JP2010524447A - アスパラギナーゼ酵素変異体およびその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、配列番号3の新たに同定されたアスパラギナーゼポリペプチド変異体およびかかる新規のアスパラギナーゼ変異体をコードするポリヌクレオチド配列に関する。さらに、本発明は、工業的プロセスにおけるこれらの新規のアスパラギナーゼ変異体の使用に関する。
【選択図】なし
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Description
[発明の分野]
本発明は、アスパラギナーゼポリペプチド変異体およびこれらのアスパラギナーゼ変異体をコードする遺伝子を含むポリヌクレオチド配列に関する。本発明は同様に、工業的プロセスにおけるこれらの変異体タンパク質の使用方法にも関する。本発明の中に同様に含まれるのは、これらのタンパク質および細胞を生産するのに適した本発明にしたがったポリヌクレオチドで形質転換された細胞であり、ここで、本発明にしたがったタンパク質は、その活性および/または発現レベルを増強または削減するべく遺伝的に修飾されている。本発明は同様に、工業プロセスにおいてアスパラギナーゼ変異体を使用する方法にも関する。
本発明は、アスパラギナーゼポリペプチド変異体およびこれらのアスパラギナーゼ変異体をコードする遺伝子を含むポリヌクレオチド配列に関する。本発明は同様に、工業的プロセスにおけるこれらの変異体タンパク質の使用方法にも関する。本発明の中に同様に含まれるのは、これらのタンパク質および細胞を生産するのに適した本発明にしたがったポリヌクレオチドで形質転換された細胞であり、ここで、本発明にしたがったタンパク質は、その活性および/または発現レベルを増強または削減するべく遺伝的に修飾されている。本発明は同様に、工業プロセスにおいてアスパラギナーゼ変異体を使用する方法にも関する。
[発明の背景]
近年、数多くの加熱食品中におけるアクリルアミドの発生が公開された(タレケ(Tareke)ら、Chem.Res.Toxicol.、第13号、517〜522頁(2000年))。アクリルアミドは動物およびヒトにとって発ガン性の恐れがあるものとみなされていることから、この発見事実は、結果として世界中の関心事となった。さらなる研究は、一般的なさまざまな焼き物、揚げ物およびオーブン調理食品の中で大量のアクリルアミドを検出可能であることを明らかにし、食品中のアクリルアミドの発生が加熱プロセスの結果であることが実証された。
近年、数多くの加熱食品中におけるアクリルアミドの発生が公開された(タレケ(Tareke)ら、Chem.Res.Toxicol.、第13号、517〜522頁(2000年))。アクリルアミドは動物およびヒトにとって発ガン性の恐れがあるものとみなされていることから、この発見事実は、結果として世界中の関心事となった。さらなる研究は、一般的なさまざまな焼き物、揚げ物およびオーブン調理食品の中で大量のアクリルアミドを検出可能であることを明らかにし、食品中のアクリルアミドの発生が加熱プロセスの結果であることが実証された。
モットラム(Mottram)ら、ネイチャー(Nature)第419号、448頁(2002年)により、メイラード反応の結果としての還元糖およびアミノ酸からのアクリルアミドの形成経路が提案された。この仮説によると、アクリルアミドはメイラード反応中に形成され得る。焼いたり、ローストしたりする間に、メイラード反応は主として、色、においおよび風味に関与する。メイラードに付随する1つの反応は、アミノ酸のシュトレッカー分解であり、アクリルアミドへの経路が提案された。アクリルアミドの形成は、温度が120℃を超えた時点で検出可能となり、最高の形成速度は、170℃前後で観察された。アスパラギンおよびグルコースが存在した場合、最高レベルのアクリルアミドを検出でき、一方、グルタミンおよびアスパラギン酸は、微量という結果しかもたらさなかった。
食品と接触するプラスチックから食品内に移動するアクリルアミドについてのEUにおける公式の移動限界は、10ppb(1キログラムあたり10マイクログラム)に設定されている。調理中に形成するアクリルアミドについてはいかなる公式限界もまだ設定されていないが、数多くの製品、特に穀物、パン製品およびジャガイモまたはトウモロコシベースの製品がこの値を超過しているという事実は、懸念を生じさせるものである。
複数の植物原料が実質的レベルのアスパラギンを含有するものとして公知である。ジャガイモ中では、アスパラギンが、主要な遊離アミノ酸であり(合計アミノ酸含有量の40%に当たる940mg/kg)、小麦粉中では、アスパラギンが合計遊離アミノ酸プールの14%に当たる約167mg/kgのレベルで存在している(ベリッツ(Belitz)およびグロッシュ(Grosch)、Food Chemistry中、Springer New York、1999年)。アクリルアミドが主として(還元糖と組合わされた)アスパラギンから形成されているという事実によって、揚げ物、オーブン調理またはローストされた植物製品中で高レベルのアクリルアミドの説明がつくかもしれない。したがって、公衆衛生の利益のため、実質的に低いレベルのアクリルアミドしかもたないか、好ましくはアクリルアミドを含まない食品に対する緊急のニーズが存在する。
アクリルアミド含有量を低減させるため、例えば加熱ステップの温度または持続時間といった加工変数を変えること、またはアクリルアミドの形成を化学的または酵素的に防止することまたは形成したアクリルアミドを除去することによるさまざまな解決法が提案されてきた。
複数の特許出願において、アスパラギンのレベルひいては形成されるアクリルアミドの量を減少させるためのアスパラギナーゼの使用が開示された。この目的のための適切なアスパラギナーゼ、例えば国際公開第2004/030468号パンフレット中のアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)および国際公開第04/032648号パンフレット中のアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)などが、複数の真菌供給源から生成された。
全てのL−アスパラギナーゼは同一の化学転化の触媒として作用するが、このことは、それらが同じ利用分野に適していることを意味するわけではない。さまざまな利用分野が、酵素が機能しなければならない条件に関して異なる要求を有する。酵素的転化の速度に影響を及ぼしうる物理的および化学的パラメータは、(化学反応速度にプラスの効果を有するものの酵素の安定性についてはマイナスの効果を有し得る)温度、含水量、pH、塩濃度、食品マトリクスの構造的完全性、酵素の活性化因子または阻害因子の存在、基質および生成物の濃度などである。
したがって、改善された特性をもつ複数の利用分野向けの改良型アスパラギナーゼに対する継続的なニーズが存在する。
[発明の目的]
本発明の目的は、新規のアスパラギナーゼ変異体ポリペプチドおよびかかる変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することにある。さらなる目的は、かかるアスパラギナーゼ変異体を生産する組換え菌株を提供することにある。同様に、変異体の同定方法も、本発明にしたがったポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造および使用方法と合せて、本発明の一部を成す。
本発明の目的は、新規のアスパラギナーゼ変異体ポリペプチドおよびかかる変異体をコードするポリヌクレオチドを提供することにある。さらなる目的は、かかるアスパラギナーゼ変異体を生産する組換え菌株を提供することにある。同様に、変異体の同定方法も、本発明にしたがったポリヌクレオチドおよびポリペプチドの製造および使用方法と合せて、本発明の一部を成す。
[発明の要約]
本発明は、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドのポリペプチド変異体であって、配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されているポリペプチド変異体を提供している。
本発明は、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドのポリペプチド変異体であって、配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されているポリペプチド変異体を提供している。
本発明は同様に、次のものも提供する:
− かかる変異体をコードする核酸配列;
− 適切な発現宿主内でのアスパラギナーゼの発現を誘導することのできる1つ以上の制御配列に対して作動的に連結された本発明の変異体をコードする核酸配列を含む核酸コンストラクト;
− かかる核酸コンストラクトを含む組換え発現ベクター;
− かかる発現ベクターを含む組換え宿主細胞;
− アスパラギナーゼの生産を誘導する条件下でかかる宿主細胞を培養するステップおよびアスパラギナーゼを回収するステップを含むアスパラギナーゼの生産方法;
− アスパラギナーゼポリペプチド変異体の生産方法であって、
a) 親アスパラギナーゼポリペプチドを選択するステップと;
b) 41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換するステップであって、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されているステップと;
c) b)で定義されている1つ以上のさらなるアミノ酸を任意に置換するステップと;
d) ステップa)〜c)の結果として得た変異体を調製するステップと;
e) 変異体の比活性および/または最適pHを決定するステップと;
f) 親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した比活性および/または最適pHを有する変異体を選択し、これによりアスパラギナーゼポリペプチド変異体を生産するステップと、を含む方法。
− 本発明の一変異体または本発明の方法により得られる変異体を含む組成物;
− 食品の生産における本発明の組成物の使用;
および
− アスパラギン含有原料に基づく熱処理された食品の中で形成されるアクリルアミドの量を削減するための本発明の組成物の使用。
− かかる変異体をコードする核酸配列;
− 適切な発現宿主内でのアスパラギナーゼの発現を誘導することのできる1つ以上の制御配列に対して作動的に連結された本発明の変異体をコードする核酸配列を含む核酸コンストラクト;
− かかる核酸コンストラクトを含む組換え発現ベクター;
− かかる発現ベクターを含む組換え宿主細胞;
− アスパラギナーゼの生産を誘導する条件下でかかる宿主細胞を培養するステップおよびアスパラギナーゼを回収するステップを含むアスパラギナーゼの生産方法;
− アスパラギナーゼポリペプチド変異体の生産方法であって、
a) 親アスパラギナーゼポリペプチドを選択するステップと;
b) 41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換するステップであって、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されているステップと;
c) b)で定義されている1つ以上のさらなるアミノ酸を任意に置換するステップと;
d) ステップa)〜c)の結果として得た変異体を調製するステップと;
e) 変異体の比活性および/または最適pHを決定するステップと;
f) 親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した比活性および/または最適pHを有する変異体を選択し、これによりアスパラギナーゼポリペプチド変異体を生産するステップと、を含む方法。
− 本発明の一変異体または本発明の方法により得られる変異体を含む組成物;
− 食品の生産における本発明の組成物の使用;
および
− アスパラギン含有原料に基づく熱処理された食品の中で形成されるアクリルアミドの量を削減するための本発明の組成物の使用。
[発明の詳細な説明]
本明細書および随伴する特許請求の範囲全体を通して、「comprise」および「include」という用語そして「comprises」、「comprising」、「includes」および「including」といったような変形形態は、包括的に解釈されるものとする。すなわち、これらの用語は、文脈が許容する場合、具体的に列挙されていないその他の要素または整数の包含の可能性を伝達するように意図されている。
本明細書および随伴する特許請求の範囲全体を通して、「comprise」および「include」という用語そして「comprises」、「comprising」、「includes」および「including」といったような変形形態は、包括的に解釈されるものとする。すなわち、これらの用語は、文脈が許容する場合、具体的に列挙されていないその他の要素または整数の包含の可能性を伝達するように意図されている。
本発明は、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドのポリペプチド変異体に関する。この変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応するアミノ酸残基の1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されている。
すなわち、変異体アスパラギナーゼ配列を配列番号3のアスパラギナーゼ配列と整列させた場合、変異体は、配列番号3中の上述の位置のうちの1つに対応する(変異体内の)位置において少なくとも1つの置換を含むことになる。この文脈において「置換」とは、配列番号3中の上述の位置のうちの1つに対応する変異体中の1つの位置が、親ポリペプチド(この親ポリペプチドは配列番号3であってよい)中のその位置には見られないアミノ酸残基を含むことを表わす。
配列番号3中で上述された位置に対応する本発明の変異体アスパラギナーゼポリペプチド中のこれらの位置は、例えば、GAPプログラム(このプログラムの詳細については以下を参照のこと)により発現された最も相同な配列に対するGAPアライメントなどを用いて変異体ポリペプチドの配列と配列番号3の配列とを整列させることによって同定され得る。こうして上述の配列番号3中の位置に対応する変異体中の位置を同定することができ、こられの位置は配列番号3を基準にして定義されたこれらの位置としてみなされる。
