JP2010502876A - 改良されたポンピングチャネル構成を有する真空ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】粘性流条件において所望の圧力差を実現できる分子ドラッグステージを備えた真空ポンプを提供する。
【解決手段】真空ポンプは、吸入口14および排出口16を有するハウジング10と、ハウジング内の少なくとも1つの分子ドラッグステージ30、32、...46であって、ロータ302およびロータの表面に向かって開口する接線方向のフローチャネルを区画するステータ300を含む、分子ドラッグステージと、ロータを回転させて、気体が吸入口から排出口へポンピングされるようにするモータ52とを含んでいる。ステータ300は、チャネル306中で1つ以上の障害物320を区画する。障害物はチャネルを通る気体の流れを変更し、粘性または部分粘性流条件下で乱流を発生させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ターボ分子真空ポンプおよびハイブリッド真空ポンプに関し、より詳しくは、先行技術の真空ポンプに比べて改良された性能の実現を支援するポンピングチャネル構成を有する真空ポンプに関する。
従来のターボ分子真空ポンプは、吸入口と、複数の軸方向のポンピングステージを収容している内部チャンバと、排出口とを有するハウジングを含んでいる。排出口は通常、粗引き真空ポンプに取り付けられている。各軸方向のポンピングステージは、傾斜したブレードを有するステータと、傾斜したブレードを有するロータとを含んでいる。ロータブレードおよびステータブレードは、反対方向に傾斜している。ロータブレードは、モータにより高回転速度で回転されて、吸入口と排出口との間の気体をポンピングする。通常のターボ分子真空ポンプは、9〜12個の軸方向のポンピングステージを含んでいてもよい。
しばしばハイブリッド真空ポンプと呼ばれる、従来のターボ分子真空ポンプの変形例が、先行技術において開示されている。先行技術の1つの構成において、1つ以上の軸方向のポンピングステージが、分子ドラッグコンプレッサを形成する分子ドラッグステージに置き換えられている。この構成は、1993年8月24日に発行され、バリアン・インコーポレイテッドに譲渡された米国特許第5,238,362号に開示されている。バリアン・インコーポレイテッドは、軸方向のターボ分子コンプレッサおよび分子ドラッグ(引きずり)コンプレッサを共通のハウジングに含む、ハイブリッド真空ポンプを販売している。ハイブリッド真空ポンプ用の分子ドラッグステージおよび再生ステージは、1994年10月25日に発行された、バリアン・インコーポレイテッドが所有する米国特許第5,358,373号に開示されている。他のハイブリッド真空ポンプが、1993年6月22日に発行された米国特許第5,221,179号、1998年12月15日に発行された米国特許第5,848,873号、および2000年10月24日に発行された米国特許第6,135,709号に開示されている。ハイブリッド真空ポンプ用の、改良されたインペラ構成が、バリアン・インコーポレイテッドが所有する、2003年8月19日に発行された米国特許第6,607,351号に開示されている。
分子ドラッグステージは、回転ディスクつまりインペラ、およびステータを含んでいる。ステータは、接線方向のフローチャネル(流路)、ならびに接線方向のフローチャネル用の入口および出口を区画している。固定バッフルはしばしばストリッパとも呼ばれ、接線方向のフローチャネルに配置され、入口と出口とを分離している。回転ディスクのモーメントは接線方向のフローチャネル内で気体分子に伝達され、分子を出口に向けて導く。分子ドラッグステージは分子流条件用に開発された。分子流において、ポンプ動作は、移動方向に分子を引きずる(ドラッグする)、速く動く平坦面により生成される。
米国特許第5,238,362号明細書 米国特許第5,358,373号明細書 米国特許第5,221,179号明細書 米国特許第5,848,873号明細書 米国特許第6,135,709号明細書 米国特許第6,607,351号明細書
粘性流に近づくと、単純なモーメント伝達は同じように機能しない。これは、分子密度勾配ではなく圧力勾配が確立されるために、逆流が増加するからである。その結果、分子ドラッグステージは粘性流条件において所望の圧力差を実現できない場合がある。
したがって、真空ポンプ用の改良された分子ドラッグステージが必要とされている。
