持体上の捕獲エレメントからの標識もしくは非標識断片の放出後に検出もしくは測定することができる。本明細書において記述される検出法は、反応において生成された断片の比率が小さいか大きいかによらず断片の任意の量が検出される、断片を検出するために操作可能である。標識断片の放出を検出または測定する方法は、固相支持体上の捕獲エレメントに結合した標識断片上に存在する標識部分を測定または検出するために適切であろう。非標識断片の放出を検出または測定する方法には、たとえば、当技術分野において周知の方法に従うゲル電気泳動またはハイブリダイゼーションが含まれる。本明細書において記述される検出法は、放出された断片の1または2分子もの少ない量(および1または200万個、たとえば、10個、100個、1000個、10,000個、100万個まで)を検出する場合に操作可能である。
本明細書において用いられるように、「標識断片」は、切断されたオリゴヌクレオチドが好ましくは約1〜1000ヌクレオチド、より好ましくは約5〜50ヌクレオチド、および最も好ましくは約16〜18ヌクレオチドである、切断モノヌクレオチド、低分子オリゴヌクレオチド、または本発明による標識切断構造に由来するオリゴヌクレオチドを指し、これらはヌクレアーゼによって切断構造から切断され、当技術分野において周知のおよび本明細書に記述の方法によって検出可能である。一つの態様において、プローブは、プローブを含む第一の分子が蛍光体によって標識され、プローブを含む第二の分子が消光剤によって標識される、二分子または多分子プローブである。本明細書において用いられるように、「サブプローブ」および「サブ消光剤」はそれぞれ、蛍光体によって標識される本発明による二分子または多分子プローブの第一の分子、および消光剤によって標識される本発明による二分子または多分子プローブの第二の分子を指す。この態様により、標的核酸への二分子または多分子プローブの結合の後、およびヌクレアーゼによる切断後、サブプローブおよびサブ消光剤は互いに解離して(すなわちサブプローブとサブ消光剤との間の距離が増加する)、サブプローブおよびサブ消光剤のこの解離とその後の分離の結果としてシグナルが生成される。
好ましい態様において、結合部分はタグである。
もう一つの好ましい態様において、結合部分は、捕獲エレメントに結合する核酸配列である。
好ましい態様において、方法は、核酸ポリメラーゼをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、切断構造は、5' フラップをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、切断構造は、オリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、二次構造は、ステム-ループ構造、ヘアピン構造、内部ループ、バルジループ、分岐構造、シュードノット構造、またはクローバー構造からなる群より選択される。
もう一つの好ましい態様において、ヌクレアーゼはFENヌクレアーゼである。
もう一つの好ましい態様において、FENヌクレアーゼは、アーカエグロブス・フルギダス、メタノコッカス・ジャナスシイ、パイロコッカス・フリオサス、ヒト、マウス、またはアフリカツメガエルに由来するFENヌクレアーゼ酵素からなる群より選択される。本発明によるFENヌクレアーゼにはまた、出芽酵母RAD27、およびシゾサッカロミセス・ポンベRAD2、5'-3'エキソヌクレアーゼドメインに関連するPol I DNAポリメラーゼ(たとえば、大腸菌、サーマス・アクアティクス(Taq)、サーマス・フラブス(Tfl)、バシラス・カルドテナクス(Bca)、肺炎連鎖球菌)、およびT4、T5 5'-3'エキソヌクレアーゼ、T7遺伝子6エキソヌクレアーゼ、およびT3遺伝子6エキソヌクレアーゼが含まれるがこれらに限定されるわけではないFENのファージ機能的相同体が含まれる。
好ましくは、Taq、Tfl、およびBca FENヌクレアーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼドメインのみを用いる。
もう一つの好ましい態様において、プローブはレポーターをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、レポーターはタグを含む。
もう一つの好ましい態様において、断片は捕獲エレメントに対するタグの結合によって捕獲される。
もう一つの好ましい態様において、シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分を含む切断構造が形成される。
もう一つの好ましい態様において、プローブが標的核酸に結合していない場合に、検出可能なシグナルの生成を消光させるためにプローブ上に効果的に配置された相互作用シグナル生成標識部分の対を含む切断構造が形成される。
もう一つの好ましい態様において、標識部分は、ヌクレアーゼの切断に対して感受性がある部位によって分離され、それによって、ヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は、ヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位を切断することによって、第一の相互作用シグナル生成標識部分を第二の相互作用シグナル生成標識部分から分離することができ、それによって検出可能シグナルを生成する。
先に記述したように相互作用シグナル生成標識部分の対の存在によって、捕獲エレメントに結合する可能性があるアニールした非切断プローブと、捕獲エレメントに結合した放出標識断片とを識別することができる。
もう一つの好ましい態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、消光部分と蛍光部分とを含む。
本発明はまた、試料中の標的核酸を検出するためのポリメラーゼ連鎖反応方法を提供する。この方法は、プローブ、オリゴヌクレオチドプライマーの組を含む切断構造を提供する工程を含み、このプローブは、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有しかつ結合部分をさらに含み、このオリゴヌクレオチドプライマーにおいて、第一のプライマーが標的核酸の一つの鎖における領域に対して相補的な配列を含有して相補的DNA鎖の合成をプライミングし、かつ第二のプライマーが標的核酸の第二の鎖における領域に対して相補的な配列を含有して相補的DNA鎖の合成をプライミングする。この方法はまた、以下のPCRサイクリング段階に関して許容される条件下で、鋳型依存的重合化物質として核酸ポリメラーゼを使用する標的核酸を増幅する工程を含む:
(i)標的核酸内に含有される鋳型核酸配列に対して、増幅のために必要なプライマーをアニールする段階、
(ii)核酸ポリメラーゼがプライマー伸長産物を合成する条件で、プライマーを伸長させる段階、および
(iii)切断構造から標識断片を放出するために切断物質としてヌクレアーゼを使用して切断構造を切断し、それによって検出可能な標識断片を作製する段階。
この方法に従って、切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合の第二のプライマーの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される放出標識断片の量を、試料中の標的配列の存在の指標として検出および/または測定する。
本明細書において用いられるように、「オリゴヌクレオチドプライマー」は、核酸鋳型にハイブリダイズ可能でありかつ第二の核酸鎖の酵素的合成をプライミングする一本鎖DNAまたはRNA分子を指す。本発明による有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、長さが約6〜100ヌクレオチド、好ましくは長さが約17〜50ヌクレオチド、およびより好ましくは長さが約17〜45ヌクレオチドである。本発明による切断構造の形成にとって有用なオリゴヌクレオチドプローブは、長さが約17〜40ヌクレオチド、好ましくは長さが約17〜30ヌクレオチド、およびより好ましくは長さが約17〜25ヌクレオチドである。
本明細書において用いられるように、「鋳型依存的重合化物質」は、適切な塩、金属陽イオン、適切な安定化剤、およびpH緩衝系を含む反応媒体において、本明細書において記述されるように四つのデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dATP、dGTP、dCTP、およびdTTP)の適当量の存在下でオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させることができる酵素を指す。鋳型依存的重合化物質は、プライマーおよび鋳型依存的DNA合成を触媒することが知られている酵素であり、5'-3'ヌクレアーゼ活性を保有する。好ましくは、本発明による鋳型依存的重合化物質は、5'-3'ヌクレアーゼ活性を欠損する。
本明細書において用いられるように、「増幅する」は、ポリメラーゼ連鎖反応法が含まれる、核酸配列のさらなるコピーを産生する工程を指す。
好ましい態様において、ヌクレアーゼはFENヌクレアーゼである。
好ましい態様において、結合部分はタグである。
もう一つの好ましい態様において、結合部分は、捕獲エレメントに結合する核酸配列である。
もう一つの好ましい態様において、工程bのオリゴヌクレオチドプライマーは、フォワードプライマーが切断構造の上流に位置し、リバースプライマーが切断構造の下流の位置するように方位を定められる。
もう一つの好ましい態様において、核酸ポリメラーゼは鎖置き換え活性を有する。
鎖置き換え活性を示し、本発明による有用な核酸ポリメラーゼには、「鋳型活性化」鎖置き換え活性(Vent、Deep Vent、Pfu、JDF-3、KOD(LTI商品名Pfx)、Pwo、9 degrees North、サーモコッカス・アグリガンス(Thermococcus aggregans)、サーモコッカス・ゴルゴナリウス(Thermococcus gorgonarius)のエキソプラスエキソマイナス型)を有する古細菌DNAポリメラーゼ、および鎖置き換え活性(エキソマイナスBst、エキソマイナスBca、Genta、クレノウ断片、エキソマイナスクレノウ断片、エキソマイナスT7 DNAポリメラーゼ(シーケナーゼ))を有する真正細菌DNAポリメラーゼが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
もう一つの好ましい態様において、核酸ポリメラーゼは、熱安定性である。
もう一つの好ましい態様において、ヌクレアーゼは熱安定性である。
本明細書において用いられるように、「熱安定性」は、たとえば類似の活性を有する酵素の熱不安定性型と比較して、熱に対して約90〜100℃の間、より好ましくは約70〜98℃もの高温で安定であり活性がある酵素を指す。たとえば、熱安定性の核酸ポリメラーゼまたはP.フリオサス、M.ジャナスシイ、A.フルギダス、もしくはP.ホリコシイ(P. horikoshii)などの好熱性細菌に由来するFENヌクレアーゼは、大腸菌の核酸ポリメラーゼまたは哺乳動物のFEN酵素と比較して上昇した温度でより安定で活性がある。サーマス・アクアティクス(Taq)から単離された代表的な熱安定性核酸ポリメラーゼは、米国特許第4,889,818号において記述され、従来のPCRにおいてこれを用いるための方法は、Saiki et al., 1988, Science 239:487において記述されている。P.フリオサス(Pfu)から単離されたもう一つの代表的な熱安定性核酸ポリメラーゼは、Lundberg et al., 1991, Gene, 108:1-6において記述されている。さらに代表的な温度安定性ポリメラーゼには、たとえば、好熱性細菌であるサーマス・フラブス、サーマス・ルバー(Thermus ruber)、サーマス・サーモフィラス、バシラス・ステアロサーモフィラス(これは、記載の他細菌よりいくぶん低い至適温度を有する)、サーマス・ラクテウス(Thermus lacteus)、サーマス・ルーベンス(Thermus rubens)、サーモトガ・マリチマから抽出されたポリメラーゼ、または好熱性古細菌であるサーモコッカス・リトラリスおよびメタノサーマス・フェルビダス(Methanothermus fervidus)からのポリメラーゼが含まれる。
温度安定性ポリメラーゼおよびFENヌクレアーゼは、二本鎖核酸がPCRサイクルの際に高温(約95℃)に対する曝露によって変性するサーモサイクリング過程において好ましい。
もう一つの好ましい態様において、ヌクレアーゼは、フラップ-特異的ヌクレアーゼである。
もう一つの好ましい態様において、プローブは、レポーターをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、レポーターはタグを含む。
もう一つの好ましい態様において、断片は、捕獲エレメントに対する該タグの結合によって捕獲される。
もう一つの好ましい態様において、シグナルを提供できる少なくとも一つの標識部分を含む切断構造が形成される。
もう一つの好ましい態様において、プローブが標的核酸に結合していない場合に検出可能シグナルの生成を消光させるために、プローブにおいて効果的に配置される相互作用シグナル生成標識部分の対を含む切断構造が、形成される。
もう一つの好ましい態様において、標識部分は、ヌクレアーゼの切断に対して感受性がある部位によって分離され、それによってヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は、ヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位で切断することによって、第一の相互作用シグナル生成標識部分を第二の相互作用シグナル生成標識部分から分離することができ、それによって検出可能シグナルを生成する。
もう一つの好ましい態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、消光部分と蛍光部分とを含む。
もう一つの好ましい態様において、核酸ポリメラーゼは、TaqポリメラーゼおよびPfuポリメラーゼからなる群より選択される。
本発明は、標的核酸の増幅および検出が同時に起こる(すなわち、リアルタイム検出)ポリメラーゼ連鎖反応方法を提供する。本発明はまた、標的核酸の増幅が標的核酸を検出する前に起こる(すなわち、エンドポイント検出)ポリメラーゼ連鎖反応方法も提供する。
本発明はまた、切断構造を形成する工程、試料中の標的核酸を増幅する工程、および切断構造を切断する工程を同時に行うためのポリメラーゼ連鎖反応方法も提供する。この方法は以下の工程を含む:
(a)標的核酸の一つの鎖における第一の領域に相補的な上流のオリゴヌクレオチドプライマー、
標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を形成することができ、結合部分をさらに含む、標的核酸の同じ鎖における第二の領域に相補的な下流の標識プローブ、および
標的核酸の第二の鎖における領域に対して相補的な下流のオリゴヌクレオチドプライマーを提供する工程。
該方法のこの工程に従って、上流のプライマーは、相補的DNA鎖の合成をプライミングし、下流のプライマーは、相補的DNA鎖の合成をプライミングする。この方法はまた、(b)固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって産生および捕獲された核酸を検出する工程を含む。検出される核酸は、標的核酸の増幅および切断を含む反応において産生され、核酸ポリメラーゼは、以下の段階のPCRサイクリングに関して許容される条件で、鋳型依存的重合化物質である:
(i)標的核酸にプライマーをアニールする段階、
(ii)核酸ポリメラーゼがプライマー伸長産物を合成し、工程(a)の上流のプライマーのプライマー伸長産物が、工程(a)の下流のプローブを部分的に置き換えて、切断構造を形成する条件で、工程(a)のプライマーを伸長させる段階。
条件はまた、(iii)切断構造から検出可能な標識断片を放出させるために切断物質としてヌクレアーゼを使用して切断構造を切断する段階に関しても許容される。切断は切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。
好ましい態様において、切断構造は5'フラップをさらに含む。
本発明はまた、以下の工程を含む切断構造を形成する方法も提供する:
(a)標的核酸を提供する工程、
(b)標的核酸に相補的な上流のプライマーを提供する工程、
(c)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分をさらに含む下流のプローブを提供する工程;および
(d)標的核酸、上流のプライマー、および下流のプローブをアニールさせる工程。
切断構造は、切断温度でヌクレアーゼによって切断されうる。標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。
好ましい態様において、切断構造は5'フラップを含む。
本発明はまた、標的核酸と、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分をさらに含むプローブと、ヌクレアーゼとを含む組成物も提供する。本組成物のプローブおよび標的核酸は結合し、切断温度でヌクレアーゼによって切断されうる切断構造を形成することができる。標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。
好ましい態様において、組成物は、オリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、プローブおよびオリゴヌクレオチドは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。
本発明はまた、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分をさらに含むプローブと、ヌクレアーゼとを含む、試料中の標的核酸の存在を示すシグナルを生成するためのキットも提供する。本キットのプローブは、標的核酸に結合し、切断温度でヌクレアーゼによって切断されうる切断構造を形成することができる。標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。
好ましい態様において、キットは、オリゴヌクレオチドプライマーをさらに含む。
もう一つの好ましい態様において、ヌクレアーゼはFENヌクレアーゼである。
もう一つの好ましい態様において、プローブは少なくとも一つの標識部分を含む。
もう一つの好ましい態様において、プローブは、プローブが標的核酸に結合していない場合に検出可能シグナルの生成を消光させるために効果的に配置される相互作用シグナル生成標識部分の対を含む。
もう一つの好ましい態様において、標識部分は、ヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位によって分離され、それによって、ヌクレアーゼのヌクレアーゼ活性は、ヌクレアーゼ切断に対して感受性がある部位での切断によって、第二の相互作用シグナル生成標識部分から第一の相互作用シグナル生成標識部分を分離することができ、それによって検出可能シグナルを生成する。
もう一つの好ましい態様において、相互作用シグナル生成部分の対は、消光部分と蛍光部分とを含む。
本発明のさらなる特色および長所は以下の通りである。特許請求される本発明は、シグナルの生成が試料中の標的核酸の存在の指標である、標的核酸を検出および/または測定するためのシグナルを生成する方法を提供する。特許請求される本発明の方法は多数の工程を必要としない。特許請求される本発明はまた、標的核酸の存在の指標としてシグナルを生成する段階を含む、標的核酸を検出および/または測定するためのPCRに基づく方法を提供する。特許請求される本発明によって、標的核酸の同時の増幅、検出、および/または測定が可能となる。特許請求される本発明はまた、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を証明する核酸ポリメラーゼの非存在下でシグナルを生成する段階を含む、標的核酸を検出および/または測定するためのPCRに基づく方法も提供する。
本発明のさらなる特色および長所は、態様の以下の説明、その図面、および特許請求の範囲からより十分に明らかとなるであろう。
(図1)FENヌクレアーゼ切断構造を説明する。
(図2)FENヌクレアーゼ活性を検出するために用いてもよい三つの鋳型(1、2、および3と表示される)を説明する。
(図3)二次構造を明示する。
(図4)本発明によるシグナルを生成するための合成および切断反応を例示するダイアグラムである。
(図5)CBP-タグPFU FEN-1タンパク質を説明するSypro Orange染色ポリアクリルアミドゲルである。
(図6)FEN-1ヌクレアーゼアッセイ法のオートラジオグラフである。
(図7)ローリングサークル増幅に関する開環プローブの描写である。
(図8)ローリングサークル増幅の描写である。
(図9)安全ピンプローブの描写である。
配列
Figure 2010525792
はSEQ ID NO: 31である。
配列
Figure 2010525792
はSEQ ID NO: 32である。
配列
Figure 2010525792
はSEQ ID NO: 33である。
配列
Figure 2010525792
はSEQ ID NO: 34である。
(図10)スコーピオンプローブの描写である。
(図11)sunrise/amplifluorプローブの描写である。
(図12A)二本鎖対一本鎖DNAの吸光度の差を説明するグラフである。
(図12B)DNA融解曲線を説明するグラフである。
(図12C)DNAの相対的吸光度に及ぼす温度の効果を説明するグラフである。
(図12D)DNAの相対的吸光度に及ぼす温度の効果を説明するグラフである。
(図12E)相互作用標識対によって標識されたDNAの蛍光に及ぼす温度の効果を説明するグラフである。
(図12F)相互作用標識対によって標識されたDNAの蛍光に及ぼす標的核酸の効果を説明するグラフである。
(図12G)相互作用標識対によって標識されたDNAの蛍光に及ぼす標的核酸の効果を証明するグラフである。
(図13)切断抵抗性プローブの一つの態様を例示する。
(図14)切断抵抗性プローブを使用する本発明の方法の1つの態様を例示する。
(図15)本発明のオーバーラップおよび非オーバーラップ構造、ならびに切断のために標的化されるそれぞれの部位を例示する。
(図16)実施例15および16において使用される上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブを例示する。
(図17)プライマー-プローブ二重鎖アッセイの一つの態様を例示する。
(図18)切断オリゴヌクレオチドを利用するプライマー-プローブ二重鎖アッセイの一つの態様を例示する。
(図19)実施例17〜20において記述されるプライマー、プローブ、切断オリゴヌクレオチド、および標的核酸を例示する。
(図20)リバースプライマーを利用するプライマー-プローブ二重鎖アッセイの一つの態様を例示する。
(図21)リバースプライマーおよび切断オリゴヌクレオチドを利用するプライマー-プローブ二重鎖アッセイの一つの態様を例示する。
(図22)3'非相補的テールを有するオリゴヌクレオチドプローブと、プローブに対して非相補的な3'領域を有するプライマーとを利用する、プライマー-プローブ二重鎖アッセイの一つの態様を例示する。
説明
本発明は、核酸を、核酸ポリメラーゼとヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)の組み合わせによって処置する、試料中の標的核酸の存在を検出するためのシグナルを生成する方法を提供する。本発明はまた、試料中の標的核酸配列の増幅、切断、および検出を同時に行うことを可能にする、核酸を検出または測定するためのプロセスも提供する。
一つの局面において、本発明の実践において用いられるプライマーおよびプローブは、標的にアニールしない場合、プライマー-プローブ二重鎖を形成する。この態様において、プライマーは、標的核酸の第一鎖にハイブリダイズするが、プローブは、標的の第二鎖上の相補的部分にハイブリダイズする。プローブは、本発明による切断抵抗性プローブであってもよい。プローブは、切断剤によって切断されて切断産物を産生することができる、切断構造を形成する。切断構造の切断は、試料中の標的の存在を示す。
本発明の実践は、別途記載がない限り、当技術分野の範囲内である、分子生物学、微生物学に関する従来の技術、および組み換えDNA技術を使用するであろう。そのような技術は文献において十分に説明されている。たとえば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition ; Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984);Nucleic Acid Hybridization (B.D. Harnes & S.J. Higgins, eds., 1984);A Practical Guide to Molecular Cloning (B. Perbal, 1984);およびMethods in Enzymologyシリーズ (Academic Press, Inc.);Short Protocols In Molecular Biology, (Ausubel et al., ed., 1995)を参照されたい。前記および下記の双方で本明細書において言及される全ての特許、特許出願、および刊行物は、参照により本明細書に組み入れられる。
I.ヌクレアーゼ
本発明による有用なヌクレアーゼには、5'エンドヌクレチド分解活性を保有する任意の酵素、たとえばDNAポリメラーゼ、たとえば大腸菌のDNAポリメラーゼI、ならびにサーマス・アクアティクス(Taq)、サーマス・サーモフィラス(Tth)、およびサーマス・フラブス(Tfl)のDNAポリメラーゼが含まれる。本発明による有用なヌクレアーゼにはまた、サーマス種に由来する酵素(Taq、Tfl、Tth、Tca(カルドフィルス)、Tbr(ブロキアヌス))、バシラス種に由来する酵素(Bst、Bca、Magenta(完全長のポリメラーゼ、N-切断型ではない))、サーモトガ種に由来する酵素(Tma(マリチマ)、Tne(ネオポリタナ))が含まれる真正細菌DNAポリメラーゼI、および大腸菌DNAポリメラーゼIが含まれるがこれらに限定されるわけではない5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼが含まれる。ヌクレアーゼという用語はまた、FENヌクレアーゼを包含する。本発明による有用なヌクレアーゼは、標的核酸にハイブリダイズしないプローブもしくはプライマー、またはプローブもしくはプライマーにハイブリダイズしない標的核酸のいずれかを切断することができない。
FEN-1は、5'一本鎖フラップ鎖の骨格を特異的に認識し、二重鎖DNAの二本の鎖が一本鎖アームに隣り合う接合部に位置する切断部位までこのアームを追跡する、〜40 kDaの二価の金属イオン依存的エキソおよびエンドヌクレアーゼである。エンドおよびエキソヌクレオチド分解活性はいずれも、フラップまたはニックの最も5'位置で塩基に対してほとんど感受性を示さない。FEN-1エンドおよびエキソヌクレオチド分解基質の結合および切断はいずれも、上流のオリゴヌクレオチドによって刺激される(フラップ近接鎖またはプライマー)。これはまた、大腸菌polIの場合にも当てはまる。酵素のエンドヌクレアーゼ活性は、5' フラップの長さとは無関係であり、一ヌクレオチドもの小さい5' フラップを切断する。エンドヌクレオチドレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ活性は、基質の化学的性質に対して非感受性であり、DNAおよびRNAの双方を切断する。
エンドおよびエキソヌクレオチド分解活性はいずれも、生理的範囲の塩濃度によって阻害される。エキソヌクレアーゼ活性は、0 mM NaClと比較して50 mM NaClでは50倍阻害される。エンドヌクレアーゼ活性は、50 mM NaClで7倍阻害されるに過ぎない(Lieber 1997、前記において概説)。
5'-OH末端は5'フラップ基質にFEN-1をローディングするための良好な基質であるが、これは、ニックの一部がそれ以外は二本鎖DNA構造である場合に、非常に不良な基質としての役割を果たす。末端のリン酸基による静電気的反発は、FEN-1に関する基質の活性型を提供するシュードフラップ立体配置への基質のブリージング(breathing)にとって都合がよい可能性がある。そのような説明により、ニックのフラップまたはシュードフラップ立体配置の5' ssDNA末端へのFEN-1のローディングに関して、一つの活性部位および一つのメカニズムが示されるであろう。ニックでの最適な活性には、非常に低いMg2+および一価塩濃度を必要とし、これは塩基対形成を脱安定化させて、ニックのフラップへのブリージングに都合がよいであろうという知見は、このモデルと一貫する。より高いMg2+および一価の塩濃度は、ブリージングにとって不都合であり、フラップに変換するためにブリージングを必要とするニックまたはギャップ構造の切断を阻害するであろう。安定なフラップ構造の切断は、中等度のMg2+レベルで最適であり、Mg2+濃度が増加しても減少しない。これは、フラップ基質がその構造を達成するために塩基対を融解する必要がないためであり、よってこれはMg2+に対して完全に非感受性である。エンドヌクレオチド分解活性は一価の塩と共に減少するが、その傾きはエキソヌクレオチド分解活性に関して認められるほど急ではない。さらに、一ヌクレオチドのフラップが効率のよい基質であることが既に示されている。これらの知見は全て、FEN-1がエキソヌクレアーゼとして機能すると解釈されているという事実と一貫し、分解産物の大きさは、長さにおいて一ヌクレオチドから数ヌクレオチドまで異なる。異なる長さのフラップへのニックのブリージングは、G/C含有量に応じて、局所配列と共に変動すると予想されるであろう。要約すると、一過性のフラップを形成するためのニックのブリージングは、FEN-1のエキソヌクレオチド分解活性がエンドヌクレオチド分解活性と同じであることを意味している(Lieber, 1997、前記において概説)。
FEN-1のエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ活性は、アクセサリタンパク質を必要とすることなく、DNAおよびRNAの双方を切断する。しかし、複製フォークでは、FEN-1は、DNAヘリカーゼ、ならびに増殖細胞核抗原(PCNA)、DNAポリメラーゼδおよびεの作用(processivity)因子が含まれる他のタンパク質と実際に相互作用する。PCNAは、FEN-1エンドおよびエキソヌクレオチド分解活性を有意に刺激する。
FEN-1酵素は、T5 5'エキソヌクレアーゼおよびT4 RNアーゼHなどのいくつかのより小さいバクテリオファージ5'→3'エキソヌクレアーゼと共に、酸化的塩基損傷の転写共役修復において作用するXPGなどのより大きい真核細胞ヌクレオチド伸長修復酵素にも機能的に関連する。大腸菌およびサーマス・アクアティクスのような真正細菌において、岡崎プロセシングは、PolI 5'→3'エキソヌクレアーゼドメインによって提供される。これらの細菌およびファージ酵素は、FEN-1と限定的な配列相同性の二つの領域を共有し、これはN(N-末端)およびI(中間)領域と呼ばれ、残基の類似性は、保存された酸性残基7個の周囲に集中している。T4 RNアーゼHおよびT5エキソヌクレアーゼの結晶構造と共に変異誘発データに基づいて、これらの残基はDNA加水分解に影響を及ぼすために必要な二つのMg2+イオンに結合することが提唱されているが、しかし、それぞれの金属が触媒サイクルにおいて果たす役割は、それぞれの酵素に関して微妙に異なっており、十分に理解されていない(Hosfield et al., 1998b、前記において概説)。
本発明において有用なFEN-1酵素をコードするfen-1遺伝子には、マウスfen-1、ヒトfen-1、ラットfen-1、アフリカツメガエルfen-1、ならびに四つの古細菌、アーカエグロブス・フルギダス、メタノコッカス・ジャナスシイ、パイロコッカス・フリオサス、およびパイロコッカス・ホリコシイに由来するfen-1遺伝子が含まれる。FEN-1酵素をコードするcDNAクローンがヒト(GenBankアクセッション番号:NM_004111およびL37374)、マウス(GenBankアクセッション番号:L26320)、ラット(GenBankアクセッション番号:AA819793)、アフリカツメガエル(GenBankアクセッション番号:U68141およびU64563)、およびP.フリオサス(GenBankアクセッション番号:AF013497)から単離されている。P.ホリコシイフラップエンドヌクレアーゼの完全なヌクレオチド配列も同様に決定されている(GenBankアクセッション番号:AB005215)。FEN-1ファミリーにはまた、出芽酵母RAD27遺伝子(GenBankアクセッション番号:Z28113、Y13137)、およびサッカロミセス・ポムベRAD2遺伝子(GenBankアクセッション番号:X77041)。メタノバクテリウム・サーマウトトロフィクルム(Methanobacterium thermautotrophiculum)も同様にシークエンシングされている。FEN-1と原核細胞およびウイルス5'→3'エキソヌクレアーゼとの間の配列類似性は低いが、真核生物界におけるFEN-1は、アミノ酸レベルで高度に保存されており、ヒトおよび出芽酵母タンパク質は60%同一であり、78%類似である。三つの古細菌FEN-1タンパク質もまた、真核細胞FEN-1酵素と高度に相同である(Matsui et al., 1999., J. Biol. Chem. , 274:18297, Hosfield et al., 1998b, J. Biol. Chem. , 273:27154およびLieber, 1997, BioEssays, 19:233において概説)。
ヒトと他のFEN-1ファミリーメンバーとの間の保存された二つのヌクレアーゼドメイン(N-末端またはNと中間もしくはIドメイン)における配列類似性は、92%(マウス)、79%(出芽酵母)、77%(S. ポンベ)、72%(A.フルギダス)、76%(M. ジャナスシイ)、および74%(P. フリオサス)である。
FEN-1は、5'一本鎖フラップ鎖の骨格を特異的に認識し、このフラップアームを、二重鎖DNAの二つの鎖と一本鎖アームとの間の接合部に位置する切断部位に移動させる。フラップの上流の鎖(時に、フラップ近接鎖またはプライマー鎖と呼ばれる)が除去されると、得られた構造はシュード-Yと呼ばれる(図1を参照されたい)。この構造は、FEN-1によって切断されるが、効率は20〜100倍低い。FEN-1は、3'一本鎖フラップを切断しない。しかし、エキソヌクレアーゼとして作用するFEN-1は、ギャップまたはニックを含有するdsDNA基質を加水分解するであろう(Hosfield et al., 1998a、前記、Hosfield et al., 1999b、前記、およびLieber 1997、前記において概説)。エキソヌクレオチド分解によって、FEN-1はニックで作用し、より低い効率で、dsDNA上のギャップまたは陥凹5'端で作用する。ギャップのある構造では、FEN-1の結合および切断効率は、ギャップの大きさが約5ヌクレオチドまで増加するにつれて減少し、その後dsDNA内の陥凹5'端での活性と同等である切断レベルで安定化する。平滑dsDNA、陥凹3'端、およびssDNAは切断されない(Lieber 1997、前記において概説)。FEN酵素の切断活性は、参照により本明細書に組み入れられる、Yoon et al., 1999, Biochemistry, 38: 4809;Rao, 1998, J. Bacteriol., 180:5406;およびHosfield et al., 1998, Cell, 95:135-146において記述される。
本発明による有用なFENヌクレアーゼは、ヒト(GenBankアクセッション番号:NM_004111およびL37374)、マウス(GenBankアクセッション番号:L26320)、ラット(GenBankアクセッション番号:AA819793)、酵母(GenBankアクセッション番号:Z28113 Y13137およびGenBankアクセッション番号:X77041)、アフリカツメガエル(GenBankアクセッション番号:U68141およびU64563)が含まれる多様な生物から単離されている。そのような酵素は、当技術分野において周知の通常の技術を用いてクローニングおよび過剰発現させることができる。
本発明によるFENヌクレアーゼは、好ましくは熱安定性である。熱安定性のFENヌクレアーゼは、四つの古細菌が含まれる多様な熱安定性生物から単離および特徴づけされている。P.フリオサスフラップエンドヌクレアーゼに関するcDNA配列(GenBankアクセッション番号:AF013497)およびアミノ酸配列(Hosfield et al., 1998a、前記およびHosfield et al., 1998b)が決定されている。P. ホリコシイフラップエンドヌクレアーゼに関する完全なヌクレオチド配列(GenBankアクセッション番号:AB005215)およびアミノ酸配列(Matsui et al., 前記)も同様に決定されている。M. ジャナスシイ(Hosfield et al., 1998bおよびMatsui et al., 1999、前記)およびA. フルギダス(Hosfield et al., 1998b)のフラップエンドヌクレアーゼに関するアミノ酸配列も同様に決定されている。
熱安定性FEN1酵素は、当技術分野において周知の技術を用いてクローニングおよび過剰発現されることができ、Hosfield et al., 1998a、前記、Hosfield et al., 1998b, Kaiser et al., 1999, J. Biol. Chem., 274: 21387、およびMatusi et al., 前記、ならびに本明細書において「Pfu FEN-1のクローニング」と題する実施例2において記述されている。
FEN酵素のエンドヌクレアーゼ活性は、以下が含まれる多様な方法で測定することができる。
A.FENエンドヌクレアーゼ活性アッセイ法
1.鋳型(たとえば、図2において示されるように)を用いて、本発明によるFENヌクレアーゼの活性を評価する。
鋳型1は、以下の配列を有する5' 33P標識オリゴヌクレオチド(ヘルテスト(Heltest)4)である。
Figure 2010525792
ヘルテスト4の下線部分は、M13mp18+に相補的な領域を表す。切断産物は、配列
Figure 2010525792
を有する18ヌクレオチドの断片である。
ヘルテスト4は、M13に結合して相補的な二本鎖ドメインを産生すると共に、非相補的5'オーバーハングを産生する。この二重鎖は、ヘリカーゼアッセイ法のためにも用いられる鋳型2(図2)を形成する。鋳型3(図2)は、M13に結合するさらなるプライマー(FENAS)を有し、ヘルテスト4に直接的に近接する。FENASの配列は、
Figure 2010525792
である。鋳型3の存在下で、FENは、ヘルテスト4の遊離の5'末端に結合し、接合部に移動し、ヘルテスト4を切断して18ヌクレオチドの断片を産生する。鋳型1および2は対照として役立つが、鋳型2もまた鋳型として役立ちうる。
鋳型は以下に記述されるように調製する。
Figure 2010525792
1×Pfu緩衝液はStratagene(カタログ番号200536)から入手可能である。本発明の方法に従って、反応が1×緩衝液の存在下で行われるように、1×Pfu緩衝液を希釈する。
M13は、M13mp18+鎖であり、濃度は200 ng/μLであり、33P標識ヘルテスト4は、およそ0.7 ng/μlの濃度であり、FENASは4.3 ng/μlの濃度である。これらの濃度に基づいて、ヘルテスト4およびM13は、およそ等モル量であり(5×10-14)であり、FENASはおよそ10×モル過剰量で存在する(6×10-13)。
鋳型混合物を、95℃で5分間加熱して室温まで45分間冷却し、40Cで終夜保存する。
FEN-1または対照としてのH2O 2μlを以下のように三つの鋳型と共に混合する。
3μl 鋳型
0.7μl 10×クローニングPfu緩衝液
0.56μl 100 mM MgCl2
2.00μl 酵素またはH2O
0.74μl H2O
全量7.00μl。
反応を、50℃で30分間進行させて、ホルムアミド「シークエンシング停止」溶液2μlを各試料に加えることによって停止させる。試料を、95℃で5分間加熱し、6%アクリルアミド、7 M尿素CastAway(Stratagene)ゲルにローディングする。
または、FEN活性を、1時間のインキュベーション時間を用いる以下の緩衝液において分析することができる。
10×FEN緩衝液
500 mM Tris-HCl pH 8.0
100 mM MgCl2
以下の反応混合物をFEN 2μlまたは対照としてのH2O 2μlと共に混合する。
3μl 鋳型
0.7μl 10×FEN緩衝液
2.00 μl 酵素またはH2O
1.3μl H2O
全量7.00μl。
試料をRobocyler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ブロモフェノールブルーが全距離の約2/3まで移動するまで、ゲルに20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して、固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後、水中に10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙上に載せて、プラスチックラップで覆い、加熱真空ゲル乾燥器において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜露光する。
2.FENエンドヌクレアーゼ活性はまた、Kaiserら、前記の方法に従っても測定することができる。簡単に説明すると、反応を、10 mM MOPS、pH 7.5、0.05%Tween 20、0.05%Nonidet P-40、10 μg/ml tRNA、ならびにTaqPolおよびTthPolに関して200 mM KCl、または他の全ての酵素に関して50 mM KClを含有する容積10μlにおいて行う。反応条件は、分析される切断構造に応じて変動させることができる。基質(21 M)および様々な量の酵素を、表記の(上記の)反応緩衝液と共に混合してChill-out(MJ Research)液体ワックスを重層する。基質を90℃で20秒間熱変性させて、50℃に冷却した後、MgCl2またはMnCl2を添加することによって反応を開始し、50℃で指定の時間インキュベートする。10 mM EDTAおよび0.02%メチルバイオレット(Sigma)を含有する95%ホルムアミド10μlを加えることによって反応を停止させる。試料を90℃で1分間加熱した直後に20%変性アクリルアミドゲル(19:1クロスリンク)において、7 M尿素と共に45 mM Trisホウ酸、pH 8.3、1.4 mM EDTAの緩衝液において電気泳動を行う。特に示していなければ、各停止反応液1μlをレーン毎にローディングする。ゲルをFMBIO-100蛍光ゲルスキャナ(Hitachi)において、505 nmフィルターを用いてスキャンする。切断産物の画分を、FMBIO分析ソフトウェア(バージョン6.0、Hitachi)によって非切断および切断基質に対応するバンドの強度から決定する。測定値が初回切断速度に近似することを確実にするために、切断産物の画分は20%を超えるべきではない。切断速度は、酵素濃度および反応時間(分)によって除した切断産物の濃度として定義される。それぞれの酵素に関して三つのデータ点を用いて速度および実験誤差を決定する。
3.FENエンドヌクレアーゼ活性はまた、Hosfield et al., 1998a、前記の方法に従って測定することもできる。簡単に説明すると、最終容積13μlにおいて、多様な量のFENおよび標識切断基質1.54 pmolを異なる温度で30分間インキュベートした後、等量の停止溶液(10 mM EDTA、95%脱イオンホルムアミド、および0.008%ブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノール)の等量によって反応を消光させる。試料を、変性15%ポリアクリルアミドゲルの中に電気泳動させて、開始材料と産物の相対量をIPLabGelシステム(Stratagene)を用いてMacBAS画像分析ソフトウェアを起動させて定量する。ほとんどの反応を、標準的なアッセイ緩衝液(10 mM Tris-HCl(pH 8.0)、10 mM MgCl2、および50μg/mlウシ血清アルブミン)において行うが、しかし、一連の実験において、異なる二価の金属およびpHレベルの効果を、標準緩衝液を変動させることによって調べる。二価の金属の場合、MgCl2を省略し、異なる金属イオンを最終濃度10 mMで用いる。pHの影響を調べるために、異なる量のTris-HCl、グリシン、および酢酸ナトリウムを含有する緩衝液を、最終濃度10 mMで用いて、25℃で広い範囲のpHレベルを得る。
