図1〜3は、後述する本発明の実施形態を理解するのに有用な吸入器を示す。
吸入器は、主要本体3と、主要本体3に結合され、吸入器を作動させると薬剤のエーロゾル噴霧を送達するノズルアセンブリ4とを備えるアクチュエータ、及び、吸入器を作動させると送達される薬剤を収容し、主要本体3に嵌合されるとともにノズルアセンブリ4に流体接続されたエーロゾルキャニスター5を備える。
キャニスター5は、加圧された噴霧剤中の薬剤を収容するチャンバを規定する本体7と、本体7の一端、即ちヘッドから延びる弁心棒8と、通常は閉位置に付勢されており、弁心棒8が本体7内へ押し下げられたとき、開かれてキャニスター5から定量の薬剤を送達する内部計量弁(metering valve)9とを備える。
この特定の実施形態では、キャニスター5は、金属、例えばステンレス鋼、又はより好ましくはアルミニウム若しくはアルミニウム合金で作られる。キャニスターは、加圧された薬用エーロゾル製剤を収容する。製剤は、薬剤(一つ若しくは複数の薬剤活性物質)及び流体噴霧剤を、また任意に一つ若しくは複数の賦形剤及び/又は補助剤を含む。薬剤は、製剤中で溶液又は懸濁液の状態であってもよい。噴霧剤は、一般的にはCFCを含まない噴霧剤、適切には液状噴霧剤であり、好ましくは、HFA-134a若しくはHFA-227又はそれらの組合せなどのHFA噴霧剤である。薬剤活性物質(一つ若しくは複数)は、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)など、呼吸器の疾患又は症状の治療に使用されるタイプのものである。活性物質(一つ若しくは複数)はまた、呼吸器の疾患又は症状を予防或いは緩和するためのものであってもよい。
キャニスター5の内面は、米国特許第6,143,277号、同第6,511,653号、同第6,253,762号、同第6,532,955号、及び同第6,546,928号に開示されているような、ポリテトラフルオロエチレンとポリエーテルスルホンとのブレンド(PTFE-PES)など、任意に非フルオロカーボン系ポリマーとのブレンドの形の、フルオロカーボンポリマーでコーティングされていてもよい。これは、薬剤が製剤中の懸濁液の状態である場合に、また特に、懸濁液製剤が薬剤及びHFA噴霧剤のみから、又はほぼそれらのみから成る場合に特に好ましい。
弁心棒8は、当業者には理解されるように、また、エーロゾル業界では良く知られたメーカーから、例えばValois(フランス)(例えば、DF10、DF30、DF60)、Bespak plc(英国)(例えば、BK300、BK356、BK357)、及び3M-Neotechnic Ltd(英国)(例えば、Spraymiser(商標))から市販されているような、計量弁の一部を形成する。計量弁の実施形態は、米国特許第6,170,717号、同第6,315,173号、及び同第6,318,603号に記載されている。計量弁の計量チャンバは、US-A-2003/0101993に詳述されているように、例えば低温プラズマ重合によって過フルオロヘキサンから形成したものなど、フッ化ポリマーコーティングでコーティングされてもよい。
キャニスター5はまた、例えば、US-A-2006/0096594に開示されているように、作動インジケータ又は用量インジケータと関連付けられてもよい。
キャニスター5のこの説明は、後述する本発明の他の代表的な実施形態のキャニスターにも等しく当てはまる。
主要本体3は、キャニスター5が使用の際に嵌合するハウジング11と、この実施形態では管状要素である、ハウジング11の下端と流体連通しており、使用の際にユーザの唇に把持されるマウスピース13とを備える。一実施形態では、ハウジング11及びマウスピース13は、好ましくはプラスチック材料で一体に形成される。
ノズルアセンブリ4は、この実施形態ではハウジング11の基部面に配置される、キャニスター5の弁心棒8を受け入れるノズルブロック11と、ノズルブロック17の別個に形成された構成要素であり、マウスピース13を通して薬剤のエーロゾル噴霧を送達するためなど、ノズルブロック17に流体接続されたノズル出口19とを備える。一実施形態では、ノズルブロック17は、主要本体3のハウジング11及びマウスピース13と一体に形成される。
ノズルブロック17は、この実施形態ではハウジング11の長手方向軸線と同軸である、キャニスター5の弁心棒8を受け入れる環状ボア23を含む。管状ボア23は、一端、即ちその上端では開いており、キャニスター5の弁心棒8の外寸とほぼ同じ内寸を有する上側区画25と、より小さな寸法を有する下側区画27とを含み、それらの区画25及び27はともに、弁心棒8の遠位端のための環状の台座を規定する。
ノズルブロック17は、ノズル出口19を受け入れ、その環状ボア23に流体接続される横向きのキャビティ35を含む。
この実施形態では、ノズル出口19は、ノズルブロック17の横向きのキャビティ35内のスナップ嵌めであるように構成される。
この実施形態では、ノズルブロック17内の横向きのキャビティ35は、例えばノズル出口19が横向きのキャビティ35と封止係合して固定されるように、その周面に、ノズル出口19上の突起47を受け入れる窪み39を含む。
ノズル出口19は、薬剤のエーロゾル噴霧を送達する噴霧オリフィス41と、噴霧オリフィス41に流体接続される送達チャネル43とを含む。
この実施形態では、送達チャネル43は、噴霧オリフィス41に向かって狭くなる先細状のチャネルである。この実施形態では、送達チャネル43は弓形の壁区画を有する。更に、この実施形態では、ノズルブロック17は、その環状ボア23の直下に伸縮性チャンバを有さない(その環状ボア133の直下に規定された伸縮性チャンバ149部分を有する図5の実施形態も参照のこと)。
ノズルアセンブリ4のこの構成により、ノズルブロック17及びノズル出口19を、異なる材料で、且つそれらの目的に特に適した異なる規格に形成することができる。
一実施形態では、ノズルブロック17は、通常は、キャニスター5の本体7をアクチュエータの主要本体3に対して押し下げることによって吸入器を作動させた際に生じるような曲がりに抵抗する、硬質プラスチックポリマー材料などの比較的剛性の材料で形成することができる。ノズルブロック17の一般に短く太い形状にも注目することができ、そのことは、作動の間のその曲がりに抵抗する助けにもなる。本出願人は、曲がりに対するそのような抵抗が薬剤のより一貫した送達を必然的に生じさせることができ、それによって、より良好な微粒子質量(fine particle mass)(FPM)送達特性を提供することもできることを認識している。
一実施形態では、ノズル出口19は、従来技術の装置において行われるように、ノズルブロック17と一体に形成した場合に達成できるよりも高い許容差で、且つ異なる設計で製作することができる。
一実施形態では、吸入器は、マウスピース13を閉止するマウスピースキャップ(図示なし)を更に備える。
図4〜6は、本発明の実施形態による吸入器を示す。
吸入器は、主要本体103と、主要本体103に結合され、吸入器を作動させると薬剤のエーロゾル噴霧を送達するノズルアセンブリ104と、主要本体103の下端に結合され、使用の際にユーザの唇に把持されるマウスピース105とを備えるアクチュエータ、及び、吸入器を作動させると送達される薬剤を収容し、主要本体103に嵌合するとともにノズルアセンブリ104に流体接続されたエーロゾルキャニスター106を備える。
キャニスター106は、加圧された噴霧剤中の薬剤を収容するチャンバを規定する本体107と、本体107の一端、即ちヘッドから延びる弁心棒108と、通常は閉位置に付勢されており、弁心棒108が本体107内へ押し下げられたとき、開かれてキャニスター106から定量の薬剤を送達する内部計量弁(図示なし)とを備える。
