JP2018136192A - 放射線被ばくの判定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 放射線被ばく発生から1日〜数日が経過した後においても、被験者が所定の被ばく線量を超えて被ばくしているかを判別できる手法を提供する。【解決手段】 放射線被ばくした被験者から採取した体液に基づいて得られる被験者の抗酸化能の指標から、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する工程(1)を有する、放射線被ばくの判定方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、放射線被ばくの判定方法に関する。
一般的に、医療従事者や放射線関連の労働者が、どの程度の被ばくをしているかを測定するためには、線量計が用いられており、様々な線量計が開発されている。
一方、一般市民が放射線被ばくに曝されるような放射線事故/災害発生時には、線量計による被ばく線量測定ができないため、生体試料や生理学的試料を材料として被ばく線量を推定し(バイオドシメトリ)、治療優先順位を決める(トリアージする)必要がある。そして、これまでに各種のバイオアッセイによって被ばく線量を推定する手法の開発が試みられている。
γH2AXアッセイは、リンパ球のDNA2本鎖切断部位に集積するγH2AXタンパクを指標に線量を推定する手法である(例えば、非特許文献1)。被ばく後24時間以内であれば、正確に被ばく線量が推定可能である。しかしながら、被ばく後24時間経つとほとんどのDNA2本鎖切断が修復されてしまうことと、被ばく後2日以降は放射線の影響を受けやすいリンパ球数が急減するため、被ばく後24時間以降では本法による線量推計の信頼性は乏しい。そのため、本法による被ばく線量の定量は被ばく後24時間が限界であり、放射線被ばくの有無の判断についても被ばく後3日程度が限界である。また、この手法では、目視でDNA2本鎖の切断を判断する必要があり推定時間を要する。
染色体異常分析は、リンパ球の安定型の染色体異常数から被ばく線量を推定する手法である(例えば、非特許文献2)。この方法は被ばく後長期間に亘って高い推定精度を保つが、リンパ球培養を伴うため、検出には時間と熟練した技術が必要である。そのため、大規模な放射線事故/災害発生時の多数の対象者がいる場合に本測定法を実際に適応することは困難といえる。
また、放射線により歯に形成された安定ラジカルをL−Band ESRまたはX−Band ESRにより測定する手法も知られている。しかしながら、被験者がこれまでに医療目的で頭部付近に浴びた放射線による影響が大きいことと、X−Band ESRを用いる際には、被験者は歯を抜歯する必要があり、被験者の精神的・身体的負担になる。
Redon, Christophe E., et al., "The use of gamma-H2AX as a biodosimeter for total-body radiation exposure in non-human primates.", PloS one,2010, 5(11), e15544. United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation., "Sources, effects and risks of ionizing radiation.",1988.
上述のように従来の方法では、放射線量推定に時間や特殊な技術が必要であった。
また、被ばく者の被ばく線量の推定は、放射線被ばく事故発生から1日以内に実施することは困難であると考えられる。したがって、従来の方法では、トリアージが最も必要となる、放射線事故/災害発生から1日〜数日が経過した後に、一定の確かさの範囲内で被ばく線量を推定し、なおかつ多くの対象者に適応するということはできなかった。
かかる状況下、放射線被ばく発生から1日〜数日が経過した後においても、被ばく線量を判別でき、かつ、短時間で推定できる手法の確立が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、0.5〜数Gy程度の全身被ばく後に生体の抗酸化能が変化すること、さらに、被ばく線量と生体の抗酸化能の変化が相関することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 放射線被ばくした被験者から採取した体液に基づいて得られる被験者の抗酸化能の指標から、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する工程(1)を有する、放射線被ばくの判定方法。
<2> 工程(1)において、前記被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する方法が、