4.FENエンドヌクレアーゼ活性はまた、Matusi et al., 1999、前記の方法に従って測定することもできる。簡単に説明すると、酵素反応を、50 mM Tris-HCl(pH 7.4)、1.5 mM MgCl2、0.5 mMβ-メルカプトエタノール、100μg/mlウシ血清アルブミン、および標識切断構造0.6 pmolを含有する反応混合物15μlにおいて行う。60℃で30分間インキュベートした後、10 mM EDTAおよび1 mg/mlブロモフェノールブルーを含有する95%ホルムアミド15μlを加えることによって反応を終了させる。試料を、95℃で10分間加熱し、7 M尿素および10×TBE(89 mM Tris-HCl、89 mMホウ酸、2 mM EDTA(pH 8.0))を含有する15%ポリアクリルアミドゲル(35 cm×42.5 cm)にローディングした後、2000 Vで2時間電気泳動する。反応産物を、PhosphorImager(Bio-Rad)を用いて可視化および定量する。サイズマーカー、オリゴヌクレオチドを[γ-32P]ATPおよびT4 ポリヌクレオチドキナーゼによって5'端標識する。
最適なpHを決定するために、反応を1.5 mM MgCl2、0.5 mMβ-メルカプトエタノール、100μg/mlウシ血清アルブミン、および5'端標識切断構造0.6 pmolを含有するアッセイ混合物(15μl)において、以下の緩衝液の一つの50 mMにおいて60℃で30分間行う。異なる三つの50 mM緩衝液を用いて、以下のような広いpH範囲を得る:酢酸ナトリウム緩衝液(pH 4.0〜5.5)、リン酸緩衝液(pH 5.5〜8.0)、およびホウ酸緩衝液(pH 8.0〜9.4)。
B.FENエキソヌクレアーゼ活性アッセイ法
本発明によるFENヌクレアーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、Matsui et al., 1999前記において記述される、および先に要約したFEN-1エンドヌクレアーゼ活性を測定する方法によって測定することができる。
または、FEN酵素のエキソヌクレアーゼ活性は、Hosfield et al., 1998b、前記において記述される方法によって分析することができる。簡単に説明すると、エキソヌクレアーゼ活性は、エンドヌクレアーゼアッセイ法に関して記述した条件(先に記述した)と同一の条件下でFENのニック基質を用いてアッセイされる。
エキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼ実験の双方におけるDNA切断の正確な位置は、クレノウ断片の3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を用いて5' 32P標識鋳型鎖の部分的消化によって得ることができる。
本発明の一つの態様による切断構造は、標的核酸にアニールしたオリゴヌクレオチドプローブの部分的に置き換えられた5'端を含む。本発明によるもう一つの切断構造は、標的核酸(たとえば、図4におけるB)、標的配列に相補的な領域(たとえば図4におけるA)を含む本発明による上流のオリゴヌクレオチド、および標的配列に相補的な下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば図4におけるC)を含む。本発明による切断構造は、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブとの間のオーバーラップによって、または核酸ポリメラーゼの合成活性による上流のオリゴヌクレオチドの伸長および下流のオリゴヌクレオチドの5'端のその後の部分的置き換えによって形成されうる。このタイプの切断構造は、「切断構造」と題する章において記述される方法に従って形成される。
または、本発明による切断構造は、標的核酸に相補的な領域と標的核酸にアニールせず5'フラップを形成する非相補的領域とを含む、本発明によるオリゴヌクレオチドプローブに、標的核酸をアニールさせることによって形成される。この態様により、切断構造は、オリゴヌクレオチドの非相補的領域によって形成される5' フラップを含む。
本発明による切断構造はまた、標的核酸にアニールすることができる上流のオリゴヌクレオチド(たとえば、図4におけるA)の3'端が、標的核酸にアニールする本発明による下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、図4におけるC)の1(またはそれより多い)塩基対に対して相補的であり、ならびに1(またはそれより多い)塩基対のオーバーラップが一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流でありかつ「切断構造」と題する章において記述される方法に従って形成される、オーバーラップフラップを含む。一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の非オーバーラップ領域にハイブリダイズする。もう一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のプローブは、標的核酸の近接する領域にハイブリダイズする。
II.核酸ポリメラーゼ
本発明は、核酸ポリメラーゼを提供する。好ましくは、本発明による核酸ポリメラーゼは熱安定性である。
本発明による有用な公知のDNAポリメラーゼには、たとえば大腸菌DNAポリメラーゼI、サーマス・サーモフィラス(Tth)DNAポリメラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼ、サーモコッカス・リトラリスDNAポリメラーゼ、サーマス・アクアティクス(Taq)DNAポリメラーゼ、およびパイロコッカス・フリオサス(Pfu)DNAポリメラーゼが含まれる。
本発明による有用な公知のRNAポリメラーゼには、たとえばバクテリオファージT7、T3およびSP6 RNAポリメラーゼ、大腸菌RNAポリメラーゼホロ酵素、大腸菌RNAポリメラーゼコア酵素、およびヒトRNAポリメラーゼI、II、III、ヒトミトコンドリアRNAポリメラーゼ、ならびに(HCV)のNS5B RNAポリメラーゼが含まれる。
本発明において有用な核酸ポリメラーゼにはまた、逆転写酵素が含まれる。本発明による有用な公知の逆転写酵素には、たとえば、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ赤芽球症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス関連ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)RTが含まれる。
本発明による有用な、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損する核酸ポリメラーゼには、クレノウおよびクレノウエキソ、ならびにT7 DNAポリメラーゼ(シーケナーゼ)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
本発明による有用な、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損する熱安定性核酸ポリメラーゼには、Pfu、エキソ-Pfu(3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するPfuの変異体型)、TaqのStoffel断片、N-切断型Bst、N-切断型Bca、Genta、JdF3エキソ-、Vent、Ventエキソ-(3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するVentの変異体型)、Deep Vent、Deep Ventエキソ-(3'-5'のエキソヌクレアーゼ活性を欠損するDeep Ventの変異体型)、U1Tma、ThermoSequenase、およびサーマス熱安定性RNAポリメラーゼが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本発明による有用な核酸ポリメラーゼには、本来のポリメラーゼと5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するポリメラーゼ変異体の双方が含まれる。本発明による有用な核酸ポリメラーゼは、異なる程度の熱安定性を保有しうる。好ましくは、本発明による核酸ポリメラーゼは、核酸プライマーを伸長させることができる温度で鎖置き換え活性を示す。本発明の好ましい態様において、核酸ポリメラーゼは、5'-3'および3'-5'エキソヌクレアーゼ活性の双方を欠損する。
本発明による有用な、異なる程度の熱安定性を有する5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損するさらなる核酸ポリメラーゼを以下に記載する。
A.バクテリオファージDNAポリメラーゼ(37℃アッセイ法において有用)
バクテリオファージDNAポリメラーゼは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が異なるポリペプチドによってコードされることから、この活性が無い。適したDNAポリメラーゼの例は、T4、T7、およびφ29 DNAポリメラーゼである。市販されている酵素は、T4(多くの販売元から入手可能、たとえば、Epicentre)、およびT7(多くの販売元から入手可能、たとえば非改変型に関してEpicentre、および3'-5' エキソ-T7「シーケナーゼ」DNAポリメラーゼに関してUSB)である。
B.古細菌DNAポリメラーゼ
古細菌において同定されている異なる二つのクラスのDNAポリメラーゼが存在する:1.ファミリーB/polαタイプ(パイロコッカス・フリオサスのPfuの相同体)、および2.pol II型(P.フリオサスDP1/DP2 2-サブユニットポリメラーゼの相同体)。両クラスのDNAポリメラーゼは、関連する5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を天然に欠損し、3'-5'エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を保有することが示されている。所望のアッセイ温度と類似の至適生育温度を有する適したDNAポリメラーゼ(polαまたはpol II)を、古細菌から誘導することができる。適した古細菌の例には、以下が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
1.熱不安定型(37℃のアッセイ法に関して有用)
−たとえばメタノコッカス・ボルタエ(Methanococcus voltae)。
2.熱安定型(非PCRアッセイ法に関して有用)
−たとえば、スルフォロブス・ソルファタリクス(Sulfolobus solfataricus)、スルフォロブス・アシドカルダリウム(Sulfolobus acidocaldarium)、メタノコッカス・ジャナスシイ、サーモプラスマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)。適した古細菌は、最高生育温度≦80〜85℃または至適生育温度≦70〜80℃を示すと推定される。
3.熱安定性(PCRアッセイ法に関して有用)
−たとえば、パイロコッカス種(フリオサス、種GB-D、種株KOD1、ウォエシイ(woesii)、アビシイ(abysii)、ホリコシイ)、サーモコッカス種(リトラリス、種9°North-7、種JDF-3、ゴルゴナリウス(gorgonarius))、パイロジクチウム・オクルツム(Pyrodictium occultum)、およびアーカエログロブス・フルギダス)。適した古細菌は、最高生育温度≧80〜85℃、または至適生育温度≧70〜80℃を示すであろうと推定される。古細菌polαDNAポリメラーゼ群の適切なPCR酵素は市販されており、これにはKOD(Toyobo)、Pfx(Life Technologies, Inc.)、Vent(New England BioLabs)、Deep Vent(New England BioLabs)、およびPwo(Boehringer-Mannheim)が含まれる。
先の記述に関連するさらなる古細菌は、以下の参考文献において記述されている:A Laboratory Manual (Robb, F.T. and Place, A.R., eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1995、およびThermophilic Bacteria (Kristjansson, J.K.,ed.) CRC Press, Inc., Boca Raton, Florida, 1992。
C.真正細菌DNAポリメラーゼ
三つのクラスの真正細菌DNAポリメラーゼ、すなわちpol I、II、およびIIIが存在する。Pol I DNAポリメラーゼファミリーの酵素は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を保有し、一定のメンバーはまた、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性も示す。Pol II DNAポリメラーゼは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を天然に欠損するが、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性は示す。Pol III DNAポリメラーゼは、細胞の主要な複製DNAポリメラーゼを表し、多数のサブユニットで構成される。pol III触媒サブユニットは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するが、いくつかの場合において、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性は同じポリペプチドに存在する。
真正細菌pol IIおよびpol III DNAポリメラーゼの販売元はない。多様な市販のPol I DNAポリメラーゼが存在し、そのいくつかは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を低減するかまたは完全に破壊するように改変されている。pol I DNAポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を消失させるために用いられる方法には、以下が含まれる。
− 変異誘発(Xu et al., 1997, J. Mol. Biol. , 268:284、およびKim et al., 1997, Mol. Cells, 7:468において記述される)
− タンパク質分解消化によるN-切断(Klenow et al., 1971, Eur. J. Biochem., 22: 371において記述される)、または
− クローニングによるN-切断およびC-末端断片としての発現(Lawyer et al., 1993, PCR Methods Appl., 2:275)。
古細菌供給源に関して、アッセイ温度の必要条件は、どの真正細菌(たとえば、中温菌、好熱菌、超好熱菌)を、本発明による有用なDNAポリメラーゼ源として用いるべきか否かを左右する。
1.中温菌/熱不安定菌(37℃のアッセイ法にとって有用)
i.5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を天然に実質的に欠損するDNAポリメラーゼ:
大腸菌、肺炎連鎖球菌、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種(結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、らい菌(Mycobacterium leprae))などの中温性真正細菌のpol IIまたはpol III触媒サブユニット。
ii.5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損するDNAポリメラーゼ変異体:
N-切断または変異誘発のために、Pol I DNAポリメラーゼを先に記載した中温性真正細菌(Ci)から単離することができる。市販の真正細菌DNAポリメラーゼpol I断片はクレノウ断片である(N-切断大腸菌pol I;Stratagene)。
2.熱安定性(非PCRアッセイ法に関して有用)
i.5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を天然に実質的に欠損するDNAポリメラーゼ変異体:
バシラス種(たとえば、ステアロサーモフィラス、カルドテナクス、カルドベロクス)などの好熱性真正細菌のPol II、またはpol III触媒サブユニット。
ii.5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損するDNAポリメラーゼ変異体:
N-切断または変異誘発のために適したpol I DNAポリメラーゼを、先に記載したバシラス種などの好熱性真正細菌から単離することができる。B.ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼpol Iの熱安定性N-切断断片は市販されており、商品名Bst DNAポリメラーゼIラージ断片(Bio-Rad)およびIsotherm DNAポリメラーゼ(Epicentre)として販売されている。バシラス・カルドテナクスpol IのC-末端断片は、Panvera(商品名Laddermanとして販売)から入手可能である。
3.熱安定性細菌(PCRアッセイ法に関して有用)
i.5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を天然に実質的に欠損するDNAポリメラーゼ:
サーマス種(アクアティクス、サーモフィラス、フラブス、ルバー、カルドフィルス、フィリフォルムス(filiformis)、ブロキアヌス)またはサーモトガ・マリチマのPol IIまたはpol III触媒サブユニット。サーマス・サーモフィラスおよびサーマス・アクアティクスの触媒pol IIIサブユニットは、Yi-Ping et al., 1999, J. Mol. Evol., 48:756、およびMcHenry et al., 1997, J. Mol. Biol., 272:178において記述されている。
ii.5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損するDNAポリメラーゼ変異体:
N-切断または変異誘発のために適したpol I DNAポリメラーゼを、サーマス種およびサーモトガ・マリチマ(上記を参照されたい)が含まれる多様な好熱性真正細菌から単離することができる。サーマス・アクアティクスDNAポリメラーゼpol I(Taq)の熱安定性断片は、市販されており、商品名KlenTaq1(Ab Peptides)、Stoffel断片(Perkin-Elmer)、およびThermoSequenase(Amersham)として販売されている。C-末端断片のほかに、TaqFS(Hoffman-LaRoche)などの5'-3'エキソヌクレアーゼ-Taq変異体も同様に市販されている。Taqの5'-3'エキソヌクレアーゼ-型のほかに、サーモトガ・マリチマDNAポリメラーゼIのN-切断型も同様に市販されている(商品名UlTma、Perkin-Elmer)。
先に記述したものに関連するさらなる真正細菌は、Thermophilic Bacteria (Kristjansson, J.K.,ed.) CRC Press, Inc., Boca Raton, Florida, 1992において記述される。
D.真核生物の5'-3'エキソヌクレアーゼ - DNAポリメラーゼ(37Cのアッセイ法に関して有用)
DNA polα(複製/修復)、δ(複製)、ε(複製)、β(修復)およびγ(ミトコンドリア複製)が含まれる、真核生物において同定されたDNAポリメラーゼがいくつかある。真核生物DNAポリメラーゼは、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性が異なるポリペプチドによってコードされることから(たとえば、哺乳動物FEN-1または酵母RAD2)、この活性が無い。適した熱不安定性DNAポリメラーゼを、多様な真核生物(酵母、哺乳動物細胞、昆虫細胞、ショウジョウバエ(Drosophila)が含まれるがこれらに限定されるわけではない)、および真核細胞ウイルス(たとえば、EBV、アデノウイルス)から単離してもよい。
3'-5'エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を欠損するDNAポリメラーゼ変異体は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するほかに、FENに基づく検出戦略において改善された性能を示しうる可能性がある。たとえば、固有の3'-5'エキソヌクレアーゼ活性の低減または完全な破壊は、標識プローブの非特異的エキソヌクレオチド分解による分解を減損させることによって、バックグラウンドシグナルを低下させる可能性がある。三つの3'-5'エキソヌクレアーゼモチーフが同定されており、これらの領域における変異は、クレノウ、φ29、T4、T7、およびVent DNAポリメラーゼ、酵母Pol α、Polβ、およびPolγ、ならびに枯草菌(Bacillus subtilis)Pol IIIにおける3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を完全に破壊することが証明されている(Derbeyshire et al., 1995, Methods. Enzymol. 262:363のいて概説)。3'-5'エキソヌクレアーゼ活性が低減または完全に破壊されたさらなるDNAポリメラーゼ変異体を調製する方法は、当技術分野において周知である。
5'-3'および3'-5'エキソヌクレアーゼ活性の双方を欠損する市販の酵素には、シーケナーゼ(exo- T7;USB)、Pfu exo-(Stratagene)、exo- Vent(New England BioLabs)、exo- Deep Vent(New England BioLabs)、exo- クレノウ断片(Stratagene)、Bst(Bio-Rad)、Isotherm(Epicentre)、Ladderman(Panvera)、KlenTaq1(Ab Peptides)、Stoffel断片(Perkin-Elmer)、ThermoSequenase(USB)、およびTaqFS(Hoffman-LaRoche)が含まれる。
Pfu以外のポリメラーゼを用いる場合、本発明による有用な特定のポリメラーゼによる至適活性を可能にするように緩衝液および伸長温度を選択する。本発明によるポリメラーゼにとって有用な緩衝液および伸長温度は、当技術分野において公知であり、販売元の仕様書から決定することができる。
E.RNAポリメラーゼ
本発明において有用なRNAポリメラーゼには、DNAおよびRNA依存的RNAポリメラーゼの双方が含まれる。プライミングした鋳型から、プライミングしていない鋳型から、またはプライミングもしくは非プライミング鋳型のいずれかからRNAの新しい鎖を合成することができる、RNA依存的RNAポリメラーゼが特徴付けされている。プライマーの非存在下で一本鎖RNA鋳型からRNAを認識して合成する、RNAポリメラーゼが同定されている。プライミングメカニズムのこのタイプの実例は、NS5Bと呼ばれるC型肝炎ウイルス(HCV)のRNAポリメラーゼである。NS5BはHCV RNAゲノムの複製の原因であるRNAポリメラーゼとして特徴付けされている。NS5Bは自己プライミング、既存のプライマーの伸長、またはデノボでのRNA合成の開始のいずれかによって、RNA合成の延長を触媒することが証明されている。Luo et al., J. Virol., 2000, 74(2):851-853。
プライミングされた一本鎖RNA鋳型からRNAを認識して合成するRNAポリメラーゼも同様に同定されている。いくつかの参考文献、たとえばSchiebel et al., J. Biol. Chem., 1993, 268(16): 11858-11867、Tang et al., Genes and Dev., 2003, 17(l):49-63、または2005年8月31日に提出された米国特許出願第11/217,972号(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)は、この状況において用いることができるRNAポリメラーゼを詳述している。これらの場合において、RNAポリメラーゼは、RNAの標的集団を選択的に増幅するために用いることができる。
「RNA依存的RNAポリメラーゼ」は、RNAから多数のRNAコピーを合成する酵素である。表3は、本発明を実行するために有用となる可能性があるRNA依存的RNAポリメラーゼの非網羅的な一覧を提供する。これらのポリメラーゼおよび標的を増幅するためにそれらを用いる方法は、2005年8月31日に提出された米国特許出願第11/217,972号(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)において記述されている。
Figure 2010525792
「DNA依存的RNAポリメラーゼ」は、(通常二本鎖の)プロモーター配列を有する二本鎖または部分的二本鎖のDNA分子から多数のRNAコピーを合成する酵素である。本発明には、それらを認識するRNAポリメラーゼと共に一本鎖プロモーターが含まれることに注意すべきである。DNA依存的RNAポリメラーゼの例は、大腸菌およびバクテリオファージT7、T3、およびSP6のDNA-依存的RNAポリメラーゼである。本発明において用いるために適したDNA依存的RNAポリメラーゼは、市販されている。
一つの態様において、DNA依存的RNAポリメラーゼは熱安定性である。サーマス・サーモフィラスに由来する熱安定性のRNAポリメラーゼはそのよい例である。
RNAポリメラーゼは、本来のまたは組換え型供給源のいずれかから得ることができる。本来のウイルスRNAポリメラーゼは、たとえばウイルス感染宿主細胞から単離することができる。例には、Pfeiffer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (2003) 100(12): 7289-7294において記述されるウイルス力価および感染方法論を用いる、蜂蜜血清型1型ポリオウイルスによるHeLa細胞の感染が含まれる。細胞RNAポリメラーゼは、細胞が生育する本来のRNAポリメラーゼ、およびSchiebel et al (1993)により採取されたRNAポリメラーゼを発現する細胞から得ることができる。適したRNA依存的RNAポリメラーゼはまた、市販されている。
F.逆転写酵素
本明細書において用いられるように、「逆転写酵素(RT)」という用語は、本明細書において開示されるまたは当技術分野において公知である方法によって測定した場合に、逆転写活性を示す任意の酵素を指す。したがって、本発明の「逆転写酵素」には、レトロウイルス、他のウイルス、および細菌からの逆転写酵素と共に、Tth DNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼ、Tne DNAポリメラーゼ、Tma DNAポリメラーゼ等などの逆転写酵素活性を示すDNAポリメラーゼが含まれる。レトロウイルス由来のRTには、モロニーマウス白血病ウイルス(M-MLV)RT、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)RT、トリ肉腫-白血病ウイルス(ASLV)RT、ラウス肉腫ウイルス(RSV)RT、トリ骨髄芽球症ウイルス(AMV)RT、トリ赤芽球症ウイルス(AEV)ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ骨髄球腫症ウイルスMC29ヘルパーウイルスMCAV RT、トリ細網内皮症ウイルス(REV-T)ヘルパーウイルスREV-A RT、トリ肉腫ウイルスUR2ヘルパーウイルスUR2AV RT、トリ肉腫ウイルスY73ヘルパーウイルスYAV RT、ラウス関連ウイルス(RAV)RT、および骨髄芽球症関連ウイルス(MAV)RT、ならびに米国特許出願第2003/0198944号(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)において記述されるRTが含まれるがこれらに限定されるわけではない。概説に関しては、たとえばLevin, 1997, Cell, 88:5-8;Brosius et al., 1995, Virus Genes 11:163-79を参照されたい。
本明細書において用いられるように、「逆転写酵素活性」という用語は、酵素(たとえば、逆転写酵素またはDNAポリメラーゼ)が鋳型としてRNA鎖を用いてDNA鎖(すなわち、cDNA)を合成する能力を指すために互換的に用いられる。RT活性を測定するための方法は、本明細書において提供され、また当技術分野において周知である。たとえば、Quan-T-RTアッセイ系は、Amersham(Arlington Heights, Ill.)から市販されており、Bosworth, et al., Nature 1989, 341:167-168において記述されている。
いくつかの態様において、逆転写酵素は、RNアーゼH活性(すなわち、RNアーゼH-酵素)に低減される。たとえば、RNアーゼH活性の低減は、野生型M-MLVまたはAMV逆転写酵素などの「RNアーゼH+」酵素の野生型のRNアーゼH活性の20%未満、より好ましくは15%、10%、または5%未満となりえて、最も好ましくは2%未満となりうる。任意の酵素のRNアーゼH活性を、たとえばその全ての開示が参照により十分に本明細書に組み入れられる、米国特許第5,244,797号;同第5,405,776;同第5,668,005号;および同第6,063,608号;Kotewicz, M. L., et al., Nucl. Acids Res. 16:265 (1988)およびGerard, G. F., et al., FOCUS 14(5):91 (1992)において記述されるアッセイ法などの多様なアッセイ法によって決定してもよい。
本発明において用いるためのRNアーゼH-逆転写酵素には、たとえば既に記述されているように(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,244,797号;同第5,405,776号;同第5,668,005号、および同第6,063,608号;ならびにWO 98/47912を参照されたい)、M-MLV H-逆転写酵素、RSV H-逆転写酵素、AMV H-逆転写酵素、RAV H-逆転写酵素、MAV H-逆転写酵素、およびHIV H-逆転写酵素が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本発明において用いるための逆転写酵素はたとえば、Invitrogen, Inc.(Carlsbad, Calif.)、Pharmacia(Piscataway, N.J.)、Sigma(Saint Louis, Mo.)、またはRoche Molecular System(Pleasanton, Calif.)から購入することによって得てもよい。または、逆転写酵素活性を有するポリペプチドを、当業者に周知である天然のタンパク質を単離および精製するための標準的な技法に従って、その天然のウイルスまたは細菌供給源から単離してもよい(たとえば、Houts, G. E., et al., J. Virol. 29:517 (1979)を参照されたい)。さらに、逆転写酵素を、当業者が熟知している組換えDNA技法によって調製してもよい(たとえば、Kotewicz, M. L., et al., Nucl. Acids Res. 16:265 (1988);Soltis, D. A., and Skalka, A. M., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:3372-3376 (1988)を参照されたい)。上記の参考文献の全教示は参照により本明細書に組み入れられる。
RNアーゼH活性が低減された酵素はまた、当技術分野において公知の方法によって、たとえば関心対象の逆転写酵素内のRNアーゼHドメインを変異させることによって、好ましくは先に記述された、たとえばその全内容物が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,063,608号において記述されるように、一つまたは複数の点突然変異、一つまたは複数の欠失変異、および/または一つまたは複数の挿入変異によって得てもよい。
III.核酸
A.本発明において有用な核酸配列
本発明は、標的核酸を検出または測定する方法を提供し、また、オリゴヌクレオチド、本発明による切断構造を形成するためのプライマーおよびプローブ、ならびに鋳型核酸配列を増幅するためのプライマーを使用する。
本明細書において用いられるように、「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、プライマー、プローブ、および検出されるオリゴマー断片を指し、ポリデオキシリボヌクレオチド(2-デオキシ-D-リボースを含有する)、ポリリボヌクレオチド(D-リボースを含有する)、およびプリンもしくはピリミジン塩基、または改変プリンもしくはピリミジン塩基(無塩基部位が含まれる)のN-グリコシドである他の任意のタイプのポリヌクレオチドに対する一般名である。「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語において、長さには意図される区別はなく、これらの用語は互換的に用いられるであろう。これらの用語は、分子の一次構造のみを指す。このように、これらの用語には、二本鎖または一本鎖DNAと共に、二本鎖および一本鎖RNAが含まれる。
本明細書において用いられる核酸配列の相補体は、一つの配列の5'端が他の配列の3'端と対を形成するように核酸配列と整列させた場合に、「逆平行関係」にあるオリゴヌクレオチドを指す。
オリゴヌクレオチドは、任意の既存または天然の配列に必ずしも物理的に由来しないが、化学合成、DNA複製、逆転写、またはその組み合わせが含まれる任意の方法で生成されてもよい。「オリゴヌクレオチド」または「核酸」という用語は、その合成供給源または操作のために、(1)天然において会合しているポリヌクレオチドの全てまたは一部に会合していない、および/または(2)天然において連結しているポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドに連結している、ゲノムDNAもしくはRNA、cDNA、半合成、または合成供給源のポリヌクレオチドを意図する。
一つのモノヌクレオチド五炭糖環の5'ホスフェートがホスホジエステル連結によって一つの方向にその隣の3'酸素に付着するように、モノヌクレオチドを反応させてオリゴヌクレオチドを作製することから、オリゴヌクレオチドの端部は、その5'ホスフェートがモノヌクレオチド五炭糖環の3'酸素に連結していない場合、「5'端」であると呼ばれ、その3'酸素が次のモノヌクレオチド五炭糖環の5'ホスフェートに連結していない場合「3'端」であると呼ばれる。本明細書において用いられるように、核酸配列は、たとえより大きいオリゴヌクレオチドの内部であっても、5'および3'端を有すると言われることがある。
異なる二つの非オーバーラップオリゴヌクレオチドが、同じ直線的な相補的核酸配列の異なる領域にアニールし、一つのオリゴヌクレオチドの3'端がもう一つのオリゴヌクレオチドの5'端の方向を向く場合、前者を「上流の」オリゴヌクレオチドと呼び、後者を「下流のオリゴヌクレオチド」と呼ぶことがある。
天然の核酸において一般的に見いだされない一定の塩基を本発明の核酸に含めてもよく、これには、たとえばイノシンおよび7-デアザグアニンが含まれる。相補性は完全である必要はなく、安定な二重鎖は、ミスマッチ塩基対または非マッチ塩基を含有してもよい。核酸技術の当業者は、たとえば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度、ならびにミスマッチ塩基対の発生率が含まれる多数の変数を経験的に考慮に入れて、二重鎖の安定性を決定することができる。
核酸二重鎖の安定性は、融解温度、または「Tm」によって測定される。指定の条件下での特定の核酸二重鎖のTmは、塩基対の半分が解離している温度である。
B.本発明による有用なプライマーおよびプローブ
本発明は、核酸を検出または測定するため、鋳型核酸配列を増幅するため、および本発明による切断構造を形成するために有用なオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブを提供する。
「プライマー」という用語は、一つより多いプライマーを指してもよく、天然に存在するかによらず、精製された制限消化物における、または合成によって産生されるオリゴヌクレオチドを指し、核酸鎖に相補的であるプライマー伸長産物の合成が触媒される条件に置いた場合に、相補鎖に沿って合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。そのような条件には、適した緩衝液(「緩衝液」には、共因子である、またはpH、イオン強度等に影響を及ぼす置換基が含まれる)において、および適した温度で、異なる四つのデオキシリボヌクレオシド三リン酸、およびDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などの重合化誘導物質が存在することが含まれる。プライマーは、好ましくは増幅における最大効率のために一本鎖である。
本発明による有用なオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸配列にハイブリダイズ可能であり、第二の核酸鎖の酵素的合成をプライミングする一本鎖DNAまたはRNA分子である。プライマーは、核酸分子のプールに存在する標的分子の一部に相補的である。本発明によるオリゴヌクレオチドプライマーは、化学的または酵素的のいずれかである合成法によって調製されると企図される。または、そのような分子またはその断片は、天然に存在し、その天然供給源から単離されるか、または販売元から購入される。オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが5〜100ヌクレオチド、理想的には17〜40ヌクレオチドであるが、異なる長さのプライマーが有用である。増幅のためのプライマーは、好ましくは約17〜25ヌクレオチドである。本発明による切断構造を産生するためのプライマーは、好ましくは約17〜45ヌクレオチドである。本発明により有用であるプライマーはまた、融解温度推定法によって特定の融解温度(Tm)を有するように設計される。Oligo(商標)、Primer Designが含まれる市販のプログラム、ならびにPrimer 3およびOligo Calculatorが含まれるインターネット上で入手可能なプログラムを用いて、本発明による有用な核酸配列のTmを計算することができる。好ましくは、たとえばOligo Calculatorによって計算した本発明による有用な増幅プライマーのTmは、好ましくは約45〜65℃、より好ましくは約50〜60℃である。好ましくは本発明による有用なプローブのTmは、対応する増幅プライマーのTmより10℃高い。
本発明によるプライマーおよびプローブは標識することができ、標識切断構造を調製するために用いることができる。一本鎖DNAプライマー対、DNAプライマーとプローブ、またはプローブを、標的核酸内の配列にアニールさせることができる。一定の態様において、プライマーは、標的核酸のDNA合成の増幅をプライミングするために用いることができる。
典型的に、選択的ハイブリダイゼーションは、二つの核酸配列が実質的に相補的(少なくともひと続きの14〜25ヌクレオチドにわたって少なくとも約65%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約90%相補的である)である場合に起こる。参照により本明細書に組み入れられる、Kanehisa, M., 1984, Nucleic Acids Res. 12: 203を参照されたい。その結果、プライミング部位での一定の程度のミスマッチは認容されると予想される。そのようなミスマッチは、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、またはトリヌクレオチドなどのように小さくてもよい。または、ミスマッチの領域は、一連の中断されていない四つまたはそれより多いヌクレオチドにおいてミスマッチが存在する領域として定義されるループを包含してもよい。
多数の因子が、第二の核酸分子に対するプライマーのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響を及ぼす。プライマーの長さ、ヌクレオチド配列および/または組成、ハイブリダイゼーション温度、緩衝液組成、およびプライマーがハイブリダイズするために必要な領域における立体妨害の可能性が含まれる、これらの因子は、本発明によるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する際に検討されるであろう。
プライマーの長さとプライマーが標的配列にアニールする効率および精度の双方との間には、正の相関が存在する。特に、より長い配列は、より短い配列より高い融解温度(TM)を有し、所定の標的配列内で繰り返される可能性がより低く、それによって無差別のハイブリダイゼーションを最小限にする。溶液中では二分子よりもむしろ単分子のハイブリダイゼーション速度論が一般的に都合がよいことから、高いG-C含有量を有する、またはパリンドローム配列を含むプライマー配列は、その意図される標的部位と同様に、自己ハイブリダイズする傾向がある。しかし、また、AおよびT塩基対が標的配列に結合する場合に見いだされるのが二つの水素結合であるのに対し、それぞれのG-C対は、三つの水素結合によって結合され、したがってより堅固でより強い結合を形成することから、G-Cヌクレオチドの対形成の十分な数を含有するプライマーを設計することも重要である。ハイブリダイゼーション温度は、プライミング反応またはハイブリダイゼーション混合物に含まれる可能性がある有機溶媒、たとえばホルムアミドの濃度と同様に、プライマーのアニーリング効率に反比例して変動するが、塩濃度が増加すると、結合を容易にする。ストリンジェントなアニーリング条件において、より長いハイブリダイゼーションプローブ、または合成プライマーは、より短いプローブまたはプライマーより効率よくハイブリダイズし、これはより許容される条件下では十分である。好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーションは、適した緩衝液(たとえば、1×Sentinel Molecular Beacon PCRコア緩衝液、Stratageneカタログ番号600500;1×Pfu緩衝液、Stratageneカタログ番号200536;または1×クローニングPfu緩衝液、Stratageneカタログ番号200532)において、核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃)で行われる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、オリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブの長さおよび/または核酸組成に応じて、変動しえて(たとえば、塩濃度は約1 M未満、より通常約500 mM未満、好ましくは約200 mM未満)、ハイブリダイゼーション温度は一定範囲に及ぶ(たとえば、0℃もの低い温度から22℃より高い温度、約30℃より高い温度、および(最もしばしば)約37℃を超える温度)。より長い断片は、特異的ハイブリダイゼーションのためにより高いハイブリダイゼーション温度を必要とする可能性がある。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーにはいくつかの因子が影響を及ぼすことから、一つの因子の絶対的な測定よりパラメータの組み合わせが重要である。
これらの検討を考慮して、オリゴヌクレオチドプライマーを設計し、以下の方法に従って合成することができる。
1.オリゴヌクレオチドプライマー設計戦略
シークエンシングまたはPCRの目的にとっての特定のオリゴヌクレオチドプライマーの設計は、標的配列を認識することができるが最小の予測二次構造を有する配列を選択する工程を含む。オリゴヌクレオチド配列は、標的核酸における一つの部位のみに結合しても、または結合しなくてもよい。さらに、オリゴヌクレオチドのTmは、オリゴヌクレオチドの長さおよびGC含有量の分析によって最適化される。さらに、ゲノムDNAの増幅にとって有用なPCRプライマーを設計する場合、選択されたプライマー配列は、GenBankデータベース(または他の利用可能なデータベース)における配列と有意なマッチを証明しない。
