JP2010523679A5 - - Google Patents

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第Xa因子阻害薬として作用する化合物との併用抗凝固療法
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2007年4月13日に出願された米国仮特許出願第60/911,852号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、第Xa因子阻害薬と他の薬剤との併用を用いて血栓症疾患を処置するための新規な医薬組成物および方法に関する。
発明の背景
本発明は特に、血液凝固と、凝固が、外傷、炎症、疾患、先天性欠損、機能障害または他の破損後に哺乳動物の循環の完全性を維持する助けとなる方法とに関する。血塊形成は、フィブリノゲンのフィブリンへの変換を伴い、このフィブリンが網目状に重合して外傷後の止血状態を回復する。同様なプロセスが、血栓症疾患において閉塞血管にという結果になる。フィブリノゲンのフィブリンへの変換は、血液凝固カスケードにおける一連の反応の最終生成物であるトロンビンにより触媒される。第Xa因子、セリンプロテアーゼは、血管系における持続的トロンビン形成の原因である唯一の酵素である。従って、第Xa因子の阻害は、効率的な抗凝固ストラテジーであると考えられる。
参照によりその内容が本明細書に組み込まれる、特許文献1および特許文献2は、特異的な第Xa因子阻害化合物、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド(化合物A)を開示しており、この化合物は、以下の式を有する:
Figure 2010523679
急性冠症候群のような疾患のための処置は、抗凝固薬と抗血小板薬との同時投与を必要とするかもしれないので、併用は、向上された効力ならびに長期的処置の間のより優れた患者コンプライアンスを考慮することになるであろう。しかしながら、いくつかの現行の抗凝固薬治療は、併用治療に適切ではない。例えば、長期的使用のための現在利用可能な抗凝固薬である、ワルファリンは、過度な血液低粘稠化および出血のリスクを回避するために、国際標準化比(INR)凝固アッセイを用いた用量滴定を必要とする。従って、ワルファリンは、固定用量で抗血小板薬と併用して用いることはできない。さらに、いくつかの抗凝固薬および抗血小板薬が併用治療に適することがある一方で、それらは十分な治療的利点をもたらさない。例えば、最近の臨床研究は、フォンダパリヌクス(抗凝固薬)とアスピリンかクロピドグレルとを用いている患者を検査した。それらの患者は、研究の間に、血栓性の事象を経験し続けた。(非特許文献1)。
従って、固定用量の抗凝固薬と、増強された効力を有する抗血小板薬との併用治療の必要性がある。さらに、血栓性疾患(単数または複数)を高血圧または炎症のような他の共存状態と併せ持つ患者のための併用治療の必要性がある。
米国特許第6,835,739号明細書 米国特許第6,376,515号明細書
Fifth Organization to Assess Strategies in Acute Ischemic Syndromes Investigators,et al,N.Engl.J,Med.2006,354(14):1464−76
本発明は、以下の構造を有する第Xa因子阻害薬を含む併用治療の方法および医薬組成物を提供する:
Figure 2010523679
これは、化学名、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドを有し、本明細書全体を通して、「化合物A」と呼ばれる。
この化合物は、望ましくない血栓症と関連した状態を処置する能力を有することが示されている。望ましくない血栓症の処置を受けている患者は、付加的な心臓および/または血管治療を受ける必要がしばしばある。
化合物Aは、薬力学的アッセイにより測定される場合、予測可能な抗凝固レベルを有することが示されている。これは、実施例2および3においてより徹底的に説明される。従って、化合物Aが驚いたことにかつ予期せず、固定された非用量滴定的なやり方で、血栓性疾患の処置のために他の治療薬と併用して使われ得ることが考えられる。ある一定の他の治療薬と併用して提供された場合、化合物Aが、より優れた効力または安全性プロファイルにより示される相乗効果を示すことがさらに考えられる。
本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための新規な方法を提供し、この方法は、前記哺乳動物に、治療的有効量の化合物A、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、治療的有効量の別の治療薬とを投与するステップを含む。他の治療的に有効な薬剤は、抗血小板薬、抗凝固薬、炎症薬、血圧低下薬およびそれらの組み合わせから選ばれる。1つの実施形態において、化合物Aおよび他の治療薬は、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、コレステロールまたはトリグリセリド薬およびそれらの組み合わせから選ばれる別の薬剤と併用され得る。
本発明はまた、化学名、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドを有する以下の式の化合物:
Figure 2010523679
と、抗血小板薬、抗凝固薬、炎症薬、およびそれらの組み合わせを含む別の治療薬とを含む医薬組成物に関する。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬、血圧低下薬およびそれらの組み合わせからなる群より選択される治療薬と、
を投与するステップを含む、
方法。
(項目2)
前記哺乳動物に、治療有効量の以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗血小板薬と、
を投与するステップを含む、
項目1に記載の方法。
(項目3)
前記抗血小板薬が、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、P2Y 12 受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼIII阻害薬、トロンボキサンシンターゼ阻害薬、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、トロンビン受容体アンタゴニスト、およびpセレクチンの阻害薬からなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記抗血小板薬が、アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、アセチルサリチル酸、カングレロール、チカグレロール、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、ジピリダモール、アグレノックス、イフェトロバン、シロスタゾール、イスボグレル、フレグレラート、ラマトロバン、リドグレル、テルボグレル、エチル(1R,3aR,4aR,6R,8aR,9S,9aS)−9−((E)−2−(5−(3−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル)ビニル)−1−メチル−3−オキソドデカヒドロナフト[2,3−C]フラン−6−イルカルバメート、3−{6−[(4−クロロフェニルスルホニル)アミノ]−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフト−1−イル}プロピオン酸およびオザグレルからなる群より選択される、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記抗血小板薬が、エプチフィバチドである、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記抗血小板薬が、クロピドグレルである、項目4に記載の方法。
(項目7)
前記哺乳動物に、治療有効量の以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗凝固薬と、
を投与するステップを含む、
項目1に記載の方法。
(項目8)
前記抗凝固薬が、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第XIa因子、第XIIa因子または第VIIa因子、合成五糖、低分子量ヘパリン、抗組織因子抗体およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記抗凝固薬が、注射用抗凝固薬である、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記抗凝固薬が、ビバリルジン、ダビガトラン、アルガトロバン、レピルジン、ワルファリン、フェノクマロール、フォンダパリヌクス、ダナパロイド、エノキサパリン、ダルテパリンおよび未分画ヘパリンからなる群より選択される、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記抗凝固薬が、エノキサパリンである、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記哺乳動物に、治療有効量の以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗炎症薬と、
を投与するステップを含む、
項目1に記載の方法
(項目13)
前記抗炎症薬が、非ステロイド性抗炎症薬、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬からなる群より選択される、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記抗炎症薬が、アセチルサリチル酸、ピロキシカム、インドメタシン、メサラミン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムバブ、およびアナキンラからなる群より選択される、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記抗炎症薬が、アセチルサリチル酸である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記哺乳動物に、治療有効量の以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 血圧低下薬と、
を投与するステップを含む、
項目1に記載の方法。
(項目17)
前記血圧低下薬が、利尿剤、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン2受容体アンタゴニスト、およびカルシウムチャンネル遮断薬からなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記血圧低下薬が、ベラパミル、ジルチアゼム、アミオダロン、メトプロロール、およびカルベジロールからなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(項目19)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩、および前記治療薬のうちの少なくとも1つが、治療量以下の投与量で投与される、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドまたは薬
学的に許容されるその塩、および前記治療薬の両方が、治療量以下の投与量で投与される、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩、および前記治療薬が同時に投与される、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩、および前記治療薬が、逐次投与される、項目1〜18のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの前記薬学的に許容される塩が、マレイン酸塩である、項目1〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記方法が、前記哺乳動物に、治療有効量の:
(3) 別の抗血小板薬、別の抗凝固薬、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、血圧低下薬、コレステロールまたはトリグリセリド低下薬から選ばれる第3の治療薬を投与するステップをさらに含む、項目1〜22のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記状態が、
急性冠症候群、心筋硬塞、不安定アンギナ、難治性アンギナ、血栓溶解療法後または冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管候群、塞栓症脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血性発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発性血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓性合併症、および補てつデバイスの装着に関連した血栓性合併症からなる群より選択される、
項目1〜20のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
医薬組成物であって、以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬、血圧低下薬、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される治療薬と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、医薬組成物。
(項目27)
以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗血小板薬と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、
項目26に記載の医薬組成物。
(項目28)
前記抗血小板薬が、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、P2Y 12 受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼIII阻害薬、トロンボキサンシンターゼ阻害薬、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、トロンビン受容体アンタゴニスト、およびpセレクチンの阻害薬からなる群より選択される、項目27に記載の医薬組成物。
(項目29)
前記抗血小板薬が、アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、アセチルサリチル酸、カングレロール、チカグレロール、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、ジピリダモール、アグレノックス、イフェトロバン、シロスタゾール、イスボグレル、フレグレラート、ラマトロバン、リドグレル、テルボグレル、エチル(1R,3aR,4aR,6R,8aR,9S,9aS)−9−((E)−2−(5−(3−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル)ビニル)−1−メチル−3−オキソドデカヒドロナフト[2,3−C]フラン−6−イルカルバメート、3−{6−[(4−クロロフェニルスルホニル)アミノ]−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフト−1−イル}プロピオン酸およびオザグレルからなる群より選択される、項目27に記載の医薬組成物。
(項目30)
前記抗血小板薬が、エプチフィバチドである、項目29に記載の医薬組成物。
(項目31)
前記抗血小板薬が、クロピドグレルである、項目29に記載の医薬組成物。
(項目32)
以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗凝固薬と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、
項目26に記載の医薬組成物。
(項目33)
