JP2010518379A - 電離放射線反応のバイオマーカー - Google Patents
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Abstract
本発明は、電離放射線(IR)に対する細胞反応を測定するための方法を提供する。本発明はまた、IRに対する細胞反応を評価するための、複数の診断的および予後の癌バイオマーカーを提供する。ある局面において本発明はグリオーマにおけるIR反応のバイオマーカーを同定するための方法を提供し、ある実施形態ではそのマーカーを複数のグリオーマ細胞系統において同定する。この局面で提供されるバイオマーカーはIRに反応して当該グリオーマ細胞によって産生される小分子代謝物である。本発明のある実施形態において、これらの小分子代謝物を、臨床的モニタリングおよび放射線治療反応の予後を確立するために使用する。特に、放射線治療前およびその間の、患者生体液中のこれら候補バイオマーカーの存在は、個人における放射線治療(例えば個別化医療)の予期される結果について医師に知らせ得る。
Description
本出願は、2007年2月5日に出願された米国仮特許出願番号第60/888,198号、および2007年2月6日に出願された同第60/899,715号の優先権の利益を請求しており、それらの全ては本明細書中に参照として援用する。
本発明は、癌治療における主な様相、電離放射線に対する細胞反応を評価するための試薬および方法を提供する。特に、本発明は、照射細胞集団における小分子の存在を、非照射細胞における当該分子の存在または欠如と比較して、検出および評価するためにメタボロミクス(metabolomics)を使用する方法を提供する。本明細書中で同定された照射反応のための特異的バイオマーカーも提供される。そのようなバイオマーカーは、癌、癌処置、放射線治療に対する腫瘍反応、および放射線曝露の診断および予後の指標のために有用である。
全ての癌患者の約半分が、放射線治療を受ける(www.cancer.gov/cancertopics/factsheet/Therapy/radiation、2006年1月28日)。放射線治療(放射線治療、x線治療、または照射とも呼ばれる)において、ある型の電離放射線(IR)を用いて癌細胞を殺滅、および腫瘍を抑制または除去する。同上(Id)。放射線治療を単独で、または化学療法または手術などの他の癌処置と組み合わせて使用し得る。いくつかの場合において、患者は1つ以上の型の放射線治療を受け得る。同上。放射線治療を用いて、脳、乳房、頸部、喉頭、肺、膵臓、前立腺、皮膚、脊柱、胃、子宮の癌、または軟部組織肉腫を含む、ほとんど全ての型の固体原発性または転移性腫瘍を治療し得る。同上。各部位への放射線量は、癌の型、および照射によって損傷され得る組織および臓器が付近にあるかどうかを含む、多くの因子に依存する。
グリオーマなどの悪性脳腫瘍に関して、主に化学療法剤の脳への送達に伴う困難のために、放射線治療は介入の標準治療である。年間推定20,500例の新規に診断された原発性脳悪性腫瘍が存在する;最も活動的な型、多形神経膠芽腫(GBM)が、最もよくある型でもある(American Cancer Society、2007、Cancer Facts & Figures 2007、Atlanta:American Cancer Society)。GBMは典型的には、手術、放射線、および化学療法から成る、組み合わせた様式のアプローチを用いて処置する(非特許文献1)。しかし、放射線治療は、悪性グリオーマに関しては主な処置様式のままである。不幸なことに、GBMの臨床結果を改善するための数十年の努力は、ほとんど不成功であり、圧倒的多数の患者は、腫瘍への高線量の放射線の送達にも関わらず、局所的に再発し、そして急速に調節不能の疾患の進行に屈してしまった。GBMにおける臨床的に意味のある生存の利点は、放射線治療にアルキル化剤テモゾロミドを加えて、最近European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)によって確立されたばかりである(非特許文献2)。この進歩にも関わらず、局所のコントロールおよび長期生存は、率直に言って暗いものであり、そしてGBMの内因性放射線抵抗性のメカニズムの理解は、さらなる調査を必要とする。
グリア細胞は、ニューロンの支持を司り、そして高い代謝活性を有する。非メタボロミクス的アプローチによって測定される、ある小分子代謝物が、グリオーマと関連しており、そして従って悪性グリア細胞のマーカーである。これらは、多価不飽和脂肪酸、ヌクレオチド、アラニン、グルタミン酸、N−アセチルアスパラギン酸、およびコリンを含む代謝物を含む(非特許文献3;非特許文献4)。不幸なことに、悪性グリオーマにおける放射線反応およびその内因性放射線抵抗性の基礎にある基本的な過程は、完全に明らかになってはいない。この理解の欠如は、大部分放射線反応の非常に複雑な性質に基づいており、それは基本的な細胞イベントによって決定される何百ものシグナル伝達経路の集合から成る。トランスクリプトームおよびプロテオミクス的アプローチを用いた最近の実験は、1つの実験で数万の細胞過程を試験することによって、これらの相互作用の複雑な性質に重要な洞察を与える(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。
これらの「オーミクス(omics)」プラットフォームは、疾患過程の遺伝的基礎に貴重な洞察を提供するのに有望であるが、それらは通常分析のために組織を必要とするという事実によって制限される。治療の間に特定の細胞傷害性侵襲(すなわち放射線)に対して腫瘍がどのように反応するか特徴付けることは、複数回の生検を必要とし、そして臨床的に実行可能ではない。腫瘍反応の非侵襲性の、リアルタイムの評価が、PETおよびMR質量分析を含むイメージングを用いて活発に調査されているが、これらは依然として探索性、高価、比較的非特異的であり、そして抵抗性に寄与する特定の細胞経路への限られた洞察しか有していなかった(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献3)。
メタボロミクスは、生物学的に触媒された反応によって産生された多様な代謝物のセットの系統的および定量的な分析である。遺伝因子または有害な因子によって引き起こされた病態生理学的な変化を研究するために適用する場合、代謝的変化のこの全体論的な検討は、関心のある因子によって影響を受けた生化学的経路を同定するための強力なツールとなる(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)。代謝物が機能的タンパク質の酵素的作用によって産生されるので、代謝物バイオマーカーは、伝統的なmRNAまたはタンパク質マーカーに対して利点を有する。これらの機能的タンパク質は、適切な翻訳後改変と共にタンパク質へ翻訳されたmRNAの産物およびインビボでの生物学的活性に必要な補助因子である。代謝物は、機能する、および活性な生化学的経路の産物であるので、バイオマーカーとして、それらは実際の活性な生物学的過程、トランスクリプトームおよびプロテオミクス研究において予測のみし得る過程の変化のアッセイを可能にする。トランスクリプトームおよびプロテオミクス研究は、エンドポイントとして機能的な生化学的経路を測定できない。メタボロミクスは、例えばゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオーム、インタラクトーム、およびシグナル伝達に存在する多くの異なる細胞および生命体の過程の機能的局面の表現型の出力である代謝物を測定する。メタボロミクス研究の最も有望な局面の1つは、それが機能的経路における変化の同定を可能にすることである。
メタボロミクスを、代謝物の分離、同定および定量を可能にする質量分析と連結した液体またはガスクロマトグラフィーを用いて行い得る。この技術を、生体液、組織および癌細胞培養物由来の培地などの化学的に複雑なサンプルに存在する代謝物の動的なセットをプロファイリングするために使用し得る。これらの生物学的マトリックスにおいて、病的または化学的侵襲に反応して、再現性のある、および頑健な方式で変化する代謝物は、疾患または毒性反応のバイオマーカーとしてはたらき得る(非特許文献15;非特許文献16;非特許文献17)。従って、代謝物プロファイリングは、処置に対する癌の生化学的反応に対する機能的洞察を生み出す。差次的に影響を受けた代謝物を、バイオマーカーとして臨床実践場面(clinical setting)に置き換え得、そして血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ、または唾液などの患者の生体液でアッセイして、治療に対する反応を試験し得る、または癌の重症度を測定し得る。
グリオーマ細胞系統およびグリオーマ由来の癌細胞の分析は、放射線反応に特定の代謝経路が関与していることを明らかにした。これは、特定の細胞経路が、これらの細胞のIRに対する感受性または不応性に関与していることを示唆する。従って、当該分野において、腫瘍が放射線にどのように反応するか、そしてより具体的には、なぜグリオーマはIR治療に対して抵抗性であるのかを明確にする必要性が存在する。当該分野において、診断、予後および処置過程のモニタリングのために、放射線に対して抵抗性または感受性であるグリオーマにおける小分子マーカーを同定する必要性も存在する。
従って、当該分野において、癌患者のIR処置を改善するために、当該バイオマーカーを同定し、そして個別化医療の基礎として役立たせ、個々のバイオマーカープロファイルによって癌医療の有効性および安全性を高める必要性がある。
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本発明は、電離放射線(IR)反応に特異的な新規バイオマーカー、および当該マーカーを同定するための方法を提供する。