本発明の第1の局面によれば、真空ポンプは、吸入口および排出口を有するハウジングと、前記ハウジング内に位置し、前記吸入口と前記排出口との間に配置された少なくとも1つの分子ドラッグステージであって、分子ドラッグディスクを備えているロータおよび前記ディスクの表面に向かって開口している接線方向のフローチャネルを区画するステータを含み、前記ステータは、選択された圧力範囲内で乱流を誘発するために、前記チャネル中の少なくとも1つの障害物をさらに区画する、分子ドラッグステージと、前記分子ドラッグステージの前記ロータを回転させ、気体が前記吸入口から前記排出口へポンピングされるようにするモータとを備えている。
本発明の第2の局面によれば、真空ポンプは、吸入口および排出口を有するハウジングと、前記ハウジング内に位置し、前記吸入口と前記排出口との間に配置された少なくとも1つの分子ドラッグステージであって、ロータおよびステータを含み、前記ステータは、前記ロータの表面に向かって開口する接線方向のフローチャネルを区画し、周方向の位置で前記チャネルを塞ぐバッフル、および前記チャネルを通る気体の流れを変更する、前記チャネル中の1つ以上の障害物を含む、分子ドラッグステージと、前記分子ドラッグステージの前記ロータを回転させ、気体が前記吸入口から前記排出口へポンピングされるようにするモータとを備えている。
本発明を組み込むのに適した真空ポンプの単純化された横断面模式図である。 図1の真空ポンプに使用されてもよい、軸方向のフローステージの破断斜視図である。 分子ドラッグ真空ポンピングステージを使用する真空ポンプの部分横断面図である。 図3の4-4線に沿った、分子ドラッグステージの平面図である。 図4の5-5線に沿った、分子ドラッグステージの部分横断面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの部分横断面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの部分横断面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの部分横断面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの部分的な模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの部分的な模式的平面図である。 本発明の実施形態に係る分子ドラッグステージの部分的な模式的平面図である。
本発明のよりよい理解のために、参照により本明細書に組み込まれる添付図面を参照する。
本発明の一実施形態に係る高真空ポンプの単純化された横断面図を、図1に示す。ハウジング10が、吸入口14および排出口16を有する内部チャンバ12を区画している。ハウジング10は、排気されるべき真空チャンバ(図示せず)に対して吸入口14を封止するための、真空フランジ18を含んでいる。排出口16は粗引き真空ポンプ(図示せず)に接続されていてもよい。真空ポンプが大気圧まで排気することができる場合、粗引きポンプは必要ない。
ハウジング10内には、真空ポンピングステージ30、32、...、46が配置されている。各真空ポンピングステージは、固定部材つまりステータと、インペラまたはロータとして知られる回転部材とを含んでいる。各真空ポンピングステージの回転部材は、駆動シャフト50によりモータ52に連結されている。シャフト50はモータ52により高速で回転され、回転部材を中心軸54回りに回転させ、気体を吸入口14から排出口16へポンピングする。図1の実施形態では9つのステージを有している。真空ポンピングの必要に応じて、異なる数のステージを使用してもよいことが理解されるであろう。
真空ポンピングステージ30、32、...、46は、1つ以上の軸方向フロー真空ポンピングステージと、1つ以上の分子ドラッグステージとを含んでいてもよい。実施形態によっては、1つ以上の再生真空ポンピングステージを含んでいてもよい。真空ポンピングステージの数および種類は、真空ポンプの用途に基づき選択される。
軸方向フロー真空ポンピングステージの一例を図2に示す。ポンプハウジング10は吸入口12を有している。軸方向のフローステージは、ロータ104およびステータ110を含んでいる。ロータ104は、中心軸回りを高速回転するためにシャフト50に接続されている。ステータ110は、ハウジング10に対して固定された位置に取り付けられている。ロータ104およびステータ110の各々は、複数の傾斜したブレードを有している。ロータ104のブレードは、ステータ110のブレードとは反対方向に傾斜している。従来の軸方向のフローステージの変形例が、引用により本明細書に組み込まれる上記特許第5,358,373号に開示されている。