所定の放射線量の被ばくを受けた既知の被ばく者群の体液を、当該既知の被ばく者群が被ばくを受けた後、所定の日数、定期的に測定することにより得られる抗酸化能の指標に基づいて標準曲線を作成し、当該標準曲線に基づいて、既知の被ばく者群が受けた所定の放射線量に対応する抗酸化能の低下率のしきい値を設定し、
被験者が被ばくを受けた後、所定の日に測定した前記被験者の抗酸化能の低下率が、前記標準曲線に基づく、前記所定の日におけるしきい値を超えている場合に、前記所定の放射線量を超えて被ばくしていると判定する方法である、前記<1>に記載の放射線被ばくの判定方法。
<3> 工程(1)において、被験者の抗酸化能が、放射線被ばくした被験者から採取した血液にESRを適用して得られるラジカル量である、前記<1>または<2>に記載の放射線被ばくの判定方法。
<4> 前記体液が、血液である前記<1>から<3>のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
<5> 被ばくから1日以上経過後に、被験者の測定を行う前記<1>から<4>のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
<6> 前記所定の放射線量が、1Gyである前記<1>から<5>のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
<7> 工程(1)の後に、γH2AXアッセイ法または染色体異常分析により放射線被ばくの有無を確認する工程(2)を有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
本発明によれば、従来法では困難であった、放射線被ばく発生から1日〜数日が経過した後においても、被験者が所定の被ばく線量を超えて被ばくしているかを判別できる手法が提供される。
被験者の抗酸化能の低下率および標準曲線から被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する方法を説明するための図である。 被ばくからの日数に対する抗酸化能の低下率をプロットした図である。 被ばくからの日数に対するγH2AXアッセイ法のfociの数をプロットした図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
本発明は、放射線被ばくした被験者から採取した体液に基づいて得られる被験者の抗酸化能の指標から、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する工程(1)を有する、放射線被ばくの判定方法(以下、「本発明の放射線被ばくの判定方法」または「本発明の判定方法」と記載する場合がある)に関する。
本発明の放射線被ばくの判定方法の特徴は、放射線被ばくの判定のために、被験者の抗酸化能の指標を利用することである。
「抗酸化能」とは、生体内のフリーラジカルや活性酸素を消去する能力のことである。
また、「抗酸化能の指標」とは、様々な測定法により得られる抗酸化能に関係する測定値をそのまま、あるいは換算して得られる指標である。
抗酸化能の指標は、抗酸化能の評価方法によって変化するものであるが、具体例を示すと測定法がESRの場合は、サンプル(被験者から採取した体液)とラジカルトラップ剤を混合した後に人工的にラジカルを発生させて、ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量が抗酸化能の指標となる。すなわち、人工的に発生させたラジカルは、サンプル中の抗酸化成分とラジカルトラップ剤の競合によって抗酸化成分またはラジカルトラップ剤に捕捉される。サンプル中に抗酸化成分が少なく、抗酸化能が低いほど、ラジカルトラップ剤に多くのラジカルが捕捉され、ESRにて得られるラジカルトラップ剤のシグナルが大きくなる。
なお、ラジカルトラップ剤とは、ラジカルを補足するとESRシグナルを発する物質のことで、ESRシグナルの大きさから補足したラジカル量を定量することができる。ESRを用いた測定方法について詳しくは、後述する。
なお、抗酸化能に関係する測定値は、ESR用いて測定した場合はラジカルとなるが、市販のkitやHPLCなどを使用した場合には、吸光度、蛍光強度、発光強度等もありうる。
本発明の判定方法では、被験者の抗酸化能を指標として被験者の被ばく線量を一定の確かさの範囲で推定することで、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する。
このように被験者の抗酸化能を指標にして、放射線被ばくを判定するという本発明の判定方法は、本発明者が見出した、被ばく線量と生体の抗酸化能には相関があるという知見に基づくものである。この被ばく線量と抗酸化能との間の相関関係は、被ばくから数十日経過した後まで見られることから、本発明の判定方法は、被ばくから時間が経過しても適応できる。