前記抗凝固薬が、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第Xa因子、第XIIa因子、第XIa因子または第VIIa因子、合成五糖、低分子量ヘパリン、抗組織因子抗体およびそれらの組み合わせから選ばれる、項目32に記載の医薬組成物。
(項目34)
前記抗凝固薬が、注射用抗凝固薬である、項目32に記載の医薬組成物。
(項目35)
前記抗凝固薬が、ビバリルジン、ダビガトラン、アルガトロバン、レピルジン、ワルファリン、フェノクマロール、フォンダパリヌクス、ダナパロイド、エノキサパリン、ダルテパリン、および未分画ヘパリンからなる群より選択される、項目32に記載の医薬組成物。
(項目36)
前記抗凝固薬が、エノキサパリンである、項目35に記載の医薬組成物。
(項目37)
以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗炎症薬と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、
項目26に記載の医薬組成物。
(項目38)
前記抗炎症薬が、非ステロイド性抗炎症薬、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬からなる群より選択される、項目37に記載の医薬組成物。
(項目39)
前記抗炎症薬が、アセチルサリチル酸、ピロキシカム、インドメタシン、メサラミン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムバブ、およびアナキンラからなる群より選択される、項目37に記載の医薬組成物。
(項目40)
前記抗炎症薬が、アセチルサリチル酸である、項目37に記載の医薬組成物。
(項目41)
以下の2つの治療薬:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 血圧低下薬と、
薬学的に許容される担体と、
を含む、
項目26に記載の医薬組成物。
(項目42)
前記血圧低下薬が、利尿剤、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン2受容体アンタゴニスト、およびカルシウムチャンネル遮断薬からなる群より選択される、項目41に記載の医薬組成物。
(項目43)
前記血圧低下薬が、ベラパミル、ジルチアゼム、アミオダロン、メトプロロール、およびカルベジロールからなる群より選択される、項目41に記載の医薬組成物。
(項目44)
前記治療薬のうちの少なくとも1つが、治療量以下の投与量で存在する、項目26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目45)
前記治療薬の両方が、治療量以下の投与量で存在する、項目26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目46)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの前記薬学的に許容される塩が、マレイン酸塩である、項目26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目47)
(3)別の抗血小板薬、別の抗凝固薬、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、血圧低下薬、コレステロールまたはトリグリセリド低下薬から選ばれる第3の治療薬をさらに含む、
項目26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
(項目48)
キットであって、
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩を含む第1の容器と、
(2) 抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬および血圧低下薬からなる群より選択される別の治療薬を含む第2の容器と、
を含む、
キット。
(項目49)
(3) 前記2つの治療薬が一緒に用いられ得ることを説明するパッケージ挿入物をさらに含む、
項目48に記載のキット。
(項目50)
[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの前記薬学的に許容されるその塩が、マレイン酸塩である、項目48に記載のキット。
(項目51)
前記治療薬のうちの少なくとも1つが、治療量以下の投与量で存在する、項目48に記載のキット。
(項目52)
前記治療薬の両方が、治療量以下の投与量で存在する、項目48に記載のキット。
ヒト研究における化合物A血漿濃度とトロンビン生成阻害との相関関係を示す。 ヒト研究における化合物A血漿濃度とトロンビン生成阻害との相関関係を示す。 ヒト研究における化合物A血漿濃度と抗第Xa因子単位との相関関係を示す。
本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を、化合物Aと別の治療薬との併用を用いることにより処置するための方法および組成物を提供する。本発明をより詳細に説明する前に、以下の用語を最初に定義する。
I. 定義
本明細書中および特許請求の範囲において用いられる場合、文脈が明確に示していない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の指示対象を含むことが留意されるべきである。従って、例えば、ある1つの組成物における「ある1つの薬学的に許容される担体」への言及は、2つ以上の薬学的に許容される担体などを含む。
ある一定の治療薬の、それらの意図される用途または作用機序に基づく分類は、当業者の一般知識に基づくものであり、分類目的のみのためのものであることが、さらに留意されなければならない。文脈が明確に示していない限り、目的とされる機序は、治療薬のための限定として用いられることを意図しない。いくつかの治療薬は、2つ以上の機序を介して作用することがあり、または2つ以上の状態を処置するために使用されることがある。各カテゴリーにおいて与えられる特定の薬剤が、例に過ぎないこと、および本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解される必要がある。
本明細書中で用いられる場合、用語「〜を含む」は、組成物および方法が、列挙された要素を含むが、他の要素を除外しないことを意図する。「〜から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために用いられる場合、意図される使用のための併用に対するどのような本質的な意味の他の構成要件も除外することを意味するものとする。従って、本明細書中で定義されるような構成要件から本質的になる組成物は、単離および精製方法ならびにリン酸塩緩衝食塩水、防腐剤等のような薬学的に許容される担体からの微量の汚染物質を除外しない。「〜からなる」は、他の原料の微量を超える構成要件および本発明の組成物を投与するための実質的な方法を排除することを意味するものとする。これらの移行語の各々により定義される実施形態は、本発明の範囲内にある。
本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を、化合物Aと他の治療薬とを有する併用療法を用いて処置する方法を提供する。患者における疾患または状態を「処置する」または「処置すること」あるいはその「処置」は、1)哺乳動物、特に、疾患にかかりやすくなっているまたは疾患もしくは状態の徴候をまだ示していない哺乳動物において、疾患または状態が発生しないよう予防すること、2)疾患もしく状態を抑えることまたはその進展を阻止すること、あるいは3)疾患もしくは状態を改善またはその退縮を引き起こすことを意味する。
用語「哺乳動物」としては、第Xa因子を発現する生物が含まれる。哺乳動物の例としては、マウス、ラット、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウマ、クマ、サル、イヌ、ネコおよび、好ましくは、ヒトが含まれる。第Xa因子を発現する遺伝子導入生物もこの定義に含まれる。
用語「望ましくない血栓症を特徴とする状態」は、以下のものいずれかを意味するが、それらに限定されない:(a)心筋硬塞、不安定アンギナ、難治性アンギナ、血栓溶解療法後または冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓を含む血栓媒介性急性冠候群、(b)塞栓症脳卒中、血栓性脳卒中または一過性虚血性発作を含む血栓媒介性脳血管症候群、(c)自然に発生するか、または悪性疾患、手術もしくは外傷の状況下で発生する深部静脈血栓症または肺塞栓を含む、静脈系に発生する血栓性症候群、(d)播種性血管内凝固症候群(敗血性ショックまたは他の感染、手術、妊娠、外傷もしくは悪性疾患の状況を含み、多臓器不全に関連するか否かを問わない)、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、またはヘパリン誘発性血小板減少に関連した血栓性疾患を含む凝固障害、(e)体外循環(例えば、腎臓透析、心肺バイパスまたは他の酸素添加手順、血漿フェレーシス)に関連した血栓性合併症、(f)器械使用(心臓または他の血管内カテーテル処置、大動脈内バルーンポンプ、冠動脈ステントまたは心臓弁)に関連した血栓性合併症、および(g)補てつデバイスの装着に関連した血栓性合併症。
「治療有効量」は、併用して投与された場合に、目標となる疾患または状態を処置するのに有効な本発明の化合物Aまたは同時投与される治療薬の量を意味する。いくつかの実施形態において、治療有効量は、望ましくない血栓症を低減、処置または防止する上で併用治療が有効的であるのに十分な併用中の各薬剤の量である。いくつかの実施形態において、併用治療における1つまたはすべての薬剤の治療有効量が、それらの薬剤が単独で用いられた場合に同じレベルの効果をもたらすのに必要とされる量よりも低いことが企図される。治療有効量は、特定の併用、処置されている被験体および疾患状態、被験体の体重および年齢、疾患状態の重篤度、採用する投与計画、投与のタイミング、投与の様式等に応じて変わり、これらはすべて、当業者により容易に決定され得る。
「治療量以下の投与量(sub−therapeutic dosage)」は、ある治療薬が単独薬剤として用いられた場合のその治療薬の最適投与量よりは低いが、本明細書中において記載される組み合わせで用いられた場合に、治療結果をもたらす投与量を意味する。
「抗血小板薬」または「血小板阻害薬」は、血小板の凝集を妨げることにより血塊の形成を阻止する薬剤である。抗血小板薬の種類は、その活性に基づいていくつかあり、以下のものが含まれる。アブシキマブ(ReoPro(登録商標))、エプチフィバチド(eptifibatide)(Integrilin(登録商標))、およびチロフィバン(tirofiban)(Aggrastat(登録商標))のようなGP IIb/IIIaアンタゴニスト;クロピドグレル(clopidogrel)(Plavix(登録商標))、チクロピジン(Ticlid(登録商標))、カングレロール(cangrelor)、チカグレロール(ticagrelor)(AZD 6140としても知られる)、およびプラスグレル(prasugrel)(CS−747およびLY640315としても知られる)のようなP2Y12受容体アンタゴニスト;シロスタゾール(Pletal(登録商標))、ジピリダモール(Persantine(登録商標))およびアグレノックス(Aggrenox)(登録商標)(アスピリン/持続放出ジピリダモール)のようなホスホジエステラーゼIII(PDE III)阻害薬;フレグレラート(furegrelate)、オザグレル、リドグレル(ridogrel)およびイスボグレル(isbogrel)のようなトロンボキサンシンターゼ阻害薬;イフェトロバン(ifetroban)、ラマトロバン、テルボグレル(terbogrel)、Servier S18886(3−{6−[(4−クロロフェニルスルホニル)アミノ]−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフト−1−イル}プロピオン酸の化学を有する。de Recherches Internationales Servier,Courbevoie,Franceによる)のようなトロンボキサンA2受容体アンタゴニスト;SCH530348(エチル(1R,3aR,4aR,6R,8aR,9S,9aS)−9−((E)−2−(5−(3−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル)ビニル)−1−メチル−3−オキソドデカヒドロナフト[2,3−C]フラン−6−イルカルバメートの化学名を有する(Schering Plough Corp.,New Jersey,USAによる米国特許公開出願第20040192753A1号および同第2004/0176418A1号に記載)のようなトロンビン受容体アンタゴニスト;Way−197697(2−(4−クロロベンジル)−3−ヒドロキシ−7,8,9,10−テトラヒドロベンゾ[H]キノリン−4−カルボン酸の化学名を有するPSI−697としても知られている)またはWay−290421(2−(4−クロロフェニル)シクロプロピル)−3−ヒドロキシ−8−(トリフルオロメチル)キノリン−4−カルボン酸の化学名を有する、Wyeth,New Jersey,USAによる)のようなpセレクチン阻害薬;ならびにアセチルサリチル酸(Aspirin(登録商標))、イブプロフェン(Advil(登録商標)、Motrin(登録商標))、ナプロキセン(Aleve(登録商標)、Naprosyn(登録商標))、スリンダク(Clinoril(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標))、メフェナメート、ドロキシカム、ジクロフェナク(Cataflam(登録商標)、Voltaren(登録商標))、スルフィンピラゾン(Anturane(登録商標))、およびピロキシカム(Feldene(登録商標))のような非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)。NSAIDSの中では、アセチルサチル酸(ASA)およびピロキシカムが好ましい。以下で説明されるベータ遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬も、血小板阻害効果を有する。
「抗凝固性薬剤」または「抗凝固薬」は、血塊形成を防止する薬剤である。抗凝固薬の例としては、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子または第VIIa因子、ヘパリンおよび誘導体、ビタミンKアンタゴニスト、および抗組織因子抗体が含まれるが、それらに限定されない。トロンビンの特異的阻害薬の例としては、ヒルジン、ビバリルジン(bivalirudin)(Angiomax(登録商標))、ダビガトラン(dabigatran)(Pradaxa(登録商標))、アルガトロバン、およびレピルジン(lepirudin)(Refludan(登録商標))が含まれる。ヘパリンおよび誘導体の例としては、未分画ヘパリン(UFH)、エノキサパリン(enoxaparin)(Lovenox(登録商標))、ダルテパリン(Fragmin(登録商標))、およびダナパロイド(Orgaran(登録商標))のような低分子量ヘパリン(LMWH);ならびにフォンダパリヌクス(fondaparinux)(Arixtra(登録商標))のような合成五糖が含まれる。ビタミンKアンタゴニストの例としては、ワルファリン(Coumadin(登録商標))、フェノクマロール(phenocoumarol)、アセノクマロール(Sintrom(登録商標))、クロリンジオン、ジクマロール、ジフェナジオン、エチルビスクムアセテート、フェンプロクモン、フェニンジオン、およびチオクロマロールが含まれる。
「注射用抗凝固薬」は、注射によって哺乳動物に投与される抗凝固性薬剤である。注射用抗凝固薬の例は、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、および合成五糖である。
「抗炎症薬」は、炎症性の状態または疾患の処置のために用いられる薬剤である。抗炎症約の例としては、非ステロイド性抗炎症薬、アセチルサリチル酸(Aspirin(登録商標))、ピロキシカム(Feldene(登録商標))、インドメタシン(Indocin(登録商標))、メサラミン(mesalamine)(Pentasa(登録商標)、Rowasa(登録商標)、Asacol(登録商標))、スルファサラジン(Azulfidine(登録商標))、メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標))、レフルノミド(Arava(登録商標));アダリムバブ(adalimubab)(Humira(登録商標))、エタネルセプト(Enbrel(登録商標)、およびインフリキシマブ(Remicade(登録商標))のような腫瘍壊死因子アンタゴニスト;アナキンラ(anakinra)(Kineret(登録商標))のようなインターロイキン1受容体アンタゴニスト;シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬が含まれる。