本発明による有用なプライマーの設計は、先に記述したいくつかのパラメータの評価およびプライマー配列の最適化を補助するために開発された、容易に入手可能なコンピュータープログラムを用いることによって容易となる。そのようなプログラムの例は、DNAStar(商標)ソフトウェアパッケージの「PrimerSelect」(DNAStar, Inc.; Madison, WI)、OLIGO 4.0(National Biosciences, Inc.)、PRIMER、オリゴヌクレオチド選択プログラム、PGEN and Amplify(Ausubel et al., 1995, Short Protocols in Molecular Biology, 3rd Edition, John Wiley & Sonsにおいて記述される)である。一つの態様において、プライマーは、さらなる増幅のための標的として役立つ(たとえば、PCR産物をシークエンシングするため)、端部に公知の配列を有するPCR産物を産生するために他のプライマーの標的として役立つ配列によって設計される。異なる多くの標的核酸を共通の「テール配列」を共有する特異的プライマーによって増幅する場合、これらの別個の遺伝子からのPCR産物を、その後一組のプライマーによってシークエンシングすることができる。または、増幅された配列のその後のクローニングを容易にするために、その5'端に付属する制限酵素部位配列を有するプライマーを設計する。このように、プライマーの全てのヌクレオチドは、制限酵素部位を形成するために必要なヌクレオチド数個を除き、標的核酸または標的核酸に近接する配列に由来する。そのような酵素および部位は当技術分野において周知である。標的核酸のゲノム配列および標的核酸のオープンリーディングフレームの配列が公知である場合、特定のプライマーの設計は当業者の範囲内である。
一定の化学および/または捕獲部分(本明細書において定義される捕獲エレメントが含まれる)を有するオリゴヌクレオチドを、それらが固相支持体に結合して本明細書において定義される結合部分またはタグに結合できるように合成できることは、当業者に周知である。適した捕獲エレメントには、核酸結合タンパク質またはヌクレオチド配列が含まれるが、これらに限定されるわけではない。適した捕獲エレメントには、ビオチン、ハプテン、タンパク質、または化学反応部分が含まれるが、これらに限定されるわけではない。そのようなオリゴヌクレオチドは、最初に溶液において用いられ、その後固相支持体上に捕獲されてもよく、または最初に固相支持体に付着させ、その後検出反応において用いられてもよい。後者の例は、下流のプローブ分子の5'端が、蛍光消光剤を含むように、下流のプローブ分子を固相支持体に結合させることであろう。同じ下流のプローブ分子はまた、FENヌクレアーゼの切断によって消光剤が蛍光体から物理的に分離するような位置で蛍光体を含むであろう。たとえば、標的核酸は、固相の下流のプローブオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることができ、液相の上流のプライマーもまた、FEN切断反応が固相支持体上で起こって、5'消光部分を複合体から遊離させるように、標的分子とハイブリダイズできるであろう。これによって、固相支持体結合蛍光体は検出可能となり、このようにふさわしく標識または同定された固相支持体上の切断事象の存在を顕示するであろう。異なる下流のプローブ分子は、アレイ上の異なる位置に結合しうるであろう。アレイ上の位置はプローブ分子を同定し、プローブ分子がハイブリダイズできる鋳型の存在を示すであろう。
2.合成
プライマー自体は、当技術分野において周知である技術を用いて合成される。特異的配列のオリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野において公知であり、これにはたとえば、適切な配列のクローニングおよび制限消化物分析、ならびに直接の化学合成が含まれる。設計した後、オリゴヌクレオチドを、たとえばNarang et al., 1979, Methods in Enzymology, 68:90によって記述されるホスホトリエステル法、Brown et al., 1979, Methods in Enzymology, 68:109によって開示されるホスホジエステル法、Beaucage et al., 1981, Tetrahedron Letters, 22 : 1859において開示されるジエチルホスホラミデート法、および米国特許第4,458,066号において開示される固相支持体法が含まれる適した化学合成法、または市販の自動オリゴヌクレオチドシンセサイザー(市販の)もしくはVLSIPS(商標)技術のいずれかを用いる他の化学法によって調製する。
C.プローブ
本発明は、本明細書において定義される、切断構造または標識切断構造を形成するために有用なプローブを提供する。本発明による標識切断構造を調製するための方法は、以下の「切断構造」と題する章において提供される。
本明細書において用いられるように、「プローブ」という用語は、標的領域における配列に対するプローブにおける少なくとも一つの配列の相補性によって、標的核酸における配列と二重鎖構造を形成するプローブを指す。いくつかの態様において、プローブは二次構造を有する。本発明によるプローブはまた、標識することができる。プローブは、好ましくはプライマー伸長において用いられる配列に対して相補的な配列を含有しない。一般的に、プローブの3'末端は、プライマー伸長産物にプローブが取り込まれることを妨げるために「ブロックされる」であろう。本発明によるプローブを標識する方法および適した標識は、「切断構造」と題する章において以下に記述される。
本発明によるプローブの一般的設計は、「本発明による有用なプライマーおよびプローブ」と題する章において記述される。典型的に、本発明によるプローブは、約7〜140ヌクレオチドである標的核酸結合配列を含み、好ましくは長さが約10〜140ヌクレオチドである(図4におけるC)。一つの態様において、本発明によるプローブはまた、標的核酸の非存在下で二次構造の領域を形成するために互いに相補的であって結合する、本明細書において定義される二つの相補的核酸配列領域(bおよびb'、図4)を含む。領域bおよびb'は、長さが3〜25ヌクレオチド、好ましくは4〜15ヌクレオチドであり、より好ましくは長さが5〜11ヌクレオチドである。実際の長さは、プローブが標的核酸に結合していない場合に、標的核酸に結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で、プローブの二次構造が好ましくは安定であるように、標的核酸結合配列を参照して選択されるであろう。
いくつかの態様において、本発明によるプローブは、本明細書において定義される二次構造(ステムループ、ヘアピン、内部ループ、バルジループ、分岐構造およびシュードノットが含まれる)、または多数の二次構造、クローバー型構造、もしくは本明細書において先に定義された任意の三次元構造を形成することができる。
たとえば、本発明の一つの態様により、プローブは、ヘアピンまたはステム-ループなどの二次構造を有するオリゴヌクレオチドとなりえて、これには分子ビーコン、安全ピン、スコーピオン、およびsunrise/amplifluorプローブが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
分子ビーコンプローブは、ビーコンプローブが標的核酸にハイブリダイズしていない場合に検出可能シグナルの生成を消光させるように効果的に配置される相互作用シグナル生成標識部分の対(たとえば、蛍光体と消光剤)を保有するヘアピン、またはステム-ループ構造を含む。ループは、標的核酸に相補的である領域を含む。ループは、核酸標的配列に対して相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない場合に、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用する5'および3'領域(「アーム」)に隣接される。または、ループは、核酸標的配列に対して相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない場合に、親和性対の付着したメンバーによって互いに可逆的に相互作用して二次構造を形成する5'および3'領域(「アーム」)に隣接される。本明細書において用いられるように、「アーム」は、a)核酸標的配列に対して相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない場合に、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用する分子ビーコンプローブの領域、またはb)核酸標的配列に対して相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない場合に親和性対の付着メンバーによって互いに可逆的に相互作用して二次構造を形成するプローブの領域を、指す。分子ビーコンプローブが標的にハイブリダイズしていない場合、アームは互いにハイブリダイズしてステムハイブリッドを形成し、これは時に「ステム二重鎖」と呼ばれる。これは、クローズド(closed)コンフォメーションである。分子ビーコンプローブがその標的にハイブリダイズする場合、プローブの「アーム」は分離される。これはオープンコンフォメーションである。オープンコンフォメーションにおいて、アームはまた標的にハイブリダイズする可能性がある。そのようなプローブは溶液中で遊離していてもよく、またはそれらは固相表面に繋がれていてもよい。アームがハイブリダイズする場合(たとえば、ステムを形成する場合)、消光剤は蛍光体に対して非常に近く、その蛍光を有効に消光または抑制し、プローブを暗くする。そのようなプローブは、米国特許第5,925,517号および米国特許第6,037,130号において記述されている。
本明細書において用いられるように、分子ビーコンプローブはまた、本明細書において記述される「対立遺伝子識別」プローブとなりうる。
分子ビーコンプローブは、一つのアームに付着した蛍光体および他方のアームに付着した消光剤を有する。蛍光体と消光剤、たとえばテトラメチルローダミンとDABCYLは、FRET対を形成する必要はない。
本発明において有用なステムループプローブに関して、標的に相補的であるプローブ配列の長さ、核酸標的配列に対して相補的な領域が標的核酸に結合していない場合に、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域(たとえば、ステムハイブリッド)の長さ、および両者の関係を、プローブが使用されるアッセイ条件に従って設計する。特定のアッセイ条件に関する標的-相補的配列およびステムハイブリッド配列の長さは、当技術分野において公知であることに従って推定することができる。核酸標的配列に相補的であるプローブの領域が標的核酸に結合していない場合の、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域は、6〜100、好ましくは8〜50ヌクレオチドの範囲であり、最も好ましくはそれぞれ8〜25ヌクレオチドである。標的に対して相補的であるプローブ配列の長さは、好ましくは長さ17〜40ヌクレオチド、より好ましくは17〜30ヌクレオチド、および最も好ましくは17〜25ヌクレオチドである。
本発明により改変される分子ビーコンプローブのオリゴヌクレオチド配列は、DNA、RNA、cDNA、またはその組み合わせであってもよい。改変ヌクレオチドには、たとえばニトロピロールに基づくヌクレオチドまたは2'-O-メチルリボヌクレオチドが含まれてもよい。改変された連結、たとえばホスホロチオエートも同様に含まれてもよい。改変ヌクレオチドおよび改変連結はまた、本発明による波長-シフトプライマーに組み入れられてもよい。
本発明において使用される安全ピンプローブは、ヘアピンの5'アーム上に蛍光体(FAM)を有し、3'アーム上に消光剤(Dabcyl)を有するヘアピン構造を含む「万能」ヘアピンプローブ1(図9、b171 SEQ ID NO:31)、ならびにプローブ2(SEQ ID NO:34)の5'側の3分の2がヘアピンプローブ1に相補的な(万能)配列とDNAポリメラーゼを停止させるヌクレオチドとを有し、およびプローブ2の3'側の3分の1が、標的特異的プライマーとして役立つ、二つのドメインを含むステム-ループを含むプローブ2(図9、SP170a SEQ ID NO: 32)を必要とする。リバースプライマー(すなわち、プローブ2の3'側の3分の1)からプライミングされたポリメラーゼがトップ鎖(SEQ ID NO:33)を合成すると、プローブ2の5'端は、「終止ヌクレオチド」に達するまで5'エキソヌクレオチド分解活性によって置き換えられ分解されるであろう。次に、プローブ2の残りが開くまたはアンフォールディングし、ヘアピンプローブ1(SEQ ID NO:31)の標的として役立ち、それによって消光剤から蛍光体を分離する(図9)。
本発明において用いられるように、スコーピオンプローブは、蛍光体/消光剤の対を保有するヘアピン構造を含む、5'伸長プローブテールを有する3'プライマーを含む。プローブのテールは、ポリメラーゼがプローブを複製しないように遮断するへクスエチレングリコール(HEG)を含めることによって、5'→3'方向の複製から「保護される」。最初のラウンドの増幅時に、3'標的特異的プライマーは、標的にアニールし、スコーピオンが、5'プローブの新たに合成された標的領域を保有する新しく合成された鎖に組み入れられるように伸長する。次のラウンドの変性およびアニーリング時に、スコーピオンヘアピンループのプローブ領域は、標的にハイブリダイズし、このように蛍光体と消光剤を分離し、測定可能なシグナルを作製する。そのようなプローブは、Whitcombe et al., Nature Biotechnology 17: 804-807 (1999)および図10において記述される。
本発明において有用なさらなるオリゴヌクレオチドプローブは、sunrise/amplifluorプローブである。sunrise/amplifluorプローブは、ヘアピンプローブ領域の5'→3'複製を遮断するためにHEGモノマーを欠損することを除いては、スコーピオンプローブと類似の構築のプローブである。このように、増幅の第一ラウンドにおいて、sunrise/amplifluorの3'標的特異的プライマーは、標的にアニールして伸長し、このように、新たに合成された鎖(sunrise鎖)にヘアピンプローブを組み入れる。増幅の第二ラウンド時に、第二の非標識プライマーはsunrise鎖の3'端にアニールする(図11におけるサイクル2)。しかし、ポリメラーゼがヘアピンの5'端に達すると、HEG終止配列を欠損しているために、ポリメラーゼは、ヘアピンを置き換えて複製し、このように蛍光体と消光剤とを分離し、直線状のヘアピンプローブを新しい鎖に組み入れるであろう。このタイプのプローブは、Nazarneko et al., Nucleic Acid Res. 25: 2516-2521 (1997)および図11においてさらに記述される。
本発明において有用な安全ピン、スコーピオン、およびsunrise/amplifluorプローブに関して、標的に相補的であるプローブ配列の長さ、核酸標的配列に対して相補的な領域が標的核酸に結合していない場合の相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブ(例えば、ステムハイブリッド)の領域の長さ、および両者の関係は、プローブが使用されるアッセイ条件に従って設計される。特定のアッセイ条件に関する標的相補的配列およびステムハイブリッド配列の長さは、当技術分野において公知であることに従って推定されうる。核酸標的配列に対して相補的な領域が標的核酸に結合していない場合の相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域は、6〜100、好ましくは8〜50ヌクレオチド、および最も好ましくはそれぞれ8〜25ヌクレオチドの範囲である。標的に対して相補的であるプローブ配列の長さは、好ましくは長さ17〜40ヌクレオチド、より好ましくは17〜30ヌクレオチド、および最も好ましくは17〜25ヌクレオチドである。相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域間の相互作用の安定性は、適当な機能を達成するためにルーチンの実験によって決定される。長さのほかに、相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域間の相互作用の安定性は、G-C含有量を変更することによって、および脱安定化ミスマッチを挿入することによって、調節することができる。相補的核酸配列によって互いに可逆的に相互作用するプローブの領域の一つを、標的に対して部分的または完全に相補的であるように設計することができる。3'アームが標的に対して相補的である場合、プローブは、DNAポリメラーゼのプライマーとして役立ちうる。また、波長シフト分子ビーコンプローブを、繋ぐことによってまたは自由に浮遊させることによって固相表面に固定することができる。
一つの態様において、プローブは、本発明による切断抵抗性プローブである。切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ切断構造(非侵入性)が形成される場合に、切断物質によって切断することができるが、オーバーラップ構造(侵入性)が形成される場合に切断することができない切断構造を形成する。切断に対するこの抵抗性は、オーバーラップ構造によって標的化されるプローブの部分に本発明による一つまたは複数の改変を含めることによって成就される。
一つの態様において、プローブは+1位の上流(たとえば、非オーバーラップ切断構造によって標的化される部分)での切断に対して感受性があり、+1位の下流(たとえば、オーバーラップ構造によって標的化される部分)での切断に対して抵抗性である(図13を参照されたい)。標的に対して相補的で、標的とハイブリダイズするプローブのヌクレオチドは、+1位から+X位までであると定義される。+1位は、下流のプローブのハイブリダイズ領域の5'末端ヌクレオチドとして定義され、領域+2は+1位のすぐ下流であるヌクレオチドとして定義される等である(図13)。
本発明のこの態様により有用である切断抵抗性プローブは、3'末端に対して+1位の下流で改変されなければならず、またはプローブの改変されない下流の部分の第一のヌクレオチドに対して+1の下流で改変されなければならない(図13のC)。プローブの非改変部分は、プライマーが全改変部分の中まで伸長すると標的から解離するように、プライマー伸長/切断反応の温度より低いTmを有しなければならない(図15Cを参照されたい)。
改変されずに標的に相補的であるプローブの領域が、ポリメラーゼ伸長反応が行われる温度より低い融解温度(Tm)を有する限り、切断抵抗性の改変は、プローブの全相補的部分(たとえば、+1位から3'末端)まで全体に存在する必要はない(図15C)。このように、プローブは、プローブの全改変部分(切断抵抗性部分)が標的から置き換わると(たとえば、オーバーラップ構造を形成するために上流のプライマーが伸長すると)、プローブがもはや標的と二重鎖を形成しないように設計される(図15Cを参照されたい)。典型的なプライマー伸長反応条件には、適切な緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)、dNTP、および60〜72℃のインキュベーション温度が含まれる。これらの検討によって、プローブがオーバーラップまたは侵入性の切断構造によって切断されないことが確実となる。
たとえば、23ヌクレオチドのプローブは、20ヌクレオチドの標的相補的領域(ヌクレオチド+1〜+20位)および3ヌクレオチドの5' フラップ(ヌクレオチド-1位〜-3位)を有してもよい(図13を参照されたい)。非改変ヌクレオチド16〜20位は、これらのヌクレオチドの標的化が、プローブの相補的部分の中へのプライマーの伸長およびオリゴヌクレオチド1〜15位の置き換えを必要とするであろうことから、切断のための標的となりえない。残りの相補的ヌクレオチド(+16位〜+20位)は、標的と安定な二重鎖をもはや形成せず、プローブの切断がなくとも解離するであろう(図15C)。
しかし、プローブは、非オーバーラップ切断構造を形成すると切断物質によって切断することができ、+1位の上流で切断されうる(図15A)。
相補的非改変領域のTmを決定する方法は当技術分野において周知であり、本明細書において考察される。同様に、侵入性の切断を防止するために改変される必要があるプローブ上の+1位の下流のヌクレオチドの数を決定するための方法も、当技術分野において公知であり、本明細書において考察される。
簡単に説明すると、FRETアッセイ法または蛍光消光アッセイ法を使用するプローブ安定性アッセイ法を行うことによって、改変される必要がない標的相補的ヌクレオチドの最大数を決定することができる(プローブ安定性アッセイ法に関するさらなる詳細に関しては「プローブの二次構造の安定性の決定」と題する章を参照されたい)。本明細書において用いられるように、蛍光消光アッセイ法には、FRETアッセイ法が含まれうる、プローブの非改変部分を標的との反応物に付加する。反応は、プライマー伸長反応において使用するためにヌクレアーゼ/ポリメラーゼにとって可能であって好ましくは最適である緩衝液において行われるべきである。プローブは、相互作用標識の適切な対の第一のメンバーによって標識され、標的は、たとえば2ヌクレオチドの距離にわたって相互作用することができる対、またはたとえば20ヌクレオチドの距離にわたって相互作用することができる非FRET対(たとえば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL)の第二のメンバーによって標識される。たとえば、本発明のこの態様によるプローブの非改変部分を蛍光体によって標識し、標的を消光剤によって標識し、蛍光を異なる温度(たとえば、プライマー伸長反応の温度)で測定する。標識が相互作用しない場合には最大蛍光が産生されて、プローブの非改変部分と標的は解離する。プローブの非改変部分が伸長温度で標的から解離しない場合、非改変部分の大きさを減少させなければならない。
このアッセイ法は、Mx3005P QPCRシステム(Stratagene)などのリアルタイムサーマルサイクリングデバイスにおいて行ってもよい。
一つの態様において、改変はチオホスフェートまたは2'-O-メトキシである。そのような改変は当技術分野において公知である。チオホスフェートおよび/または2'-O-メトキシ改変を有するオリゴヌクレオチドは、Biosearch Technologies, Inc.(Novato, CA)から得ることができる。
広範囲の蛍光体を、本発明によるプローブおよびプライマーにおいて用いてもよい。利用可能な蛍光体には、クマリン、フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、ルシファーイエロー、ローダミン、BODIPY、テトラメチルローダミン、Cy3、Cy5、Cy7、エオジン、テキサスレッド、およびROXが含まれる。たとえばLee et al. (1997), Nucleic Acids Research 25:2816によって記述されるフルオレセイン-ローダミン二量体などの複合蛍光体も同様に適している。蛍光体は、可視スペクトルにおいて、または紫外線もしくは赤外線範囲などの可視スペクトル範囲外で吸収および放射するように選んでもよい。
当技術分野において記述される適した消光剤には、特にDABCYLならびにDABSYL、DABMI、およびメチルレッドなどのその変種が含まれる。蛍光体はまた、それらが一定の他の蛍光体に触れると蛍光を消光させる蛍光があることから、消光剤としても用いることができる。好ましい消光剤は、DABCYLもしくはマラカイトグリーンなどの発色団、またはプローブがオープンコンフォメーションにある場合に検出範囲で蛍光を発しない蛍光体のいずれかである。
D.核酸の産生
本発明は、核酸を増幅するために、および切断構造を形成するために、検出および/または測定される核酸を提供する。
本発明は、RNA、cDNA、ゲノムDNA、合成型および混合ポリマーを含む核酸を使用する。本発明には、核酸のセンスおよびアンチセンス鎖の双方が含まれる。本発明により、核酸は、化学的もしくは生化学的に改変されてもよく、または非天然もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含有してもよい。そのような改変にはたとえば、標識、メチル化、一つまたは複数の天然に存在するヌクレオチドの類似体への置換、非荷電連結(たとえば、メチルホスホネート、ホスホロジチオエート等)などのヌクレオチド間改変、懸垂部分(たとえば、ポリペプチド)、インターカレート剤(たとえば、アクリジン、ソラレン等)、キレート剤、アルキル化剤、および改変連結(たとえば、αアノマー核酸等)が含まれる。また、水素結合または他の化学相互作用による指定された配列に対するその結合能に関してポリヌクレオチドを模倣する合成分子も含まれる。そのような分子は当技術分野において公知であり、これにはたとえば、分子の骨格においてリン酸連結の代わりにペプチド連結を用いる分子が含まれる。
E.プライマー-プローブ二重鎖態様と共に用いるためのプライマーおよびプローブ
プローブ
一つの態様において、プローブは、切断抵抗性プローブである。もう一つの態様において、プローブは切断に対して感受性である。プローブには、3'標的相補的領域、および標的に対して非相補的である一つまたは複数のヌクレオチドを含む5'非相同性フラップが含まれる。加えて、いくつかの態様において、プローブは3'標的相補的領域の下流に3'テールを有する。3'標的相補的領域におけるプローブのヌクレオチドは、標的の相補的部分とハイブリダイズして、+1位から+X位までであると定義することができる。+1位は、3'標的相補的領域の5'末端ヌクレオチドであり、+2位は、+1位のすぐ下流にあるヌクレオチドとして定義される等である。5'フラップのヌクレオチドは、-1位から-X位であると定義され、-1位は肘部のすぐ上流にあるフラップの3'末端ヌクレオチドとして定義される。-2位は、-1位のすぐ上流にあるヌクレオチドとして定義される等である。肘部とは、5'フラップ上の第一の一本鎖ヌクレオチドと+1位のヌクレオチドの間のリン酸結合を指す。
一つの態様において、5'フラップは、相互作用シグナル伝達対の第一のメンバー(たとえば、蛍光体)によって標識され、+1ヌクレオチドは、相互作用シグナル伝達対の第二のメンバー(たとえば、消光分子)によって標識される。該標識は、それらが分離されると(たとえば、切断抵抗性プローブの肘部で切断されると)シグナルを産生するが、標識が分離されなければシグナルを産生しない。
プローブは、二つのPCRプライマーの一つ(たとえば、第一のオリゴヌクレオチド)に対して相補的である。したがって、プローブおよび第一のプライマー(たとえば、第一のオリゴヌクレオチド)は、標的の非存在下で部分的二重鎖を形成することができる(図17A)。一つの態様において、第一のオリゴヌクレオチドは、プローブ(第二のオリゴヌクレオチド)に対して非相補的である3'領域を含む(図22Aにおける領域B)。もう一つの態様において、プローブは、第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である5'領域を含む(領域D'、図17A)。さらなる態様において、プローブ(第二のオリゴヌクレオチド)はさらに、第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である3'テールを含む(領域R'、図22A)。
このプライマー-プローブ二重鎖の変性後、反応のアニーリング段階において、二重鎖形成プライマーは、標的の一つの鎖にハイブリダイズし、プローブは反対鎖とハイブリダイズする(図17Bおよび17D)。
一つの態様において、プローブは切断抵抗性である。切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造が形成されると、切断剤(たとえば、ヌクレアーゼ)による切断に対して感受性である切断構造を形成する。しかし、切断抵抗性プローブは、オーバーラップ(侵入性)切断構造が形成されると切断剤によって切断されることができないように、構築される。切断に対するこの抵抗性は、3'標的相補的領域をヌクレアーゼに対して切断不能にする一つまたは複数の改変/非従来型(non-conventional)ヌクレオチドを含めることによって達成される。これらの改変は、+1位の下流にありオーバーラップ(侵入性)切断構造における切断の標的とされる領域における切断に対して、プローブを抵抗性にする。5'フラップは改変されないことから、これは非オーバーラップ切断構造が形成されると切断に対して感受性である。したがって、切断抵抗性プローブは、オーバーラップ(侵入性)構造ではなくて非オーバーラップ(非侵入性)構造が形成される場合に限って切断される。
一つの態様において、プローブは、+2位の下流で改変される。理論的には、切断抵抗性プローブは、オーバーラップ切断構造が形成される場合でも+1位と+2位の間(改変されていない領域)で切断されうるが、+1位に第二の標識が付加することによってこの切断が阻害されるようである。たとえば、ポリメラーゼおよびFENを用いる場合、+1位と+2位の間で検出可能な切断はない。しかし、ポリメラーゼを用いない場合には、切断が観察された。しかし、たとえ切断が+1位と+2位の間で起こる場合であっても、標識が分離されないことから、これによって検出可能なシグナルは生じないであろう。
第一のプライマー(第一のオリゴヌクレオチド)
二重鎖を形成したプライマーは、標的を増幅するように作用し、プローブの一部に対して相補的である。さらに、二重鎖プライマーには、プローブに対して相補的ではない3'および/または5'配列が含まれてもよい。5'端または3'端でのこれらの余分のヌクレオチドは、温度が上昇すると、二重鎖形成プライマーがプローブより標的に有利に結合するように、プローブと比較してプライマーの融解温度を増加させるように役立つ。
切断オリゴヌクレオチド
プライマー-プローブ二重鎖のいくつかの態様において、反応には、切断オリゴヌクレオチドが含まれる。切断オリゴヌクレオチドは、それが標的配列上のプローブの上流に位置する(すなわち、プローブと共に少なくともニックを形成する)ように、標的にハイブリダイズする。好ましくは、切断オリゴヌクレオチドおよびプローブは、標的にハイブリダイズしてギャップを形成する。切断オリゴヌクレオチドは一般的に3'端でブロックされ、そのためポリメラーゼによって伸長することができない。
同様に、切断オリゴヌクレオチドの3'末端ヌクレオチドを標的とミスマッチにすることも選択される。理論に拘束されることなく、該ミスマッチがポリメラーゼの伸長効率を低減させて、非侵入性切断構造の切断に好都合となり、より強い検出可能なシグナルを産生すると考えられる。いくつかの態様において、切断オリゴヌクレオチドは、切断抵抗性にされる。
プローブおよび切断オリゴヌクレオチドをこのようにして標的配列上に配置すると、非侵入性の切断構造が形成される。非侵入性の切断構造は、ヌクレアーゼ(たとえば、FENまたは類似の酵素)の基質である。この非オーバーラップ切断構造の形成によって、ヌクレアーゼは、+1位の上流でプローブを切断することができ、したがって、相互作用標識対を分離して、検出可能なシグナルを産生する。
第二のプライマー(オリゴヌクレオチドプライマー)
プライマー-プローブ二重鎖の一つの態様において、反応はまた、切断オリゴヌクレオチドの上流に配置されるように標的にアニールする第二の(非二重鎖)プライマーを利用する。一つの態様において、切断オリゴヌクレオチドおよび第二のプライマーは、それらが結合に関して競合するように、標的の同じ領域に対して相補的である。この態様において、プライマーが結合すれば増幅反応に好都合であるが、切断オリゴヌクレオチドが結合すれば切断反応に好都合である。
1.DNAを含む核酸
a.クローニング
DNAを含む核酸は、当業者に周知のクローニング法(Ausubel et al., 前記)によって、cDNAまたはゲノムライブラリから単離することができる。簡単に説明すると、特定の核酸配列を含むDNAクローンの単離は、組換え型DNAまたはcDNAライブラリをスクリーニングする工程、および所望の配列を含有するクローンを同定する工程を含む。クローニングは、以下の工程を含むであろう。特定のライブラリのクローンをプレートの上に広げて、スクリーニングのために適切な基質に移し、変性させ、特定の核酸の存在に関してプロービングする。ハイブリダイゼーション条件に関する記述、および標識プローブを産生するための方法を以下に含める。
所望のクローンは、好ましくは、核酸プローブとのハイブリダイゼーションによって、または抗体によって検出されうるタンパク質の発現によって同定される。または、所望のクローンは、以下に記述される本発明により特定の組のプライマーによって定義される配列のポリメラーゼ連鎖反応増幅によって同定される。
適切なライブラリの選択は、所望の配列の豊富な供給源である組織または細胞株を同定する工程を含む。さらに、関心対象の核酸が、調節配列またはイントロン配列を含有する場合、ゲノムライブラリをスクリーニングする(Ausubel et al., 前記)。
b.ゲノムDNA
本発明の核酸配列は、ゲノムDNAから増幅される。ゲノムDNAは、以下の方法に従って組織または細胞から単離される。
特定の組織からの遺伝子の変種型の検出を容易にするために、組織を周辺の正常組織を含まずに単離する。哺乳動物組織からゲノムDNAを単離するために、組織を細切し、液体窒素において凍結する。凍結組織を、予め冷却した乳鉢および乳棒によって細粉にすりつぶし、消化緩衝液(100 mM NaCl、10 mM Tris-HCl、pH 8.0、25 mM EDTA、pH 8.0、0.5%(w/v)SDS、0.1 mg/ml プロテナーゼK)において、組織100 mgあたり消化緩衝液1.2 mlで浮遊させる。哺乳動物組織培養細胞からゲノムDNAを単離するために、細胞を500×gで5分間の遠心によって沈降させて、氷冷PBS 1〜10 mlにおいて再浮遊させて、500×gで5分間再度沈降させて、消化緩衝液1倍量に浮遊させる。
消化緩衝液における試料を50℃で12〜18時間インキュベートした後(振とうさせながら)、等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールによって抽出する。遠心工程(1700×gで10分間)の後に相が分離しない場合、さらに同量の消化緩衝液(プロテナーゼKを含まない)を加えて、遠心工程を繰り返す。濃い白色材料が二つの相の界面で明白になれば、有機抽出工程を繰り返す。抽出後、上部の水層を新しい試験管に移して、これに7.5 M酢酸アンモニウム1/2倍量および100%エタノール2倍量を加える。核酸を、1700×gで2分間の遠心によって沈降させ、70% エタノールで洗浄し、空気乾燥させた後、TE緩衝液(10 mM Tris-HCl、pH 8.0、1 mM EDTA、pH 8.0)に1 mg/mlで浮遊させる。試料を0.1%SDSおよび1μg/mlDNアーゼフリーのRNアーゼの存在下で37℃で1時間インキュベートする工程、および抽出およびエタノール沈殿工程を繰り返す工程によって、残留RNAを除去する。本方法に従うゲノムDNAの収率は、およそ2 mg DNA/1 g細胞または組織であると予想される(Ausubel et al., 前記)。本方法に従って単離されたゲノムDNAは、本発明によるPCR分析のために用いることができる。
c.(cDNAまたはゲノムDNAの)制限消化
特定の標的核酸を含有する所望のcDNAまたはゲノムクローンの同定後、本発明の核酸を、制限酵素による消化によってこれらのクローンから単離してもよい。
制限酵素消化の技術は当業者に周知である(Ausubel et al.、前記)。制限酵素消化にとって有用な試薬はStratageneが含まれる販売元と共に他の供給源から容易に入手可能である。
d.PCR
本発明の核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってゲノムDNAまたは他の天然供給源から増幅してもよい。PCR法は、当業者に周知である。
PCRは、関心対象の標的配列を増幅するために、熱安定性のDNA依存的DNAポリメラーゼによって触媒される多数のDNA複製サイクルを用いることによって、特定のDNA配列を急速に増幅するための方法を提供する。PCRは、増幅されるべき標的核酸、増幅される配列に隣接する二つの一本鎖オリゴヌクレオチドプライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、緩衝液、および塩が存在することを必要とする。
PCRは、参照により本明細書に組み入れられる、Mullis and Faloona, 1987, Methods Enzymol., 155: 335において記述されるとおりに行われる。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術は、米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号、および同第4,800,159号において開示されている。その最も単純な型において、PCRは、反対鎖にハイブリダイズし、標的DNA配列における関心対象領域に隣接する二つのオリゴヌクレオチドプライマーを用いる、特異的DNA配列のインビトロ酵素的合成法である。鋳型の変性、プライマーのアニーリング、およびアニールしたプライマーのDNAポリメラーゼによる伸長を伴う一連の反応工程の反復によって、その末端がプライマーの5'端によって定義される特異的断片が指数的に蓄積される。PCRは、特異的DNA配列の109倍の選択的濃縮を産生することができると報告されている。PCR法はまた、Saiki et al., 1985. Science 230:1350においても記述されている。
PCRは、鋳型DNA(少なくとも1 fg;より有用であるには、1〜1000 ng)とオリゴヌクレオチドプライマー少なくとも25 pmolとを用いて行われる。典型的な反応混合物には、DNA 2μl、オリゴヌクレオチドプライマー25 pmol、適した緩衝液2.5μl、1.25 μM dNTP 0.4μl、Taq DNAポリメラーゼ(Stratagene)2.5単位が含まれ、および脱イオン水によって全量を25μlとする。鉱油を重層し、プログラム可能なサーマルサイクラーを用いてPCRを行う。
PCRサイクルの各工程の長さおよび温度と共に、サイクル回数は、事実上ストリンジェンシーの必要条件に従って調節される。アニール温度およびタイミングは、プライマーが鋳型にアニールすると予想される効率および認容されるミスマッチの程度の双方によって決定される。プライマーアニール条件のストリンジェンシーを最適にできることは、十分に当業者の知識の範囲内である。30℃〜72℃の間のアニール温度を用いる。鋳型分子の初回変性を通常、92℃〜99℃の間で2〜10分間行った後、変性(94〜99℃で15秒〜1分)、アニーリング(先に考察されたように決定した温度;1〜2分)および伸長(72℃で1分)からなる20〜50サイクルを行う。最終伸長工程は一般的に72℃で4分間行われ、その後に4℃で不確定の工程(0〜24時間)を行ってもよい。
標準的なPCR技術において一般的に使用される検出法は、ハイブリダイゼーションアッセイ法において増幅DNAと共に標識されたプローブを用いる。好ましくは、プローブは、ハイブリダイゼーションを検出させるために、たとえば32P、ビオチン、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)等によって標識される。
他の検出手段には、断片長多型(PCR FLP)、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブとのハイブリダイゼーション(Saiki et al., 1986, Nature 324:163)、またはジデオキシ法による直接シークエンシング(クローニングされたDNAよりむしろ増幅されたDNAを用いる)を用いることが含まれる。標準的なPCR技術は、(本質的に)二つのプライマー間に配置されたDNA配列を複製する工程、それぞれの鎖の5'端でプライマーによって終了する個別の長さのDNA配列を反応の主産物として提供する工程によって操作する。このように、プライマーの間の挿入および欠失によって、異なる長さの産物配列が得られ、これをPCR-FLPにおいて産物の大きさを分類することによって検出することができる。ASOハイブリダイゼーションの例において、増幅されたDNAを、一連の「ドットブロット」においてナイロンフィルターに固定(たとえば、UV照射によって)した後、HRPによって標識したオリゴヌクレオチドプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせる。洗浄後、テトラメチルベンジジン(TMB)および過酸化水素を加える。HRPは、過酸化水素を酸化し、次にTMBを酸化し、ハイブリダイズしたプローブを示す青色の沈殿物を生じる。
本発明による核酸アッセイ法を検出または測定するためのPCRアッセイ法は、「使用法」と題する章において記述される。
2.RNAを含む核酸
本発明はまた、RNAを含む核酸も提供する。
RNAを含む核酸は、当技術分野において周知の方法(Ausubel et al.、前記)に従って精製することができる。総RNAを、当技術分野において周知の(Ausubel et al.、前記)および以下に記述される方法に従って、細胞および組織から単離することができる。
RNAは、以下の方法に従って哺乳動物組織から精製される。関心対象組織を除去した後、組織片≦2 gを切断し、RNAの分解を防止するために液体窒素において瞬間凍結する。適量のグアニジニウム溶液(たとえば、組織2 gあたりグアニジニウム溶液20 ml)を加えて、組織試料を組織ホモジナイザーにおいて10秒間の運転を2または3回行うことによってすりつぶす。組織グアニジニウム溶液(1 L)を調製するために、グアニジニウムイソチオシアネート590.8 gを、DEPC-処置H2Oおよそ400 mlに溶解する。2 M Tris-HCl、pH 7.5(最終濃度0.05 M)25 mlおよびNa2EDTA(最終濃度0.01 M)20 mlを加えて、溶液を終夜撹拌し、容量を950 mlに調節し、2-ME 50 mlを加える。
ホモジナイズした組織試料を、12℃で12,000×gで10分間の遠心に供する。得られた上清を20%サルコシルの0.1倍量の存在下で65℃で2分間インキュベートした後、5.7 M CsCl溶液(0.1 g CsCl/ml)9 mlを重層し、113,000×gで22℃で終夜遠心することによって分離する。上清を注意深く除去した後、試験管を逆さにして排水する。試験管の底部(RNAペレットを含有する)を50 mlプラスチック試験管に入れて、組織浮遊緩衝液(5 mM EDTA、0.5%(v/v)サルコシル、5%(v/v)2-ME)3 mlの存在下で、RNAペレットを完全に浮遊させるために4℃で終夜(またはそれより長く)インキュベートする。得られたRNA溶液を25:24:1フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールの後、24:1クロロホルム/イソアミルアルコールによって連続的に抽出した後、3 M酢酸ナトリウムpH 5.2および100%エタノール2.5倍量を加えることによって沈殿させて、DEPC水に浮遊させる(Chirgwin et al., 1979, Biochemistry. 18: 5294)。
または、以下の一工程プロトコールに従って哺乳動物組織からRNAを単離する。関心対象組織は、組織100 mgあたり変性溶液(4 Mチオ硫酸グアニジニウム、25 mMクエン酸ナトリウム、pH 7.0、0.1 M 2-ME、0.5%(w/v)N-ラウリルサルコシン)1 mlにおいてガラステフロンホモジナイザーにおけるホモジナイゼーションによって調製する。ホモジネートを5 mlのポリプロピレン試験管に移した後、2 M酢酸ナトリウムpH 4を0.1 ml、水飽和フェノール1 ml、および49:1クロロホルム/イソアミルアルコール0.2 mlを連続的に加える。各成分を加えた後試料を混合し、全ての成分を加えた後0〜4℃で15分間インキュベートする。試料を10,000×gで4℃で20分間の遠心によって分離し、100%イソプロパノール1 mlを加えて沈殿させ、-20℃で30分間インキュベートし、10,000×gで4℃で10分間遠心することによって沈降させる。得られたRNAペレットを変性溶液0.3 mlに溶解し、微量遠心管に移し、100%イソプロパノール0.3 mlを-20℃で30分間加えることによって沈殿させて、10,000×gで4℃で10分間遠心する。RNAペレットを70%エタノールにおいて洗浄し、乾燥させ、DEPC処理水またはDEPC処理0.5%SDS 100〜200 μlに浮遊させる(Chomczynski and Sacchi, 1987. Anal. Biochem., 162: 156)。