最初の局面において、本発明は、グリオーマにおけるIR反応のバイオマーカーを同定するための方法を提供する。ある実施形態において、そのバイオマーカーを、グリオーマ細胞系統、U373(American Type Culture Collection(ATCC)、Manassas、VAから、受託番号(Accession No.)HTB17で入手可能)を用いたメタボロミクスの方法(metabolomics method)によって同定する。さらなる実施形態において、バイオマーカーを、U373(ATCC受託番号HTB17)、T98G(ATCC受託番号CRL−1690)、およびU251(Paul Harari、University of Wisconsin−Madisonによって提供された)を含むがこれに限らない、複数のグリオーマ細胞系統において同定する。この局面において提供されるバイオマーカーは、IRに反応して当該グリオーマ細胞によって産生される小分子代謝物である。
本発明のこの局面のある実施形態において、これらの小分子代謝物を、臨床的モニタリングおよび放射線治療反応の予後を確立するために使用する。特に、放射線治療前およびその間の、患者生体液(制限しない例において、血液および血漿や血清などのその液体成分、尿、リンパ、脳脊髄液、および唾液)中のこれら候補バイオマーカーの存在(prevalence)は、個人における放射線治療(例えば個別化医療)の予期される結果について医師に知らせ得る。
本発明は、IRに対する細胞反応を測定するための、および電離放射線曝露の細胞および生化学的効果を信頼性高く決定するための方法を提供する。この局面において、本発明は、特定の腫瘍細胞型に特異的なプロファイル、および2つまたは複数の細胞型の間で共通のプロファイルを含む、照射細胞に特異的な複数の小分子バイオマーカーを含むプロファイルを提供する。ある局面において、照射細胞において代謝プロファイルが変化する場合に当該プロファイルを提供する。特定の実施形態において、本発明は、その反応が、細胞を電離放射線に曝露することによって変化する、異なる活性な代謝反応、経路、およびネットワーク由来のバイオマーカーのプロファイルを提供する。
さらなる局面において、本発明は、電離放射線に曝露された細胞のメタボロミクス的評価の方法を提供する。これらの方法において、悪性細胞および特にグリオーマ細胞を含む細胞を、電離放射線に、好ましくは従来の臨床レベルで曝露する。IR処置後、細胞代謝産物を、IR曝露細胞において同定し、そして小分子代謝物を同定する。特に、バイオマーカーを、非照射細胞と比較して当該細胞において同定し、ここでIR処置の結果である代謝変化を同定する。ある局面において、当該比較を使用して、IR処置によって活性化または阻害される代謝経路を同定する。
本発明は従って、電離放射線反応の予測バイオマーカーを同定する方法を提供する。この局面のある実施形態において、細胞に存在する複数の小分子を代表する動的なセットを決定し、そして健康および疾患またはIR処置と関連付ける。糖、有機酸、アミノ酸、脂肪酸、およびシグナル伝達低分子量化合物などの小分子が、病理学的または放射線侵襲に対する細胞反応の機能的メカニズムに関与し、そしてそれを表し、従って疾患または電離放射線反応のバイオマーカーとして働く。ある実施形態において、これらの小分子を、血清、血漿、リンパ、または唾液を含むがこれに限らない生体液中で検出し得る。特に好ましい実施形態において、これらのバイオマーカーは、他の方法によって予測された分子変化に続く活性な(または活性化された)代謝経路を同定するために有用である。
本発明の方法を有利に使用して、悪性細胞を含む照射細胞の機能的スクリーニングによって、電離放射線のバイオマーカーを同定する。これらのバイオマーカーは、電離放射線反応の代謝および細胞経路およびメカニズムに関して情報を与える。重要なことに、これらのバイオマーカーを使用して、腫瘍形成性細胞および非腫瘍形成性細胞の型の電離放射線反応の評価を助け得る。
従って、本発明は、さらなる局面において、本発明の方法によって同定された、細胞産物、特に代謝産物を提供する。これらの産物は、好ましくは電離放射線反応に関連する産物および関連する代謝経路の変化に関連する産物を含む。本発明によって提供される代謝産物の制限しない例は、酢酸フェニル、フェニルアセチルグリシン、2−フェニルアセトアミド、アルファ−N−フェニルアセチル−L−グルタミン、フェニル酢酸およびフェニルアラニン経路の他の代謝物、サルソリノール、セロトニン、ブチリルカルニチン、L−スレオニン、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシン、1−(9Z,12Z−オクタデカジエノイル)−rac−グリセロール、7a−12a−ジヒドロキシ−3−オキソ−4−コレン酸、または25:0 N−アシルタウリンを含む。
本発明のこの局面のさらなる実施形態において、これらの細胞産物を、電離放射線曝露のバイオマーカーとして利用し得る。
本発明は、IR処置に対する腫瘍反応を決定するための従来の方法に対して有利な代替物を提供する。現在の方法は、患者の腫瘍の組織生検および免疫組織化学的分析を必要とする。しかし、癌処置に対する患者の反応を評価するための反復される生検は、患者の不快を引き起こし、高価であり、そしていつもIR治療の直後に行い得るわけではない。メタボロミクスおよびそれによって同定されたバイオマーカーを用いた本発明の方法は、腫瘍分析の現在の方法を超える顕著な改善を提供する。固体組織サンプルを分析する代わりに、細胞産物を患者の生体液または血清サンプル中で同定する。この型の試験は、患者の不快を少なくし、繰り返しの測定を可能にし、そしてよりタイムリーな評価を可能にする。
本発明の特定の好ましい実施形態が、以下のある好ましい実施形態のより詳細な記載および特許請求の範囲から、よりよく理解される。
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、図と共にとられた以下の詳細な記載からより良く理解される。ここで:
図1は、3Gyのガンマ線照射で処理した、または処理していない、U373グリオーマ細胞由来の上清または細胞外培地および未培養の培地(培地バックグラウンドのネガティブコントロール)で検出された13,041個の独特の集団における、倍率変化の差の階層的クラスタリングの記述である。培地は、照射後3つの異なる時点でサンプルを取った:1時間、24時間、および48時間。サンプルを、液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI−TOF−MS)によって、3重の(triplicate)(技術的反復(technical replicates))測定を行った。正の倍率変化および負の倍率変化に関しては、図の説明文を参照のこと。欠損データは無地灰色である。
図2は、図1で示した階層的クラスタリングの色の描写である。正の倍率変化は赤色、負の倍率変化は緑色、そして欠損データは灰色である。
図3は、図1で記載したように、検出されたフェニルアラニン生化学的経路の代謝物から検出された、倍率変化の差の階層的クラスタリングの記述である。正の倍率変化および負の倍率変化に関しては、図の説明文を参照のこと。欠損データは白色である。
図4は、図3で示した階層的クラスタリングの色の描写である。正の倍率変化は赤色、負の倍率変化は緑色、そして欠損データは灰色である。
図5は、ヒト細胞におけるフェニルアラニン代謝経路の概略図であり、ここでいくつかの代謝物が、電離放射線後1時間の早さでアップレギュレートされる。白抜き矢印は、1つの時点で統計学的有意差を有する代謝物へ至る反応を示す。横縞の点は、この実験で測定された代謝物を示す。
図6は、グリオーマ細胞系統の電離放射線に対する代謝反応を測定するために使用した実験デザインの概略図である。3つの異なる細胞系統、U373、U251、およびT98Gを、2つの異なる時点で3Gyの電離放射線または偽の処理(mock treatment)で処理した。細胞上清を回収し、そして小分子代謝物に関して調査した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図7Aから7Hは、3Gyで処理した、および未処理のU373、U251、およびT98G細胞系統、および培地のみのコントロール由来のクロマトグラムである。全ての実験グループ由来のクロマトグラムのオーバーレイは、LC−ESI−TOF−MSの高い再現性を示した。
図8は、グリオーマ細胞系統にしかない(培地には存在しない)質量特性物(mass feature)のベン図(Venn diagram)である。四角は、グリオーマ細胞系統および培地に共通の特徴を示す。83の特性物が、培地の非存在下で各細胞系統において少なくとも1回検出され、一方1428の特性物が、両方の時点で、各細胞系統および各培地サンプルで検出された。
図9Aから9Fは、処理、コントロール、および培地間で差を示す、表2からのアノテート(annotate)された統計学的に有意な分子の正規化データのプロットである。バーは、平均値の標準誤差を示し、そしてnは因子あたりの測定した特性物の数である。図9A:ブチリルカルニチン、IRの24時間後;図9B:L−スレオニン、IRの1時間後。
図9Aから9Fは、処理、コントロール、および培地間で差を示す、表2からのアノテート(annotate)された統計学的に有意な分子の正規化データのプロットである。バーは、平均値の標準誤差を示し、そしてnは因子あたりの測定した特性物の数である。図9C:グルコシルガラクトシルヒドロキシリシン、IRの24時間後;図9D:1−(9Z,12Z−オクタデカジエノイル)−rac−グリセロール、IRの24時間後。
図9Aから9Fは、処理、コントロール、および培地間で差を示す、表2からのアノテート(annotate)された統計学的に有意な分子の正規化データのプロットである。バーは、平均値の標準誤差を示し、そしてnは因子あたりの測定した特性物の数である。図9E:7a,12a−ジヒドロキシ−3−オキソ−4−コレン酸、IRの24時間後;図9F;25:0 N−アシルタウリン、IRの24時間後。