「血圧低下薬」または「抗高血圧薬」は、正常より血圧が慢性的に高い状態である高血圧症を処置するために用いられる薬剤である。持続的な高血圧症は、卒中、心臓発作、心不全および動脈瘤の危険因子の1つであり、慢性腎不全の主要な原因である。血圧低下薬の例としては、ベラパミル(Calan(登録商標)、Isoptin(登録商標))、ジルチアゼム(Cardizem(登録商標))、アムロジピン(Norvasc(登録商標))、およびニフェジピン(Adalat(登録商標)、Procardia(登録商標))のようなカルシウムチャネル遮断薬;ヒドロクロロチアジド、メトラゾン(Zaroxolyn(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、ブメタニド(Bumex(登録商標))、スピロノラクトン(Aldactone(登録商標))およびエプレレノン(Inspra(登録商標))のような利尿剤;メトプロロール(Lopressor(登録商標))、ナドロール(Corgard(登録商標))、ピンドロール(Visken(登録商標))プロプラノロール(Inderal(登録商標))、チモロール(Blocadren(登録商標))、およびベタキソロール(Betoptic(登録商標))のようなベータ−アドレナリン作動性アンタゴニスト(ベータ遮断薬);カプトプリル(Capoten(登録商標))、ベナゼプリル(Lotensin(登録商標))、エナラプリル(Vasotec(登録商標))、リシノプリル(Prinivil(登録商標)、Zestril(登録商標))、ホシプリル(Monopril(登録商標))、ラミプリル(Altace(登録商標))、ペリンドプリル(Aceon(登録商標))、キナプリル(Accupril(登録商標))、モエキシプリル(Univasc(登録商標))、およびトランドラプリル(Mavik(登録商標))のようなアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬;カンデサルタンシレキセチル(Atacand(登録商標))、イルベサルタン(Avapro(登録商標))、ロサルタン(Cozaar(登録商標))、テルミサルタン(Micardis(登録商標))、およびバルサルタン(Diovan(登録商標))のようなアンギオテンシン2受容体アンタゴニスト;ドキサゾシン(Cardura(登録商標))、プラゾシン(Minipress(登録商標))、および塩酸テラゾシン(Hytrin(登録商標))のようなアルファ−1−アドレナリン作動性アンタゴニスト;ラベタロール(Normodyne(登録商標)、Trandate(登録商標))およびカルベジロール(Coreg(登録商標))のような組み合わされたアルファ/ベータ−アドレナリン作動性アンタゴニスト;グアネチジン(Ismelin(登録商標))およびレセルピン(Serpasil(登録商標))のようなアドレナリン作動性ニューロン遮断薬;クロニジン(Catapres(登録商標))、メチルドパ(Aldomet(登録商標))、およびグアナベンズ(Wytensin(登録商標))のような中枢神経−作用性降圧薬;ならびにニトロプルシド(Nipride(登録商標))、ジアゾキシド(Hyperstat IV(登録商標))、ヒドララジン(Apresoline(登録商標))、ミノキシジル(Loniten(登録商標))、およびベラパミル(Calan(登録商標)、Verelan(登録商標))のような直接的血管拡張薬が含まれる。
「血栓溶解薬」または「繊維素溶解薬」は、既存の血塊を分解することができる薬剤である。血栓溶解薬の例としては、天然および組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター、アニストレプラーゼ、二本鎖および一本鎖ウロキナーゼ(ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA))、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ(TNK)、ラノテプラーゼ(nPA)、第VIIa因子阻害薬、PAI−1阻害薬(組織プラスミノーゲンアクチベーター阻害剤の失活剤)、およびアルファ2抗プラスミン阻害薬が含まれる。
「抗不整脈薬」は、心拍数および心律動の障害を処置するために用いられる薬剤である。抗不整脈薬の例としては、キニジン(Apo−Quinidine(登録商標))、プロカインアミド(Pronestyl(登録商標))、プロパフェノン(Rythmol(登録商標))、リドカイン(Xylocaine(登録商標))およびジソピラミド(Norpace(登録商標))のようなナトリウムチャネルを阻害するクラスI薬剤;カルベジロール(Coreg(登録商標))およびプロプラノロール(Inderal(登録商標))のようなベータ遮断薬であるクラスII薬剤;ソタロール(Betapace(登録商標))、ドフェチリド(Tikosyn(登録商標))、アミオダロン(Cordarone(登録商標))、アジミリドおよびイブチリド(Corvert(登録商標))のようなカリウムチャネルを遮断するクラスIII薬剤;ベラパミル(Calan(登録商標)、Verelan(登録商標))およびジルチアゼム(Cardizem(登録商標))のような、カルシウムチャネル遮断薬であるクラスIV薬剤;ならびにジゴキシン(Lanoxin(登録商標))のような強心配糖体;ならびにアンギオテンシン2受容体アンタゴニストが含まれる。
「コレステロールおよびトリグリセリド低下薬」は、血中に存在するコレステロールまたは脂質の量を低下させるために用いられる薬剤である。異常に高レベルのコレステロールは、アテローム性動脈硬化症と関連し、これは、冠動脈心疾患および他の形態の心血管疾患の主要な原因である。コレステロール低下薬の例としては、コレスチラミン(Questran(登録商標)、Prevalite(登録商標)、Lo−Cholest(登録商標))、コレスチポール(Colestid(登録商標))、コレセベラム(WelChol(登録商標))のようなレジン(bill酸結合剤または胆汁酸捕捉剤);シプロフィブラート(Modalim(登録商標))、ゲムフィブロジル(Lopid(登録商標))、フェノフィブラート(TriCor(登録商標))およびベンザフィブラート(Bezalip(登録商標))のようなフィブラート;アトルバスタチン(Lipitor(登録商標))、フルバスタチン(Lescol(登録商標))、ロバスタチン(Mevacor(登録商標)、Altocor(登録商標))、イタバスタチン(NK−104またはニスバスタチン(nisvastatin)もしくはニスタスタチン(nisbastatin)としても知られている)、メバスタチン(Capactin(登録商標))、ピタバスタチン(Livalo(登録商標)、Pitava(登録商標))、プラバスタチン(Pravachol(登録商標)、Lipostat(登録商標))、ロスバスタチン(Crestor(登録商標))、およびシムバスタチン(Zocor(登録商標))のようなスタチン;エゼチミベ(Zetia(登録商標))のようなコレステロール吸収阻害薬;スクアレンシンセターゼ阻害薬;トルセトラピブのようなコレステロールエステル転送タンパク質阻害薬;ナイアシンおよびオメガ−3脂肪酸が含まれる。
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書中で記載される特定の治療薬上に見出される特定の置換基に応じて、比較的非毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意図する。本発明において記載される治療薬が比較的酸性の官能性を含む場合、塩基付加塩は、そのような化合物の中性形態を十分な量の所望の塩基と、そのままで、あるいは適切な不活性溶媒中でのいずれかで接触させることにより得ることができる。薬学的に許容される無機塩基から導かれる塩の例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。薬学的に許容される有機塩基から導かれる塩としては、第1、第2および第3アミンの塩が挙げられ、これらには、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等の置換アミン、環式アミン、天然のアミンなどが含まれる。
本発明において記載される治療薬が比較的塩基性の官能性を含む場合、酸付加塩は、そのような化合物の中性形態を十分な量の所望の酸と、そのままで、あるいは適切な不活性溶媒中でのいずれかで接触させることにより得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、沃化水素酸、または亜リン酸等の無機酸から導かれる塩、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的毒性のない有機酸から導かれる塩が含まれる。アルギニン等のアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸等の有機酸の塩含まれる(例えば、Berge,S.M.,et al,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66:1−19参照)。ある一定の特定の治療薬は、化合物が塩基付加塩か酸付加塩に変換されることを可能にする塩基性および酸性官能性双方を含む。
化合物Aについてのある一定の好ましい塩の形は、2005年11月8日提出の米国仮出願第60/735,224号の利益を主張する米国特許出願公開第2007/0112039号において開示されており、これら両方の特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。特に、これら2つの特許出願は、化合物Aが酸と塩を形成することを開示している。酸は、好ましくは、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、アジピン酸、アスコルビン酸、樟脳酸、グルコン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、グリコール酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ゲンチシン酸およびベンゼンスルホン酸からなる群より選択される。1つの実施形態において、酸は、塩酸、乳酸、マレイン酸、フェノキシ酢酸、プロピオン酸、およびコハク酸からなる群より選択される。別の実施形態において、酸は、マレイン酸である。化合物Aの塩の形に言及する場合、塩のイオン形が用いられる。例えば、もし化合物Aがマレイン酸と塩を形成すれば、その塩は、マレイン酸塩と呼ばれる。化合物Aのマレイン酸塩の1つの実施形態が、式Iとして存在する
Figure 2010523679
さらに式Iの塩は、米国特許出願公開第2007/0112039号に開示されるように、結晶多形で存在し得る。式Iの1つの結晶多形形態は、以下の近似固有ピーク位置:4.9、9.7、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、20.8、21.6、22.7、24.1、26.3、26.8度2θのうち少なくとも4つ、好ましくは8つを有する粉体X線回折パターンを示す。より好ましい結晶多形形態において、粉体X線回折パターンは、4.9、9.7、11.8、13.8、14.1、15.2、17.6、18.5、19.9、20.8、21.6、22.7、24.1、25.0、26.3、26.8度2θの近似固有ピーク位置を有する。
治療薬の中性形態は、塩を、塩基または酸と接触させ、従来のやり方で親治療薬を単離することにより再生できる。治療薬の親形態は、様々な塩形態と、極性溶媒中での溶解度のようなある一定の物理特性において異なるが、他の点では、それらの塩は、本発明の目的のための親形態と等価である。
塩形態に加え、ある一定の治療薬は、プロドラッグ形態にある。治療薬のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて、治療活性を有する化合物を提供する化合物である。加えて、プロドラッグは、ex vivo環境において化学的または生化学的方法により活性化合物に変換できる。例えば、プロドラッグは、経皮パッチリザーバ中に適切な酵素または化学試薬と共に置かれると、本発明において記載される活性化合物へゆっくり変換することができる。
本発明において記載されるある一定の治療薬は、非溶媒和形態ならびに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本発明の範囲内に包含されることが意図される。ある一定の治療薬は、多結晶または非結晶形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態は、本発明によって企図される使用について等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
「薬学的に許容される担体」は、本発明の組成物において用い得る任意の希釈剤、賦形剤、または担体を意味する。薬学的に許容される担体としては、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミンのような塩または電解質、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。適切な薬学的担体は、当該分野における標準的教科書であり、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Companyに記載されている。それらの担体は、好ましくは、意図される投与形態、すなわち、経口の錠剤、カプセル剤、エキリシル剤、シロップ剤等について選ばれ、従来の薬学的慣行と両立する。
II. 実施形態の詳細な記載
本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための新規な方法を提供し、この方法は、前記哺乳動物に、治療的有効量の化合物A(以下の式:
Figure 2010523679
および化学名[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドを有する]または薬学的に許容されるその塩と、治療有効量の他の治療薬を投与するステップを含む。他の治療有効薬は、抗血小板薬、抗凝固薬、炎症性薬、血圧低下薬およびそれらの組み合わせから選ばれる。1つの実施形態において、化合物Aおよび他の治療薬は、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、コレステロールまたはトリグリセリド薬およびそれらの組み合わせから選ばれる別の薬剤と併用することができる。
従って、第1の実施形態の群において、本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための方法を提供し、この方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗血小板薬と、
を投与するステップを含む。
第1の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニストである。
第1の群の他の実施形態において、抗血小板薬は、P2Y12受容体アンタゴニストである。
第1の群のさらに他の実施形態において、抗血小板薬は、ホスホジエステラーゼIII阻害薬である。
第1の群の他の実施形態において、抗血小板薬は、トロンボキサンシンターゼ阻害薬である。
第1の群の他の実施形態において、抗血小板薬は、トロンボキサンA2受容体アンタゴニストである。
第1の群の他の実施形態において、抗血小板薬は、トロンビン受容体アンタゴニストである。
第1の群の他の実施形態において、抗血小板薬は、pセレクチンの阻害薬である。
第1の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、以下のものからなる群より選択される:アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、アセチルサチル酸、カングレロール、チカグレロール、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、ジピリダモール、アグレノックス、SCH530348、PSI−697、イフェトロバン、シロスタゾール、イスボグレル、フレグレラート、ラマトロバン、リドグレル、テルボグレル、Servier S18886およびオザグレル。
