JP2010284596A - 篩装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】篩を用いた微細な粒状固体の分級を、極めて効率的に行うことができるようにすることを目的とする。
【解決手段】不活性ガスが充填されるチャンバ12と、該チャンバ12内に配設され、分級対象である粒状固体26が通過し易くなるように加振される篩14と、チャンバ12内において、該篩14における粒状固体26の通過方向下流側に、該篩14と離間して配設される電極部16と、該電極部16に静電気又は篩14に対する電位差を生じさせ、粒状固体26を電極部16側に引き寄せる帯電手段とを有している。篩14を加振することで粒状固体26が該篩14を通過し易くなるようにすることに加えて、電極部16に粒状固体26を該電極部16側に引き寄せることで、該粒状固体26が篩14を円滑に通過するようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、篩装置に係り、特に微細な粒状固体を効率的に分級可能な篩装置に関する。
非磁性金属含有プラスチックの静電分離装置として、静電気を発生させる静電気発生部と、該静電気発生部の導電体に接続された導電性連結具、該導電性連結具に接続されて静電気が帯電し、上面が傾斜面とされた帯電体、及び、傾斜面の下辺から離間し、該下辺に対向するように横設され、帯電体と絶縁されたアース体からなる静電分離部と、該静電分離部の帯電体の傾斜面に非磁性金属含有プラスチック粉砕物を供給する供給部とを備え、傾斜面に供給され、該傾斜面に沿って降下する非磁性金属含有プラスチック粉砕物から、静電反発作用を利用して非磁性金属を分離する構造が開示されている(特許文献1参照)。
また粉体帯電・分級装置として、気流を発生する気流発生装置と、該気流発生装置からの気流に粉体を供給する手段と、粉体を気流に乗せて搬送する搬送路と、該搬送路から気流に乗った粉体が導入されるサイクロン装置を具備し、搬送路あるいはサイクロン装置は接触帯電機構を兼備した構成であり、該接触帯電機構で粉体を帯電し、帯電した粉体をサイクロン装置内のサイクロン渦中で分離バイアス電圧により帯電の程度で分級する構造が開示されている(特許文献2参照)。
更に、傾斜する電極板上に静電場を形成するとともに電極板に振動を付与し、電極板上に投入されたプラスチック粒子に静電力を付与して種類別に分離する振動式プラスチック選別方法および装置が開示されている(特許文献3参照)。
また粉体の静電分離分級装置として、基板状の誘電体の一方の側面に放電電極を、これに対応するもう一方の側に誘導電極をそれぞれ設けた沿面放電型放電体と、放電体と適宜の空間を隔てて対面する対向電極を有し、放電体により発生する低温プラズマ領域において、粉体と該粉体が付着ないし混在する被処理体を負の交流電界が印加する電源により負に帯電させ、該粉体を放電体に対面する誘電体に付着させる構造が開示されている(特許文献4参照)。
特開2007−260498号公報 特開2003−190836号公報 特開2002−346434号公報 特開平7−24361号公報
ところで、図8に示されるように、従来の篩装置100は、一般に、励振器102の振動テーブル104上に回収容器106及び篩108を配置し、該篩108の上に粒状固体(図示せず)を配置して、励振器102により該篩108を揺り動かして、その網目を通過した粒状固体110を重力によって回収容器106内に落とす構造になっている。
しかしながら、例えば10μm以下の微細な粒状固体(例えば活性炭のような粉体)は、質量が軽く煙のような挙動を示すため、従来の篩装置のように、篩を通過した粒状固体を重力によって下に落とすのは効率的ではない。例えば目開き10μm、空間率25%の篩を用いて活性炭の分級を24時間行った場合、篩を通過するのは活性炭1リットルに対してわずか0.3gに留まる。
また、上記した各従来例には、篩装置との関連については何ら開示も示唆もされていない。
本発明は、上記事実を考慮して、篩を用いた微細な粒状固体の分級を、極めて効率的に行うことができるようにすることを目的とする。
請求項1の発明は、分級対象である粒状固体の通過を促進可能なように加振される篩と、該篩における前記粒状固体の通過方向下流側に、該篩と離間して配設される電極部と、該電極部に静電気又は前記篩に対する電位差を生じさせ、前記粒状固体を前記電極部側に引き寄せる帯電手段と、を有している。
