JP2010286391A - 電気泳動カセット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電気泳動カセット1は、筐体2と、筐体2内に装着した電気泳動ゲルカセット3とを備える。電気泳動ゲルカセット3は絶縁基材4,5の間隙に分離ゲルG1と濃縮ゲルG2からなるゲルGを充填した。筐体2は、開閉可能な蓋11の内面に、電気泳動ゲルカセット3を収容するカセット保持部を有する。本体10の底部に基台13とクッション材14を設けた。蓋11のカセット保持部に収容した電気泳動ゲルカセット3をクッション材14に押圧して液密に保持する。電気泳動ゲルカセット3の両側には溝部として第1緩衝液を充填する第1緩衝液槽16と、第2緩衝液を充填する第2緩衝液槽17とを備える。ゲルGは絶縁基材4,5の第1開口部7でのみ第1緩衝液に接触し、第2開口部8でのみ第2緩衝液に接触する。
【選択図】図1
Description
また、蛋白質のような高分子量の被検体を精度よく解析するための手法として、解析に適した所定濃度のゲル(以下「分離ゲル」という。)に、分離ゲルよりも低濃度のゲル(以下「濃縮ゲル」という。)が重層されたゲルを用いることが知られている。
特許文献1に記載された自動化2次元電気泳動装置としてのサンプル分離装置は、サンプルを自動分離するための第1分離部と第2分離部を備えている。第1分離部ではタンパク質等のサンプルを導入した1次元目ゲルを第1媒体として電荷に依存して分離する等電点電気泳動を行い、第一方向にサンプルを分離する。
第2分離部では、第1分離部においてサンプルを分離した第1媒体を2次元目ゲルにアプライして、分子量に依存して分離するスラブ電気泳動によってサンプルを第一方向と異なる第二方向に更に分離する。
そして、第1緩衝液槽と第2緩衝液槽に設けた第1電極と第2電極を介して電圧印加手段によって第1開口部と第2開口部を通して第2媒体に電圧が印加されると、第1開口部から第2開口部に向けて第2媒体内を電流が流れると共にサンプルが第2開口部から第1開口部に向けて展開され分離することになる。
このようにして、サンプルの二次元分離を自動的に行うことができる、としている。
本発明によれば、媒体カセットを筐体のカセット保持部に装着させることで、媒体カセットに設けた第1開口部と第2開口部が第1緩衝液槽と第2緩衝液槽に充填する第1緩衝液と第2緩衝液にそれぞれ接触させることができ、第1開口部と第2開口部を通して媒体カセット内の媒体に電圧を印加することで、媒体を通して電気泳動を行ってサンプルを分離させることができる。電気泳動の終了後には、媒体カセットをカセット保持部から分離して筐体から取り出すことができるため、媒体カセットのみを交換して使用できると共に第1緩衝液槽と第2緩衝液槽を設けた筐体を繰り返して使用することができる。
媒体カセットを筐体のカセット保持部に装着することで、第1緩衝液槽の第1緩衝液と第2緩衝液槽の第2緩衝液とが直接導通しないように分離遮断でき、第1及び第2開口部を介して媒体カセットの媒体を通してのみ導通可能状態とすることができる。
媒体カセットを筐体内の弾性部材に当接させて保持することで、第1緩衝液槽の第1緩衝液と第2緩衝液槽の第2緩衝液とを液密に仕切ることができて非導通状態にできる。
カセット保持部に媒体カセットを収容して蓋を閉めることで、第1緩衝液槽と第2緩衝液槽を分離できる。
また、蓋は、第1緩衝液槽と第2緩衝液槽にそれぞれ第1電極と第2電極を挿入する開口を備えていることが好ましい。
筐体の挿入開口から媒体カセットを挿入して、基台及び支持部の間に装着保持することで、媒体カセットを所定の通電可能位置にセッティングできる。
また、挿入開口は第1緩衝液槽または第2緩衝液槽に連通しており、挿入開口を閉鎖することで第1緩衝液槽または第2緩衝液槽を液密に封止する栓体を備えていてもよい。
媒体カセットの挿入に際しては、筐体から栓体を取り外して挿入開口から媒体カセットを第1緩衝液槽または第2緩衝液槽を通して筐体内に挿入し、挿入後に栓体で挿入開口を閉鎖することで第1緩衝液槽または第2緩衝液槽を液密に封止できる。