分子ドラッグ真空ポンピングステージの一例を図3〜図5に示す。分子ドラッグステージにおいて、ロータまたはインペラは分子ドラッグディスクを備え、ステータには、ディスクとわずかに離して対向させた、1つ以上の接線方向のフローチャネル(流路)が設けられている。各チャネルは、ディスクの表面に対向する開口側を有している。ディスクが高速で回転しているとき、気体は、回転ディスクにより発生する分子ドラッグ(引きずり)により、接線方向のフローチャネルを通って流される。インペラは、異なる圧力で効率的に作動するように、異なる構成を有していてもよい。
図3〜図5を参照して、分子ドラッグステージは、ハウジング10内に取り付けられた分子ドラッグディスク200、上側ステータ部202および下側ステータ部204を含んでいる。上側ステータ部202はディスク200の上面の近傍に配置され、下側ステータ部204はディスク200の下面の近傍に配置されている。上側および下側ステータ部202および204はともに、分子ドラッグステージのステータを構成している。ディスク200は、真空ポンプの中心軸54回りを高速回転するために、シャフト50に取り付けられている。
上側ステータ部202には上側チャネル210が形成されている。チャネル210はディスク200の上面に対向して位置している。下側ステータ部204には下側チャネル212が形成されている。下側チャネル212はディスク200の下面に対向して位置している。図3〜図5の実施形態において、チャネル210および212は円形であり、ディスク200と同軸である。上側ステータ部202は遮断部(ブロッケージ)214を含んでおり、これはバッフルまたはストリッパとしても知られており、チャネル210をチャネル入口とチャネル出口との間の周方向の位置で遮断している。チャネル210は、遮断部214の一方側で、導孔220(チャネル入口)を介して前ステージから気体を受ける。気体は、回転ディスク200により発生する分子ドラッグにより、チャネル210を介してポンピングされる(汲み出される)。遮断部214の他方側で、ステータ部202および204に形成された導孔220(チャネル出口)は、ディスク200の外周縁の周りで、チャネル210とチャネル212とを相互接続している。下側ステータ部204は、周方向の1つの位置において、下側チャネル212の遮断部222を含んでいる。下側チャネル212は、遮断部222の一方側において、導孔220を介してディスク200の上面から気体を受け、遮断部222の他方側において、導孔224を介して次のステージへ、またはポンプの排出口へ気体を排出する。
作動時、ディスク200はシャフト50の回りを高速で回転する。気体は導孔216を介して前ステージから受けられる。前ステージは、分子ドラッグステージ、軸方向のフローステージ、または他の適切な真空ポンピングステージであってもよい。気体は、ディスク200の回転により発生する分子ドラッグにより、上側チャネル210の周まわりにポンピングされる。気体は次いで、ディスク200の外周まわりに導孔220を介して、下側チャネル212へ送られる。気体は次いで、分子ドラッグにより下側チャネル212の周まわりにポンピングされ、導孔224を介して次のステージへ、またはポンプの排出口へ排出される。このように、上側チャネル210および下側チャネル212は、気体がそれらを通って直列に流れるように接続されている。他の実施形態において、上側および下側チャネルは並列に接続されていてもよい。2つ以上の同軸のポンピングチャネルを、直列に接続して使用することもできる。図3〜図5の分子ドラッグステージは上側および下側チャネルを含んでいるが、他の実施形態は1つのチャネルのみを含んでいてもよい。さらなる実施形態において、ディスクの周辺部は、ディスクの上方および下方の、ならびにディスクの外縁のチャネル領域を含むチャネル内へと延びていてもよい。分子ドラッグステージの他の実施形態が、上記特許第5,358,373号に開示されている。
分子ドラッグ真空ポンピングステージ中の圧力レベルが分子流から粘性流へと増加すると、圧縮比が大幅に低下し、性能が損なわれる場合がある。本発明の一局面によれば、分子ドラッグステージのステータ中の接線方向のフローチャネルは、圧縮比の低下が起きる圧力レベルを増加させるように構成されている。