主要本体103は、キャニスター106が使用の際に嵌合するハウジング111と、マウスピース105及びハウジング111を封止係合する封止部材114とを備え、それによって、マウスピース105がハウジング111から内部で分割され、ユーザが吸入するとマウスピース105を通って流れる空気流が、マウスピース105の外周面から引き出される。この実施形態では、ハウジング111及び封止部材114は別個の構成要素として形成されるが、別の実施形態では、一体に形成することができる。
マウスピース105は、被検者の唇に把持されるように構成され、ほぼ円筒状の前方に開いた端部を規定し、使用の際に吸入器を作動させるとそこを通して薬剤のエーロゾル噴霧が送達される外部区画116と、閉じた後部区画を有する内部区画119と、例えばエーロゾル噴霧を内部区画119内に、且つそこを通して送達する、内部区画119の後端に結合されたノズル出口121とを備える。
この実施形態では、外部区画116及び内部区画119は、例えば、マウスピース105の内周面において、エーロゾル噴霧がノズル出口121から送達されるときにそれを被覆するほぼ環状の空気流を提供し、それによってエーロゾル噴霧を取り込むとともにマウスピース105の内表面における付着を低減する、少なくとも一つの、この実施形態では複数の空気流路122を規定するように構成される。
この実施形態では、内部区画119の後部区画は弓形の形状を、ここでは楕円形を有する。
ノズル出口121は、マウスピース105の内部区画119を通してエーロゾル噴霧を送達する噴霧オリフィス123、及び噴霧オリフィス123に流体接続された送達チャネル125を含む。
この実施形態では、送達チャネル125は、噴霧オリフィス123に向かって狭くなる先細状のチャネルである。この実施形態では、送達チャネル125は直線状の壁区画を有する。
この実施形態では、マウスピース105は、一般的にプラスチック材料から形成されるような、単一の一体的構成要素を備える。
ノズルアセンブリ104は、この実施形態ではハウジング111の基部表面に配置される、キャニスター106の弁心棒108を受け入れるノズルブロック127と、ノズルブロック127に流体接続された、例えばマウスピース105を通してエーロゾル噴霧を送達するマウスピース105のノズル出口121とを備える。一実施形態では、ノズルブロック127は主要本体103のハウジング111と一体に形成される。
ノズルブロック127は、この実施形態ではハウジング111の長手方向軸線と同軸である、キャニスター106の弁心棒108を受け入れる管状ボア133を含む。管状ボア133は、一端、即ちその上端では開いており、キャニスター106の弁心棒108の外寸とほぼ同じ内寸を有する上側区画135と、より小さな寸法を有する下側区画137とを含み、それらの区画135及び137はともに、弁心棒108の遠位端のための環状の台座を規定する。この実施形態では、ノズルブロックは、その管状ボア133の直下に位置付けられた別個の伸縮性チャンバ149部分を備える。
ノズルブロック127は、マウスピース105のノズル出口121を受け入れ、その管状ボア133に流体接続される横向きのキャビティ145を含む。
この実施形態では、ノズル出口121は、ノズルブロック127内の横向きのキャビティ145にしっかりと摩擦嵌めされるように構成される。望ましくは、しっかりした摩擦嵌めは気密封止をもたらす。他の実施形態では、やはり好ましくは気密封止をもたらすように構成された他のタイプの封止方法が用いられてもよい。
ノズルアセンブリ104をこのように構成して、ノズル出口121及びノズルブロック127を、異なる材料で、且つそれらの目的に特に適した異なる規格に形成することができる。
一実施形態では、ノズル出口121は、従来技術の装置において行われるように、ノズルブロック127と一体に形成した場合に達成できるよりも高い許容差で、且つ異なる設計で製作することができる。
一実施形態では、ノズルブロック127は、通常は、キャニスター106の本体107をアクチュエータの主要本体103に対して押し下げることによって吸入器を作動させた際に生じるような曲がりに抵抗する、硬質プラスチック材料などの比較的剛性の材料で形成することができる。
一実施形態では、吸入器は、マウスピース105を閉止するマウスピースキャップ(図示なし)を更に備える。
この実施形態の一修正例では、ノズルブロック127を、マウスピース105とともに取外し可能であるように結合することができる。
図7〜9は、本発明の別の実施形態による吸入器の態様を示す。
図7は、適切には全てプラスチックから形成される、前部上側ハウジング部203a及び後部上側ハウジング部203bと下側ハウジング部202とを組み合わせて規定されるハウジングを備える、本明細書の吸入器を示す。ハウジング全体の形態は、大まかに言えば下側ハウジング部202の後部がユーザの手のひらに受け入れられるようにして、ユーザの手で受け入れるのを容易にするように構成されることに留意されたい。マウスピース213(図7では見えないが、図8を参照)は、取外し可能なマウスピースカバー250によって保護され、下側ハウジング部202の前部から延び、使用の際、患者の口に挿入されてそこを通して吸入を行うように構成される。レッジ252が下側ハウジング部202の基部に設けられるので、装置は、レッジ252及びマウスピースカバー250上で「直立」するように構成されてもよい。マウスピースカバー250は、英国特許出願第0518355号による優先権を主張する出願人による同時係属中のPCT特許出願WO-A-2007/028992に記載されている形態を取ってもよく、それら両方の全内容を参照により本明細書に組み込む。
図7に示されるように、上側ハウジング部203a及び203bは、互いに、且つ下側ハウジング部202に恒久的に固定される。代替実施形態では、上側ハウジング部203a及び203bは互いに恒久的に固定されるが、下側ハウジング部202には、適切な可逆的固定メカニズムによって可逆的に固定されるので、上側部分203a及び203bは下側部分202から可逆的に取り外されて、その内部へのアクセスを可能にしてもよい。吸入器が、空になった薬剤キャニスター(図9のキャニスター206を参照)を新しいものと交換することによって再装填可能であるように構成された代替実施形態が特に適切である。適切な可逆的固定メカニズムとしては、ねじ固定メカニズム、並びに押込み嵌め及び/又はスナップ嵌め固定メカニズムが挙げられる。
向かい合ったレバー254a及び254bは、前部上側ハウジング部203a及び後部上側ハウジング部203bに設けられたアパーチャ255a及び255bから突出する。レバー254a及び254bは、例えば、使用の際に患者の指及び親指にそれぞれ適応し、それによって装置の片手操作を促進するように形作られる。要するに、レバー254a及び254bは、患者が、一般的には指と親指とで握り締める動作によって、レバー254a及び254bを互いに向かって押すのに応答して、吸入器が発射されてもよいように構成される。実施形態では、レバー254a及び254bは、ユーザの快適さ及び/又はその把持について選択された構成材料を用いた二重成形プロセスによって形成される。
図8は、マウスピース213が露出しており、レバー254bが内向きに押されてアパーチャ255bが開いている、「使用中」位置にある図7のアクチュエータの半身を示す。したがって、外部空気260は、ここでは、患者がマウスピース213を通して吸入するのに応答して、このアパーチャ255b(また反対側で同様にアパーチャ255aを通して)を通して吸入器ハウジングの本体に引き込まれてもよい。
図9は、図7の吸入器の内部機構、特に、やはり「使用中」位置で示される吸入器本体を通る空気流260及び262をより詳細に示す。
図9をより詳細に参照すると、吸入器は、下側本体部202に結合され、吸入器を作動させると薬剤のエーロゾル噴霧を送達するノズルアセンブリ204を備えることが分かる。マウスピース213も下側本体部202に結合され、使用の際、ユーザの唇に把持されて、経口吸入を促進する。吸入器内には、吸入器を作動させると送達される薬剤を収容し、主要本体に嵌合されるとともにノズルアセンブリ204に流体接続されたエーロゾルキャニスター206が受け入れられる。
