従来の計量吸入器(MDI)の場合、ハウジングは通常は環境に対して開いている。一般的には、薬剤キャニスターの基部は、アクチュエータの頂部に設けられた開口部から突出するように構成される。この構成は、ユーザの指及び親指の動きによって吸入器を作動させるため、キャニスターの基部にユーザがアクセスし、それによってアクチュエータハウジングの排出ブロックに対してキャニスターが押し下げられて、結果としてそれを発射させることを促進するように設計されている。
本出願人は、吸入器が、その代わりに、作動レバー又はハウジングに設けられた類似の指操作式部材にユーザが力を加えるのに応答して作動するように構成されている場合、ハウジングが通常は環境に対して開いている必要はないことを認識している。実際には、衛生上の観点から、一般に薬剤容器及び排出アセンブリを収容するハウジングのその部分を、環境から「閉止する」ことが有利であると考えられる。この通常は「閉止された」形態は、そうでなければこの場合は「閉止されている」ハウジング内に収容されたそれらの機構部分を汚染する恐れがある、異物(例えば、埃粒子)の望ましくない進入を最小限に抑えることができる。
吸入器を有効に操作するため、患者が吸入器の出口(例えば、マウスピース若しくはノーズピース)を通して吸入するのに応答して、空気をハウジング内に(且つ望ましくは容器及び排出アセンブリの排出メカニズムを越えて)引き込むことを可能にする、一つ又は複数の給気口をハウジングに設けることが望ましい。最適な衛生状態のため、ハウジング内へのそのような通気路は、装置の使用中にのみ使用可能にされ、それ以外の場合には、ハウジングは通常は環境から「閉止された」ままであるべきである。
したがって、本出願人は、作動レバー又は他の指操作式部材が少なくとも部分的にそこを通して突出するアパーチャが規定された、吸入器ハウジングを提案する。指操作式部材は、指操作式部材がアパーチャを閉鎖するように作用する休止位置から、アパーチャの閉鎖が解かれ、出口を通して患者が吸入するのに応答してハウジング内にアパーチャを通して空気を引き込むことができる作動位置へと移動可能である。このようにして、衛生上の要件と有効な操作性の要件の両方が提供される。
本発明の一つの目的は、有効な操作性とその薬剤容器の衛生的な格納とを提供する薬剤ディスペンサーを提供することである。
本発明の第1の態様によれば、本発明の請求項1による薬剤ディスペンサー装置が提供される。
吸入経路によって製剤を患者に分配する薬剤ディスペンサー装置が提供される。
薬剤ディスペンサー装置は、第1のチャンバを規定し、ディスペンサー装置の部分のいくつか若しくは全てを完全に又は部分的に収容するのに適したハウジングを備える。ハウジングは、あらゆる適切な形態を有してもよいが、患者の手が容易に適応するように適切にサイズ及び形状が決められる。特に、ハウジングは、ディスペンサー装置を片手で操作できるようにサイズ及び形状が決められる。
好ましい実施形態では、ハウジングの第1のチャンバは、(i)排出された薬剤(例えば、エーロゾル化形態)が薬剤排出装置の排出チャネルから第2のチャンバへ、またそこから出口へ流れることを可能にする、排出ブロックの排出オリフィス、及び/又は(ii)第1のチャンバと第2のチャンバとの間にある、出口を通して患者が吸入するのに応答してそれらの間を空気が流れることを可能にする少なくとも一つの更なる開口部、及び(iii)少なくとも一つの指操作式部材がそこを通して突出する、選択的に閉鎖されたアパーチャを除いて、本質的に「閉止されて」いる。第1のチャンバのこの通常は「閉止された」形態は、そうでなければ第1のチャンバ内に収容された薬剤ディスペンサー装置の機構部分を汚染する恐れがある、異物(例えば、埃粒子及び他の細片)の望ましくない進入を最小限に抑えるという観点から望ましい。
患者の体腔に挿入するため、ハウジングから延び、第2の開いたチャンバを規定する出口が設けられる。患者の体腔が患者の口である場合、出口は一般にマウスピースを規定するように形作られる。患者の体腔が患者の鼻である場合、出口は一般に患者の鼻孔によって受け入れられるノズル形態に形作られる。したがって、分配された薬剤及び/又は空気が患者の口若しくは鼻へと流れることを可能にする出口の部分はまた、第2のチャンバの「開いた」形態の主要開口部を規定する。
実施形態では、出口は、例えば、排出された薬剤(例えば、エーロゾル化形態)が排出ブロックオリフィスから送達されるとき、それに対して被覆する空気流(sheathing air flow)を提供するため、患者が出口を通して吸入すると、出口の内周面においてほぼ環状の空気流を提供する少なくとも一つの空気流路を含む。実施形態では、複数の空気流路の円形配置が提供される。
実施形態では、出口は、マウスピースカバー又はノズルカバーなどの取外し可能な保護カバーを備える。
ハウジングの第1のチャンバには、排出ブロックオリフィスを規定する排出ブロックが設けられる。
実施形態では、排出ブロックは、別個に形成された構成要素として、排出ブロックの排出ブロックオリフィスに流体接続し、使用の際に薬剤がそこから送達される排出出口オリフィスを含む、排出出口を備える。
実施形態では、排出出口は出口と一体に形成されるか、又は出口に結合される。実施形態では、出口は、ユーザの唇に把持されるように構成され、使用の際に薬剤がそこを通して送達される開放端を規定する外部区画と、排出出口がそこに結合する後部区画を規定する内部区画とを備える。
実施形態では、排出出口の少なくとも後部区画は、排出ブロックから離れる方向で寸法が増加する。一実施形態では、排出出口は本質的に円錐形の内部を規定する。別の実施形態では、排出出口は本質的にバケツ形の内部を規定する。
実施形態では、排出ブロックは、排出出口を受け入れる横向きのキャビティを含む。実施形態では、排出出口は、横向きのキャビティ内に固定的に配置される。排出出口は、プレス嵌め若しくはスナップ嵌め方法の使用による、クリップ係合メカニズムの使用による、被せ溶接(over-welding)の使用による、又は熱かしめ(heat-staking)の使用によるなど、あらゆる適切な接合或いは封止方法によって、横向きのキャビティ内に適切に固定される。実施形態では、排出出口は横向きのキャビティ内のスナップ嵌めである。
実施形態では、横向きのキャビティは窪みを含み、排出出口は窪みの中に固定的に係合される突起を含む。実施形態では、排出出口は横向きのキャビティ内の締まり嵌めである。
実施形態では、排出出口は、排出出口オリフィスに流体接続され、且つそれに向かって狭まる送達チャネルを含む。一実施形態では、送達チャネルは弓形の壁区画を有する。別の実施形態では、送達チャネルはほぼ直線の壁区画を有する。
実施形態では、出口における被覆する空気流路は、排出出口に給気口を設けることによって可能になる。排出出口が本質的にバケツ形である場合、バケツの基部に給気口が設けられることが好ましいことが見出されている。
実施形態では、環状の空気流は排出ブロックオリフィスから離れる方向である。実施形態では、出口は、出口の内周面においてほぼ環状の空気流をともに提供する複数の空気流路を含む。
第1のチャンバ内に受入れ可能な、且つ第1のチャンバ内で移動する薬剤排出装置が提供される。実施形態では、薬剤排出装置は、ハウジングによって密閉される(即ち、第1のチャンバ内に密閉される)。薬剤排出装置は長手方向軸線を有し、分配される製剤を格納する容器を備える。実施形態では、容器はほぼ円筒の形態を取り、長手方向軸線は円筒の中心軸によって規定される。容器は、一端に首部を有するように適切に構成される。
容器は、容器から延びる排出チャネルと連通する排出メカニズムを備える。排出チャネルは、排出ブロックオリフィスを介して前記製剤を出口まで排出できるようにするため、排出ブロックによって受入れ可能である。実施形態では、排出チャネルは容器の首部から外に延びる。
一般的に、排出メカニズムは、排出メカニズムから薬剤を排出できるようにするために超えなければならないある程度の付勢を提供する、ばねメカニズム(又は他の付勢メカニズム)を備える。一般的に、そのばねメカニズムは、排出メカニズムが発射後にその休止状態へと戻るのを支援する戻しメカニズムとしても作用する。
排出チャネルの形状及び形態は、排出ブロックによって有効に受け入れられるように、その形状及び形態と一致されるであろうことが理解されるであろう。実施形態では、排出チャネルは、ハウジングの排出ブロックに設けられたキャビティ又は通路によって受け入れられ、そのキャビティ又は通路は、排出ブロックオリフィスとの、且つそれ故に排出された薬剤を患者に分配するための出口との連通を可能にする。
排出チャネルが弁付きエーロゾルキャニスターの弁心棒である一つの態様では、弁心棒は、ハウジングに設けられた心棒ブロックの形態である排出ブロック内に受け入れられ、その心棒ブロックは、排出されたエーロゾル化薬剤を弁心棒から出口へ導くなどの作用をする通路を含む。
排出チャネルが流体ポンプ排出装置の排出チューブである別の態様では、排出チューブは、ハウジングに設けられた排出チューブブロックの形態である排出ブロック内に受け入れられ、その排出チューブブロックは、排出された流体薬剤を排出チューブから出口へ案内するなどの作用をする通路を含む。
一つの態様では、薬剤排出装置は、エーロゾル化薬剤を分配するのに適しており、したがって、一般に、計量吸入器(MDI)タイプの薬剤ディスペンサーに使用される、良く知られたタイプの排出弁を備えたエーロゾルキャニスターを備える。キャニスターは一般に金属(例えば、アルミニウム)で形成される。弁は、一般に戻しばねを含むので、弁が発射を行うと、その後の発射に備える「休止」位置に戻される。
計量吸入器(MDI)では、排出装置はエーロゾル形態の薬剤を分配するためのものであり、薬剤は、噴霧剤ベースのエーロゾル製剤を収容するのに適したエーロゾル容器に包含される。エーロゾル容器は、一般的に、エーロゾル形態の製剤を患者に対して放出する排出メカニズムとして作用する計量弁(metering valve)、例えば滑動弁(slide valve)を備える。エーロゾル容器は、一般に、弁を用いて作動させるごとに、予め定められた用量の薬剤を送達するように設計され、弁付きエーロゾル容器を圧縮することによって、例えば、容器を固定した状態で弁を押し下げることによって、又は弁を固定した状態で容器を押し下げることによって開くことができる。
薬剤容器がエーロゾル容器である場合、弁は、一般的に、エーロゾル製剤がそこを通して弁体に入ってもよい入口ポートと、エーロゾルがそこを通して弁体を出てもよい出口ポートと、前記出口ポートを通る流れをそれによって制御可能な開閉メカニズムとを有する弁体を備える。
弁は滑動弁であってもよく、その際、開閉メカニズムは封止リングを備え、分配通路を有する弁心棒を封止リングによって受入れ可能であり、弁心棒は、弁閉位置から、弁体の内部が分配通路を介して弁体の外部と連通している弁開位置へとリング内で滑動的に移動可能である。
一般的に、弁は計量弁である。計量量は、一般的に、25μl、50μl、又は63μlなど、10〜100μlである。実施形態では、弁体は、製剤の量を計量する計量チャンバと、入口ポートを通る計量チャンバへの流れがそれを用いて制御可能な開閉メカニズムとを規定する。好ましい実施形態では、弁体は、第2の入口ポートを介して計量チャンバと連通しているサンプリングチャンバを有し、前記入口ポートは開閉メカニズムを用いて制御可能であり、それによって計量チャンバ内への製剤の流れが調節される。
弁はまた、チャンバと、チャンバ内へ延びる弁心棒とを有するとともに、分配位置と非分配位置との間でチャンバに対して移動可能な「易流動性エーロゾル弁(free flow aerosol valve)」を備えてもよい。弁心棒は、弁心棒とチャンバとの間で計量量が規定され、並びに、弁心棒がその非分配位置と分配位置との間で移動する間、順次、(i)エーロゾル製剤がチャンバに自由に流入できるようにし、(ii)弁心棒の外表面とチャンバの内表面との間で加圧エーロゾル製剤の閉じた計量量を規定し、また、(iii)計量量が出口通路と連通し、それによって加圧エーロゾル製剤の計量量を分配できるようになるまで、閉じた計量量の体積を減少させることなくチャンバ内の閉じた計量量とともに移動するような構造を有し、チャンバはそのような内部構造を有する。
適切には、弁の内部部品(例えば、使用の際に製剤に接触するもの)はいずれも、薬剤がそれに付着する傾向を低減する材料(例えば、フルオロポリマー材料)でコーティングされる。適切なフルオロポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びフルオロエチレンプロピレン(FEP)が挙げられる。あらゆる可動部品には、また、それらの所望の移動特性を向上させるコーティングが塗布されてもよい。したがって、必要に応じて、摩擦接触を向上させる摩擦コーティング、及び摩擦接触を低減するのに使用される潤滑剤が塗布されてもよい。
別の態様では、薬剤排出装置は、流体製剤(例えば、非加圧/噴霧剤を含まない)を分配するのに適した流体排出装置であり、したがって、一般に、圧縮ポンプ(compression pump)を備えた流体容器を備える。そのようなポンプ付き排出装置は、経鼻送達するための流体状の薬剤を分配するディスペンサーに最も一般的に使用されている。
適切な流体排出装置は、分配される流体を格納する、一端に首部を有する容器と、容器内に位置する、吸込口を有する圧縮ポンプと、容器の首部から外に延びる、前記流体をポンプから移送する排出チューブとを備える。ポンプは一般に戻しばねを含むので、ポンプが発射されると、次の発射に備える「休止」位置に戻される。
適切な与圧ポンプ(pre-compression pump)は、Valois SA製のモデルVP3、VP7、又は改良物であろう。一般的に、そのような与圧ポンプは、8〜50mlの製剤を保持することができるボトル(ガラス又はプラスチック)容器とともに一般的に使用される。噴霧ごとに、一般的に、50〜100μlのそのような製剤が送達され、したがって、装置は少なくとも100回分の定量を提供することができる。
ハウジングには、薬剤排出装置を長手方向軸線に沿って排出ブロックに向かって移動させて、排出メカニズムを作動させるため、薬剤排出装置に直接又は間接的に力を加えるように移動可能な、少なくとも一つの指操作式部材が設けられる。好ましい実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は、薬剤排出装置の長手方向軸線に対して横断方向に移動可能である。
少なくとも一つの指操作式部材は、薬剤排出装置を作動させるため、それに対して直接又は間接的のどちらかで力を加えるように構成されてもよい。力が直接加えられる場合、少なくとも一つの指操作式部材の一部分が、薬剤排出装置の容器の基部に適切に係合して、容器を作動させる形で押し下げる。一つ又は複数の作動メカニズム部分を通して薬剤排出装置に力が間接的に加えられるエネルギー蓄積型のメカニズムを含む、他のメカニズムを後述する。
少なくとも一つの指操作式部材という用語は、一般的なユーザ(例えば、成人若しくは子どもの患者)の指又は親指、或いはそれらの組合せの動作によって操作可能な部材を包含することを意味する。実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材の少なくとも一部は、患者の指及び/又は親指との相互作用を支援するように人間工学的に形作られる。したがって、実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は、患者の指若しくは親指の接触が容易であるように形作られてもよく、且つ/或いは所望の相互作用を促進する表面機構及び/又は他の細部を備えてもよい。
実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は機械工率を適用するように構成される。即ち、少なくとも一つの指操作式部材は、伝達要素によって掛けられる力を調節する(一般に、強化又は平滑化する)ように、ユーザの力に対して機械工率を適用する。機械工率は、一つの態様では、一定の機械工率の増強によるなど、例えば、1.5:1〜10:1(強化された力対初期の力)、より一般的には2:1〜5:1の比によって、均一な形で提供されてもよい。別の態様では、機械工率は、加えられる力のサイクルにわたって機械工率が漸増又は漸減するなど、一定しない形で適用される。機械工率の変動の正確なプロファイルは、ディスペンサー装置の所望の分配性能を参照して容易に決定することができる。
実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は、レバーなど、機械工率を必然的に生じさせる形態を有する。
好ましい実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は、ハウジングの一部に枢動的に接続された少なくとも一つのレバーであって、レバー又はそのそれぞれをユーザが移動させると、排出装置を排出ブロックに向かって押しやるように構成されたレバーから成る。
一つの好ましい態様では、二つの向かい合ったレバーが存在し、それらはそれぞれ、ハウジングの一部に枢動的に接続し、また、二つのレバーをユーザが握り締めると、薬剤排出装置を長手方向軸線に沿って移動させるため、薬剤排出装置に直接又は間接的に力を伝達するように構成されてもよい。
一つの態様では、二つの向かい合ったレバーの移動は結合され、その結合は、使用の際に患者によって、他方のレバーに加えられるのと不均一な力が一方のレバーに加えられるのを完全に又は部分的に補償するように作用する。あらゆる適切な結合メカニズムが用いられてもよい。一つの態様では、二つの向かい合ったレバーは噛合する歯を備え、それらの歯は、互いに噛合し、それによって結合作用をもたらすように構成される。そのような結合は、向かい合ったレバーを(例えば、握り締めることによって)作動させたとき、どちらかのレバーの周りで同等のサイズの開口部の閉鎖が解かれ(即ち、開かれ)、それによって、患者がそこを通して吸入したときに装置を通る空気流をより均一(即ち、対称的)にするという更なる利点を提供する。