RNAを含む核酸は、インビトロ転写法に従って産生することができる。
インビトロ転写技術は当業者に周知である。簡単に説明すると、関心対象遺伝子をSP6、T3、またはT7プロモーターを含有するベクターに挿入する。ベクターを、コード配列の下流に位置する一つの部位でベクターを消化する適切な制限酵素によって直線状にする。フェノール/クロロホルム抽出後、DNAをエタノール沈殿させて、70%エタノールにおいて洗浄し、乾燥させ、滅菌水に浮遊させる。直線化DNAを転写緩衝液(200 mM Tris-HCl、pH 8.0、40 mM MgCl2、10 mMスペルミジン、250 NaCl[T7もしくはT3]、または200 mM Tris-HCl、pH 7.5、30 mM MgCl2、10 mMスペルミジン[SP6])、ジチオスレイトール、RNアーゼ阻害剤、各4種類のリボヌクレオシド三リン酸、およびSP6、T7、またはT3 RNAポリメラーゼと共に37℃で30分間インキュベートすることによって、インビトロ転写反応を行う。RNAを含む放射標識ポリヌクレオチドを調製するために、非標識UTPを省略し、35S-UTPを反応混合物に含める。次に、DNアーゼIと共にインキュベートすることによって、DNA鋳型を除去する。エタノール沈殿後、放射標識RNAのアリコートをシンチレーションカウンターにおいて計数してcpm/μlを決定する(Ausubel et al.、前記)。
または、RNAを含む核酸を固相ホスホラミダイト(先に記述した)などの化学合成技術によって調製する。
3.オリゴヌクレオチドを含む核酸
オリゴヌクレオチドを含む核酸は、市販されている(先に記述された)オリゴヌクレオチド合成機器を用いて作出することができる。
IV.切断構造
本発明は、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断することができる切断構造を提供し、したがって切断構造を調製する方法を教示する。本発明はまた、標識された切断構造および標識切断構造を調製する方法も提供する。
プローブは、本発明による切断構造を調製するために用いられる。
A.切断構造の調製
一つの態様において、本発明による切断構造は、
a)上流のオリゴヌクレオチドプライマー、
b)上流のプライマーの下流の5000ヌクレオチドを超えない位置に存在するオリゴヌクレオチドプローブ、
c)標的配列がプライマーとプローブの双方に対して相補的である適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液(たとえば、Stratagene(カタログ番号200536)から入手可能な1×Pfu緩衝液、または用いられる特定のポリメラーゼ(たとえば、RT)と適合性である緩衝液)を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で1〜2分の後におよそ40〜72℃まで冷却)でインキュベートすることによって形成される。最適な温度は、特異的プローブ、プライマー、およびポリメラーゼに応じて変動するであろう。本発明のいくつかの態様において、切断構造は、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチド(たとえば図4におけるA)の3'端が、標的核酸にアニールする下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば図4におけるC)の1またはそれより多い塩基対に相補的である、オーバーラップフラップを含む。
もう一つの態様において、本発明による切断構造は、
a)RNAポリメラーゼ合成オリゴヌクレオチド、
b)プロモーターの下流の5000ヌクレオチドを超えない位置に存在するオリゴヌクレオチドプローブ、
c)標的配列がプロモーター領域を含み、下流のプローブに対して少なくとも部分的に相補的である、適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で1〜2分の後におよそ40〜60℃まで冷却)でインキュベートすることによって形成される。最適な温度は、特異的プローブおよびRNAポリメラーゼに応じて変動するであろう。本発明のいくつかの態様において、切断構造は、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチド(たとえば図4におけるA)の3'端が、標的核酸にアニールする下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば図4におけるC)の1またはそれより多い塩基対に相補的である、オーバーラップフラップを含む。
一つの態様において、本発明による切断構造は、
a)上流の、好ましくは伸長可能な3'端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、
b)標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、上流のプライマーの下流の5000ヌクレオチドを超えない位置に存在する結合部分を含む、オリゴヌクレオチドプローブ、
c)標的配列が両プライマーに対して相補的である適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液(たとえば、Sentinel分子ビーコンPCRコア緩衝液(カタログ番号600500)、またはStratagene(カタログ番号200536)から入手可能な1×Pfu緩衝液)を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後におよそ50〜60℃まで冷却)でインキュベートすることによって形成される。最適な温度は、特異的プローブ、プライマー、およびポリメラーゼに応じて変動するであろう。本発明の好ましい態様において、切断構造は、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチド(たとえば図4におけるA)の3'端が標的核酸にアニールする下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば図4におけるC)の1またはそれより多い塩基対に相補的であり、1塩基対のオーバーラップが一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流である、オーバーラップフラップを含む。
この態様により、上流のオリゴヌクレオチドプライマーの3'端は、上流のオリゴヌクレオチドプライマーの新たに合成された3'端が下流のオリゴヌクレオチドプローブの5'端を部分的に置き換えるように、本発明によるポリメラーゼの合成活性によって伸長される。伸長は、好ましくは、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液、または1×Pfu緩衝液の存在下で72℃で15秒間行われる。
本発明のもう一つの態様において、本発明による切断構造は、3'相補的領域が標的核酸にアニールし、標的核酸にアニールしない非相補的5'領域が5' フラップを形成するように、標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、標的核酸に対する結合部分を含む、部分的相補的オリゴヌクレオチドプローブと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製することができる。アニーリングは、好ましくは、適した緩衝液(たとえば、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後に、およそ50〜60℃の間までの冷却)で行われる。
本発明のもう一つの態様において、本発明による切断構造は、標的核酸を、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のプライマー、および3'相補的領域が標的核酸にアニールし、標的核酸にアニールしない非相補的5'領域が5' フラップを形成するように、標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、結合部分を含む、部分的相補的オリゴヌクレオチドプローブと共にインキュベートすることによって調製することができる。アニーリングは、好ましくは、適した緩衝液(たとえば、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液(Stratagene)または1×Pfu緩衝液(Stratagene))の存在下で核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後に、およそ50〜60℃の間までの冷却)で行われる。
もう一つの態様において、本発明は、非オーバーラップ(非侵入性の)切断構造の形成時にのみ選択的に切断される切断抵抗性プローブを含む切断構造を提供する。この態様において、本発明による切断構造は、
a)上流のプライマー、
b)上流のプライマーの下流の5000ヌクレオチドを超えない位置に存在する切断抵抗性プローブ、
c)標的配列がプライマーとプローブの双方に対して相補的である適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液(たとえば、Stratagene(カタログ番号200536)から入手可能な1×Pfu緩衝液または用いる特定のポリメラーゼおよびヌクレアーゼと適合性である緩衝液)を、
標的をプライマーおよびプローブにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で1〜2分の後におよそ40〜72℃の間まで冷却)でインキュベートすることによって形成される。最適な温度は、特異的プローブ、プライマー、およびポリメラーゼに応じて変動するであろう。
本発明のいくつかの態様において、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチドの3'端が、下流のプローブにアニールする標的の1またはそれより多い塩基対(図14Bおよび15B)に相補的である、オーバーラップフラップを含む切断構造を形成するであろう。このオーバーラップ構造(侵入性)が形成されると、切断抵抗性プローブはヌクレアーゼによって切断されず、このように侵入性切断構造が形成されると検出可能シグナルは産生されない。
もう一つの態様において、プライマーおよび切断抵抗性プローブはオーバーラップしない。たとえば、プライマーは、下流のプローブの標的相補的部分に接している(伸長またはハイブリダイゼーションの際に)。この態様において、切断構造はオーバーラップせず、プローブは、+1位の上流(たとえば、肘部)で、切断に対して抵抗性ではないプローブの位置でヌクレアーゼによって切断される(図14Bおよび15A)。
さらにもう一つの態様において、切断オリゴヌクレオチドおよび切断抵抗性プローブは、非オーバーラップ切断構造を形成する。たとえば、切断オリゴヌクレオチドは、下流のプローブの標的相補的部分に接する。この態様において、切断構造は、非オーバーラップであり、プローブは、切断に対して抵抗性ではないプローブの位置、+1位の上流で(たとえば、肘部で)ヌクレアーゼによって切断される(図14Bおよび15A)。
B.標識切断構造の調製法
この態様において、標識をオリゴヌクレオチドプローブに付着させる。本発明の一つの態様において、標識は、標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、切断構造を含む結合部分を含む、オリゴヌクレオチドプローブに付着する。もう一つの態様において、標識は二次構造を有しないプローブに付着する。このように、切断されたモノヌクレオチドまたはフラップ特異的ヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性によって切断される低分子オリゴヌクレオチドを検出することができる。
本発明による標識切断構造は、
a)上流の伸長可能な3'端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、
b)上流のプライマーの下流の5000ヌクレオチドを超えない位置に存在する標識プローブ、
c)標的配列がオリゴヌクレオチドに相補的である適切な標的核酸配列、および
d)適した緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液)を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後におよそ50〜60℃まで冷却)でインキュベートすることによって形成される。本発明による切断構造はまた、標的核酸配列にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチド(たとえば、図3におけるA)の3'端が標的核酸配列にアニールする下流のオリゴヌクレオチド(たとえば、図3におけるC)の1塩基対に相補的であり、1塩基対のオーバーラップが、一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流である、オーバーラップフラップを含む。上流のプライマーの3'端は、上流のプライマーの新たに合成された3'端が、下流のプローブの標識された5'端を部分的に置き換えるように、ポリメラーゼ(たとえば、逆転写酵素)の合成活性によって伸長される。伸長は、好ましくは1×Pfu緩衝液の存在下で72℃で15秒間行われる。本発明による切断構造は、標的核酸配列にアニールせず5' フラップを形成する非相補的な標識された5'領域と標的核酸配列にアニールする相補的3'領域とを含むプローブと共に、標的核酸配列をインキュベートすることによって調製することができる。アニーリングは、好ましくは、適した緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液)の存在下で核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後におよそ50〜60℃の間まで冷却させる)で行われる。
一つの態様において、本発明による標識切断構造は、
a)上流の伸長可能な3'端、好ましくはオリゴヌクレオチドプライマー、
b)標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、上流のプライマーの下流の5000ヌクレオチドより多くない位置に存在する結合部分を含む、標識プローブ、
c)標的配列がオリゴヌクレオチドに相補的である適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液)を、
核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後およそ50〜60℃の間まで冷却させる)でインキュベートすることによって形成される。本発明による切断構造はまた、標的核酸(たとえば、図4におけるA)にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチドの3'端が、標的核酸にアニールする結合部分(たとえば、図4におけるC)を含む、標的核酸に結合した際に変化する本明細書において定義される二次構造を有する下流のオリゴヌクレオチドプローブの1塩基対に相補的であり、1塩基対のオーバーラップが一本鎖フラップの伸長点のすぐ下流である、オーバーラップフラップを含む。上流のプライマーの3'端は、上流のプライマーの新たに合成された3'端が、下流のプローブの標識された5'端を部分的に置き換えるように、ポリメラーゼの合成活性によって伸長される。伸長は好ましくは、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で72℃で15秒間行われる。
もう一つの態様において、本発明による切断構造は、標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、かつ結合部分を含み、かつ標的核酸にアニールせず5'フラップを形成する非相補的な標識5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含む、プローブと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製することができる。アニーリングは、好ましくは、適した緩衝液(たとえば、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で、核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後、およそ50〜60℃の間まで冷却させる)で行われる。
もう一つの態様において、本発明による切断構造は、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のプライマー、および標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、かつ結合部分を含み、かつ標的核酸にアニールせず5'フラップを形成する非相補的な標識5'領域と標的核酸にアニールする相補的3'領域とをさらに含む、プローブと共に、標的核酸をインキュベートすることによって調製することができる。アニーリングは、好ましくは、適した緩衝液(たとえば、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液)の存在下で、核酸配列をオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で2〜5分の後、およそ50〜60℃の間まで冷却させる)で行われる。
もう一つの態様において、本発明は、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造の形成時にのみ切断される標識された切断抵抗性プローブを含む標識切断構造を提供する。この態様において、本発明による切断構造は、
a)上流のプライマー、
b)上流のプライマーの下流の5000ヌクレオチドを超えない位置に存在する標識された切断抵抗性プローブ、
c)標的配列がプライマーとプローブの双方に対して相補的である適切な標的核酸、および
d)適した緩衝液(たとえば、Stratagene(カタログ番号200536)から入手可能な1×Pfu緩衝液、または用いられる特定のポリメラーゼおよびヌクレアーゼと適合性である他の緩衝液)を、
標的をプライマーおよびプローブにハイブリダイズさせる条件(たとえば、95℃で1〜2分の後、およそ40〜72℃の間まで冷却させる)でインキュベートすることによって形成される。最適な温度は、特異的プローブ、プライマー、およびポリメラーゼに応じて変動するであろう。
本発明のいくつかの態様において、標的核酸にハイブリダイズすることができる上流のオリゴヌクレオチド(図14 B/C)の3'端が、下流のプローブにアニールする標的(図14Bおよび図15B)の1またはそれより多い塩基に相補的である、オーバーラップフラップを含む、切断構造を形成するであろう。このオーバーラップ構造(侵入性)が形成されると、切断抵抗性プローブは、ヌクレアーゼによって切断されず、このように侵入性の切断構造を形成すると検出可能シグナルを産生しない。
もう一つの態様において、プライマーおよび切断抵抗性プローブはオーバーラップしない。たとえば、プライマーは、下流のプローブ(図14Bおよび15A)の標的相補的部分に接している(伸長またはハイブリダイゼーション時のいずれかに)。この態様において、切断構造はオーバーラップせず、標識プローブは、+1位の上流(たとえば、肘部)で切断に対して抵抗性ではないプローブの位置でヌクレアーゼによって切断される。その後、任意のいくつかの戦略を用いて、切断されない標識核酸をその切断断片と区別してもよい。本発明は、固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分またはタグの結合によって捕獲される、切断されて放出された核酸断片の量を検出する方法を提供する。このようにして、本発明は、標的核酸を含有するそれらの試料を同定することができる。
オリゴヌクレオチドプローブは、以下に記述されるように、分光的、光化学的、生化学的、免疫化学的、酵素的、または化学的手段によって検出可能な部分を組み入れることによって標識される。オリゴヌクレオチドプローブに標識を連結または共役させる方法は、当然、用いられる標識のタイプ、およびプローブ上の標識の位置に依存する。本発明により有用であるプローブは、5'端、3'端で標識することができる、またはプローブの長さ全体にわたって標識することができる。
本発明において用いるために適切であろう多様な標識と共に、プローブにそれらを含める方法は、当技術分野において公知であり、これには互いに相互作用してシグナルを増強、変更、または減損させる可能性がある、酵素(たとえば、アルカリホスファターゼ、および西洋ワサビペルオキシダーゼ)、および酵素基質、放射活性原子、蛍光色素、発色団、化学発光標識、Origen(商標)(Igen)などの電気化学発酵標識が含まれるがこれらに限定されるわけではない。当然、サーマルサイクラー機器を用いて行われるPCRに基づくアッセイ法において標識分子を用いる場合、標識は、この自動化プロセスにおいて必要な温度サイクリングを生き抜くことができなければならない。
放射活性原子の中で、33Pまたは32Pが好ましい。33Pまたは32Pを核酸に導入するための方法は当技術分野において公知であり、たとえば、キナーゼによる5'標識、またはニック翻訳によるランダム挿入が含まれる。「特異的結合パートナー」は、たとえば抗原およびそれに対して特異的なモノクローナル抗体の場合のように、高い特異性でリガンド分子を結合することができるタンパク質を指す。他の特異的結合パートナーには、ビオチンおよびアビジン、またはストレプトアビジン、IgG、およびプロテインA、ならびに当技術分野において公知である多数の受容体-リガンドカップルが含まれる。同じ標識がいくつかの異なる様式において役割を果たす可能性があることから、上記の説明は、別個のクラスに様々な標識を分類することを意味しているのではない。たとえば、125Iは、放射活性標識として、または電子密度の高い試薬として役立つ可能性がある。HRPは、酵素として、またはモノクローナル抗体のための抗原として役立つ可能性がある。さらに、望ましい効果を得るために様々な標識を組み合わせてもよい。たとえば、プローブをビオチンによって標識してもよく、かつ125Iによって標識されたアビジンまたはHRPによって標識された抗ビオチンモノクローナル抗体によってプローブの存在を検出してもよい。他の順列および可能性は、当業者に容易に明らかとなり、本発明の範囲内における同等物であると見なされる。
本発明の標識プローブを構築する場合に標識として用いるための蛍光体には、ローダミンおよび誘導体(テキサスレッドなどの)、フルオレセインおよび誘導体(5-ブロモメチルフルオレセインなどの)、ルシファーイエロー、IAEDANS、7-Me2N-クマリン-4-アセテート、7-OH-4-CH3-クマリン-3-アセテート、7-NH2-4-CH3-クマリン-3-アセテート(AMCA)、モノブロモビマン(bimane)、カスケードブルーなどのピレントリスルホネート、およびモノブロモリメチル-アンモニオビマンが含まれる。一般的に、検出効率を増加させるためにモノクロモメーターよりむしろフィルターを有する蛍光計を用いるために、広いストークスシフトを有する蛍光体が好ましい。
蛍光体によって標識されたプローブは、本発明による標識プローブを含む切断構造のヌクレアーゼ(たとえば、FEN-ヌクレアーゼ)媒介切断において容易に用いられうる。標識がプローブの5'端に存在する場合、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)生成標識断片は、当技術分野において周知の技法によって、無傷のハイブリダイズプローブから分離される。
本発明のもう一つの態様において、加水分解された標識プローブの検出は、たとえば、分子タンブリングに基づいて高分子と低分子とを区別する技術である蛍光偏光を用いて成就されうる。高分子(すなわち、無傷の標識プローブ)は、低分子より非常にゆっくり溶液中で転がる。関心対象分子上の適切な部位に蛍光部分が連結すると、この蛍光部分を、分子タンブリングに基づいて測定して(および識別して)、このように無傷のプローブと消化されたプローブとを区別することができる。
いくつかの状況において、オリゴヌクレオチドプローブのアンフォールディング(たとえば、たとえばプローブの二次構造の変化による)または加水分解の際に標識を分離させるために、オリゴヌクレオチド上の標識の適当な間隔を維持するために当然の検討を行って、一つのオリゴヌクレオチドプローブ上で、二つの相互作用標識(たとえば、FRETもしくは非FRET対)または相互作用シグナル生成部分の対を用いることができる。本発明による有用な好ましい相互作用標識には、ローダミンおよび誘導体、フルオレセインおよび誘導体、テキサスレッド、クマリンおよび誘導体、クリスタルバイオレットが含まれるがこれらに限定されるわけではなく、本明細書において記述される任意のFRETまたは非FRET標識のほかに、DABCYL、TAMRA、およびNTB(ニトロチオアゾールブルー)が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
次に、放出された標識の蛍光を、標的に結合されたままである標識と比較する。プローブが、約20ヌクレオチドによって分離されている蛍光体と消光剤とによって合成される場合、ヌクレアーゼ(たとえば、FEN-ヌクレアーゼ)生成断片と、ヌクレアーゼ(たとえば、FEN-ヌクレアーゼ)の存在下での切断後に標的に結合されたままであるプローブとを分離する必要はない。または、消光剤は、プローブが標的核酸にハイブリダイズした場合に蛍光を発しないように配置される。そのような二重標識プローブは、色素から放射された光が消光剤によって消光されることから、無傷の場合、または標的核酸にハイブリダイズしていない場合(またはプローブが解離していなければ、二分子もしくは多分子プローブの場合)、蛍光を発しないであろう。このように、無傷のプローブから放射されたいかなる蛍光も、バックグラウンド蛍光であると見なされる。一つの態様において、標識プローブがFENヌクレアーゼによって切断される場合、色素および消光剤が分離され、放出された断片は蛍光を発するであろう。または、標識されたプローブが標的核酸にハイブリダイズする場合、色素と消光剤との間の距離は増加し、蛍光レベルは増加する。プローブが二分子または多分子プローブである態様において、プローブを含む分子の解離によって、蛍光の増加が起こる。蛍光量は、試料中に存在する核酸標的配列の量に比例する。
なおもう一つの態様において、標識核酸がそれぞれのプライマーの下流にアニールするように、それぞれが二本鎖標的配列の異なる鎖の異なる領域に対して相補的であるが、互いには相補的でない二つの標識核酸を用いる。たとえば、プローブが二つ存在することによって、一つの標識から生成されたシグナルの強度をおそらく倍加することができ、PCR増幅の際にしばしば起こるように、産物鎖の再アニーリングを低減させるように役立つ可能性がある。プローブは、プライマーが結合する位置に近接する(下流の)位置でプローブが結合するように選択される。
また、他の利益を達成するために本発明において多数のプローブを用いることができる。たとえば、望ましい限り多くのプローブを反応混合物に単に加えることによって、試料中の任意の数の病原体を試験することができ;プローブはそれぞれ検出を容易にするために異なる標識を含みうる。
また、本発明において多数のプローブを用いて、たとえば異なるTmを有するプローブを用いて、唯一つのプローブ/対立遺伝子二重鎖に対して特異的な温度でアニーリング/切断反応を行うことによって、対立遺伝子特異的または種特異的識別を達成することができる。また、一つのプローブのみを用いることおよび生成された切断産物のタイプを調べることによっても、対立遺伝子特異的識別を達成することができる。本発明の一つの態様において、プローブは、一つの対立遺伝子に対して少なくとも5'末端領域において正確に相補的であるが、他の対立遺伝子に対しては相補的でないように設計される。他の対立遺伝子に関して、プローブが正確に相補的な対立遺伝子にハイブリダイズした場合に生成される切断産物と比較して、異なる切断産物が生成されるように、プローブは、プローブの5'末端領域においてミスマッチを有するであろう。
重要な利益を達成するためにプローブ配列を選択することができるが、本明細書において定義されるプローブ標識および/またはタグの選択によって重要な長所を了解することができる。標識を、多様な技術によって直接または間接的にオリゴヌクレオチドに付着させてもよい。用いられる標識またはタグの正確なタイプに応じて、標識はプローブの5'もしくは3'端に位置することができ、プローブの内部に位置することができ、またはシグナル相互作用を容易にするために、様々な大きさのスペーサーアームおよび組成物に付着することができる。市販のホスホラミダイト試薬を用いて、適切に保護されたホスホラミダイトによって5-または3-末端のいずれかで官能基(たとえば、チオールまたは一級アミン)を含有するオリゴマーを産生することができ、それらを、たとえばPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis et al., eds. Academic Press, Ind., 1990において記述されるプロトコールを用いて標識することができる。
一つまたは複数のスルフヒドリル、アミノ、またはヒドロキシル部分をオリゴヌクレオチドプローブ配列に、典型的に5'末端に導入するためにオリゴヌクレオチド官能化試薬を導入する方法は、米国特許第4,914,210号において記述される。5'リン酸基は、レポーター基を提供するために、ポリヌクレオチドキナーゼおよびγ-32P-ATPまたはγ-33P-ATPを用いて放射性同位元素として導入されうる。合成の際に導入された、アミノチミジン残基または6-アミノヘキシル残基をビオチンのN-ヒドロキシスクシニミドエステルと反応させることによって、ビオチンを5'端に付加することができる。3'末端での標識は、たとえばコルジセピン35S-dATP、およびビオチン化dUTPなどの望ましい部分を付加するために、ポリヌクレオチドターミナルトランスフェラーゼを使用してもよい。
オリゴヌクレオチド誘導体も同様に利用可能な標識である。たとえば、エテノdAおよびエテノAは、核酸プローブに組み入れることができる公知の蛍光アデニンヌクレオチドである。同様に、エテノ-dCまたは2-アミノプリンデオキシリボシドは、プローブの合成において用いることができるもう一つの類似体である。そのようなヌクレオチド誘導体を含有するプローブは加水分解されて、フラップ特異的ヌクレアーゼ活性によって非常により強い蛍光モノヌクレオチドを放出する可能性がある。
C.切断構造の切断およびシグナルの生成
本発明による切断構造は、「ヌクレアーゼ」と題する、上記の章において記述された方法によって切断することができる。
D.プローブの選択的ターゲティング
Pfu FENは、標的核酸にハイブリダイズする上流のオリゴヌクレオチド(たとえば、プライマー)の3'端と比較して、一つの位置で主に下流のプローブを切断する。二つのオリゴヌクレオチドの間にニックのみが存在するように(たとえば、上流のオリゴヌクレオチドおよび下流のオリゴヌクレオチドが標的とハイブリダイゼーションすると、または上流のオリゴヌクレオチドの3'端が伸長すると、作製される)、上流のオリゴヌクレオチド(プライマー)が下流のオリゴヌクレオチドのハイブリダイズ領域(プローブ)とオーバーラップしないが、下流のオリゴヌクレオチド(非オーバーラップ切断構造)に接する場合、FENは下流のオリゴヌクレオチドにおいて+1位の上流を切断する。本発明による切断抵抗性プローブを使用して、プローブは、その切断抵抗性ブロックのために切断されることができず、プライマーが伸長すると標的から置き換えられるであろう。
このように、当業者は、下流のプローブの特異的領域を標的とするために、下流のプローブの相補的部分に対して上流のプライマーの3'端を選択的に位置付けることができる。
E.侵入性および非侵入性切断構造の区別
蛍光/消光剤対の配置
先に記述したように、一つの態様において、本発明は、蛍光体/消光剤対によって二重標識されるプローブを用いることを企図する。標識プローブがFENヌクレアーゼ(または本明細書において記述される他のヌクレアーゼ)によって切断される場合、蛍光体と消光剤とが分離し、残りの断片は蛍光を発するであろう。プローブ上の蛍光体および消光剤の位置付けは、プローブの非オーバーラップ(侵入性)およびオーバーラップ(非侵入性)切断を識別するように特異的に選択されてもよいと企図される。レポーター分子の配置は、蛍光体/消光剤対の状況において記述されているが、その特異的レポーター系に限定されないことは、当業者によって認識されるであろう。レポーター分子の位置付けをまた、たとえばインターカレート色素などの他のレポーター系に適用してもよく、特異的部位でのプローブの切断によって、色素シグナルの消光が得られるであろう。位置付けスキームはまた、レポーター分子を相互作用させる工程を含む任意のレポーター系において用いてもよく、この場合、分子の相互作用はプローブの非相補的部分の切断によって中断される可能性がある。そのようなレポーター系は当技術分野において公知であり、本明細書において記述される。
したがって、消光剤などの相互作用標識の対の一つのメンバーを、プローブのハイブリダイズ領域の+1位の塩基に付着させて、蛍光体を5'フラップにおける塩基に付着させる場合、+1位の下流を切断しても、消光剤およびレポーター基はなおも同じ核酸分子に付着したままであり、シグナルは生成されない。しかし、プローブの+1位の上流で切断が起こると、+1位の塩基に位置する消光剤がフラップ上に位置するレポーターから分離するようになるであろう。+1位の上流に切断が存在すると、上流のオリゴヌクレオチドは、下流のプローブのハイブリダイズ領域とオーバーラップしないであろう。標的に対して相補的でありかつ下流のプローブの標的相補的部分とオーバーラップする3'部分を上流のオリゴヌクレオチドが有するオーバーラップ構造(たとえば、侵入性の切断構造)を形成する場合、これによって、+1位の下流で切断が起こり、+1位に位置する消光剤と5'フラップ上に位置するレポーター基との物理的分離は起こらない。本発明により、オーバーラップ(侵入性の切断)構造に起因する切断事象は検出不能であり、検出されないであろうが、非オーバーラップ(非侵入性)切断構造に起因する切断は検出可能である。このように、下流のプローブのハイブリダイズ/相補的部分の+1位に消光剤分子(BHQなどの)を位置付けると、非侵入性切断のみを検出することができる。
したがって、本発明の一つの態様は、下流のプライマーの相補的領域の+1位に消光剤(たとえば、BHQ)を位置付け、肘部の上流に蛍光体(たとえば、FAM)を位置付けることを企図する。同様に蛍光体/消光剤対の配置は、消光剤が5'フラップ上にあり、蛍光体が下流のプローブの相補的領域の+1位に位置するように、逆転させてもよいと企図される。
したがって、本発明は、非侵入性の切断構造からのみシグナルを生成し、侵入性の切断構造からはシグナルを生成しないように、肘部の上流に蛍光基(FAM基などの、しかしこれに限定されない)、および+1位に消光剤を有する下流のプローブを用いることを企図する。
いくつかの態様において、標識の相互作用対が選択的に位置付けられたプローブは、切断抵抗性プローブである。この態様において、プローブは、非オーバーラップ切断構造が形成された場合に切断されうるのみである。同様に、検出可能シグナルは、非オーバーラップ切断構造が形成および切断されると産生されるであろう。
F.放出された標識断片の検出
標識断片の検出または確認は、当技術分野において周知の多様な方法によって成就されてもよく、これは標識切断構造を含む標識部分の特徴に依存する可能性がある。
本発明の一つの態様において、放出された標識断片が含まれる反応産物をサイズ分析に供する。標識断片のサイズを決定するための方法は当技術分野において公知であり、これにはたとえばゲル電気泳動、勾配での沈殿、ゲル排除クロマトグラフィー、質量分析、およびホモクロマトグラフィーが含まれる。もう一つの態様において、検出可能シグナルは相互作用標識対の分離時に生成される。
一つの態様において、放出された標識断片は、固相支持体に付着した捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される。
1.捕獲エレメント
本発明による捕獲エレメントは、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として、結合部分に特異的に結合する(たとえば水素結合によって、またはたとえば核酸結合タンパク質と核酸結合部位間、もしくは相補的核酸間の相互作用によって)任意の部分となりうる。
本発明により、結合部分には、捕獲エレメントに結合するプローブの領域が含まれる。本発明による捕獲エレメントは、捕獲エレメントに結合するプローブの領域を含む結合部分に対して相補的であり、たとえば水素結合によって結合する核酸配列となりうる。たとえば、結合部分は、核酸配列
Figure 2010525792
を含むプローブの領域であり、対応する捕獲エレメントは、核酸配列
Figure 2010525792
を含む。
本発明はまた、結合部分またはタグがDNA結合タンパク質であり、対応する捕獲エレメントがDNA結合タンパク質によって認識および結合されるDNA配列である、結合部分-捕獲エレメントまたはタグ-捕獲エレメント対を提供する。本発明はまた、捕獲エレメントがDNA結合タンパク質であり、対応する結合部分またはタグがDNA結合タンパク質によって認識および結合されるDNA配列である、結合部分-捕獲エレメントまたはタグ-捕獲エレメント対を提供する。
本発明による有用なDNA配列/DNA結合タンパク質相互作用には、c-myb、AAF、abd-A、Abd-B、ABF-2、ABF1、ACE2、ACF、ADA2、ADA3、Adf-1、Adf-2a、ADR1、AEF-1、AF-2、AFP1、AGIE-BP1、AhR、AIC3、AIC4、AID2、AIIN3、ALF1B、α-1、α-CP1、α-CP2a、α-CP2b、α-因子、α-PAL、α2uNF1、α2uNF3、αA-CRYBP1、αH2- αH3、αMHCBF1、aMEF-2、AML1、AnCF、ANF、ANF-2、Antp、AP-1、AP-2、AP- 3、AP-5、APETALA1、APETALA3、AR、ARG RI、ARG RII、Arnt、AS-C T3、AS321、ASF-1、ASH-1、ASH-3b、ASP、AT-13P2、ATBF1-A、ATF、ATF-1、ATF-3、ATF- 3δZIP、ATF-aδ、ATF様、Athb-1、Athb-2、Axial、abaA、ABF-1、Ac、ADA-NF1、ADD1、Adf-2b、AF-1、AG、AIC2、AIC5、ALF1A、α-CBF、α-CP2a、α-CP2b、α-IRP、α2uNF2、αH0、AmdR、AMT1、ANF-1、Ap、AP-3、AP-4、APETALA2、aRA、ARG RIII、ARP-1、Ase、ASH-3a、AT-BP1、ATBF1-B、ATF-2、ATF-a、ATF/CREB、Ato、B因子、B"、B-Myc、B-TFIID、バンドI因子、BAP、Bcd、BCFI、Bcl-3、β-1、BETA1、BETA2、BF-1、BGP1、BmFTZ-F1、BP1、BR-C Z1、BR-C Z2、BR-C Z4、Brachyury、BRF1、BrlA、Brn-3a、Brn-4、Brn-5、BUF1、BUF2、B-Myb、BAF1、BAS1、BCFII、β-因子、β3、BLyF、BP2、BR-C Z3、brahma、byr3、c-abl、c-Ets-1、c-Ets-2、c-Fos、c-Jun、c-Maf、c-myb、c-Myc、c-Qin、c-Rel、C/EBP、C/EBPα、C/EBPβ、C/EBPδ、C/EBPε、C/EBPγ、C1、CAC-結合タンパク質、CACCC-結合因子、Cactus、Cad、CAD1、CAP、CArG box-結合タンパク質、CAUP、CBF、CBP、CBTF、CCAAT-結合因子、CCBF、CCF、CCK-1a、CCK-1b、CD28RC、CDC10、Cdc68、CDF、cdk2、CDP、Cdx-1、Cdx-2、Cdx-3、CEBF、CEH-18、CeMyoD、CF1、Cf1a、CF2-I、CF2-II、CF2-III、CFF、CG-1、CHOP-10、Chox-2.7、CIIIB1、Clox、Cnc、CoMP1、コア結合因子、CoS、COUP、COUP-TF、CP1、CP1A、CP1B、CP2、CPBP、CPC1、CPE 結合タンパク質 CPRF-1、CPRF-2、CPRF-3、CRE-BP1、CRE-BP2、CRE-BP3、CRE-BPa、CreA、CREB、CREB-2、CREBω、CREMα、CREMβ、CREMδ、CREMε、CREMγ、CREMτα、CRF、CSBP-1、CTCF、CTF、CUP2、Cut、Cux、Cx、サイクリンA、CYS3、D-MEF2、Da、DAL82、DAP、DAT1、DBF-A、DBF4、DBP、DBSF、dCREB、dDP、dE2F、DEF、Delilah、δ因子、δCREB、δE1、δEF1、δMax、DENF、DEP、DF-1、Dfd、dFRA、ジオキシン受容体、dJRA、D1、DII、Dlx、DM- SSRP1、DMLP1、DP-1、Dpn、Dr1、DRTF、DSC1、DSP1、DSXF、DSXM、DTF、E、E1A、E2、E2BP、E2F、E2F-BF、E2F-I、E4、E47、E4BP4、E4F、E4TF2、E7、E74、E75、EBF、EBF1、EBNA、EBP、EBP40、EC、ECF、ECH、EcR、eE-TF、EF-1A、EF-C、EF1、EFγ、Egr、eH-TF、EIIa、EivF、EKLF、Elf-1、Elg、Elk-1、ELP、Elt-2、EmBP-1、胚DNA結合タンパク質、Emc、EMF、Ems、Emx、En、ENH-結合タンパク質、ENKTF-1、εF1、ER、Erg、Esc、ETF、Eve、Evi、Evx、Exd、Ey、f(α-ε)、F-ACT1、f-EBP、F2F、1-3因子、Bl因子、B2因子、δ因子、I因子、FBF-A1、Fbf1、FKBP59、Fkh、F1bD、Flh、Fli-1、FLV-1、Fos-B、Fra-2、FraI、FRG Y1、FRG Y2、FTS、Ftz、Ftz-F1、G因子、G6因子、GA-BF、GABP、GADD 153、GAF、GAGA因子、GAL4、GAL80、γ-因子、γCAAT、γCAC、γOBP、GATA-1、GATA-2、GATA-3、GBF、GC1、GCF、GCF、GCN4、GCR1、GE1、GEBF-I、GF1、GFI、Gfi-1、GFII、GHF-5、GL1、Glass、GLO、GM-PBP-1、GP、GR、GRF-1、Gsb、Gsbn、Gsc、Gt、GT-1、Gtx、H、H16、H11TF1、H2Babp1、H2RIIBP、H2TF1、H4TF-1、HAC1、HAP1、Hb、HBLF、HBP-1、HCM1、熱誘導因子、HEB、HEF-1B、HEF-1T、HEF-4C、HEN1、HES-1、HIF-1、HiNF-A、HIP1、HIV-EP2、Hlf、HMBI、HNF-1、HNF-3、Hox11、HOXA1、HOXA10、HOXA10PL2、HOXA11、HOXA2、HOXA3、HOXA4、HOXA5、HOXA7、HOXA9、HOXB1、HOXB3、HOXB4、HOXB5、HOXB6、HOXB7、HOXB8、HOXB9、HOXC5、HOXC6、HOXC8、HOXD1、HOXD10、HOXD11、HOXD12、HOXD13、HOXD4、HOXD8、HOXD9、HP1部位因子、Hp55、Hp65、HrpF、HSE-結合タンパク質、HSF1、HSF2、HSF24、HSF3、HSF30、HSF8、hsp56、Hsp90、HST、HSTF、I-POU、IBF、IBP-1、ICER、ICP4、ICSBP、Id1、Id2、Id3、Id4、IE1、EBP1、IEFga、IF1、IF2、IFNEX、IgPE-1、IK-1、IκB、Il-1 RF、IL-6 RE-BP、Il-6 RF、ILF、ILRF-A、IME1、INO2、INSAF、IPF1、IRBP、IRE-ABP、IREBF-1、IRF-1、ISGF-1、Isl-1、ISRF、ITF、IUF-1、Ixr1、JRF、Jun-D、JunB、JunD、K-2、kappay因子、kBF-A、KBF1、KBF2、KBP-1、KER-1、Ker1、KN1、Kni、Knox3、Kr、kreisler、KRF-1、Krox-20、Krox-24、Ku自己抗原、KUP、Lab、LAC9、LBP、Lc、LCR-F1、LEF-1、LEF-1S、LEU3、LF-A1、LF-B1、LF-C、LF-H3β、LH-2、Lim-1、Lim-3、lin-11、lin-31、lin-32、LIP、LIT-1、LKLF、Lmx-1、LRF-1、LSF、LSIRF-2、LVa、LVb-結合因子、LVc、LyF-1、Lyl-1、M因子、M-Twist、M1、m3、Mab-18、MAC1、Mad、MAF、MafB、MafF、MafG、MafK、Ma163、MAPF1、MAPF2、MASH-1、MASH-2、mat-Mc、mat-Pc、MATa1、MATα1、MATα2、MATH-1、MATH-2、Max1、MAZ、MBF-1、MBP-1、MBP-2、MCBF、MCM1、MDBP、MEB-1、Mec-3、MECA、媒介因子、MEF-2、MEF-2C、MEF-2D、MEF1、MEP-1、Meso1、MF3、Mi、MIF、MIG1、MLP、MNB1a、MNF1、MOK-2、MP4、MPBF、MR、MRF4、MSN2、MSN4、Msx-1、Msx-2、MTF-1、mtTF1、μEBP-B、μEBP-C2、MUF1、MUF2、Mxi1、Myef-2、Myf-3、Myf-4、Myf-5、Myf-6、Myn、MyoD、ミオゲニン、MZF-1、N-Myc、N-Oct-2、N-Oct-3、N-Oct-4、N-Oct-5、Nau、NBF、NCl、NeP1、Net、NeuroD、ニューロゲニン、NF III-a、NF-1、NF-4FA、NF-AT、NF-BA1、NF-CLE0a、NF-D、NF-E、NF-E1b、NF-E2、NF-EM5、NF-GMa、NF-H1、NF-IL-2A、NF-InsE1、NF- κB、NF-λ2、NF-MHCIIA、NF-μE1、NF-μNR、NF-S、NF-TNF、NF-U1、NF- W1、NF-X、NF-Y、NF-Zc、NFα1、NFAT-1 、NFβA、NFδE3A、NFδE4A、NFe、NFE-6、NFH3-1、NFH3-2、NFH3-3、NFH3-4、NGFI-B、NGFI-C、NHP、Nil-2-a、NIP、NIT2、Nkx-2.5、NLS1、NMH7、NP-III、NP-IV、NP-TCII、NP-Va、NRDI、NRF-1、NRF-2、Nrfl、Nrf2、NRL、NRSF 1型、NTF、NUC-1、Nur77、OBF、OBP、OCA-B、OCSTF、Oct-1、Oct-10、Oct-11、Oct-2、Oct-2.1、Oct-2.3、Oct-4、Oct-5、Oct-6、Oct-7、Oct-8、Oct-9、Oct-B2、Oct-R、Octa因子、オクタマー結合因子、Odd、Olf-1、Opaque-2、Otd、Otxl、Otx2、Ovo、P、P1、p107、pl30、p28モジュレータ、p300、p38erg、p40x、p45、p49erg、p53、p55、p55erg、p58、p65δ、p67、PAB1、PacC、Pap1、Paraxis、Pax-1、Pax-2、Pax-3、Pax-5、Pax-6、Pax-7、Pax-8、Pb、Pbx-1a、Pbx-1b、PC、PC2、PC4、PC5、Pcr1、PCRE1、PCT1、PDM-1、PDM-2、PEA1、PEB1、PEBP2、PEBP5、Pep-1、PF1、PGA4、PHD1、PHO2、PHO4、PHO80、Phox-2、Pit-1、PO-B、pointedP1、Pou2、PPAR、PPUR、PPYR、PR、PR A、Prd、PrDI-BF1、PREB、Prh proein a、プロテインb、プロテインc、プロテインd、PRP、PSE1、PTF、Pu box結合因子、PU.1、PUB1、PuF、PUF-I、Pur因子、PUT3、pX、qa-1F、QBP、R、R1、R2、RAd-1、RAF、RAP1、RAR、Rb、RBP-Jκ、RBP60、RC1、RC2、REB1、RelA、RelB、CAR1発現のリプレッサー、REX-1、RF-Y、RF1、RFX、RGM1、RIM1、RLM1、RME1、Ro、RORα、Rox1、RPF1、RPGα、RREB-1、RRF1、RSRFC4、runt、RVF、RXR-α、RXR-β、RXR-β2、RXR-γ、S-CREM、S- CREMβ、S8、SAP-1a、SAP1、SBF、Sc、SCBPα、SCD1/BP、SCM-誘導因子、Scr、Sd、Sdc-1、SEF-1、SF-1、SF-2、SF-3、SF-A、SGC1、SGF-1、SGF-2、SGF-3、SGF-4、SIF、SIII、Sim、SIN1、Skn-1、SKO1、Slp1、Sn、SNP1、SNF5、SNAPC43、Sox-18、Sox-2、Sox-4、Sox-5、Sox-9、Sox-LZ、Sp1、spE2F、Sph因子、Spi-B、Sprm-1、SRB10、SREBP、SRF、SRY、SSDBP-1、ssDBP-2、SSRP1、STAF-50、STAT、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、STAT6、STC、STD1、Stel1、Stel2、Ste4、STM、Su(f)、SUM-1、SWI1、SWI4、SWI5、SWI6、SWP、T-Ag、t-Pou2、T3R、TAB、サブユニットが含まれる全てのTAFs、Tal-1、TAR因子、tat、Tax、TBF1、TBP、TCF、TDEF、TEA1、TEC1、TEF、tel、Tf-LF1、TFE3、全てのTFII関連タンパク質、TBA1a、TGGCA-結合タンパク質、TGT3、Th1、TIF1、TIN-1、TIP、T11、TMF、TR2、Tra-1、TRAP、TREB-1、TREB-2、TREB-3、TREF1、TREF2、Tsh、TTF-1、TTF-2、Ttk69k、TTP、Ttx、TUBF、Twi、TxREBP、TyBF、UBP-1、Ubx、UCRB、UCRF-L、UF1-H3β、UFA、UFB、UHF-1 、UME6、Unc-86、URF、URSF、URTF、USF、USF2、v- ErbA、v-Ets、v-Fos、v-Jun、v-Maf、v-Myb、v-Myc、v-Qin、v-Rel、Vab-3、ワクシニアウイルスDNA-結合タンパク質、Vav、VBP、VDR、VETF、vHNF-1、VITF、Vmw65、Vp1、Vp16、Whn、WT1、X-ボックス結合タンパク質、X-Twist、X2BP、XBP-1、XBP-2、XBP-3、XF1、XF2、XFD-1、XFD-3、xMEF-2、XPF-1、XrpF1、XW、XX、yan、YB-1、YEB3、YEBP、Yi、YPF1、YY1、ZAP、ZEM1、ZEM2/3、Zen-1、Zen-2、Zeste、ZF1、ZF2、Zfh-1、Zfh-2、Zfp-35、ZID、Zmhoxla、Zta、ならびにこれらのDNA結合タンパク質または活性に関連する、全ての関連する特徴付けされたおよび特徴付けされていない相同体およびファミリーメンバー、ならびに先に引用されたDNA結合タンパク質によって認識されるDNA配列が含まれるがこれらに限定されるわけではない。