図1乃至図4に基づいて第一実施形態による電気泳動カセットについて説明する。
図1に示す電気泳動カセット1は、上述した第1分離部と第2分離部を有する自動化2次元電気泳動装置において、第1分離部で、第1媒体、例えば等電点電気泳動用ゲルで第1方向に分離したたんぱく質等の分離サンプルを、第2分離部で、第一方向と異なる第2方向に第2媒体で更に分離するためのサンプル分離器具である。2次元電気泳動として、例えば1次元目としてたんぱく質を電荷に依存して分離するゲル等電点電気泳動にて行い、2次元目を分子量に依存して分離するスラブゲル電気泳動(特にSDS−PAGE)の2つの電気泳動ステップで行うものとして説明するが、本発明はこの態様に限定されない。
図1及び図2(a)において、電気泳動ゲルカセット3は例えば直方体形状の間隙(キャビティ)を開けて配設された2枚の絶縁基板4,5(絶縁部材)間に第2媒体としてポリアクリルアミドゲル等のゲルGが充填されたサンドイッチ形状とされている。図2(a)において、上下部の絶縁基板4,5間に充填されたゲルGは、第一ゲルとしての分離ゲルG1と第二ゲルとしての濃縮ゲルG2とが界面を接して直線状に配列されている。
絶縁基板4,5間において、分離ゲルG1を充填した側の一方の端部には第1開口部7が設けられ、濃縮ゲルG2を充填した側の他方の端部には第2開口部8が設けられている。これらの各開口部7,8にはそれぞれ分離ゲルG1と濃縮ゲルG2が露出している。
なお、上部側の絶縁基板4には充填された濃縮ゲルG2に連通する開口9が形成されており、第1媒体即ちサンプルを分離した一次元目のゲルチップを挿入して濃縮ゲルG2に接触させる。
本体10内において、基台13及びクッション材14の両側にはそれぞれ凹溝が形成され、これらの凹溝はバッファ槽として、第1緩衝液を貯留する第一緩衝液槽16と第2緩衝液を貯留する第二緩衝液槽17とがそれぞれ形成されている(図1(a)、図2(b)参照)。
なお、開口9に代えて、分離サンプルを含む第1媒体を、第2緩衝液槽17内に挿入してゲルGに接触させてもよく、この場合には蓋11の開口及び第2緩衝液槽17がサンプル挿入部を構成する。この場合、第1媒体とゲルGとの接触を確実にするために、第2開口部8における上部の絶縁基板4の端部を下部の絶縁基板5の端部より短く形成して濃縮ゲルG2を上方に露出させるように形成してもよい。
また、蓋11には、電気泳動ゲルカセット3を収納した状態で筐体2内に電気泳動ゲルカセット3を押し込んで本体10とロックする断面略L字形板状のクランプ部材23が回動可能に取り付けられている。
図2(a)、(b)において、電気泳動ゲルカセット3と電気泳動カセット1の筐体2とを用意し、筐体2の蓋11をその一方の端部に設けたヒンジ部回りに開放して本体10に対して傾斜状態で保持する(図3参照)。そして、蓋11の他方の端部から蓋11の内面に沿って電気泳動ゲルカセット3をスライドさせ、蓋11の内面に設けられたカセット保持部12内に収容する。
この状態で、第1緩衝液槽16には第1緩衝液を充填し、第2緩衝液槽17に第2緩衝液を充填する。電気泳動ゲルカセット3の絶縁基板4,5間の間隙に充填されたゲルGは、第1開口部7を通してのみ分離ゲルG1が第1緩衝液槽16の第1緩衝液に接触している。また、第2開口部8を通してのみ濃縮ゲルG2が第2緩衝液槽17の第2緩衝液に接触している(図1参照)。
このようにして、電気泳動ゲルカセット3を装着して、第1及び第2緩衝液槽16,17を筐体2に一体に保持する一体型の電気泳動カセット1を製作できる。
図1に示す電気泳動カセット1において、第1緩衝液槽16に第1電極を設置し、第2緩衝液槽17に第2電極を設置し、それぞれの電極は第1緩衝液と第2緩衝液に接触して通電可能状態とする。そして、電気泳動ゲルカセット3の上部絶縁基板4の開口9を通して分離サンプルを含む第1媒体をゲルGの濃縮ゲルG2に接触・密着させる。或いは、第1媒体を第2開口部8で濃縮ゲルG2に接触・密着させてもよい。