また、本発明の放射線被ばくの判定方法は、従来の手法よりも短時間で判定が行えるために、多くの対象者に適応することができる。
さらに、本発明の放射線被ばくの判定方法は、被験者の血液等の体液を採取できればよいので、特殊な装置や技術を必要としない。
そのため、本発明の放射線被ばくの判定方法は、1日以内に被験者の被ばくの判定が困難と考えられる、一般市民が放射線に曝されるような大規模放射線事故/災害発生時のトリアージ(1次スクリーニング)に特に有効である。すなわち、緊急被ばくが疑われる被験者が多数いる場合に、多数の被験者の中から所定の放射線量を超えて被ばくしている可能性の高い被験者を選び出す1次スクリーニングとして有用である。
本発明において、「被験者」とは、放射線被ばく線量の推定が必要な対象のことであり、ヒトが対象であるが、ヒト以外のウシ、ウマ、ブタなどの家畜動物や、サル、モルモット、ウサギ、ラット、マウスなどの動物を対象としてもよい。
「体液」とは、生体内に存在する液体のことであり、体液を含む水溶液等も含まれる。体液としては、血液、尿、唾液、血清などが挙げられるが、好適には血液である。
本発明の放射線被ばくの判定方法の好適な態様は、工程(1)において、前記被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する方法が、所定の放射線量の被ばくを受けた既知の被ばく者群の体液を、当該既知の被ばく者群が被ばくを受けた後、所定の日数、定期的に測定することにより得られる抗酸化能の指標に基づいて標準曲線を作成し、当該標準曲線に基づいて、既知の被ばく者群が受けた所定の放射線量に対応する抗酸化能の低下率のしきい値を設定し、被験者が被ばくを受けた後、所定の日に測定した前記被験者の抗酸化能の低下率が、前記標準曲線に基づく、前記所定の日におけるしきい値を超えている場合に、前記所定の放射線量を超えて被ばくしていると判定する方法である。
なお、抗酸化能の低下率とは、非被ばく者群から採取した体液中の抗酸化能成分の量を基準(100%)として、基準に対する、減少した抗酸化能成分の割合を表すものである。抗酸化能の低下率は、用いる抗酸化能の指標(吸光度、蛍光強度、発光強度、ラジカル量など)により値は変化するものであるが、非被ばく者群(または非被ばく時)の抗酸化能の指標に対して、被ばくを受けた後の抗酸化能の指標がどれだけ変化したかを求めることにより得られる。詳しくは、後述する。
このように判定することにより、被ばくした放射線量が不明な被験者に対しても、既知の被ばく者群から得られる前記標準曲線に基づくしきい値から被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判別することができる。詳しくは、実施形態1および実施例にて後述する。
また、工程(1)において、放射線被ばくした被験者から採取した体液から抗酸化能の指標を得る方法は、特に限定されないが、例えば、ESR、市販の抗酸化能測定kitやHPLCなどが挙げられる。好適な方法は、ESRであり、例えば、国際公開公報WO2009/110585号に記載の方法などが適用できる。
ESRとは、Electron Spin Resonance(電子スピン共鳴)のことであり、物質内のフリーラジカルの不対電子を検出する手法である。血液中にESRを適用する場合、血液中にラジカルトラップ剤を混合した後に、ラジカル発生剤により人工的にラジカルを発生させて、ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量を測定する。
使用するラジカル発生剤およびラジカルトラップ剤は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択可能である。例えば、ラジカル発生剤としては、tert−Butyl hydroperoxide、H22、2,2’−Azobis(2−amidinopropane)dihydrochloride(AAPH)、Riboflavin、Rosebengalなどを使用すればよい。ラジカルトラップ剤としては、DPhPMPO、PBN、POBN、DMPO、DEPMPO、BMPO、EMPOなどを使用すればよい。
本発明の判定方法は、0.5Gy以上の高線量を超えて被ばくしているかの判定に好適である。特に、1Gyを超えた被ばくであれば、被ばくから20日以上経過した後も本発明の判定方法で、被ばくの判定が可能なので、1Gyを超えて被ばくしているか否かの判定に好適に用いることができる。
なお、旧原子力安全委員会の提言「緊急被ばく医療のあり方について」の中で、1−2Gyで急性放射線症候群が発症すると示されており、1Gyを超えて被ばくしたか否かの判断が特に重要とされている。例えば、被ばく事故時など緊急被ばくの場合に、本発明の判定方法は迅速に被ばくの程度を判断できるため有用である。