実施形態では、レバー又はそのそれぞれはハウジング内の下端で枢動的に支持される。「ハウジング内の下端で」により、一般に、薬剤ディスペンサー装置を患者が通常使用する際にハウジングのその端部が最下端であることを意味する。
下端の旋回レバー構造を使用することは、長いレバーを使用することができ、それによって、入力する力と、薬剤排出装置を作動させるのに加えられる力との機械的比率が最大限になるという利点を有する。それに加えて、ユーザは、通常、親指をレバーの端部に近接して位置付けてディスペンサー装置を把持するという事実により、その下端で枢動的に支持されたレバーを使用することは、上端で枢動的に支持されたレバーを使用するよりも人間工学上効率的である。上端(やはり、通常の「使用中」構造に対して)で枢動的に支持されたレバーを用いると、患者の親指の位置はレバーがその周りを旋回する位置に近接し、したがって最大限のてこ作用は得られない。
ハウジングは、少なくとも一つの指操作式部材が少なくとも部分的にそこを通して突出するアパーチャを更に規定し、それによって、ユーザが指/親指によって作動させるため、少なくとも一つの指操作式部材がアクセス可能になる。少なくとも一つの指操作式部材の突出部分は、指及び/又は親指の相互作用に適するように形作られ、したがって、指/親指の相互作用を促進するため、摩擦機構及び/又は把持機構を備えてもよい。
二つ以上の指操作式部材(例えば、複数のレバー)が存在する場合、それぞれは、一般的に、その指操作式部材の少なくとも一部がそこを通して突出するアパーチャと関連付けられる。実施形態では、指操作式部材又はそのそれぞれのためのアパーチャ又はそのそれぞれは、患者が出口において吸入すると、空気流がハウジングに入る唯一の(意図される)入口点である。
少なくとも一つの指操作式部材は、少なくとも一つの指操作式部材が前記アパーチャを閉鎖するように作用する休止位置から、アパーチャの閉鎖が解かれ、患者が出口を通して吸入するのに応答して空気がアパーチャを通してハウジングに引き込まれてもよい作動位置へと移動可能である。
休止位置では、アパーチャは閉鎖されている。「閉鎖された」によって、特に異物(例えば、埃粒子及び他の細片)へのアクセスを閉鎖する意図で、アパーチャが本質的に閉じていることを意味する。気密封止を形成する必要はないが、好ましい実施形態では、閉鎖の程度はそこを通る空気流を少なくとも妨げるか制限するのに十分である。実施形態では、ハウジングのアパーチャと少なくとも一つの指操作式部材との間に小さな間隙(例えば、全周0.5mm)が存在する。望ましくは、休止位置では、少なくとも一つの指操作式部材及びハウジングは互いに「圧迫」又は「妨害」しない。そのような「圧迫する」又は「妨害する」相互作用は、そうでなければ、装置の操作に必要な少なくとも一つの指操作式部材の指/親指による移動に影響を及ぼす可能性がある。
実施形態では、少なくとも一つの指操作部材は、ディスペンサー装置に設けられた適切な付勢メカニズムによってその休止位置に向かって付勢される(即ち、アパーチャが閉鎖される)。実施形態では、付勢メカニズムは、容器を作動させる作動メカニズムの構成要素として設けられる(例えば、「二重になる(double up)」)。
作動位置では、アパーチャの閉鎖が解かれ、したがって、患者が出口を通して吸入するのに応答して空気がハウジングに(即ち、その第1のチャンバ及びそこからその他の部分に)引き込まれてもよい。
実施形態では、本明細書の薬剤ディスペンサー装置を作動させる作動メカニズムは、
(f)容器に接続し、容器を係合する容器カラーと、(g)前記容器カラーに接続し、それに対して薬剤排出装置の長手方向軸線に沿って移動可能な伝達要素であって、前記伝達要素の作動部分に力を加えて伝達要素を長手方向軸線に沿って第1の方向で移動させるため、少なくとも一つの指操作式部材が移動可能である、作動部分を含む伝達要素と、(h)容器カラーを伝達要素と接続する、伝達要素を長手方向軸線に沿って第1の方向で移動させる際の付勢エネルギーを保存する付勢メカニズムと、(i)容器カラーに設けられ、前記容器を長手方向軸線に沿って第1の方向で移動させて、予め定められた閾値力を超えるまで排出メカニズムを作動させるため、前記付勢エネルギーが容器カラーに伝達されるのを防ぐ予圧メカニズムと、を備える。
実施形態では、容器に接続し、容器を係合する容器カラーが設けられる。したがって、容器カラーは、適切には容器と本質的に固定の関係にある(即ち、それに固定される)。実施形態では、容器カラーは容器の首部と係合する(例えば、本質的に固定の関係にある)。
容器カラーは、スナップ嵌め係合メカニズムを含む恒久的又は一時的な係合のあらゆる適切な手段によって、容器(例えば、その首部)と係合してもよい。好ましくは、後述する実施形態にあるように、容器カラーは、米国特許出願第10/110,611号(WO-A-01/28887)及びUS-A-2006/0082039に記載されているような割りリングカラーを使用することによって、容器に恒久的に接続される。
実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は、容器カラーと直接係合して、容器を作動する形で押し下げる、又は引き下げる作動力を容器カラーに加えるように構成される。
他の実施形態では、(後述するような付勢メカニズムを介して)容器カラーに接続し、それに対して薬剤排出装置の長手方向軸線に沿って移動可能な伝達要素が更に設けられる。伝達要素は、あらゆる適切な形態を有してもよいが、好ましくは、容器によって受け入れられるようにサイズ及び形状が決められ、容器カラーに対して適切な形で配置された延長カラーを備える。一つの態様では、延長カラーは、容器カラーの周りで(即ち、その外部で)受け入れられるようにサイズ及び形状が決められる。
これらの他の実施形態では、伝達要素は作動部分を含み、少なくとも一つの指操作式部材は、伝達要素の作動部分に力を加えて、伝達要素を長手方向軸線に沿って第1の方向で移動させるように移動可能である。作動部分は、少なくとも一つの指操作式部材と相互作用するように形作られ、また、アバットメント(例えば、フランジ又は棚)、ラックピニオン式歯車(rack and pinion gear)、及び刻み目の形態を含む、その相互作用を促進しそれに適応するあらゆる形態を取ってもよい。実施形態では、作動部分は当接面を規定する。同様に、少なくとも一つの指操作式部材は、作動部分と直接相互作用するように適切に形作られ、また、アバットメント及び刻み目の形態を含む、その直接相互作用を促進しそれに適応するあらゆる形態を取ってもよい。実施形態では、少なくとも一つの指操作式部材は、伝達要素の作動部分と相互作用するように構成されたカム面を規定する。
任意に、薬剤ディスペンサー装置には、少なくとも一つの指操作式部材及び/又はいずれかの容器カラーの移動を可逆的に係止/係脱する係止メカニズムが設けられる。係止メカニズムの目的は、少なくとも一つの指操作式部材及び/又は容器カラーの意図しない移動を防ぎ、したがってディスペンサー装置の意図しない作動を防ぐことである。
実施形態では、係止メカニズムは、例えば、少なくとも一つの指操作式部材及び/又は容器カラーの意図しない移動に干渉するように作用する、あらゆる適切なリム、突出部、若しくはアバットメントを備える係止要素を備える。そのような意図しない移動は、例えば、ディスペンサー装置を患者が誤用した結果として、又は装置を運搬している間(例えば、患者のポケット若しくはバッグに入れて携帯しているとき)に生じることがある。
一つの態様では、係止メカニズムは、出口のための取外し可能なカバー(例えば、マウスピース又はノズルのカバー)に設けられる。したがって、使用の際、患者は出口カバーを取り外し、それによって出口を露出させると同時に係止メカニズムを係脱する。反対に、使用後、出口カバーは、少なくとも一つの指操作式部材及び/又は容器カラーを再び係止するように元に戻される。代替態様では、係止メカニズムは、取外し可能なカバーの一体部品を備えてもよく、或いはそれに対する固定のアドオンとして設けられるか、又はそれに対する移動可能な(例えば、回転可能若しくは並進可能な)アドオンとして設けられてもよい。
一つの態様では、係止メカニズムは、容器カラーの意図しない移動を、したがって排出メカニズムの発射を防ぐように構成されるが、少なくとも一つの指操作式部材及び/又は伝達要素の移動は妨害しない。したがって、容器カラーがその係止状態にある(即ち、係止メカニズムがその係止機能を行っている)とき、少なくとも一つの指操作式部材(例えば、レバー)は依然として移動されてもよく、その移動が、付勢メカニズムを介してエネルギーを伝達して、伝達要素を移動させるが、容器カラーの移動は全て防止される。係止装置のこの形態は、指操作式部材(例えば、レバー)に加えられる意図しない力によって、それに対する又は装置全体に対する損傷なしにその運動が可能になり、但し、ディスペンサー装置は全く作動(例えば、排出メカニズムの発射による)しないという利点を有する。
実施形態では、容器カラーは、一つ又は複数(例えば、二つ)の下向きの突出部を下面に備え、マウスピースは、一つ又は複数の干渉要素の形態の係止メカニズムを備える。実施形態では、干渉要素(一つ又は複数)はP字形であり、干渉要素(一つ又は複数)がその周りを回転してもよい適切なヒンジ(例えば、一体ヒンジ)を用いてマウスピースに接合される。一実施形態では、ブリッジ要素によって互いに接合された二つの干渉要素が存在する。マウスピースがディスペンサー装置の本体と係合する(即ち、マウスピース閉止位置にある)とき、干渉要素(一つ又は複数)は下向きの突出部(一つ又は複数)に当接し、それによって容器カラーのあらゆる下向きの移動が防止(即ち、係止)される。容器カラーの意図しない移動、したがってディスペンサー装置の意図しない作動(即ち、排出メカニズムの発射)が結果として防止される。しかし、実施形態では、容器カラーがその係止状態にあるときであっても、少なくとも一つの指操作式部材及び伝達要素は自由に移動することができる。
一つ又は複数の回転可能な干渉要素がマウスピースに設けられる一つの特定の係止メカニズムが、英国特許出願第0518355号による優先権を主張する、本出願人による同時係属中のPCT特許出願WO-A-2007/028,992に記載されており、それらをそれぞれ参照により本明細書に組み込む。
実施形態では、容器カラーを伝達要素に接続するなどの作用をする付勢メカニズムが更に設けられる。付勢メカニズムは、伝達要素を容器カラーに対して長手方向軸線に沿って第1の方向で移動させる際の付勢エネルギーを保存するように作用する。
実施形態では、付勢メカニズムは、機械的エネルギーを保存するため、一つ若しくは複数のばね、又は他の弾性的に圧縮可能若しくは伸展可能な機械的部材を備える。
このタイプの好ましい実施形態では、付勢メカニズムは、二つのばねが容器カラーのどちらかの側に位置する(即ち、180°の半径方向間隔)構成を含む。
本出願人は、薬剤排出装置の排出メカニズム(例えば、弁又はポンプ)を有効に作動させるため、あらゆる付勢メカニズムが、あらゆる予圧メカニズムのあらゆる予め定められた力を超えるとともに、その排出メカニズムを作動させるのに十分な付勢エネルギーを保存(及び解放)できるべきであることを認識している。したがって、例えば、排出メカニズムが戻しばねを有する弁又はポンプを備える場合、付勢メカニズムは、その戻しばねを克服して、弁又はポンプを信頼性高く発射させるのに十分な付勢エネルギーを提供できるべきである。
本出願人は、患者によって少なくとも一つの指操作式部材に加えられる作動力が最小限に保たれることが望ましいことを認識している。やはり望ましくは、装置全体のサイズは、人間工学及び美観の両方の観点から、比較的小さく保たれる(例えば、患者の手に快適に収まる)。やはり望ましくは、ディスペンサー装置はプラスチックの構成要素で作られるが、そのことは、特定のプラスチックの機械的強度が、特に緊張状態に置かれている場合に時間とともに低下するという課題をもたらす。
したがって、実施形態では、付勢メカニズムは、初期の高い付勢張力(biasing tension)(例えば、弁又はポンプの戻しばねを作動させるのに必要な力に等しいか、それよりも大きく、但し、任意の予圧メカニズムの予め定められた閾値力よりも常に小さい)を提供するように、また更に、低いばね定数(即ち、少なくとも一つの指操作式部材をユーザが作動させるのに応答して付勢メカニズムが移動すると、ばねの張力が低い比率だけ増加する)を有するように適切に構成される。本出願人は、圧縮ばねを用いてこれを達成するには、ばねのばね定数を低くすることによって所与の距離だけ圧縮して、初期の高い付勢張力を達成し、次にそれを装置の形に組み立てることが必要なため、それは困難であることを認識している。したがって、それによって装置のあらゆるプラスチックの構成要素に常に負荷が掛かることになる。
したがって、実施形態では、付勢メカニズムは一つ又は複数の引張りばねを含む。
実施形態では、引張りばね又はそのそれぞれの伸展の程度は、排出メカニズムのあらゆる戻しばね(例えば、弁若しくはポンプの戻しばね)を克服して、その排出メカニズムを発射させるのに必要なばねの伸展の程度よりも大きい。
好ましい実施形態では、引張りばねは、その「休止」状態における初期の付勢張力を適切に規定する閉コイル形態を有する。実施形態では、一つ又は複数の引張りばねを組み合わせて得られるその初期の付勢張力は、予圧メカニズムの予め定められた閾値力をわずかに下回る(例えば、3〜10Nなど、1〜15N下回る)。
実施形態では、一つ又は複数の引張りばねは低いばね定数を規定する。即ち、その伸展は不適当なユーザ力が加えられることを必要としない。これは、少なくとも一つの指操作式部材をユーザが作動させることに応答するその伸展が、そのことによって不適当な歪みをユーザに与えないという点で有利である。実施形態では、引張りばね又はそのそれぞれのばね定数は、0.5〜5N/mm、例えば1〜3N/mmの範囲内である。
実施形態では、容器カラーには予圧メカニズムが更に設けられ、予め定められた閾値力を超えるまで、付勢エネルギーが容器カラーに伝達されて、排出メカニズムを作動させるように、前記容器が長手方向軸線に沿って第1の方向で移動するのが防止される。
したがって、最初に、少なくとも一つの指操作式部材を患者が作動させるのに応答して、伝達要素が長手方向軸線に沿って移動すると、伝達要素と容器カラー(移動しない)との間の(長手方向軸線に沿った)間隔が増加し、付勢エネルギーが付勢メカニズム内に蓄積する。しかし、予圧メカニズムによって規定される予め定められた閾値力を超えると、付勢エネルギーが解放され、それによって、容器カラーは長手方向軸線に沿って第1の方向で引張られ、その動作によって排出メカニズムが作動し、結果として製剤が排出チャネルを通って、患者に送達するための出口へと排出される。
換言すれば、予圧メカニズムは、予め定められた閾値力が少なくとも一つの指操作式部材に加えられるまで、薬剤排出装置の排出メカニズムの作動を防ぐなどの作用をする。したがって、予め定められた閾値力は、付勢メカニズムに保存されたエネルギーが解放されて排出メカニズムを作動させる前に、最初に超えなければならない「バリア」力と考えることができる。本質的には、予圧メカニズムは、「バリア」力を超えたときにのみ分配メカニズムに対して作動エネルギーを解放できるようにする「コミットメント」機構として作用する。
排出メカニズムの作動が可能になる前に超えなければならない予め定められた力の定量は、一般的なユーザプロファイル、製剤の性質、及び所望の排出特性を含む、様々な要因に従って選択される。
一般的には、予め定められた閾値力は、5〜40N、より一般的には10〜30N(例えば、15N)の範囲内である。即ち、排出メカニズムの作動が可能になる前に、予め定められた閾値を超えるため、一般的には5〜40N、より一般的には10〜30N(例えば、15N)の力が加えられなければならない。そのような値は、弱く目立たない又は意図しない指の動きに対する適切な「バリア力」を防ぐが、ユーザの定められた指(若しくは親指)の動作によって容易に克服される力に相当する傾向がある。装置が、子ども又は高齢の患者が使用するように設計されている場合、成人が使用するように設計されている場合よりも低い予め定められた力を有してもよいことが理解されるであろう。
実施形態では、予圧メカニズムは容器カラーとハウジングとの間に挟み込まれる。
実施形態では、予圧メカニズムは、ハウジングの一部と噛合するように、容器カラー上に形成された一つ又は複数の移動止めを備え、移動止め又はそれら全ては、少なくとも一つの指操作式部材を介して予め定められた閾値力が伝達要素に加えられたとき、排出メカニズムが作動するような形で容器カラーが長手方向軸線に沿って移動できるように、ハウジングから係脱可能である。
好ましい実施形態では、各移動止めは、ハウジングに設けられた段差又はアバットメントを係合する(例えば、それに外れ止めされる(latches to))、支持脚体などの可撓性(例えば、弾性)支持リムを備える。予め定められた閾値力が克服されたとき、可撓性支持リム若しくはそのそれぞれは、段差又はアバットメントから係脱して、排出メカニズムが作動するように容器カラーが長手方向軸線に沿って移動できるようになる。実施形態では、支持リム又はそのそれぞれは、容器カラーの下端(即ち、出口に最も近い端部)に設けられる。二つ〜四つ(例えば、三つ)の可撓性支持リムの構成が特に好ましい。或いは、支持リム若しくはそのそれぞれはヒンジ式又は関節式の形態を有してもよい。
