JP2010520761A - 間葉系幹細胞亜集団および破骨細胞に対するマーカー、抗体および組換えscFv - Google Patents

間葉系幹細胞亜集団および破骨細胞に対するマーカー、抗体および組換えscFv Download PDF

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Abstract

間葉系幹細胞亜集団および破骨細胞のマーカ、抗体、および組換えscFv。本発明は、間葉系幹細胞および前破骨細胞により発現される表面膜結合糖タンパク質の特異的エピトープに関し、特定のエピトープに対して産生された単クローン抗体および組換えscFvまたはそのフラグメント等の抗体と、骨髄における「間質前駆細胞」(SPC)と呼ばれるもの等の間葉系幹細胞亜集団の同定、単離および特徴づけ、および末梢血における前破骨細胞の同定、単離および特徴づけにおける、それらの使用に関する。細胞表面上の特異的エピトープに対する結合により、従来の細胞選別方法によるlimbin/EVC―2検出および分離が促進される。

Description

本発明は、間葉系幹細胞および前破骨細胞により発現される表面膜結合糖タンパク質の特異的エピトープに関し、特定のエピトープに対して産生された単クローン抗体および組換えscFvまたはそのフラグメント等の抗体と、骨髄における「間質前駆細胞」(SPC)と呼ばれるもの等の間葉系幹細胞亜集団の同定、単離および特徴づけ、および末梢血における前破骨細胞の同定、単離および特徴づけにおける、それらの使用に関する。細胞表面上の特異的エピトープに対する結合により、従来の細胞選別方法によるlimbin/EVC―2検出および分離が促進される。本発明はさらに、間葉系幹細胞亜集団および前破骨細胞の表面上に存在するタンパク質に対する、多数の他の抗体およびscFvに関する。本発明は、骨髄試料(および他の成体組織)に見つけられる幹細胞集団、および末梢血試料等に見つけられる前破骨細胞の、ワンステップ精製プロセスにおける本発明の用途のキット、およびそのような精製プロセスにも関する。
成体幹細胞療法は、神経、筋肉および心血管組織、および軟骨等の間葉系ソースから得られるその他の組織を含む、多数の組織タイプの再生による、損傷組織修復に非常に有望である[1―6]。成体幹細胞ベースの療法は、胚幹細胞よりも規制の心配や世論の逆風がずっと少ない。再生医療および組織工学の分野では、骨髄から得られる非造血幹細胞の治療上の可能性に高い関心がある。
間葉系幹細胞(MSC)は、多くの理由から特に関心が高い。患者自身の骨髄からの細胞の使用が、拒絶反応が生じる問題を防ぎ、損傷組織をはるかに健康な状態に戻す。さらに、成人骨髄または末梢成人血液から得られるMSCの使用が、幹細胞採取のための胎生細胞の使用に関する倫理的問題を防ぐ。MSCおよび破骨細胞の両者は、近い関係にあり、癌転移に関係し、したがって抗転移癌療法の標的を提供すると考えられる[56―58]。
間葉系幹細胞は、非造血組織の前駆体である多能性幹細胞である。培養MSCは、骨芽細胞、軟骨細胞、筋細胞または脂肪細胞に分化する能力を維持する[1、3、7―9]。MSCは、血清を伴わずにトランスフォーメーション成長因子(TGF)の存在下で培養されると、軟骨細胞に分化し、血清中でアスコルビン酸およびデキサメサゾンを伴って培養されると、骨細胞に分化する[10―18]。このような分化決定された培養細胞は、in vivoにおかれると、損傷組織(例えば軟骨)に分化する[19]。一定の条件下で、MSCが、神経細胞に分化できることも観察されている[20]。
現時点では、いわゆる「プレーティング法」によりMSCを精製する既存の方法は、骨髄穿刺液の遠心分離、細胞の細胞培養培地への再懸濁、およびその後の細胞培養フラスコへの細胞の播種を伴う。またはドナーの腸骨稜から得られた骨髄穿刺液のパーコール分画が粗製であり、形態学的および表現型的に異種のMSCを濃縮する[1、3、7、9、21、22]。幹細胞を、その表現型的に可視の特徴にもとづいて、同定するのは不可能である。MSCを同定し、濃縮するために、現在の幹細胞マーカ技術が用いられる。全ての幹細胞は、標識分子、例えば抗体に選択的に結合または付着する能力を有するために生物学的マーカとして働く、幹細胞糖タンパク質レセプターでコートされる。シグナル分子に対する様々な親和性を有する、多くのタイプのマーカがある。各幹細胞型が、特定の組み合わせのレセプターを有し、細胞を互いに識別可能にする。抗体は、幹細胞特異的レセプターに結合でき、結合する抗体または抗体の組み合わせが、幹細胞型に特徴的な特定のプロフィールを生成する。現在では、蛍光標示式細胞分取(FACs)等の分子生物学的技術を用いて、標識細胞が単離および特徴づけされる。ダイレクトプレーティングまたは現在の市販抗体により単離される、培養MSCの抗原プロフィールは、ユニークでない。培養MSCにより発現されることが報告される細胞マーカには、CD10、CD13、BMP(骨形成タンパク質)、CD49a、CD61、CD90、CD105、CD106、CD109、CD140b、CD164、CD166、CD172aが含まれるが、これらは全て発現パターンが普遍的である[2、3、7、9、22―25]。培養間葉系幹細胞は、系統に向かって分化する前に抗体を結合/マーカを発現する。間葉系幹細胞が完全に分化した後は、レッドオイルO染色等の他のアッセイが使用される。しかし、多くの他の細胞型がマーカの多くを発現するため、これらの抗体を結合する。必要な抗体のカクテルの使用は、MSCを特徴づけするための、高価で、非効率的で時間がかかる方法である。
現在は、同種のMSC集団をヒト骨髄から直接特異的に単離する、組換えscFv(単鎖可変フラグメント)は販売されていない。MSCを特徴づけするために、二つの抗体のみが利用されている:単鎖抗体C15、およびマウスIgM抗体STRO―1であり、ハイブリドーマ技術を用いて開発されている[26―28]。しかし、C15およびSTRO―1に関連する問題には、高度に保存されたタンパク質に対するマウス免疫反応における乏しい免疫原性およびメモリー不足の結果として、一般に免疫寛容により生じる、フローサイトメトリによる非特異的結合が含まれる[29―32]。ヒトとマウスの進化的関係は、ヒトとニワトリの関係より近い。ゲノムの遺伝分析により、鳥類と哺乳類の進化的分岐が、マウスとヒトの進化的分岐より以前に生じることが明らかとなった。したがって、マウスがヒトタンパク質/抗原で免疫されると、最適未満の抗体が生成される。マウス宿主は、種間の進化的距離がより近いために認識の程度がより高いことから、「似ている」ため、ヒト配列に対する寛容性がより高いと考えられる。頻繁に使用されるアミノ酸ストレッチに大きな変化を生じさせるための進化の時間がより長いため、ヒトタンパク質はニワトリにおいて認識されにくい。これにより、ニワトリにおいては、より高い免疫原性反応が観察される。
STRO―1は、バックグラウンド結合が非常に高いため、FACS(蛍光標示式細胞分取)ベースのアッセイにおいてあまり有効でない。STRO―1は、MSCに特異的でない。さらに、MSCに結合するときにも、蛍光強度に十分な変化を与えない。実際、得られるシグナルは、アッセイのバックグラウンドノイズを少し上回るだけである。現在は、in vivoでMSCにより発現される他の公知のマーカがほとんどない。その結果、MSCは、MSCに特異的でなく、これらのマーカ、例えばSTRO―1を発現する細胞だけを濃縮する抗体を用いたFACs分取、およびMiltenyiにより供給されるおよびLNGFR MACsキットにより、哺乳類骨髄からルーチン的に単離される。これらの抗体または抗体の組み合わせは、間質前駆細胞(SPC)と呼ばれるMSC亜集団を精製するための、我々のワンステップ「TMSC3」特徴づけ方法で置き換えられうる。TMSC1、2または4が、MSC単離のための追加的選択肢を提供し、これらのscFvの各々が、認識される特異的細胞表面マーカに基づいて、研究者により選択されうる。
あるいは、MSCは、プラスチックに付着するそれらの傾向により単離されうる[7]。それらは、培養においてプラスチックに容易に接着し、非接着造血細胞集団の大半を除去する長期細胞培養により単離され、一方で任意の最終分化接着細胞は、徐々に死ぬ。しかし、結果として得られた亜集団が光および蛍光顕微鏡法により検査されると、異なるサイズの小円形単細胞および多形性細胞に加えて、繊維芽細胞様細胞からなる、異種の集団を示す。さらに、培養に残る変異した最終分化細胞は、偽陽性集団を生じうる[33―35]。
現在は、骨髄からMSCを単離するために用いられる抗体カクテルがなく、現在の「ダイレクトプレーティング」、および市販の骨髄由来MSCの単離および特徴づけのための方法は、同種集団を提供せず、異なる幹性をもつ分化決定されていない前駆体および分化決定された前駆体の取り合わせからなる。
現在のフローサイトメトリまたは磁気細胞選別戦略は、MSCを限られた様式でのみ濃縮する、マウスまたはラット抗体を使用する[36―44]。現在の市販抗体により検出される細胞表面マーカの多くが、様々な他の細胞に発現されるため、不要な細胞の選択が生じ、MSCの純度が損なわれる。さらに、従来の抗体の一部は、望ましくない特性を有する。例えばIgMは、扱いが非常に困難であり、アッセイにおいて大きなバックグラウンドを生じ、標的レセプターに対する高い親和性をもたないことが多い[26、29、30]。