また、被ばく事故発生時などは、被ばく者の被ばく線量を事故直後に測定することが困難である場合が多いが、例えば、被ばく線量の推定に一般的に使用されているγH2AXアッセイ法では、被ばくから1日経過すると推定精度が著しく低下する。一方、本発明の被ばくの判定方法は、被ばくから1日以上経過後であっても、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定が可能である。そのため、本発明の被ばくの判定方法は、被ばくから1日以上経過後の被ばくの判定方法として、好適に用いることができる。
以下、工程(1)において、前記被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する方法として、上述した該既知の被ばく者群の抗酸化能の指標に基づく標準曲線を使用する方法の実施形態について説明する。
図1は、被験者A1〜A3および被験者B1〜B3が1Gyを超えて被ばくしているか否かを判断するための説明図である。図1中の標準曲線は、被ばくからの所定の日数における、1Gyの被ばくをした被ばく者群(既知の被ばく者群)の抗酸化能の低下率に基づき作成したものである。抗酸化能の指標は、血液にESRを適用して得られるラジカル量を用いた。
図1中のAは、被ばくから1日後の抗酸化能の低下率のしきい値である。A1〜A3は、それぞれ被験者A1〜A3の被ばくから1日後の抗酸化能の低下率をプロットした点である。
図1中のBは、被ばくから4日後の抗酸化能の低下率のしきい値である。図1中のB1〜B3は、それぞれ被験者B1〜B3の被ばくから4日後の抗酸化能の低下率をプロットした点である。
以下、標準曲線の作成方法および被験者A1〜A3、B1〜B3の被ばくの判定方法について説明する。
1.標準曲線の作成
まず、医療被ばくや職業被ばくにより、1Gyの線量を被ばくする予定の者に対して、被ばく前後で経時的に抗酸化能の指標を測定することで、放射線により抗酸化能がどのように変化するか明らかにすることができる。被ばく前後の抗酸化能の指標の変化に基づいて、抗酸化能の低下率を求めることができ、所定の日数に対して抗酸化能の低下率をプロットすることで、図1のような標準曲線を描くことができる。
標準曲線から、所定の日数に対応する抗酸化能の低下率の値を読み取り、その値を抗酸化能の低下率のしきい値として設定する。
次に、抗酸化能の低下率の求め方について説明する。本実施形態では、抗酸化能の指標として、血液にESRを適用して得られるラジカル量を用いた。具体的には、血液とラジカルトラップ剤を混合した後に人工的にラジカルを発生させて、ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量を抗酸化能の指標とした。上述のように、血液中にラジカルトラップ剤を混合した後に人工的にラジカルを発生させると、ラジカルが抗酸化成分とラジカルトラップ剤の競合によって捕捉される。そのため、血液中に抗酸化成分が少なく、抗酸化能が低いほど、ラジカルトラップ剤に多くのラジカルが捕捉される。ESRでは、ラジカルトラップ剤に補足されたラジカルを検出しているので、ESRにより検出されるラジカル量(ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量)が多いほど、血液中に抗酸化成分が少なく、血液中の抗酸化能が低いことを表す。
すなわち、非被ばく時に対して、被ばく後の血液にESRを適用して得られたラジカル量(ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量)がどの程度増えたかを明らかにすることで、ラジカルトラップ剤と競合する抗酸化成分がどの程度減少したかを明らかにすることができる。
例えば、非被ばく時に対して、被ばく後の血液にESRを適用して得られたラジカル量が10%増加している場合、競合する抗酸化成分は10%減少しているといえる。
抗酸化能の低下率は、非被ばく時の血液中の抗酸化能成分の量を基準(100%)として、基準に対する、減少した抗酸化能成分の割合を表すものである。そして、上述の通り、血液中の抗酸化成分の減少率は、抗酸化成分と競合するラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量の増加率と相関がある。ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量の増加率は、1Gyの線量の被ばくから所定の日数が経過した既知被ばく者から採取した血液にESRを適用して得られたラジカル量を、非被ばく時に採取した血液にESRを適用して得られたラジカル量で除した値に基づいて求めることができる。この値に基づいて、抗酸化能の低下率は求められる。すなわち、抗酸化能の低下率は、下記式より求められる。