キャニスター206は、加圧された噴霧剤中の薬剤を収容するチャンバを規定する本体207と、本体207の一端、即ちヘッドから延びる弁心棒208と、通常は閉位置に付勢されており、弁心棒208が本体207内へ押し下げられたとき、開かれてキャニスター206から定量の薬剤を送達する内部計量弁(図示なし)とを備える。
マウスピース213は、被検者の唇に把持されるように構成され、ほぼ円筒状の前方に開いた端部を規定し、使用の際に吸入器を作動させるとそこを通して薬剤のエーロゾル噴霧が送達される外部区画216と、閉じた後部区画(後述する空気穴222及び噴霧オリフィス223を除く)を有する、本質的に「バケツ形」の内部区画219と、例えばエーロゾル噴霧を内部区画219内に、且つそこを通して送達する、内部区画219の後端に結合されたノズル出口221とを備える。この実施形態では、マウスピース213は、ノズルブロック227に接続するように組み立てられた、吸入器の別個に形成された構成要素部分である。
本明細書の吸入器のこの実施形態を使用する際、空気260は、吸入器の本体の後部203bを下り、ノズルアセンブリ204の周りを越えて、噴霧オリフィス223の周りに配置された後部(即ち、「バケツ」の基部)の二重の水平な溝状空気穴222を備えるマウスピースの内部区画219の後部に向かって引き込まれる。空気穴222は、噴霧オリフィス223から等間隔で配置されてもよい。図に見られるように、空気260がこれらの二重の空気穴222を通して引き込まれると、二重の空気流262がマウスピース213内で規定される。これは、マウスピース213の内周面で部分的に環状の空気流をもたらし、それがノズル出口221の噴霧オリフィス223から送達されるエーロゾル噴霧264を部分的に覆い、それによってエーロゾル噴霧が取り込まれるとともに、マウスピース213の内表面における付着が低減される。
この実施形態では、内部区画219の後部は、「バケツ」の基部を形成するほぼ平面の形状を有する。基部の縁部は外向きに湾曲しているので、内部区画219は、ノズルアセンブリ204から離れる方向で増加する内寸を有する。
ノズル出口221は、マウスピース213の内部区画219を通してエーロゾル噴霧を送達する噴霧オリフィス223と、噴霧オリフィス223に流体接続される送達チャネル225とを含む。
この実施形態では、送達チャネル225は、噴霧オリフィス223に向かって狭くなる先細状のチャネルである。この実施形態では、送達チャネル225は直線状の壁区画を有する。
この実施形態では、ノズルアセンブリ204は、キャニスター206の弁心棒208を受け入れるノズルブロック227と、例えばマウスピース213を通してエーロゾル噴霧を送達するように、ノズルブロック227に流体接続されるマウスピース213のノズル出口221とを備える。この実施形態では、ノズルブロック227は下側本体部202と一体に形成されてもよい。
ノズルブロック227は、この実施形態ではハウジングの長手方向軸線と同軸である、キャニスター206の弁心棒208を受け入れる管状ボア233を含む。管状ボア233は、一端、即ちその上端では開いており、キャニスター205の弁心棒208の外寸とほぼ同じ内寸を有する上側区画235と、より小さな寸法を有する下側区画237とを含み、それらの区画235及び237はともに、弁心棒208の遠位端のための環状の台座を規定する。
この実施形態では、ノズルブロック227は、マウスピース213のノズル出口221を受け入れ、その管状ボア233に流体接続される横向きのキャビティ245を含む。ノズル出口221は、ノズルブロック227内の横向きのキャビティ245にしっかりと摩擦嵌めされるように構成される。望ましくは、しっかりした摩擦嵌めは気密封止をもたらす。他の実施形態では、やはり好ましくは気密封止をもたらすように構成された他のタイプの封止方法が用いられてもよい。
ノズルアセンブリ204をこのように構成して、ノズル出口221及びノズルブロック227を、異なる材料で、且つそれらの目的に特に適した異なる規格に形成することができる。
レバー254a及び254bが、2006年8月22日出願の米国仮出願第60/823,139号、及びそれによる優先権を主張し、米国を指定国とするとともに代理人整理番号PB61970で本出願と同時出願された国際(PCT)特許出願、2007年3月13日出願の米国仮出願第60/894,537号、並びにそれぞれ代理人整理番号PB62118P1及びPB62540Pで本出願とやはり同時出願された、「DRUG DISPENSER」という名称の二つの米国仮出願に記載されているような、キャニスター206に取り付けられたメカニズムと協働することによって、キャニスター206から薬剤が放出されてもよく、それらの出願を全て参照により本明細書に組み込む。
図10は、第3の実施形態の二重の水平な溝状空気穴222が、マウスピース313の内部区画319の後部(即ち、「バケツ」の基部)にある、噴霧オリフィス322の周りの四つの円形空気穴322(図10では三つのみが見えている)の構成に置き換えられていることを除いて、全ての側面で第3の実施形態と同一である、図7〜9の吸入器装置の第3の実施形態の一変形例を示す。四つの空気穴322は、噴霧オリフィスの周りにほぼ円形の配置で、この実施形態では互いに対して90°角度をずらして構成されていることが分かる。噴霧オリフィスは、空気穴322の円形構成の中心に位置してもよい。四つの円形空気穴322を組み合わせた断面積(即ち、加算したときの合計断面積)は20〜45mm2である。図10に見られるように、空気360がそれら複数の間隔を空けた空気穴322を通して引き込まれると、複数の空気流362がマウスピース313内で規定される。これは、マウスピース313の内周面において本質的に環状の空気流をもたらし、それがノズル出口321の噴霧オリフィスから送達されるエーロゾル噴霧364を本質的に覆い、それによってエーロゾル噴霧が取り込まれるとともに、マウスピース313の内表面における付着が低減される。
図10の実施形態の変形例では、四つの空気穴322の対称的な円形の配置が、三つ又は五〜十個の空気穴322の対称的な円形の配置に置き換えられる。図10の実施形態の他の変形例では、四つの空気穴322の対称的な円形の配置は、三〜十個の楔状又は溝状の空気穴322の対称的な放射状に広がる配置に置き換えられる。
図11a〜11nは、図7〜9及び10の薬剤ディスペンサー装置にそれらのマウスピース13及び113の代替物として用いられてもよい、他のマウスピース形態413a〜413nを示す。これらの代替マウスピース形態413a〜413nは、これらの代替マウスピース形態413a〜413nの内部区画419a〜419nの後部に設けられた空気穴422a〜422nそれぞれのサイズ、形状、及び数の点でのみ異なり、それらの空気穴422a〜422nは、上述と同様に、噴霧オリフィス423a〜423nの周りに配置される。
つまり、図11a〜11d及び11iは、四つの円形空気穴422a〜422d及び422iの異なる配置を示し、図11e及び11fは、三つの溝状空気穴422e及び422fの異なる配置を示し、図11g及び11hは、六つの溝状空気穴422g及び422hの異なる配置を示し、図11jは、多数の円形空気穴422jの配置を示し、図11kは、二つの同心リング状に配置された六つの湾曲した溝状空気穴422kの配置を示し、図11l〜11nは、リングパターンで配置された三つの湾曲した溝状空気穴422l〜422nの異なる配置を示す。
本明細書に示されるような出口(例えば、マウスピース)の形態は、その清潔さを維持するのを容易にするのを助ける。特に、出口の内周面において提供される環状の空気流は、その表面の清潔さを維持するのを助ける。