本発明の中で使用してよい親アスパラギナーゼポリペプチドは、あらゆるアスパラギナーゼであってよい(EC3.5.1.1)。適切なアスパラギナーゼポリペプチドを、例えば植物、動物または微生物といったようなさまざまな供給源から獲得してよい。例えば、アスパラギナーゼを、エスケリキア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、シュードモナス(Pseudomonas)、アスペルギルス(Aspergillus)およびバシルス(Bacillus)種から獲得してもよい。適当なエスケリキア(Escherichia)菌株の一例は、大腸菌(Escherichia coli)である。適当なエルウィニア(Erwinia)菌株の一例は、エルウィニア・クリサンセミ(Erwinia chrysanthemi)である。適当なストレプトマイセス(Streptomyces)菌株の一例は、ストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)およびストレプトマイセス・ムリナス(Streptomyces murinus)である。適当なアスペルギルス(Aspergillus)菌株の一例は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)またはアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)である。適当なバチルス(Bacillus)菌株の一例は、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・ラウチュス(Bacillus lautus)、バチルス・レンチュス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・スュブティリス(Bacillus subtilis)またはバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thurigiensis)である。
バシルス(Bacillus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、エスケリキア(Escherichia)またはシュードモナス(Pseudomonas)菌株からアスパラギナーゼを獲得するのに適した方法の一例が、国際公開第03/083043号パンフレットの中で記述されている。アスペルギルス(Aspergillus)からアスパラギナーゼを獲得するために適した方法の一例は、国際公開第2004/030468号パンフレットおよび国際公開第04/032468号パンフレットの中で記述されている。
本発明の中で使用するのに適した好ましい親アスパラギナーゼポリペプチドは、配列番号3中に記されている配列を有するかまたは配列番号3と少なくとも80%の相同性、例えば配列番号3と少なくとも85%の相同性、例えば配列番号3と少なくとも85%の相同性、例えば配列番号3と少なくとも90%の相同性、例えば配列番号3と少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の相同性を有するポリペプチドである。
配列番号3中に記されている配列と比べて置換されている本発明の一変異体中のアミノ酸残基は、配列番号3の配列との関係において定義される通りの41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371位に対応するものである。
変異体は、前記位置の1ヶ所以上において、例えば前記位置のうちの2、3、4ヶ所、少なくとも5ヶ所、少なくとも10ヶ所、少なくとも15ヶ所、少なくとも20ヶ所、少なくとも25ヶ所、少なくとも30ヶ所、少なくとも35ヶ所、少なくとも40ヶ所、少なくとも45ヶ所、少なくとも50ヶ所、少なくとも55ヶ所、少なくとも60ヶ所、少なくとも65ヶ所、少なくとも70ヶ所または全てにおいて置換を含んでいてよい。
置換のための位置の好ましいサブセットは、配列番号3の配列との関係において定義づけされる通り、41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、214、215、216、218、220、228、232、233、262、267、293、295、297、298、299、300、301、303、304、310、314、317、319、321、324、330、332、333、334または371位にあるものによって定義される。
変異体は、前記位置の1ヶ所以上において、例えば前記位置のうちの2、3、4ヶ所、少なくとも5ヶ所、少なくとも10ヶ所、少なくとも15ヶ所、少なくとも20ヶ所、少なくとも25ヶ所、少なくとも30ヶ所、少なくとも35ヶ所、少なくとも40ヶ所、少なくとも45ヶ所または全てにおいて置換を含んでいてよい。
置換のための位置のより好ましいサブセットは、配列番号3の配列との関係において定義づけされる通り、41、53、63、64、66、73、74、76、77、88、90、91、101、106、111、119、122、123、132、140、145、161、170、195、211、218、228、232、233、262、267、293、295、297、299、300、301、303、304、310、314、317、321、324、330、332、333または371位にあるものによって定義される。
置換のための位置のさらに一層好ましいサブセットは、配列番号3の配列との関係において定義づけされる通り、53、63、64、66、73、74、76、77、88、101、140、170、293位にあるものによって定義される。
変異体は、前記位置の1ヶ所以上において、例えば前記位置のうちの2、3、4ヶ所、少なくとも5ヶ所、少なくとも10ヶ所、少なくとも15ヶ所、少なくとも20ヶ所または全てにおいて置換を含んでいてよい。
本発明の一変異体は、上述の通り1つ以上の置換を含む。この文脈において「置換」とは、配列番号3中の上述の位置のうちの1つに対応する変異体中の1つの位置が、親ポリペプチド(この親ポリペプチドは配列番号3であってよい)中のその位置には見られないアミノ酸残基を含むということを表わす(親は配列番号3であってよい)。
好ましい置換は、以下の表に記されている(なお位置は配列番号3に記されている配列との関係において定義づけされている)。
本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、41位のIle、53位のTyr、63位のGlyまたはValまたはSer、64位のPro、66位のPro、73位のLys、74位のAla、76位のThr、77位のIle、88位のTyrまたはPro、90位のVal、91位のGlu、101位のVal、106位のPro、111位のGly、119位のAsn、122位のHis、123位のAla、132位のSer、140位のAsn、145位のSer、161位のLeu、170位のThr、195位のAsp、211位のSer、218位のVal、228位のHis、232位のVal、233位のVal、262位のCysまたはHis、267位のTyr、293位のSerまたはVal、295位のSer、297位のSer、299位のSer、300位のIle、301位のPro、303位のSer、304位のThr、310位のVal、314位のAsp、317位のIle、321位のThr、324位のGly、330位のSer、332位のAla、333位のGluまたは371位のMetのうちの1つ以上を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されている。
好ましい実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、53位のTyr、63位のGlyまたはVal、64位のPro、66位のPro、73位のLys、74位のAla、76位のThr、77位のIle、88位のThrまたはPro、101位のVal、140位のAsn、170位のThr、293位のSerまたはValのうちの1つ以上を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されている。
好ましい一実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは63位のGlyまたはValを含むアミノ酸63に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸63に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換D63GおよびG132Sを含むポリペプチド(ASN01と仮称)、置換D63G、D111GおよびR122Hを含むポリペプチド(ASN02と仮称)、置換D63VおよびT300Iを含むポリペプチド(ASN03と仮称)がある。
別の好ましい実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは64位のProを含むアミノ酸64に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸64に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換S64PおよびI310Vを含むポリペプチド(ASN04と仮称)がある。
さらに別の好ましい実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは66位のProを含むアミノ酸66に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸66に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換T41l、S66PおよびV371Mを含むポリペプチド(ASN05と仮称)がある。
さらに別の好ましい実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは73位のLys、74位のAla、293位のSerまたはValのうちの1つ以上を含むアミノ酸73、74、293に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸73、74または293に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換G195DおよびA293Vを含むポリペプチド(ASN14と仮称)、置換T73K;S74A;およびA293Sを含むポリペプチド(ASN15と仮称)および置換T73K、S74A、E106P、A293S、G297S、T299S、Q319A、M321TおよびV324Gを含むポリペプチド(ASN16と仮称)がある。
さらなる実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは76位のThrまたは101位のValのうちの1つ以上を含むアミノ酸76または101に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸76または101に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換A76TおよびA101Vを含むポリペプチド(ASN06と仮称)がある。
さらに1つのさらなる好ましい実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは77位のIleを含むアミノ酸77に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応している。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸77に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換V77I、V123AおよびE314Dを含むポリペプチド(ASN07と仮称)がある。
一実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは88位のTyrまたはProを含むアミノ酸88に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸88に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換S88Yを含むポリペプチド(ASN08と仮称)、置換S88P、I161LおよびR262Cを含むポリペプチド(ASN09と仮称)がある。
別の実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは140位のAsnを含むアミノ酸140に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸140に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換D140Nを含むポリペプチド(ASN10と仮称)がある。
一実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは170位のThrを含むアミノ酸170に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸170に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換D91E、A170TおよびR262Hを含むポリペプチド(ASN11と仮称)がある。
さらに1つの実施形態においては、本発明にしたがった変異体は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、好ましくは53位のTyrを含むアミノ酸53に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有していてよく、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記変異体の親ポリペプチドは配列番号3に対応する。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸53に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体の例としては、置換F53YおよびK119Nを含むポリペプチド(ASN13と仮称)がある。
配列番号3に記されている配列と整列させた場合にアミノ酸41、53、63、64、66、73、74、76、77、88、90、91、101、106、111、119、122、123、132、140、145、161、170、195、211、218、228、232、233、262、267、293、295、297、299、300、301、303、304、310、314、317、321、324、330、332、333または371に対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3に対応している、アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体のさらなる例としては、置換L90V、K119N、Y228HおよびR262Cを含むポリペプチド(ASN12と仮称)がある。
本発明の変異体は、同様に、例えば1つ以上の付加的な置換、付加または欠失といった、上記で規定されているもの以外の位置における親に対比した付加的な修飾を含んでいてもよい。本発明の変異体は、この種の異なるタイプの修飾の組合せを含んでいてよい。変異体は、(全て同じタイプの修飾または異なるタイプの修飾であり得る)1個、2個、3個、4個、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、少なくとも30個以上のこのような修飾を含んでいてよい。典型的には、付加的修飾は、置換であってよい。
本発明にしたがった変異体は、親ポリペプチドと少なくとも80%の相同性、例えば親ポリペプチドと少なくとも85%の相同性、例えば親ポリペプチドと90%の相同性、親ポリペプチドと少なくとも95%の相同性、親ポリペプチドと少なくとも98%の相同性または親ポリペプチドと少なくとも99%の相同性を有していてよい。