現在、ヒト骨髄から直接に同種のMSCを特異的に標識し精製することを可能にする、市販の抗体、単クローン抗体、組み換えscFvまたはscFVフラグメントまたは方法はない。新しい細胞表面抗原の同定は、MSCの同定、単離およびさらなる特徴づけにおいて非常に大きな価値をもつ。本発明は、同種のMSC集団の、より優れた特徴づけおよび精製を提供し、それにより、再生医療用の、治療的に有効な製剤の改良をもたらす。TMSC1、2、3または4抗体の各々が、亜集団のワンステップ精製を提供する。MSC結合のより高い特異性により、フローサイトメトリ実験において蛍光強度のより高いシフトが生じ、したがってより高感度なアッセイをもたらす。本発明の組換えscFvおよびそのフラグメントは、TMSC3またはTMSC1、2および4の対応する細胞マーカの場合において、Limbinレセプターと特異的相互作用により結合することにより、MSCに対するより高い特異性をもつため、従来使用される抗体より優れている。
高度に進歩した細胞ベース療法の将来の開発は、従来のMSC製剤において見られるような、汚染された治療上無効な細胞を増幅する材料および研究時間等の資源の無駄を制限しながら、可能な限り治療効果のある細胞を入手し増殖させる能力に大きく依存する。
現在の細胞ベースの病気の治療、たとえば骨関節炎および心臓血管疾患の治療の一部は、有効な細胞が製剤全体のわずかにすぎず、そのために治療的可能性が限られているために失敗すると考えられる。もし改良されたMSCの製剤を実現できれば、それらはMSCベースの療法の大きな進歩につながる。
特許文献1は、軟骨生成細胞に分化決定されたMSCにより発現されるインテグリンアルファ10鎖糖タンパク質の細胞外I―ドメインに特異的な、新規な抗体およびその関連フラグメント抗体を生成するハイブリドーマ細胞株に関する。抗体を用いて、MSC、軟骨細胞および胚幹細胞の集団が単離されるが、そのいずれもインテグリンアルファ10ベータ1を発現する。
特許文献2は、体性幹細胞の同定および単離のための方法であり、これらの幹細胞マーカの抗原に対して産生された抗体を用いて、その中の定義された配列のいずれか、またはアンギオテンシン変換酵素(ACE)、またはそのフラグメントを検出することによる、方法を開示する。
特許文献3は、間葉または造血幹細胞からの原始前間葉、前造血前駆幹細胞の同定および選別における、Osf2 RNAまたは分子マーカとしての発現Osf2ポリペプチドの発現および使用を開示する。しかし、これらの抗体はいずれも、MSCに特異的でない。
Limbinは、EVC2(エリスバンクレベルト症候群2)遺伝子の発現産物であることが知られる。本発明の技術は、limbinが間葉系幹細胞の細胞表面に発現されることを、初めて決定した。本発明は、Limbinを用いて、間葉系幹細胞を選択的に単離し、特徴づけできるという、予想外の結果を提供する。Limbinに対応するアミノ酸配列および核酸配列は、NCBIアクセッション番号AY185210の下に蓄積される。
現在の文献は、ウシにおける、エリスバンクレベルト症候群および小人症におけるLimbinの役割を示唆する。このタンパク質の正確な機能は知られていないが、正常な成長および発達に重要であると思われる。EVC2遺伝子は、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、および運動に使われる筋肉(骨格筋)を含む、出生前のいくつかの臓器および組織において活性である。EVC2遺伝子の変化が、Weyers骨形成不全と呼ばれる骨格障害を引き起こすとも考えられる。この状態の人は、軽度の低身長を有しうるが、多くの場合は平均的身長である。他の特徴には、余分の指および足指(多指症)、爪の異常形成、および歯の異常が含まれる。一つのEVC2突然変異だけが、Weyers骨形成不全と関連付けられている。Limbinは、骨のCD14+ve破骨細胞により発現されることも報告される。
米国特許出願公開第2006/0127398号明細書 米国特許出願公開第2006/0088890号明細書 米国特許出願公開第2003/0157078号明細書
本発明の目的
本発明は、MSC特異的エピトープの同定、およびMSCエピトープに結合可能な単クローン抗体、組換えscFvおよびscFvフラグメント等の抗体の提供により、間葉系幹細胞を特徴づけおよび単離する改良された方法の提供を目的とする。さらなる目的は、SPCを単離するために特に適する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、間葉系(meschenymal)幹細胞、特にSPCを同定および精製するために使用できる、ワンステップの信頼性が高い検出キットを提供することである。
さらなる目的は、MSCまたはSPC研究において現在使用される抗体、単クローン抗体または抗体の組み合わせの代わりに使用できる、組換えscFvおよびscFvフラグメントを提供することである。
本発明の目的は、従来のMSC製剤にしばしば見られる「汚染した」治療上無効な細胞を増幅する培地、時間、細胞培養インキュベータスペース等の、研究資源の無駄を最小限にしながら、最も治療効果のある間葉系細胞を単離および成長させることである。
本発明の目的は、間葉系幹細胞の精製におけるツールとして使用でき、細胞を分析する手段として使用できる、単クローン抗体、組換えscFvおよびscFvフラグメント、等の抗体を提供することである。
本発明のさらなる目的は、心筋梗塞、骨関節炎および脊髄損傷等の、変性組織要素を含む状態を治療する方法を提供することである。このような方法は、患者および/または患者に移植するための細胞を、本発明の細胞、ベクター、タンパク質、ポリペプチド、組換えscFv、組換えscFvフラグメント、および核酸配列の一つ以上により、処置することを伴う。
本発明のさらなる目的は、limbinエピトープに結合し、標的薬物送達を促進する化学化合物に対する組換えscFvの結合により、標的薬物送達を促進するために使用できるエピトープを提供することである。
本発明によれば、アミノ酸配列、配列番号1:DLVEKVRGE、およびlimbinエピトープペプチドに対応する配列番号1と実質的に相同の配列を含む群より選択されるポリペプチドが提供される(実質的に相同とは、ストリンジェントな条件下で、当該配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を有することを意味する)。
本発明は、核酸配列番号2、およびlimbinエピトープDNA配列に対応する、配列番号2と実質的に相同の配列にも関する(実質的に相同とは、ストリンジェントな条件下で、当該配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を有することを意味する)。
本発明は、本明細書に記載されるポリペプチドまたはヌクレオチド配列の使用により、間葉系幹細胞に対する抗体または抗体フラグメントを生成する方法を提供する。
本発明は、本明細書に記載の群limbinエピトープ、limbinポリペプチドフラグメント、および関連の配列番号およびその対応する相同配列のいずれかに対して産生された、単クローン抗体および組換えscFvまたは組換えscFvのフラグメント等の抗体も提供する(実質的に相同とは、ストリンジェントな条件下で、当該配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を有することを意味する)。
本発明の抗体、単クローン抗体または組換えscFvまたはそのフラグメントは、本発明の配列番号1または配列番号2のポリペプチド産物および相同/相補配列の一つ以上を含む群のいずれかに対して産生されうる(実質的に相同とは、ストリンジェントな条件下での、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する)。抗体は、limbinタンパク質/ポリペプチドまたはlimbinエピトープに対応するファージディスプレイポリペプチド配列を用いて、または他の従来技術により、産生されうる。
本発明は、本明細書に記載される配列番号に対して、ストリンジェントな条件下で少なくとも70%の相同性を有する、他の核酸、アミノ酸およびペプチド配列、抗体およびscFvに関する。相同性は、少なくとも80%または少なくとも90%でもよい。
特定の実施形態では、本発明は、単クローン抗体または組換えscFvまたはそのscFVフラグメント等の抗体を提供するが、これらは配列番号1または実質的に相同のポリペプチド配列に対して、または配列番号2の核酸配列または実質的に相同/相補的な核酸配列によりコードされるポリペプチドに、産生されうる(実質的に相同とは、ストリンジェント条件下での、当該配列に対する少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する)。別の態様は、本明細書に記載のlimbinエピトープまたはlimbinポリペプチドフラグメント、または関連の配列番号またはその実質的に相同/相補的な配列の一つ以上に対して産生される、組換えscFvまたはscFVフラグメントを提供する。本発明の抗体は、配列番号1または実質的に相同のポリペプチド配列に対して、または配列番号2の核酸配列または実質的に相同/相補的な核酸配列によりコードされるポリペプチドの一つ以上に対して産生されうる(実質的に相同とは、ストリンジェントな条件下での、当該配列に対する少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する)。したがって、本発明の別の態様は、配列番号3(limbin―標的化組換えscFv TMSC3ペプチドに対応する)、配列番号5(組換えscFv TMSC1ペプチドに対応する)に、配列番号7(組換えscFv TMSC2ペプチドに対応する)、および配列番号9(組換えscFv TMSC4ペプチドに対応する)にを含む群より選択されるポリペプチドに実質的に相同のポリペプチドを含む、単クローン抗体、組換えscFvまたはそのフラグメント等の抗体を提供する。ここで実質的に相同とは、ストリンジェントな条件下での、当該配列に対する少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する。