図10Aから10Cは、細胞系統による細胞培養上清および培地に対応するグループへのサンプルの分離を示す、主成分分析(PCA)付加プロットである。各細胞系統および条件に存在する質量からの正規化データを、入力マトリックスとして使用した。図10Aは、全ての分泌された分子について行ったPCA分析のプロットである。図10Bは、1時間の時点からのデータのプロットである。図10Cは、24時間の時点からのデータのプロットである。白四角は、未処理U251細胞に対応し、黒四角は3Gyで処理したU251細胞に対応する。白三角は未処理T98G細胞に対応し、黒三角は3Gyで処理したT98G細胞に対応する。白丸は未処理U373細胞に対応し、黒丸は3Gyで処理したU373細胞に対応し、白星は未処理培地を示し、そして黒星は3Gyで処理した培地を示す。
図11Aおよび11Bは、細胞系統および時間による、照射および未処理細胞培養上清間の倍率変化の差の階層的クラスタリングの記述である。図11Aは、細胞系統間の大きな差を示し、そして図11Bは反復の細胞系統を用いて、照射および未処理細胞間の倍率変化の階層的クラスタリングを示す。正の倍率変化および負の倍率変化に関しては、図の説明文を参照のこと。欠損データは灰色である。
図11Aおよび11Bは、細胞系統および時間による、照射および未処理細胞培養上清間の倍率変化の差の階層的クラスタリングの記述である。図11Aは、細胞系統間の大きな差を示し、そして図11Bは反復の細胞系統を用いて、照射および未処理細胞間の倍率変化の階層的クラスタリングを示す。正の倍率変化および負の倍率変化に関しては、図の説明文を参照のこと。欠損データは灰色である。
図12Aおよび12Bは、図11Aおよび11Bで示した階層的クラスタリングの色の描写である。正の倍率変化は赤色、負の倍率変化は緑色、そして欠損データは灰色である。
図12Aおよび12Bは、図11Aおよび11Bで示した階層的クラスタリングの色の描写である。正の倍率変化は赤色、負の倍率変化は緑色、そして欠損データは灰色である。
図13Aから13Cは、処理の1時間後(図13A)、処理の24時間後(図13B)、および両方の時点をあわせた(図13C)、IRに対して2倍またはそれより大きい反応を有する分泌された質量特性物のベン図である。これらのダイアグラムは、細胞系統内およびその間で、IRに対する共通の反応を有する分泌された特性物の数を示す。
本発明を、下記で、および具体的には本明細書中で詳述する実施例においてより具体的に記載するが、それは、多くのその改変および変形が当業者に明らかであるので、説明としてのみ意図される。
本明細書中の記載および続く特許請求の範囲を通して使用される場合、「a」、「an」および「the」の意味は、文脈が明らかに他を指示しなければ、複数の言及を含む。本明細書中で使用される用語は、本発明の文脈において、そして各用語が使用される特定の文脈において、一般的に当該分野における通常の意味を有する。本発明の記載に関して、従事者にさらなるガイダンスを提供するために、いくつかの用語が、下記でより明確に定義された。
本発明は、電離放射線の細胞および/または生化学的効果を決定するための試薬および方法を提供する。本明細書中で使用される「電離放射線」という用語は、高エネルギー放射線および電磁気放射線を含むよう意図され、そして放射線治療、x線治療、照射、ガンマ線への曝露、プロトン、アルファ粒子またはベータ粒子照射、高速中性子、および紫外線を含むがこれに限らない。好ましい実施形態において、細胞集団に対する電離放射線照射の結果を、メタボロミクスによって決定する(Metabolomics、Methods & Protocols(Wolfram Weckwerth編、Humana Press 2007を参照のこと)。
本明細書中で使用される「細胞代謝物」または複数形「細胞代謝物」という用語は、細胞によって分泌されるあらゆる小分子または質量特性物を指す。一般的に、当該代謝物のサイズは、約55から約3000ダルトンの範囲である。細胞代謝物は、以下のものを含み得るがこれに限らない:糖、有機酸、アミノ酸、脂肪酸、および/またはホルモン。好ましい実施形態において、細胞代謝物は、癌細胞、特にグリオーマ細胞または黒色腫細胞から分泌される。
本明細書中で使用される「差次的に産生された細胞代謝物を同定する」という語句は、電離放射線に曝露された細胞と未処理(コントロール)細胞との比較を含むがこれに限らない。処理および未処理細胞間の、細胞によって分泌される小分子集団または質量特性物の変動の検出または測定が、この定義に含まれる。好ましい実施形態において、細胞または細胞活性の変化を、処理対未処理細胞中の小分子の変化のプロファイルを決定することによって測定する。異なる量、型、または強度のIRで処理した細胞間の比較も含む。
糖、有機酸、アミノ酸、脂肪酸、および低分子量化合物などの小分子における変化を測定し、生化学的経路における電離放射線の影響を評価するために使用する。スクリーニングした小分子は、特に、炎症、抗炎症、血管拡張、神経保護、脂肪酸代謝、コラーゲンマトリックス分解の産物、酸化的ストレス、抗酸化活性、DNA複製および細胞周期のコントロール、メチル化、ヌクレオチド、炭水化物、アミノ酸および脂質の生合成を含むがこれに限らない、広い範囲の生物学的活性に関与し得る。小分子代謝物は、インビボにおける生化学的反応の前駆体、中間体、および/または最終産物である。特定の分子のサブセットにおける変化は、特定の生化学的経路に対応し得、そして従って電離放射線の生化学的影響を明らかにし得る。特に好ましい実施形態において、メタボロミクスを用いてIRの癌細胞に対する効果を調査する。
グリオーマ細胞は、一般的にグリア細胞腫瘍、そして特に脳腫瘍由来である。しかし、グリオーマは脊髄または中枢神経系のあらゆる他の部分に生じ得る。好ましい実施形態において、本明細書中で記載された方法は「グリオーマ」を明記するが、方法はグリオーマ腫瘍のみに限らない。さらなる実施形態において、開示された方法は、最もよくある型の脳腫瘍である、「多形神経膠芽腫」(GBM)脳腫瘍、および1つの例として黒色腫を含む非CNS腫瘍を含む。
好ましい実施形態において、本発明の方法を使用して、差次的な細胞代謝物含有量および悪性組織または腫瘍形成性組織からの産生を評価する。「腫瘍」または「悪性」という用語は、従来の4つの癌ステージ(I−IV)のいずれかの癌性組織および前癌性組織を含む。別の実施形態において、本発明の方法は、前癌性組織を調査し得る。「前癌性」という用語は、悪性腫瘍に発展しそうである、または発展しやすい異常な組織増殖の段階を含む。
本明細書中で使用される「物理的分離法」という用語は、本発明の方法によって電離放射線に曝露された、腫瘍細胞を含む細胞によって産生された小分子における変化および差異のプロファイルを生み出すために十分な、当業者に公知のあらゆる方法を指す。好ましい実施形態において、物理的分離法は、糖、有機酸、アミノ酸、脂肪酸および低分子量化合物を含むがこれに限らない、小分子の検出を可能にする。有利な分離方法は、クロマトグラフィー、最も好ましくは液体クロマトグラフィー(LC)を含み、そして同定方法は、質量分析技術を含む。特定の実施形態において、この分析を、液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI−TOF−MS)によって行うが、本明細書中で詳述したような小分子を、別の分光測定法または当該分野で公知の他の方法を用いて検出し得ることが理解される。同様の分析を、当該分野の他の生物学的システムに適用し(Wantら、2005、Chem Bio Chem.6:1941−51)、生物学的液体において検出し得る疾患または毒性反応のバイオマーカーを提供した(Sabatineら、2005、Circulation 112:3868−875)。
本明細書中で使用される「バイオマーカー」という用語は、とりわけ、特にIR処置に関して、処理および未処理コントロール間で有意な変化を示す小分子を指す。好ましい実施形態において、バイオマーカーを上記で詳述したように、LC−ESI−TOF−MSを含む方法によって同定する。
好ましい実施形態において、単独で、またはあらゆる有益な組み合わせで、電離放射線に対する癌細胞反応のバイオマーカーとして、以下の小分子が本明細書中で提供される:フェニルアセテート、フェニルアセチルグリシン、2−フェニルアセトアミド、アルファ−N−フェニルアセチル−L−グルタミン、フェニル酢酸およびフェニルアラニン経路の他の代謝物、サルソリノール、セロトニン、ブチリルカルニチン、L−スレオニン、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシン、1−(9Z,12Z−オクタデカジエノイル)−rac−グリセロール、7a−12a−ジヒドロキシ−3−オキソ−4−コレン酸、または25:0 N−アシルタウリン。
患者の血液、血漿、血清、リンパ、唾液、尿、または他の患者検体におけるこれらのバイオマーカーの測定は、患者のIRに対する反応の、診断的または予後の評価を提供し得る。
本明細書中で使用される「バイオマーカープロファイル」という用語は、本発明の方法によって同定された複数のバイオマーカーを指す。本発明によるバイオマーカープロファイルは、電離放射線の影響の分子「フィンガープリント」を提供し得、そして電離放射線曝露後に有意に変化した小分子を同定し得る。好ましい実施形態において、バイオマーカープロファイルを用いて、放射線曝露または放射線処置に対する細胞反応を診断し得る。
さらなる実施形態において、放射線曝露の診断は、医学的曝露に限らず、そしてさらに以下の例を含み得るがこれに限らない:偶発的な放射線曝露、戦争関連、またはバイオテロ放射線曝露。「医学的処置の外側」という語句は、上記で述べた制限しない例を含む。
「生物学的サンプル」は、インビトロで培養した細胞、患者サンプル、またはインビトロで分散および培養した生検細胞を含むがこれに限らない。「患者」はヒトまたは動物であり得る。「患者サンプル」は、血液、血漿、血清、リンパ、尿、脳脊髄液、唾液、またはあらゆる他の生体液または廃棄物を含むがこれに限らない。
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態およびその様々な使用の説明である。それらは、説明目的のためにのみ詳述され、そして本発明を制限すると解釈されない。