第1の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、エプチフィバチドである。
第1の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、クロピドグレルである。
第2の実施形態の群において、本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための方法を提供し、この方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗凝固薬と、
を投与するステップを含む。
第2の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第XIa因子、第XIIa因子または第VIIa因子、合成五糖、低分子量ヘパリン、抗組織因子抗体およびそれらの組み合わせから群より選ばれる。
第2の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、注射用抗凝固薬である。
第2の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、ビバリルジン、ダビガトラン、アルガトロバン、レピルジン、ワルファリン、およびフェノクマロールからなる群より選択される。
第2の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、フォンダパリヌクス、ダナパロイド、エノキサパリン、ダルテパリンおよび未分画ヘパリンからなる群より選択される。
第2の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、エノキサパリンである。
第3の実施形態の群において、本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための方法を提供し、この方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗炎症薬と、
を投与するステップを含む。
第3の群のいくつかの実施形態において、抗炎症薬は、非ステロイド性抗炎症薬、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬からなる群より選択される。
第3の群の実施形態によっては、抗炎症薬は、アセチルサチル酸、ピロキシカム、インドメタシン、メサラミン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムバブ、およびアナキンラからなる群より選択される。
第3の群の実施形態によっては、抗炎症薬は、アセチルサチル酸である。
第4の実施形態の群において、本発明は、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するための方法を提供し、この方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の:
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 血圧低下薬と、
を投与するステップを含む。
第4の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、利尿剤、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン2受容体アンタゴニスト、およびカルシウムチャンネル遮断薬からなる群より選択される。
第4の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、ベラパミルである。
第4の群のいくつかの他の実施形態において、血圧低下薬は、ジルチアゼムである。
第4の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、アミオダロンである。
第4の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、メトプロロールである。
第4の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、カルベジロールである。
上記の第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、治療薬のうちの少なくとも1つは、治療量以下の投与量で投与される。
上記の第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、治療薬は両方とも、治療量以下の投与量で投与される。
上記の第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、2つの治療薬は、同時に投与される。
上記の第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、2つの治療薬は、逐次投与される。
上記の第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの薬学的に許容される塩は、マレイン酸塩である。
第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、この方法は、前記哺乳動物に、治療有効量の:
(3) 他の抗血小板薬、抗凝固薬、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、血圧低下薬、コレステロール、およびトリグリセリド低下薬から選ばれる治療薬を投与するステップを含む。
上記の第1〜第4の実施形態の群のいくつかの実施形態において、状態は、以下のものからなる群より選択される:急性冠症候群、心筋硬塞、不安定アンギナ、難治性アンギナ、血栓溶解療法後または冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管候群、塞栓症脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血性発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発性血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓性合併症、および補てつデバイスの装着に関連した血栓性合併症。
本発明はまた、以下の式の化合物:
Figure 2010523679
(化学名[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドを有する)と、抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬、およびそれらの組み合わせを含む別の治療薬と、を含む医薬組成物に関する。
第5の実施形態の群において、本発明は、
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗血小板薬と、
薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニストである。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、P2Y12受容体アンタゴニストである。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、ホスホジエステラーゼIII阻害薬である。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、トロンボキサンシンターゼ阻害薬である。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、トロンボキサンA2受容体アンタゴニストである。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、トロンビン受容体アンタゴニストである。
第5の群のさらにいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、pセレクチンの阻害薬である。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、以下のものからなる群より選択される:アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、アセチルサチル酸、カングレロール、チカグレロール、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、ジピリダモール、アグレノックス、SCH530348、イフェトロバン、シロスタゾール、イスボグレル、フレグレラート、ラマトロバン、リドグレル、テルボグレル、Servier
S18886およびオザグレル。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、エプチフィバチドである。
第5の群のいくつかの実施形態において、抗血小板薬は、クロピドグレルである。
第6の実施形態の群において、本発明は、
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗凝固薬と、
薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
第6の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第Xa因子、第XIIa因子、第XIa因子または第VIIa因子、合成五糖、低分子量ヘパリン、抗組織因子抗体およびそれらの組み合わせから群より選ばれる。
第6の群のいくつかの実施形態において、凝固薬は注射用抗凝固薬である。
第6の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、ビバリルジン、ダビガトラン、アルガトロバン、レピルジン、ワルファリン、およびフェノクマロールからなる群より選択される。
第6の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、フォンダパリヌクス、ダナパロイド、エノキサパリン、ダルテパリンおよび未分画ヘパリンからなる群より選択される。
第6の群のいくつかの実施形態において、抗凝固薬は、エノキサパリンである。
第7の実施形態の群において、本発明は、
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 抗炎症薬と、
薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
第7の群のいくつかの実施形態において、抗炎症薬は、非ステロイド性抗炎症薬、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬からなる群より選択される。
第7の群のいくつかの実施形態において、抗炎症薬は、アセチルサチル酸、ピロキシカム、インドメタシン、メサラミン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムバブ、およびアナキンラからなる群より選択される。
第7の群のいくつかの実施形態において、抗炎症薬は、アセチルサチル酸である。
第8の実施形態の群において、本発明は、
(1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
(2) 血圧低下薬と、
薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物を提供する。
第8の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、利尿剤、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン2受容体アンタゴニストおよびカルシウムチャンネル遮断薬からなる群より選択される。
第8の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、ベラパミルである。
第8の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、ジルチアゼムである。
第8の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、アミオダロンである。
第8の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、メトプロロールである。
第8の群のいくつかの実施形態において、血圧低下薬は、カルベジロールである。
第5〜第8の実施形態の群のいくつかの実施形態において、治療薬のうちの少なくとも1つは、治療量以下の投与量で存在する。
第5〜第8の実施形態の群のいくつかの実施形態において、治療薬は両方とも、治療量以下の投与量で存在する。
第5〜第8の実施形態の群のいくつかの実施形態において、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの薬学的に許容されるその塩は、マレイン酸塩である。
第5〜第8の実施形態の群のいくつかの実施形態において、組成物は、
(3) 他の抗血小板薬、他の抗凝固薬、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、血圧低下薬、コレステロールまたはおよびトリグリセリド低下薬から選ばれる治療薬をさらに含む。
第9の実施形態の群において、本発明は、キットを提供し、このキットは、
(1) 第1の容器であって、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩を含む第1の容器と、
(2) 第2の容器であって、抗血小板薬、抗凝固薬、および抗炎症薬からなる群より選択される別の治療薬を含む第2の容器と、
を含む。
第9の実施形態の群のいくつかの実施形態において、本発明は、
(3) 2つの治療薬が一緒に用いられ得ることを説明するパッケージ挿入物をさらに含むキットを提供する。
第9の群のいくつかの実施形態において、[2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの薬学的に許容される塩は、マレイン酸塩である。
第9の群のいくつかの実施形態において、治療薬のうちの少なくとも1つは、治療量以下の投与量で存在する。
治療量以下の投与量で、第9の群のいくつかの実施形態、治療薬の両方が存在する。
III. 併用療法
本発明は、化合物Aと別の治療薬との併用を用いて、望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置する方法を提供する。
化合物Aと抗血小板薬であるエプチフィバチドとの、個別では血栓症の有意な阻害をもたらさない濃度での併用は、フローベースアッセイにおいて実質的に増強された抗血栓活性を有することが示されている(実施例4)。ラットにおける動物実験は、治療量以下の用量での化合物Aとクロピドグレルまたはアスピリンのような抗血小板薬との併用が用いられる場合、加法的な抗血栓活性以上のものを示した(実施例5ならびに実施例11および12参照)。
実施例5は、ラット動脈血栓症の阻害における、化合物Aと血小板P2Y12受容体のアンタゴニストであるクロピドグレルとの間の相乗作用を示す。例13は、野生型マウスにおいて同様なレベルの遅延をもたらすために必要とされる化合物Aの血漿濃度と比較して、因子化合物Aの有意により低い血漿濃度が血小板上に欠陥P2Y12発現を有するマウスにおける血栓症形成および閉塞時間の有意な遅延をもたらすことができたことを示すことにより、第Xa因子およびP2Y12二重阻害の抗血栓効果を実証する。
化合物Aと注射用抗凝固薬との併用が、抗凝固の任意のレベルについて、より優れた安全性プロフィールを提供し、改善された臨床結果につながることも企図される。既存のデータは、抗血小板薬と抗凝固薬との併用(例えば、GP IIb/IIIaアンタゴニストと未分画ヘパリンとの、またはGP IIb/IIIaアンタゴニストと特異的トロンビン阻害薬ビバリルジンとの併用)が、処置さた患者における許容しがたいレベルの出血につながることを示している。(Stone,GW,et al,Bivalirudin in Patients with Acute Coronary Syndromes Undergoing Percutaneous Coronary Intervention:A Subgroup Analysis from the Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage Strategy(ACUITY)Trial,Lancet,2007,369(9565):907−19)。低分子量ヘパリンであるエノキサパリンの心筋梗塞を持つ患者における用量決定試験では、凝固薬の1mg/kgおよび1.25mg/kg用量が比較された。投薬における小さな変化(25%増大)でさえも、許容しがたい大出血につながり(Dose−ranging Trial of Enoxaparin for Unstable Angina:Results of TIMI 11A.The Thrombolysis in Myocardial Infarction(TIMI)11A Trial Investigators,J.Am.Coll.Cardiol.1997,29(7):1474−82)、1.25mg/kg用量は、もはやそれ以上調べられなかった。