本発明は、配列番号4(組換えscFv TMSC3 DNA配列に対応する)、配列番号6(組換えscFv TMSC1 DNA配列に対応する)、配列番号8(組換えscFv TMSC2 DNA配列に対応する)、および配列番号10(組換えscFv TMSC4 DNA配列に対応する)を含む群より選択される核酸に対して実質的に相補的または実質的に相同の配列を含む抗体またはそのフラグメントをコードする核酸も提供する。ここで実質的に相同/相補的とは、ストリンジェントな条件下での、当該配列に対する少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する。
本発明の抗体、単クローン抗体または組換えscFvまたはそのフラグメントは、配列番号1または実質的に相同のポリペプチド配列の一つ以上に対して、または配列番号2の核酸によりコードされるポリペプチドに、またはその実質的に相同/相補的配列に、産生されうる。
本発明の抗体は、一つ以上の配列番号1または実質的に相同のポリペプチド配列の一つ以上に対して、または配列番号2の核酸によりコードされるポリペプチドに、またはその実質的に相同/相補的な配列に、産生されうる。ここで実質的に相同/相補的とは、ストリンジェントな条件下での、当該配列に対する少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する。
特定の実施形態では、本発明の方法により産生される抗体は、配列番号5、配列番号7または配列番号9または配列番号11により特徴づけられる配列またはこれと実質的に相同の配列を含む群より選択されうる。
さらなる実施形態においては、本発明は、本発明の核酸分子、または本発明の単クローン抗体、組換えscFv、組換えscFvフラグメント、またはポリペプチド等の抗体を発現可能な核酸分子の一つ以上を含む、ベクター発現系も提供する。適切なベクター系には、発現系および組換えscFvディスプレイベクターとしてのpcomb3XSSおよびバクテリオファージVCSM 13等の発現系が含まれるがこれに限られない。
本発明は、配列番号2、配列番号6、配列番号8、配列番号10または配列番号12の核酸配列またはこれと実質的に相同の配列を含む群より選択される核酸でトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。ここで実質的に相同/相補的とは、ストリンジェントな条件下での、当該配列に対する少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相同性を意味する。
宿主細胞が、上述のベクター系を使用して、目的の遺伝物質により形質転換される。
本発明は、本発明の抗体を使用して、間質前駆細胞を含む間葉系幹細胞を同定する方法を提供する。本発明のエピトープおよび/またはタンパク質を発現する間葉系幹細胞が、本明細書に記載の方法により産生される対応する抗体により同定されうる。本発明は、本明細書に記載のポリペプチドまたはヌクレオチド配列およびベクター発現系および細胞を用いて、このような細胞に対する抗体または抗体フラグメントを生成することにより、間質前駆細胞を含む間葉系幹細胞を同定する方法を提供する。
本発明は、本発明の細胞、ベクター、タンパク質、ポリペプチド、単クローン抗体、組換えscFvまたは組換えscFvフラグメント等の抗体、および核酸配列の一つ以上、またはその組み合わせを使用する工程を含む、MSCを同定する方法を提供する。本発明のいくつかの態様においては、MSCおよび前破骨細胞の同定には、幹細胞糖タンパク質レセプター標的エピトープに結合するように産生されている、単クローン抗体、組換えscFvまたはそのフラグメントscFv等の抗体の使用が含まれうる。目的の細胞を同定し、標準的な分子生物学的分離技術を用いた細胞の分離を促進するために、単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFvフラグメント等の抗体、および特に核酸が、分子標識として使用されうる。フローサイトメトリおよびMACs技術等の細胞選別技術を用いて、標識された細胞が単離および特徴づけされうる。
特定の実施形態では、本発明の抗体が、組換えscFvおよびそのフラグメントが特異的である本発明のタンパク質の一つ以上を発現する成体幹細胞の精製および特徴づけを促進する、診断用マーカとして用いられうる。
本発明の別の態様は、特に、SPCおよび前破骨細胞が成熟する際、およびSPCの場合には他の細胞型に分化する際の、さらなる操作および観察の間に細胞をモニタするための、目的の細胞の分子マーキングの方法を提供する。
本発明は、本発明の抗体、ポリペプチド、および核酸分子の一つ以上を使用する工程を含む、SPCを同定する方法を提供する。本発明の方法により得られた濃縮されたMSCが、in vitroで培養され、骨形成、軟骨生成、脂肪生成の一つ以上に分化されうる(方法下記)。このような細胞が、損傷組織を修復するために、患者に移植されうる。ある条件下では、細胞が、元々細胞を供給した同じ患者に再移植されうる。
単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFvフラグメント等の抗体は、たくさんの有利な用途を有する。
(i) 新世代の治療剤および遺伝的に改変された幹細胞に役立つMSC亜集団に対する、ベクター/遺伝子送達系の特異的標的化。例えば、TMSC1、2、3または4が、ウィルス、ポリマーに接合されるか、治療DNA分子に直接付着されうる。TMSC3―接合体が、TMSC3:Limbin/EVC―2の標的を発現する細胞に、遺伝子または薬物を特異的に送達すると考えられる。
(ii) 再生医療用の、遺伝的に改変されたMSCに対する遺伝子治療アプローチにおける標的化デバイス。組換えscFvは、MSCを特異的に検出し、無関係な細胞系統に対する低いバックグラウンド結合を有するため、標的化デバイスとして役立つ。
(iii) MSCを傷害部位に結合し、骨関節炎患者における軟骨修復(股関節および関節置換など)、または心血管疾患(例えば梗塞形成後の損傷心臓組織の再生)等の損傷組織の修復を助けるために、補綴インプラントを、例えばscFv TMSC1、2、3または4でコートする。
(iv) 心疾患の治療選択肢としての、コートされたステント(例えばアテローム性動脈硬化の治療およびステント再狭窄の防止のための先進治療)。
(v) 例えば新規な組換えscFv TMSC1、2、3または4による、縫合糸のコーティング。これにより、MSCが縫合糸に付着して創傷治癒の改善を促進することができる。
(vi) 適切な試料から同種のMSCを単離および精製すること。TMSC1、2、3または4が、再懸濁後にヒト骨髄細胞とともにインキュベートされる凍結乾燥抗体製剤として供給されうる。抗HA標識二次抗体を使用して、標的MSCが結合および検出され、従来のFACS SORTERsを用いてMSCが選別される。
(vii) ヒトとニワトリの間の進化的差異のため、TMSC1、2、3および4は、哺乳類種間で保存されたエピトープを認識しうる。したがって、TMSC1、2、3および4を用いて、マウス、ラット、ウサギおよびウマを含む他の哺乳類ソースからMSCを精製し、様々な動物の病気モデルにおけるMSCの治療効果の調査を促進しうる。
別の態様においては、本発明は、本発明の一つ以上の抗体またはそのフラグメントを含むキットを提供する。キットは、磁気ビーズをさらに含みうる。抗体、組換えscFvまたはそのフラグメントが、磁気ビーズ/粒子に連結されうる。固定されたscFvビーズが、ヒト骨髄と混合され、例えばMiltenyiのCliniMACs単離システムを使用して、標的MSCが単離されうる。キットは、抗体またはそのフラグメントをコードする核酸、またはその抗体を発現するようにトランスフェクションされた細胞、または本発明の抗体またはそのフラグメントを発現させるために細胞にトランスフェクションするのに適切なベクターを含みうる。
本発明は、変性疾患、心血管疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患の治療のための薬物の製剤において使用されうる、本発明のポリペプチド、抗体、核酸、ベクター発現系および/または細胞の使用を提供する。このような障害には、パーキンソン病およびアルツハイマー病が含まれるがこれらの状態に限られない。
本発明は、癌診断における、TMSC1、TMSC2、TMSC3、およびTMSC4の使用にも関する。本発明は、抗癌転移療法に使用するための、これらの抗体のヒト化にも関する。
さらなる態様において、本発明は、骨粗鬆症の診断ツールとしての、TMSC1、TMSC2、TMSC3、およびTMSC4の一つ以上の使用を提供する。
実際、本発明の組成物および方法は、骨粗鬆症および癌、および癌転移等の、Limbinを標的とする任意の治療戦略に使用を見いだしうる。
別の態様においては、本発明は、単独または、注射または他の投与方法のための適切な医薬バッファーおよび担体と組み合わせた、本発明の単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFvフラグメント等の抗体、MSC、ペプチド、核酸、細胞またはベクターの一つ以上を、治療的に有効な量含む、医薬組成物を提供する。
