JP2010505750A - 腫瘍疾患治療のための混合治療 - Google Patents
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Abstract
本発明の開示により、抗癌抗体療法により治療されている、癌の治療の必要性のある対象に、MKT−077のような、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物の治療効果的な量を投与することによって癌を治療する方法が提供される。また、本発明の開示により、癌を治療するための医薬組成物および製造物が提供され、その医薬組成物および製造物は、DLC化合物を抗癌抗体療法のためのアジュバントとして含む。
【選択図】 なし
【選択図】 なし
Description
本発明は、細胞を抗癌抗体療法に対して感作する非局在化親油性カチオン(DLC)化合物を使用して癌を治療する医薬組成物および方法に関連し、より具体的には、抗癌抗体療法のためのアジュバントとしてのそのような化合物の使用に関連する。
補体系は、細胞膜破壊、白血球走化性、オプソニン作用、食作用の強化および炎症の媒介因子の放出を介して、細菌感染およびウイルス感染に対する天然の抵抗性において大きな役割を果たす。最終的な細胞膜破壊産物は、C5b、C6、C7、C8、および、18コピーまでのC9から構成されるタンパク質複合体であり、これは細胞膜侵襲複合体(MAC)または終末補体複合体と呼ばれる。MACは、形質膜損傷、カルシウムイオン流入およびミトコンドリア損傷を(高用量で)標的細胞に対して誘導し、これにより、ATPの枯渇および壊死型の細胞死を引き起こすことが知られている。加えて、特定の条件のもとでは、MACは、カスパーゼ活性化およびアポトーシスまたはプログラム化された壊死を誘導することができる。
近年、新しいモノクローナル抗体が、免疫細胞毒性を腫瘍細胞に対して標的化するために設計されている。例には、CD22陽性の非ホジキンB細胞リンパ腫について設計されるRituxan(Rituximab、MabThera)、ならびに、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER−2)を過剰発現する乳腫瘍のためのB−CLLおよびHerceptin(トラスツズマブ)が含まれる。そのような抗癌抗体の臨床的および商業的な成功は、造血系悪性新生物および固形腫瘍のための、抗体に基づく治療剤における大きな関心をもたらしている。しかしながら、補体媒介の溶解に対する癌細胞の増大した抵抗性のために、これらの抗体の臨床的影響は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)応答の活性化およびプログラム化された細胞死(アポトーシス)の活性化に限定されている。これらの抗体の補体媒介細胞毒性(CDC)活性の増強は、腫瘍標的化抗体の治療的可能性を増幅すると考えられる。
原形質内および細胞表面の様々な膜補体調節タンパク質(mCRP)[例えば、崩壊促進因子(DAF、CD55)、膜補因子タンパク質(MCP、CD46)およびCD59]により、補体の活性化が抑制され、また、不必要な補体消費および無害細胞の攻撃が防止される(例えば、細胞溶解が防止される)。腫瘍細胞は、mCRPの過剰発現のために補体から守られる。例えば、肺癌細胞はCD55およびCD46を過剰発現し、結果として、正常な初代肺組織と比較して補体抵抗性である。同様に、結腸直腸癌腫におけるCD59発現のレベルが疾患の分化および進行の程度と相関する。特異的なモノクローナル抗体による膜調節因子の中和は腫瘍細胞の補体媒介による溶解を増大させる(Fishelson Z.他、Mol.Immunol.、40:109〜123、2003;Donin N.他、Clin.Exp.Immunol.、131:254〜263、2003)。
補体攻撃に対する他の防護機構には、いくつかのプロテインキナーゼカスケードの活性化、新しいタンパク質の合成、ならびに、熱ショックタンパク質およびBcl−2の活性が含まれる。加えて、亜溶解用量の補体にさらされた細胞は、60分以内に、溶解性の補体用量に対していっそう耐性を示す。これらの細胞活性化プロセスの結果の1つが、小胞形成(「出芽」)によるか、または、エンドサイトーシスおよびタンパク質分解的断片化による細胞表面からのMACの迅速な除去である。小胞形成によるMACの物理的な除去は、好中球、稀突起神経膠細胞、腎糸球体上皮細胞、U937細胞およびK562細胞を含めて、非常に多くの細胞タイプにおいて明らかにされる一般的な現象である。小胞形成プロセスの期間中、膜のタンパク質および脂質の並び替えが生じ、脱落した小胞は、コレステロール、ジアシルグリセロール、および、MAC複合体のC9タンパク質が濃縮されている。細胞表面からのMACの除去による、補体媒介溶解に対する防護には、カルシウムイオンおよび活発なタンパク質リン酸化反応が要求される(Kraus SおよびFishelson Z、2000、Eur.J.Immunol.、30:1272〜1280)。
モータリン(GRP75、PBP74およびミトコンドリアhsp70としても知られている)は、細胞質、ERおよび細胞質小胞に見出されるが、その主要な存在場所はミトコンドリア内である。いくつかの機能がモータリンに起因すると考えられており、それらの機能には、ストレス応答、グルコース調節、細胞内輸送、p53不活性化、細胞増殖の制御、腫瘍形成、および、ミトコンドリア内へのタンパク質の輸入が含まれる。従って、モータリンが多くの場合、腫瘍においてアップレギュレーションされ、正常な細胞におけるその過剰発現はその寿命をかなり延ばし、一方で、不死化された細胞における低下したモータリンレベルは成長停止を引き起こす。
本発明者らは近年、モータリンを、K562ヒト赤白血病細胞から放出されるMAC誘導による小胞の一部として見出しており、また、モータリンが補体系の活性化の後で細胞から脱落することを明らかにしている(Pilzer DおよびFishelson Z、2005、Int.Immunol.、17:1239〜1248)。加えて、本発明者らの米国特許出願第11/440132号は、補体の小胞脱落を低下させること、および、疾患(例えば、癌および病原性感染など)における病理学的細胞の補体媒介による細胞溶解を増大させることのために(例えば、抗モータリン抗体またはsiRNAを使用して)モータリンのレベルを低下させる方法を開示する。
MKT−077はカチオン性ローダシアニン色素アナログであり、モータリンに結合し、p53とのその相互作用を妨げ、従って、その転写活性化機能を回復させる[Wadhwa,R.他、Cancer Res.、2000、60:6818〜21]。その正電荷のために、MKT−077は膜の脂質二重層を通過し、大きな負電荷を有するミトコンドリアの内部に蓄積することができる。癌細胞は、正常な細胞よりも大きなミトコンドリア膜電位を有するので、より大きな感受性をMKT−077に対して示す。癌細胞についてのこの選択的毒性により、前臨床および臨床での癌治療試験におけるMKT−077の使用がもたらされている。しかしながら、MKT−077は、化学療法抵抗性固形腫瘍の第I相臨床試験において、3週間毎に1回、5日間の注入(30mg/m2/日〜50mg/m2/日)として投与されたとき、毒性(腎毒性)であることが見出された(Propper D.J.他、1999、Ann.Oncol.、10:923〜927)。毒性(管理可能な低マグネシウム血症として)はまた、MKT−077が単回ボーラスの毎週の注入(42mg/m2)として6週間毎に4週間投与されたときにも直面した(Britten CD.他、2000、Clin.Cancer Res.、6:42〜49)。MKT−077の他の有害な影響には、ミトコンドリア機能の可逆的障害、アクチンフィラメントの架橋、および、テロメラーゼの不活性化が含まれる。すべてのこれらの理由で、抗癌薬物としてのMKT−077の使用は望ましくないと見なされ、MKT−077の開発が中断された。
本発明の1つの態様によれば、抗癌抗体療法により治療されている、癌の治療の必要性のある対象において癌を治療する方法が提供され、この場合、この方法は、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物の治療効果的な量を対象に投与し、それにより、対象における癌を治療することを含む。
本発明の別の態様によれば、抗癌抗体療法のためのアジュバントとして特定される医薬品を製造するための、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物の使用が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、アジュバント抗癌抗体療法としての使用のためのラベルを含む包装材を含む製造物であって、包装材により、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物が包装される製造物が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物と、抗癌抗体とを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物が提供される。
本発明のさらなる態様によれば、抗癌抗体療法のための非局在化親油性カチオン(DLC)アジュバントを特定する方法が提供され、この場合、この方法は、(a)モータリンを発現する細胞を複数の非局在化親油性カチオン(DLC)化合物と接触させること、および、(b)モータリン機能をダウンレギュレーションすることができ、従って、抗癌抗体療法のためのアジュバントである少なくとも1つの化合物を前記複数の化合物から特定することを含む。
本発明のさらなる態様によれば、0.17ミリグラム〜220ミリグラムのMKT−077を含む単位投与剤形が提供される。
下記に記載される本発明の実施形態におけるさらなる特徴によれば、包装材はさらに、抗癌抗体を包装する。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、非局在化親油性カチオン(DLC)化合物を投与することが、抗癌抗体療法を施す前に行われる。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、非局在化親油性カチオン(DLC)化合物を投与することが、抗癌抗体療法を施すのと同時に行われる。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、非局在化親油性カチオン(DLC)化合物および抗癌抗体が別個の容器において包装される。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、非局在化親油性カチオン(DLC)化合物および抗癌抗体が1つの容器において包装される。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、非局在化親油性カチオン(DLC)化合物および抗癌抗体が共配合される。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、非局在化親油性カチオン(DLC)化合物はカチオン性ローダシアニン化合物である。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、カチオン性ローダシアニン化合物はMKT−077である。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、抗癌抗体が、リツキシマブ(Rituximab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、ゲムツズマブ(Gemtuzumab)、オゾガマイシン、アレムツズマブ(Alemtuzumab)、イブリツモマブ(Ibritumomab)チウキセタン、トシツモマブ(Tositumomab)、セツキシマブ(Cetuximab)、ベバシズマブ(Bevasizumab)、CP−751871およびパニツムマブ(Panitumumab)からなる群から選択される。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、抗癌抗体療法が、CD20、HER2、CD33、CD52、EGFRおよびIGF1Rからなる群から選択される腫瘍関連抗原に対して向けられる。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、MKT−077が静脈内投与のために配合される。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、MKT−077の投与が0.1mg/m2/日〜25mg/m2/日の投与量で行われる。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、MKT−077の投与が1mg/m2/週〜126mg/m2/週の投与量で行われる。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、抗癌抗体がRITUXANであり、これに対して、抗癌抗体の投与が375mg/m2の投与量で行われる。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、モータリン機能は、補体タンパク質への結合を含む。
記載された実施形態におけるさらなる態様によれば、補体タンパク質は、配列番号9によって示されるようなC9タンパク質である。
本発明の実施形態は、癌を治療するための方法および医薬組成物を提供する。
別途定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法および材料が下記に記載される。本願で挙げた刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献はすべて、全体を参照として本明細書に援用するものである。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。
本明細書において使用される用語「含む(comprising)」および「含む(including)」またはその文法上の変化形は、記述されている特徴、数値、工程または成分を特定しているとみなすべきであるが、1つ以上の追加の特徴、数値、工程、成分またはそれらの群を追加することを妨げない。この用語は、用語「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含する。
語句「から本質的になる」またはその文法上の変化形は、本明細書中で使用する場合、記述された特徴、数値、工程または成分を特定しているとみなすべきであるが、1つ以上の追加の特徴、数値、工程、成分またはそれらの群を追加することを妨げない。しかし追加の特徴、数値、工程、成分またはそれらの群が、特許請求されている組成物、装置または方法の基本的な新規の特徴を著しく変えない場合だけである。
用語「方法」は、与えられたタスクを達成するための様式、手段、技術および手順を意味し、限定されないが、バイオテクノロジーの分野の当業者に知られているかまたはその当業者が既知の様式、手段、技術および手順から容易に開発する方式、手段、技術および手順を含んでいる。
本明細書では本発明を単に例示し図面を参照して説明する。特に詳細に図面を参照して、示されている詳細が例示として本発明の好ましい実施態様を例示考察することだけを目的としており、本発明の原理や概念の側面の最も有用でかつ容易に理解される説明であると考えられるものを提供するために提示していることを強調するものである。この点について、本発明を基本的に理解するのに必要である以上に詳細に本発明の構造の詳細は示さないが、図面について行う説明によって本発明のいくつもの形態を実施する方法は当業者には明らかになるであろう。
いくつかの実施形態において、本発明は、抗癌抗体療法のための方法、および非局在化親油性カチオン(DLC)化合物をアジュバントとして含む抗癌抗体療法のための医薬組成物の発明である。特に、本発明のDLC化合物は、癌性細胞を補体媒介の細胞溶解に対して感作することができ、それによって、抗癌抗体療法の効率を高める。
本発明による癌を治療するための方法、製造物、および医薬組成物の原理および操作は、図面および添付された説明を参照してより良く理解することができる。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるまたは実施例によって例示される構成要素の配置および構造の細部に限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行される。また、本明細書中で用いられる表現および用語は説明のためであり、従って限定として見なされるべきではないことを理解しなければならない。