DNA結合タンパク質によって認識されるDNA配列を同定する方法は当技術分野において公知である(たとえば、U.S. 6,139,833を参照されたい)。
本発明はまた、テトラサイクリン(tet)リプレッサー、β-ガラクトシダーゼ(lacリプレッサー)、トリプトファン(trp)リプレッサー、λ特異的リプレッサータンパク質、CRO、および異化代謝産物活性化タンパク質、CAPおよびこれらのDNA結合タンパク質のそれぞれによって認識され、および当技術分野において公知であるDNA配列が含まれるがこれらに限定されるわけではないDNA配列/DNA結合タンパク質相互作用も企図する。本発明による有用なDNA/DNA結合タンパク質相互作用にはまた、好ましくは制限酵素のヌクレアーゼ活性が抑制される条件下で、制限酵素と対応する制限部位とが含まれる(参照により本明細書に組み入れられるU.S. 5,985,550)。
本発明による有用な他のDNA:タンパク質相互作用には、(i)表1および2において記載されるDNA配列タンパク質相互作用、および(ii)λOL-OR/CrOなどの細菌、酵母、およびファージ系(参照により本明細書に組み入れられる、U.S. 5,726,014)が含まれる。特異的認識配列および同源の認識配列に結合するタンパク質を含むいかなる対も、本発明において有用である可能性がある。
Figure 2010525792
Figure 2010525792
Figure 2010525792
* この表におけるそれぞれのタンパク質は、近縁のDNA配列の組を認識することができる。便宜上、各タンパク質に関して一つのみの認識配列が示される。
本明細書において定義される捕獲エレメントと本明細書において定義される結合部分との間に特異的結合が起こる反応を行う方法は、当技術分野において周知であり、たとえばSambrook et al.、前記;Ausubel et al.、前記を参照されたい。本発明による捕獲エレメントは、結合部分またはタグと捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として、結合部分またはタグに特異的に結合する(たとえば、共有結合もしくは水素結合または静電気的誘引によって、またはタンパク質とリガンド間、抗体と抗原間、タンパク質サブユニット間、核酸結合タンパク質と核酸結合部位間の相互作用によって)任意の部分となりうる。本明細書において定義される捕獲エレメントと本明細書において定義される結合部分との間に特異的結合が起こる反応を行う方法は、当技術分野において周知であり、たとえばSambrook et al.、前記;Ausubel et al.、前記を参照されたい。特異的結合は、結合部分を含むプローブの二次構造が、本明細書において定義されるように「変化した」場合に起こるのみである。本発明による有用な捕獲エレメントには、核酸結合タンパク質、またはヌクレオチド配列、ビオチン、ストレプトアビジン、ハプテン、タンパク質、ヌクレオチド配列、または化学反応部分が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
本発明の一つの態様において、放出された標識断片が含まれる反応産物をサイズ分析に供する。標識断片のサイズを決定するための方法は当技術分野において公知であり、たとえばゲル電気泳動、勾配における沈殿、ゲル排除クロマトグラフィー、質量分析、およびホモクロマトグラフィーが含まれる。
2.固相基質
本発明による固相基質は、膜、磁気ビーズ、組織培養プレート、シリカに基づくマトリクス、膜に基づくマトリクス、スチレン、ラテックス、またはシリカに基づく材料が含まれるがこれらに限定されるわけではない表面を含むビーズ、および他のポリマー、たとえば酢酸セルロース、テフロン、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン、ニトロセルロース、ポリエステル、カーボネート、ポリスルホン、金属、ゼオライト、紙、アルミナ、ガラス、ポリプロリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリアミド、プラスチック、濾紙、デキストラン、ゲルマニウム、シリコン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、酸化シリコン、硝酸シリコン、およびその組み合わせが含まれるがこれらに限定されるわけではない、分子(たとえば捕獲エレメント)が非可逆的に結合する任意の表面である。
本発明による有用な固相基質はまた、Sambrook et al.、前記、Ausubel et al.、前記、米国特許第5,427,779号、同第5,512,439号、同第5,589,586号、同第5,716,854号、および同第6,087,102号、Southern et al., 1999, Nature Genetics Supplement. 21:5、ならびにJoos et al., 1997, Analytical Biochemistry, 247:96においても記述されている。
固相支持体に捕獲エレメントを付着させる方法は当技術分野において公知であり、Sambrook et al.、前記、Ausubel et al.、前記、米国特許第5,427,779号、同第5,512,439号、同第5,589,586号、同第5,716,854号、および同第6,087,102、ならびにSouthern et al.、前記およびJoos et al.、前記において記述されている。固相支持体に核酸配列を固定する方法も同様に、固相支持体の製造元によって提供され、たとえば膜の場合Pall Corporation, SchleicherおよびSchuellから、磁気ビーズの場合Dyalから、培養プレートの場合Costar、Nalgenuncから、および本発明による他の支持体に関してはCPG, Incから提供される。
固相支持体に付着した捕獲エレメントに結合した放出された標識断片の量は、標識断片が捕獲エレメントに結合したままである間に、または標識断片が捕獲エレメントから放出された後に、測定することができる。捕獲エレメントからの標識断片の放出は、競合する非標識断片の過剰量の存在下で、またはたとえば塩濃度もしくはpHの結果として捕獲エレメントに対する標識断片の結合を阻害する緩衝液を加えることによって、標識断片-捕獲エレメント複合体をインキュベートすることによって行われる。
増幅時または増幅の後に、たとえばPCR混合物から放出された標識断片の分離は、たとえばPCRを固相抽出物(SPE)に接触させることによって成就されうる。たとえば、大きさ、電荷、または核酸塩基との相互作用に基づいて核酸結合能を有する材料を、標識された非切断核酸が結合し、短い標識された断片が結合しない条件下で、PCR混合物に加えることができる。そのようなSPE材料には、市販の結合粒子であるNensorb(DuPont Chemical Co.)、Nucleogen(The Nest Group)、PEI、BakerBond(商標)、PEI、Amicon PAE 1,000、Selectacel(商標)PEI、3'リボースプローブを有するボロネートSPE、プローブの3'端に相補的な配列を含有するSPE、およびヒドロキシルアパタイトなどのイオン交換樹脂またはビーズが含まれる。具体的な態様において、ヌクレアーゼ感受性切断部位によって5'標識から分離された3'ビオチン標識を含む二重標識オリゴヌクレオチドを、シグナル手段として使用する場合、反応混合物、たとえばPCR増幅混合物を、磁気粒子が含まれるビーズおよび粒子などの固相支持体に結合したアビジンもしくはストレプトアビジン、またはビオチンに対する抗体もしくはモノクローナル抗体などの特異的結合エレメントを含有する材料に、接触させることができる。
反応混合物、たとえばPCR混合物をSPEに接触させた工程の後、SPE材料を濾過、沈殿、または磁気誘引によって除去し、非切断標識オリゴヌクレオチドを含まない標識断片を残して検出のために使用することができる。
3.結合部分
本発明による結合部分は、ヌクレアーゼによるプローブの切断時に放出されて、結合部分と捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として捕獲エレメントに特異的に結合する(相補的核酸との水素結合によって、または結合タンパク質との相互作用によって)プローブの領域を指し、結合部分と捕獲エレメントとの間の特異的結合は、本明細書において定義されるように、プローブの二次構造が「変化した」場合に起こるのみである。
「タグ」は、プローブの5'末端(例えば、図1の例R)に機能的に連結し、タグと捕獲エレメントとの間に存在する誘引力の結果として、捕獲エレメントに特異的に結合する部分を指し、タグと捕獲エレメントとの間の特異的結合は、プローブの二次構造が変化した場合(たとえば、タグが捕獲エレメントにとってアクセス可能となるように)に起こるのみである。「タグ」および捕獲エレメントを指す場合の「特異的に結合する」は、共有結合もしくは水素結合または静電気的誘引による、またはたとえばタンパク質とリガンド間、抗体と抗原間、タンパク質サブユニット間、もしくは核酸結合タンパク質と核酸結合部位間の相互作用によることを意味する。二次結合部分には、ビオチン、ストレプトアビジン、ハプテン、タンパク質、または化学反応部分が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本発明により、結合部分には、捕獲エレメントに結合するプローブの領域が含まれる。本発明による捕獲エレメントは、捕獲エレメントに結合するプローブの領域を含む結合部分に相補的であり、たとえば水素結合によって結合する核酸配列となりうる。たとえば結合部分は、核酸配列
Figure 2010525792
を含むプローブの領域であり、対応する捕獲エレメントは、核酸配列
Figure 2010525792
を含む。
本発明はまた、結合部分またはタグがDNA結合タンパク質であり、対応する捕獲エレメントが、DNA結合タンパク質によって認識および結合されるDNA配列である、結合部分-捕獲エレメントまたはタグ-捕獲エレメント対も提供する。本発明はまた、捕獲エレメントがDNA結合タンパク質であり、対応する結合部分またはタグが、DNA結合タンパク質によって認識および結合されるDNA配列である、結合部分-捕獲エレメントまたはタグ-捕獲エレメント対も提供する。
本発明による有用なDNA結合配列/DNA結合タンパク質相互作用は、「放出された標識断片の検出」と題する章において先に記述されている。
本明細書において定義されるように、タグを核酸(たとえば、本発明によるプローブ)に組み入れる方法は、当技術分野において周知であり、Ausubel et al.、前記、Sambrook et al.、前記、ならびに米国特許第5,716,854号および同第6,087,102号において記述されている。
V.プローブの二次構造の安定性を決定する
A.融解温度アッセイ法
融解温度アッセイ法は、二本鎖および一本鎖DNAの異なる吸収特性、すなわち二本鎖DNA(二本鎖DNAは、自体の上に折り畳まれて、相補的配列(塩基対)が水素結合によって会合する逆平行二重鎖構造を生成する核酸配列のその一部である)は、分光光度測定によって決定した場合に、波長260 nmで一本鎖DNAより吸収する光が少ないことを使用する。
DNAの変性は、狭い温度範囲にわたって起こり、それによってDNAの物理的特性の多くに顕著な変化が起こる。特に有用な変化は吸光度において起こる。ヌクレオチドの複素環は、紫外線範囲で強く光を吸着する(最大値は、各塩基の特徴である260 nmに近い)。しかし、DNAの吸着は、同じ組成の遊離のヌクレオチドの混合物によって示されるであろう吸着よりおよそ40%少ない。この効果は、濃色効果と呼ばれ、二重らせんの平行なアレイにおけるそのスタッキングにより可能となる塩基の電子系における相互作用に起因する。二重鎖状態からのいかなる離脱も、この効果の減退によって直ちに反映される(すなわち、遊離の塩基の特徴である値に向かう吸光度の増加によって)(図12a)。したがって、二本鎖DNAの変性の後に、この濃色効果が続きうる(図12bおよび12c)。
DNAの鎖が分離する温度範囲の中央点を融解温度と呼び、Tmで示される。吸光度の変化によって決定される融解曲線の例を図12cに示す。曲線は常に同じ形をとるが、温度尺度上のその絶対的な位置(すなわち、そのTm)は、DNAの塩基組成と、変性のために使用される条件の双方によって影響を受ける。
DNA分子の融解温度は、その塩基組成に顕著に依存する。GC塩基対に富むDNA分子は、AT塩基対を豊富に有するDNA分子より高いTmを有する(図12b)。多くの種のDNAのTmは、GC含有量と共に直線的に変動し、GC対の画分が20%〜78%まで増加すると、77〜100℃まで増加する。すなわち、塩基組成に及ぼすTmの依存性は直線的であり、G-C含有量が1%増加する毎に約0.4℃増加する。GC塩基対は、水素結合2個よりむしろ水素結合3個によって結合されることから、AT対より安定である。さらに、近接するGC塩基対は、近接するAT塩基対より互いに強く相互作用する。したがって、DNAのATに富む領域は最初に融解する。
Tmに及ぼす主要な効果は、溶液のイオン強度によって発揮される。一価の陽イオン濃度が10倍増加する毎に、Tmは16.6℃増加する。最も一般的に用いられる条件は、0.18 Mの一価のNa+濃度を提供し、90℃の次数のTmを提供する、0.12 Mリン酸緩衝液においてDNAの操作を行うことである。
Tmは、水素結合を脱安定化させるホルムアミドなどの試薬の存在下で反応を行うことによって、大きく変動させることができる。これによってTmを40℃もの低い温度まで低減することができ、これは高温に対する曝露に起因しうる損傷(鎖の切断などの)をDNAが受けないという長所を有する(Stryer, Biochemistry. 1998, 3rd Edition, W.H. Freeman and Co., pp.81-82およびLewin, Genes II, 1985, John Wiley & Sons, p.63-64)。
本発明によるプローブの二次構造の安定性は、以下のように融解温度アッセイ法において決定される。
約0.2μg/ml〜100μg/mlプローブを含む試料を、様々な温度でプローブを変性および再アニールさせる緩衝液において、プローブを変性および再アニールさせるために十分な時間インキュベートする工程、および分光光度計において一定範囲の温度にわたって、石英キュベット(分光光度計にとって適切な路長、たとえば1-cmを用いる)において試料の吸光度を測定する工程によって、吸光度を温度に対してプロットするプローブの標準曲線(たとえば図12c)を調製し、温度範囲の下限は、プローブのTmまたは予測Tmより少なくとも50℃より低く、温度範囲の上限は少なくとも50℃上である。プローブのTmは当技術分野において周知の方法に従って塩基対組成に基づいて予測される(たとえば、Sambrook、前記;Ausubel、前記を参照されたい)。切断反応において使用される特定のヌクレアーゼにとって可能で好ましくは最適である緩衝液が含まれる、多様な緩衝液(たとえば、1×TNE緩衝液(10×- 0.1 M Tris塩基、10 mM EDTA、2.0 M NaCl、pH 7.4)、本明細書において記述されるFENヌクレアーゼ緩衝液、本明細書において記述される1×クローニングPfu緩衝液、本明細書において記述される1×Sentinel分子ビーコン緩衝液)を用いて、標準曲線を生成して比較する。温度が上昇する場合には、緩衝液のpHを、モニターし、必要に応じて調整する。
アッセイ法は、シングルビーム紫外可視範囲(UV-VIS)の分光光度計において行う。好ましくは、アッセイ法は、試料溶液を保持するキュベットを、ブランクを含有する参照キュベット(マッチさせたキュベット)と自動的に比較することによって測定を単純化するために、ダブルビーム分光光度計において行われる。ブランクは、等量の試料緩衝液である。
分光光度計の温度は、試料の吸光度が特異的温度で測定されるように制御することができる。本発明による有用な分光光度計には、MicroTm Analysis Accessory(Beckman Coulter, Inc., Columbia, MD)と組み合わせたBeckman Coulter DU(登録商標)600/7000分光光度計が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
プローブの切断反応において使用されるヌクレアーゼにとって可能でありかつ優先的に最適である、特定の温度および緩衝液におけるプローブの二次構造の安定性は、先に記述したように、特定の温度でのプローブの吸光度を測定する工程、および吸光度の値が、標準曲線から決定したTmでの吸光度より低いか否かを決定する工程によって決定され、様準曲線は、試験温度で用いられる同じ緩衝液または先に記述したように比較可能な標準曲線を産生することが知られている緩衝液のいずれかを用いて生成される。プローブの二次構造は、切断反応の温度またはそれより低い温度での吸光度レベルがプローブのTmに等しい温度での吸光度レベルより低ければ(すなわち、少なくとも5%、好ましくは20%、および最も好ましくは25%またはそれより多く)、(すなわち、切断が行われる)切断反応の温度またはそれより低い温度で、融解温度アッセイ法において「安定」である(図12cおよび12dを参照されたい)。
B.FRET
FRETアッセイ法は、二つの目的のために本発明において有用である。第一は、プローブの二次構造が本明細書において定義されるように「安定」であるか否かを決定することである。第二は、標的核酸に対するプローブの結合の際にプローブの二次構造が「変化」を受けるか否かを決定することである。
「FRET」は、ドナー分子からアクセプター分子へと励起が転移される二つの色素分子の電子励起状態間の距離依存的相互作用である。FRETは、相互作用共鳴エネルギーアクセプター、もう一つの蛍光体、発色団、または消光剤から蛍光ドナー基を分離する距離の変化によって引き起こされる。ドナーおよびアクセプター部分の組み合わせは「FRET対」として知られる。効率的なFRET相互作用は、色素対の吸収および放射スペクトルが高い程度のオーバーラップを有することを必要とする。
ほとんどの態様において、FRETに関するドナーおよびアクセプター色素は異なり、この場合、FRETはアクセプターの感作された蛍光の出現によっておよび/またはドナー蛍光の消光によって検出することができる。ドナーとアクセプターが同じである場合、FRETは、得られた蛍光偏光によって検出される。FRETは分子間分離の逆数の6乗に依存する(Stryer et al., 1978, Ann. Rev. Biochem., 47:819; Selvin, 1995, Methods Enzymol., 246:300)。
本明細書において用いられるように、「ドナー」という用語は、第一の波長で吸収し、第二のより長い波長で放射する蛍光体を指す。「アクセプター」という用語は、ドナーの放射スペクトルとオーバーラップし、かつドナー基近傍(典型的に、1〜100 nm)に存在する場合にドナーから放出されたエネルギーのいくつかまたはほとんどを吸収することができる、吸収スペクトルを有する蛍光体、発色団、または消光剤を指す。アクセプターがFRETを示すことができる蛍光体である場合、これは第三のなおより長い波長で再放射し;これが発色団または消光剤である場合、これは光子を放射することなくドナーから吸収されたエネルギーを放出する。二つの基が近位に存在する場合には、アクセプターの吸収スペクトルがドナーの放射スペクトルとオーバーラップするが、これは溶液中で遊離である場合の分子のスペクトルに関して必ずしも当てはまらない。このようにアクセプターには、本明細書において定義されるように標的核酸にプローブが結合すると変化するプローブの二次構造の存在により、本発明によるプローブ上でドナーに近位に位置付けられた場合にFRETまたは消光剤のいずれかを示す蛍光体、発色団、または消光剤が含まれる。アクセプターには、a)Tmに等しいまたはTmより高い温度で(たとえば、Tmより5度より多く高い、たとえばTmより6度、10度、25度、50度、またはそれより上)、またはb)標的核酸の存在下で、FRETまたは消光を示す、蛍光体、発色団、または消光剤が含まれない。
本明細書における「蛍光」、「蛍光基」、または「蛍光体」という言及にはそれぞれ、発光、発光基、および適した発色団が含まれる。適した発光プローブには、ランチウムキレートとして導入されるユーロピウムおよびテルビウムの発光イオンが含まれるが、これらに限定されるわけではない(HeydukおよびHeyduk, 1997)。ランタニドイオンはまた、蛍光基にエネルギー転移するための良好なドナーである(Selvin 1995)。ランタニドイオンを含有する発光基を、「オープンケージ」キレート剤ホスホラミダイトを使用して核酸に組み入れることができる。
本明細書において用いられるように、「消光剤」という用語は、ドナーによって示される蛍光強度の低減に関連するドナーまたはアクセプターからのエネルギー転移を指す。
ドナーおよびアクセプター基は、適した蛍光基、発色団、および消光基から独立して選択されてもよい。本発明による有用なドナーおよびアクセプターには、5-FAM(5-カルボキシフルオレセインとも呼ばれ;またスピロ(イソベンゾフラン-1(3H), 9'-(9H)キサンテン)-5-カルボン酸,3',6'-ジヒドロキシ-3-オキソ-6-カルボキシフルオレセインとも呼ばれる);5-ヘキサクロロ-フルオレセイン([4,7,2',4',5',7'-ヘキサクロロ-(3',6'-ジピバロイル-フルオレセイニル)-6-カルボン酸]);6-ヘキサクロロ-フルオレセイン([4,7,2',4',5',7'-ヘキサクロロ-(3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル)-5-カルボン酸]);5-テトラクロロ-フルオレセイン([4,7,2',7'-テトラ-クロロ-(3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル)-5-カルボン酸]);6-テトラクロロ-フルオレセイン([4,7,2',7'-テトラクロロ-(3',6'-ジピバロイルフルオレセイニル)-6-カルボン酸]);5-TAMRA(5-カルボキシテトラメチルローダミン;キサンチリウム, 9-(2,4-ジカルボキシフェニル)-3,6-ビス(ジメチル-アミノ);6-TAMRA(6-カルボキシテトラメチルローダミン;キサンチリウム, 9-(2,5-ジカルボキシフェニル)-3,6-ビス(ジメチルアミノ);EDANS(5-((2-アミノエチル)アミノ)ナフタレン-1-スルホン酸);1,5-IAEDANS(5-((((2-ヨードアセチル)アミノ)エチル)アミノ)ナフタレン-l-スルホン酸);DABCYL(4-((4-(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸)Cy5(ヨードジカルボシアニン-5)Cy3(ヨード-ジカルボシアニン-3);およびBODIPY FL(2,6-ジブロモ-4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸)と共に、その適した誘導体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
本発明の一定の態様において、プローブは、二つの発色団によって標識されてもよく、標識対の吸収スペクトルの変化を、蛍光の変化を測定する代わりに検出シグナルとして用いる。
本発明の方法において、プローブの蛍光強度は、当技術分野において公知の方法に従って、蛍光分光光度計またはマイクロプレートリーダーによって一つまたは複数の波長で測定される。
C.蛍光消光アッセイ法
蛍光消光アッセイ法は、本発明において二つの目的に関して有用である。第一は、プローブの二次構造が本明細書において定義されるように「安定」であるか否かを決定することである。第二は.標的核酸にプローブが結合するとプローブの二次構造が「変化」を受けるか否かを決定することである。
本発明によるプローブは、対の一つのメンバーが蛍光体であり、対のもう一つのメンバーが消光剤である、相互作用標識の対または相互作用シグナル生成部分の対(たとえば、FRETまたは非FRET対)によって標識される。たとえば、本発明によるプローブは、蛍光体および消光剤によって標識され、蛍光は、標的核酸の非存在下で、範囲の下限の温度がプローブのTmまたは予測Tmの少なくとも50℃下であり、範囲の上限の温度が少なくとも50℃上である、一定範囲の温度にわたって測定される。
D.安定性
本発明によるプローブの二次構造の「安定性」は、以下のように決定される。プローブは、相互作用標識対(たとえば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL、または当技術分野において周知である方法(たとえば、Glazer and Mathies, 1997, Curr. Opin. Biotechnol., 8:94;Ju et al., 1995, Analytical Biochem., 231:131において記述される)に従って、本明細書において記述される任意の相互作用標識(FRETまたは非FRET対のいずれか))によって標識される。プローブにおける相互作用標識の位置は、標的核酸に対するプローブの結合後にプローブの二次構造が変化した場合に標識が分離するような位置である。
蛍光を温度に対してプロットするプローブの標準曲線(たとえば図12e)を、1×融解緩衝液(20 mM Tris-HCl、pH 8.0、1 mM MgCl2)において、または5 mM Tris-HCl、pH 8.0、0.1 mM EDTAにおいて、もしくは他の適切な緩衝液において、典型的に125 nMプローブを含む試料を、プローブを変性および再アニールさせるために十分な時間インキュベートすることによって調製する(典型的に標準曲線は、1℃/分の変化を受ける蛍光計または分光計を用いて、および温度範囲の下限がプローブのTmまたは予測Tmの少なくとも50℃下であり、温度範囲の上限が少なくとも50℃上である温度範囲にわたって、蛍光計において蛍光を測定するまたは蛍光分光光度計において蛍光をスキャンすることによって生成される)。プローブのTmは、当技術分野において周知である方法に従って塩基対組成に基づいて予測される(Sambrook、前記;Ausubel、前記を参照されたい)。
標準曲線を、切断反応において使用される特定のヌクレアーゼにとって起こりえて優先的に最適である緩衝液が含まれる、多様な緩衝液(たとえば、1×TNE緩衝液(10×-0.1 M Tris塩基、10 mM EDTA、2.0 M NaCl、pH 7.4)、本明細書において記述されるFENヌクレアーゼ緩衝液、本明細書において記述される1×クローニングPfu緩衝液、本明細書において記述される1×Sentinel分子ビーコン緩衝液)を用いて、生成して比較する。緩衝液のpHを温度の増加と共にモニターし、必要に応じて調節する。
蛍光計または分光光度計の温度は、試料の蛍光が特異的温度で測定されるように制御されうる。蛍光は、温度制御型の水浴(たとえば、Fisher Scientificから入手可能な)と組み合わせたPerkin-Elmer LS50B発光分光計によって測定することができる。
特定の温度でのプローブの二次構造の安定性は、先に記述したように特定の温度でのプローブの蛍光を測定する工程、および蛍光の値が、標準曲線から決定されるTmでの蛍光より低いか否かを決定する工程によって決定される。プローブの二次構造は、切断反応の温度またはそれより下の温度での蛍光レベルが、プローブのTmに等しい温度での蛍光レベルより変更される場合には(すなわち、少なくとも5%、好ましくは20%、および最も好ましくは25%またはそれより多いまたは少なければ)、切断反応の(すなわち、切断反応が行われる)温度またはそれより下の温度でFRETアッセイ法において「安定」である。プローブの二次構造は、切断反応の温度またはそれより下の温度での蛍光レベルが、プローブのTmに等しい温度での蛍光レベルより変更される場合には(すなわち、少なくとも5%、好ましくは20%、および最も好ましくは25%またはそれより多いまたは少なければ)、切断反応の(すなわち、切断反応が行われる)温度またはそれより下の温度で蛍光消光アッセイ法において「安定」である(図12fおよび12gを参照されたい)。
または、プローブの二次構造の安定性は、本明細書において先に記述されたように、相互作用対によって標識されたプローブの蛍光を一定の温度範囲にわたって決定するために、参照により本明細書に組み入れられるGelfand et al.(1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:6113)の方法を改変することによって決定される。
VI.二次構造の検出
本発明による二次構造は、先に記述したようにFRETまたは蛍光消光アッセイ法において相互作用標識対を含むプローブに関して蛍光対温度の標準曲線を生成することによって検出される(図12eを参照されたい)。温度変化と相関する蛍光の変化を示すプローブ(図12eを参照されたい)(たとえば、FRET反応の温度が増加すると蛍光は増加する)は、二次構造を形成することができる。
VII.二次構造の変化の測定
本発明による二次構造の「変化」は、本明細書において記述されるようにプローブのTm(たとえば、切断温度)より低い特定の温度で、100 nM〜10μMの標的核酸の存在下または非存在下(典型的に、標的核酸はプローブ濃度に対して2〜4モル過剰で、すなわち250〜500 nM標的核酸を用いる)で、FRETまたは蛍光消光アッセイ法において相互作用標識対を含むプローブを分析することによって検出される。
または、プローブの二次構造の変化は、本明細書において先に記述されたように標的核酸の存在下または非存在下における相互作用標識対によって標識されたプローブの蛍光を決定するために、参照により本明細書に組み入れられるGelfand et al.(1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96:6113)の方法を改変することによって決定される。
本発明によるプローブが標的核酸に結合する場合に起こる二次構造の「変化」は、プローブのTmより低い温度で標的核酸に対するプローブの結合後の蛍光レベルが標的核酸の非存在下で観察された蛍光レベルより大きくなるように(たとえば、少なくとも5%、好ましくは5〜20%、および最も好ましくは25%またはそれより多く)蛍光の増加として測定される(図12gを参照されたい)。
VIII.使用法
本発明は、標的核酸をプローブと共にインキュベートすることによって標識切断構造を形成する工程、および切断構造をヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断する工程を含む、試料中の標的核酸の存在を示すシグナルを生成する方法を提供する。本発明の方法は、以下に記述されるPCRに基づくアッセイ法において用いることができる。
上流のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえばA、図4)、5'端標識された下流のオリゴヌクレオチドプローブ、および標的核酸(たとえば、図4におけるB)を含む標識切断構造を、「切断構造」と題する章において先に記述されたように形成する。いくつかの態様において、下流のプローブは、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含む(たとえば、図4におけるC)。簡単に説明すると、切断構造は、標的核酸の存在下で、上流のプライマー(たとえば、図4におけるA)の存在下または非存在下で、本明細書において定義される標識された下流のプローブ(たとえば、図4におけるC)、任意で標的核酸に対して特異的な増幅プライマー、核酸ポリメラーゼ活性(たとえば、DNAポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)、および適切な緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)において、以下のサーモサイクリングパラメータ:95℃で2分間、ならびに95℃で15秒間(変性工程)、60℃で60秒間(アニーリング工程)、および72℃で15秒間(伸長工程)を40サイクルによるPCR反応において、形成および切断される。この反応の際に、上流のオリゴヌクレオチド(たとえばA、図4)は、オリゴヌクレオチドAが本発明による下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、図4におけるオリゴヌクレオチドC)の5'標識端を置き換えて、得られた標識構造が本発明によるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断されるように伸長する。または、本明細書において定義される二次構造(ステムループ、ヘアピン、内部ループ、バルジループ、分岐構造、およびシュードノットが含まれる)、または多数の二次構造、クローバー型構造、もしくは本明細書において定義される任意の三次元構造を含む下流のプローブを用いることができる。本明細書において定義される二分子または多分子プローブも同様に用いることができる。放出された標識断片は、当技術分野において周知の方法に従って、固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の特異的結合によって捕獲される(Sambrook et al.、前記、およびAusubel et al.、前記を参照されたい)。または、放出された標識断片または切断された下流のプローブを直接検出する(たとえば、シグナル生成部分の相互作用対間の下流のプローブの切断)。
上流のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえばA、図14)、相互作用標識対を有する下流の切断抵抗性プローブ(たとえばB、図14)、および標的核酸を含む標識切断構造は、「切断構造」と題する章において先に記述したように形成される。簡単に説明すると、切断構造は、標的核酸、上流のプライマー(たとえばA、図14)、相互作用標識対を有する下流の切断抵抗性プローブ(たとえばB、図14)、任意で標的核酸に対して特異的なさらなる増幅プライマー(たとえば、標的を増幅するフォワードおよびリバースプライマー)、核酸ポリメラーゼ活性(たとえば、DNAポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)、および適切な緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)の存在下で、以下のサーモサイクリングパラメータ:95℃で2分間、ならびに95℃で15秒間(変性工程)、60℃で60秒間(アニーリング工程)、および72℃で15秒間(伸長/切断工程)の40サイクルによる反応において形成および切断される。この反応の際に、上流のプライマー(たとえばA、図14)は、オリゴヌクレオチドの伸長3'端が本発明による下流の切断抵抗性プローブの5'相補的領域に近接する(たとえば、接する)ように伸長して(図14B)、このように、非オーバーラップ(たとえば、非侵入性の)切断構造を形成する。得られた標識構造は、本発明によるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)による切断に対して感受性がある部位(たとえば、+1位の上流)で切断される。放出された標識断片または切断された下流のプローブを直接検出する(たとえば、シグナル生成部分の相互作用対間の下流のプローブの切断)。
さらなる態様において、3'末端で一つまたは複数の非相補的ヌクレオチドを有する上流のオリゴヌクレオチドをさらに反応に含める。このように、反応は、異なる二つの上流のオリゴヌクレオチド、すなわち非相補的3'末端を有する上流のオリゴヌクレオチドとプライマーとの混合物を含有する。一つの態様において、プライマーおよび上流のオリゴヌクレオチドは、一つがアニールすると他方のアニーリングを排除するように、標的の同じ一般的領域に対して相補的である。もう一つの態様において、上流のオリゴヌクレオチドは、プライマーの下流であるが、切断抵抗性プローブの上流である。この態様において、上流のオリゴヌクレオチドはプライマーとプローブとの間でハイブリダイズする。上流のオリゴヌクレオチドは、下流の切断抵抗性プローブの切断にとって都合がよい非侵入性の切断構造を形成するが、プライマーは標的の増幅にとって都合がよい。
プライマーは、ポリメラーゼによって伸長すると侵入性の切断構造を形成することができる。しかし、プライマーの伸長は、切断を受けにくい改変領域での切断抵抗性プローブの切断を指示する(図14B/C)。
もう一つの態様において、プライマー、プローブ、および切断オリゴヌクレオチドを、標的核酸(たとえば、DNA分子)を含有することが予想される試料と共にインキュベートする(図17)。反応を高温まで加熱して(たとえば、90〜100℃)、プライマー-プローブ二重鎖および標的DNAを変性させる。次に、試料を適切なアニール/伸長/切断温度(たとえば、45〜70℃)まで冷却する。この反応相の間に、プライマー、プローブ、および切断オリゴヌクレオチドは、標的のそれぞれの領域にアニールする(図17Bおよび17D)。第一のプライマーは、標的DNAの第一鎖にアニールするが、プローブは、標的DNAの第二鎖に結合する。
一つの態様において、反応には、切断オリゴヌクレオチドが含まれる。この態様において、プローブは、切断オリゴヌクレオチドに近接し、かつその下流となるように、標的にハイブリダイズする(図18D、21D)。第二のプライマーを利用する態様において、第二のプライマーは、切断オリゴヌクレオチドの上流となるように標的にアニールする(図21D)。このようにして、ポリメラーゼは第一のプライマーを伸長させて新しい鎖を合成するが、プローブおよび切断オリゴヌクレオチドによって形成された非侵入性の切断構造は、ヌクレアーゼによって切断されてシグナルを生成する(図21E)。第二のプライマーはまた、新しい鎖の合成をプライミングして、切断反応が起こった後に切断オリゴヌクレオチドおよびプローブの残りの骨格を置き換える。代わりの態様において、反応には切断オリゴヌクレオチドが含まれない(図20)。この態様において、切断構造は、プローブおよび伸長した第二のプライマーによって形成される。さらにもう一つの態様において、反応には、第二のプライマーが含まれない(図18)。この態様において、切断構造は、プローブによって形成され、切断オリゴヌクレオチドが切断されるが、伸長する第二のプライマーは存在しない。