本明細書中で引用された全ての参考文献は、参照として組み込まれる。2007年10月25日の米国特許公開第20070248947A1号および2007年10月25日のPCT公開第WO2007/120699号は、本明細書中で明確に参照として組み込まれる。
実施例1
電離放射線で処理したU373グリオーマ細胞のメタボロミクス分析
U373グリオーマ細胞を、メタボロミクスがIRに対する細胞反応を調査するために有用であることを示すために、および反応のバイオマーカーを同定するために、従来の線量の電離放射線に曝露した。処理細胞を、下記で詳述するように分析して、健康および疾患または侵襲状態によって、細胞に存在する小分子の動的なセット全体の変化を決定した。糖、有機酸、アミノ酸、脂肪酸およびシグナル伝達低分子量化合物などの小分子は、病理学的または放射線侵襲に対する細胞反応の機能的メカニズムに関与し、そしてそれを表わすことが理解された。これらの分析をまた、例えばトランスクリプトームおよびプロテオミクスを含む他の方法によって結び付けられた、分子変化後の活性な経路を同定するために使用した。
U373グリオーマ細胞および無培養培地(培地バックグラウンドのためのネガティブコントロール)を、3Gyのガンマ線照射で処理した、または未処理のままにした。この線量のIRは、従来の分割照射(fractionated treatment)の間に多形神経膠芽腫(GBM)の処置において送達される、標準的な1日線量を示す。放射線曝露後3つの異なる時点:1時間、24時間、および48時間に培地をサンプリングした。放射線曝露細胞およびコントロール(「処理なし」)細胞から採取した培地を、液体クロマトグラフィーおよびエレクトロスプレーイオン化質量分析(LC−ESI−TOF−MS)にかけて、電離放射線曝露の存在および非存在下の細胞によって産生されるメタボロームの変化および差異を評価した。サンプルを、LC−ESI−TOF−MSによって3重の(技術的反復)測定を行った。保持時間の標準偏差の分析は、大部分の質量が、LC−ESI−TOF−MSのラン(run)全てにわたって類似であり、大部分の反復測定が、お互い20秒以内に検出されたことを明らかにした。この発見は、使用された本検出法の再現性を示す。
各サンプルは3回の反復を有し、2.1×200mm HPLC C18カラムに注入して、5%アセトニトリル、95%水、0.1%ギ酸から、100%アセトニトリル、0.1%ギ酸の勾配で、40μL/分の流速で120分流した。フロースルーをAgilent 1100シリーズLC−ESI−TOF−MSに導入した。データを、ランを通して0−1500m/zの範囲から収集した。生データを、Analyst QSプログラム(Agilent)にロードして、データ分析の前に保持時間および質量特性物を可視化した。Mass Hunter MF(Agilent)ソフトウェアを使用して、データをデコンボリューションし、そして各質量の存在度(abundance)を決定した。80−1500m/zの範囲内の質量、+1の電荷、および少なくとも2つのイオンがこの分析に含まれた。質量および保持時間に基づく単純ビニングアルゴリズム(simple binning algorithm)を用いて、LC−ESI−TOF−MSのランを通じて、質量は同じであると考えた。質量が10ppm異なった場合または同じ質量が1分より長い保持時間の差を有する場合、ビン(bin)を作成した。有意性試験を、底を2とした対数で変換した存在度値に対してANOVAを行うことによって決定した。各ビン(bin)について、以下の式によって、完全な無作為化デザインを使用して有意性を決定した:
{Log2(存在度tb)=処理t+グリオーマ系統b+誤差tb}
補完は行わず、そして欠損データは有意性の各試験の自由度に影響を与えるデータ分析から除いた。倍率変化のクラスタリングを、Cluster3.0ソフトウェアを用いて行った(De Hoonら、2004、Bioinformatics 20(Suppl.1):i101−i108)。主成分分析を、オープンソースの統計学的パッケージRおよびpcaMethodsライブラリーを用いて行った。分泌代謝物における有意差が照射および未処理グリオーマ細胞系統の間で検出された。統計学的に有意な差次的分泌代謝物を、ANOVAモデルを用いて決定した。存在度の分布は、正規分布に従うようである。個々の細胞系統を比較する場合、0.05よりも低いp値および3よりも大きい自由度を有する分子を、有意であると考えた。
{Log2(存在度tb)=処理t+グリオーマ系統b+誤差tb}
補完は行わず、そして欠損データは有意性の各試験の自由度に影響を与えるデータ分析から除いた。倍率変化のクラスタリングを、Cluster3.0ソフトウェアを用いて行った(De Hoonら、2004、Bioinformatics 20(Suppl.1):i101−i108)。主成分分析を、オープンソースの統計学的パッケージRおよびpcaMethodsライブラリーを用いて行った。分泌代謝物における有意差が照射および未処理グリオーマ細胞系統の間で検出された。統計学的に有意な差次的分泌代謝物を、ANOVAモデルを用いて決定した。存在度の分布は、正規分布に従うようである。個々の細胞系統を比較する場合、0.05よりも低いp値および3よりも大きい自由度を有する分子を、有意であると考えた。
これらの方法を用いて同定した複数の小分子を、次いで公共のデータベース、例えばMETLIN Metabolite Databese、Human Metabolome Databese(HMDB)、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)、およびthe Biological Magnetic Resonance Data Bank(BMRB)でカタログにのっている化学物質の正確な中性粒子質量(neutral mass)との比較によってアノテートした。質量分析も、正確な質量に基づく小分子の予測された化学構造を含んでいたが、全てのスペクトルのヒト代謝物を有する完全なデータベースが存在しないために、現在利用可能な公共のデータベースは、全ての場合でマッチする小分子を含むわけではない。
LC−ESI−TOF−MSによって全部で161,923個の質量識別特性物(mass signature)が検出され、48,608個のユニークな中性粒子質量を示した。ナトリウムおよびカリウム由来の標準的な付加物をスペクトルから除去し、それをデアイソトーピング(deisotoping)にもかけた。そのデータは実験全体で1または2回測定されたシグナルを含むので、この多数の中性粒子質量を測定した。2回またはそれより少ない回数測定された質量は、仮であると考え、そしてデータセットから除去した。分析に使用した最終的なデータセットは、13,041個の質量(ユニークな質量の〜27%、図1および図2)を含んでいた。これらの質量の3,356個(26%)がグリオーマサンプルでのみ検出される小分子に対応した。これらの質量の471個が照射細胞にのみ存在し、そして202個の質量が未処理グリオーマサンプルでのみ測定された。
実施例2
フェニルアラニンおよび他の代謝物:
U373グリオーマ細胞における電離放射線のバイオマーカー
実施例1で開示したバイオマーカー同定実験の結果を分析して、照射およびコントロール(非照射)サンプルにおいて差次的な活性を示す特定の代謝物および代謝経路を同定した。1つの生化学的経路、フェニルアラニン経路は、照射の1時間後に特に有意であった。フェニルアラニン代謝に存在するいくつかの代謝物が、IR後に有意な変化を有していた。これらの変化を図3および図4に示し、それらはフェニルアラニン生化学的経路の代謝物から検出された倍率変化の差を図示する。正および負の倍率変化を示す指示(designation)に関しては説明文を参照のこと。欠損データは、無地の白色である。フェニルアラニン代謝経路の概略図を図5に示す。白抜き矢印は、1つの時点で統計学的有意差を有する代謝物へ至る反応を示し、点はこの実験で測定した代謝物を示し、縞模様の四角はこの実験で測定しなかった代謝物を示す。フェニルアラニン代謝経路の1つの推定代謝物、フェニルアセテートは、電離放射線の1時間後、非照射サンプルより3.5倍多かった(p=0.002)。
フェニルアセテート(PA)は、フェニルアラニン代謝経路に存在する、天然の代謝物であり、典型的には血清中で検出される(図5を参照のこと)。以前の研究は、PAはインビトロおよびインビボにおいて腫瘍細胞の増殖を阻害し得ることを示した(Samidら、1994、Cancer Res.54:891−5)。PAは腫瘍細胞のIRに対する反応を実際増強し得ることが示唆された(Millerら、1997、Int J Radiat Biol 72:211−8)。さらなる調査により、腫瘍増殖に影響を与えるために必要なPAの量は細胞系統依存性であること、および脳腫瘍は他の腫瘍系統よりその影響に感受性であることを見出したが、これらの結果はまた、PAの放射線増強に疑問を示した(Ozawaら、1999、Cancer Lett.142:139−46)。PAの第II相臨床試験は、GBMを有する患者における有意な反応を見出さなかった(Changら、1999、J Clin Oncol 17:984−90)。興味深いことに、フェニルアラニン経路の代謝物は、皮膚癌の放射線抵抗性を増加させることが公知であるDHICAの産生を引き起こすドパクロム(DOPAchrome)の産生に送り込まれる(図5)。
不偏の方法を用いたこの経路の発見は、IRに反応する代謝経路を同定するためのメタボロミクスの力を示す。本発明のバイオマーカーとして含まれ、そして2つのさらなるグリオーマ細胞系統(T98GおよびU251)の3Gyの電離放射線への曝露後に検出された、この経路の他の代謝物は、ピルビン酸フェニル(phenylpyruvate)、フェニルアセチルグリシン、1−フェニルアセトアミド、アルファ−N−フェニルアセチル−L−グルタミンおよびフェニル酢酸であり、それらはすべてIRに反応して有意にアップレギュレートされた。それに加えて、エノールピルビン酸フェニル、フェニルアセトアルデヒド、L−アドレナリン、L−ノルアドレナリン、および3,4−ジヒドロキシマンデル酸が、IR後に変化した。合わせると、これらの発見は、2つの主な代謝経路:フェニルアラニンおよびチロシンに集合し、そしてこれらの代謝物の変化がIRのバイオマーカーを含むことを示す。