本発明の上述の実施形態はそれぞれ、上記の「関連出願の相互参照」の項で参照した米国仮出願及び/又は国際(PCT)出願のいずれか、或いは本明細書で参照する他の特許/特許出願のいずれかに開示されている、一つ又は複数の特徴を組み込むように修正されてもよい。実施形態は、更に、本発明の記述及び添付の特許請求の範囲における一つ又は複数の特徴を組み込むように修正されてもよい。
本明細書のアクチュエータ及び/又は吸入器は、製剤を患者に分配する際に使用するのに適している。製剤は、あらゆる適切な形態を取ってもよく、希釈剤、溶剤、キャリア、及び噴霧剤などの他の適切な成分を含んでもよい。
薬剤の投与は、軽度、中程度、若しくは重度の急性又は慢性症状の治療、或いは予防的治療適応されてもよい。正確な投与量は、患者の年齢及び症状、使用される特定の薬剤、及び投与の頻度に応じて変わり、最終的には付き添う医師の裁量であることが理解されるであろう。薬剤の組合せが用いられる実施形態が想到される。
したがって、適切な薬剤は、例えば、コデイン、ジヒドロモルヒネ、エルゴタミン、フェンタニル、又はモルヒネなどの鎮痛薬、ジルチアゼムなどのアンギナ性製剤、クロモグリケート(例えば、ナトリウム塩として)、ケトチフェン、又はネドクロミル(例えば、ナトリウム塩として)などの抗アレルギー剤、セファロスポリン、ペニシリン、ストレプトマイシン、スルホンアミド、テトラサイクリン、及びペンタミジンなどの抗感染薬、メタピリレンなどの抗ヒスタミン剤、ベクロメタゾン(例えば、ジプロピオン酸エステルとして)、フルチカゾン(例えば、プロピオン酸エステルとして)、フルニソリド、ブデソニド、ロフレポニド、モメタゾン(例えば、フロン酸エステルとして)、シクレソニド、トリアムシノロン(例えば、アセトニドとして)、又は6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3-イル)エステルなどの抗炎症剤、ノスカピンなどの鎮咳剤、アルブテロール(例えば、遊離塩基若しくは硫酸塩として)、サルメテロール(例えば、キシナホ酸塩として)、エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール(例えば、臭化水素として)、サルメファモール、カルブテロール、マブテロール、エタンテロール、ナミンテロール、クレンブテロール、フレルブテロール、バンブテロール、インダカテロール、フォルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、イソプレナリン、メタプロテレノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピルブテロール(例えば、アセテートとして)、レプロテロール(例えば、塩酸塩として)、リミテロール、テルブタリン(例えば、硫酸塩として)、イソエタリン、ツロブテロール、又は4-ヒドロキシ-7-[2-[[2-[[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル]エチル]アミノ]エチル-2(3H)-ベンゾチアゾロンなどの気管支拡張薬、2R,3R,4S,5R)-2-[6-アミノ-2-(1S-ヒドロキシメチル-2-フェニル-エチルアミノ)-プリン-9-イル]-5-(2-エチル-2H-テトラゾル-5-イル)-テトラヒドロ-フラン-3,4-ジオール(例えば、マレイン酸塩として)などのアデノシン2a作動薬、(2S)-3-[4-({[4-(アミノカルボニル)-1-ピペリジニル]カルボニル}オキシ)フェニル]-2-[((2S)-4-メチル-2-{[2-(2-メチルフェノキシ)アセチル]アミノ}ペンタノイル)アミノ]プロパン酸(例えば、遊離酸若しくはカリウム塩として)などのα4インテグリン阻害薬、アミロライドなどの利尿薬、イプラトロピウム(例えば、臭化物として)、チオトロピウム、アトロピン、又はオキシトロピウムなどの抗コリン作用薬、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、又はプレドニゾロンなどのホルモン、アミノフィリン、コリンテオフィリネート、リジンテオフィリネート、又はテオフィリンなどのキサンチン、インシュリン、又はグルカゴンなどの治療タンパク質及びペプチド、ワクチン剤、診断用薬、並びに遺伝子治療薬から選択されてもよい。適切であれば、薬剤は、薬剤の活性及び/又は安定性を最適化するため、塩類(例えば、アルカリ金属若しくはアミン塩として、又は酸付加塩として)の形態で、或いはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、或いは溶媒和物(例えば、水和物)として使用されてもよいことが、当業者には明白になるであろう。
製剤は、実施形態では、単独療法用(即ち、単一の活性薬剤を含有する)製品であってもよく、又は、併用療法用(即ち、複数の活性薬剤を含有する)製品であってもよい。
併用療法用製品の適切な薬剤又は薬剤成分は、一般的に、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド若しくはNSAID)、抗コリン作用薬(例えば、M1、M2、M1/M2、若しくはM3受容体拮抗薬)、他のβ2-アドレナリン受容体作動薬、抗感染薬(例えば、抗生物質若しくは抗ウイルス剤)、及び抗ヒスタミン剤から成る群から選択される。全ての適切な組合せが想到される。
適切な抗炎症剤としては、コルチコステロイド及びNSAIDが挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて使用されてもよい適切なコルチコステロイドは、経口及び吸入用のコルチコステロイド、並びに抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステル若しくは、17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロン酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコート、RPR-106541、及びST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-(2,2,3,3,-テトラメチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-シアノメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-(1-メチルシクロプロピルカルボニル)オキシ-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、及び9α,21ジクロロ-11β,17αメチル-1,4プレグナジエン3,20ジオン-17-[2']フロン酸(フロン酸モメタゾン)が挙げられる。
更なるコルチコステロイドは、WO02/088167、WO02/100879、WO02/12265、WO02/12266、WO05/005451、WO05/005452、WO06/072599、及びWO06/072600に記載されている。
転写活性化能(transactivation)よりも転写抑制能(transrepression)に対して選択性を持ってもよく、有用であり得る、グルココルチコイド闘争性を有する非ステロイド性化合物は、WO03/082827、WO98/54159、WO04/005229、WO04/009017、WO04/018429、WO03/104195、WO03/082787、WO03/082280、WO03/059899、WO03/101932、WO02/02565、WO01/16128、WO00/66590、WO03/086294、WO04/026248、WO03/061651、WO03/08277、WO06/000401、WO06/000398、及びWO06/015870に開示されている。