なお、抗酸化能の低下率は、1Gyの線量の被ばくから所定の日数が経過した既知被ばく者から採取した血液にESRを適用して得られたラジカル量を、非被ばく群(非被ばくしていない健常者群)から採取した血液にESRを適用して得られたラジカル量で除した値に基づいて求めてもよい。この場合、上記式において、非被ばく時に採取した血液にESRを適用して得られたラジカル量のかわりに、非被ばく群(非被ばくしていない健常者群)から採取した血液にESRを適用して得られたラジカル量を用いて、抗酸化能の低下率を求めればよい。
基準となる非被ばく群の抗酸化能の指標(ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量)は、被ばくしていない健常者群の抗酸化能の指標を予め求めておくことで得られる。基準となる非被ばく群の抗酸化能の指標は性別、年齢、体型により異なる可能性が高いため、複数の群に分けて求めることが望ましい。
同様に、標準曲線は性別、年齢、体型により異なる可能性が高いため、複数の群に分けて求めることが望ましい。
2.被験者の被ばくの判定
被験者A1〜A3、B1〜B3の抗酸化能の指標(ラジカルトラップ剤に補足されたラジカル量)を測定した。得られた抗酸化能の指標を、基準となる非被ばく群の抗酸化能の指標で除した値に基づき、被験者の抗酸化能の低下率が求められる。すなわち、抗酸化能の低下率は、下記式より求められる。
性別、年齢、体型ごとに作成された基準となる非被ばく群の抗酸化能の指標の中から、被験者A1〜A3、B1〜B3の性別、年齢、体型に基づいて、基準として適した被ばく者群の抗酸化能の指標を選択し、被験者の抗酸化能の低下率が求められる。
次に、上記1.で作成した標準曲線に基づいて設定した抗酸化能の低下率のしきい値(図1中のAまたはB)と被験者A1〜A3、B1〜B3の抗酸化能の低下率と比較することで、被験者の被ばくを判定できる。
図1では、被ばくから1日経過後において、被験者A1の抗酸化能の低下率は標準曲線より低いので1Gyを超えて被ばくしていないと推定でき、被験者A2、A3の抗酸化能の低下率は標準曲線より高いので、1Gyを超えて被ばくしていると推定できる。
被ばくから4日経過後において、被験者B1、B2の抗酸化能の低下率は標準曲線より低いので1Gyを超えて被ばくしていないと推定でき、被験者B3の抗酸化能の低下率は標準曲線より高いので、1Gyを超えて被ばくしていると推定できる。
なお、上記実施形態では、抗酸化能の指標を、ESRを適用して得られるラジカル量としたが、ESR以外の方法によって抗酸化能の指標を測定してもよい。抗酸化能の低下率は、用いる抗酸化能の指標に応じて算出方法を適宜変更すればよい。
また、被験者が1Gyを超えて被ばくしているか否かの判定は、上述した抗酸化能の低下率のしきい値による判定に限定されず、他の判定方法であってもよい。例えば、図1に示すように、抗酸化能の低下率は、被ばく後から徐々に大きくなり、被ばく後1週間程度で最大となり、その後回復する傾向にある。そのため、経過時間に対応する抗酸化能の低下率の値をしきい値として判定するのではなく、経時的に抗酸化能の低下率を求め、抗酸化能の低下率の変動パターンから被ばく線量を推定してもよい。
また、標準曲線の作成も、所定の日数に対する抗酸化能の低下率をプロットする方法に限らず、例えば、所定の日数に対する既知被ばく者の抗酸化能の指標(吸光度、蛍光強度、発光強度、ラジカル量等)をプロットすることで標準曲線を作成してもよい。標準曲線の作成方法に応じて、所定の日数に対してプロットした項目(抗酸化能の低下率、抗酸化能の指標等)を、設定するしきい値の項目として適宜判定に用いればよい。
以上、抗酸化能の指標から、被験者が基準以上の放射線量を被ばくしているかを判定する方法について説明したが、抗酸化能は、放射線被ばく以外の要因(睡眠不足や食事など)によっても影響を受けるものである。そのため、放射線被ばく以外の要因で抗酸化能が低下している被験者を所定の放射線量を超えて被ばくしていると推定する可能性もある。そこで、抗酸化能の低下率が放射線の被ばく由来であるかをより確かにするために、工程(1)において所定の放射線量を超えて被ばくしていると推定される被験者に対して、工程(1)の後に、抗酸化能を指標にする以外の他の方法により放射線被ばくの有無を確認する工程(2)を行うことが好ましい。すなわち、工程(1)を、多数の被験者の中から所定の放射線量を超えて被ばくしている可能性の高い被験者を選び出す1次スクリーニングとする方法である。
このように、抗酸化能を指標として、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かをまず工程(1)において判断することで、被ばくしている可能性が高い被験者に工程(2)を優先して行うことができ、放射線被ばくの有無を確実に確認することができる。
工程(2)において、放射線被ばくの有無を確認する方法は任意であるが、γH2AXアッセイ法や染色体異常分析などが挙げられる。