請求項1に記載の篩装置では、篩を加振することで該篩に対する粒状固体の通過を促進することに加えて、篩における粒状固体の通過方向下流側に、該篩と離間して配設した電極部に、帯電手段により静電気又は前記篩に対する電位差を生じさせ、粒状固体を該電極部側に引き寄せて、該粒状固体が篩を通過するようにしている。従って、篩の加振だけで粒状固体の分級を行う場合よりも、はるかに効率的に分級を行うことができる。これによって、目開きがごく微細な篩を用いた場合でも、極めて効率的に分級を行うことができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の篩装置において、不活性ガスが充填されるチャンバを有し、前記篩及び前記電極部は、前記チャンバ内に配設されている。
請求項2に記載の篩装置では、篩及び電極部が、不活性ガスが充填されたチャンバ内に配設されているので、酸化性を有する粒状固体の分級に静電気又は電位差を用いても、粉塵爆発が生じることはない。このため、篩を用いた粒状固体の分級を、極めて効率的かつ安全に行うことができる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の篩装置において、前記篩と前記電極部との間に配設され、前記篩を通過して前記電極部側に引き寄せられた前記粒状固体を受け止める受け部を有している。
請求項3に記載の篩装置では、篩と電極部との間に配設された受け部により、該篩を通過して分級された粒状固体を受け止めることができる。従って、分級された粒状固体の回収が容易となる。
請求項4の発明は、請求項3に記載の篩装置において、前記受け部を移動させ、該受け部が受け止めた前記粒状固体を搬送する搬送手段を有している。
請求項4に記載の篩装置では、受け部が受け止めた粒状固体を、搬送手段により、受け部材ごと搬送することができるので、分級された粒状固体の回収がより容易となる。
請求項5の発明は、請求項3又は請求項4に記載の篩装置において、前記受け部は、帯状体であり、前記搬送手段は、該帯状体の送り装置である。
請求項5に記載の篩装置では、受け部としての帯状体を、搬送手段としての送り装置により送ることができる。これにより、粒状固体の分級と、分級後の粒状固体の搬送とを継続的に行うことができる。
請求項6の発明は、請求項5に記載の篩装置において、前記帯状体は、無端状に構成されている。
請求項6に記載の篩装置では、帯状体が無端状に構成されているので、粒状固体の分級と、分級後の粒状固体の搬送とをより長時間にわたって継続的に行うことができる。
請求項7の発明は、請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の篩装置において、前記搬送手段により搬送された分級後の前記粒状固体を回収する回収手段を有している。
請求項7に記載の篩装置では、搬送手段により搬送された分級後の粒状固体が回収手段により回収されるので、粒状固体の分級と、分級後の粒状固体の搬送と、該粒状固体の回収とを一貫して行うことができる。このため、粒状固体の分級をより効率的に行うことができる。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の篩装置によれば、篩を用いた微細な粒状固体の分級を、極めて効率的に行うことができる、という優れた効果が得られる。
請求項2に記載の篩装置によれば、篩を用いた粒状固体の分級を、極めて効率的かつ安全に行うことができる、という優れた効果が得られる。
請求項3に記載の篩装置によれば、分級された粒状固体の回収が容易となる、という優れた効果が得られる。
請求項4に記載の篩装置によれば、分級された粒状固体の回収がより容易となる、という優れた効果が得られる。
請求項5に記載の篩装置によれば、粒状固体の分級と、分級後の粒状固体の搬送とを継続的に行うことができる、という優れた効果が得られる。
請求項6に記載の篩装置によれば、粒状固体の分級と、分級後の粒状固体の搬送とをより長時間にわたって継続的に行うことができる、という優れた効果が得られる。
請求項7に記載の篩装置によれば、粒状固体の分級をより効率的に行うことができる、という優れた効果が得られる。
図1から図7は、本実施形態に係り、図1は、篩装置を示す断面図である。 篩装置の動作原理を示す模式図である。 帯状体上に分級された活性炭が蓄積された状態を示す断面図である。 帯状体上に蓄積された活性炭を、該帯状体及び送り装置により搬送して、回収容器に回収している状態を示す断面図である。 電極部に印加した電圧と、該電極部における樹脂の表面の帯電電圧、及び該樹脂の表面に載せられた薄膜の帯電電圧との関係を示す線図である。 活性炭の分級前の状態を示す電子顕微鏡写真である。 活性炭の分級後の状態を示す電子顕微鏡写真である。 従来の篩装置を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る篩装置10は、チャンバ12と、篩14と、電極部16と、帯電手段の一例たる高電圧印加装置18(図2)と、受け部の一例たる帯状体20と、搬送手段の一例たる送り装置22と、回収手段の一例たる回収容器24及びスクレーパ25とを有している。