適切なNSAIDとしては、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬(例えば、テオフィリン、PDE4阻害薬、若しくは混合PDE3/PDE4阻害薬)、ロイコトリエン拮抗薬、ロイコトリエン合成阻害薬、iNOS阻害薬、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害薬、β2インテグリン拮抗薬、及びアデノシン受容体作動薬又は拮抗薬(例えば、アデノシン2a作動薬)、サイトカイン拮抗薬(例えば、ケモキン拮抗薬)、サイトカイン合成阻害薬、或いは5-リポキシゲナーゼ阻害薬が挙げられる。iNOS阻害薬の例としては、WO93/13055、WO98/30537、WO02/50021、WO95/34534、及びWO99/62875に開示されているものが挙げられる。CCR3阻害薬の例としては、WO02/26722に開示されているものが挙げられる。
適切な気管支拡張薬は、キシナホ酸サルメテロールなどのサルメテロール(ラセミ体、若しくはR-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーであってもよい)、硫酸サルブタモールなどの又は遊離塩基としてのサルブタモール(ラセミ体、若しくはR-エナンチオマーなどの単一エナンチオマーであってもよい)、フマル酸フォルモテロールなどのフォルモテロール(ラセミ体、若しくはR,R-ジアステレオマーなどの単一ジアステレオマーであってもよい)、又はテルブタリン、及びそれらの塩類を含むβ2-アドレナリン受容体作動薬である。他の適切なβ2-アドレナリン受容体作動薬は、3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド、3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}-アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド、4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、4-{(1R)-2-[(6-{4-[3-(シクロペンチルスルホニル)フェニル]ブトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール、N-[2-ヒドロキシル-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド、及びN-2{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン、並びに5-[(R)-2-(2-{4-[4-(2-アミノ-2-メチル-プロポキシ)-フェニルアミノ]-フェニル}-エチルアミノ)-1-ヒドロキシ-エチル]-8-ヒドロキシ-1H-キノリン-2-オンである。好ましくは、β2-アドレナリン受容体作動薬は、長時間作用型のβ2-アドレナリン受容体作動薬(LABA)、例えば約12時間以上有効に気管支を拡張する化合物である。
他のβ2-アドレナリン受容体作動薬としては、WO02/066422、WO02/070490、WO02/076933、WO03/024439、WO03/072539、WO03/091204、WO04/016578、WO2004/022547、WO2004/037807、WO2004/037773、WO2004/037768、WO2004/039762、WO2004/039766、WO01/42193、及びWO03/042160に記載されているものが挙げられる。
好ましいホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害薬は、シス4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オン、及びシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]である。
他の適切な薬剤化合物としては、米国特許第5,552,438号に開示されているシス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロマラスト(cilomalast)としても知られている)、その塩類、エステル類、プロドラッグ、若しくは物理的形態、elbion製のAWD-12-281(Hofgen, N. et al. 15th EFMC Int Symp Med Chem (Sept 6-10, Edinburgh) 1998, Abst p.98、CAS参照番号247584020-9)、NCS-613(INSERM)として指定される9-ベンジルアデニン誘導体、Chiroscience及びSchering-Plough製のD-4418、CI-1018(PD-168787)として特定されるPfizer製のベンゾジアゼピンPDE4阻害薬、協和発酵によってWO99/16766に開示されているベンゾジオキソール誘導体、協和発酵製のK-34、Napp製のV-11294A(Landells, L.J. et al. Eur Resp J [Annu Cong Eur Resp Soc (Sept 19-23, Geneva) 1998] 1998, 12 (Suppl. 28): Abst P2393)、Byk-Gulden製のロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)及びフタラジノン(pthalazinone)(WO99/47505、その開示を参照により組み込む)、プマフェントリン(Pumafentrine)、即ち、Byk-Gulden、現在のAltanaによって調製され公表された混合PDE3/PDE4阻害薬である(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンザミド、Almirall-Prodesfarmaが開発中のアロフィリン、Vernalis製のVM554/UM565、或いはT-440(田辺製薬、Fuji, K. et al. J Pharmacol Exp Ther, 1998, 284(1): 162)、及びT2585が挙げられる。
更なる化合物は、全てGlaxo Group LimitedのWO04/024728、WO04/056823、及びWO04/103998に開示されている。
適切な抗コリン作用薬は、ムスカリン受容体において拮抗薬として作用する化合物であり、特に、M1若しくはM3受容体の拮抗薬、M1/M3若しくはM2/M3受容体の二重拮抗薬、又はM1/M2/M3受容体の汎拮抗薬である化合物である。代表的な化合物としては、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンの類似物によって説明されるようなベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられ、これらの化合物は通常、三級アミンである塩として投与される。
他の適切な抗コリン作用薬は、(3-エンド)-3-(2,2-ジ-2-チエニルエテニル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(3-エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物、4-[ヒドロキシ(ジフェニル)メチル]-1-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン臭化物、(1R,5S)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニルエチル)-8-メチル-8-{2-[(フェニルメチル)オキシ]エチル}-8-アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物、(エンド)-3-(2-メトキシ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(エンド)-3-(2-カルバモイル-2,2-ジフェニル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、(エンド)-3-(2-シアノ-2,2-ジ-チオフェン-2-イル-エチル)-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタンヨウ化物、及び(エンド)-3-{2,2-ジフェニル-3-[(1-フェニル-メタノイル)-アミノ]-プロピル}-8,8-ジメチル-8-アゾニア-ビシクロ[3.2.1]オクタン臭化物などの、ムスカリン拮抗薬である。