γH2AXアッセイ法は、被ばく線量とγH2AX fociが比例関係にあり、直線性が良いのが、最大の利点である。また、再現性が良く、大量のリンパ球(100〜1000個)を解析することで、100mSv程度の低線量被ばくの推定も可能といった利点がある。
また、染色体異常分析は、熟練した作業が求められるが、古くから用いられてきた手法であり、感度、精度、再現性などが良い。また、被ばく後6ヶ月程度は染色体異常が残るため、推定可能である。さらに、これまでに放射線被ばく推定に使われてきたという実績も利点である。
一方、上述のように、γH2AXアッセイ法や染色体異常分析は、被ばくから1日以上経過した場合の多くの対象者への被ばくの判定には適応することが困難であった。本発明の判定方法では、工程(1)を1次スクリーニングとすることにより、工程(2)の対象者を減らすことができるため、これらの手法を適用できる。
以上、本発明の放射線被ばくの判定方法について説明したが、今回開示された内容はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された内容において、明示的に開示されていない事項、例えば、抗酸化能の指標を得るための測定における条件、各種パラメータなどは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1.ESRによる放射線曝露マウスの血液中抗酸化能の定量を利用した判定
(1−1)ESR測定サンプルの調製
ESR測定サンプルは、下記1〜6の手順で調整した。なお、試薬は特級以上の等級のものを使用した。濃度は特に断らない限り終濃度である。
〔1〕8週齢のオスのC57BL/6マウス(日本エスエルシー株式会社産)にX線照射装置(株式会社日立パワーソリューションズ製)で0、0.5、1、2、3 Gy照射した。線量率は0.88Gy/分を採用した。
〔2〕X線照射1時間、1日、2日、4日、6日、9日、16日、24日後に、あらかじめヘパリンナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を入れてあるエッペンチューブにマウス血液を採取した。
〔3〕採取した血液100μLに生理食塩水100μLを加え、tert−Butyl hydroperoxide(TBHP)(株式会社同仁化学研究所製)10mM及び、diphenyl−PMPO(DPhPMPO)(株式会社同仁化学研究所製)5mMを加え、室温で30分インキュベートした。
〔4〕インキュベート後、クロロホルム(和光純薬工業株式会社製)とメタノール(和光純薬工業株式会社製)が容量比2:1で混合された溶媒を1mL加え、10分間ボルテックスで撹拌した。
〔5〕ボルテックス後、あらかじめ4度に設定した遠心機の中に入れ、5分間サンプルを冷却後、3000gで10分間遠心した。
〔6〕水層を除去し、有機層をピペットで吸い出し、硫酸カルシウムが入ったエッペンチューブに入れた。氷上で15分間放置し、−80度でESR測定時まで保存した。
なお、tert−Butyl hydroperoxideは血液中のヘモグロビンと反応してtert−Butylラジカルを生じるラジカル発生剤である。DPhPMPOは、ラジカルトラップ剤である。tert−Butylラジカルは血液中の抗酸化成分とDPhPMPOの競合によって補足され、DPhPMPOによってtert−Butylラジカルが補足された場合にスピンアダクト(tert−Butyl hydroperoxide由来ラジカルアダクト)が形成され、ESRでスペクトルとして観察される。すなわち、血液中の抗酸化成分が少なく、抗酸化能が低いほど、DPhPMPOによって多くのtert−Butylラジカルが捕捉され、ESRで観察されるスペクトルが大きくなる。
(1−2)ESR測定
ESR測定にはESR装置JES−TE200(日本電子株式会社製)を使用した。
ESR測定では、まず、(1−1)で調整したサンプルを室温まで戻し、160μLのセルに入れて、ESR装置に挿入した。測定条件は、マイクロ波周波数:9.422GHz、中心磁場:332.0±10mT、マイクロ波出力:2mW、磁場変調幅:0.3mT、増幅比:1000、応答時間:0.3秒、掃引時間:4分を採用した。
その結果、tert−Butyl hydroperoxide由来ラジカルアダクトのESRスペクトルが観察された。得られたスペクトルは基準となるMnスペクトルにより校正した。
(1−3)標準曲線の作成
抗酸化能の低下率は、非被ばく時の血液中の抗酸化能成分の量を基準(100%)として、基準に対して抗酸化能成分がどれだけ減少したかを表すものである。上述のように、血液中では、抗酸化成分とDPhPMPO(ラジカルトラップ剤)が競合するため、血液中の抗酸化成分が少なく、抗酸化能が低いほど、DPhPMPOによって多くのtert−Butylラジカルが捕捉され、多くのtert−Butyl hydroperoxide由来ラジカルアダクトが形成される。そのため、観察されるESRスペクトル(tert−Butyl hydroperoxide由来ラジカルアダクトのESRスペクトル)が大きくなる。すなわち、抗酸化能の低下率と、DPhPMPOによって補足されたtert−Butylラジカルの増加率には相関がある。