対照的に、化合物Aは、第II相試験においてより広い用量範囲(80mgおよび30mg/日)を有することが示されている。膝関節置換を受ける215人の整形外科患者のランダム化された臨床試験において、30mgおよび80mg/日の用量の化合物Aは、症候性のまたは無症候性の深部静脈血栓症および肺塞栓のような静脈の血栓塞栓症的事象の防止に効果的であった。化合物Aの有効単位用量に関してもっと多くのことは、2007年11月15日提出の「Unit Dose Formulation and Methods of Treating Thrombosis with an Oral Factor Xa Inhibitors」と題された国際出願PCT/US2007/084887号、代理人事件整理番号070545−1510に見ることができる。抗血栓症効力のレベルは、低分子量ヘパリンエノキサパリンにより達成されたレベルと同等であった(実施例6)(Turpie,AG,et al,Abstract # P−T−652,XXIst Congress of the International Society of Thrombosis and Heamostasis,Geneva,July,2007)。加えて、試験からのデータは、現行の抗凝固薬により利用可能な安全マージンよりも広い安全マージンを示す。サルにおける出血時間を評価している最近のデータは、化合物Aの治療レベル(5〜25ng/mLの血漿濃度)が出血の拡大を引き起こさなかったことを示している(実施例7参照)。従って、化合物Aと既存の抗血小板薬との新規な併用が、血栓症がより広い安全マージンで阻害されることが企図される。さらに、非経口抗凝固薬を受けている患者が長期的投薬のための経口抗凝固薬に切り換えるために橋渡し療法が必要とされる状況において、化合物Aは、低分子量ヘパリンまたは五糖と併用して用いられる可能性のある橋渡し経口抗凝固薬と考えられる。
化合物Aと標準的抗炎症薬との併用は、循環サイトカインのレベル低減についてのより優れた効力プロフィールをもたらすことがさらに企図され、これは、炎症性刺激により媒介されることが知られているアテローム性動脈硬化症のような疾患の改善された治療反応性につながり得る。ワルファリンのような経口抗凝固薬は、循環する炎症マーカーの低減および脈管構造における全身作用の達成ができない。
第Xa因子がサイトカイン媒介性シグナル伝達の炎症活性に対する増強効果を有することが報告されている(PNAS)。(Hezi−Yamit,A.et al,Synergistic Induction of Tissue Factor by Coagulation Factor Xa and TNF:Evidence for
Involvement of Nagative Regulatory Signaling Cascade,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,2005 102(34):12077−82)。血液凝固経路の酵素は、内皮の機能障害につながる炎症反応を増強し、敗血症および心血管疾患において生じる血管合併症の原因の一部となる。内皮細胞活性化の反応としては、組織因子、血栓症を促進する膜糖タンパク質、およびE−セレクチン、炎症を促進する細胞接着分子の発現の誘導が含まれる。第Xa因子と、炎症促進性サイトカイン、腫瘍壊死因子、インターロイキン1またはCD40Lとの間の相乗的相互作用が、内皮細胞における組織因子およびE−セレクチンの発現を増強することが実証された(PNAS)。これらの相乗的相互作用は、内皮細胞の活性化のようなサイトカイン−誘発性炎症活性の増幅につながった。
しかしながら、化合物A、すなわち第Xa因子阻害薬は、単独で用いられる場合、ex vivoヒト全血系において血球から放出されるサイトカインの量の低減に対する統計的に有意な効果を示さなかった。驚くべきことに、化合物Aが、アスピリン投与されたドナーからの血液に添加された場合、化合物Aは、用量反応的にアスピリン単独でもたらされるものを超えるサイトカイン放出の付加的な阻害をもたらした(実施例9参照)。これは、化合物Aと抗炎症薬との併用が、付加的な抗炎症治療の恩恵を達成する可能性を有することを示している。なぜならば、サイトカインは、炎症の主要な媒介物の1つだからである。
心房細動のために処置されている患者において、ベータ遮断薬またはカルシウムチャンネル遮断薬のような血圧低下薬および化合物Aが付随して用いられ得ることがさらに企図される。ベラパミルのような薬剤は、p−糖タンパク質機能の知られている阻害薬である。化合物Aは、in vitro評価においてp−糖タンパク質の基質であることが同定されている。予想されるように、化合物Aとベラパミルとの併用を用いた遠隔測定されるイヌにおける本発明の実験結果は、二重処置されたイヌにおける化合物Aの血漿濃度が、単一処置における血漿濃度よりも約2倍高かったことを示す。しかしながら、化合物Aは、ベラパミルとの同時投与時に血圧の測定値を変化させず、化合物Aは、ベラパミルのような血圧低下薬と共に安全に用いられ得るという証拠を呈示した。実施例10を参照されたい。
従って、化合物Aと別の治療薬との併用を用いる処置の方法が、望ましくない薬物間相互作用または薬剤単独を上まわる他の付加的な副作用をもたらさないことが企図される。この併用が、薬剤単独を上回る効力または安全性の有利さを提供および/または共同作用をもたらすことがさらに企図される。個々の薬剤と比較して、増大された抗血栓性効力、改善された安全プロフィール、または併用の他の有用な効果の面であり得る。相乗効果は、化合物が併用して投与される場合の治療効果が、化合物が単一薬剤として単独で投与される場合の化合物の加法的な効果よりも大きい場合に、相乗作用が生じる。そのような場合には、併用療法における薬剤の治療有効量は、それらの薬剤が単独で用いられる場合に必要とされる有効なまたは最適な量よりも低くなり得る。より低い投与量が、薬剤の潜在的な副作用を最小限にし、従って、改善された安全プロフィールにつながることが企図されて。従って、併用は、好ましくは、治療薬のうちの1つが治療量以下の投与量で用いられることを可能にする。1つの実施形態において、併用は、両方の治療薬が治療量以下の投与量で用いられることを可能にする。
化合物Aおよび他の治療薬は、2つの別個の医薬組成物に処方化されてもよい。それらは、同時に、または任意の順序で逐次投与されてもよい。好ましくは、逐次投与される場合、2つの薬剤は、所望の治療効果が提供され得るように、時間的に十分接近して投与される。化合物Aおよび他の治療薬はまた、単一の医薬組成物に処方化されてもよい。化合物Aおよび2つの他の治療薬も、同時に、または任意の順序で逐次投与されてもよい。好ましくは、逐次投与される場合、3つの薬剤は、所望の治療効果が提供され得るように、時間的に十分接近して投与される。それらはまた、単一の医薬組成物に処方化されてもより、またはそれらのうちのいずれか2つが単一の医薬組成物に処方化されてもよい。
IV. 組成物および投与量
本発明は、化合物Aまたは薬学的に許容されるその塩と、別の治療薬と、薬学的に許容される担体とを含む新規な組成物をさらに提供する。
本発明の医薬組成物は、とりわけ、通常の造粒、混合、溶解、カプセル化、凍結乾燥、または乳化工程のような、当該技術分野において知られている方法によって製造することができる。組成物は、顆粒、沈殿物、または微粒子、凍結乾燥、ロータリー乾燥または噴霧乾燥粉末を含む粉末、アモルファス粉末、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、乳剤、エリキシル剤、懸濁剤または液剤を含む様々な剤形で調製されてもよい。製剤は、安定剤、pH調整剤、界面活性剤、バイオアベイラビリティ調整剤およびこれらの組み合わせを任意に含んでもよい。
医薬組成物は、油剤、水、アルコール、およびそれらの組み合わせのような滅菌液体を用いて液状懸濁剤または液剤として調製されてもよい。経口または非経口投与用に、医薬的に適切な界面活性剤、懸濁化剤または乳化剤を加えてもよい。懸濁剤は、ラッカセイ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油のような油剤を含んでもよい。懸濁製剤はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドのような脂肪酸のエステルを含んでもよい。懸濁製剤は、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールのようなアルコールを含んでもよい。ポリ(エチレングリコール)のようなエーテル、鉱物油およびワセリンのような石油炭化水素、および水も、懸濁製剤に用いられてもよい。
本発明の組成物は、哺乳動物、好ましくは人間への薬学的投与のために処方化される。本発明のそのような医薬組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸内、鼻内、口腔内、腟内または植え込みリザーバを介して投与され得る。本明細書において用いられる用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液包内、胸骨内、クモ膜下腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入法を含む。好ましくは、組成物は、経口または静脈内注射される。本発明の製剤は、短時間作用性、即時放出性、長時間作用性、持続的放出性として設計されてもよい。さらに、化合物は、徐放性製剤としての投与(例え
ば、注射)のような、全身ではなく局所的手段で投与されることもできる。
本発明の組成物の滅菌注射用剤形は、水性または油性懸濁剤であってもよい。これらの懸濁剤は、適当な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、当該技術分野において知られている技術により処方化することができる。滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口用に許容される希釈剤または溶媒中、例えば、1,3−ブタンジオール中の滅菌注射用液剤または懸濁剤であってもよい。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌の不揮発性が、溶媒または懸濁媒として従来用いられている。この目的のため、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。オレイン酸のような脂肪酸およびそのグリセリド誘導体は、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油剤、特にそれらのポリオキシエチレン化物と同様、注射剤の調製において有用である。これらの油溶液または懸濁液はまた、乳剤および懸濁剤を含む薬学的に許容される剤形の処方化において一般的に用いられるカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤のような長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含み得る。薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造において一般に用いられる、Tween、Spanおよび他の乳化剤またはバイオアベイラビリティ促進剤のような、他の一般に用いられる界面活性剤も、処方化の目的のために用いることができる。化合物を、ボーラス注射または連続注入のような注射による非経口投与用に処方化することもできる。注射用の単位用量剤形は、アンプルまたは多用量容器に入っていてもよい。
本発明の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含む、いかなる経口的に許容される剤形であってもよい。経口使用のための錠剤の場合、一般的に用いられる担体としては、乳糖およびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤も一般に添加される。カプセル剤形については、有用な希釈剤としては、乳糖および乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。経口使用のために水性懸濁剤が必要とされる場合、活性成分は、乳化および懸濁化剤と組み合わされる。望まれる場合には、特定の甘味料、着香料または着色料も添加され得る。
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用の坐剤の剤形であってもよい。これらは、薬剤を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸内で融解して薬物を放出することになる、適切な非刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料としては、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
本発明の医薬組成物はまた、特に治療標的が、眼、皮膚、または下部消化管を含む、局所適用により容易に接近可能な部位または器官である場合には、局所剤形であってもよい。適当な局所製剤は、これらの部位または器官の各々についてに容易に調製される。
下部消化管用の局所適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)または適切な浣腸製剤で行うことができる。局所経皮パッチも用いることができる。局所適用のために、医薬組成物は、1つ以上の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含む適当な軟膏剤に処方化されてもよい。本発明の化合物の局所適用のための担体としては、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が含まれるが、それらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、1つ以上の担体中に懸濁または溶解された活性成分を含む適当なローションまたはクリームに処方化されてもよい。適切な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル、ワックス、セチルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が含まれる。
眼科用の使用については、医薬組成物は、等張のpH調整済み滅菌食塩水中の微粉化懸濁剤として、または、好ましくは、等張のpH調整済み滅菌食塩水中の液剤として、塩化ベンザルコニウムのような保存剤と共に、またはなしで処方化されてもよい。あるいは、眼科用の使用については、医薬組成物は、ワセリンのような軟膏剤に処方化されてよい。
本発明の医薬組成物はまた、経内エアゾールまたは吸入によって投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野において知られている技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたはその他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/またはその他の従来の可溶化剤または分散化剤を使用して、食塩水中の液剤として調製されてもい。
有効量を含有する上記の任意の剤形は、日常の実験範囲および本発明の範囲に含まれる。治療有効用量は、投与経路および剤形によって変動し得る。本発明の好ましい併用は、高い治療指数を示す製剤である。治療指数は、毒性効果と治療効果間の用量比であり、LD50とED50との間の比として表すことができる。LD50は、母集団の50%に対して致死的となる用量であり、ED50は、母集団の50%で治療的に有効な用量である。LD50およびED50は、動物細胞培養物または実験動物において標準的な薬学的手順により求められる。本発明の併用治療は、単一の一日量で投与されてもよく、または毎日2回、3回、または4回投与されてもよい。