さらに別の態様においては、本発明は、分化決定していない間葉系幹細胞の分化能の成熟中のモニタリングにおける、本発明の単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFvフラグメント等の抗体の使用に関する。本発明は、心疾患および他の状態等の医学的状態の治療において治療剤として使用するための医薬物質としての、単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFvフラグメント等の新規な抗体の使用にも関する。抗体、単クローン抗体、組換えscFvおよびそのscFvフラグメントが、一定の医学的状態の治療において、医療デバイス上に使用するコーティングとして使用されうる。単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFvフラグメント等の抗体は、成体幹細胞の精製、特徴づけおよび濃縮を促進する、診断用マーカとしても使用されうる。
本発明は、MSCを濃縮、精製および/または単離する方法であり、
(i) 細胞の混合集団を(本明細書に記載のアミノ酸/ポリペプチド配列のいずれかに対して産生された、または本明細書の核酸配列のいずれかから生成された場合)抗体または抗体フラグメントで処置する工程と、
(ii) 抗体と反応する同定された細胞を、MSCであるものとして単離する工程と
を含む方法を提供する。
したがって本発明は、このようにして濃縮、精製および/または単離されたMSC集団を提供する。したがって本発明は、配列番号1またはこれと実質的に相同の配列、配列番号5、配列番号7、配列番号9および配列番号11およびこれと実質的に相同の配列を含む群より選択されるポリペプチドを、MSCを傷害部位に結合するために、医療デバイスのコーティングに用いるために使用することを可能にする。したがって本発明は、当該ポリペプチドの一つまたは一つ以上でコートされたこのような医療デバイスを準備する方法を提供する。好適な医療デバイスには、縫合糸、組織足場、骨インプラントまたは創傷被覆材等が含まれる。本発明は、このようにして、このような集団が、損傷組織を修復するために特定のエリアに局所化されるのを可能にする。このような方法により、単離MSCによる患者の治療が可能となる。
本発明は、このような集団の使用により、MSC集団の単離、選択および/または濃縮のさらなる方法を特定することを可能にする。本発明の方法により得られた、精製された集団が、MSCの第二集団の純度をチェックするタイプの標準またはコントロールとして使用されうる。この場合には、例えば損傷組織の再生および修復を助けるために、MSCが局所組織に集められる。本発明は、本発明の方法により単離された幹細胞を治療的に有効な量含む医薬組成物の製造における、このような集団の使用も提供する。
本発明のポリペプチドは、MSCの部位への標的遺伝子治療を可能にするために、遺伝子送達システムと接合されうる。このような遺伝子送達システムには、配列番号1またはこれと実質的に相同の配列、配列番号5、配列番号7、配列番号9または配列番号11またはこれと実質的に相同の配列を含む群より選択されるポリペプチドを含む。

本発明の一実施形態では、ニワトリがin vitro培養ヒトMSCで免疫される従来法を使用して、四つのscFvが産生され、細胞ニワトリ免疫ファージディスプレイライブラリから単離された。ニワトリの脾臓および骨髄からmRNAを抽出し、組換え法によりゲノムmRNAライブラリからcDNAライブラリを生成することにより、ヒトMSCライブラリが作られ、cDNAがPCRにより増幅され、E.coliにおける発現を促進する領域内でファージミド発現ベクターにサブクローニングされた。ファージミドライブラリが、エレクトロポレーションによりE.coliに形質転換され、ヘルプファージの追加によりレスキューされ、scFvを発現するファージが得られた。三ラウンドのバイオパンニングにより、MSC特異的結合剤を選択するために、scFvを発現するファージがヒトMSCに加えられた。パンニングの最終ラウンドからのヒトMSCが採取され、ファージを用いてE.coliがインフェクションされ、これがプレートされ、成長させられて組換えscFvが生成された。これらのプレートからのコロニーが選択され、標準のPCR技術を用いて、scFvインサートにつき分析された。ユニークなscFv配列を生成するクローンを同定するために、各PCR反応物のALUIによる消化も行われた。この方法で得られた組換えscFvが、配列番号3により特徴づけられる。この様式で産出および特徴づけされた組換えscFvは、scFv(短鎖可変フラグメント)TMSC3と示されている。短鎖可変フラグメントは、抗体の抗原結合特異性を保持する任意のフラグメントを意味すると理解される。当業者には当然のことながら、アミノ酸配列、配列番号:3、5、7または9のいずれか一つまたは核酸配列、配列番号:4、6、8または10によりコードされるポリペプチド、および同に対して実質的相同性/相補性を有する配列を用いて、間葉系幹細胞のためのscFvを生成できる。
本発明は、同種のMSC集団の、より良好な特徴づけおよび精製を提供し、それにより、再生医療用の治療的に有効な製剤の改良につながる。TMSC1、2、3または4の方法は、同種のMSCのワンステップ精製を提供する。MSC結合のより高い特異性が、フローサイトメトリ実験において蛍光強度のより高いシフトを生み、したがって、より高感度なアッセイをもたらす。TMSC1〜4は、SPCの同定に特に有用である。
本発明の組換えscFvおよびそのフラグメントは、limbinレセプターと特異的相互作用により結合することにより、間質前駆細胞として知られるMSC亜集団に対する特異性をもつため、従来使用される抗体より優れている。
ライブラリがニワトリで産出されたため、密接に関連する種における抗体生成に関係する従来の免疫寛容の問題が、かなり克服される[1―2、6]。ニワトリの使用からより良好な免疫反応が生じ、ニワトリにおける免疫グロブリン遺伝子の数が少ないことによりライブラリを作るのがより容易であり、大きな市販のライブラリを購入するよりもライブラリがより安価で有効である。本発明のライブラリからのTMSC3 scFvは、フローサイトメトリによるルーチン精製および分析のための上清に機能的scFvを分泌する。
従来法に対する、TMSC3を用いた本発明の追加的な利点は、マウスおよびラットMAbsが使用されるときには、細胞に対するMAbの非特異的結合を防止するために、fc―遮断剤を用いることが必須であるという事実に関する。本発明においては、ニワトリ由来のscFvが使われるため、その必要はない。
ヒトとニワトリの間の進化的差異のため、TMSC3が、哺乳類種間で保存されたエピトープを認識しうることが予期される。したがって、マウス、ラットおよびウサギからSPCを精製するためにTMSC3を用いて、様々な動物の病気モデルにおけるSPCの治療効果の調査を促進しうる。マウス、ラットおよびウサギから前破骨細胞を精製するためにTMSC3を用いて、様々な動物の骨修復および骨粗鬆症モデルにおける前破骨細胞の調査を促進することもできる。
新規な組換えscFvは、再生医療用にSPCを遺伝的に改変するために、遺伝子治療アプローチにおける標的化デバイスとして使用することもでき、SPCを傷害部位に結合し、損傷組織の修復を助けるために、補綴インプラントまたは縫合糸をコートするために使用することもできる。
本発明のポリペプチド、ペプチド、抗体、そのフラグメントおよびタンパク質の一つ以上に実質的に相同であるものとして本明細書に記載される、ポリペプチド、抗体、単クローン抗体、組換えscFvまたはそのscFVフラグメントおよびタンパク質には、変異体、誘導体、および代替物、特に保存的置換を含むものも含まれるものと理解されるものとする。
保存的置換は、ポリペプチドの三次構造を大幅に変更しないか、ポリペプチドの活性を大幅に変更しないか、標的部位における分子の電荷または疎水性を大幅に変更しないか、または標的部位側鎖領域のバルクを大幅に変更し、またはこれを欠かない、置換として定義されうる。
一般に、保存的置換は、以下の群の各々の中で行われうる:疎水性:Met、Gly、Ala、Val、Leu、Ile;長い疎水性:Leu、Ile;短い疎水性:Gly、Ala、Val;中性の親水性:Cys、Ser、Thr;ヒドロキシル基をもつ:Ser、Thr;酸性:Asp、Glu;塩基性:Asn、Gln、His、Lys、Arg;正電荷残基:Lys、Arg、His;正電荷、非環状性残基:Lys、Arg;三次構造に大きく影響する残基:Gly、Pro、His;および芳香族残基:Trp、Tyr、Phe。
本明細書において核酸に適用される実質的に相同または実質的に賞賛的という用語は、約37℃で、正常細胞内塩分濃度で適切にアンチセンスまたはセンス鎖に結合するために十分に相同である、任意の核酸をさす。用語は、コドン利用における重複変化を含む核酸も含みうる。