そこで、抗酸化能の低下率は、被ばくマウスのESR測定サンプル中のDPhPMPOによって補足されたtert−Butylラジカルの量を、非被ばくマウスのESR測定サンプル中のDPhPMPOによって補足されたtert−Butylラジカルの量で除することにより、下記式より求めた。
なお、非被ばく(0Gyの放射線量を照射の)マウスのESR測定サンプルを測定して得られたESRスペクトルの大きさから、DPhPMPOによって補足されたtert−Butylラジカルの量を算出した。用いたESRスペクトルは、基準となるMnスペクトルにより校正したものである。
また、被ばく(0.5Gy、1Gy、2Gy、3Gyの放射線量を照射の)マウスのESR測定サンプルを測定して得られたESRスペクトルの大きさから、DPhPMPOによって補足されたtert−Butylラジカルの量を算出した。用いたESR測定スペクトルは、基準となるMnスペクトルにより校正したものである。
得られた抗酸化能の低下率に基づき、放射線被ばく線量0.5Gy、1Gy、2Gy、3Gyにおける標準曲線を作成した。
図2に、結果を示す。図2に示すように、抗酸化能は被ばく後から徐々に低下し、1週間程度で低下率が最大となった。
図2において、1Gy被ばくした場合の被ばく後3日目の抗酸化能の低下率を標準曲線から読み取ると、16%である。この値を、1Gy被ばくした場合の被ばく後3日目の抗酸化能の低下率のしきい値とした。被ばく後3日後に採血し求めた被験者Xの抗酸化能の低下率が16%以上である場合、被験者Xは1Gyを超えて被ばくしていると判断できる。
[実施例2]
2.放射線曝露マウスのリンパ球に形成されるγH2AXのfoci数の定量との組合せによる判定
試薬は特級以上の等級のものを使用した。濃度は特に断らない限り終濃度である。
(2−1)γH2AX用サンプルの調製
〔1〕8週齢のオスのC57BL/6マウス(日本エスエルシー株式会社産)にX線照射装置(株式会社日立パワーソリューションズ製)で0、0.5、1、3Gy照射した。線量率は0.88Gy/分を採用した。
〔2〕X線照射1時間、1、3、7日後に、ヘパリンナトリウム(和光純薬工業株式会社製)の入ったエッペンチューブにマウス血液を採取した。
〔3〕採取した血液とリンパ球分離試薬(GEヘルスケア・ジャパン株式会社製;商品名:Ficoll−Paque PLUS)を1:1で混合し、Leucosep リンパ球分離チューブ(株式会社グライナー・ジャパン社製)に投入後、室温700g25分遠心した。
〔4〕リンパ球層をピペッティングで吸い出して、チューブに入れ、等量のPBSで懸濁した。
〔5〕300g10分遠心し、上清を捨てて、1mLのPBSで懸濁した。これを3回繰り返した。
〔6〕1mLの4%のパラフォルムアルデヒド(和光純薬工業株式会社製)を入れ、室温で20分放置した。
〔7〕300g10分遠心し、上清を捨てて、1mLのPBSで懸濁した。これを3回繰り返した。
〔8〕上記〔7〕で得られたリンパ球の懸濁液を細胞塗抹遠心機を用いてスライドガラス(松浪硝子工業株式会社製)上に塗沫した。
〔9〕PBS−TT(PBS containing 0.5% Tween−20 and 0.1% Triton X−100)をスライドガラスに乗せ、室温で10分インキュベートした。
〔10〕スライドガラスを5分間PBS−T(PBS containing 0.5% Tween−20)に浸した。これを3回繰り返した。
〔11〕2%のヤギ血清をスライドガラスに乗せ、4度で一晩インキュベートした。
〔12〕1/500に希釈したrabbit polyclonal anti−γ−H2AX(Cat# NB100−384, Novus Biologicals)抗体をスライドガラスに乗せ、4度で一晩インキュベートした。
〔13〕スライドガラスを5分間PBS−Tに浸した。これを3回繰り返した。
〔14〕1/5000に希釈したAlexa Fluor 488−conjugated goat anti−rabbit IgG (Cat.# A11034, Invitrogen)抗体をスライドガラスに乗せ、室温で1時間インキュベートした。
〔15〕スライドガラスを5分間PBS−Tに浸した。これを3回繰り返した。
〔16〕0.5mg/mL RNase A (和光純薬工業社製)をスライドに乗せ、37度で20分インキュベートした。
〔17〕スライドガラスを5分間PBS−Tに浸した。これを3回繰り返した。
〔18〕1mg/mLのpropidium iodide (PI)(Vector Laboratories, Burlingame, CA)を含んだ封入液でサンプルを封入した。
