JP2010502567A - 1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイドまたはその塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の方法は、1−シアノ−3−オクチルグアニジンまたはその塩と、3,4−ジクロロベンジルアミンまたはその塩とを、エステル系有機溶媒中で反応させる。
Description
H2N−(CH2)7CH3 (4)
で表されるn−オクチルアミンまたはその塩と式(5)
M−N(CN)2 (5)
[式中、Mはアルカリ金属を示す。]
で表される化合物またはその塩とを、エステル系有機溶媒中で反応させて、式(2)
前記工程で得られる1−シアノ−3−オクチルグアニジンまたはその塩と式(3)
を含む、式(1)
H2N−(CH2)7CH3 (4)
で表されるn−オクチルアミンまたはその塩と式(5)
M−N(CN)2 (5)
[式中、Mはアルカリ金属を示す。]
で表される化合物またはその塩とを、エステル系有機溶媒中で反応させて、式(2)
反応式−1
R1COOR2 (6)
[式中、R1はC1−3のアルキル基、R2はC4−6のアルキル基を示す。]
で表されるカルボン酸エステルが挙げられる。一般式(6)のカルボン酸エステルの具体例としては、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−プロピル等を挙げることができる。さらに好ましくは酢酸n−ブチルを挙げることができる。このようなカルボン酸エステルを使用した場合には、化合物(1)を一段と高収率で製造することができる。
反応式−2
化合物(2)またはその塩は、式(4)で表される化合物(以下、単に化合物(4)という場合がある)またはその塩と式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)という場合がある)またはその塩を反応させて得ることができる。
化合物(5)の好適なアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
本反応は、不活性溶媒中または無溶媒下で行われる。ここで、用いられる不活性溶媒としては、例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム等のエーテル系有機溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系有機溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、エチレングリコール等の低級アルコール系有機溶媒;酢酸等の脂肪酸系有機溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−プロピル、炭酸ジエチル等のエステル系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒;アセトニトリル、ピリジン、DMF、DMSO、ヘキサメチルリン酸トリアミドまたはこれらの混合溶媒等を挙げることができる。
化合物(4)7.00kg(54.16モル)を105リットルの酢酸エチルに溶解し、この溶液を5℃以下まで冷却し、これに濃硫酸2.66kg(27.12モル)を攪拌しながら40℃以下で滴下した。得られた化合物(4)の1/2硫酸塩の懸濁液中に、ナトリウムジシアナミド5.06kg(56.83モル)を加えて、この懸濁液を7時間加熱還流した。反応液を40℃以下に冷却し、これに水70リットルを加えた後、当該溶液を80〜90℃(内温)に加熱して、酢酸エチルを留去した。残留液を40℃以下まで冷却し、これにトルエン70リットルを加え、1−シアノ−3−n−オクチルグアニジンを約50℃で抽出した。分離したトルエン層を水35リットルを用いて約50℃で洗浄した後、このトルエン層を10℃以下に冷却して、約30分攪拌した。析出晶を分離し、トルエン7リットルで洗浄した。得られた結晶を40℃で7.5時間乾燥して、1−シアノ−3−n−オクチルグアニジンを得た。
収量9.11kg(化合物(4)を基準とした収率は85.7%であった)。
白色結晶 融点69−74℃(明確な融点を持たない)
IR(KBr)スペクトル:3439、3296、2916、2164、1659、1556、1160、718、572cm−1
熱重量測定/示差熱分析:73.5℃(弱い)、77.5℃に吸熱ピークが認められた。