実施形態では、可撓性支持リムが、ハウジング上にあるその段差又はアバットメントそれぞれから係脱するのを案内するため、案内メカニズムが伝達要素(例えば、延長カラー)に設けられる。好ましくは、そのような案内メカニズムは、各可撓性支持リムの成形ヘッドと相互作用する案内斜面(guide ramp)を備える。
実施形態では、可撓性支持リムが、ハウジング上にあるその段差又はアバットメントそれぞれと再係合するのを案内するため、複座案内(reseat guide)メカニズムが伝達要素(例えば、延長カラー)に設けられる。好ましくは、そのような複座案内メカニズムは、各可撓性支持リムの成形複座ヘッドと相互作用する複座案内斜面を備える。
実施形態では、「係脱」案内メカニズム(例えば、斜面)は、各可撓性支持リムの外側の成形ヘッドと相互作用し、「再係合」複座案内メカニズム(例えば、斜面)は、各可撓性支持リムの内側の成形複座ヘッドと相互作用する。
或いは、予圧メカニズムは、容器カラーの一部と係合する、ハウジング上に形成された一つ又は複数の移動止めから成ってもよく、移動止め又はそれら全ては、排出メカニズムを作動させることができるように、少なくとも一つの指操作式部材を介して予め定められた閾値力が伝達要素に加えられたとき、容器カラーから係脱可能である。
実施形態では、本明細書の薬剤ディスペンサーは作動計数器(actuation counter)を含む。作動計数器は、適切には、用量計数(dose count)情報を記録し、それを患者に対して表示するメカニズムを含む。実施形態では、その用量計数情報は、ディスペンサー装置から送達された、又はその中に残っている薬剤の用量数に関する。情報は、一般的には標準的な計数の印(例えば、「999」〜「000」の印の計数表示)を使用して、デジタル又はアナログ形態で遅延されてもよい。段階的に「数え上げる」又は「数え下げる」ことのどちらかを伴う実施形態が想到される。
本明細書の予圧メカニズムは、予め定められた閾値力を超えるまで、付勢エネルギーを容器カラーに伝達して作動計数器を作動させるのを防ぐなどの作用をする。したがって、計数は、予圧メカニズムによって提供される「バリア」力を克服し、且つそれによって薬剤容器から用量が分配されるのに十分なユーザの作動にのみ応答して、作動計数器によって記録される。
実施形態では、作動計数器は、容器カラー又は容器が長手方向軸線に沿って第1の方向で移動するのに応答して作動可能である。
実施形態では、作動計数器は、容器カラー又は容器に設けられたドライバ要素との駆動(例えば、係合可能な駆動)相互作用に応答して作動可能である。ドライバ要素は、例えば、容器カラー若しくは容器に設けられた突出部(例えば、歯)、アバットメント、刻み目、又は溝の形態を取ってもよい。
実施形態では、作動計数器は、容器カラー又は容器に接続する駆動機構に設けられたドライバ要素との駆動相互作用に応答して作動可能である。ドライバ要素は、例えば、駆動機構に設けられた突出部(例えば、歯)、アバットメント、刻み目、又は溝の形態を取ってもよい。実施形態では、駆動機構は容器カラーに接続するプレートを含む。
作動計数器はあらゆる適切な形態を取ってもよい。実施形態では、作動計数器は、薬剤ディスペンサーのハウジングに有効に受け入れられるようにサイズ及び形状が決められる。実施形態では、作動計数器は、本出願人による2007年3月13日出願の同時係属中の米国仮出願第60/894,537号、又は本出願と同一譲受人に譲渡された同時出願の「DRUG DISPENSER」という名称の米国仮出願第XX/XXX,XXX号(代理人整理番号PB62118P1)に記載されている形態を有し、それらの出願両方の全体を参照により本明細書に組み込む。
薬剤排出装置が、薬剤ディスペンサー装置のハウジングから可逆的に取外し可能である実施形態が想到される。そのような実施形態では、薬剤ディスペンサー装置は、ハウジングアセンブリとそれによって受入れ可能な薬剤排出装置とを備える。
本発明の更なる態様によれば、上述したようなハウジングアセンブリと、それによって受入れ可能な薬剤排出装置とを備える部品のキットが提供される。
ハウジングアセンブリは、ユーザ又は薬剤師が後で適切な薬剤排出装置をそれに嵌める、別個の品目として供給することができることも想到される。
本発明の薬剤ディスペンサー装置は、適切には吸入器であり、より適切には良く知られている「計量吸入器」(MDI)タイプのものであり、更により適切には手持ち型で手動操作式の呼吸同調型(breath-coordinated)MDIである。そのようなMDIでは、患者は、MDIを手動で作動させて薬剤排出装置から薬剤を放出すると同時に出口において吸入する。したがって、吸入と作動は同調される。これは、吸入イベント自体がMDIを作動させるため、同調が不要な呼吸操作型(breath-operated)MDIとは対照的である。
本発明の追加の態様及び特徴は、特許請求の範囲、並びに添付図面を参照して以下に記載する本発明の代表的な実施形態の記載において説明される。そのような代表的な実施形態は、相互に排他的に実施されてもされなくてもよく、それにより、各実施形態は、一つ又は複数の他の実施形態の一つ若しくは複数の特徴を組み込んでもよい。代表的な実施形態は、本発明を例証するために説明されるものであり、本発明はそれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。
以下に、添付図面を参照して本発明を更に記載する。
ここで図面を参照すると、図1は、手持ち型で手動操作式の呼吸同調型加圧計量吸入器(MDI)の形態の、本明細書の薬剤ディスペンサー装置1を示す。このタイプの装置は、患者が、装置の分配出口(この実施形態では、マウスピース14)における自身の吸入を、装置の手動による作動と同調させて、薬剤が、患者の呼吸器官(この場合、肺)内の目標位置への吸入空気流に取り込まれるように、吸入が装置からの薬剤の放出と同調するようにする必要がある。
装置1は、前部上側ハウジング部10a及び後部上側ハウジング部10bと下側ハウジング部12とを組み合わせて規定されるハウジングを備え、それらのハウジング部は全て、この実施形態ではプラスチックから形成される。ハウジング全体の形態は、大まかに言えば下側ハウジング部12の後部がユーザの手のひらに受け入れられるようにして、しかもユーザの手で受け入れるのを容易にするように構成されることに留意されたい。マウスピース14(図1では見えないが、図3を参照)は、取外し可能なマウスピースカバー16によって保護され、下側ハウジング部12の前部から延び、使用の際、患者の口に挿入されてそこを通して吸入を行うように構成される。
レッジ13a及び13bが下側ハウジング部12の基部に設けられるので、装置は、カバー16がマウスピース14を覆っているとき、レッジ13a及び13b並びにマウスピースカバー16上で「直立」するように構成されてもよい。図7から理解されるように、カバー16がその「マウスピース露出」位置に移動されると、装置はカバー16自体の端面16e上で「直立」することができる。
前部上側ハウジング部10aには、その部分10a内に位置する計数器201によって表示される、図12〜21を参照してより詳細に後述する計数の印を見るための目視窓216が設けられる。
向かい合ったレバー20a及び20bは、前部上側ハウジング部10a及び後部上側ハウジング部10bに設けられるアパーチャ11a及び11bから突出する。レバー20a及び20bは、使用の際に患者の指及び親指にそれぞれ適応し、それによって装置の片手操作を促進するように形作られる。
図28は、図1の薬剤ディスペンサー装置の下側ハウジング部12及びマウスピース14を示す(この図では、相互に分離されて示される)。下側ハウジング部12には、エーロゾルキャニスター5の弁心棒7を受け入れるように構成された心棒ブロック8が設けられる(図2も参照)。心棒ブロック8はまた、使用の際に、排出されたエーロゾル化薬剤を弁心棒7からマウスピース14へと案内するなどの作用をする通路9を含む。また、その目的がより詳細に後述される段差部分18a、18b、及び18cも設けられる。
図29a及び29bは、分離状態及び組立状態でそれぞれ示される、図28の下側ハウジング部12の代替物として図1の薬剤ディスペンサー装置とともに使用される代替の「二部分形態」の下側ハウジング部412を示す。この二部分形態は、別個の心棒ブロック部490を受け入れるように構成された下側ハウジング部412を備える。その別個の心棒ブロック部490は、心棒ブロック408及び心棒ブロック通路409を含む。上述と同様に、下側ハウジング部は段差部分418a、418b、及び418cを規定する。組み立てる間、別個の部分412及び490は一つにされ、心棒ブロック部490上のソケット494a、494b、及び494cは、下側ハウジング部上の支柱492a、492b、及び492cと整列される。次に、部分412及び490は、各支柱492a、492b、及び492cをそれぞれソケット494a、494b、及び494cに噛合させる地点において、熱溶着(「熱かしめ」)を用いて互いに接合される。代替の「二部分形態」の下側ハウジング部412と心棒ブロック部490とのアセンブリを使用する利点は、心棒ブロック部490の精密な機構を生産し検査するのがより容易であることである。心棒ブロック部490は、一般に、薬剤送達を容易にするように選択されたポリマーから作られる。実施形態では、下側ハウジング部412はABSで形成される。
図1の装置1の内部機構の詳細は、前部上側ハウジング部10a及びマウスピースカバー16を取り除いてある図2を参照して理解することができる。向かい合ったレバー20a及び20bはそれぞれ、ピボットコネクタ22a及び22bを用いて上側ハウジング部10a及び10bに枢動的に接続することが分かる。枢動接続の位置付けは、握り締める動作による、レバー20a及び20bの所望の指と親指による操作性を促進するように選択される。また、各レバー20a及び20bの下端21a及び21bは互いに噛合し、それによって各レバー20a及び20bそれぞれの相手方に対する動きを結合する傾向があることが分かる。
図示されないが、各レバー20a及び20bは、そのどちらかの側に、各レバー20a及び20bにほぼU字形を提供する下端21a及び21bを有する。
容器カラー30によって大部分が隠れているが、ハウジングには、MDIに使用されることが一般に知られているタイプの円筒状の弁付きエーロゾルキャニスター5の形態を取る薬剤排出装置が設けられる。薬剤排出装置の弁心棒7は、ハウジングに設けられた心棒ブロック8内に受け入れられ、その心棒ブロック8は、排出されたエーロゾル化薬剤を弁心棒からマウスピース14へと案内するなどの作用をする通路9を含む。
レバー20a及び20bは、装置内で、各レバー20a及び20bの下端21a及び21bが、薬剤排出装置の向かい合った側面(前部及び後部)上に配置されるように構成される。
この特定の実施形態では、且つ図5を参照すると、キャニスター5は、金属、例えばステンレス鋼、又はより好ましくはアルミニウム若しくはアルミニウム合金で作られた本体6を有する。キャニスターは加圧エーロゾル製剤を収容する。製剤は、薬剤(一つ若しくは複数の薬剤活性物質)及び流体噴霧剤を、また任意に一つ若しくは複数の賦形剤及び/又は補助剤を含む。薬剤は、製剤中で溶液又は懸濁液の状態であってもよい。噴霧剤は、一般的にはCFCを含まない噴霧剤、適切には液状噴霧剤であり、好ましくは、HFA-134a若しくはHFA-227又はそれらの組合せなどのHFA噴霧剤である。薬剤活性物質(一つ若しくは複数)は、一般的に、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器の疾患又は症状の治療に使用されるタイプのものである。活性物質(一つ若しくは複数)はまた、呼吸器の疾患又は症状を予防或いは緩和するためのものであってもよい。
キャニスター5の内面は、米国特許第6,143,277号、同第6,511,653号、同第6,253,762号、同第6,532,955号、及び同第6,546,928号に開示されているような、ポリテトラフルオロエチレンとポリエーテルスルホンとのブレンド(PTFE-PES)など、任意に非フルオロカーボン系ポリマーとのブレンドの形の、フルオロカーボンポリマーでコーティングされていてもよい。これは、薬剤が製剤中の懸濁液の状態である場合に、また特に、懸濁液製剤が薬剤及びHFA噴霧剤のみから、又はほぼそれらのみから成る場合に特に好ましい。
弁心棒7は、当業者には理解されるように、また、エーロゾル業界では良く知られたメーカーから、例えばValois(フランス)(例えば、DF10、DF30、DF60)、Bespak plc(英国)(例えば、BK300、BK356、BK357)、及び3M-Neotechnic Ltd(英国)(例えば、Spraymiser(商標))から市販されているような、キャニスター5内に取り付けられる計量弁(図示なし)の一部を形成する。計量弁の計量チャンバは、US-A-2003/0101993に詳述されているように、例えば低温プラズマ重合によって過フルオロヘキサンから形成したものなど、フッ化ポリマーコーティングでコーティングされてもよい。
内部メカニズムの重要部分の分解組立図を示す図5をやはり参照して更に理解できるように、容器カラー30は、割りリングカラー33を介してキャニスター5の首部5aと恒久的に係合するので、そのように係合された部分は、キャニスター5の長手方向軸線L-Lによって規定される方向(即ち、装置1が直立しているとき、ほぼ上下方向)でハウジングに対してともに移動可能である。割りリングカラー33は、米国特許出願第10/110,611号(WO-A-01/28887)及びUS-A-2006/0082039に記載されているように、容器カラー30をキャニスター5に恒久的に係合する。
容器カラー30は、閉コイル引張りばね50a及び50bと、ばね接続点31a及び31b並びに41a及び41bそれぞれとを介して、その下端に設けられる斜面44を有する延長カラー40に接続する。この多重カラー構成は、延長カラー40が薬剤排出装置の長手方向軸線L-Lに沿って容器カラー30に対して移動可能であるようなものである。
ばね50a及び50bは、一般的に、金属、例えば等級302のステンレス鋼などのステンレス鋼で形成される。
図5に示されるように、延長カラー40は、向かい合った側にある、向かい合ったレバー20a及び20bの下端21a及び21bと相互作用するように構成された棚42の形態の作動部分を含むので、レバーを握り締めたとき(即ち、ハウジングに対して内向き)、棚42が、したがって延長カラー40が下向きに押される。容器カラー30は、可撓性支持脚体34a及び34bを更に備え、それらはそれぞれ、ハウジングに設けられた段差18a及び18b(図2を参照)それぞれとラッチ係合(latching engagement)する突出した足35a及び35bを備える。各脚体34a及び34bはまた、以下の記載からそれらの目的がより明白になる成形ヘッド36a及び36bを有する。
図2及び3aの「休止」位置では、各足35a及び35bは、ハウジング上にあるその段差18a及び18bそれぞれからわずかに間隔を空けている。第3の可撓性支持脚体(見えていないが、図28に見えているような第3の段差18cと関連付けられる)は、容器カラーの後部に位置する(即ち、三つの可撓性支持脚体34a及び34bが存在する)。一実施形態では、マウスピース14のどちらかの側にある二つの支持脚体34a及び34bは、マウスピース14の後方に位置する第3の支持脚体(見えていない)に対して113.4°の間隔を空けている。
容器カラー30は、以下の記載からそれらの目的が明白になる下向きの突出部38a及び38bを更に備える。
操作について大まかに言えば、次に図3aも参照すると、延長カラー40の棚42に力を加えて、延長カラー40を薬剤排出装置の長手方向軸線L-Lに沿って下向きに(即ち、心棒ブロック8及びマウスピース14に向かって)移動させるため、向かい合ったレバー20a及び20bはその長手方向軸線に対して横断方向に移動可能である。
接続点31a及び31bを介して容器カラー30を延長カラー40と接続する閉コイル引張りばね50a及び50bは、レバー20a及び20bを握り締めるのに応答して延長カラー40を長手方向軸線L-Lに沿って下向きに移動させる際に、付勢エネルギーを保存する付勢メカニズムとして作用する。実施形態では、その閉コイル形態に固有の初期の付勢張力は、閉コイル引張りばね50a及び50bが「休止」状態にあるときでもその中に存在する。
可撓性支持脚体34a及び34bは、予め定められた閾値力を超えるまで、その付勢エネルギーが容器カラー30に伝達されて、キャニスター5を長手方向軸線L-Lに沿って下向きに移動させてその弁を作動させる(したがって、エーロゾル化薬剤用量を発射する)のを防ぐため、予圧メカニズムを提供するように作用する。
装置1の操作(ユーザがそれを有効に作動させることによる)の更なる詳細は、明瞭にするため、提示される操作の特定の段階に関連する選択された部分のみに符号が付されている、図3a〜4cを参照することによって理解することができる。
図3aは、装置1が「休止」位置ではどのように構成されているかを、更にこの場合はマウスピース14がマウスピースカバー16によって覆われた状態で示す。レバー20a及び20bは斜めに広がっており、各レバー20a及び20bそれぞれの突出端部23a及び23bの内側部分に設けられた受け保定具(catch retainer)24a及び24bは、ハウジングの頂部10a及び10bに設けられた切欠き15a及び15bによって規定される「停止」位置に近接して位置する。各レバー20a及び20bの下端21a及び21bは延長カラー40の棚42に接して位置するが、延長カラー40に対して力は作用しない。したがって、閉コイル引張りばね50a及び50bは、外部から加えられた(即ち、レバー20a及び20bの作動による)付勢エネルギーがその中に保存されていない「休止」状態にある(但し、引張りばね50a及び50bの閉コイル形態に固有の何らかの初期の付勢張力のみが存在する)。可撓性支持脚体34a及び34bの各足35a及び35bは、ハウジング上のその段差18a及び18bそれぞれからわずかに間隔を空けている。