本発明の変異体は、典型的には、アスパラギナーゼ活性(EC.3.5.1.1)を保持する。すなわち、本発明の変異体は、典型的には、アスパラギンからアスパラギン酸への加水分解の触媒として作用することができる。したがって、本発明の変異体は、典型的に少なくとも1つの加熱ステップが関与する食品の生産中のアクリルアミド形成に関与するアスパラギナーゼの側鎖を修飾することができる変異体である。
好ましくは、本発明の変異体は、それを誘導する親アスパラギナーゼポリペプチドと比較して改善された特性を示す。このような改善された特性は、典型的には、例えば食料品の調製方法においてなど、以下で記されるように当該変異体が使用された場合に関連性を有する特性である。
かかる特性には、(必要とされる親アスパラギナーゼの量に比べて食料品の調製のための方法においてより少量の当該変異体しか使用しないことが可能となり得るような)増大した比活性、増加したまたは減少した最適pH、より詳細には(親アスパラギナーゼと比べて)食料品の調製方法における使用により適した最適pH、そして増大した熱安定性が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
一実施形態においては、本発明にしたがった変異体タンパク質は、親ポリペプチドのものよりも高いかまたは親ポリペプチドよりも低い最適pHを有していてよい。好ましくは、変異体タンパク質の最適pHは親ポリペプチドのものよりも高い。好ましくは、親ポリペプチドは配列番号3にしたがったものである。例えば、(配列番号3で開示されているような)A.ニガー(A.niger)由来の野生型アスパラギナーゼは、pH4からpH5の最適pHを有する。本発明の変異体タンパク質はかかる野生型酵素よりもさらに好アルカリ性であってよい、すなわち例えばpH5からpH8、好ましくはpH6からpH7の最適pHを有する。任意には、本発明の変異体タンパク質は、野生型アスパラギナーゼよりもさらに好酸性であってよい。
好ましくは、本発明にしたがった変異体アスパラギナーゼは、最適pHよりも高く、50%のアスパラギナーゼ活性がなおも存在し(以下アルカリ性pHと呼ばれる)、親アスパラギナーゼのpHよりも高いpHを有し得る。親アスパラギナーゼが配列番号3にしたがったものである場合、変異体タンパク質は、少なくとも6.9、好ましくは少なくとも7.0、少なくとも7.5、好ましくは少なくとも8という、50%活性の観察されるアルカリ性pHを有していてよい。
親アスパラギナーゼとの関係において改善された特性を示す変異体というのは、典型的にはその変異体が例えば食料品の生産方法などにおける以下で記された通りの使用により適したものとなるような形で関連性ある特性の測定可能な低減または増加を示す変異体である。
好ましくは、本発明にしたがった変異体タンパク質は、同じpHで測定された親ポリペプチドの比活性よりも高い比活性を有していてよい。変異体タンパク質の比活性というのは、ここでは、純粋タンパク質のユニット/mg単位で測定される変異体タンパク質のアスパラギナーゼ活性が意図されている。好ましくは、本発明にしたがった変異体タンパク質の比活性は、同じpHで測定された親ポリペプチドのものに比べた場合、少なくとも1つのpH、好ましくは4〜8の間のpHにおいて高いものである。
本発明の別の実施形態においては、変異体アスパラギナーゼは、親アスパラギナーゼポリペプチドよりも好熱性である。
したがって特性は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%だけ減少させられてよい。或は、特性は、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%、少なくとも500%、または少なくとも1000%だけ増大させられてよい。これに関して減少または増大百分率は、親アスパラギナーゼポリペプチドに比べた減少または増大百分率を表わす。かかる百分率変化をいかに測定できるかは当業者にとって周知である。それは、親アスパラギナーゼおよび変異体アスパラギナーゼの活性を比較することである。
本明細書で記述されている変異体は、「本発明にしたがったポリペプチド」または「本発明にしたがった変異体」という用語の中に集合的に含まれる。
「ペプチド」および「オリゴペプチド」という用語は、(一般に認知されている通りに)同義語とみなされ、ペプチジルリンケージによってカップリングされた少なくとも2つのアミノ酸の鎖を示すように、文脈により必要とされる通りに同義的に各々の用語を使用することができる。「ポリペプチド」という用語は、本明細書において7個超のアミノ酸残基を含む鎖について使用されている。本明細書中の全てのオリゴペプチドおよびポリペプチドの式は左から右へ、そしてアミノ末端からカルボキシ末端への方向で記されている。本明細書で用いられているアミノ酸の1文字コードは、当該技術分野において一般に公知であり、サンブルックら、(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989年)の中に見出すことができる。
「単離」ポリペプチドまたはタンパク質という用語は、その天然の環境から取り出されたポリペプチドまたはタンパク質を表す。例えば、宿主細胞内で発現される組換え生産されたポリペプチドおよびタンパク質は、スミスおよびジョンソン(Smith and Johnson)、Gene 67:31〜40頁(1988年)中で開示されている一段階精製方法といったような任意の適切な技術によって実質的に精製された天然または組換えポリペプチドと同様、本発明に関しては単離されたものとみなされる。
本発明にしたがったポリペプチド変異体は、当該技術分野において公知の方法により組換え細胞培養から回収され精製可能である。最も好ましくは高性能液体クロマトグラフィ(「HPLC」)が精製のために利用される。
本発明のポリペプチドには、化学合成手順の生成物および、例えば細菌、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物の細胞を含めた原核生物または真核生物宿主から組換え技術により生産させる生成物が含まれる。組換え生産手順の中で用いられる宿主に応じて、本発明のポリペプチドは、グリコシル化されてもよく或いはまたグリコシル化されなくてもよい。さらに、本発明のポリペプチドは同様に、一部のケースでは宿主媒介プロセスの結果として初期修飾メチオニン残基をも含んでいてよい。
本発明は同様に、本発明にしたがったポリペプチド変異体の生物学的に活性なフラグメントをも特徴としている。かかるフラグメントは、「本発明の変異体」という用語の中に包含されるものとみなされる。
本発明のポリペプチド変異体の生物学的に活性なフラグメントには、全長タンパク質よりも少ないアミノ酸を含むものの対応する全長タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を示す本発明の変異体タンパク質のアミノ酸配列と充分な同一性を有するかまたはこれから誘導されたアミノ酸配列を含むポリペプチドが含まれる。典型的には、生物学的活性フラグメントは、本発明の変異体タンパク質の少なくとも1つの活性をもつドメインまたはモチーフを含む。本発明のタンパク質の生物学的に活性なフラグメントは、例えば長さがアミノ酸10、25、50、100個またはそれ以上であるポリペプチドであり得る。その上、タンパク質のその他の領域が欠失しているその他の生物学的に活性な部分は、組換え技術によって調製でき、本発明のポリペプチドの未変性形態の生物学的活性のうちの1つ以上について評価可能である。
典型的には、本発明のタンパク質フラグメントは、本明細書で定義されている置換の1つ以上を含む。
本発明は同様に、(それ自体本発明の変異体である)上述の生物学的に活性なフラグメントをコードする核酸フラグメントをも特色としている。
上述のように、本発明は、本発明の変異体ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。本発明は同様に、本発明のポリペプチド変異体の少なくとも1つの機能的ドメインをコードする単離ポリヌクレオチドにも関する。典型的には、かかるドメインは、本明細書で記述されている置換のうちの1つ以上を含む。
本発明の一実施形態においては、本発明にしたがった核酸配列はポリペプチドをコードし、ここでポリペプチドは、親アスパラギナーゼに比べてアミノ酸の1つ以上の切断、および/または少なくとも1つの置換、欠失および/または挿入を有するアミノ酸配列を含む変異体である。ただし、かかるポリペプチドは、典型的には本明細書で記述されている置換のうちの1つ以上を含む。
本明細書中で使用されている「遺伝子」および「組換え遺伝子」という用語は、本明細書で記述されている変異体をコードする読取り枠を含む核酸分子を意味する。遺伝子は、コード配列、非コード配列、イントロンおよび調節配列を含んでいてよい。すなわち、本明細書中で使用されている「遺伝子」とは、本明細書中で定義されている単離した核酸分子を意味してよい。したがって、「遺伝子」という用語は、本発明に関しては、天然に存在する配列のみを意味していない。
本発明の核酸分子は、本明細書で提供されている配列情報と組合せて考慮した場合に当業者にとって周知である標準的な分子生物学技術を用いて生成可能である。
例えば、標準的な合成技術を用いて、必要とされる核酸分子を新たに合成してもよい。かかる合成プロセスは典型的には自動化されたプロセスとなる。
代替的には、本発明の核酸分子は、例えば野生型核酸分子といった既存の核酸分子の部位特異的突然変異誘発を使用することによって生成されてよい。部位特異的突然変異誘発は、当業者にとって周知である多数の技術を用いて実施され得る。
単なる一例としてここで言及されるこのような方法の1つにおいては、所望の置換をコードするオリゴヌクレオチド「プライマ」を用いてプラスミド鋳型上でPCRが実施される。プライマは新たに合成されたストランドの末端であることから、鋳型DNAストランドを結合させる上で第1サイクル中にミスマッチが存在した場合、その第1ラウンドの後、(突然変異を含む)プライマベースのストランドは、当初の鋳型と同等の濃度となる。連続的サイクルの後、それは指数関数的に成長し、25回の後、800万:1の領域内で当初の突然変異を受けていないストランドの数を上回り、その結果、突然変異を受けた増幅済みフラグメントのほぼ均質な溶液が得られると思われる。このとき鋳型DNAは、例えばDpn1といったような、メチル化されたDNAのみを切断する制限酵素を用いて、酵素消化により除去され得る。アルカリ溶菌法プラスミド調製から誘導され、したがってメチル化されている鋳型は、このステップにおいて破壊されるが、突然変異を受けたプラスミドは、生体外で生成されておりかつその結果としてメチル化されていないことから、保存される。
かかる方法においては、2つ以上の突然変異(本明細書で記述されている変異体をコードする)を、例えば、各々1つ以上のミスマッチを含む1つ以上のオリゴヌクレオチドを用いることによって、単一のPCR反応の中で核酸分子内に導入してよい。或いは、改変された核酸が逐次的反復的に核酸内に導入されるような形で、各々が1つ以上の突然変異を導入する2つ以上のPCR反応を実施することによって、核酸分子内に2つ以上の突然変異を導入してもよい。
本発明の核酸は、上述の部位特異的突然変異誘発技術にしたがって適切なミスマッチオリゴヌクレオチドプライマおよび鋳型としてのcDNA、mRNA或いはまたゲノムDNAを用いて生成可能である。このようにして誘導された核酸分子は、適切なベクターの中にクローニングさせ、DNA配列分析により特徴付けすることができる。
本発明の核酸配列は、親アスパラギナーゼに比べて1つ以上の欠失すなわちギャップを含み得る。かかる欠失/ギャップは同様に、適切なオリゴヌクレオチドを用いた部位特異的突然変異誘発を用いても生成され得る。かかる欠失を生成するための技術は、当業者にとって周知である。
さらに、本発明にしたがったヌクレオチド配列に対応するかまたはこれに対してハイブリッド形成可能なオリゴヌクレオチドは、例えば自動化されたDNA合成装置を用いて、標準的合成技術により調製可能である。
同様に、相補的核酸分子も本発明に含まれる。別のヌクレオチド配列に相補的である核酸分子とは、もう一方のヌクレオチド配列にハイブリッド形成できかくして安定した2重鎖を形成できるようにもう一方のヌクレオチド配列に対する充分な相補性を有する核酸分子である。
本発明の一態様は、本発明の変異体をコードする単離核酸分子、またはその生物学的に活性なフラグメントまたはドメイン、ならびに、本発明の核酸分子の調製のためといったような核酸分子の増幅または突然変異のためのPCRプライマとして使用するのに適した本発明のポリペプチドをコードする核酸分子およびかかる核酸分子のフラグメントを同定するためにハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに充分な核酸分子にも関する。
「単離ポリヌクレオチド」または「単離核酸」とは、それが由来する生体の天然に存在するゲノム内ではそれが直接隣接している(1つは5’末端上、1つは3’末端上)コード配列の両方と直接隣接していないDNAまたはDNAである。かくして、一実施形態においては、単離核酸は、コード配列に直接隣接する5’非コード(例えばプロモータ)配列の一部または全てを含む。したがってこの用語には、例えば、ベクター内、自己複製プラスミドまたはウイルス内、または原抗生物または真核生物のゲノムDNA内に取込まれるかまたは、その他の配列とは独立して別々の分子(例えばPCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理により生産されるcDNAまたはゲノムDNAフラグメント)として存在する組換えDNAが含まれる。それにはまた、細胞材料、ウイルス材料または培地(組換えDNA技術により生産される場合)また化学的前駆体またはその他の化学物質(化学的に合成される場合)を実質的に含まない付加的なポリペプチドをコードするハイブリッド遺伝子の一部分である組換えDNAも含まれる。さらに、「単離核酸フラグメント」というのは、フラグメントとして天然に存在せず天然の状態では発見されないと思われる核酸フラグメントである。
本明細書中で使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸分子」という用語は、DNA分子(例えばcDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えばmRNA)およびヌクレオチド類似体を用いて生成されるDNAまたはRNAの類似体を含むように意図されている。核酸分子は、1本鎖または2本鎖であり得るが、好ましくは、2本鎖DNAである。核酸は、オリゴヌクレオチド類似体または誘導体(例えばイノシンまたはホスホロチオエートヌクレオチド)を用いて合成され得る。かかるオリゴヌクレオチドは、例えば、改変した塩基対合能力または増大したヌクレアーゼ耐性をもつ核酸を調製するために用いることができる。
本発明の別の実施形態は、本発明の核酸分子に対しアンチセンスである単離核酸分子を提供する。