チャンバ12は、不活性ガスが充填される容器であって、例えば底面12Bに設けられた接続口12Aには、該不活性ガスを供給するためのホース30が接続されている。図示は省略するが、チャンバ12には、不活性ガスの注入時に該チャンバ12内の大気を外部に排出して行くための排気口も設けられている。チャンバ12の上面12Uには、粒状固体26の投入口12Cが形成されており、該投入口12Cは、蓋体28により密閉可能に構成されている。なお、チャンバ12は、グランドGNDに接続されている。
ここで、チャンバ12に充填する不活性ガス中の酸化性物質は、酸化限界値以下の濃度が好ましい。従って、粒状固体26が酸化性である場合、チャンバ12内の窒素(N)の濃度を大きくし、酸化限界値以下の低酸素濃度とすることが好ましい。金属リチウムの粉体や箔片が分級対象である場合、これらは窒素と反応するため、チャンバ12に充填する不活性ガスを、ドライ状(露点以下)のアルゴン(Ar)とすることが望ましい。この他、チャンバ12に充填させる不活性ガスとして、二酸化炭素(CO)やヘリウム(He)等を用いることも可能である。また必要に応じて、チャンバ12に充填する不活性ガスに対して、制御された湿度調整を図る。
チャンバ12内の酸素(O)の量を測定するため、該チャンバ12内にはOセンサが設けられている(図示せず)。このOセンサからの信号により、チャンバ12内の酸素(O)の残量を測定し、該チャンバ12内に不活性ガスが充填されたかどうかを判断することができるようになっている。
篩14は、チャンバ12内に配設され、分級対象である粒状固体26の通過を促進可能なように加振される構造となっており、微細な孔が多数形成された篩網32を、例えば円筒形の枠体34により支持して構成されている。篩網32は、粒径30μm以下の固体を分級できるように電気鋳造により製作され、一例としては、孔32Aの目開きが10μm、空間率が20〜30%となるように設定されている。
この篩14は、チャンバ12内における投入口12Cの下方において、振動テーブル36に固定されている。振動テーブル36には、励振器としての例えば偏心エアタービン38が取り付けられている。この偏心エアタービン38に供給する空気の圧力を変化させることで、振動テーブル36の振動を容易に制御できるようになっている。篩14は、この振動テーブル36により、分級対象である粒状固体26の通過を促進可能なように加振されるようになっている。なお、篩14及び振動テーブル36は、グランドGNDに接続されている。
電極部16は、チャンバ12内において、篩14における粒状固体26の通過方向下流側に、該篩14と離間して配設されている。具体的には、電極部16は、枠体34の直径よりも大きな例えば平板状に構成されると共に、篩14の下方に配設されている。図2に示されるように、この電極部16は、例えば樹脂40の内部に平板状の金属電極42を埋め込んで構成されている。
電極部16の製作工程は、例えば次の通りである。図2おいて、まず、例えばポリアセタール樹脂(PAA)からなる樹脂40に所定深さの平らな彫り込みを行い、彫り込み底面に例えばアルミニウム箔からなる金属電極42を形成し、該金属電極42に電圧印加のための導線44を接続する。次に、この金属電極42の面の絶縁を保ち異常な放電を抑制するため、樹脂40の彫込み部分に液状の樹脂46を流し込み、該樹脂46を固めることで樹脂40,46中に金属電極42を埋め込む構造とした。液状の樹脂46は例えばエポキシ樹脂であるが、他の樹脂であってもよい。なお、金属電極42に過大な電圧が作用することを防止するため、導線44は、例えば10GΩの抵抗器48を介してグランドGNDにも接続されている。
図2において、高電圧印加装置18は、電極部16に静電気又は篩14に対する電位差を生じさせ、粒状固体26を電極部16側に引き寄せるためのものであって、例えば電圧を制御するコントローラ(図示せず)と、該コントローラに接続された高電圧カートリッジ(図示せず)とを有して構成されている。この高電圧カートリッジは、導線44に接続されている。導線44は、図1における電極部16の支柱50内を通されている。この支柱50は、例えばチャンバ12の底面12Bを貫通しており、チャンバ12の外部において基台52に支持されている。