本発明を実施に移しているとき、本発明者らは、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物(例えば、MKT−077)が癌性細胞を補体媒介の細胞溶解に対して感作することができ、従って、抗癌抗体療法においてアジュバントとして使用できることを発見している。
図1〜図6に示され、かつ、下記の実施例の節の実施例1において記載されるように、抗K562抗体および補体(NHS)による処理に先立つ、MKT−077によるヒトK562赤白血病細胞の前処理は、補体媒介による細胞殺傷の著しい強化をもたらすが(図1)、別のポア形成因子であるストレプトリジンOにより誘導される細胞溶解の著しい強化をもたらさなかった(図4a)。MKT−077による感作には、モータリンおよびC9の小胞形成の阻害(図2a〜図2b)、ならびに、MAC複合体のC9に対するモータリンの結合の阻害(図5)が伴っていた。下記の実施例の節の実施例1においてさらに示されるように、補体媒介の細胞溶解に対するMKT−077の影響はp53非依存的であり(図3)、また、モータリン媒介である(図4a〜図4b)。加えて、図6に示されるように、補体媒介の細胞溶解に対するDLC化合物の感作作用は、モータリンを阻害することができる化合物(例えば、MKT−077など)に対して特異的である。これらの結果は、MKT−077がMACに対するモータリンの結合を妨害し、結果として、MACをその表面から排除し、また、補体媒介の溶解に抵抗する細胞の能力を低下させることを明らかにする。従って、MKT−077は細胞をモータリン依存的様式で補体媒介の細胞溶解に対して感作する。まとめると、これらの結果は、モータリンと結合することができ、また、場合によりモータリンを阻害することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物(例えば、MKT−077など)の、抗癌抗体療法のためのアジュバントとしての使用を示唆している。
従って、本発明の1つの態様によれば、その必要性のある対象で、抗癌抗体療法により治療される対象において癌を治療する方法が提供される。この方法は、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物の治療効果的な量を対象に投与し、それにより、癌を治療することによって行われる。
本明細書中で使用される表現「アジュバント療法」または表現「医薬アジュバント」は、自身による薬理学的作用をほとんど有さないか、または、全く有さず、しかし、同時に与えられたときには他の薬物(すなわち、抗癌抗体療法)の効力または効能を増大させることができる薬物(すなわち、DLC)または薬物プロトコルを示す。
用語「治療する」は、病状(例えば、腫瘍、癌または前癌性腫瘍)の発達を阻害するか、または防止する(すなわち、病状が、その病状についての危険性を有し得る対象において生じないようにする)か、または停止させること、および/または、病状の軽減、寛解または退行を引き起こすことを示す。当業者は、様々な方法論およびアッセイが、病状の発達を評価するために使用でき、また、同様に、様々な方法論およびアッセイが、病状の軽減、寛解または退行を評価するために使用され得ることを理解する。
本明細書中で使用される用語「対象」には、哺乳動物が含まれ、好ましくは、病状に苦しむ任意の年齢のヒトが含まれる。この用語は、癌と過去に診断され、必要な場合には癌治療(例えば、従来の化学療法または抗癌抗体療法)を受け、現在は疾患の寛解状態にある個体を包含する。後者の個体は、従来の抗癌抗体療法に対する抵抗性を膜補体調節タンパク質(mCRP)および/またはモータリンの過剰発現によって発達させているかもしれないことが理解される。本発明の対象は抗癌抗体療法により治療されるか、または、そのような治療のための候補者である。
本明細書中で使用される用語「モータリン」は哺乳動物モータリンの核酸および/またはアミノ酸を示す:例えば、ヒトモータリン[GenBankアクセション番号NP_004125.3(配列番号1、アミノ酸について)および同NM_004134.4(配列番号2、核酸について)]、マウスモータリン(GenBankアクセション番号NM_010481.1および同NP_034611.1)、ラットモータリン(GenBankアクセション番号XR_005519.1)およびイヌモータリン(Gene ID:474697)など。
本明細書中で使用される表現「非局在化親油性カチオン(DLC)化合物」は、モータリンと結合することができ、また、場合により、その活性を阻害することができ、かつ/または、C9タンパク質としてのMAC複合体のメンバー(例えば、配列番号9)に対するモータリンの結合を妨害(阻害)することができる任意のπ電子非局在化親油性カチオンを示す。
本発明のこの態様に従って使用することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物(例えば、ローダシアニン化合物)の様々な例が米国特許第5670530号(これはその全体が参考として組み込まれる)に列挙され、これらには、図7a〜図7eに示されるような一般式I〜一般式Vのローダシアニン化合物が含まれる。
より詳しくは、図7a〜図7eに示される式(I)〜式(V)において、X1およびX2は個々に、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、下記の式VI:
、−CH=CH−または下記の式VII:
を表し、上記式において、R4およびR5はそれぞれがアルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)を表し、R6は、アルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)、アリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環または二環のアリール基など)、または、複素環基(すなわち、非置換または置換の複素環基、例えば、飽和または不飽和が可能であり、1つ以上の窒素原子、酸素原子およびイオウ原子を含有することができる5員〜6員の複素環基など)である。
、−CH=CH−または下記の式VII:
を表し、上記式において、R4およびR5はそれぞれがアルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)を表し、R6は、アルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)、アリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環または二環のアリール基など)、または、複素環基(すなわち、非置換または置換の複素環基、例えば、飽和または不飽和が可能であり、1つ以上の窒素原子、酸素原子およびイオウ原子を含有することができる5員〜6員の複素環基など)である。
Y1は、酸素原子、イオウ原子、セレン原子、または、下記の式VIIIの基:
を表し、ただし、上記式において、R7は、アルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)、アリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環または二環のアリール基など)、または、複素環基(すなわち、非置換または置換の複素環基、例えば、飽和または不飽和が可能であり、1つ以上の窒素原子、酸素原子およびイオウ原子を含有することができる5員〜6員の複素環基など)である。
を表し、ただし、上記式において、R7は、アルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)、アリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環または二環のアリール基など)、または、複素環基(すなわち、非置換または置換の複素環基、例えば、飽和または不飽和が可能であり、1つ以上の窒素原子、酸素原子およびイオウ原子を含有することができる5員〜6員の複素環基など)である。
R1、R2およびR3はそれぞれが個々に、アルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)を表し、R2はさらに、アリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環、二環または三環のアリール基など)、または、複素環基(すなわち、非置換または置換の複素環基、例えば、飽和または不飽和が可能であり、1つ以上の窒素原子、酸素原子およびイオウ原子をヘテロ原子として含有することができる5員〜6員の複素環基など)が可能である。
Z1およびZ2は同じかまたは異なっていてもよく、それぞれが、1つ以上の窒素原子、酸素原子、イオウ原子またはセレン原子をヘテロ原子として含有することができる飽和または不飽和の5員環または6員環を形成するために必要な原子基を表し、また、Z1およびZ2はそれぞれが、別の環(例えば、飽和または不飽和の環など)により置換され得るか、または、別の環(例えば、飽和または不飽和の環など)と縮合することができる。
L1、L2およびL3はそれぞれがメチン基(すなわち、非置換または置換のメチン基)または窒素原子を表し、また、L1が置換メチン基であるとき、L1およびL3は一緒になって、飽和または不飽和の5員環または6員環を形成することができる。
R8およびR9はそれぞれが、水素原子またはアルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)を表し、また、そのうえ、R8およびR9はアリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環、二環または三環のアリール基など)を表すか、あるいは、R8およびR9は一緒になって、置換され得る飽和または不飽和の縮合した5員環または6員環を形成することができる。
R10、R11、R12およびR13はそれぞれが、水素原子またはアルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)を表し、また、そのうえ、R10、R11、R12およびR13はアリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環、二環または三環のアリール基など)を表す。
さらには、R10、R11、R12およびR13のいずれか2つは一緒になって、非置換または置換の5員環または6員環を形成することができる。炭素環式の環が好ましい。
R14、R15、R16およびR17はそれぞれが、水素原子またはアルキル基(すなわち、非置換または置換のアルキル基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基など)を表し、また、そのうえ、R14、R15、R16およびR17はそれぞれが、アリール基(すなわち、非置換または置換のアリール基、例えば、単環または二環のアリール基など)を表す。
さらには、R14、R15、R16およびR17はそれぞれが、非置換または置換のアルコキシ基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルコキシ基;非置換または置換のアリールオキシ基、例えば、そのアリール成分が単環または二環であるアリールオキシ基;非置換または置換のアシル基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルキルアシル基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるアリールアシル基;非置換または置換のアルコキシカルボニル基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルコキシカルボニル基;非置換または置換のベンゾイル基;非置換または置換のウレイド基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルキルウレイド基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるアリールウレイド基;非置換または置換のアミノ基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるモノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるモノアリールアミノ基またはジアリールアミノ基;非置換または置換のアミド基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるモノアルキルアミド基またはジアルキルアミド基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるモノアリールアミド基またはジアリールアミド基;非置換または置換のスルファミド基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルキルスルファミド基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるアリールスルファミド基;非置換または置換のカルバミル基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルキルカルバミル基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるアリールカルバミル基;非置換または置換のスルファモイル基、例えば、そのアルキル成分が直鎖または分枝鎖のアルキル成分であるアルキルスルファモイル基、あるいは、そのアリール成分が単環または二環であるアリールスルファモイル基;ハロゲン原子、例えば、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子またはフッ素原子など;ニトロ基;シアノ基;ヒドロキシ基;またはカルボキシ基を表し、あるいは、R14〜R17のいずれか隣接する2つは一緒になって、他の環が縮合することができる飽和または不飽和の5員環または6員環を形成することができる。
Qは、電気的な電荷バランスのために必要な医薬的に許容され得るアニオンを表し、jおよびkはそれぞれが1または2であり、mおよびnはそれぞれが0または1である。
より具体的には、上記で記載されるように、R1およびR3は個々に、非置換または置換であり得るアルキル基を表すことができる。アルキル基の好適な例には、1個〜15個の炭素原子(より好ましくは1個〜10個の炭素原子、一層より好ましくは1個〜8個の炭素原子)を有する直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基および環状アルキル基が含まれる。
R1およびR3についてのアルキル基の具体例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−プロペニル、2−ブテニルおよび3−へキセニルなどが含まれる。R1およびR3が置換アルキル基を表すとき、アルキル基に存在することができる好適な置換基の具体例には、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素など)、アリール基、アルコキシ基およびヒドロキシ基などが含まれる。R1およびR3についての非置換アルキル基および置換アルキル基についての炭素原子の好ましい数は1〜15の範囲であり、より好ましくは1〜10の範囲であり、最も好ましくは1〜8の範囲である。ハロゲン原子によって置換されたアルキル基の具体例には、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロプロピル基およびペンタフルオロプロピル基が含まれる。
上記で定義されるように、R2、R6およびR7は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基または環状アルキル基が可能である、置換され得るアルキル基を表す。アルキル基およびアルキル基における置換基の具体例は、R1およびR3について上記で記載される通りである。R2、R6およびR7によって表されるアルキル基についての炭素原子の好ましい数は1個〜15個の炭素原子であり、より好ましくは1個〜10個の炭素原子であり、最も好ましくは1個〜8個の炭素原子である。