「相同性」または「同一性百分率」という用語は、本明細書において同義的に用いられる。本発明においては、ここで、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性百分率を決定するために、最適な比較を目的として配列を整列させることが規定されている(例えば、第2のアミノまたは核酸配列との最適なアラインメントのために第1のアミノ酸または核酸の配列の中にギャップを導入することができる)。このとき対応するアミノ酸またはヌクレオチド位置にあるアミノ酸またはヌクレオチド残基が比較される。第1の配列内の1つの位置が第2の配列内の対応する位置と同じアミノ酸またはヌクレオチド残基によって占有されている場合には、分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一性百分率は、配列が共有する同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一位置の数/合計位置数(すなわち重複する位置)×100)。好ましくは、2つの配列は同じ長さである。
配列比較は、比較中の2つの配列の全長にわたってかまたは2つの配列のフラグメント全体にわたって実施されてよい。典型的には、この比較は比較中の2つの配列の全長にわたって実施される。しかしながら、配列同一性は、例えば20、50、100またはそれ以上の隣接アミノ酸残基の一領域にわたって実施することもできる。
当業者であれば、2つの配列の間の相同性を決定するために複数の異なるコンピュータプログラムを利用できるということに気づくであろう。例えば、2つの配列の間の配列の比較および同一性の百分率の決定を、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。好ましい実施形態においては、2つのアミノ酸または核酸配列の間の同一性百分率は、16、14、12、10、8、6または4というギャップ重み(gap weight)および1、2、3、4、5または6という長さ重み(length weight)、およびBlosum62マトリクスまたはPAM250マトリクスのいずれかを用いて、(http://www.accelrys.com/products/gcg/で入手可能な)Accelrys GCGソフトウェアパッケージ内のGAPプログラム内に取込まれたニードルマン(Needleman)およびブンシュ(Wunsch)(J.Mol.Biol.第48号:444〜453頁(1970年))アルゴリズムを用いて決定される。当業者であれば、これらの異なるバラメータ全てがわずかに異なる結果を生み出すものの、2つの配列の全体的同一性百分率が、異なるアルゴリズムを使用した場合に著しく変わらない、ということを認識するだろう。
本発明のタンパク質配列または核酸配列は、さらに、例えばその他のファミリーメンバーまたは関連する配列を同定するべく、公開データベースに対する検索を実行するための「問合せ配列」として使用することができる。かかる検索は、アルシュール(Altschul)ら(1990年)J.Mol.Biol.第215号:403〜10頁のBLASTNおよびBLASTPプログラム(バージョン2.0)を用いて実行可能である。本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、BLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3を用いて、BLASTタンパク質検索を実行することができる。比較を目的としてギャップ付きアラインメントを得るためには、ギャップ付きBLASTをアルシュールら、(1997年)Nucleic Acids Res.第25号(17):3389〜3402頁に記述されている通りに利用することができる。BLASTおよびギャップ付きBLASTPプログラムを利用する場合には、それぞれのプログラム(例えばBLASTPおよびBLASTN)のデフォルトパラメータを使用することができる。国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)のホームページhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/を参照のこと。
本発明の別の態様は、本発明の変異体アスパラギナーゼをコードする核酸を含有するベクター、好ましくは発現ベクターに関係する。
本明細書中で使用する「ベクター」という用語は、それが連結された別の核酸を輸送することのできる核酸分子を意味する。1つのベクタータイプは、付加的なDNAセグメントを中にライゲートできる環状2本鎖DNAループを意味する「プラスミド」である。別のベクタータイプは、付加的なDNAセグメントがウイルスゲノム内にライゲートされ得る、ウイルスベクターである。一部のベクターは、それが中に導入される宿主細胞内で自己複製する能力をもつ(例えば、細菌複製起点をもつ細菌ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。その他のベクター(例えば非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中への導入時点で宿主細胞のゲノム内に組込まれ、かくして宿主ゲノムと共に複製される。さらに、一部のベクターは、それが作動的に連結されている遺伝子の発現を誘導する能力をもつ。かかるベクターは、本明細書において、「発現ベクター」と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは多くの場合プラスミドの形をしている。「プラスミド」および「ベクター」という用語は、プラスミドがベクターの最も一般的に用いられる形態であることから、本明細書において同義的に用いることができる。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルス)といったようなその他の発現ベクター形態を含むように意図されている。
本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内での核酸の発現に適した形態で本発明の核酸を含んでおり、これはすなわち、組換え発現ベクターが、発現させるべき核酸配列に作動的に連結された、発現に用いるべく宿主細胞に基づいて選択された1つ以上の調節配列を含むことを意味している。組換え発現ベクターの内部で、「作動的に連結された」という表現は、関心対象のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする要領で(例えば生体外転写/翻訳系内またはベクターが宿主細胞内に導入される場合には宿主細胞内で)、1つまたは複数の調節配列に連結されている、ということを意味するように意図されている。「調節配列」という用語は、プロモータ、エンハンサおよびその他の発現制御要素(例えばポリアデニル化シグナル)を含むように意図されている。かかる調節配列は、例えばゴーデル(Goeddel);Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ(1990年)の中で記述されている。調節配列としては、数多くのタイプの宿主細胞内でヌクレオチド配列の構成的発現を誘導するものおよび一部の宿主細胞内でのみヌクレオチド配列の発現を誘導するもの(例えば組織特異的調節配列)が含まれる。当業者であれば、発現ベクターの設計が形質転換すべき宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルといったような要因によって左右され得るということがわかるだろう。本発明の発現ベクターは、宿主細胞内に導入されて、本明細書中で記述されているような核酸によりコードされるタンパク質またはペプチドを生産することができる(例えば、配列番号3のアスパラギナーゼ変異体またはその変異体、例えば機能的等価物またはフラグメント、またはかかる変異体のうちの1つ以上を含む融合タンパク質)。
本発明の組換え発現ベクターは、原核または真核細胞内での本発明の変異体タンパク質の発現用として設計され得る。例えば、本発明の変異体タンパク質は、大腸菌(E.coli)といった細菌細胞、昆虫細胞(バキュロウイルス発現ベクターを使用)、酵母細胞または哺乳動物細胞の中で発現可能である。適切な宿主細胞はさらに、ゴーデル、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185、Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ(1990年)の中で論述されている。或いは、組換え発現ベクターを、例えばT7プロモータ調節配列およびT7ポリメラーゼを用いて、生体外で転写および翻訳することもできる。
本発明において有用である発現ベクターとしては、染色体、エピソームおよびウイルスに由来するベクター、例えば細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体要素、ウイルス、例えばバキュロウイルス、パポバウイルス、ワクチニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルスおよびレトロウイルスに由来するベクター、そしてこれらの組合せに由来するベクター、例えばプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝要素に由来するベクター、例えばコスミドおよびファージミドが含まれる。
DNAインサートは、いくつかの例を挙げると、ファージラムダPLプロモータ、大腸菌(E.coli)lac、trpおよびtacプロモータ、SV40早期および後期プロモータそしてレトロウイルスLTRのプロモータといったような適切なプロモータに対して作動的に連結されなくてはならない。その他の適切なプロモータは、当業者にとって周知であろう。具体的な実施形態においては、糸状菌内でアスパラギナーゼの高い発現レベルを誘導することのできるプロモータが好ましい。このようなプロモータは当該技術分野において公知である。発現コンストラクトは、転写開始、終結のための部位そして転写された領域内では、翻訳のためのリボソーム結合部位を含んでいてよい。コンストラクトにより発現される成熟した転写産物のコード部分は、最初に翻訳開始AUGそして翻訳すべきポリペプチドの末端に適切に位置づけされた終端コドンを含む。
従来の形質転換またはトランスフェクション技術を介して、原核または真核細胞内にベクターDNAを導入することができる。本明細書で使用される「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムの共沈、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、形質導入、感染、リポフェクション、カチオン脂質仲介型トランスフェクションまたは電気穿孔を含めた、宿主細胞内に外来性核酸(例えばDNA)を導入するための当該技術分野で認知されたさまざまな技術を意味するように意図されている。宿主細胞を形質転換またはトランスフェクトするための適切な方法は、サンブルックら、(「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー、1989年)、デービス(Davis)ら、「Basic Methods in Molecular Biology」(1986年)およびその他の実験室マニュアルの中に見出すことができる。
哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションのためには、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技術に応じて、わずかな細胞画分だけが外来性DNAをそのゲノム内に組込み得る。これらの組込み体を同定し選択するために、選択的マーカー(例えば抗生物質に対する耐性)をコードする遺伝子が一般に、関心対象の遺伝子と共に宿主細胞内に導入される。好ましい選択可能なマーカーとしては、G418、ハイグロマイシンおよびメタトレキセートといったような薬物に対する耐性を付与するマーカーが含まれる。選択可能なマーカーをコードする核酸を、本発明の変異体タンパク質をコードするものと同じベクター上で宿主細胞内に導入することができ、そうでなければ別々のベクター上で導入することができる。導入された核酸での安定したトランスフェクションを受けた細胞は、薬物選択によって同定可能である(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を取込んだ細胞は、その他の細胞が死枯する一方で生存し続ける)。
原核生物におけるタンパク質の発現は、融合または非融合タンパク質の発現を誘導する構成的プロモータまたは誘導可能なプロモータを含むベクターと共に、大腸菌(E.coli)内で実施されることが多い。融合ベクターは、その中でコードされるタンパク質、例えば組換えタンパク質のアミノ末端に対し数多くのアミノ酸を付加する。このような融合ベクターは、典型的に次の3つの目的に使用される。すなわち1)組換えタンパク質の発現を増大させるため;2)組換えタンパク質の溶解度を増大させるため;そして3)アフィニティー精製においてリガンドとして作用することにより組換えタンパク質の精製を補助するため。多くの場合、融合発現ベクター内では、融合タンパク質の精製後に融合部分から組換えタンパク質を分離することができるように、融合部分と組換えタンパク質の接合部にタンパク質分解切断部位が導入されている。
上述の通り、発現ベクターは好ましくは、選択可能なマーカーを含む。かかるマーカーとしては、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸還元酵素またはネオマイシン耐性、および大腸菌(E.coli)およびその他の細菌内での培養のためのテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性が含まれる。適切な宿主の代表例としては、細菌細胞、例えば大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセスサルモネラチフリウム(Streptmyces Salmonella typhimurium)および一部のバシラス(Bacillus)種;真菌細胞、例えばアスペルギルス種、例えばA.ニガー(A.nigar)、A.オリゼ(A.oryzae)およびA.ニデュランス(A.nidulans)、例えば酵母、例えばクルイベロマイセス(Kluyveromyces)、例えばK.ラクチス(K.lactis)および/またはプッチア(Puchia)例えばP.パストリス(P.Pastoris);昆虫細胞、例えばショウジョウバエ(Drosophila)S2およびヨトウガ(Spodoptera)Sf9;動物細胞、例えばCHO、COSおよびバウス(Bowes)黒色腫;および植物細胞が含まれる。上述の宿主細胞のための適切な培地および条件は、当該技術分野において公知である。
細菌中で使用するために好ましいベクターは、例えば、本明細書に参考により援用されている国際公開第A1−2004/074468号パンフレット中で開示されている。その他の適切なベクターは、当業者にとって容易に明らかになる。
本発明において使用するのに適した公知の細菌プロモータには、本明細書に参考により援用されている国際公開第A1−2004/074468号パンフレット中で開示されているプロモータが含まれる。
高等真核動物による本発明の変異体をコードするDNAの転写は、ベクター内にエンハンサ配列を挿入することによって増大させることができる。エンハンサは、所与の宿主細胞タイプの中でプロモータの転写活性を増大させるように作用する通常約10〜300bpのDNAのシス作用性要素である。エンハンサの例としては、bp100〜270で複製起点の後期側にあるSV40エンハンサ、サイトメガロウイルス早期プロモータエンハンサ、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサ、およびアデノウイルスエンハンサが含まれる。