図1,図2において、帯状体20は、篩14と電極部16との間に配設され、篩14を通過して電極部16側に引き寄せられた粒状固体26を受け止めるためのものであって、例えば厚さ10〜50μmの樹脂の薄膜として構成されている。帯状体20の材質には、ポリ塩化ビニリデンや、ポリスチレンを用いることができるが、耐久性等を考慮して、これら以外の樹脂膜を用いてもよい。なお、帯状体20の厚さは、電極部16への印加電圧に対する該帯状体20の帯電電圧の割合を高めるため、できるだけ薄いことが望ましい。
図1に示されるように、帯状体20は、例えば第1リール61から繰り出され、篩14と電極部16との間を、該電極部16の面方向と平行に通されて、第2リール62に巻き取られるようになっている。篩14と電極部16との間において、帯状体20は電極部16に近接して配置されている。電極部16に高電圧を印加した際に、帯状体20の表面に静電気を効率的に生じさせて、該表面を帯電させるためである。また粒状固体26の分級の効率を考慮すると、帯状体20と篩14の篩網32との間隔は、例えば10〜15mm程度が好ましい。
帯状体20は、電極部16上以外において帯電しないように構成されている。具体的には、電極部16の第1リール61側及び第2リール62側に、グランドGNDに接続された除電部54,56が、帯状体20の例えば下面側に近接して配設されている。このうち第2リール62側の除電部56では、帯状体20により受け止められた分級後の粒状固体26が該除電部56上を通過する際に、該帯状体20に対する除電だけでなく、該粒状固体26に対する除電をも行うことが可能となっている。
図4において、送り装置22は、帯状体20を移動させ、該帯状体20が受け止めた粒状固体26を、矢印A方向に搬送するものであって、例えば第2リール62を必要に応じて矢印R方向に回転駆動するように構成されている。この送り装置22は、手動によるものであってもよく、またサーボモータ等を用いるものであってもよい。
図4において、回収容器24は、帯状体20及び送り装置22によって搬送された分級後の粒状固体26を回収するためのものであって、帯状体20が第2リール62に巻き取られて行く際に粒状固体26が該帯状体20から剥離して自然落下する位置に配置されている。またスクレーパ25は、粒状固体26が帯状体20に付着したまま第2リール62に巻き取られることを抑制する部材であり、回収容器24の上方に設けられている。このスクレーパ25により、帯状体20に付着している粒状固体26を該帯状体20から強制的に剥離させて、回収容器24で回収することができるようになっている。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1において、本実施形態に係る篩装置10では、チャンバ12の蓋体28を開くことで、該チャンバ12の投入口12Cから篩14の枠体34内に、分級対象である粒状固体26を投入することができる。ここで、粒状固体26とは、例えば活性炭やトナーである。
粒状固体26の投入後、蓋体28を閉じてから、ホース30を通じてチャンバ12内に不活性ガスを充填する。チャンバ12内に不活性ガスが充填されたかどうかは、該チャンバ12内に設けられているOセンサから信号により酸素(O)の残量を測定することで判断することができる。
チャンバ12内に充分に不活性ガスが充填された後、粒状固体26の分級が開始される。分級は、具体的には、偏心エアタービン38を作動させて振動テーブル36を振動させて篩14を加振しながら、高電圧印加装置18(図2)により電極部16に静電気を生じさせることで行われる。篩14を加振することで、粒状固体26が篩網32の孔32Aの位置に次々と来る確率が高まるので、粒状固体26が該孔32Aを通過し易くなる。また電極部16に静電気を生じさせて、グランドGNDに接地された篩14及び電極部16との間に電位差を生じさせることで、粒状固体26を電極部16側に引き寄せることができる。これにより、粒状固体26が、篩14における篩網32の孔32Aを、より一層通過し易くなる。
ここで、電極部16による粒状固体26の引寄せの原理について説明する。図2において、高電圧印加装置18により電極部16内における金属電極42に高電圧を印加すると、電極部16における金属電極42の上下に分極した電荷が生じる。具体的には、金属電極42の下側の樹脂46の部分に負電荷41が生じ、該金属電極42の上側の樹脂40の部分に正電荷43が生じる。そして該樹脂40に近接して配置されている帯状体20には、負電荷45が生じる。このように電極部16や帯状体20が帯電することで、粒状固体26が矢印D方向に引き寄せられ、篩14を通過した粒状固体26は、帯状体20に付着して受け止められる。