上記のR2、R6およびR7によって表されるアリール基は、単環、二環または三環のアリール基、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基またはアントラセニル基などが可能であり、そのような基は非置換または置換であり得る。R2、R6およびR7によって表されるアリール基に存在することができる置換基の好適な例には、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素など)、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルキル置換またはアリール置換のアミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基などの1つ以上が含まれる。R2、R6およびR7についてのアリール基についての炭素原子の好ましい数は6〜20であり、好ましくは6〜15であり、より好ましくは6〜8である。
R2、R6およびR7によって表される複素環式の環は、1つ以上の酸素原子、イオウ原子または窒素原子をヘテロ原子として含有する5員〜6員の複素環式の環が可能である。R2、R6およびR7によって表される複素環式の環の好適な例には、イミダゾール環、チアゾール環、ピロール環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、ピラジン環、ピリジン環およびピリミジン環などが含まれる。これらの複素環式の環は、例えば、R2、R6およびR7についてのアリール基について上記で記載されるような置換基によって置換されてもよく、または、別の環(例えば、飽和または不飽和の環など)と縮合してもよい。
R4およびR5によって表されるアルキル基の例には、1個〜15個の炭素原子(より好ましくは1個〜10個の炭素原子)を有する非置換または置換のアルキル基が含まれる。好適なアルキル基の好適な例には、R1およびR3について上記で記載されるアルキル基が含まれ、また、R4およびR5によって表されるアルキル基に存在することができる置換基には、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基およびハロゲン原子などが含まれる。
上記のR6およびR7によって表されるアルキル基の例には、R4およびR5について上記で記載されるようなアルキル基が含まれる。R6およびR7についてのアルキル基についての炭素原子の好ましい数は1個〜15個の炭素原子であり、より好ましくは1個〜10個の炭素原子である。さらには、R6およびR7は、単環アリール基、二環アリール基および三環アリール基を含む非置換または置換のアリール基を表す。R6およびR7についてのアリール基についての炭素原子の好ましい数は6個〜20個の炭素原子であり、より好ましくは6個〜15個の炭素原子である。R6およびR7についての好適なアリール基、ならびに、それらについての置換基の具体例には、R2について上記で記載されるものが含まれる。
上記のR8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17によって表されるアルキル基は、直鎖、分枝鎖または環状が可能であり、1個〜15個の炭素原子(より好ましくは1個〜10個の炭素原子、一層より好ましくは1個〜8個の炭素原子)を含むことができる。R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17によって表されるアルキル基はまた、非置換のアルキル基が可能である。R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17についてのアルキル基の具体例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、2−プロペニル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなどが含まれる。R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17が置換アルキル基を表すとき、アルキル基に存在することができる好適な置換基の具体例には、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素など)、アリール基、アルコキシ基およびヒドロキシ基などが含まれる。R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17についての非置換アルキル基および置換アルキル基についての炭素原子の好ましい数は1〜15の範囲であり、より好ましくは1〜10の範囲である。
R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16およびR17によって表されるアリール基は、単環、二環または三環のアリール基、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基またはアントラセニル基などが可能であり、そのような基は非置換または置換であってもよい。R8〜R17によって表されるアリール基に存在することができる置換基の好適な例には、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素など)、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルキル置換またはアリール置換のアミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基およびアルコキシカルボニル基などの1つ以上が含まれる。R8〜R17についてのアリール基についての炭素原子の好ましい数は6〜20であり、好ましくは6〜15である。
R8をR9と結合させることによって形成される環の例には、ベンゼン環、ナフタレン環、ジヒドロナフタレン環、アントラセン環およびフェナントレン環が含まれる。R8をR9と結合させることによって形成される環においてさらに存在することができる置換基の好適な例には、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、好ましくは1個〜5個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは6個〜8個の炭素原子を有するアリール基、好ましくは1個〜5個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくは6個〜8個の炭素原子を有するアリールオキシ基、好ましくは2個〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、および、好ましくは2個〜6個の炭素原子を有するアシルオキシ基が含まれる。より好ましい置換基が、1つ以上の塩素原子、1つ以上のフッ素原子、メトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメチル基、メトキシカルボニル基、フェニル基およびメチレンジオキシ基である。
そのうえ、R10、R11、R12およびR13の2つは一緒になって、5員または6員の炭素環式の環を形成することができる。環における置換基を含むそのような炭素環式の環についての炭素原子、または、R10、R11、R12およびR13についての炭素原子の好適な数は、3個〜15個の炭素原子であり、好ましくは3個〜10個の炭素原子である。
5員および6員の炭素環式の環の典型的な例には、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環およびシクロヘキセン環などが含まれる。
Z1およびZ2は同じかまたは異なっていてもよく、それぞれが、飽和または不飽和の5員環および6員環を形成するために必要な原子基を表す。そのうえ、Z1およびZ2によって形成される環は1つ以上の置換基により置換することができ、あるいは、別の環(例えば、飽和または不飽和の環など、例えば、シクロヘキセン環、ベンゼン環またはナフタレン環)と縮合することができる。Z1およびZ2によって形成される環に存在することができる置換基の好適な例には、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素など)、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキル置換またはアリール置換のアミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、複素環式の環(例えば、ピロール環、フラン環、ピペリジン環、モルホリン環、ピリジン環など)、シアノ基およびニトロ基などの1つ以上が含まれ、また、そのような環と縮合する飽和または不飽和の環の好適な例には、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環などが含まれる。
Z1およびZ2によって形成される複素環式の環の具体例には、5員および6員の複素環式の環が含まれ、例えば、チアゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、チアゾール、4−メチルチアゾール、4−フェニルチアゾール、4,5−ジフェニルチアゾール、4,5−ジメチルチアゾールなど)、ベンゾチアゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、ベンゾチアゾール、5−クロロベンゾチアゾール、5−メチルベンゾチアゾール、5−フェニルベンゾチアゾール、5−メトキシベンゾチアゾール、4−フルオロベンゾチアゾール、5,6−ジオキシメチレンベンゾチアゾール、5−ニトロベンゾチアゾール、5−トリフルオロメチルベンゾチアゾール、5−メトキシカルボニルベンゾチアゾール、5−ヒドロキシベンゾチアゾール、6−ヒドロキシベンゾチアゾール、5−シアノベンゾチアゾール、5−ヨードベンゾチアゾールなど)、ナフトチアゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、α−ナフトチアゾール、β−ナフトチアゾール、γ−ナフトチアゾール、5−メトキシ−β−ナフトチアゾール、8−メトキシ−α−ナフトチアゾール、6−メトキシ−8−アセチルオキシ−β−ナフトチアゾール、8,9−ジヒドロ−β−ナフトチアゾールなど)、オキサゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、4−メチルオキサゾール、4,5−ジフェニルオキサゾール、4−フェノキシオキサゾールなど)、ベンゾオキサゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、ベンゾオキサゾール、5−クロロベンゾオキサゾール、5,6−ジメチルベンゾオキサゾール、6−ヒドロキシベンゾオキサゾール、5−フェニルベンゾオキサゾールなど)、ナフトオキサゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、α−ナフトオキサゾール、β−ナフトオキサゾールなど)、セレナゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、4−メチルセレナゾール、4−フェニルセレナゾールなど)、ベンゾセレナゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、ベンゾセレナゾール、5−クロロベンゾセレナゾール、5−メトキシベンゾセレナゾール、5−ヒドロキシベンゾセレナゾールなど)、チアゾリン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、チアゾリン、4,4−ジメチルチアゾリンなど)、2−ピリジン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、2−ピリジン、5−メチル−2−ピリジン、5−メトキシ−2−ピリジン、4−クロロ−2−ピリジン、5−カルバモイル−2−ピリジン、5−メトキシカルボニル−2−ピリジン、4−アセチルアミノ−2−ピリジン、6−メチルチオ−2−ピリジン、6−メチル−2−ピリジンなど)、4−ピリジン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、4−ピリジン、3−メトキシ−4−ピリジン、3,5−ジメチル−4−ピリジン、3−クロロ−4−ピリジン、3−メチル−4−ピリジンなど)、2−キノリン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、2−キノリン、6−メチル−2−キノリン、6−クロロ−2−キノリン、6−エトキシ−2−キノリン、6−ヒドロキシ−2−キノリン、6−ニトロ−2−キノリン、6−アセチルアミノ−2−キノリン、6−ジメチルアミノカルボニル−2−キノリン、8−フルオロ−2−キノリンなど)、4−キノリン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、4−キノリン、6−メトキシ−4−キノリン、6−アセチルアミノ−4−キノリン、8−クロロ−4−キノリン、6−トリフルオロメチル−4−キノリンなど)、1−イソキノリン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、1−イソキノリン、6−メトキシ−1−イソキノリン、6−クロロ−1−イソキノリンなど)、3,3−ジアルキルインドレニン系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、3,3−ジメチルインドレニン、3,3,7−トリメチルインドレニン、5−クロロ−3,3−ジメチルインドレニン、5−エトキシカルボニル−3,3−ジメチルインドレニン、5−ニトロ−3,3−ジメチルインドレニン、3,3−ジメチル−4,5−フェニレンインドレニン、3,3−ジメチル−6,7−フェニレンインドレニン、5−アセチルアミノ−3,3−ジメチルインドレニン、5−ジエチルアミノ−3,3−ジメチルインドレニン、5−メタンスルホニルアミノ−3,3−ジメチルインドレニン、5−ベンゾイルアミノ−3,3−ジメチルインドレニンなど)、イミダゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、イミダゾール、1−アルキル−4−フェニルイミダゾール、1−アルキル−4,5−ジメチルイミダゾールなど)、ベンゾイミダゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、ベンゾイミダゾール、1−アルキルベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−トリフルオロベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−クロロベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−スルファモイルベンゾイミダゾール、1−アリール−5−メトキシカルボニルベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−アセチルアミノベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−ニトロベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−ジエチルアミノベンゾイミダゾール、1−アルキル−5−ペンチルオキシベンゾイミダゾールなど)、ナフトイミダゾール系列の複素環式の環を含む核を含む複素環式の環(例えば、1−アルキル−α−ナフトイミダゾール、1−アルキル−5−メトキシ−β−ナフトイミダゾールなど)、および、同様な環などが含まれる。
L1、L2またはL3により置換されたメチン基に存在することができる置換基の好適な例には、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ブチルなど)、アリール基(例えば、フェニル、トリルなど)、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素)またはアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシなど)が含まれ、また、L1およびL3の組合せによって形成される好適な環には、5員の複素環式の環(例えば、ピロリン環など)および6員の複素環式の環(例えば、テトラヒドロピリジン環、オキサジン環など)が含まれる。