一般に、約0.5〜500mgの化合物Aまたは化合物Aの塩もしくは塩の混合物が、認められた製薬慣行により要求される通りに、生理学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、着色剤、香味剤等と共に配合される。化合物Aと同時投与薬剤とが単一の医薬組成物に処方化される場合、約0.5mg〜500mgの同時投与薬剤が上記の組成物に添加される。これらの組成物中の活性成分(単数または複数)の量は、以下で示される範囲内の適切な投与量は得られるような量である。
併用治療における化合物Aの典型的な投与量は、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01mg/kg〜約2.0mg/kg、より好ましくは約0.1mg/kg〜約1.5mg/kg、いっそう好ましくは約0.4mg/kg〜約1.2mg/kgの範囲であることが企図される。なおいっそう好ましくは、併用における化合物Aの投与量は、0.5mg/kgより低い。
単独で用いられる場合の他の治療薬の投与量は、当業者により知られているか、または得られ得る。化合物Aと併用して用いられる場合のこれらの薬剤の投与量は、個々の薬剤の最大投与量を越えないことが企図される。好ましくは、併用治療における投与量は、最大投与量未満であり、より好ましくは、併用治療における投与量は、治療量以下の投与量である。化合物Aまたは他の治療薬の投与量が、併用治療の相乗作用を反映するように調整され得ることが企図され、この相乗作用は、本明細書中で提供される情報に基づいて当業者により決定され得る。
上記の剤形に加え、薬学的に許容される賦形剤および担体ならびに剤形は当業者には一般に公知であり、本発明に含められる。任意の特定の患者のための特定の投与量および処置計画は、併用して用いられる特定の化合物の活性、患者の年齢、体重、全般的健康、性別および食事、ならびに投与の時間、排出速度、他の薬物との併用、治療医師または獣医の判断および処置中の特定の疾患の重篤度を含む様々な因子に依存することが理解されるべきである。活性成分の量も、化合物Aと併用された治療薬に依存する。
V. パーツのキット
本発明は、新規なキットまたはパッケージをさらに提供する。本発明のキットは、(a)化合物A、または薬学的に許容されるその塩を含む第1の容器と、(b)別の治療薬を含む第2の容器とを含む。いくつかの実施形態において、キットは、(c)望ましくない血栓症を特徴とする状態の処置のために、2つの薬剤が一緒に使用され得ることを説明するパッケージ挿入物をさらに含む。他の実施形態によっては、キットはまた、第3の治療薬を含む第3の容器を含んでもよく、望ましくない血栓症を特徴とする状態を処置するために、3つの薬剤が併用して使用され得ることを説明するパッケージ挿入物をさらに含み得る。
第1、第2および/または第3の容器は、ボトル、ジャー、バイアル、フラスコ、シリンジ、チューブ、バッグ、または医薬製品の製造、保管、または配送において用いられるどのような他の容器でもあってもよい。パッケージ挿入物は、キットの医薬組成物に関する情報を説明するラベル、タグ、マーカー等であってもよい。説明される情報は通常、米国食料医薬品局のような、その医薬組成物が販売させることになる分野を管轄する規制当局により決定される。好ましくは、パッケージ挿入物は、医薬組成物が承認されている指示を具体的に説明する。パッケージ挿入物は、その中またはその上に含まれている情報を人が読める任意の材料で作ることができる。好ましくは、パッケージ挿入物は、所望の情報が印刷または塗布された、紙、接着剤裏打ち紙、板紙、箔、またはプラスチック等の印刷可能材料である。
VI. 実施例
特に指定のない限り、本明細書全体を通して用いられる略語は以下の意味を有する:
ACN=アセトニトリル
aq.=水性
Arg=アルギニン
ASA=アスピリン
bid=毎日2回
CI=信頼区間
cm=センチメートル
DCM=ジクロロメタン
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
EGTA=エチレングリコール四酢酸
eq.=当量
EtOH=エタノール
g=グラム
Gly=グリシン
HexLi=ヘキシルリチウム
HNMe=ジメチルアミン
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
hr=時間
kg=キログラム
L=リットル
LOD=検出限界
M=モル
Me=メチル
MeO=メトキシ
MeOH=メタノール
mg=ミリグラム
min=分(単数または複数)
mL=ミリリットル
mm=ミリメートル
mmHg*min=(ミリメートル水銀)×(分)
N=規定
nM=ナノモル
nm=ナノメートル
NMR=核磁気共鳴
g=ピコグラム
Pro=プロリン
rpm=毎分回転数
−1=毎秒
Std.=標準
THF=テトラヒドロフラン
THF=テトラヒドロフラン
U=単位
μg=マイクログラム
μM=マイクロモル
(実施例1)
化合物Aの調製
Figure 2010523679
ステップ1:
5−メトキシ−2−ニトロ安息香酸(1)(25.0kg、1.0当量)、2−アミノ−5−クロロピリジン(2)(16.3kg、1.0当量)、およびアセトニトリル(87.5kg、3.5部)を、380L GLMS反応器に投入した。反応混合物を、22℃(19〜25℃)に調節し、無水ピリジン(30.0kg、3.0当量)を添加した。ポンプおよびラインを、アセトニトリル(22.5kg、0.9部)で順方向すすぎし、反応器内容物を19〜22℃の温度に調節した。オキシ塩化リン(23.3kg、1.20当量)を、25℃(22〜28℃)の温度を維持しつつ、計量ポンプを介して反応器の内容物に投入した。温度を25℃(22〜28℃)に維持しつつ、計量ポンプおよびラインをアセトニトリル(12.5kg、0.5部)で順方向すすぎした。反応混合物は、約1/3のPOClの添加後に、スラリーから透明溶液に正常に変わった。添加終了時、反応混合物は混濁した。添加完了後、反応混合物を25℃(22〜28℃)で約1時間撹拌し、その時点でHPLC分析により反応完了が確認された。溶液を15℃(12〜18℃)まで冷却し、反応温度を12〜30℃に維持しつつ、飲用水(156.3kg、6.25部)をゆっくりと投入した。次に反応混合物を22℃(19〜25℃)に調節し、発熱が終わるまで約5時間撹拌した。スラリーの形成は視覚的に確認され、反応器の内容物を、濾布を取り付けた圧力ヌッチェ上で濾過した。反応器、ポンプ、およびラインを、2分した飲用水(62.5kg、各々2.5部)により圧力ヌッチェ上で順方向すすぎした。濾液のpH値は7であった。生成物(41.8kg)を、真空下において50℃の水浴(乾燥機ジャケットの加熱用)の最高温度で乾燥させた。約12時間後、インプロセスLOD分析は、0.72%の溶媒含有量を示した。乾燥生成物(3)を排出し(34.4kg)、収率は88.2%、HPLCによる純度は99.1%であった。
ステップ2:
780Lハステロイ製反応器に、化合物3(33kg、1.0当量)、5%白金炭素(スルフィド化、0.33kg、0.010部)およびジクロロメタン(578kg、17.5部)を投入した。撹拌を開始し、反応器内容物を22℃(19〜25℃)に調節した。反応器を約30psi水素で加圧し、反応混合物を、28℃(25〜31℃)まで穏やかに加熱した。反応器内容物の水素添加は、HPLCにより反応が完了するまで、約30psiの下で、28℃(25〜31℃;最高31℃)で実行した。16.5時間後、出発物質の消滅(0.472%)を確認した後に、反応は完了したと考えられた。反応器の内容物を、8”スパークラーフィルター中に準備し調整済みセライトパッド(20〜55kgジクロロメタンで調整した0.2〜0.5kgセライト)を通して循環させ、白金触媒を除去した。反応器およびセライト床を、2部のジクロロメタン(83kg、各々2.5部)で順方向すすぎした。濾液を移送し、570L GLMS反応器中で、大気圧下で約132Lに濃縮した(4部容積)。エタノール(69kg、2.1部)を投入し、濃縮を大気圧下で約99L(3部容積)まで続けた。インプロセスNMRは、ジクロロメタン含有量が39%であることを示した。エタノール(69kg、2.1部)を再び投入し、濃縮を再び約99L(3部容積)まで続けた。インプロセスNMRは、ジクロロメタン含有量が5%であることを示した。次に反応混合物を、3℃(0〜6℃)に調節し、約1時間撹拌し、結果として生じるスラリーを、濾布を取り付けたジャケット型圧力ヌッチェ上で濾過した。反応器、ポンプ、およびラインを、低温(3℃(0〜6℃))エタノール(26kg、0.8部)で順方向すすぎした。湿潤濾過ケーキ(36.6kg)を、真空下において50℃の水浴(乾燥機ジャケットの加熱用)の最高温度で、40〜50℃で乾燥させた。12.5時間後のLOD分析は、溶媒含有量が0.1%であることを示した。乾燥生成物(4)を89.5%収率で排出した(26.4kg)。HPLCは、98.4%純度を示し、脱塩素不純物は0.083%であった。
ステップ3:
780Lハステロイ製反応器に、4−シアノベンゾイルクロリド(5)(17.2kg、1.1当量)およびTHF(92kg、3.5部)を投入した。反応器内容物を、固体がすべて溶けるまで、22℃(19〜25℃)で撹拌した。結果として生じる溶液を、下方の受液器に移送し、反応器をTHF(26kg、1部)で順方向すすぎした。化合物4(26.4kg、1当量)、THF(396kg、15部)およびピリジン(2.90kg、0.4当量)を、清浄な反応器に投入した。ポンプおよびラインを、THF(34kg、1.3部)で順方向すすぎした。計量ポンプを介して、4−シアノベンゾイルクロリド/THF溶液を反応器に投入し、温度を≦30℃に保ち、THF(約10kg)で順方向すすぎした。結果として生じる黄色スラリーを、22℃(19〜25℃)で約2時間撹拌した。2時間後、インプロセスHPLCは、化合物4含有量が0%であることを示し、反応の完了を示した。スラリーを、濾布を取り付けた圧力ヌッチェ上で濾過した。反応器、ポンプ、ライン、および湿潤ケーキを、3つに分けたエタノール(各々約15kg)ですすいだ。湿潤フィルターケーキを排出し(65.4kg)、反応器に戻し、エタノール(317kg、12部)中で、22℃(19〜25℃)で約1時間スラリー洗浄した。スラリーを圧力ヌッチェ上で濾過し、反応器、ポンプ、ライン、およびフィルターケーキを、2つに分けたエタノール(各々約15kg)および2つに分けたTHF(各々約15kg)ですすいだ。湿潤フィルターケーキを、真空下で40℃の温グリコール浴(反応器ジャケットの加熱用)の最高温度で乾燥させた。14.5時間の乾燥後、LODは0.75%であった。乾燥させた物質を粉砕して(スクリーン0.125”)31.8kgの化合物6とし、これを真空下でさらに10.5時間乾燥させた。乾燥後のLODは1.8%であり、生成物を74.8%収率(予想は60〜90%)で排出した(31.5kg)。HPLCは100%純度を示した。
ステップ4:
THF(4.67kg、10.3部)中の化合物6(455g、1.0当量)のスラリーは調製し、<10℃に調節した。リチウムジメチルアミドを以下の通り調製した:ヘキシルリチウム(2.3N/ヘキサン、2.45L、5.5当量)をジメチルアミン溶液(2N/THF、2.8L、5.5当量)に、<10℃を維持しつつ添加した。リチウムジメチルアミド溶液を、<10℃のポット温度を維持しつつ、化合物6を含有するスラリー中に投入した。反応進捗状況をインプロセスHPLCにより監視し、化合物6の量が<1.0%であることを確認した。脱イオン水(6.6kg、14.51部)中NaHCO(490g、1.1部、5.7当量)およびNaCO(490g、1.1部、4.5当量)の緩衝溶液を調製し、上記の反応混合物を、<5℃を維持しつつ、この水溶液に移送した。生成物が析出し、結果として生じるスラリーを、12時間にわたり20℃に調節した。固形物を濾過し、結果として生じる湿潤ケーキを、3.5kg(7.7部)の脱イオン水で洗った。固形物を、粗いフリットガラスガラスベンチフィルターを用いて濾過し、冷(0〜5℃)無水エタノール(628g、1.4部)で順方向すすぎした。生成物である化合物Aを30〜35℃で乾燥した。乾燥生成物を458g(73%収率)得た。
(実施例2)
トロンビン生成阻害アッセイ
この方法においては、抗凝固薬としてペプチドgly−pro−arg−pro(Pefabloc FG,Centerchem)を含有するヒト血漿試料を組織因子(Innovin,Dade Behring)で処置してトロンビンの生成を開始した。10分後、EGTAの添加により反応を停止させた。トロンビンに特異的な色素生産性ペプチド基質(Spectrozyme TH,American Diagnostica)を、組織因子処置期間の間に生成されたトロンビンの活性を測定するために添加した。基質切断反応を2分間進行させた後、試料を氷酢酸で急冷した。血漿試料を、96−ウェルプレートフォーマットにおいて三重に分析した。化合物Aが添加された、または添加されていないプールされた貧血小板血漿を含有する対照試料を、各プレート上で四重に試験した。対照試料は、プレート合格基準を設定するために用いた。各試料ウェルの吸光度は、405nmで測定した。
トロンビン生成(%阻害)は、405nmでの吸光度(A405)から以下の計算式により計算した:
%阻害=(1−A405/ベースライン)×100。
計算式中のベースラインは、化合物Aがない時の血漿によりもたらされる405nmでの平均吸光度であった。対照および臨床試料双方についての変動係数(CV)は、20%であった。トロンビン生成阻害値が百分率で報告されたので、このアッセイにおいては定量化の下限はまったくない。
図1は、化合物Aの単一の漸増用量を投与された健康なボランティアからのヒト血漿試料によりもたらされるトロンビン生成の%阻害を示す。図2は、化合物Aの複数回漸増用量を投与された健康なボランティアからのヒト血漿試料によりもたらされるトロンビン生成の%阻害を示す。これらの図は、化合物A血漿濃度とトロンビン生成の阻害との間の良好な相関関係を示す。
(実施例3)
抗第Xa因子単位アッセイ
抗第Xa因子(抗−fXa)アッセイを、市販のキット(Diapharma COATEST LMW Heparin)から改造し、96ウェルフォーマット用に修正した。キットに含まれていた低分子量ヘパリンであるダルテパリンを、製造業者の指示に従い、プールされた貧血小板血漿を用いて標準曲線を作成するために用いた。すべての試料および標準は、二重に試験した。定量化の限界は0.05 U/mLであり、0.05 U/mL未満の結果は、定量化の限界未満として報告した。プレートアッセイについての測定上限は1.0 U/mLであり、抗第Xa因子単位が1.0 U/mLより高い試料は、希釈後に再試験した。標準および臨床試料双方について変動係数(CV)は、10%であった。
図3は、化合物Aの複数回漸増用量を投与された健康なボランティアからの血漿試料により生成される抗第Xa因子単位を示す。
(実施例4)
化合物Aと、エプチフィバチド(GP IIb/IIIaアンタゴニスト)との併用
化合物Aによる血液の抗凝固が、治療用量の抗血小板薬エプチフィバチド(GP IIb/IIIaアンタゴニスト)により達成される抗血栓活性を超える付加的な抗血栓活性を提供することが可能かどうかを判定するために、リアルタイム灌流チャンバでの実験を実行した。毛細管を、コラーゲンおよび組織因子の混合物でコートし、蛍光標識フィブリノゲン(Alexa546標識フィブリノゲン)を含有するヒト全血を、コートされた表面上で300s−1の剪断速度で灌流させた。灌流後、血栓活性を、血小板および血液凝固系の活性化の間のフィブリノゲン分裂の結果として産生された標識フィブリンの測定により定量化した。5人の健康なヒトボランティアのこの一連の実験のため、血液は静脈穿刺により得、2.4μMエプチフィバチドで処置した。エプチフィバチドの用量は、治療濃度のGP IIb/IIIa阻害薬により達成される血漿濃度に対応する。
表1は、コラーゲンおよび組織因子でコートした表面上でのヒト全血の灌流時の化合物Aおよびエプチフィバチドによる血栓症の用量反応性阻害(血小板GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト)を示す。蛍光標識フィブリノゲン/フィブリンの定量化が、5人の血液ドナーについて示してある。
表1に示されるように、抗血小板薬の治療濃度は、アッセイ条件下で血栓症を阻害するのに十分ではない。しかしながら、ex vivoでの第Xa因子阻害薬化合物Aの添加により、付加的な抗血栓活性が用量反応的にもたらされる。従って、抗血小板薬使用時の付随的投薬としての化合物Aの投与は、抗血栓効力の付加的な利点を提供する可能性がある。
Figure 2010523679
(実施例5)
化合物Aとクロピドグレル(P2Y12受容体アンタゴニスト)との併用