1H−NMR(CDC13)スペクトル:0.88ppm(t、J=6.6Hz、3H)、1.20−1.38ppm(m、10H)、1.43−1.62ppm(m、2H)、3.17ppm(dd、J=6.9Hz、J=6.0Hz、2H)、5.60−5.70ppm(bs、2H)、5.80−5.95ppm(bs、1H)。
1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・2塩酸塩1gを、10%エタノール15mlに溶解し、5時間還流した。下記の条件でHPLC分析した。
HPLC条件:
カラム YMC AM302 4.6mmI.D.×150mm
溶出液 MeCN/0.05M 1−オクタンスルホン酸ナトリウム水溶液/酢酸=700/300/1
検出器 UV 254nm
1−[N−(3,4−ジクロロベンジル)カルバモイル−3−オクチル]グアニジンの物性値は以下の通り:
NMR (DMSO−d6) δ:0.86(3H、t、J=6.0Hz)、1.07−1.35(10H、m)、1.35−1.49(2H、m)、2.95−3.15(2H、m)、4.12(2H、d、J=6.3Hz)、6.78−7.40(4H、m)、7.23(1H、dd、J=2.1Hz、J=8.4Hz)、7.46(1H、d、J=2.1Hz)、7.54(1H、d、J=8.4Hz)
1−(N−オクチルカルバモイル)−3−(3,4−ジクロロベンジル)グアニジンの物性値は以下の通り:
NMR (DMSO−d6) δ:0.85(3H、t、J=6.6Hz)、1.02−1.40(12H、m)、2.89−2.95(2H、m)、4.33(2H、bs)、5.76−7.00(4H、m)、7.28(1H、dd、J=2.1Hz、J=8.1Hz)、7.52(1H、d、J=2.1Hz)、7.58(1H、d、J=8.1Hz)。
化合物(2)9.82g(0.05モル)と3,4−ジクロロベンジルアミン10.63g(0.05モル)とを酢酸ブチル49ml中に加え、6時間還流した。反応液を減圧濃縮し、残渣に水12mlとイソプロピルアルコール47mlとの混合液を加えて溶解し、この溶液に濃塩酸10.13gを滴下した。得られた混合物を28−30℃で30分攪拌し、析出晶を濾取した。結晶を少量のイソプロピルアルコールで洗浄して23.42g(未乾燥状態)の1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・2塩酸塩を得た。得られた結晶を乾燥することなく、水167ml中に懸濁し、懸濁液を25−27℃で2時間攪拌した後、結晶を濾取した。得られた結晶を少量の水で洗浄後、40℃で20時間乾燥すると、純度99.9%の1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・1塩酸塩・1/2水和物が17.05g(81.6%)得られた。
化合物(4)100g(0.774モル)を酢酸n−ブチル1リットル中に溶解し、この中に濃硫酸37.6g(0.383モル)を攪拌しながら加えた。得られた化合物(4)の1/2硫酸塩の懸濁液中に、ナトリウムジシアナミド68.9g(0.774モル)を加え、その懸濁液を3時間加熱還流した。反応液を20℃付近まで冷却し、各々約500mlの(i)5%塩酸、(ii)5%苛性ソーダ水溶液、(iii)5%重曹水液、及び(iv)水を使って、この順に有機層を洗浄した。
収量 243.8g(化合物(3)を基準とした収率は81.3%であった)
融点:228.9℃
IR(KBr)スペクトル:2920、1682、1634、1337、1035、820、640cm−1。
化合物Aの2塩酸塩100g(0.225モル)を、15%イソプロパノール水溶液1リットルに加え、化合物Aが溶解するまで混合液を加熱した後、35℃付近まで冷却し、これに種晶0.2gを加え、溶液を25〜35℃で1時間攪拌した。攪拌後の溶液を10℃以下まで冷却し、析出晶を分離した。析出晶を水200mlで洗浄し、wet結晶を得た。
収量90.54g(化合物Aの2塩酸塩を基準とした収率は96.5%であった)。
純度(HPLC)99.9%以上
粒度:870μmの篩を通過する程度であれば、支障なく目的の用途に使用することができる。
融点:173−174℃
1H−NMR(DMSO−d6)スペクトル:0.85ppm(t、J=6.8Hz、3H)、1.10−1.50ppm(m、12H)、2.92−3.08ppm(m、2H)、4.33ppm(d、J=6.3Hz、2H)、6.80−7.20ppm(bs、3H)、7.30ppm(d、J=8.4Hz、1H)、7.48−7.62ppm(m、3H)、7.70−7.90ppm(bs、0.5H)