上記化合物において電気的な電荷バランスのために必要であるQについての用語「医薬的に許容され得るアニオン」は、その必要性のある対象に投与されたとき、イオンが非毒性であり、上記の化合物を水系において可溶性にすることを意味することが意図される。
Qによって表される医薬的に許容され得るアニオンの好適な例には、ハリド(例えば、クロリド、ブロミドおよびヨージドなど)、スルホナート(例えば、脂肪族スルホナートおよび芳香族スルホナート、例えば、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、p−トルエンスルホナート、ナフタレンスルホナート、2−ヒドロキシエタンスルホナートなど)、スルファマート(例えば、シクロヘキサンスルファマートなど)、スルファート(例えば、メチルスルファートおよびエチルスルファートなど)、ビスルファート、ボラート、アルキルホスファートおよびジアルキルホスファート(例えば、ジエチルホスファートおよびメチルハイドロジェンホスファートなど)、ピロホスファート(例えば、トリメチルピロホスファートおよびジエチルハイドロジェンピロホスファートなど)、カルボキシラート(好都合には、カルボキシ置換カルボキシラートおよびヒドロキシ置換カルボキシラート)およびカルボナートが含まれる。医薬的に許容され得るアニオンの好ましい例には、クロリド、ブロミド、ヨージド、アセタート、プロピオナート、バレラート、シトラート、マレアート、フマラート、ラクタート、スクシナート、タルタラートおよびベンゾアートが含まれる。
具体的には、Y1がイオウ原子であり、L2およびL3が非置換のメチン基であり、Qによって表されるアニオンが、クロリド、ブロミド、ヨージド、p−トルエンスルホナートまたはアセタートである式(I)〜式(V)のローダシアニン化合物が好ましい。
一般式(I)〜一般式(V)のDLC化合物で、そのカチオン成分が4.5〜12のlogP値を有し、本発明において用いることができるDLC化合物の限定されない例には、図8a〜図8oに示される化合物1〜化合物96が含まれる。
本発明の1つの実施形態によれば、本発明のこの態様の方法に従って使用されるDLC化合物はMKT−077である[これはまた、FJ−776として、すなわち、1−エチル−2−{[3−エチル−5−(3−メチルベンゾチアゾリン−2−イリデン]−4−オキソチアゾリジン−2−イリデンメチル}ピリジニウム塩化物として知られている]。
本発明のこの態様に従って使用することができるさらなるDLC化合物には、Kawakami M.他、1998、「抗腫瘍剤としての新規なローダシアニン色素の構造−活性」、J.Med.Chem.、41:130〜142;および、Kawakami、M.他、1998、「ローダシアニン色素MKT077の自己感作光反応」、Tetrahedron Letters、39:1763〜1766;Takasu K.他、2004、Bioorganic and Medical Chemistry Letters、14:1689〜1692;Muthyala R.他、2001、Photochemistry and Photobiology、74:837〜845に記載される化合物が含まれる(これらのすべてが参考として本明細書中に組み込まれる)。
本発明のDLC化合物は、英国特許第489335号および同第487051号、米国特許第2388963号、同第2454629号、同第2504468号、同第2536986号および同第2961318号に開示される方法に従って、知られている出発物質から容易に製造することができる(これらの開示は参考として本明細書中に組み込まれる)。
本発明のDLC化合物の溶解性を(例えば、静脈内投与による使用のために)増大させるために、DLC化合物が、シクロデキストリン(例えば、デンプンまたはデキストリンをアミラーゼと反応することによって調製されるα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなど)とともに調製され得ることが理解される。
本発明の教示に従って使用することができるDLC化合物は、下記の実施例の節の実施例3においてさらに記載される、この技術分野では広く知られている方法を使用して特定することができる。例えば、モータリンを発現する細胞を用いるインビトロアッセイを、モータリン機能[例えば、補体MAC複合体のタンパク質メンバーに対するモータリンの結合、例えば、C9タンパク質(GenBankアクセション番号NP_001728.1、配列番号9)などに対するモータリンの結合、モータリン媒介の抗老化活性、モータリン媒介のp53封鎖、および、モータリン媒介の抗原提示]をダウンレギュレーションすることができるDLC化合物を特定するために使用することができる。DLC化合物がモータリンに結合し、また、場合により、モータリン、および/または、MAC複合体のメンバーに対するモータリンの結合を阻害することができることを、広く知られているインビトロアッセイを使用して、例えば、下記の実施例の節の実施例3に記載されるインビトロアッセイを使用して明らかにすることができる。候補化合物はさらに、モータリン媒介で、補体媒介の細胞溶解に対するそれらの影響についてのインビトロアッセイによって適格確認することができる(下記の実施例の節の実施例3を参照のこと)。
本明細書中上記で述べられたように、また、下記の実施例の節において例示されるように、MKT−077は、特異的な抗体(抗癌抗体)と一緒に使用されるとき、補体媒介の細胞溶解を著しく高める。従って、本発明のこの態様のいくつかの実施形態によれば、抗癌抗体療法が、DLC化合物の投与の前に、または、DLC化合物の投与と同時に、または、DLC化合物の投与の後で対象に施される。当業者は、投与の好ましいプロトコルを、投与された化合物の代謝回転などに基づいて決定することができる。
本明細書中で使用される表現「抗癌抗体療法」は、癌/腫瘍の細胞で主として発現される構成的または一過性に発現された表面エピトープに対して向けられた抗体を使用して行われる癌の治療を示す。
本明細書中で使用される用語「抗体」は、無傷の抗体分子またはそのフラグメントを示す。
本明細書中で使用される表現「抗体フラグメント」は、抗原のエピトープに結合することができ、補体系を直接的または間接的に漸加する抗体の機能的フラグメントを示す。
抗体フラグメントには、免疫グロブリン軽鎖(これは本明細書中では「軽鎖」として示される)の相補性決定領域(CDR)、免疫グロブリン重鎖(これは本明細書中では「重鎖」として示される)の相補性決定領域(CDR)、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域、軽鎖、重鎖、Fdフラグメント、ならびに、本質的には軽鎖および重鎖の両方の可変領域全体を含む抗体フラグメントが含まれ、例えば、Fv、単鎖Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2および単一ドメイン分子(例えば、VHおよびVLなど)などが含まれる。
一般に、抗体フラグメントは、完全な抗体よりも一般には小さく、その一方で、抗体フラグメントの免疫グロブリン可変領域を含む抗体の実質的に同一の結合特異性を本質的には保持するという利点を有する。従って、抗体フラグメントは、抗体が抗原に結合することを阻害する立体的障害を引き起こし得る成分を含む可能性がより少なく、また、後者よりも優れた生体分布特性および拡散特性を(例えば、全身的インビボまたは隔離された組織において)有する。
免疫応答が、例えば、補体の活性化のために所望されるとき、本発明の抗体フラグメントは、機能的成分(例えば、毒性成分)に都合よく結合することができる機能的な定常領域またはその一部分(例えば、Fc領域など)を含む。
適用および目的に依存して、定常領域の様々なイソ型のいずれかまたはその一部分を用いることができる。例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞による抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を誘導するためには、イソ型はIgGが可能であり、マスト細胞/好塩基球によるADCCを誘導するためには、イソ型はIgEが可能であり、好酸球によるADCCを誘導するためには、イソ型はIgEまたはIgAが可能である。補体カスケードを誘導するためには、抗体または抗体フラグメントは、そのカスケードを開始することができる定常領域またはその一部分を含むことができる。例えば、抗体または抗体フラグメントは好都合には、C1q媒介の補体カスケードを誘発させるためにIgGのCgamma2ドメインまたはIgMのCmu3ドメインを含むことができる。
モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を作製する様々な方法がこの技術分野では広く知られている。抗体をいくつかの知られている方法のいずれか1つによって作製することができ、この場合、これらの方法は、抗体分子のインビボ産生の誘導、免疫グロブリンライブラリーのスクリーニング(Orlandi,R.他(1989)、発現のための免疫グロブリン可変ドメインのポリメラーゼ連鎖反応によるクローニング、Proc Natl Acad Sci USA、86、3833〜3837;および、Winter,G.およびMilstein,C.(1991)、人工抗体、Nature、349、293〜299)、または、培養での連続細胞株によるモノクローナル抗体分子の作製を用いることができる。これらには、ハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術およびエプスタイン・バールウイルス(EBV)ハイブリドーマ技術が含まれるが、これらに限定されない(Kohler,G.およびMilstein,C.(1975)、事前に規定された特異性を有する抗体を分泌する融合細胞の連続培養、Nature、256、495〜497;Kozbor,D.他(1985)、ヒトハイブリドーマの腹水成長の後での特異的免疫グロブリンの産生および高まった腫瘍形成性、J Immunol Methods、81、31〜42;Cote RJ.他(1983)、細胞性抗原との反応性を有するヒトモノクローナル抗体の作製、Proc Natl Acad Sci USA、80、2026〜2030;および、Cole,S.P.他(1984)、ヒトモノクローナル抗体、Mol Cell Biol、62、109〜120)。
抗体をインビボで作製する際、標的抗原が小さすぎて、十分な免疫原応答を惹起させることができない場合、そのような抗原(これは「ハプテン」と呼ばれる)は、抗原的に無関係なキャリアにカップリングすることができ、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)または血清アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))のキャリアなどにカップリングすることができる(例えば、米国特許第5189178号および同第5239078号を参照のこと)。ハプテンをキャリアにカップリングすることを、この技術分野では広く知られている方法を使用して行うことができる。例えば、アミノ基への直接的なカップリングを行うことができ、その後、必要に応じて、形成されたイミノ連結の還元を行うことができる。代替として、キャリアを、縮合剤を使用して、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは他のカルボジイミド脱水剤などを使用してカップリングすることができる。リンカー化合物もまた、カップリングを行うために使用することができる;ホモ二官能性リンカーおよびヘテロ二官能性リンカーの両方が、Pierce Chemical Company(Rockford、Illinois、米国)から入手可能である。得られる免疫原性複合体を、その後、好適な哺乳物被験体(例えば、マウスおよびウサギなど)に注射することができる。好適なプロトコルでは、アジュバントの存在下での免疫原の繰り返される注射を、血清における抗体の産生を増強するために設計されたスケジュールに従って行うことが伴う。免疫血清の力価を、この技術分野では広く知られている免疫アッセイ手順を使用して容易に測定することができる。
得られた抗血清はそのまま使用することができ、または、モノクローナル抗体を、本明細書中上記で記載されたように得ることができる。
ヒトの治療または診断のために、ヒト化抗体が使用され得ることが理解される。非ヒト抗体(例えば、マウス抗体)のヒト化形態は、例えば、非ヒト抗体に由来する最小限の部分を有する遺伝子操作されたキメラな抗体または抗体フラグメントである。ヒト化抗体には、ヒト抗体(レシピエント抗体)のCDRが、所望される機能性を有する非ヒト種(ドナー抗体)(例えば、マウス、ラットまたはウサギなど)のCDRからの残基によって置き換えられる抗体が含まれる。いくつかの場合には、ヒト抗体のFvフレームワーク残基が対応の非ヒト残基によって置き換えられる。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体において、または、移入されたCDR配列もしくはフレーム配列において、そのどちらにも見出されない残基を含むことができる。一般には、ヒト化抗体は、少なくとも1つ(典型的には2つ)の可変領域の実質的にすべてを含み、ただし、この場合、CDRのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト抗体のCDRに対応し、フレームワーク領域のすべてまたは実質的にすべてが、関連したヒトコンセンサス配列のフレームワーク領域に対応する。ヒト化抗体は最適にはまた、典型的にはヒト抗体に由来する抗体定常領域(例えば、Fc領域など)の少なくとも一部分を含むことができる(例えば、Jones、P.T.他(1986)、ヒト抗体における相補性決定領域の、マウス由来の相補性決定領域による置換、Nature、321、522〜525;Riechmann.L.他(1988)、治療のためのヒト抗体の再形成、Nature、332、323〜327;Presta、L.G.(1992b)、Curr Opin Struct Biol、2、593〜596;および、Presta、L.G.(1992a)、抗体工学、Curr Opin Biotechnol、3(4)、394〜398を参照のこと)。
非ヒト抗体をヒト化するための方法が当該分野で周知である。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からヒト化抗体に導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、インポート残基と呼ばれ、そのようなインポート残基は、典型的には、インポート可変ドメインから選ばれる。ヒト化は本質的には、ヒト抗体のCDRを対応する齧歯類のCDRで置換することによって、記載されるように行われることができる(例えば、Jones他(1986);Riechmann他(1988);Verhoeyen,M他(1988)。Reshaping human antibodies:grafting an antilysozyme activity.Science 239,1534−1536;および米国特許番号第4816567号を参照のこと)。従って、ヒト化抗体は、無傷のヒト可変ドメインの実質的に一部が非ヒト種由来の対応する配列によって置換されているキメラ抗体である。実際には、ヒト化抗体は典型的には、一部のCDR残基と、可能であれば、一部のフレームワーク残基とが、齧歯類抗体における類似部位に由来する残基によって置換されるヒト抗体である。