特に適切な抗コリン作用薬としては、Atroventの名称で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)、及びチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS-139404-48-1)が挙げられる。やはり重要なものとしては、メタンテリン(CAS-53-46-3)、臭化プロパンテリン(CAS-50-34-9)、アニソトロピン臭化メチル、即ちValpin 50(CAS-80-50-2)、臭化クリジニウム(Quarzan、CAS-3485-62-9)、コピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS-71-81-8)、臭化メペンゾラート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilone、CAS-4310-35-4)、及びメチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral、CAS-115-63-9)がある。塩酸シクロペントラート(CAS-5870-29-1)、トロピカミド(CAS-1508-75-4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS-144-11-6)、ピレンゼピン(CAS-29868-97-1)、テレンゼピン(CAS-80880-90-9)、AF-DX 116、即ちメトクトラミン、及びWO01/04118に開示されている化合物も参照のこと。やはり重要なものとしては、レバトロパン酸(例えば、臭化水素として、CAS 262586-79-8)及びWO01/04118に開示されているLAS-34273、ダリフェナシン(CAS 133099-04-4、又はEnablexの名称で販売されている臭化水素についてはCAS 133099-07-7)、オキシブチニン(CAS 5633-20-5、Ditropanの名称で販売)、テロジリン(CAS 15793-40-5)、トルテロジン(CAS 124937-51-5、又はDetrolの名称で販売されている酒石酸塩についてはCAS 124937-52-6)、オチロニウム(例えば、Spasmomenの名称で販売されている臭化物、CAS 26095-59-0として)、塩化トロスピウム(CAS 10405-02-4)、及びソリフェナシン(CAS 242478-37-1、又はYM-905として知られ、Vesicareの名称で販売されている琥珀酸塩についてはCAS 242478-38-2)がある。
他の抗コリン作用薬としては、USSN 60/487,981及びUSSN 60/511,009に開示されている化合物が挙げられる。
適切な抗ヒスタミン剤(H1受容体拮抗薬とも称される)としては、H1-受容体を阻害し、ヒトが使用するのに安全であることが知られている多数の拮抗薬の任意の一つ又は複数が挙げられる。全て、ヒスタミンとH1-受容体との相互作用の可逆的な競争的阻害剤である。例としては、エタノールアミン、エチレンジアミン、及びアルキルアミンが挙げられる。それに加えて、他の第1世代の抗ヒスタミン剤としては、ピペリジン及びフェノチアジンをベースとするものとして特徴付けることができるものが挙げられる。鎮静性ではない第2世代の拮抗薬は、コアエチレン基(アルキルアミン)を保持するか、又はピペリジン若しくはピペリジンによって三級アミン基を模倣するという点で、類似の構造活性関係を有する。
H1拮抗薬の例としては、それらに限定されるものではないが、アメレキサノックス、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、ドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、オロパタジン、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジン、及びトリプロリジン、特にセチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン、及びフェキソフェナジンが挙げられる。
代表的なH1拮抗薬は次のとおりである。エタノールアミン(マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン、及びジメンヒドリナート)、エチレンジアミン(マレイン酸ピリラミン(pyrilamine amleate)、トリペレナミンHCl、及びクエン酸トリペレナミン)、アルキルアミン(クロフェニラミン、及びマレイン酸塩などのその塩類、並びにアクリバスチン)、ピペラジン(ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl、及びセチリジンHCl)、ピペリジン(アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジン又はそのデスカルボエトキシ類似体、並びに塩酸テルフェナジン及び塩酸フェキソフェナジン、或いは別の薬学的に容認可能な塩)。
塩酸アゼラスチンは、PDE4阻害薬と組み合わせて使用されてもよい更に別のH1受容体拮抗薬である。
薬剤、又は薬剤の一つは、H3拮抗薬(及び/又は逆作動薬)であってもよい。H3拮抗薬の例としては、例えば、WO2004/035556及びWO2006/045416に開示されている化合物が挙げられる。
使用されてもよい他のヒスタミン受容体拮抗薬としては、H4受容体の拮抗薬(及び/又は逆作動薬)、例えば、Jablonowski et al., J. Med. Chem. 46:3957-3960 (2003)に開示されている化合物が挙げられる。
実施形態では、製剤は、β2-アドレナリン受容体作動薬、コルチコステロイド、PDE-4阻害薬、及び抗コリン作用薬の一つ又は複数を含む。
一般に、気管支又は肺胞領域に送達するのに適した粉末状の薬剤粒子は、10μm未満、好ましくは1〜6μmの空気動力学的直径を有する。鼻腔、口、又は喉など、呼吸器官の他の部分に送達されることが望ましい場合、他のサイズの粒子が使用されてもよい。
治療効果を得るのに必要な、あらゆる特定の薬剤、又は薬学的に容認可能な塩、溶媒和物、若しくはその生理学的に機能的な誘導体の量は、当然ながら、特定の化合物、投与経路、治療を受ける被検者、及び治療されている特定の疾患若しくは疾病に応じて変わる。本明細書では、呼吸器疾患の治療用の薬剤は、例えば、0.0005mg〜10mg、好ましくは0.005mg〜0.5mgの用量で吸入によって投与されてもよい。成人のヒト向けの用量範囲は、一般に、一日当たり0.0005mg〜100mg、好ましくは一日当たり0.01mg〜1.5mgである。
一実施形態では、薬剤は、任意に他の薬学的に容認可能な賦形剤成分を含有する、あらゆる適切なエーロゾル製剤として配合される。実施形態では、エーロゾル製剤は噴霧剤中に薬剤の懸濁液を含む。実施形態では、噴霧剤は、フルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボン噴霧剤である。