反応の結果は、標的DNAの存在を示すシグナルの同時生成と共に標的核酸の増幅である。このサイクルを繰り返して(たとえば、30〜50サイクル)、標的核酸の濃度を増加させて、非侵入性の切断プローブから生成されたシグナルを増加させる。
もう一つの態様において、切断抵抗性プローブは、非PCRに基づく方法において用いられる。この態様において、上流のオリゴヌクレオチド、相互作用標識対を有する下流の切断抵抗性プローブ、および標的核酸を含む標識切断構造は、「切断構造」と題する章において先に記述されたように形成される。簡単に説明すると、切断構造は、標的核酸、上流のオリゴヌクレオチド、相互作用標識対を有する下流の切断抵抗性プローブ、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)、および適切な緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)の存在下で、以下のサーモサイクリングパラメータ:95℃で2分間、および95℃で15秒間(変性工程)、60℃で60秒間(アニーリング/切断工程)の40サイクルによる反応において形成および切断される。この態様において、上流のオリゴヌクレオチドは、ポリメラーゼによって伸長しないが(たとえば、ブロックされた上流のオリゴヌクレオチド、ポリメラーゼが存在しない、dNTPなし)、上流のオリゴヌクレオチドと下流のオリゴヌクレオチドは非オーバーラップ切断構造を形成するために十分に近くに存在する(たとえば、接している)。得られた標識構造は、本発明によるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)による切断に対して感受性がある部位(たとえば、+1位の上流)で切断される。放出された標識断片または切断された下流のプローブを直接検出する(たとえば、シグナル生成部分の相互作用対間の下流のプローブの切断)。
本発明の方法はまた、そのような標的が固相支持体上に固定されてもよい、標的核酸を検出するために非PCRに基づく応用において用いることができる。固相支持体に核酸配列を固定させる方法は、当技術分野において公知であり、Ausubel FM et al. Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc.、および製造元によって提供されたプロトコール、たとえば膜に関してPall Corporation、SchleicherおよびSchuell、磁気ビーズに関してDynal、培養プレートに関してCostar、Nalgenunc、および本発明による有用な他の支持体に関してCPG, Inc.によって提供されたプロトコールに記述されている。本発明による有用な固相支持体には、シリカに基づくマトリクス、膜に基づくマトリクス、ならびに「切断構造」と題する章における上記の任意の固相支持体、およびスチレン、ラテックス、またはシリカに基づく材料、および他のポリマーが含まれる表面を含むビーズが含まれるがこれらに限定されるわけではない。磁気ビーズもまた、本発明により有用である。固相支持体は、上記の製造元および他の公知の製造元から得ることができる。
本発明はまた、溶液中で標的核酸を検出するための非PCRに基づくアッセイ法を提供する。本発明の方法は、細胞、組織、単細胞生物、細菌、またはウイルスから単離および精製されているRNAおよびDNAが含まれるが、これらに限定されるわけではない、溶液中で天然に存在する標的核酸を検出するために用いることができる。本発明の方法はまた、RNAまたはDNAオリゴヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が含まれるがこれらに限定されるわけではない溶液中の合成標的を検出するためにも用いることができる。非PCRアッセイ法には、3'-5'合成活性によって合成された核酸の量が直線的または指数的に増加し、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)を用いて合成の際に置き換えられた鎖を切断する、等温性の直線または指数的増幅を伴う検出アッセイ法が含まれるが、これらに限定されるわけではない。そのような一つの例は、ローリングサークル増幅を使用する。
本発明の一つの態様において、固定されたかまたは溶液中のいずれかの核酸標的配列の検出は、固定された核酸標的配列または溶液中の標的核酸を、標的核酸に対して相補的である上流のオリゴヌクレオチドプライマー(たとえばA、図4)、標的核酸に対して相補的である、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有しかつ結合部分を含む下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえばC、図4)、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)、および5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を保有するまたは欠損する核酸ポリメラーゼと共にインキュベートすることによって、行うことができる。下流のプローブは、5'端もしくは3'端で端部が標識されるか、または内部で標識される。または、本明細書において定義される二次構造(ステムループ、ヘアピン、内部ループ、バルジループ、分岐構造、およびシュードノットが含まれる)、または多数の二次構造、クローバー型構造、もしくは本明細書において定義される任意の三次元構造を含む下流のプローブを用いることができる。本明細書において定義される二分子または多分子プローブも同様に用いることができる。捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される放出された標識断片の検出は、プローブに組み入れられている特異的標識に関して適切な、および当技術分野において周知の(たとえば、Sambrook et al.、前記、Ausubel et al.、前記)同位体、酵素、または比色定量法を伴う。本発明による有用な標識および本発明による有用な標識の検出法は、「切断構造」と題する章において記述されている。または下流のプローブは、プローブが無傷である場合に、検出可能シグナルの生成が消光されるように配置される相互作用シグナル生成標識部分の対(たとえば、色素および消光剤)をさらに含み、相互作用シグナル生成部分の対は、ヌクレアーゼ切断部位(たとえば、FENヌクレアーゼ切断部位)によって分離されている。もう一つの態様において、下流のプローブは、プローブが標的核酸にハイブリダイズしていない場合に、検出可能シグナルの生成が消光するように配置される相互作用シグナル生成標識部分の対(たとえば、色素および消光剤)をさらに含む。ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断されると、二つのシグナル生成部分が互いに分離し、検出可能シグナルが産生される。先に記述したように、相互作用シグナル生成標識部分の対が存在することによって、捕獲エレメントに結合する可能性があるアニールした非切断プローブと、捕獲エレメントに結合した放出された標識断片とを識別することができる。本発明の方法に従って、固定された核酸標的配列または溶液中の標的核酸配列を検出するために有用である核酸ポリメラーゼには、5'-3'エキソヌクレオチド分解活性を欠損する中温性、耐熱性、または超耐熱性DNA配列ポリメラーゼが含まれる(「核酸ポリメラーゼ」と題する章において記述)。5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を保有するいかなる核酸ポリメラーゼもまた本発明により有用である。
この非PCRに基づく方法に従って、検出されうる標的核酸の量は、好ましくは約1 pg〜μg、好ましくは約1 pg〜10 ng、および最も好ましくは約1 pg〜10 pgである。または、この非PCRに基づく方法は、好ましくは約1分子〜1020分子、より好ましくは約100分子〜1017分子、および最も好ましくは約1000分子〜1014分子を測定または検出することができる。
本発明はまた、切断構造が「切断構造」と題する章において記述されるように形成され、標的核酸が、等温法、たとえばローリングサークル、自立配列複製増幅(Self-sustained Sequence Replication Amplification(3SR)、転写に基づく増幅系(TAS)、および鎖置き換え増幅(Strand Displacement Amplification(SDA))、ならびに非等温法、たとえばライゲーション連鎖反応(LCR)が含まれるがこれらに限定されるわけではない非PCRに基づく方法によって増幅される、試料中の標的核酸を検出する方法を提供する。非PCR増幅法にとって有用なヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)は、使用される特定の増幅法にとって適切である温度範囲で活性があろう。
以下に記述される増幅プロトコールにおいて、標的を定量するために調製する必要がある試料には、試料、非鋳型対照、および標準曲線を調製するための反応(規定量の標的を有する溶液の6次数の範囲に及ぶ希釈液を含有する)が含まれる。
鎖置き換え増幅(SDA)は、制限酵素がその認識部位の半ホスホロチオエート型の非改変鎖に切れ目を入れることができることに基づく。適切なDNAポリメラーゼは、このニックで複製を開始し、下流の非鋳型鎖を置き換える(Walker, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 392、およびPCR Methods and Applications 3: 1-6, 1993)。SDA法に従って用いられるポリメラーゼ(BcaおよびBst)はまた、本発明によるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)指示切断においても用いられうる。本発明の方法に従って、分子ビーコンは、42℃で活性があるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)と、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分をさらに含み、かつ本発明による切断構造を含む、切断可能なプローブとによって置換される。
分子ビーコン(Mb)は、溶液中でステム-ループ構造を形成する蛍光原プローブである。典型的に、5'-蛍光色素(たとえば、FAM)を、5'-ステム領域(5〜7ヌクレオチド)、ループ領域(標的に対して相補的、20〜30ヌクレオチド)、3'-ステム領域(5'-ステム領域に対して相補的)、および消光剤(たとえば、DABCYL)に付着させる。標的が存在しない場合、MBはそのステムを形成し、これによって色素および消光剤は近位に近づき、したがって蛍光は放射されない。MBがその標的に結合する場合、ステムが開かれ、色素は消光剤から部分的に分離し、したがってプローブは蛍光を放射する(Tyagi S and Kramer FR, Nature Biotechnology 14: 303-308 (1996)および米国特許第5,925,517号)。
鎖置き換え増幅(SDA)は、本質的にSpargo et al., Molecular and Cellular Probes 10: 247-256(1996)によって記述されたとおりに行われる。用いられる酵素には、制限エンドヌクレアーゼBsoBI(New England Biolabs)、DNAポリメラーゼ5'-エキソ-Bca(Pan Vera Corporation)が含まれる。標的は結核菌(Mtb)ゲノムにおいて見いだされる挿入様エレメント(IS6110)である。用いるプライマーは、
Figure 2010525792
である。結核菌ゲノムDNAをヒト胎盤DNAにおいて連続希釈する。SDAは、0〜1000 Mtbゲノム同等物、ヒト胎盤DNA 500 ng、BsoB1 160単位、5'-エキソ-Bca 8単位、各1.4 mMのdCTPαS、TTP、dGTP、dATP、35 mM K2PO4、pH 7.6、0.1 mg/mlアセチル化ウシ血清アルブミン(BSA)、3 mM Tris-HCl、10 mM MgCl2、11 mM NaCl、0.3 mM DTT、4 mM KCl、4%グリセロール、0.008 mM EDTA、500 nMプライマーS1およびS2、ならびに50 nMプライマーB1およびB2(KCl、グリセロール、およびEDTAは、BsoB1保存溶液に含まれている)を含有する試料50μlにおいて行う。試料(35μl)を沸騰水浴において3分間加熱した後、BsoB 1および5'-エキソBca(10.7単位/1μl BsoB1および0.53単位/μl 5'-エキソBca)をNew England Biolabs緩衝液2(20 mM Tris-HCl pH 7.9、10 mM MgCl2、50 mM NaCl、1 mM DTT)15μlにおいて加える。60℃で15分間インキュベートした後、沸騰水浴中で5分インキュベートする。
各試料5μlを1試料あたり2通りずつの検出のために採取する。各反応物は、1×クローニングPfu緩衝液、3.0 mM MgCl2、200μM各dNTP、エキソ-Pfu 5単位、Pfu FEN-1 23 ng、PEF 1 ng、各300 nMの上流のプライマー:
Figure 2010525792
および蛍光原プローブ(たとえば、FAM-DABCYL):
Figure 2010525792
を含有する。反応物をサーマルサイクラーにおいて以下の1サイクル:95℃で2分間、55℃で1分間、72℃で1分間に供する。次に、蛍光を、Stratagene's FluorTrackerまたはPE Biosystems' 7700 Sequence Detection Systemなどの蛍光プレートリーダーにおいてプレート読み取りモードで決定する。本発明の方法はまた、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼについて行うことができる。
核酸配列に基づく増幅(NASBA)の方法に従って、分子ビーコンをリアルタイム分析においてNASBA RNAアンプリコンの定量のために用いる(Leone, et al., 1998. Nucleic Acids Res.26: 2150)。本発明の方法に従って、分子ビーコンプローブが、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含み、さらに本発明による切断構造を含むヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)切断可能なプローブと、41℃で活性があるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)とに置換される、NASBAを行うことができる。
NASBA増幅は、本質的にLeone G, et al., Nucleic Acids Res.26: 2150-2155(1998)によって記述されるとおりに行われる。ジャガイモ葉巻き病ウイルス(PLRV)からのゲノムRNAを、 Leone G et al., J. Virol. Methods 66: 19-27 (1997)において詳細に記述されているPD415またはPD416(アンチセンス)およびPD417(センス)プライマーを用いて増幅する。各NASBA反応物は、滅菌水6μl、5×NASBA緩衝液(5×NASBA緩衝液は200 mM Tris-HCl、pH 8.5、60 mM MgCl2、350 mM KCl、2.5 mM DTT、各5 mMのdNTP、各10 mMのATP、UTP、およびCTP、7.5 mM GTPおよび2.5 mM ITPである)4μl、5×プライマーミクス(75%DMSOならびに各1μMのアンチセンスおよびセンスプライマー)4μlのプレミックスを含有する。プレミックスを14μlのアリコートに分けて、それにPLRV標的1μlを加える。65℃で5分間インキュベートし、41℃まで5分間冷却した後、酵素ミクス(反応あたり375 mMソルビトール、2.1μg BSA、RNアーゼH(Pharmacia)0.08単位、T7 RNAポリメラーゼ(Pharmacia)32単位、およびAMV-RT(Seigakaku)6.4単位)5μlを加える。増幅は41℃で90分間行う。
一つの態様において、各試料5μlを1試料あたり2通りずつの検出のために採取する。各反応物は、1×クローニングPfu緩衝液、3.0 mM MgCl2、各200 μM dNTP、エキソ-Pfu 5単位、Pfu FEN-1 23 ng、PEF 1 ng、各300 nM上流プライマーPD415またはPD416、および蛍光原プローブ(たとえば、FAM-DABCYL):
Figure 2010525792
を含有する。反応物をサーマルサイクラーにおいて1サイクル:95℃で2分、55℃で1分、72℃で1分に供する。次に、蛍光を、Stratagene's FluorTrackerまたはPE Biosystems' 7700 Sequence Detection Systemなどの蛍光プレートリーダーにおいてプレート読み取りモードで決定する。
代替的な態様において、検出反応は、蛍光原プローブおよびPfu FEN-1ヌクレアーゼを非PCRに基づく増幅(たとえば、NASBA)反応混合物に直接加えることによって行われる。蛍光プローブは、プロモーター領域の下流の標的領域に相補的となるように設計される。RNAポリメラーゼは、プロモーター領域に結合し、RNAを合成する。合成されたRNAの3'端が下流のプローブに十分に近づくと、二つのオリゴヌクレオチドは切断構造を形成するであろう。このように、この方法において、増幅および切断は同時に起こる。蛍光はStratageneのMx3005P QPCRシステムにおいて決定することができる。
本発明のなおもう一つの方法において、上流のオリゴヌクレオチド(たとえばRNAポリメラーゼによって合成されたRNA)(たとえばA、図4)、標識された下流のオリゴヌクレオチドプローブ、および標的核酸(たとえば図4におけるB)を含む標識された切断構造は、「切断構造」と題する章において先に記述したように形成される。いくつかの態様において、下流のプローブは、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含む(たとえば図4におけるC)。簡単に説明すると、切断構造は、標的核酸の存在下、上流のプライマー(たとえばA、図4)の存在下または非存在下で(RNAポリメラーゼがRNA合成を開始するためにプロモーターまたはプライマーのいずれを使用するかに応じて)、本明細書において定義される標識された下流のプローブ(たとえばC、図4)、核酸ポリメラーゼ活性(たとえば、RNAポリメラーゼ)、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)、および適切な緩衝液(たとえば、1×Pfu緩衝液、Stratagene、カタログ番号200536)において、以下のサーモサイクリングパラメータ:95℃で1〜2分間の後に約40〜72℃への冷却による反応において形成および切断される。この反応の際に、上流のオリゴヌクレオチド(たとえばA、図4)は、オリゴヌクレオチドAが本発明による下流のオリゴヌクレオチドプローブ(たとえば、オリゴヌクレオチドC、図4)の5'標識端を部分的に置き換えるように、RNAポリメラーゼによって伸長し、得られた標識構造は、本発明によるヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断される。放出された標識断片は、当技術分野において周知である方法に従って固相支持体上で捕獲エレメントに対する結合部分の特異的結合によって捕獲することができる(Sambrook et al.、前記、およびAusubel et al.、前記を参照されたい)。または、放出された標識断片または切断された下流のプローブを直接検出する(たとえば、シグナル生成部分の相互作用対間の下流のプローブの切断)。
一般的に、非PCRに基づく方法によって増幅が起こるこれらの方法に従って、増幅は、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)の存在下で行われてもよく、増幅およびヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)による切断は同時に起こる。固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲された放出された標識断片の検出は、「切断構造」と題する章において記述されるように行われ、増幅および切断過程と同時に(リアルタイム)または過程が完了した後に(エンドポイント)起こってもよい。
エンドポイントアッセイ法は、増幅工程がヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)の存在下で行われる(先に記述したように)、非PCRに基づく法によって産生される増幅標的を定量するために用いることができる。
反応に存在するDNA鋳型からRNAを合成するためにインビトロ転写反応を用いてもよい。T7 RNAポリメラーゼ、T3 RBAポリメラーゼ、またはSP6 RNAポリメラーゼなどのT7-型RNAポリメラーゼは、そのような反応において一般的に用いられるが、他の多くのRNAポリメラーゼも同様に用いてもよい。通常、しかし常にではないが、RNAの合成はデノボで(すなわち、プライミングされずに)行われ、通常、しかし常にではないが、転写は「プロモーター」または「プロモーター領域」と呼ばれるRNAポリメラーゼによって特異的に認識される鋳型における配列で開始される。インビトロ転写のための方法が本明細書において紹介される。
RNAポリメラーゼは標的配列を増幅するために用いられている(Krupp, G., and Soil, D. FEBS Letters (1987) 212:271-275)。このアプローチは、標的配列の二本鎖コピーの産生、RNAポリメラーゼプロモーター配列の挿入、コピーの転写、およびハイブリダイゼーションアッセイ法による検出を伴う(Kwoh, D. Y., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1989) 86:1173-1177)。バクテリオファージDNA依存的RNAポリメラーゼ(たとえば、T3、T7、SP6)は、クローニングされたまたは合成のオリゴヌクレオチド鋳型から特異的RNA配列をインビトロで調製するために既に使用されており、十分に理解されている(Melton, D. A., et al., Nucleic Acids Res. (1984) 12:7035-7056;Chamberlin, M. and Ryan, T., (1982) in 「The Enzymes」 Boyer, P. D., ed., 15:87-108;Martin, C. T., and Coleman, J. E., Biochemistry (1987) 26:2690-2696)。これらのパラメータは非常にプロモーター特異的である。多数のT7プロモーターからのDNA配列が公知であり、コンセンサス配列が推定された(Oakley, J. L., and Coleman, J. E., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. (1977) 74:4266-4270;Dunn, J. J., and Studier, F. W., J. Molec. Biol. (1983) 166:477-535)。これらのRNAポリメラーゼに基づく方法は、増幅反応と検出反応とを同時に進行させるために、FENヌクレアーゼと検出可能に標識されたプローブとが反応混合物に加えられるように改変されうる。検出可能な標識プローブは、標的プロモーター配列の下流にアニールするように設計される。このように転写時に、下流のプローブおよび合成されたRNAが切断構造を形成する。次にFENは下流のオリゴヌクレオチドを切断する。
いくつかの態様において、プロモーターは、プロモーター-プライマーによって標的に加えられる。プロモーター-プライマーのプロモーター領域のために、多数のRNAポリメラーゼプロモーターを用いてもよい。適したプロモーター領域は、適した条件下でリボヌクレオチドとRNAポリメラーゼの存在下で、機能的に連結された核酸配列から転写を開始することができるであろう。プロモーター領域は通常、Alberts et al. (1989) Molecular Biology of the Cell, 2d ed. (Garland Publishing, Inc.)において記述されるように、天然に存在するRNAポリメラーゼプロモーター、コンセンサスプロモーター領域、または人工のプロモーター領域からの、約15〜250ヌクレオチドを含み、好ましくは約17〜60ヌクレオチドを含むであろう。特に重要な代表的なプロモーター領域には、Chamberlin and Ryan, The Enzymes (ed. P. Boyer, Academic Press, New York) (1982) pp 87-108において記述されるようにT7、T3、およびSP6が含まれる。
最適な転写のための実際のプロモーター内の配列必要条件は、米国特許第5,766,849号および同第5,654,142号などのように様々なDNA依存的RNAポリメラーゼに関して既に記述されているように当技術分野において一般的に公知であり、また経験的に決定されうる。
先に記述されたプロモーター-プライマーオリゴヌクレオチドは、自動DNAシンセサイザー、たとえばApplied Biosystems, Inc. Foster City, Califにおける合成などの、当技術分野において公知のおよび本明細書において記述される任意の適した方法を用いて調製されてもよい。
なおもう一つの局面において、本発明は、RNAポリメラーゼによって伸長される上流のプライマーおよび下流の標識プローブを使用して標的核酸を検出するための方法を提供する。反応は一般的に、標的核酸を、RNAポリメラーゼ、上流のプライマーおよび下流のプローブが含まれる反応混合物に接触させる工程、および本明細書において記述される切断構造を産生するために適切な時間および適切な条件下で該混合物をインキュベートする工程を含むであろう。2005年8月31日に提出された米国特許出願第11/217,972号(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)は、RNAポリメラーゼによって伸長されるプライマーを使用するRNA増幅反応を記述する。このRNA増幅反応を、本発明において用いるために採用することができる。たとえば、下流の標識プローブおよびFENヌクレアーゼを米国特許出願第11/217,972号において記述される反応に加える。この例において、RNAポリメラーゼは、下流のプローブと切断構造を形成するために、ハイブリダイズしたプライマーを伸長させるであろう。
この配列特異的RNA増幅/検出反応において、標的RNA配列に対して相補的な適当なプライマーおよびプローブを、本明細書において詳述され、当技術分野において公知であるように、FENヌクレアーゼおよびプライミングされたRNA分子を認識することができる適したRNAポリメラーゼと共に使用する。次に、増幅、切断構造の形成、および切断構造の切断を、温度サイクリング条件下で進行させる。
たとえば、標的を変性させるために反応物を70〜95℃でインキュベートした後、35〜72℃まで冷却してもよい。温度を低減させる間、プライマーおよびプローブは標的RNA上の相補的配列に結合する。温度が最適な範囲に達すると、RNAポリメラーゼはプライマーを伸長させ、下流のプローブを少なくとも部分的に置き換え、切断構造を形成する。次に、切断構造をヌクレアーゼによって切断する。
エンドポイントアッセイ法には、以下が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
A.Landegren, et al., 1988, Science, 241: 1077およびBarany, PCR Methods and Applications 1: 5-16 (1991)において記述されるライゲーション連鎖反応(LCR)。
本発明による有用なLCR産物は、上流のプライマーと標識された下流のプローブとが8ヌクレオチドより大きいギャップによって分離されて、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって効率的に切断されるために十分な長さであろう。
B.自立配列複製増幅(3SR)Fahy, et al. PCR Methods and Applications 1: 25-33 (1991)。
自立配列複製増幅(3SR)は、NASBAと類似の技術である。Ehricht R, et al., Nucleic Acids Res. 25: 4697-4699 (1997)は、協同的に結合させたインビトロ増幅系(CATCH)へと3SR技法を進化させた。このように、本発明の一つの態様において、分子ビーコンプローブは、CATCHによるRNAアンプリコンのリアルタイム分析のために用いられる。増幅された合成標的は、配列
Figure 2010525792
を有する。3SR反応は、40 mM Tris-HCl pH 8.0、5 mM KCl、30 mM MgCl2、各1 mM dNTP、1 nM 二本鎖標的、2μM
Figure 2010525792
、5 mM DTT、2 mMスペルミジン、6単位/μl HisタグHIV-1逆転写酵素、3単位/μl T7-RNAポリメラーゼ、および0.16単位/μl大腸菌RNアーゼHを含有する。反応物100μlを42℃で30分間インキュベートする。
各試料5μlを1試料あたり2通りずつ、検出のために採取する。各反応物は、1×クローニングPfu緩衝液、3.0 mM MgCl2、各200μM dNTP、エキソ-Pfu 5単位、Pfu FEN-1 23 ng、PEF 1 ng、各300 nM上流プライマーP1、および蛍光原プローブ(たとえば、FAM-DABCYL):
Figure 2010525792
を含有する。反応物をサーマルサイクラーにおける1サイクル:95℃で2分間、55℃で1分間、72℃で1分間に、供する。次に、蛍光を、StratageneのFluorTrackerまたはPE Biosystemsの7700 Sequence Detection Systemなどの蛍光プレートリーダーにおいてプレート読み取りモードで決定する。3SR法はまた、5'-3'エキソンクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章において記述される任意のヌクレアーゼについて行うことができる。
C.ローリングサークル増幅は、米国特許第5,854,033号および関連する分枝伸長増幅法(Ramification-Extension Amplification Method(RAM)(米国特許第5,942,391号)において記述される。本発明に適合させたローリングサークル増幅を以下に記述する。
リアルタイムアッセイ法はまた、増幅工程がヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)の存在下で行われる、非PCRに基づく方法によって産生された増幅標的を定量するために用いることができる(先に記述したとおり)。ローリングサークル増幅法(米国特許第5,854,033号)は、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)、ならびに標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含み、かつさらに本発明による切断構造を含む、切断プローブと共に、増幅および検出のために二次プライマーを含めるように適合させ、温度50〜60℃で行われる。ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)の切断パターンは、DNAプライマーがそうでなければ完全にアニールする、プライマーの5'端から1〜15ヌクレオチドのどこかに位置する一つのミスマッチ塩基の存在によって変更することができる。典型的に、完全にアニールした基質において、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)は、最も5'側のヌクレオチドをエキソヌクレオチド分解によって切断するであろう。しかし、5'端から15ヌクレオチドまでの一塩基ミスマッチは、エンドヌクレオチド分解による切断を促進する。これは、ミスマッチがその除去に至るヌクレアーゼ作用を促進する5'プルーフリーディングプロセスを構成する。このように、ヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)切断のメカニズムは、ミスマッチの一塩基対の存在によって、主にエキソヌクレオチド分解切断から主にエンドヌクレオチド分解切断までシフトする。おそらく、これはミスマッチによって短いフラップが作製されることから起こる(Rumbaugh et al., 1999, J. Biol. Chem., 274:14602)。
本発明の方法は、標的核酸における配列変動の存在を示すシグナルを生成するために用いることができ、完全にアニールしたDNAプライマーを含む標識切断構造が、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含む(「切断構造」と題する章において記述されるように)プローブと共に標的核酸をインキュベートする工程、および切断構造をヌクレアーゼ(たとえば、FENヌクレアーゼ)によって切断する工程によって形成され、エンドヌクレオチド分解切断産物を含む標識断片の放出および固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって捕獲される放出断片の検出が、配列変動の存在を示す。放出された標識断片は、「切断構造」と題する章において記述されるように検出される。
もう一つの態様において、本発明の切断抵抗性プローブは、連続切断反応において用いられる。連続切断反応は、そのそれぞれの全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、2000年11月11日に提出された米国特許第6,893,819号、2004年11月15日に提出された米国特許出願公開第2005/0147996号、2005年12月15日に提出された米国特許第出願第60/750,593号、および2006年4月24日に提出された米国特許出願第60/794,628号において記述されている。
連続切断反応において、第一の切断反応から放出されたフラップは、第二の切断反応における上流のオリゴヌクレオチドとして役立つ。連続切断反応において、検出可能シグナルは、第一および第二の切断反応の双方が非侵入性である場合に産生されるのみである。侵入性の構造が形成されると、検出可能シグナルは産生されない。
たとえば、一つの態様において、連続切断反応には、3'から5'の順に第一の領域および第二の領域を含む標的核酸、3'から5'の順に第一の領域および第二の領域を含む鋳型核酸、該標的核酸の該第一の領域に少なくとも部分的に相補的である第一の上流のオリゴヌクレオチド、該標的核酸に相補的ではないが該鋳型核酸の該第一の領域に少なくとも部分的に相補的である5'領域と該標的核酸の該第二の領域に相補的である3'領域とを含む第一の切断抵抗性プローブ、該鋳型核酸に相補的ではない5'領域と該鋳型核酸の該第二の領域に少なくとも部分的に相補的である3'領域とを含む第二の切断抵抗性プローブ、切断物質、および核酸ポリメラーゼが含まれる。
第一の切断抵抗性プローブの5'領域が第一の切断構造の第一のフラップを形成する、該標的核酸と、該第一の上流のオリゴヌクレオチドおよび該第一の切断抵抗性プローブのそれぞれとの間で二重鎖を形成させる;
該切断物質によって第一のフラップを切断させて、それによって第一のフラップを放出させる;
該第二の切断抵抗性プローブの5'領域が第二の切断構造の第二のフラップを形成する、放出された第一のフラップ、該鋳型核酸、および該第二の切断抵抗性プローブと第二の二重鎖を形成させる;ならびに
該切断物質によって第二のフラップを切断させる、
反応条件下で、反応物質を混合する。
次にシグナルを検出する。シグナルは、第二のフラップの切断によって生成され、シグナルは、該第一の上流のオリゴヌクレオチドおよび該第一の切断抵抗性プローブおよび該放出されたフラップおよび該第二の切断抵抗性プローブが、該第一および該第二の二重鎖が形成されると少なくともニックによって分離される場合にのみ生成される。
IX.試料
本発明は、本明細書において定義されるように、試料中の標的核酸を検出または測定する方法を提供する。本明細書において用いられるように、「試料」は、関心対象の核酸を含有するかもしくは含有すると思われる、または関心対象の核酸(標的核酸)を含有するかもしくは含有すると思われるそれ自体が標的核酸である、任意の物質を指す。このように「試料」という用語には、標的核酸(ゲノムDNA、cDNA、またはRNA)、細胞、生物、組織、液体、またはたとえば、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、滑液、尿、涙、便、皮膚の、呼吸器の、腸管のおよび消化管の外分泌物、唾液、血球、腫瘍、臓器、組織、インビトロ細胞培養構成成分の試料、天然単離体(飲料水、海水、土壌材料などの)、微生物標本、ならびに核酸トレーサー分子によって「印をつけられて」いる物体または標本が含まれるがこれらに限定されるわけではない物質が、含まれる。
実施例
本発明は、以下の材料および方法が使用される以下の非制限的な実施例によって説明される。本明細書において以降引用される参考文献のそれぞれの全開示は参照により本明細書に組み入れられる。
実施例1
プローブの設計および調製
一つの態様において、本発明は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含むプローブを提供する。
本発明の一つの態様によるプローブは、長さが5〜250ヌクレオチドであり、理想的には長さが17〜40ヌクレオチドであり、7ヌクレオチド〜約140ヌクレオチド、好ましくは10ヌクレオチド〜約140ヌクレオチドである標的核酸結合配列を有する。プローブはまた、非共有結合または共有結合サブユニットを含んでもよい。
プローブの一つの態様は、第一の相補的核酸配列(たとえば、図4におけるb)、および第二の相補的核酸配列(たとえば、図4におけるb')を含む。プローブが単分子である一つの態様において、第一および第二の相補的核酸配列は同じ分子に存在する。一つの態様において、プローブは蛍光体および消光剤(たとえば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL、または本明細書において記述される任意の蛍光体および消光剤分子)によって標識される(「標識切断構造を調製する方法」と題する章を参照されたい)。本発明によるプローブは、相互作用標識の適切な対(たとえば、FRET対または非FRET対)によって標識される。プローブ上の相互作用対の位置は、標的核酸に結合するとプローブがプローブの二次構造の変化を受ける場合に標識を分離させるために、プローブ上の標識の適切な間隔が維持されるような位置である。たとえば、ドナーおよび消光部分は、プローブが標的核酸に結合していない場合に検出可能シグナルの生成を消光させるためにプローブ上に配置される。
プローブは、結合部分(たとえば、核酸配列、すなわち
Figure 2010525792
を含む図4におけるab)をさらに含む。本発明の一つの態様において、標的核酸にハイブリダイズすると、本発明によるプローブは、5'フラップを含む切断構造(たとえば、図4におけるab)を形成する。このように、切断構造のフラップは、プローブの結合部分を含む。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。ハイブリダイズしたプローブがヌクレアーゼによって切断されると、結合部分は放出されて、核酸配列、すなわち
Figure 2010525792
を含む捕獲エレメントに特異的に結合する。この態様により、結合部分は、二つの領域を含む(たとえば、図4におけるaおよびb)。本明細書において定義される「相補的核酸配列」ではない「結合部分」の領域(たとえば、図4におけるa)は、長さが1〜60ヌクレオチド、好ましくは1〜25ヌクレオチド、および最も好ましくは1〜10ヌクレオチドである。領域bは、その長さが以下に詳細に記述される、本明細書において定義されるプローブの少なくとも二つの相互的核酸配列の一つである。
一つの態様において、標的核酸の非存在下で、プローブは、第一および第二の相補的核酸配列が水素結合の形成によってアニールして二次構造を形成する、逆平行二重鎖構造を生成するために、それ自体の上に折り重なっている。プローブの二次構造は、本明細書において記述されるプローブのTmより高いおよび低い温度が含まれる異なる温度で、FRETまたは蛍光消光アッセイ法を行うことによって検出される。単純に蛍光放射の効率に及ぼす熱効果により、蛍光の変化より大きい温度変化(たとえば、FRET反応の温度が増加すると蛍光は増加する)に相関する蛍光の変化を示すプローブは、二次構造を有する。二次構造は、最高蛍光レベルが検出される温度で消失する(たとえば、蛍光は、温度を増加させてもこのレベルより上まで増加しない)。プローブの二次構造の安定性は、本明細書において記述されるように、融解温度アッセイ法またはFRETまたは蛍光消光アッセイ法において決定される。
プローブの二次構造の変化の結果として、結合部分は、ヌクレアーゼによる切断に近づきやすくなる。標的核酸の存在下で、およびプローブと標的核酸を特異的に結合させるために、標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響を及ぼす要因(たとえば、「本発明による有用なプライマーおよびプローブ」と題する章において記述されるように、プライマーの長さ、ヌクレオチド配列および/または組成、緩衝液の組成)に従って選択される温度で、プローブは標的核酸に結合し、二次構造の変化を受ける。プローブの二次構造の変化は、本明細書において記述されるように、FRETまたは蛍光消光によって決定することができる。
一つの態様において、第一および第二の相補的核酸配列は、長さが3〜25ヌクレオチド、好ましくは4〜15ヌクレオチド、より好ましくは5〜11ヌクレオチドである。第一および第二の相補的核酸配列の長さは、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造が、標的核酸に結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で安定であるように選択される。標的核酸結合配列の大きさが100ヌクレオチドまで増加すると、相補的核酸配列の長さは15〜25ヌクレオチドまで増加する可能性がある。長さが100ヌクレオチドより大きい標的核酸結合配列の場合、相補的核酸配列の長さはこれ以上増加しない。
または、二次構造を有し、結合部分を含む対立遺伝子識別プローブを調製する。
一つの態様において、本発明による対立遺伝子識別プローブは、好ましくは6〜50ヌクレオチド、好ましくは7〜25ヌクレオチドの標的核酸結合配列を含み、3〜8ヌクレオチドの相補的核酸配列の配列を含む。二次構造のグアノシン-シチジン含有量、ならびにプローブ-標的ハイブリッド、塩、およびアッセイ温度を検討し、たとえばマグネシウム塩は、短い対立遺伝子識別プローブを設計する場合、強い安定化効果を有する。
長さが上限の50ヌクレオチドに近い標的核酸結合配列を有する対立遺伝子識別プローブは、識別される一塩基ミスマッチが、標的核酸結合配列の中央部またはその近傍で起こるように設計される。たとえば、長さが21ヌクレオチドである配列を含むプローブは、好ましくはミスマッチが標的核酸結合配列の最も中央に位置する14ヌクレオチドの向かい側の一つ、最も好ましくは最も中央に位置する7ヌクレオチドの向かい側の一つで起こるように設計される。
実施例2
プローブの設計と調製
一つの態様において、本発明は、標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分を含むプローブを提供する。
本発明の一つの態様によるプローブは、長さが5〜250ヌクレオチド、理想的には長さが17〜40ヌクレオチドであり、7〜約140ヌクレオチドである、好ましくは10〜約140ヌクレオチドである標的核酸結合配列を有する。プローブはまた、非共有結合または共有結合サブユニットを含んでもよい。