ヒト抗体はまた、当該技術分野で既知の様々な技術を使用して製造することができ、そのような技術には、ファージ呈示ライブラリー(Hoogenboom,H.R.およびWinter,G.(1991).By−passing immunization.Human antibodies from synthetic repertories of germline VH gene segmants rearranged in vitro.J Mol Biol 227,381−388;Marks,J.D.他(1991).By−passing immunization.Human antibodies from V−gene libralies display on phage.J Mol Biol 222,581−597;Cole他(1985),Monoclonal Antibodies and Tumoral disease Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96;およびBoerner,P.他(1991).Production of antigen−specific human monoclonal antibodies from in vivo−primed human splemocytes.J.Immunol.,147:86−95)が含まれる。ヒト化抗体はまた、ヒト免疫グロブリンの遺伝子座をトランスジェニック動物(例えば、内因性の免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウス)に導入することによって作製することができる。抗原による攻撃を受けたとき、そのような動物においてヒト抗体の産生が認められ、これは、遺伝子再配置、組み立ておよび抗体レパートリーを含めて、すべての点でヒトにおいて見られ得る抗体産生と非常に類似する。そのような方法を実施するための十分な手引きが、当該分野の文献に与えられている(例えば、米国特許第5545807号、同第5545806号、同第5569825号、同第5625126号、同第5633425号および同第5661016号;Marks,J.D.他(1992).By−passing immunization:building high affinity human antibodies by chain shuffling.Biotechnology(N.Y.)10(7),779−783;Lonberg他,1994.Nature 368:856−859;Morrison,S.L.(1994).News and View:Success in Specification.Nature 368,812−813;Fishwild,D.M.他(1996).High−avidity human IgG kappa monoclonal antibodies from a novel strain of minilocus transgenic mice.Nat Biotechnol 14,845−851;Neuberger,M.(1996).Generating high−avidity human Mabs in mice.Nat Biotechnol 14,826;およびLonberg,N.およびHuszar,D.(1995).Human antibodies from transgenic mice.Int Rev Immunol 13,65−93を参照のこと)。
抗体が得られた後、抗体は、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって活性について試験することができる。
述べられたように、本発明の抗癌抗体は、(例えば、膜結合の腫瘍特異的抗原を認識することによって)目的とする腫瘍細胞の抗原に特異的に結合する。
そのような膜結合の腫瘍特異的抗原の様々な例がこの技術分野では広く知られており、これらには、様々なマーカー、例えば、非ホジキンリンパ腫においてB細胞で発現されるCD20、乳癌細胞で発現されるヒト上皮増殖因子2(HER2)、急性骨髄性白血病(AML)において造血系幹細胞で発現されるCD33、慢性リンパ性白血病(CLL)においてB細胞で発現されるCD52、直腸結腸癌疾患および頭頸部癌疾患において癌性細胞で発現される上皮増殖因子受容体(EGFR)、ならびに、様々な癌性腫瘍(例えば、乳癌(例えば、これはBRCA1の変異に関連する)、非小細胞肺癌、頭頸部癌、神経芽細胞腫および前立腺癌など)で発現されるインスリン様増殖因子−I受容体(IGF−IR)が含まれるが、これらに限定されない。他の標的を、遺伝子発現分析(例えば、アレイ技術)を使用して特定することができ、その標的に向けられた抗体を上記の教示に従って作製することができる。
そのような抗体または標的の限定されないリストが下記の表1に示される。
本発明の方法によって治療することができる癌または腫瘍疾患のタイプには、良性腫瘍、いぼ、ポリープ、前癌物および悪性腫瘍/癌が含まれる。
本発明のこの態様の方法に従って治療することができる癌は、任意の固形癌もしくは非固形癌および/または癌転移が可能であり、これらには、胃腸管の腫瘍(結腸癌腫、直腸癌腫、結腸直腸癌腫、結腸直腸癌、結腸直腸腺腫、遺伝性非ポリポーシス1型、遺伝性非ポリポーシス2型、遺伝性非ポリポーシス3型、遺伝性非ポリポーシス6型;結腸直腸癌、遺伝性非ポリポーシス7型、小腸および/または大腸の癌腫、食道癌腫、食道癌を伴う肥厚化、胃癌腫、膵臓癌腫、膵内分泌腫瘍)、子宮内膜癌腫、隆起性皮膚線維肉腫、胆嚢癌腫、胆管腫瘍、前立腺癌、前立腺腺癌、腎臓癌(例えば、ウィルムス腫瘍2型またはウィルムス腫瘍1型)、肝臓癌(例えば、肝芽腫、肝細胞癌腫、肝細胞癌)、膀胱癌、胎児性横紋筋肉腫、胚細胞腫瘍、栄養膜腫瘍、精巣胚細胞性癌、卵巣、子宮、卵巣上皮の未熟型奇形腫、仙尾骨腫瘍、絨毛癌、胎盤側栄養膜腫瘍、上皮の成人腫瘍、卵巣癌腫、漿液性卵巣癌、卵巣性索腫瘍、子宮頸癌、子宮頸部癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、鼻咽頭癌腫、乳癌腫(例えば、乳管癌、浸潤性乳管内乳癌、散在性;乳癌、乳癌に対する感受性、4型乳癌、乳癌1、乳癌3;乳房−卵巣癌)、扁平上皮癌(例えば、頭頸部における扁平上皮癌)、神経原性腫瘍、星状膠細胞腫、神経節芽細胞腫、神経芽細胞腫、リンパ腫(例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、T細胞リンパ腫、胸腺リンパ腫)、神経膠腫、腺癌、副腎腫瘍、遺伝性副腎皮質癌、脳悪性腫瘍(脳腫瘍)、様々な他の癌腫(例えば、気管支原性大細胞癌、線管癌、エールリッヒ腹水癌、類表皮癌、大細胞癌、ルイス肺癌、髄様癌、粘表皮癌、燕麦細胞癌、小細胞癌、紡錘体細胞癌、棘細胞癌、移行上皮細胞癌、未分化癌、癌肉腫、絨毛癌、嚢胞腺癌)、脳室上衣芽細胞腫、上皮腫、赤白血病(例えば、フレンド赤白血病、リンパ芽球赤白血病)、線維肉腫、巨細胞腫瘍、神経膠腫瘍、神経膠芽細胞腫(例えば、多形性神経膠芽細胞腫、星状膠細胞腫)、神経膠腫、ヘパトーム、ヘテロハイブリドーマ、ヘテロミエローマ、組織球腫、ハイブリドーマ(例えば、B細胞ハイブリドーマ)、副腎腫、インスリノーマ、小島腫瘍、角化腫、平滑筋芽腫、平滑筋肉腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性前B細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性巨核芽球性白血病、単球性白血病、急性骨髄性(myelogenous)白血病、急性骨髄性(myeloid)白血病、好酸球増加症を伴う急性骨髄性白血病、B細胞白血病、好塩基球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性白血病、B細胞白血病、好酸球性白血病、フレンド白血病、顆粒球性白血病または骨髄球性白血病、ヘアリーセル白血病、リンパ性白血病、巨核芽球性白血病、単球性白血病、単球−マクロファージ白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、形質細胞性白血病、前B細胞白血病、前骨髄球性白血病、亜急性白血病、T細胞白血病、リンパ系新生物、骨髄性悪性腫瘍に対する素因、急性非リンパ球性白血病)、リンパ肉腫、メラノーマ、乳腫瘍、肥満細胞腫、髄芽細胞腫、中皮腫、転移性腫瘍、単球腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、腎芽細胞腫、神経組織神経膠腫瘍、神経組織ニューロン腫瘍、神経鞘腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫、骨軟骨腫、骨骨髄腫、骨肉腫(例えば、ユーイング骨腫)、乳頭腫、移行上皮細胞癌、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍(侵襲性)、プラズマ細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫(例えば、ユーイング肉腫、組織球性細胞肉腫、イエンセン肉腫、骨原性肉腫、細網細胞肉腫)、シュワン鞘腫、皮下腫瘍、奇形癌(例えば、多能性奇形癌)、奇形腫、精巣腫瘍、胸腺腫および毛包上皮腫、胃癌、線維肉腫、多形性神経膠芽細胞腫;多発性グロムス腫瘍、リー・フロイメニ症候群、脂肪肉腫、リンチ癌家族性症候群II、男性生殖細胞腫瘍、肥満細胞性白血病、髄様甲状腺癌、多発性髄膜腫、内分泌新生物、粘液肉腫、傍神経節腫、家族性非クロム親和性、毛基質細胞腫、乳頭状、家族性および散発性、桿状素因症候群、家族性、桿状腫瘍、軟組織肉腫、ならびに、神経膠芽細胞腫を伴うターコット症候群が含まれるが、これらに限定されない。
前癌物はこの技術分野では十分に特徴づけられ、また、広く知られている(例えば、Berman JJ.およびHensen DE.、2003、前癌物の分類:メタデータ法、BMC Med Inform Decis Mak、3:8を参照のこと)。本発明の方法による治療を受け入れやすい前癌物の種類には、後天性の小さい前癌物または顕微鏡的前癌物、核非定型性を伴う後天性の大きい病変、癌に進行する遺伝性過形成症候群とともに生じる前駆体病変、ならびに、後天性のびまん性過形成およびびまん性転移が含まれる。小さい前癌物または顕微鏡的前癌物の例には、HGSIL(子宮頸部の上皮内高度扁平上皮異型)、AIN(肛門上皮内新生物形成)、声帯の異形成、(結腸の)異常な腺窩、PIN(前立腺上皮内新生物形成)が含まれる。核非定型性を伴う後天性の大きい病変の例には、管状腺腫、AILD(異蛋白血症を伴う血管免疫芽球性リンパ節症)、異型髄膜腫、胃ポリープ、大プラークの類乾癬、上皮内乳頭状移行上皮細胞癌、過度な芽細胞を伴う不応性貧血、および、シュナイダー乳頭腫が含まれる。癌に進行する遺伝性過形成症候群とともに生じる前駆体病変の例には、非定型ほくろ症候群、C細胞腺腫症およびMEAが含まれる。後天性のびまん性過形成およびびまん性転移の例には、AIDS、非定型リンパ様過形成、骨のパジェット病、移植後のリンパ増殖性疾患、および、潰瘍性大腸炎が含まれる。
本発明のこの態様の方法に従って治療することができる癌は、モータリン(例えば、アミノ酸端列については配列番号1によって、また、核酸配列については配列番号2によって示されるようなモータリン)および/または補体調節タンパク質(mCRP)[例えば、崩壊促進因子(DAF、CD55、GenBankアクセション番号NP_00565.1;配列番号3)、膜補因子タンパク質(MCP、CD46、例えば、GenBankアクセション番号NP_002380.3(配列番号4)または同NM_002389.3(配列番号5))およびCD59(例えば、GenBankアクセション番号NP_000602.1(配列番号6)、同NM_000611.4(配列番号7))]を発現する癌性細胞によって特徴づけることができる。
本発明のDLC化合物および/または抗癌抗体は、生物に対して、それ自体で、あるいは、DLC化合物および/または抗癌抗体が好適なキャリアまたは賦形剤と混合される医薬組成物において投与され得ることが理解される。
本明細書中で使用される「医薬組成物」は、本明細書中に記載される有効成分(すなわち、本発明のDLC化合物)の1つまたは複数と、他の化学的成分(例えば、生理学的に好適なキャリアおよび賦形剤など)との調製物を示す。医薬組成物の目的は、対象に対する化合物の投与を容易にすることである。
以降、交換可能に使用されることができる表現「生理学的に許容され得るキャリア」および表現「医薬的に許容され得るキャリア」は、対象に対する著しい刺激を生じさせず、しかも投与された化合物の生物学的な活性および性質を阻害しないキャリアまたは希釈剤を示す。アジュバントはこれらの表現に含まれる。
本明細書中において、用語「賦形剤」は、有効成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性な物質を示す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油およびポリエチレングリコールが挙げられる。医薬組成物は、有利には、泡またはゲルの形態をとることができる。
薬物の配合および投与のための技術が「Remington’s Pharmaceutical Sciences」(Mack Publishing Co.、Easton、PA、最新版)に見出されることができ、これは参考として本明細書中に完全に組み込まれる。
好適な投与経路としては、種々の好適な全身的投与経路および/または局所的投与経路のいかなるものも含まれる。
好適な投与経路としては、例えば、吸入投与、経口投与、口内投与、直腸投与、経粘膜投与、局所投与、経皮投与、皮内投与、経鼻投与、腸管送達、および/または非経口投与;筋肉内注射、皮下注射および/または髄内注射経路;クモ膜下注射、直接的な脳室内注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射、および/または眼内注射経路;および/または対象の組織領域内への直接的な注射が含まれる。
本発明の医薬組成物は、この分野で十分に知られているプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、包括化または凍結乾燥のプロセスによって製造されることができる。
本発明に従って使用される医薬組成物は、医薬品として使用されることができる調製物への有効成分の加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得るキャリアを使用して従来の様式で配合されることできる。適正な配合は、選ばれた投与経路に依存する。
注射の場合、医薬組成物の有効成分は、水溶液において、好ましくは生理学的に適合し得る緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンゲル溶液、または生理学的な生理的食塩緩衝液など)において配合されることができる。
経粘膜投与の場合、浸透されるバリヤーに対して適切な浸透剤が配合において使用される。そのような浸透剤はこの分野では一般に知られている。
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物をこの分野でよく知られている医薬的に許容され得るキャリアと組み合わせることによって容易に配合されることができる。そのようなキャリアは、医薬組成物が、患者によって経口摂取される錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー剤および懸濁物などとして配合されることを可能にする。経口使用される薬理学的調製物は、固体の賦形剤を使用し、得られた混合物を場合により粉砕し、錠剤または糖衣錠コアを得るために、望ましい好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して作製されることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などの充填剤;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボメチルセルロースなど;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理学的に許容され得るポリマーである。もし望むなら、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)などの崩壊剤が加えられることができる。
糖衣錠コアには、好適なコーティングが施される。この目的のために、高濃度の糖溶液を使用することができ、この場合、糖溶液は、場合により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。色素または顔料を、活性化合物の量を明らかにするために、または活性化合物の量の種々の組合せを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに加えることができる。