この状態で、図示しない電圧印加手段によって第1電極と第2電極に通電することで、第1緩衝液と第2緩衝液をそれぞれ介してゲルGに電圧が印加されると、第1開口部7から第二開口部8に向かって電流が流れる。これと同時に、第1媒体に保持されるサンプルが電気泳動ゲルカセット3内のゲルGを第2開口部8側から第1開口部7に向かって(第二方向へ)展開または分離される。
その後、次の電気泳動ゲルカセット3を蓋11の内面のカセット保持部12に装着して閉蓋し、クランプ部材23でロックして第1及び第2緩衝液を第1及び第2緩衝液槽16,17内に充填することで、再度電気泳動を行える。
本発明の第二実施形態による電気泳動カセット25について図5乃至図7により説明する。本実施形態による電気泳動カセット25は、図5及び図6に示すように、第一実施形態と同一構成の電気泳動ゲルカセット3と、このゲルカセット3を収納する筐体26とで構成されている。図5及び図6に示す電気泳動ゲルカセット3は図2(a)に示すものをこれに直交する方向から見た図である。
そのため、本体10の挿入開口10bからクッション材14の上面に電気泳動ゲルカセット3を載置する(図6参照)。そして、図7に示すように、一対のクランプ部材27,27を電気泳動ゲルカセット3の上部に回動してその両側端部を押圧した状態でロックすることで、電気泳動ゲルカセット3をクッション材14に圧接して液密に保持することができる。この状態で、図7(a)に示すように、本体10における基台13、クッション材14及び電気泳動ゲルカセット3の両側に形成された凹溝はそれぞれ第1緩衝液を充填する第1緩衝液槽16と第2緩衝液を充填する第2緩衝液槽17を構成する。
図8(a)に示すように、ゲルGは上述の各実施形態と同様に分離ゲルG1と濃縮ゲルG2が直線状に配列して形成されている。
また、第1開口部36には図示しない第1電極を第1緩衝液に接触させるために挿入可能であり、第2開口部37には図示しない第2電極を第2緩衝液に接触させるために挿入可能である。
筐体32における基台43の一端側には一の側部42を切り欠くスリット状の挿入開口44が形成され、挿入開口44を通して電気泳動ゲルカセット31が基台43と支持板47との間に沿って挿入可能である。基台43の他端側には電気泳動ゲルカセット31の挿入を停止させるストッパー45が設けられている。
なお、筐体32の側部42に形成した挿入開口44は第1緩衝液槽38(或いは第2緩衝液槽39でもよい)に連通している。挿入開口44には栓体51が開閉可能に設けられており、電気泳動時に第1緩衝液槽38を液密に封止するために、挿入開口44を栓体51で閉鎖する。
図10(a)において、水平状態に載置した筐体32の一の側部42から栓体51を外し、挿入開口44から電気泳動ゲルカセット31を挿入する。電気泳動ゲルカセット31は筐体32内で基台43と支持板47との間を両者に密着しながら平滑面48,48に当接しつつスムーズに摺動させられ、図10(b)に示すようにストッパー45に当接した中央の位置で停止する。停止状態で、電気泳動ゲルカセット31は基台43と支持台47との間に挟持され、これら基台43と支持台47の各平滑面48,48間に設けられたクッション材49,49に密着するため、液密状態に保持される。
この状態で、第1緩衝液槽38に第1緩衝液を充填し、第2緩衝液槽39に第2緩衝液を充填する。これら第1緩衝液と第2緩衝液は、電気泳動ゲルカセット31の第1開口部36と第2開口部37内にも貯留されるように下部の絶縁基板34の側縁部34a、34aより液面を高くすることが好ましい。
これにより、電気泳動ゲルカセット31内のゲルGの分離ゲルG1は第1開口部36においてのみ第1緩衝液に接触し、濃縮ゲルG2は第2開口部37においてのみ第2緩衝液に接触する。