プローブの一つの態様は、第一の相補的核酸配列(たとえば、図4におけるb)および第二の相補的核酸配列(たとえば、図4におけるb')を含む。プローブが単分子である一つの態様において、第一および第二の相補的核酸配列は同じ分子に存在する。一つの態様において、プローブは、蛍光体および消光剤(たとえば、テトラメチルローダミンおよびDABCYL、または本明細書において記述される任意の蛍光体および消光剤)によって標識される(「標識切断構造を調製する方法」と題する章を参照されたい)。本発明によるプローブは、適切な相互作用標識対(たとえば、FRET対または非FRET対)によって標識される。プローブにおける相互作用標識の位置は、標的核酸に結合するとプローブがプローブの二次構造の変化を受ける場合に標識を分離させるように、プローブ上の標識の適切な間隔が維持されるような位置である。たとえば、ドナーおよび消光部分は、プローブが標的核酸に結合していない場合に検出可能シグナルの生成を消光させるようにプローブ上に位置する。
プローブは、lacリプレッサータンパク質を含むタグをさらに含む。本発明の一つの態様において、標的核酸にハイブリダイズすると、プローブは、5'フラップを含む切断構造を形成する(たとえば図4におけるab)。切断は切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。ハイブリダイズしたプローブがヌクレアーゼによって切断されると、lacリプレッサータンパク質は、lacリプレッサータンパク質:
Figure 2010525792
によって特異的に認識および結合される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに、特異的に結合する。
一つの態様において、標的核酸の非存在下で、プローブは、水素結合の形成により第一および第二の相補的核酸配列がアニールして二次構造を形成する、逆平行二重鎖構造を生成するために、それ自体の上に折り重なっている。プローブの二次構造は、本明細書において記述されるプローブのTmより高いおよび低い温度が含まれる異なる温度でFRET、または蛍光消光アッセイ法を行うことによって検出される。単純に蛍光放射の効率に及ぼす熱効果により、蛍光の変化より大きい温度変化(たとえば、FRET反応の温度が増加すると蛍光は増加する)に相関する蛍光の変化を示すプローブは、二次構造を有する。二次構造は、最高蛍光レベルが検出される温度で消失する(たとえば、蛍光は、温度を増加させてもこのレベルより上まで増加しない)。プローブの二次構造の安定性は、本明細書において記述されるように、融解温度アッセイ法、FRET、または蛍光消光アッセイ法において決定される。
プローブの二次構造の変化の結果として、タグはヌクレアーゼによる切断に近づきやすくなる。標的核酸の存在下で、およびプローブと標的核酸を特異的に結合させるために標的核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションの効率および選択性に影響を及ぼす要因(たとえば、「本発明による有用なプライマーおよびプローブ」と題する章において記述されるように、プライマーの長さ、ヌクレオチド配列および/または組成、緩衝液の組成)に従って選択される温度で、プローブは標的核酸に結合し、二次構造の変化を受ける。プローブの二次構造の変化は、本明細書において記述されるように、FRETまたは蛍光消光によって決定することができる。
一つの態様において、第一および第二の相補的核酸配列は、長さが3〜25ヌクレオチド、好ましくは4〜15ヌクレオチド、より好ましくは5〜11ヌクレオチドである。第一および第二の相補的核酸配列の長さは、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造が、標的核酸に結合したプローブを含む切断構造の切断が行われる温度で安定であるように選択される。標的核酸結合配列の大きさが100ヌクレオチドまで増加すると、相補的核酸配列の長さは15〜25ヌクレオチドまで増加する可能性がある。長さが100ヌクレオチドより大きい標的核酸結合配列の場合、相補的核酸配列の長さはこれ以上増加しない。
または、二次構造を有しかつ結合部分を含む対立遺伝子識別プローブを調製する。
一つの態様において、本発明による対立遺伝子識別プローブは、好ましくは6〜50ヌクレオチド、好ましくは7〜25ヌクレオチドの標的核酸結合配列を含み、3〜8ヌクレオチドの相補的核酸配列の配列を含む。二次構造のグアノシン-シチジン含有量、ならびにプローブ-標的ハイブリッド、塩、およびアッセイ温度を検討し、たとえばマグネシウム塩は、短い対立遺伝子識別プローブを設計する場合、強い安定化効果を有する。
長さが上限の50ヌクレオチドに近い標的核酸結合配列を有する対立遺伝子識別プローブは、標的核酸結合配列の中央部またはその近傍で、識別される一塩基ミスマッチが起こるように設計される。たとえば、長さが21ヌクレオチドである配列を含むプローブは、好ましくはミスマッチが標的核酸結合配列の最も中央に位置する14ヌクレオチドの向かい側の一つ、最も好ましくは最も中央に位置する7ヌクレオチドの向かい側の一つで起こるように設計される。
実施例3
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定することができる。標識切断構造は、FENヌクレアーゼを加える前に、
(a)標的核酸(図4におけるB)を含有する試料を、
(b)標的核酸と特異的にハイブリダイズする上流のオリゴヌクレオチド(図4におけるA)および
(c)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分(たとえば、図4におけるab、核酸配列、すなわち
Figure 2010525792
を含む)を含み、オリゴヌクレオチドAのハイブリダイズする領域の下流である標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズする、下流の5'端標識オリゴヌクレオチドプローブと共に、
95℃で5分間加熱した後におよそ50〜60℃まで冷却することによって形成される。酵素
a)5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するTaqポリメラーゼの変異体型であるYaq exo-(Taqポリメラーゼを改変するために(Tabor and Richardson, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 1074)、Stratagene QuikChange部位特異的変異誘発キット、カタログ番号200518を用いる変異誘発によって調製される)、
b)Pfu、または
c)3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するPfuポリメラーゼの変異体型(exo-Pfu)
などの、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するが3'-5'DNA合成活性を保有するポリメラーゼを加えて、それがオリゴヌクレオチドCの5'端を部分的に置き換えるように、ポリメラーゼにオリゴヌクレオチドAを伸長させる条件下で(たとえば、1×Pfu緩衝液(Stratagene)において72℃)5分〜1時間インキュベートする。オリゴヌクレオチドCの置き換えられた領域は、FENヌクレアーゼを付加した際に切断される5'フラップを形成する。または、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって伸長を行う。
5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するが、3'-5' DNA合成活性を保有するTaqポリメラーゼの変異体型は、D144Sが5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を消失させて、F667YがddNTP取り込みを改善する、D144S/F667Y Taqの変異を含む。
PolIポリメラーゼのExo-変異体は、Xu et al., 1997, J. Mol. Biol., 268: 284の方法に従って調製することができる。
本発明による標識切断構造は、PfuFEN-1(すなわち、実施例9において以下に記述されるように調製された、クローニングされたパイロコッカス・フリオサスFEN-1)の調製物によって切断される。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。切断は、以下を含有する反応混合物7μlにPfuFEN-1 2μlを加えることによって行われる。
3μl 切断構造(10 ng〜10μg)
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM MgCl2を含有する)
2.00 μl PfuFEN-1酵素またはH2O
1.3 μl H2O
全量7.00μl。
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(Stratagene Cyclist DNAシークエンシングキット、カタログ番号200326に含まれる)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。結合部分を含む放出された標識断片は、固相支持体上で、核酸配列、すなわち
Figure 2010525792
を含む捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって結合する。一つの態様において、標識断片は、たとえば塩濃度を減少させることによって(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には典型的に、約1 M未満の塩濃度が含まれ、より通常約500 mM未満、好ましくは約200 mM未満の塩濃度が含まれる)、または非標識競合体断片の過剰量を加えることによって、捕獲エレメントから溶出させる。溶出した標識断片を含有する試料を以下のようにゲル電気泳動によって分析する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させて、標的核酸の存在を示しているシグナルの存在を検出する。
または、伸長は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって行われる。
実施例4
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定することができる。標識切断構造は、FENヌクレアーゼを加える前に、
(a)標的核酸(図4におけるB)を含有する試料を、
(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流のオリゴヌクレオチド(図4におけるA)および
(c)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、lacリプレッサータンパク質タグを含み、オリゴヌクレオチドAのハイブリダイズする領域の下流である標的核酸領域に特異的にハイブリダイズする、下流の5'端標識オリゴヌクレオチドプローブと共に、
95℃で5分間加熱した後におよそ50〜60℃まで冷却することによって形成される(図4におけるC)。酵素
a)5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するTaqポリメラーゼの変異体型であるYaq exo-
(Taqポリメラーゼを改変するために(Tabor and Richardson, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 1074)、Stratagene QuikChange部位特異的変異誘発キット、カタログ番号200518を用いる変異誘発によって調製される)、
b)Pfu、または
c)3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するPfuポリメラーゼの変異体型(exo-Pfu)
などの、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するが3'-5'DNA合成活性を保有するポリメラーゼを加えて、それがオリゴヌクレオチドCの5'端を部分的に置き換えるように、ポリメラーゼにオリゴヌクレオチドAを伸長させる条件下で(たとえば、1×Pfu緩衝液(Stratagene)において72℃)5分〜1時間インキュベートする。オリゴヌクレオチドCの置き換えられた領域は、FENヌクレアーゼを付加した際に切断される5'フラップを形成する。または、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって伸長を行う。
5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するが、3'-5' DNA合成活性を保有するTaqポリメラーゼの変異体型は、D144Sが5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を消失させて、F667YがddNTP取り込みを改善する、D144S/F667Y Taqの変異を含む。
PolIポリメラーゼのExo-変異体は、Xu et al., 1997, J. Mol. Biol., 268: 284の方法に従って調製することができる。
本発明による標識切断構造は、PfuFEN-1(すなわち、実施例9において以下に記述されるように調製された、クローニングされたパイロコッカス・フリオサスFEN-1)の調製物によって切断される。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。切断は、以下を含有する反応混合物7μlにPfuFEN-1 2μlを加えることによって行われる。
3μl 切断構造(10 ng〜10μg)
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM MgCl2を含有する)
2.00 μl PfuFEN-1酵素またはH2O
1.3 μl H2O
全量7.00μl。
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(Stratagene Cyclist DNAシークエンシングキット、カタログ番号200326に含まれる)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。lacリプレッサータンパク質を含む放出された標識断片は、固相支持体上で、lacリプレッサータンパク質:
Figure 2010525792
によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに対するlacリプレッサータンパク質の結合によって結合する。
一つの態様において、標識断片は、たとえば塩濃度を変更させることによって、すなわち塩濃度を減少させることによって(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には典型的に、約1 M未満の塩濃度が含まれ、より通常約500 mM未満、好ましくは約200 mM未満の塩濃度が含まれる)、または競合体であるa)lacリプレッサータンパク質もしくはb)lacリプレッサータンパク質によって認識される二本鎖DNA配列、の過剰量を加えることによって、捕獲エレメントから溶出させる。溶出した標識断片を含有する試料を、以下のようにゲル電気泳動によって分析する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後、水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させて、標的核酸の存在を示しているシグナルの存在を検出する。
または、伸長は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって行われる。
実施例5
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定することができる。標識切断構造は、FENヌクレアーゼを加える前に、
(a)標的核酸(図4におけるB)を含有する試料を、
(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流のオリゴヌクレオチドプライマー(図4におけるA)および
(c)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、かつ結合部分(たとえば、図4におけるab、核酸配列
Figure 2010525792
を含む)を含み、かつオリゴヌクレオチドAのハイブリダイズする領域に近接する標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、標的核酸にハイブリダイズせずに5'フラップ(例えば図4におけるab)を形成する5'領域をさらに含む、下流の5'端標識オリゴヌクレオチドプローブ(図4におけるC)と共に、
95℃で5分間アニールした後におよそ50〜60℃まで冷却することによって形成される。アニーリングは、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で行われる。
本発明による標識切断構造は、PfuFEN-1(すなわち、実施例9において以下に記述されるように調製された、クローニングされたパイロコッカス・フリオサスFEN-1)の調製物によって切断される。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。切断は、以下を含有する反応混合物7μlにPfuFEN-1 2μlを加えることによって行われる。
3μl 切断構造(10 ng〜10μg)
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM MgCl2を含有する)
2.00 μl PfuFEN-1酵素またはH2O
1.3 μl H2O
全量7.00μl。
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(Stratagene Cyclist DNAシークエンシングキット、カタログ番号200326に含まれる)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。結合部分を含む放出された標識断片は、固相支持体上で、配列:
Figure 2010525792
を含む捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって結合する。一つの態様において、標識断片は、たとえば塩濃度を減少させることによって(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には典型的に、約1 M未満の塩濃度が含まれ、より通常約500 mM未満、好ましくは約200 mM未満の塩濃度が含まれる)、または非標識競合体断片の過剰量を加えることによって、捕獲エレメントから溶出させる。溶出した標識断片を含有する試料を、以下のようにゲル電気泳動によって分析する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後、水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させて、標的核酸の存在を示しているシグナルの存在を検出する。
または、伸長は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって行われる。
実施例6
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定することができる。標識切断構造は、FENヌクレアーゼを加える前に、
(a)標的核酸(図4におけるB)を含有する試料を、
(b)標的核酸に特異的にハイブリダイズする上流のオリゴヌクレオチドプライマー(図4におけるA)および
(c)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、かつlacリプレッサータンパク質タグを含み、かつオリゴヌクレオチドAのハイブリダイズする領域に近接する標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズして標的核酸にハイブリダイズせずに5'フラップ(例えば図4におけるab)を形成する5'領域をさらに含む、下流の5'端標識オリゴヌクレオチドプローブ(図4におけるC)と共に、
95℃で5分間アニールした後におよそ50〜60℃まで冷却することによって形成される。アニーリングは、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で行われる。
本発明による標識切断構造は、PfuFEN-1(すなわち、実施例9において以下に記述されるように調製された、クローニングされたパイロコッカス・フリオサスFEN-1)の調製物によって切断される。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。切断は、以下を含有する反応混合物7μlにPfuFEN-1 2μlを加えることによって行われる。
3μl 切断構造(10 ng〜10μg)
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(10×FENヌクレアーゼ緩衝液は500 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM MgCl2を含有する)
2.00 μl PfuFEN-1酵素またはH2O
1.3 μl H2O
全量7.00μl。
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(Stratagene Cyclist DNAシークエンシングキット、カタログ番号200326に含まれる)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。
ハイブリダイズしたプローブのヌクレアーゼによって切断すると、lacリプレッサータンパク質は、固相支持体においてlacリプレッサータンパク質:
Figure 2010525792
によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに、特異的に結合する。
一つの態様において、標識断片は、先の実施例4において記述したように捕獲エレメントから溶出される。溶出した標識断片を含有する試料を、以下のようにゲル電気泳動によって分析する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後、水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させて、標的核酸の存在を示しているシグナルの存在を検出する。
または、伸長は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって行われる。
実施例7
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定することができる。標識切断構造は、FENヌクレアーゼを加える前に、
(a)標的核酸(図4におけるB)を含有する試料を、
(b)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造および結合部分(たとえば、図4におけるab、核酸配列、すなわち
Figure 2010525792
を含む)を有し、標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、かつ標的核酸にハイブリダイズせずに5'フラップを形成する5'領域を含む、下流の5'端標識オリゴヌクレオチドプローブ(図4におけるC)と共に、
95℃で5分間アニールした後におよそ50〜60℃まで冷却することによって形成される。アニーリングは、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で行われる。
本発明による標識切断構造は、この切断構造を切断することができるヌクレアーゼ(たとえば、Taqポリメラーゼ)によって切断される。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。切断は、以下を含有する反応混合物7μlにヌクレアーゼ2μlを加えることによって行われる。
3μl 切断構造(10 ng〜10μg)
0.7μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(500 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM MgCl2
2.00 μl ヌクレアーゼまたはH2O
1.3μl H2O
全量7.00μl。
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(Stratagene Cyclist DNAシークエンシングキット、カタログ番号200326に含まれる)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。結合部分を含む放出された標識断片は、固相支持体上で核酸配列、すなわち
Figure 2010525792
を含む捕獲エレメントに対する結合部分の結合によって結合される。一つの態様において、標識断片は、たとえば塩濃度を減少させることによって(ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件には典型的に、約1 M未満の塩濃度が含まれ、より通常では約500 mM未満、好ましくは約200 mM未満の塩濃度が含まれる)、または非標識競合体断片の過剰量を加えることによって、捕獲エレメントから溶出させる。溶出した標識断片を含有する試料を、以下のようにゲル電気泳動によって分析する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後、水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させて、標的核酸の存在を示しているシグナルの存在を検出する。
または、伸長は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって行われる。
実施例8
標的核酸は、以下の方法によって検出および/または測定することができる。
標識切断構造は、FENヌクレアーゼを加える前に、
(a)標的核酸(図4におけるB)を含有する試料を、
(b)標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造およびlacリプレッサータンパク質を含むタグを有し、標的核酸の領域に特異的にハイブリダイズし、かつ標的核酸にハイブリダイズせずに5'フラップ(図4におけるab)を形成する5'領域を含む、下流の5'端標識オリゴヌクレオチドプローブ(図4におけるC)と共に、
95℃で5分間アニールした後におよそ50〜60℃まで冷却することによって形成される。アニーリングは、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液または1×Pfu緩衝液の存在下で行われる。
本発明による標識切断構造は、この切断構造を切断することができるヌクレアーゼ(たとえば、Taqポリメラーゼ)によって切断される。切断は、切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造は、切断温度またはそれより下で安定である。切断は、以下を含有する反応混合物7μlにヌクレアーゼ2μlを加えることによって行われる。
3 μl 切断構造(10 ng〜10μg)
0.7 μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液(500 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM MgCl2
2.00 μl ヌクレアーゼまたはH2O
1.3 μl H2O
全量7.00μl。
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(Stratagene Cyclist DNAシークエンシングキット、カタログ番号200326に含まれる)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。ハイブリダイズしたプローブがヌクレアーゼによって切断されると、lacリプレッサータンパク質は、固相支持体上でlacリプレッサータンパク質:
Figure 2010525792
によって認識される二本鎖DNA配列を含む捕獲エレメントに、特異的に結合する。
一つの態様において、標識断片を、先の実施例4において記述されるように捕獲エレメントから溶出させる。溶出した標識断片を含有する試料を、以下のようにゲル電気泳動によって分析する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させて、標的核酸の存在を示しているシグナルの存在を検出する。
または、伸長は、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を示すポリメラーゼ、および「ヌクレアーゼ」と題する章に含まれる任意のヌクレアーゼによって行われる。
実施例9
Pfu FEN-1のクローニング
本発明による有用な熱安定性FENヌクレアーゼ酵素は、以下の方法に従って調製することができる。
熱安定性のFENヌクレアーゼ遺伝子を、当技術分野において周知のPCRクローニング法に従ってP.フリオサスに由来するゲノムDNA(ATCC #43587)から単離することができる。クローニングしたPfuFEN-1を、当技術分野において周知の以下に記述される方法に従って細菌細胞において、過剰発現させることができる。
以下のpCAL-n-EKクローニングオリゴヌクレオチドを合成および精製した。
Figure 2010525792
Affinity(登録商標)タンパク質発現精製システムを、Stratageneから得て、製造元のプロトコールに従って用いた。
増幅
インサートDNAを、pCAL-n-EKベクター一本鎖テールに相補的である5'端で12および13-ヌクレオチドの配列が含まれ、このように定方向のクローニングが可能となる、遺伝子特異的プライマー(先に記述されたオリゴヌクレオチドaおよびb)によるPCR増幅によって調製した。FEN-1配列は、以下を含有する増幅反応物(独立した100μl反応物5個)を調製する工程:
50μl 10×cPfu緩衝液(Stratagene)
7.5μl PfuゲノムDNA(およそ100 ng/μl)
7.5μl PfuTurbo(2.5u/μl)、(Stratagene、カタログ番号600250)
15μl 混合プライマー対(各100 ng/μl)(先に記述したオリゴヌクレオチドaおよびb)
4μl 100 mM dNTP
416 μl H2O
全量500μl
:および、
Stratagene Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーを用いて以下の条件下で増幅を行う工程:
ウィンドウ1 95℃ 1分 1サイクル
ウィンドウ2 95℃ 1分
50℃ 1分 30サイクル
72℃ 3分
によって、P.フリオサスに由来するゲノムDNAから増幅した。
5つの反応のそれぞれからのPCR産物を1本の試験管に合わせて、StrataPrep PCRを用いて精製し、1 mM Tris-HCl pH 8.6 50μlにおいて溶出した。FEN-1 PCR産物をゲルにおいて分析したところ、およそ1000 bpであると決定された。
fen-1遺伝子を含むPCR産物を、ライゲーション非依存的クローニング末端(LIC)を作製する工程、fen-1遺伝子を含むPCR産物をpCALnEK LICベクター(Stratagene)にアニールする工程、および以下の方法に従ってアニーリング混合物によって細胞を形質転換する工程によって、pCALnEK LICベクター(Stratagene)にクローニングした。簡単に説明すると、PCR増幅後、PCR産物を精製してdATPの存在下でPfu DNAポリメラーゼによって処理する(Affinity(登録商標)タンパク質発現精製システム、Stratagene、カタログ番号200326に含まれるマニュアルに従う)。dTTP、dGTP、およびdCTPの非存在下で、Pfu DNAポリメラーゼの3'-5'-エキソヌクレアーゼ活性は、PCR産物のそれぞれの3'端で少なくとも12および13ヌクレオチドを除去する。この活性は、最初のアデニンに遭遇するまで継続し、pCAL-n-EKベクターの一本鎖テールに相補的である5'-伸長一本鎖テールを有するDNA断片を産生する。
LIC末端の作製
LIC末端は、以下の混合物を調製することによって作製した。
45μl 精製PCR産物(〜0.5μg/μl)
2.5μl 10 mM dATP
5μl 10×cPfu緩衝液
1μl cPfu(2.5u/μl)
0.5μl H2O
cPfuおよびcPfu緩衝液は、Stratagene(cPfu、Stratageneカタログ番号600153およびcPfu緩衝液、Stratageneカタログ番号200532)から得ることができる。
試料を72℃で20分間インキュベートし、産物を室温まで冷却した。各試料に調製したpCALnEK LICベクター40 ngを加えた(調製されたベクターは、Affinity LICクローニングタンパク質精製キット(214405)においてStratageneから市販されている)。ベクターおよびインサートDNAを合わせて室温でアニールさせて、非常にコンピテントな細菌宿主細胞に形質転換する(Wyborski et al., 1997, Strategies, 10:1)。
FENを産生するための細胞の調製
LB-AMP 2 LをFEN-1クローン(クローン3)の終夜培養物20 mlに接種した。細胞がOD600=0.974に達するおよそ11時間、生育を進行させた。細胞を1 mM IPTGによって終夜誘導した(約12時間)。遠心によって細胞を採取し、得られた細胞ペーストを-20℃で保存した。
タグをつけたFEN-1の精製
細胞をカルシウム結合緩衝液20 mlに浮遊させた。
CaCl 2 結合緩衝液
50 mM Tris-HCl(pH 8.0)
150 mM NaCl
1.0 mM MgOAc
2 mM CaCl2
マイクロチップを用いてBranson Sonicatorによって、試料を超音波処理した。アウトプット設定は5であり、デューティサイクルは90%であった。試料を3回超音波処理し、処理と処理の間は氷中で休ませた。超音波物を26,800×gで遠心した。透明になった上清を、50 ml遠心管において洗浄(CaCl2結合緩衝液)カルモジュリンアガロース(CAMアガロース)1 mlと混合し、低温室(4℃)においてゆっくり回転するホイールにおいて5時間インキュベートした。CAMアガロースを軽い遠心によって採取した(卓上型遠心器において5000 rpm)。
上清を除去した後、CAMアガロースをCaCl2結合緩衝液50 mlによって洗浄し、使い捨てのドリップカラムに移した。当初の容器およびピペットを十分にすすいで残留アガロースを除去した。カラムをCaCl2結合緩衝液およそ200 mlによってすすいだ。
溶出は、50 mM NaCl溶出緩衝液(50 mM NaCl、50 mM Tris-HCl pH 8.0、2 mM EGTA)10 mlによって行った。0.5 ml画分を採取した、1 M NaCl溶出緩衝液によって第二の溶出工程を行い、0.5 ml画分を採取した。
精製タグFEN-1の評価
1 M NaClにおいて溶出したCBP-タグPfu FEN-1を含有する画分を、SDSにおいて沸騰させて、シプロオレンジで染色した4〜20%ゲルにおいてSDS-PAGEによって分析した(図5)。
非切断FEN-1のタンパク質濃度はおよそ150 ng/μl(以下)であると決定された。
精製FEN-1のエンテロキナーゼプロテアーゼ(EK)切断
画分3〜9を50 mM NaCl、50 mM Tris-HCl、pH 8.0、および2 mM CaCl2において4℃で終夜透析した。
透析したFEN-1において不透明な非常に細かい沈殿物が出現した。試料を1/20に希釈すると、沈殿物は除去された。試料を1/3に希釈すると、不溶性の材料がなおも検出された。1/3希釈材料を37℃で2分間加熱して最終濃度0.1%のTween 20と混合した。Tween 20を加えた後、ほとんど直ちに「ひも状沈殿物」が形成され、溶液中に非常により粗い固体が形成され、これは溶液を1 M NaClによって調節した後でも逆転されなかった。
EK切断は、1×EK緩衝液によって透析バッグをすすぐことによって調製した希釈試料と共に、1/20希釈した試料を基質として用いて行った。
EK切断は、EK(1u/μl)1μlを付加することによって、室温で終夜(約16時間)行った。
CAMアガロース100μlと合わせたSTIアガロース100μlを、1×STI緩衝液(50 mM Tris-HCl pH 8.0、200 mM NaCl、2 mM CaCl2、0.1%Tween 20)10 mlによって2回すすいだ。NaClを二つのEK試料に加えて、最終濃度を200 mM NaClとした。二つの試料を合わせて、すすいだアガロースに加えた、試料をホイール上で4℃で3時間ゆっくりと回転させて、卓上型遠心器において軽く遠心分離することによって分離した(記述したように)。上清を除去して樹脂を1×STI 500μlによって2回すすいだ。2回のすすぎ液を合わせて、当初の上清とは個別に保存した。試料を4〜20%ゲルにおいてSDS-PAGEによって分析した。
消化した産物の濃度は、濃度およそ50 ng/mlのPfu標準物質と比較することによって決定したところ、およそ23 ng/μlであった。
実施例10
FENヌクレアーゼ活性
FENヌクレアーゼのエンドヌクレアーゼ活性および実施例2において記述されるように調製されたFENヌクレアーゼの切断構造の必要条件は、「FENヌクレアーゼ」と題する章または以下のいずれかに記述される方法に従って決定することができる。
簡単に説明すると三つの鋳型(図2)を用いて本発明によるFENヌクレアーゼの活性を評価する。鋳型1は、以下の配列を有する5' 33P標識オリゴヌクレオチド(ヘルテスト4)である。
Figure 2010525792
ヘルテスト4の下線の部分は、M13mp18+に対して相補的な領域を表す。切断産物は、配列
Figure 2010525792
を有する18ヌクレオチドの断片である。ヘルテスト4は、M13に結合して相補的二本鎖ドメインと共に非相補的5'オーバーハングを産生する。この二重鎖は鋳型2を形成する(図2)。鋳型3(図2)は、ヘルテスト4に直接近接するM13に結合したさらなるプライマー(FENAS)を有する。FENASの配列は、
Figure 2010525792
である。鋳型3の存在下で、FENヌクレアーゼはヘルテスト4の遊離の5'末端に結合し、接合部に移動し、ヘルテスト4を切断して18ヌクレオチドの断片を産生する。得られた切断産物を6%アクリルアミド、7 M尿素シークエンシングゲルにおいて分離する。
鋳型を以下に記述するように調製する。
Figure 2010525792
Pfu緩衝液は、Stratagene(カタログ番号200536)から得ることができる。
鋳型混合物を95℃で5分間加熱し、室温まで45分間冷却して4℃で終夜保存する。
酵素試料は以下の通りである。
A.H2O(対照)
B.2μl 非希釈非切断FEN-1(〜445 ng/μl)
C.2μl 非切断FEN-1の1/10希釈液(〜44.5 ng/μl)
D.2μl エンテロキナーゼプロテアーゼ(EK)切断FEN-1(〜23 ng/μl)
四つの反応混合物を以下のように三つの鋳型と混合する。
3μl 鋳型1、鋳型2、または鋳型3
0.7μl 10×クローニングPfu緩衝液
0.6μl 100 mM MgCl2
2.00μl FEN-1またはH2O
0.7μl H2O
全量7.00μl
反応を50℃で30分間進行させて、ホルムアミド「シークエンシング停止」溶液2μlを各試料に加えることによって停止させる。試料を95℃で5分間加熱し、6%アクリルアミド7 M尿素CastAwayゲル(Stratagene)にローディングする。
または、FENヌクレアーゼ活性は、1時間インキュベーション時間を用いる以下の緩衝液において分析することができる。
10×FENヌクレアーゼ緩衝液
500 mM Tris-HCl pH 8.0
100 mM MgCl2
反応混合物は以下の通りである。
3μl 鋳型1、鋳型2、または鋳型3
0.7μl 10×FENヌクレアーゼ緩衝液
2.00μl FEN-1またはH2O(A〜D、上記)
1.3μl H2O
全量7.00μl
試料を、Robocycler 96ホットトップサーマルサイクラーにおいて50℃で1時間インキュベートする。シークエンシング停止色素溶液(95%ホルムアミド、20 mM EDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノール、Stratageneから入手可能)2μlを加えた後、試料を99℃で5分間加熱する。試料を長さ11インチの手動注入20%アクリルアミド/ビスアクリルアミド、7 M尿素ゲルにローディングする。ゲルに、ブロモフェノールブルーが全距離のおよそ2/3まで移動するまで20ワットを流す。ゲルをガラスプレートから取り出して固定液(15%メタノール、5%酢酸)において10分間浸した後水において10分間浸す。ゲルをWhatmann 3 mm濾紙の上に置いて、プラスチックラップで覆い、加熱した真空ゲル乾燥器(〜80℃)において2時間乾燥させる。ゲルをX-線フィルムに終夜感光させる。
鋳型1、2、および3(上記のように調製)が以下の付加によって切断される、FEN-1ヌクレアーゼアッセイ法のオートラジオグラフを図6に表す。
A.H2O
B.2μl CBPタグPfu FEN-1
C.2μl CBP-タグPfu FEN-1(1:10)希釈
D.2μl EK切断Pfu FEN-1
レーンは以下のとおりである。レーン1A、1B、1C、および1Dは、H2O、非希釈CBP-タグPfu FEN-1、1:10希釈CBP-タグPfu FEN-1、およびEK切断Pfu FEN-1よってそれぞれ切断された鋳型1を表す。レーン2A、2B、2Cおよび2Dは、H2O、非希釈CBP-タグPfu FEN-1、1:10希釈CBP-タグPfu FEN-1、およびEK切断Pfu FEN-1によってそれぞれ切断された鋳型2を表す。レーン3A、3B、3C、および3Dは、H2O、非希釈CBP-タグPfu FEN-1、1:10希釈CBP-タグPfu FEN-1、およびEK切断Pfu FEN-1によってそれぞれ切断された鋳型3を表す。
タグを付けられたPfu FEN-1は、N-末端CBPアフィニティ精製タグを含有する。タグ型対非タグ型FEN-1の量は同等ではないことから、FEN-1のタグ型と非タグ型の活性のいかなる差もタンパク質濃度(酵素試料の濃度は先に提供される)の差によるものである。タグ型および非タグ型Pfu FEN-1はいずれも切断活性を証明する。
図6は、FEN-1の非存在下での切断のバックグラウンドレベルを証明する(レーン1A、2A、および3A)。さらに、この図は、タグ型Pfu FEN-1が鋳型1と比較して鋳型2をより多く切断することを証明している。特に、鋳型2の最大量は、非希釈タグ型Pfu FEN-1の存在下で切断される(レーン2B)。鋳型3の分析は、鋳型3の最大量が非希釈タグ型Pfu FEN-1によって切断されるが、鋳型3の最少量が希釈タグ型FEN-1によって切断されることを証明している。標識プローブは40〜43ヌクレオチドのバンドとして移動する。FEN-1は、鋳型2と比較して鋳型3(上流のプライマーを含む)を優先的に切断する。切断産物バンドは、16〜20ヌクレオチドで移動する主要なバンドである。標識切断産物における不均一性は、使用前にゲル精製されなかった標識基質における不均一性の結果である。
実施例11
FEN-1ヌクレアーゼおよび5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するTaqポリメラーゼの存在下でのPCR増幅およびβアクチンの検出
PCRアッセイ法を用いて標的核酸を検出する。このアッセイの方法に従って、PCR反応は、標的核酸に結合すると変化する二次構造を有し、結合部分またはタグを含むプローブ、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するTaqポリメラーゼ(たとえば、Yaq exo-)、および熱安定性FEN-1ヌクレアーゼ(たとえば、実施例9において記述されるように調製されたPfu FEN-1)の存在下で行われる。固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分またはタグの結合によって結合する蛍光標識断片の放出の検出は、標的核酸の存在を示す。