クローンTMSC1、TMSC2、TMSC3およびTMSC4を同定する、第三ラウンドのクローンのパンニングからの、scFvインサートのPCR増幅である。 TMSC1、2、3、および4PCR産物の制限消化から、特徴的指紋、クローンごとに異なるユニークなバンドのパターンが生じる。 TMSC scFvの代表的な精製。(a)TMSC scFvが、平衡化されたNi―NTAカラムに結合され、1Mイミダゾール濃度の段階的増加により溶出される。(b)溶出TMSC3の純度が、銀染色およびウェスタンブロットの両方により確認され、約25KkDaの分子量のバンドが生成された。 P0およびP1 hMSC標的細胞に対するTMSC scFvの結合が、抗HA fitc二次を用いて、フローサイトメトリにより評価され、コントロール細胞は、抗―HA fitcのみでインキュベートされた。TMSC svFvが、接着P0 hMSCの亜集団に結合した(8日)。P1(15日)では、陽性細胞の割合が、比較的一定にとどまったか(TMSC1および4)、数が増加し(TMSC2および3)、これらの細胞が増殖していることを示した。しかし、リード抗体TMSC3による、後期複数継代細胞のその後の染色は、マーカシグナルの減少を示した。 ヒト骨髄細胞に対するTMSC scFvの代表的な結合。ヒト骨髄細胞が、TMSC1、2、3または4のいずれかとともにインキュベートされ、抗HA fitcにより検出され、T細胞、単球、B細胞、HSCs、白血球、NK細胞および赤血球前駆体の検出のために、礼儀正しくCD3、CD14、CD19、CD34、CD45、CD56、またはCD235aのいずれかで共染色された。TMSC+ve細胞の大部分は、系統陰性およびCD45+veである。TMSC1、2、3、および4は、同系統―ve CD45+ve細胞集団に異なる成長段階で結合する。CD45+ve CD14+ve単球の非常に小さなサブセットも、TMSC1、2、3および4を結合する。これらは、前破骨細胞として同定されている。 ヒト骨髄からのTMSC標的細胞のMACs単離。抗HAミクロビーズのみを使用した単離により可視のコロニーはなかった。これに対して、各TMSC scFvを使用してCFUsが得られ、単離後20日目に撮影された。 三人の異なる骨髄ドナー(i,iiおよびiii)からの、TMSC3 MACs単離細胞の形態、表面表現型および分化能が、「直接プレートされた」hMSCと比較された。(a)P3では、TMSC3+ve細胞が、典型的なMSC様の線維芽細胞形態およびCD14−ve、CD45−ve、CD73+veおよびCD105+veのFACsプロフィールを有した。培養で増殖したTMSC3+ve細胞は、CD14−veであり、速やかに増殖するSPCの存在下で、共単離された前破骨細胞が増殖せず、細胞死することを示す。(b)代表的画像が、未処置の培養と比較した、脂肪生成補助剤で処置された培養における、オイルレッドO陽性空胞の沈着による陽性の脂肪生成を示す。コントロールhMSCおよびTMSC3単離培養の両方において、骨形成誘導培地に応答して、アルカリホスファターゼが特異的にアップレギュレートされた。(c)コントロールhMSC培養と比較した、三人の異なるドナーからのTMSC3―単離細胞の軟骨生成表現型への分化が、無血清軟骨生成培地においてTGF―β3に曝露された凝集培養の細胞外マトリクスにおける、硫酸プロテオグリカン(GAG)の存在により決定された。 TMSC3の代表的フローサイトメトリ解析が、ヒト末梢血における前破骨細胞に対する結合を示す。(a)単球を同定するためにCD14で染色された全血。(b)MCSFおよびTMSC3による共染色が、全TMSC3+ve細胞が、MCSF+veであることを示した。(c)CD51/CD61およびTMSC3による共染色が、全TMSC3+ve細胞がCD51/CD61+veであることを示した。前破骨細胞は、CD14+ve MCSF+veおよびCD51/CD61+veであり、したがってヒト骨髄および血液におけるCD14+ve TMSC3+ve細胞は、前破骨細胞である。 マウス骨髄細胞に対する、TMSC scFvの代表的結合。マウス骨髄細胞が、TMSC1、2、3または4のいずれかとともにインキュベートされ、抗HA fitcにより検出され、CD44で共染色された。TMSC scFvが、マウス骨髄におけるCD44+ve細胞サブセットに結合する。 ウマ骨髄細胞に対する、TMSC scFvの代表的結合。ウマ骨髄細胞が、TMSC1、2、3または4のいずれかとともにインキュベートされ、抗HA fitcにより検出された。TMSC scFvが、ウマ骨髄における細胞サブセットに結合する。
標準的な分子生物学および組換え生物工学の方法を用いて、成体ヒト骨髄から単離された、培養ヒト間葉系幹細胞により免疫されたニワトリの脾臓および骨髄からscFvファージライブラリがつくられた。scFvがファージの表面に発現され、培養ヒトMSCに対する特異性につきスクリーニングされた。ヒト幹細胞によるニワトリの免疫により実質的および特異的免疫反応が生じるため、ニワトリが、ファージディスプレイscFvライブラリの開発のために選択された。ヒト、ニワトリの進化的分離、およびニワトリによるヒト抗原の免疫寛容の欠如により、ニワトリがscFvファージディスプレイライブラリの産生のための優れた選択肢となる。ニワトリの使用により、高度に保存された表面膜タンパク質に対するより優れた免疫反応が生じ、ニワトリにおける免疫グロブリン遺伝子の数が少ないため、ライブラリをより容易に作製でき、大きな市販のライブラリを買うよりライブラリが安価で有効である。
材料
SA茶ニワトリが、Agro―Bio(商標)(La Ferte St.Aubin,France)から得られた;Invitrogen(商標)(Carlsbad,CA)からのTRI試薬およびSuperScript(商標)First Strand Syntheis System;Sigma(商標)(St.Louis,MO)からのクロロホルム、2―プロパノール、エタノール、アガロースおよび分子生物学等級の水;Eppendorf(商標)(Hamburg,Germany)からのPerfectprep(商標)Gel Cleanup;Stratagene(商標)(La Jolla,CA)からのXLI blueおよびQuick―Pik(商標)電気泳動溶出カプセル;Pierce(商標)(Rockford,Illinois)からの抗IgYおよびウサギ抗ニワトリFITC結合体;CLP direct(San Diego,CA)からのRNAse除去溶液「Mercury」;Specialty Media(商標)(Phillipsburg,NJ)からの酵素フリー細胞解離溶液およびNew England Biolabs(商標)(Ipswich,MA)からの分子生物学消耗品。Electrocompetent XLl blue(商標)(Stratagene(商標);La Jolla,CA);Sigma(商標)(St.Louis,MO)からのトリプシン、ウシ血清アルブミン、塩化ナトリウム、PEG8000、グリシン、トリエチルアミン、スーパーブロス培地およびPBSタブレット;Roche(商標)(Basel;Switzerland)からの抗生物質;Cambrex(商標)(Berkshire,UK)からのEBM―2;Micropulser(商標)(Biorad(商標);Hercules,CA);シークエンシングプライマは、MWG(商標)(Martinsried,Germany)から得られた。
免疫のためのヒトMSCの単離および増殖のための方法
インフォームドコンセントが与えられた後、正常なドナーの腸骨稜から骨髄穿刺液が得られた。パーコール分画の後、またはダイレクトプレーティングにより、前述のようにMSCが単離され、培養において増殖された[7,48]。
吸引液が、ダルベッコのリン酸塩緩衝食塩水(D―PBS)により洗浄された。細胞を含む画分が、パーコールクッション(1.073g/ml)上へ1〜3x10有核細胞/25mlの密度で穏やかに重層され、1,100xgで30分間20℃で遠心分離された。1.073g/mlの密度のインターフェイスの有核細胞画分が集められ、D―PBSにより一度洗浄され、MSC培地(抗生物/抗真菌補助剤を伴う1.0g/lグルコース(DMEM―LG)を含むダルベッコの変法イ―グル培地中の10%ウシ胎児血清(FBS))に再懸濁された。細胞が、T―175フラスコ中に1.6×10細胞/cmでプレートされた。培養は、加湿された大気および5%CO中で、37℃で維持された。P0の終わりに、付着したコロニーが、細胞スクラッピングにより分離され、細胞が、10%DMSO/90%FBS中で使用まで冷凍保存された。
免疫scFvライブラリのレパートリの調製
ニワトリを免疫するための方法
冷凍保存された幹細胞が、37℃の水槽で解凍され、Eppendorf(商標)デスクトップ遠心機で、5分間1000rpmでスピンダウンされた。冷凍剤が吸引され、細胞が、合計10mlの完全添加細胞培養培地中に再懸濁され、37℃の水槽中に45分間おかれた。幹細胞が再びスピンダウンされ、PBS溶液で洗浄された。洗浄工程が一度繰り返された。各細胞系統の50,000の細胞が、合計200μlの体積のPBSに再懸濁され、ニワトリの翼下に皮内注射された。全てのニワトリが、免疫前に採血された。二羽のニワトリ(no.261および262)に、間葉系幹細胞が注射され、免疫反応を高めるため、三週後に鳥に50,000の細胞の注射の第二ブーストを受けさせた。最終ブーストが、さらに三週後に行われた。ニワトリが32日目に採血され、最終的免疫工程の3日後から卵が回収された。全ての鳥が、49日目に殺され、脾臓および骨髄が採取され、ホモジナイズされ、TRI試薬(Invitrogen(商標))中に貯蔵された。
脾臓および骨髄ホモジネートからのmRNAの調製のための方法
使用する全ての装置が、実験前にRNAse除去溶液(CLP direct)で掃除された。ニワトリからのホモジナイズされた脾臓および骨髄試料が、30℃の水槽で解凍され;10mlのTRI試薬が加えられ、完全に混合された。チューブが、2500gで10分間回転され、各上清10mlが、新しいポリプロピレン遠心分離チューブに移された。6mlのクロロホルムが、ラミナーフローフード下で加えられ、チューブが数回逆さにされた。5分後、試料を再び混合し、5分間室温でインキュベートして、核タンパク質をRNAから分離させ、15分間17,000gで、4℃で回転させた。水相が新しいチューブに移され、7mlのイソプロパノールが加えられ、RNAが、室温で20分間15,000rpmで遠心分離することにより沈殿された。上清が廃棄され、ペレットが70%のエタノールで洗浄され、10分間の15,000rpmでの遠心分離により再び沈殿された。精製RNAが水に溶解され、Shimadzu(商標)分光光度計において、収率および純度が検査された。
ニワトリmRNAからのcDNA合成