抗血小板薬と抗凝固薬との併用効果を、血栓症のin vivoモデルにおいて、P2Y12受容体の特異的アンタゴニストであるクロピドグレルを用いて調べた。クロピドグレルは、ヒトおよびラット血小板双方のADP誘発性血小板凝集を阻害できることが明らかにされている。このうまく特徴付けられた動物モデル(Lockyer and Kambayashi,Demonstration of Flow and Platelet Dependency in a Ferric Chloride Induced Model of Thorombosis,J.Cardiovasc.Pharmacol.1999,33(5):718−25)は、抗凝固薬および抗血小板薬双方を試験するために以前より用いられてきた。この実験では、ラット頚動脈における塩化第二鉄誘発性血栓症中の動脈流条件下で血管開存性を維持する化合物Aの能力をクロピドグレルにより達成される能力と比較する。化合物Aを静脈内注入により投与し、クロピドグレルを3日間経口で投薬した。10μM ADPにより誘発されたex vivo血小板凝集および凝固時間(プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT))を、すべての動物において実験時間経過(90分間)にわたって測定した。
表2は、単独で投与された場合、実験の間に頚動脈が閉塞しない動物の割合により測定される血栓症の用量反応性阻害を化合物Aがもたらすことを示す。特に、0.03μM化合物A濃度において、ラット血栓症の30%阻害(試験した動物10匹中3匹が閉塞しなかった)がもたらされた。
クロピドグレルの前投与を用いた対照実験において、多血小板血漿におけるADP誘発性血小板凝集の46%阻害をもたらすために1mg/kg用量の抗血小板薬が必要であった。このレベルの血小板阻害は、臨床使用における治療用量(1日あたり75mg)でのヒト血小板に対するクロピドグレルの効果により達成されるレベルとほぼ同等である。ラット血栓症の対応する阻害レベルは89%である(試験した動物9匹のうち8匹が閉塞しなかった)。治療量以下の用量(0.01mg/kg)のクロピドグレルでは、動物のわずか10%が、有効な抗血栓活性を実証した(動物10匹中1匹が閉塞しなかった)。閉塞までの時間は、血管閉塞を持つ動物において測定した。
表3に示されるように、両方とも最適以下の用量である0.03μMの化合物Aと0.01mg/kgのクロピドグレルとの併用は、ラット血栓症の70%阻害(動物10匹中7匹が閉塞しなかった)という結果になり、加法的な抗血栓効果よりも大きな低下を実証している。加えて、化合物Aとクロピドグレルとで処置した動物において、PTおよびADP誘発性血小板凝集のような凝固および血小板機能のマーカーは、最小限変えられた(それぞれ5%および7%)。これは、出血のような安全問題にしばしばつながる血流停止の全身的混乱がないことを示しており、マーカーにおける有意に大きな変化(それぞれ33%および46%)をもたらす治療用量の各単一薬剤よりも安全な抗血栓治療としてのこの併用の可能性で実証している。従って、この実験は、クロピドグレルと化合物Aとの併用が、単一薬剤の各々単独よりも優れた活性を有することを示している。
Figure 2010523679
Figure 2010523679
(実施例6)
膝関節全置換後の静脈性血栓閉塞性事象を防止するための化合物Aの効力および安全性
米国およびカナダにおける前向き試験において、膝関節全置換(TKR)を受ける215人の患者が、経口で1日2回の化合物A15mgか40mg、あるいは皮下で1日2回の30mgエノキサパリンを10〜14日間に、2:2:1の比率で無作為化された。この研究は、15対40mg用量に対しては盲検化されたが、化合物A対エノキサパリンに対しては盲検化されなかった。主要な効力終点は、10〜14日目までの静脈性血栓塞栓症(VTE)(規定の片側静脈造影図上での症候性のまたは無症候性の深部静脈血栓症あるいは症候性の肺塞栓症)の発生率であった。安全性終点としては、静脈造影の翌日までの大きなおよび臨床的に重要な大きくはない出血が含まれる。すべての効力および出血終点は、盲検化された独立した中央判定委員会により判定された。
215人の患者を無作為化した。トロンビン生成の阻害および抗第Xa因子レベルに対する化合物Aの用量−および濃度−依存効果を観察した。175人の患者(81.4%)が効力および安全性評価を持っていた。これらのデータは表4に示してあり、TKR後のVTEの防止において化合物Aが効果的であり、さらに安全かつ十分に許容されることを示している。
Figure 2010523679
(実施例7)
化合物Aと低分子量ヘパリンエノキサパリンとの併用
注射用ヘパリンは、処置効果のための狭い治療窓という結果になるそれらの出血の結果によって用量制限されることがよくある。エノキサパリンのような薬剤は、静脈性血栓閉塞性疾患の予防に用いられる用量(30mg皮下的投薬、0.4mg/kg)では出血を低減させてきたが、急性冠症候群患者を処置するために用いられる用量(1mg/kg)では、出血性の副作用をもたらす。表5に示されるように、治療量以上の用量(0.21mg/kg〜0.57mg/kgのヒト治療用量の7〜35倍大きい)で投与された場合、化合物Aは、アカゲザルにおける出血時間を拡大しなかった。
Figure 2010523679
(実施例8)
化合物Aと低分子量ヘパリンエノキサパリンとの併用
化合物Aとエノキサパリンとの併用抗凝固効果を調べるため、プールされたヒト血漿においてex vivo凝固アッセイを実行した。標準的用量の低分子量ヘパリン(0.5U/mLエノキサパリン、30mg用量により達成される血漿濃度に対応)の添加は、55秒の活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)をもたらした。エノキサパリン処置した血漿への10nMまたは15nMの化合物Aの添加は、aPTT値の9〜13%拡大により実証されるように、付加的な抗凝固効果をもたらした。
(実施例9)
化合物Aとアスピリンとの相乗作用
アスピリンのような標準的な抗炎症薬により誘発された炎症低減効果を第Xa因子の阻害が増大するかどうかを試験するため、ヒトサイトカイン放出のex vivoアッセイ系を用いた。
未処置(n=6)およびアスピリン処置した(n=3)ボランティアドナーからの全血を静脈穿刺により抜き取り、クエン酸塩(3.2%)抗凝固の下でバキュテナー管中に採取した。血液試料への化合物A(50から500までのnM)の添加に続き、対照および処置した試料を、コラーゲン(Chronolog、4μg/mL)の添加により活性化し、37℃で45分間穏やかに回転させた。活性化期間の終わりに、血液試料を、Eppendorf 5415G遠心分離機において5分間、13,000rpm(15,000g)で遠心分離した。血漿を除去し、プロテアーゼ阻害薬カクテル(Roche)で処置し、−80℃で凍結保存した。血球から放出されたサイトカインを、Multiplexed Biomarker Immunoassay for Luminex Instumentation(MilliporeUSA)で定量化した。2つのサイトカイン(インターロイキン6および8)についての代表的な結果が表6および7に示してある。健康なドナーについての血液試料が化合物Aで処置された場合、単一処置は、血液試料においてサイトカイン放出の統計的に有意な阻害をもたらさなかった。例えば、6人のドナーからの血漿試料において、インターロイキン4の平均量は、未処置の対照においては28.4pg/mLであり、化合物A処置した試料では26.8〜29.4pg/mLであった。驚くべきことに、化合物Aがアスピリン治療下のドナーからの血液試料に添加された場合、インターロイキン6および8のような放出サイトカインのレベルの低減(それぞれ25%および44%)が観察された。さらに、コラーゲン活性化に先立つ化合物Aの全血への添加は、インターロイキン6および8のそれぞれ16%および18%のさらなる低減という結果になった。従って、このex vivo系において、化合物Aは、広く使用されている抗炎症薬を上回る付加的で有益な効果を提供することができた。
Figure 2010523679
Figure 2010523679
(実施例10)
化合物Aとベラパミルとの併用
この研究は、選択的なL型カルシウムチャンネル遮断薬、ベラパミルとの同時投与に対する化合物Aのin vivo効果を評価するために設計された。化合物A、ベラパミルまたはこれら2つの併用による経口服用に続いて、意識があり(無麻酔)無拘束の収縮期および拡張期の血圧を測定するために、3頭のビーグル犬に、Data Science
Telemetry送信機(DSIモデル#TL11M2−D70−PCT)を移植した。この研究設計は、イヌの循環器系からの残留薬剤の完全な排除を確実にするため、用量間に1週間置いた三元クロスオーバーであった。データは、12時間にわたって分析し、化合物Aの経口服用1時間前に始まり、服用後11時間で終了した。データ取得および分析は、LDS Life Science Suite Ponemah P3に加えV 4.20ソフトウェアを使用して実行し、結果は、各動物について10分間平均として報告された。
単一薬剤としての化合物A(3mg/kg)の投与は、実験過程の間、服用前の値と比較して、拡張期血圧(DBP)において統計的有意差をまったく示さなかった。単一薬剤してのベラパミル(10mg/kg)は、経口投与の1時間以内に拡張期血圧を33%減少させた。ベラパミル単独の場合のDBPの曲線定量化下面積(−3079±1846mmHg*分)は、化合物A群よりも統計的に低かった(448±161mmHg*分)(p<0.05)。併用処置(化合物Aおよびベラパミル)は、単一薬剤群としてのベラパミルに同様な結果をもたらし、曲線下面積は−3157±450mmHg*分であった。結果は、表8および9に示してある。これらの実験も、化合物Aが、血圧低下薬と安全に併用できることを例示している。
Figure 2010523679
曲線下面積(AUC)は、服用後約4.5時間までベラパミルまたは偽薬から計算した。AUCは、収縮期および拡張期ベースラインから導いた。ベースライン値は、化合物Aまたはビヒクルからベラパミル服用まで観察される平均血圧であった。負の値は、ベースライン値に関する血圧の減少を表す。
Figure 2010523679
(実施例11)
多血小板血漿(PRP)におけるトロンビン生成アッセイにおける化合物Aとアスピリンとの併用
ヒト貧血小板血漿(PPP)または多血小板血漿(PRP)を、0.32%クエン酸塩中に抜いた健康なドナーの血液から調製した。PRPおよびPPPは、凝固血を、室温で20分間それぞれ約100Xgまたは1000Xgで回転させて調製した。PRPにおける血小板数は、同種のPPPで約200,000血小板/μLに調節した。100μL反応混合物中でのトロンビン生成のため、75μL PRPを最初にCaCl、コンバルキシン、およびZ−Gly−Gly−Arg−アミノメチルクマリン(Z−GGR−AMC、トロンビン蛍光原基質)と37℃で3分間混合し、続いて組織因子(Innovin,Dade Behring)を添加してトロンビンの発生を開始した。典型的な反応混合物は、15mM Ca2+、0.1μg/mLコンバルキシン、100μM Z−GGR−AMC、および0.1nM TF(組織因子)(Innovin)を含有していた。トロンビン形成は、相対蛍光単位(RFU)を測定する蛍光測定プレートリーダー(Molecular Devices)により37℃で連続的に監視した。阻害薬は、CaClおよびコンバルキシンを添加する前に室温で20分間、血漿によりプレインキュベートした。
表10は、トロンビン生成(n=5)に対する化合物Aとアスピリンとの併用の効果をパーセント阻害(%阻害)により示す。非−ASAは、アスピリンを摂取していないドナーからの結果を表す。ASAは、アスピリンを少なくとも3日間摂取したドナーからの結果を表す。%阻害は、0nM化合物Aにおける非−ASAへの平均RFU(n=5)の正規化により計算した。
Figure 2010523679
(実施例12)
化合物Aとアスピリン(抗血小板薬)との併用
抗凝固薬と抗血小板薬アスピリンとの併用効果を、血栓症のin vivoモデルにおいて調べた。このうまく特徴付けられた動物モデル(Lockyer and Kambayashi,Demonstration of Flow and Platelet Dependency in a Ferric Chloride Induced Model of Thorombosis,J.Cardiovasc.Pharmacol.1999,33(5):718−25)は、抗凝固薬および抗血小板薬双方を試験するために以前より用いられてきた。この実験では、ラット頚動脈における塩化第二鉄誘発性血栓症中の動脈流条件下で血管開存性を維持する化合物Aの能力をアスピリンにより達成される能力と比較する。実験開始の約30分前に化合物Aを静脈内注入により投与し、アスピリンを静脈内ボーラスとして投与した。10μg/mLのコラーゲンにより誘発されたex vivo血小板凝集および凝固時間(プロトロンビン時間、PTおよび活性化部分トロンボプラスチン時間、aPTT)を、すべての動物において実験時間経過(90分間)にわたって測定した。
化合物Aは、単独で投与された場合、実験の間に頚動脈が閉塞しない動物の割合により測定される血栓症の用量反応性阻害をもたらした。0.03、0.1、および0.3μMの血漿濃度における化合物Aは、ラット血栓症のそれぞれ30、60、および90%阻害をもたらした。比較のため、32匹ビヒクル対照動物のうちの3匹は、実験の間に閉塞せず、ラットにおける血栓症の9.4%阻害をもたらした。
アスピリンを用いた実験において、3mg/kg用量は、多血小板血漿におけるコラーゲン誘発性血小板凝集の35%阻害をもたらした。血栓症阻害の対応するレベルは30%であった(試験した動物10匹のうち3匹が閉塞しなかった)。アスピリン用量を10mg/kgに増大させると、コラーゲン誘発性血小板凝集の%阻害は倍以上になった(77%)が、ラット血栓症阻害のレベルの増大に対しては最小限の効果(33.3%、すなわち試験した動物9匹のうち3匹が閉塞しなかった)しかなかった。より低い用量のアスピリン(1.0mg/kg)では、抗血栓活性は、わずか10%の動物において実証されるように(10匹の動物のうち1匹が閉塞しなかった)、ビヒクル対照レベルと同様であった。低用量のアスピリンでは、コラーゲン誘発性血小板凝集は、わずかに阻害されたにすぎない(<2%)。
表11に示されるように、0.03μMの化合物Aと3mg/kgのアスピリンとの併用は、ラット血栓症の40%阻害(10匹の動物のうち4匹が閉塞しなかった)という結果になり、わずかな加法的抗血栓効果を実証した。加えて、化合物Aとアスピリンとで処置した動物において、凝固マーカー(PT)は、化合物A単独の結果と異ならなかった。これは、出血のような安全問題にしばしばつながる血流停止の全身的混乱がないことを実証しており、この併用が、各単一薬剤の治療用量よりも大きな抗血栓効果を達成するためのより安全な療法としての可能性を有することを実証している。従って、この実験は、アスピリンと化合物Aとの併用が、単一薬剤各々単独よりも優れた活性を有することを示している。
Figure 2010523679
(実施例13)
P2Y12受容体の低減されたレベルを発現するマウスにおける腸管膜動脈血栓症を阻害するためにより低濃度の化合物Aが必要とされる。
クロピドグレルのような一般に用いられるP2Y12アンタゴニストは、処置された患者の血小板上のP2Y12受容体の40〜50%をブロックする用量で処方される。野生型対照(P2Y12 +/+)と比較して、それらの血小板上の受容体の約50%を発現するP2Y12 +/−マウスは、野生型とP2Y12(P2Y12 −/−)において完全に欠けているマウスとの間の中間的な血栓症発現型を呈することが示されている。(Andre,P.,et al.,J Clin invest,2003.112(3):398−406)。P2Y12は、損傷を受けた動脈における血小板粘着/活性化、血栓成長、および血栓安定性を調整する。ヒトにおける第Xa因子阻害薬およびP2Y12アンタゴニストの二重投薬の併用を効果的に模倣するために、化合物Aの効果をP2Y12 +/−マウスを用いた血栓症モデルにおいて研究した。
マウス腸間膜動脈上の血栓症(剪断速度1000〜1300s−1)を、以前に記載されたように実行し、記録した(Andre,P.,et al.,J Clin invest,2003.112(3):398−406)。血小板は、ローダミン6G(0.2mg/mL)を用いてin situで標識し、動脈の視覚化10分前に尾部静脈を介して投与した。血管壁損傷は、10%FeCl溶液をいっぱいに含ませたl×l−mm濾紙でトリガされた。5分後、濾紙を取り去り、腸間膜動脈を、加温した食塩水(37℃)ですすいだ。血小板血管壁相互作用を、さらに40分間または完全な閉塞が生じかつ40秒以上持続するまで記録した。C57Bl6Jマウス(野生型対照またはP2Y12 +/−)に、血管損傷の2時間前にビヒクル対照、化合物A(2、4、10mg/kg)を経口で強制給餌した。血栓症を、Simple PCIソフトウェアを使用してリアルタイムで分析した。蛍光強度を、2Hzのレートで40分間記録し、経時的にプロットした。閉塞(血流の停止)までの時間を分析した。化合物Aの血漿濃度を、閉塞後2分または血管損傷開始42分後に採取した血液に関して求めた。