1試料あたり2通りずつのPCR反応物は、1×Sentinel分子ビーコンコア緩衝液、3.5 mM MgCl2、各200μM dNTP、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するTaqポリメラーゼ(〜1.45 U)、Pfu FEN-1(〜23 ng)、β-アクチンプライマー(各300 nM)、およびβ-アクチン標的配列にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分またはタグを含むβ-アクチン特異的蛍光原プローブを含有する。ヒトゲノムDNA(Promega)10 ngを各反応において標的核酸として用いる。この反応を容積50μlにおいて行う。Pfu FEN-1単独、5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するTaqポリメラーゼ単独、またはヒトゲノムDNA鋳型を除く全ての成分を含有する反応混合物を含有する陰性対照反応物を調製する。Taq 2000 2.5単位を含む陽性対照反応も同様に調製する。PCR反応の際に、切断構造の形成、β-アクチン標的配列の増幅、および切断構造の切断が同時に起こる。切断構造の切断が切断温度で行われ、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造が切断温度またはそれより下で安定であるようなサーモサイクリングパラメータを選択する。反応物を分光蛍光計サーモサイクラー(ABI 7700)においてアッセイする。サーモサイクリングパラメータは、95℃で2分、ならびに95℃で15秒間、60℃で60秒間、および72℃で15秒間を40サイクルである。アニーリング工程時に、指令信号を試料に送る。
放出された蛍光標識断片は、固相支持体上に結合した捕獲エレメントに、プローブ上に存在する結合部分またはタグによって結合する。
実施例12
FEN-1ヌクレアーゼおよび5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するPfuポリメラーゼの存在下でのβ-アクチンのPCR増幅および検出
PCRアッセイ法を用いて標的核酸を検出する。このアッセイ法に従って、β-アクチン標的核酸にプローブが結合すると変化する二次構造を有し、結合部分またはタグを含むプローブ、Pfuポリメラーゼ(天然に5'-3'エキソヌクレアーゼ活性を欠損する)、または、さらに同様に3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するPfuポリメラーゼ(たとえば、exo-Pfu)、および熱安定性FEN-1ヌクレアーゼ(Pfu FEN-1)の存在下でPCR反応を行う。固相支持体上の捕獲エレメントに対する結合部分またはタグの結合によって結合する蛍光標識断片の放出が検出されれば、標的核酸の存在を示している。
1×クローニングPfu緩衝液(Stratageneから入手可能、カタログ番号200532)、3.0 mM MgCl2、各200μM dNTP、3'-5'エキソヌクレアーゼ活性を欠損するPfuポリメラーゼ5単位、タグまたは非タグ型Pfu FEN-1(〜23 ng)、PEF(1 ng)(WO 98/42860において記述される)、β-アクチンプライマー(各300 nM)、および標的β-アクチン核酸配列にプローブが結合すると変化する二次構造を有する蛍光原プローブを含有する1試料あたり2通りずつのPCR反応物を調製する。ヒトゲノムDNA(Promega)10 ngを、各反応における標的核酸として用いる。反応は容積50μlにおいて行う。5'-3'および3'-5'エキソヌクレアーゼ活性の双方を欠損するPfuポリメラーゼのみを含む、またはヒトゲノムDNA鋳型を除く全ての成分を含有する陰性対照反応も同様に調製する。Taq 2000 2.5単位を含有する反応混合物を調製し、陽性対照として用いる。PCR反応の際に、切断構造の形成、β-アクチン標的配列の増幅、および切断構造の切断が同時に起こる。切断構造の切断が切断温度で起こり、標的核酸に結合していない場合のプローブの二次構造が切断温度またはそれより下で安定であるように、サーモサイクリングパラメータを選択する。反応物を分光蛍光計サーモサイクラー(ABI 7700)において分析する。サーモサイクリングパラメータは95℃で2分、ならびに95℃で15秒間、60℃で60秒間、および72℃で15秒間の40サイクルである。
放出された蛍光標識断片は、固相支持体に結合した捕獲エレメントに対してプローブ上に存在する結合部分またはタグを通して結合する。
実施例13
ローリングサークル増幅を伴う本発明によるアッセイ法は、標準的な技法によってバフィーコードから抽出されたヒトDNAにおいて検出される、標的としてヒトオルニチントランスカルバミラーゼ遺伝子を用いて行われる。標的(400 ng)を、97℃で4分間熱変性させ、二つの5'-リン酸化オリゴヌクレオチド、オープンサークルプローブ、および一つのギャップオリゴヌクレオチドの存在下でライゲーション条件下でインキュベートする。オープンサークルプローブは、以下の配列:
Figure 2010525792
を有し、野生型配列のギャップヌクレオチドは、tagtgatcを有する。図7および8は、ローリングサークルプローブおよびローリングサークル増幅を描写する。反応緩衝液(40ul)は、5単位/μl T4 DNAリガーゼ(New England Biolabs)、10 mM Tris-HCl、pH 7.5、0.2 M NaCl、10 mM MgCl2、4 mM ATP、80 nMオープンサークルプローブおよび100 nMギャップオリゴヌクレオチドを含有する。37℃で25分間インキュベートした後、25ulを採取して50 mM Tris-HCl、pH 7.5、10 mM MgCl2、1 mM DTT、各400μM dTTP、dATP、dGTP、dCTP、0.2μMローリングサークル複製プライマー:
Figure 2010525792
、φ29 DNAポリメラーゼ(160 ng/50ul)を含有する溶液25ulに加える。試料を30℃で30分間インキュベートする。
RNAを、以下の試薬濃度を達成するために希釈された代償緩衝液(保存液または濃縮液)を加えることによって、オープンサークルプローブに存在するT7から産生する:35 mM Tris-HCl、pH 8.2、2 mMスペルミジン、18 mm MgCl2、5 mM GMP、各1 mM ATP、CTP、GTP、333 uM UTP、667 uM ビオチン-16-UTP、0.03%Tween 20、2単位/ul T7 RNAポリメラーゼ。RNA産生は、US 5,858,033において記述されるように行う。インキュベーションを37℃で90分間進行させる。
各試料(実際の試験試料、(-)リガーゼ対照試料、(-)φ29 DNAポリメラーゼ対照、および(-)T7 RNAポリメラーゼ対照)5μlを1試料あたり2通りずつの検出のために除去する。逆転写酵素プロセスには、
A)オープンサークルをライゲーションする工程、
B)ローリングサークル一本鎖DNAを合成する工程、
C)RNAを作製する工程(オープンサークルプローブに存在するT7プロモーターから)、
D)cDNAを作製するためにRNAを逆転写する工程、および
E)本発明によるFEN切断構造の検出を生成するためにプライマーおよびプローブを用いてcDNAのPCR増幅を行う工程
が含まれる。逆転写の場合、製造元によって推奨されるTaq 2000 DNAポリメラーゼに関するYaq DNAポリメラーゼの等量を置換することを除き、Stratagene Sentinel Single-Tube RT-PCRコア試薬キット(カタログ番号600505)によって供給される試薬およびプロトコールを用いる。各反応は、1×Sentinel分子ビーコンRT-PCRコア緩衝液、3.5 mM MgCl2、各200μM dNTP、exo-Pfu 5単位、Pfu FEN-1 23 ng、PEF 1 ng、各500 nMの上流のプライマー:
Figure 2010525792
、リバースプライマー:
Figure 2010525792
、および標的核酸に結合すると変化する本明細書において定義される二次構造を有し、結合部分をさらに含む蛍光原プローブ(たとえば、FAM-DABCYLによって標識される)を含有する。反応物を45℃で30分間、95℃で3分間のインキュベーションに供した後、サーマルサイクラーにおいて1サイクル:95℃で2分間、50℃で1分間、72℃で1分間:を行う。次に、StratageneのFluorTrackerまたはPE Biosystemsの7700配列検出システムなどの蛍光プレートリーダーにおいてプレート読み取りモードで蛍光を決定する。
ローリングサークル増幅RNA産物においてビオチン-16UTPの取り込みのために、検出効率の交叉チェックが可能である。反応物のアリコートを、固定した捕獲プローブを用いて、スライドガラス(またはマイクロウェルプレート)において捕獲する。捕獲されたRNAアンプリコンの検出は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,854,033号において詳細に記述されている。
実施例14
以下の実験は、改変がプローブを切断に対して抵抗性にするか否かを決定するために行うことができる。
Figure 2010525792
上記のオリゴヌクレオチドは、本発明の改変によって、プローブの少なくとも一部がヌクレアーゼによる切断に対して抵抗性となるか否かを決定するために、切断反応において用いることができる。
プローブを、プローブが切断されない場合には検出可能シグナルが消光し、プローブが切断されると検出可能シグナルが産生されるように効果的に配置される(プローブの+1位(プローブにおけるc)におけるFAMおよびプローブの3'端におけるBHQ)相互作用標識対(たとえば、FAM、BHQ)に機能的に結合させる。プローブの下線の部分は5'フラップに対応する。試験の改変は、相互作用標識対に及ぶプローブの領域に含まれる。改変が切断を防止する場合、検出可能シグナルは産生されないが、改変が切断の防止において無効である場合には、検出可能シグナルが産生されるであろう。
異なる三つの上流のオリゴヌクレオチドを本実施例において例証する(ギャップ、ニック、オーバーラップ)が、それらが相互作用標識対間でプローブの切断を指示する限り、代わりの上流のオリゴヌクレオチドを用いてもよい。証明されたように、ギャップおよびニックは非オーバーラップオリゴヌクレオチドであるが、1ヌクレオチドオーバーラップは標的にアニールした場合に、オーバーラップ構造を形成する。
簡単に説明すると、以下の試薬を反応混合物において合わせることができる:1×プローブ緩衝液(15 mM Tris-HCl(pH 8)、50 mM KCl、5.5 mM MgCl2、8%グリセロール、1%DMSO)、FEN 100 ng、200 nMプローブ、200 nM上流のオリゴヌクレオチド、および200 nM標的。反応は全量25μlで行われる。
反応は、以下のパラメータにおいてMx3000PリアルタイムPCR機器において行われる:95℃で2分間を1サイクルの後に、
95℃で10秒間、
60℃で30秒間を40サイクル。
各サイクルの60℃の工程の終了時に蛍光データを収集する。蛍光が陰性対照、すなわちベースラインに等しいまたはそれより下である場合(切断を防止することが知られている改変を有するプローブ)、改変はプローブを切断に対して抵抗性にすることにおいて有効である。
実施例15
以下の実験は、2'-O-メトキシ改変によるプローブ切断の阻害を証明する。図16は、本実施例において用いられる、上流のオリゴヌクレオチド、標的、および改変された下流のプローブを例証する。
本実験において、1Q3Fプローブを用いた。1Q3Fプローブは、+1ヌクレオチドにおいてBHQを有し、3'端においてFAMを有し、このように検出可能シグナルは、オーバーラップ構造が形成されて切断された場合に産生されるのみであり、このようにして標識を分離する。相互作用標識(たとえば、FAM BHQ)は、プローブが切断されない場合に検出可能シグナルが消光するように効果的に配置される。プローブの下線の部分は5'フラップに対応する。図16において例証されるように、1Q3Fプローブは、+2位〜+16位まで2'-O-メトキシ改変ヌクレオチドを含む。これは、オーバーラップ構造が形成された際に切断のための標的となる可能性があるプローブの領域である。上流のオリゴヌクレオチドが+16位を超えて伸長する場合、プローブは標的から置き換えられることに注意されたい。このように、プローブのヌクレオチド+17位から3'端は、本発明のヌクレアーゼによって標的とされず、切断することができない。
異なる7個の上流のオリゴヌクレオチドを本反応において用い;それぞれは標的に対して完全に相補的である。図16において図示されるように、上流のオリゴヌクレオチドは、2塩基ギャップ、1塩基ギャップ、ニック、下流のプローブの相補的部分との1塩基オーバーラップ、2塩基オーバーラップ、3塩基オーバーラップ、または4塩基オーバーラップを産生した。
簡単に説明すると、以下の試薬および濃度を用いた。
200 ng Pfu FENヌクレアーゼ
1.25 U Pfu V93Rエキソポリメラーゼ
200 nM プローブ:
+2〜+16位の1Q3F 2'メトキシ改変
200 nM Alt B合成ssDNA標的、および
200 nM 上流オリゴ:
F-2、F-1、FWD F+l、F+2、F+3、およびF+4
反応は、以下のパラメータによってMx3000PリアルタイムPCR機器において行った:95℃で2分間を1サイクルの後に、
95℃で10秒間、
60℃で30秒間を50サイクル。
各サイクルの60℃工程の終了時に蛍光データを収集した。シグナルは検出されなかった。したがって、2'-O-メトキシ改変は、オーバーラップ構造を形成するとプローブの切断を防止した。
実施例16
以下の実験は、3'末端非相補的ヌクレオチドを有する上流のオリゴヌクレオチドと、5'フラップを有する下流のプローブとを使用する、標的核酸の検出を証明する。図16は、本実施例において用いられる上流のオリゴヌクレオチド(F-1A mm)、標的および改変プローブを例証する。
本実験において、1Q5Fプローブを用いた。1Q5Fプローブは+1ヌクレオチド上にBHQを有し、5'端上にFAMを有し、このように非侵襲的切断のみが検出可能シグナルを産生するであろう(BHQとFAMとの間の切断)。相互作用標識(たとえば、FAM、BHQ)は、プローブが切断されない場合に検出可能シグナルが消光するように、効果的に配置される。プローブの下線の部分は、5' フラップに対応する。図16において例証されるように、1Q5Fプローブの一つには、+2〜+16位までの2'-O-メトキシ改変ヌクレオチドが含まれる。他の1Q5Fプローブには、プローブを切断に対して抵抗性にするいかなる改変も含まれなかった。
本実施例において、F-1Amm上流のオリゴヌクレオチドは、下流のプローブの相補的部分と1塩基ギャップを形成するように、標的とアニールし、標的に対して非相補的である3'末端ヌクレオチドがさらに含まれる(図16を参照されたい)。
簡単に説明すると、以下の試薬および濃度を用いた。
200 ng Pfu FENヌクレアーゼ
1.25 U Pfu V93Rエキソポリメラーゼ
200 nM プローブ:
1Q5F
2〜16 1Q5Fからの2'メトキシ改変
200 nM Alt B合成ssDNA標的
200 nM 上流オリゴ:
F-1 Aミスマッチ
反応は、以下のパラメータによってMx3000PリアルタイムPCR機器において行った:95℃で2分間を1サイクルの後に、
95℃で10秒間、
60℃で30秒間を50サイクル。
結果は、標的の存在を示す検出可能シグナルが、3'ミスマッチを有する上流のオリゴヌクレオチドを使用する反応混合物において非オーバーラップ(非侵入性)切断構造が形成された場合に産生されることを証明している。
実施例17
以下は、プライマー-プローブ二重鎖標的検出アッセイの使用について記述する。
本発明のプライマー-プローブ二重鎖の態様は、標的の同定および定量において有用な方法およびプローブに関する。本発明の一つの態様を図17に例示する。この態様において、方法は、二つのオリゴヌクレオチド:二重標識プローブおよびプライマー(プローブと二重鎖を形成する第一のオリゴヌクレオチド)を利用する(図19を参照されたい)。方法はまた、二つの酵素、すなわちヌクレアーゼ、たとえばP.フリオウス(P. furious)FENと、ポリメラーゼ、たとえばP.フリオウスDNAポリメラーゼを利用する。
この態様において、プローブは、+1ヌクレオチドにおいてBHQ、および5'端においてFAMを有し(図19)、このように、非オーバーラップ構造が形成されて切断され、このように標識が分離される場合に限って検出可能なシグナルが産生される。相互作用標識(たとえば、FAM、BHQ)は、プローブが切断されない場合に検出可能なシグナルが消光するように有効に配置される。プローブは、非相同性5'フラップ(図19;領域D)を有する。いくつかの態様において、プローブは3'テールを有する。
この態様はまた、プローブの3'領域と標的の第一鎖の双方に対して相補的であるフォワードプライマーを利用する。いくつかの態様において、プライマーは、プローブに対して非相補的である3'領域を有する。プライマーは、標的にハイブリダイズしない場合、プローブと二重鎖を形成することができる。
簡単に説明すると、プライマー-プローブ二重鎖は、変性条件を適用すると変性する。ハイブリダイズ条件を適用すると、プライマーは、標的核酸の第一鎖にアニールするが(図17B)、プローブは標的の他方の核酸鎖にアニールして切断構造を形成する(図17D)。プライマーは、ポリメラーゼによって伸長するが、プローブの5'フラップは切断されて、それによって標識を分離して、検出されるシグナルを産生する(図17C、E)。反応条件を多数のサイクル繰り返す。
簡単に説明すると、本発明の実践において以下の試薬および濃度を用いる。
100 ng Pfu FENヌクレアーゼ
2.5 U Pfu V93Rポリメラーゼ
200 nMプローブ
200 nMプライマー
反応は、以下のパラメータによって、Mx3000PリアルタイムPCR機器において行う:95℃で2分間を1サイクルの後に以下を50サイクル:
95℃で10秒間
60℃で30秒間。
蛍光データを、各サイクル60℃の段階の終了時に収集する。蛍光データを用いて標的核酸の存在および/または量を決定する。
実施例18
以下は、切断オリゴヌクレオチドを利用するプライマー-プローブ二重鎖標的検出アッセイの使用について記述する。
本発明のプライマー-プローブ二重鎖態様は、標的の同定および定量において有用な方法およびプローブに関する。本発明の一つの態様を図18において例示する。この態様において、方法は、三つのオリゴヌクレオチド:二重標識プローブ、プライマー(プローブと二重鎖を形成する第一のオリゴヌクレオチド)、および切断オリゴヌクレオチドを利用する(図19を参照されたい)。方法はまた、二つの酵素、すなわちヌクレアーゼ、たとえばP.フリオウスFENと、ポリメラーゼ、たとえばP.フリオウスDNAポリメラーゼとを利用する。
この態様において、プローブは、+1ヌクレオチドにおいてBHQを有し、5'端においてFAMを有し(図19)、このように、検出可能なシグナルは、非オーバーラップ構造が形成されて切断され、このように標識を分離する場合に限って産生される。相互作用標識(たとえば、FAM、BHQ)は、プローブが切断されない場合に検出可能なシグナルが消光するように有効に配置される。プローブは、非相同性5'フラップを有する(図19;領域D)。いくつかの態様において、プローブは3'テールを有する。
この態様はまた、プローブの3'領域および標的の第一鎖の双方に対して相補的であるフォワードプライマーを利用する。いくつかの態様において、プライマーは、プローブに対して非相補的である3'領域を有する。プライマーは、標的にハイブリダイズしない場合に、プローブと二重鎖を形成することができる。
切断オリゴヌクレオチドは、プローブの上流に位置するように標的の第二鎖にハイブリダイズする(すなわち、プローブと共に少なくともニックを形成する)。好ましくは、切断オリゴヌクレオチドとプローブは、標的にハイブリダイズしてギャップを形成する。切断オリゴヌクレオチドは、一般的に、それがポリメラーゼによって伸長することができないように、3'端でブロックされる、または標的核酸に対してミスマッチである(図19)。
簡単に説明すると、プライマー-プローブ二重鎖は、変性条件を適用すると変性する(図18A)。ハイブリダイズ条件を適用すると、プライマーは標的核酸の第一鎖にアニールするが(図18B)、プローブおよび切断オリゴヌクレオチドは、標的の他方の核酸鎖にアニールする(図18D)。プライマーは、ポリメラーゼによって伸長するが、ヌクレアーゼは、アニールしたプローブと切断オリゴヌクレオチドとによって作製された切断構造を切断する(図18C、E)。ヌクレアーゼは、プローブ上の5'フラップを切断し、それによって標識を分離して、検出されるシグナルを産生する。反応条件を多数のサイクル繰り返す。
簡単に説明すると、以下の試薬および濃度を本発明の実践において用いる。
100 ng Pfu FENヌクレアーゼ
2.5 U Pfu V93Rポリメラーゼ
200 nMプローブ
200 nMプライマー
200 nM切断オリゴヌクレオチド
反応は、以下のパラメータによって、Mx3000PリアルタイムPCR機器において行う:95℃で2分間を1サイクルの後に以下を50サイクル:
95℃で10秒間
60℃で30秒間。
蛍光データを各サイクルの60℃の段階の終了時に収集する。蛍光データを用いて、標的核酸の存在および/または量を決定する。
実施例19
以下は、リバースプライマーを利用するプライマー-プローブ二重鎖標的検出アッセイの使用について記述する。
本発明のプライマー-プローブ二重鎖態様は、標的の同定および定量において有用な方法およびプローブに関する。本発明の一つの態様を図20において例示する。この態様において、方法は、三つのオリゴヌクレオチド:二重標識プローブ、フォワードプライマー(プローブと二重鎖を形成する第一のオリゴヌクレオチド)、およびリバースプライマーを利用する(図19を参照されたい)。方法はまた、二つの酵素、すなわちヌクレアーゼ、たとえばP.フリオウスFENと、ポリメラーゼ、たとえばP.フリオウスDNAポリメラーゼを利用する。
この態様において、プローブは、+1ヌクレオチドにおいてBHQを有し、5'端においてFAMを有し(図19)、このように、検出可能なシグナルは、非オーバーラップ構造が形成および切断され、このように標識を分離する場合に限って産生される。相互作用標識(たとえば、FAM、BHQ)は、プローブが切断されない場合に検出可能なシグナルが消光するように有効に配置される。プローブは、非相同性5'フラップを有する(図19;領域D)。いくつかの態様において、プローブは3'テールを有する。
この態様はまた、プローブの3'領域および標的の第一鎖の双方に対して相補的であるフォワードプライマーを利用する。いくつかの態様において、プライマーは、プローブに対して非相補的である3'領域を有する。プライマーは、標的にハイブリダイズしない場合に、プローブと二重鎖を形成することができる。
リバースプライマーは、プローブの上流に位置するように標的の第二鎖にハイブリダイズする。
簡単に説明すると、プライマー-プローブ二重鎖は、変性条件を適用すると変性する(図20A)。ハイブリダイズ条件を適用すると、プライマーは変性した標的核酸の第一鎖にアニールするが(図20B)、プローブおよびリバースプライマーは、標的の他方の核酸鎖にアニールする(図20D)。フォワードおよびリバースプライマーは、ポリメラーゼによって伸長する。リバースプライマーの伸長によってまた、プローブと伸長したリバースプライマーとを含む切断構造が形成される。ヌクレアーゼは、プローブの5'フラップを切断して、標識を分離し、検出されるシグナルを産生する(図20E)。次に、技法を多数のサイクル繰り返す。
簡単に説明すると、以下の試薬および濃度を本発明の実践において用いる。
100 ng Pfu FENヌクレアーゼ
2.5 U Pfu V93Rポリメラーゼ
200 nMプローブ
200 nMプライマー
200 nMリバースプライマー
反応は、以下のパラメータによって、Mx3000PリアルタイムPCR機器において行う:95℃で2分間を1サイクルの後に以下を50サイクル:
95℃で10秒間
60℃で30秒間。
蛍光データを各サイクルの60℃の段階の終了時に収集する。蛍光データを用いて標的核酸の存在および/または量を決定する。
実施例20
以下は、リバースプライマーおよび切断オリゴヌクレオチドを利用するプライマー-プローブ二重鎖標的検出アッセイの使用について記述する。
本発明のプライマー-プローブ二重鎖態様は、標的の同定および定量において有用な方法およびプローブに関する。本発明の一つの態様を図21において例示する。この態様において、方法は、四つのオリゴヌクレオチド:二重標識プローブ、フォワードプライマー(プローブと二重鎖を形成する第一のオリゴヌクレオチド)、リバースプライマー、および切断オリゴヌクレオチドを利用する(図19を参照されたい)。方法はまた、二つの酵素、すなわちヌクレアーゼ、たとえばP.フリオウスFENと、ポリメラーゼ、たとえばP.フリオウスDNAポリメラーゼとを利用する。
この態様において、プローブは、+1ヌクレオチドにおいてBHQを有し、5'端においてFAMを有し(図19)、このように、検出可能なシグナルは、非オーバーラップ構造が形成されて切断され、このように標識を分離する場合に限って産生される。相互作用標識(たとえば、FAM、BHQ)は、プローブが切断されない場合に検出可能なシグナルが消光するように有効に配置される。プローブは、非相同性5'フラップを有する(図19;領域D)。いくつかの態様において、プローブは3'テールを有する(図22)。
この態様はまた、プローブの3'領域および標的の第一鎖の双方に対して相補的であるフォワードプライマーを利用する。いくつかの態様において、プライマーは、プローブに対して非相補的である3'領域を有する。プライマーは、標的にハイブリダイズしない場合に、プローブと二重鎖を形成することができる。
リバースプライマーは、プローブの上流に位置するように標的の第二鎖にハイブリダイズする。
切断オリゴヌクレオチドは、プローブの上流に位置するように標的にハイブリダイズする(すなわち、プローブと共に少なくともニックを形成する)。好ましくは、切断オリゴヌクレオチドとプローブは、標的にハイブリダイズしてギャップを形成する。切断オリゴヌクレオチドは一般的に、それがポリメラーゼによって伸長することができないように、3'端でブロックされる(図19)。
簡単に説明すると、プライマー-プローブ二重鎖は、変性条件を適用すると変性する(図21A)。ハイブリダイズ条件を適用すると、プライマーは標的核酸の第一鎖にアニールするが(図21B)、プローブ、切断オリゴヌクレオチド、およびリバースプライマーは、標的の他方の核酸鎖にアニールする(図21D)。フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、ポリメラーゼによって伸長する。切断オリゴヌクレオチドは、プローブと共に切断構造を形成する(図21D)。ヌクレアーゼは、プローブの5'フラップを切断して、標識を分離し、検出されるシグナルを産生する(図21E)。次に、技法を多数のサイクル繰り返す。
簡単に説明すると、以下の試薬および濃度を本発明の実践において用いる。
100 ng Pfu FENヌクレアーゼ
2.5 U Pfu V93Rポリメラーゼ
200 nMプローブ
200 nMプライマー
200 nMリバースプライマー
200 nM切断オリゴヌクレオチド
反応は、以下のパラメータによって、Mx3000PリアルタイムPCR機器において行う:95℃で2分間を1サイクルの後に以下を50サイクル:
95℃で10秒間
60℃で30秒間。
蛍光データを各サイクルの60℃の段階の終了時に収集する。蛍光データを用いて標的核酸の存在および/または量を決定する。
他の態様
他の態様は当業者に明らかであろう。前述の詳細な記述は、単に明快さのために提供され、単に例示的であるに過ぎないと理解すべきである。本発明の趣旨および範囲は、上記の実施例に限定されず、以下の特許請求の範囲によって包含される。

Claims (69)

  1. 以下を含む、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  2. 第一のオリゴヌクレオチドの3'領域が第二のオリゴヌクレオチドに対して非相補的であり、かつ標的の第一鎖に対して相補的である、請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  3. 第二のオリゴヌクレオチドが検出可能な標識を含む、請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  4. 第二のオリゴヌクレオチドが相互作用シグナル生成部分の対を含む、請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  5. 相互作用シグナル生成部分の対が消光部分と蛍光部分とを含む、請求項4記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  6. 相互作用シグナル生成部分の対が、非オーバーラップ切断構造の切断時に分離するように有効に配置される、請求項4記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  7. 相互作用シグナル生成部分の対の第一のメンバーが、第二のオリゴヌクレオチドの5'フラップに機能的に結合し、かつ相互作用シグナル生成部分の対の第二のメンバーが、第二のオリゴヌクレオチドの+1位に機能的に結合する、請求項6記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  8. 相互作用シグナル生成部分の対の第一のメンバーが、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域に機能的に結合し、かつ相互作用シグナル生成部分の対の第二のメンバーが第二のオリゴヌクレオチドの3'領域に機能的に結合する、請求項6記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  9. 第二のオリゴヌクレオチドが、第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的であるヌクレオチドの3'テールをさらに含む、請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  10. 3'テールが、標的核酸の第二鎖における第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的な領域より下流の、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である、請求項9記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  11. 第二のオリゴヌクレオチドが切断抵抗性プローブである、請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  12. 切断抵抗性プローブが、+1位より下流の部分を切断に対して非感受性にする一つまたは複数の改変を含む、請求項11記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  13. 切断抵抗性プローブが、+2位より下流の部分を切断に対して非感受性にする一つまたは複数の改変を含む、請求項11記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対。
  14. 以下を含む、組成物:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、かつ第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  15. オリゴヌクレオチドプライマーが、標的核酸の第二鎖にアニールする場合に第二のオリゴヌクレオチドより上流にある、請求項14記載の組成物。
  16. 切断オリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項14記載の組成物。
  17. 切断オリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖にアニールする場合に第二のオリゴヌクレオチドより上流にある、請求項16記載の組成物。
  18. 切断オリゴヌクレオチドが3'ブロックを有する、請求項16記載の組成物。
  19. 3'ブロックが、標的核酸に対して非相補的である一つまたは複数のヌクレオチドを含む、請求項18記載の組成物。
  20. オリゴヌクレオチドプライマーおよび切断オリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項14記載の組成物。
  21. 5'ヌクレアーゼをさらに含む、請求項14記載の組成物。
  22. 5'ヌクレアーゼがFENである、請求項21記載の組成物。
  23. 5'ヌクレアーゼが5'→3'合成活性を実質的に欠損している、請求項21記載の組成物。
  24. 5'ヌクレアーゼがフラップ特異的ヌクレアーゼである、請求項21記載の組成物。
  25. 5'ヌクレアーゼがFEN-1である、請求項21記載の組成物。
  26. 5'ヌクレアーゼが熱安定性である、請求項21記載の組成物。
  27. 核酸ポリメラーゼをさらに含む、請求項21記載の組成物。
  28. 核酸ポリメラーゼが5'→3'エキソヌクレアーゼ活性を実質的に欠損している、請求項27記載の組成物。
  29. 核酸ポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項27記載の組成物。
  30. 核酸ポリメラーゼがPfu DNAポリメラーゼである、請求項29記載の組成物。
  31. 請求項1記載のオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対と、その包装材料とを含むキット。
  32. ヌクレアーゼをさらに含む、請求項31記載のキット。
  33. 核酸ポリメラーゼをさらに含む、請求項31記載のキット。
  34. 以下の段階を含む、標的核酸を検出するための方法:
    a.第一のオリゴヌクレオチドと、
    5'領域、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチドと、
    標的核酸と、
    核酸ポリメラーゼと、
    5'ヌクレアーゼと
    を含む反応混合物を、核酸の重合化および切断構造の切断を可能にする条件に供する段階;
    b.第一のオリゴヌクレオチドの伸長産物との二重鎖の状態にある第二のオリゴヌクレオチドを含む切断構造を形成する段階であって、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が伸長産物に対して非相補的であり、かつ5'ヌクレアーゼによって切断される、段階;ならびに
    c.切断構造の切断を検出する段階。
  35. 第一のオリゴヌクレオチドが5'領域および3'領域を含み、第一のオリゴヌクレオチドの3'領域が第二のオリゴヌクレオチドに対して非相補的であり、かつ標的の第一鎖に対して相補的である、請求項34記載の方法。
  36. 第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、請求項34記載の方法。
  37. 第二のオリゴヌクレオチドが検出可能な標識を含む、請求項34記載の方法。
  38. 第二のオリゴヌクレオチドが相互作用シグナル生成部分の対を含む、請求項34記載の方法。
  39. 相互作用シグナル生成部分の対の第一のメンバーが、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域に機能的に結合し、かつ相互作用シグナル生成部分の対の第二のメンバーが、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域に機能的に結合する、請求項38記載の方法。
  40. 相互作用シグナル生成部分の対が、消光部分および蛍光部分を含む、請求項38記載の方法。
  41. 相互作用シグナル生成部分の対が、非オーバーラップ切断構造の切断時に分離するように有効に配置される、請求項38記載の方法。
  42. 相互作用シグナル生成部分の対の第一のメンバーが、第二のオリゴヌクレオチドの5'フラップに機能的に結合し、かつ相互作用シグナル生成部分の対の第二のメンバーが第二のオリゴヌクレオチドの+1位に機能的に結合する、請求項38記載の方法。
  43. 第二のオリゴヌクレオチドが、第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的であるヌクレオチドの3'テールをさらに含む、請求項34記載の方法。
  44. 3'テールが、標的核酸の第二鎖における第二のオリゴヌクレオチドに対して相補的な領域より下流の、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である、請求項43記載の方法。
  45. 第二のオリゴヌクレオチドが切断抵抗性プローブである、請求項34記載の方法。
  46. 切断抵抗性プローブが、+1位より下流の部分を切断に対して非感受性にする一つまたは複数の改変を含む、請求項45記載の方法。
  47. 切断抵抗性プローブが、+2位より下流の部分を切断に対して非感受性にする一つまたは複数の改変を含む、請求項45記載の方法。
  48. 5'ヌクレアーゼがFENである、請求項34記載の方法。
  49. 5'ヌクレアーゼがフラップ特異的ヌクレアーゼである、請求項34記載の方法。
  50. 5'ヌクレアーゼがFEN-1である、請求項34記載の方法。
  51. 5'ヌクレアーゼが熱安定性である、請求項34記載の方法。
  52. 5'ヌクレアーゼが5'→3'合成活性を実質的に欠損している、請求項34記載の方法。
  53. 核酸ポリメラーゼが5'→3'ヌクレアーゼ活性を実質的に欠損している、請求項34記載の方法。
  54. 核酸ポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項34記載の方法。
  55. 切断抵抗性プローブが5'領域および3'領域を含み、3'領域が標的核酸の第二鎖に対して少なくとも部分的に相補的であり、かつ5'領域が標的核酸の第二鎖に対して相補的ではない、請求項45記載の方法。
  56. 以下の段階を含む、標的核酸を検出するための方法:
    a.第一のオリゴヌクレオチドと、
    5'領域、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチドと、
    切断オリゴヌクレオチドと、
    標的核酸と、
    核酸ポリメラーゼと、
    5'ヌクレアーゼと
    を含む反応混合物を、核酸の重合化および切断構造の切断を可能にする条件に供する段階;
    b.いずれも第一のオリゴヌクレオチドの伸長産物との二重鎖の状態にある第二のオリゴヌクレオチドおよび切断オリゴヌクレオチドを含む切断構造を形成する段階であって、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が伸長産物に対して非相補的であり、かつ5'ヌクレアーゼによって切断される、段階;ならびに
    c.切断構造の切断を検出する段階。
  57. 切断オリゴヌクレオチドが、標的核酸に対して非相補的である少なくとも一つの3'末端ヌクレオチドを含む、請求項56記載の方法。
  58. 以下の段階を含む、標的核酸を検出するための方法:
    a.第一のオリゴヌクレオチドと、
    5'領域、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチドと、
    リバースオリゴヌクレオチドプライマーと、
    標的核酸と、
    核酸ポリメラーゼと、
    5'ヌクレアーゼと
    を含む反応混合物を、核酸の重合化および切断構造の切断を可能にする条件に供する段階;
    b.いずれも第一のオリゴヌクレオチドの伸長産物との二重鎖の状態にある、第二のオリゴヌクレオチドとリバースオリゴヌクレオチドプライマーの伸長産物とを含む切断構造を形成する段階であって、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が伸長産物に対して非相補的であり、かつ5'ヌクレアーゼによって切断される、段階;ならびに
    c.切断構造の切断を検出する段階。
  59. 以下の段階を含む、標的核酸を検出するための方法:
    a.第一のオリゴヌクレオチドと、
    5'領域、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチドと、
    切断オリゴヌクレオチドと、
    リバースプライマーと、
    標的核酸と、
    核酸ポリメラーゼと、
    5'ヌクレアーゼと
    を含む反応混合物を、核酸の重合化および切断構造の切断を可能にする条件に供する段階;
    b.いずれも第一のオリゴヌクレオチドの伸長産物との二重鎖の状態にある、第二のオリゴヌクレオチドと切断オリゴヌクレオチドとを含む切断構造を形成する段階であって、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が伸長産物に対して非相補的であり、かつ5'ヌクレアーゼによって切断される、段階;ならびに
    c.切断構造の切断を検出する段階。
  60. 第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における切断オリゴヌクレオチドに対して相補的な領域に近接する、標的核酸の第二鎖における領域に対して相補的である、請求項59記載の方法。
  61. 第二のオリゴヌクレオチドおよび切断オリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖にハイブリダイズする場合にギャップによって分離されている、請求項59記載の方法。
  62. 第二のオリゴヌクレオチドおよび切断オリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖にハイブリダイズする場合にニックによって分離されている、請求項59記載の方法。
  63. 以下を含む、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  64. 以下を含む、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  65. 以下を含む、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  66. 以下を含む、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  67. 以下を含む、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの対:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、かつ第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  68. 以下を含む組成物:
    第一のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第一鎖における領域にアニールすることによって伸長反応の合成をプライミングし、かつ第二のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の第二鎖における領域にアニールして切断構造を形成し、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的であり、かつ第二のオリゴヌクレオチドの5'領域が第一のオリゴヌクレオチドに対して非相補的である、5'領域および3'領域を含む第一のオリゴヌクレオチドならびに5'領域および3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド。
  69. 以下を含む反応混合物を、核酸の重合化を可能にする条件に供する段階を含む、標的核酸を検出するための方法:
    第一のオリゴヌクレオチド、
    5'領域、および第一のオリゴヌクレオチドに対して相補的である3'領域を含む第二のオリゴヌクレオチド、
    核酸ポリメラーゼ、
    5'ヌクレアーゼ、
    第一鎖および第二鎖を含み、第二のオリゴヌクレオチドの3'領域に対する相補性および第一のオリゴヌクレオチドに対する相補性を有することが予想される標的核酸、
    ここで、標的核酸の第一鎖と第一のオリゴヌクレオチドとの間、および、標的核酸の第二鎖と第二のオリゴヌクレオチドの3'領域との間に相補性が存在する場合に、第一のオリゴヌクレオチドの伸長によって伸長産物が形成され、第二のオリゴヌクレオチドおよび伸長産物を含む切断構造が形成され、該条件が、形成された切断構造の切断および切断構造の切断の検出を可能にする。
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