第一鎖cDNA合成が、RT―PCRのためのSuperScript(商標)First Strand(商標)合成システムとともに含まれる、Invitrogen(商標)取扱説明書の指示にしたがって行われた。簡潔にいうと、25μgのニワトリmRNAが、DEPC水において、dNTP’s、oligo(dT)と混合され、5分間65℃でインキュベートされた。試料が、1分間氷上で冷やされ、RTバッファー、MgCl、DTT(ジチオトレイトール)、RNAse Out(商標)RNAse阻害剤と混合され、2分間42℃でインキュベートされた。5μlのSuperScript II(商標)リバーストランスクリプターゼが、チューブに加えられ、42℃で50分間インキュベートされた。全ての反応が、15分間70℃で終了され、氷上で冷やされ、37℃で20分間RNAse Hとともにインキュベートされた。
scFvライブラリの構築
PCRを用いた標的cDNAの増幅が、Carlos Barbas等による、“Phage display―A laboratory manual”(6)に与えられる指示にしたがって行われた。簡単にいうと、ニワトリ261および262(試料がプールされた;MSCライブラリ)、263(7日EPCライブラリ)、264(増殖ライブラリ)、および284(コントロールライブラリ;PBSライブラリ)から得られた全ての試料につき、ニワトリVドメインを増幅するためにプライマCSCVHo―F(センス)(配列番号11)およびCSCG―B(配列番号12)を用いて、短リンカーscFvライブラリが生成された。同様に、プライマCSCVK(センス)(配列番号13)およびCKJo―B(リバース)(配列番号14)が、Vλドメインを増幅するために利用された。
プライマ
CSCVHo―F:ニワトリVドメインセンス:配列番号11
CSCG―B:ニワトリVドメインアンチセンス:配列番号12
CSCVK:ニワトリVλドメインセンス:配列番号13
CKJo―B:ニワトリVλドメインアンチセンス:配列番号14
PCRラウンド1
scFvライブラリの構築のためのニワトリV配列の第1ラウンドPCR増幅。
ニワトリcDNAからのVセグメントを増幅するために、プライマCSCVHo―F(短リンカー)が、CSCG―Bリバースプライマと組み合わされる。センスプライマは、重複伸長PCRにおいて使用されるリンカー配列に対応する配列テイルを有する。リバースプライマは、Sfi I部位を含む配列テイルを有する;このテイルが、第二ラウンドPCRにおいて使用されるリバース伸長プライマにより認識される。
0.5μgのcDNAが、各プライマ60pmolを用いて、以下のプロトコルにしたがって30PCRサイクルにおいて増幅された:最初のcDNA変性をもたらした、5分間の94℃の温度での初回サイクル。その後、94℃の温度で15秒間;56℃の15秒間、および72℃の90秒間の30サイクルが行われた。72℃の温度での10分間の一度の最終伸長工程が、PCRプロトコルの最後に含まれた。そしてPCR産物が、エタノールおよび酢酸ナトリウムで沈殿され、−20℃で60分間貯蔵された後、17,500gで、4℃でスピンダウンされ、水に溶解され、2%アガロースゲル上で分析された。PCR産物がゲルから取り出され、Eppendorf Perfectprep(商標)Gel Cleanupキットを用いて溶出された。
scFvライブラリの構築のためのニワトリVλ配列の増幅。
ニワトリcDNAからのVλ遺伝子セグメントを増幅するために、CSCVKセンスプライマが、CKJo―Bリバースプライマと組み合わされる。CSCVKは、Sfi I部位を含む5’配列テイルを有し、第二ラウンドPCRにおいてセンス伸長プライマにより認識される。リバースプライマは、重複伸長において用いられるリンカー配列テイルを有する。
簡単にいうと、0.5μgのcDNAが、各プライマ60pmolを使用して、以下のプロトコルにしたがって、34PCRサイクルにおいて増幅された:最初のcDNA変性をもたらした、4分間の継続時間の94℃の温度での初回サイクル。その後、94℃の温度で45秒間;50℃で1分間、および72℃で90秒間の34サイクルが行われた。72℃の温度での10分間の一度の最終伸長工程が、PCRプロトコルの最後に含まれた。PCR産物が、エタノールおよび酢酸ナトリウムで沈殿され、−20℃で60分間貯蔵された後、17,500g、4℃でスピンダウンされ、水に溶解され、2%アガロースゲル上で分析された。PCR産物がゲルから取り出され、Eppendorf’s Perfectprep(商標)Gel Cleanupキットを用いて溶出され、Shimadzu(商標)分光光度計において分析された。
重複伸長PCR
完全長短リンカー単鎖抗体を生成するために、「重複伸長PCR」が行われた。このPCRは、scFvライブラリの構築のために、ニワトリVおよびVλフラグメントを組み合わせる。このPCRの第二ラウンドにおいて使用されるセンスおよびリバース伸長プライマ(CSC―F;配列番号5およびCSC―B;配列番号6)は、PCRの第一ラウンドにおいて生成された配列テイルを認識する。
簡単にいうと、100ngのVおよびVλPCR産物が、CSC―FおよびCSC―Bプライマ60pmolを用いて、以下のプロトコルにしたがって、25PCRサイクルにおいて重複および増幅された:最初のcDNA変性をもたらした、5分間の継続時間の94℃の温度での初回サイクル。その後、94℃の温度で15秒間;56℃で15秒間、および72℃で2分間の25サイクルが行われた。72℃の温度での10分間の一度の最終伸長工程が、PCRプロトコルの最後に含まれた。PCR産物が、エタノールおよび酢酸ナトリウムで沈殿され、−20℃で60分間貯蔵された後、17,500g、4℃でスピンダウンされ、水に溶解され、2%アガロースゲル上で分析された。PCR産物がゲルから取り出され、Eppendorf’s Perfectprep(商標)Gel Cleanupキットを用いて溶出され、Shimadzu(商標)分光光度計において分析された。
MSCライブラリを含むPCR産物が、Sfi Iにより50℃で5時間消化され、ファージミドベクターpCOMB3XSSにサブクローニングされた。
プライマ
CSC―F(センスプライマ):配列番号15
CSC―B(リバースプライマ):配列番号16
成体ヒト間葉系幹細胞に対する免疫scFvライブラリのレパートリの標的化
scFvライブラリのE.coliへの形質転換
Electrocompetent XL1 blue細菌が氷上で解凍され、氷上のキュベットにおいて組換えscFvライブラリと混合された。2.5KV、25μF、200ΩでMicropulser(Biorad(商標))により、エレクトロポレーションが行われた。細菌がキュベットからガラス管に移され、37℃、220rpmで1時間インキュベートされた。
ファージの調製
アンピシリン(25μg/ml)およびテトラサイクリン(10μg/ml)が、形質転換細菌に加えられ、37℃、220rpmでもう一時間インキュベートされ、183スーパーブロス培地、アンピシリンおよびテトラサイクリンを含む500mlフラスコに移された。2mlのVCSM13ヘルパーファージが加えられ、試料が2時間、37℃、220rpmでインキュベートされた。カナマイシンが25μg/mlで加えられ、全ての培養が6時間、37℃、220rpmでインキュベートされた。細菌が、15分間3,000rpmでスピンダウンされ、細菌ペレットが、将来のプラスミド調製のために−80℃で貯蔵された。
ファージが、8gのPEG、6gのNaClの添加により、上清から沈殿された後、氷上での30分間のインキュベートおよび4℃での15分間の15,000gでの遠心分離が行われた。ファージペレットが、1%BSA/PBSで一度洗浄され、0.2μmフィルタに通された。
scFvライブラリの多様性
元のインプットライブラリおよびスクリーニングされたライブラリのアリコートが、上述のように、XL1 blueにエレクトロポレーションされた。トランスフォーマントの数は、5×10/ライブラリであった。20のクローンが、スーパーブロス/カルベニシリンプレートからランダムに選択され、scFvがプライマompseq(配列番号7)およびgback(配列番号8)を用いたPCRにより増幅されたPCR産物が、AluIにより37℃で4時間消化され、4%ゲル上でユニークな制限消化パターンにつき分析された。
培養間葉系幹細胞に対するファージライブラリのパンニング
MSC表面上の抗原に対する反応性を有するscFvの単離が、バイオパンニングの反復サイクルにより達成された。バイオパンニングは、ファージディスプレイされたscFvのライブラリをプラスチックプレートまたは常磁性ビーズに固定された標的とともにインキュベートすることにより、典型的に実行される。ファージが、MSC上の固定標的に結合され、その後、非結合ファージが洗浄除去され、結合した材料が溶出される。その後、溶出されたファージが再増幅され、所望の抗原標的に結合する能力を有するファージクローンを濃縮するために、結合および増幅の数回の追加的サイクルが行われる。
このMSC特異的ファージミドライブラリが、E.coliに形質転換され、VCSM13ヘルパーファージの添加によりレスキューされた。得られたファージ発現scFvが、パンニングとして知られるプロセスにおいてMSC特異的結合剤を選択するために、培養ヒトMSCに加えられた。全部で三ラウンドのパンニングが、実行された。パンニングの第一ラウンドにおいては、ファージライブラリが、約2.5x10の培養ヒトMSCとともに、(非特異的scFvを除去するために)7x10PBMCsの添加を伴って、インキュベートされた。その後、細胞およびファージが、150rpmで、4℃で30分間インキュベートされた。非結合ファージおよびPBMCsが、洗浄除去され、MSCに結合されたファージが、パンニングの次のラウンドのためにレスキューされた。約5x10ヒトMSCおよび3x10PBMCsが、パンニングの第二ラウンドで使用された。そして、最後の最もストリンジェントなパンニングのラウンドでは、5x10MSCおよび8x10PBMCsが使用された。パンニングの最終ラウンドからのヒトMSCが採取され、ファージを用いてE.coliがインフェクションされ、これらがその後プレートされ、37℃で一晩増殖させられた。これらのプレートからのコロニーが選択され、PCRを用いて、scFvインサートにつき分析された。ユニークなscFv配列を生成するクローンを同定するために、各PCR反応物のALUIによる消化も行われた。この様式で産出され、特徴づけされた組換えscFvが、TMSC1、TMSC2、TMSC3およびTMSC4と示されており、それぞれ配列番号:5、7、3および9により特徴づけられる。短鎖可変フラグメントは、抗体の抗原結合特異性を保持する任意のフラグメントを意味すると理解される。