癌においてIRのバイオマーカーとしてはたらき得る他の分子は、サルソリノール(24時間で60%の減少、p<0.0001)およびセロトニン(1時間で7倍の増加、p<0.0001;24時間で60%の減少、p<0.018;48時間で2.5倍の増加、p=0.005)である。興味深いことに、ドパミンの誘導体であるサルソリノールは、ドパミン作動性ニューロンにおいてアポトーシスを誘導する神経毒である(Mravec、2006、Physiol Res.55:353−64)。サルソリノールは、照射の24時間後に有意に減少する。セロトニンの蓄積は、照射後1時間および48時間で有意に増加したが、24時間で減少した。セロトニンは、グリオーマ細胞系統におけるIL−6放出の増加を引き起こすことが示された(Liebら、2005、J Nuerochem.93:549−59)。
それに加えて、以下の代謝物も、IRに反応して統計学的有意レベルで変化した:2,7−無水−アルファ−N−アセチルノイラミン酸または2−デオキシ−2,3−デヒドロ−N−アセチルノイラミン酸は48時間で2.5倍アップレギュレートされた、p=0.023;および1時間で10倍アップレギュレートされた、p=0.008;N−アセチルノイラミン酸(N−Acetylneuraminate)は48時間で1.4倍ダウンレギュレートされた、p=0.005;N−アセチル−O−アセチルノイラミン酸(N−Acetyl−O−acetylneuraminate)は48時間で1.2倍増加した、p=0.016;インドキシル硫酸または4−ホスホ−L−アスパラギン酸は、24時間で3.4倍ダウンレギュレートされた、p=0.03;1時間で5.9倍ダウンレギュレートされた、p=0.007;N−アセチル−L−ヒスチジンは、1時間で1.28倍ダウンレギュレートされた、p=0.003;48時間で1.4倍アップレギュレートされた、p=0.0001;イソペンテニルアデニンまたはL−アセチルカルニチンは、1時間で4.8倍増加した、p=0.01;48時間で2.9倍増加した、p=0.0068;およびレチクリンは1時間で4.1倍アップレギュレートされた、p=0.007。全体的にみて、これらの結果は、グリオーマ細胞のインビトロのメタボロミクスが、電離放射線反応の変換可能なバイオマーカーとしてはたらき得る、小分子の検出の頑健な代替であることを反映する。
実施例3
電離放射線に曝露した複数のグリオーマ細胞系統のメタボロミクス分析
IRに反応して悪性グリオーマ細胞系統から分泌または排出された小分子代謝物を、メタボロミクスを用いて評価した。グリオーマ細胞系統を、3GyのIRで処理し、そして反応を、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化飛行時間型質量分析(LC−ESI−TOF−MS)を用いた、分泌された小分子の代謝物プロファイリングによって分析した。推定の分泌代謝物の存在度の統計学的有意差を、照射および未処理細胞系統の間で検出した。
U373、T98G、およびU251 GBM細胞系統を、従来の線量(3Gy)の電離放射線に曝露して、IRに対する細胞反応のバイオマーカーを同定した。処理細胞を下記で詳述するように分析して、健康および疾患または侵襲状態によって細胞に存在する小分子の動的なセット全体における変化を決定した。これらの実験を、一般的には実施例1で述べたように行ったが、本実施例では、より頑健な分析を提供するため、およびグリオーマ細胞系統で共通の代謝物を同定するために、3つの神経膠芽腫細胞系統を調査した。代謝変化は癌の病因に固有のものであるので(GriffinおよびShockcor、2004、Nat Rev Cancer 4:551−61;Jensen、2006、Neurosurg Focus 20:E24;BrownおよびWilson、2004、Nat Rev Cancer 4:437−47;Yetkinら、2002、Neuroimaging Clin N Am 12:537−52)、それらは電離放射線に対する腫瘍反応にも直接関与し得る。この研究は、IRに対する反応において、異なるグリオーマ細胞系統に共通の代謝変化が存在するかどうかを調査した。
GBM細胞系統U373(ATCC#HTB17)、T98G(ATCC#CRL−1690)、およびU251(Paul Harari、University of Wisconsin−Madisonによって提供された)を、標準的な条件下で50−70%コンフルエンスまで培養し、そして次いで3Gyの電離放射線(IR)に曝露した、または照射機に置くが線源には曝露しなかった(偽処置)(図6)。この線量のIRは、分割放射線治療の間に、GBMの処置において送達される1日線量に匹敵する。細胞培養から、IRの1および24時間後にサンプルを取った。照射された培地を採取しなかった系統U373を除いて、細胞を含まない培地を、細胞培養と同じ方式で処理し、そして細胞特異的代謝物を検出するための参照として使用した。U251およびT98Gに関して、1つの培地サンプルのみを未処理コントロールとして使用した。これらの未培養、未処理培地サンプルを、データ分析において2重に作製し、そして1および24時間の時点の両方で未処理培地測定値とした。
照射および未処理グリオーマ細胞系統由来の細胞培養培地上清を、IR後1および24時間において採取し、そして−80℃で保存した。サンプルを同時に解凍し、そして125μlを、タンパク質および高分子量生体分子を除去するための、Millipore 3kDa Centricon再生セルロースカラム(Millipore)を用いた液体クロマトグラフィーのために処理した。フロースルーは高分子量化合物を含まず小分子を含むので、そのものを分析のために保持した。フロースルーを凍結乾燥し、そして50μLの0.1%ギ酸に懸濁した。
各サンプルの5μLを3重、2.1×30mm Zorbax C18−SBカラムに注入し、200μL/分の流速で、5%のアセトニトリル、95%の水、0.1%のギ酸から100%のアセトニトリル、0.1%のギ酸までの勾配で30分流した。フロースルーをAgilent1100シリーズLC−ESI−TOF−MSに導入した。データをラン全体を通して50−1500m/zの範囲から収集した。イオン源の設定は:ガス温度350℃、乾燥ガス9.5L/分、噴霧器30psig、キャピラリー4000Vであった。TOFの設定は:フラグメンター185V、Skimmer60V、OCT RF250Vであった。各LC−MSのラン後にクロマトグラムを調べ、そして異常なクロマトグラフィーを有するあらゆるサンプルを繰り返した。0−27分からの全ての情報を用いて、データをクロマトグラフから抽出した(図7)。
Mass Hunter MFEバージョン44ソフトウェア(Agilent)を使用して、データをデコンボリューションしたが、それは同位体および付加物を除去すること、および各質量特性物の存在度を確立することから成る。単一の質量特性物にたたみこまれた、同位体および付加物のピークの合計として存在度を計算した。質量を50−1500m/zの範囲内で測定し、+1のm/z電荷、0.001%より高い最低存在度、5と同じまたはそれより大きなシグナル対ノイズ値であった。データのデコンボリューション後、少なくとも2つのイオンおよび0.05分位点より大きな存在度の値を有する質量特性物を、ビニング(binning)に用いるデータセットに含めた。質量および保持時間に基づく単純ビニングアルゴリズムを用い、質量特性物のセットがLC−ESI−MS−TOFのランを通して同じであるとみなした。175Daより下の質量特性物を、0.00001×質量でビニング(binned)し、一方176Da−300Daからのものは、0.000007×質量で、および7秒より少ない保持時間の差を有する300Daより大きな場合には0.000005×質量でビニングした。ビニングプロセスを用いて、単一の小分子を表す独特の化合物アイデンティティー(cpdID)を作成した。
これらのビニングしたデータを、異なる目的に供する2つの別々のセットに分割した。1つのセットを定性的分析のために用い、そして他方のデータセットを統計学的分析のために用いた。定性的分析のために用いるデータセットは、まれなフラグメントまたはバックグラウンドピークの偽集積(spurious integration)などの実験的人工物のためであり得る化合物IDを除去するために、少なくとも3つの質量を含む全てのマスビン(mass bin)を含んでいた。2番目のデータセットは、統計学的分析のために用い、そして所定の時点で各細胞系統および処理において検出されたマスビンを含んでいた。統計学的分析のために使用した質量特性物ビン(mass feature bin)(cpdID)も、培地に対してフィルタリングし、そして培地と同じまたはそれより低い平均存在度を有するcpdIDを、それらが分泌/排泄された代謝物を表し得ないので、解析から除いた。
統計学的分析の前に、データを2つのサブセットに分割し、そして推定分泌質量特性物サブセットに対して統計学的分析を行った。底数2の対数変換した横列および縦列中央値正規化存在度値に対してANOVAを行うことによって、有意性検定を決定した。有意性を決定するために、各質量特性物ビンに対して、以下の式Log2(存在度tb)=処理t+グリオーマ系統b+誤差tbと共に、無作為化完全ブロックデザインを用いた。このモデルを、各細胞系統および処理で測定した質量特性物のみに用いた。補完は行わず、そして欠損データを各有意性の検定の自由度に影響を与えるデータ分析から除いた。主成分分析(PCA)を、オープンソース統計学的パッケージRおよびpcaMethodsライブラリーを用いて行った。