適切な噴霧剤としては、例えば、CH2ClF、CClF2CHClF、CF3CHClF、CHF2CClF2、CHClFCHF2、CF3CH2Cl、及びCClF2CH3などのC1〜4水素含有クロロフルオロカーボン、CHF2CHF2、CF3CH2F、CHF2CH3、及びCF3CHFCF3などのC1〜4水素含有フルオロカーボン、並びにCF3CF3及びCF3CF2CF3などの過フルオロカーボンが挙げられる。
フルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンの混合物が用いられる場合、それらは、上述の化合物又は混合物、好ましくは二元混合物と、他のフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボン、例えばCHClF2、CH2F2、及びCF3CH3との混合物であってもよい。好ましくは、単一のフルオロカーボン又は水素含有クロロフルオロカーボンが噴霧剤として使用される。噴霧剤として特に好ましいのは、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(CF3CH2F)及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン(CF3CHFCF3)、又はそれらの混合物などのC1〜4水素含有フルオロカーボンである。
製剤は、好ましくは、CCl3F、CCl2F2、及びCF3CCl3などのクロロフルオロカーボンを実質的に含まない。好ましくは、噴霧剤は、液化したHFA134a若しくはHFA-227、又はそれらの混合物である。
噴霧剤は、飽和炭化水素、例えばプロパン、n-ブタン、液化ペンタン及びイソペンタン、又はジアルキルエーテル、例えばジメチルエーテルなどの揮発性補助剤を更に含有してもよい。一般に、噴霧剤の50重量%以内が、例えば1〜30重量%の揮発性炭化水素を含んでもよい。但し、揮発性補助剤を全く又は実質的に含まない製剤が好ましい。特定の例では、適量の水を含むことが望ましいことがあり、それは、噴霧剤の誘電特性を修正するのに有利な場合がある。
製剤の分散を改善するため、唯一の賦形剤として、或いは界面活性剤などの他の賦形剤に加えて、C2〜6脂肪族アルコール及び多価アルコール、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、好ましくはエタノールなどの極性補助溶剤(polar co-solvent)が、所望量で製剤に含まれてもよい。実施形態では、製剤は、極性補助溶剤、例えばエタノールを、噴霧剤の重量基準で0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜5重量%、例えば約0.1〜1重量%含有してもよい。本明細書の実施形態では、溶剤は十分な量で薬剤成分の可溶性部分又は全てに添加され、そのような製剤は、一般に、「溶液」エーロゾル製剤と称される。
界面活性剤もエーロゾル製剤に使用されてもよい。従来の界面活性剤の例はEP-A-372,777に開示されている。用いられる界面活性剤の量は、薬剤に対して0.0001〜50重量%、特に0.05〜10重量%の範囲であることが望ましい。
エーロゾル製剤は、望ましくは、製剤の総重量に対して0.005〜10重量%、好ましくは0.005〜5重量%、特に0.01〜2重量%の薬剤を含有する。
別の実施形態では、薬剤は、あらゆる適切な流体製剤として、特に、任意に他の薬学的に容認可能な添加剤成分を含有する、溶液(例えば、水性)製剤又は懸濁液製剤として配合される。
適切な製剤(例えば、溶液又は懸濁液)は、pHを適切に選択することによって、(例えば、塩酸若しくは水酸化ナトリウムを使用して)安定化されてもよい。一般的には、pHは、4.5〜7.5、好ましくは5.0〜7.0、特に約6〜6.5に調節される。
適切な製剤(例えば、溶液若しくは懸濁液)は一つ又は複数の賦形剤を含んでもよい。「賦形剤」という用語により、本明細書では、それらに限定されないが、製薬等級の炭水化物、有機及び無機塩類、ポリマー、アミノ酸、リン脂質、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、ポロキサマー、プルロニック、及びイオン交換樹脂、並びにそれらの組合せを含む、無毒であり、有害な形で組成物の他の成分と相互作用しないほぼ不活性の物質を意味する。
適切な炭水化物としては、フルクトースを含む単糖類、それらに限定されないが、ラクトース並びにその組合せ及び誘導体などの二糖類、それらに限定されないが、セルロース並びにその組合せ及び誘導体などの多糖類、それらに限定されないが、デキストリン並びにその組合せ及び誘導体などのオリゴ糖、それらに限定されないが、ソルビトール並びにその組合せ及び誘導体などの多価アルコールが挙げられる。
適切な有機及び無機塩類としては、リン酸ナトリウム又はリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、並びにそれらの組合せ及び誘導体が挙げられる。
適切なポリマーとしては、それらに限定されないが、ゼラチン並びにその組合せ及び誘導体を含む天然生分解性タンパク質ポリマー、それらに限定されないが、キチン及びデンプン、架橋デンプン、並びにそれらの組合せ及び誘導体を含む天然生分解性多糖ポリマー、それらに限定されないが、キトサンの誘導体を含む半合成生分解性ポリマー、それらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ乳酸(PLA)、それらに限定されないがポリビニルアルコール並びにその組合せ及び誘導体を含む合成ポリマーを含む、合成生分解性ポリマーが挙げられる。
適切なアミノ酸としては、ロイシン並びにその組合せ及び誘導体など、無極性アミノ酸が挙げられる。適切なリン脂質としては、レシチン並びにその組合せ及び誘導体が挙げられる。
適切な湿潤剤、界面活性剤、及び/又は乳化剤としては、アラビアゴム、コレステロール、脂肪酸、並びにそれらの組合せ及び誘導体が挙げられる。適切なポロキサマー及び/又はプルロニックとしては、ポロキサマー188、Pluronic(登録商標)F-108、並びにそれらの組合せ及び誘導体が挙げられる。適切なイオン交換樹脂としては、アンバーライトIR120並びにその組合せ及び誘導体が挙げられる。
適切な溶液製剤は、界面活性剤などの可溶化剤を含んでもよい。適切な界面活性剤としては、Tritonシリーズのもの、例えばTriton X-100、riton X-114、及びTriton X-305(Xの数は、ポリマー中のエトキシ反復単位(ethoxy repeating units)の平均数(一般的に約7〜70、特に約7〜30、特に約7〜10)を広範に示す)を含む、α-[4-1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-ω-ヒドロキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)ポリマー、並びに、3500〜5000の、特に4000〜4700の相対分子量を有するもの、特にTyloxapolなど、ホルムアルデヒド及びオキシランを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノールポリマーが挙げられる。界面活性剤は、一般的に、製剤の重量基準で約0.5〜10重量%、好ましくは約2〜5重量%の濃度で用いられる。
適切な溶液製剤はまた、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 200)及びプロピレングリコールなどのグリコール、デキストロースなどの糖、及びエタノールを含む、ヒドロキシル含有有機補助溶剤を含んでもよい。デキストロース及びポリエチレングリコール(例えば、PEG 200)、特にデキストロースが好ましい。プロピレングリコールは、好ましくは、20%以下、特に10%以下の量で使用され、最も好ましくは完全に回避される。エタノールは好ましくは回避される。ヒドロキシル含有有機補助溶剤は、一般的に、製剤の重量基準で0.1〜20重量%、例えば0.5〜10重量%、例えば約1〜5重量%の濃度で用いられる。