プライマ
Ompseq:配列番号17
Gback:配列番号18
これらの配列は、ライブラリ領域隣接配列のプライマである。Ompseqが、ファージミドpComb3XSSにおけるscFvの上流の配列を認識する一方、gbackは、pComb3XSSにおけるscFvの下流の配列に結合する。これらのプライマを用いて、ファージミドへのサブクローニングが良好に達成されていることが検証される(対して、サブクローニング前にニワトリ抗体を増幅するために用いられたプライマ1〜6)。
ユニークscFvクローンの単離および発現
本発明のライブラリから同定されるユニーククローンは、ルーチン精製およびフローサイトメトリによる分析のための上清に、機能的scFvを分泌する。冷凍グリセロール保存されたユニークscFvが、カルベニシリン(carb)を含むスーパーブロス(SB)寒天プレートに接種するために用いられ、一晩37℃でインキュベートされた。このプレートからの単一のコロニーが、2mlの予熱されたSB+carbに接種するために用いられ、37℃で8時間インキュベートされた。その後、2mlの培養が、250mlのSB+carbに接種するために用いられ、250rpmで37℃で3時間インキュベートされた。scFvの発現が、培養への0.4mlの0.5M IPTGの添加により誘導された。11時間後に、培養が氷上に配置され、4℃で20分間11,000rpmで遠心分離された。上清が、0.2μmフィルタを用いてフィルタ殺菌された。タンパク質を精製させるために、6xヒスチジン(HIS)残基がscFvに標識され、ヘマグルチニン(HA)デカペプチド標識の存在が、抗HA抗体を使用したscFvの検出を可能にする。六つのヒスチジン残基をタンデム発現するように操作されたタンパク質が、ニトリロトリ酢酸(NTA)に共有結合により固定されたNi2+イオンを含む樹脂を使用して精製されうる。イムミダゾール(Immidazole)およびNaClが、礼儀正しく1mMおよび0.5Mの最終濃度まで培養上清に加えられ、その後、Ni―NTAアガロースカラム(Qiagen(商標))に加えられ、4℃で一晩滴下された。カラムが、5mMイミダゾールで洗浄され、結合scFvが0.25Mのイミダゾールで溶出され、セントリコンろ過システムを使用して濃縮され、バッファーがPBSと交換された。
scFvの特徴づけ
scFv調製の質が、イムノブロッティングにより分析された。10%のSDS―PAGEが、ニトロセルロース膜上に移された(30V、1時間)。膜が、3%のBSA/PBS溶液中で一晩ブロックされてから、1:1000希釈の抗HA抗体(Roche(商標))中で、室温で1時間インキュベートされた。scFv TMSC3が、1:5000希釈の抗ラットHRP抗体(Roche(商標))の添加により検出され、ECL(商標)試薬を用いて検出された。銀染色により、His―標識精製が成功していることが確認された。
scFvのシークエンシング
MWG(Germany)により、プライマompseq(配列番号17)およびgback(配列番号18)を用いて、scFvクローンTMSC1、2、3および4のシークエンシング分析が行われた。
細胞表面標的の同定
ScFv TMSC3が、細胞表面抗原の同定のために、RZPD(商標)(Heidelberg)に送られた。50μgのscFvが、ヒト胎児脳cDNA発現ライブラリにおいて結合ドメイン候補を検出するために用いられた。このライブラリは、38,000の異なるタンパク質を含む。ウサギ抗HA抗体が、二次抗体として使用された。
Limbinは、EVC2(エリスバンクレベルト症候群2)遺伝子の発現産物であることが分かっている[50]。本発明の技術は、初めて、limbinが間葉系幹細胞の細胞表面に発現されると決定した。本発明は、limbinを用いて、間葉系幹細胞を選択的に単離および特徴づけできるという、予想外の結果を提供する。
現在の文献は、ウシにおける、エリスバンクレベルト症候群および小人症における、limbinの役割を示唆する[51]。このタンパク質の正確な機能は知られていないが、正常な成長および発達に重要であると思われる[50、52―55]。研究者は、EVC2遺伝子が、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、および運動に使う筋肉(骨格筋)を含めて、出生前のいくつかの臓器および組織において活性であると決定している[50、51]。EVC2遺伝子における変化が、Weyers骨形成不全と呼ばれる骨格障害も引き起こすと考えられる[54]。この状態をもつ人は、軽度に低身長でありうるが、多くの場合は平均身長である。他の特徴には、余分の指および足指(多指症)、爪の異常形成、および歯の異常が含まれる[54]。一つのEVC2突然変異だけが、Weyers骨形成不全と関連付けられている。当業者には当然のことながら、limbinタンパク質を用いて、間葉系幹細胞のためのscFvを生成できる。
精製TMSC3を用いたヒトMSCのFACS分析
従来法に対する、scFvを使用する本発明の追加的利点は、マウスおよびラットMAbsが使用されるときには、細胞に対するMAbの非特異的結合を防止するためのfc―遮断剤の使用が必須であるという事実に関する。本発明においては、ニワトリ由来のscFvが使用されるため、その必要はない。培養MSCが、細胞スクラッピングにより採取され、FACsバッファーで洗浄された(DMEM培地+1%ウシ血清アルブミン(BSA)+0.02%アジ化ナトリウム)。合計50μlの、10μg/mlのカラム精製scFvが、試料あたり1x10細胞に加えられ、氷上で30分間インキュベートされた。細胞が、培地+1%BSAで二度洗浄され、氷上の30分間の1:50希釈の抗HA FITC抗体50μlの添加により、細胞に対するscFvの結合が検出された。試料が、FACsバッファーにおいて二回洗浄された。死細胞および残屑をゲートアウトするために、200μl DMEM+DAPI(200nM)に再懸濁された。Divaソフトウェア(BD)を備えたFACS ARIAで、フローサイトメトリ分析が実行された。
精製TMSC3を用いた骨髄のFACS分析。
ヒト骨髄における成体幹細胞を結合する、TMSC1、2、3および4scFvの能力が、以下のように分析された:ヒト骨髄が、Cambrexにより供給された。1mlのヒト骨髄が、4℃で、5分間350gで遠心分離され、1mlの赤血球溶解バッファーを再懸濁し、90秒間室温でインキュベートされた。細胞が遠心分離され、FACSバッファー(DMEM培地+1%BSA+0.02%アジ化ナトリウム)で洗浄され、FACsバッファー中20%ヒト血清とともにインキュベートされ、30分間氷上でインキュベートされた(これは、CDマーカを使用する場合のFcブロッキング工程である)。その後、細胞が、50μlの10μg/ml精製scFvとともに、氷上で30分間インキュベートされた。細胞が、FACsバッファーで二回洗浄され、50μlの1:50希釈のラット抗HA FITC(Miltenyi)プラス10μlのCD3 APC、CD14 APC、CD19 APC Cy7、CD34 APC、CD45 PE Cy7、CD56 APC(BD Biosciences(商標))、およびCD235a APC Cy7のいずれかとともにインキュベートされ、暗所で、氷上で30分間インキュベートされた。細胞が洗浄され、BD FACSARIAソーターで分析された。
マウス骨髄のためにマウスが殺され、骨髄が採取された。RBC溶解バッファー(Sigma)を使用して赤血球細胞が溶解され、細胞がFACsバッファー中に再懸濁された。その後、細胞(1x10細胞)が、50μlの10μg/mlの精製scFvとともに氷上で30分間インキュベートされた。細胞が、FACsバッファーにより二回洗浄され、50μlの1:50希釈ラット抗HA FITC(Miltenyi)プラス10μlのCD44 APCとともにインキュベートされ、暗所で、氷上で30分間インキュベートされた。細胞が洗浄され、BD FACSARIAソーターで分析された。
ウマ骨髄が、赤血球溶解バッファー(BD Pharmlyse)で処置され、FACsバッファー中に再懸濁された。その後、細胞(1x10細胞)が、50μlの10μg/mlの精製scFvとともに氷上で30分間インキュベートされた。細胞が、FACsバッファーにより二回洗浄され、50μlの1:50希釈ラット抗HA FITC(Miltenyi)とともにインキュベートされ、暗所で、氷上で30分間インキュベートされた。細胞が洗浄され、BD FACSARIAソーターで分析された。
ヒトMSCの脂肪生成
単層培養のヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、デキサメサゾン、インシュリン、3―メチルイソブチルキサンチン(MIX)およびインドメタシンを含む脂肪生成培地の存在下で、脂肪生成分化を経る[45]。脂肪生成分化は、脂質空胞の形成により決定される。