各質量特性物ビンの平均的な中性の正確な質量を、候補アイデンティティーに関して、公共の検索可能なデータベースMETLIN(http://metlin.scripps.edu)、The Human Metabolome Database(http://www.hmdb.ca)、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(www.genome.jp/kegg/)、およびthe Biological Magnetic Resonance Bank(http://www.bmrb.wisc.edu/metabolomics/)に対して照会した。測定した質量特性物は、もしその正確な質量がアノテートされたデータベース分子の100万あたり10パート以内であるなら(0.00001×質量)、データベースに存在する小分子とマッチすると考えた。
IRに反応して変化した小分子は、下記の実施例4でより詳細に述べるように、脂肪酸代謝、コラーゲンマトリックス分解の産物、および他の細胞過程に含まれる代謝物の多様なグループであった。放射線治療が悪性グリオーマの一次の処置様式のままであり、そして予後は悪いままであるので、IRに対するグリオーマの代謝的または生化学的反応を明確にすることは、その内因性の放射線抵抗性に寄与する細胞過程への洞察を提供する。それに加えて、これらの分子はまた、悪性グリオーマにおけるIRの反応および/または抵抗性を予測するための候補バイオマーカーとしてはたらき得る。
実施例4
グリオーマ細胞系統における電離放射線のバイオマーカー
実施例3で開示した代謝物同定実験の結果を使用して、照射およびコントロール(非照射)サンプルにおいて差次的な活性を示す特定の代謝物および代謝経路を同定した。定性的分析のために使用したデータセットは、まれなフラグメントまたはバックグラウンドピークの偽集積などの実験人工産物のためであり得る化合物IDを除去するために、少なくとも3つの質量を有する全てのマスビンを含んでいた。このデータセットは13,308個の質量特性物ビンを含んでおり、そして代謝物アノテーションのためおよび1つの条件または特定の細胞系統のみに存在する化合物の分析のために使用した。統計学的分析を行った2つ目のデータセットは、各細胞系統および処理において検出されたマスビンを含んでおり、そして所定の時点における培地バックグラウンドの存在度より上を検出した。この2番目のデータセットを用いて、IRに反応して差次的に蓄積した小分子の統計学的有意性を決定した。これらの基準を用いて、統計学的分析を、全部で1339の質量特性物ビンに対して行った。
各グリオーマ細胞系統の「代謝プロファイル」の分析を、定性的データセットを用いて行った(図8)。そのデータを、培地では見いだされないが1つの細胞系統に独特である代謝物または質量特性物、または細胞系統の間で共通の代謝物に関して調査した。206個の代謝物または質量特性物が、細胞培養の上清のみで検出され、そして細胞培養培地には存在しなかった。U373(18%)は、最も多い独特の分泌代謝物または質量特性物を有し、続いてU251(10%)およびT98G(5%)であった。40%の独特に分泌または排出された代謝物または質量特性物は、3つの細胞系統全てに共通であり(図8)、従って培地の影響を分析から除いた場合、それらは分泌代謝物および質量特性物の同様のシグナチャー(signature)またはコンプリメント(complement)を共有するようである。
電離放射線は、神経膠芽腫細胞系統において、小分子代謝物に統計学的有意な変化を誘導する。分泌小分子代謝物の存在度における統計学的有意差が、照射および未処理グリオーマ細胞系統の間で検出された。これらの差を、生物学的反復として異なる細胞系統を使用したANOVAモデルによって決定した。ANOVAモデルにおいて、<0.025のp値を、有意性を決定するために使用した。分泌される特性物のうち、125個の小分子(9%)が有意に異なっていた;4個(0.2%)が両方の時点で共通であり、そして1および24時間の時点で、それぞれ55個(4.1%)および73個(5.5%)の小分子が検出された。差次的分泌質量特性物の大部分(77%)は、公共の小分子代謝物データベースの中に推定の代謝物アノテーションを有さなかった(表1)。この発見は、他の「オーミクス」と比較して、メタボロミクスの比較的初期の状態の反映であり、そしてそれはまたメタボロミクスデータベースの母集団の需要の高まりを強調する。
表2;IRに反応して分泌された、大きさが1.5より大きな統計学的に有意な倍率変化を有するアノテートされた分子
これらの実験で検出された有意な変化は、以下のものを含む。異なる中位鎖アシルカルニチン(ブチリルカルニチンおよびオクタノイルカルニチン)に対する有意な変化が、IRに反応して検出された。アシルカルニチンは、脂肪酸酸化の中間体およびカルニチンの代謝物であり、脂肪酸酸化の増加が、グリオーマのIR後の初期の代謝イベントであることを示唆する。アシルカルニチンは、通常ミトコンドリアの外膜で合成され、カルニチンがコエンザイムAで置換される内膜を通して輸送され、続いて脂肪酸がβ酸化される。酸化後、ブチルおよびオクタノイルカルニチン(octonyl carnitine)などの中位鎖アシルカルニチンは、ミトコンドリア膜からサイトゾルへ出る(VazおよびWanders、2002、Biochem J 361:417−29)。アシルカルニチンはまた、中位鎖および長鎖脂肪酸のペルオキシソームからミトコンドリアへの輸送の間に形成される(AkobsおよびWanders、1995、Biochem Biophys Res Commun 213:1035−41;Reillyら、2007、FASEB J 21:99−107)。興味深いことに、プロピオニルカルニチンなどの特定のアシルカルニチンは、スーパーオキシドスカベンジャーおよび抗酸化剤として機能し、DNA損傷抵抗性分子としてはたらく(Vanellaら、2000、Cell Biol Toxicol 16:99−104)。アセチルカルニチンも、フリーラジカルを除去し、そして照射によって引き起こされる反応性酸素種の損傷を制限すると考えられる(Mansour、2006、Pharmacol Res 54:165−71)。脳腫瘍におけるアシルカルニチン濃度の減少は、反応性酸素種ROSによる侵襲時の膜完全性維持におけるその役割を反映し得る(Sandikciら、1999、Cancer Biochem Biophys 17:49−57)。この研究において検出された、4炭素ブチリルカルニチンの存在度の増加および8炭素オクタノイルカルニチンの存在度の減少は、IRに反応した代謝性脂肪酸酸化の活性化を示し得る。ブチリルカルニチンおよびオクタノイルカルニチンの合成は、異なる酵素(カルニチンアセチルトランスフェラーゼ(CRAT)およびカルニチンO−オクタノイルトランスフェラーゼ(CROT);van der Leijら、2000、Mol Genet Metab 71:139−53;Joglら、2004、Ann N Y Acad Sci 1033:17−29)によって調節されるので、遺伝子発現または酵素活性における変化はまた、IR後のこれらの代謝物の機構的調節不全に関係し得る。より短い鎖のアシルカルニチンは、抗酸化効果を有するので、ここで示唆されたような、脂肪酸酸化のアップレギュレーションはまた、ROS損傷に対して腫瘍細胞を保護し得る
25:0 N−アシルタウリンは、IRに反応して有意に変化した別の代謝物である。アシルタウリンは、最初に2004年に記載された、比較的新しい種類の代謝物である(Saghatelianら、2004、Biochemistry 43:14332−9)。25:0 N−アシルタウリンは、哺乳類中枢神経系(CNS)に存在する、脂肪酸アミドヒドラーゼ(FAAH)−調節脂肪酸である;具体的には、それは25炭素脂肪酸のタウリン結合アナログである。ペルオキシソーム酵素ACNAT1が、タウリンの脂肪酸への結合に関与し、そしてアシルタウリンはシグナル伝達分子として、または細胞に存在する脂肪酸分泌システムの一部として作用し得る(Reillyら、2007、FASEB J 21:99−107)。これらの脂肪酸は、脂質を異化する酵素活性を有する膜内在性タンパク質である、脂肪酸アミドヒドラーゼ(FAAH)によって加水分解される。FAAHはCNSの神経伝達物質に作用し、その生物学的活性を無効にする(Cravattら、1996、Nature 384:83−7)。IRに反応してここで測定された25:0 N−アシルタウリンの減少は、ペルオキシソームにおける脂肪酸酸化の活性化、またはそこでFAAHによって分解される、細胞膜を通した25:0 N−アシルタウリンのトランスロケーションの増加の結果であり得る。
25:0 N−アシルタウリンは、IRに反応して有意に変化した別の代謝物である。アシルタウリンは、最初に2004年に記載された、比較的新しい種類の代謝物である(Saghatelianら、2004、Biochemistry 43:14332−9)。25:0 N−アシルタウリンは、哺乳類中枢神経系(CNS)に存在する、脂肪酸アミドヒドラーゼ(FAAH)−調節脂肪酸である;具体的には、それは25炭素脂肪酸のタウリン結合アナログである。ペルオキシソーム酵素ACNAT1が、タウリンの脂肪酸への結合に関与し、そしてアシルタウリンはシグナル伝達分子として、または細胞に存在する脂肪酸分泌システムの一部として作用し得る(Reillyら、2007、FASEB J 21:99−107)。これらの脂肪酸は、脂質を異化する酵素活性を有する膜内在性タンパク質である、脂肪酸アミドヒドラーゼ(FAAH)によって加水分解される。FAAHはCNSの神経伝達物質に作用し、その生物学的活性を無効にする(Cravattら、1996、Nature 384:83−7)。IRに反応してここで測定された25:0 N−アシルタウリンの減少は、ペルオキシソームにおける脂肪酸酸化の活性化、またはそこでFAAHによって分解される、細胞膜を通した25:0 N−アシルタウリンのトランスロケーションの増加の結果であり得る。