IR(KBr)スペクトル:3316、3190、2928、1584、1549、1152、1032、723cm−1
熱重量測定/示差熱分析:40±10℃、90±10℃、170±5℃に3本の吸熱ピークが認められた。吸熱温度はロットによって多少変動するが、特徴的な3本のピークが認められる。
粉末X線回折スペクトル(2θ):3.6°、7.2゜、10.9゜、18.1°、25.5゜。
化合物Aの2塩酸塩の粗結晶8.92kgを、15%エタノール水溶液(精製水114リットルとエタノール20リットルの混合溶液中)に加え、当該粗結晶が溶解するまでこの混合液を加熱した。得られた溶液を40℃付近まで冷却し、これに種晶90gを加え、30〜40℃で約2時間攪拌した。この溶液を約10℃まで冷却し、析出晶を遠心分離した。得られた結晶を40℃で乾燥して1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・1塩酸塩・1/2H2Oを得た。
収量8.15kg(化合物Aの2塩酸塩の粗結晶を基準とした収率は97.4%であった)
純度(HPLC)99.6%以上
融点:173−174℃
1H−NMR(DMSO−d6)スペクトル:0.85ppm(t、J=6.8Hz、3H)、1.10−1.50ppm(m、12H)、2.92−3.08ppm(m、2H)、4.33ppm(d、J=6.3Hz、2H)、6.80−7.20ppm(bs、3H)、7.30ppm(d、J=8.4Hz、1H)、7.48−7.62ppm(m、3H)、7.70−7.90ppm(bs、0.5H)
IR(KBr)スペクトル:3316、3190、2928、1584、1549、1152、1032、723cm−1
熱重量測定/示差熱分析:40±10℃、90±10℃、170±5℃に3本の吸熱ピークが認められた。吸熱温度はロットによって多少変動するが、特徴的な3本のピークが認められる。
粉末X線回折スペクトル(2θ):3.6°、7.2゜、10.9゜、18.1°、25.5゜。
化合物(4)9kg(69.64モル)を90リットルの酢酸n−ブチルに溶解し、この溶液を10℃以下に冷却し、これに濃硫酸3.35kg(34.16モル)を攪拌しながら40℃を超えないようにして加えた(約4分)。
収量21.26kg(化合物(3)を基準とした収率は77.2%であった)。
化合物Aの1塩酸塩・1/2H2O粗結晶19.0kgを、15%エタノール水溶液(精製水179リットルとエタノール32リットルの混合溶液)中に加え、当該粗結晶が溶解するまでこの混合液を加熱(80℃以下)した後、熱時濾過を行った。濾液を再還流して粗結晶の溶解を確認後、35℃付近まで冷却し、これに種晶(76g)を加え、混合液を1時間を要して20℃まで冷却し、さらに30分を要して、10℃まで冷却した。析出晶を遠心分離した。分離機上で、結晶を精製水(42リットル)で洗浄した。得られた結晶を40℃で22時間乾燥して、化合物Aの1塩酸塩・1/2H2Oを得た。
収量18.34kg(化合物Aの1塩酸塩・1/2H2O粗結晶を基準とした収率は96.5%であった)
純度(HPLC)99.9%以上
粒度:870μmの篩を通過する程度であれば、支障なく目的の用途に使用することができる。
融点:173−174℃
1H−NMR(DMSO−d6)スペクトル:0.85ppm(t、J=6.8Hz、3H)、1.10−1.50ppm(m、12H)、2.92−3.08ppm(m、2H)、4.33ppm(d、J=6.3Hz、2H)、6.80−7.20ppm(bs、3H)、7.30ppm(d、J=8.4Hz、1H)、7.48−7.62ppm(m、3H)、7.70−7.90ppm(bs、0.5H)
IR(KBr)スペクトル:3316、3190、2928、1584、1549、1152、1032、723cm−1
熱重量測定/示差熱分析:40±10℃、90±10℃、170±5℃に3本の吸熱ピークが認められた。吸熱温度はロットによって多少変動するが、特徴的な3本のピークが認められる。
粉末X線回折スペクトル(2θ):3.6°、7.2゜、10.9゜、18.1°、25.5゜。
化合物Aの1塩酸塩・1/2H2Oが無水和物形(I形晶)に転移するのに及ぼすエタノール水溶液の濃度及び温度の影響を調べた。化合物Aの1塩酸塩・1/2H2Oを30%以上のエタノール水溶液に懸濁したところ、30℃では反応開始から2時間以内でI形晶への転移が完了し、25℃では反応開始から2時間でI形晶の生成が観察され、4時間後にI形晶への転移が完了した。20℃では反応開始から2時間でI形晶の生成が確認されたが、6時間後でもI形晶への転移が完了しなかった。