図3bでは、マウスピースカバー16をマウスピース14から取り外した後の、レバー20a及び20bがごくわずかに握り締められている、操作の第1の初期段階にある装置が示される。各レバー20a及び20bの下端21a及び21bは、延長カラー40の棚42をわずかに押し下げ、それによって延長カラー40がわずかに下向きに移動される。延長カラー40のその下向きの移動は、引張りばね50a及び50bを介して容器カラー30に伝達され、それもわずかに下向きに移動する。重要なことには、容器カラー30のこの下向きの移動は、可撓性支持脚体34a及び34bの各足35a及び35bを、ハウジング上のその段差18a及び18bそれぞれとラッチ係合させる。このラッチ係合の結果として、容器カラー30の更なる下向きの移動が妨害される。
図4aでは、レバー20a及び20bが更に握り締められている、操作の第2段階にある装置が示される。各レバー20a及び20bの下端21a及び21bは、延長カラー40の棚42を更に押し下げ、それによって延長カラー40が下向きに移動される。但し、可撓性支持脚体34a及び34bの各足35a及び35bがハウジング上のその段差18a及び18bそれぞれとラッチ係合しているため、延長カラー40のその下向きの移動は、ここでは引張りばね50a及び50bを介して容器カラー30に伝達することはできない。そのラッチ係合は容器カラー30の下向きの移動を妨害する。したがって、延長カラー40の下向きの移動は、各閉コイル引張りばね50a及び50bの伸展をもたらし、それによって、この場合は伸展されているばね50a及び50bに付勢エネルギーが保存される。
図4bでは、レバー20a及び20bが更に一層握り締められている、操作の第3段階にある装置が示される。各レバー20a及び20bの下端21a及び21bは、延長カラー40の棚42を更に一層押し下げ、それによって延長カラー40が更に一層下向きに移動される。可撓性支持脚体34a及び34bの各足35a及び35bがハウジング上のその段差18a及び18bそれぞれとラッチ係合しているため、延長カラー40のその更なる下向きの移動はやはり、ここでは引張りばね50a及び50bを介して容器カラー30に伝達することはできない。したがって、延長カラー40の更なる下向きの移動は、各引張りばね50a及び50bの更なる伸展をもたらし、それによって、この場合は十分に伸展されているばね50a及び50bに付勢エネルギーが保存される。
更に、図4bに示される位置では、延長カラー40に設けられた斜面44はそれぞれ、可撓性脚体34a及び34bの成形ヘッド36a及び36bと係合し、脚体の各足35a及び35bがその段差18a及び18bそれぞれからずれていく地点にあるように、既に緊張している可撓性脚体34a及び34bに作用する。本質的には、斜面44は転位動作を「案内」するように作用する。したがって、図4bは、可撓性脚体34a及び34bとそれらの段差18a及び18bとのラッチ係合によってもたらされる予圧閾値力(一般的に約16N)が、引張りばね50a及び50bに保存された付勢エネルギーによってちょうど超える位置に相当する。したがって、この位置は、装置の構成要素によって規定される予圧/保存付勢エネルギーシステムの閾値(即ち、「安定限界点(tipping point)」)に相当する。レバー20a及び20bに何らかの更なる圧搾力を加えることで、閾値を超過し、装置1がユーザによって有効に作動される。
操作の第4段階に相当する図4cでは、そのような更なる力がレバー20a及び20bに加えられている。各レバー20a及び20bそれぞれの突出端部23a及び23b(図3aも参照)は相手方に対して接触して作用し(touches off)、それによってレバー20a及び20bのあらゆる更なる移動が防止される。最も重要なことには、可撓性脚体34a及び34bは、斜面44の作用によってそれらの段差18a及び18bそれぞれからずれている。容器カラー30は、ここでは下向きに自由に移動することができ、実際には、引張りばね50a及び50bに保存された付勢エネルギーが掛けられた結果としてそのように移動する。容器カラー30、及びそれと恒久的に係合しているキャニスター5は、ばね50a及び50bの保存付勢エネルギーによって推進されて迅速に下向きに移動する。それによって、キャニスター5の弁が活性化されて、心棒ブロック8内の通路9を通してエーロゾル化薬剤を放出し、心棒ブロック8がその排出されたエーロゾル化薬剤を、患者による吸入のためにマウスピース14まで案内する。
閾値力を超える(即ち、装置の「安定限界点」をちょうど超える)と、患者によってレバー20a及び20bにどの程度の余分な力が加えられるかにかかわらず、ばね50a及び50bに保存されたエネルギーから得られる均一な作動力が容器カラー30及びキャニスター5に掛けられることが理解されるであろう。それによって、キャニスター5の弁の一貫した作動が装置1の構成によって可能になる。
作動後、多重コイル引張りばね50a及び50bはそれらの「休止」状態(即ち、付勢エネルギーは外部から加えられず、引張りばね50a及び50bの閉コイル形態に固有の何らかの初期の付勢張力のみが存在する)に戻る。当業者には理解されるように、弁付きキャニスターの弁の戻しばね(図示なし)は、キャニスター5、容器カラー30、延長カラー40、並びにレバー20a及び20bを、図2に示されるような「休止」位置に戻すエネルギーを提供する。したがって、キャニスター5の製剤内容物が空になるまで、更なる作動操作が行われてもよい。
図6は、図1〜5の第1の薬剤ディスペンサー装置の特定の詳細を示す。簡潔にするため、ここでは、この詳細に関連する部分のみを更に記載する。
上述したように、容器カラー30は、その下面に二つの下向きの突出部38a及び38bを備える。マウスピースカバー16は、ブリッジ要素18によって相互に接合され、且つブリッジされた干渉要素17a及び17bがその周りを旋回してもよい一体ヒンジ19を用いてマウスピースカバー16に接合する、P字形のカム干渉要素17a及び17bを更に備える。図6に示されるように、マウスピースカバー16がディスペンサー装置1の本体12と係合して、マウスピース14を閉じている(即ち、マウスピース閉止位置にある)とき、干渉要素17a及び17bは、下向きの突出部38a及び38bの下方でそれらに近接して、又はそれらと当接する位置を取り、それによって容器カラー30のあらゆる下向きの移動を防ぐ(図3aも参照のこと)。容器カラー30の意図しない移動、したがってディスペンサー装置1の意図しない作動はそれによって防止される。
細かい点では、マウスピースカバー16が、干渉要素17a及び17bが容器カラー30の下向きに移動するのを防ぐような適所にあるとき、レバー20a及び20b、引張りばね50a及び50b、並びに延長カラー40は係止されず、したがって自由に移動できることに留意されたい。したがって、レバー20a及び20bは依然として、それらの突出端部23a及び23bが接触して作用し、但し容器カラー30が全く移動せず、且つディスペンサー装置1が作動しない地点まで圧縮されてもよい。突出端部23a及び23bがそのように接触して作用すると、ユーザはまた、干渉要素17a及び17b又は心棒ブロック8に対して、場合によっては損傷を与える力を更に加えることができなくなる。
装置1の操作の様々な段階における干渉元素17a及び17bとカラー突出部38a及び38bとの相対的な位置付けが、図3及び4に示される。図3aは、マウスピースカバー16がマウスピース閉止位置にあるときの空間的関係を示し、図3b及び4a〜4cは、カバー16が取り除かれ、装置1を発射させるためにレバーが内向きに押し下げられている空間的関係を示す。
マウスピースカバー16は、2005年9月8日出願の英国特許出願第0 518 355号による優先権を主張するPCT特許出願WO-A-2007/028992に記載されている特定の形態の一つを取ってもよく、それらの出願及びそれに続くあらゆる米国(PCT)特許出願の全内容を参照により本明細書に組み込む。
図7〜10では、図1の薬剤ディスペンサー装置の使用中にそのハウジングに入る、またそこを通る空気流の態様を示している。簡潔にするため、ここではこれらの態様に関連する薬剤ディスペンサーの部分のみを記載する。
図7は、マウスピースカバー16がマウスピース14から取り外された、「使用可能」位置にある図1の薬剤ディスペンサー装置1を示す。この位置では、マウスピースカバー16は、下側ハウジング部12の下方の位置まで旋回されることに留意されたい。前部上側ハウジング部10a及び後部上側ハウジング部10bに設けられたアパーチャ11a及び11bから突出する向かい合ったレバー20a及び20bは、それらの休止位置にある。この位置では、向かい合ったレバー20a及び20bは、アパーチャ11a及び11bを閉鎖して、埃粒子又は他の細片が装置1の本体内に進入するのを防ぐなどの作用をすることにも留意されたい。
図8は、一般的には患者の指及び親指の握り締める動作に応答して、向かい合ったレバー20a及び20bが互いに向かって移動されている、「使用中」位置にある図1の薬剤ディスペンサー装置1を示す。この位置では、向かい合ったレバー20a及び20bはもうアパーチャ11a及び11bを閉鎖するように作用しないので、マウスピース14を通して患者が吸入61を行うのに応答して、空気60a及び60bが、開かれたアパーチャ11a及び11bを通して上側ハウジング部10a及び10bに流入することができる。
次に、装置1を通る「使用中の」空気流を、図9及び10を参照してより詳細に記載する。
図9は、マウスピース14が露出し、レバー20bが内向きに押されてアパーチャ11bを開いている、「使用中」位置にある図1の装置1の一方の半身を示す。したがって、外部空気60bはこのとき、マウスピース14を通して患者が吸入するのに応答して、このアパーチャ11bを通して(且つ、同様に他方の側のアパーチャ11aも通して)装置ハウジングの本体に引き込まれてもよい。換言すれば、患者は、マウスピース14における自身の吸入をレバー20a及び20bの押下げに同調させるので、開かれたアパーチャ11a及び11bを介して入り、マウスピース14を通して出る、結果として得られるハウジング10a及び10bを通る空気流は、レバー20a及び20bの作動によって引き起こされるキャニスター5からの薬剤の放出と一致する。したがって、空気流は薬剤を患者の呼吸器官に取り込む。
図10は、装置1の使用中(即ち、装置1はやはり図8及び9の「使用中」位置にある)にその本体を通る空気流60a及び62をより詳細に示す。
図10をより詳細に参照すると、装置1は、下側本体部12と一体に形成された、吸入器を作動させると薬剤のエーロゾル噴霧を送達する、心棒ブロックアセンブリ3の形態の排出アセンブリを備えることが分かる。マウスピース14は、下側本体部12(図28に示されるような)に嵌合され、使用の際は経口吸入を促進するようにユーザの唇に把持される、別個に形成された部分である。ハウジング部10a、10b、及び12によって規定される密閉チャンバ内には、吸入器を作動させると送達される薬剤を収容する、主要本体に嵌合され、心棒ブロックアセンブリ3に流体接続されたエーロゾルキャニスター5が受け入れられる。
マウスピース14は、被検者の唇に把持されるように構成され、ほぼ円筒形の前方に開いた端部を規定し、使用の際に吸入器を作動させるとそこを通して薬剤のエーロゾル噴霧が送達される外部区画15と、閉じた後部区画(後述する空気穴66及び噴霧オリフィス72を除く)を有する、本質的に「バケツ形」の開いたチャンバ形態の内部区画17と、例えばエーロゾル噴霧64を内部区画17内に、且つそこを通して送達する、内部区画17の後端に結合されたノズル出口70の形態の排出出口とを備える。
患者の吸入に応答して、空気60aは、装置1の本体の後部10bを下り、心棒ブロックアセンブリ3の周りを越えて、噴霧オリフィス72の周りに配置された後部(即ち、「バケツ」の基部)の二重の溝状空気穴66を備えるマウスピース14の内部区画17の後部に向かって引き込まれる。空気穴66は、噴霧オリフィス72から均等に間隔が空けられてもよい。図に見られるように、空気60aが二重の空気穴66を通して引き込まれると、二重の空気流62がマウスピース14内で規定される。これは、マウスピース14の内周面で部分的に環状の空気流をもたらし、それがノズル出口70の噴霧オリフィス72から送達されるエーロゾル噴霧64を部分的に覆い、それによってエーロゾル噴霧64が部分的に取り込まれるとともに、マウスピース14の内表面における付着が低減される。
この実施形態では、内部区画17の後部は、「バケツ」の基部を形成するほぼ平面の形状を有する。基部の縁部は外向きに湾曲しているので、内部区画17は、心棒ブロックアセンブリ3から離れる方向で増加する内寸を有する。
ノズル出口70は、マウスピース14の内部区画17を通してエーロゾルスプレーを送達する噴霧オリフィス72と、心棒ブロックアセンブリ3の送達通路9を噴霧オリフィス72に流体接続する送達チャネル74とを含む。
この実施形態では、送達チャネル74は、噴霧オリフィス74に向かって狭くなる先細状のチャネルである。この実施形態では、送達チャネル74は直線状の壁区画を有する。
この実施形態では、心棒ブロックアセンブリ3は、キャニスター5の弁心棒7を受け入れる心棒ブロック8と、例えばマウスピース14を通してエーロゾル噴霧を送達するように、心棒ブロック8に流体接続されるマウスピース14のノズル出口70とを備える。心棒ブロック8は下側本体部12と一体に形成されてもよい。
心棒ブロック8は、この実施形態ではハウジングの長手方向軸線H-H(図3a)と同軸である、キャニスター5の弁心棒7を受け入れる管状ボア76を含み、薬剤ディスペンサー装置1内に取り付けられたとき、そのハウジング軸線H-Hは、この実施形態では薬剤送達装置の長手方向軸線L-Lと一致する。管状ボア76は、一端、即ちその上端では開いており、キャニスター5の弁心棒7の外寸とほぼ同じ内寸を有する上側区画77と、より小さな寸法を有する下側区画78とを含み、それらの区画77及び78はともに、弁心棒7の遠位端のための環状の台座を規定する。
この実施形態では、心棒ブロック8は、マウスピース14のノズル出口70を滑動的に受け入れ、その管状ボア76に流体接続される横向きのキャビティ80を含む。ノズル出口70は、心棒ブロック8内の横向きのキャビティ80にしっかりと摩擦嵌めされるように構成される。望ましくは、しっかりした摩擦嵌めは気密封止をもたらす。他の実施形態では、やはり好ましくは気密封止をもたらすように構成された他のタイプの封止方法が用いられてもよい。
心棒ブロックアセンブリ3をこのように構成して、ノズル出口70(又はマウスピース14)及び心棒ブロック8(又は下側ハウジング部12)を、異なる材料で、且つそれらの目的に特に適した異なる規格に形成することができる。
図11は、類似の機構が類似の参照番号で特定されている、図1〜10の薬剤ディスペンサー装置の変形例101を示す。図11の装置101は、図10に見られる二重の水平な溝状空気穴66が、マウスピース114の内部区画117の後部(即ち、「バケツ」の基部)にある、噴霧オリフィス172の周りの四つの円形空気穴166(三つのみが図11に見られる)の構成に置き換えられていることを除いて、全ての側面で図1〜10の実施形態と同一である。四つの空気穴166は、噴霧オリフィス172の周りにほぼ円形の配置で、この実施形態では互いに対して90°角度をずらして構成されていることが分かる。噴霧オリフィス172は、空気穴166の円形構成の中心に位置してもよい。図11に見られるように、外部空気160aがそれら複数の間隔を空けた空気穴166を通して引き込まれると、複数の空気流162がマウスピース114内で規定される。これは、マウスピース114の内周面において本質的に環状の空気流をもたらし、それがノズル出口170の噴霧オリフィス172から送達されるエーロゾル噴霧164を本質的に覆い、それによってエーロゾル噴霧が取り込まれるとともに、マウスピース114の内表面における付着が低減される。
図30a〜30nは、図1及び11の薬剤ディスペンサー装置にそれらのマウスピース14及び114の代替物として用いられてもよい、他のマウスピース形態514a〜514nを示す。これらの代替マウスピース形態514a〜514nは、これらの代替マウスピース形態514a〜514nの内部区画517a〜517nの後部に設けられた空気穴566a〜566nそれぞれのサイズ、形状、及び数の点でのみ異なり、それらの空気穴566a〜566nは、上述と同様に、噴霧オリフィス572a〜572nの周りに配置される。
つまり、図30a〜30d及び30iは、四つの円形空気穴566a〜566d及び566iの異なる配置を示し、図30e及び30fは、三つの溝状空気穴566e及び566fの異なる配置を示し、図30g及び30hは、六つの溝状空気穴566g及び566hの異なる配置を示し、図30jは、多数の円形空気穴566jの配置を示し、図30kは、二つの同心リング状に配置された六つの湾曲した溝状空気穴566kの配置を示し、図30l〜30nは、リングパターンで配置された三つの湾曲した溝状空気穴566l〜566nの異なる配置を示す。
図1及び11の薬剤ディスペンサー装置1及び101の上側前部10aは、作動計数器を受入れ収容するように構成される。図12〜18bは、適切な作動計数器の仕組みの詳細を提供する。図19〜21は、作動計数器と薬剤ディスペンサー装置1及び101の作動メカニズムとの相互作用の更なる詳細を示す。