なお、高電圧印加装置18により電極部16に印加可能な電圧の範囲は、高電圧カートリッジ(図示せず)がマイナス極性の場合で、例えば0〜−100kVである。また高電圧カートリッジの選択により、プラス極性とすることも可能であり、その場合、電極部16に印加可能な電圧の範囲は、0〜+100kVとなる。プラス極性の場合でも、粒状固体26を電極部16側に引き寄せることが可能である。
ここで、実際に電極部16に高電圧(0〜−50kV)を印加して、該樹脂40の表面の帯電電圧や、該樹脂40の表面に載せられた薄膜の帯電電圧を測定したところ、図5に示されるような結果となった。電極部16の材料と厚み方向の寸法は、次の通りである。図2において、電圧印加時に帯電状態とされる樹脂40には、厚み8mmのポリアセタール樹脂(PAA)を用いた。この樹脂40に、深さ3mmの平らな彫り込みを行い、彫り込み底面に金属電極42であるアルミニウム箔を形成し電圧印加の導線44を接続した。この金属電極42の面の絶縁を保ち異常な放電を抑制するため、樹脂40の彫込み部分に液状の樹脂46を流し込み、該樹脂46を固めることで樹脂40,46中に金属電極42を埋め込む構造とした。液状の樹脂46は、エポキシ樹脂である。
樹脂40の表面の帯電電圧の測定は、この電極部16そのものと、該電極部16上に薄い他の樹脂膜を置いた場合について行った。この樹脂膜は、本実施形態における帯状体20に相当する。図5中の記号の意味について説明すると、「PAA5」とは、樹脂40として厚み5mmのポリアセタール樹脂を用いた電極部16そのものである。「PAA5+PBC」とは、該電極部16上にポリ塩化ビニリデン薄膜を載せたものである。「PAA5+PS」とは、該電極部16上にポリスチレン薄膜を載せたものである。ポリ塩化ビニリデン薄膜は、およそ10μm厚、ポリスチレン薄膜は、およそ50μm厚である。
図4によれば、電極部16における樹脂40の表面は、印加電圧の半分程度の電圧に帯電することがわかる。従って、樹脂40,46内に金属電極42を埋め込んだ電極部16であっても、篩14や振動テーブル36との間に、粒状固体26を引き寄せるのに充分な電位差を付与できることがわかる。
続いて、粒状固体26の分級が進んだ後の作用について説明する。図3において、篩14による粒状固体26の分級が進むにつれて、帯状体20上には該篩14を通過した粒状固体26が蓄積されて行く。粒状固体26がある程度蓄積されたところで、図4に示されるように、送り装置22により、第2リール62を矢印R方向に回転させることで、帯状体20を巻き取りながら粒状固体26を矢印A方向に搬送することができる。ここで、帯状体20及び分級後の粒状固体26が、除電部56上を通過することで、該帯状体20及び粒状固体26に対する除電が行われる。
帯状体20が第2リール62に巻き取られる位置まで搬送された粒状固体26は、自重により帯状体20から離れて落下し、回収容器24内に収容される。自重により落下せずに帯状体20に付着したままの粒状固体26は、第2リール62に巻き取られる前にスクレーパ25により強制的に剥離させられて、目的意図の製品として回収容器24内に収容される。
上記したように、本実施形態に係る篩装置10によれば、篩14の加振だけで粒状固体26の分級を行う場合よりも、はるかに効率的に分級を行うことができる。これによって、目開きがごく微細な篩14を用いた場合でも、極めて効率的に分級を行うことができる。
従来は、粉塵爆発を防止する観点から、酸化性を有する微細な粒状固体26の分級に静電気や電位差を用いることは技術的に困難であった。しかしながら、本実施形態では、篩14及び電極部16が、不活性ガスが充填されたチャンバ12内に配設されているので、酸化性を有する粒状固体26の分級に静電気や電位差を用いても、粉塵爆発が生じることはない。
また、図8に示される従来例に係る篩装置100の場合には、分級が終了する度に回収容器106を取り出す必要があり、継続的に分級を行うことができなかったが、本実施形態によれば、分級後の粒状固体26が帯状体20上にある程度蓄積されたところで、送り装置22により該帯状体20を巻き取ることで、該粒状固体26を搬送することができるので、粒状固体26の分級を継続的に行うことができる。
更に、帯状体20と搬送手段である送り装置22とにより搬送された粒状固体26は、回収手段としての回収容器24及びスクレーパ25により回収されるので、粒状固体26の分級と、分級後の粒状固体26の搬送と、該粒状固体26の回収とを一貫して行うことができる。このため、粒状固体26の分級をより効率的に行うことができる。
このように、本実施形態に係る篩装置10によれば、篩14を用いた微細な粒状固体26の分級を、極めて効率的かつ安全に行うことが可能である。
(試験例)