方法:各アッセイにつき、2つのウェル(一つは「処置」、一つは「コントロール」)のhMSCが、6ウェルプレートのウェルあたり2x10細胞で準備され(2〜3mlの体積で)、37℃および5%COでインキュベートされる。細胞がコンフルエントになるまで、hMSC培地が一週間あたり三回供給される。コンフルエンシー後、2.0mlの適切な培地が各ウェルに加えられる。1日目(コンフルエンシー後)、処置ウェルにフィルタ滅菌された脂肪生成誘導培地(0.2mLの1mMデキサメサゾン溶液、0.4mLの100mMインドメタシン溶液、2mlの抗生物―抗真菌溶液、20mlのウシ胎児血清、2mlの1mg/mlインシュリン、0.2mlの500mMのMIX、175.2mlのHG―DMEM)が供給され、「コントロール」ウェルには、hMSC増殖(20mlのウシ胎児血清、2mlの抗生物―抗真菌溶液、178mlの低グルコースDMEM)が供給される。5および9日目、「処置」ウェルに脂肪生成誘導培地が供給され、コントロールウェルには、hMSC増殖培地が供給される。4、8、12、15、および17日目には、処置ウェルに脂肪生成維持培地(2mlの抗生物―抗真菌溶液20mlのウシ胎児血清、2mlの1mg/mlインシュリン、176mlのHG―DMEM)が供給され、コントロールウェルには、hMSC増殖培地が供給される。19日目には、各ウェルを2mlの滅菌DPBSその後10%のホルマリンですすぐことにより細胞が固定され、室温で30分間インキュベートされ、1mlのDPBSで細胞がすすがれ、2mlのDPBS中に再懸濁される。オイルレッドO染色を用いて、脂肪生成が定量されうる。簡単にいうと、オイルレッドOの使用液(6パートのストックオイルレッドO(0.3g/100mlイソプロパノール99%)を4パートの蒸留水と混合)を、細胞の層がカバーされるまでピペットし、5分間置く。吸引液を除去し、水道水ですすぐ。ヘマトキシリンをプレート上にピペットし、1分間染色し、4分間暖かい水道水で洗浄し、顕微鏡で染色を観察する。染色された構造が、脂肪生成細胞に特徴的である脂質空胞を表す。イソプロパノールを使用してオイルレッドOを抽出する。490nm〜520nmで吸光度を読み取り可能な分光光度計または96ウェルプレートリーダーを使用して、抽出された染色を定量する。
ヒトMSCの軟骨形成ペレット培養
方法:培養MSCがトリプシン処理され、計数され、各軟骨生成ペレットが15mLポリプロピレン円錐スクリュートップチューブに2x10細胞を含むように、0.5mlの完全軟骨生成培地(DMEM(高グルコース)+6.25μg/mLウシインシュリン、伝達(transferring)、亜セレン酸、5.33μg/mLリノール酸、1.25mg/mL BSA、100mMデキサメサゾン、50μg/mLアスコルビン酸―2―リン酸塩、40μg/mLプロリン、1mMピルビン酸ナトリウム、100U/mLペニシリン、10,000μg/mLストレプトマイシン、250ng/mLアンフォテリシンB+TGF―β3@10ng/mL)中に再懸濁され、37℃、5%COでインキュベートされた[46]。24時間後、各チューブの底の細胞が、1/2〜1mmの直径のボールまたはディスクに収縮する。培地が一週間に3回変えられ、1〜2週で軟骨生成分化が始まる。四組のペレットが、0、14および21日目のアッセイの各時点に準備される。各時点での二つのペレットが、組織評価のために使用され、残りの二つが生化学的分析に使用される。
軟骨形成が、定量されうる。簡単にいうと、ペレットが、パラフィン包埋により採取されるか、または冷凍切断または生化学的分析のための適切な溶液中に配置される(硫酸グリコサミノグリカン(S―GAG)の分析のための、ペレットのパパイン消化)。高品質の薄い組織切片のために、採取されたペレットが直ちに、4%のパラホルムアルデヒドの等浸透液または10%の緩衝ホルマリンにより、30〜60分間固定される。その後ペレットが、脱水、パラフィン包埋、セクショニング、染色のため、固定溶液から70%のエタノール溶液に移される。細胞外基質へのS―GAGの輸出が、軟骨生成表現型の特質である。S―GAG蓄積の測定は、S―GAGに合成されたときにジメチルメチレンブルーにより示される異染性変化と、これによる染料の吸収スペクトルのシフトとに依存する。簡単にいうと、ペレットがパパインにより消化され、DMMBの溶液が消化物に加えられる。陽性反応により、595nmでの吸光度の減少が生じる。得られた値が、既知量のコンドロイチン硫酸を用いて準備された標準曲線に対して比較される。
ヒトMSCの骨形成
方法:6ウェルプレートにウェルあたり3x10細胞の密度でプレートされたヒトMSCが、hMSC培地(100mlのウシ胎児血清、10mlの抗生物―抗真菌溶液、890mlの低グルコースDMEM)において、骨形成補助剤(0.1mlの1mM Dex溶液、10mlの1M β―グリセロリン酸溶液および5mlの10mM AsAP)の非存在下および存在下で16日間成長させられる。毎週二回培地交換が行われ、培地体積はウェルあたり2mlである[47]。16日目に石灰沈着を測定することにより、骨形成が定量されうる。
参考文献

Claims (30)

  1. 配列番号1またはこれと実質的に相同の配列を含むアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
  2. 配列番号2またはこれと実質的に相同の配列を含む、核酸配列。
  3. 請求項1に記載のポリペプチドまたは請求項2に記載のDNA配列によりコードされるポリペプチドに対して産生された、抗体またはそのフラグメント。
  4. 配列番号3のアミノ酸配列または配列番号4によりコードされるアミノ酸配列を含む、抗体。
  5. 請求項1、3または4のいずれか一つに記載のポリペプチドをコードする、核酸分子。
  6. 配列番号4、配列番号6、配列番号8または配列番号10またはこれと実質的に相同の配列を含む群より選択される配列を含む、核酸分子。
  7. 配列番号3、配列番号5、配列番号7、配列番号9またはこれと実質的に相同の配列を含む群より選択される配列を含む、ポリペプチド。
  8. 請求項2、5または6のいずれか一つに記載の核酸分子を含む、ベクター発現系。
  9. 請求項2、5または6のいずれか一つに記載の核酸でトランスフェクションされるか、または請求項8に記載のベクター系を含む、細胞。
  10. 間葉系幹細胞または破骨細胞に対する抗体または抗体フラグメントを生成するための、請求項1に記載のポリペプチドまたは請求項2に記載のヌクレオチド配列の使用。
  11. 間葉系幹細胞または破骨細胞を同定するための、請求項1または7に記載のポリペプチド、請求項3または4に記載の抗体、請求項2、5または6のいずれか一つに記載の核酸、請求項8に記載のベクター発現系または請求項9に記載の細胞の使用。
  12. 前記細胞集団がSPC集団である、請求項11に記載の使用。
  13. 変性疾患、心血管疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患の治療のための薬物の製剤における、請求項1または7に記載のポリペプチド、請求項3または4に記載の抗体、請求項2、5または6のいずれか一つに記載の核酸、請求項8に記載のベクター発現系または請求項9に記載の細胞の使用。
  14. 前記変性疾患、心血管疾患、炎症性疾患、または自己免疫疾患が、パーキンソン病またはアルツハイマー病を含む群より選択される、請求項13に記載の使用。
  15. 成体組織からMSCを、または血液から前破骨細胞を濃縮、精製または単離する方法であり、該方法は、
    (i)細胞の混合集団を、請求項3に記載の抗体もしくは抗体フラグメント、または請求項9に記載の使用により作製される抗体もしくは抗体フラグメントで処理する工程と;
    (ii)該抗体と反応する同定された細胞を、MSCまたは破骨細胞であるものとして、単離する工程と
    を含む、方法。
  16. 前記MSCがSPCである、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項15または16に記載の方法にしたがって濃縮、精製または単離された、MSC集団。
  18. MSC集団の単離、選択または濃縮のさらなる方法を同定するための、請求項17に記載のMSC集団の使用。
  19. 請求項15または16に記載の方法により単離される細胞、または請求項17に記載の集団で、患者を治療する工程を含む、損傷組織を修復する方法。
  20. 請求項15または16に記載の方法により単離される幹細胞、または請求項17に記載の幹細胞を、治療的に有効な量含む、医薬組成物。
  21. MSCの部位への標的遺伝子治療を可能にするために、遺伝子送達系と接合された、請求項1に記載のポリペプチドまたは請求項3、4または7のいずれかに記載の抗体の使用。
  22. 請求項1に記載のポリペプチド、または請求項3、4または7に記載の抗体を含む、遺伝子送達系。
  23. MSCを傷害部位に結合するために、医療デバイスをコートするための、請求項1に記載のポリペプチド、または請求項3、4または7に記載の抗体の使用。
  24. 請求項1に記載のポリペプチドまたは請求項3、4または7に記載の抗体でコートされた、医療デバイス。
  25. 縫合糸、ステント、組織足場、骨インプラント、または創傷被覆材より選択される、請求項24に記載の医療デバイス。
  26. 配列番号11〜18からなる群より選択される、核酸配列。
  27. 癌診断の方法における、配列番号1〜18のいずれかの使用。
  28. 配列番号3、5、7または9のヒト化バージョンである、ヒト化抗体。
  29. 骨粗鬆症の診断法における、配列番号1〜18のいずれかの使用。
  30. 添付の図面、表、配列および付属物に関して本明細書に実質的に説明される、ポリペプチド、核酸分子、抗体、ベクター発現系、細胞または細胞集団、医薬組成物、使用、医療デバイス、遺伝子送達系または方法。
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