次に図12を参照すると、この図は、本明細書の薬剤ディスペンサー装置1及び101とともに使用される作動計数器201を示す。図13a及び13bはそれぞれ、作動計数器201の下面図及び上面図を示す。
作動計数器201は、回転軸をそれぞれ規定することができる第1のスピンドル取付物212及び第2のスピンドル取付物214と、ベゼル状の保定具219を規定する周壁218とを備える、薬剤ディスペンサー装置1(又は101)の上側前部10a内に包含される。計数を見ることができるようにするため、目視窓216がハウジングに設けられる。図1と図13bとを比較することによって理解されるように、上側前部10aの楕円形の前面101は、図13bに示される前面101のアパーチャを覆うが、目視窓216は覆わない、対応する形状のラベル103で覆われる。換言すれば、ラベルは、目視窓216と見当が合うアパーチャ105を有する。代替実施形態では、ラベル103自体が、目視窓216の観察を可能にするアパーチャ105の代わりの透明部分を有してもよい。
次に、作動計数器の仕組みをより詳細に記載する。最初に、ディスク状の計数ホイール220は、その上面に間隔を空けて設けられた「一の位(units)」(即ち、数表示)計数の印222を有する。第1の計数ホイール220は、中央アパーチャ226と、爪車250を受け入れる配置で構成された円形キャビティ223とを備える。爪車250とのラチェット駆動相互作用(ratcheted drive interaction)のため、爪車駆動受取歯(ratchet drive receipt teeth)224がキャビティの内周壁225の周りに配置される。爪車250自体は、第1の計数ホイールの円形キャビティ223によって受け入れられるようにサイズ及び形状が決められ、爪車駆動受取歯224とのラチェット駆動相互作用のため、二つの向かい合って位置する駆動タング(drive tongue)252a及び252bを備える。爪車250はまた、使用の際、爪車250を駆動可能に回転させるように構成された駆動受取突出部(drive-receiving protrusion)254を備える。図19〜21を参照してより詳細に後述するように、駆動受取突出部254は、駆動受取突出部254が位置するフロントプレート80に設けられた下向きの駆動溝82との駆動相互作用に応答して駆動を受け取る。フロントプレート80は、容器カラー30と並行して移動するように、それに恒久的に固定される。この実施形態では、フロントプレート80は超音波溶接によって容器カラー30に恒久的に固定される。
薬剤ディスペンサー装置1及び101を作動させると、フロントプレート80が直線の経路(軸線L-Lに沿った)上を移動すること、また、爪車250が回転することに留意すると、駆動受取突出部254が駆動溝82によって駆動され際に爪車250が回転するので、駆動溝82は、その中にある駆動受取突出部254の動きの横断方向成分を考慮に入れる。
次に、リング状の計数ホイール230も、その上面237に間隔を空けて設けられた「十の位(tens of units)」(即ち、十進数)計数の印232と、その下面に環状の配置で設けられた一組の歯234とを有する。停止位置238では、歯234が2本取り除かれており、更に、上面237の外周縁は、一連の均等に間隔を空けた切欠き又は刻み目236を有して形成されていることに留意されたい。これらの機構の理由は以下の記載から明白になるであろう。第2の計数ホイール230はまた、突出したシャッター280を備え、その機能も後述する。
キックホイール(kick wheel)240は、その周縁の周りに環状に配置されたキック歯(kick teeth)244を有する。
図13aで最も良く分かるように、組み立てたとき、第2の計数ホイール230はハウジングのベゼル状の保定具219内で回転するように受け入れられ、第1の計数ホイール220は、第1の計数ホイール220と第2の計数ホイール230との間に隙間が存在するようにして、リング状の第2の計数ホイール230によって規定される内側のリング状の空隙235と、第1のスピンドル212によって規定されるその中央アパーチャ226との中に受け入れられる。したがって、第1の計数ホイール220及び第2の計数ホイール230は同心の関係にあり、但し、第2の計数ホイール230の平面は第1の計数ホイール220の面に対してわずかに隆起して、シャッター280が第1の計数ホイール220を越えてその上に突出することが可能になっている。爪車250は、第1の計数ホイール220の円形キャビティ223内に受け入れられるので、駆動タング252a及び252bは爪車駆動受取歯224と係合する。両方のホイール220及び230並びに爪車250は、第1のスピンドル212の軸線とベゼル保定具219の円形形状とを組み合わせて規定される共通の第1の回転軸F-Fの周りを回転可能である。駆動受取突出部254は、駆動溝82と同様に第1の軸線F-Fからずれている。更に、突出部254及び駆動溝82は両方とも長手方向軸線L-Lに対してずれている。
キックホイール240は、第2のスピンドル214によって規定される第2の回転軸S-Sの周りを回転するように、第2のスピンドル214によって受け入れられ、したがって、第1の回転軸F-Fからずれている。第2の回転軸S-Sは、第2の計数ホイール230の外向きの歯234によって規定される回転経路の外側にあるように、第1の回転軸F-Fから間隔を空けていることが理解されるであろう。更に、第1の軸線F-F及び第2の軸線S-Sは、相手方に対して平行であるか、又はほぼ平行である。
キックホイール240の一組のキック歯244は、第2の計数ホイール230の一組の歯234と噛合関係にあるので、キックホイール240の回転運動によって第2の計数ホイール230の回転運動が得られる。次に、爪車250の爪車駆動タング252a及び252bは、第1の計数ホイール220を駆動可能に回転させるため、第1の計数ホイール220の爪車駆動受取歯224と噛合する。
より詳細に後述するように、作動計数器201が薬剤ディスペンサー1及び101内に配置されると、次に、爪車250は、突出部254とフロントプレート80に設けられた下向きの駆動溝82との駆動受取相互作用によって、第1の軸線F-Fの周りを駆動可能に回転することができる。フロントプレート80は容器カラー30に固着し、それ自体は、薬剤ディスペンサー装置1及び101をユーザが有効に作動させるのに応答して下向きに駆動可能である。
第1の計数ホイール220はまた、その周囲に、キックホイール240のキック歯244と断続的に噛合するように構成された一対の固定の割送り歯(index teeth)228a及び228b(図15aに最も良く示されている)を備え、それによって、前記断続的な噛合が生じたときにのみ、キックホイール240の回転運動によって第1の計数ホイール220の回転運動が得られることが分かる。
細かい観点では、全ての歯234、228a、228b、及び244の輪郭は、計数器の部分の有効な連動と相互操作性とに必要な様々な歯状係合(toothed engagements)を最適化するように選択されたフランジ付き形態を有する。
更に細かい観点では、計数器201は、「120」から「遮断位置」へと数え下げるように構成される。したがって、第2の計数ホイール230は、26本((2×14)-2として計算される)の歯234と停止位置238における2本の欠けた歯とを加えたものに関連する14の均等なピッチを規定するように構成される。ピッチ数は、x+2として規定され、ここで、xは第2の計数(即ち、十進数)ホイールにおける最高数値であり、言い換えるとそれは、xの10倍の最高計数(即ち、この実施形態では、10×12=120)に相当する。ピッチ数を決定する合計の「+2」部分は、より詳細に後述するような、一つの色付き部分282及び一つのシャッター部分280に関する。
全体として、作動計数器201は、それが薬剤ディスペンサー装置1及び101の前部上側ハウジング部10a内に受け入れられるのを助けるべく、比較的小型の形態を有することが分かる。特に、計数器201は、軸線F-F及びS-Sの方向でわずかな量だけ上方に延びる。
次に、作動計数器201の動作を、記載される動作に最も関連する機構にのみ符号が付されている図14a〜16bを更に参照して記載する。作動計数器201は、数え下げるように構成されており、したがって、計数動作を説明するため、図14a、15a、及び16aは、「計数120」位置にある作動計数器201を示し、図14b、15b、及び16bは、「計数119」位置にある(即ち、120から数え下げた直後)作動計数器201を示す。
本明細書で参照する用量計数器201の「計数」は、窓216の計数ホイール220及び230によって集合的に表される計数であることが理解されるであろう。
一般的な計数動作を開始するため、図1〜7を参照して上述したように、レバー20a及び20bを握り締めることによって、薬剤ディスペンサー装置1及び101をユーザが有効に作動させるのに応答して、爪車250が回転する。これによって、駆動溝82が爪車突出部254を駆動して、爪車250を第1の回転方向(図12及び13aの時計方向)で回転させる。これによって、次に、駆動タング252a及び252bと爪車駆動受取歯224との噛合相互作用によって、第1の計数ホイール220が第1の回転方向で回転する。爪車250及び第1の計数ホイール220は、割り送られた第1の計数ホイール220が36°だけ回転したとき、その上の単一の印222が前進する(即ち、「一の位」計数が一単位下がる)ように構成され配置される。
予備計数動作の目に見える計数がx0の場合(例えば、図14a、15a及び16aで示されるように、「x=12」である120)、使用操作によって得られる計数動作はわずかに異なる。やはり、薬剤ディスペンサー装置1及び101をユーザが有効に作動させるのに応答して、爪車250が回転して、第1の計数ホイール220を36°だけ回転させるので、「一の位」の印222は(図14b及び15bに示されるように)「0」から「9」に移動する。しかし、第1の計数ホイール220のこの回転はまた、一対の割送り歯228a及び228bをキックホイール240のキック歯244との噛合関係に至らせるので、キックホイール240が回転し、次に第2の計数ホイール230が、それらの歯234及び244それぞれが噛合することによって回転する。ホイール220、230、及び240は、結果として得られる第2の計数ホイール230の回転が360/14°であり(即ち、360/n°であり、ここでnは間隔の数であって、この場合、12個の十進数の印232、一つのシャッター部分280、及び一つの色付き部分282が存在するため、n=14である)、それによって、その上の単一の印232が前進する(即ち、「十の位」計数が正確に一単位下がる)ように構成され配置される。この例では、十進数の印232は、図14a及び14bに示されるように、「12」から「11」に下がる。
前回の目に見える計数が10(即ち、x=1)であった場合、使用操作によって得られる計数動作はやはり、上述したようなキックホイール240の動作によって、第2の計数ホイール230の色付き(例えば、赤色)部分282が窓216の適所に前進し、それによって次の表示が「赤9」となる(即ち、色付き部分282と、数表示の印222の数字は9)という点でわずかに異なる。
図17a及び18aで示されるように、前回の目に見える計数が「赤0」(即ち、x=0)であった場合、使用操作によって得られる計数動作は、これもやはり、上述したようなキックホイール240の動作によって、第2の計数ホイール230のシャッター部分280が窓216の適所に前進し、それによって次の表示が完全に遮断される(即ち、図17b及び18bに示されるように、印222及び232は全く見えない)という点でわずかに異なる。それに加えて、一組の第2の計数ホイール歯234の停止位置238はキック歯244と向かい合った関係に至り、それによって、キック歯244と歯234とはもう噛合しなくなる。したがって、例えば、処方された投与計画の薬剤用量が全て分配されているにもかかわらず(但し、当業者には理解されるように、規制基準に従って患者に投与するため、余剰の用量がキャニスター5内に残っていてもよい)、作動計数器201が組み込まれた薬剤ディスペンサー装置1及び101をユーザが操作し続けるのに応答して、第1の計数ホイール220が回転し続ける場合、第1の計数ホイール220の割送り歯228a及び228bは、依然としてキック歯244と断続的に噛合して、キックホイール240を回転させる。しかし、停止位置238の歯が欠けているため、キックホイール240のこの回転は第2の計数ホイール230に伝達されず、シャッター280は窓216の遮断位置に残っているので、下にある「一の位」の印222は見えないままである。
この実施形態では、第2の計数ホイール230はシャッター部分280と一体に形成される。
計数器201の数え下げ表示を更に説明するため、以下の表1に注目されたい。表1は、計数器201の使用操作又は作動を続けた際の、一の位(第1の)計数ホイール220及び十進数(第2の)計数ホイール230それぞれの順次的な数え下げを示し、また、それら二つの計数ホイール220及び230のどちらが割り送られて、計数器201をその新たな計数器表示に至らせるかを示す。表1に示されるように、第1の(一の位)計数ホイール220は計数器が作動するごとに割り送られるが、第2の(十進数)計数ホイール230は、窓216の第1の(一の位)計数ホイール220の一の位の印222が「0」から「9」に減分するごとにのみ(上述のキックホイール240によって)割り送られる。数え下げの終了時に、表示が遮断されたとき、第1の計数ホイール220は依然として自由に回転することができるが、シャッター280の下にあるため目に見えず、第2の計数ホイール230は、停止位置238にあって、第2の計数ホイール230とキックホイール240の歯234及び244が係脱するため、それ以上割り送られない。
薬剤ディスペンサー装置1及び101をユーザが有効に作動させ、計数が見当合わせされた後、レバー20a及び20bが解放されて、それらの外向きの休止位置に戻り、容器カラー30をその休止位置に戻す。これにより、爪車250が反転し、駆動溝82と駆動受取突出部254との相互作用によって、次の計数イベントに備えてその開始位置にリセットされる。
したがって、爪車250は、第1の計数ホイール220のキャビティ223内で第1の回転方向(図12及び13aに見られるような時計方向)に回転するだけではなく、第1の計数ホイールキャビティ223内で反対の第2の回転方向(図12及び13aに見られるような反時計方向)にも回転するように適合される。
しかし、第1の回転方向での爪車250の回転は、第1の計数ホイール220を第1の回転方向で駆動可能に回転させて、窓216の一の位の計数222を割り送るが、反対の第2の回転方向での爪車250の回転は第1の計数ホイール220と相対し、即ち、第1の計数ホイール220は静止したままなので、窓216の一の位の印222は変わらないままである。即ち、ホイール220及び250それぞれの間の摩擦係合は、後述する許容差調節を除いて、第1の計数ホイール220を逆回転させない。
この目的のため、第1の計数ホイール220は、第1のスピンドル212aの鋸歯状の周面221と協働する、一対の正反対の弾性タング又は爪227を備える。鋸歯状の表面211は複数の爪車歯215を備え、爪227の自由端227aがそれと係合する。当業者には理解されるように、第1の計数ホイール220が爪車250によって駆動されて、第1の方向で回転すると、爪227の自由端227aは、第1の方向で次の隣接した爪車歯215とこの段階では係合されており、それに落ち込む爪車歯215それぞれを乗り越え、隣接した歯215の間には段差がある。次に、これが、第1の計数ホイール220をその新しい位置に割り送り、そこで計数シーケンスにおける次の一の位の印222が窓216と見当を合わせる。しかし、爪の自由端227aはそこを通過することができないので、爪車歯250が反対の第2の方向で回転するとき、隣接した爪車歯215の間の段差は第1の計数ホイール220がそのように回転して戻るのを防ぐ。
やはり当業者には理解されるように、爪車歯215は、爪車250による第1の計数ホイール220の割送り回転における許容差を提供する。換言すれば、第1の計数ホイール220は、第1の方向でわずかに過度に回転することができるが、爪車250が反対の第2の方向で回転して戻ると、爪の自由端227aが爪車歯215の間の段差に係合するまで、摩擦力によって第1の計数ホイール220を同じ方向で動かし、それが結果として、第1の計数ホイール220の更なる逆回転を防ぎ、窓216の一の位の印222を割り送る。
図12及び13bに見られるように、例えば、薬剤ディスペンサー装置1及び201の上側前部210は弾性爪217を更に提供する。爪217は、例えば、図14a及び14bに示されるように、第2の計数ホイール230の上面237の外周面にある刻み目236に係合する自由端217aを有する。第2の計数ホイール230の各計数又は割送り位置に対して一つの刻み目236が存在するので、爪217の自由端217aと刻み目236とが割送り機能を提供し、それによって、窓216の十進数の印234が正確に整列されるとともに、第2の計数ホイール230の逆回転が阻害又は防止される。
この実施形態では、刻み目236は、対称形を、より具体的にはほぼU字形を有する。但し、他の形状を使用することができる。更に、非対称形を使用することもできる。例えば、刻み目236のフランクが異なる角度を呈する、例えば、刻み目236の従動(後側)フランク(第2の計数ホイール230の回転方向、例えば図14a及び14bの反時計方向に対して)が、刻み目236を通る中央の半径方向線と形成する角度が、先行(前側)フランクとの角度よりも大きいことが有用なことがある。これは、第2の計数ホイール230がキックホイール240によって駆動されると、刻み目236から解放される爪217に対する抵抗がより少ないことを意味する。