一般的に言って、分子流中の圧縮比は粘性流中よりも高くなる。これは、相互衝突がないので、分子が逆の圧力勾配にさらされないためである。粘性流条件に達すると、不安定が生じる。チャネルを横切っておよびチャネルの長さに沿って、順当に均一な密度分布が得られず、流れが分離されて、より抵抗の少ないほうへ進む場合があり、逆ストリーマまたは逆流が起きる場合がある。これは圧縮比を下げる現象である。
ポンピングチャネルの形状、および移動面と固定面との間の形状関係により、逆ストリーマは断面の異なる区域で起きる場合がある。例えば、移動壁を有する円形横断面の管において、逆ストリーマは中央で起きる場合がある。回転ディスクがチャネル内に延びている構成では、逆ストリーマは、回転ディスクから最も離れたチャネルの角部で起きる場合がある。回転ディスクの面に対向するチャネル中で、逆ストリーマは周速度が最も低い位置で起きる場合がある。
逆流の傾向は、隣接する回転ディスクの速度が比較的低いチャネルの区域で、より大きいことが分かっている。くわえて、逆流の傾向は、回転ディスクから最も遠いチャネルの区域で、より大きい。このように、例えば、逆流は、チャネルの角部などの、回転軸に最も近く回転ディスクから離れているチャネルの区域で起きる場合がある。これらの原理は、粘性または部分粘性流条件下で、改良された性能を有するチャネル構成を提供することに適用される。
従来の分子ドラッグステージ中のチャネルの横断面形状は、図3に例示するように矩形であり、分子ドラッグステージの周まわりにおいて均一である。本発明の実施形態によれば、チャネルの周構成は、粘性または部分粘性流条件下で、改良された性能を提供するように選択される。チャネル構成は乱気流を発生するよう選択される。
本発明の一局面によれば、ステータのチャネルの周構成は、粘性または部分粘性流条件下で、改良された性能を提供するように変更されている。より詳しくは、チャネルは、チャネルを通る気流を変え、チャネル中に乱流を発生する障害物を設けて構成されている。
本発明の第1の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な横断面平面図を、図6および図6Aに示す。分子ドラッグステージは、ステータ300と、分子ドラッグディスク302の形態のロータとを含んでいる。ディスク302は回転軸304回りに回転する。ステータ300は、ディスク302の上面に向かって開口する接線方向のフローチャネル306を区画している。ステータ300は、接線方向のフローチャネル306の入口および出口を区画する遮断部308を含んでいる。チャネル306は、入口孔310を介してポンピングされるべき気体を受け、排出孔312を介して気体を次のステージへ、またはポンプの排出口へ排出する。
図6および図6Aに示すように、ステータ300は、チャネル306の周まわりに間隔を空けて配置された障害物320を含んでいる。障害物320は、少なくとも部分的にチャネル306の障害となる、径方向の凸条(リブ)の形態であってもよい。障害物320はチャネルを通る気流を変え、チャネル306中に乱流を発生させ、粘性または部分粘性流条件下での逆流の傾向を低減する。チャネル306の周まわりの障害物320の数、ならびに、チャネル306の寸法および形状に対する障害物320の寸法および形状は、分子ドラッグステージの期待される作動条件に依存している。例えば、より大きな障害物はより大きな乱流を発生し、より高い圧力での作動を可能にする。
ステータ300のチャネル306中の障害物は、本発明の範囲内でさまざまな構成を有していてもよい。図6および図6Aの実施形態において、障害物320は、チャネル306の外側側壁324および頂部壁326に取り付けられていてもよい。図6Bの第2の実施形態において、障害物330は、チャネル306の内側側壁328および頂部壁326に取り付けられている。図6Cの第3の実施形態において、障害物340は、チャネル306の頂部壁326に取り付けられている。各場合において、チャネル306の寸法および形状に対する障害物の寸法および形状は、所与の作動条件一式に対して、改良された性能を提供するよう選択される。さらに、チャネル内の障害物は、逆流の傾向を低減する、異なる形態を有していてもよい。例えば、障害物として、図6Aの障害物320と図6Bの障害物330とを互い違いになるようにしてもよい。障害物の他のいかなる順序を用いてもよい。図6〜図6Cの実施形態において、障害物は、チャネル306中の凸条または仕切り(パドル)として構成されている。