まず、第1緩衝液槽38に第1電極を設置すると共に第2緩衝液槽39に第2電極を設置し、各電極は第1緩衝液と第2緩衝液に接触して通電可能状態とする。そして、分離サンプルを含む第1媒体は電気泳動ゲルカセット31の開口35から挿入されてゲルGの濃縮ゲルG2に接触・密着している。
次に、図示しない電圧印加手段によって第1電極と第2電極に通電することで、第1緩衝液と第2緩衝液をそれぞれ介して電気泳動ゲルカセット31の第1開口部36と第2開口部37を通してゲルGに電圧が印加され、第1開口部36から第2開口部37に向かって電流が流れる。これと同時に、第1媒体に保持される分離サンプルが、電気泳動ゲルカセット31内のゲルGを第2開口部37から第1開口部36に向かって展開または分離される。
図12(a)において、まず電気泳動カセット30の筐体32内の第1緩衝液槽38と第2緩衝液槽39から第1緩衝液と第2緩衝液をそれぞれ抜き出す。そして、筐体32の側部42から栓体51を外す。次に、筐体32内のストッパー45に当接している電気泳動ゲルカセット31の側縁部34aに取り出し部材として例えばヘラ54を当接させて挿入開口44方向に押し出す。ヘラ54が天井部41に当接するまで押すと、電気泳動ゲルカセット31の反対側の側縁部34aが筐体32の挿入開口44から側部42の外側に突出する。
次に、ヘラ54を側部42と側縁部34aの間に挿入して、電気泳動ゲルカセット31を更に引き出すことで、筐体32から電気泳動ゲルカセット31を取り出すことができる。
そして、新たな電気泳動ゲルカセット31を筐体32に装着することで、次の電気泳動を行うことができる。
2,26,32 筐体
3,31 電気泳動ゲルカセット
4、33 絶縁部材
5、34 絶縁部材
7,36 第1開口部
8,37 第2開口部
9,35 開口
10b、44 挿入開口
11 蓋
12 カセット収納部
13 基台
14、49 クッション材(弾性部材)
16、38 第1緩衝液槽
17、39 第2緩衝液槽
23、27 クランプ部材
G ゲル
G1 分離ゲル
G2 濃縮ゲル
Claims (7)
- 内部に媒体を収容する絶縁部材と、該絶縁部材に対して媒体に通電する方向を規定する第1開口部及び第2開口部とを備えた媒体カセットと、
該媒体カセットを取り外し可能に装着するカセット保持部と、該カセット保持部に装着された前記媒体カセットの媒体にサンプルを接触させるサンプル挿入部と、前記媒体カセットの第1開口部で媒体に接触する第1緩衝液を充填した第1緩衝液槽と、前記第2開口部で媒体に接触する第2緩衝液を充填した第2緩衝液槽とを備えた筐体と
を備えたことを特徴とする電気泳動カセット。 - 前記媒体カセットを前記筐体内のカセット保持部に装着することで、前記媒体カセットの両側に第1緩衝液槽と第2緩衝液槽とを媒体を通してのみ導通可能に分離してなる請求項1に記載された電気泳動カセット。
- 前記カセット保持部に装着された媒体カセットは、絶縁性の弾性部材に当接させて保持することで前記第1緩衝液槽と第2緩衝液槽とを液密に仕切るようにした請求項1または2に記載された電気泳動カセット。
- 前記カセット保持部は、前記筐体に設けられていて開閉可能な蓋の内側に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載された電気泳動カセット。
- 前記カセット保持部は、前記筐体内に媒体カセットを挿入する挿入開口と、挿入された前記媒体カセットを係止させるクランプ部材とを備えた請求項1乃至3のいずれかに記載された電気泳動カセット。
- 前記カセット保持部は、前記筐体内に媒体カセットを挿入する挿入開口と、前記媒体カセットを挿脱可能に装着する基台及び支持部とを備えた請求項1乃至3のいずれかに記載された電気泳動カセット。
- 前記挿入開口は前記第1緩衝液槽または第2緩衝液槽に連通しており、前記挿入開口を閉鎖することで前記第1緩衝液槽または第2緩衝液槽を液密に封止する栓体を備えた請求項6に記載された電気泳動カセット。
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