作動計数器の上述の使用は、数え下げる(即ち、割送りの際に「n+1」から「n」へ計数する)ように構成された計数器アセンブリ201に関して記載してきたが、計数器アセンブリは、数え上げる(即ち、代わりに、割送りの際に「n」から「n+1」へ計数する)ように単純に修正されてもよいことが理解されるであろう。
作動計数器201、並びに上述のあらゆるアセンブリ及びサブアセンブリの構成要素は、プラスチックポリマー材料(例えば、アセタール又はABS又はスチレンポリマー)など、あらゆる適切な材料から作られてもよい。
計数器201(図示なし)の修正例では、キックホイール240とそのスピンドル取付物214との間の摩擦抵抗が増加して、キックホイール240が第1の計数ホイール220によって駆動されたとき、その回転速度を遅らせる引きずり効果又は制動効果を提供する。これを達成する一つの可能なやり方は、スピンドル取付物214の外周の周りに、軸方向に向けられたスプラインを設けることによるものである。これは、第2の計数ホイール230の整列がずれる、又は高速で移動するキックホイール240によって過度に割り送られるというあらゆる傾向を防止又は阻害してもよい。
次に、作動計数器201と薬剤ディスペンサー装置1との間の相互関係を、図19〜21を参照してより詳細に記載する。明瞭且つ簡潔にするため、図19〜21の関連する部分のみに符号が付されている。
図19は、上側フロントカバー部10a及び作動計数器201を取り除いた薬剤ディスペンサー装置1を示す。装置1は、レバー20a及び20bが押し下げられていない、その「休止」位置にある。
図20は、中に配置された上側フロントカバー部10a及び作動計数器201が、装置1の残りの部分から分離されて示される、薬剤ディスペンサー装置1を示す。薬剤ディスペンサー装置1はやはり、レバー20a及び20bが押し下げられていない「休止」位置にある。図21は、薬剤ディスペンサー装置1の上側フロントカバー部10aに配置された作動計数器201を更に詳細に示す。
図20の矢印Aは、薬剤ディスペンサー装置をユーザが有効に作動させることによって得られる、容器カラー30とそれに取り付けられたフロントプレート80との移動方向を示す。図20の矢印Bは、その結果として得られる、フロントプレート80の下向きの駆動溝82と作動計数器201の爪車250の駆動受取突出部254との間の相互作用を示す。
図19〜21の薬剤ディスペンサー装置1及び作動計数器201の詳細な態様は、図1〜11及び図12〜18bをそれぞれ参照して上述したものに対応し、簡潔にするため、それらはこれ以上記載しない。
次に、計数の見当合わせについて記載する。使用の際、図1〜7を参照して上述したように、レバー20a及び20bを握り締めることによって、薬剤ディスペンサー装置1をユーザが有効に作動させるのに続いて、容器カラー30及びフロントプレート80は並行して下向きに移動する。フロントプレート80上の下向きの駆動溝82は、駆動受取突出部254を駆動可能に係合して、作動計数器の爪車250を駆動し、それによって計数が見当合わせされる。上述したように、ユーザが有効に作動させることによって得られる、容器カラー30の下向きの移動(及びキャニスター5からの薬剤放出の作動)は、(ユーザによるその有効な作動によって)予圧閾値(「安定限界」)力を超えたときにのみ生じる。したがって、計数は、そのようなユーザの有効な作動に応答して、作動計数器201によってのみ見当合わせされることが理解されるであろう。したがって、見当合わせされた計数は、薬剤放出が発生した数と完全に調和する。
図22〜27cは、上述したような薬剤ディスペンサー装置1及びキャニスター5とともに使用する代替内部メカニズムの主要部分の異なる態様を示す。この代替メカニズムは、主に図5に関して上述したものをわずかに変形させたものであることが理解できる。
代替内部メカニズムの容器カラー330の詳細は、図22及び23で示される。代替内部メカニズムの延長カラー340の詳細は、図24及び25で示される。代替内部メカニズムに関する組立て工程は図26a〜26cで示され、主要な操作態様は図27a〜27cで示される。
上述と同様に、容器カラー330は、割りリングカラー333を介してキャニスター305の首部305aと恒久的に係合しているので、そのように係合された部分は、キャニスター305の長手方向軸線L-Lによって規定される方向(即ち、装置1が直立しているとき、ほぼ上下方向)で、ハウジングに対してともに移動可能である。割りリングカラー333は、米国特許出願第10/110,611号(WO-A-01/28887)及びUS-A-2006/0082039に記載されるように、容器カラー330をキャニスター305に恒久的に係合する。
やはり、上述と同様に、容器カラー330は、閉コイル引張りばね350a(一つのみが図26cにおいて見える)と、ばね接続点331a及び331b並びに341a及び341bそれぞれとを介して、その下端に外側斜面344と更に内側斜面343とを備えた延長カラー340に接続する。この多重カラー構成は、延長カラー340が容器カラー330に対して薬剤排出装置の長手方向軸線L-Lに沿って移動可能であるようなものである。
延長カラー340は、棚342の形態の作動部分を含み、その棚は、装置1のレバー20a及び20bを握り締める(即ち、ハウジングに対して内向き)と、棚342が、したがって延長カラー340が下向きに押されるように、向かい合ったレバー20a及び20bの下端21a及び21bと相互作用するように構成される。容器カラー330は、可撓性支持脚体334a、334b、及び334cを更に備え、それらの脚体は、上述と同様に、予め定められた閾値力を超えるまで、キャニスター5を長手方向軸線L-Lに沿って下向きに移動して、その弁を作動させる(したがって、エーロゾル化薬剤用量を発射する)ように、その付勢エネルギーが容器カラー330に伝達されるのを防ぐため、予圧メカニズムを提供するように作用する。やはり、上述と同様に、各可撓性支持脚体334a、334b、及び334cは、ハウジング上の段差18a及び18bそれぞれと相互作用するように構成される。しかし、この変形例では、各可撓性支持脚体334a、334b、及び334cは、以下の記載からそれらの目的が明らかになる、突出する内側の足335a、335b、及び335cと、突出する外側の足336a及び336b(二つのみが見えている)とを備える。
代替内部メカニズムのそれら主要部分に関する組立て工程は、図26a〜26cで示される。米国特許出願第10/110,611号(WO-A-01/28887)及びUS-A-2006/0082039に概して記載されているように、超音波溶接によって、容器カラー330をキャニスター305の首部305aに恒久的に固定するため、一般にプラスチックポリマー材料を含む割りリングカラー333が使用される。
溶接プロセスは、溶接エネルギーを集束させる三つの小さな円錐状突起をそれぞれ備えた、二つのソノトロード(超音波溶接ヘッド)を使用してもよい。溶接プロセスの間、円錐状突起は容器カラー330の外表面に落ち込み、それにより、超音波エネルギーが溶融材料のプールを作って、容器カラー330の内表面と、容器305の首部305aと容器カラー330の内表面との間に押し込まれる割りリングカラー333の外表面との間に、結合(溶接)を形成することが可能になる。
その超音波溶接プロセスをわずかに変形させた例では、容器カラー330の内表面は、複数(例えば、三つが二組)の間隔を空けた長手方向リブ(図示なし)を備える。溶接プロセスのこの変形例の間、一つ又は複数の複数叉付き(例えば、三叉)超音波溶接ヘッド(図示なし)は、それらの叉の一つ一つが各リブ(容器首部305aとリブとの間に押し込まれた割りリングカラー333と当接する)に対して整列された形で容器カラー330の周りに配置され、超音波エネルギーが加えられて、リブ材料を使用して容器カラー330の内表面と割りリングカラー333の外表面との間に溶接を形成する。
「エネルギー偏向(energy deflection)」法として知られているこの代替の溶接プロセスは、別の方法では溶融材料の一部が容器カラー330の外表面上に転位してその上に「はね」を形成する場合に生じることがあり、それが後で分離する恐れがある、粒状溶接材料のあらゆる「はね戻り(splash back)」を回避する。そのような「はね戻り」は、そこから生じるあらゆる微粒子が場合によってはディスペンサー内に留まり、結果としてユーザが吸入する可能性があるという理由で不利である。代替プロセスは、溶接エネルギーを内部リブに集束させるので、ソノトロード(一つ又は複数)はもはや円錐状突起を有しておらず、リブが容器カラー330と割りリングカラー333との間に挟まれるので、全てではないにしてもほとんどの溶融材料が封入され、したがって分離することがなくなる(又はその傾向が少なくなる)。
図26aで示されるように、組立てプロセスの第1段階では、割りリングカラー333がその首部305aの周りに位置するキャニスター305は、容器カラー330及び延長カラー340の上方で整列される。次の段階では、図26bで示されるように、割りリングカラー333を備えたキャニスター305は容器カラー330に挿入され、割りリングカラー333は、首部305aと容器カラー330の内表面との間に押し込まれるように調節され、したがって、容器カラー330及び割りリングカラー333は上述の溶接プロセスの一つによって恒久的に接合され、それによって容器カラー330がキャニスター305に恒久的に固着する。そのように係合された部分305、330、及び333は、ハウジングに対して、キャニスター305の長手方向軸線L-Lによって規定される方向(即ち、装置1が直立しているとき、ほぼ上下方向)でともに移動可能である。
次に、キャニスター305と容器カラー330のアセンブリは延長カラー340に挿入される。容器カラー330は、図26cで示されるように、閉コイル引張りばね350a(一つのみが見えている)と、ばね接続点331a及び331b並びに341a及び341bそれぞれを介して、延長カラー340に接続される。そのように接続されると、延長カラー340は、容器カラー330に対して薬剤排出装置の長手方向軸線L-Lに沿って移動可能である。
代替内部メカニズム全体の形態は、可撓性支持脚体334a、334b、及び334cの成形が図5の内部メカニズムの脚体34a及び34bとはわずかに異なる点と、それに対応して、その斜面44が代替内部メカニズムでは内側斜面343と外側斜面344の両方に置き換えられている点とを除いて、図5を参照して上述したものに非常に類似していることが理解されるであろう。これらのわずかな変形の操作上の効果は、図27a〜27cに関連して更に詳細に後述する。これらのわずかな変形以外に、図22〜27cの代替内部メカニズムを備えた装置1の全体的な操作原理は、図3a〜4cを参照して上述したものに対応する。
したがって、操作について大まかに言えば、ここで図27a〜27cも参照すると、装置1の向かい合ったレバー20a及び20bは、延長カラー340の棚342に力を加えて、延長カラー340を薬剤排出装置の長手方向軸線L-Lに沿って下向きに(即ち、装置1の心棒ブロック8及びマウスピース14に向かって)移動させるため、その長手方向軸線に対して横断方向に移動可能である。
接続点331a及び331bを介して容器カラー330を延長カラー340と接続する閉コイル引張りばね350aは、レバー20a及び20bを握り締めるのに応答して延長カラー340を長手方向軸線L-Lに沿って下向きに移動させる際に、付勢エネルギーを保存する付勢メカニズムとして作用する。実施形態では、その閉コイル形態に固有の初期の付勢張力は、閉コイル引張りばね350aが「休止」状態にあるときでもその中に存在する。
可撓性支持脚体334a、334b、及び334cは、予め定められた閾値力を超えるまで、キャニスター305を長手方向軸線L-Lに沿って下向きに移動して、その弁を作動させる(したがって、エーロゾル化薬剤用量を発射する)ように、その付勢エネルギーが容器カラー330に伝達されるのを防ぐため、予圧メカニズムを提供するように作用する。
図27a〜27cは、装置1を操作する間の、容器カラー330の可撓性支持脚体334aと延長カラー340の内側斜面343及び外側斜面344との間の関係の詳細を示す。
図27aは、装置1が「休止」位置にあるときのこの関係の詳細を示す(即ち、上述の図3aに対応する)。即ち、レバー20a及び20bによって、延長カラー340の棚342に対して下向きの力は加えられていない。容器カラー330の可撓性支持脚体334aは、延長カラー340の内側斜面343と外側斜面344との間で下に突出し、その下端でハウジング上の段差18a、18b、及び18cそれぞれと相互作用する。
図27bは、装置1が「安定限界点」配置(即ち、上述の図4cにほぼ対応する)にあるときのこの関係の詳細を示す。この位置では、装置1のレバー20a及び20bによって、著しい下向きの力が延長カラー340の棚342に加えられている。延長カラー340の外側斜面344は、可撓性支持脚体334aの突出した外側の足336aまで下げられており、それによって、可撓性支持脚体334aが内向きに屈曲し、外側斜面344まで内側に転位される。結果として、容器カラー330はここでは下向きに自由に移動することができ、実際には、引張りばね350aに保存された付勢エネルギーが掛けられた結果としてそのように移動する。容器カラー330、及びそれと恒久的に係合しているキャニスター305は、ばね350aの保存付勢エネルギーによって推進されて迅速に下向きに移動する。それによって、キャニスター305の弁306が活性化されて、エーロゾル化薬剤を患者による吸入のために放出する。
上述と同様に、閾値力を超える(即ち、装置1の「安定限界点」をちょうど超える)と、患者によってレバー20a及び20bにどの程度の余分な力が加えられるかにかかわらず、ばね350aに保存されたエネルギーから得られる均一な作動力が容器カラー330及びキャニスター305に掛けられることが理解されるであろう。それによって、キャニスター305の弁の一貫した作動が可能になる。
作動後、多重コイル引張りばね350aはそれらの「休止」状態(即ち、付勢エネルギーは外部から加えられず、引張りばね350aの閉コイル形態に固有の何らかの初期の付勢張力のみが存在する)に戻る。当業者には理解されるように、弁付きキャニスターの弁306の戻しばね(図示なし)は、キャニスター305、容器カラー330、延長カラー340、並びにレバー20a及び20bを「休止」位置に戻すエネルギーを提供する。図27cで示されるように、この戻し操作の間、可撓性脚体334aの内側の突出した足335aは延長カラー340の内側斜面343と相互作用し、この相互作用の影響で、可撓性脚体334aは、可撓性脚体334aが屈曲されない図27aの「休止」状態へと外向きに押される。
記載しないが、本明細書の薬剤ディスペンサー装置の構成要素は、従来の工業材料から、特に従来の工業用プラスチック材料から、更に特に構成要素の成形を可能にするものから作られてもよい。
上述の実施形態はそれぞれ、本明細書の第2及び第3パラグラフにて参照により組み込んだ、米国仮出願及び/又は国際出願に開示されている一つ又は複数の機構を組み込むように修正されてもよい。
代表的な実施形態におけるマウスピース14は、その代わりに、製剤をヒトの鼻腔に送達できるように、ヒトの鼻孔に挿入する経鼻ノズルとして構成することができることが理解されるであろう。
本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、製剤を患者に分配するのに適している。製剤は、あらゆる適切な形態を取ってもよく、希釈剤、溶剤、キャリア、及び噴霧剤などの他の適切な成分を含んでもよい。
薬剤の投与は、軽度、中程度、若しくは重度の急性又は慢性症状の治療、或いは予防的治療又は緩和ケアに適応されてもよい。正確な投与量は、患者の年齢及び症状、使用される特定の薬剤、及び投与の頻度に応じて代わり、最終的には付き添う医師の裁量であることが理解されるであろう。薬剤の組合せが用いられる実施形態が想到される。