本実施形態に係る篩装置10により、粒状固体26の一例たる活性炭の分級を行った。篩の目開きは10μm、空間率は25%である。図6,図7は、活性炭の電子顕微鏡写真であり、図6が分級前の状態、図7が分級後の状態を示している。図6において、分級前の活性炭は、粒径30〜40μm程度の粒(キャリア)の上に、粒径10μm以下の粒が付着している状態であるが、本実施形態に係る篩装置10を用いることで、図7に示されるように、この活性炭のうち粒径10μm以下の粒の分級が可能である。
しかも、同じ篩を用いた従来の篩装置100(図8)では、24時間で0.3g程度しか分級できなかったのに対し、本実施形態に係る篩装置10では、24時間で約230gもの分級を行うことができた。即ち、本実施形態に係る篩装置10によれば、従来の篩装置100の場合と比較して、800倍近い効率での分級が可能である。条件を最適化すれば、従来の1000倍或いはそれ以上の効率を得ることも可能と考えられる。
(他の実施例)
上記実施形態では、電極部16が平板状であるものして説明したが、これは篩14における篩網32が平板状であることに対応したものであり、篩網が円筒状である場合には、これに対応して円筒状であってもよい。この場合、篩網を電極部16の内側に配置してもよいし、逆に篩網を電極部16の外側に配置してもよい。篩網を電極部16の内側に配置した場合、粒状固体26は篩網の径方向内側から外側に向けて通過する。一方、篩網を電極部16の外側に配置した場合、粒状固体26は篩網の径方向外側から内側に向けて通過する。
また受け部の一例として帯状体20を挙げたが、受け部は帯状体20には限られず、例えばポリアセタール樹脂、ベークライト樹脂又はポリカーボネート樹脂等の容器であってもよい。この場合、イオンガン(図示せず)により、容器に対してコロナ放電を行うことで、該容器の表面を帯電させることも可能である。なお、受け部を用いずに電極部16に粒状固体26を直接吸着する構成であってもよい。
更に帯電手段として、高電圧印加装置18を挙げたが、帯電手段はこれに限られるものではなく、例えば摩擦により静電気を生じさせるものであってもよい。
また帯状体20は、第1リール61と第2リール62とに巻き掛けられた無端状に構成されていてもよい。帯状体20が尽きることがなく、粒状固体26の分級と、分級後の粒状固体26の搬送とをより長時間にわたって継続的に行うことができるからである。
搬送手段として、帯状体20を送るための送り装置22を挙げたが、搬送手段はこれに限られるものではなく、受け部が上記したポリアセタール樹脂等の容器である場合には、該容器を搬送する装置となる。また搬送手段を設けない構成としてもよい。
上記実施形態では、第2リール62、回収容器24及びスクレーパ25が、何れもチャンバ12内に配置されているものとしたが、これらを該チャンバ12の外に配置してもよい。回収容器24が分級後の粒状固体26で満たされた場合に、篩装置10を停止することなく、該粒状固体26を別容器等に移すことができ、篩装置10の更なる連続運転が可能となるからである。
10 篩装置
12 チャンバ
14 篩
16 電極部
18 高電圧印加装置(帯電手段)
20 帯状体(受け部)
22 送り装置(搬送手段)
24 回収容器(回収手段)
25 スクレーパ(回収手段)
26 粒状固体

Claims (7)

  1. 分級対象である粒状固体の通過を促進可能なように加振される篩と、
    該篩における前記粒状固体の通過方向下流側に、該篩と離間して配設される電極部と、
    該電極部に静電気又は前記篩に対する電位差を生じさせ、前記粒状固体を前記電極部側に引き寄せる帯電手段と、
    を有する篩装置。
  2. 不活性ガスが充填されるチャンバを有し、
    前記篩及び前記電極部は、前記チャンバ内に配設される請求項1に記載の篩装置。
  3. 前記篩と前記電極部との間に配設され、前記篩を通過して前記電極部側に引き寄せられた前記粒状固体を受け止める受け部を有する請求項1又は請求項2に記載の篩装置。
  4. 前記受け部を移動させ、該受け部が受け止めた前記粒状固体を搬送する搬送手段を有する請求項3に記載の篩装置。
  5. 前記受け部は、帯状体であり、
    前記搬送手段は、該帯状体の送り装置である請求項3又は請求項4に記載の篩装置。
  6. 前記帯状体は、無端状に構成されている請求項5に記載の篩装置。
  7. 前記搬送手段により搬送された分級後の前記粒状固体を回収する回収手段を有する請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の篩装置。
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