経口使用され得る医薬組成物としては、ゼラチンから作製されたプッシュ・フィット型カプセル、ならびに、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトールなど)から作製された軟いシールされたカプセルが挙げられる。プッシュ・フィット型カプセルは、充填剤(例えば、ラクトースなど)、結合剤(例えば、デンプンなど)、滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)、および場合により安定化剤との混合で有効成分を含有することができる。軟カプセルでは、有効成分は、好適な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状のポリエチレングリコールなど)に溶解または懸濁されることができる。さらに、安定化剤が加えられることができる。経口投与される配合物はすべて、選ばれた投与経路について好適な投薬形態でなければならない。
口内投与の場合、組成物は、従来の様式で配合された錠剤またはトローチの形態を取ることができる。
吸入による投与の場合、本発明による使用のための有効成分は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素)の使用により加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾル/スプレー提示物の形態で都合よく送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量は、計量された量を送達するためのバルブを備えることによって決定されることができる。ディスペンサーにおいて使用される、例えば、ゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは、化合物および好適な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合物を含有して配合されることができる。
本明細書中に記載される医薬組成物は、例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のために配合されることができる。注射用配合物は、場合により保存剤が添加された、例えば、アンプルまたは多回用量容器における単位投薬形態で提供されることができる。組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクルにおける懸濁物または溶液剤またはエマルションにすることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤などの配合剤を含有することができる。
非経口投与される医薬組成物としては、水溶性形態の活性調製物の水溶液が挙げられる。さらに、有効成分の懸濁物は、適切な油性または水性の注射用懸濁物として調製されることができる。好適な親油性の溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油など)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルなど)、トリグリセリドまたはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁物は、懸濁物の粘度を増大させる物質、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどを含有することができる。場合により、懸濁物はまた、高濃度溶液の調製を可能にするために、有効成分の溶解性を増大させる好適な安定化剤または薬剤を含有することができる。
あるいは、有効成分は、好適なビヒクル(例えば、無菌の、パイロジェン不含水溶液)を使用前に用いて構成される粉末形態であることができる。
医薬組成物はまた、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の座薬基剤を使用して、座薬または停留浣腸剤などの直腸用組成物に配合されることができる。
本発明の1つの実施形態によれば、本発明のDLC化合物(例えば、MKT−077)を含む医薬組成物は静脈内投与のために配合される。
医薬組成物は、有効成分を、疾患の治療を達成するために効果的な量で含有しなければならない。
本明細書中上記で述べられたように、本発明のDLC化合物(例えば、カチオン性ローダシアニン化合物、例えば、MKT−077など)は、抗体療法を施す前に、または、抗体療法を施すのと同時に、または、抗体療法を施した後で投与することができる。
本発明の1つの実施形態によれば、DLC化合物の投与は、抗体療法を施す前に行われる。従って、DLC化合物(例えば、MKT−077)を、抗癌抗体を投与する約1日前〜4日前に、または、抗癌抗体を投与する約24時間前に、あるいは、代替として、抗癌抗体を投与する約1時間前〜20時間前に、または、抗癌抗体を投与する約1時間前〜10時間前に、または、抗癌抗体を投与する約1時間前〜5時間前に投与することができる。
例えば、DLC化合物を、抗体を注射する(1時間、2時間または4時間)前に、非毒性用量で静脈内注射することができる。抗体治療が後に続くDLC化合物(例えば、ローダシアニン化合物)の毎週のボーラス混合治療を、6週間の休止を伴って4週間にわたって適用することができ、また、この治療様式を、2回、3回またはそれ以上のサイクルについて繰り返してもよい。代替として、本発明のDLC化合物を、抗体治療前の7日〜10日に至る間、マイクロポンプを使用することによって連続的に投与することができる。
本発明の別の実施形態によれば、DLC化合物(例えば、MKT−077)が抗癌抗体の投与と同時に投与される。同時投与は、活性な薬剤(すなわち、本発明のDLC化合物および抗癌抗体)の一回の投与または数回の投与を使用して行われ得ることが理解される。
DLC化合物の投与が、毒性を避けるために十分に低く、それにもかかわらず、抗体療法のためのアジュバントとして役立つために十分な用量で行われることが理解される。動物モデルを、用量および治療様式を定めるために使用することができる。異種移植片腫瘍マウスモデルが十分に確立されている。免疫不全ヌードマウスまたはSCID/ベージュマウスへのヒト腫瘍細胞または異種移植片の同所性接種の後、マウスは原発性腫瘍を注入部位で発達させ、また、肝臓または肺において遠位の転移物もまた発達させる。従って、これらのモデルはヒトの癌発達を完全に模倣する。代替として、同系の免疫適格ナイーブマウスに注入されたマウス腫瘍細胞のモデルを利用することができる。例えば、C57Bl/6マウスにおけるEL4 Tリンパ腫細胞。抗癌抗体を、抗癌抗体療法のこのモデルの最適な治療能力を調べるために腫瘍保有マウスに静脈内注射することができる。そのような腫瘍モデルを使用することによって、抗体療法の非存在下および存在下での本発明のDLC化合物のIC50を研究することができる。
治療効果的な量の決定は、特に、本明細書中に与えられる詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
本発明の方法において使用されるいかなる調製物についても、投与量または治療効果的な量は、生体外アッセイおよび細胞培養アッセイから最初に推定されることができる。例えば、投与量は、望ましい濃度または力価を達成するために動物モデルにおいて決定されることができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用されることができる。
本明細書中に記載される有効成分の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における、生体外での標準的な薬学的手法によって決定されることができる。これらの生体外での細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を定めるために使用されることができる。投与量は、用いられる投薬形態および利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な配合、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって選択されることができる(例えば、Fingl,ら、(1975)「The Pharmacological Basis of Therapeutics」,Ch.1p.1参照のこと)。
薬物および栄養補助食品を製造するための1kgあたりの質量での投与量の計算は、FDAによって公開されるような、体表面積に基づく動物投与量のヒト等価投与量(HED)への変換に基づいて行われることができる[Guidance for industry and reviewers,estimating the safe starting dose in clinical trials for therapeutics in adult healthy volunteers;ウェブサイト:http://www.fda.gov/cber/guidelines.htm]。下記の表2を参照のこと。
a60kgのヒトと仮定する。列挙されていない種または標準範囲外の重量については、ヒト等価投与量(HED)は、式:
HED=(動物投与量(mg/kg))×[動物重量(kg)/ヒト重量(kg)]0.33
によって計算されることができる。
b健康な子供が第1相試験のためのボランティアになることは滅多にないので、このkmは、参考のためだけに提供される。
c例えば、カニクイザル、アカゲザル、ベニガオザル。
dkm(質量定数)は、任意の種に対する真の定数ではないが、ある種内では体重の増加につれて増加する。
a60kgのヒトと仮定する。列挙されていない種または標準範囲外の重量については、ヒト等価投与量(HED)は、式:
HED=(動物投与量(mg/kg))×[動物重量(kg)/ヒト重量(kg)]0.33
によって計算されることができる。
b健康な子供が第1相試験のためのボランティアになることは滅多にないので、このkmは、参考のためだけに提供される。
c例えば、カニクイザル、アカゲザル、ベニガオザル。
dkm(質量定数)は、任意の種に対する真の定数ではないが、ある種内では体重の増加につれて増加する。
以下に、哺乳動物についての本発明のDLC化合物の例示的な投与量および治療レジメンを記載する:
マウス:5〜10mg/kg ボーラス 静脈内(i.v.)毎日×5日間、2日間隔
ラット:1〜5または1〜3mg/kg ボーラス i.v. 毎日×5日間
イヌ:0.1〜0.4mg/kg ボーラス i.v. 毎日×5日間
マウス:5〜10mg/kg ボーラス 静脈内(i.v.)毎日×5日間、2日間隔
ラット:1〜5または1〜3mg/kg ボーラス i.v. 毎日×5日間
イヌ:0.1〜0.4mg/kg ボーラス i.v. 毎日×5日間
投薬量および投薬間隔は、所望の治療効果を達成するのに十分な有効成分の組織レベル(すなわち、最小有効濃度、MEC)を提供するために個々に調節されることができる。MECはそれぞれの調製物について変化するが、生体外でのデータから推定されることができる。MECを達成するために必要な投与量は、個体の特性および投与経路に依存する。検出アッセイは、血漿濃度を測定するために使用されることができる。
治療される状態の重篤度および応答性に依存して、投薬は、単回または複数回投与で行われることができ、この場合、治療期間は、数日から数週間まで、または治療が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで続く。
投与される組成物の量は、当然のことではあるが、治療されている患者、苦痛の重篤度、投与様式、処方医の判断などに依存するだろう。
述べられたように、150mg/m2/5日(すなわち、30mg/m2、1日、5日間)の用量での連続i.v.注入によって癌患者において使用されたとき、MKT−077の投与は、腎毒性が伴った(Propper DJ.他、Annals Onc.、10:923〜927、1999)。従って、例えば、MKT−077を、累積腎毒性を回避するために十分に低い濃度で使用することが示唆される。
従って、本発明の1つの実施形態によれば、連続静脈内注入として投与されるとき、MKT−077を約0.1mg/m2/日〜25mg/m2/日の範囲での投与量で1日間〜5日間投与することができる。例えば、MKT−077を、約1日〜10日、1日〜8日、1日〜6日、1日〜5日、4日、3日、2日または1日の連続i.v.注入については、約0.1mg/m2/日〜25mg/m2/日、0.1mg/m2/日〜20mg/m2/日、0.1mg/m2/日〜15mg/m2/日、0.1mg/m2/日〜10mg/m2/日、0.1mg/m2/日〜5mg/m2/日、0.1mg/m2/日〜1mg/m2/日、1mg/m2/日〜25mg/m2/日、1mg/m2/日〜20mg/m2/日、1mg/m2/日〜15mg/m2/日、1mg/m2/日〜10mg/m2/日、1mg/m2/日〜5mg/m2/日、または、10mg/m2/日〜20mg/m2/日の濃度で使用することが示唆される。
Britten CD.他(Clin.Cancer Res.、6:42〜49、2000)によれば、6週間毎に4週間の126mg/m2/週のボーラス服用(30分のi.v.注入)が許容されたが、低マグネシウム血症(腎臓毒性)が伴った。このことは、試験されたヒト腫瘍細胞についてインビトロで要求されたIC50濃度(0.15〜0.5マイクログラム/ml)よりも高いMKT−077血漿濃度(1.2〜6.3マイクログラム/ml)をもたらすことが示された。
従って、本発明では、1週間に1回(ボーラス、30分のi.v.)で4週間の、約1mg/m2/週〜126mg/m2/週の範囲でのボーラス服用、例えば、約0.1mg/m2〜100mg/m2、1mg/m2〜100mg/m2、10mg/m2〜100mg/m2、20mg/m2〜100mg/m2、40mg/m2〜100mg/m2、50mg/m2〜100mg/m2のMKT−077の範囲でのボーラス服用が意図される。
例えば、リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞NHLなど)の混合治療については、RITUXANが、8回までの注入についての化学療法の各サイクルの1日目に施される注入あたり375mg/m2のIVの用量で与えられる場合、本発明のDLC化合物(例えば、MKT−077)をRITUXAN投与前の4日〜7日において約50mg/m2〜100mg/m2のボーラス用量(例えば、30分のi.v.)で与えることができ、または、代替として、RITUXAN投与前の4日間〜5日間、約10mg/m2/日〜20mg/m2/日の連続注入量で与えることができる。
例えば、転移性乳癌患者の混合治療については、その腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する場合、本発明のDLC化合物(例えば、MKT−077)を、4mg/kgのトラスツズマブを90分間にわたる静脈内(IV)注入によって投与する前の4日〜7日において約50mg/m2〜100mg/m2のボーラス用量(30分のi.v.)で与えることができる。代替として、本発明のDLC化合物(例えば、MKT−077)を、4mg/kgのトラスツズマブを90分間にわたる静脈内(IV)注入によって投与する前の4日間〜5日間、約10mg/m2/日〜20mg/m2/日の連続注入量で与えることができる。
加えて、急性骨髄性白血病(AML)の混合治療については、ゲムツズマブオゾガマイシンが、0日目および14日目に施される合計で2回の服用について9mg/m2の用量でI.V.によって与えられる場合、本発明のDLC化合物(例えば、MKT−077)をゲムツズマブオゾガマイシン投与前の4日〜7日において約50mg/m2〜100mg/m2のボーラス用量(30分のi.v.)で与えることができる。
加えて、本発明ではさらに、MKT−077を約0.17mg〜220mgの範囲で含む単位投与剤形が意図される。例えば、本発明の単位投与剤形は、約0.17mgのMKT−077、約1.7mgのMKT−077、約17mgのMKT−077、約34mgのMKT−077、約0.17mg〜42mgのMKT−077、約5mg〜10mgのMKT−077、約5mg〜15mgのMKT−077、約10mg〜20mgのMKT−077、約10mg〜40mgのMKT−077、約10mg〜100mgのMKT−077、約50mg〜100mgのMKT−077、約75mg〜125mgのMKT−077、約100mg〜150mgのMKT−077、約100mg〜200mgのMKT−077、または、約150mg〜214mgのMKT−077を含む。