それらはどちらも脂肪酸酸化の結果としてペルオキシソームにおける化学反応の産物であるので、アシルタウリンおよびアシルカルニチンの変化は、相関し得る(Saghatelianら、2004、Biochemistry 43:14332−9;Poirier、2006、Biochim Biophys Acta 1763:1413−26)。ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体デルタ(PPARD)の転写が、放射線に反応して増加するので、これらの変化は、ペルオキシソーム活性の増加のためであり得る。PPARDは、ROSによって活性化されるリガンド調節転写因子であり、そしてその転写はアポトーシスの抑制と関連する(Liouら、2006、Arterioscler Thromb Vasc Biol 26:1481−7)。どちらの分子も、脂肪酸の可溶性を増加させ、そして細胞小器官または他の細胞の間の輸送を促進する、アシル改変を含む。これらの分子の細胞外濃度の変化は、従って、細胞内または細胞間脂肪酸輸送の変化を反映し得る。
これらの発見をあわせると(脂肪酸のβ酸化のアップレギュレーションと共にオクタノイルカルニチンおよび25:0 N−アシルタウリンの細胞外レベルの減少)、照射後の、細胞内のより長鎖の脂肪酸を減少させる相乗的細胞反応を示唆する。哺乳類において最もよくある長鎖脂肪酸の1つであるパルミチン酸は、GBMの増殖を阻害する(Bergeら、2003、J Lipid Res 44:118−27)。より短鎖の脂肪酸に対するより長鎖の脂肪酸のβ酸化の増加は、より長鎖の脂肪酸の抗増殖性活性を相殺し得る。
別の脂肪酸MG(18:2(9Z,12Z)/0:0/0:0、1−(9Z,12Z−オクタデカジエノイル)−rac−グリセロールとしても知られる)が、IRに反応して増加した。この分子は、長鎖脂肪酸のモノアシルグリセロールである。2−アラキドノイルグリセロールなどのいくつかのモノアシルグリセロールは、神経伝達物質として作用し、そして膜を通して拡散し得る。この特定のモノアシルグリセロールについてはほとんど知られていない。この分子も細胞膜成分であり、そしてそのIR誘導性の増加は、細胞膜に対するROS損傷のためであり得る可能性がある。
コラーゲン分解に関連する推定小分子においても有意な変化が検出され、それはマトリックスメタロプロテアーゼの活性の増加を意味する。その代謝物、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシン(Glu−Gal−Hyl)は、IRに反応してアップレギュレートされ、そしてコラーゲンターンオーバーのマーカーであることが観察された、コラーゲンの成分である(Alleviら、2004、Bioorg Med Chem Lett 14:3319−21)。この研究において、グリオーマ細胞をゼラチン基質上で培養した。ゼラチンはコラーゲンの誘導体であるので、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシンの放出の増加は、照射時のグリオーマによるマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の分泌の増加のために起こり得る。MMPは細胞の浸潤の間に発現し、そしてグリオーマ細胞系統に存在する(Apodacaら、1990、Cancer Res 50:2322−9)。MMPは、浸潤性および転移性表現型と強く関連する。グルコシルガラクトシルヒドロキシリシンの合成における主要な酵素は、リシルヒドロキシラーゼ(LH)であり、その活性は低酸素によって増加する(Scheurer、2004、Proteomics 4:1737−60、正誤表は2004 Proteomics 4:2822;Hofbauerら、2003、Eur J Biochem 270:4515−22)。細胞外マトリックス中のタンパク質も、LH活性の基質である(Saloら、2006、J Cell Physiol 207:644−53)。従って、これらの実験で観察される、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシンの蓄積は、IR誘導性LHまたはMMP活性を示し得る。
甲状腺ホルモンチロキシンおよび3,5,3’−トリヨードチロニンの脱ヨウ素化および脱炭酸代謝物であるチロニンが、IR直後に減少することが見出された。当然、甲状腺ホルモンはグリオーマの急速な増殖に関係し、そして甲状腺機能の破壊は、生存率のわずかな増加を引き起こす(Davisら、2006、Cancer Res 66:7270−5)。脳ヨードチロニンデヨードナーゼ(iodothyronine deiodinase)および甲状腺ホルモンの代謝は、ヒトグリオーマにおいて明らかに変化し、腫瘍組織およびグリオーマ患者の血清または血漿中の主要な甲状腺ホルモンの濃度の減少を引き起こす(Naumanら、2004、Folia Neuropathol 42:67−73)。この代謝物の照射後の誘導された減少は、GBM腫瘍細胞によるヨードチロニンの代謝の増加と関連し得る。
要するに、IRはグリオーマにおいて推定中位鎖アシルカルニチンおよび他の脂肪酸の代謝を変化させ、そしてコラーゲン分解産物およびチロキシンの代謝型の蓄積も引き起こすことが見出された。明らかに、IR後の脂肪酸のβ酸化の増加は、エネルギー代謝にとって大きな意味を有する。β酸化産物のこれらの変化は、ROSの除去の2次的効果を産生し、そしてIRによって引き起こされるフリーラジカル損傷を最低限にし得る。コラーゲン分解のバイオマーカーであるグルコシルガラクトシルヒドロキシリシンの蓄積は、照射を受ける病巣領域からの細胞遊走を反映し得る。GBMの浸潤性の性質は、IRに対するその抵抗性反応に寄与する因子の1つであり、そして細胞遊走は、IRに対する適応応答であり得る。チロニンのレベルの変化は、グリオーマにおけるIRに反応したヨードチロニンデヨードナーゼ活性の増加を示し得、それは増殖速度に影響を与え得る。
この研究は、125個の統計学的に有意な、IRに反応して差次的に分泌された小分子を測定した。推定アノテーションを有する分子のうち、いくつかのものは、他の可能性の中でエネルギー代謝、腫瘍浸潤性、および細胞膜動態における変化を示すが、かなりの数は同定されないままである。これらの発見は、分泌代謝物における統計学的有意差が、照射および未処理グリオーマ細胞の間で検出され得ることを示す。これらの小分子は、従ってグリオーマのIRに対する反応の候補バイオマーカーとしてはたらき得る。
実施例5
クラスタリングおよび主成分分析
IR処理グリオーマ細胞系統間の代謝物の共有性を決定するために、クラスタリングおよび主成分分析(PCA)を行った。個々のLC−TOF実験を用いて分析を行って、1339個の分泌代謝物のクラスタリングを調査した。そのデータは欠損値を含み、従ってPCA分析のために非線形反復部分最小二乗法分析を選択した。PCA分析(図10A)は、質量特性物がサンプルを存在度によって区別できるグループに分離することを示した。1つのグループまたはクラスターは、培地(白および黒星)およびU373細胞培養上清(白および黒丸)に対応し、一方他のグループはU251(白および黒四角)およびT98G(白および黒三角)細胞培養上清に対応していた。培地およびU373細胞の細胞培養上清の間に、明らかな区別を見ることができる。PCAの結果は、図8に示したベン図のものと同様である。T98GおよびU251系統は、U373より多くの代謝物を共通に有していた。照射および非照射細胞からの上清または細胞外培地は、細胞培養培地の均一性のために、お互いに不集束(uncluster)しないかまたは分離せず、それはグリオーマ細胞系統によって分泌される小分子代謝物の数と比較して、より多数の小分子代謝物を含む(図8)。しかし、照射および非照射サンプルは、各細胞系統内における時点のPCA分析時に別々にクラスター形成した(図10Bおよび10C)。クラスター間の分離の距離は、時間と共に増加し、IRに反応した分泌代謝物の差が時間につれて蓄積し得ることを示唆した。
階層的クラスタリングによるグリオーマ細胞系統間の代謝物および質量特性物の倍率変化分析は(図11Aおよび図12A)、多数の異なるクラスの代謝活性を見出したが、それはIRがいくつかの生化学的ネットワークに同時に影響を与えることを示唆している。これらの結果はまた、IRに対する反応がグリオーマ細胞系統間で異なることを示した。全てのグリオーマ細胞系統にわたって、IRに反応した代謝物の一般的な挙動を表す、時間による倍率の差の評価を、図11Bおよび図12Bに示す。このヒートマップは、代謝変化の4つの可能性のある様式(両方の時点で増加、両方の時点で減少、および異なる時点で増加および減少)がほとんど同じであったことを示す。倍率変化の大部分(71%)は約1.5倍またはそれより低い程度であり、分泌代謝物の大きな振動が頑健なまたは一貫して検出される小分子では測定されなかったことを示している。2より大きな倍率変化を示す特性物(feature)の数を、細胞系統および時点によって調査した(図13)。細胞系統特異的反応は、異なる系統間での共通の反応よりも数が多く、そして各時点における分子の数は同様であるにも関わらず(1時間で457、24時間で503)、IRに対する共通の反応は、時間と共に増加した。1時間(17%)と比較して、24時間(28%)で、11%より多くの分子が共通の反応を示した(図13Aおよび13B)。しかし、両方の時点でIRに明白な反応を有する分子の数は、より細胞系統特異的な反応を示した(図13C)。全体的に、これらの結果は、グリオーマ細胞系統間で、分泌された小分子の存在度および電離放射線に対する反応に一般的な差が存在するが、これらの差の程度は大きくないことを示唆した。これらの結果はまた、時間によるIRに対する代謝反応を指摘し、ここで一般的に各細胞系統に独特な、別々の初期および後期反応が存在した。
これらの実験で検出された、分泌質量特性物(1399個検出された)および細胞培養物のみに存在する質量特性物(206)のうち、40%は3つの異なる細胞系統間で共通であった。PCAおよび階層的クラスタリングに基づく徹底的な調査は、個々の細胞系統は、異なる分子を分泌すること、およびIRに対する反応は細胞系統間で異なるが、これらの違いの程度は大きくないことを示した。PCA分析は、両方の時点を合わせた場合には処理グループを区別できないが(図10A)、個々の時点では処理間の差を細胞系統内で分離できた(図10B−C)ことを示した。IRはこれらの細胞によって分泌される少数の代謝物にのみ影響を与えることが予期されたので、処理および未処理細胞培養上清が、このPCA分析において区別できるクラスターを産生しないということは、驚くべきことではなかった。