したがって、適切な薬剤は、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、又はモルヒネなどの鎮痛薬、ジルチアゼムなどのアンギナ性製剤、クロモグリケート(例えば、ナトリウム塩として)、ケトチフェン、又はネドクロミル(例えば、ナトリウム塩として)などの抗アレルギー剤、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、及びペンタミジンなどの抗感染薬、メタピリレンなどの抗ヒスタミン剤、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(例えば、フロン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えば、アセトニドとして)、又は6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステルなどの抗炎症剤、ノスカピンなどの鎮咳剤、アルブテロール(例えば、遊離塩基若しくは硫酸塩として)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば、臭化水素として)、サルメファモール、カルブテロール、マブテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、フレルブテロール、バンブテロール、インダカテロール、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例えば、アセテートとして)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、又は4-ヒドロキシ-7-[2-[[2-[[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル-2(3H)-ベンゾチアゾロンなどの気管支拡張薬、2R,3R,4S,5R)-2-[6-アミノ-2-(1S-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチルアミノ)-プリン-9-イル]-5-(2-エチル-2H-テトラゾル-5-イル)-テトラヒドロ-フラン-3,4-ジオール(例えば、マレイン酸塩として)などのアデノシン2a作動薬、(2S)-3-[4-({[4-(アミノカルボニル)-1-ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]-2-[((2S)-4-メチル-2-{[2-(2-メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例えば、遊離酸若しくはカリウム塩として)などのα4インテグリン阻害薬、アミロライドなどの利尿薬、イプラトロピウム(例えば、臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、又はオキシトロピウムなどの抗コリン作用薬、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロンなどのホルモン、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネート、又はテオフィリンなどのキサンチン、インシュリン、又はグルカゴンなどの治療タンパク質及びペプチド、ワクチン剤、診断用薬、並びに遺伝子治療薬から選択されてもよい。適切であれば、薬剤は、薬剤の活性及び/又は安定性を最適化するため、塩類(例えば、アルカリ金属若しくはアミン塩として、又は酸付加塩として)の形態で、或いはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、或いは溶媒和物(例えば、水和物)として使用されてもよいことが、当業者には明白になるであろう。
製剤は、実施形態では、単独療法用(即ち、単一の活性薬剤を含有する)製品であってもよく、又は、併用療法用(即ち、複数の活性薬剤を含有する)製品であってもよい。
併用療法用製品の適切な薬剤又は薬剤成分は、一般的に、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド若しくはNSAID)、抗コリン作用薬(例えば、M1、M2、M1/M2、若しくはM3受容体拮抗薬)、他のβ2-アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば、抗生物質若しくは抗ウイルス剤)、及び抗ヒスタミン剤から成る群から選択される。全ての適切な組合せが想到される。
適切な抗炎症剤としては、コルチコステロイド及びNSAIDが挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて使用されてもよい適切なコルチコステロイドは、経口及び吸入用のコルチコステロイド、並びに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステル若しくは、17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロン酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコート、RPR-106541、及びST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3,-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-シアノメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、及び9α,21ジクロロ-11β,17αメチル-1,4プレグナジエン3,20ジオン-17-[2']フロン酸(フロン酸モメタゾン)が挙げられる。
更なるコルチコステロイドは、WO02/088167、WO02/100879、WO02/12265、WO02/12266、WO05/005451、WO05/005452、WO06/072599、及びWO06/072600に記載されている。
転写活性化能(transactivation)よりも転写抑制能(transrepression)に対して選択性を持ってもよく、有用であり得る、グルココルチコイド闘争性を有する非ステロイド性化合物は、WO03/082827、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651、WO03/08277、WO06/000401、WO06/000398、及びWO06/015870に開示されている。
適切なNSAIDとしては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えば、テオフィリン、PDE4阻害薬、若しくは混合PDE3/PDE4阻害薬)、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成阻害薬、iNOS阻害薬、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害薬、β2インテグリン拮抗薬、及びアデノシン受容体作動薬又は拮抗薬(例えば、アデノシン2a作動薬)、サイトカイン拮抗薬(例えば、ケモキン拮抗薬)、サイトカイン合成阻害薬、或いは5-リポキシゲナーゼ阻害薬が挙げられる。iNOS阻害薬の例としては、WO93/13055、WO98/30537、WO02/50021、WO95/34534、及びWO99/62875に開示されているものが挙げられる。CCR3阻害薬の例としては、WO02/26722に開示されているものが挙げられる。
適切な気管支拡張薬は、キシナホ酸サルメテロールなどのサルメテロール(ラセミ体、若しくはR-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーであってもよい)、硫酸サルブタモールなどの又は遊離塩基としてのサルブタモール(ラセミ体、若しくはR-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーであってもよい)、フマル酸フォルモテロールなどのフォルモテロール(ラセミ体、若しくはR,R-ジアステレオマーなどの単一ジアステレオマーであってもよい)、又はテルブタリン、及びそれらの塩類を含むβ2-アドレナリン受容体作動薬である。他の適切なβ2-アドレナリン受容体作動薬は、3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド、4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド、及びN-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン、並びに5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オンである。好ましくは、β2-アドレナリン受容体作動薬は、長時間作用型のβ2-アドレナリン受容体作動薬(LABA)、例えば約12時間以上有効に気管支を拡張する化合物である。
他のβ2-アドレナリン受容体作動薬としては、WO02/066422、WO02/070490、WO02/076933、WO03/024439、WO03/072539、WO03/091204、WO04/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO01/42193、及びWO03/042160に記載されているものが挙げられる。
好ましいホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬は、シス4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、及びシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]である。
他の適切な薬剤化合物としては、米国特許第5,552,438号に開示されているシス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロマラスト(cilomalast)としても知られている)、その塩類、エステル類、プロドラッグ、若しくは物理的形態、elbion製のAWD-12-281(Hofgen, N. et al. 15th EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst p.98、CAS参照番号247584020-9)、NCS-613(INSERM)として指定される9-ベンジルアデニン誘導体、Chiroscience及びSchering-Plough製のD-4418、CI-1018(PD-168787)として特定されるPfizer製のベンゾジアゼピンPDE4阻害薬、協和発酵によってWO99/16766に開示されているベンゾジオキソール誘導体、協和発酵製のK-34、Napp製のV-11294A(Landells, L.J. et al. Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393)、Byk-Gulden製のロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)及びフタラジノン(pthalazinone)(WO99/47505、その開示を参照により組み込む)、プマフェントリン(Pumafentrine)、即ち、Byk-Gulden、現在のAltanaによって調製され公表された混合PDE3/PDE4阻害薬である(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンザミド、Almirall-Prodesfarmaが開発中のアロフィリン、Vernalis製のVM554/UM565、或いはT-440(田辺製薬、Fuji, K. et al. J Pharmacol Exp Ther, 1998, 284(1): 162)、及びT2585が挙げられる。
更なる化合物は、全てGlaxo Group LimitedのWO04/024728、WO04/056823、及びWO04/103998に開示されている。
適切な抗コリン作用薬は、ムスカリン受容体において拮抗薬として作用する化合物であり、特に、M1若しくはM3受容体の拮抗薬、M1/M3若しくはM2/M3受容体の二重拮抗薬、又はM1/M2/M3受容体の汎拮抗薬である化合物である。代表的な化合物としては、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンの類似物によって説明されるようなベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられ、これらの化合物は通常、三級アミンである塩として投与される。
他の適切な抗コリン作用薬は、(3-エンド)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(3-エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物、4-[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]-1-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、(1R,5S)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8-メチル-8-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物、(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、及び(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物などの、ムスカリン拮抗薬である。
特に適切な抗コリン作用薬としては、Atroventの名称で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)、及びチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS-139404-48-1)が挙げられる。やはり重要なものとしては、メタンテリン(CAS-53-46-3)、臭化プロパンテリン(CAS-50-34-9)、アニソトロピン臭化メチル、即ちValpin 50(CAS-80-50-2)、臭化クリジニウム(Quarzan、CAS-3485-62-9)、コピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS-71-81-8)、臭化メペンゾラート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilone、CAS-4310-35-4)、及びメチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral、CAS-115-63-9)がある。塩酸シクロペントラート(CAS-5870-29-1)、トロピカミド(CAS-1508-75-4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS-144-11-6)、ピレンゼピン(CAS-29868-97-1)、テレンゼピン(CAS-80880-90-9)、AF-DX 116、即ちメトクトラミン、及びWO01/04118に開示されている化合物も参照のこと。やはり重要なものとしては、レバトロパン酸(例えば、臭化水素として、CAS 262586-79-8)及びWO01/04118に開示されているLAS-34273、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又はEnablexの名称で販売されている臭化水素についてはCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、Ditropanの名称で販売)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又はDetrolの名称で販売されている酒石酸塩についてはCAS 124937-52-6)、オチロニウム(例えば、Spasmomenの名称で販売されている臭化物、CAS 26095-59-0として)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)、及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又はYM-905として知られ、Vesicareの名称で販売されている琥珀酸塩についてはCAS 242478-38-2)がある。
他の抗コリン作用薬としては、USSN 60/487,981及びUSSN 60/511,009に開示されている化合物が挙げられる。
適切な抗ヒスタミン剤(H1受容体拮抗薬とも称される)としては、H1-受容体を阻害し、ヒトが使用するのに安全であることが知られている多数の拮抗薬の任意の一つ又は複数が挙げられる。全て、ヒスタミンとH1-受容体との相互作用の可逆的な競争的阻害剤である。例としては、エタノールアミン、エチレンジアミン、及びアルキルアミンが挙げられる。それに加えて、他の第1世代の抗ヒスタミン剤としては、ピペリジン及びフェノチアジンをベースとするものとして特徴付けることができるものが挙げられる。鎮静性ではない第2世代の拮抗薬は、コアエチレン基(アルキルアミン)を保持するか、又はピペリジン若しくはピペリジンによって三級アミン基を模倣するという点で、類似の構造活性関係を有する。
H1拮抗薬の例としては、それらに限定されるものではないが、アメレキサノックス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、及びトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、及びフェキソフェナジンが挙げられる。
代表的なH1拮抗薬は次のとおりである。エタノールアミン(マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン、及びジメンヒドリナート)、エチレンジアミン(マレイン酸ピリラミン(pyrilamine amleate)、トリペレナミンHCl、及びクエン酸トリペレナミン)、アルキルアミン(クロフェニラミン、及びマレイン酸塩などのその塩類、並びにアクリバスチン)、ピペラジン(ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl、及びセチリジンHCl)、ピペリジン(アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジン又はそのデスカルボエトキシ類似体、並びに塩酸テルフェナジン及び塩酸フェキソフェナジン、或いは別の薬学的に容認可能な塩)。
塩酸アゼラスチンは、PDE4阻害薬と組み合わせて使用されてもよい更に別のH1受容体拮抗薬である。