本発明の組成物は、もし望むなら、有効成分を含有する1つまたは複数の単位投薬形態を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイス(例えば、FDA承認キットなど)で提供されることができる。パックは、例えば、金属ホイルまたはプラスチックホイルを含むことができる(例えば、ブリスターパックなど)。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与のための説明書が付随しうる。パックまたはディスペンサーデバイスはまた、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって定められた形式で、容器に関連した通知によって適応させることがあり、この場合、そのような通知は、組成物の形態、あるいはヒトまたは動物への投与の当局による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬物について米国食品医薬品局によって承認されたラベル書きであり得るか、または、承認された製品添付文書であり得る。
本発明のDLC化合物(例えば、カチオン性ローダシアニン化合物、例えば、MKT−077など)を、製造物として好適に包装され得る医薬組成物として好適に配合することができる。そのような製造物は、アジュバント抗癌治療としての使用のためのラベルを含む包装材を含み、この場合、包装材により、本発明の非局在化親油性カチオン(DLC)化合物が包装される。
製造物はさらに、本明細書中上記で記載される抗癌抗体を含むことができる。
本発明のDLC化合物および抗癌抗体は、別個の容器に、または、1つの容器に包装することができ、あるいは、共配合することができることが理解される。
包装材は、癌(例えば、腫瘍疾患)の治療のために包装材の中または表面に印刷で特定することができる。
本明細書中で使用される用語「約」は±10%を示す。
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴が、限定であることが意図されない下記の実施例を検討したとき、当業者には明らかになる。加えて、本明細書中上記に描かれるような、また、下記の請求項の節において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
本願で使用される用語と、本発明で利用される実験手順には、分子生化学、微生物学および組み換えDNAの技法が広く含まれている。これらの技法は文献に詳細に説明されている。例えば以下の諸文献を参照されたい:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrookら、(1989);「Current Protocols in Molecular Biology」I〜III巻(1994)Ausubel,R.M.編;Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、米国メリーランド州バルチモア(1989);Perbal「A Practical Guide to Molecular Cloning」、John Wiley & Sons、米国ニューヨーク(1988);Watsonら、「Recombinant DNA」Scientific American Books、米国ニューヨーク;Birrenら編「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series」1〜4巻、Cold Spring Harbor Laboratory Press、米国ニューヨーク(1998);米国特許の第4666828号、同第4683202号、同第4801531号、同第5192659号および同第5272057号に記載される方法;「Cell Biology:A Laboratory Handbook」I〜III巻、Cellis,J.E.編(1994);「Current Protocols in Immunology」I〜III巻、Coligan,J.E.編(1994);Stitesら編「Basic and Clinical Immunology」(第8版)、Appleton & Lange、米国コネティカット州ノーウォーク(1994);MishellとShiigi編「Selected Methods in Cellular Immunology」、W.H. Freeman and Co.、米国ニューヨーク(1980);利用可能な免疫アッセイ法は、特許と科学文献に広範囲にわたって記載されており、例えば:米国特許の第3791932号、同第3839153号、同第3850752号、同第3850578号、同第3853987号、同第3867517号、同第3879262号、同第3901654号、同第3935074号、同第3984533号、同第3996345号、同第4034074号、同第4098876号、同第4879219号、同第5011771号および同第5281521号;「Oligonucleotide Synthesis」Gait,M.J.編(1984);「Nucleic Acid Hybridization」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1985);「Transcription and Translation」Hames,B.D.およびHiggins S.J.編(1984);「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.編(1986);「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press(1986);「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.(1984)および「Methods in Enzymology」1〜317巻、Academic Press;「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications」、Academic Press、米国カリフォルニア州サンディエゴ(1990);Marshakら、「Strategies for Protein Purification and Characterization−A Laboratory Course Manual」CSHL Press(1996);これらの文献の全ては、あたかも本願に完全に記載されているように援用するものである。その他の一般的な文献は、本明細書を通じて提供される。それらの文献に記載の方法は当業技術界で周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。それらの文献に含まれるすべての情報は本願に援用するものである。
一般的材料および実験方法
細胞培養および細胞溶解物。K562(ヒト赤白血病細胞株)を、10%(v/v)の熱不活化ウシ胎児血清(GIBCO laboratories、Grand Island、NY、米国)、1%のグルタミン、2%のピルビン酸塩および抗生物質混合物(Bio−Lab、Jerusalem、イスラエル)が補充されたRPMI−1640において培養した。HCT116結腸癌細胞株およびそのp53ノックアウト誘導体はMoshe Oren教授(Department of Molecular Cell Biology and Immunology、The Weizmann Institute of Science、Rehovot、イスラエル)からの譲渡物であり、10%ウシ胎児血清および抗生物質が補充されたマッコイ培地において維持された。すべての細胞株を5%CO2/空気の加湿雰囲気において37℃で成長させた。細胞溶解物を調製するために、40x106個の細胞を、100mMのTris(pH7.5)、10mMのEDTA、プロテアーゼ阻害剤混合物(Sigma、Rehovot、イスラエル)および0.7%のTriton−X100から構成される1mlの溶解緩衝液と混合した。3サイクルの凍結および解凍の後、細胞溶解物を14000gでの15分間の遠心分離に供し、上清を集め、1mlのHBSS(Sigma)により希釈した。
細胞培養および細胞溶解物。K562(ヒト赤白血病細胞株)を、10%(v/v)の熱不活化ウシ胎児血清(GIBCO laboratories、Grand Island、NY、米国)、1%のグルタミン、2%のピルビン酸塩および抗生物質混合物(Bio−Lab、Jerusalem、イスラエル)が補充されたRPMI−1640において培養した。HCT116結腸癌細胞株およびそのp53ノックアウト誘導体はMoshe Oren教授(Department of Molecular Cell Biology and Immunology、The Weizmann Institute of Science、Rehovot、イスラエル)からの譲渡物であり、10%ウシ胎児血清および抗生物質が補充されたマッコイ培地において維持された。すべての細胞株を5%CO2/空気の加湿雰囲気において37℃で成長させた。細胞溶解物を調製するために、40x106個の細胞を、100mMのTris(pH7.5)、10mMのEDTA、プロテアーゼ阻害剤混合物(Sigma、Rehovot、イスラエル)および0.7%のTriton−X100から構成される1mlの溶解緩衝液と混合した。3サイクルの凍結および解凍の後、細胞溶解物を14000gでの15分間の遠心分離に供し、上清を集め、1mlのHBSS(Sigma)により希釈した。
血清、抗血清および試薬。正常ヒト血清(NHS)を健康者から調製した。NHSの熱不活化を56℃での30分間のインキュベーションによって行った。ヒト血清を小分けにして−70℃で凍結保存し、一度だけ解凍した。精製されたヒトC9タンパク質をAdvanced Research Technologies(San Diego、CA、米国)から購入した。K562細胞に向けられたポリクローナル抗血清をウサギで調製した。マウス抗モータリン抗体をStressgen(Ann Arbor、MI、米国)から購入した。ペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgGおよびペルオキシダーゼコンジュゲート化ウサギ抗ヤギIgGをJackson Immunoresearch(West Grove、PA、米国)から購入した。ストレプトリジンO(SLO)、A23187、ローダミン123およびBSAをSigmaから購入した。MKT−077はKeizo Koya(Synta Pharmaceuticals Corp.、45 Hartwell Avenue、Lexington、MA 02421、米国)によって譲渡された。
細胞溶解および分泌小胞の収集。細胞毒性アッセイを以前に記載されるように行った[Reiter,Y.およびZ.Fishelson、補体膜侵襲複合体は大きなタンパク質(L−CIP)の迅速な発現をヒト白血病細胞において誘導する、Mol Immunol、1992、29(6):p.771〜81]。簡単に記載すると、細胞溶解アッセイのために、細胞を希釈された抗K562抗血清と4℃で30分間インキュベーションし、その後、補体[NHSまたは熱不活化正常ヒト血清(HI−MHS)、50%]と37℃で60分間インキュベーションした。細胞溶解をトリパンブルー封入によって求めた。統計学的有意性を、両側不対スチューデントt検定を使用することによって分析した。分泌小胞を集めるために、細胞を抗体により4℃で30分間処理し、その後、NHSまたはHI−NHS(50%)により37℃で10分間処理した。その後、細胞をHBSSにより何度も洗浄し、37℃でインキュベーションした。さらに10分後、細胞を250gでの遠心分離によって除き、上清を最初に5000gで沈降させて、細胞片を除いた。その後、上清を100000gでの遠心分離(小さい膜小胞を沈降させることが知られている条件)に供した。
タンパク質分析。タンパク質濃度をBCAタンパク質アッセイキット(Pierce、Rockford、IL、米国)により分析した。タンパク質を10%アクリアミドゲルでの還元条件[50mMジチオスレイトール(DTT)]下のSDS−PAGEに供し、その後、ニトロセルロース膜(Schleicher&Schuell、Dassel、ドイツ)に転写した。膜を、0.05%のTween20を含有するTris緩衝化生理的食塩水(TBST)における5%スキムミルク(Tnuva、Rehovot、イスラエル)により室温で1時間、ブロッキング処理した。膜をウサギ抗モータリン抗体またはヤギ抗C9抗体により処理し、その後、ペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗ウサギIgGまたはペルオキシダーゼコンジュゲート化ウサギ抗ヤギIgGにより処理した。バンドを増強化学発光試薬(Pierce)により発色させ、SuperRXフィルム(Fuji、東京、日本)に感光させた。
補体C9に対するモータリンの結合。補体C9タンパク質に対するモータリンの結合をELISA分析によって調べた。簡単に記載すると、精製されたヒトC9およびBSA(各レーンについて0.5μg)を96ウェルの酵素免疫アッセイ(EIA)プレート(Corning、NY、米国)に4℃で一晩結合させた。40x106個のK562細胞から上記のように調製される希釈された細胞溶解物をそれぞれのウェルに37℃で60分間加えた。洗浄後、モノクローナルなマウス抗モータリン抗体(1:500希釈物)を37℃で30分間加え、その後、ペルオキシダーゼコンジュゲート化ヤギ抗マウスIgGを室温で30分間加えた。次いで、o−フェニレンジアミン(Sigma)を加え、プレートをSpectrafluor Plusプレートリーダー(Tecan、オーストリア)で450nmにおいて調べた。
実施例1
モータリン阻害剤のMKT−077は細胞を補体媒介の細胞溶解に対して感作することができる
モータリンは、補体媒介の溶解に対する細胞の防御に関与している(PilzerおよびFishelson、Int.Immunol.、17:1239〜1248、2005)。MKT−077はモータリンの知られている阻害剤であるので、本発明者らは、補体媒介の細胞溶解に対するMKT−077の影響を下記のように調べている。
モータリン阻害剤のMKT−077は細胞を補体媒介の細胞溶解に対して感作することができる
モータリンは、補体媒介の溶解に対する細胞の防御に関与している(PilzerおよびFishelson、Int.Immunol.、17:1239〜1248、2005)。MKT−077はモータリンの知られている阻害剤であるので、本発明者らは、補体媒介の細胞溶解に対するMKT−077の影響を下記のように調べている。
実験結果
MKT−077は細胞を補体媒介の溶解に対して感作する。ヒトK562赤白血病細胞を、37℃で60分間、MKT−077により異なる濃度で前処理し、その後、細胞を、37℃でさらに60分間、抗K562抗体により氷上で30分間、また、コントロールとしての補体(NHS)または熱不活化NHS(HI−NHS)により処理した。最後に、細胞を洗浄し、パーセント細胞溶解をトリパンブルー封入によって定量した。図1に示される結果は、MKT−077により、補体によるK562細胞の殺傷が特異的な抗体の存在下において有意に高められることを示す。
MKT−077は細胞を補体媒介の溶解に対して感作する。ヒトK562赤白血病細胞を、37℃で60分間、MKT−077により異なる濃度で前処理し、その後、細胞を、37℃でさらに60分間、抗K562抗体により氷上で30分間、また、コントロールとしての補体(NHS)または熱不活化NHS(HI−NHS)により処理した。最後に、細胞を洗浄し、パーセント細胞溶解をトリパンブルー封入によって定量した。図1に示される結果は、MKT−077により、補体によるK562細胞の殺傷が特異的な抗体の存在下において有意に高められることを示す。
MKT−077は補体攻撃後の小胞形成によるモータリンおよびC9の放出を防止する。モータリンは、補体によって攻撃された細胞からの小胞形成による、C9を含む補体膜侵襲複合体(MAC)の除去において大きな役割を果たす(PilzerおよびFishelson、Int.Immunol.、17:1239〜1248、2005)。本発明者らは、MKT−077処理がモータリンおよびC9の小胞形成を防止するか否かを下記のように検証している。K562細胞を200μMまたは50μMのMKT−077により1時間にわたって前処理し、その後、亜溶解用量の抗K562抗体およびNHSまたはHI−NHSより10分間処理した。細胞をハンクス平衡塩溶液(HBSS)により4回洗浄し、その後、37℃で10分間再びインキュベーションした。細胞を沈降させ、上清を集めた。上清を最初に5000gでの遠心分離に供して、細胞片を除き、その後、100000gでの遠心分離に供して、小さい膜小胞を沈降させた。高速度でのペレットおよび上清をSDS−PAGEおよびウエスタンブロッティングに供した。抗モータリン抗体による分析(図2a)、および、抗C9抗体による分析(図2b)により、小胞形成によるモータリンおよびC9の両方の放出がMKT−077による処理によって阻害されたことが示された。