細胞系統間のIRに対する共通の代謝反応は、時間と共に増加し、そして細胞系統間の一般的な共通の反応の欠如が、時点を通じて観察された(図11、12および13)。合わせて、これらの結果は、インビトロでIRに対する細胞系統特異的反応が存在すること、およびこの反応は現実には時間特異的であることを示した。この観察されたIRに対する細胞系統特異的代謝反応は、2つのグリオーマ細胞系統のマイクロアレイ研究と一致し、それは細胞系統が同様に反応するインサイツ(in situ)よりも、グリオーマ細胞系統のIRに対するインビトロ転写反応におけるより大きな差を示した(Camphausenら、2005、Cancer Res 65:10389−93)。Camphausenによって報告されたトランスクリプトームプロファイリングおよび本明細書中で詳述したメタボロミクスの結果は両方とも、共通の反応よりも、培養条件下でIRに対するグリオーマ細胞系統の反応においてより大きな細胞系統特異的差異が存在することを見出した。細胞系統間で1つの遺伝子のみが共通に反応した、Camphausenによって報告された転写反応と異なり、より多くの代謝特性物が、特定の時点で照射に対して均一な方式で反応した。興味深いことに、IRに反応した遺伝子の転写が細胞系統間で非常に異なるとしても、代謝反応はより類似しており、そして所定の時点において、マイクロアレイに基づく研究よりも、表現型の変化のより頑健な指標であり得る。
上記で述べた照射に対する腫瘍反応に関連する小分子および代謝経路の発見は、IRに対する腫瘍感受性に関連する新規代謝経路を解明し、そして抵抗性反応に関与するメカニズムを明らかにする。全体的に、ここで使用したメタボロミクスのアプローチは、機能的表現型解析の複合の生化学的シグナチャーまたはプロファイルを生じた。本明細書中で開示されたようなメタボロミクスを適用することは、グリオーマ細胞系統のIRに対する反応に関与するインビトロの細胞外代謝物の発見および測定を可能にした。グリオーマに関して本明細書中で開示された方法は、他の腫瘍型の研究に対する、本発明の一般的な範囲の例示であり、当業者は、前述の開示に基づいて、本発明の方法を用いて他の腫瘍におけるIR反応を調査し得る。最終的に、メタボロミクスによって検出された細胞外小分子は、放射線治療が標準的な医療の一部であるあらゆる腫瘍において、IR反応および抵抗性の候補バイオマーカーとしてはたらく。
それに加えて、本発明は、本発明の開示された実施形態に制限することを意図しない。前述の開示は、本発明のある特定の実施形態を強調すること、およびそれと等価な全ての改変または代替が、添付の特許請求の範囲で詳述するような本発明の精神および範囲内であることが理解されるべきである。
Claims (39)
- 電離放射線に曝露された細胞において差次的に産生された細胞代謝物または複数の細胞代謝物を同定するための方法であって、該方法は、以下:
a.電離放射線への曝露前および曝露後に細胞代謝物について生物学的サンプルをアッセイする工程、および
b.電離放射線への曝露後に細胞において差次的に産生される約55〜約3000ダルトンの分子量を有する細胞代謝物を同定する工程、
を含む方法。 - 前記生物学的サンプルが、患者サンプルである、請求項1に記載の方法。
- 前記患者サンプルが、血清、脳脊髄液、血漿、リンパ、唾液、または尿である、請求項2に記載の方法。
- 前記細胞が、悪性または前癌性である、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞が、グリオーマ細胞または神経膠芽腫細胞である、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、電離放射線への曝露後に、より大きな量で産生される、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、電離放射線への曝露なしに、より大きな量で産生される、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、小分子である、請求項1に記載の方法。
- 細胞代謝物が、物理的分離法を用いてアッセイされる、請求項1または請求項8に記載の方法。
- 前記物理的分離法が、液体クロマトグラフィー−質量分析である、請求項9に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、フェニルアラニン経路における酵素活性により産生される、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、フェニルアセテート、フェニルアセチルグリシン、2−フェニルアセトアミド、アルファ−N−フェニルアセチル−L−グルタミン、フェニル酢酸、サルソリノール、またはセロトニンである、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、ブチリルカルニチン、L−スレオニン(L−Thyronine)、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシン、1−(9Z,12Z−オクタデカジエノイル)−rac−グリセロール、7a−12a−ジヒドロキシ−3−オキソ−4−コレン酸、または25:0 N−アシルタウリンである、請求項1に記載の方法。
- 前記細胞が、グリオーマ細胞または神経膠芽腫細胞である、請求項11、請求項12、または請求項13に記載の方法。
- 複数の細胞代謝物が同定される、請求項1に記載の方法。
- 前記複数の同定された細胞代謝物が、電離放射線に対する細胞反応のバイオマーカープロファイルを含む、請求項15に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法により産生される、電離放射線のバイオマーカープロファイル。
- 電離放射線に対する細胞反応をモニタリングする方法であって、該方法が、電離放射線への曝露後、生物学的サンプルにおいて請求項1に記載の方法により同定される一つまたは複数の細胞代謝物を同定する工程を含む、方法。
- 電離放射線に対する細胞反応をモニタリングする方法であって、該方法が、生物学的サンプルにおいて請求項16に記載のバイオマーカープロファイルを含む一つまたは複数の細胞代謝物を同定する工程を含む、方法。
- 前記生物学的サンプルが、個体に由来する、請求項18または請求項19に記載の方法。
- 電離放射線に対する細胞反応をモニタリングする方法であって、該方法が、治療量の電離放射線に曝露された生物学的サンプル中のフェニルアセテートまたは中位鎖アシルカルニチンを測定する工程を含む、方法。
- 電離放射線に対するグリオーマ細胞の反応をモニタリングする方法であって、該方法が、治療量の電離放射線に曝露された生物学的サンプル中のフェニルアセテートを測定する工程を含む、方法。
- 前記生物学的サンプルが、患者サンプルである、請求項21または請求項22に記載の方法。
- 前記患者サンプルが、血清、脳脊髄液、血漿、リンパ、唾液、または尿である、請求項23に記載の方法。
- 請求項21または22に記載の方法であって、フェニルアセテートの測定が、治療量の電離放射線に曝露されて24時間以内に実行される、方法。
- 放射線への個体の曝露を決定するための方法であって、該方法が、生物学的サンプル中のフェニルアセテートを測定する工程を含む、方法。
- 前記個体が、医療処置外の放射線に曝露された、請求項26に記載の方法。
- 電離放射線に曝露された細胞において差次的に産生された細胞代謝物または複数の細胞代謝物を同定するための方法であって、該方法は、以下:
a.電離放射線への曝露前および曝露後に細胞代謝物について腫瘍細胞をアッセイする工程、および
b.電離放射線への曝露後に細胞において差次的に産生される約55〜約3000ダルトンの分子量を有する細胞代謝物を同定する工程、
を含む方法。 - 前記腫瘍細胞が、グリオーマ細胞または神経膠芽腫細胞である、請求項28に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、電離放射線への曝露後に、より大きな量で産生される、請求項28に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、電離放射線への曝露なしに、より大きな量で産生される、請求項28に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、小分子である、請求項28に記載の方法。
- 細胞代謝物が、物理的分離法を用いてアッセイされる、請求項28または請求項32に記載の方法。
- 前記物理的分離法が、液体クロマトグラフィー−質量分析である、請求項33に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、フェニルアラニン経路における酵素活性により産生される、請求項28に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、フェニルアセテート、フェニルアセチルグリシン、2−フェニルアセトアミド、アルファ−N−フェニルアセチル−L−グルタミン、フェニル酢酸、サルソリノール、またはセロトニンである、請求項28に記載の方法。
- 前記細胞代謝物が、ブチリルカルニチン、L−スレオニン(L−Thyronine)、グルコシルガラクトシルヒドロキシリシン、1−(9Z,12Z−オクタデカジエノイル)−rac−グリセロール、7a−12a−ジヒドロキシ−3−オキソ−4−コレン酸、または25:0 N−アシルタウリンである、請求項28に記載の方法。
- 複数の細胞代謝物が同定される、請求項28に記載の方法。
- 前記複数の同定された細胞代謝物が、電離放射線のバイオマーカープロファイルを含む、請求項38に記載の方法。
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