小胞体内腔内、ペリプラズム空間内または細胞外環境内へ翻訳済みタンパク質を分泌するために、発現されたポリペプチド内に適切な分泌シグナルを取込んでよい。シグナルは、ポリペプチドに対し内因性であり得、そうでなければ、非相同シグナルであってよい。
本発明の変異体は、それが例えば分泌シグナルなどの付加的な非相同機能領域を含み得るような形態で発現されてよい。本発明の変異体は、例えば、精製中または後続する取扱いおよび貯蔵中の宿主細胞内での安定性および持続性を改善するなどの目的でポリペプチドのN末端に付加される追加のアミノ酸、特に荷電アミノ酸の領域を含んでいてもよい。同様に、例えばヒスチジン残基またはT7タグを付加することによって、精製を容易にするために本発明の変異体に対しペプチド部分を添加してもよい。
本発明の変異体、例えば本発明のタンパク質またはその機能的等価物、例えばその生物学的に活性な部分およびフラグメントは、非変異体ポリペプチド(例えば非相同性アミノ酸配列)に対して作動的に連結されて、融合タンパク質を形成できる。この文脈において「非変異体ポリペプチド」というのは、本発明の変異体アスパラギナーゼに対して実質的に相同でないタンパク質に対応するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。
融合タンパク質中で、本発明の変異体は、本発明のポリペプチドの全長配列または生物学的に活性なフラグメントに対応し得る。好ましい実施形態においては、本発明の融合タンパク質は、少なくとも2つの生物学的に活性な部分を含む。融合タンパク質の中で、「作動的に連結された」という用語は、変異体ポリペプチドおよび非変異体ポリペプチドが互いに枠内で融合されていることを表わすように意図されている。非変異体ポリペプチドは、変異体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合され得る。
例えば、一実施形態においては、融合タンパク質は、GST配列のC末端に1つまたは複数の変異体配列が融合されている融合タンパク質である。かかる融合タンパク質は本発明にしたがった組換え変異体の精製を容易にすることができる。別の実施形態では、融合タンパク質はそのN末端に非相同性シグナル配列を含む本発明の変異体である。一部の宿主細胞(例えば哺乳動物および酵母宿主細胞)においては、本発明の変異体の発現および/または分泌は、非相同性シグナル配列の使用を通して増大させることが可能である。
別の実施例においては、バキュロウイルス外皮タンパク質のgp67分泌配列を、非相同シグナル配列として使用することができる(「Current Protocols in Molecular Biology」、アウスベルら編、John Wiley & Sons、1992年)。真核生物非相同性シグナル配列のその他の例としては、メリチンおよびヒト胎盤アルカリ性ホスファターゼの分泌配列が含まれる(カリフォルニア州ラホーヤのストラタジーン(Stratagene))。さらに別の例においては、有用な原核生物非相同性シグナル配列には、phoA分泌シグナル(サンブルックら、上掲書)およびプロテインA分泌シグナル(ニュージャージー州ピスカタウェイのファルマシア・バイオテック(Pharmacia Biotech);)が含まれる。
シグナル配列は、本発明の一変異体の分泌および単離を容易にするために使用することができる。シグナル配列の典型的な特徴は、一般に1つ以上の切断事象において分泌中に成熟タンパク質から切断される疎水性アミノ酸のコアにある。かかるシグナルペプチドは、分泌経路を通過するにつれて成熟タンパク質からシグナル配列を切断させることができるようにするプロセッシング部位を含んでいる。シグナル配列は、中に発現ベクターが形質転換される原核細胞宿主からといったような変異体の分泌を導くことができ、このときシグナル配列はその後にまたは同時に切断されてよい。本発明の変異体はこのとき、公知の方法によって細胞外培地から容易に精製されてよい。或いは、シグナル配列は、GSTドメインといったような精製を容易にする配列を用いて、関心対象の変異体に連結され得る。かくして、例えば、本発明の変異体をコードする配列は、本発明の融合された変異体の精製を容易にする、ペプチドをコードする配列といったようなマーカー配列に融合されてよい。本発明のこの態様の一部の好ましい実施形態においては、マーカー配列は、なかでもその多くが市販されているpQEベクター(キアゲン株式会社(Qiagen,Inc.))の中で提供されているtagといったようなヘキサ−ヒスチジンペプチドである。例えばゲンツ(Gentz)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第86号、821〜824頁(1989年)で記述されているように、ヘキサ−ヒスチジンは、融合タンパク質の便利な精製を提供する。HAタグは、例えばウィルソン(Wilson)ら、Cell、第37号:767頁(1984年)によって記述されたインフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来のエピトープに対応する精製のために有用な別のペプチドである。
本発明の融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術により生産されてよい。例えば、異なるポリペプチド配列についてコードするDNAフラグメントは、例えばライゲーションのための平滑末端または付着末端の利用、適切な末端を提供するための制限酵素消化、適切な粘着末端の充填、望ましくない接合を避けるためのアルカリホスファターゼ処理および酵素ライゲーションなどの従来の技術にしたがって枠内で合わせてライゲートされる。別の実施形態においては、融合遺伝子を、自動DNA合成装置を含む従来の技術によって合成することができる。或いは、遺伝子フラグメントのPCR増幅は、後にアニールされ再増幅されてキメラ遺伝子配列を生成することのできる2つの連続する遺伝子フラグメントの間の相補的オーバーハングを発生させるアンカープライマーを用いて、実施可能である(例えばCurrent Protocols in Molecular Biology、編、アウスベルら、John Wiley & Sons:1992年)。その上、すでに融合部分をコードしている数多くの発現ベクターが市販されている(例えばGSTポリペプチド)。融合部分が前記変異体に対し枠内で連結されるような形でこのような発現ベクター内に変異体をコードする核酸をクローニングすることができる。
「機能的等価物」および「機能的変異体」という用語は、本明細書において同義的に使用される。本発明にしたがった機能的等価物は、本明細書で定義されているような変異体の特定の機能を示すポリペプチドをコードする単離DNAフラグメントである。したがって機能的等価物は同様に、生物学的に活性なフラグメントを包含し、それ自体本発明の「変異体」という用語の範囲内に包含される。
好ましくは、本発明の機能的等価物は、本明細書で記述されている置換のうちの1つ以上を含む。ただし、機能的等価物は上述の置換に加えて1つ以上の修飾を含んでいてよい。
機能的核酸等価物は典型的には、サイレント突然変異またはコードされたポリペプチドの生物学的機能を改変しない突然変異を含んでいてよい。したがって、本発明は、特定の生物学的活性にとって不可欠でないアミノ酸残基の変更を含む変異体アスパラギナーゼタンパク質をコードする核酸分子を提供する。かかる変異体タンパク質は、アミノ酸配列に関して、それらを誘導する親アスパラギナーゼ配列と異なっており、しかもその少なくとも1つの生物学的活性を保持し、好ましくは、少なくともアスパラギナーゼ活性を保持している。一実施形態においては、単離された核酸分子は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、ここでこのタンパク質は親アミノ酸配列(例えば配列番号3に示されているもの)に対する少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の相同性をもつ実質的に相同性のアミノ酸配列を含んでいる。
本明細書で定義されているように、「実質的に相同な」という用語は、第1および第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列が共通のドメインを有するような形で第2のアミノ酸またはヌクレオチド配列と同一または等価の(例えば類似の側鎖を伴う)アミノ酸またはヌクレオチドを充分な数または最少限の数だけ含む第1のアミノ酸またはヌクレオチド配列を意味する。例えば、約60%、好ましくは65%、より好ましくは70%、さらに一層好ましくは75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%以上の同一性を有する共通のドメインを含むアミノ酸またはヌクレオチド配列が、本明細書において、充分に同一であると定義される。
当業者であれば、本発明にしたがったヌクレオチド配列への突然変異によって変化を取り込みこうして結果として得られたタンパク質の機能を実質的に改変することなくこのタンパク質のアミノ酸配列の変化を導くことができる、ということを認識することだろう。
したがって、本発明のアスパラギナーゼ変異体は、好ましくは、親アミノ酸配列、例えば配列番号3に示されているものに対して少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上の相同性をもち、典型的には同様に親ポリペプチドの少なくとも1つの機能的活性を保持するタンパク質である。
本発明の変異体、例えば本発明にしたがったタンパク質の機能的等価物は、同様に、例えばアスパラギナーゼ活性について本発明の突然変異体例えば切断型突然変異体の組合せライブラリをスクリーニングすることによっても同定可能である。一実施形態においては、変異体の変化に富んだライブラリが、核酸レベルでの組合せ突然変異誘発によって生成される。変異体の変化に富んだライブラリは、例えば、縮退した1組の潜在的なタンパク質配列が個々のポリペプチドとしてか或いは1組のより大きな融合タンパク質として(例えばファージディスプレイ向け)発現可能となるような形で遺伝子配列内に合成オリゴヌクレオチドの混合物を酵素によりライゲートすることによって生成可能である。縮退したオリゴヌクレオチド配列から本発明のポリペプチドの潜在的変異体のライブラリを生産するために使用できるさまざまな方法が存在する。縮退したオリゴヌクレオチドを合成するための方法は、当該技術分野において公知である(例えばナラング(Narang)(1983年)、Tetrahedron、第39号:3頁;イタクラ(Itakura)ら、(1984年)Annu.Rev.Biochem.第53号:323頁;イタクラら、(1984年)、Science、第198号:1056頁;アイク(Ike)ら、(1983年)、Nucleic Acid Res.第11号:477頁)を参照のこと)。
さらに、本発明のポリペプチドをコードする配列のフラグメントライブラリは、後続する変異体の選択をスクリーニングするために変化に富んだポリペプチド集団を生成する目的で使用可能である。例えば、ニッキングが1分子あたりおよそ一回しか発生しない条件下でヌクレアーゼと関心対象のコード配列の2本鎖PCRフラグメントを処理すること、2本鎖DNAを変性させること、異なるニッキング産物からのセンス/アンチセンス対を含むことのできる2本鎖DNAを形成するようにDNAを復元すること、S1ヌクレアーゼでの処理により再形成された2重鎖から1本鎖部分を除去することそして、結果として得られたフラグメントライブラリを発現ベクター内にライゲートすることによって、コード配列フラグメントのライブラリを生成することができる。この方法によって関心対象のタンパク質のさまざまなサイズのN末端および内部フラグメントをコードする発現ライブラリを誘導することができる。
当該技術分野においては、切断の点突然変異によって作られる組合せライブラリの遺伝子産物をスクリーニングするため、そして選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリをスクリーニングするための複数の技術が公知である。大きな遺伝子ライブラリをスクリーニングするために最も広く用いられている高スループット解析に適した技術には、典型的に、複製可能な発現ベクター内に遺伝子ライブラリをクローニングすること、結果として得られるベクターライブラリで適切な細胞を形質転換すること、そして、産物が検出された遺伝子をコードするベクターの単離が所望の活性の検出によって容易になる条件下で、組合せ遺伝子を発現すること、が含まれる。ライブラリ内の機能的突然変異体の頻度を増強する技術である循環アンサンブル突然変異誘発(REM)をスクリーニング検定と組合せて使用して、本発明のタンパク質の変異体を同定することができる(アルキン(Arkin)およびユアバン(Yourvan)(1992年)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第89号:7811〜7815頁;デルグレーブ(Delgrave)ら、(1993年)、Protein Engineering、第6号(3):327〜331頁)。
本発明にしたがったポリヌクレオチドのフラグメントは同様に、機能的ポリペプチドをコードしないポリヌクレオチドをも含んでいてよい。かかるポリヌクレオチドは、PCR反応のためのプローブまたはプライマとして機能し得る。
本発明にしたがった核酸はそれらが機能的または非機能的ポリペプチドのいずれをコードするかとは無関係に、ハイブリダイゼーションプローブまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマとして使用可能である。アスパラギナーゼ活性を有するポリペプチドをコードしない本発明の核酸分子の用途としてはとりわけ、(1)ベルマ(Verma)ら、Human Chromosomes:a Manual of Basic Techniques、Pergamon Press、ニューヨーク(1988年)の中で記述されているようなアスパラギナーゼコーティング遺伝子の精確な染色体位置を提供するための中期染色体スプレッドに対するin situハイブリダイゼーション(例えばFISH);(2)特定の組織および/または細胞内でのアスパラギナーゼmRNAの発現を検出するためのノーザンブロット分析;および(3)所与の生物学的(例えば組織)試料中でプローブまたはプライマに対しハイブリッド形成可能な核酸の存在を分析するための診断ツールとして使用可能なかかるプローブおよびプライマ。
所与の親アスパラギナーゼ酵素の変異体は、以下の標準的手順によって得ることができる:
− 突然変異誘発(変異性、ドープされたオリゴ、スパイクされたオリゴ)
− 一次スクリーニング
− (例えば比活性に関して)改善された変異体の同定
− 維持(例えばグリセロール培養、LB−Amp平板、ミニープレップ内)
− 別の検定平板上でのストリーキング−二次スクリーニング
− DNA配列決定
− 例えばアスペルギルス(Aspergillus)内での形質転換
− 例えば100mlスケール中での培養、精製、DSC
− 突然変異誘発(変異性、ドープされたオリゴ、スパイクされたオリゴ)
− 一次スクリーニング