(2−2)γH2AXのfoci数の定量
(2−1)で調整したサンプルを蛍光顕微鏡で観察し、1つの核あたりに形成されているγH2AXのfoci数を目視により数えた。100細胞(核)のfoci数を数え、平均を求めた。
図3に結果を示す。図3に示すように、γH2AX fociの数は被ばく後1時間程度で最大となるが、その後はDNAの二重鎖切断が修復されるに伴って、γH2AX fociの数が減少し、約3日後にはバックグランドまで戻った。
(2−3)抗酸化能測定(実施例1)との組み合わせによる判定
実施例1の結果とあわせて、表1に示すような、被験者の被ばく線量を推定するための早見表を作成した。
表1は、被験者の被ばく線量を推定するための早見表である。
例えば、被ばく後、3日目で抗酸化能の低下率が16%以上、27%未満であった場合、1〜3Gy被ばくしたと推定される。その後、γH2AX解析を実施し、早見表に照らし合わせて、細胞核1個あたり0.39個のγH2AX fociがあれば、1Gy被ばくと確定できる。
なお、γH2AX foci数は被ばく線量と比例関係にあるため、表1のデータを線形補間することで、推定線量を詳細に算出できる。
上述のように、γH2AX解析による推定は比較的正確であるが、DNAが修復されるため、被ばく後数日以内に実施する必要がある。抗酸化能測定より労力と時間がかかることも欠点と言える。しかしながら、抗酸化能測定を1次スクリーニングとすることで、γH2AX解析の対象者を減らしたうえで、γH2AX解析にて、被ばく線量を詳細に算出できる。
上述のように、被ばく者の被ばく線量の推定は、放射線被ばく事故発生から1日以内に実施することは困難であると考えられる。そのため、放射線事故/災害発生から1日〜数日が経過した後に、被ばく線量の推定ができるバイオドシメトリ手法が望まれる。
図2または表1に示すように、抗酸化能測定による被ばく量の推定は、被ばく後2〜7日で最も線量効果がはっきりするため、この期間において、最も精度良く被ばく線量が推定可能である。そのため、被ばくしているか否かを判定する1次スクリーニングとして有用である。また、抗酸化能測定は、他の手法に比べ短時間で、大量解析が可能であるとう利点を持つ。さらに、他の測定方法では全自動化の実現が困難であるが、抗酸化能測定では他の測定方法と比較して全自動化を実現しやすいという点も利点である。
本発明の判定方法は、被ばくから時間が経過しても適応できる。そのため、大規模放射線事故/災害発生時など被ばく後すぐの被ばく線量の推定が困難な場合にも適応でき、高線量の被ばくの可能性の高い被ばく者に迅速に適切な治療を施すことが可能となる。

Claims (7)

  1. 放射線被ばくした被験者から採取した体液に基づいて得られる被験者の抗酸化能の指標から、被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する工程(1)を有する、放射線被ばくの判定方法。
  2. 工程(1)において、前記被験者が所定の放射線量を超えて被ばくしているか否かを判定する方法が、
    所定の放射線量の被ばくを受けた既知の被ばく者群の体液を、当該既知の被ばく者群が被ばくを受けた後、所定の日数、定期的に測定することにより得られる抗酸化能の指標に基づいて標準曲線を作成し、当該標準曲線に基づいて、既知の被ばく者群が受けた所定の放射線量に対応する抗酸化能の低下率のしきい値を設定し、
    被験者が被ばくを受けた後、所定の日に測定した前記被験者の抗酸化能の低下率が、前記標準曲線に基づく、前記所定の日におけるしきい値を超えている場合に、前記所定の放射線量を超えて被ばくしていると判定する方法である、請求項1に記載の放射線被ばくの判定方法。
  3. 工程(1)において、被験者の抗酸化能の指標が、放射線被ばくした被験者から採取した体液にESRを適用して得られるラジカル量である請求項1または2に記載の放射線被ばくの判定方法。
  4. 前記体液が、血液である請求項1から3のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
  5. 被ばくから1日以上経過後に、被験者の測定を行う請求項1から4のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
  6. 前記所定の放射線量が、1Gyである請求項1から5のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
  7. 工程(1)の後に、γH2AXアッセイ法または染色体異常分析により放射線被ばくの有無を確認する工程(2)を有する請求項1から6のいずれかに記載の放射線被ばくの判定方法。
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