15%エタノール水溶液を用いて同様の試験を行った。35℃では反応開始から4時間後にI形晶の生成が確認され、40℃では2時間以内にI形晶への転移が完了した。10%エタノール水溶液を用いる場合には、57℃まで反応温度を上げたが6時間後でもI形晶への転移が完了しなかった。
以上の実験から、30%以上のエタノール水溶液に懸濁し、30℃−45℃で2時間以上攪拌すれば、無水晶(I形)へ完全に転移することが判明した。また、15%のエタノール水溶液に懸濁した場合でも、40℃で2時間以上攪拌すれば、無水晶(I形)へ完全に転移することが判明した。
(I形晶):
融点:177−179℃
粉末X線回折スペクトル(2θ): 3.9°、17.5°、21.9°、22.5°。
化合物(2)20g及び化合物(3)の塩酸塩20.2gにメシチレン200mlを加え、混合液を1.5時間加熱還流した。反応後の反応液を室温に戻し、メシチレンを除去した。残渣に10%エタノール水溶液200mlを加え、混合液を加熱し、これを10%エタノール液、水、次にイソプロピルエーテルで洗浄し、粗生成物28.1gを得た。これを酢酸エチルで再結晶し、白色稜状晶として1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・1塩酸塩22.1gを得た。
比較例1で得られた粗生成物4gを15%エタノール60ml中に加熱溶解後、40℃まで冷却し、その温度で4時間攪拌した。析出した結晶を濾取し、3.6gの1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・1塩酸塩を得た。
融点:白色結晶 融点169−170℃
IR(KBr)スペクトル:3314、3176、2920、1595、1545、1146、1027、723cm−1
熱重量測定/示差熱分析:110±5℃、170±5℃付近に2本の強い吸熱ピークが認められる。吸熱温度はロットによって多少変動するが、特徴的な2本の吸熱ピークが認められる。
オクチルアミン塩酸塩1g(6.0ミリモル)とNaN(CN)2 0.56g(6.3ミリモル)を15mlのトルエン中、2時間還流した。得られた混合物中に3,4−ジクロロベンジルアミン1.2g(5.7ミリモル)を加えて、更に2.5時間還流した。得られた反応混合液を下記HPLCで分析すると、目的物である1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−オクチルビグアナイド・1塩酸塩(5.85分、55%)の他に、1,5−ジオクチルビグアナイド(11.40分、9%)、1,5−ビス(3,4−ジクロロベンジル)ビグアナイド(3.46分、6%)、1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−シアノグアニジン(2.1分、4%)、1−オクチル−3−シアノグアニジン(2.60分、11%)が含まれていた。
HPLC条件
カラム YMCAM302 4.6mmI.D.×150mm No.188
溶出液 MeCN/0.05M 1−オクタンスルホン酸ナトリウム水溶液/酢酸=700/300/1
検出器 UV 254nm
Claims (7)
- エステル系有機溶媒が、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル及びプロピオン酸n−プロピルからなる群より選ばれた少なくとも1種の溶媒である請求項1に記載の製造方法。
- エステル系有機溶媒が酢酸n−ブチルである、請求項2に記載の製造方法。
- 酸の存在下で反応させる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 酸が塩酸、硫酸、燐酸及び臭化水素酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4に記載の製造方法。
- 式(4)
H2N−(CH2)7CH3 (4)
で表されるn−オクチルアミンまたはその塩と式(5)
M−N(CN)2 (5)
[式中、Mはアルカリ金属を示す。]
で表される化合物またはその塩とを、エステル系有機溶媒中で反応させて、式(2)
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