− (例えば比活性に関して)改善された変異体の同定
− 維持(例えばグリセロール培養、LB−Amp平板、ミニープレップ内)
− 別の検定平板上でのストリーキング−二次スクリーニング
− DNA配列決定
− 例えばアスペルギルス(Aspergillus)内での形質転換
− 例えば100mlスケール中での培養、精製、DSC
一実施形態においては本発明は、本発明にしたがったアスパラギナーゼポリペプチド変異体の生産方法において、
a) 親アスパラギナーゼポリペプチドを選択するステップ;
b) 41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換するステップであって、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されているステップと;
c) b)で定義されている1つ以上のさらなるアミノ酸を任意に置換するステップと;
d) ステップa)〜c)の結果として得た変異体を調製するステップと;
e) 変異体の少なくとも1つのpHにおける比活性および/または最適pHを決定するステップと;
f) 親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した少なくとも1つのpHにおける比活性および/または親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した最適pHを有する変異体を選択し、これによりアスパラギナーゼポリペプチド変異体を生産するステップと、を含む方法に関する。
a) 親アスパラギナーゼポリペプチドを選択するステップ;
b) 41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換するステップであって、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されているステップと;
c) b)で定義されている1つ以上のさらなるアミノ酸を任意に置換するステップと;
d) ステップa)〜c)の結果として得た変異体を調製するステップと;
e) 変異体の少なくとも1つのpHにおける比活性および/または最適pHを決定するステップと;
f) 親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した少なくとも1つのpHにおける比活性および/または親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した最適pHを有する変異体を選択し、これによりアスパラギナーゼポリペプチド変異体を生産するステップと、を含む方法に関する。
好ましい実施形態においては、本発明にしたがったアスパラギナーゼポリペプチド変異体の生産方法の中で、親アスパラギナーゼポリペプチドは配列番号3に記された配列を有する。
より好ましくは、本発明にしたがった方法のステップb)において、41、53、63、64、66、73、74、76、77、88、90、91、101、106、111、119、122、123、132、140、145、161、170、195、211、218、228、232、233、262、267、293、295、297、299、300、301、303、304、310、314、317、321、324、330、332、333または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基が置換され、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドは配列番号3と少なくとも80%の相同性を有する。
さらに一層好ましくは、ステップb)において置換されたアミノ酸残基は、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、41位のIle、53位のTyr、63位のGlyまたはValまたはSer、64位のPro、66位のPro、73位のLys、74位のAla、76位のThr、77位のIle、88位のTyrまたはPro、90位のVal、91位のGlu、101位のVal、106位のPro、111位のGly、119位のAsn、122位のHis、123位のAla、132位のSer、140位のAsn、145位のSer、161位のLeu、170位のThr、195位のAsp、211位のSer、218位のVal、228位のHis、232位のVal、233位のVal、262位のCysまたはHis、267位のTyr、293位のSerまたはVal、295位のSer、297位のSer、299位のSer、300位のIle、301位のPro、303位のSer、304位のThr、310位のVal、314位のAsp、317位のIle、321位のThr、324位のGly、330位のSer、332位のAla、333位のGluまたは371位のMetのうちの1つ以上に対応しており、前記位置は配列番号3を基準にして定義されている。
本発明のプロセスの一実施形態においては、ステップe)で、比活性は、4〜8の間のpHで決定される。ステップe)の別の実施形態においては、変異体の少なくとも1つのpHおよび/または最適pHにおける比活性を決定する前に、変異体のpH7におけるアスパラギナーゼ活性とpH5におけるアスパラギナーゼ活性の間の特定の温度での比率が測定されてよく、前記比率が親アスパラギナーゼポリペプチドのものよりも高い変異体を選択してよい。
本発明のプロセスの別の実施形態においては、ステップf)で、親ポリペプチドに比べて増大した少なくとも1つのpH、好ましくは4〜8の間のpHでの比活性を有しかつ/または親ポリペプチドと比べて増大した最適pHを有する変異体が選択される。好ましくは、変異体は、親ポリペプチドに比べて増大した少なくとも1つのpH、好ましくは4〜8の間のpHでの比活性および親ポリペプチドに比べて増大した最適pHを有する。本発明のプロセスの別の実施形態においては、ステップf)で、親ポリペプチドに比べて増大した少なくとも1つのpH、好ましくは4〜8の間のpHでの比活性を有する変異体が選択される。
別の実施形態においては、本発明は、本発明に包含される核酸を含む細胞例えば形質転換された宿主細胞または組換え宿主細胞を特徴とする。「形質転換された細胞」または「組換え細胞」というのは、その中に(またはその先祖の中に)組換えDNA技術を用いて本発明にしたがった核酸が導入された細胞である。原核細胞および真核細胞の両方、例えば細菌、真菌、酵母などが含まれ、最も好ましいのは、糸状菌、特にアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来の細胞である。
挿入された配列の発現を調節するかまたは取込まれた核酸配列によってコードされた産物を特異的な所望の要領で修飾しプロセッシングする宿主細胞を選択することができる。タンパク質産物のかかる修飾(例えばグリコシル化)およびプロセッシング(例えば分割)は、コードされたタンパク質の最適な機能を促進し得る。
さまざまな宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセッシングおよび修飾について特徴的かつ特異的機序を有する。分子生物学および/または微生物学の当業者にとってなじみのある適切な細胞系統または宿主系を選択して、発現された外来性タンパク質の所望のかつ適正な修飾およびプロセッシングを確保することができる。この目的で、一次転写産物の適切なプロセッシング、グリコシル化および遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞を使用することが可能である。かかる宿主細胞は、当該技術分野において周知である。
宿主細胞には同様に、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、WI38および脈絡叢細胞系統といったような哺乳動物細胞系統も含まれるが、これらに限定されるわけではない。
望ましい場合、安定した形でトランスフェクトされた細胞系統が、本発明に従った変異体を生産できる。哺乳動物細胞の安定したトランスフェクションに適した多数のベクターが、一般に入手可能であり、かかる細胞系統を構築するための方法も同様に、例えばアウスベルら、(上掲書)中に記されているように公知である。
本発明はさらに、本発明にしたがったアスパラギナーゼ変異体を含む組成物を開示している。この組成物は、任意には、例えばその他の酵素といったようなその他の成分を含んでいてよい。本発明にしたがったアスパラギナーゼ変異体または前記アスパラギナーゼを含む組成物は、食品の生産において使用可能である。本発明の一実施形態においては、本発明にしたがったアスパラギナーゼ変異体または組成物は、アスパラギン含有原料をベースとする熱処理食品中で形成されるアクリルアミドの量を削減するために使用可能である。これらは例えば、少なくとも1つの加熱ステップが関与し、この加熱ステップに先立ち前記食品の中間形態で存在するアスパラギナーゼのレベルを削減する上で有効である量で酵素を添加する前記生産プロセス内での前記食品の中間形態への1つ以上のアスパラギナーゼ酵素の添加ステップを含む、食品の生産用プロセスにおいて使用可能である。かかるプロセスは国際公開第04/030468号パンフレット内で開示されており、このプロセスおよびその全ての選好性は本明細書に参考により援用されている。同様に、国際公開第04/026043号パンフレットには、本発明にしたがったアスパラギナーゼを使用することができると思われる適切なプロセスが記述されている。国際公開第04/026043号パンフレット中に開示されているプロセスおよび開示されている全ての選好性は、本明細書に参考により援用されている。
食品の中間体は、本明細書では、食品の最終的形態が得られまでの生産プロセス中に発生するあらゆる形態として定義づけされている。中間形態は、使用された個々の原料および/またはその混合物および/または添加剤および/またはプロセス助剤との混合物、またはその後プロセッシングされたその形態を含んでいてよい。例えば、食品パンの場合、中間形態は、例えば小麦、小麦粉、例えば水、塩、酵母およびパン改良組成物といったその他のパン成分とのその初期混合物、混合パン生地、練上げパン生地、発酵生地および部分焼上げ生地を含む。例えば、いくつかのジャガイモベースの製品については乾燥ポテトフレークまたは顆粒が中間製品であり、トルティーヤチップスについては、コーン・マサが中間製品である。
食品は、例えばジャガイモ、タバコ、コーヒー、ココア、米、穀物、例えば小麦、ライ麦モロコシ(rye corn)、トウモロコシ(maize)、大麦、ひき割り穀物、ソバおよびオート麦といった植物由来のものである少なくとも1つの原料から作られていてよい。以降、小麦という用語は、例えば、パン小麦、デュラム小麦および/またはスペルト小麦といったコムギ(Triticum)属の公知の全ての種を包含するように意図されている。2つ以上の原料または中間体から作られた食品、例えば小麦(小麦粉および/またはデンプン)およびジャガイモの両方を含む食品も、本発明の範囲内に含み入れられる。本発明にしたがったプロセスが適している食品の例としては、あらゆる小麦粉ベースの製品(例えばパン、ペストリー、ケーキ、プレッツェル、ベーグル、ダッチハニーケーキ、クッキー、ジンジャーブレッド、ジンジャーケーキおよびクリスプブレッド)そしてあらゆるジャガイモベースの製品(例えばフレンチフライ、フライドポテト、ポテトチップス、コロッケ)がある。
以上で列挙した通りの原料は、生産プロセスの加熱ステップ中のアクリルアミド形成に関与している実質的な量のアスパラギンを含有するものとして公知である。或いは、アスパラギンは、例えば食品生産プロセスにおいて添加剤として用いられる酵母エキス、大豆加水分解物、カゼイン加水分解物などといったようなタンパク質加水分解物といったように、原料以外の供給源に由来している可能性もある。好ましい生産プロセスは、小麦粉および/またはその他の穀物由来の粉からのパンおよびその他の焼上げ製品の焼上げである。別の好ましい生産プロセスは、ジャガイモのスライスからのポテトチップスのディープフライである。
好ましい加熱ステップは、中間食品の少なくとも一部分例えば食品の表面を、アクリルアミド形成が促進される温度、例えば110℃以上、120℃以上の温度に曝露するステップである。本発明にしたがったプロセス内の加熱ステップは例えば、パンおよびその他のベーカリー製品を焼上げる場合のようにオーブン内において例えば180〜220℃の温度で実施されるか、またはポテトチップスの揚げ作業のように油中において例えば160〜190℃の温度で実施されてよい。
別の態様においては、本発明は、以上で記述されているような本発明のプロセスによってかまたは食品を生産するべく以上で記述した新規のアスパラギナーゼを使用することによって得ることのできる食品を提供している。これらの食品は、前記加熱ステップ中のアクリルアミドの形成に関与するアミノ酸のレベルを削減するのに有効な量で1つ以上の酵素を添加するステップを含まない生産プロセスによって得ることのできる食品と比べて著しく削減されたアクリルアミドレベルを特徴とする。本発明にしたがったプロセスは、従来のプロセスで得られた食品と比較して、生産された食品のアクリルアミド含有量の好ましくは50%超、より好ましくは20%超、さらに一層好ましくは10%超そして最も好ましくは5%超という減少を得るために使用可能である。
本発明にしたがったアスパラギナーゼ変異体のための付加的な利用分野は、動物およびヒトにおける腫瘍の治療において利用することである。腫瘍細胞の代謝にはL−アスパラギンが必要であり、これはアスパラギナーゼによって迅速に分解され得る。本発明にしたがったアスパラギナーゼは同様に、一部のヒト白血病の治療における補助治療薬としても使用可能である。実験動物およびヒトにおけるアスパラギナーゼの投与は、一部のリンパ腫および白血病の退行を導く。したがって、一実施形態において、本発明は、例えば動物またはヒトの腫瘍の治療例えばリンパ腫または白血病の治療における薬剤として使用するための本発明にしたがったアスパラギナーゼまたは組成物に関する。
本発明にしたがったアスパラギナーゼ変異体は、都合のよいことに微生物中で生産され得る。上述のプロセスにおいては、組換えDNA技術によって得られるアスパラギナーゼを使用することが有利である。かかる組換え酵素は、細菌またはウイルスといったような汚染性作用物質を含まないだけでなく細菌毒素またはその他の汚染性酵素活性も含まず、高収量で低コストで生産できるといった数多くの利点を有する。
本発明について以下で、次の限定的な意味のない実施例によって例示する。
[実施例]
[材料と方法]
[pH=4からpH=9までの範囲内のpH依存性を測定するためのアスパラギナーゼ検定]
アスパラギナーゼ活性を、基質としてL−アスパラギンを用いて測定した。酵素の作用によって遊離されたアンモニア量を、ベルトロー反応にしたがって測定した。既製の試薬フェノールニトロプルシドおよびアルカリ性次亜塩素酸塩をシグマ(Sigma)から得た。所望のpHの50mMのピロリン酸ナトリウム緩衝液と50mMのクエン酸の混合物中の100mMのL−アスパラギン2000μlと100μlの酵素試料を混合した。30分間37℃でインキュベートした後、400μlの25%のトリクロロ酢酸を添加することによって反応を停止させ、その後2500μlの水を加えた。インキュベーションの間、他に指示のない限り温度は37℃に定めた。
[材料と方法]