本発明の第4の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な横断面平面図を、図7に示す。ステータ350が、ディスク302の上面に向かって開口するチャネル352を区画している。ステータ350は、チャネル352の入口および出口を区画する障害物354を含んでいる。チャネル352は、障害物354の一方側で、入口孔356を介してポンピングされるべき気体を受け、障害物354の他方側で、排出孔358を介して気体を排出する。
図7の実施形態において、チャネル352の外側壁は、湾曲凹部372により分離された、一連の、間隔を空けた頂部(ピーク)370を含んでいる。頂部370はチャネル352を通る気体の円滑(スムーズ)な流れに対する障害物として機能して、乱流を発生し、次いで、この乱流がチャネル352中で逆流の傾向を低減する。頂部370および凹部372は多様な形状および寸法を有していてもよく、図7に示すようにチャネル352の外側壁に、チャネル352の内側壁に、チャネル352の頂部壁に、またはチャネル壁のいくつかの組み合わせに、位置していてもよい。凹部372の深さおよび頂部370同士の間隔も変更することができる。
本発明の第5の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な横断面平面図を、図8に示す。ステータ400が、ディスク302の上面に向かって開口するチャネル402を区画している。ステータ400は、チャネル402の入口および出口を区画する障害物404を含んでいる。チャネル402は、障害物404の一方側で、入口孔406を介してポンピングされるべき気体を受け、障害物404の他方側で、排出孔408を介して気体を排出する。
ステータ400中のチャネル402は、方向が交互に変わるがおおよそ円形の経路に従い、ジグザグのチャネルを区画する壁によって区画されている。このように、チャネル402は、方向が交互に変わりジグザグのチャネルを区画する、部分(セクション)410、412、414等を含んでいる。壁の方向の変化は、円滑な気体の流れに対する障害物として機能し、それによりチャネル402における逆流の傾向を低減させる。チャネル402の方向の変化の大きさおよび方向の変化の数は、分子ドラッグステージの用途に応じて選択される。さらに、チャネルの方向の変化は、チャネル402の外側壁、チャネル402の内側壁、チャネル402の頂部壁、またはチャネル壁のいくつかの組み合わせの変更によって生じさせることができる。一例として、チャネル402の内側壁および外側壁は、多かれ少なかれ一致した方向の変化を有している。
本発明の第6の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な横断面平面図を、図9に示す。ステータ430が、ディスク302の上面に向かって開口するチャネル432を区画している。ステータ430は、チャネル432の入口および出口を区画する障害物434を含んでいる。チャネル432は、障害物434の一方側で、入口孔436を介してポンピングされるべき気体を受け、障害物434の他方側で、排出孔438を介して気体を排出する。
図9の実施形態において、チャネル432の頂部壁は、それぞれが段差(ステップ)442で終わる、複数の傾斜面440を有している。段差442はチャネル432での気体の流れの方向に対向しており、円滑な気体の流れに対する障害物として機能し、それにより乱流を発生させ、チャネル432における逆流の傾向を低減させる。傾斜面440および段差442は、平坦なまたは湾曲した面を有していてもよい。傾斜面440および段差442の寸法および形状は、分子ドラッグステージの用途に応じて選択される。
本発明の第7の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な横断面平面図を、図10に示す。円形の分子ドラッグステージの半分を示す。ステータ460が、ディスク302の上面に向かって開口するチャネル462を区画している。図10の実施形態において、チャネル462の内側壁および外側壁は、それぞれが段差472で終わる傾斜面470を含んでいる。段差472は、チャネル462を通る気体の円滑な流れに対する障害物として機能し、それにより乱流を発生させ、チャネル402における逆流の傾向を低減させる。