野生型対照において、2および4mg/kg化合物Aの用量が非効果的であったのに対し、10mg/kgの用量は、最初の血栓の出現にかかる時間および閉塞までの時間の双方を有意に遅らせた。化合物Aの1000ng/mLを超える循環血漿濃度は、野生型動物における血管閉塞を防止した。対照的に、76ng/mLを超える濃度は、P2Y12 +/−動物における血管閉塞を防止するのに十分であった。本発明者らは、P2Y12活性の調整と化合物Aによる第Xa因子の阻害とを併用することによる強力な相乗作用的な抗血栓活性も観察した。表12に示されるように、低減されたP2Y12活性は、閉塞までの時間を、368秒のベースラインから756.7秒まで拡大する。化合物Aの添加時の付加的な阻害により、閉塞までの時間の大幅な拡大がもたらされ(756.7秒から2100秒以上へ)、二重阻害の増強された効力を例示している。
Figure 2010523679
本発明は上記の実施形態に関連して説明されてきたが、上記の説明および実施例は、例示を意図したものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことが理解されるべきである。本発明の範囲内の他の態様、利点および修正は、本発明が属する分野の当業者には明白である。

Claims (52)

  1. 望ましくない血栓症を特徴とする哺乳動物における状態を処置するためのであって、治療有効量の
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬、血圧低下薬およびそれらの組み合わせからなる群より選択される治療薬と、
    を含む、
  2. 療有効量の以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗血小板薬と、
    を含む、
    請求項1に記載の
  3. 前記抗血小板薬が、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、P2Y12受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼIII阻害薬、トロンボキサンシンターゼ阻害薬、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、トロンビン受容体アンタゴニスト、およびpセレクチンの阻害薬からなる群より選択される、請求項2に記載の
  4. 前記抗血小板薬が、アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、アセチルサリチル酸、カングレロール、チカグレロール、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、ジピリダモール、アグレノックス、イフェトロバン、シロスタゾール、イスボグレル、フレグレラート、ラマトロバン、リドグレル、テルボグレル、エチル(1R,3aR,4aR,6R,8aR,9S,9aS)−9−((E)−2−(5−(3−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル)ビニル)−1−メチル−3−オキソドデカヒドロナフト[2,3−C]フラン−6−イルカルバメート、3−{6−[(4−クロロフェニルスルホニル)アミノ]−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフト−1−イル}プロピオン酸およびオザグレルからなる群より選択される、請求項2に記載の
  5. 前記抗血小板薬が、エプチフィバチドである、請求項4に記載の
  6. 前記抗血小板薬が、クロピドグレルである、請求項4に記載の
  7. 療有効量の以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗凝固薬と、
    を含む、
    請求項1に記載の
  8. 前記抗凝固薬が、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第XIa因子、第XIIa因子または第VIIa因子、合成五糖、低分子量ヘパリン、抗組織因子抗体およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項7に記載の
  9. 前記抗凝固薬が、注射用抗凝固薬である、請求項7に記載の
  10. 前記抗凝固薬が、ビバリルジン、ダビガトラン、アルガトロバン、レピルジン、ワルファリン、フェノクマロール、フォンダパリヌクス、ダナパロイド、エノキサパリン、ダルテパリンおよび未分画ヘパリンからなる群より選択される、請求項7に記載の
  11. 前記抗凝固薬が、エノキサパリンである、請求項10に記載の
  12. 療有効量の以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗炎症薬と、
    を含む、
    請求項1に記載の薬。
  13. 前記抗炎症薬が、非ステロイド性抗炎症薬、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬からなる群より選択される、請求項12に記載の
  14. 前記抗炎症薬が、アセチルサチル酸、ピロキシカム、インドメタシン、メサラミン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムバブ、およびアナキンラからなる群より選択される、請求項12に記載の
  15. 前記抗炎症薬が、アセチルサチル酸である、請求項14に記載の
  16. 療有効量の以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 血圧低下薬と、
    を含む、
    請求項1に記載の
  17. 前記血圧低下薬が、利尿剤、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン2受容体アンタゴニスト、およびカルシウムチャンネル遮断薬からなる群より選択される、請求項16に記載の
  18. 前記血圧低下薬が、ベラパミル、ジルチアゼム、アミオダロン、メトプロロール、およびカルベジロールからなる群より選択される、請求項16に記載の
  19. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩、および前記治療薬のうちの少なくとも1つが、治療量以下の投与量で投与されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の
  20. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドまたは薬
    学的に許容されるその塩、および前記治療薬の両方が、治療量以下の投与量で投与されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の
  21. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩、および前記治療薬が同時に投与されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の
  22. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩、および前記治療薬が、逐次投与されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか1項に記載の
  23. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの前記薬学的に許容される塩が、マレイン酸塩である、請求項1〜22のいずれか1項に記載の
  24. 前記、治療有効量の:
    (3) 別の抗血小板薬、別の抗凝固薬、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、血圧低下薬、コレステロールまたはトリグリセリド低下薬から選ばれる第3の治療薬をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の
  25. 前記状態が、
    急性冠症候群、心筋硬塞、不安定アンギナ、難治性アンギナ、血栓溶解療法後または冠動脈形成術後に発生する閉塞性冠動脈血栓、血栓媒介性脳血管候群、塞栓症脳卒中、血栓性脳卒中、一過性虚血性発作、静脈血栓症、深部静脈血栓症、肺塞栓、凝固障害、播種性血管内凝固症候群、血栓性血小板減少性紫斑病、閉塞性血栓性血管炎、ヘパリン誘発性血小板減少に関連した血栓性疾患、体外循環に関連した血栓性合併症、器械使用に関連した血栓性合併症、および補てつデバイスの装着に関連した血栓性合併症からなる群より選択される、
    請求項1〜20のいずれか1項に記載の
  26. 医薬組成物であって、以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬、血圧低下薬、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される治療薬と、
    薬学的に許容される担体と、
    を含む、医薬組成物。
  27. 以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗血小板薬と、
    薬学的に許容される担体と、
    を含む、
    請求項26に記載の医薬組成物。
  28. 前記抗血小板薬が、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト、P2Y12受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼIII阻害薬、トロンボキサンシンターゼ阻害薬、トロンボキサンA2受容体アンタゴニスト、トロンビン受容体アンタゴニスト、およびpセレクチンの阻害薬からなる群より選択される、請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 前記抗血小板薬が、アブシキマブ、エプチフィバチド、チロフィバン、アセチルサリチル酸、カングレロール、チカグレロール、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、ジピリダモール、アグレノックス、イフェトロバン、シロスタゾール、イスボグレル、フレグレラート、ラマトロバン、リドグレル、テルボグレル、エチル(1R,3aR,4aR,6R,8aR,9S,9aS)−9−((E)−2−(5−(3−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル)ビニル)−1−メチル−3−オキソドデカヒドロナフト[2,3−C]フラン−6−イルカルバメート、3−{6−[(4−クロロフェニルスルホニル)アミノ]−2−メチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフト−1−イル}プロピオン酸およびオザグレルからなる群より選択される、請求項27に記載の医薬組成物。
  30. 前記抗血小板薬が、エプチフィバチドである、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 前記抗血小板薬が、クロピドグレルである、請求項29に記載の医薬組成物。
  32. 以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗凝固薬と、
    薬学的に許容される担体と、
    を含む、
    請求項26に記載の医薬組成物。
  33. 前記抗凝固薬が、トロンビンの特異的阻害薬、第IXa因子、第Xa因子、第XIIa因子、第XIa因子または第VIIa因子、合成五糖、低分子量ヘパリン、抗組織因子抗体およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項32に記載の医薬組成物。
  34. 前記抗凝固薬が、注射用抗凝固薬である、請求項32に記載の医薬組成物。
  35. 前記抗凝固薬が、ビバリルジン、ダビガトラン、アルガトロバン、レピルジン、ワルファリン、フェノクマロール、フォンダパリヌクス、ダナパロイド、エノキサパリン、ダルテパリン、および未分画ヘパリンからなる群より選択される、請求項32に記載の医薬組成物。
  36. 前記抗凝固薬が、エノキサパリンである、請求項35に記載の医薬組成物。
  37. 以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 抗炎症薬と、
    薬学的に許容される担体と、
    を含む、
    請求項26に記載の医薬組成物。
  38. 前記抗炎症薬が、非ステロイド性抗炎症薬、腫瘍壊死因子アンタゴニスト、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−2阻害薬および関節リウマチ薬からなる群より選択される、請求項37に記載の医薬組成物。
  39. 前記抗炎症薬が、アセチルサチル酸、ピロキシカム、インドメタシン、メサラミン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムバブ、およびアナキンラからなる群より選択される、請求項37に記載の医薬組成物。
  40. 前記抗炎症薬が、アセチルサチル酸である、請求項37に記載の医薬組成物。
  41. 以下の2つの治療薬:
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩と、
    (2) 血圧低下薬と、
    薬学的に許容される担体と、
    を含む、
    請求項26に記載の医薬組成物。
  42. 前記血圧低下薬が、利尿剤、ベータ遮断薬、アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン2受容体アンタゴニスト、およびカルシウムチャンネル遮断薬からなる群より選択される、請求項41に記載の医薬組成物。
  43. 前記血圧低下薬が、ベラパミル、ジルチアゼム、アミオダロン、メトプロロール、およびカルベジロールからなる群より選択される、請求項41に記載の医薬組成物。
  44. 前記治療薬のうちの少なくとも1つが、治療量以下の投与量で存在する、請求項26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  45. 前記治療薬の両方が、治療量以下の投与量で存在する、請求項26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  46. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの前記薬学的に許容される塩が、マレイン酸塩である、請求項26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  47. (3)別の抗血小板薬、別の抗凝固薬、トロンビン阻害薬、血栓溶解薬、抗不整脈薬、血圧低下薬、コレステロールまたはトリグリセリド低下薬から選ばれる第3の治療薬をさらに含む、
    請求項26〜43のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  48. キットであって、
    (1) [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩を含む第1の容器と、
    (2) 抗血小板薬、抗凝固薬、抗炎症薬および血圧低下薬からなる群より選択される別の治療薬を含む第2の容器と、
    を含む、
    キット。
  49. (3) 前記2つの治療薬が一緒に用いられ得ることを説明するパッケージ挿入物をさらに含む、
    請求項48に記載のキット。
  50. [2−({4−[(ジメチルアミノ)イミノメチル]フェニル}カルボニルアミノ)−5−メトキシフェニル]−N−(5−クロロ(2−ピリジル))カルボキサミドの前記薬学的に許容されるその塩が、マレイン酸塩である、請求項48に記載のキット。
  51. 前記治療薬のうちの少なくとも1つが、治療量以下の投与量で存在する、請求項48に記載のキット。
  52. 前記治療薬の両方が、治療量以下の投与量で存在する、請求項48に記載のキット。
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