[pH=4からpH=9までの範囲内のpH依存性を測定するためのアスパラギナーゼ検定]
アスパラギナーゼ活性を、基質としてL−アスパラギンを用いて測定した。酵素の作用によって遊離されたアンモニア量を、ベルトロー反応にしたがって測定した。既製の試薬フェノールニトロプルシドおよびアルカリ性次亜塩素酸塩をシグマ(Sigma)から得た。所望のpHの50mMのピロリン酸ナトリウム緩衝液と50mMのクエン酸の混合物中の100mMのL−アスパラギン2000μlと100μlの酵素試料を混合した。30分間37℃でインキュベートした後、400μlの25%のトリクロロ酢酸を添加することによって反応を停止させ、その後2500μlの水を加えた。インキュベーションの間、他に指示のない限り温度は37℃に定めた。
当業者であれば、上述の条件下でのインキュベーションの後、背景よりも著しく高く、それでもなお得られたシグナルが加えられた酵素の量に正比例している範囲内にあるシグナルが得られるような形で、酵素の用量が選択されたということを理解するはずである。好ましくは反応は、ゼロ次反応であった。
反応を停止した後、156μlの水に4μlのインキュベーション混合物を添加した。その後、34μlのフェノール/ニトロプルシド溶液(シグマP6994)および34μlのアルカリ性次亜塩素酸塩溶液(シグマA1727)を添加した。37℃で676秒のインキュベーションの後、600nmで消光を測定した。適切なブランクを含み入れることによって、背景シグナルについて読取り値を補正した。ブランクとして、(TCA)不活性化酵素を伴う試料を使用した。例えば、Konelab Arena 30(サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific))といった自動分析装置上で、検定を実施した。標準系列の既知の硫酸アンモニウム濃度との関係において600nmでの測定された吸光度をプロットすることによって作成された較正線を用いて、活性を決定した。活性は、規定の検定条件下で一分あたり1ミクロモルのアンモニアをL−アスパラギンから遊離させるのに必要とされる酵素の量として1ユニットを定義して、ユニット単位で表現された。
[pH=4からpH=8までの範囲内のpH依存性を測定するためのアスパラギナーゼ検定]
この方法は、所望のpHの50mMのリン酸/クエン酸緩衝液中の100mMのL−アスパラギン2000μlと100μlの酵素試料を混合したという違いはあるものの、pH=4からpH=9までの範囲についての活性のpH依存性の測定に関する上述の方法と同じ要領で、実施された。
この方法は、所望のpHの50mMのリン酸/クエン酸緩衝液中の100mMのL−アスパラギン2000μlと100μlの酵素試料を混合したという違いはあるものの、pH=4からpH=9までの範囲についての活性のpH依存性の測定に関する上述の方法と同じ要領で、実施された。
[pH=5およびpH=7での活性を測定するためのアスパラギナーゼ手作業検定]
この検定は、例えばマイクロタイタープレート(MTP)または試験管内で実施した。シフトされたpH活性プロファイルをもつアスパラギナーゼを同定するために、pH=5およびpH=7で活性を測定した。10μlの酵素試料を、pH5.0の100mMのクエン酸緩衝液またはpH7.0の100mMのリン酸緩衝液中の100mMのL−アスパラギンと混合した。室温で1時間のインキュベーションの後、12.5%のトリクロロ酢酸100μlを添加することによって反応を停止した。室温で1時間のインキュベーション後に、背景よりも著しく高いところでシグナルが得られるような形で、酵素用量を選択した。反応停止後、8μlのインキュベーション混合物に対して95μlの水を添加した。その後、70μlのフェノール/ニトロプルシド溶液(シグマ(Sigma)p6994)と70μlのアルカリ性次亜塩素酸素溶液(シグマA1727)を加えた。室温で60分間のインキュベーションの後、620nmで消光を測定した。適切なブランク例えば空の宿主菌株の発酵試料由来の上清および/または不活性化試料を含み入れることによって、背景シグナルについて読取り値を補正した。空菌株(empty strain)は、アスパラギナーゼ遺伝子を含有するように形質転換されなかった宿主菌株を表わす。標準系列の公知の硫酸アンモニウム濃度との関係において620nmでの測定された吸光度をプロットすることによって作製された較正線を用いて、活性を決定した。活性はユニット単位で表現され、ここで1ユニットは、定義された検定条件下で1分あたり1ミクロモルのアンモニウムをL−アスパラギンから遊離させるのに必要な酵素の量として定義される。
この検定は、例えばマイクロタイタープレート(MTP)または試験管内で実施した。シフトされたpH活性プロファイルをもつアスパラギナーゼを同定するために、pH=5およびpH=7で活性を測定した。10μlの酵素試料を、pH5.0の100mMのクエン酸緩衝液またはpH7.0の100mMのリン酸緩衝液中の100mMのL−アスパラギンと混合した。室温で1時間のインキュベーションの後、12.5%のトリクロロ酢酸100μlを添加することによって反応を停止した。室温で1時間のインキュベーション後に、背景よりも著しく高いところでシグナルが得られるような形で、酵素用量を選択した。反応停止後、8μlのインキュベーション混合物に対して95μlの水を添加した。その後、70μlのフェノール/ニトロプルシド溶液(シグマ(Sigma)p6994)と70μlのアルカリ性次亜塩素酸素溶液(シグマA1727)を加えた。室温で60分間のインキュベーションの後、620nmで消光を測定した。適切なブランク例えば空の宿主菌株の発酵試料由来の上清および/または不活性化試料を含み入れることによって、背景シグナルについて読取り値を補正した。空菌株(empty strain)は、アスパラギナーゼ遺伝子を含有するように形質転換されなかった宿主菌株を表わす。標準系列の公知の硫酸アンモニウム濃度との関係において620nmでの測定された吸光度をプロットすることによって作製された較正線を用いて、活性を決定した。活性はユニット単位で表現され、ここで1ユニットは、定義された検定条件下で1分あたり1ミクロモルのアンモニウムをL−アスパラギンから遊離させるのに必要な酵素の量として定義される。
全ての検定において、アスパラギナーゼ試料の活性をユニット/ml単位で表わした。
[実施例1]
[本発明にしたがったアスパラギナーゼの発酵、単離および精製]
本発明のアスパラギナーゼは、国際公開第2004/030468号パンフレットに記述されているように本発明のアスパラギナーゼをコードするDNA配列を含有する発現プラスミドを構築し、プラスミドでアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株を形質転換させアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株を成長させることによって得られた。
[本発明にしたがったアスパラギナーゼの発酵、単離および精製]
本発明のアスパラギナーゼは、国際公開第2004/030468号パンフレットに記述されているように本発明のアスパラギナーゼをコードするDNA配列を含有する発現プラスミドを構築し、プラスミドでアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株を形質転換させアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株を成長させることによって得られた。
適正な発現プラスミドを含有するアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)を成長させた後、4℃で30分間5000×gで発酵ブロスを遠心分離して無細胞上清を調製した。必要な場合は、上清をそれぞれにMiraclothフィルタ(カルバイオケム(Calbiochem)カタログ番号475855)およびGF/A Whatmann Glassマイクロファイバフィルタ(150mmφ)上でろ過して、あらゆる固体を除去した。あらゆる真菌材料を除去するために、上清を4NのKOHでpH=5に調整し、吸引しながら2μmの(ボトルトップ)フィルタ上で無菌ろ過することができた。上清を使用まで4℃に貯蔵し、必要な場合は−20℃で凍結させた。
不純物が60%w/wを上回った場合には、無細胞上清から始めてアニオンイオン交換クロマトグラフィによりアスパラギナーゼを精製するかまたは、PD−10カラム(アマーシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences))を介してccUF脱塩した。脱塩した材料を、20mMのヒスチジン緩衝液pH5.96中で平衡化されたMono−QまたはQ−セファロースカラムに適用した。大規模な洗浄の後、アスパラギナーゼを、0〜1MのNaCl勾配を用いてカラムから溶出させた。
アスパラギナーゼ活性を含有する上清画分または精製されたアスパラギナーゼ画分(mgタンパク質/ml単位で決定されたもの)の純度を、分析サイズ排除クロマトグラフィ(HP−SEC:高性能サイズ排除クロマトグラフィ、TSKgel 3000SW−XL、カラム300*7.8mm;MW範囲10〜300kDa、100mMのリン酸緩衝液pH7およびpH5.96)によって確認した。全ての流量は1ml/分であった(5ml/分であったQ−セファロースカラム上の試料注入は除く)。溶出されたタンパク質の検出を280nmで行なった。溶出されたアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)アスパラギナーゼの濃度を、10240M−1・cm−1のモル消光係数を用いて280nm(A280)での消光から計算した(A2801cm,1mg/ml=0.28、なお式中A2801cm,1mg/mlは、1mg/mlという純粋タンパク質濃度でかつ1cmという経路長で測定した280nmでの消光である)。A280の測定は、Uvikon XL Secomam分光光度計(オランダ、アップカウデのBeun de Ronde)の中で実施した。ASN15およびASN16に対応するアスパラギナーゼにつては、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のものと同じ消光係数を使用した。280nmで吸収する不純物の場合には、アスパラギナーゼ濃度は、アスパラギナーゼピークの下の面積と280nmで吸収するピークの合計面積の比を測定されたアスパラギナーゼ試料のA280に乗ずることにより、HP−SECクロマトグラムに基づいて補正された。アスパラギナーゼピークがその他のピークから明らかに離れていない場合には、ピーク面積に代ってピーク高さを取上げた。
ASN01〜ASN14に対応するアスパラギナーゼについては、(1mlあたりのタンパク質mg数単位で決定される)アスパラギナーゼ含有量を、NuPAGE(登録商標)Novex4〜12%Bis−Tris12ウェルゲル(インビトロジェン(Invitrogen)NP0322BOX)を用いてPAA−SDSゲル電気泳動によって決定可能である。1μlの培養上清を1μlの10×NuPAGE(登録商標)試料還元剤(インビトロジェン、NP0004)、2.5μlの4×NuPAGE LDS試料緩衝液(インビトロジェン、NP0007)および5.5μlのmilliQ水と共に70℃で10分間インキュベートした。結果として得た還元済み試料をゲル上に装填した。サイズマーカーとして、SecBlue(登録商標)plus2予備染色済み標準(インビトロジェン、LC5925)を用いた。さらに、タンパク質の量についての較正物質として0.5gのBSA(シグマA9418)を装填した。NuPAGE(登録商標)酸化防止剤(インビトロジェン、NP0005)を含有するNuPAGE(登録商標)MES SDSランニングバッファ(インビトロジェン、NP0002)中で200Vで35分間、ゲルを走らせた。電気泳動の後、Fix溶液(7%のHAc(v/v)および10%のエタノール(v/v))の中で2×30分間ゲルを定着させ、SYPROルビー(Ruby)タンパク質ゲル染色液(インビトロジェンS12000)で一晩染色し、2×30分間Fix溶液中で脱染した。その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、タイフーン(Typhoon)9200スキャナー(GEヘルスケア(Healthcare)でスキャンした。Image Quant TLv2003.02ソフトウェアを用いてピーク体積を計算し、タンパク質濃度を、BSAタンパク質バンドに基づいて計算した。
[実施例2]
[発明にしたがった変異体アスパラギナーゼの性能]
変化したpH活性プロファイルを有する突然変異体について、A.ニガー(A.niger)アスパラギナーゼ突然変異体(ここで親ポリペプチドは配列番号3にしたがったものであった)の無作為ライブラリをスクリーニングした。よりアルカリ性のpHで改善された活性をもつ突然変異体を発見するために、アスパラギナーゼ突然変異体の活性をpH=5およびpH=7で決定した。その後、pH=7での活性とpH=5での活性の間の比率を決定した。この比率は表1に示されている。より高い比率は、pH=7に向かうpH活性プロファイルのシフトを示す。
[発明にしたがった変異体アスパラギナーゼの性能]
変化したpH活性プロファイルを有する突然変異体について、A.ニガー(A.niger)アスパラギナーゼ突然変異体(ここで親ポリペプチドは配列番号3にしたがったものであった)の無作為ライブラリをスクリーニングした。よりアルカリ性のpHで改善された活性をもつ突然変異体を発見するために、アスパラギナーゼ突然変異体の活性をpH=5およびpH=7で決定した。その後、pH=7での活性とpH=5での活性の間の比率を決定した。この比率は表1に示されている。より高い比率は、pH=7に向かうpH活性プロファイルのシフトを示す。
pH活性プロファイルがどの程度までアルカリ性pHへとシフトしたかを立証するため、野生型A.ニガー(A.niger)アスパラギナーゼよりも高い比率をもつ突然変異体をさらにテストした。これらの突然変異体について、完全pH活性プロファイルを測定し、特にpH活性プロファイルのアルカリ性縁がより高いpHへとシフトしたということが示された。pH活性プロファイルのアルカリ性縁がその最適pHでの突然変異体の最大活性の50%を示すpHを、野生型に比較したpH活性プロファイルのアルカリ性縁のシフトのインジケータとして取上げる(表1)。より高いpHへのシフトが、よりアルカリ性である条件下でのより高い活性を表わす。かかる突然変異体は、特に、よりアルカリ性である条件を必要とする利用分野において有益である。
pH=7での活性とpH=5での活性の間の比率がより低いものである突然変異体について選択を行なう場合、pH活性プロファイルのアルカリ性縁がより低いpHへとシフトすることが観察される(表2)。
[pH活性依存性および最適pH]
無細胞上清を用いてpH=4からpH=8までのpH範囲について50mMのリン酸/クエン酸緩衝液中で、突然変異体についてのアスパラギナーゼ活性のpH依存性を決定した。1つの突然変異体について最高の活性が観察されたpHは、前記突然変異体についての最適pHと呼ばれる。表3および4では、1つの突然変異体について観察された最大活性は100%に設定されており、その他のpH値での前記突然変異体の活性は、前記突然変異体について観察された最大活性の百分率として示されている。表3では、リン酸/クエン酸緩衝液系を用いてpH=4からpH=8までのpH範囲についてpH活性プロファイルを決定した。表4では、ピロリン酸/クエン酸緩衝液系を用いてpH=4からpH=9までのpH範囲についてpH活性プロファイルを決定した。