補体媒介の溶解に対するMKT−077の影響はp53依存的である。MKT−077は、モータリンがp53に結合することを妨げることが知られている(Wadhwa他、Cancer Res.、15:6818〜6821、2000)。補体媒介の溶解に対するMKT−077の観測された影響がp53依存的であるかを明らかにするために、本発明者らは、HCT p53+/+細胞およびHCT p53−/−細胞を調べている。両方の細胞をMKT−077により前処理し、その後、抗K562抗体およびNHSまたはHI−NHSより処理した。37℃で60分後、パーセント溶解を測定した。結果は、p53の存在または非存在がMKT−077の補体感作作用に対する影響を何ら有しなかったことを示した(図3)。
MKT−077はSLO媒介の溶解およびA23187媒介の溶解に対する影響を何ら有さない。本発明者らはさらに、細胞死に対するMKT−077の影響の特異性の疑問を検討している。ストレプトリジンO(SLO)、すなわち、別の細胞溶解性ポア形成タンパク質によって誘導される細胞死に対するMKT−077の影響を調べた。細胞をMKT−077により前処理し、その後、いくつかの用量のSLOにより、または、コントロールとしてのジチオスレイトール(DTT)により処理した。溶解を37℃での15分のインキュベーションの後で測定した。図4aに示される結果は、SLO媒介の溶解に対するMKT−077の影響が何らないことを示す。本発明者らはさらに、Ca+2イオノホアのA23187によって誘導される細胞死に対するMKT−077の影響を調べている。細胞をMKT−077により処理し、その後、いくつかの用量のA23187、または、コントロールとしてのジメチルスルホキシド(DMSO)により処理した。次いで、細胞を洗浄し、パーセント細胞死を測定した。図4bに示される結果は、A23187媒介の溶解に対するMKT−077の影響が何らないことを示した。
MKT−077はC9に対するモータリン結合を妨害する。モータリンはC9に結合し(PilzerおよびFishelson、Int.Immunol.、17:1239〜1248、2005)、MKT−077はモータリンに結合する。モータリンに対するMKT−077の結合がC9に対するモータリンの結合に影響を及ぼすかどうかを検証するために、C9およびウシ血清アルブミン(BSA)をマイクロタイタープレートのウェルに結合させ、MKT−077の存在下または非存在下でK562溶解物(モータリンついての供給源)とインキュベーションし、その後、抗モータリン抗体により処理し、続いて、HRPコンジュゲート化二次抗体とのインキュベーションおよびOPD(o−フェニレンジアミン)比色測定(ELISAリーダーで分析される)を行った。図5に示される結果は、C9と結合するモータリンの能力がMKT−077の存在下では著しく低下することを示している。
補体によって誘導される細胞死に対するMKT−077の影響は特異的である。ローダミン123は、MKT−077に類似するカチオン性のローダシアニン色素である。他のローダシアニン分子が、補体媒介の溶解に対する、MKT−077と類似する影響を引き起こし得るかを検証するために、下記の実験を行った。抗体およびNHSまたはHI−NHSにより処理されたときのK562細胞の溶解をMKT−077またはローダミン123のいずれかによる前処理の後で調べた。図6に示されるように、ローダミン123は、C9に対するモータリンの結合を阻害することができるMKT−077とは異なり、補体媒介の溶解に対する影響を何ら有していなかった。従って、補体によって溶解される細胞に対する感作作用は、モータリンを阻害することができるか、または、MAC複合体成分(例えば、C9など)に対するモータリンの結合を阻害することができるDLC化合物(例えば、MKT−077など)に対して特異的である。加えて、補体媒介の溶解に対するMKT−077の影響は、モータリン依存的であることが見出された(データは示されず)。
まとめると、これらの結果は、MKT−077が、細胞をモータリン依存的様式で補体媒介の細胞溶解に対して感作するために使用できることを明らかにしており、また、抗癌抗体療法のためのアジュバントとしてのその使用を示唆している。
実施例2
MKT−077を抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用するインビボ実験
RajiヒトBリンパ腫細胞およびK562ヒト赤白血病細胞(3x106個の細胞)がCD1無胸腺ヌードマウスに皮下注入される。注入後10日〜14日で、5mm〜10mmの直径の腫瘍塊が注入マウスの皮膚の下で発達する。MKT−077(5mg/kg〜10mg/kg(ボーラスi.v.、毎日、5回、2日間隔)の投与量で)を静脈内に注射し、1時間後〜2時間後、マウスは特異的な抗癌抗体の静脈内注射を下記のように受けた:Raji保有マウスはリツキシマブ(MabThera(Roche Pharmaceuticals、イスラエル)、キメラなヒト化抗CD20抗体)を375mg/m2の投与量(ボーラスまたは連続i.v.)で受け、K562腫瘍保有マウスはウサギ抗K562抗体をマウスあたり1mgの総IgGの投与量(ボーラスまたは連続i.v.)で受けた。
MKT−077を抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用するインビボ実験
RajiヒトBリンパ腫細胞およびK562ヒト赤白血病細胞(3x106個の細胞)がCD1無胸腺ヌードマウスに皮下注入される。注入後10日〜14日で、5mm〜10mmの直径の腫瘍塊が注入マウスの皮膚の下で発達する。MKT−077(5mg/kg〜10mg/kg(ボーラスi.v.、毎日、5回、2日間隔)の投与量で)を静脈内に注射し、1時間後〜2時間後、マウスは特異的な抗癌抗体の静脈内注射を下記のように受けた:Raji保有マウスはリツキシマブ(MabThera(Roche Pharmaceuticals、イスラエル)、キメラなヒト化抗CD20抗体)を375mg/m2の投与量(ボーラスまたは連続i.v.)で受け、K562腫瘍保有マウスはウサギ抗K562抗体をマウスあたり1mgの総IgGの投与量(ボーラスまたは連続i.v.)で受けた。
実施例3
抗癌抗体療法のためのアジュバントとしてのDLC化合物の特定
抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用することができるさらなるDLC化合物を特定するために、本発明者らは、アジュバントとしての候補DLC化合物の好適性を検証するいくつかのスクリーニングアッセイを下記のように開発している。
抗癌抗体療法のためのアジュバントとしてのDLC化合物の特定
抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用することができるさらなるDLC化合物を特定するために、本発明者らは、アジュバントとしての候補DLC化合物の好適性を検証するいくつかのスクリーニングアッセイを下記のように開発している。
MAC複合体のタンパク質メンバー(例えば、C9)に対するモータリンの結合を阻害することができるDLC化合物の特定:本明細書中上記の実施例1に記載されるように、MKT−077はモータリンに結合し、補体C9に対するその結合を妨害する(図5)。抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用することができるさらなるDLC化合物を特定するために、本発明者らは、精製されたC9(これはComplement Technology(Tyler、TX、米国)から得ることができる;配列番号9;NM_001737)がマイクロタイタープレートが結合させられ、モータリン(配列番号1)が単独で添加されるか、または、可能性のあるDLC化合物(例えば、MKT−077など)と混合されて添加されるハイスループットELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)を開発している。C9と結合したモータリンの量が、その後、ウサギ抗モータリン抗体(これは本発明らによって調製された)またはマウス抗モータリン抗体(これはStressgen(Ann Arbor、MI、米国)から購入された)および二次のペルオキシダーゼ標識抗体を用いて調べられる。
モータリンと特異的に結合することができるDLC化合物の特定:精製モータリン(配列番号1)がELISAプレートに結合させられ、標識された候補DLC分子がプレートに添加されるELISAアッセイ。検出が、プレートリーダー(例えば、Tecan、オーストリア)を使用して行われ、色強度または蛍光を測定することが、励起および放射のための好適な波長を使用して行われる。
モータリン発現細胞と特異的に結合することができるDLC化合物の特定:モータリンを発現する細胞、および、モータリンを発現しない細胞(例えば、モータリン発現がダウンレギュレーションされる細胞)が、細胞−化合物複合体形成のために好適な条件のもとで多数のDLC化合物と接触させられる。細胞−化合物複合体の形成を、広く知られている免疫学的アッセイ(例えば、ELISA、FACS分析、ウエスタンブロッティング、免疫組織化学および/または放射免疫アッセイなど)を使用してモニターすることができる。モータリン非発現細胞とではなく、モータリンを発現する細胞との細胞−化合物複合体を形成することができる化合物(例えば、MKT−077)はさらに、抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用されることの好適性について(本明細書中下記に記載されるように)試験することができる。
抗癌抗体療法のためのアジュバントとして使用することについての候補DLC化合物の適格性確認:補体誘導のモータリン放出および補体誘導の溶解に対する候補DLC化合物(例えば、MKT−077様試薬)の阻害作用が、亜溶解用量のウサギ抗K562細胞抗体および補体(正常ヒト血清)により処理されたK562ヒト赤白血病細胞を用いて試験される。上清が集められ、放出されたモータリンおよび補体C9の量が(図2aに示されるような)ウエスタンブロッティングによって評価され、細胞の生存性が(図1に示されるような)トリパンブルー封入(細胞の細胞毒性アッセイ)によって求められる。
明確にするため別個の実施態様で説明されている本発明の特定の特徴は単一の実施態様に組み合わせて提供することもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施態様で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで提供することもできる。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。本明細書中で言及した刊行物、特許および特許願ならびにGenBankアクセッション番号はすべて、個々の刊行物、特許もしくは特許願またはGenBankアクセッション番号が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
Claims (22)
- 抗癌抗体療法により治療されている、癌の治療の必要性のある対象において癌を治療する方法であって、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物の治療効果的な量を対象に投与し、それにより、対象において癌を治療することを含む、方法。
- 抗癌抗体療法のためのアジュバントとして特定される医薬品を製造するための、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物の使用。
- アジュバント抗癌抗体療法としての使用のためのラベルを含む包装材を含む製造物であって、前記包装材は、モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物を包装する、製造物。
- 前記包装材はさらに、抗癌抗体を包装する、請求項3に記載の製造物。
- モータリンと結合することができる非局在化親油性カチオン(DLC)化合物と、抗癌抗体とを有効成分として含み、かつ、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬組成物。
- 前記非局在化親油性カチオン(DLC)化合物を前記投与することが、抗癌抗体療法を施す前に行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記非局在化親油性カチオン(DLC)化合物を前記投与することが、抗癌抗体療法を施すのと同時に行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記非局在化親油性カチオン(DLC)化合物および前記抗癌抗体が別個の容器において包装される、請求項4に記載の製造物。
- 前記非局在化親油性カチオン(DLC)化合物および前記抗癌抗体が1つの容器において包装される、請求項4に記載の製造物。
- 前記非局在化親油性カチオン(DLC)化合物および前記抗癌抗体が共配合される、請求項9に記載の製造物。
- 前記非局在化親油性カチオン(DLC)化合物は、カチオン性ローダシアニン化合物である、請求項1〜10に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 前記カチオン性ローダシアニン化合物はMKT−077である、請求項11に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 前記抗癌抗体が、リツキシマブ、トラスツズマブ、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、アレムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、CP−751871およびパニツムマブからなる群から選択される、請求項1〜12に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 抗癌抗体療法が、CD20、HER2、CD33、CD52、EGFRおよびIGF1Rからなる群から選択される腫瘍関連抗原に対して向けられる、請求項1〜12に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 前記MKT−077が静脈内投与のために配合される、請求項12に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 前記MKT−077の投与が、0.1mg/m2/日〜25mg/m2/日の投与量で行われる、請求項15に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 前記MKT−077の投与が、1mg/m2/週〜126mg/m2/週の投与量で行われる、請求項15に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 抗癌抗体がRITUXANであり、これに対して、前記抗癌抗体の投与が375mg/m2の投与量で行われる、請求項1〜12に記載の方法、使用、製造物、または医薬組成物。
- 抗癌抗体療法のための非局在化親油性カチオン(DLC)アジュバントを特定する方法であって、
(a)モータリンを発現する細胞を複数の非局在化親油性カチオン(DLC)化合物と接触させること、および、
(b)モータリン機能をダウンレギュレーションすることができ、抗癌抗体療法のためのアジュバントである少なくとも1つの化合物を前記複数の化合物から特定すること
を含む、方法。 - 前記モータリン機能は、補体タンパク質への結合を含む、請求項19に記載の方法。
- 前記補体タンパク質は、配列番号9によって示されるC9タンパク質である、請求項20に記載の方法。
- 0.17ミリグラム〜220ミリグラムのMKT−077を含む単位投与剤形。
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