本発明の第8の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な横断面平面図を、図11に示す。円形の分子ドラッグステージの半分を示す。ステータ500が、ディスク302の上面に向かって開口するチャネル502を区画している。図11の実施形態において、複数の柱510が、チャネル502の頂部壁からチャネル502内へ延びている。柱510は、チャネル502を通る気体の円滑な流れに対する障害物として機能し、それにより乱流を発生させ、逆流の傾向を低減させる。柱510の数および寸法、ならびにチャネル502中でのその配置は、分子ドラッグステージの用途に従って選択される。
本発明の第9の実施形態に係る分子ドラッグステージの模式的な部分横断面平面図を、図12に示す。円形の分子ドラッグステージの円弧状部分を示す。ステータ520が、ディスク302の上面に向かって開口するチャネル522を区画している。図12の実施形態において、周方向の凸条または分離部(デバイダ)530がチャネル522内へ、その頂部壁から延びている。分離部530は、ジグザグの構成を生じる、複数の方向の変化を含んでいる。ジグザグの分離部530は、チャネル522を通る気体の円滑な流れに対する障害物として機能し、それにより乱流を発生させ、逆流の傾向を低減させる。分離部530の構成は、方向の変化の数および大きさを含めて、分子ドラッグステージの用途に従って選択される。
チャネル中で逆流の傾向を制限するため、さまざまなチャネル構成を図示し記載してきた。チャネル中の障害物の形状、寸法および数は、真空ポンプにおける分子ドラッグステージの期待される作動圧力に応じて選択されてもよい。2つ以上の分子ドラッグステージを有する真空ポンプにおいて、各ステージのチャネル中の障害物の形状、寸法および数は、それぞれのステージの期待される作動圧力に従って選択されてもよい。ゆえに、同じ真空ポンプの異なるステージが、異なるチャネル構成を有していてもよい。
このように本発明の少なくとも一つの実施形態のいくつかの局面を記載したが、さまざまな代替、変更、および改良を当業者は容易に思いつくであろう。このような代替、変更、および改良は、この開示の一部であることが意図されており、本発明の精神および範囲に含まれるよう意図されている。したがって、上記記載および図面は単なる例示である。

Claims (10)

  1. 吸入口および排出口を有するハウジングと、
    前記ハウジング内に位置し、前記吸入口と前記排出口との間に配置された少なくとも1つの分子ドラッグステージであって、ロータおよび前記ロータの表面に向かって開口している接線方向のフローチャネルを区画するステータを含み、前記ステータは、前記チャネルを通る気体の流れを変更する、前記チャネル中の1つ以上の障害物をさらに区画する、分子ドラッグステージと、
    前記分子ドラッグステージの前記ロータを回転させ、気体が前記吸入口から前記排出口へポンピングされるようにするモータとを備えている、真空ポンプ。
  2. 前記ロータが、分子ドラッグディスクを備えており、前記接線方向のフローチャネルは、前記ディスクの表面に向かって開口している、請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 周方向の位置において前記チャネルの障害となるバッフルをさらに備えている、請求項2に記載の真空ポンプ。
  4. 少なくとも1つの前記障害物が、選択された圧力範囲中の粘性流条件下で、前記チャネル中に乱流を誘発するように構成されている複数の障害物を含む、請求項3に記載の真空ポンプ。
  5. 少なくとも1つの前記障害物が、交互に方向を変えるチャネル壁を含む、請求項1または4に記載の真空ポンプ。
  6. 少なくとも1つの前記障害物が、前記チャネルの少なくとも1つの壁であって、複数の頂部および空洞を区画する壁を含む、請求項1または4に記載の真空ポンプ。
  7. 少なくとも1つの前記障害物が、前記チャネルの少なくとも1つの壁であって、複数の傾斜面を区画する壁を含む、請求項1または4に記載の真空ポンプ。
  8. 少なくとも1つの前記障害物が、前記チャネル内へ延びる複数の柱を含む、請求項1または4に記載の真空ポンプ。
  9. 少なくとも1つの前記障害物が、前記チャネル中に配置された周方向の分離部であって、交互に方向を変える構成を有する周方向の分離部を含む、請求項1または4に記載の真空ポンプ。
  10. 前記1つ以上の障害物が、前記チャネルの少なくとも1つの壁から延びる、複数の径方向の凸条を備えている、請求項1または4に記載の真空ポンプ。
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