無細胞上清を用いてpH=4からpH=8までのpH範囲について50mMのリン酸/クエン酸緩衝液中で、突然変異体についてのアスパラギナーゼ活性のpH依存性を決定した。1つの突然変異体について最高の活性が観察されたpHは、前記突然変異体についての最適pHと呼ばれる。表3および4では、1つの突然変異体について観察された最大活性は100%に設定されており、その他のpH値での前記突然変異体の活性は、前記突然変異体について観察された最大活性の百分率として示されている。表3では、リン酸/クエン酸緩衝液系を用いてpH=4からpH=8までのpH範囲についてpH活性プロファイルを決定した。表4では、ピロリン酸/クエン酸緩衝液系を用いてpH=4からpH=9までのpH範囲についてpH活性プロファイルを決定した。
pH活性プロファイルのアルカリ性縁のシフトの他に、より高いpHに向かっての最適pHのシフトも存在する。突然変異D63Gを含む突然変異体は両方共、pH=7までの最適pHのシフトを示す。D63G突然変異体は付加的な突然変異を含んでいる。しかしながらこれらの付加的な突然変異は各D63G突然変異体において異なり、一方pH活性プロファイルはほぼ同一である。したがってD63Gが観察されたpH活性プロファイルのシフトの原因であると思われる。突然変異体D140N、A170Tを含む突然変異体そして突然変異S66Pを含む突然変異体の最適pHはpH=6までシフトされる。
残りの突然変異体は、野生型に比べてpH=5でより明示的な最適pHを示す。表3および4は、同時に実質的活性がpH=4からpH=6までの酸性領域内でも維持されている一方で、pH=6からpH=8までの範囲について特に増大した相対活性を伴うより広いpH活性プロファイルを結果としてもたらすより高いpHに向かってのpH活性プロファイルのアルカリ性縁のシフトを明確に示している。
[pHの一関数としての比活性]
アスパラギナーゼ変異体の比活性を、無細胞上清を用いて50mMのリン酸/クエン酸緩衝液中でpH=4、pH=5、Ph=6、pH=7、pH=8で決定した。
アスパラギナーゼ変異体の比活性を、無細胞上清を用いて50mMのリン酸/クエン酸緩衝液中でpH=4、pH=5、Ph=6、pH=7、pH=8で決定した。
表5は、pH=6、pH=7およびpH=8での突然変異体の比活性が野生型アスパラギナーゼと比べて実質的に改善されたということを示している。特に突然変異体T73K+S74A+A293S、T41l+S66P+V371M、S88P+l161L+R262CおよびF53Y+K119Nは、pH=4〜pH=8の全pH範囲にわたりより高い活性を示すことから非常に有用である。突然変異体T73K+S74A+A293S+E106P+G297S+T299S+Q319A+M321T+V324Gは、pH=4からpH=6までの酸性pH領域においてさらに活性である。
[最適温度]
温度に対する活性の依存性を確認するため、異なる温度で活性を測定した。1つの検定においては、酵素反応を10分後に停止させ、第2の検定においては、30分後に反応を停止させた。30分検定における酵素用量は、10分検定における用量の3分の1であった。適用された条件下で酵素が安定している場合、観察される活性は類似しているはずである。不活性化が起こった場合、より長い検定時間の後に活性が減少することが予想される。結果は表6に示されている。
温度に対する活性の依存性を確認するため、異なる温度で活性を測定した。1つの検定においては、酵素反応を10分後に停止させ、第2の検定においては、30分後に反応を停止させた。30分検定における酵素用量は、10分検定における用量の3分の1であった。適用された条件下で酵素が安定している場合、観察される活性は類似しているはずである。不活性化が起こった場合、より長い検定時間の後に活性が減少することが予想される。結果は表6に示されている。
表6は、変異体の安定性が野生型アスペルギルス・ニガー(Aspergillus.niger)アスパラギナーゼに非常に類似していることを示している。突然変異体は、70℃においてさえ、30分のインキュベーション後に10分の場合に比べていかなる活性低下も示さず、このことは、突然変異体が70℃で少なくとも30分間は安定していることを表している。意外にも、突然変異体の最適温度はより高温へとシフトされていることがわかる。野生型については、最適温度は、テストされている温度を考慮して50℃である。突然変異体S16A+D63G+G132S、D63G+D111G+R122HおよびT41l+S66P+V371Mについては、それは70℃までシフトした。かかる特性は、高温で働くアスパラギナーゼを必要とする利用分野において特に有用である。
Claims (26)
- アスパラギナーゼ活性を有する親ポリペプチドの変異体であって、配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、アミノ酸41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されており、親ポリペプチドが配列番号3と少なくとも80%の相同性を有する、変異体。
- 前記親ポリペプチドが配列番号3に記された配列を有する、請求項1に記載の変異体。
- 配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、アミノ酸41、53、63、64、66、73、74、76、77、88、90、91、101、106、111、119、122、123、132、140、145、161、170、195、211、218、228、232、233、262、267、293、295、297、299、300、301、303、304、310、314、317、321、324、330、332、333または371のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されている、請求項1または2に記載の変異体。
- 配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、41位のIle、53位のTyr、63位のGlyまたはValまたはSer、64位のPro、66位のPro、73位のLys、74位のAla、76位のThr、77位のIle、88位のTyrまたはPro、90位のVal、91位のGlu、101位のVal、106位のPro、111位のGly、119位のAsn、122位のHis、123位のAla、132位のSer、140位のAsn、145位のSer、161位のLeu、170位のThr、195位のAsp、211位のSer、218位のVal、228位のHis、232位のVal、233位のVal、262位のCysまたはHis、267位のTyr、293位のSerまたはVal、295位のSer、297位のSer、299位のSer、300位のIle、301位のPro、303位のSer、304位のThr、310位のVal、314位のAsp、317位のIle、321位のThr、324位のGly、330位のSer、332位のAla、333位のGluまたは371位のMetのうちの1つ以上を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変異体。
- 配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、アミノ酸53、63、64、66、73、74、76、77、88、101、140、170、293のいずれかに対応するアミノ酸残基の少なくとも1つの置換を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変異体。
- 配列番号3に記されている配列と整列させた場合に、53位のTyr、63位のGlyまたはVal、64位のPro、66位のPro、73位のLys、74位のAla、76位のThr、77位のIle、88位のThrまたはPro、101位のVal、140位のAsn、170位のThr、293位のSerまたはValのうちの1つ以上を含むアミノ酸配列を有し、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変異体。
- 前記親アスパラギナーゼポリペプチドと少なくとも80%の相同性を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の変異体。
- 同じpHで測定された前記親ポリペプチドのものよりも高い比活性を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の変異体。
- 前記親ポリペプチドのものよりも高い最適pHを有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の変異体。
- 請求項1に定義されているもの以外のアミノ酸残基の1つ以上の置換をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の変異体。
- 請求項1に定義されているもの以外の1〜5個の付加的な置換を含む、請求項10に記載の変異体。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の変異体をコードする核酸配列。
- 適切な発現宿主の中でアスパラギナーゼの発現を導くことができる1つ以上の制御配列に作動的に連結された、請求項12に記載の核酸配列を含む核酸コンストラクト。
- 請求項13に記載の核酸コンストラクトを含む組換え発現ベクター。
- 請求項14に記載の発現ベクターを含む組換え宿主細胞。
- アスパラギナーゼの生産を導く条件下で請求項15に記載の宿主細胞を培養するステップおよびアスパラギナーゼを回収するステップを含む、アスパラギナーゼ生産方法。
- アスパラギナーゼポリペプチド変異体の生産方法であって、
a) 親アスパラギナーゼポリペプチドを選択するステップと;
b) 41、53、62、63、64、66、70、71、73、74、76、77、88、90、91、101、102、103、104、106、107、108、109、111、119、122、123、132、140、142、143、145、161、162、163、164、168、169、170、195、211、213、214、215、216、217、218、219、220、228、232、233、234、235、262、267、268、269、270、271、272、273、293、295、297、298、299、300、301、302、303、304、310、314、317、318、319、321、323、324、325、327、328、329、330、331、332、333、334、335または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を置換するステップであって、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されており、前記親ポリペプチドが配列番号3と少なくとも80%の相同性を有するステップと;
c) b)で定義されている1つ以上のさらなるアミノ酸を任意に置換するステップと;
d) ステップa)〜c)の結果として得た変異体を調製するステップと;
e) 前記変異体の少なくとも1つのpHにおける比活性および/または最適pHを決定するステップと;
f) 前記親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した少なくとも1つのpHにおける比活性および/または前記親アスパラギナーゼポリペプチドに比べて増大した最適pHを有する変異体を選択し、これによりアスパラギナーゼポリペプチド変異体を生産するステップと、
を含む方法。 - 前記親アスパラギナーゼポリペプチドが配列番号3に記された配列を有する、請求項17に記載の方法。
- ステップb)において、41、53、63、64、66、73、74、76、77、88、90、91、101、106、111、119、122、123、132、140、145、161、170、195、211、218、228、232、233、262、267、293、295、297、299、300、301、303、304、310、314、317、321、324、330、332、333または371のいずれかに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基が置換され、ここで前記位置は配列番号3を基準にして定義されており、前記親ポリペプチドが配列番号3と少なくとも80%の相同性を有する、請求項17または18に記載の方法。
- ステップb)において置換されたアミノ酸残基が、41位のIle、53位のTyr、63位のGlyまたはValまたはSer、64位のPro、66位のPro、73位のLys、74位のAla、76位のThr、77位のIle、88位のTyrまたはPro、90位のVal、91位のGlu、101位のVal、106位のPro、111位のGly、119位のAsn、122位のHis、123位のAla、132位のSer、140位のAsn、145位のSer、161位のLeu、170位のThr、195位のAsp、211位のSer、218位のVal、228位のHis、232位のVal、233位のVal、262位のCysまたはHis、267位のTyr、293位のSerまたはVal、295位のSer、297位のSer、299位のSer、300位のIle、301位のPro、303位のSer、304位のThr、310位のVal、314位のAsp、317位のIle、321位のThr、324位のGly、330位のSer、332位のAla、333位のGluまたは371位のMetのうちの1つ以上に対応しており、ここで前記位置が配列番号3を基準にして定義されている、請求項19に記載の方法。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の変異体または請求項16〜20のいずれか一項に記載の方法によって得られる変異体を含む組成物。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載のアスパラギナーゼまたは請求項21に記載の組成物の、食品生産における使用。
- アスパラギン含有原料に基づく熱処理食品の中で形成されるアクリルアミドの量を削減することを目的とした、請求項1〜11のいずれか一項に記載のアスパラギナーゼまたは請求項21に記載の組成物の使用。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の1つ以上のアスパラギナーゼ酵素または請求項21に記載の組成物を生産プロセス中の前記食品の中間形態に対し添加し、これによって前記食品の前記中間形態の中に存在するアスパラギナーゼレベルを低下させるのに有効な量で加熱ステップに先立ち酵素が添加されることになるステップを含む、少なくとも1つの加熱ステップが関与する食品の生産のためのプロセス。
- 請求項24に記載のプロセスまたは請求項22または23に記載の使用によって得ることのできる食品。
- 腫瘍の治療のための薬剤としての、請求項1〜11のいずれか一項に記載のアスパラギナーゼまたは請求項21に記載の組成物の使用。
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