薬剤、又は薬剤の一つは、H3拮抗薬(及び/又は逆作動薬)であってもよい。H3拮抗薬の例としては、例えば、WO2004/035556及びWO2006/045416に開示されている化合物が挙げられる。
使用されてもよい他のヒスタミン受容体拮抗薬としては、H4受容体の拮抗薬(及び/又は逆作動薬)、例えば、Jablonowski et al., J. Med. Chem. 46:3957-3960 (2003)に開示されている化合物が挙げられる。
実施形態では、製剤は、β2-アドレナリン受容体作動薬、コルチコステロイド、PDE-4阻害薬、及び抗コリン作用薬の一つ又は複数を含む。
一般に、気管支又は肺胞領域に送達するのに適した粉末状の薬剤粒子は、10μm未満、好ましくは1〜6μmの空気動力学的直径を有する。鼻腔、口、又は喉など、呼吸器官の他の部分に送達されることが望ましい場合、他のサイズの粒子が使用されてもよい。
治療効果を得るのに必要な、あらゆる特定の薬剤、又は薬学的に容認可能な塩、溶媒和物、若しくはその生理学的に機能的な誘導体の量は、当然ながら、特定の化合物、投与経路、治療を受ける被検者、及び治療されている特定の疾患若しくは疾病に応じて変わる。本明細書では、呼吸器疾患の治療用の薬剤は、例えば、0.0005mg〜10mg、好ましくは0.005mg〜0.5mgの用量で吸入によって投与されてもよい。成人のヒト向けの用量範囲は、一般に、一日当たり0.0005mg〜100mg、好ましくは一日当たり0.01mg〜1.5mgである。
一実施形態では、薬剤は、任意に他の薬学的に容認可能な賦形剤成分を含有する、あらゆる適切なエーロゾル製剤として配合される。実施形態では、エーロゾル製剤は噴霧剤中に薬剤の懸濁液を含む。実施形態では、噴霧剤は、フルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボン噴霧剤である。
適切な噴霧剤としては、例えば、CH2ClF、CClF2CHClF、CF3CHClF、CHF2CClF2、CHClFCHF2、CF3CH2Cl、及びCClF2CH3などのC1〜4水素含有クロロフルオロカーボン、CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3、及びCF3CHFCF3などのC1〜4水素含有フルオロカーボン、並びにCF3CF3及びCF3CF2CF3などの過フルオロカーボンが挙げられる。
フルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンの混合物が用いられる場合、それらは、上述の化合物又は混合物、好ましくは二元混合物と、他のフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボン、例えばCHClF2、CH2F2、及びCF3CH3との混合物であってもよい。好ましくは、単一のフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンが噴霧剤として使用される。噴霧剤として特に好ましいのは、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(CF3CH2F)及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン(CF3CHFCF3)、又はそれらの混合物などのC1〜4水素含有フルオロカーボンである。
製剤は、好ましくは、CCl3F、CCl2F2、及びCF3CCl3などのクロロフルオロカーボンを実質的に含まない。好ましくは、噴霧剤は、液化したHFA134a若しくはHFA-227、又はそれらの混合物である。
噴霧剤は、飽和炭化水素、例えばプロパン、n-ブタン、液化ペンタン及びイソペンタン、又はジアルキルエーテル、例えばジメチルエーテルなどの揮発性補助剤を更に含有してもよい。一般に、噴霧剤の50重量%以内が、例えば1〜30重量%の揮発性炭化水素を含んでもよい。但し、揮発性補助剤を全く又は実質的に含まない製剤が好ましい。特定の例では、適量の水を含むことが望ましいことがあり、それは、噴霧剤の誘電特性を修正するのに有利な場合がある。
製剤の分散を改善するため、唯一の賦形剤として、或いは界面活性剤などの他の賦形剤に加えて、C2〜6脂肪族アルコール及び多価アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、好ましくはエタノールなどの極性補助溶剤(polar co-solvent)が、所望量で製剤に含まれてもよい。実施形態では、製剤は、極性補助溶剤、例えばエタノールを、噴霧剤の重量基準で0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%、例えば約0.1〜1重量%含有してもよい。本明細書の実施形態では、溶剤は十分な量で薬剤成分の可溶性部分又は全てに添加され、そのような製剤は、一般に、「溶液」エーロゾル製剤と称される。
界面活性剤もエーロゾル製剤に使用されてもよい。従来の界面活性剤の例はEP-A-372,777に開示されている。用いられる界面活性剤の量は、薬剤に対して0.0001〜50重量%、特に0.05〜10重量%の範囲であることが望ましい。
エーロゾル製剤は、望ましくは、製剤の総重量に対して0.005〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、特に0.01〜2重量%の薬剤を含有する。
別の実施形態では、薬剤は、あらゆる適切な流体製剤として、特に、任意に他の薬学的に容認可能な添加剤成分を含有する、溶液(例えば、水性)製剤又は懸濁液製剤として配合される。
適切な製剤(例えば、溶液又は懸濁液)は、pHを適切に選択することによって、(例えば、塩酸若しくは水酸化ナトリウムを使用して)安定化されてもよい。一般的には、pHは、4.5〜7.5、好ましくは5.0〜7.0、特に約6〜6.5に調節される。
適切な製剤(例えば、溶液若しくは懸濁液)は一つ又は複数の賦形剤を含んでもよい。「賦形剤」という用語により、本明細書では、それらに限定されないが、製薬等級の炭水化物、有機及び無機塩類、ポリマー、アミノ酸、リン脂質、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、ポロキサマー、プルロニック、及びイオン交換樹脂、並びにそれらの組合せを含む、無毒であり、有害な形で組成物の他の成分と相互作用しないほぼ不活性の物質を意味する。
適切な炭水化物としては、フルクトースを含む単糖類、それらに限定されないが、ラクトース並びにその組合せ及び誘導体などの二糖類、それらに限定されないが、セルロース並びにその組合せ及び誘導体などの多糖類、それらに限定されないが、デキストリン並びにその組合せ及び誘導体などのオリゴ糖、それらに限定されないが、ソルビトール並びにその組合せ及び誘導体などの多価アルコールが挙げられる。
適切な有機及び無機塩類としては、リン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、並びにそれらの組合せ及び誘導体が挙げられる。
適切なポリマーとしては、それらに限定されないが、ゼラチン並びにその組合せ及び誘導体を含む天然生分解性タンパク質ポリマー、それらに限定されないが、キチン及びデンプン、架橋デンプン、並びにそれらの組合せ及び誘導体を含む天然生分解性多糖ポリマー、それらに限定されないが、キトサンの誘導体を含む半合成生分解性ポリマー、それらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、それらに限定されないがポリビニルアルコール並びにその組合せ及び誘導体を含む合成ポリマーを含む、合成生分解性ポリマーが挙げられる。
適切なアミノ酸としては、ロイシン並びにその組合せ及び誘導体など、無極性アミノ酸が挙げられる。適切なリン脂質としては、レシチン並びにその組合せ及び誘導体が挙げられる。
適切な湿潤剤、界面活性剤、及び/又は乳化剤としては、アラビアゴム、コレステロール、脂肪酸、並びにそれらの組合せ及び誘導体が挙げられる。適切なポロキサマー及び/又はプルロニックとしては、ポロキサマー188、Pluronic(登録商標)F-108、並びにそれらの組合せ及び誘導体が挙げられる。適切なイオン交換樹脂としては、アンバーライトIR120並びにその組合せ及び誘導体が挙げられる。
適切な溶液製剤は、界面活性剤などの可溶化剤を含んでもよい。適切な界面活性剤としては、Tritonシリーズのもの、例えばTriton X-100、riton X-114、及びTriton X-305(Xの数は、ポリマー中のエトキシ反復単位(ethoxy repeating units)の平均数(一般的に約7〜70、特に約7〜30、特に約7〜10)を広範に示す)を含む、α-[4-1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-ω-ヒドロキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)ポリマー、並びに、3500〜5000の、特に4000〜4700の相対分子量を有するもの、特にTyloxapolなど、ホルムアルデヒド及びオキシランを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールポリマーが挙げられる。界面活性剤は、一般的に、製剤の重量基準で約0.5〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%の濃度で用いられる。
適切な溶液製剤はまた、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 200)及びプロピレングリコールなどのグリコール、デキストロースなどの糖、及びエタノールを含む、ヒドロキシル含有有機補助溶剤を含んでもよい。デキストロース及びポリエチレングリコール(例えば、PEG 200)、特にデキストロースが好ましい。プロピレングリコールは、好ましくは、20%以下、特に10%以下の量で使用され、最も好ましくは完全に回避される。エタノールは好ましくは回避される。ヒドロキシル含有有機補助溶剤は、一般的に、製剤の重量基準で0.1〜20重量%、例えば0.5〜10重量%、例えば約1〜5重量%の濃度で用いられる。
適切な溶液製剤はまた、ポリソルベート、グリセリン、ベンジルアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、Cremophors、Brij)などの可溶化剤を含んでもよい。
適切な溶液製剤はまた、増粘剤(viscosity enhancing agents)、防腐剤、及び等張性調節剤(isotonicity adjusting agents)の一つ又は複数を含んでもよい。
適切な増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ベーゴム(veegum)、トラガント、ベントナイト、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407)、ポリエチレングリコール、アルギナート、キサンチムゴム(xanthym gums)、カラギーナン、及びカルボポル(carbopols)が挙げられる。
適切な防腐剤としては、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、及び塩化セチルピリジウム)、水銀剤(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、及びチメロサール)、アルコール剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、及びベンジルアルコール)、抗菌エステル(例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸のエステル)、エデト酸ナトリウム(EDTA)などのキレート剤、並びにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、ソルビン酸とその塩類、及びポリミキシンなどの他の抗微生物剤が挙げられる。
適切な等張性調節剤は、体液(例えば、鼻腔の流体)との等張性を達成するなどの作用をし、その結果、多くの経鼻製剤に関連する刺激の程度を低減する。適切な等張性調節剤の例は、塩化ナトリウム、デキストロース、及び塩化カルシウムである。
適切な懸濁液製剤は、粒状薬剤の水性懸濁液と、任意に、沈殿防止剤、防腐剤、湿潤剤、又は等張性調節剤とを含む。
適切な沈殿防止剤としては、カルボキシメチルセルロース、ベーゴム、トラガント、ベントナイト、メチルセルロース、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
適切な湿潤剤は、薬剤の粒子を湿潤させて、組成物の水相中における粒子の分散を促進するように機能する。使用することができる湿潤剤の例は、脂肪族アルコール、エステル、及びエーテルである。好ましくは、湿潤剤は、親水性の非イオン性界面活性剤であり、最も好ましくは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(商標付き製品Polysorbate 80として供給される)である。
適切な防腐剤及び等張性調節剤は、溶液製剤に関して上述したようなものである。
本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、一実施形態では、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む肺及び気管支の疾患などの呼吸器疾患を治療するためのエーロゾル化薬剤を分配する(例えば、口を介して吸入させるため)のに適している。別の実施形態では、本発明は、偏頭痛、糖尿病、鎮痛、例えばモルヒネ吸入など、薬剤の体循環による治療を必要とする症状を治療するため、エーロゾル化薬剤を分配する(例えば、口を介して吸入させるため)のに適している。
エーロゾル化形態での薬剤の投与は、軽度、中程度、若しくは重度の急性又は慢性症状の治療、或いは予防的治療のために指示されてもよい。正確な投与量は、患者の年齢及び症状、使用される特定の粒状薬剤、及び投与の頻度に応じて変わり、最終的には付き添う医師の裁量であることが理解されるであろう。薬剤の組合せが用いられるとき、その組合せの各成分の用量は、一般に、各成分が単独で使用されたときに用いられる量である。一般的には、投与は、1日当たり1回又は複数回、例えば1〜8回であって、例えば、1回ごとにエーロゾルを1回、2回、3回、又は4回吐出させてもよい。弁を作動させるごとに、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの薬剤が送達されてもよい。一般的には、計量式吸入器に使用される充填済みキャニスターはそれぞれ、60回、100回、120回、若しくは200回分の定量又は吐出量の薬剤を収容する。各薬剤の投与量は、当業者には知られているか、或いは容易に確定可能である。
別の実施形態では、本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、鼻炎、例えば季節性及び多年性鼻炎などの鼻腔の炎症及び/又はアレルギー症状、並びに喘息、COPD、及び皮膚炎などの他の局所的炎症を治療するための流体製剤を分配するのに適している。適切な投与計画は、患者が、鼻腔をきれいにした後に、鼻を通してゆっくりと吸入するというものである。吸入の間、製剤は、一方の鼻孔を手で圧迫した状態で他方の鼻孔に適用される。次に、この手順を反対側の鼻孔に対して繰り返す。一般的には、上述の手順を1日に3回以下、理想的には1日に1回行うことによって、一方の鼻孔当たり1回又は2回の吸入を行う。用量ごとに、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの活性薬剤が送達されてもよい。正確な投与量は、当業者には知られているか、或いは容易に確定可能である。
別の態様では、本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、鼻炎、例えば季節性及び多年性鼻炎などの鼻腔の炎症及び/又はアレルギー症状、並びに、喘息、COPD、及び皮膚炎などの他の局所的炎症を治療するための流体製剤を分配するのに適している。適切な投与計画は、患者が、鼻腔をきれいにした後で、鼻を通してゆっくりと吸入するというものである。吸入の間、製剤は、一方の鼻孔を手で圧迫した状態で他方の鼻孔に適用される。次に、この手順を反対側の鼻孔に対して繰り返す。一般的には、上述の手順を1日に3回以下、理想的には1日に1回行うことによって、一方の鼻孔当たり1回又は2回の吸入を行う。用量ごとに、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの活性薬剤が送達されてもよい。正確な投与量は、当業者には知られているか、或いは容易に確定可能である。
上記に記載してきた本発明は例証に過ぎず、上述の記載は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる形で修正できることが理解されるであろう。
本明細書に引用した全ての出版物、特許、及び特許出願、並びにあらゆるそのような特許又は特許出願に相当するあらゆる米国特許群は、出版物、特許、又は特許出願それぞれを参照により組み込むものと特定して個々に示唆したのと同じ程度まで、それらの全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形の不定冠詞(「a」及び「an」)、定冠詞「the」、並びに「一つの(one)」は、別に明白に指示しない限り、複数の指示対象を含むことが理解されるべきである。