適切な溶液製剤はまた、ポリソルベート、グリセリン、ベンジルアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、Cremophors、Brij)などの可溶化剤を含んでもよい。
適切な溶液製剤はまた、増粘剤(viscosity enhancing agents)、防腐剤、及び等張性調節剤(isotonicity adjusting agents)の一つ又は複数を含んでもよい。
適切な増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ベーゴム(veegum)、トラガント、ベントナイト、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407)、ポリエチレングリコール、アルギナート、キサンチムゴム(xanthym gums)、カラギーナン、及びカルボポル(carbopols)が挙げられる。
適切な防腐剤としては、四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、及び塩化セチルピリジウム)、水銀剤(例えば、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、及びチメロサール)、アルコール剤(例えば、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、及びベンジルアルコール)、抗菌エステル(例えば、パラ-ヒドロキシ安息香酸のエステル)、エデト酸ナトリウム(EDTA)などのキレート剤、並びにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、ソルビン酸とその塩類、及びポリミキシンなどの他の抗微生物剤が挙げられる。
適切な等張性調節剤は、体液(例えば、鼻腔の流体)との等張性を達成するなどの作用をし、その結果、多くの経鼻製剤に関連する刺激の程度を低減する。適切な等張性調節剤の例は、塩化ナトリウム、デキストロース、及び塩化カルシウムである。
適切な懸濁液製剤は、粒状薬剤の水性懸濁液と、任意に、沈殿防止剤、防腐剤、湿潤剤、又は等張性調節剤とを含む。
適切な沈殿防止剤としては、カルボキシメチルセルロース、ベーゴム、トラガント、ベントナイト、メチルセルロース、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
適切な湿潤剤は、薬剤の粒子を湿潤させて、組成物の水相中における粒子の分散を促進するように機能する。使用することができる湿潤剤の例は、脂肪族アルコール、エステル、及びエーテルである。好ましくは、湿潤剤は、親水性の非イオン性界面活性剤であり、最も好ましくは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(商標付き製品Polysorbate 80として供給される)である。
適切な防腐剤及び等張性調節剤は、溶液製剤に関して上述したようなものである。
本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、一実施形態では、喘息及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む肺及び気管支の疾患などの呼吸器疾患を治療するためのエーロゾル化薬剤を分配する(例えば、口を介して吸入させるため)のに適している。別の実施形態では、本発明は、偏頭痛、糖尿病、鎮痛、例えばモルヒネ吸入など、薬剤の体循環による治療を必要とする症状を治療するため、エーロゾル化薬剤を分配する(例えば、口を介して吸入させるため)のに適している。
エーロゾル化形態での薬剤の投与は、軽度、中程度、若しくは重度の急性又は慢性症状の治療、或いは予防的治療のために指示されてもよい。正確な投与量は、患者の年齢及び症状、使用される特定の粒状薬剤、及び投与の頻度に応じて変わり、最終的には付き添う医師の裁量であることが理解されるであろう。薬剤の組合せが用いられるとき、その組合せの各成分の用量は、一般に、各成分が単独で使用されたときに用いられる量である。一般的には、投与は、1日当たり1回又は複数回、例えば1〜8回であって、例えば、1回ごとにエーロゾルを1回、2回、3回、又は4回吐出させてもよい。弁を作動させるごとに、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの薬剤が送達されてもよい。一般的には、計量式吸入器に使用される充填済みキャニスターはそれぞれ、60回、100回、120回、若しくは200回分の定量又は吐出量の薬剤を収容する。各薬剤の投与量は、当業者には知られているか、或いは容易に確定可能である。
別の実施形態では、本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、鼻炎、例えば季節性及び多年性鼻炎などの鼻腔の炎症及び/又はアレルギー症状、並びに喘息、COPD、及び皮膚炎などの他の局所的炎症を治療するための流体製剤を分配するのに適している。適切な投与計画は、患者が、鼻腔をきれいにした後に、鼻を通してゆっくりと吸入するというものである。吸入の間、製剤は、一方の鼻孔を手で圧迫した状態で他方の鼻孔に適用される。次に、この手順を反対側の鼻孔に対して繰り返す。一般的には、上述の手順を1日に3回以下、理想的には1日に1回行うことによって、一方の鼻孔当たり1回又は2回の吸入を行う。用量ごとに、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの活性薬剤が送達されてもよい。正確な投与量は、当業者には知られているか、或いは容易に確定可能である。
別の態様では、本明細書の薬剤ディスペンサー装置は、鼻炎、例えば季節性及び多年性鼻炎などの鼻腔の炎症及び/又はアレルギー症状、並びに、喘息、COPD、及び皮膚炎などの他の局所的炎症を治療するための流体製剤を分配するのに適している。適切な投与計画は、患者が、鼻腔をきれいにした後で、鼻を通してゆっくりと吸入するというものである。吸入の間、製剤は、一方の鼻孔を手で圧迫した状態で他方の鼻孔に適用される。次に、この手順を反対側の鼻孔に対して繰り返す。一般的には、上述の手順を1日に3回以下、理想的には1日に1回行うことによって、一方の鼻孔当たり1回又は2回の吸入を行う。用量ごとに、例えば、5μg、50μg、100μg、200μg、又は250μgの活性薬剤が送達されてもよい。正確な投与量は、当業者には知られているか、或いは容易に確定可能である。
上記に記載してきた本発明は例証に過ぎず、上述の記載は、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、多くの異なる形で修正できることが理解されるであろう。
更に、特許請求の範囲に参照番号を含めることは、単に例証のためであり、特許請求の範囲を限定する効果を有することを意味するものではなく、またそのように解釈すべきではないことが理解されるであろう。
本明細書に引用した全ての出版物、特許、及び特許出願は、出版物、特許、又は特許出願それぞれを参照により組み込むものと特定して個々に示唆したのと同じ程度まで、それらの全体を参照により本明細書に組み込むものとする。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形の不定冠詞(「a」及び「an」)、定冠詞「the」、並びに「一つの(one)」は、別に明白に指示しない限り、複数の指示対象を含むことが理解されるべきである。